キョン (長門からいい匂いがする) 152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/06(金) 18:25:18.86 ID:iALfxI6sO キョン「佐々木の一番臭いところを嗅ぎたい」 佐々木「随分な変態じゃないか、キョン」 キョン「長門によれば、人間のベースとなる体臭は   そこらしい。長門は嗅がせてくれた」 佐々木「…長門さんもなかなかの変態…いや発展家じゃないか」 キョン「頼む。佐々木の匂いを知りたい」 佐々木「ま、まあ。やぶさかではないが   (長門さんには負けないもん)」ヌギヌギ キョン「佐々木、パンツは脱がなくても」 佐々木「え」 キョン「嗅ぐのは、耳の後ろだ」 佐々木「暑かったんだ!」 キョン「一番臭いのか」 佐々木「臭くないもん!」 166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/06(金) 22:40:40.06 ID:iALfxI6sO 佐々木「んっぁ…なぁ、キョン。長門さんは   どんな匂いなんだい」 キョン「あいつは、どこもかしこもミルクみたいな   匂いだ。保護本能をくすぐられる」 佐々木「(むっ)おっと。そろそろ僕の匂いを   嗅ぐのは止めてもらおうじゃないか」 キョン「どうした、佐々木。急につっけんどんだな」 佐々木「別に深い意味はないんだがね。強いて   言えば、デリカシーの問題だよ」 キョン「佐々木、スカートに染みができてる   みたいだけど」 佐々木「だから、デリカシーの問題だって   言ってるじゃない!」/// キョン「それにつけても、長門の匂い…」 佐々木「すまない、急に野暮用を思い出した   (キョンのばか!)」トテトテ キョン「佐々木、パンツ忘れ…あ、行っちゃったか」 167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/06(金) 23:03:26.91 ID:iALfxI6sO 708号室 長門有希 佐々木「ふむ、ここだな。長門有希。敵陣に赴く   兵士の心持ちとは、こうしたものだろう」 ピンポーン 長門「……」じーっ ピンポーン 長門「……」じーーっ 佐々木「あれ、いなあのかな」 バタン 長門「私は長門有希。対有機生命体コ…」 佐々木「あ、あの、私」 長門「……誰」 佐々木「あ、えっと。以前、その。佐々木と言い   ますけど。中学のときキョンの同級…」 長門「知ってる」 佐々木「周防さんに聞いて、ここの住所。あの、   確かめたいことがあって」 長門「…周防?」 佐々木「あの、歩く髪の毛って言えばわかるかな」 長門「知ってる」 171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/06(金) 23:27:57.32 ID:iALfxI6sO 長門「入って」 バタン 佐々木(わぁ、こんなとこに独り住まいなのかぁ) 長門「…何」 佐々木「キョ、キョンから聞いて。その、長門さんって   ミルクの匂いだって」 長門「あなたはメスの臭いがする。性腺分泌液の。   パンツは外性器を保護するために必要。蒸散   するほど溢れている。何をしたのか教えてほしい」 172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/06(金) 23:35:27.15 ID:iALfxI6sO 佐々木「///何もしてません!クンカクンカなんかされてません!」 長門「構わない」 佐々木「え」 長門「クンカクンカなら構わない」 佐々木(妬いてるのかな) 長門「私をクンカクンカスンスンしたくて来たと推測している。   それを構わないと言っている。言語表現は難しい」 佐々木「す、すみません(あぁ、何かもう赤ん坊の匂い   がしてる)」クンカクンカスリスリ 175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 00:28:26.85 ID:SlfkgA0YO 長門「最近、方々で体臭を嗅がれる。感想を聞かせてほしい」 佐々木「いい匂い。ミルクのような匂いがします。   牛乳を飲むとこうなるんですか」 長門「特にミルクを飲むわけではない。二、三日   風呂に入らないと、こういう臭気が発生する」 佐々木「羨ましい…」スンスンスリスリ 長門「…ぁ。胸はサスサスしないでほしい」 佐々木(いいにおい、あぁ、あぁ。夢中になるのも   解る気がするよ、キョン)ギュッ サスサス、ズリズリ 長門「……ゃ、そこは下すぎる」 佐々木「…ここは、新品の電化製品の匂いがする」 176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 00:38:40.82 ID:SlfkgA0YO 長門「新品だから、止むを得ない。今度は私から   依頼したいことがある。サンプルを取らせてほしい」 佐々木「サンプル?」 長門「あなたの臭気の原因物質を解析したい。サンプルを。   下着を着けていないのは好都合」ドスッ 佐々木「長門さん。ちょっ、これって」 長門「私に任せて」クニペチャクニペチャ 佐々木「んぁ……ぁぁん。わたし、こんなこんな…んぁぁ」 長門「咽喉の奥に毛を確認」ケフンケフン 佐々木「やだぁ///」 長門「安心して。すべて私に取り込んだから」 佐々木(長門さん…ふぅ…) 181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 01:45:35.61 ID:SlfkgA0YO 数日後。文芸部室。 キョン「気に入らんね」 古泉「どうされました。今日は涼宮さんじゃなくて   あなたが不機嫌なようですが」 キョン「佐々木が長門に夢中なんだ」 長門「……」 古泉「おやおや、あなたは佐々木さんのことなど   歯牙にもかけないはずでは。もっとも、あなたの   鈍感さゆえですが」 キョン「俺が言っているのは、匂いだ。長門の匂いだ。   長門のミルクの匂いは俺だけのものなのに。それなのに、   佐々木のやつ長門の匂いを」 182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 01:59:33.89 ID:SlfkgA0YO 古泉「おっと、逆ですか」 キョン「長門、佐々木に匂いを嗅がせたんだな。そして、   何をした。佐々木があれほど夢中になるんだ。   俺の知らないところで何をしたんだ」 長門「私は解析をしただけ」 古泉「解析…ですか。佐々木さんと言えば、例のピンクの   閉鎖空間ですが。数日前から頻繁に発生している   ようです」 キョン「それがどうした。俺は長門の匂いのことしか   考えたくないんだ」 古泉「いえ、それなんですが。あちらの組織に潜入   させているスパイ、仮にAとしておきましょう。   その筋からの情報では、異常にピンクらしいんです」 長門「……」ペロペロサスサス キョン「そうか。ピンクならピンクでいいじゃないか」 長門「………」スンスンサリサリ、スンスンサリサリ 183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 02:10:00.03 ID:SlfkgA0YO キョン「朝比奈さん。もうそろそろペロペロサスサス、   スンスンサリサリを交代してもらえませんか」 みくる「いやれふぅ、長門さんの、長門さんの」 古泉「困ったものですね。んっふ、僕ならいつでも   構いませんよ」 キョン「お断りだ」 ばたーん。 キョン「ハルヒ、順番を待ってるのは俺なんだぞ。   来て早々とかなし…」 ハルヒ「どーん!!あたしの貴重な時間を奪う掃除当番   も終わったわ。みくるちゃん、どきなさい。有希の匂いを嗅がないと暮れる日も暮れないわ。   日が暮れないということは、明日の日が昇らない   ということなのよ!」ペロペロスンスン、カリカリモフモフ みくる「ひぅぅん」 長門「……本が読めない」 186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 03:43:26.82 ID:SlfkgA0YO 長門の部屋。毎日、佐々木が解析依頼に訪れる。 佐々木「長門さん、長門さん…んぁ……ゃ…ゃ」 長門「今日は特にサンプル量が多い」 佐々木「佐々木って呼んでぇ…、佐々木呼んでぇ…ぁ…」 長門「ははひ」クニペチャクニペチャ 佐々木「ながとひゃん、ながとひゃん…んにゃ…ぁん」 長門「……」クニペチャクニペチャ 佐々木「佐々木、可愛いよって言ってぇ…んぁ…ひん」 長門「ははひ、ははひひほ」クニペチャクニペチャクニペチャ 佐々木「ああああああああああああああああああああああ」 長門(サンプル採取完了) 佐々木「…長門ひゃん、口も解析して、ねぇ解析してよぉ…」 長門「構わない」んんん 佐々木「明日も来ていい?」んくちゅんくちゅ 長門「もう十分すぎるほど解析した」ベロッチュベロッチュ 佐々木「だめぇ、明日も来ゆのぉ」チュッ 長門「…そう(完了)」チュッ 187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 04:04:07.28 ID:SlfkgA0YO 佐々木「ふんふんふーん。そうっだっ、今日は私も   サンプル採取しちゃぉっかなぁ」 長門「必要ない。状況に応じて、走査しメンテナンスしている」 佐々木「長門さんて、おもしろいねー。解析とか走査とか。   何か知性を感じるわね、こういう隠語って」 長門「隠語ではない。あっ」 佐々木「いいから、いいから」ヌガセヌガセ 長門(地球人にも解析能力を持つ者がいる?おかしい、   私には相手の能力が読み取れるはず) 191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 07:13:51.41 ID:SlfkgA0YO 佐々木「んふふ(新品の電化製品のにほひじゃないか、   長門さん)」ペロペロスンスン 長門(特に能力のようなものは感じない) 佐々木「…んふ(感じてないのかい?)」ペロペロスンスン 長門(解らない。嘘を吐いている脳波でもない) 佐々木「長門さんて、その。ちっともその。ぬ、ぬ…」 長門「ぬ?」 佐々木「長門さんが言うところの性腺分泌液がちっとも、その」 長門「分泌した方がいい?」 佐々木「そう…ね。私くらいには…なんて」 192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 07:20:02.98 ID:SlfkgA0YO 長門「わかった。分泌液と老廃物その他を構成してみる」詠唱。 佐々木「…うっ…(うわ、くっさ!)」 長門「これは、まさにあなた。解析を繰り返したことで、   ほぼ100%の再現に成功した。褒めてほしい。   これは、あなたが望み続けたこと」 ――私は、人類が端末と共通する能力を持てる事実に、  自律進化の可能性を感じ始めていた。さあ、解析してみせて。これは、  私が望み続けたこと。 佐々木「(意味はわからないけれど、実に侮辱的   じゃないか)きょ、今日は帰ることにしよう」 長門「…そう(解析機能は検出されなかった)」 195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 08:52:47.22 ID:SlfkgA0YO ピンポーン。 佐々木「びくっ、あ。ら、来客のようだがね」 長門「……待機していて」 佐々木「あ、待ってくれないか。長門さん」  佐々木が執拗に引き留めようしたが、放置して玄関の 覗き穴に左頬を寄せる。解析機能が検出されなかった 以上、佐々木の優先順位は下がらざるを得ない。 朝倉「長門さーん。ご飯食べたー?一緒に食べませんかー」  彼女が大量の食材を提げていることを確認してから、 ドアの鍵を開けた。 長門「もうそんな時間?」 197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 09:20:56.37 ID:SlfkgA0YO 自律進化の可能性を前に、大量の情報の奔流のせいで 私の計時機能は混乱していた。これが、心が震えるってこと? 朝倉「もう午後七時ですよ……って。な、長門さん。   何でスカート穿いてないっていうか、パンツも   穿いてないんですか」 長門「佐々木に脱がされた」  私は、顔面を紅潮させた佐々木を指差しながら言う。 情報を正確に伝達することが、私の使命、そして宿命。 朝倉「長門さんも大変ねー。例のミルクの匂いがらみなの?」 長門「別に大変ではない。ただ佐々木の解析機能が   発現せず、残念」 198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 09:31:48.44 ID:SlfkgA0YO 朝倉「そうですかー。解析機能?何ですか、それ」 長門「バックアップには不要な情報」 朝倉「そうですか、そうですか。早くパンツ穿いちゃってください」 長門「佐々木に脱がされたから」 佐々木「(おずおず)わ、私帰ります…」 朝倉「佐々木さんも解析とやらでお腹空いたでしょ、   一緒に食べましょ。私、腕ふるっちゃいますから」 長門「朝倉。最近よく来るが、ノイズのせいか」 朝倉「多分、人間的に言えば『人肌恋しい』んだと   思います」 長門「人肌恋しいとは、私の肌を愛するという意味なのか」 200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 09:58:31.90 ID:SlfkgA0YO 翌日夕刻。キョンの自室。 キョン母「佐々木さん、来てるんだって?」 佐々木「あ、おばさま。お邪魔してまーす!…で、ぼくは   朝倉さんの作った鍋を、ざっと中小企業の忘年会   くらいの分量はあったと思うが、それをだね、食った訳だよ。   くつくつ。爽快じゃないか。まるでざるだよ、長門有希の   胃袋は」 キョン「それはいいんだが、本当の用件は何だ」 佐々木「おやおや、いただけないじゃないか。焦る乞食は   もらいが少ないって言うだろう」 キョン「俺は乞食じゃないし、お前から何ももらうつもりはない」 佐々木「中学校のときぼくの心を奪っておいて、何て   言い草だろうね。いや、冗談冗談、くつくつ」 201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 10:30:00.55 ID:SlfkgA0YO 佐々木「長門さんが、やけに『解析能力』にこだわっていたんだが。   『機能』とも呼んでいたかな。長門さんと近しい関係にある   キョンなら、何か心当たりがあるかと思ってね」 キョン「さぁな、俺にはわからん。何故、長門本人に訊かない」 佐々木「朝倉さんが居合わせて、それを話題に出せる状況では   なかった。針のむしろとは、あのことだと思うよ。ぼくは、   他人を指差すべきではないと思うんだがね」 キョン「どういったものだ、それは」 佐々木「百聞は一見に如かずだよ、キョン。まあ、見てくれないか」ヌギヌギ キョン「ちょ、佐々木。下におふくろと妹がいるんだが」 佐々木「別に不埒などうきでこうしている訳じゃない。   まずは、嗅いでみてくれないか」 202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 11:15:00.47 ID:SlfkgA0YO  俺は、朝露をまとう瑞々しい茂みと、その下に息づく 可憐にして野生とも呼ぶべき場所に見入っていた。身体中の 血液が逆流して一箇所に集まっていくのが、いやになるほど わかる。しかし…。 キョン「…うっぷ…」 佐々木「どうだろう、何か感じるだろうか。キョンの中に 『機能』と呼ぶべき何かは自覚されただろうか。忌憚なく 述べてもらいたい」 キョン(俺の中の生殖機能なら今、激しい葛藤にさらされている。   眉目秀麗にして毒気に充ちたそこに触れようか否かと。   はっきり言えば、もう我慢できそうにないが、この臭気は   なんだろう) 佐々木「ふ、触れても構わない。長門有希は…」 203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 11:30:30.69 ID:SlfkgA0YO キョン(長門とこんなことしてたのか、畜生。俺のミルクの匂いがっ。   いや待て待て、この状況で俺はまだ。あぁ、佐々木。俺は   不埒です、ついに不埒の扉を開く) 佐々木「…そこを解析していた。『解析』とは隠語ではないと言う。   生来背負った呪詛を解き放ち、再び閉じ込めるような、   そんな甘美な作業」 キョン「ささき、おれはもう、がまんできない」クニペチャクニペチャ  俺は濃厚な臭気の壁を越えた。 佐々木「…ぁ、なにか…ゃ…ぃゃ…ぁわ、判っただろうか」 キョン「ははひ、ははひ、ほれはほう、ほれはほう」クニペチャクニペチャ 佐々木「キョン…んぁ…っ…ぁゃ…っくぅ…ゃ…ん」 キョン「ほいひいほ、ほいひい」クニペチャクニペチャ、ボタボダボタボタ 佐々木「キョン、何か温かいよぉ。キョン…キョン?」  俺は、自分の鼻血の海となった佐々木のそこに突っ伏した姿で、 家族に救助された。 佐々木「きゃあああ、キョン!!キョン!!」 214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 14:55:10.79 ID:SlfkgA0YO さらに翌日。文芸部室。 古泉「んっふ。それは自業自得のようで、やはりあなたの   災厄体質とでも呼ぶべきもののようですね」カリカリモフモフ キョン「よもや、自分の部屋で鼻血の海に突っ伏して溺死   しかけるなんてな」クンカクンカスンスン  佐々木を悪く言うつもりはないが、あれは悪意の当事者というものだ。 あの状況で健康な青少年のとる行動はひとつではなかろうか。 興奮しすぎて失神するなんて、可憐な青少年だな、俺も。 もし死んでいたら死因統計上は『腹上死』に分類されるそうだ。 長門が俺の妹と母親の記憶に情報操作を終えた後、ほとんど口を動かさないで教えてくれた。 古泉「で、事態の収拾は例によって」カリカリモフモフ キョン「ああ、長門の情報操作だ」クンカクンカスンスン  だが、意識の戻った俺の目に焼き付いた妹の鬼の形相と、 母親の汚物でも見るような眼差しはもはや、脳裏から 消えることはないだろう。 215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 15:13:50.51 ID:SlfkgA0YO みくる「ふぇぇ、大変だったんですねぇ。キョンくん」ペロペロサリサリ 長門「…本が読めない」クギュウ  最近の俺達は、終業のチャイムとともに脱兎の如く教室を 飛び出し、我先に部室へと、長門の元へと駆け込むのが 日常となっている。長門は長門で俺達より先に部室にいる。 つまり、これを自分の役目として納得しているのかもしれない。 いずれにせよ、俺達は長門のミルクの匂いから離れることが できないでいるのだ。 キョン「ところで、古泉」 古泉「何でしょう」 キョン「お前は何で、さっきから俺の髪の毛を指に巻きつけては   嗅ぎ、嗅いでは巻きつけているんだ」 古泉「おっと、いけない。この人いきれで長門さんとあなたを   間違えてしまったようです」 みくる「この体勢でお茶をいれるのは、無理ですぅ」ペロペロクニクニ、サリサスサリサス 217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 15:30:18.18 ID:SlfkgA0YO ハルヒ「ちょっとあんた達。崇高にして神聖な団長を完全にシカトして、   意味不明な会話に没頭するなんていい度胸じゃない」ロッロッロッロッ 古泉「申し訳ありません。キョ、いえ長門さんの体臭に包まれて   いると、心の絶対的安全地帯にいた子どもの頃を   思い出してしまって。必要以上に自由にふるまって   しまうようです」シュッシュッシュッシュッ ハルヒ「ま、まあいいわ。あたしもそういう感じが   なきにしもあらず、なのよねぇ」ロッロッロッロッ  俺達、団長を除くSOS団の面々は、ハルヒに気取られない よう一瞬、目で合図をし合った。ところで、ハルヒ。ロッロッロッロッ とは…、いや訊かないでおこう。 220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 15:57:37.03 ID:SlfkgA0YO 駅前の喫茶店。 古泉「長門さんの体臭がミルクの匂いであるという事実が   明らかになってから、いえ、正確なところは、   『という事実が従前の事実として生じてから』かも   しれませんね。カリモッフ。皆がそれに強く執着し、依存するように   なった。勿論涼宮さんもです。それと時期を同じくして   閉鎖空間の発生は激減した。一時に比べれば、なくなった   と言えるほどです。そこで、ぼくのバイト先ではこの現象   周辺にある事象の因果関係を、徹底的に洗った。そして、   明らかになったのは」コネコネスリスリ キョン「古泉、この話が終わるまで俺の手を握っているつもりか」  ええ、そのつもりですと答えてから、古泉が言葉を継ぐ。 221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 16:24:08.63 ID:SlfkgA0YO 古泉「長門さんの『解析』によって佐々木さんの閉鎖空間が   安定的に発生し、ミルクの匂いによって涼宮さんの   閉鎖空間の発生が抑制されているという事実でした。   これまで、ふたつの閉鎖空間は、異なるレイヤー上に存在   するものと考えられてきました。つまり、干渉し合わないと。   しかし、長門さんという新たな『鍵』の登場によって、   ふたつが同一平面上でびったり重なるように生じ始めた。   まさに連動し始めたのです」シュッシュッシュッシュッ みくる「それは、相反する性質の空間がお互いを打ち消し合って   いるのが、現状ということですかぁ」クニサリクニサリ 古泉「打ち消し合っている訳ではありません。融けあっている   というのがもっとも近いかもしれませんね。瞬間に   消えてしまうのではなく、穏やかに存在している。神人は   生まれては光の中で消滅していきます。そして、その   抱き合った空間自体も融け出す霧のように消えていく」ニョリニョリ 223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 16:54:02.14 ID:SlfkgA0YO キョン「じゃあ、これで俺達の宇宙規模的心労は終わる   ということなのか」スンカクンカ みくる「んー。観測事実の閲覧を申請してみたんですけどぉ。   じゃあ、読みますね」サスチョリサスチョリ  朝比奈さんは、自分の頭の中を覗き込むように天井を仰いでいる。 みくる「未来からの観測で、この時期のこの現象は確認されて   います。しかし、これから禁則事項が禁則事項した後、   禁則事項が禁則事項して」  もういいですよ、朝比奈さん。俺は、妹に似た顔立ちの、 この可憐な先輩を父親の心持ちで慈しんだ。勿論、長門の太腿の、 ミルクの匂いに頬擦りしながらだが。 キョン「長門はどう思うんだ」ゴロンゴロン  俺は長門に膝枕された状態で訊ねた。本の表紙しか見えないが。 長門「鍵は無機質で、自分が鍵であることを知らない」  有機体は自身が鍵であると知りつつ、その使い方を知らない。 そう付け足してから、長門はオレンジジュースのストローに 唇をつけた。長門さん、俺の顔面は書机じゃないんですけどね。 224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 17:19:50.23 ID:SlfkgA0YO 古泉「あくまで経験的な…感触ですが…。んっふ、やめて   おきましょう。今確かな休息。この平穏がいつまで   続くのか」ガクガクガク  やがて、兵士のジレンマが均衡を失うときがくるのかも しれませんね、と古泉が俺の手を撫でながら付け足した。  俺達は店を出ると、長門のマンションの方へと坂道を辿った。 それぞれの分かれ道でも離れることができずに。さながら 塊魂だなとひとりごちながら、マンションのエントランス を見ると、暮色を正面から受けた佐々木が、もじもじしながら 長門の方を見つめている。 長門「いつまで続くかは」 古泉「神のみぞ知る、です」               <了> 226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 17:25:21.84 ID:SlfkgA0YO  すみません、ありがとうございました! >>1のネタに乗っかって保守がてらのつもりでした。 終わらせることだけを考えて書いたので、お粗末で ごめんなさい。