ハルヒ「今日は新メンバーをつれてきたわ!」 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 22:51:16.68 ID:ANcHdgR40 仙崎「伊万里、送った資料はもう見たかな?」 伊万里「今見てる。これが今回のターゲット?転校してまで追う相手なの?」 仙崎「そうだ。その生徒には危険な超能力の様な力がある"らしい"    それを利用した犯罪行為の有無を確認してほしい」 伊万里「そんなあやふやな情報で人を動かすワケ?」 仙崎「私が管理している学校で、生徒による超常現象を利用した犯罪行為など    起こされては困るんだ、その生徒がクロだとわかった場合は始末しろ。    いつものように、何事も無かったようにやってくれ」 伊万里「その生徒がシロだった場合は?」 仙崎「他の組織や生徒に、その能力とやらを利用されないよう、    監視と護衛を続けろ。それに前の学校ではイジメられてたんだろう?    せっかく転校したんだ。学校生活を楽しめ」 伊万里「…」 仙崎「明日から新しい学校だろう?今日は早めに寝なさい」 一方的に電話を切られ、引っ越したばかりで片付いていない部屋のベッドに 携帯をほうり投げる。ため息をひとつついた。再び資料に目を落とす。 資料に添付された写真には、人目を引く美少女が写っていた。 伊万里「ハァーア。涼宮ハルヒ。今回のターゲット」 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 22:53:52.73 ID:ANcHdgR40 俺が奇跡の進級を果たし、新たなクラスにも馴染んできた頃。 その一連の騒動は、月曜の朝のHR中に、岡部教諭の発した言葉から始まった。 岡部「突然だが、今日から転校生がこのクラスに来る事になった    国立西東京総合学園から転入したマトバイマリさんだ」 伊万里「的場伊万里です…よろしくおねがいします」 岡部教諭に紹介された的場伊万里さんはえらく小柄だった。 細い顎とキリっとした釣り目にショートカットが似合っていて、 ルックスでは長門といい勝負だろう。今までに居ないタイプかもな。 谷口的美的ランクで言えばAマイナーからAと言った所だろうか。 席はなぜか谷口の隣になった。よかったな谷口。 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 22:56:55.94 ID:ANcHdgR40  突如として知らされた転校生の存在を、 我らが団長閣下が黙って見ている訳がなかった。 ハルヒ「また謎の転校生ね。これはSOS団としても見逃せないわ」 キョン「転校生枠は古泉がいるからいいんじゃなかったのか?」 ハルヒ「過去の事は忘れたわ。人間は前を向いて生きるのよ」 そんなに前ばっかり見てるのもどうかと思うぞ。  ただでさえアマゾネス族並に女権社会な我がSOS団に さらに女子が追加されるとなれば俺と古泉の立場の低下は免れないだろう。 だが、男子が入ったら入ったで、心労が増えそうな気もするが。 朝比奈さん的な意味で。 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 22:58:53.79 ID:ANcHdgR40  授業中の的場伊万里はずいぶん大人しい奴だった。長門程ではないが、 割と無口な性質であるらしい。だが隣の席の谷口とはいくらか喋っているようだ。  無難に授業を終えた放課後、ハルヒは当然のように的場さんに声をかけに行った。 無茶をされては困るので俺もついていく。 ハルヒ「的場さん、ちょっといい?」 伊万里「涼宮さん…だっけ?」 ハルヒ「そうよ。あたしは涼宮ハルヒ、ついでにコイツはキョンよ」 伊万里「よろしく、涼宮さん。キョン?変わったあだ名だね」 ハルヒが的場さんに握手を求めた。的場さんが応じる。次は俺か。 至近距離で的場と目が会う。なぜか彼女の視線を恐ろしく感じた。 伊万里「よろしく、キョン君、で良い?」 キョン「好きに呼んでくれ…よろしく的場さん」 的場さんの小さな手からは想像できない握力で、何かを確かめるような しっかりと握手を交わした。そういえば握手なんて珍しい気がするな。 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 23:00:37.68 ID:ANcHdgR40 ハルヒ「ね、的場さん、どこかクラブとかに入る予定ある?」 伊万里「特に考えてないよ」 ハルヒ「なら、SOS団に入団してみない!?」 伊万里「SOS団?」 キョン「表向きは、生徒社会を応援する世界造りのための奉仕団体     という事にしてあるが、まあ、実際は軽いお遊びサークルみたいなもんだ」 伊万里「キョン君もその団に入ってるワケ?」 キョン「まあな」 ハルヒ「軽いお遊びどころじゃないわ!あたし達SOS団には崇高な目標が―― キョン「待てハルヒ、今ココで大声で言うなさすがに恥ずかし― ハルヒ「宇宙人や未来人、異世界人、超能力者を探し出して一緒に遊ぶことよ!」 言いやがった。クラスメイトは殆ど下校するか、部活に行ってて 教室に殆ど人がいなかったのがせめてもの救いか。 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 23:03:17.51 ID:ANcHdgR40 体験入団ならとあっさり了承してくれた的場さんを連れて部室に入ると、 俺とハルヒ意外のメンバーは既に集まっていた 朝比奈さんはいつものメイド服でお出迎え。長門は黙々と読書、 古泉は朝比奈さんの淹れた緑茶を無駄に優雅な姿勢で飲んでいた。 ハルヒ「おっ待たせー!今日は新メンバーを連れてきたわ!」 キョン「まだ入るとは決まってないだろ」 伊万里「メイドさんだ」 みくる「お客様ですかぁ?」 古泉「おや、彼女は転校生の的場伊万里さんでは?」 ハルヒ「さっすが古泉君!情報が早いわね!     紹介するわ!今日からSOS団に体験入団することになった     的場伊万里さんよ!」 伊万里「ええと、的場伊万里です。よろしくお願いします」 ハルヒ「伊万里ちゃん、そっちの専属メイドがみくるちゃん、     爽やかなのが副団長の古泉君。本読んでるのが有希よ」 古泉「古泉一樹です。以後よろしくお願いします」 みくる「朝比奈みくるです、今お茶を入れますね♪」 長門「…長門有希」 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 23:07:20.65 ID:ANcHdgR40 それぞれの自己紹介の後は、いつもどおり活動、つまり 朝比奈さんの淹れてくれたお茶を飲みつつ、怠惰な時を過ごす運びとなった。  ハルヒが嬉々として今までのSOS団の輝かしい?歴史を的場さんに語り、 古泉がいつもの営業スマイルでハルヒをフォロー。長門はいつもどおり黙々と ページをめくり、朝比奈さんは甲斐甲斐しくお茶のお代わりを運んでくれた。 俺はと言えば、ここぞとばかりに傍観者に徹していたさ。 長門がハードカバーを閉じる控えめな音で、団活が終わるまでな。 「明日も来る」と言い残してあっさり帰った的場さんを見送った所で 古泉に呼びとめられた。 古泉「帰る前に、少々お時間をいただいてもよろしいですか?」 キョン「なんだ?またハルヒがらみか?それとも的場さんの話か?」 古泉「ひょっとしたら両方かもしれません。    "機関"から気になる情報を得ましたので、貴方にも    お伝えしておいた方がいいかと」 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 23:08:01.10 ID:ANcHdgR40 キョン「毎回悪いな、二重スパイの真似をさせてるみたいで」 古泉「"機関"としては、今後、涼宮さんと親交があり、"機関"や、その他の    組織について見地のある貴方とも、情報を共有していく方針です。    それ以前に、僕もSOS団の仲間ですしね」 キョン「ありがたいこった、で、今回の情報っていうのはなんだ?」 古泉「文部省に関連するとある人物が涼宮さんと、その周辺で起きている    異変に気付き、監視を始めた、というのが今回の情報です」 キョン「文部省?あいつもとうとう教育問題の議題     に上がるようになっちまったか。」 古泉「そうでない事を祈っています。    ですが、今後なんらかの監視や接触があるかもしれません」 キョン「なるほど、ハルヒの監視の為に、半端な時期に誰かさんが     転校してくるっていうのはいかにもありそうな話だな」 古泉「はい、お察しの通り、的場伊万里さんがそうである可能性    は、かなり高いと思われます。現時点では証拠がありませんが…」 キョン「わかった。的場さんに関して何かわかったら、     まずお前に連絡してやるよ」 古泉「ありがとうございます。」 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 23:10:57.33 ID:ANcHdgR40 無駄に情感のこもった爽やかフェイスの古泉と別れ、俺は すっかり夕暮れとなった帰路についた。  あの小柄でキリっとした美人系の的場さんが、文部省のスパイとは 考えたく無いが、朝倉涼子、喜緑さん、森さんという前例を考えると あながち的外れじゃ無いんじゃないか。ひょっとしてルックスの良い 女性はみな裏があるのか?裏表のないハルヒが良い奴に思えてきた。  最近、何かあると長門に頼ってる気がするが、電話してみるか。 キョン「長門?突然悪い、ちょっといいか?」 長門「いい」 キョン「今日、体験入団に来た的場伊万里さんの事なんだが…     何かわかるか?未来人とか、超能力者とか」 長門「彼女は通常の、この時代の人間。特に異常は認められない」 キョン「そうか、ありがとな、長門」 長門「いい。何かあれば、また連絡をしてほしい」 キョン「ああ、また明日」 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 23:14:03.75 ID:ANcHdgR40 仙崎「伊万里、ターゲットとは接触できたか?」 伊万里「ええ。でも、まだシロかクロかはわからないわ」 仙崎「特に期限は無い、完全にクロだと断定できない場合は    シロとして扱ってくれ」 伊万里「疑惑の段階で撃つ気はないわ」 仙崎「それでいい。所で、新しい学校はどうだ?」 伊万里「普通の学校よ、クラスの人も良い人みたい。     涼宮ハルヒが主催している部活に入ろうと思う」 仙崎「それは良かった。何の部活かね?」 伊万里「・・・SOS団」 仙崎「・・・妙な名前だ、まあいい、遅刻しないように」 伊万里「わかってるわ、仙崎」 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 23:34:00.21 ID:ANcHdgR40 涼宮ハルヒ。 転校して数日間、彼女の主催するSOS団に通ってみた 普段はお茶を飲みながらダラダラ過ごし、何かイベントが あれば積極的に参加するのが活動内容のようだ。 彼女自身、高校生としては変リ者だが 資料にあった、"能力"とやらの兆候は見出せない。 この高校は至って平和だ。 イジメもないし、不良も殆どいない。 職業兇手の私が必要になるとは思えない。 いつもの事だけど、仙崎が何を考えているのか解らない。 この学校での生活は、違う世界で生きてきた自分を強く意識させられる。 私は、たぶん場違いだ。 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 23:36:39.93 ID:ANcHdgR40 涼宮さんが、的場伊万里さんをSOSに連れて来てから 5日間ほど経ちました。彼女は毎日文芸部室にやってきて、 涼宮さんとやキョン君と、ちょっと控えめだけどお喋りしたり 私の淹れたお茶おいしそうに飲んでくれたり、古泉くんとゲームで遊んだり、 長門さんに借りた本を読んだりして、すっかりSOS団に馴染んでくれたみたいです。 でも、彼女は何か隠してるような気がする。それが何かは私にはわからないけど。 それが私にわかれば、もっとみんなの役に立てるのかな・・・? ハルヒ「今週も不思議探索に行くわよ!     いつもどおり北口駅前の喫茶店に集合ね!」 みくる「うふ、的場さんも一緒に行きますか?」 伊万里「私も行っていいの?」 ハルヒ「もちろんよ!場所はわかる?」 伊万里「この辺りの地理には詳しくないよ」 ハルヒ「あたしよりキョンの方が家が近いわね、     明日は伊万里を駅まで連れて来てあげなさい」 キョン「わかった。的場、それでいいか?」 伊万里「うん。いいよ」 古泉「涼宮さん、具体的にどこに行くかは決まっているのですか?」 ハルヒ「うーん、そうねぇ…午前中はそれぞれ不思議探索。 午後はデパートにでも行きましょう。      夏物の服も見たいし。 そんな感じで!今日は解散!」 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 23:38:10.79 ID:ANcHdgR40 当日、的場が一人暮らししているというマンションに着いた時、彼女は既に マンションの前で待っていてくれた。パーカーにショートパンツ、 ハイカットのスニーカーというボーイッシュなファッションだ。  自転車の荷台に立って、俺の肩に手を置いて乗っている的場は えらく軽かった。それにしても器用なもんだ。転げ落ちても知らんぞ。 伊万里「キョン君、不思議探索って具体的には何をやるの?」 キョン「不思議探索は口実みたいなもんだ、大概はダラダラ遊ぶだけさ」 伊万里「へぇー」 キョン「もう駅に着くぞ、普通に座ってくれ」 伊万里「わかった」 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 23:40:57.89 ID:ANcHdgR40 的場を連れて喫茶店に到着した時、案の定他のメンバーは全員到着していた。 また俺のおごりか・・・ ハルヒ「今日は、伊万里んもいるしワリカンでいいわ」 キョン「お気遣い感謝します」 伊万里「プフッ いつも奢らされてるんだ」 的場が噴出すところなんて始めて見た。つかみ所のない奴だと思っていたが 意外とフランクな奴なのかもな。定例のクジ引きでは、俺と的場、 古泉と長門、ハルヒと朝比奈さんという組み合わせになった。 なぜかハルヒがジト目でこちらを睨みながら、不思議探索開始の号令を出した。 それぞれ別れて不思議探索に出発する。 キョン「で、どこか行きたい所はあるか?」 伊万里「と、急にふられてもねー」 キョン「だよなぁ・・・」 伊万里「とりあえず、歩こうか」 キョン「河原でも歩いてみるか」 伊万里「うん」 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 23:42:25.51 ID:ANcHdgR40 いつか、誰だか忘れたが・・・誰かと歩いた記憶のある 河原を、的場と二人でブラブラと歩く。 キョン「なあ的場、妙な事を聞くようだが… 伊万里「ウン」 キョン「まさか異世界人だったりしないよな?」 伊万里「異世界人って?」 キョン「ハルヒがらみで違う世界から来た奴、って事か?     すまん、何言ってるか自分でもわからん。     ただの戯言だ、聞き流してくれ」 伊万里「ハァーア。情報、漏れてるじゃない…」 キョン「はい?」 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 23:48:51.87 ID:ANcHdgR40 不意のため息に、的場を見た。的場の左手には、小さな手に似合わない 大きな拳銃が握られていた。先端には長い筒、サイレンサーって奴か。 当たり前だが本物を見るのは初めてだ。 的場の冷徹そのものな瞳を見るかぎり、モデルガンの類とは思えなかった。 銃口がこちらを向いていないのが唯一の救いか。 やっちまった。俺はとんでもない爆弾の起爆スイッチを押してしまったらしい。 伊万里「…確かに、私はあなた達とは住んでる世界が違う」 キョン「なんだって?」 伊万里「それに気づくあなた達は何者?キョン、     私はそれが知りたい。それを知る為にこの高校へ来た」 ヤバイ。朝倉の時もヤバいと思ったが今回はそれを上回るかもしれん。 さっきまで雰囲気が全然違うぜ、本当に同じヤツか?正直怖い。 やっぱり古泉の言ってたのが正解か、文部省だかのエージェント、的場伊万里。 キョン「…俺は、ただの男子高校生だ」 伊万里「涼宮ハルヒは?」 キョン「ハルヒは・・・なんの因果か、本人も知らないまま、     ご大層な力を持っちまっただけの変わり者の女子高生だ」 伊万里「本人も知らないまま?」 キョン「信じられないと思うんだが―― 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 23:54:40.32 ID:ANcHdgR40 ああ、説明したさ、もうヤケのクソだ。喋り始めたとたん口の滑りが良くなった。 ハルヒと佐々木の能力、古泉から、的場が文部省のスパイかもしれないと聞いた事、 長門や古泉、朝比奈さんもそれぞれの組織からハルヒを監視しに来てる事、 橘達の勢力について。それぞれの組織については、深く語らなかった。 俺にも良くわからんし、勝手に喋るのはさすがに気が引けたからな。 伊万里「・・・プッ、キャハッ あははははは!」 キョン「やっぱり、信じられんか」 伊万里「フゥ、笑ってゴメン。キョン、信じるよ。とても面白い話だったから。     長門さんと朝比奈先輩もエージェントだとは思わなかったしね」 キョン「俺の話をあっさり信じていいのか?」 伊万里「5日間、あなた達と過ごしたけど     普通の生徒とはどこか異なる"違和感"はあったけど     私の知る、犯罪の匂いはしなかった」 キョン「犯罪?」 伊万里「ウン、古泉君の情報は正しいよ。文部省教育施設特査。     学園を隠れ蓑にして犯罪行為をする者を強制的に排除するのが任務。     今回の目的は、涼宮ハルヒがその"能力"を悪用して犯罪行為をしてい     るかの確認。その為の監視と護衛」 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 23:56:19.48 ID:ANcHdgR40 キョン「もしハルヒが、能力を悪用していたら」 伊万里「始末する。そのための職業兇手だから」 キョン「しょくぎょう…なんだって?」 伊万里「職業兇手、"殺し屋"、だよ」 キョン「・・・的場、頼みがある」 伊万里「何?」 キョン「もし今後、ハルヒが能力を悪用しそうになったら・・・」 伊万里「ウン」 キョン「的場がハルヒを始末する前に、俺に     ハルヒを止めるチャンスをくれないか?」 伊万里「・・・わかった。殺すのが目的じゃないし」 キョン「すまん、助かる、的場。ついでに、     この事をSOS団のメンバーに話てもいいか?」 伊万里「もう古泉君は知ってるんでしょ?     伊万里でいいよ、キョン。そろそろ不思議を見つけないと     涼宮さんに怒られるんじゃない?」 キョン「おわっ、もうこんな時間か、急ぐぞ伊万里」 25 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/27(金) 23:57:09.53 ID:ANcHdgR40 その日の不思議探しは、いつものように何も見つからなかったが 夏物の服を買いこんだハルヒと朝比奈さんはご満悦だ。 意外な事に、的場と長門も買い物袋をぶら下げている。 ハルヒの号令で解散した後、即座に古泉の携帯にかけた。 キョン「帰り際にスマン、的場の件だ」 古泉「何かわかったのですか?」 キョン「お前の情報は正しかった。的場伊万里は文部省のエージェントだ     喜んでいいのかどうかわからんがな。今日の午前中、     二人になった時に聞いた」 古泉「やはり、と言った所ですか。ありがとうございます」 キョン「伊万里はの目的は、監視と護衛で、     ハルヒが例の力を悪用した時には始末する事、だそうだ」 26 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/27(金) 23:58:11.40 ID:ANcHdgR40 古泉「能力に無自覚な涼宮さんには、悪用のしようがありませんね。    おそらく的場さんの"上"は、涼宮さんの能力について    具体的な事は把握していないのでしょう」 キョン「ハルヒの能力についてはあんまり興味がなさそうだったぜ     その辺りも聞いておけばよかったな」 古泉「その辺りは、後日的場さんに聞いて見ましょう。    確認しますが、的場さんが涼宮さんに害を及ぼす事は    なさそうなんですね?」 キョン「ああ、なんとなく信じても良さそうな気がする」 古泉「これまで数々のトラブルを潜り抜けて来た、あなたの    勘ならおそらく大丈夫でしょう。僕は"機関"に連絡を取り、    文部省とコンタクトできるか確認してみようと思います。    朝比奈さんと長門さんには僕から連絡しておきます」 キョン「悪いな、だがお前から説明した方が理路整然としてて     わかりやすいと思うぜ」 古泉「光栄です、ではまた学校で」 キョン「ああ、じゃあな」 28 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 00:10:55.72 ID:s/YMfKkl0 月曜日、授業を無難に終わらせる。真面目に授業に 取り組んだのは久しぶりかもしれない。 普通の人に一歩近づいたような気がする。 谷口「よぉ的場、今日もあのけったいな集団に遊びにいくのか?」 伊万里「そのつもり。面白い人達だよ。谷口も一緒にどう?」 谷口「悪い奴らじゃないのは知ってるけどな    何を隠そう、この俺は涼宮と5年間同じクラスなんだ    奴に振り回されるのは非常〜に疲れる、ので遠慮する    …そのうち、ヒマならどっかに遊びにいこうぜ」 伊万里「考えとくよ、じゃあ、もう行くから」 谷口「おう、じゃあな!」 31 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 00:31:49.06 ID:s/YMfKkl0 隣の席の谷口、悪い奴じゃない。 そういえば、普通の男子と喋るなんて高校に入って初めてかもしれない。 とりあえず文芸部室に向かう。涼宮ハルヒがシロなのは明かだ。  誰もいない、文芸部室の手前の廊下で、イケメン・古泉君に呼び止められた。 伊万里「古泉君」 古泉「的場さん、部室に入る前に、少しお時間をいただいてもよろしいですか?」 伊万里「いいよ、私の仕事の話でしょ?」 古泉「話が早くて助かります、一昨日、彼から、貴女に関する話を    聞きました、文部省の関連組織だとか」 伊万里「文部省教育施設特査の非合法員。職業兇手。     学園を隠れ蓑にした犯罪者を汚れた手で排除する」 古泉「涼宮さんの能力については」 伊万里「キョンから聞いた。私の"上"もは能力には関心が無い     その存在すら疑ってる。"上"の望みは、学園が平和である事     涼宮さんが、悪事を働くか、悪事に利用される場合は私が     暴力で排除する、予定だけど、その前にキョン君とSOS団     が涼宮さんを止めるでしょ?おそらく私の出番は来ない」 古泉「…こちらの聞きたい事を全て先に言われてしまいました」 伊万里「キャハハハハッ、こんなに仕事の事をベラベラ喋ったのは初めてだよ」 32 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 00:41:35.56 ID:s/YMfKkl0 ハルヒ「こらーッ!!古泉君も伊万里んも、廊下で盛り上がるんだったら     部室で盛り上がりなさい!!まったく、私も混ぜなさいよブツブツ・・・」 古泉「すみません、さ、入りましょう」 伊万里「ウン」 キョン「よう伊万里、また来たのか?ハルヒに勝手に正式メンバー     にされても知らないぞ」 ハルヒ「あたしはそんな無粋な事はしないわ!」 みくる「…」 SOS団は楽しい。なんといっても、団長とキョン意外はみんな どこかのエージェントだから。私と似てる境遇。任務として 涼宮ハルヒを監視しながら、団の活動も楽しんでいる。不思議な連中。 …いつか選ぶ日が来るかもしれないのに。 36 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 00:53:59.97 ID:s/YMfKkl0 転校してから、2週間が経った。もう月が変わる。 仙崎から資料が届いた。開ける前から嫌な予感しかしない。 開けた所で仙崎から電話がかかってくる。 仙崎「伊万里、追加で送った資料は届いてるな」 伊万里「ええ、ちょうど今読んで――ハァ?涼宮ハルヒを拉致する事を     目的としたタスク・チームが編成?一体何の為に!?」 仙崎「荒事専門のチンピラ8名が、その内容で傭われたという    情報は確かだ。拉致した後、どうするつもりかはわからんが    ロクな事にはならんだろう。今の所クライアントは不明」 クライアントはおそらく橘京子達、だがここで彼女のことを仙崎に報告すれば、 キョンの親友の佐々木さんも消される。 仙崎「狙われてるのは私の管理している学校の生徒だ。    例え校外だろうと殺させるわけにはいかない」 伊万里「わかってるわ、必ず守る」 仙崎「彼女を守り抜け、伊万里。襲撃者を全て排除しろ。    標的は武装しただけのチンピラ、雑魚以下だ。    プロの職業兇手の相手にはならん。瞬殺しろ。    …せっかく出来た友達を死なせるな」 伊万里「了解」 37 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 01:16:00.93 ID:s/YMfKkl0 仙崎との電話を切った後、すぐに古泉君に電話を入れる 古泉「もしもし、どうされました?」 伊万里「夜中にゴメン、実はかくかくしかじかで」 古泉「事態は急を要しますね、"機関"からも人手を出して    涼宮さんを護衛しましょう、また連絡します」 伊万里「ええ、ありがとう」 次はキョンだ、妹が出た。キョンに取り次いでもらう キョン「ん?的場か?すまん風呂に入ってた。どうした?」 伊万里「夜中にゴメン、実はかくかくしかじかで」 キョン「ヤバいな、もう長門には連絡したのか?」 38 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 01:16:56.96 ID:s/YMfKkl0 伊万里「まだ。古泉君にはさっきした。"機関"から涼宮さんに     護衛をつけるって」 キョン「わかった、長門と朝比奈さんには俺が連絡しておく     伊万里はどうするんだ?」 伊万里「これから、"機関"の護衛が来るまで     涼宮さんの家の周りでこっそり護衛する」 キョン「目は多い方がいいだろう、俺も付き合う」 伊万里「わかった。その代わり危なくなったらさっさと逃げて」 キョン「場合によってはな」 39 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 01:27:36.27 ID:s/YMfKkl0 次の日、放課後、団活終了まで特に問題はなかった。 睡魔に負けて授業の殆どを寝てしまった事くらいは些細な問題だ。 団活の後、古泉と伊万里にハルヒと一緒に家に帰れと言われた、 普段ならご免被りたい所だが、事態が事態だけに了承せざるを得ない。 キョン「ハルヒ、今日は一緒に帰ろう、家まで送る」 ハルヒ「はい?い、いきなり何言い出してんのよ!     頭湧いちゃったの?調べてあげるから中身を見せなさい!!」 キョン「うおわっ!?」 みくる「涼宮さん、ニコニコしながらヘッドロックしてます」 伊万里「ああ、あの二人、そういうアレなんだ」 古泉「はい、なかなか進展しないのですが」 ハルヒ「まあいいわ!特別にアハッ!あたしを家までフフッ!エスコートする     栄誉を与えるわ!感謝しなさい!フフフッ!」 みくる「すごい、いい笑顔です、いいなぁ…」 41 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 01:37:07.95 ID:s/YMfKkl0 下校時刻ギリギリで、俺たちの他にはもう生徒は見当たらなかった ハルヒ「ホラ、キョン!さっさと行くわよ!」 キョン「待て、ハルヒ、先に行くな!」 42 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 01:45:38.29 ID:s/YMfKkl0 SOS団のメンバー全員で、校門に近づく。坂を降りた所で、 "機関"の森さんと荒川さんが乗ったセダンが待機しているはずだ ハルヒ「でも、なんで急に送ってくれるなんて言い出したのよ」 キョン「ああ、最近不審者が多いらしいからな、不安になってつい」 43 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 01:48:03.82 ID:s/YMfKkl0 ミニバンと、セダンが坂を上ってくるのが見えた。 怪しそうか?と長門か伊万里に聞こうと思って振り返った ハルヒもつられたのか、いっしょに振り返る ハルヒ「どうしたのよ、キョン」 キョン「いや、たいした事じゃないんだが――― 44 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 01:50:41.69 ID:s/YMfKkl0 俺は、また前を見た、 時、 ハルヒの、 すぐ後ろに、セダン?さっきの、坂を上がってきた それは加速していて、ドライバーと目が合った、 ぶつかる? ハルヒに?よけろ、俺がよける―? ダメだ、ハルヒをかばわないと―体が動かない、 ハルヒを――ハルヒ―間に合わない?―まさか― キョン「ハルヒッ!!!!」 45 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 02:00:40.20 ID:s/YMfKkl0 どこんっ、っといった音がして、ハルヒが宙を舞った。 ボンネットを乗り越え、フロントガラスに弾かれて、やけにゆっくりと。 人形のようにベタっとアスファルトに落ちた。そのまま動かない。 黄色いカチューシャが一拍遅れて落ちてきた。馬鹿な。 ハルヒ、嘘だろ?誰か嘘だと言ってくれ、死んじまったらどうするんだ。 ハルヒ、動いてくれ、今助ける、大丈夫だよな?ハルヒ、そうだ 俺たちには長門がいる、宇宙人パワーで怪我くらい治してくれるさ、 カチューシャの再構成を忘れるかもしれないがそのくらいは勘弁してやろうぜ。 お前はそれがなくたって十分美人だし可愛いからな、ハルヒ、ハル―― 47 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 02:22:05.17 ID:s/YMfKkl0 ハルヒを跳ね飛ばしたセダンは、キョンと私達の間に割り込むように止まった。 続いて走ってきたワンボックスは、倒れて動かないハルヒの近くに。 初めて激昂した古泉君の顔を見た。初めて朝比奈先輩の悲鳴を聞いた 初めて長門さんの表情が読み取れた。驚き、怒り。 セダンの助手席から、棒を持った男が下りて、涼宮さんに駆け寄ろうとする キョンを後ろから殴り、キョンはそのまま前に倒れた。 運転席の男が、拳銃のスライドを引くのが見えた、脅して動きを止めるつもりだろう "激しく冷徹に"今でも覚えている。いつか聞いた仙崎のセリフ。何かの受け売り。 学生カバンから銃を取り出す、装填はしてあった。セフティを解除して 運転席に3発撃った。2発はガラスを貫通してこめかみに当たる、手ごたえがあった。  走って車の屋根を跳び越え、キョンを殴った男の背中に着地 射線にキョンを入れないように気をつけて後頭部に2発。 ワンボックスのスライドドアが開いて、男が二人、動かない涼宮ハルヒを 積み込む、乱暴に、あちこちぶつけながら。撃てない、ハルヒに当たる。 拉致して確実に消すつもりか、絶対に逃がさない。ハルヒを積んだワンボックスの ドアがしまった。 48 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 02:34:48.98 ID:s/YMfKkl0 そのまま発進し、坂を下っていく。当然だがかなり飛ばしていた。 伊万里「この車で追う、乗れ!!」 長門さんが、朝比奈先輩と古泉君がキョンを抱えて後部座席に乗り込む。 古泉君はカチューシャを拾ってから助手席に乗り込み携帯で誰かに、 死体と現場の後始末を指示していた。敬語ではなかった。 伊万里「キョンは大丈夫そう!?」 みくる「意識はないけど…」 長門「脳震盪、外傷はあるが致命的ではない」 49 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 02:45:13.60 ID:s/YMfKkl0 気がついたら、セダンの後部座席の中央に、長門と朝比奈さんんい 挟まれて座らされていた。 みくる「キョン君!」 キョン「ハルヒ…、ハルヒは!?」 古泉「涼宮さんは、ワンボックスカーに載せられて拉致されました    俺たちはそれを追ってる…追っているところです、これを」 ハルヒのカチューシャ?、そうか、跳ねられた時に落ちたんだった キョン「…すまない」 みくる「キョン君が謝る事は一切ありません!     悪いのはあの[禁則事項]達です!!!」 キョン「すみません、朝比奈さん」 50 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 02:55:22.41 ID:s/YMfKkl0 長門「情報統合思念体の座標トレスにより    涼宮ハルヒの現在位置を特定。*******エリア」 伊万里「わかった、飛ばすから」 伊万里の、暴走一歩手前の運転で目的地にはすぐに着いた。 郊外の閉店したスーパーマーケット。 ハルヒを連れ去ったワンボックスが止めてあった。 長門「建物内部に涼宮ハルヒの存在を確認」 伊万里「私が一人で入る。キョン達は外で待ってて、すぐ済む」 古泉「くれぐれも気をつけて下さい」 キョン「ハルヒを頼んだ、二人とも帰ってきてくれ」 伊万里「大丈夫」 こんな状況だが、両手に拳銃を持って歩いていく伊万里の後姿は、 えらくかっこよく見えた。 51 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 03:03:41.03 ID:s/YMfKkl0 適当にあたりをつけて、事務所と思しきドアを蹴破る。当たりだ。見える所に5人 涼宮ハルヒは奥のソファに寝かされていた。 無言で、近い方から撃った、一人3発は撃ち込む。反撃するヒマは与えない。 5人を片付けた辺りで、丸腰の6人目が事務所に戻ってきた。 伊万里「あなたが最後の一人よ。     クライアントは何者?どこで落ちあう予定?」 チンピラ「へっ依頼人を喋ると思うのか?」 黙って膝に2発撃つ チンピラ「あぐっ、ひっ、わ、わ、わかった、言うよ・・・!      藤原とかいう、ガキだ、場所は、倉庫だ、      *****の工業団地の倉庫に連れて行く手はずだったんだ      な、なあ、お互いプロだろ?殺さないで・・・」 伊万里「おしえてくれてありがとう」 チンピラ「やめ――― 52 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 03:05:10.47 ID:s/YMfKkl0 伊万里がドアを蹴破って突入してから2分ほど。 エライ勢いで銃声が聞こえてくる。 古泉も朝比奈さんも、今までとは比べ物にならないほど 険しい表情をしていた。そりゃそうだよな、 ハルヒが跳ねられ、攫われて、挙句の果てには 殺し屋の転校生が銃撃戦ときたもんだ。 俺だって、二人と同じ顔をしているだろう。 いつも以上に、長門のポーカーフェイスが心強く感じる。 なんて言ってる俺も相当頭に来てたがな。ハルヒが無事 じゃなかったらと考えたら気が狂いそうだ。  最後の銃声が二発聞こえてからすぐに、 的場と、的場より背の高いハルヒをおぶって出てきた。 53 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 03:07:53.18 ID:s/YMfKkl0 キョン「…的場!大丈夫か!?」 伊万里「大丈夫、涼宮さんも、かなり怪我はしてるけど…」 古泉「何か情報は聞けましたか?」 伊万里「襲撃者を雇ったのは藤原という若い男     *****の工業団地の倉庫で待ち合わせ」 古泉「おそらく、他の未来人のあの藤原でしょうね?」 キョン「すぐ向かおう、ハルヒをこんな目に合わせて、     このままじゃ済まさん」 長門「協力する、情報発生源への介入は許されない行為。    私の友人、涼宮ハルヒに手をだした罪は重い」 みくる「許せません…この時代での[禁則事項]は禁止されているはず     涼宮さんに[禁則事項]が[禁則事項]の可能性だってあるのに。     もう絶対に[禁則事項]してやります![禁則事項]!」 キョン「朝比奈さん、ハルヒを頼みます!」 みくる「わかったわ、まかせて下さい!」 54 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 03:09:02.20 ID:s/YMfKkl0 朝比奈さんには、救急車でハルヒと一緒に病院へ行ってもらった。 俺、古泉、長門、的場は車でヤツらのアジトへ向かう。 長門「周防九曜が出てきたら、私が押さえる。    あなたと、古泉一樹、的場伊万里は他を制圧して」 キョン「わかった。気をつけろよ、長門」 キョン「伊万里、ハルヒを攫った連中は、その・・・」 伊万里「皆殺しにした」 キョン「―――伊万里、過去がどうあれもう殺すのはナシだ     SOS団の団員にヒットマンをやらせるわけにはいかん」 伊万里「…フゥ。わかった」 55 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 03:10:28.78 ID:s/YMfKkl0 伊万里のハイスピード運転でたどり着いた倉庫には、 見覚えのある3人が居た。  藤原は不機嫌そうに、橘は驚いた様子で。俺達を 見ている。九曜はどこを見てるか判然としない。 橘「なぜキョンさん達がここに…?」 藤原「おおかた雇った原住民どもがしくじったんだろう    おかげでまた小うるさいのが集まって来てしまった」 長門が小さく呪文を唱えるのが聞こえた、 九曜を押さえてくれているのだろう。 56 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 03:11:43.41 ID:s/YMfKkl0 キョン「橘、藤原、なぜこんな事をするんだ?狙いはハルヒの能力か?」 橘「それは、前にも言った通り、世界の為なのです」 藤原「ふん、そうだ。それが俺達の役目だからな」 古泉「だからといって、涼宮さんを傷つけるのはあまりにも愚かです    それこそ世界を滅ぼしかねない」 藤原「なんでこんな簡単な事に気づかないんだ?    神とやらの素養をもった奴が二人いるなら、一人を片付ければ    もう一人の奴が神になる。簡単な理屈だろう?」 橘「そ、それは話が違うのです!計画では、怪我をさせて、   精神的に弱らせるだけだって!」 キョン「お前ら…!!!」 57 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 03:12:39.21 ID:s/YMfKkl0 伊万里「私には、神や超能力の事はわからない。     だがあなた達が涼宮ハルヒに害をなすつもりなら、私はそれを防ぐ」 藤原「ふざけるな、原始人ごときが―― キョン「伊万里!殺すな―― 橘「ひっ」 うわっ撃ちやがった。 クッションを思いきりひっぱたいたような音がした。小さな金属が床に落ちる音も。 藤原は撃たれた太股を両手で押さえ、苦悶の表情を浮かべながら仰向けに のたうち回ってる。余りの痛々しさに、 さっきまでのふてぶてしい態度も忘れて同情してしまいそうになる。 伊万里「キョンに感謝する事ね、     今、あなた達を始末しないのは彼がいたから」 橘「あ、あ…」 サイレンサー付きの銃口が、ぴたりと橘の額に向けられている 橘だって、荒事を企てたりしてたって、元は普通の女の子だろうからな、 目の前で人が撃たれて、次はお前だとばかりに銃を向けられりゃ怖いはずさ。 58 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 03:17:26.37 ID:s/YMfKkl0 キョン「伊万里、銃を下ろしてくれ。     橘、この計画は佐々木は知らないんだろうな?     ヤツが知ってたら確実に反対するだろうからな」 橘「は、はひ、さっ佐々木さんには内緒にしているのです…」 キョン「俺達に見つかった時点で、計画はご破産だ。     次、ハルヒに怪我させるようなマネをしたら…」 橘「したら…?」 伊万里「その時は私があなたの問題を解決してやる。     あなたが、二度と悩まなくて済むように」 橘「…う、グスッ はい…」 59 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 03:19:53.83 ID:s/YMfKkl0 その後。 タクシーを呼んでハルヒの病院に行き、無事を確認して解散になった。 帰り際、寝てるハルヒに、カチューシャをつけてやった。 やっぱりハルヒにはコレがあった方が良いな。 あの事件は、悪質なひき逃げという事で処理された。 ハルヒは1週間休んだだけで出てきた。包帯やらギプスやらが痛々しかったがな。 入院して多少でも大人しくなっているかと思ったら、 SOS団でひき逃げの犯人を捜すと言い出して止めるのに苦労させられた。 校門の前の現場は、森さんと荒川さんが。 スーパーマーケット跡の後始末は伊万里の組織それぞれ処理してくれたらしい。 というか、森さん達に死体処理のスキルがある事と、 文部省にそんな事する部門がある事に驚きだ。 橘は、あれだけ脅せばしばらく大人しくしてくれるだろう。 自業自得とはいえ、悪い事をした気がする。藤原って誰? 大きく変わった事と言えば、的場伊万里が正式にSOS団の 団員になった事くらいだな。これでSOS団には、一般人こと俺、 宇宙人、未来人、超能力者についで殺し屋が加わった事になる。 これもハルヒの願望なのかどうかは、わからない。古泉あたりに 聞いてみれば、得意の長口上で解説してくれるかもしれないが。 60 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 03:20:53.18 ID:s/YMfKkl0 芳野「もしもしー?」 伊万里「芳野姉さん」 芳野「おー伊万里、久しぶりやなぁ    新しい学校はどう?」 伊万里「うん、普通の学校だけど     イジメは無いよ、友達もできたし・・・」 芳野「ええ傾向や、でもたまにはウチにも会いに来てな?」 伊万里「うん、休みの日に行くよ」 芳野「友達連れて来てもええし、なんなら    彼氏でもええよー。ほな、また電話して来てなぁ」 伊万里「なっ・・・芳野姉さん?もしもし!?」 61 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 03:25:32.90 ID:s/YMfKkl0 ハルヒ「いまりん入団記念パーティーを開催しようと思うの!」 伊万里「ハルちゃん、私のあだ名、"いまりん"で決定なの?」 ハルヒ「可愛いじゃない?」 古泉「SOS団へようこそ、改めて歓迎しますよ」 みくる「いまりんちゃん、これからもよろしくね♪」 長門「歓迎」 キョン「伊万里、いろいろありがとうな」 伊万里「なんだか、妙な感じだ」 ハルヒ「キョン、病みあがりのあたしの代わりに、      パーティーの準備の買い出しに行ってきなさい!」 キョン「わかった。予算はあるんだろうな?」 ハルヒ「あったり前じゃないの!その編はばっちり考えてあるわ!!」 62 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 03:26:20.20 ID:s/YMfKkl0 ―――――――――――――――――――― ――――――――――――――― ―――――――――― ――――― ――・・・ 仙崎「伊万里、今回の件はよくやった」 伊万里「仙崎、私はもう・・・普通の・・・―――――                     おしまい。 64 名前: ◆ekQsExvHfU [] 投稿日:2009/11/28(土) 03:31:10.80 ID:s/YMfKkl0 読んでくれた人、ありがとう。 ハルヒと長門が活躍しない話を書いてみようと思った けど、元ネタがマイナー過ぎたと反省してる。