長門「蝉はうらがえって死ぬ」 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 15:57:31.67 ID:42EK+8wlO 虫の声が鳴り響く夜彼女は炬燵の前に 一点を見据え座っていた。 目の前にある炬燵のふとんの皺を数ええながら。  長門「1、2、3、4、5、5、6…うかつ、濃さを考えていなかった」 そう思うと急に炬燵から出て冷蔵庫のほうに向かう。 冷凍室から製氷皿を取り出し扉を 閉めずに急いで炬燵に戻る。 長門「喉が渇いていいことはない」 製氷皿をグイグイとねじり氷を取り出すと 炬燵の皺の影に一つずつ置いていった。 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 16:01:31.99 ID:42EK+8wlO 氷が溶け布団に染みこんでいく 過程をまじまじと眺めていると、ふと背後から 冷気を感じ、振り返る。 冷凍庫が空いている。 長門「一体誰が」 彼女の脳内に『解析不明』が示された 彼女はこの空間は危険因子が極めて高いと判断し、 すぐさま部屋を飛び出した。 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 16:04:53.12 ID:42EK+8wlO 廊下に出ると男がエレベーターから出てきた。 年の頃は35歳、独身。 記憶が正しければ二つ隣の部屋の住人だ。 少しくたびれた足取りでこちらに向かってくる。 軽い会釈をしてきた。彼は自室の前にたどり着き 自室の鍵を取り出した。 長門「敵性とみなし排除する」 見る見るうちに光の塵となり消え去った 男はただのサラリーマンだった。 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 16:08:30.64 ID:42EK+8wlO 長門「危険領域の沈下…」 彼女は部屋に戻ろうとした。 チャリン 再び警戒態勢に移行する。男が取り出した鍵が 情報解除されず落ちた音だった。 すぐさま鍵を取り上げ彼女はマンションを飛び出した。 辺りは夜の帳が降ろされ、街頭が心もとなく灯っている。 長門「…」 彼女は電話ボックスに駆け込み彼の番号に掛けた。 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 16:11:44.40 ID:42EK+8wlO 妹「は〜いもしもし」 長門「彼に代わって欲しい」 妹「有希ちゃん?うんわかった〜」 ……… キョン「ふわ〜、どうしたんだ長門?」 長門「緊急事態、すぐに会いたい」 キョン「…!わかったすぐにいく。マンションの下でいいか?」 長門「それは危険、あなたの家に向かう」 返事も聞かずボックスの中から 飛び出し足早に彼の元に向かう。 駆け足で向かう途中、衣類の 空気抵抗を感じた彼女は素早く何かを唱えた。 すると見る見るうちに身に纏っていたものは消え去った。 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 16:14:32.04 ID:42EK+8wlO 途中幾人かの人が驚きを隠せない表情で見ていたが 彼女は気にもせず目的の場所に急いだ。 女性「君!どうしたの、その格好!?」 女性に声を掛けられ、立ち止まる。 長門「沈黙よりも勝る言葉でないなら黙って」 女性は一瞬何を言われたのか解らなかったが 解ったときにはすでに彼女は目の前に居なかった 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 16:16:49.65 ID:42EK+8wlO さっきまで眠りの国にいた俺がなぜこうして 玄関前に立っているかというとあの長門から 緊急だという電話を貰ったからだ。 妹「…ん…くん キョンくん、でんわ、でんわだよ〜」 ぐわっ まさか夜にこれを喰らうとはな  時計を見ると後数時間で明日になろうとしていた。 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 16:20:49.34 ID:42EK+8wlO キョン「…おいおい、子供は寝る時間だろ」 覚醒していない脳をフル回転させる  妹「だって〜テレビが面白かったんだもん〜。めはくちほどにものをいう〜」 キョン「まったく。…えらく難しい諺を知ってるな」 妹「うん、さっきテレビでやってた、あとね、 めをてんにする〜、めをくばる〜とか」 キョン「意味知ってるのか?」 妹「…てへ」 まったく、誰に似たんだか  キョン「で、誰からだ?」 妹「有希ちゃんだよ」 長門から?めずらしいな キョン「そうか、早く寝ろよ」 妹「あ〜、めがわらってないよ〜」 ふん 俺は鼻でわらってやった 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 16:25:55.03 ID:42EK+8wlO 妹「そういえばさっき、ながれぼしがでたんだよ! それもみ3つも!」 キョン「へえめずらしいな、何かお願いしたのか?」 妹「うん、いっぱいおねがいしたよ!」 キョン「それはよかったな、かなうといいな」 そんな事を話しながら俺は玄関先にでた 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 16:28:35.02 ID:42EK+8wlO 玄関の前で待っていた俺は 中々来ない長門の言葉を気にしていた。 「緊急事態か、またあいつ絡みだろうな」 空を見つめた。 「流れ星か…」 そう思っていると流れ星が落ちた。 「流れ星に願いよ、か。あいつなら あんなものに頼らなくてもいいんだもんな…」 一瞬の内に三度願いを掛けるなんて事は無理だな。 そう思いながら空を見つめていると また流れ星が落ちた 「…やっぱり無理だな」 願いを叶えるチャンスを逃した俺は 少し悲しくなり空を見つめるのを止め前を向いた。 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 16:31:04.34 ID:42EK+8wlO すると少し先に俺は何か妙なものが こちらに向かってくるのを確認した。 人だという事と長門だと言う事は理解できたが、 全裸で走ってくるというのは理解できなかった キョン「ど、どうした、一体何があったんだ?というかなんで何も着てないんだ!?」 俺は顔を赤らめながら、目を逸らした。 が、衝撃的な映像は眼に焼き付けられたままだった。 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 16:33:23.09 ID:42EK+8wlO か細い肢体に肉付きのない胸。 鎖骨は浮きでており腰周りはくびれ、 力を入れて抱きしめたら壊れてしまいそうな体だった。 走ったせいか、胸を上下し息を整えており発熱により 体中がすこし赤らんでいた。 俺は着ていたシャツを脱ぎ彼女に渡した。 長門「緊急事態だった」 裸と関係があるのだろうか… キョン「そ、そうか……す、少しでかいが、今はちょうどいいだろ」 受け取ったシャツを着る長門。 袖は肘に差し掛かり、下半身がぎりぎり 隠れる位の大きさだった。 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 16:37:38.05 ID:42EK+8wlO キョン「とにかく部屋に上がっててくれ」 そういうと、彼は家族と会わないよう確認しながら 部屋に案内した。 なんとか家族に遭遇することなく部屋にたどり着く。 キョン「今着替えを持ってくる、話はそれからだ」 そういって長門を残し、俺は部屋を後にした …… 長門「鍵が無い」 それは服を情報解除したときに 一緒にしてしまったからであった。 長門「…これで安心」 不安の種が無くなり彼女はようやく 落ち着きを取り戻したので 机の引き出しを全部開けていった。 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 16:43:49.47 ID:42EK+8wlO 中には教科書や小物、筆記用具などが入っていた。 次に彼女は机にあったガムテープを取り出し 隙間と言う隙間に目張りしていった。 ドアの隙間にテープを貼っている途中、 コンコンとドアのノック音がした。 キョン「長門、入るぞ。ってあれ」 ドアが少し動くだけで中に入れない。 キョン「すまない、まだ入っちゃいけなかったか?」 長門「いい、入って」 そうはいうものの扉は相変わらず拒絶している。 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 16:48:31.88 ID:42EK+8wlO キョン「開けてくれないか」 長門「どうぞ」 キョン「いや、何か中で抑えられてるんだが」 彼女は仕方なくドアのガムテープをベリベリとはがしていった。 (ベリベリって…何の音だ?) 長門「…蝶番」 キョン「どうした、蝶番が壊れたのか?」 長門「そうではない、私は蝶番を食べてみたい」 キョン「…何言ってるんだ長門」 ガチ ガチ 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 16:51:06.42 ID:42EK+8wlO キョン「おい、何してるんだ!」 ガチ ガチ ガギィン! キョン「おい、いい加減にしろ!」 ドンドン ドーン 何とか扉を開けるとしりもちをついている長門が居た。 キョン「・・、大丈夫か?」 長門「蝉は裏返って死ぬ」 キョン「は?」 長門「蝉は裏返って死ぬ。それは蝉が最初から最後まで  鳥の餌という性を背負っているから」 キョン「頭でも打ったのか?」 長門「私は蝉だ」ジジジジジッ ジジジジジジィ 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 16:53:33.13 ID:42EK+8wlO 俺は部屋の異質さに気づく キョン「長門、なんでこんなことしたんだ…」 長門「隙間から視線を感じた」 キョン「隙間に人が入れるわけ無いだろ」 長門「そうではない、視線を感じた」 キョン「…」 彼の体中に冷や汗が出る。 ひとまず彼女をほっておきガムテープを剥がそうとした ベリ ベリリ 長門「深淵を覗くときは気をつけて」 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 16:56:56.59 ID:42EK+8wlO ベリ ベリ 長門「なぜなら、深淵もまたあなたを覗いているのだから」 キョン「…哲学書でも読んでるのか?」 長門「カタツムリの渦は終着点を持たない」 キョン「は?」 なんだ藪から棒に。 そういうと、長門は胎児のようにひざを抱え部屋中を回り始めた ゴロン ゴロン 長門「私には終着点がある。 だから回り続ければ決して終わる事は無い」 回り続ける彼女を尻目に、ガムテープを剥がし終えた。 ふと、回転が終わり手に持ったガムテープの残骸を 見つめている 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 17:02:02.69 ID:42EK+8wlO 長門「…丸めたガムテープ」 キョン「…こいつがどうしたんだ長門」 彼女の方を見る。黒目がちな瞳が いつもより怪しく写る。恐怖していた。異常 いかに鈍感な彼でも感じ取れていた。 (長門がいった緊急事態ってのは長門自身の事か?) ピンポン球ほどの大きさになったガムテープを 貼っていった彼女の奇妙な行動もさることながら 今までの言動は彼が知りうる彼女のなかでは無かった。 長門「中身は何?」 キョン「ふあ?」 考え込んでいたせいもあってか俺は少しおおげさに震えて 変な声をあげてしまった 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 17:04:19.72 ID:42EK+8wlO キョン「これのか?ガムテープに決まってるだろ」 長門「なぜ解る?」 キョン「そんなモン、ガムテープで包んで  いったんだから当たり前だろ」 長門「それはさっきまでの事、今はどうなっているのか 解らないはず」 キョン「…」 (ここはとりあえず彼女の要望に答えておくか) 視線を戻した。 残骸は野球ボールくらいの大きさになっていた 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 17:07:10.52 ID:42EK+8wlO (!!?) さっきまでの大きさと違う。 心なしか少し重くなってもいた。 キョン「…お前がやったのか?」 答えてはくれない。 ただ無言の中に 『開けてみればわかる』 と訴えていたような気がした。 長門「あなたはまだ猫を飼っているはず」 唐突に聞いてきた キョン「…ああ、お前も知っているだろ」 長門「そう」 なんだ、一体。なんでいきなりそんな事聞くんだ? プルルルルルルル 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 17:15:19.10 ID:42EK+8wlO 体中の血管が一気に噴出した。 キョン「やっぱり何かあったんだな?あいつがらみか?」 古泉「やはり、ということはそちらでも何か起きてるようですね…」 キョン「ああ、…ん?そちらでも…?」 古泉「ええ、先ほど朝比奈さんから呼び出されて 今公園にいるんですが、どうも話す内容に一貫性がなく 支離滅裂な状態でして」 (なんて事だ…すでに朝比奈さんもこうなっているのか) 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 17:17:47.38 ID:42EK+8wlO ご無礼、貼り間違えだ (!!?) 携帯が無機質に鳴り響く プルルルルルルル ディスプレイには『古泉一樹』と書かれていた  手に持ったガムテープを机に置き彼は縋るように 通話ボタンを押した キョン「もしもし」 古泉「夜分遅くすみません僕です」 なにか嫌な予感がした 古泉「唐突ではありますが、そちらで何か  変わった事はおきてませんか?」 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 17:19:20.11 ID:42EK+8wlO 体中の血管が一気に噴出した。 キョン「やっぱり何かあったんだな?あいつがらみか?」 古泉「やはり、ということはそちらでも何か起きてるようですね…」 キョン「ああ、…ん?そちらでも…?」 古泉「ええ、先ほど朝比奈さんから呼び出されて 今公園にいるんですが、どうも話す内容に一貫性がなく 支離滅裂な状態でして」 (なんて事だ…すでに朝比奈さんもこうなっているのか) 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 17:20:34.74 ID:42EK+8wlO キョン「さっきの質問なんだが…」 古泉「恐らくお察しのとおりです。 彼女以外ありえないでしょう」 それを聞いて安心だよ 古泉「ひとまず合流しましょう。すみませんが  こちらに来てくれると助かるんですが」 キョン「解った、すぐ行く」 古泉「ああ、それと何か衣服を持ってきてくださると  ありがたいです、それとニッパーも」 俺はニッパーが気になりつつも事の次第を理解しバックを手に取った。 きっとあちらでも何か予想以上の事が起きてるに違いない。 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 17:24:11.59 ID:42EK+8wlO キョン「長門、今すぐ公園に集合だ。付いてきてくれ。  あとそろそろ下も着てくれ。」 長門「…」 コクリ、と小さくうなずき、持ってきていた 俺の着替えを受け取り、恥ずかしげも無く目の前で 着替え始めた・・今さら恥ずかしさも何も無いか。 それでも俺は一応部屋を一端出て少ししてからまた入った 部屋の中にいた長門は俺のシャツと短パン…といっても 長門には大きすぎるのか膝まで隠れそうな格好に なっていた。 部屋の中にあった衣服を詰め込み、出発の用意は出来た 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 17:27:00.64 ID:42EK+8wlO キョン「よし、行くぞ」 長門「解った、しかし…」 長門「その中身を確かめて欲しい」 一瞬何を言ってるのか解らなかったが 視線が机のガムテープにいっていた。 確かに気にはなるが今はそれどころではない キョン「わかった、だが早く行きたいんだ」 いつまでもこうして二人で居る事が怖かった俺は その不気味なゴミをバックに入れた。 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 17:29:30.35 ID:42EK+8wlO キョン「だから向こうに着いてからでもいいか?」 長門「いい」 意外にあっさりと意思の疎通ができ 肩透かしを食らっていると彼女は窓を開けて飛び降りた。 何が起きてもおかしくないのは覚悟していたが ここまでは予想できなかった。 キョン「長門!!」 少し遅れて窓から身を乗り出すと 彼女は何事も無かったようにこちらを見ていた 俺は急いで階段を駆け下り玄関を開けた 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 17:32:30.78 ID:42EK+8wlO キョン「長門!!」 少し遅れて窓から身を乗り出すと 彼女は何事も無かったようにこちらを見ていた  急いで階段を駆け下り玄関を開ける。 キョン「何をしてるんだ!危ないだろ!」 長門「早く行きたいといったのはあなた」 キョン「だとしてもだ!飛び降りるのはだめだ!  先に行かれても困るんだ」 長門「問題ない、あなたはアキレス」 キョン「へ?」 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 17:34:47.34 ID:42EK+8wlO 長門「そして私は亀」 今日は色々変身して忙しいな 長門 キョン「二度とやっちゃだめだ 解ったな」 長門「解った」 自転車を出し、後ろに長門を乗せ公園を目指す 長門「私はアキレス、あなたは亀」 さっきと違い今度は俺がアキレスか  キョン「…長門、実際アキレスが亀を追い抜くなんて簡単なんだよ」 長門「それは違う。」 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 17:38:25.82 ID:42EK+8wlO 長門「現に今、私はあなたを追い抜けない」 長門「あなたは常に前、あなたが進んだ分 私も同じだけ進むが…」 長門「私はあなたを永遠に追い抜けない」 …俺はもう何も言い返せなかった その後も、長門は何やら意味深な事を言っていたが 今はとりあえず合流するのが先決だ そうこうしていると目的の公園に到着した。 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 17:43:30.22 ID:42EK+8wlO 古泉達を探すまでも無く二人と合流できた。 朝比奈さんの叫び声が聞こえていたからだ。 「あれ、どうして!なんでキョン君がそこに?!」 そういって朝比奈さんが駆け寄ってきた ジャケット一枚で 長門とは違い朝比奈さんは出るところは出て 引っ込むところは引っ込んでいるまさに完璧な プロポ−ションをしていた。 しかも袖は通していたが前のボタンは掛けておらず 胸がはだけていた。 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 17:47:48.02 ID:42EK+8wlO ここまでやってきましたがパソコンで見てる方 見づらくないでしょうか? 携帯なもので確認出来ないため、もしなにか あったらいってくだされば幸いです 書き込むのが初めてに近いため迷惑掛けていたら すみません 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 17:55:12.80 ID:42EK+8wlO そんな天使のような格好をした人が 今こちらに向かって駆け込んできている。 俺はこの瞬間、無神論者であったが初めて 「神様ありがとう」と心の底から思った。 しかし古泉を見るなり目の前の天使が 実は悪魔の使いなのかも知れないと思うほど こいつの顔は疲弊していた キョン「古泉、苦労してるみたいだな」 いつものにやけ面が今日は一段としっくりきた 古泉「そちらこそ、いや…お互い様といったところでしょうか」 古泉が長門を見てそう答えた。 長門は自転車の後輪を無表情で回し続けていた。 自転車をひっくり返して。 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 17:59:13.10 ID:42EK+8wlO 古泉「さっきまで寝ていたんですが  急に呼び出されてしまいまして」 キョン「ほうお前もか、実は俺もだ」 古泉「ええ、この所めっきり閉鎖空間が起きてないものでして  寝る時間が増えたんですよ」 そういえば最近はバイトの呼び出しがないな 古泉「ふふ、寝ていた男が姫に起こされる  まるで、何かのおとぎ話のようですね」 そんなおとぎ話は知らん 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 18:05:34.59 ID:42EK+8wlO そんなことよりまずは… キョン「とりあえずこれを着させてくれ。 俺は向こうを向いてる」 古泉「おやおや、それを僕がやってしまって よろしいのですか?」 俺に聞くな、俺に 古泉「そうしたいのも山々なんですが、ほら」 そういうと古泉はくるりと振り返った。 キョン「なんでそんなもんしてるんだ? そういう趣味でもあったのか?」 俺はいつもどおりの皮肉を言い、自分が狂ってないかを 確認でき落ち着いた 古泉「まさか。思った事もありませんよ」 そういった古泉の両手には手錠が掛けられていた 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 18:09:01.29 ID:42EK+8wlO 古泉「呼び出されて一番にこれですよ。」 古泉が言うには朝比奈さんは全裸で現れたという。 ただ一つ長門と違っていたのは女性が持つには 少し大きめでうすいピンク色のエナメルバックを掛けていた。 古泉「いきなり裸の女性が、しかもバックだけというのは なかなかにショッキングでしたよ、知り合いとも なれば、尚更ね」 だろうな、気持ちはわかるぞ 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 18:12:41.07 ID:42EK+8wlO 古泉は慌てて着ていたジャケットを朝比奈さんに渡したという 古泉「ジャケットを着る間になにやらごそごそと  したもので気になりましてね」 古泉は朝比奈さんの唯一の持ち物を見ている  古泉「着替えにしては少しだけ 時間がかかり過ぎていたもので 振り返ろうとしたら 『悪い事をするのはいつでも手なんです』 と言いまして…」 片手首にガキンと掛けられたらしい  朝比奈「染めてしまう前に」 と悲しそうに言うと、もう一方の腕を後ろに回されて 今に至るらしい。 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 18:17:00.97 ID:42EK+8wlO キョン「なんとかならんかったのか?」 古泉「情けない話ですが、まさか朝比奈さんが そんな事するとは思ってもみなかったもので」 悔しそうに笑う 「はい?呼びました?」 いきなり声がした びっくりして声の方を見ると 朝比奈さんがキョトンとした顔でこちらを向いていた 古泉「いえいえこちらの話です、何でもないんです」と軽くいなすと、 朝比奈「そうですか」と静まり、すぐさま来た時から持っていた何かに石を殴りつけていた。 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 18:21:07.16 ID:42EK+8wlO キョン「あれは何やってるんだ?」 朝比奈さんは手のひらに収まるサイズの 何か硬いものを一心不乱に叩きつけていた。 古泉「今はほっといたほうがいいです」 そうか、とは素直に思えなかったが今は話を聞いておこう。 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 18:22:04.37 ID:42EK+8wlO そういえば… キョン「てことは電話するのが大変だっただろう」 古泉「いえ、実際にやってもらえればわかりますが」 そういって後ろの手を器用に回して 左のポッケに手を入れた。 キョン「ほう、上手いもんじゃないか」 古泉「携帯をとるのは簡単でした、ただ…」 そういってる最中、自分でもやってみたが ポッケに届きもしなかった。もう年だな 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 18:24:12.80 ID:42EK+8wlO 古泉「その後が大変でしたよ」 朝比奈さんはいきなり泣き出したのだという。 古泉「そして泣き出したままどこかに消え去っていったと思いきや、 いきなり木の枝を持ってコッチにやってきたんです」 その木の枝がこれか。 古泉「そして僕の後ろに周りこんできて」 古泉「それをいきなり僕の手に刺そうとしたんです」 枝の先端がいい感じに刺さりやすそうだ 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 18:26:41.17 ID:42EK+8wlO 「うぅ、やっぱり思ったとおりでした」 幾度となく背後をとろうとするが 警戒した僕に四角は無かった。 古泉「そして閃いたんです。 『朝比奈さん!足は使ってはいけないんですか!?』 ってね」 朝比奈「呼びました?古泉君?」 またこちらを向いて尋ねた 古泉「いえいえ何でも無いんですよ」 朝比奈「そうですか…」 キョン「…」 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 18:28:11.61 ID:42EK+8wlO 俺は朝比奈さんの今の行動が 何かの前兆のような気がしてならなかったが、 今の彼女達の考えなど解るわけも無かった キョン「大丈夫なんだろうなほんとに?」 おれは朝比奈さんを一瞥する 古泉「えぇ、恐らく、としかいいようがありませんが」 こいつだってわかる訳ないか キョン「…まぁいい、それでなんで足なんだ?」 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 18:29:39.61 ID:42EK+8wlO 古泉「彼女は手で何かをする事を非常に恐れてましたので 足ならば大丈夫かと思いまして」 キョン「そしたらどうなったんだ?」 古泉「はい、彼女はいきなり泣き止んで笑顔で 『足ならいいですよ』  と」 キョン「すまん、まったく理解できない」 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 18:32:04.46 ID:42EK+8wlO 古泉「僕だってわかりませんよ、 ただ彼女がそれでいいなら いいではないですか」 そんなもんかね。 まあ長門も常識が通じなくなっていたし 似たようなもんだろ 古泉「そして何とかあなたに電話を掛けたという次第なんですよ」 そういって足元を見ると靴はもちろん靴下まで 脱いだ古泉の足が覗いていた。 するといきなり長門が古泉に向かって来て 手錠を消し去った。 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 18:34:20.39 ID:42EK+8wlO キョン「どうしたんだ、まさか戻ったの…」 長門「私は靴が欲しい」 そういうと今まで裸足だった長門は 古泉の靴を半ば強引にとっていった。 そしてそれを手にはめ込み逆立ちをし始めた。 その状態からベンチに座った。 古泉「器用な事ができるものですね…」 キョン「奇妙の間違いだろ」 それはえびぞりのような形で 座る面に胸を降ろし本来股間がある場所に 顔を生やした格好になっていた。 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 18:36:48.30 ID:42EK+8wlO 古泉「等価交換といったところでしょうか…?」 キョン「等価かどうか解らんがな」 古泉「…話が途中でしたね、まぁその後は 特筆するところはないんですが…」 そういって朝比奈さんを見た  なんだ?どうしたというんだ? キョン「…そうだ!機関とやらに連絡はしたのか?」 なぜ気がつかなかったのか! 彼らなら助けてくれるかもしれないじゃあないか 古泉「少し難しいですね」 そういった古泉はまだ朝比奈さんのほうを見ていた 視線の先に何があるんだ? 83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 18:38:18.34 ID:42EK+8wlO そう思い古泉が見つめる先を追うと何かを殴っていた それは古泉の携帯だった 古泉「あれでは電話はおろか ライト代わりにもならないでしょうね」 ベコベコにへこんだ物体を寂しそうに見つめる。 キョン「連絡先の電話番号は?」 古泉「すみません、覚えていないないんです」 機関の方々、今後指導マニュアルに 連絡先を暗記させる練習も取り入れたらどうだ 古泉「それよりも」 そういって少し力強くこちらに向きなおす 84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 18:40:35.90 ID:42EK+8wlO 古泉「一刻も早く原因となっている問題を 解決したほうがいいかと」 キョン「そうか…」 古泉「ええ、このままでは長門さんも朝比奈さんも見ていられませんしね」 そういえばまだ朝比奈さんに服を着せていなかったな。 そんな事を思ったその時だった 古泉「ぐわっ」 横にいた朝比奈さんがいきなり古泉にポールギャグを噛ませた。 そしていつもの彼女からは比べ物にならないほど 素早く動き、後ろに回りこんだ 85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 18:42:30.35 ID:42EK+8wlO 朝比奈「仏の顔も三度までなんていいますよね?」 その見慣れぬ道具を手馴れた手つきで付けていった。 しかもそれは普通のポールギャグではなかった 全身鋼鉄性で出来ており、 ご丁寧に口にはめ込む球状のものまで鋼鉄だった。 朝比奈「口は災いの元です。用も無いのに 三度も呼ばれたら神様でも怒りますよ」 カチリと何か古泉の後頭部で音がした朝比奈さんの 手には何かのマスコットのついた鍵が握られていた 87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 18:45:10.52 ID:42EK+8wlO 朝比奈さんは上をむいてあーんと口を開け 鍵をポイッと口に投げ込んだ。 古泉「ガガグガッ!」 古泉が焦ったところをまるで母親の諭すような目で 見つめた。それを確認すると朝比奈さんは ゴクリ と飲み込んだ マスコット付きの鍵は食道を無理やり通り過ぎ 胃の中に落ち着いた。 古泉「フガグガアアッ」 いともたやすく行われるえげつない行為。 俺と古泉は唖然とするしかなかった。 狂人と化した半裸の朝比奈さんは月明かりに照らされ 含み笑いをしたすがたは妖艶な悪魔を彷彿とさせた。 長門は足で靴紐を結んでいた。 89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 18:48:10.97 ID:42EK+8wlO 朝比奈「だからいったんですよいつだって悪い事をするの手だと。 だからあえて手を使って口で飲み込んだんですよ、ふふふふふふ」 『あえて』の使いどころがおかしいが今は 気にしてる場合じゃない。 俺はすかさずバックを取り上げた。 朝比奈「きゃあ!」 キョン「なんだこれは…」 中身を確認するとたくさんの手錠の中に 大き目のナイフや千枚どうし、万力等など 何に使うのか解らないものまで入っていた。 朝比奈「ああ、やっぱりキョン君も…」 なにか言い切る前に俺は素早く朝比奈さんに手錠を掛けた。 朝比奈「あぁ」 さっきまでの勢いが消え朝比奈さんは大人しくなった。 91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 18:51:18.31 ID:42EK+8wlO キョン「すみません、女性にまして 朝比奈さんにこんな事したくは無かったんですが。」 うなだれた朝比奈さんに俺と古泉は持ってきた服を ひとまず着せようとした。俺はなるべく見ないようにしていたが どうしても上手くいかず キョン「朝比奈さん、自分で着てくれたら手錠を外しますよ」といった すると急に息を吹き返し持ってきたジーンズに着替え始めた。 やれやれ、女性の着替えを生で見るはこれで二回目だな 92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 18:53:06.63 ID:42EK+8wlO しかしいかんせん手錠をしている性か、 それとも彼女がもつドジな性格の性か朝比奈さんは よろけそうになった キョン「危ない!」 俺は両肩をしっかり抱きかかえ力強く抑えた。しかし 俺と朝比奈さんはなだれ込むように倒れた。 砂埃が舞い、下になった朝比奈さんは気絶していた。 古泉「フガグガガガグガ」 何を言ってるのかわからなかったが 手を貸してくれるところを見ると 「大丈夫ですか」 とでも言うとこか。 手を取り合って俺達は再度着替えを試みた。 94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 18:55:31.91 ID:42EK+8wlO 古泉が肩を持ち上げ俺は前にしゃがみこみ 俺は下からジーパンを履かせた。 石膏のように滑らかな彼女の足がスルスルと通っていく。 ある程度通ったジーンズは朝比奈さんの肌を どんどん侵食していく。後少しのところで 何か柔らかいものが親指と人差し指の付け根辺りに触れる 「何だ」 と思い見上げてしまった俺はすぐに 女性が最も見せてはいけない部分をも見てしまった事とに 気づくと興奮と罪悪感がない交ぜになっていた。 触れたのは朝比奈さんの柔らかなお尻だった。 古泉はこちらをみて 「不可抗力です、仕方ありません」 と目で訴えかけていた、と思いた 95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 18:58:29.35 ID:42EK+8wlO ジャケットのボタンを掛けとりあえず着替え終わった 俺達は朝比奈さんをベンチに寝かせた。 次は… キョン「長門」 長門「何」 長門はすでに靴を脱いで、普通に立っていた。 変わっている事といえば自分の影をみつめながら 手を上に上げたり片足で立ったりしていた 目線は一挙手一動真似する影を不思議そうに見ていた。 キョン「朝比奈さんの中にある鍵をとって欲しい」 恐る恐る聞いた 96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 19:00:43.84 ID:42EK+8wlO 長門「かまわない、しかし条件がある」 影遊びをしながら言った 長門「等価交換」 そう言って、指を刺したのは俺ではなく古泉のほうだった キョン「等価交換ってさっき言ってた奴か…?」 長門「そう、先ほどそういっていた 等価交換なら引き受ける」 俺と古泉はポカンとしながら見つめ合っていた。 少したって古泉が長門を見た 古泉「(解りました、しかし何をあげればいいんでしょうか?)」 コクリとうなずいたがその目は不安で一杯に見えた  97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 19:02:17.91 ID:42EK+8wlO 長門は目線を動かし古泉の全身を見た 長門「…仮面」 キョン「仮面?」 そんなもんがこの辺にあるのか? 長門「そう、仮面が欲しい」 古泉「(僕の?解りました)」 逡巡の内にうなずく キョン「おい古泉、そんなあっさり承諾していいのか? 仮面ってなんだ?」 古泉「(解りませんがおそらくこの口にはめられた ものの事でしょう)」 古泉は首をかしげ、人差し指でポールギャグをつついた キョン「だといいんだが…」 98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 19:03:39.27 ID:42EK+8wlO 長門「…」 長門は無言で俺のバックのほうに歩き出した 長門「…」 そして朝比奈さんのほうには目も向けず俺のバックから あのガムテープのゴミを差し出した キョン「どうしたんだ、早くしてくれ」 長門「もう済んでる」 俺はわけもわからず手渡されたあのガムテープの塊を受け取った。 101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 19:06:14.79 ID:42EK+8wlO このタイミングで渡されたあのゴミを今あけるというのか? 古泉は訳もわからないという表情でそのゴミを見ている。 俺は半ばやけくそ気味にガムテープを剥がしていった 我が目を疑った。 ガムテープの中心には金魚のマスコット付きの鍵が張り付いていた。 古泉は不思議がっていたが俺の不思議がる様をみて 何を今さらという目をした。 果たして、その鍵はポールギャグの鍵であった。 102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 19:07:46.46 ID:42EK+8wlO 古泉「ふう、しばらくこのままかと思いましたよ ありがとうございます長門さん」 軽口をたたく古泉はいまだに驚いている俺をみて ますます不思議そうにしている。 古泉「どうしたんです?長門さんの力を使えばこのくらい…」 キョン「いや、恐らく長門は力を使ってない…」 古泉「それは一体…」 俺はこのガムテープがどうしてあるのか またどうやって出来たのか説明した 104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 19:09:54.47 ID:42EK+8wlO 古泉「なるほど。それはシュレディンガーの猫に 似ていますね」 長門は微動だにしない キョン「シュレディンガー?」 古泉「ええ、箱の中に猫を入れ毒ガスを入れ一時間 ほど置くとどうなるかとう実験です」 キョン「そんなことしたら死ぬに決まってるだろう?」 古泉「そうですね、しかしその箱を開け無ければ 猫は生きているかどうか解りません。 だから、箱の中の猫が生きているかどうかは 開けてみるまで解らない」 じゃああの時すでに鍵がこの中に存在してたって言うのか 106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 19:12:20.21 ID:42EK+8wlO 古泉「だから生きているかどうかは解らない つまり生死の確率はどちらも100%なんです」 キョン「なら開ければいいじゃないか」 古泉「そう思うなら、なぜあなたは  あの時開けなかったんです?」 キョン「…それはだな」 こいつのにやけ面で落ち着く日がこようとはな 古泉「解りますよ。だれだって一瞬のうちに 中のものが変化したら気味悪いですよ こんな時ならなおさらね」 108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 19:16:00.45 ID:42EK+8wlO 話が長くなりそうだ 古泉「まあ、実際は箱の中には核分裂する原子と それを検出する装置、そして検出すると動き出す装置があり…」 キョン「もういい、つまり確認するまで何が起きているのか 解らないって事だろ」 古泉「少し違いますが…止めときましょう」 前言撤回だ、こいつのにやけ面はイラつく 110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 19:21:36.27 ID:42EK+8wlO 古泉「そうですね…それではこうしましょう  やはり長門さんが力を使ったという事で」 …それが一番落ち着くな。 この話はやめだ 長門「そろそろ仮面が欲しい」 キョン「長門、やっぱりお前が…いや、止めておこう」 これ以上気味の悪い事は勘弁してもらいたい 古泉「はい、どうぞ」 さっきまでつけていたものを渡す 長門「違う、それではない」 古泉「ほう、では何が仮面なのでしょうか…」 そういうと長門はなにやらつぶやき始めた そして古泉の顎の辺りから何かをゆっくりと剥ぎ取った ss書くはじめてです。文章は多目にみてください 111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 19:23:33.68 ID:42EK+8wlO 古泉「!?」 古泉は自分から浮き出てきたそれに驚いている。 キョン「おい!何してるんだ、長門!?」 長門「彼から仮面を頂いた」 キョン「頂いた…?」 長門曰くその仮面は、なんとも不思議であった まず色に目がいった。青白く発光してとても人間から 採取できるような物ではなかった。 しかし、形はどこか見た事があった。 それは子供の頃テレビで見た怪獣を倒す 三分しか戦えない宇宙ヒーローに似ていた。 112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 19:25:44.30 ID:42EK+8wlO 古泉「長門さん…それはとっても大丈夫なんですか…」 俺は古泉を見たが、そこにはいつも通りの顔があった 古泉「どうしたんです?…まさか!?」 キョン「いや、とくに変わりはないぞ」 長門はその仮面を顔にはめ込んでいた 長門「これはあなたの中にいるもう一人のあなた」 キョン「そんなものとってしまっていいのか」 長門「わからない、だからすぐに返す」 長門が「わからない」と言うと古泉が狼狽しはじめた 115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 19:30:41.20 ID:42EK+8wlO 古泉「うう…返してください…なんだか…うぅ、怖い…」 キョン「おい!長門!しっかりしろ!」 古泉「ないんです…何かが…それがないと…ああぁ…」 自分の両腕を抱えこんだままブルブルと震えだした。 長門は数秒静止した後、仮面を取り外すと すぐさま古泉の顔にはめ直した 古泉はその場にひざを突いた 古泉「はぁはぁはぁはぁ…」 キョン「おい!しっかりしろ!古泉!」 肩に手をやると古泉の体温は酷く 上昇していたが顔は真っ青だった。 俺はベンチに古泉を寝かせた。 117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 19:34:07.87 ID:42EK+8wlO キョン「おい!やりすぎだ!」 おかしくなっていたとは言えいままで危害を 加えなかった長門が始めて暴挙に出たので、 怒りがこみ上げてきた。 長門「そうではない、それは彼が決めた事」 なんだと 長門「彼は先ほど私の力を使うのは等価交換でいいと 了解した」 長門「だから私はそれに従い力を使った」 長門「そして彼の等価となるものを頂いたまで」 キョン「そんな馬鹿な話がだな…」 古泉「いいんです…僕はもう大丈夫です…」 そういった古泉は汗だらけになりながら 上半身を起こしていた。 118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 19:36:09.02 ID:42EK+8wlO 長門「あなたの中を覗いた時にそれが等価と 判断したのはあなた」 さらっと怖い事をやってのけるな、長門 古泉「そうですね」 キョン「おい、さっきと言ってる事が違うぞ」 俺は落ちているポールギャグを拾った。 古泉「ええ、確かにそう思っていました。 しかしどうでしょう、果たしてそれに等価の 価値があるでしょうか?」 キョン「……」 こいつが納得してるならまあいいか。 それにしても いつの間にか長門と意思疎通ができてるな 119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 19:38:10.22 ID:42EK+8wlO キョン「長門、もしかして戻ったのか」 長門「戻ったという表現は適切ではない」 おお!これはいつもの長門…か? 長門「これはむしろ進んだというほうが適切」 古泉「その様子だと戻ったようですね長門さん」 キョン「ほんとか?古泉!?というか大丈夫なのか?」 古泉「ええ。おかげさまで少し良くなりました。 長門さん、質問してもよろしいですか?」 小さくうなずいた 123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 19:42:26.93 ID:42EK+8wlO 古泉「あなたは先ほどまで涼宮さんの 影響下にありましたね」 また小さくうなずく 古泉「そして今はその影響はなくなったんですね?」 またうなずく これは間違いなくいつもの長門だ 古泉「つまりあなたの中にあった結末を迎えたということですね?」 長門「そうとってもらって構わない」 キョン「?…どういうことか説明してくれ…ついていけない」 古泉「ええ、もちろんさせていただきますよ」 さっきまでの体調が無かったかのように生き生きしている。 古泉「おそらく今回の騒動は「願望」と いうのがキーワードなんです」 126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 19:46:25.18 ID:42EK+8wlO キョン「願望?」 古泉「ええ願望です。」 願望といえばあいつの能力か… 古泉「そうです、長門さんや朝比奈さんが 今までしてきた不思議な行動はすべて彼女達が思った望みが 引き起こした結果なのです」 キョン「そうなのか、長門?」 長門「そう」 古泉「長門さんの場合ですと、 『人間という生態を知りたい望み』 と言った所でしょうか」 長門「正解ではないが間違いでもない」 古泉「そして朝比奈さんの場合は… おそらくどこかで『得た知識を確認したい望み』 といったところでしょうか」 なんだかややこしいな キョン「朝比奈さんはどうしてわかるんだ?」 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 20:23:21.88 ID:42EK+8wlO 古泉「彼女があれほどまでに目や口にまつわる事に 固執していたでしょう?まずそこがおかしかった」 キョン「おかしくなかった事のほうを探すのが難しいがな」 古泉「ふふ、それもそうですね。 しかし朝比奈さんはとりあえず置いておき まずは僕達がなぜ影響されなかったかという点に 移らせていただきます」 リンクありがとうございます 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 20:24:06.36 ID:42EK+8wlO そういえばそうだ、なぜ俺達は影響されていないんだ? 古泉「それは二人の共通点があったからなんです」 もったいぶっていうな 古泉「失礼、癖でしてね。失礼ついでに もう一つもったいぶらせていただくと 僕達はすでに願望を充足していたんですよ」 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 20:25:06.08 ID:42EK+8wlO 古泉「睡眠ですよ」 キョン「睡眠?」 我ながら滑稽なオウム返しだ そういえばこいつも寝ていた時に呼び出されたと いっていたな 古泉「ええ、そうです。そうなると朝比奈さんはすでに 無害ですよ。 確認の為、試しに起こしてみましょう」 大丈夫なんだろうな 古泉「さあ、神のみぞ知る、って奴です」 顔が近いぞ、おい 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 20:28:17.41 ID:42EK+8wlO 朝比奈「う〜ん…」 ペチペチ 古泉「なかなか起きませんね」 それにしても寝顔もすてきだ朝比奈さん さっきまで悪魔とか思って済みません 古泉「悪魔が来たのなら笛を吹きましょうか?」 下らん事を言うな 古泉「これは失礼、おや…」 朝比奈「う〜ん、あれ、みなさんおそろいで …でもどうして?」 キョン「よかったなんともないんですね? 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 20:30:53.84 ID:42EK+8wlO 朝比奈「え?ええ…とくに何も感じませんが…」 キョン「朝比奈さん!年齢は!?」 朝比奈「ふぇ?えぇ〜と禁則事項です」 良かった、戻ったんだ…すこしだけ残念だが 古泉「そんなことでは戻ったか解りませんよ」 古泉「朝比奈さん、失礼ですが ここ数時間の記憶を思い出してください」 朝比奈「は、はい…えぇっと〜…あれ?」 古泉「では記憶が飛んだ前何をしていましたか?」 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 20:32:28.82 ID:42EK+8wlO 朝比奈「あ、それなら… 確か家でテレビを見ていました  なんだか体の諺の特集みたいなので 『目が笑ってない』 だとか 『手癖が悪い』だとか…」 『目が笑ってない』?どこかで聞いたセリフだな… そうか!妹が見ていた番組か! 朝比奈さんも同じものを見てたのか! 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 20:34:42.80 ID:42EK+8wlO 朝比奈「あのう…できれば今まで あった事を説明してくれませんか〜?」 俺達は今までにあったことを総括しながら説明した 主に長門と古泉が 朝比奈「す、すみませんでした!古泉君にひどい事を…」 古泉「いいんですよ、気になさらないで下さい」 朝比奈「でも…」 キョン「それよりも、早く原因となった事を 解決しなきゃいけないんじゃないか?」 このままだと街中がパニックだ 長門「その必要は無い」 久しぶりだな、おい 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 20:37:10.58 ID:42EK+8wlO キョン「なぜだ?長門」 長門「すでにみんなの望みはかなえられている」 キョン「他の人たちに影響は…」 長門「皆無。今回は涼宮ハルヒを除くSOS団団員だけに 及ぼしたもの。そして原因は彼女の願望実現能力の 受け皿からあふれ出したものと推測さる。」 そうか、そういえば妹はなんともなかったな 古泉「つまりある程度フラストレーションを高めて 閉鎖空間を生み出していただかないと 願望が生まれないということですか… やれやれ せっかく休みが増えてよかったのですが… 皮肉なものです」 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 20:38:42.54 ID:42EK+8wlO 長門「本来ならば自発的に能力を使って力を バランスよく減らしていくのが望ましい」 キョン「しかし叶えたい願いがそうそうあるとは思えんがな」 俺は今さらながらあいつの能力がぶっ飛んだものだと認識した 古泉「ふふ、それは今後の僕達にかかっているんですよ」 キョン「どういうことだ?」 古泉「人は一人でも生きられますが 一人では何も起こりえません  僕らが適度に刺激しあえばこのような事は 二度と起こりえませんよ」 そんなもんかね。まったく不完全な神様もいたもんだ 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 20:40:16.49 ID:42EK+8wlO 古泉「ふふ、涼宮さんだって能力を除けばただの 女の子ですからね」 朝比奈「そうですね。なんだかわかりませんが… そうだ、今から涼宮さんの家に遊びに行きませんか?」 古泉「いいかもしれませんね、では早速連絡を…」 キョン「いや、俺が掛けるよ」 古泉「ほう…珍しいですね、どういう風の吹き回しです?」 キョン「俺にも解らん、なぜだか無性にあいつの 声が聞きたくなったのさ」 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 20:42:02.15 ID:42EK+8wlO ピポパポ プルルルルルル キョン「あ〜俺だ……そうだな、確かに… いや、今から皆でお前の家に………… (…彼にだけ他の者より少し多く与えられていた 不完全な願望能力…… 大半が睡眠によって消化されたが僅かに残った能力で 彼がしたかった事……… ……それは涼宮ハルヒが望んだのか、それとも 彼が望んだのか私にはわからない) 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 20:43:24.11 ID:42EK+8wlO 電話を終え、三人のほうを見て指で小さく丸を作った。 やれやれ、といった表情で首をふった彼の顔は いつもと違い少し綻んでいた。 空には流れ星が二つ落ちていた おわり 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 20:50:21.74 ID:42EK+8wlO おわった すみません 九時までになんとか終わらせたかったもので 次スレ立ててしまった。 本当は中盤の世界感を書きたかっただけで 終わりのほうの和気あいあいした 終わりかたで納得してないんだよなー あと伏線とミスリードを一杯いれたんで 暇なら読み返してみて下さい まとめに載って上手く編集でもしてくれたら この上なくありがたいです 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 20:55:41.12 ID:42EK+8wlO さるさんはせういうものだったのか 何にせよ完走できたんでよかった サラリーマンが消されたのは 狂気の世界で最後までいこうとした 名残です 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 21:00:05.68 ID:42EK+8wlO 家にあった本をネタに入れたりしてるんで なんか混沌としてます 哲学からもとってます ユング心理学入門ってやつです 面白いんで機会ガあれば是非 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 21:11:23.55 ID:42EK+8wlO 流れ星は春日が零した願望能力で 数は5つ(だったはず) 団員の数より一つ多い分がキョンにいきました 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/09(日) 21:13:55.63 ID:42EK+8wlO この辺でお暇させていただきます んじゃね