キョン「黒い―――線が視える」 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/02(日) 20:54:17.89 ID:KHBNrZ4LO ―――とても鼻につく、これ以上無い程に酸化した鉄の臭い。 どろりとした肌に纏わり粘り着く、堪らなく甘い空気。 ざりざりと狂おしい程に脳を侵食していく、目の前に広がる光景。 「―――ぁ、う」 現実が崩壊する。空想は構築されやはり崩壊する。理性などとうに消え去っている。 無論比喩だ。理性が消え去ってなどいたら思考さえ出来やしないが理性が消え去りそうではあるのだ。 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 20:58:36.34 ID:KHBNrZ4LO 虚実が混じり合い交じり合う。眼前の最早黒色と呼称しても差し支えない程に変色した赤色から目が離せない。 「はぁ、ぁ、ぐ―――」 吐き気がする。 気を抜いたら今にも吐瀉物をびちゃびちゃと床に吐き散らしてしまいそう。 ―――深く深呼吸。しかし無意味に終わる。早鐘もかくやといった旋律を心臓が紡いでいる。 焼け石に水という言葉が頭に浮かび又それも思考の奔流に押し流される。 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 21:04:52.12 ID:KHBNrZ4LO ―――がちゃり、と。真後ろから音がした。 振り向くため首を回転させる。180゚、360゚、540゚ぐりぐりと回転する。 無論、比喩――なのか。最早比喩なのか否かさえ分からない。 「こん■ちは、で■ょう■■。今言■べき■■は」 目の前に存在するモノから音声が発信される。 雑音。ノイズ。砂嵐。そうとしか聞こえない。 フィルターをかけ除去しようとするが、それも失敗。 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 21:10:02.44 ID:KHBNrZ4LO 「■■■■■■■■■■■■■■■」 聞こえない聞こえない聞こえない。ノイズ以外聞こえない。 雑音に脳が支配されていくのが分かる。 「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■」 脳が割れる。無論比喩だ。脳が割れる訳が無いが脳が割れる割れる。 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 21:17:43.27 ID:KHBNrZ4LO ごりごりと挽き臼で鼓膜を潰され、挽かれているような感覚痛い割れる。 ああ五月蝿い。止めろ。厭だ厭だもう聞きたくない。 鼓膜を挽くのを止めろああ五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い―――! 「貴方は―――涼宮さん、否、涼宮ハルヒという存在を殺しましたね?」 その瞬間。脳が意識が世界がシャットダウンし再起動し崩壊し再構築された。 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 21:25:15.18 ID:KHBNrZ4LO ―――初めに見えた物は天井だった。 何の変哲も無い、只の天井。 其は天井以外の何物でもなく、同時に紛れも無く天井であった。 ずきり、と鋭い頭痛が脳髄に走る。 自分は今床に呆然と倒れている、と認識出来た。立ち上がる。 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 21:31:34.92 ID:KHBNrZ4LO ずきり。又頭痛。 痛みに朦朧とする意識を繋ぎ合わせようとする。 ずきり。又頭痛。 足元がふらふらする。床が柔らかいのか、それとも只単に足が縺れているのか。無論後者だろう。 ずきり。又頭痛。 痛みにも多少馴れてきた。足を地面に固定する。 ずきり。絶え間無い頭痛。 周りを見渡す。ソコに在るのは平凡な部屋。どこか見覚えがある。 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 21:38:15.03 ID:KHBNrZ4LO 「ここは――、部室、か」 自分の言葉でやっと自分が居る場所を認識する。その見慣れた場所は、成る程、紛れも無くSOS団の部室であった。 自分の思考より言葉が先に出るパラドックス。しかし此処ではそのような逆説も意味を成さないだろう。 此処は紛れも無くSOS団の部室であるのだが、同時に見覚えがある灰色一色に染められているのだから。 そう――ここは閉鎖空間。ここは紛れも無く閉鎖空間であった。 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 21:43:00.57 ID:KHBNrZ4LO 顔が歪むのが分かる。それは必然であろう。自分には閉鎖空間でマトモな目にあった事がないのだから。 変な巨人に巨大カマドウマ。出来ればもう二度とこの目に映したくない物ランキングに見事鎮座するのに間違い無い奴等と対峙してきたんだ、そんくらいはせめて許して欲しい。 がちゃり。あまりに突然の、ドアが開く音。無論振り向く。 そこに立ちドアノブに手をかけていた人物は、大方の予想通り涼宮ハルヒその人だった。 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 21:45:52.58 ID:KHBNrZ4LO 「―――アンタ、何してんの。こんな所で」 俺だって知るか、そんなもん。その台詞はこっちの台詞だ。 「……はぁ。別に納得の行く答えなんて期待してないけど、ちょっとはマトモに答えてよね」 知らん物は知らんのだから仕方が無いだろう。 つん、といった擬音が似合う表情を浮かべながら怒ったようにハルヒは顔を横に背ける。 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 21:51:43.83 ID:KHBNrZ4LO 疲れる――頭痛。頭痛。頭痛。頭痛。只ひたすらな頭痛。脳が割れる――奴である。 ―――足が崩れる。 突如頭痛が戻ってきた。がくがくと脚が震え吐き気が催す。自ずと体勢は崩れ、近くの壁に寄り掛かる。 「ちょ……どうしたの!?」 ハルヒが駆け寄ってくる。心配してくれているのだろうか。大丈夫だ、こんなもん唾付けときゃ治る。 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 21:56:20.65 ID:KHBNrZ4LO 「そんな訳無いでしょうが! ほら、掴まりなさい」 ハルヒが手を差し延べてくる。有り難く好意を受け取っておく事にしよう。 その手を掴み、立とうとする。――頭痛。上手く立ち上がれない。 「ちょっと、本当に大丈夫? ほら、肩貸してあげる」 おお、本当に有り難い。何時ものお前からは考えられん程に優しいな、今日は。 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 21:59:54.47 ID:KHBNrZ4LO 「……一言余計よ、馬鹿キョン。ほら、さっさと掴まる」 お言葉に甘えて肩を貸してもらう。女子特有の小さい肩。つい、壊してみたくなる。 ―――自分の思考に、酷く違和感。しかし、それもきっと気のせいだろう。 「どっこらせ、と」 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 22:03:57.12 ID:KHBNrZ4LO 爺臭いを上げながら立ち上がる。無論ハルヒの肩を借りて、である。 悪いな、ハルヒ。苦労掛けて。 「べ、別に大した事じゃないわよ、こんなもん。ま、その感謝の気持ちぐらいは受け取っておくわ」 どこか怒ったかのような顔をするハルヒ。本当に喜怒哀楽が激しい奴である。 31 名前:訂正[] 投稿日:2009/08/02(日) 22:04:40.70 ID:KHBNrZ4LO 爺臭い声を上げながら立ち上がる。無論ハルヒの肩を借りて、である。 悪いな、ハルヒ。苦労掛けて。 「べ、別に大した事じゃないわよ、こんなもん。ま、その感謝の気持ちぐらいは受け取っておくわ」 どこか怒ったかのような顔をするハルヒ。本当に喜怒哀楽が激しい奴である。 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 22:12:49.57 ID:KHBNrZ4LO と、既に立ち上がったにも関わらず、まだハルヒの肩に手を置いていたことに気が付いた。手を退かそうとする。が、 ―――つぷり、と。とても小気味酔い、音がした。 「―――あ。う、ぁ」 ハルヒが声を上げる。嬌声じみた脳にこびりつく、何処までも甘く艶やかな声。どうしようもなく男としての本能を撫で上げられ、擽られる。 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 22:18:08.62 ID:KHBNrZ4LO ふと自分の手を見る。そこに存在している光景に思わず目を見張った。 中指が、ハルヒの肩に深々と埋まっているのだ。 刺しているのでも無く、挿しているのでも無い。 紛れも無くソレは、ハルヒの肩に埋まっていた。 何故かは分からない。が、自分の中指は間違いなくハルヒの肌を破り肉をえぐっていた。 何か、良く分からない感情が溢れ出してくる。 ―――これ以上も無い程に惨く酷く密やかに眼前の雌を犯し殺し壊してやりたい。 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 22:24:59.65 ID:KHBNrZ4LO く、と軽く力を入れる。少し深く埋まる中指。喘ぐ眼前の女。 ぐ、ともう少し力を入れる。もう少し埋まる中指。喘ぐ眼前の女。 嗚呼―――愉しい。 どうしようも無く愉しい。愉しい。愉しい。 もっとこの女の喘ぐ姿を見ていたい。 喘ぐハルヒの顔を覗き込む。快楽にだらけきった顔。雄を刺激される。 自分の中指を見る。ハルヒの柔肌に埋まった指。神聖なモノを汚してしまったような錯覚。 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 22:31:02.75 ID:KHBNrZ4LO そのハルヒの柔肌を嘗めるように視線で犯す。 雌の匂いを芳しく発する女の肌。自分の雄の部分が発情しているのが分かる。 嗚呼―――殺してやりたい。 殺し犯し壊し嬲り、人間としての尊厳を棄てさせ、牝としての悦びをその躯に刻み付けてやりたい。 線をなぞりその躯をバラバラにし、その鮮血を飲み干してやりたい。 勿論自分は吸血鬼などではないが、こんなイイ女を前にしてそこまで望まないという方が間違ってる。 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 22:35:52.44 ID:KHBNrZ4LO 線にそって指をずらす。噴き出す血。 その線をぐじゅぐじゅと指で弄る。嬌声を上げるハルヒ。黒い線をつぷつぷを指で犯していく。ハルヒの中はまるで熔鉱炉のように熱い。 ―――線。どうしようもなく、線だ。 黒い黒い、歪な線。 嗚呼――― 「黒い―――線が視える」 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 22:40:44.84 ID:KHBNrZ4LO つい、眼前の現実離れした淫靡な光景を確認する為に声を出す。 しかし指はぐじゅぐじゅとハルヒを犯し続けている。 力を込め、線に沿い一気にハルヒの躯に傷を付ける。応答は無い。もう既に事切れているのか、それとも失神しているのか。 しかし、そんな事は関係無いだろう。今はこの牝の躯を犯し尽くすだけだ――― Interlude out.