古泉「僕に幸せになる権利はないのですね」 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/30(水) 21:04:30.12 ID:7FwFgF37O 長門「……?」 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/30(水) 21:07:05.15 ID:7FwFgF37O 長門「……何事?」 古泉「あ、聞こえてしまいましたか?」 長門「部室には貴方と私だけ」 長門「聞こえない訳が無い」 長門「白々しい態度はよしたほうがいい」 古泉「すみません、僕とした事が疲れているようです」 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/30(水) 21:10:05.31 ID:7FwFgF37O 古泉「今日はもう帰えることにします。 さようなら長門さん」 長門「まって」 長門「私で良ければ話を聞く」 古泉「……」 長門「あなたが心身共に疲弊しているのは明らか」 長門「私という個体は貴方のその表情を見るのは好ましく無いと感じている」 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/30(水) 21:13:02.30 ID:7FwFgF37O 古泉「そう言って頂けて嬉しいです」 古泉「しかし、今は1人にしていて欲しいんです」 長門「そう」 長門「……」 古泉「……では、さようなら」 長門「……」コクン 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/30(水) 21:18:24.24 ID:7FwFgF37O 閉鎖空間での戦が負担では無いと言えば嘘だが それには既に慣れた 学校でも特にトラブルは無い、順風満帆に過ごしている 古泉「ただいま」ガチャ 返事の無い部屋に戻るのも、特に何も感じなくなった 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/30(水) 21:20:39.71 ID:7FwFgF37O 古泉「僕は……」 僕は、ただ。 彼女の笑顔が僕に向く事を願っているだけなのに 古泉「涼宮さん……」 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/30(水) 21:25:16.73 ID:7FwFgF37O 翌日 キョン「ふぅ。古泉、今日は何をするか」 古泉「貴方の好きなゲームで構いませんよ」 朝比奈さんの入れたお茶をすすりながら、彼は僕に言った どうせ結果は変わらない勝負なんだ、何をしようが僕はどうでもいい キョン「じゃあ、オセロでもやるか」 古泉「おてやわらかに」 また、同じことを繰り返す。 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/30(水) 21:30:32.73 ID:7FwFgF37O キョン「……最近どうだ? その、閉鎖空間とやらは」 古泉「えぇ、発生しても小規模な物ばかりで」 キョン「それは良かったな」 閉鎖空間が発生しないということは、彼女が彼とうまくやっているということで 僕はそのため、閉鎖空間が発生しなくても素直に喜べなくなっている キョン「……」 古泉「おやおや、また負けてしまいました」 キョン「お前はいつになったら強くなるんだよ」 涼宮ハルヒがあなたの勝利を望まなくなったらだ 心にしまいこみ、笑顔を貼り付けてにこやかに告げる 古泉「お恥ずかしい限りです」 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/30(水) 21:34:51.83 ID:7FwFgF37O キョン「どうする、他のやるか?」 涼宮ハルヒはまだこないようだった あいつは人を待たせるのは平気なんだな、と彼がぼやく 古泉「そうですね……どうしましょうか」 長門「……」パタン キョン「長門、もう帰るのか? 今日は早いな」 長門「違う」 長門「オセロ」 キョン「するのか? 珍しいな」 長門「……」コクン 長門「古泉一樹」 古泉「なんでしょう?」 長門「勝負」 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/30(水) 21:38:06.23 ID:7FwFgF37O キョン「だとさ、古泉」 古泉「僕は構いませんが……」 珍しい事もあるものです 長門「……」 彼女はハードカバーを膝に置き オセロのピースを並べる 長門「順番は」 古泉「あなたが先手で構いませんよ」 長門「了解した」 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/30(水) 21:42:17.79 ID:7FwFgF37O 長門「……」 古泉「どうかなさいました?」 長門「はじめて」 キョン「なんだ、長門はじめてなのか?」 長門「ルールは理解している」 キョン「だとよ古泉、程ほどにな」 長門「遠慮は不必要」 長門「私は本気」 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/30(水) 21:48:10.89 ID:7FwFgF37O 古泉「おてやわらかに」 長門「……」コクン ガチャ 朝比奈「あれ、長門さんが……珍しいですね」 キョン「朝比奈さん、おかえりなさい」 朝比奈「待っててくださいね、お茶のおかわり入れますから」 長門「……」 古泉「これはなかなか…」 情報統合思念体だからだろうか 彼女の打ち筋は厳しいものだった 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/30(水) 21:54:20.96 ID:7FwFgF37O が、しかし彼との長い間の勝負の成果か 僕は辛うじて勝つ事ができた 朝比奈「ふぇぇ〜長門さん、初めてなのに沢山とってますね〜」 キョン「流石というかなんというか……初めてでこれは恐ろしいな」 古泉「ひやひやしてしまいましたが、なんとか勝てて良かったです」 長門「……練習が必要」 古泉「長門さんが練習なされたら、次は勝つことは難しそうですね」 長門「次は負けない」 古泉「僕もうかうかしていられません」 長門「古泉一樹」 古泉「はい?」 長門「覚えていて欲しい」 長門「これが勝負」 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/30(水) 21:59:31.51 ID:7FwFgF37O 古泉「……」 それは、どういう意味なのだろう ガチャ!! ハルヒ「一大事よ一大事! とにかく皆集合!」 キョン「おいおい、いきなりなんだお前は」 ハルヒ「不思議発見よ! いいえ、これは超不可思議発見ね! 世紀の大発見だわ!」 とにかく人手が足りないの!皆外に出て! 彼女はそうまくしたて、部室から走り去っていった キョン「なんだなんだ……アイツは……」 朝比奈「火、とめていかなきゃですね」 二人がそれに後に続いた 目の前の長門さんはオセロを片付けている 長門「貴方の立場は大変」 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/30(水) 22:04:35.78 ID:7FwFgF37O 長門「彼女に振り回されてばかり」 長門「疲れているはず」 長門さんはオセロを片付けながら続ける 長門「オセロだってそう   あなたは彼に負ける勝負をしなければならない」 古泉「それは、仕方ありません。涼宮さんの願いですから」 長門「だけど」 長門「私なら話は違う。 私となら勝負ができる」 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/30(水) 22:07:53.38 ID:7FwFgF37O 古泉「……?」 長門「私がオセロをすることは不自然でない」 古泉「え、えぇ。 そうですが……」 長門「私という個体は貴方とのオセロが楽しかったと思っている」 長門「私でよければ、貴方はいつでも本当の意味でのオセロができる」 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/30(水) 22:11:23.30 ID:7FwFgF37O 古泉「それは……」 長門「私が言いたいのは一つ」 長門「一人で抱え込まない方が良い」 パチン、とオセロのケースが閉まる音がした 古泉「長門さん……」 長門「長話、時間の浪費。 急いで彼女達に合流すべき」 膝の上のハードカバーをオセロの上にのせ、彼女は立ち上がる 長話「……」ガラッ 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/30(水) 22:15:24.30 ID:7FwFgF37O 古泉「あ、待ってください」 僕には、確かに幸せになる権利は無いかもしれない 僕の時間は、恋した人の恋を潤滑にするために使われるべきだからだ だけど 彼女はそんな僕に、一つの可能性を示してくれた 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/30(水) 22:20:24.91 ID:7FwFgF37O 長門「帰宅後練習を行う、明日は貴方に勝つ」 古泉「……おてやわらかに」 一人で幸せになれないのなら 誰かとなら幸せになれるかもしれない 古泉「そうですよね? 長門さん」ボソッ 長門「……何か言った?」 古泉「いえ、何も」 長門「……そう」 向こうでは彼女達が僕らの到着を待っていたようだ 僕たちは、走って向かって行った おしまい 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/30(水) 22:21:56.70 ID:7FwFgF37O まさか立つとは思わず、即興で書き続けた結果……拙い文章で申し訳無かったです ありがとうございました