キョン「ハルヒがインフルエンザだと?」 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/14(土) 13:16:44.57 ID:VBhNwTVfO キョン「そのウィルスはウィルス界最強の称号を手に入れたぞ」 古泉「涼宮さんも人間です、風邪くらいひきますよ」 キョン「ハルヒの体内に入るなんて何て勇気のあるチンコなんだ」 古泉「チンコ違う、ウィルスです」 キョン「今年のインフルエンザはどうなんだ?」 古泉「かなり危険みたいですね、免疫力の弱い老人や子供はバタバタ死んでます」 キョン「そうか、そりゃ心配だな……」 古泉「おやおや」 キョン「そのにやけ顔やめい」 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/14(土) 13:22:24.33 ID:VBhNwTVfO みくる「……おぞぐなりました」ズズーッ なんという事だ、我らが女神、朝比奈佐久夜毘売が風邪をひいておられる。 しかもマスクまでして、変われ、マスク。 朝比奈「はふぅ……」 実に素晴らしい、その虚ろな目が実に素晴らしいです、朝比奈さん。 キョン「朝比奈さん、風邪ですか?無理しないでくださいね」 みくる「だいじょうぶでず……」 俺たちが部屋にいるのに、普段着であるメイド服に着替えようとしている辺り 完全に大丈夫ではない。 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/14(土) 13:27:02.78 ID:VBhNwTVfO みくる「はふぅ……はふぅ……」モサモサ キョン「……」コクン 古泉「……」コクン 俺と古泉はアイコンタクトで了解を取り合うと、ひたすら気配を消すことに努めた。 部屋を出ろだって?俺も古泉も健康な男子高校生だ、後は言わないでもわかるな? 空気になれ俺!色即是空!! みくる「んふ」ズズーッ キョン「……」ジーッ 古泉「……」ジーッ 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/14(土) 13:33:16.50 ID:VBhNwTVfO 長門「ん」ツンツン みくる「ばい?」 長門「あれ」クイッ 俺達よりも先に空気になっていた存在の事を忘れていた。 スネークをも上回る最強のステルス迷彩を持つ宇宙人、長門有希は俺達への刺客になって立ちふさがった。 みくる「あ……あ……」 この後の事はあえて語るまい しいていうなら、俺と古泉の頬に綺麗な手の跡が付いたという事くらいである。 いや、朝比奈さんの中の人間のクズランキングで、市橋を追い越して俺達二人がトップ10入りしたのは確実であろう。 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/14(土) 13:39:14.04 ID:VBhNwTVfO 長門「覗きは犯罪」 キョン「覗きを超越してたんだが」 古泉「申し訳ありません、いきなりだったのでどうする事もできなかったのです」 この野郎、一人だけ抜け駆けして人間のクズランキングのランク外に逃れようって寸法か? みくる「……いえ、気にしてないです」 俺は見逃さなかった、その時の朝比奈さんの仕草を 胸を隠すように手を組む仕草は拒絶の現れ ざまあみろ古泉、メシウマ! キョン「今日はハルヒは休みなんですよ」 みくる「……へー、そうなんでずが」ズビー あれ? 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/14(土) 13:46:38.84 ID:VBhNwTVfO キョン「……」 古泉「……」 みくる「……」ズズーッ 長門「……」ペラッ 重い、なんだこの空気の重さは? 軽いからこその空気ではないのか? 神様、仏様、どうかこの局面をどうにかしてください。 俺の都合のいい願い事が通じたのかは知らないが、ある意味神様はやってきた。 バタン! ハルヒ「……」ゼーッゼーッ キョン「は、ハルヒ?」 ハルヒ「ごんながぜぐらいで団活やずむわげにはいか!……うふぅ……」バタン!! 一体何しに来たんだコイツは? 部屋に入ってから2秒でノックダウンしやがった。 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/14(土) 13:52:50.27 ID:VBhNwTVfO 長門「39.5度、人間の体温の危険温度を超過している」 ハルヒ「……め……」ゼーッゼーッ キョン「なんだハルヒ!?」 ハルヒ「……めそ」ガクッ コイツは意味不明な単語を言って力尽きる為にここまで来たのか? RPGの町人だってもっと気のきいた事を言うはずだ。 古泉「力を振り絞ってここまできたんでしょう」 キョン「なんでだ?」 古泉「分かりませんか?団の活動が涼宮さんにとってとても大切だということが」キリッ 朝比奈さんはお前を見ていないって事に気付こうな、古泉。 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/14(土) 13:59:20.64 ID:VBhNwTVfO 長門「とりあえず応急処置として冷えピタを額に貼ることにする」 みくる「あ、タミフル私持っでます」 キョン「おい長門、お前の能力でなんとかならんのか?お父さんの許可がないから無理なのか?」 長門「人間自身の回復力で治癒可能な病気に対して力を行使するのは許可されていない、何より風邪くらいて力使わせるな馬鹿」 キョン「だよな……え?いま何て?」 長門「気のせい」 だよな、長門が馬鹿なんて言うわけがない。 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/14(土) 14:04:16.49 ID:VBhNwTVfO ハルヒ「うぅ〜ん……」ズビスビ キョン「鼻水まみれだな、今ティッシュで拭いてやるから待ってろ」 フキフキ うにょーん キョン「おぉ〜、鼻水が伸びる伸びる」 長門「……クッ!」 キョン「長門……今笑ったか?」 長門「気のせい」 だよな、長門が笑うはずがない。 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/14(土) 14:10:20.96 ID:VBhNwTVfO キョン「よし、あらかた鼻水は拭き終わったな」 キョン「古泉、このティッシュ食べるか?」 古泉「なぜ?」 キョン「いや、お前食べそうだし」 古泉「朝比奈さん?何で僕から距離をとるんですか?」 長門「涼宮ハルヒの体に付いている大量の汗も体温上昇の要因、拭き取る事を推奨する」 キョン「拭き取った後のタオル食べるか?古泉」 古泉「だからなぜ?」 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/14(土) 14:19:23.87 ID:VBhNwTVfO キョン「ていうか、今この部屋の中はハルヒを凌辱した最強ウィルスで満たされてるわけだよな?」 古泉「そうなりますね」 キョン「じゃあ俺達もすでにウィルスに凌辱されてる可能性もあるって事だよな?」 長門「さっきからガタガタうるさいんだクチュン!!」ズビッ! 俺はウィルス感染者を一人発見した。 長門「あ〜!あ〜!クチュン!」ズビビッ! またもや長門が壊れた、やはりハルヒに勝ったくらいのウィルスだな、素晴らしい感染力。 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/14(土) 14:28:23.63 ID:VBhNwTVfO 長門「あ〜!あ〜!」 ゴンゴン みくる「痛いっ!長門さん痛いですっ!本の角は痛いですっ!」 キョン「落ち着け長門、命令だ、朝比奈さんを京極堂シリーズのような分厚い本で叩くのはやめなさい」 長門は、俺の命令なら聞く、そう、孤島の時のように。 案の定長門は朝比奈さんを叩くのは止めて 長門「……クチュン!クチュン!」 ゴンゴンゴンゴン 俺の頭を殴り始めた。 古泉「wwwww」 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/14(土) 14:37:29.58 ID:VBhNwTVfO ハルヒ、何という迷惑な女なんだ。 宇宙規模に迷惑を振りまいている女だということは気付いているが ここまでの迷惑が自分の身に降り掛かってくるとは思わなかった。 これはインフルエンザウィルスじゃなく、周防九曜あたりが送った殺宇宙人ウィルスではないのか?。 古泉「シリアス顔のところ申し訳ありません、頭から血が出てるのでそろそろ長門さんを止めた方がいいかと」 自分で止めようとしないあたり古泉だよな。 キョン「長門、どうどうどう」 スパパパパ 長門の顎下を安西先生すると長門は動きを止めるのを最近気付いた俺は とりあえず顎下を安西先生しておいた。 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/14(土) 18:51:08.76 ID:VBhNwTVfO では意識が吹っ飛ぶまで再開します キョン「これでいいだろう」 椅子に縛り付けられ藻掻いてる長門を見ると…… なんかこう、下腹部辺りに異常な熱があるような感じさえしてくるから不思議だ。 俺もなんか変なウィルスに感染したのかと不安になるが、古泉も下腹部に異常な熱を感じているようなので安心した。 キョン「しかしこの状況……」 今長門の前にパソコンを置いたら、勝手に電源が入り 変なお面な人形から『やぁ長門有希、君は今まで無口キャラを通してきた、今日君はその殻を破れるかな?』 と意味不明な事を言われたうえ、殺人ゲームに放り出されるかもしれない状況だな。 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/14(土) 18:57:10.18 ID:VBhNwTVfO ハルヒ「うぅ……」 あ、ハルヒの事を忘れていた。 家にまでクール宅急便で届けるのが正しい方法なのだろうがこの中の誰もハルヒの家を知らない、ん? キョン「古泉、お前ハルヒ知ってるだろ」 古泉「はい、知ってます」 肝心な事は何一つ言わないにやけ野郎だ、コイツは。 キョン「だったら話は早い、早いとここの人類最強毒王を家に届けてこい」 古泉「賛成しかねます」 キョン「なぜだ?」 古泉「涼宮さんがこんな状態なのに来たのには訳があると僕は思うからです」 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/14(土) 19:06:54.47 ID:VBhNwTVfO 壊れた長門を含めて全員でハルヒの看病をしなければいけないってか?目の前が暗くなる。 キョン「冷蔵庫の中は……と」 朝比奈さんが作ってくれたのだろう、冷凍には氷が生産出来るあのトレイが置かれてて 俺はその氷をタオルに包んでハルヒの額にあてがってやった。 ハルヒ「ふぅ……」 ハルヒの吐いた息が俺の手首に吹きかかる。 辛そうな寝顔だったハルヒは、俺のタオル氷によりちょっと安堵の表情を浮かべた。 訂正、目の前は暗かったが、ちょっと光が見えてきた。 いつもは天上天下唯我独尊のハルヒを看病するなんて機会、滅多にないことだしな。 昔の神様で岩の中に引きこもりになった神様が引きこもりを脱却する話があるが あれはきっと岩の外に風邪をひいた病人でもいたんだろう、きっとそうだ。 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/14(土) 19:12:35.61 ID:VBhNwTVfO 元文芸部室の部屋の真ん中の机の上に布団があって、その中でハルヒが眠っている。 どこからこんな敷き布団や毛布をゲットしてきてたんだコイツは?。 しかしこの風景は傍から見れば怪しげな儀式をしている風にしか見えず、もし仮に怪異を求め 水木しげる大先生がこの部屋に入ってきたら、2秒で妖怪ポストに助けを求める手紙を投下するだろうことは想像に堅くない。 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/14(土) 19:21:51.91 ID:VBhNwTVfO キョン「何かお腹に優しいものを食べさせた方がいいんじゃないか?」 古泉「んっふ、お優しいですね」 目の前で死なれたら夢見が悪い、それだけだ。 長門「冷蔵庫に林檎がある」 キョン「磨り潰して食べさせてやろうか」 長門「磨り潰してはダメ、それではシンデレラにはならない」 頭が壊れた長門の発した古代ヘブライ語を解読するとこうだ。 キョン「毒林檎?」 長門「イエス、高須クリニック」 長門「たとえ明日世界が滅ぶとしても、今日君は林檎の種を植える」 ダメだ、完全に長門が壊れた。 古泉「とりあえず本で殴ってはいけません」 キョン「せめて消失長門になってほしいからだ」 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/14(土) 23:02:50.16 ID:VBhNwTVfO 重大な事にいまさら気が付いた。 キョン「なんで誰もハルヒのリボンを取ろうとしなかったんだ?」 額に汗している人間に、このリボンは明らかに逆効果であることは俺にでもすぐに分かる。 みくる「えっど……涼宮さんの一部分かどおもっだんで……」ズビッズビッ 無理して喋る必要は無いのですよ、朝比奈さん、全員が同じ事を思ってました。 キョン「よし、取ってやろう」 スッ ハルヒ「……ブバッ!」ゲロッ キョン「うぉお!?」 危うくハルヒの酸性の液体及び今日食べたものの未消化物の直撃を避けれた俺は、古泉の方に向き直った。 キョン「食うか?」 古泉「いい加減しつこいです」 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/14(土) 23:11:17.03 ID:VBhNwTVfO 長門「リボンの防衛本能が働いた」 呪い人形の髪の毛が伸びる事例は稲川の出てる恐怖番組でよく聞く話だが リボンが宿主を守る話など今まで聞いた事が無い、一瞬テレビ局にこの話を売り付けてやろうという邪念が沸いた。 キョン「長門、ようやく正気に戻ったか」 長門「……」コク 長門「FFシリーズに於いてリボンは重要なアクセサリー、装備を解くのは推奨しない」 やっぱりまだ壊れてた。 キョン「よし、取ろう」 スッスッスッ パラッ みくる「まずはゲ……吐いたものを拭いてあげだぼうが……」 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/14(土) 23:17:10.81 ID:VBhNwTVfO 案の定、リボンは汗に濡れていて、絞れば結構な量の汗が出てきそうだった。 キョン「なぁ古泉」 古泉「食べませんよ?飲みませんよ?クンクンしませんよ?」 キョン「何言ってるんだお前は?」 古泉「何ですかこの屈辱感」 キョン「なんでこんな状態でハルヒは今日来たんだ?」 そうなのだ、よく考えればおかしい。 自己顕示欲の塊であるこの女帝が、このような姿を一般市民である俺に見せたいと思うか? いや、答えは否としか言い様がない。 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/14(土) 23:26:23.63 ID:VBhNwTVfO 古泉「それは……余程団活に出たかったからでは?」 キョン「いや、それは違う」 自慢では無いが、このエリザベス女王を凌ぐ女帝の性根は分かっている、悲しい事に。 確かに他人に迷惑をかけることを生き甲斐にしてるような奴だが 他人に危害、つまり風邪を移すような真似は絶対しないと言い切れる女だ、ハルヒは。 ハルヒ「……」ゼーッゼーッ みくる「吐いた物拭いておきまじだ、クシュン!」 キョン「豚肉、ピーマン、タケノコ、ニンジン、パイナップルか……」 古泉「酢豚ですね」 キョン「刺激物のオンパレードだな、具合悪いのに食ったのか?これを?」 ん?ちょっと待てよ? 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/14(土) 23:35:56.42 ID:VBhNwTVfO いや、やっぱりそうだ、そうとしか考えられない。 凄い体を張りやがったなと感嘆すると同時に、怒りが込み上げてきた。 キョン「おいハルヒ、もういいぞ」 ハルヒ「え?バレちゃった?」ムクッ キョン「長門もいいぞ」 長門「了解した」パラッ キョン「発案者はハルヒで、巻き込まれたのは長門か?」 ハルヒ「いやー、皆がここまで引っ掛かってくれるとは思わなかったわ!苦労してゲ パーーーン! 気が付いたらおもいっきりハルヒの横っ面をひっぱたいていた。 我ながら凄い華麗なフォームだったと思う。 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/14(土) 23:44:00.86 ID:VBhNwTVfO ハルヒ「なっ!なに……」 キョン「お・ま・え・は!!一番やっちゃいけないイタズラしたんだってまずそれを自覚しろ!!!」 ハルヒ「!」ビクッ キョン「まず!実際に風邪をひいてる朝比奈さんの前でこんなイタズラするって事に抵抗は無かったのかお前は!!」 ハルヒ「いや……だって」 キョン「だってじゃない!!!」 ハルヒ「はい!」ビクーン キョン「いいか……この世にはなぁ……」 キョン「39度の熱があるのに必死に携帯をカチカチしてるバカもいるんだ!!!」 キョン「さらにカチカチしてる携帯にゲロを噴射してしまうバカもいるんだぞ!?分かってるのかお前は!!!」 ハルヒ「……」グスングスン あ、メジャーリーグ全力投球並みの怒りをハルヒにぶつけてしまった。 だが当然だ、インフルエンザや風邪の人間を馬鹿にする行為など許せるわけがない。 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/14(土) 23:57:53.23 ID:VBhNwTVfO prrrrrr 古泉「はい、愛の戦士古泉です、バイトですか?」 古泉「嫌です」 プツッ キョン「すまない、古泉」 古泉「貴方は悪くないですよ、僕も少々怒ってますから」 ハルヒ「古泉君……?」 古泉「人の好意に付け込むイタズラなど、一番最低なイタズラだと僕は思います」 キョン「全くだ」 ハルヒ「あの……でもね……」 古泉「仮に!!!」 ハルヒ「!」ビククーン 古泉「貴女が本当に風邪をひいた時、優しくしてくれる人がいなかったら悲しくないですか?どうです?」 ハルヒ「あのね……私……」 古泉「世の中には看病してくれる人もいないのに必死にベッドから転げ落ちながら携帯をカチカチしてるバカもいるんです、貴女は最低です」 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 00:07:58.63 ID:gaATpEm1O 目の前のハルヒは、困惑と悲しみの入り交じった表情を浮かべている。 いまにも泣きだしそうな空の下〜♪とか歌が聞こえてきそうだがそんな事はどうでもいい、今はただコイツの事が許せない、許せないが…… キョン「あのなハルヒ、いきなり手を挙げたのは悪いと思ってる、でもな、病人をからかうのは一番やっちゃいけない事じゃないか?」 ハルヒ「うん……」ショボボーン キョン「俺はな、本気で心配したんだぞ?」 ハルヒ「でも……鼻水食べるとか……あんまり心配してる風には……」 キョン「ハルヒ!!まだ分からないのか!」 ハルヒ「はいっ!」ビクククーン キョン「鼻水やゲロの件はただのジャブだ、分かるよな?」 ハルヒ「分からな キョン「よし、全員ハルヒを置いて帰ろう」 ハルヒ「分かる!分かるわよ!」 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 08:52:20.30 ID:gaATpEm1O 言い過ぎてしまったかな、という気持ちは少なからずある。 だが、今俺の気持ちは少なからず軽やかである。 例えるなら、『39度の熱が朝起きたら38度に下がっていた』ようなものだろうか? たった一度くらいだって?そんなに馬鹿にしたものでもない 人間の体とは4度上昇するだけで呆気なく死ぬほどもろいものなのだから。 キョン「じゃあハルヒ、これに懲りたらあんまり馬鹿な真似はするんじゃないぞ、先帰るわ」 みくる「わだしもしづれいしまず」ゴホゴホ 古泉「やっぱりバイトに行ってきます、店長に半殺しにされるかもしれませんが」 ガチャ バタン ハルヒ「……」 長門「なぜ」 ハルヒ「……え?」 長門「本当の事を言えばよかったはず」 ハルヒ「……言えるわけないでしょ」 思えば、この言い過ぎた事が、明日からの怪異に繋がっていたということなんだろう。 101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 09:02:54.10 ID:gaATpEm1O 全てが終わった後の、これは、あくまで想像でしか無いのだが その時のハルヒはこんな行動を取ったのではないかと思うのだ。 ハルヒ「……」ガチガチ 家に帰りご飯を食べて、あったかいお風呂に入り、あったかい布団に包まれて寝る。 まぁそれは一般人にとっては普通、だがこれはハルヒの話だ。 ハルヒ「……」ガチガチ 急激な変化を起こすためには相当な負担が必要だと昔誰かが言っていた。 その変化とやらが良いこと悪いこと問わずである。 ハルヒ(寒い……寒い……)ガチガチ 多分水風呂にでも浸かっていたのだろう この半袖で出歩いていたら頭が筋肉で出来ていると勘違いされそうな気温の中で。 104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 09:15:14.01 ID:gaATpEm1O 次の日 キョもうと「キョンく〜ん、朝だよ〜」ガッシャガッシャガッシャ 朝の恒例行事、サンタを信じる小学五年生天使の羽ランドセルを愛用する我が愚妹による妹の為の俺の上でのピストン運動 世の特殊性癖を持つ社会不適合者なら涎もののシチュエーションも、俺にとってもシャミにとってもウザいだけである。 学校 キョン「よぁアホ口!」 谷口「なんだよキョン、やけに今日は爽やかだな、朝のウンコが一本糞だったのか?」 気分が晴れ晴れしてるのはそうかもしれない。 なんせ俺はなんちゃって神様に一言物申したのだから。 ハルヒ「……」ゴホゴホ キョン「ハルヒ」 ハルヒ「……何よ」ゴホゴホ キョン「演技……じゃないよな?」 ハルヒ「罰でも当たったのよ、きっとね」ゴホゴホ 本当に風邪ひいたみたいだな もしかしたらこの世にはハルヒに罰を食らわせる事の出来る気合いの入った神様がもう一人くらいいるのかもしれん。 106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 09:25:32.46 ID:gaATpEm1O ハルヒ「……」ゴホゴホ キョン「大丈夫か?昨日あんな事するからだぞ?」 ハルヒ「うるっざいわねぇ……謝ったじゃない」ゴホン 俺の記憶によれば、この世の風邪をひいてる聖なる病人達全員に謝っていた記憶など全くないのだが まぁいいだろう、こうやって罰を受けているのだから。 キョン「どれどれ」 ピト ハルヒ「……///」 キョン「確かにちょっと熱があるな、大丈夫か?帰った方がいいんじゃないか?」 ハルヒ(優しくしてくれた……風邪ひいたら優しくしてくれた) キョン「ハルヒさん?」 ハルヒ「!?な、なによ!大丈夫だから帰らないわよ!」ゴホゴホ 小さな優しさ大きなお世話、今長門の上司が目の前にいたらそんな事を言われていただろう この前の『くそったれ』発言と合わせてグーパンチも鼻に貰っていたかもな。 108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 09:37:41.00 ID:gaATpEm1O キョン「食事どうすんだ?固形物喉に通らないだろ?」 ハルヒ「母さんがお粥作ってタッパに入れてくれたわよ」ゴホゴホ ほほぅ、ハルヒのMotherはよく分かっているようだ ドロドロにまでしたお粥の上に梅干し。 梅干しには胃酸の働きを押さえる効果があると共に、風邪には効果的な食べ物である 大事な事だからもう一度言おう 梅干しには胃酸の働きを押さえる効果があると共に、風邪には効果的な食べ物である!。 風邪の時には間違ってもカップラーメンなど食べてはいけない! 2時間後に麺を口から吐いて怪人クモンガーとして仮面ライダーから出演の依頼がくること受け合いである。 110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 09:46:49.39 ID:gaATpEm1O 俺が仮面ライダーと海洋堂の関係について真剣に考えていると、目の前のハルヒがスプーンを落としていた。 キョン「無理すんな、風邪の時は手元が落ち着かない」 キョン「どれ、食べさせてやるよ」 ヒョイ ハルヒ「え……」ゴホゴホ キョン「ほら、あーん」 ざわ……ざわ 谷口「キョンの野郎……やりやがった……よりによって俺の前で」 国木田「なんで血の涙を流してるの?」 113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 09:54:35.67 ID:gaATpEm1O ハルヒ「す、スプーン返しなさいよ!恥ずかしいでしょ!」 キョン「無理すんな、俺がお前に対して純粋なる好意を形にするなんてあんまりないぞ?」 ハルヒ「……」ゴホゴホ キョン「ほれほれ」 ハルヒ「あん」モグモグ ざわ……ざわ 谷口「ぎゃぁぁあああああああ!何あのラブ空間!?」 国木田「谷口うるさい」 ……………………… 長門「!」ピクッ! モブ「あの……長門さん…人の後頭部にカレー吹き掛けたんだから…謝ってほしいなぁ…なんて」 114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 10:05:59.52 ID:gaATpEm1O おぉ、食べた。 ライオンを餌付けしてるサーカスの方々は、きっとライオンが風邪をひいて弱ってる時を狙っているのだろう。 これは中々おもしろい。 ハルヒ「……」あーん キョン「顎の運動か?」 ハルヒ「もう一口食べさせなさいって事よ!馬鹿キョン!」 ウィットにとんだアメリカンジョークが通じない奴だな。 キョン「ほれ」 ハルヒ「……」あーん キョン「と見せ掛けて俺が食う」パク 谷口「リア充だよ!国木田!リア充だよ!あれ!あれぇぇええ!」 国木田「落ち着いて」 ……………………… 長門「!」ブボッ モブ「あの……今度は顔面にカレー?……両面カレーなんだけど…」 116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 10:15:11.68 ID:gaATpEm1O ガチャ みくる「あれ?涼宮さんも風邪ですか?」ゴホゴホ ハルヒ「ちょっとね、罰当たったみたい」ゴホゴホ そんな二人の中睦まじいやり取り、風邪をひいたもの同士の共有感に満ちたものを眺めていたら 俺の視界の片隅に、この部屋のマスコットが写って……あれ? 長門「……」 キョン「長門……何故制服が破れている?」 長門「取っ組み合いになった」 キョン「誰と?まさか殺してないよな」ボソッ 長門「手加減した」ボソッ キョン「レイプされたようにしか見えないんだが」 長門「制服を再構築する時間は無かった」 117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 10:24:25.23 ID:gaATpEm1O キョン「あれ?古泉は?」 あのにやけ顔を見ないで済むなら、それはそれでいいのだが やはり古泉もSOS団の一部分である以上、違和感があるのは否めない。 ハルヒ「病院に行ってるって話よ?風邪移しちゃったかしら、みくるちゃんが」ゴホ みくる「えぇ!?」ゴホゴホ 多分というか、ほぼ100%の確率で、森さんに焼きを入れられたと俺は思うのだ。 だってアイツ、昨日キレて森さんの要請拒否ってたし。 120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 10:36:00.49 ID:gaATpEm1O ハルヒ「ほら!キョン!私の世話しなさい!」ゴホゴホ 俺はいつからお前の執事になったのかと100万回問いたい。 着替えを手伝ったりするのならまだやりがいもあろうが……。 ハルヒ「今日に限ってはキョン!あなたはSOS団の執事よ!執事!」ゴホゴホ ビューティーミューズ朝比奈さんに、一瞬嫉妬の表情が見えたのを、俺は見逃さなかった。 八百万の神に誓って言います、俺は朝比奈さんの聖なる職務を奪おうなんて欠片も思ってはいません。 ハルヒ(ずっと風邪ひいててもいいかも……キョンがやさしいし……) 長門「……」ピクッ 123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 10:42:23.78 ID:gaATpEm1O ガチャ キョン「ただいま」 トテトテ キョもうと「おかえり〜」ゴホゴホ キョン「風邪か?」 キョもうと「うん!」ゴホゴホ 家の愚妹は風邪を一大イベントのように考えているが、風邪などというものは所詮病気である。 もちろん、この時の俺は気付くはずもない これが日本全土を揺るがすパンデミック伝説の序章であったことを。 126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 10:47:59.04 ID:gaATpEm1O それでは、後程より『エンドレス風邪』お楽しみください 139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 14:44:04.26 ID:gaATpEm1O 新しい朝が来た希望の朝だ。 という踊る者にとってやる気が出そうで出ない体操をしなくなって何年たったであろう。 起きてから本日第1の異変に気付いたのは2秒後である。 キョン「あれ?妹は?」 母親に聞いてみても要領の得ない返答しか帰ってこなかった。 『今日は多い日だから』 一体何が多いのだ?ついに近所の幼女趣味の変態野郎憧れだった愚妹にもアンネが来たのだろう。 それをストレートに兄に伝えるのはどうなのだ、Mother。 140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 14:50:05.62 ID:gaATpEm1O 第2の異変に気付いたのは学校に続く坂を登っている時。 全員が全員マスクしているではないか 俺が知らない間に致死性の低い毒ガスでも巻かれたとでも言うのか? 谷口「よぉ、抗体保持者」 キョン「は?」 こうたい?谷口よ、お前の額が後退しているのは知っている それは神の思し召しであって俺の所為ではない。 谷口「今日は軽い日でよかったぜ」 お前はいつも軽いだろ、何言ってんだ? 142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 14:57:29.98 ID:gaATpEm1O 教室に入ってみれば、またマスクの群れ、群れ、群れ これだけマスクの生産量が上がったんであれば、日本、下町でせっせとマスクを作ってるオバちゃんも大満足であろう。 そんな俺の歪んだ愛国心を誇っていたら、ハルヒがこれまたマスクをしてやってきた。 ハルヒ「キョン、今日は多い日だからしっかり私のサポートしなさいよね!」ゴホゴホ キョン「へ?生理か?ユニチャームにサポートしてもらえ、そんなもん」 ざわ……ざわ ハルヒ「……///」カーッ ハルヒ「馬鹿キョン!変態!」 バキッ キョン「へごっ!?」 意味がわからないまま人に殴られるのにも慣れてきた 非常に悲しい事だが。 145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 15:07:36.82 ID:gaATpEm1O なんて言えばよかったんだ? 『薄型の方が目立たないからいいよな』か? まぁどっちにしろ、神聖なる学舎で『生理』というある意味禁句な単語を発した俺も悪いといえば悪い。 キョン「悪い、無神経すぎた」 ハルヒ「あったりまえよ!まぁお昼ご飯の時にちゃんと私の手助けしなさいよ!」 弁当箱の蓋を開ける、口に運ぶ、飲み込むの3工程しか無い作業のどの辺を手助けする必要があるのだ? おかしいのはこれだけでは無かった。 担任も何か言ってる事がおかしい 『今日の軽症状は何名』やら『重症状は何名』やら 生理の状態を確認するように教育委員会から通達があったのか? よほどのチャレンジ精神の持ち主と見える。 146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 15:17:32.10 ID:gaATpEm1O 昼休み 蓋を開けた弁当箱とお箸をこちらに押しつけたハルヒは 何故か少し赤くなって口をポッカリ開けていた。 一体何がしたいんだハルヒは? ……なるほど、食事前に虫歯の確認をしてもらいたいんだな? 確かに自分じゃ奥の方まで見えないからな やれやれ、手助けするとは言ったが俺は歯科医じゃないぞ? キョン「よし、動くなよ?」 ハルヒ「ほぇ?」 俺はハルヒに近づいて下顎を持って大きく口を広げた。 ハルヒ「ほがぁ!?」 キョン「これは中々……綺麗な歯だぞ!ハルヒ!」 ハルヒ「ばがぁ!!」ツペペペペ ハルヒの唾顔射により、俺の顔面は唾だらけになった。 147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 15:25:13.11 ID:gaATpEm1O また頭を殴られた。 頭悪くなったらどうしてくれる?いや、これ以上悪くなることなんてないが ハルヒ「だから重症状だから食事食べさせてっての!」 キョン「あ、わ、分かった」 ハルヒ「たく……あーん」クパァ 生理も重傷だと食事も一人では取れなくなるのか、勉強になる。 ハルヒ「……」モグモグ ハルヒ「うん!やっぱり私の作る料理は美味しいわね!」 お前の料理の事なんてどうでもいい 俺は一体いつ自分のご飯を食べればいいのだ? マザーテレサだって、飲まず食わずで看病したわけではなかろうに。 148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 15:36:32.97 ID:gaATpEm1O 長門「RNAウィルスに分類されるオクトミクソウィルスの突発的突然変異による新型ウィルス」 部室に入って彫像のようにマスクを被って固まってた長門の前に行って 生きてるかどうか手をかざした瞬間に言われた言葉がこれである。 だから俺は古代ヘブライ語はわからんと言ってるだろう、長門。 キョン「奥富さんの野糞がどうしたって?長門」 長門「マクロファージ分裂によるウィルスタイプ変化により、根絶治癒は不可能、つまりウィルスが死滅する瞬間にウィルスタイプ変化したものが生み出される為症状は生命活動が停止するまで続く」 また壊れたのか?いや、昨日のは演技だったはずだが? 152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 15:51:06.20 ID:gaATpEm1O 長門「毒性は極めて低く、軽い症状は咳と倦怠感、重くともそれに筋脱力症状が加わるくらい」 キョン「筋脱力症状?」 長門「うまく食事が取れなくなるはず」 あぁ……なるほどね。 長門「個々によりタイプが存在するため実質上無限大数ウィルスは存在、解析は不可能と判断する」 キョン「お前の思念パパはなんて言ってるんだ」 長門「現状待機、後思念パパから貴方に伝言がある」 キョン「伝言?」 長門「『くそ野郎呼ばわりしたからにはテメーで何とかしてみやがれピロピロー』以上」 あのくそ野郎……そこまで根に持っていやがるとは。 153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 16:00:23.66 ID:gaATpEm1O ガチャ みくる「おふかれさまです〜」ハァハァ 腕をだらんと下げて部室に入ってきた麗しき朝比奈王女は、どこからどう見てもバイオハザードのゾンビみたいな動きをしていた。 キョン「毒性は極めて低いって言ったよな?」 長門「一般人を基準にして、朝比奈みくるは一般人に比べて基礎体力が劣っている」 もはや私服と化しているメイド服に着替える事すら億劫なのか 制服のままポットに向かってゾンビウォークする朝比奈さんを見ていると お茶を容れるという作業が、DNAの二重螺旋に織り込まれているとしか思えなかった。 154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 16:09:44.00 ID:gaATpEm1O 2センチほどポットを持ち上げて落とす そのような工業用ロボットな動きを連続10回ほど見た後に涙が止まらなくなったので手伝ってあげることにした。 キョン「朝比奈さん、手伝いますから」 みくる「すみましぇん……」ゼーゼー 口の筋肉まで衰えてるのか、幼女言葉になった朝比奈さんに欲情を覚えつつ 俺はポットに水を入れてコンロに持っていった。 みくる「だめでしゅ」コヒューコヒュー キョン「え?」 みくる「水道水でははめてしゅ、れいろうこのミネラルウォーターれいれないのわは」 朝比奈さん…… 日 本 語 で お k 176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 22:19:31.47 ID:gaATpEm1O ガチャ 古泉「どうも、遅くなりました」ゴホゴホ 右目の眼帯がとても痛々しいく見えるが、古泉だと同情心が沸かない不思議。 キョン「古泉もか……」 古泉「えぇ、身分を問わず感染するようでなによりです」 やけにこいつにしては検のある言葉だな。 古泉「森さんも感染しましたからね……ふひっ」 『ふひっ』ってなんだ?お前は一体森さんに何をされたんだ? 古泉「涼宮さんはまだですか?」 キョン「あぁ、今来るんじゃないか?」 別に来なくてもいいんだがな。 177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 22:27:01.82 ID:gaATpEm1O バァン! いつものように、勢い良く入ってきたハルヒは ハルヒ「うわっ!?」 ゴロン! あっけなく転んだ。 なるほど、筋脱力症状ね…… 不覚にも達磨みたいで可愛いと思ってしまった、俺の馬鹿。 キョン「おいおい……大丈夫かハルヒ?」 ハルヒ「あいたた……キョン!オンブして団長席に運びなさい!」 たった5メートルの距離を進むことができんのか、お前は? 朝比奈さんですら新型ゾンビになって頑張っているというのに。 キョン「あのなぁ……」 ハルヒ「命令よ命令!」 キョン「はいはい……」 ヒョイ みくる「……」ムカ 長門「……」ムカ 古泉「……」ムカ 181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 22:39:38.18 ID:gaATpEm1O で、今どういう状況になってるのか皆に説明しなければなるまい。 ハルヒ団長様の机の上の『団長』三角立ての横に、一回り小さな『臨時団長補佐』と書かれた三角立てがあるわけだ。 ……まさかこれを作ってたんで遅れたんじゃあるまいな?ハルヒよ。 必然的に俺はハルヒの真横に座ってるわけだが……。 ハルヒ「いいキョン!臨時とはいえ、副団長よりも地位が高いんだからシャンとしなさい!」ゴホゴホ まったく、これっぽっちも、全然嬉しくない。 ……まさか、真顔な辺り悔しいとか思ってないだろうな、古泉よ。 ハルヒ「いいこと!皆!」 キョン「……」 ハルヒ「キョン!何ぼさっとしてんのよ!手!」 キョン「はいはい」 ヒョイ ハルヒの手を取って前に突き出して『ビシッ』としたポーズを取らせてやる。 お前はアラブの国王か? 182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 22:52:24.32 ID:gaATpEm1O ハルヒ「今日本中に謎の風邪に似たウィルスが蔓延してるわ!これ以上の謎は無いわよ!謎よ謎!」ゴホゴホ 今ここで、『犯人は?』とクイズ司会者が俺たちに問い掛けたとしたら ハルヒ以外全員が正解することであろう。 新型ウィルス自体はハルヒの仕業だが、空気感染するようになったのはウィルス自体の自己進化によるもの とさっき長門は言っていたような言わなかったような。 結局のところ、ウィルスはハルヒの手を離れて好き勝手やらかしているという訳だ。 毒性増強の進化は、プロテクトがかけられているから無い とも言っていたな、アスリートの方達の迷惑はまったく考えなかったらしいな、ハルヒは。 『気合いで砲丸くらい投げなさいよ!』とか言いそうだが。 185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 23:01:31.47 ID:gaATpEm1O ハルヒ「キョン〜お茶〜」ゴホゴホ ゴロゴロ 上半身机に突っ伏してゴロゴロしても殺意しか沸かないわけだが。 ていうかこんな奴どっかにいたな、『アイス〜』と言わないだけまだマシなのだろうか? みくる「あ、はい、今持っていきましゅ、クチュン!」スベッ そう言いながらゾンビな動きでハルヒの目の前までお茶を持ってきた朝比奈さんに対し ハルヒ「キョンが持ってきて、やり直し!」 これである。 これが出来たら100万円並みのチャレンジを成し遂げようとした朝比奈さんに対し申し訳ないと思わんのか?こいつは。 187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 23:11:17.24 ID:gaATpEm1O ハルヒ「ほら、飲ませて」グイッ 自分で飲め、とアルプスに届くくらいに声高に叫びたい衝動をグッと堪えて 湯呑みをハルヒの口元にまで運んでやる。 キョン「食らえ」 グイッ ハルヒ「ブボッ!」プァー 熱々のお茶を流し込んでやった、ざまぁみろ。 まったく、病気の時に人の手を借りようとするなんて軟弱者のすることだぜ! と谷口は言っていたが、ちょっと気持ちが分からないでもない。 人は一人で生まれて一人で死ぬ。 看病してくれるような可愛い彼女も、可愛い妹も、可愛い姉も、可愛い幼なじみもいらないのだ! いらないのだ! 191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 23:20:42.41 ID:gaATpEm1O 無事?に本日の部活も終了し、現在部室には俺、長門、古泉の三人である。 古泉「どうしたものでしょう、長門さん」 そう、どうしたものでしょう、長門さん。 長門「今までと同様、涼宮ハルヒが満たされる以外に無い」 まったくその通りですね長門さん、非の打ち所がございません。 で、その方法は? 長門「方法は無い」 うわーい、投げやがったー。 よく考えれば今回思念パパのサポートないんだったな。 192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 23:32:01.54 ID:gaATpEm1O 長門「今回の鍵も貴方」 貴方?貴方とは俺の事か? 子供店長並みにたよりにならない俺に一体何をしろと言うのだ?。 長門「貴方だけが抗体マクロファージウィルスを保持している、無限大数のRNAウィルスに対応できる特別なウィルス」 キョン「分かった!腕を『カプッ』と噛めばいいんだな!ちょっと朝比奈さんの腕を噛み付いてくる!」 長門「違う」 空気読もうぜ長門。 長門「その抗体マクロファージウィルス自体は他の人間の体の中に入れば死滅するほど弱いウィルス」 203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 23:53:38.51 ID:gaATpEm1O 厄介事はいつも予想を上回ると誰かが言っていた。 だが俺が何をすればいいのかさっぱり分からない。 今回の件は全世界に広がっていて、しかも全世界に多大な迷惑がかかっている事だけにプレッシャーに潰されそうである。 キョもうと「キョンく〜ん、ご飯〜」ゴホゴホ メンス疑惑が晴れたばかりの愚妹の声が響く。 キョン「今行く」 足元でシャミがじゃれついてくる 猫はいいな、苦労が無くて。 ん?そういえば……もしかして。 動物には感染してないのか? 205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/16(月) 00:00:53.01 ID:IEqpL95gO 俺はシャミを寝っ転がしてくまなく調べてみた。 くすぐったいのかゴロゴロ転がって逃れようとしている。 こら、逃げるんじゃない。 ガチャ キョもうと「キョン君!ご飯だってば〜」 キョン「今忙しい!」 『お母さん〜キョン君がシャミ犯してる〜』 という微笑ましい家族会議ものの密告を背中に聞きながら、俺はシャミの様子を観察してみた。 やっぱりだ、パッと見シャミには感染はしていないように見える。 動物には感染しないのか? だがだからといって何になるのだ?だが、何かが引っ掛かる。 234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/16(月) 12:36:58.02 ID:IEqpL95gO 昼休み、頭痛がひどい。 昨日のシャミを見て引っ掛かるような感じがあるが、それが何かは分からない。 きっとそれは数学の問題と一緒できっかけさえ掴めば簡単に解ける問題なのだろう。 だが、ヘルマーだって世界を背負いながら数式を解いていたわけではないだろ?ヘルマーさんよ。 ハルヒ「ほら、キョンあーん」アングリ 俺の目の前には相変わらず大口開けたハルヒが、餌はまだかと待っている。 人の頭痛も知らずにこの女は…… 仮病の類なのだから別に世話する筋合いは無いのだが 世話しないと世界がより危険な方向に行ってしまう恐れ大の為仕様がない。 頭痛がひどい……早退したいよ、まったく。 253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/16(月) 19:54:24.79 ID:IEqpL95gO 自称重症患者のハルヒの口にスプーンを押し込んでいる時に、俺はふと気付いた。 そのままスプーンで喉を貫いてハルヒの息の根を止めろ?確かにちょっとそれも考えた。 それとは違う事、確かに動物には感染していない、引っ掛かるものはある。 たが!原因元凶悪の大魔王は目の前にいるではないか!ハルヒを満足させれば済む話なのだ! ふぅ、危うく思考の袋小路に迷い込むところだったぜ。 ハルヒ「キョン〜、今日おんぶして帰ってよね〜歩けないから」ゴロゴロ ……このダメ人間がさらにレベルアップしてダメ人間上級職に転職する前になんとかしなければならない。 俺の自由と尊厳の為に!。 254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/16(月) 20:01:21.73 ID:IEqpL95gO で、どうすればこの神様は満足してくださるかって? そんなもの一般人である俺に分かるはずもない。 ハルヒ「キョン、部室いくわよ」ンショ ウンコ座りしてどうしようと言うのだコイツは? キョン「ハルヒ、いくらなんでも教室でウンコはまずいだろ」 ハルヒ「馬鹿!おんぶしてってのよ!///」 俺はテレパシー能力など持ってはいないし、ユリゲラーに弟子入りした覚えもない。 キョン「お前な……」 ハルヒ「早く!」 キョン「はいはい、おらよ」ヒョイ ハルヒ(ずっとこのままでいればずっとキョンは優しくしてくれる……ずっと私にだけ優しくしてくれる) 255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/16(月) 20:11:54.42 ID:IEqpL95gO 俺がハルヒをおんぶして、せめてもの報酬とばかりに胸の感触を味わいながら部室に向かっていたら 廊下の向こうから新型の萌えゾンビ、もとい、癒し王女朝比奈さんが 通路をフラフラと危なっかしく前に進もうと努力しているところに遭遇した。 ここでゾンビと間違えてベレッタでも向けようものなら、学校中のリッカーに俺は八つ裂きにされるであろう。 キョン「朝比奈さん、大丈夫ですか?」 みくる「はひ、大丈夫れす」コヒューコヒュー 壁に頭をぶつけている辺り全然大丈夫ではないです、朝比奈さん。 キョン「ハルヒ、ちょっと降りろ、朝比奈さんの方が重傷だ」 ハルヒ「はぁ!?嫌よ!」 キョン「わがまま言うな」 ヒョイ ハルヒ「あっ!……」 キョン「朝比奈さん、どうぞ背中に」 みくる「あ、いえ、でも……」 キョン「どうぞ背中に!遠慮せずに!!!」 このチャンスを逃したら次は無い。 ハルヒ「……」 258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/16(月) 20:19:17.03 ID:IEqpL95gO みくる「あ、じゃあ……お言葉に甘えて」 是非甘えてください!甘えまくってください朝比奈さん! キョン「よっ……」プニプニン 背中越しに感じるこの感触、今この場に神様が現れて賢者の石と、この感触どちらかを選べと言われたら 俺は迷わず後者を選ぶであろう。 キョン「朝比奈さん、ちょっと揺れますけど我慢してください」 タユンタユンタユン もちろん全然揺らさずに行くことも可能であるが、ここで揺らさずに行くような男はゲイである。 ハルヒ「キョン……」 261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/16(月) 20:25:54.35 ID:IEqpL95gO 朝比奈さんを、部室まで送り届けた後にようやくハルヒの存在を忘れていた事に気付き 廊下を戻ったらハルヒはいた、伏し目で強く手を握り締めていた。 キョン「悪い悪い、じゃあ行くか」 ハルヒ「……」スタスタ おもいっきり歩けるじゃねぇか! 今までのはなんだったんだ? キョン「おいハルヒ」 ハルヒ「うるさい!!」スタスタ そうして、ハルヒは部室に行くことなく帰っていった。 事態が急変したのは夜中である。 262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/16(月) 20:33:22.55 ID:IEqpL95gO いつの世も、夜中に起こされるほど頭にくるものは無い。 それはきっと、北京原人の頃から変わらない人間の習性であろう。 涎を垂らしながら惰眠を貪っていた俺を現実に戻したのは、携帯の着メロであった。 キョン「ふぁい、もひもひ?」 『……』 無言、無言、無言。 誰からの電話かすぐに分かる。 キョン「長門か?」 長門「来てほしい」 キョン「今からか?」 長門「緊急事態」 長門の口から緊急事態という単語が出たからには緊急事態なのだろう。 ここで『眠いから嫌だ』と断ったら、次の日に世界が終わっている可能性が高い事も分かっている。 264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/16(月) 20:41:07.05 ID:IEqpL95gO 長門のマンションに到着した俺は、マンションのインターホンを押す。 『入って』 即座に目の前の自動ドアが開く。 長門の部屋のインターホンを押そうとした瞬間にドアが解錠される音がした。 いつも思うんだが待ち構えてるのか?。 長門「入って」 相変わらずの無表情で俺を迎えた長門の下に目線を向けると、長門以外の靴が二足あるのに気付いた。 男物の靴と女物の靴、朝比奈さんと古泉だろう。 265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/16(月) 20:50:28.89 ID:IEqpL95gO 相変わらず殺風景な長門の部屋に進むと、どこから調達してきたのか炬燵の中に入って座っている古泉と目線があった。 古泉「どうも、夜分すいません」 夜分すまないって事は自覚しているみたいだな。 古泉「緊急事態だったもので」 緊急事態はバーゲンセール大安売りで沢山押し付けられてるから今更なんだがな。 キョン「朝比奈さんは?」 長門「……」クイッ 長門の目線の先には襖があった。 一体なんだ?襖を開いた瞬間に朝比奈さんが 『おかえりなさいませ、今宵のセクロスにて可愛がってくださいませ』 と三つ指ついて出迎えてくれるとでも言うのか? そんな期待を胸に秘め、襖に手をかける。 開かない、見事なまでに開かない、確かこんな状況が最近…… 長門「時間凍結中」 キョン「……なに?」 268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/16(月) 21:02:10.88 ID:IEqpL95gO 長門「プロテクト解除によるHウィルスの毒性強化進化が確認された為部屋ごと時間凍結してウィルスの活性化を遮断した」 またもやヘブライ語か? 古泉「ここに朝比奈さんを連れてくるまでが大変でした」 珍しく真顔な古泉を見るのも久しぶりだな というか、何故朝比奈さんのSOSコールはいつもお前当てなのだ? 古泉「貴方に電話したところで朝比奈さんをすぐに長門さんのところに連れてくることは不可能でしょう?」 確かに、古泉に電話すれば機関パワーで米軍すら動かす事も可能かもしれないからな。 古泉「吐血していたので大至急運んできたのですよ、掃除しましたが先程までは床が血だらけだったんです」 長門「アポトーシスプログラム」 はい? 275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/16(月) 21:34:03.82 ID:IEqpL95gO 長門「細胞の自然死、Hウィルスは毒性強化されると、死滅し分裂する時に周りの正常な細胞を自然死させる酵素を発生させる」 長門「前の説明の通り、Hウィルスは自己増殖により無限大数分裂可能、毒性強化した場合の致死率は100%」 古泉「簡単に言うならば、至近距離から放射線を浴びたようなものです、新陳代謝も追い付かないスピードです、ひとたまりもありません」 頭がグルグルして何も考えられない状況というのが人生に於いて多々ある。 かろうじて口に出来た言葉はこれだけだった。 キョン「なんで朝比奈さんだけが?」 長門「無意識下によるプロテクト解除」 キョン「つまり?」 長門「無意識下で『みくるちゃんなんか新型インフルエンザこじらせて休めばいいのに』と思った人物」 キョン「ハルヒ……」 277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/16(月) 21:43:03.49 ID:IEqpL95gO 古泉「事態はこれだけではありませんよ」 これ以上最悪な事がどこかにあるというのか古泉よ。 古泉「朝比奈さんは発症してからここまで来ました」 だからなんなんだ? 古泉「分かりませんか?」 分からない。 古泉「つまり……致死率100%のウィルスが今現在空気中を漂っているわけです、この町のどこかにね」 キョン「な……長門どうにかならんのか!?」 長門「カオス理論、風がどういう法則で吹くのかは無限の可能性があり、観測することは不可能」 キョン「つまり……どうにかしなけりゃハルヒは全人類を滅ぼすって事か?」 古泉「その通りです」 目の前が暗くなった。 282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/16(月) 22:07:07.30 ID:IEqpL95gO だが、まだ希望はある。 というか、人類がウィルスに勝利するのは決まっているともいえる。 感染したのが朝比奈さんだったのが幸いというべきなのかどうか。 多分その事は長門もとっくに気付いているはずだ。 キョン「古泉、世界は滅びないぞ」 古泉「何を根拠にですか?」 根拠なら襖の向こうで眠っているんだ。 これからどうすればいいかは分からない、だが人間が滅びる事はない、それだけは分かる。 古泉「楽観的に物事を考えてる場合では無いと思いますが」 楽観的?違う、決まってるんだよ、今回は時空を歪めるだのじゃないんだからな。 分からないか?朝比奈さんは死なない、何故なら……。 ここで朝比奈さんが死ぬことが決まってるなら、朝比奈(大)さんが俺の目の前に現れる事なんてなかったんだからな! 285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/16(月) 22:45:27.29 ID:IEqpL95gO 古泉「とはいえ、一体どうするのです?時間的猶予はあまりありませんよ?」 そう急かされてもな……パッと何かを思い付くほど俺は頭がよろしくない……ん? キョン「なぁ長門、動物にはHウィルス感染しないんだよな?」 長門「感染する」 感染する?ちょっと待て、感染するだって?。 シャミは感染してるふうに見えなかったぞ?。 シャミは実際には感染している……? 俺は、シャミに噛まれた事を思い出した。 キョン「シャミだ!!」 意味不明な事を口走ったからだろう、古泉は若干顔を強ばらせて俺の方をみた。 キョン「シャミの中に、俺とハルヒの子がいるんだよ!!!多分!!!」 自己進化、そしてウィルス同士の合いの子。 後に長門から聞いた話である。 287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/16(月) 22:53:15.20 ID:IEqpL95gO エピローグ それから先はトントン拍子に話は進んだ。 沢山の人間に囲まれたシャミは、この世の終わりのような顔をしていたが 世界人類の為だ、我慢してもらうしかない。 『合いの子ウィルス』 ウィルス同士が結合し、まったく別のウィルスに変化する事をいう。 まぁ本の受け売りなんだが。 俺の抗体性能とハルヒの爆発繁殖力を併せ持つウィルス。 まったくウィルスですら役割が似ているなんてなんかの因果なのか? ほどなく機関の手により全国の薬局で売られるだろう、俺とハルヒの息子が。 288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/16(月) 22:57:13.56 ID:IEqpL95gO 『貴方に伝えたい事がある』 と長門に言われたのは昨日、今俺は学校を休んでいるハルヒの家の前にいる。 インターホンを押してみる 反応無し。 とりあえず連打してみる。 『……はい?』 不機嫌極まりないハルヒの声が返ってきた。 キョン「ハルヒ、俺だ、入れろ」 インターホンの向こうから、ドタバタする音がきこえてしばらくしてから、ドアが開いた。 289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/16(月) 23:01:43.38 ID:IEqpL95gO ハルヒ「……何よ?」 キョン「何よはないだろ、ただの見舞いだよ見舞い」 これまた結構少女趣味な部屋なんだな、人は見かけによらないとはこの事だ。 ハルヒ「ジロジロ人の部屋見ないでよね」 キョン「悪い悪い、ちょっと話したい事があったんだよ、ハルヒに」 ハルヒ「……なによ?」 キョン「なぁハルヒ……優しさってさ、確認するものでもなけりゃ独占するものでもないよな?」 ハルヒ「えっ……?」 291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/16(月) 23:10:01.31 ID:IEqpL95gO キョン「長門から聞いたぜ、あのイタズラした本当の理由」 ハルヒ「……」 キョン「皆の優しさって奴を、いや、絆か?確認したかったんだろ?なんでだ?」 ハルヒ「だって……不安じゃない、皆本当は私の事をなんとも思ってないかもしれない、そう思ったら、確認したくなったのよ」 キョン「ほんっと馬鹿なんだな、お前は」 ハルヒ「……」 キョン「なんとも思ってなかったら皆今頃部活辞めてる、お前が団長だから皆辞めてないんだぞ」 結構楽しいしな、という言葉はコイツが図に乗ることを考慮して言わないことにする。 ハルヒ「キョン……」 292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/16(月) 23:17:59.22 ID:IEqpL95gO キョン「早く治して学校に来いよ、皆待ってる、俺も……まぁ待ってる」 ハルヒ「!」 キョン「張り合いってもんが無いからなぁ、お前の馬鹿元気が無いと」 ハルヒ「ばっ……馬鹿キョン!待ってなさいよ!すぐ復活してまた奢らせてやるわよ!」 キョン「おぉ怖い怖い、じゃあ今の内にお金貯めておかなきゃな」 ハルヒ「そうよ!覚悟しておきなさい!」ビシッ! キョン「じゃあ帰るわ」 そう言いながら腰をあげたところで、捨て台詞にこの言葉を言うべきか言わないべきか迷ったが 結局言うことにした。 キョン「なぁハルヒ……」 キョン「案外、俺とお前の子供は、世界を救う人間になれる逸材かもしれんぞ?」 完 293 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/16(月) 23:19:40.54 ID:IEqpL95gO やったー終わったー!!!!!! そして俺の熱も下がったー!!! 俺!!復活!! 俺!!復活!! 俺!!復活!! 俺!!復活!! 俺!!復活!! 俺!!復活!! お疲れさまでした。