ハルヒ「……イデのする事ってこういう事なの?」 2 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 15:49:56.38 ID:1vVBBed00 キッチン「私たち地球人の移民星はこのキャラルだけではないのよ」     「それなのに、あんた達は地球から追い出されたからってキャラルに逃げ込んで」 ハルヒ 「キッチン、でも」 キッチン「あんた達のおかげでバッフクランに攻め込まれて、戦争に不慣れなキャラルはめちゃめちゃになったわ」 コスモ 「でも、俺たちには……」 キッチン「迷惑なのよ。軍人の父も死んだわ。私の周りの子供たちも。みんな両親を亡くしたわ」 ハルヒ 「……武器弾薬を手に入れたらすぐにでも出ていくつもりをしてるのよ?」 キャラル司令「それは出来ん、出来ん相談だ!」 ベス  「何故です!」 ハルヒ 「!」 司令  「半分以上の戦力を叩かれている我々には全くの余裕が無い。諸君らが出ていけばキャラルの安全は保障される」 ハルヒ 「私たちが出ていけばバッフクランは私たちだけを追いかけそうなものなのよ! それなら少しぐらい弾薬を分けてくれたって!」 司令  「そのバッフクランが、恐れでもって我々までも攻め滅ぼさないと、誰が保証してくれる!」 ハルヒ 「それは……」 司令  「貴様ら程度の人数が生き残るためにと、キャラル全体を滅ぼすようなまねをされては困るのだ! すぐにも出て行ってもらう!」 4 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 15:51:22.68 ID:1vVBBed00 ハルヒ 「……このっ!」ブンッ       ガシッ 長門  「……」フルフル ハルヒ 「ユキ、止めないでよ!」 司令  「はは、追われもすれば貴様らも野蛮なバッフクランと何も違わない!」 ハルヒ 「言わせておけば!」 ベス  「ハルヒ、やめておけ」 ハルヒ 「でも!」 キッチン「仕方ないでしょ」 コスモ 「そりゃ、そうだけど」     「俺たちだって好きで戦っているんじゃない!」 キッチン「さっき司令も言ったわ。私たちにとってはあなた達も異星人なのよ」 コスモ 「! 元は一つの星から移民が始まったってのに、バッフクランと同じだってのかよ!」 キッチン「……コスモ」 コスモ 「俺たちは、地球に異星人の手が地球に来ないように戦ってきたんだぞ! それを」 キッチン「コスモ、泣いてるの? 私は、あなたの事を嫌いになれない……」 5 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 15:52:25.79 ID:1vVBBed00           ヒューン           ドカーン キッチン「早く! あんたたちは走ってソロシップに!」 ハルヒ 「キッチン!」 コスモ 「ハルヒは早く中に入ってろ!」 ハルヒ 「でも、キッチンはあなたのいい人なんでしょうが!?」 コスモ 「だから俺が行くんだ! !? キッチン、伏せるんだー!」 キッチン「コスモー!?」        ヒューン ドドドドドドドド コスモ 「くうっ! キッチン!」 ハルヒ 「キッチン! あれ、首……!?」 コスモ 「! うわあああああ、バッフクランめえー!」 6 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 15:53:52.24 ID:1vVBBed00               ☆ ハルル・アジバ「ロゴダウの船には何百光年も先を読み取れるレーダーがあると言うのか」 バッフクラン兵士「信じられませんが」 ハルル 「イデのなさしめる技ならあり得るのではないかな?」 ギジェ 「イデの力がなんたるものか。見たいが故にと言いながらも」 シェリル「私と愛し合った事を後悔しているというわけ?」 カララ 「来るのは姉のハルルです」 アーシェラ「みんながんばってー!」 ハタリ 「こんなへき地にまで追いかけてくるのか!」 ギジェ 「バリアーがやられた!?」 コスモ 「ゲージの輝きが異常だぞ!?」 デク  「イデオンソードっての、使えるんじゃないの!?」 古泉  「エンジン、ノーマルエンジンも好調ですよ!」 コスモ 「イデオンソードか。いくぞおっ!」       ブワアアアアアアアアアアアアアアアアアア          クパア ギジェ 「星が割れていく。これがイデの発現か……」           パリーン ギジェ 「うおお!」 7 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 15:54:54.40 ID:1vVBBed00 コスモ 「ダメだ、来ちゃいけない!」 ハルヒ 「カーシャ、シェリルを止めて! 見せちゃいけないんだから!」 ジョリバ「あ、ああ」 シェリル「なぜ、なぜ止めるの? ギジェが帰ってきたんでしょ!? なぜ見ちゃいけないの!」     「何で止めるの、会わせてよ! ちょっとだけでいいの……」 テクノ 「シェリル、よせ!」 シェリル「リンも、ギジェも、なんであたしの人はみんな死んじゃうのー!?」 古泉  「……」 みくる 「……ううっ」 ハルヒ 「古泉君、みくるちゃん、私たちがめそめそしたって始まらないのよ!?」 みくる 「わかってます! わかってますけど、死んじゃったんですよ!?」 長門  「あなたも無理をしてはいけない」 ハルヒ 「……イデのする事ってこういう事なの!?」               ソロシップの逃亡は続く 9 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 15:56:42.02 ID:1vVBBed00 某高校          ガチャッ キョン「ハルヒー、……あれ、誰もいないのか?」    「おかしいな。長門ぐらいはいてもいいだろうに、なんで誰もいないんだ」 ?  「我を……守り生かすために……」 キョン「声が? 響回ってどこから……?」 ?  「我自らを……守り生かすために……見てもらう……」 キョン「なにが?」     ザァァッァァァァァ キョン「床が、黒くなって? 透き通ってるのか。夜の空みたいなのが見える?」    「おい、長門が隠れてるのか? それとも情報統合なんたらがまた何かしてきたのか!?」 ?  「あのようなものでは……」 11 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 16:00:31.09 ID:1vVBBed00 キョン「あのような? お前は知ってるのか!?」    (この言い方、情報なんたらじゃないのか……)    「不思議なものには割と見慣れてる方なんだ、俺は。いったい何のつもりだか教えてくれないか?」 ?  「名を与えられない男には見てもらわなければならない」 キョン「何をだ! 理由をしゃべってもらわなきゃ俺はどうしようもない。床や壁が透けて宇宙が見えて、何なんだ?」 ?  「見ていればいい……」 キョン「しかし綺麗なもんだな。田舎で夜の空を見上げたってこうはならないぞ」    「そうでなきゃ、宇宙かなんかの風景だってのは……長門の関係ならあり得るか?」    「なんだ? 妙な船みたいなのが浮いてる? 宇宙船なのか……噴射口から出てくる丸いのは何だ?」    「おい、さっきから俺にしゃべりかけてる奴!」         シーン    「おい! 誰だか知らんが黙ってないで何とか――!」 14 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 16:03:02.95 ID:1vVBBed00                            ☆ コスモ「それで、地球にも追い出された俺たちっていうのが、どう生き残る手段があるって言うんだ? ハルヒは」 ハルヒ「私にそんな事、聞かれたってわかる訳はないでしょ?」 ベス 「そうは言ってもな。今の状態では混乱してるんだ。落胆だってしている」    「バッフクランなんて異星人が向かってくるなら、全滅をさせなければ故郷もやられてしまうとも思えてしまうな」 ハタリ「それなのにブリッジクルーのハルヒ・スズミヤがバッフクランを全滅させていいのかって聞くんだぜ?」    「どうしてそう思うのかは説明してもらいたいとは思うよな?」 古泉 「……確かにそういうクルーの心情はわかりますけど、コスモの言い方じゃあまるで喧嘩腰ですよ」 長門 「私たちがここまで生き残って来れた事のは、彼女が私たちを引っ張ったおかげ」 17 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 16:08:36.00 ID:1vVBBed00 コスモ「……!?    (そうだ。この船にいるって事はこいつらも今までバッフクランと戦って生きてきたはずだ)    (しかし、なんだ? 具体的に何をやったのかがすぐには思い出せない?)    「……しかし……そりゃあそうだ。だが! こんな時に戦意をそがれるような事を言われちゃあ困るだろうが!」 ハルヒ「殺す殺すなんて言ってちゃ怖いじゃないの!」 カーシャ「コスモ、落ち付いて」     「……ハルヒの言う事はわからないでもないんだから、そう責める事なんてないでしょ?」 ベス 「……」 コスモ「だが!」 ハタリ「まあ、カララさんを見てたら疑問に思っちまうだろうさ。ギジェだっていたしな」 コスモ「あいつは、ハレンチだったんだぞ?」 カーシャ「それでも、やってくれた人なのよ?」     「コスモはキッチンが死ぬのを目の前で見て、気がたっているのかもしれないけど」 コスモ「バッフクランが、キッチンの首を飛ばしたんだからな……しかし、たてるだけでどうなるわけでもない」 18 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 16:13:51.52 ID:1vVBBed00        ガラガラ カララ・アジバ「そうです。ベスも、全滅だなんて怖い事を言って」 ベス 「あー、それは、そんな事もあるという事を言っているのであって、だな」 カララ「分かってます。冗談ですよ」 みくる「お食事です! 皆さん食べられる時に食べてくださいね」 ハタリ「待ってました! ミクルの作るサンドイッチは楽しみだからな!」 カララ「あら、私のはお気に召しません?」 ハタリ「そういう事じゃないけどさ。そこのチーズの挟んでるヤツくれない?」 長門 「……」スッ ハタリ「あ、ユキ。それを俺が食べたかったんだ。わかってて取らないでくれよ」 朝比奈「他にもありますから、どうぞ。涼宮さんが船の状況をわからない人じゃないのは、ベスさんもご存じでしょう?」 ベス 「……そうか、そうだったな。スズミヤもそういう訳だ。コスモだって何も本当に滅ぼそうって気だけで戦ってるわけではないんだ」    「生き残りたいんだよ。俺は肉が欲しいな。そこのコンビーフ缶のを」 ハルヒ「ハルヒでいいでしょ? みくるちゃん、お茶もちょうだい」ズズー 古泉 (もう飲んでるじゃないですか) 19 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 16:19:41.93 ID:1vVBBed00 ベス 「!? 今、俺はハルヒの事を何と呼んだ?」 ハルヒ「スズミヤ、よ」 ベス 「そうだったか? なぜだろうな。この船で戦ってきて、今さら他人行儀な事も無いはずなのにな」 朝比奈「そうですよ、ジョーダンさん」 長門 「……ベス」モグモグ 朝比奈「!? ベスさん」 カララ「なんですか? ミクルまで他人行儀ね」 朝比奈「何なんでしょう……?」 古泉 「しかしこれからどうするつもりなんですか? ジョーダンさん? ……! ベスさん」 ベス 「いや、キミはなぜだかいつも俺の事をジョーダンと呼んでいた気がするな?」    「まあ、好きに呼んでくれればいいんだが」 古泉 「……」 20 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 16:25:49.36 ID:1vVBBed00 ハルヒ「古泉君、元気出しなさいよ」 コスモ「ソロシップに乗る前からの付き合いなんだし名前で呼んでやったらいいんじゃないの? ハルヒと古泉はさ」 ハルヒ「乗る前だからでしょ? 慣れないわよ」 長門 「……」モグモグ カララ「結局言いやすい方で言えって事かしら? でも呼びなれない風に呼ばれると一瞬、自分の事かどうかわからなくなるわ」 ハタリ「はは、たしかにそういうことはある」 古泉 「……」 ハルヒ「拗ねてるの?」 古泉 「違いますよ。ちょっと、考え事です。朝比奈さん、長門さん。ちょっといいですか?」 カーシャ「何よ、SOS団ってので内輪話なんて他人行儀じゃない? あら、お茶おいしい」ズズー ハルヒ「それはやめてよ。こんな時に囲いをつけてる場合じゃないもの」 古泉 「それとは別で、ちょっとした打ち合わせですよ」 ベス 「まだ決まった方針は無いんだ。生き残るために逃げ続ける、イデの力を解明するという以外にはな」    「なにか気がついた事があったら聞かせてくれ」 古泉 「ええ、了解してます。ジョーダンさん」 ベス 「ハハ、やはりその呼び方の方が落ち着くな」 長門 「……」 21 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 16:32:30.66 ID:1vVBBed00                ☆ 古泉 「長門さんに単刀直入に聞きたい事があります」    「これがどういう状況なのかわかりますか?」 朝比奈「え、バッフクランに追っかけられてるというのではないんですか?」 長門 「……」 古泉 「朝比奈さんも分かってるでしょう?」    「ここで起きてる事に対する実感は確かにある」    「しかし今の今まで、私たちはまったく別のこういう殺し合いとは無縁の世界にいた気がするんです」 長門 「古泉一樹は、神人と彼ら自身が呼称したものと俗にいう殺し合いをしていたはず」 古泉 「細かい突っ込みはいいですよ。長門さん」     「ですがまあそういう事ではあります。朝比奈さんも何か違和感を感じているはずです」 朝比奈「違和感……確かにそういうものはありますが。その、もっと別の目的を持っていたというのがあると思うんです」    「長門さんも古泉さんも私も涼宮さんを見ている事が目的だったとか」 22 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 16:37:58.09 ID:1vVBBed00 古泉 「しかし厳然たる現実として、僕たちはバッフクランという異星人と戦い、逃げ続けているという記憶もある」 長門 「……」コクリ 古泉 「そして私の記憶によると、涼宮さんを見張っていた目的と言うのはこういう事を起こし得るものだった」 朝比奈「こういう事? どういう事ですか?」 古泉 「僕たちがその平和な世界にいたと仮定して、そこから急に都合のいい記憶を与えられてこういう状況に放り込まれる、という事です」 朝比奈「ああ、そっか。そうですよね」 古泉 「まあこれはぬぐい去ることのできない実感としてしか無いものですから。信じないでいると言う事もありなんですけど。今の現実はこうですからね」 長門 「そう思うのならば、そう信じて見るのも可能性の一つ」 古泉 「ですね。イデの力というのもそういう事を起こしかねませんし。涼宮さんとか、両方というのもあり得ます。何しろ正体不明ですから」    「ところで、長門さん。僕の記憶によると長門さんはこういう時にとても便利な事が出来たはずなんですが」 長門 「出来ない。何者かが働かす力により私の外部端末としての力は何一つ実行できない」    「涼宮ハルヒがする事とは違う感触がある。これはイデの力によるものと推測される」 23 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 16:43:37.39 ID:1vVBBed00 みくる「……長門さんにも何もできないんですか」    「長門さんにも私たちがしてきたように実感とかの記憶はあるんでしょうか?」 古泉 「わからないでしょう」 長門 「私は今回の逃避行で、何度も涼宮ハルヒに命を救われた記憶がある」 古泉 「命……ですか?」 長門 「……」コク    「……?」 みくる「私カララさんのお手伝いをしなくっちゃ。もういいですか?」 古泉 「ええ、とりあえず認識を確認し合いたかっただけです。ここで戦い続ける現実を否定はしませんが」 長門 「考える余地は残されている」 古泉 「そういう事です。僕はエンジンへ行きますので。イラさんを手伝わないといけません」    「長門さんは引き続きイデのレーダーの調整お願いします。ハタリさんだけじゃ大変だ」 長門 「……」コク 24 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 16:48:49.25 ID:1vVBBed00 コスモ「作戦会議、どうだった?」 古泉 「やれやれ、という感じですね?」    (そういえば彼がいない……?) ハルヒ「古泉君、ジョリバがカンカンよ?」 古泉 「分かってますよ!」 みくる「カララさん、ごめんなさい! 新しいお茶の葉開けてから行きますんで、先行ってくれませんか?」 ハルヒ「なら私が手伝いをするわ。仕事が無くて退屈なのよ」 ベス 「そんな事は無いだろう? 懸命にレーダーを眺めて突破口を探していた」 ハルヒ「手伝いたいの」 カララ「ちょっと休憩になったわ。じゃあベス、頑張ってね」 ベス 「ああ、まかせろ」     タッ タッ タッ タッ      タッ タッ タッ     タッ タッ タッ タッ ハタリ「ああ、ユキ。そこの配線を頼むよ」 長門 「……」コクリ 25 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 16:54:45.63 ID:1vVBBed00                     ☆ 古泉 「すいません!」 カララ「みなさん、お食事はいかが?」 ハルヒ「紅茶は後でみくるちゃんが持ってくるわ」 ジョリバ「ふう、イツキ、遅いぞ。カララさんが来れば休憩なんだ。見計らってるんじゃないのか?」 古泉 「違いますよ、ちょっと作戦会議です」 ジョリバ「ハルヒは突拍子もない事を言い出すからな。その絡みか?」 ハルヒ「突拍子もない事って何よ」 古泉 「それとは違う、個人的な思いつきだったんですけどね。アテは外れましたよ」 ジョリバ「アイデアを出すならハルヒが一番だからな。お前はテキパキ仕事をこなせばいいんだよ」     「……そこのところを何とかしてくれ。お前のためにとっといてやったんだぞ」 27 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 17:02:43.50 ID:1vVBBed00 古泉 「わざわざ親切痛み入りますよホント」 カララ「さあ、そちらの方々も……」    「……ウッ」 ハルヒ「なに? カララさん、どうしたの!」 カララ(もう!? いくらなんでも、早すぎる!)      ブゥワアアアアアアア 古泉 「なんです!? イデのゲージが輝き始めている!」 整備員「この輝きは普通じゃないぞ!」 ジョリバ「何だ、何が起こるんだ!」      ブゥワアアアアアア 古泉 「イラさん! カララさんが、輝きに包まれている。イラさん、涼宮さんまで!? 待って!」タッ ジョリバ「くっ! イツキは来るんじゃない!」ドンッ ハルヒ「凄い光……イデは何をするつもりなの!?」 整備員「ブリッジに連絡を!」      ブゥワワアアアアアア…… 整備員「なんだ、輝きが消えていく……」    「違う、ジョリバさんもハルヒさんもカララさんも消えて……! ブリッジ、応答してください!!」 28 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 17:07:39.53 ID:1vVBBed00                 ☆ ジョリバ「なんだ、この光!?」 カララ「待って、もう消えます!」 ジョリバ「ここは……ソロシップのエンジンルームじゃないぞ!」 ハルヒ「今イデが導く所なら……」 バッフクラン兵士「! 何だ貴様達、官性名を名乗れ!」 カララ(この服、ヘルメット! 眼の前の扉の様式!)    (バッフクランのもの!)    「手を貸して、こっちです!」 ジョリバ「ああ……!」 ハルヒ「待って!」      ギューン      バババババババ 30 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 17:16:31.35 ID:1vVBBed00 ジョリバ「この扉、出来がいいんだな。さっさとしまっくれて助かった」     「にしても、ここはどこなんだ」 カララ 「まだわかりません。でも、バッフクランの懐だと言う事はわかります」 ハルヒ 「そうよね。こんな状況でイデが私たちにやらせたい事って……使者とかだものね」 カララ 「おそらくは」 ハルヒ 「意志があってやってるなら一言でも言ってくれればいいのに。勝手やってくれちゃって」 カララ 「いいっこなしですよ」 32 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 17:22:15.37 ID:1vVBBed00 ハタリ 「なんだ? ジョリバとカララが消えた!? ハルヒまで?」 ベス  「何だと!」 ハタリ 「ゲージは、イデゲージはどうなってる?」 整備員 『光りました! とんでもない輝きです、普通じゃない!』 コスモ 「イデ自体普通じゃないだろうが!」 カーシャ「これってどう言う事、ベス?」 ベス  「わからん、わからんよ!」 長門  「待って。イデの力が発動して二人が消えたのならば、イデの力の流れをたどれば二人を見つけられるかもしれない」 ベス  「出来るのか、そんな事が?」 ハタリ 「さすがユキだ。それなら出来るさ、ベス。イデの力に歪みが生じているみたいだな」 コスモ 「そうか……今の時期にイデが動いたという事は、俺たちはイデオンで待機だな!?」 ベス  「ああ、頼む。カーシャもいつもの通りにな」 カーシャ「そんな事、言われなくたって!」 ベス  「よし、いくぞ。ハタリ、デスドライブの準備だ!」 ハタリ 「了解だ。救出作戦開始だな」 34 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 17:27:16.56 ID:1vVBBed00              ヴーン ジョリバ「なんとかエレベーターについたが、止められやしないかな」 カララ 「分かりません」     「ですが、この戦艦の中は恐ろしく広いようですね」 カララ 「戦艦? そんな事わかる?」 カララ 「ええ。エレベーターホールの見取り図をちらりと見ましたから。これだけ大きな船はバッフクランも持っていません」 ジョリバ「でもバッフクランの兵士がいた」 カララ 「それに、イデが意味の無い事をするとは思えません。これはオーメ財団の協力で建設中だという噂だった新造戦艦でしょう」 ハルヒ 「オーメ財団って?」 カララ 「軍需産業って、どこにでもあるでしょう?」 ハルヒ 「ああ……くだらない連中ね」 カララ 「そうかも知れませんけど」 35 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 17:32:20.08 ID:1vVBBed00            ガタン ハルヒ 「! 止まった!?」          ガーーーーーーッ バッフクラン兵士「ここにいたか、撃つぞ!」 カララ 「無礼者、銃を向けるか!」 バッフクラン兵士「! カララ・アジバ様!? 司令の娘がなぜここに!」 カララ「父上はこの船にいますね?」 バッフクラン兵士「はい、しかしあなたは」 ハルヒ 「扉、閉めるわ!」 ジョリバ「聞くまでもないだろ!」カチッ          ガーーーーーーーッ ハルヒ 「カララの身分が高くって助かったわ」 カララ 「今の私はソロ星の方々と逃げている立場にいます。厭味になりますよ?」 ハルヒ 「あっ、ごめん」 ジョリバ「おい、とりあえずあの監視カメラをやっつけないか?」 36 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 17:37:45.47 ID:1vVBBed00         バッフクランの新造戦艦バイラル・ジンのブリッジ バッフクラン兵士「我が軍の包囲網は直径百五十万光年に及んでおります。ロゴダウの船はどの艦隊とも接触せずに脱出する事は不可能です」 ドバ・アジバ「しかし、ハルルが追い込んで以降の動きがつかめないでは叩きようもない」 バッフクラン兵士「は、この包囲網のいずれかにはかかります」 ドバ  「よし、以後は各隊の独断先行はなしだ」 バッフクラン兵士「は!」 ギンドロ「異星人の侵略を阻止するためには我がオーメ財団のガンド・ロワを」 ドバ  「私はガンド・ロワまで使おうとは思わんのだ」 バッフクラン兵士「司令!」        ブーッブーッ ドバ「なんだ、侵入者?」 38 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 17:43:27.13 ID:1vVBBed00 バッフクラン兵士「そうです。しかもカララ様とロゴダウの船の乗組員と思しき人物が二人」 ドバ  「カララが!? あいつはアジバ家から出て行って異星人の乗るイデの船と逃げ、おめおめ顔を見せたというのか!」 ギンドロ「おお、映像が来たな……見てみろドバ。これはカララ嬢ちゃんだよ。多少女らしくなってはおるがな」 ドバ  「オーメ財団の貴族はそんな事を覚えているか……しかし、これは確かにカララだ」          ブチッ     「? 映像が切れた。カメラを潰されたか。しかし、とにかく行かなければならぬな」 ギンドロ「そうよな。久しぶりにご対面とまいろうか」 ドバ  「亜空間反応は無かったのか? 敵が近くにいるかもしれん。何かの予兆は見えなかったか」 バッフクラン兵士「亜空間反応はありました。しかし敵の反応、ありません!」 ドバ  「イデ……か」 ギンドロ「我のものにしたいな。伝説ほどの力となれば」 ドバ  「我々のためだ」 40 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 17:48:22.52 ID:1vVBBed00           グーーーーーーーーン            ガッ ジョリバ「エレベーターが止まった? 次は何が出るんだ?」 ハルヒ 「これが新造戦艦で司令が乗ってるのなら、出てくるのは?」 カララ 「……」         ガーーーーーーーーッ バッフクラン兵士「そこまでです! 電源は切らせていただきました、カララ様」チャキ           カツカツカツカツ カララ 「! 父上」 ジョリバ「!」 ドバ  「確かに、ワシの娘のカララ・アジバのようだな。どうやって入った」 カララ 「イデの導きによって」 41 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 17:53:43.89 ID:1vVBBed00 ドバ  「イデ? やはり無限力がそういう事をさせるのか」 カララ 「そうです。イデは私たちにさせたい事があって、その使者として私たちがさし向けられました!」 ドバ  「使者、貴様が使者か、アジバ家の面汚しが! 異星の者どもと逃げ、われわれバッフクランを退け続けるのが!」     「話の内容によっては宇宙に放りだす!」 カララ 「父上、もうあなたも分かっているはずです。戦いがイデの力を増幅させている事を! そちらの地球にも流星の落下が増えているのでしょう?」 ドバ  「その流星も貴様らの船が発生させている節もある。ならば、ソロシップと巨人は抹殺せねばならん!」 ジョリバ「イデは自分を守る力を備え始めているのですよ!」 カララ 「私たちのコントロールを拒否し始めているのです!」 ドバ  「だからと言って放っておけるものか! 異星人がイデの力をもって我らの緑なす地球を襲わないと、誰が保証できる! カララ 「私が命に代えても!」 ドバ  「ばかな! 異なる星で過ごしてきた者同士が話し合ってそうそう理解しあえるものか!」     「そもそも裏切りものの命などクズ同然。何の保障になる」 42 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 17:58:55.65 ID:1vVBBed00 カララ 「異星人とは言っても、バッフクランの人々と全く同じです、理解し合えます!」     「その証拠に、私の体の中には新しい命が育っています」 ジョリバ「お腹? さっき、おなかを抱えてうずくまって」 ハルヒ 「そうしたらイデが光り出した。イデは、子どもの純粋な防衛本能に刺激される!」 ドバ  「なにを……! 貴様そういう事か、よりにもよってアジバ家の娘が異星の男に抱かれ、子を身ごもった!」 カララ 「そうです! だからわかりあえるのです!」 ドバ  「世迷い事はやめろ! そのような事をした女はせめて私の手で葬ってやる!」チャキッ ジョリバ「貴様、娘に銃を向けるのか!」 ハルヒ 「さっきから聞いていれば、何かを言えば裏切者、そんなことじゃあどうにもならないのよ!?」チャキッ バッフクラン兵士「司令!」 43 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 18:04:39.28 ID:1vVBBed00 ドバ  「親だからこそだ! 貴様、私に銃を向けてただで済むと思うなよ!」 ハルヒ 「何を偉そうに! 少ない私たちを相手に、やられたからやり返すしかできない司令様が!」 ドバ  「貴様に何が分かる! この私の苦しみが!」 ハルヒ 「分かろうともしていないくせに、わかってもらおうなんて虫がいいのよ!」 ドバ  「イデの力を握る貴様ら侵略者が我々をいつ葬るとも知れんのだ!」 ハルヒ 「臆病者!」 ドバ  「私はバッフクランの司令官なのだぞ!?」       バキューン ジョリバ「ハルヒ、危ない!」ドンッ ハルヒ 「ジョリバ!」 カララ 「! 父上!」チャキッ ジョリバ「くっ、俺の……レーザー発振機?」 45 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 18:10:23.46 ID:1vVBBed00 カララ 「作業用のレーザーでも、この距離ならお父様の心臓も射抜けます。     「お腹の中の命のためなら、父親殺しの汚名も黙って被りましょう! ハルヒ!」 ドバ  「! カララ、そこまでするか……! そんな事をすれば衛兵は黙ってはいない!」 カララ 「お好きに」 ハルヒ 「カララ、非常電源を復活させたわ、早くエレベーターに乗って!」 カララ 「お願いします」        ポチッ      ガーーーーーーッ ドバ  「クッ!」 47 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 18:18:29.91 ID:1vVBBed00 寝とられの悔しみが重要ですもんね。発動編のドバとギンドロはかわいい ベス  『コスモ、乗りこんだか!?』 コスモ 「ああ、準備は完了している。今すぐにでも出られるぞ」 ベス  『しかしまだ位置が特定できていない。……何だ!?』 コスモ 「ベス、どうした!」 ベス  「ソロシップのモニターに、幻覚が」      ブゥゥゥゥゥゥン デク  「コスモ、イデのモニターにも!」     「なんだこれ?」 ベス  『イデだ。イデが我々に見せている。となればそっちに移っているものもこちらのものと同じはずだ』 コスモ 「ハルヒとジョリバ、カララさんも、それにバッフクランの?」     「決まりだな。イデが俺たちに見せたがっている」 長門  『……結果が出た』カタカタ ハタリ 『ベス、いけるぞ!』 ベス  『よし、デスドライブだ!』 48 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 18:23:34.39 ID:1vVBBed00 ジョリバ「カララさんは強くなったな」 カララ 「? 急にどうしたんです?」 ジョリバ「良い女だなって言ってるんだ。こんな事になるんならもっと早くに口説くべきだったぜ」     「ベスと子供までこさえてさ」 ハルヒ 「ジョリバ、怪我は大丈夫なの?」 ジョリバ「ああ、なんとかな。お前も宇宙服を着ろよ。逃げ回るんだからな」 ハルヒ 「分かってる」 カララ 「! みんなが来てくれます。この小型艇で逃げれば!」 49 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 18:29:20.35 ID:1vVBBed00 バッフクラン兵士「重力震、来ます!」 ドバ  「カララが現れた時と同じ! イデの力ならあの船が来る、総員戦闘準備!!」 バッフクラン兵士「はい!」             グワアアアアアアアア ドバ  「正面か!」 ベス  『コスモ、頼むぞ』 コスモ 「了解だ。すぐに取って返してくるさ!」     「イデオンガンはいい! 今はすぐに行く! ベス、周辺の警戒忘れるな!」              グワアアアアアア ベス  『出た、大きい。敵の船の真正面だ! ローマ字のTのような形をしている?』 ハタリ 「ブレーキングは!?」 ベス  『いや、このままだ、このまま突っ込め!』             ドガガガガガガガガガガッガガガガガ ドバ  「なんだ、船の脇腹に突っ込んだか! 重機動メカ、発進急げ、ロゴダウの船を狙えよ!」 50 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 18:34:22.80 ID:1vVBBed00 重機動メカパイロット「出撃します! ……ロゴダウの巨人が、こんなところまでも来るのか!」カチッ             ヒュヒュヒュヒュヒュ コスモ 「ベス、ミサイルで狙われているぞ! ソロシップはバリアーを全開にするんだ! ミサイル!」 デク  「了解、もっと前に出てくれればたくさん撃てる!」 コスモ 「まずはあのメカを撃つ、そしたら前に出るぞ」 カーシャ『了解!』 52 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 18:40:21.77 ID:1vVBBed00 ベス  「ジョリバがいなければ……エンジンルーム、イツキ! エンジンの調子はどうだ!」 古泉  『丈夫なものですよ! 今の衝撃でもまだまだいけます!』        タッタッタ みくる 「涼宮さんはどうしたんです!?」 ハタリ 「何をしにきた! 医療班の手伝いをしてるんじゃなかったのか?」 みくる 「涼宮さんですよ! 心配なんです」 ベス  「バッフクランの船に飛ばされた、今から助ける。バリアー全開、すべてイデオンが撃墜してくれるわけじゃないんだ!」      「……なんだ? 小型艇を追っかけている火線がある。内戦か? おい、ハタリ、あれは何だと思う」 ハタリ 「こんな時に何だ!」 長門  「……可能性を考慮すれば」 ベス  「なんだ、光って見えている? しかしあの船が光っているのではない、中の何かが二つ……透けて見える」      「! あれはカララとハルヒじゃあないのか!」 ハタリ 「なんだってそう思う!?」 ベス  「わからん。ここは任せる」 長門  (カララ・アジバが光に包まれているのは理解できる)      (しかし、涼宮ハルヒも同質の光に包まれている? 彼女自身の力ならばイラ・ジョリバも包まれていて構わないはず)      (ならばイデが?) 53 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 18:45:23.65 ID:1vVBBed00 ハタリ 「もうハルヒは見つかった。さっきのヴィジョンはひょっとしたら艦内全体にも見えてたって事無いか?」 みくる 「ヴィジョン? 涼宮さんたちが映っていた?」 ハタリ 「そうだ。使者としての交渉を見せてくれた。決裂はしたがな。この調子じゃあ助けられそうだぜ」     「エンジンルームでがんばってるイツキにも伝えてやってくれ」 みくる 「はい!」 ベス  「ブリッジ近くのグレンキャノンでなら、あの船を狙っている奴らは撃ち落とす!」カチッ           ズババババババ ハルヒ 「追手が少なくなってる……ソロシップからの援護射撃だわ! 助かるかもしれない!」 ジョリバ「そうじゃなきゃ困るだろ! ウッ」 カララ 「ベスだわ! ジョリバさん、もうすぐです」 54 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 18:50:37.69 ID:1vVBBed00 コスモ 「イデオン、ミサイル一斉放射だ、構えるぞ!」 デク  「撃つぞー!」        バババババババババババババババババババ 重機動メカパイロット「巨人め! っうおわ!」 重機動メカパイロット2「一番機、応答を!」           ドーンドーンドーン カーシャ『コスモ、ソロシップから連絡! ハルヒ達が乗った脱出艇を見つけたって!』 コスモ 「了解! しかしなんでわかったんだ?」 デク  「イデの導きだろ?」 コスモ 「追いかけるぞ! イデオンの腕を伸ばす! ……もう少し寄せれば……」 55 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 18:55:31.21 ID:1vVBBed00 ドバ  「裏切り者が乗った船は撃ち落とせ!」 バッフクラン兵士「しかし」 ドバ  「二度は言わんぞ、いいな!」 バッフクラン兵士「ハッ!」 ギンドロ「らしいな、ドバ」 ドバ  「当然のことをしているのだ。撃て!」 コスモ 「もう少しで、」       ズキューン コスモ 「!」 デク  「!」 カーシャ『ッ!』       ドカーン 56 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 19:03:03.89 ID:1vVBBed00 コスモ 「小型艇が、狙撃された……?     『何故だ! 何故殺す! なぜ戦う!』 ベス  「なんだ、どうなった! カララが狙撃された!?」     「ルウ、ルウはどこにいる!」 ハタリ 「ロッタ達と一緒に艦の中央だ。その証拠にイデのゲージは正常だ」     『なぜそっとしておいてやれない! なぜカララさんを殺した!』 ドバ  「なんだ、なんの声が聞こえている!」 ギンドロ「ロゴダウの異星人の声ではないのかな?」 ドバ  「そういう事があるのか!?」 ギンドロ「イデの導きなのだろう?」 ?   『そうよ! カララさんの理想主義がイデを抑えるカギかもしれないのに!』 ドバ  「この声、さっき私に銃を向けた異星人の女!」 ?   『そうよ、死にでもすれば!』 コスモ 『責任を取ってくれるのか、貴様たちが!』 58 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 19:09:05.28 ID:1vVBBed00 デク  「コスモの声が響いてる……でも」 コスモ 「っ! 俺以外の叫びも聞こえた。あの声はハルヒのものだった。もしかしたら」      (死にでもすれば? まだ大丈夫だって事か?) カーシャ『コスモ、前方に光る球!』 コスモ 「包まれているのは、カララさんたちだろうな!?」 ベス  「カララは……死んだのか? 狙撃されたという事は」      「俺は、俺は……」 ハタリ 「ベス、しっかりしろ!」 ベス  「……後退しろ、この空域から脱出する!」 コスモ 『……ス、ベス! カララさん達を救出した、今からそっちに向かう!』 ベス  「なんだと? カララが、狙撃されたんじゃないのか?」 コスモ 「イデのおかげだよ」 ベス  「そうか……! デスドライブ準備だハタリ、脱出するぞ!」 長門  「もうやっている」       グワアアアアアアアアア ドバ  「亜空間に入ったか。全艦追跡しろ! 宇宙の果ての果てまで追いかけてでも、ロゴダウの船を叩け!」 62 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 19:36:50.30 ID:1vVBBed00       グワアアアアアア…… ハルヒ 「ジョリバ、肩を貸して」 ジョリバ「ああ……済まないな」 コスモ 「ジョリバはどうしたんだ?」 ハルヒ 「私の代わりにカララの父親に撃たれたのよ」 カララ 「すいません……」 ジョリバ「なに、謝ることじゃないさ。幸い当たりどころも良かったらしいしな。応急処置さえすればしばらくは大丈夫だ」 ハルヒ 「元はと言えばあの頭の固い親父がいけないんだから」 カララ 「フフ……」 コスモ 「そういう言い方が出来るのはハルヒのいい所だな。このまま戦う事になるが、いいか?」 ハルヒ 「良いも悪いもないでしょ。観戦させてもらうわ」      (それにしても……イデはまだ力を貸していてくれるの?)      (私たちに幸福をもたらすわけでもない、神様みたいにいいようにチャンスを与えてくれている)      (流星を生んでいるのがドバの言う通りにソロシップとイデならば、イデは人類を滅ぼそうとしている事になる)      (どうしたいって思ってるの? 身勝手なことばかりをして、ギジェもモエラも、たくさんの人を殺して) デク  「ハルヒはいい気なもんだよな。ベルトはしっかり固定しててくれよ」 64 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 19:47:36.80 ID:1vVBBed00 ベス  「あの船からは逃げ切ったが……」 長門  「すぐに追手が来る」 古泉  「でしょうね」 ベス  「イツキ、何でここにいるんだ!」 古泉  「ブリッジの様子をじかに見ておきたかったんです。レーダーの様子もね」 ベス  「……少しばかり神経質じゃないか? エンジンはどうなった」 古泉  「順調です。イデが守ってくれてるのかも。イデオンの方が心配ですね」 みくる 「ラポーさんたちを手伝ってきますね」 ハタリ 「頼む。古泉はシェリルの様子を……」 古泉  「……そうですね。こんな時に飲んだくれでは困りますから。ザラルさんが死んで悲しいのはわかりますけど」 ハタリ 「彼女もいないのにか?」 古泉  「想像は出来るという話ですよ。僕だって朝比奈さんや長門さんや涼宮さんが死んでしまえば悲しい。当然あなた方も」 ハタリ 「ありがたいね」 ベス  「休憩の時間は無いぞ!」 ハタリ 「あいよ!」 65 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 19:52:49.94 ID:1vVBBed00 デク  「敵、来るよ!」 コスモ 「望むところだ!」 ハルヒ 「これがイデオンからの眺め!? 敵が星の数ほど迫ってくる!」      ゴォオオォォォォォォォォォ コスモ 「ベス、イデオンガンは出せないのか!?」 ベス  『ハッチが故障しているんだ、すぐには!』 ハルヒ 「ハッチをぶち破ればいいじゃない!」 ベス  『それはいかん! バリアの出力が下がっているんだ。装甲は多い方がいい……ん、おい!』 67 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 19:59:01.82 ID:1vVBBed00 長門  『……涼宮ハルヒ』 ハルヒ 「! ユキ、どうしたの!?」 長門  『無事?』 ハルヒ 「ええ、ピンピンしてる、すぐにでも働けるわよ!」 長門  『今はそこにいて。すぐにイデオンは動かなければならない』 ハルヒ 「分かってるわ。ユキも頑張って。古泉君やみくるちゃんにもよろしくね!」 長門  『分かった。気をつけて』 ベス  『コスモ、俺にもカララの顔ぐらいは』 カララ 「ベスも随分甘えん坊さんだこと」 ベス  『そりゃあ、すこしぐらいはさ』      『修理班、イデオンガンのハッチの修理にどれくらいかかる?』 修理班 『五分。いや、十五、六分ってところだ!』 ベス  『冗談じゃない、急げ!』 コスモ 「チっ! 出るぞ!」        ゴゴゴゴゴゴゴゴ コスモ 「敵が正面に来るぞ、ミサイル、グレンキャノン!」 デク  「やってる! バリアーも全開にしなくっちゃあ!」 ベス  『戦えるものは女子供でもいい! 手伝わせろ!!』 ハタリ 『しかしベス!』 ベス  『かまわん!』 68 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 20:04:24.71 ID:1vVBBed00       ドカーン ベス  「食らったのか! どこをやられたんだ?」 ハタリ 「貨物室近くだな。荷物を後で点検しないと」 ベス  「まだましかもしれない。今すぐに死なずに済んだんだからな!」 長門  「十六ブロックのグレンキャノンに砲手がいない。私が」 ベス  「ユキはゲージとレーダーを見張ってろ! 手の空いているものを誰か回せ!」 69 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 20:11:05.65 ID:1vVBBed00 みくる 「包帯を巻いてっと、安静にしててくださいね。動いたら治るものも治らないんですから」 整備員 「ありがとうございます、しかし俺はすぐにでも整備に戻らなきゃあ。みんな苦労してるんだ」 みくる 「だったらなおさらです。少しでも休んで、後でもっとたくさん皆さんを楽にしてください」      「きっと皆さんも心配してるはずです。酷い怪我を我慢されてたら気になりますよ」 整備員 「……わかりました。ミクルさんも頑張って」 みくる 「ありがとうございます」 アーシュラ「ミクル! ルウが救急箱運んでる!」 パイパー・ルウ「だあ、だあ」 みくる 「まあ。この前まではハイハイが精一杯だったのに、もうなんですね?」      「成長が早くなってるんですね。やっぱり」      (イデが守り育ててるんでしょうね)      (ルウの純粋な防衛本能に強く反応するんだから、そういうことだって……)      「ラポーさん、手伝えます!」 70 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 20:17:20.56 ID:1vVBBed00 ラポー 「ありがとう、この人の手を握っててあげて。包帯を巻くけどちょっと痛いはずだから」 みくる 「はい」ギュッ 迎撃員 「うっ」 みくる 「あ、痛かったですか」 迎撃員 「いいえ、おかげで目が覚めました。なんだかずいぶん眠くって。ありがとうございます」 ラポー 「もっとちゃんとできればいいのに。でも今のは良かったのかも」 迎撃員 「ハハハ……ウッ」 ラポー 「ああっ、ごめんなさい」        ガチャ 古泉  「シェリルさん、どうしたんですか!? 医務室に用なんて」 シェリル「黙ってなさい! 私はギジェを失って妹も失った。私の人は全部死んでしまったのよ!」 古泉  「だからって僕らに黙ってばっかりってのは無いでしょ!」 シェリル「私のような科学者の言う事があなたは分かるの?」 72 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 20:21:56.80 ID:1vVBBed00 みくる 「なんですか!? 医務室で大きな声を出さないで!」 古泉  「朝比奈さん、すいません」 ルウ  「だあだあ」 シェリル「ほーら、ルウ。いい子だ。ちょっとお姉さんと一緒に来て頂戴ねえ」 ロッタ 「シェリルさん、何をしてるんですか!」 シェリル「ちょっとルウに用があるだけですから」 みくる 「待って下さい」 シェリル「何で引きとめるの? ルウを調べたいだけなんですから」 みくる 「調べる……?」 シェリル「研究させて下さいな。いいでしょう?」 長門  「重機動メカが多すぎる」 ベス  「それでもやるんだよ!」 長門  「しかしイデオンガンが放出できれば」 74 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 20:27:02.63 ID:1vVBBed00 シェリル「ルウ、わかるわね? 敵が来ているのよ。恐ろしい敵が」 ルウ  「ウーッ、ウーーーッ!」グイグイ シェリル「ルウ、どうして逃げようとするの? ウマウマもあるのよ? ルウのために作ったんだから」 ルウ  「チガーウウウウ」 シェリル「おいしいわよールウ?」 ロッタ 「シェリルさん、シェリルさん!?」ドンドン シェリル「扉を叩いてうるさくしないで頂戴!」 みくる 「シェリルさん! 中にいるのは分かってます。お願い、カギを外してください!」 シェリル「チッ」        ガチャ ロッタ 「アッ! シェリルさん、ルウに何をしてるんです!?」 古泉  「ルウの事だけじゃない。あなたの事だってみんな心配してるんですよ?」 シェリル「……」ジロ アーシュラ「こわあい……」 76 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 20:32:07.83 ID:1vVBBed00 ロッタ 「ルウを返して下さい!」 シェリル「ルウはみんなを助けてくれるわ。今その研究をしてるの」 みくる 「ルウちゃんは?」 シェリル「助かりたくないの?」      バタン ロッタ 「ルウをどうするつもりなの!? シェリルさん、シェリルさん!?」 シェリル「あなただけなのよイデをコントロールできるのは、さあやって頂戴。イデの力を出させてみんなで生き延びましょ?」             ゴーン 古泉  「皆伏せて、ミサイルの直撃です!」 シェリル「ウッ」 78 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 20:37:35.90 ID:1vVBBed00 ルウ  『アーウーワァワーワー!』 コスモ 「ソロシップはまだイデオンガンを放出できないのか!」 デク  「応答なし!」 ハルヒ 「コスモ、上に敵機!」 コスモ 「なに、拳を突きだせえ!」        グワァン コスモ 「間一髪か? ハルヒ、良く気づいた!」 ハルヒ 「私の命もかかってるのよ! イデオンがやられちゃあみんな生きてられないでしょ?」      (私が気付かなきゃあ、イデオンはやられていた。もっと敵を圧倒する力をイデは出せるはずなのに!) 80 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 20:42:44.27 ID:1vVBBed00 これは反応しづらい。通常エンジンじゃあ飛べないイデオンを飛ばすイデだし 浮力を補うなど造作もない。 ハタリ 「十三番デッキ、イデオンガンはどうした!?」 長門  「応答が無い」 ハタリ 「くそ、このまま疲れきって死ぬだけなのか!?」 ベス  「冗談じゃない! イデオンにイデオンガンを渡せれば!」 長門  「まだイデのゲージは光っている。やれる事があるはず」 ベス  「そうだ。ルウはまだ生きている。まだやるぞ!」 81 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 20:47:52.15 ID:1vVBBed00 重機動メカパイロット「ロゴダウの船はまだ落ちないのか!? どうなっている、もう直撃を何発も当てたんだぞ?」 ドバ  「ロゴダウの船一隻と巨人一匹。沈めるのに消耗が大きすぎるな」     「あれにぶつけるか?」 ギンドロ「あれ、ですか」     「しかし誘いに乗りますかな? あの彗星の軌道上に巨人を持ってくるなどと」 ドバ  「まさか重機動メカ数百機を囮に使うとは考えまい」 ギンドロ「確かに」 ドバ  「その程度の犠牲はやむを得んな」 ギンドロ「了解だ。ガンド・ロワが無駄になるかな?」 ドバ  「平和利用に使えばよかろう!」 82 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 20:52:59.54 ID:1vVBBed00 ハタリ 『イデオン、十時三時の方向が手薄になった! ソロシップの方に逃げろ!』 コスモ 「了解だ! しかし、なんだこの宙域を包む奇妙な力の流れは? イデオンが震えてしょうがない」 カララ 「ラビットスター現象です。彗星が通る前触れです!」 ハルヒ 「それが敵の狙い!? イデオンガンなら食い止められるんじゃないの?」 コスモ 「そうかもしれないが、イデオンガンは放出されてないんだぞ?」 ハルヒ 「当たったらみんな死んじゃうんだから、ハッチを破って。それもしょうがないでしょ!?」 ベス  『已むを得んか。コスモ、やれ!』 コスモ 「了解! デッキにいるメカマンを退がらせてくれ!」 長門  「了解している。早くしなければ彗星にぶつかる」 コスモ 「その通りだ!」 ハルル 「これで巨人は終わるか? そうとは思えんが」     「バジラウ、ギルバウ、亜空間飛行をかけて巨人を包囲しろ!」 バジラウ「しかし、すでに巨人は」 ハルル 「相手はイデの巨人だぞ? 万一の事がある。さらに包囲を固めろ!」 バジラウ「了解!」 84 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 21:00:52.70 ID:1vVBBed00            ドドドドドドドドドドドド デク  「コスモ急いで、流れ星が来る!」 コスモ 「彗星だろ!」 ハルヒ 「どうにかなるんでしょうね!?」 コスモ 「やってみなければわからない!」 ハルヒ 「そうよね、ごめんなさい」 コスモ 「いいんだ。焦っちまうのは誰も一緒さ」 ベス  『コスモ、早くしろ!』 ハルヒ 「急いでるわよ。コスモ、そのハッチの破片は敵にぶつけてやりなさい!」 コスモ 「やああああああ!」       ポイッ       ガツン ボーン ハルヒ 「この流れの中で一機も落とせたら上出来よね」 デク  「こんな流れのあるところじゃあ流れ星の破片が当たって満足に動けないものな」 ハルヒ 「彗星でしょ」 86 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 21:07:02.59 ID:1vVBBed00 コスモ 「ハッチを取り外したぞ」 ハルヒ 「メカマンがみんな死んでる」 長門  『退避勧告が遅かった。済まないと――』 ハルヒ 「ユキが謝ることじゃないでしょ!」 長門  『済まない』 ハルヒ 「ユキ、もういいのよ? その気持ちだけでみんなありがたいはずなんだから」 長門  「……」 88 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 21:13:03.11 ID:1vVBBed00 シェリル「いいこで宇宙服を着るのよルウ、今からみんなを助けに行くんだから……」             ガチャ 古泉  「シェリルさん、早く艦の中央に避難してください! ここも危険です」 シェリル「今からみんなを助けに行くんだから、あなたは黙ってなさい!」 古泉  「シェリルさん、ルウを連れてどこに行くんです!」 ベス  『古泉、エンジンルーム近くに直撃だ! ノーマルエンジンの動力だって無くなられるとまずい、すぐに向かってくれ』 古泉  「こんな時に!」 みくる 「古泉君、シェリルさんは私が追いかける。だから古泉君はエンジンに行って!」 古泉  「あの調子じゃあ艦の外まで行きます、無茶言わないでください!」 みくる 「私だって無茶は承知なんです。でもみんなで生き残りたいから、古泉君はエンジンルームに行かないといけません!」 古泉  「! 朝比奈さん、長門さんも涼宮さんもまだがんばってるんです、くれぐれも無茶はしないでください!」 みくる 「わかってます!」ダッ 89 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 21:26:52.54 ID:1vVBBed00 カーシャ『コスモ早く!』 コスモ 「俺たち、ここでおしまいって事は無いよな……」 ハルヒ 「コスモも不安なんだよね」 コスモ 「さっきも言ったろ? これでおあいこだ」 カララ 「大丈夫ですよ。きっと」 ハルヒ 「なんでそんな事言えるの?」 カララ 「私たちが育ててきた善き心は、次に続く人たちが受け継いでくれます!」 カーシャ『次に続く人が受け継ぐですって!?』 ハルヒ 「そっか、そう信じられれば楽にはなれる」 コスモ 「こんな時に女って奴は、よくこの後のことなんか考えてられる!」 90 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 21:31:54.87 ID:1vVBBed00      ガシャーン コスモ 「よし、ドッキング完了!」 ベス  『よし、コスモやれるな?』 ハタリ 『おい、ベス。シェリルが外に出るぞ!?』 長門  『! 朝比奈みくるも?』 コスモ 「なんだと、正気か? カーシャ、援護だ!」 カーシャ「なんでよ!」 ハルヒ 「何でもでしょ!? みくるちゃんもいるのよ!!」 91 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 21:37:07.63 ID:1vVBBed00 シェリル「イデよ、応えて欲しい!」 みくる 「シェリルさん! 彗星が迫ってるんです、もう中に!」 シェリル「中に入ったらイデにルウを守らせてあげられないでしょう!」     「ルウはイデに守ってもらうのよ? あなたこそ入りなさい!」 みくる 「いいえ、あなたまで守ってもらえるんですか!? 一緒に艦に!」 シェリル「離しなさい! イデよー! 今ここには純粋に守りしか知らぬ子が死を恐れている!」 みくる 「シェリルさん!」 シェリル「イデよ、この無垢な子の心に応えるべきです!」 ルウ  「ウワアアアアアアアーン」 カララ 「ウッ、ルウがおなかの赤ちゃんを呼んでいる?」 コスモ 「おなかの赤ちゃん!?」 デク  「赤ちゃん?」 コスモ 「カララ! どこに行く!」 ハルヒ 「コスモ、私が行く!」 カーシャ『ハルヒ、ダメよ!』 92 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 21:43:03.21 ID:1vVBBed00       ゴォオォォォォォォォォォォォ シェリル「ルウの純粋な心がイデの力の現れであるならば、なぜ多くの人を死に至らしめるのですか!」 ガチャ ハルヒ 「先回りは出来た! トリモチで!」 カララ 「ハルヒ、なんで!?」ガタガタ ハルヒ 「カララに出てもらっちゃ困る! 扉は開かないわ!」 カララ 「なぜ!」 ハルヒ 「私がみんなをイデオンに連れてくる、待っていて!」 カララ 「そんな、ハルヒ!」 ハルヒ 「みくるちゃん! シェリルさんも早くイデに!」 みくる 「シェリルさん、彗星が近いんです!」 シェリル「むしろ、人を生かすことこそイデのなすべきことではないでしょうか!」 ハルヒ (シェリルさん! 私だって思っている事を言ってるの!?) 93 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 21:48:25.28 ID:1vVBBed00 コスモ 「なんだ、ゲージが輝いている! イデオンガンが撃てるぞ!」 カーシャ『パワー良好、コスモ!』 ハルヒ 『ダメ、今イデオンガンを撃ったら甲板の人はみんな死んでしまう!』 コスモ 「何!? ハルヒは今出て行ったはずなのに、何で声がはっきり聞こえるんだ! イデの導きか!?」 カーシャ『そんなはずないでしょ! ゲージはイデオンガンを撃たせたがっているわ!』 ハルヒ 『今イデオンガンを撃ったらみくるちゃんもシェリルさんも死んでしまうわ! カララさんが生き残ったって、それだけじゃあいやでしょ!』 コスモ 「カララが生き残る……?」 デク  「コスモー!」 ハルヒ 『やめてー!』      ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ コスモ 「なんだ、イデオンの前に大きい人型が見える!? イデなのか?」 94 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 21:53:28.60 ID:1vVBBed00 みくる 「ああ、ああ、あれってもしかして!! 私たちを守ってくれるの!?」 ハルヒ 「みんなをー!」 シェリル「違う、あれはイデではない? しかし、だとしたらなんだと言うの!」 ルウ  「ウワアアアアアアーン」 ベス  「なんなんだあの人型は! イデと同じぐらいの大きさがあるぞ!」 ハタリ 「あんなものは知らん! 見た事無いぞ!?」 長門  「……あれは、神人と呼ばれている……?」 ベス  「なんだと、ユキは知っているのか!」 長門  「それは……」     (ルウの近くで巨大なイデの力が働いているはず。私は宇宙の果て、次元を超えても多少のアクセスは出来る筈なのに、出来ない)     (イデが邪魔しているとしか思えない。しかし神人が現れた。イデは涼宮ハルヒの力を邪魔しない?)     (しかし、それなら今までにもなんらかの変化があっても良かったはず。涼宮ハルヒの力が増大している?) 95 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 21:59:45.90 ID:1vVBBed00 古泉  「よし、これでエンジンはとりあえず動きますね」 メカマン「ありがとうございます。イツキさんがいなければどうなったか」 古泉  「どういたしまして。!?」 メカマン「どうしました?」 古泉  「……いいえ、ちょっと疲れが出ただけです」     (今の感覚、まさか?) コスモ 「イデオンガンを撃っていいのか!?」 デク  「コスモ! あっちの巨人が彗星に向かって飛んでいく!」 コスモ 「止めようってのか!」 96 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 22:05:45.68 ID:1vVBBed00 キョン 『おい、さっきから変なもんばっかり見せやがって、さっぱり意味がわからないぞ!』     (朝比奈さんも長門も古泉も、ハルヒも一生懸命になっている! 幻覚じゃないのか!?)     『! あれは神人? 閉鎖空間が発生してるのか!』 ?   『そのようなもの……許しはしない』 キョン 『喋ったか! しかし、許さない?』     『こいつ……さっきから神様か何かのような偉そうなことを。見てもらうとか言っていたか』     『おい! 俺もあそこに連れて行け!』 ?   『名を持たぬ……連れてはいけない』 キョン 『あるだろうが、――――だ!』 ?   『聞こえぬ』 キョン 『なんでだ!』 ?   『神の人……おこがましい……しかし……あの者に死なれては……』 97 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 22:11:17.65 ID:1vVBBed00 ハルヒ 「うっ!?」 みくる 「涼宮さん!?」 シェリル「イデよ! これは何が起こっているのか!? ルウを守ってくださるのか!?」 神人  「ウォァアアアア」スーッ…… コスモ 「なんだ! 光る巨人が消えていく? イデオンガン、撃つぞ!」 長門  『……?』 ベス  『コスモ、やれ!』 コスモ 「うぉぉぉぉぉぉ!」        ギューン  ドドドドドドドドドドドドド ドバ  「これで終わるか……」 100 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 22:16:32.04 ID:1vVBBed00       ドドドドドドドドドドドドドドッドドドド シェリル「ああ、ルウー!」 ハルヒ 「いやああああああああああ!」 みくる 「涼宮さーん!」 ハルヒ (なに、私が巨人を出せて、みんな守れると思ったのに、邪魔するのがいた!)      (シェリルさん、みくるちゃん!? そんな宇宙服じゃあ……)      (私だけなんで無事に!? 変な奴の作った変な光に包まれてるから? これがイデの仕業!?)      (そんな身勝手にされるのはいや、なんでこうなるの!!)      ブワアアアアアアア みくる (涼宮さん、長門さん、古泉君、キョン君、ごめんなさい。こんな宇宙服じゃあ……) ハルヒ 「みくるちゃん、あきらめないでよ!」     「私も飛ばされてる? 吹き飛ばされてるの? 私自身で飛んでるの!?」      (そうよ、ソロシップから離れれば、イデの力から逃れられるんじゃないの?)      (でも、今は私だけが逃れられる……だったら) みくる 「未来のみんなだって……ああ!」       パリーン 101 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 22:21:33.04 ID:1vVBBed00 古泉  「何が起こってるんです? 何の感覚なんですか!?」 長門  「!」 ハタリ 「クッ! ユキ、どうした」 ベス  「なんだ、ハタリどうした! 彗星の爆発がっ」 シェリル(ああ、私は死ぬ? ルウは? でも、これでギジェに会える)       パリーン ギジェ?(……) シェリル(ああ、ギジェ) ハルヒ 「ギジェの幽霊? 小さい光だけがソロシップに戻っていく。ルウ、か」      「イデが求める善き命、ルウにカララの中の赤ん坊」 102 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 22:27:10.03 ID:1vVBBed00 ヒューーーーーーーー ドン! ギンドロ「彗星が破裂した? 何が起こったか」 ドバ  「さてな。だがイデのなさしめた業とは言える。ともあれ、これでロゴダウの船は消えたか」 ギンドロ「ドバ総司令、今回のオーメ財団の協力は忘れないでいただきたいな」 ドバ  「忘れようもない。これで地球に帰ってズオウに対決できるというものだ」 ハルル 「確かに。彗星が消えた……ロゴダウの異星人も、消えたのか? 信じがたい、ポイントへ急げ!」 バッフクラン兵「はっ!」 バッフクラン兵観測「彗星の消えたところから流星が発生している、原因調査を急げ!」 ハルル 「なんだと……?」 103 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 22:36:50.05 ID:1vVBBed00 キョン 『なんだ、妙にたくさんの流星が彗星の爆発したところから……良く見えないが、ソロシップとやらは、ハルヒは無事なのか?』      『おいお前、もっとはっきり見せろよ!』 ?   『次に……見るべき……』 キョン 『ハルヒを見せろと言ってるだろうに……これは地球? 衛星写真で見た事があるのと同じような……』      『さっき現れた流星が降り注いでるのか! こんなのが雨の様に降れば地球は……』 ?   『受け入れなかった』 キョン 『受け入れる? ソロシップとかってのを?』      (ハルヒ達が地球がどうとかって、言ってたのはその事か?)      『津波と土砂で地球がめちゃくちゃになっていくのか。なんでこうなるんだ!?』 ?   『追い詰めるだけの……者達……』 キョン 『また違うものが見えた? 地球と同じようなものなのに、何か違う』 ロウ  「す、すでに防御網は突破され、流星の狙い撃ちに身を晒すだけであります……」 女従者 「御薬をどうぞ」 ズオウ大帝「いや、イデなる力が来んとなれば、ドバめ。しくじったか? このままでは、ん?」       ヒュウウウウウウウウウ ロウ  「ぬ、うお!」 ズオウ 「!」       ゴゴゴゴゴゴゴゴ 104 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 22:42:07.52 ID:1vVBBed00 ハルル 「何!? 死んだ……」 ドバ・ギンドロ「死んだ!?」 ドバ  「流星が直撃! ズオウ大帝が死んだと言ったか」 バッフクラン兵「はっ!」 ドバ  「地球そのものが全滅に近いというのが良くわからん、良く調べろ。その上で――」 バッフクラン兵B『ドバ総司令!』 ドバ  「少し待て! 流星の被害がどのようなものか――」 バッフクラン兵B『巨人が、巨人が!!』 ドバ  「うるさい!」 バッフクラン兵B『ロゴダウの巨人も船も生きています!』 ドバ  「何!?」 105 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 22:49:15.18 ID:1vVBBed00 地球からの通信『こちら地球、こちら地球、キャンベル、北半球の主要都市は全滅! 声が聞こえなくなった!』 キャンベルからの通信『流星が人口密集地帯を狙い撃ちした! 地球は滅亡寸前だ。各移民星の同胞達、聞こえるか!?』           『我らの母星が全滅した! 我らの星にも流星が、ダメだぁ!』               ザー ベス  「地球が滅亡?」     「ハタリ、ハタリ起きろ!」 ハタリ 「……ベス? 無事なのか、俺たち。おい、ユキ」 長門  「んん、ううう」ゴシゴシ ベス  「地球全滅という通信が入った。ユキでも構わない。確かめてくれ」     「対空監視急げ!」 106 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 22:54:40.56 ID:1vVBBed00 コスモ 「うう、」 ベス  『イデオン、応答しろイデオン!』 コスモ 「! デク、起きろ! 助かったぞ俺たち」 デク  「ん、ああ。俺たち彗星にぶつかったんだろ?」 コスモ 「らしいな。バッフクランはまだいるぞ、警戒しろ」     「クソ、こんな時にハルヒ達はどうしたんだ! シェリルさんやルウや、ミクルまでいたはずだけど、見当たらないな」 カーシャ『コスモ、生きてるの? イデのパワーのおかげなの?』 コスモ 「さあ? レーダー反応の強烈な光る巨人らしきものも見えた。何があるかわからないぞ」     「通信からユキの妙な言葉も漏れていた。みんなのチェック急いでくれ!」 カーシャ「了解!」 107 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 22:59:59.15 ID:1vVBBed00       ガチャ カララ 「くう……はあ、なんとか外へ出られたけど。爆発の衝撃でトリモチが外れたのかしら?」     「ルゥー、ルゥー!」 コスモ 「ん、カララさん?」      「ソロシップ、ベス! カララがバッフクランの宇宙服を着たまま外に出た。チェック出来るか?」 ハタリ 『なんだと?』 長門  『識別用コードを使ってくれている』 ハタリ 『そうか……』 コスモ 「信用できるのかい?」 ハタリ 『お前は今さら疑えるのかよ?』 コスモ 「確かにそうだ」         タッ タッ タッ 古泉  『エンジンの調子良好です! それよりも、長門さんもしかして今のは!』 長門  『古泉一樹が神人と呼んでいるものが現れた』 古泉  『とうとうって事ですか……』 108 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 23:05:29.19 ID:1vVBBed00 ハタリ 『どういう事だと思う? カララが探しているというのは』 ベス  『ルウを? まさか』 古泉  『シェリルさんがルゥを連れて甲板に行ったんです! ミクルさんも止めに向かったんですが』     『彼女たちは……?』 ベス  『シェリルめ……それでか。やってくれた。なのにカララがルウを探している』     『その場には後誰がいた』 コスモ 「シェリル、ルゥ、ミクル、止めに出たハルヒだ」 古泉  『ハルヒさんまで! それで、無事なんですよね!?』 ベス  『わからんよ。しかし、カララがルゥを感じてるらしい……もしかしたら』 古泉  『イデに縋ればいいんですか……?』 長門  『おそらく、パイパー・ルゥ以外は見つからない』 ハタリ 『縁起でもない事言うな!』 長門  『……』ギリギリ 109 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 23:10:46.88 ID:1vVBBed00 デク  「ハタリ、やめなよ。ユキだってそんな事考えたくないはずなんだぜ?」 コスモ 「それよりなんでそう思うかの方が大事だな」 長門  『これは、苦しい……?』 古泉  『そうか、今の長門さんは赤ん坊から今まで生きてきた記憶を与えられているから……?』 ベス  『それはどういう事だ?』 ハルル 「イデの力は無限力と言われている。となれば、ロゴダウの船と巨人を倒すには中の一人一人を倒してメカそのものを手に入れるしか無い」 バジラウ「はっ!」 ドバ  「残存艦隊の終結を急がせろ!」 バッフクラン兵「はっ!」 ギンドロ「ズオウ大帝亡き後、ハルル様は貴公の片腕となって」 ドバ  「戯言はよせ。巨人の力が我々に向けられれば、バッフクランの地球ごときは一瞬にしてなくなるのだぞ」      「もし、カララの理想主義がイデをコントロールしたというのなら、われわれも協力体制を取る事だ」 ギンドロ「そうすれば巨人を倒すも可能と言うのか」 ドバ  「そう。裏表の無い人の調和と言う協力をな」 ギンドロ「ふん。そんなものかな?」 ドバ  「でなければイデを我々のものにすることは出来んよ。滅びの道を歩むだけだ」 110 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 23:16:41.82 ID:1vVBBed00           ヒューン ズォォオオオォオオオオ ベス  「何、目の前にデスアウトした!? 白兵戦を仕掛けるつもりか」 ハタリ 「残念だが、ユキ達の尋問はまた今度だな?」 ベス  「人聞きの悪い事を言うな! ユキもイツキも仲間なんだぞ?」 古泉  「ありがとうございます。銃を取りますよ! 長門さんも」チャキ 長門  「百発百中」チャキ ハタリ 「へへっ、頼もしい限りじゃないか!」 古泉  「そうでなければ涼宮さんたちが帰ってこれなくなりますから」 ベス  「総員銃をとれ! バッフクランが攻め込んでくるぞ!!」 カララ 「ギルバウ隊に続きジョング隊も発進、巨人と船を奪うのだ!」 デク  「こいつぅ!」 111 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 23:21:49.69 ID:1vVBBed00 バッフクラン突撃兵「敵艦にとりつけば巨人のミサイルは来ない、続けえー!」        ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン         ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン        ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン         ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン        ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン コスモ 「パワーが上がらない? イデオンガンは撃てないのか。デク、ミサイルはやめておけ。敵が爆発したら巻き添えを喰らうぞ!」 デク  「彗星に当たっても大丈夫だったのに、変じゃないか!」 コスモ 「全くバリアが効いていないんだ。使い過ぎたらしい」 デク  「使い過ぎ、イデを? こいつめー!」      「腕を振ってだって撃墜できるんだ!」 コスモ 「あのスラスター付きのカエル戦車の群れ。どうにかしなけりゃあ!」      「デク、カララを探してくる!」 デク  「イデオンを動かす方が先じゃないの、コスモ!」 コスモ 「バカ、まだ気がつかないのか。カララとルーがイデの力をコントロールしているんだ。ハルヒの事はどうかわからないけど」      「それに、おなかの赤ちゃん。絶対に死なしてはいけないんだ。カーシャ、頼んだぞ!」 カーシャ『了解!』 112 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 23:26:46.43 ID:1vVBBed00 カララ 「ルゥー、ルゥー!?」 バッフクランジョング乗り「仲間の宇宙服!? ジョングがやられたならすぐに戻るんだ! 何!」 コスモ 「カララの前に敵兵か! あたれえ!」バキューン         ドカーン コスモ 「カララ、早く戻れ!」 カララ 「ルゥ、ルゥが!」 コスモ 「カララー!」 113 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 23:31:46.75 ID:1vVBBed00     グワッシャン グワッシャン         グワッシャン     グワッシャン グワッシャン 古泉  「農業用のドームが破られたんですか!? 滑稽な足音を立てますね、長門さん!?」 長門  「……」コクリ バキューン ジョング兵「うおわあ!?」      ドカーン 古泉  「これは負けていられませんね」チャキッ      「それにしても、神人が出てきたんだ……みんなに説明しなければいけません。もう出てくることは無いにしろ」 長門  「……」コクリ      「そのためにはここは死守しなければならない」 古泉  「僕らが死んでもダメでしょう?」 長門  「覚悟を言ったまで」 コスモ 「あっ、ベス。カララを見失った!」 ベス  「カララは俺が探す。コスモはイデオンで艦隊の相手をしてくれ!」 コスモ 「了解、ジョングが張り付いてるのか、貴様あ!」 114 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 23:37:43.39 ID:1vVBBed00 デク  「くそおっこのままじゃあ……」 バッフクラン兵「巨人を渡せば殺しはしないでやるんだ! 何!?」 コスモ 「遅いな」ズキューン      「デク、良くコックピットを守ってくれた! ジョリバさん、大丈夫ですか」 ジョリバ「あ、あ、ああ。ちょっと気絶しちまったらしい。済まない」 コスモ 「そんな事より傷は?」 ジョリバ「それよりも、ゲージがつかない。何故だ」 デク  「これじゃイデオンは動かせないよ」 ロッタ 「バリケードに体は隠しなさいね。撃ち方わかるの?」 アーシュラ「わかるよ、こうでしょ? あっ!」カチッ           バキューン バッフクラン歩兵「うお!」 歩兵B 「貴様!」バキューンバキューン アーシュラ「ああ!」 ロッタ 「伏せて!」      「バッフクランめ!」バキューン 115 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 23:42:45.91 ID:1vVBBed00 ジョリバ「ノーマルエンジンがせき込んでるようだ。見てくる」 コスモ 「頼む。このままでは乗っ取られる!」      「ルゥかカララの赤ちゃんが来ないとパワーは上がらないのか!?」      「ん、光? カララか! カララを連れ戻してくる。コントロールはカーシャに任せろ!」 デク  「了解!」 コスモ 「ハッチには電気を流しておけ。バリアー代わりになる」 デク  「了解、イデオンガンが使えりゃあ! うわあ!」                  スーッ コスモ 「パイロットは殺して、ジョングは丸ごともらうぞ!」バキューン ジョング兵「ああっ!」        スト コスモ 「よし、動作系は簡単なようだな。これでいける」      「光っているカララ!」 ジョング兵B「ん、あれは何の光だ!?」 コスモ 「このおっ!」 カララ 「ああ、ルゥを見つけた、ルゥ!」      パァァァァァァァ コスモ 「カララさん! ルゥと一緒になって光が強まっている?」      「それに、他の人達は? ルゥしかいないのか!?」 117 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 23:48:39.66 ID:1vVBBed00 ハルル 「あれは、カララだ! しかし……何故そう思えるのだハルル」     「全ての始まりが、あのカララだから私にはわかる!」 ジョリバ『エンジンがオーバーヒート気味だった。これで何とかなるぞ!』 ベス  「よし、イデオンはそのまま敵の相手をしろ!」     「ゲージが上がってくる? しかし、イデの流れが偏っている」 古泉  「農園に侵入した敵は倒しました!」 長門  「モニターを見て」 古泉  「あれは、ルウ? それなら涼宮さんも」 長門  「……イデはカララ・アジバと涼宮ハルヒも守っていた。これらの可能性もある」 ハタリ 「そのどれかか? もしかしたら全部であればいいんだが」 ベス  「ああ」 118 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/27(木) 23:54:34.55 ID:1vVBBed00 コスモ 「カララさん! 早く、後ろに乗って!」 カララ 「コスモ、ルゥが! ああっ!?」       グァアアアアアアア コスモ 「重機動メカ!? この距離じゃあビームの直撃を受ける!」 トロロフ「あれがハルル様の言う輝きか。撃つぞ。アス」 キラルル「ベル」 トロロフ「トップ!!」      ドゥッ ルゥ  「だぁ、ウゥァアアアアアアアアア!」 古泉  「ゲージがつきました。イデオン、動けるんじゃないですか!?」 カーシャ『了解!』          ブワァァアアアアア ハルル 「さすがキラルルとトロロフだ。あの光に直撃を加えてくれた」 トロロフ『妙だ、キラルル。あの光はおかしい!』 キラルル『確かに、何だと思うトロロフ! 何だ?』 121 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 00:02:35.56 ID:v0r6qB9k0          ブワアアァアアアアアアアア コスモ 「なんだ、バリアーなのか!?」 古泉  「エンジン始動しました! 脱出できます。長門さん、シートに座っててください」 長門  「感謝する」 古泉  「お互い様です」 ベス  「デスドライブ!」         シューーーーン…… ハルル 「亜空間飛行か。センサーチェック急げ、追撃戦に移る。ザンザ・ルブの回収急げ!」 トロロフ『ありがとうございます』 ハルル 「なに、まだ頑張ってもらわなければならないからな」 124 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 00:08:57.57 ID:v0r6qB9k0 ベス  「なんだ? イデのエネルギーの流れの偏りの点が動き出しているのか?」 古泉  「移動を開始したって事でしょう? 各モニターのチェックを」 長門  「もうコスモを見つけている」 ハタリ 「コスモが? いや、後ろにルゥとカララが乗っている!」 古泉  「涼宮さんじゃない……?」 長門  「先ほども言った通り、恐らくはもう」 古泉  「信じたくありませんけど、長門さんだってそうでしょう? ルゥだけがここにいるのなら、あんな中で生き残れたのはルゥだけ」 長門  「朝比奈みくるも……」 古泉  「ええ、ええ……!」 ハタリ 「イツキ、ユキ……」 長門  「大丈夫」ギュッ 古泉  「長門さん? 手を握るんですか」      (そりゃあ、そうですか……)      「大丈夫です。ここであきらめちゃあ男が廃りますからね」 ベス  「ああ、苦しいだろうが」 古泉  「承知の上です!」      「ユウキさんはジョングに乗っています! ユウキさんを撃たないように!」 125 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 00:14:55.61 ID:v0r6qB9k0 ファード「聞こえた? アーシュラ」 アーシュラ「うん。あれじゃないかな」 コスモ 「アーシュラ、ファード! お前たち、良くも無事で戦ってくれた!」 ファード「子供だからって、デクだって戦ってるんだよ?」 カララ 「そうね」 ロッタ 「ルゥ、ルゥは!?」 ルゥ  「まんま、まんま!」 アーシュラ「ミクルとハルヒは?」 コスモ 「……」フルフル ファード「そっか……」 コスモ 「戦いなんだもんな。今は仕方がないって思うしかないさ」 ファード「そんなこと分かってるよ。もう泣かないってモエラと約束したんだから」 コスモ 「良い子だ」 カララ 「さあ、ブリッジに上がりましょう」 126 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 00:21:12.62 ID:v0r6qB9k0 トロロフ「ハルル様、これがザンザ・ルブのビーム直撃直前の拡大写真です」 ハルル 「カララだな。この輝きがバリアとなっているわけか」     「カララは子を宿しているという。さらに赤ん坊を抱いていて、そこにバリアーか」 キラルル「イデ発動の中心と考えていいかと」 トロロフ「でなければザンザ・ルブのビームの直撃をはねのけるなどあり得ません」 ハルル 「フッ、勝ったな、我々は」 キラルル「ハア?」 ハルル 「そうだろうが。先のジョング隊の攻撃は闇雲の特攻だった」     「カララと赤ん坊だけを狙えばいいとわかれば事は簡単。私も出る。当てにしているぞ?」 トロロフ「はっ!」 127 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 00:28:10.61 ID:v0r6qB9k0 ハタリ 「敵艦をキャッチしたぞ、ベス」 ベス  「何? 何故そうも早くこちらを追いかけられるのだ」 長門  「イデの力と推測される。すでに時空が歪む量のエネルギーが放出されている」 ハタリ 「逆探知は簡単というわけか」 ベス  「とはいえ、今はエネルギーを落とすことは出来ない」 古泉  「そうですね」 ガンド・ロワ メカマン『ガンド・ロワの調整、急いでおります』 ドバ  「よし、もうすぐ巨人たちが姿を現す。その前に最大の威力を出せるように調整を急げ」 メカマン『はっ!』 ギンドロ「ガンド・ロワの威力はあの通りですからな。先ほどの試射で星が一つ消えた」 ドバ  「低い出力でも地球の十倍の大きさの惑星が消滅させられるのだからな」      「超新星をエネルギー源にすれば、加粒子砲もこんなものか」      「あの彗星とは桁が違うのだからな。いかな巨人と言えど一撃で叩けよう」 ギンドロ「確かに、信じるよ」 ドバ  「もっともそれもオーメ財団の協力あったればこそだがな」 ギンドロ「そう思っていただければありがたい。以後も昵懇にな」 128 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 00:37:13.84 ID:v0r6qB9k0 カーシャ「ベス、バッフクランが!」バキューン カキィン 長門  「私が撃つ」バキューン ジョング兵「っ!」 カーシャ「すごい!」 古泉  「さすがですね」      タッ タッ タッ       タッ タッ      タッ タッ タッ       タッ タッ コスモ 「みんな、急げ!」 ルゥ  「まんま!」 ロッタ 「よしよし。いい子だ」 ファード「ベス!」 ベス  「コスモ、良くやった!」 カーシャ「コスモ、ケガは無い?」 カララ 「ベス!」 ベス  「カララ、良く戻って来てくれた。裏の林の中にな!」 130 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 00:44:53.72 ID:v0r6qB9k0 古泉  「ユウキさん、無事でよかった」 コスモ 「ああ、ハルヒもミクルも見つけられなかった。済まない……」 長門  「っ……気にする事はない。それよりも」 ベス  「そうだ。今後の事を相談しないとな。それにイデオンのパイロットがいるんだ。長門達の話も聞かせて欲しい」 古泉  「神人の事ですね?」 ベス  「そうだ。しかしそれよりまずはバッフクランへの対抗策だな」 コスモ 「イデオンは?」 カーシャ「デクノとベントが中心になって補給中。デクも頑張ってくれてるわ」 コスモ 「そうか、それよりもカララはおめでたなんだってな? おめでとう!」 ベス  「おめでた? ほんとなのか、カララ。妊娠してるって!」 131 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 00:51:06.09 ID:v0r6qB9k0 カララ 「はい」 ベス  「こんな時に赤ん坊か……」 カララ 「ベスの赤ちゃんです。嫌なのですか?」 ベス  「そんな事は無い。それより、なぜ今まで教えてくれなかったんだ。何故」 カララ 「皆さんに嫌われたらと思うと」 ベス  「バカ、誰が嫌うものか」 古泉  「そうか、それでカララさんはイデに守られていたんですね?」 コスモ 「そうだ。さっきは重機動メカの直撃も受けたんだ。だけど、すべてカララのお腹の中に赤ちゃんがいたおかげで」 カーシャ「イデがカララの赤ちゃんを中心に力を発動させてるって事ね」 長門  「ただ守りだけのためなのか、バッフクランを倒すための力なのかは分からない」 ロッタ 「付け加えるなら、ルゥがいた事も関係あるんでしょ?」 コスモ 「そうだ。カララさんは二人が会いたがっていたって言っていた」 132 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 00:56:12.11 ID:v0r6qB9k0 ロッタ 「でも、男の人って鈍感なのね。言われるまで気がつかないなんて」 ルゥ  「マンマー!」 長門  「私も気がつかなかった」 古泉  「長門さんはほら、アクセスできませんので」 長門  「それと私の性別とは関係が無い。私もここでは十六年間生きてきたも同じ」 ベス  「戦争中だろ? 無理だよ」 ハタリ 「さてさて、それなら我々の防戦態勢も決まりだな」 コスモ 「そうじゃないか。カララのお腹の中の赤ちゃんは。ベス一人のものじゃあない」     「ソロシップ全体を守る力になるかもしれないんだ。ほら、なんて言ったっけ。伝説の中に出てくる救世主の名前で」 長門  「メシア」 コスモ 「そう、メシアなんだ。メシアとルゥを中心にした防御ラインを引く」 133 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 01:01:40.79 ID:v0r6qB9k0 カーシャ「ふふ、焼けるわね。コスモ、私はルゥとメシアの守りにつきたいわ」 ベス  「しかし……デクを呼び寄せた方が良くないか?」 古泉  「それはよくありません。デクをイデオンが受け入れたのはイデの選択と言う事があるかも知れませんから」 ベス  「?」 カララ 「イデは、大人よりも子供の純粋な防衛本能にシンクロしたわけね」 コスモ 「そうしてイデが力を貸してくれなきゃ、俺はイデのパイロットをやっていられなかったさ」 カーシャ「私には、パイロットの素質があったわよ?」 コスモ 「へーぇ、そうかい?」 カーシャ「そうですよ」 134 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 01:08:33.78 ID:v0r6qB9k0             宇宙? ハルヒ (私はイデを認めたくない……それでする事と言えば?) ?   『何故……我から逃げる』 ハルヒ 『!? 何。姿が……キョン!?』 キョン 『よ、よー。ハルヒ。元気か?』 ハルヒ 『っ! 元気な訳ないでしょ! みくるちゃんが死んじゃったのよ!?』 キョン 『なんだと!? おい。お前、どういう事だ!』 ?   『我は……我を生かすために』 ハルヒ 『我を生かすために、みくるちゃんを……あなた、イデなの!?』 イデ? 『応える……必要は……ない』 ハルヒ 『あるわよ! あんたが自分の好きなものだけを守るからみんなが悲しい思いをしてる!』     『ルゥとお腹の赤ちゃんだってきっと!』 136 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 01:13:51.50 ID:v0r6qB9k0 イデ? 『善き命ならば……』 ハルヒ 『争っていれば悪い命だって言うの? あんなに一生懸命なのに!』 イデ? 『争いを止めていれば……』 キョン 『おい、お前。勝手なこと言ってんじゃねえよ!』     『地球をぶっつぶしたのもお前だってことじゃねえか! みんなの話を俺だって聞いてたんだぞ!?』 ハルヒ 『キョン、こんなところからずっと見てたの?』     『キョンっていう空想だと思っていた奴がここにいるって事は、私は高校生だったはず?』 イデ? 『我が……そうした』 ハルヒ 『私達に殺し合いをさせたいんだ!?』 イデ? 『学ばせなければ……善き命の可能性……我が生きるために……』 137 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 01:19:31.84 ID:v0r6qB9k0 ハルヒ 『今の私はよくわからないけど、あんたのようなのを認めないでいられそうなのよ!』 キョン 『ハルヒ、あんなことする奴を認めないって……』 ハルヒ 『直接、力で捩じ伏せる事が出来る気がする。私がここにいるのだって、私が自分でソロシップから離れられたのだって!』 キョン 『! 自分の事を分かってしまったのか? なんでだ!』 イデ? 『やって見せれば……』 ハルヒ 『吠え面をかかせてやるわ!』 キョン 『顔は見えないけどな』 ハルヒ 『キョン、うるさい、あんたは私の言う事を聞いてなさい!』 イデ? 『……?』 139 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 01:25:37.48 ID:v0r6qB9k0 古泉  「それで、いいですか? 私たちとしては一世一代の告白になるわけですけど」 コスモ 「ああ、話があるって言っていたな。あの光る人型の話だって聞いた」 古泉  「ええ、あの光る人型を神人と呼んでる事は話しましたね?」     「まず、最初から話をさせてもらうわけですけど。私たちには移民者としてソロ星に来たのとは別の記憶があります」 ハタリ 「なんだって? そりゃどういうことだ」 長門  「移民者としての記憶をはっきり持っているが、そうではない者として生まれ育った記憶を持っている」 カーシャ「へえ、それじゃあ、普通の人にしたら二人とももう四十年分位記憶を持ってるわけ?」 140 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 01:32:16.37 ID:v0r6qB9k0 古泉  「まあそんなものです」 長門  「その認識は大きく間違っている。二つの記憶はそれぞれ独立したもの。だから二度この年齢まで育って来たと言った方が近い」     「この宇宙開拓時代での生活と古代地球と思われる場所での生活」     「さらに言えば私は情報統合思念体によって生み出された端末として三年しか生きていない記憶を持っている」 コスモ 「あーあ、また長門の説明好きか。もっとわかるように話してくれないと困っちゃうよな」 カーシャ「そうよ。つまりあなた達は四十歳なわけでしょ?」 コスモ 「そりゃ違うな。まだ二人とも二十歳まで来てないんだから。三十二歳ぐらいになるんじゃないか?」 ハタリ 「おいおい。違うって。長門は二回十六歳まで育ってきたって言ってるんだよ、単純なやつは困っちまうなあ」 長門  「……」コク 141 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 01:37:36.03 ID:v0r6qB9k0 コスモ 「おいおい、そりゃないだろ?」 古泉  「それでさらに言えばもうひとつの記憶での長門さんは三歳でこの姿です」 カーシャ「へーえ! 老けてんのねえ!」 長門  「……」ビキビキ 古泉  「長門さん、抑えて下さい!」     (十六年分の人間としての記憶の所為か、感情表現が豊かですねえ) コスモ 「それで、どういう事なんだ?」 古泉  「私たちが考える所によると」 長門  「恐らく、イデの力か涼宮ハルヒの力によって私たちはそのもう一方の記憶の世界から最近に飛ばされてきた」 カーシャ「いつ頃?」 古泉  「キャラルから出ていく辺りでしょうか?」 143 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 01:42:43.37 ID:v0r6qB9k0 コスモ 「最近じゃないか! そうか、それでお前たちと一緒に切り抜けた場数が少ないような気がしたんだな?」      「あれ、でもそれじゃあ生まれてからの記憶があるのはおかしくないか?」 古泉  「イデが記憶を定着させたんだと思います」 カーシャ「そっか。だからイデの力がどんどん強くなって、SOS団のみんなに対する違和感は無くなっていく」 ベス  「なるほど。しかしそれでは現状としては我々の仲間だと言う事に変わりは無いわけだ」 コスモ 「そうだな。万事オッケーじゃないか」 ハタリ 「コスモ、カララのオメデタで頭がぼーっとしてんじゃないか? 光る巨人はなんなんだよ」 長門  「突然変異的な力を持ち、世界の全てを改編しうる涼宮ハルヒが自身のフラストレーションを貯めた時」      「周囲に影響を及ぼさぬよう限定した空間を発生させ、その中で出現」      「大量の物を破壊する事でフラストレーションを発散させるもの」 コスモ 「あちゃー!」 145 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 01:47:51.29 ID:v0r6qB9k0 コスモ 「あちゃー!」 カーシャ「で、古泉君?」 古泉  「かいつまんで言えば涼宮さんが呼び出す怪獣のようなものです」 コスモ 「人が怪獣を呼ぶなんてSF映画じゃないんだからさあ」 ベス  「コスモ、その言葉は自分に帰ってくるぞ。イデの前ではな」 カララ 「涼宮さんが呼び出した? 涼宮さんがどうしたんです?」 古泉  「ええ、涼宮さんは、原因不明ではあるんですが、要は何でもする事が出来るんですよ」      「この言い方だと長門さんもなんですけど」 長門  「なんでもではない。できることだk」 古泉  「イデにいらない事まで教わったんですか?」 長門  「これは自主的。しかし理解した古泉一樹に対してある種の親近感を持たざるを得ない」 146 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 01:54:14.20 ID:v0r6qB9k0 ベス  「しかし、おかしいじゃないか。それではユキもハルヒも手を抜いていた事になる。今回の戦いを見る限りは信用できないな」 古泉  「長門さんの場合はテレパシーのようなもので宇宙のどこかにある親とでも言うようなものと交信して力を使っているんですよ。制約も多いようですし」      「つまり、大本はその妙なものですね」 コスモ 「親? 三歳ってそういう事か。変な事もあるもんだなあ。そりゃイデみたいなものかい?」 古泉  「いいえ、こんなに明確に働きかけてくるものじゃないと思います。もっと無機質なもの。人間とは本質的に違うものですね」      「それで、長門さんはソロシップではなんらかの力に妨害されて全く力を使えないらしいです」 コスモ 「なんらかの力? それがイデか。イデも生きたがってるって事を考えれば訳のわからないものじゃあないものな」      「それならイデの方が強そうだって信じられるか」 古泉  「恐らくは」      「そして涼宮さんの方が肝心です。彼女の力は細かな矛盾ごとひっくるめて全て改変してしまう力を持っています」 149 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 02:01:53.67 ID:v0r6qB9k0 大事なことなので二度言ったのか。ちなみにコスモもだ、すまん。 コスモ 「つまり?」 古泉  「涼宮さんが望めば、この世は地球人が宇宙進出する前の氷河期まで逆戻りする事が出来ます。まあ、もう手遅れですが」 ベス  「すごいな。それで使っているのがハルヒだとすればまさしく第二のイデかもしれん。力を使えないのは何故だ?」 古泉  「これもイデだと思います。イデ自身自らの意識で無限力を発生させてる節がありますが、涼宮さんの場合は全くの無意識下の、強烈な言葉にならない意思」      「そういったものがより大きな力を持つ。ですから、そう思う間もなくイデが状況をコントロールすれば涼宮さんを抑えられるでしょう」      「それに涼宮さん自身の力がイデより勝っている可能性というのも分からない話です。どちらが上かなんて見当もつきません」 長門  (成長の可能性はまだ言わない方がいい……? どちらにせよ分からない事かもしれない) コスモ 「長いな?」 ハタリ 「お前らがいるからしてる話だぞ?」 ベス  「ここに来たのがハルヒの仕業でない根拠は?」 長門  「……」 古泉  「あー、長門さん。すいません。どうぞ」 長門  「涼宮ハルヒが望んだのならば、ここにいる筈の人間がいない」 古泉  (失敗ですかね?) 151 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 02:07:30.09 ID:v0r6qB9k0 ハタリ 「SOS団というやつのか?」 古泉  「そうです。つまりはイデはエネルギーをどう使う事も出来る様だという事ですね」 コスモ 「それでも、生きるしか無いな。それにそれじゃあ希望は出てきたじゃないか」 古泉  「涼宮さんの彗星を払いのける願望はおそらくイデに邪魔されました。ですから、みくるさんも涼宮さんもシェリルさんも」 カーシャ「違うわよ! 彼女たちがイデから離れて自分達の体を守ってる可能性があるわ!」 長門  「!」ニコリ コスモ 「久しぶりのいい顔じゃないか。その調子で行こう!」 152 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 02:13:46.82 ID:v0r6qB9k0 なんてこった。このメモ帳には今まで投下したのと同じくらいのテキストがあるぞ! ルゥ  「まんまー」 ロッタ 「はい、ミルク。すぐにご飯持ってくるからね」 ルゥ  「まんまー!」 ラポー 「戦闘食は行きわたってる? ミクルが作ったサンドイッチの作り置きとかも、おいしいうちに食べなくっちゃ、もったいないわ!」 ロッタ 「ええ。それは当然。でもラポーさん? さっきの話を聞いてるとこれでミクルのサンドイッチが最後ってわけじゃないかもしれないって思えるわ」 ラポー 「それはもう。嬉しい話だわ。はいこれ、イデオンのみんなの分」 コスモ 「ああ、ありがとう。じゃあカーシャ、がんばってな」 カーシャ「コスモもね」 長門  「私は直接カララ・アジバを守りたい」 古泉  「では僕は、と。林のまん前にいましょうかね」 コスモ 「イデの力は俺たちを守ってくれる。そう信じよう。でなけりゃあ、カララに赤ちゃんなんて出来はしなかったよ」 155 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 02:18:47.01 ID:v0r6qB9k0 カララ 「ではベス、また」 ベス  「カララも、お前たちは何見てるんだ!」 コスモ 「キスなんかしちゃってさ。幸せにな」 ベス  「これが終わってからだ!」 カーシャ「クッ、フフフ」 古泉  「ハハハハ」 カララ 「なにか」 長門  「なんでもない。ベスはいい人だと皆感じている。カララ・アジバもそう思う?」 カララ 「はい!」 カーシャ「まあ!」 コスモ 「熱くて結構!」 157 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 02:22:46.49 ID:v0r6qB9k0 カーシャ「ねえ、コスモ。私たちもしよ?」 コスモ 「え? ……」     カツン コスモ 「だめだな、これじゃ。ヘルメットが邪魔だ」 カーシャ「だめね」 コスモ 「死ぬなよ、カーシャこの戦いが終わったら」 カーシャ「少しは仲良くしようよね。怪我、しないでね?」 コスモ 「うん。じゃあ」 古泉  「……」     (それにしても、涼宮さんが助かっているのなら、今どうなっている? 僕たちとバッフクランの戦いを黙って見ていてくれるのか?) 159 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 02:27:41.39 ID:v0r6qB9k0 俺も修行が足りんな。白石脳内再生してちょっと噴いてしまったw キラルル「第一隊、第二隊出撃。ジョング隊を発進させるズロザンが遅れています」 トロロフ「いや、今亜空間解除する」       スゥゥゥゥゥゥ…… ハルル 「ん、急げよ。キラルル、トロロフ、なぜヘルメットをつけん。軍規違反だぞ」 トロロフ「性に合いませんで」 キラルル「フフ、トロロフはヘルメットで自分の美貌が隠れるのが嫌なのです」 ハルル 「アッハハハハ、それならキラルルとて同類だろうが?」 キラルル「はっ!?」 ハルル 「で、私はどうなる。死ぬまでヘルメットをしてはならん訳だ」 トロロフ「は、仰せのとおりで」 ハルル 「お世辞はいい。んフフフフフフ、アハハハハハハハハ」 161 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 02:33:19.62 ID:v0r6qB9k0 コスモ 「デク!」 デク  「遅いぞコスモ、もう敵のカエル戦車が来た!」 コスモ 「すまん。イデオノヴァのコックピットに移れ。カーシャがソロシップに残った」     「カーシャにはメシアとルゥを守ってもらうんだ!」 デク  「メシア?」 コスモ 「カララのお腹の中の赤ちゃんの名前だ」 デク  「今の内に食べとかなきゃ……ラパパ、お前も食べておけよ」 ラパパ「チチ……」 デク  (死ぬかも知れないのに、何で食べてるんだろオレ) 163 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 02:37:46.60 ID:v0r6qB9k0       ギューン       ガチャ デク  「エンジンどうなってる?」 なかなか死なないベント「良好だよ」 デク  「はいこれ。コスモが持ってきたサンドイッチ。ミクルの作り置きだぜ」 ベント「ひゃー、助かる! うまいんだよなあ」 デク  「イデオバスター、テクノさん、よろしく!」 テクノ 「おう、アテにしてるぞ!」 コスモ 「出るぞ!」     ゴォォォォォォォ デク  「イデオンガンを忘れるなんてー!」ガチャン コスモ 「良く気がついたぞ、デク!」 164 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 02:44:31.22 ID:v0r6qB9k0 トロロフ「巨人が大砲を持っています、下から回り込んで!」 ハルル 「ならん、あの砲は撃つまでに時間がかかるようだ、直進しろ!」 トロロフ「アビゴはどうしますか?」 ハルル 「任せる!」 キラルル「ん、なんだ?」 ハルル 「どうした?」 キラルル「はっ、レーダーに妙な反応が多数。何やらイデの巨人と同サイズの正体不明の反応がこの空域に」 ハルル 「正面のものではないのか!」 キラルル「はい!」 ハルル (なんだ? どちらにせよこの状況を作っているのがカララとイデならば、ソロシップに乗りこめばいい!)      「構わん、他の重機動メカを回せ!」 166 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 02:50:28.53 ID:v0r6qB9k0 コスモ 「パワーが上がっていない!」      「このままではあのアビゴとかいう小さいのにやられっぱなしだぞ!?」 ハルル 「もらった!」 コスモ 「味方を犠牲にして突進してくるのか!」 キラルル「巨人の足を取った!」ガシン コスモ 「ええい! もう戦いは無意味なハズだ、『なぜ戦う』!」 ハルル 『何故戦う? ロゴダウの異星人の声か! 私のダラム・ズバを殺しておいて何を言うか。恨み晴らさぬではダラムに申し訳が立たん!』 コスモ 『それは俺たちも同じだ! 父を、母を、隣人を殺された!』 ハルヒ 『そうよ!』 キョン 『おいハルヒ、大丈夫なのか!?』 ハルヒ 『キョンは黙ってなさい!』 167 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 03:02:38.91 ID:v0r6qB9k0 ハルル 『なんだ、この声は?』 コスモ 『! ハルヒの声? 生きてたのか!!』 ハルヒ 『そうよ、バッフクランがみくるちゃんも殺した、おあいこよ!』 ハルル 『こいつも異星人の声か! 我らの母星を滅亡させた力を持つ者たちが!』 ハルヒ・コスモ『誰がそうさせた!』 デク  「コスモ、レーダーに強い反応多数。重機動メカとは比べ物にならない!」 コスモ 「なんだと?」 ハルヒ 『やっちゃって! 力を発揮させるなら、私が思うように動いてくれればいい!』 キョン 『おいハルヒ、そういう考え方はまずい!』           ヌゥウゥゥゥゥゥ 神人  「ぉぉぉぉぉぉぉ!」 トロロフ「反応の正体はこいつか!」 キラルル「神々しい姿の巨人! これこそイデの巨人というもの!?」 ハルル 「だまれえい!」 神人  「ぐぅぉおおおおおおおおお!」ブゥン ハルル 「殴られた!? 脱出して異星人の船に取り付け!」 168 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 03:07:57.55 ID:v0r6qB9k0 古泉  「うっ、またあの感覚?」 ハタリ 「おい、イツキどうした!?」 古泉  「レーダーを見てください、どうなってます?」 ベス  「どうなってるって……イデのレーダーがキャッチしているのは重機動メカじゃあ」 ハタリ 「違う! 妙な輝きの点がいくつも、イデがより強く反応するこれは……彗星の時に見た神人か!」 古泉  「……、やはり! イデが何かをやっている」ブォン ハタリ 「! イツキ、その赤いボールはなんだ?」 古泉  「なに、ちょっとした特技です。どうも僕はやらなきゃならない事が出来たようです。ここの守りを任せられませんか?」 ベス  「どういうことだ!」 長門  「古泉一樹は神人を倒すための能力を持っている」 ハタリ 「長門、カララの護衛は?」 長門  「イムホフ・カーシャに任せて来た。話さなければならない事が出来た」 古泉  「まさか……長門さん、端末としての」 170 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 03:17:13.85 ID:v0r6qB9k0 長門  「……」コク      「神人は涼宮ハルヒの潜在意識の為したもの。これだけの数の中にはおそらくイデへの攻撃意識の塊が多く存在する」 ベス  「ハルヒがそんな事をするのか? 信じられないが……」 長門  「今まで情報統合思念体との切れていたリンクが急に復活した。しかも私の記憶と符合する形のリンクで。権限の復活はほとんど無いが」      「それの意味するところは、おそらく」 ベス  「イデがやらせたという事か? しかしお前たちに何ができる?」 古泉  「神人を倒せると言いました。イデはおそらく僕に自身を守らせるつもりです。そして長門さんは神人に対する反応の緩衝か、それとも」 長門  「……」コクリ ハタリ 「ベス、イデオンガンを使ったにしてもバッフクランの反応の減りが早い。神人って奴がかなりの力を持ってる証拠だぞ!」 ベス  「古泉になら止められるのか?」 古泉  「ええ。少なくともある程度通用するはずです」      「そして、私たち二人共が力を発揮できる状況を作ったという事は、私たち二人共が必要なのかもしれない」 ベス  「だろうな。心配ではあるが、出来ると言うのなら行ってくれ。当てにはするがくれぐれも気をつけるんだぞ!」 古泉  「分かっています!」 長門「では、私は引き続きカララ・アジバの護衛に移る」 172 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 03:26:08.60 ID:v0r6qB9k0 ドバ  「このレーダー反応はなんだ! 我が軍の重機動メカが次々と破壊されている」 ギンドロ「イデのなさしめる業だろう?」 ドバ  「それにしても急過ぎる。何かが起こったに違いないが。しかし、イデが心変わりでもしたというのか? ばかな!」 コスモ 「神人ってのに助けられた!? デク、イデオンガンは撃てるんだな?」 デク  『パワー良好!』 コスモ 「よし! ……なんだ?」 神人  「ゴオォォォォオオオォオオォ」ブォン      ガツン! コスモ 「何だ!」 デク  『殴られた! こいつ味方じゃないの!?』 古泉  『ユウキさん、ユウキさん、聞こえますか!?』 コスモ 「イツキ、どうした!」 古泉  『神人の半数程がこちらに攻撃を仕掛けてくる気配があるはずです!』      『それと気づいているかもしれませんが涼宮さんが生きています!』 174 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 03:31:21.75 ID:v0r6qB9k0 コスモ 「今ちょうど殴られた! バリアがなければ死んでいたぞ!?」      「それに俺はさっきハルヒの声も聞いたぜ?」 古泉  「声……!?」      「とにかく、涼宮さんの深層心理の表れが神人です! イデへの強いやりきれなさはそのままイデに来るはずです!」 コスモ 「つまりイデオンとソロシップか!」 長門  『そう。識別は出来ない。向かってくると思う神人は全て倒して』 コスモ 「そんなにか! ハルヒは苦しんでいたか……」 デク  『コスモ! ミサイルが効かない!』 175 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 03:37:15.60 ID:v0r6qB9k0 テクノ 『イデオンガンを使え、コスモ!』 コスモ 「ああ!」 古泉  『ソロシップを守る手だてはあります。イデオンは自衛に専念してください!』 コスモ 「了解!」      (どんな手立てだ!? しかし、やり切れなけりゃあ!)      「イデオンガン!」グイ       ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 神人  「ぉおおおおおおおおおおおおお!」 スゥゥゥ…… デク  『さっき助けてくれた奴は頭が金色に光ってた! もしかしてあれ、ハルヒが中にいるんじゃないの!?』      『気を付けなよ!』 コスモ 「わかった!」 176 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 03:43:32.15 ID:v0r6qB9k0 ハルヒ 『どうしてこうなるのよ!? もう! バッフクランが減ったのはいいけどこれじゃあ意味が無い!』 キョン 『だから不味いって言っただろうが!』 ハルヒ 『遅いのよバカキョンのアホ!』 キョン 『どっちかにしろよ!』 ハルヒ 『どうしよう、イデが嫌いだからって私はこうしたいのじゃあないのに!』 イデ  『自制……知らぬ……我……抑える』 ハルヒ 『うるさい! あんたは人が考えてる事を邪魔するしか無いでしょ!』 キョン 『ハルヒ、落ちつけよ! お前が仲間だって思える連中ならきっと大丈夫だ』 ハルヒ 『私がみんなを殺すかもしれない!』 キョン 『実際にバッフクランは減ったんだ! 今なら古泉や長門だって。おれの指してる先を見ろ!』 ハルヒ 『!? 古泉君、あんな事が出来るの!?』 キョン 『お前がこうなんだ。不思議じゃないだろ』 ハルヒ 『それは……』 イデ  『名も無い……抗体……? 落ちつかせる……?』 178 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 03:50:45.48 ID:v0r6qB9k0 ベス  「くっ、ミサイルが効かないではグレンキャノンぐらいしかないが……」バキューン バッフクラン歩兵「うっ!」 ハタリ 「こっちは自衛もしなきゃあならん! これじゃあハルヒを恨むぜ」 ベス  「ハタリ、腐るんじゃないぞ。生きてた事に喜ぶんだ」      「古泉もやってくれている。こっちに専念するぞ!」 神人  「グヴォオオオオオ」ブン! 古泉  「通しませんよ!」ガシイッ      「さすがに直接の打撃を受けとめるなんてのは難しいですね」 長門  『今超能力者は古泉一樹だけ……だから強くなっている?』 古泉  「そういうことらしいですね! せい!」ブン     「放り投げられる! あっちの記憶の世界でもこう出来ればいいんですが!」 神人  「ォオオオン」        ガキィッ 長門  『バリアーが強く働いているが、どこまで保つかは分からない』 古泉  「了解です。ふんもっふ!」 179 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 03:56:09.29 ID:v0r6qB9k0      ブーン      ガーーーー ハルル 「潜入は出来たが、ここは農業ブロックか?」     タッタッタッ トロロフ「こちらの方で銃声が!」 ハルル 「うむ!」     タッ タッ タッ      タッ タッ     タッ タッ タッ ハルル 「なんとしてもカララは私の手でしとめたい」 トロロフ「あそこにジョング隊の生き残りがいます! 聞いてみれば!」 ハルル 「カララはどこにいるのか!?」 ジョング隊「知るかよ、この奥じゃないのか!」       「ホバーで向かってくる敵がいるのか!?」ズキューン ソロシップクルー「うわああ!」ドカーン ジョング隊「ジョング無しじゃあ無理だ!」 180 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 04:02:52.75 ID:v0r6qB9k0 ハルル  「先導しろ!」 ジョング隊「え?」 ハルル  「敵の防御線の一番厚い所にカララがいるはずである!」             タッ タッ            タッ タッ タッ             タッ タッ            ガチャーンガチヤーン ハルル  「トロロフ、あそこが怪しい。そっちから回り込め!」 トロロフ 「はい。ここは這わなければならないか……」ズリズリ       「ハルル様の命令でなければ、こんなこと。 ハッ?」 ロッタ  「えーい!」ドゴッ トロロフ 「バズーカ砲!? うわあ!」ドカーン ハルル  「トロロフ! しかし、壁を自ら破ったな?」バキューン ロッタ  「うっ、手首ぐらい!」 ハルル  「貴様、カララはどこか!」 ロッタ  「!?」 ハルル  「カララはどこかと訊いている!」 181 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 04:09:25.81 ID:v0r6qB9k0 ロット  「ハルルさん、ですね?」      「私は以前カララさんを殺そうとした女です!」      「でも、もう今はあの人は殺させません!」 ハルル  「小娘が、撃て!」 長門   「そうはさせない」バキューン キラルル 「ハルル様! うっ」ドンッ ハルル  「キラルル、肩を撃ち抜かれたか! しかし貴様、そのような小さな体で。子供か!?」 長門   「違う。情報統合思念体により生成されたヒューマノイドインターフェース」       「同時にこの世界で生まれ育ち、ソロシップで逃げ続けてきた長門雪希でもある!」 ハルル  「訳の分らぬ事を! 小さな子供というのは殺したくはないがカララをかばい立てするのなら容赦はせぬ!」バキューン 長門   「権限は少しは回復している」スッ ロッタ  「弾丸が止まった。ユキ?」 182 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 04:14:21.23 ID:v0r6qB9k0 ロッタだ。ロッタ。さっきから重要シーンでミスるね 183 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 04:20:39.66 ID:v0r6qB9k0 長門   「心配無い。数発の弾丸を止める位」 ロッタ   「さっき話してた……」 ハルル  「またしてもイデか。カララを直接守る女ならばそうもなろう。この近くにカララはいるな。読めたぞ?」       「居場所を教えろ!」チャキッ カララ  (長門さん、もう止めて……私が) 長門   (だめ。まだ後二・三発は耐えられる。カララ・アジバは姿を見せてはならない)       「あなたはなぜカララ・アジバを、自分が血を分けた妹の命を狙える?」 ハルル  「ふふふ、その貴様の苦悶の表情。弾丸が止まるのも限りがあると見える」        「しかし、その問答には付き合ってやらないでもない」       「我が妹カララ・アジバは自分の勝手な好奇心のためにロゴダウの異星人との戦の原因となった」       「事と次第によっては話し合いの余地というものが生まれえた異星人とな!」 長門   「話し合い?」 184 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 04:32:48.20 ID:v0r6qB9k0 ハルル  「そうだ。追撃部隊が異星人と交信した記録は何度となくある。話がわからぬわけではあるまい?」 長門   「ならばなぜ今そうしない?」 ハルル  「ふふふ、カララが異星人の所へ行ったというのに、ロゴダウの者達は決闘の挨拶までもやってのけた」        「我らバッフクランの挨拶を地球人が知っているとも考えにくい」 カララ  (そんな風に考えられた? 仕方の無い事とは言えない……?) ハルル  「あの女はな、地球人の野蛮な感性を目覚めさせたのだ。お陰で貴様らがバッフクランと手を汲みようもないという事が分かったのは良かったな?」 ロッタ  「それは誤解です、あの旗の決闘は!」 ハルル  「まあそれも今となってはどうでもよい事。貴様らはバッフクランを消耗させ過ぎた」       「それにカララはぬけぬけと異星人の男と懇意になり子を成したと言う。私のダラムを殺しておきながら」       「私はそのような……そのような者たちを決して許しはしない!」バキューン バキューン バキューン 長門   「……」ジリジリ カチャッ キラルル 「ハルル様!」バキューン ロッタ  「長門さん、危ない! うあ、あ!」ドタッ 長門   「そんな……私がもっと耐えられていれば。……うう」ドサッ 185 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 04:40:02.52 ID:v0r6qB9k0 アーシュラ「ロッタ、ユキ!」 カララ  (もう……)       「お下がり!」 キラルル 「トロロフの仇!」 ハルル  「よせ!」 キラルル 「っ!」 アーシュラ「ロッタぁ!」 ファード 「ああ!」 カララ  「ハルル姉さん!」 ハルル  「姉さん? カララ、よくもぬけぬけと!」 カーシャ 「カララ、どこに行ったの!?」ポイス       ドカーン ベス   「左舷の神人を叩いてくれ!」 古泉   『了解です!』 186 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 04:48:15.56 ID:v0r6qB9k0 ハルル  「カララ、すべての元凶が己だという事を」 カララ  「あなたは気づいているはずです。二つの地球の人々が憎しみ合わなければ、イデは目覚めなかった事を!」 ハルル  「さっきも小娘に言った、その元はお前が生んだのだ!」バキューン カララ  「うっ! 肩を……」 ファード 「このぉ!」ガガガガガガ カララ  「子供はお下がり!」 ファード 「いやだ!」 カララ  「お分かりになりませんか? 憎しみは滅びの道です!」 ハルル  「ロゴダウの異星人を倒せば済む事よ!」 カララ  「そこまでおっしゃるなら、私は姉さんを殺し、赤ちゃんを産みます。ロゴダウの異星人のベスの子を産みます!」 ハルル  「おお、撃ってみよ。裏切者の女の撃つ弾が当たるものかよ!」 187 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 04:55:22.20 ID:v0r6qB9k0 カララ  「……」カチャ      「ふっ!」バキューン ハルル  「! ゲスが!」バキュンバキュンバキュン カララ  「うあ!」バタ ファード 「やったなあ!」 ハルル  「子供はいい!」     タッ タッ タッ      タッ タッ アーシュラ「ユキとロッタとカララが死んじゃったよおー!」 カーシャ 「ロッタとカララが!? ユキまで」      「ベス! そっちから回り込まれたのよ、何で気付かなかったの!」 ベス   「なんだと!」 ハタリ  「右舷にデスアウトする敵影、これはバッフクランか! こっちにあたってくる神人がバッフクランにもあたってくれればいいのに!」 ベス   「対艦隊戦だ! 神人はイツキたちに何とかしてもらう。イデオンガンでバッフクランを一掃しろ!」 189 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 05:01:38.67 ID:v0r6qB9k0 ハルヒ  『! カララが死んだ!? ユキは……疲れて倒れただけ?』 キョン  『……』      (あの赤ちゃんの……?) イデ   『我が守り……育てるのは』 ハルヒ  『あんたが育てるのはメシアのはずよ! なんでカララを死なせたの!』 イデ   『善き命……』 ハルヒ  『いい加減なこと言ってないで答えてみなさいよ! お母さんを殺すなんて!!』 キョン  『待て、もしかしてイデは子供の成長を促したりしないか?』 ハルヒ  『え? ええ、この間まで言葉もしゃべれなかった赤ん坊が、今は立って喋る事も出来る』      『自分で選んで喋った初めての言葉が、イデ……!?』 キョン  『それだ! 奴は選り抜くつもりだ!』 ハルヒ  『そんな! 私たちの子供をあなたが育てて、お母さんがいない子供なんて歪になる!』 190 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 05:10:44.23 ID:v0r6qB9k0 コスモ  「凄い数の艦隊だ! 神人も手こずっているらしい。イデオンガンで掃討するぞ!」 デク   『エネルギー良好!』 コスモ  「妙だな、普通ならエネルギーはもう落ち込んでいてもいいはずなのに、順調過ぎないか?」 カーシャ 『コスモ、聞こえて?』 コスモ  「なんだ!」 カーシャ 『カララを守れなかった、ごめん!』 コスモ  「なんだと、カララが? バッキャロー!!」 デク   『神人が来るぞ!』 古泉   『手だてが来ました! イデオンはイデオンガンを』 コスモ  「なに、あの赤い玉は?」 デク   『中にイツキが見える』 神人   「オォン」       (人を中途半端に生かして、ぬか喜びさせて殺すぐらいならばイデオンごとイデはなくなっちゃえ!) 古泉   『……! これが恨み?』       『行きます!』スパァッ! コスモ  「すごい! 神人が紙の様じゃないか!」       「とはいえ数が数だ。無理はするな!」 古泉   『了解!』 191 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 05:17:04.70 ID:v0r6qB9k0 ラポー  「……? そんな、でも」 長門   「うう……」ムク カーシャ 「ユキ、生きていたの!?」 ベス   「ユキ、お前だけでも生きていてくれて……」 長門   「回復しきっていないのに……無理をし過ぎた」       「心配をさせてしまって済まない」 カーシャ 「悪い癖よ、謝ってばかり。でも良かった、ユキが生きててくれてて」 ラポー  「でも、どう考えたらいいの? いくらなんだって、変よ、こんなの!」       「ベスさん! 悲しんでないで教えてください! これがイデのやることなの!?」 長門   「……?」       (カララ・アジバの死体の中に動くもの……) ベス   「……?」 ラポー  「カーシャ、教えて? イデの力ってこういう事なの? ねえ!」 192 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 05:22:27.65 ID:v0r6qB9k0 カーシャ 「どうしたの、ラポー?」 ラポー  「お腹の中の赤ちゃんが生きて動いてるわ!」 ベス   「なんだと!?」 ラポー  「まだ四カ月にもならない赤ちゃんなのよ? 気味が悪いぐらい元気に動いてるわ」       「どういう事?」 ベス   「イデの、イデの発現なのか」 ルゥ   「ふふふ、だあだあ」         ファアアアアアアア コスモ  「なんだ。光がソロシップから放射されている?」 古泉   『暖かいですよ!? 神人の動きが止まっている? 今の内に!』 194 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 05:26:34.59 ID:v0r6qB9k0          ブァアアアアア ハルル  「キラルル、何の光だ?」 キラルル 「は、わかりません。磁気反応、放射能反応、時空反応すべてありません! 電気的なものでもないようです」 ハルル  「力の無い光か」 キラルル 「力? エネルギーのない、それは?」 ハルル  「このゆるやかさ、あたたかさ、なんだ?」      「亜空間解除した艦隊はキャッチできるか?」 キラルル 「はい。バイラル・ジン旗下の主力艦隊が正面にあります!」 ハルル  「バイラル・ジンにつけよ」 ドバ   「ハルルのカプセルを収容後、再び亜空間飛行に入る。ガンド・ロワに追い込むぞ!」 ギンドロ 「ドバ殿やれるのか。この輝き、イデの物とも思える巨人のわけも分からずにロゴダウの船を倒せると思いか」 ドバ   「やってみなければわからぬよ。我々はまだ生きているのだからな」      「カプセルの収容は完了したか。攻撃をかけつつ、ガンド・ロワへ誘き出せ!」 195 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 05:28:21.52 ID:v0r6qB9k0           ババババババッババババババババ デク   「正面、ミサイルキャッチ。無数だ!」 コスモ  「イデオンガン、加速器作動!」 デク   「バイオニックコンデンサーあがってる!」 テクノ  「いけるぞぉコスモ! パワー89!」            ゴォォォォォォォォォォオオオオオオオオ 196 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 05:32:50.54 ID:v0r6qB9k0 ハタリ  「ベス、第二波攻撃が始まった!」 ベス   「カーシャ、ここはまかせるぞ! バッフクランの生き残りは入れるなよ!」 カーシャ 「は、はい! ラポー、がんばりましょう?」 ラポー  「はい! こんな時に、ハルヒかミクルがいてくれたら心強いのだけど」 長門   「私がいる」 ラポー  「でも……」 カーシャ 「ラポー、それはいいっこなしよ。ハルヒには事情があるだろうし、ユキは頑張りたいって言ってくれてる」 長門   「栄養剤を」 ラポー  「しょうがないわね。分かったわ」 197 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 05:38:15.81 ID:v0r6qB9k0 ファージ 「僕、艦内の人を集めてこようか?」 カーシャ 「無理よ。ベスのところから無線機を借りてらっしゃい」 アーシュラ「ねえ、カララはちゃんとメシアの事わかるのかなあ」 カーシャ 「どうして?」 アーシュラ「だって! メシアはまだ生まれてないのに生まれたらわかるのかなあ」 カーシャ 「え? わかるわよ、カララはお空のお星様になってみてるもの。絶対に分かるわよ!」 アーシュラ「そっか。お星様になってみてんのね。なら、メシアが生まれて来てもカララにはわかるから、メシアはお母さんのところには行かれるんだ!」        「ね」 カーシャ 「難しい事わかっちゃうのね、アーシュラ。」       「お星様……そうよ! みんな星になってしまえ!」 198 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 05:44:07.33 ID:v0r6qB9k0 バッフクラン兵士「なんだ、ブラックホール!? うわあ」ドカーン 重機動メカパイロット「おい、母艦は……!?」ガォーン ハルヒ  『だめ! お星様になんて……』       『バッフクランの、潰さなきゃならない所だけを潰せないの!?』       『死ななくてもいい人が一杯いるはずなのに! イデだけを殺せればどうにかなるの?』 キョン  『ハルヒ、そいつは無理だ。神人の好きにやらせたって物が壊れるだけなんだ』       『そうそう虫のいい事は神様にしか出来っこない!』 ハルヒ  『神様、神様!? イデなんかじゃあ、ないのよね!』 キョン  『イデに腹がたっても忘れろよ! イデは生きてるって事しか分かってないんだ!』       『ソロシップを潰してイデが無くなるとは思えない』       『イデに対する恨みを持っているだけで皆は危険になる』 ハルヒ  『無茶を言わないでよ! そんな事、出来る訳ないでしょ!?』 キョン  『やるんだよ! それをするハルヒだろうが!?』 イデ   『やめられるのか……?』 キョン  『そうさ、ハルヒはやめられるだろうよ、なあ!?』 ハルヒ  『そんな事言ったって! キョン、助けて!!』 キョン  『お前を助けるのは俺だけじゃないだろう!?』 199 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 05:53:22.12 ID:v0r6qB9k0 デク   「上から神人! 下からはバッフクラン! 左右で神人とバッフクランが戦ってるけど……バッフクランが勝ってるの!?」 テクノ  「上にイデオンガンとグレンキャノンだ! 左右に弾幕を張る!」 コスモ  「神人の勢いを超える重機動メカの数、ここを最終決戦にするつもりか!」 テクノ  「ミサイル斉射! コスモはイデオンガンを使ってればいい!」 ベス   『イデオン、聞こえるか! 神人を引き離してバッフクランと戦わせる!』 コスモ  「そんなこと出来るのか!? イツキはイデオンの中に入れ!」 古泉   『急ぎますよ!』 200 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 06:00:39.71 ID:v0r6qB9k0         コツコツコツ ハルル  「総司令、何か」 ドバ   「女らしい良い部屋を用意しているな」 ハルル  「お戯れを」 ドバ   「傷はいいのか?」 ハルル  「何、大したことはありません」 ドバ   「ならいいが」 ハルル  「父上、弱気はいけません」 ドバ   「何を、ロゴダウの船をガンド・ロワの射線上におびき出す追撃をやっているではないか」 ハルル  「それはわかります。しかしあの船への恐れと憎しみを忘れては、勝てませんぞ?」 ドバ   「それは違うな。私はバッフクランを守る正義。我らに大義名分があるから戦っておる」 ハルル  「カララが、異星人の子を宿している、と聞いた時もですか?」 ドバ   「……それで?」 ハルル  「アジバ家の名を汚すあの女は私が撃ってやりました」       「即死でした。私は妹を殺してきたのです、父上!」 201 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 06:05:45.82 ID:v0r6qB9k0 ドバ   「よ、よく撃ってくれた! これでアジバ家の名誉を守れるというもの」      「即死させたのが。肉親としての唯一の情けか。よくやった、ハルル」 ハルル  「いいえ、私はアジバ家の血統の事とか、名誉の事とかを考えて殺したのではありません」       「うらやましかったのです! 好きな男の子を産むと言った妹が! 私はダラムの遺言さえ手に入れられなかった」 ドバ   「!」 ハルル  「だからと言って誤解なさらないでください!」 ドバ   「何を誤解するなと言うのだ!」 ハルル  「ロゴダウの船の全てに対する復讐は果たさせて下さい。そのために軍の指揮は取ります!」 ドバ   「おお、とってもらおう! 私はお前を女として育てた覚えはない!」 ハルル  「はっ、総司令閣下」       「……。うっ……助けて、ダラム」 202 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 06:11:33.29 ID:v0r6qB9k0 コスモ  『なんだ、追手が少ない。やっぱり上手くいきすぎてないか?』 長門   「罠ではないかと感じる」 古泉   『右に同じ、ですね。ソロシップ、ジョーダンさん? どうですか?』 ベス   「ああ、デスアウトする!」         スゥウゥゥゥゥゥ…… 古泉   『超新星の光? あの惑星の陰に隠れられるんじゃないですか?』 ハタリ  「上々だな。しかし、神人の眼は眩ませられるのか?」 古泉   『それは……やってみなければ』 203 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 06:16:36.03 ID:v0r6qB9k0 あああああ隣の家からお経が聞こえてきた……頭がぐるぐるする         カララ死体前 コスモ  「カララさん、きれいだった人がこんなになっちまって……」 カーシャ 「顔だけ狙われて、めちゃめちゃなのよ」 古泉   「むごい事。それを姉がやったんですか」 カーシャ 「姉だからこそ、でしょうね」      「でも、イデはなんでカララを……」 コスモ  「ハルヒの事を考えてみろよ」      「あいつは神人の切れ端でイデを潰そうとしている」      「それは、よりイデに近い彼女だから分かった事とかもあるんじゃないのか?」 カーシャ 「何?」 コスモ  「勝手をやるイデが嫌になってるから、そういう事をするんだ」       「イデがある意味酷い奴だって思ってるとかさ。俺たちとしちゃあそれでも頼むしかないが」 204 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 06:22:35.21 ID:v0r6qB9k0 デク   「勝手? イデだけの基準って事? なら、メシアだけを守ったのは」 長門   「どう思われているかは知らないが、イデ自身が子供を守れるのならば」       「もはや母体は必要ないと考える可能性はある」 コスモ  「そうか……、母親がいらないって論理だな。ハルヒが怒るのも当然かもしれない。そうしたら、俺たちごとつぶしたくなるのかもな」       「しかし、彼女は俺たちを助けてもくれてるぞ?」 古泉   「葛藤しているんでしょう。涼宮さんはいい人です」 コスモ  「ああ、仲間だったからな。なにと葛藤している。イデを潰して終わりだと思うなら、神人全員がこちらに向かってくる」 古泉   「もしかしたらイデの実態があちらにもつかめてないのかもしれない」       「イデはソロシップとイデオンを依り代にしているだけ」       「対する涼宮さんは肉体に縛られながら無限力に近いものを持っている」 コスモ  「イデとハルヒの違いの話か。自分と違うんなら、そうそう理解は出来ないからな。似たようなものかと思ってたけど」       「ハルヒは第二のイデとかっての見方とは区別しなきゃならないかな」 長門   「今回、涼宮ハルヒは増大するイデのエネルギーの中にいて、初めはイデに負けていた」       「だからキッチ・キッチンの時にもどうにもならなかった」 コスモ  「……」 205 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 06:28:40.22 ID:v0r6qB9k0 長門   「涼宮ハルヒの力が成長して、イデと拮抗し始めたという可能性がある」 古泉   「肉ある者の特権ですか」 コスモ  「イデは善き心を持つ人がいなければ生きていけない? 絶対のようなのに人任せなところがある」 ハタリ  「対するハルヒは、はっきりとした肉体を持っている。そしてその変化とともに精神も変容を来す」 古泉   「思春期ですからね。強くなるんです」 コスモ  「なるほど、俺と同じって事か!」 ハタリ  「そういうことがあるのか……?」 長門   「イデは認識される事で、その可能性が存在する事で生きる可能性を得る」       「だから私たちやバッフクランがいなくては生きていくことは出来ない」 カーシャ 「地球を滅ぼしたのは何故?」 古泉   「悪しき心の人を全滅させ、そして善き心の知的生命体、即ち子供だけを選び育てる」       「そうすれば、自分は死なずに済むし、ばかばかしいやりとりを見る事もありません。やきもきする事も無くなりますね」 コスモ  「善き心に反応して発動するって、そういうことか!」 長門   「そして、イデ自身が善き知的生命を育て、復活させる」 カーシャ 「じゃあ、何故私たちは生きてきたの!」 207 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 06:34:18.84 ID:v0r6qB9k0 ハルヒ  『そう、何故生きたいの? この私だって生きたいって思ってる』       『イデ自身、意志あるものを悪しきものとして滅ぼそうとする』 キョン  『その裁量の結果、放っておいた成長の可能性、滅んでしまっても次にあるものを信じれば、そうはしないだろう。好きに出来ると思ってるんだな』 ハルヒ  『それじゃあ、やっぱりイデは勝手な思惑で動いてるって事? それじゃあイデもまた悪しき生命じゃあ』 キョン  『俺たちからすればそうとしか思えないな。なまじっか好きに出来るみたいだからな……図体ばかりでかくって』 ハルヒ  『じゃあ、イデを倒すだけでやっぱり……』 キョン  『いや、終わらないな。イデを倒したってバッフクランに好きにさせるだけになる』       『それにコスモ……さん達の話を聞いていれば』 イデ   『我……悪……?』 キョン  『いいや、お前だけが一方的に悪いだけじゃないだろうな』       『しかしな、今の人間を一方的に悪と決め付けたところで』 ハルヒ  『そうか。どうにもならない。いつか善き心の知的生命となる可能性のある人間を』       『自分が無限だからって好きに育てるようなまねをすれば、体の事を無視した生き物になる』       『善き生命になるっていう事が、私たちから善きものと信じられないものなのだとすればそれでいいかもしれない』       『私たちから見ても善き命になるという事は、私たちが一方的に滅ぼされる事では得られない』       『私たちから生まれる善き命は、決して私たちから見ても無茶苦茶なものであってはならないわ!』 キョン  『ハルヒ、どうでもいいが長台詞に注意だぞ』 イデ   『我……生きるため……?』 208 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 06:43:07.10 ID:v0r6qB9k0 ドバ   「各隊、包囲網を展開しろ、犠牲はやむを得ん。確実に止められれば良いのだ」 ギンドロ 「私は地球に帰って体制を整えた方が良いと思うがな。ひょっとして我が軍が退いてイデの力が落ち着けば」 ドバ   「ふ、その後の地球の状況を知らんのだな。私だけのホワイトライン、これが何か分かるか」ブォン ギンドロ 「……? 割れた惑星のようだが」 ドバ   「我らの地球を監視するテレビが送ってきた映像だ」       「ズオウがいる訳は無いのだ。大地が割れてしまえばな」 ギンドロ 「!? これが我らの地球という証拠はあるのか!」       「ロゴダウの異星人の母星かもしれん!」 ドバ   「そうだな。戦艦一隻を貸してもいい。自分の目で確かめに行くか」 ギンドロ 「ああ、行かせてもらう、こんな話誰が信じるものか!」 ドバ   「信じる必要はないが、我々はイデの手の内で踊らされているかもしれんのだ。忘れん事だな」 ギンドロ 「ではなぜ戦う!」 ドバ   「イデが悪しき生命体を根絶やしにしようとしているからだろう! そしてイデは次の時代を産もうとしている」 ギンドロ 「ばかな」 ドバ   「そうかな? イデの導きが無ければこうはならんよ!」       「亜空間から出ると同時にミサイル斉射! そのあともう一度亜空間に入れ!」       「白い巨人は無視してかまわん、ロゴダウの船もあれに狙われているらしいからな! イデは異星人も滅ぼそうとしている」 209 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 06:48:49.28 ID:v0r6qB9k0 ハルル  「亜空間解除したら重機動メカの戦隊を発進させる!」      「二十秒後にもう一度亜空間突入!」      「これでこの戦闘は全て終わる! バッフクランに勝利をもたらした者は、その名を末代まで語り継がれる!」 オペレーター「亜空間解除!」 ハルル  「ガンド・ロワの射線チェック!」       ピピピピピピピピ キラルル 「このコースは……ここから近いですね」 ハルル  「勝てるな? 一気に追い込めば白い巨人の大半とロゴダウの船を一気に沈められる」 210 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 06:53:53.40 ID:v0r6qB9k0 ベス   「さすがに見つかった!? しかし……ソロシップとバッフクランはつながっているのか!?」       「コスモ、イツキ、行けるんだな!?」 古泉   『任せて下さい、長門さんは引き続きメシア……さん? の警護を』       『僕は神人を一手に引き受けます!』 長門   「わかった。しかし、メシアへの呼び方が可笑しい」 古泉   『ふふふ、どうも戸惑ってしまいまして』 コスモ  『了解! イデオンガンで敵の中心を……敵の中心って、どこだ!?』 デク   『ちょっと待って、わかりそうだ!』 ベス   「各砲座、イデオンに敵機を近づけるな!? 右舷に敵がデスアウト?」 コスモ  『こんな近くにか!』 ハタリ  「くうー!」 211 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 07:02:58.55 ID:v0r6qB9k0 コスモ  『特攻隊がくるぞ!』 デク   『敵の中心が分かった』 コスモ  『どこだ!』 デク   『正面の赤い光! 星の向こうにいるみたいだけど、イデの反応が強いんだよ! やれって事だろ!?』 コスモ  『よし、イツキは一度撃った後に出ればいい。デスドライブする時を見計らってこっちに戻ってくれ』 古泉   『了解!』 コスモ  『星ごと撃つ!』      ゴァアアアアアアアアアア         カパッ ハルル  「なんだ、星がわれている……大砲、巨人の大砲が来るぞ! 亜空間飛行してでも懐に入れ!」        スゥウウウウゥウ ドバ   『ハルル、重機動メカが発進中だというのに、なぜ亜空間飛行に入った!』 ハルル  「巨人の大砲で狙われています。あの砲を喰らえば一撃で沈むのです!」 ギンドロ 『なんだ! また亜空間に入りおって、わしに戦艦を貸さぬつもりか!』 ドバ   『戦局が落ち着いてからでよかろう!』 ギンドロ 『約束が違う!』 212 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 07:08:25.68 ID:v0r6qB9k0 古泉   『ジョング隊が多すぎます! 重機動メカが神人を無視し始めていますし、こちらが不利になってます!』 長門   『出来る限りはこちらでも撃墜はする。先ほどより権限が復旧している。多少危険な場所でも生きてはいられる』 ベス   「意志のようなものからの力か。具体的には何が出来る?」 長門   「筋力の増加。自分への一定距離内の弾丸の静止。その弾丸に気を使う必要はあるが」 ベス   「不意というのはいつだって突かれるものだ! その程度ではまだまだ、自分のことをもっと考えろ!」       「……バリアが全く効かなくなっているのか? イデは何を考えている!」 ハタリ  「イデの輝きは増しているんだぞ!?」 ベス   「イデのエネルギーチェック、まだカララを中心に放出されているのか?」 オペレーター「いや、船全体から四方へ放射されている!? いや、循環しているのか、どうなんだ?」 ベス   「なんだと? 迷っているような動きだと言うのか!」 213 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 07:14:03.30 ID:v0r6qB9k0 ジョリバ 『ベス』 ベス   「ジョリバ、大丈夫か!」 ジョリバ 『イデオンの機関室だ。妙な現象が起きている』      『イデのエネルギーがイデオンガンに集中しなくなっている。あと一・二回うったら、おわりだな。ウッ!』 ベス   「おい!」 ジョリバ 『カララさんの親父さんにやられてな。出血がひどい……、どうやら俺たちイデに見放されたらしいぞ』 ハタリ  「ジョリバ、そんな事は無い! イデは迷っているんじゃないのか!?」 ジョリバ 『そんな事……』 ハタリ  「そうだ。レーダーを見ろよ、ベス!」 ベス   「なんだ……? 神人の動きが鈍くなっている? それもソロシップを狙っていた奴だぞ!」 ジョリバ 『本当か……!?』 214 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 07:19:30.38 ID:v0r6qB9k0 デク   「……やっぱり同じだ。コスモ、亜空間飛行中の敵艦をイデオンガンで狙い撃ち出来るかな!?」 コスモ  「何!?」 デク   「イデのレーダーがさっきから同じサイン送ってんだ! 神人への反応も弱くなってるし、攻撃してこないんだよ!」 コスモ  「なんだ? 頭の黄色い神人が何かやったのか?」 デク   「わかんないよ!」 テクノ  「しかし、さっきの話の事を思い出しても見ろ! ハルヒがイデに勝りかねない勢いだという話」 コスモ  「だったらなんだ!」 テクノ  「イデの代わりにハルヒが俺たちの守り神になってくれるとか!?」 コスモ  「突拍子もない事を言って、テクノにハルヒがうつったか!? デク、回線を回せ!」 デク   「ハルヒがイデと話をつけてくれたって事無いの!?」 コスモ  「だったらこんなサインは送ってこないんじゃないのか!? まだ俺たちにバッフクランを滅ぼさせたがっているんだろ!?」       「赤い星が揺れている……狙い撃てる」 テクノ  「来たぞ、重機動メカだ!」 コスモ 「来させておけばいい!」 215 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 07:24:33.03 ID:v0r6qB9k0 ハルヒ  『どうすればいいの!? 撃たせればいいの? 撃たせなければいいの?』 キョン  『ハルヒ、迷い始めたイデは守ってやれ!』 ハルヒ  『ああ、そっか!』 神人   「ウォオオオオオオン」ブォン     ドガシャアアン コスモ  「なに、さっきまでこっちを狙っていた神人が重機動メカを? 今撃つ!」      「これで、敵のとどめでもさせるって言うのかい、イデ?」グイ         ブワアアアアアアアァァ…… デク   「イデオンガンの波動が拡散して亜空間に!」 ハルル  「かまわぬ! 戦闘指揮官は私であ、!?」 キラルル 「ハルルさま!」        ブワアアアアアアアアアアアアア 216 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 07:29:35.16 ID:v0r6qB9k0 オペレーター「三分の一がやられました!」 ドバ    「通常空間から狙い撃ちが出来るのか!?」 ギンドロ  「私は地球へ帰る! こんなところで死にたくはない!」 ドバ    「そうか、分かったような気がする。知的生命体が存在しなければイデは存在しえないのに、なぜ殺し合いをさせるか!」        「知的生物に不足しているのは、己の業を乗り越えられん事だ。欲、憎しみ、知恵のこだわりをひきずったままの生物ではイデは善き力を発動せぬ」 ハルヒ   『だったら!』 ドバ    「ぬ!? だったら、なんだというのか。自ら善き知的生物を作るのがイデの目的だろうが!」 ハルヒ   『イデだってねえ!』 ギンドロ  「ドバめ。貴公は自分の力だけでこの軍団を動かしていると思ってか!」 ドバ    「ダマレ!」バキューン ギンドロ  「ああっ!」ドウッ ドバ    「分かるか俗物。そこまで思うほど私は傲慢ではない。だから、私の恨みと怒りと悲しみを、ロゴダウの異星人にぶつけさせてもらう!」        「ハルルが男だったらという悔しみ、カララが異星人の男に寝とられた悔しみ、この父親の苦しみを誰が分かってくれるか!」 ハルヒ   『あなただけじゃないでしょ!?』 217 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 07:34:34.92 ID:v0r6qB9k0 コスモ   「声が聞こえた!? ハルヒの声だった! 俺だけじゃないって? 俺はバッフクランを撃ったんだぞ!?」 デク    「こっちにも聞こえた! 同じようなことだったぞ?」 コスモ   「……恨みを捨てろって言ってるのか? しかし、俺たちはもう捨てたも同然なんだぞ!」 カーシャ  「ファード、弾を持って来て!」        「声……? ハルヒが叫んでる。みんな一緒だって……そうよ、だからバッフクランにいじめられれば、どうしようもないのよ!」        ドカーン カーシャ  「何、散弾! ああっ」         ガシャーン アーシュラ 「カーシャ!」 ファード  「ああ、見るなよ!」 アーシュラ 「だって!」ジワ ファード  「僕たちが! ルゥもカーシャもカララもメシアもロッタも、守らなきゃいけないんだぞ!」        「泣くなよ!」 ラポー   「カーシャ、弾丸を……」 ファード  「カーシャは死んだよ!」 ラポー   「ええ、なんで……」       タッタッタッ 長門    「何があった……?」 ロッタ   「カーシャが死んじゃった!」 ファード  「まだ敵はいるんだよ? ハルヒだって戦ってるのに、僕らがめそめそしてらんないよ!」 ロッタ   「ええ、ええ、そうよ。そうよね」 218 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 07:40:36.52 ID:v0r6qB9k0 ベス    「妙だな、左からの攻撃に集中し過ぎている?」        「イデオン、右の方を調べてくれないか!」 古泉    『偵察だったら僕が!』 ベス    「いや、単独行動が安心なのはイデオンだ、お前たちは艦内の守備を!」 古泉    『どうやら涼宮さんが頑張ってくれているらしいですけど!』        『いや、まだ反転しきってない神人がいます!』        『長門さんは艦内に、僕は神人を!』ヒューン ベス    「!? カーシャが死んだか? ハルヒの声が聞こえてきたばかりなんだぞ?」 ハタリ   「なんだ?」 ベス    「いや、コスモ。カーシャが死んだ」 コスモ   『え? 嘘だろ、そんなの。まだこれからじゃないか……相手も一緒だって言うから、怨めないんだぞ!』 220 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 07:46:16.06 ID:v0r6qB9k0 デク    『コスモ、見えた。超新星の中!』 コスモ   『なんだあれは……』 ベス    「イデの流れ、どうなってる?」 ハタリ   「それがさっきよりおかしい事になってる。半分が放射されて、半分が艦の中に閉じこもって……」 ベス    「何? どういう事だ」 ハタリ   「半分が俺たちを守るように、生きている俺たち全員を中心に放射されている!」 ベス    「イデが!? イデオンガンの様子はどうだ、コスモ!」 コスモ   『ゲージが、回復している?』 ジョリバ  『使えるのか!?』 コスモ   『いや、もうイデオンガン自体の限界が来ているみたいだな。それで力が集中しなかったのか』 デク    『あれは……加粒子砲? バカみたいに大きい!』 コスモ   『俺たちを守っているイデに託さなければならない! 甲斐の無い生き方でないようにってな!』 ベス    「ああ……」 デク    『イデのエネルギー、すっきりした感じで来る!?』 221 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 07:46:59.06 ID:v0r6qB9k0 コスモ   『イデオンソードでいく!』         ブーーーーーーーーーーーーーン         ガガガガガガガガガガガガガガ 長門    「ハァッハアッ」 ジョング兵 「さっきから銃弾が効かない女だが、これで!」ババババババ アーシュラ 「ユキ」 223 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 08:00:47.01 ID:v0r6qB9k0 長門    (また限界? せっかくここまで出来たのに……でも!)        「!」カンカンカンカンカン        (イデが力を貸してくれた!?) アーシュラ 「ユキすごい! 弾丸がとまっちゃった、手品!?」 長門    「……違う。でもそう、同じようなものなのかもしれない」バキューン バッフクラン歩兵「くっ、銃が……」 長門    「さすがに艦全体のコントロールは許されない……いや、私がここから見えない全員の命まで守ってはいけない?」        (くやしい? 十六年生きて来た記憶をイデに与えられて、私は人のように生き生きとしている)        (私は、今気持がいい……? ハルル・アジバだって哀れに見えた)        (涼宮ハルヒ、私も同じ……?) 古泉    「イデのエネルギーがすっきり? 神人も重機動メカばかりを相手にしてくれる!」        「涼宮さん、あなたはイデに何をしてるんですか?」        「僕たちはいい方向に行けるんですか!?」 224 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 08:06:05.79 ID:v0r6qB9k0 ベス    「ん? あの正面の輝きは何だ?」 ハタリ   「変なんだ! ひとつだけ、イデオンの方で見つけてくれたものと同じ位置にあるんだ!」 ベス    「映像だ! イデの力なら映像が撮れるはずだ!」 ドバ    「ガンド・ロワは発射された……超新星のエネルギーをもう避ける術はあるまい……」 ギンドロ  『これで終わるのだなドバ?』 ドバ    「しかし、これでわれわれも半分の戦力を失い、二万の将兵しか残らん訳だ」       「!? 貴様?」 ギンドロ  『ンフフフフフッ、気にするなドバ。死んで見て貴公の本音が良く分かる』       『貴公は本気で、バッフクラン一族の事を考えている。疑って悪かった』 ドバ    「なんだ、これはイデの業というのか!?」       「イデの真の発動が始まっているというのか!!?」 ギンドロ  『フフフ、どうかな。別のものを感じないでもないな……』 ドバ    「さっきの声と関係があるのか!?」 225 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 08:11:43.26 ID:v0r6qB9k0 ハルヒ   『イデは迷っている』 キョン   『イデがそういう面を見せたから、怨みは忘れられたか?』 みくる   『……涼宮さん?』 ハルヒ   『! みくるちゃん! なんで!?』 イデ    『……』 キョン   『やっぱり悩んでるんだな』 みくる   『そういう事、最初からわかってたはずですよ?』 ハルヒ   『そうなの!? なんで、みくるちゃんはそう言えるの……』 みくる   『自分独りじゃあ、大きな自分に呑み込まれてしまうだけだから』       『仲間にも見てもらうんです。そうして見てもらえれば、意外と小さく見えるかもしれません。悩みとかはそういうものでしょう?』 ハルヒ   『そうか、イデは集合体として独りだった?』 キョン   『一つっきりになるまで合体してしまったものなのか?』 ハルヒ   『大きい見方をした時に、種族として孤独だとか? 私が、拮抗する別の種族として声をかけた?』 みくる   『さあ、はっきりとはわかりませんけど』 キョン   『そうか。ハルヒがみんな同じだって言った。イデだって同じだ。先は見えない』 226 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 08:15:02.59 ID:v0r6qB9k0 コスモ   「誰の声だ? イデだって先は見えない……? それなら間違う事ってあるんだろうか?」        「ベント、テクノ、ミサイルの残りはどれくらいだ?」 デク    「イデに先が見えない? 生き物ならば、当然だけど……!? 間違ったら、その時正しいって思った方に行くだろ!?」 コスモ   「イデが迷って、これから方向が変わるって事か?」 テクノ   「あと二十パーセントって所か」 ベント   「しかしな、機関部は動いている。それもこれまでにない好調! ソードがいくらでも撃てるんじゃないのか!?」         グワアアアアアアアアアア コスモ   「なんだ? 加粒子砲!」 ベス    「正面?」 ハタリ   「ゲージが輝いている!」 ベス    「しまった! イツキはイデオンにいるか!?」 コスモ   『なにい!?』 神人    『ぐぉおおおおぉぉぉおぉぉぉおおおおおおお!』 古泉    「しまった……!? しかし、朝比奈さんもこうなった?」       「長門さん、涼宮さん、すいませんけどお先に……!」       (しかし、何の気分です? 妙に落ち着いていられるような……) ハルヒ  『当然でしょう? イデがあなたも包んでいるんだから』 古泉   (涼宮さん?) 229 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 08:25:00.48 ID:P9z2Jd9P0 ていうか今昼まで放置したら多分普通に落ちるぞこのスレ……ラスト直前で新スレとか情けないし 長門    『!? 古泉一樹?』 コスモ   「クソっバリアー最大!」       「ソロシップも!」 ベス    『分かっている、分かっているが。いくらイデが好調でもここまでやられては……!』 ベント   「うわあっ!?」       (コスモ、すまないけど……悪い気分じゃない!?) ジョリバ  「ベント、大丈夫かっ、うぉっ!?」        (痛みが退いていく……)       ゴーン コスモ   「くそぉおおおおおおおお!」 230 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 08:29:40.21 ID:P9z2Jd9P0 ハルヒ   『ソロシップにも直撃……白い巨人は全滅……けども、イデはわかってくれてる。これなら』 イデ    『……』 キョン   『ハルヒ、どうしたい?』 ハルヒ   『古泉君もここに来てくれるかしら……』 みくる   『私は、ここにいるんです。きっと大丈夫……』         スッ 古泉    『あれ、朝比奈さん、こんな所にいたんですか? あれ、涼宮さんも、あなたまで。先ほどはどうも』 キョン   『よう、まっすぐ来たみたいだな』 古泉    『なんなんですか? 妙に楽な気分ですけど、僕は死んだはずじゃあ?』 ハルヒ   『本当に大丈夫だった?』 ジョリバ  『ああ、痛みが退いてきてな。なんなんだこれは。幽霊というのか』 ハルヒ  『ジョリバ! いいえ、それほどあやふやじゃないわ。私がみんなを知ってるもの』 231 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 08:34:42.06 ID:P9z2Jd9P0         スッ カララ   『メシアに、頼みましょう?』 ハルヒ   『カララさん? あなた!』 カララ   『メシアさえ生きていればイデは生きながらえる』        『そして、あなたの世界を変えるほどの力……』        『ハルヒは見て来たでしょう? 私の父も、ソロシップの人達も』        『みんなが健やかな姿を目指せる未来を……』 ハルヒ   『そうか、私がきっかけを与えれば! イデ、手伝いなさい!』 キョン   『何? 作り変えるのならば、みんな俺たちと一緒にならなければならないんだぞ!?』 ハルヒ   『分からせなければならない人はまだいる。だったら利用して、一緒に幸せになればいいのよ。イデの罪も帳消しにする!』 ベント   『俺にも手伝えるかい?』 ハルヒ  『ええ、自分を信じておいてちょうだいね。ここにいるんだって』 ベント  『それなら出来そうだな』 232 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 08:39:59.37 ID:P9z2Jd9P0 ドバ    「五分後にビームは消滅する、ロゴダウの船と巨人の消滅を確認」       「以て、この作戦を終了する! 残存艦隊集結しつつ、待機せよ!」 コスモ   「ハアッハアッハアッハアッ」       「赤い光が見える……? イデが廻っていたって、こうも傷めつけられればワンポイント攻撃しか無い」       「イデが教えてくれているのか、それともハルヒか……」       「神人は少しは残っているが、頭の黄色いのはここから見えない……?」 デク    「いや、下の方、加粒子砲に当たらなかった奴の中にいる!」 ベス    「了解だ、コスモ、デスデライブに入る!」 ラポー   「ベス、早くケリをつけられないの!? 入り込んだ敵が……!」         ドカーン ファード  「ああ、アーシュラー!」          カチン 長門    「大丈夫。弾は届いていない。このような苦しい死に方はさせない」 ルゥ    「あああ、だあ、だあ……」 234 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 08:45:20.42 ID:P9z2Jd9P0 アーシュラ「ありがと……」ビクビク ベス    「デスブレーキのタイミングはコスモの指示に従え!」 ハタリ   「了解!」 コスモ   『デスドライブブレーキを!』       バキューンバキューン ハタリ   「!」       「くっ…… 腕に当たったなら」 長門    「!」バキューン バッフクラン兵「ぐあっ……手なんぞを撃ち抜いて!」カタン 長門    「気がつかなかった。今更邪魔をしているものがある。いや、そんな感じではない?」 ハルヒ   『ごめんなさい。でも大丈夫、大丈夫だから!』 235 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 08:50:26.26 ID:P9z2Jd9P0 コスモ   「ん、ハルヒがまた何か言ったのか!?」 デク    「聞こえないよ!」 コスモ   「……あれか!」              ズゥォオオオオオオ…… デク    「これじゃない! 教えてくれるのはこれじゃない!」 ドバ    「なんだ、全く損害を受けていないのか!? 巨人も船も?」 コスモ    「どこだ! 光っている敵は!?」 デク    「一時の方向!」 コスモ    「みつけた……」 イデ    『今……?』 ハルヒ   『そうよ、イデ。私はそう信じるわ!』 みくる   『そう、あの人ともう一度話せれば分かる事があるはずです』 キョン   『バッフクランの総大将。あの人はまだ頑なでいるハズだな』 ハルヒ   『そう。あなたと話の出来る意志がこうも言ってるのよ! あなたはどうしたい?』 イデ    『……この行く末……』 236 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 08:55:04.83 ID:P9z2Jd9P0 コスモ   『あの向うか……!』 ドバ    「なんだ、異星人の声!?」       「また、私の目の前に現れるのか! ロゴダウの異星人め」 コスモ   『貴様は!』 ドバ    『イデの導きか!?』 ハルヒ   『違う、それだけじゃない!』 ドバ    『私たちのような出来そこないの生物の憎しみの心を根絶やしにするために、イデが導いているのではないのか!』 コスモ   『イデの方向が変わるかもしれないと聞いたんだ! それなら今はそうではないかもしれない!』 ドバ    『我らを戦わせておきながら、今さら何が!』 デク    『イデも生きてるんだからなあ!』 ハルヒ   『絶対なんかじゃない!』 キョン   『自分が間違ったと思う時には……』 みくる   『話し合ってどっちもが良い事を考えなきゃいけません!』 ドバ    『このような大きな力を持っておきながら、間違うなどとは……!』 古泉    『堅過ぎますよ!』 ハルヒ   『認めなさい! そうすれば!』 237 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 08:57:12.58 ID:P9z2Jd9P0 コスモ   「ミクルや古泉の声まで聞こえた? そうか! ハルヒの力はどんどん強くなる。その方向性も!!」       「敵の中心が分かった……!」       「あれだ!」 デク    「イデオンソード全開!」 コスモ   「直接ぶちのめしてやる!」 デク    「コスモ、熱くなり過ぎるぞ!」 238 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 09:02:20.97 ID:P9z2Jd9P0 ドバ    「ガンド・ロワ発射用意!」 兵士A   「司令、そんな事をすれば我々も!」 ドバ    「侍ならば潔く死んでくれ」 兵士B   「この、バイラルジンも!」 ドバ    「まともにやれば敵いようもない相手だが、あと一息でせん滅出来る!」 兵士C   「しかし、われわれの地球はもうない! 総司令は我々の血を根絶やしにされるおつもりですか!」 ドバ    「二人でも三人でも生き残れば良い!」 兵士C   「我々はイデなどは欲しくは無い! 生き延びられれば!」チャキ 239 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 09:07:15.02 ID:P9z2Jd9P0 ドバ    「見ろ。迫ってくる巨人は我々を生き延びさせてはくれん」       「巨人はまっすぐにこのブリッジに向かっている。その訳が分かるか」       「バッフクランとしての業を持った男がこの私だからだ!」       「もう後戻りは出来ん。イデは発動した」 兵士C   「そんな事は無い!」バキューン ドバ    (ギンドロ……それ以外とは何だった……? さっきの小娘共の声か? この者達の言う通りか?)         バリ 兵士A   「巨人がブリッジに? うわああああああ」   B   「うぉおおおおおおお」 みくる   『怖いでしょうけど!』   C   「声が聞こえ? うぁあああああ!」 240 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 09:10:50.58 ID:P9z2Jd9P0 コスモ   「発光している? この構造物、加粒子砲そのものじゃないか!」       「そんな事はさせない!」 イデ    『これで……後は……?』 ハルヒ   『後は任せてくれればいいわ!』       『あなたに悪い様になんか絶対にしない!』 イデ    『任せれば良い……』 コスモ   「なんだ! イデまでがもう良いと言っている? しかしこれを潰さなきゃあ、みんな死んでしまう!」 長門    『ユウキ・コスモ』 241 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 09:17:38.52 ID:P9z2Jd9P0 コスモ   「なんだ!」 長門    『迫っている重機動メカを破壊して。私にも涼宮ハルヒの声は聞こえた』       『もう、私たちのやることは終わった。一生懸命にここまで生きて、イデに教える事が出来たと』 コスモ   「そんなに聞こえる、俺とは違うのか!?」 長門    『信じて』 コスモ   「……わかってるさ、お前達の付き合いの長さは三十二年分だからな」 長門    『それは違う。厳密な話を……』 コスモ   「こんな時まで、やめてくれよ……そうか、楽に」       「デク、下からくる重機動メカにミサイルを、その後はシートに体を預ければいい」 デク    「何!?」 ベス    『休めばいいとは、どういう事だ? しかし、確かに疲れた……』             グワァァァァァァァ コスモ   「加粒子砲が発射されるのか……。ああ、これまで短かったはずなのに、長かったなあ」 デク    「リラックスし過ぎじゃないの? でも、もういいって言われて眺めるとこの光は綺麗だよ」 コスモ   「眩しすぎて寝られやしないよ……」 ハルヒ   『私がメシアの体を守るから、イデは力のコントロールをして、みんなを光の中に!』            アアアアァッァアァァアアッァアア 242 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 09:32:45.70 ID:P9z2Jd9P0       『ああ、われわれは迷う事は無い』       『メシアとイデと、あの光は?』       『ハルヒ・スズミヤだってな。俺たちをこれからどのようにもしてくれるらしい』       『おお、あれがこれからの世界を作るのか?』       『迷わずに済みそうですか?』       『おお、トロロフ、一族郎党みな追いつく』       『怖くは無いか、エミリア』       『あなた、ご心配なく』       『キャッキャッ』       『こらー、みんな並んで、並んで! みんな約束したでしょ? メシアと新しく生まれ変わるみんなのために歌を歌うって』       『ロッタ、遅かったわねえ』       『この子がねえ、まだだめなのよ? 甘えんぼさん』       『違う違う、僕は強い子だよ! アーシュラー』       『あはははははは』       『姉さん、シェリル姉さんは大丈夫かしら?』       『大丈夫よ、ホラ、あそこよきっと』       『メシアよ、イデを守るメシア、世界を作る私たちの仲間も!』       『あれか? シェリル』       『そうよ、みんなあそこにいるわ』       『間に合ってよかった』 243 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 09:33:30.94 ID:P9z2Jd9P0       『ミオ、お前の踊りを見せてやるか』       『フフフフフ』       『モエラー、モエラ!』       『ラポー、やめろよ、みんなに笑われるぞ』       『ふん、だれが笑うもんかよ。こっちは一人身だ。一緒にレーダー見てたユキもさっさと先に行っちまった』       『まったくさ、先が思いやられるぜ。それにユキは友達思いだからな。当たり前だろ?』       『たまにゃあ期待したっていいだろ?』       『いいじゃない! これから、これから!』        ハッピーバースデートゥーユー、ハッピバースデートゥーユー       『ん? ハルル、歌が聞こえる』       『歌? 歌ね……かわいい歌だ事』       『行くか!』       『ええ!』       『あはははははは』       『歌、歌のようだけど』       『誕生日のお祝いの歌だ……俺たちみんなのために歌ってるのか!』       ハッピバースデーディーアチルドレーン、ハッピバースデートゥーユー 244 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 09:34:12.42 ID:P9z2Jd9P0       『あ? まだ目が覚めない魂がいる。コスモ?』       『あ、キッチ・キッチン! コスモが!』       『デク、後はいいわ。皆の所へ行って? 後は私とカーシャがやる』       『あ、こんなになってもコスモは目覚めないの』       『暖かいキスを』       『したわ、何度も。あなたが、どうぞ』       『……』       『……疲れているのよ、きっと』       『みんなが生まれ変わるというのに』       『メシア、お飛び、イデとハルヒになすべきことを教えておあげ!』       『大丈夫だよな、きっと』       『ええ、でも私たちの時代はまだ続くみたいです。またどこかで会うでしょうし、今は任せましょう』       『あ……光が』       『コスモ』『コスモ……』       『キッチン、カーシャ』       『キッチン、君と会いたかった。何もしてやれなかったから』       『そんな事は無い。コスモがいただけで、あたしは良かったよ』       『そういってくれると、嬉しい。キッチン』       『……子供たちが待っているから』       『あれがメシア、それにイデとハルヒも光っている。俺たちがやってきたこと。ムダじゃなかったよな』       『そんな事無い、そんな事。ハルヒだって言っていたのよ? 私たちがイデに示したって。飛んでごらんよ。ほら』 245 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 09:34:53.17 ID:P9z2Jd9P0       『メシアか……』       『あれがコスモよ?』       『コスモか』       『ダミドにマヤヤ?』       『おそかったなー、コスモ』       『ああ、力を抜いても抜き切れないようなこだわりがあったからね』       『わかる。これからは楽に行こう』       『ズオウ、この少年です。そしてあの少女。イデの発現の中心にいたものです。この者たちの動きがあってこその私たちでしょう』       『うむ。良き男女というわけだな?』       『そんな、俺はただ単純なだけで……』       『この世の事単純だ。単純でなければならぬ』       『遅かったな、コスモ』       『疲れはとれて?』       『綺麗になったわねえ、コスモ!』       『キッチン、幸せになろうな!』       『当たり前じゃない、損しちゃうもの!』 249 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 11:21:24.32 ID:P9z2Jd9P0 落ちてた。あと一期に行くよ ハルヒ   『皆、ついてきてる?』 長門    『覚えている限りは確認している……』 古泉    『こんなに楽になれるなんて』 朝比奈   『あら、でも私たちはまだまだやらなきゃならない事があるはずですよ?』 古泉    『そっか。涼宮さんの好きな世界を作るんですから!』 キョン   『それはいいが、あんまりいい加減にするんじゃないぞ!』 ハルヒ   『わかってるわよバカキョン。イデとみんながやってきたこと、ムダになんかしないんだから、メシアも頑張ってね!』 イデ    『我の……居場所……』 ハルヒ   『また少し遠いけど、用意するわ。必ず会いに行く。待ってて!』 イデ    『……わかった』 ハルヒ   『それじゃあ皆、歌いなさい!!』  ハッピーバースデートゥーユー、ハッピバースデートゥーユー  ハッピバースデーディーアチルドレーン、ハッピバースデートゥーユー 250 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 11:22:24.10 ID:P9z2Jd9P0 キョン   「ハルヒー、あれ、誰もいな……」 ハルヒ   「キョン、遅いわよ」 キョン   「なんだ、いるじゃないか。なんでいないなんて思ったんだろう」 古泉    「あなたは苦労してますからね。ボケでも始まったんじゃないですか?」 みくる   「ふええ、キョン君ボケちゃうんですかあ!?」 キョン   「いい加減な事言うなよ古泉」 ハルヒ   「いい加減じゃないわよ。キョンならあり得るものね」 キョン   「お前なあ!」 ?     「うーーっ」 ハルヒ   「おー、キョンはこわいでちゅねー」 キョン   「赤ん坊?」 長門    「先ほど涼宮ハルヒが子守りを引き受けてきた」 キョン   「はあ? 一体どこの」 長門    「確認していない。また稀なケースが発生しているため、エラーの処理を行っている」 キョン   「またか。しかし、俺は何も覚えちゃいないぞ」 251 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 11:26:35.07 ID:P9z2Jd9P0 古泉    「関係ないんじゃないですか?」 長門    「……」 ハルヒ   「なあに訳の分かんない話してんのよ、あんた達。みくるちゃん、お散歩にでも行きましょう?」 ?     「だー、だー、」 みくる   「かわいいでちゅねー」 ?     「うーっ!」 みくる   「ひっ!」 キョン   「朝比奈先輩がきらいだなんて、贅沢なガキでやがる」 ハルヒ   「今日はこのまま解散にしちゃうから、みんな好きにしてね?」 長門    「……」 古泉    「いいんですか? それではちょっと寄りたいところがあったので」 キョン   「バイトか?」 古泉    「そんな訳はないでしょう? あの表情を見てから行ってください」 ハルヒ   「……?」ニコニコ 252 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 11:27:35.28 ID:P9z2Jd9P0 キョン   「そうか。じゃあ珍しく私用なんだな?」 古泉    「珍しくは余計です。それでは」 長門    「……帰る」 ハルヒ   「じゃあキョン、戸じまりよろしく」 みくる   「おねがいしまあす」 キョン   「任された。しかしまだ早いのにな。珍しい事もあったもんだ」         ガチャ       タッ タッ タッ        タッ タッ       タッ タッ タッ 253 名前: ◆sjPepK8Mso [] 投稿日:2009/08/28(金) 11:28:15.03 ID:P9z2Jd9P0       タッ タッ タッ         ガチャ ?     「よう、ハルヒいるかい?」 キョン   「ありゃ、優喜先輩ですか。もう帰りましたよ?」 優喜    「そりゃ残念だな。ちょっと意見を聞きたい事があったんだけど」 キョン   「先輩も妙なところがありますね。ハルヒに意見だなんて」 優喜    「ハルヒはおもしろい事言うんだぜ? まあいないなら仕方ないか」 キョン   「だったらSOS団入りますか?」 優喜    「そりゃ勘弁だな。こっちはこっちでやってる事があるんだし。あ、この前借りたCD返しとく」 キョン   「あ、まだいいんですけど。まあ、わかりました」 優喜    「ああ、ありがとうな。それじゃ、朝比奈さん達によろしく」         ガチャ       タッ タッ タッ キョン   「……さて、帰るか」       『我は……待っている……』 キョン   「ん? ……なんだ。気の所為か」 END 254 名前: ◆6QwIkXVRANb/ [] 投稿日:2009/08/28(金) 11:29:03.30 ID:P9z2Jd9P0 本編との差別化狙ったら後半がすっかりきもくなったな。すまん。 ハルヒ仲立ちでイデとしゃべっちゃうとか考えた俺を罵倒したい。 コテコテで何回も出てくるユウレイは甘え。 ちょと休む。 ↓今回のお話 発動編→人類新しい地球で完全転生 今回  →ハルヒが緩衝剤を用意して別世界にてみんなで肉体乗り換え