佐々木「禁則事項だけどね?」 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 01:20:29.86 ID:gbAf6rxR0 キョン「まさか、またこんな風にお前と話す機会が来るなんて     思わなかったよ」 佐々木「あれ?もしかしてキョンは僕と会いたくなかったのかな?」 キョン「そんなんじゃねーけどさ。……何かな。中学の卒業式が終わった     後さ、お前とはもう会う事は無いんだろうなって、そんな感じが、     そんな感覚が俺にはあったんだ」 佐々木「薄情だな、君は……」 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 01:27:17.04 ID:gbAf6rxR0 キョン「だからそんなんじゃねーって。お前はさ…、何つーか、その…、     言葉では上手く表現できないが、俺とはきっと住む世界が違う住人     って感じてたんだ」 佐々木「………」 キョン「だってそうだろ?お前は勉強もスポーツも出来たし、老若男女問わず     人気があって明るい。まさに才色兼備の完璧超人の超優等生。かたや     俺は勉強も運動も普通。そこら辺探せば何処にでもいるような掃いて     捨てるほどいる、取り立てて特に何の才能も特技も持たない凡夫な人間」 キョン「接点がある方がおかしい」 佐々木「……僕はキョンが言っているような、そんな凄い人間じゃないよ」 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 01:34:16.18 ID:gbAf6rxR0 キョン「かもな。でもきっと俺以外の大多数の人間も少なからずそう思って     んじゃないのかと俺は思うよ。当時の俺が何の疑いも無くそう思ってたのと     同じように、な」 佐々木「全く。キョンにまでそう思われていたなんて、ほとほと心外だよ」 キョン「まー、そんなにむくれるなよ」 佐々木「君がさっきから、むくれるような発言ばかりしてる所為だろう?」 キョン「おいおい、子供かお前は?」 佐々木「………」 キョン「やれやれ」 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 01:41:18.41 ID:gbAf6rxR0 佐々木「……さっきの」 キョン「ん?」 佐々木「…さっきの話で『当時の俺』って言ったよね?」 キョン「ん?ああ。言ったな」 佐々木「だったら、『今』は違うのかい?」 キョン「んー。そりゃまぁ、そうだな」 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 01:46:46.29 ID:gbAf6rxR0 佐々木「本当だろうね?」 キョン「疑ってるな」 佐々木「まさか」 キョン「……ま、今でもお前の事を凄い人間だとは思ってるんだが、俺も     高校に入って色々な事件に巻き込まれたからな。世界が前よりも     広がったのさ。世の中には俺の想像を超えた物がまだまだ存在     するんだってな」 佐々木「ふふ、涼宮さんのおかげだね」 キョン「佐々木、間違ってるぞ。正しくはハルヒの『おかげ』で広がった     んじゃなくて、ハルヒの『所為』で広げさせられたんだ。無理矢理な」 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 01:52:13.90 ID:gbAf6rxR0 佐々木「くくっ。どっちでも同じことだよ」 キョン「まぁそりゃそうだけどさ」 佐々木「彼女にはお礼を言わなくてはならないな。キョンを成長させてくれて     有難う、と」 キョン「何故お前が俺の成長を喜んどるんだ。お前は俺の母親か?」 佐々木「気にすることはないさ」 キョン「やれやれ」 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 01:57:26.98 ID:gbAf6rxR0 佐々木「でも彼女とは何時かちゃんと話をしてみたいな」 キョン「お、それだったらちょうど良かった」 佐々木「?」 キョン「実はハルヒから頼まれごとがあってさ。今度お前と会って話がしたい     から、連れて来てくれないかって」 佐々木「へぇ」 キョン「俺としては、どうせハルヒの迷惑が炸裂すると思うから、あんまり     お勧めしないんだが……どうする?」 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 02:04:48.05 ID:gbAf6rxR0 佐々木「いやいや、是非御会いしたいと伝えておいてくれ。僕も彼女と話が     したかったんだ。丁度良い」 キョン「お、分かった。ハルヒに伝えておくよ。日時はまだ決まってないみたい     だから、決まり次第連絡する」 佐々木「了解」 キョン「ま、何の話か知らんが、ロクでもない事だろうから、心の準備だけは     しっかりして来いよ?」 佐々木「くくっ。心配性だな、キョンは…」 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 02:12:32.02 ID:gbAf6rxR0 ……………………………… ………………………… …………………… ……………… ………… …… 佐々木「(あれから一週間たったけど、まだキョンから連絡が来ない。     こっちからは何回掛けても繋がらない)」 佐々木「(……忘れてるってことは無いだろうし、着信拒否にされてたり     もしないだろう。後考えられるのは、何かに巻き込まれてるって処かな?)」 佐々木「(でも一週間も連絡がとれないのは少し長い)」 佐々木「(こんな時橘さん達が居てくれれば、キョン達の情報があるんだろうけど、     ここ最近三人とも見かけないし…)」 佐々木「さて、どうしようかな」 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 02:20:54.39 ID:gbAf6rxR0 〜キョン宅前〜 佐々木「気になってキョンの家の前まで来ちゃったけど」 佐々木「家がビニールシートで覆われてる?それにこの警察官たちは一体…」             ワイワイガヤガヤ 佐々木「とにかく取材陣の近くに行って報道している内容を聞こう」 アナウンサー「えー、ここが殺害された少年の自宅です。少年は腹部を突き破られ        ており、死因は出血死と見られています。また、少年は……」 佐々木「なっ!!!???」 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 02:28:48.11 ID:gbAf6rxR0 佐々木「(キョンが……死んだ?何の冗談だ?えっ?ウソでしょ?だって、     ついこの間まで一週間前には私と一緒に会って…えっ?まさか、そんな…)」 佐々木「(ウソだ。嘘だ、嘘だ嘘だうそだウソだ嘘だ。そんなのって、そんなのって!!!)」 アナウンサー「では、近所の方の話も聞いてみましょう」 アナウンサー「あっ、学生の方ですか?少し、お話を伺いたいのですが」 佐々木「えっ?」 アナウンサー「彼はどういった性格だったんでしょうか?」 佐々木「わ、私に聞いてるんですか?」 アナウンサー「はい」 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 02:35:48.37 ID:gbAf6rxR0 佐々木「いえ、あの……私は…」 アナウンサー「警察は他殺と見て捜査を開始したようですが、彼は他人から恨まれるような…」 佐々木「そんな…キョンは、恨まれるような人間じゃ…」 アナウンサー「キョン?キョンというのは殺害された少年のニックネームで良いんでしょうか?」 佐々木「いえ、あ、あの……」 アナウンサー「それではキョン君の交友関係についても少し伺いたいのですが」 佐々木「………」 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 02:42:40.67 ID:gbAf6rxR0 〜翌日〜 佐々木「今朝の朝刊…昨日の事件も載ってるな」 佐々木「……キョン」 佐々木「まだ、信じられないよ。テレビのニュースにも新聞にも君の記事が     載ってるっていうのに…。君に一体何があったのかな?殺されてしまう     ほどの何が…」 佐々木「……いや、考えてみれば宇宙人、未来人、超能力者とその抗争の真っただ中に     居るって事だけで、既に死と隣合わせだったのか…」 佐々木「……今日は学校を休もう」 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 02:44:22.14 ID:gbAf6rxR0 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 02:46:00.82 ID:gbAf6rxR0 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 02:47:20.53 ID:gbAf6rxR0 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………はぁ」 佐々木「結局、何もしないまま一日を終えてしまった」 佐々木「でも、何もする気が起きない。……キョン」 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 02:53:34.49 ID:gbAf6rxR0 佐々木「……TV」 佐々木「……」スッ カチッ        ヴィン TV「さて、今日の御勧め商品は…」 佐々木「……」ポチッ TV「はいはいはい。せやから、それがあかんねん!」 佐々木「……」ポチッ TV「私を置いていかないで!あなたが…」 佐々木「……」ポチッ TV「私は私の見える世界を皆に見せるための機械だ」 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 02:59:48.49 ID:gbAf6rxR0 佐々木「……」ポチッ TV「ですから日本を変えていくには…」 佐々木「……」ポチッ TV「さて、先ほど入ってきたニュースですが、またもや悲しいお知らせです。   先日報道された男子高校生の妹さんがお亡くなりになったそうです」 佐々木「…………えっ?」 TV「また、二人の両親も現在行方不明となっており、警察はこの一家が何らかの   事件に巻き込まれているのではないかとしており、今後も事件の捜索が…」 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 03:06:08.66 ID:gbAf6rxR0 佐々木「(妹さんや御両親まで!?…彼が殺される理由は予測がつく。恐らく     涼宮さんへのアプローチのつもりだろう。でも家族まで殺害、行方不明     となると…)」 佐々木「(もしかして、彼を世間から、社会的に抹殺するのが目的?)」 佐々木「(彼の家族まで被害に遭ったのは、彼に関する証拠を消すため…)」 佐々木「キョンはまだ生きていて、今も何かの事件に巻き込まれている可能性が     ある?」 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 03:14:03.58 ID:gbAf6rxR0 佐々木「(………………仮に宇宙人達の仕業だとすると、まず涼宮さんの前からキョン     という存在を消す。この場合、何も本当に殺さなくてもキョンを何処かに監禁     しておき、キョンが殺害されたという情報を報道する)」 佐々木「(いくら涼宮さんが『普通』を嫌っていたとしても一般メディアの情報を完全否定      はしない筈)」 佐々木「(涼宮さんがキョンが死んでしまった事に対して何らかのアクション、この場合      恐らくキョンの復活を願う。その時の力の働き方を宇宙人達は観測)」 佐々木「………………一応の筋は通る。でも」 佐々木「只の希望的観測に過ぎないけどね」 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 03:18:59.70 ID:gbAf6rxR0 佐々木「(けど、この仮定が間違っていたとしても、私は勿論、涼宮さんもキョンの     死なんか望んではいない筈。私や涼宮さんに、本当に願望を実現する能力が     あるんだったら)」 佐々木「キョンはきっと生きている」 佐々木「…私に出来る事は」 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 03:21:58.54 ID:gbAf6rxR0 〜翌日・北高校門前〜 佐々木「もうそろそろかな」 佐々木「……………」 佐々木「……………あっ」 国木田「えっ?あれ、佐々木さん?」 谷口 「?」 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 03:25:44.78 ID:gbAf6rxR0 佐々木「やぁ国木田君。久し振りだね」 国木田「佐々木さん、どうしてここに?」 谷口 「おい国木田。誰だよ、この美人は?」 国木田「……もしかして、キョンの事?」 佐々木「理解が早くて助かるよ」 谷口 「………」 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 03:30:52.52 ID:gbAf6rxR0 国木田「分かった。本当の処言うと授業受ける気もあんまりなかったんだ」 佐々木「有難う」 国木田「構わないよ。あっ、じゃあ谷口。僕体調悪くなったんで学校休むってHRの     時言っといてね」 谷口 「は?おいおいマジかよ?」 国木田「頼んだよ。よしっ行こう、佐々木さん」 佐々木「あぁ」 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 03:39:50.25 ID:gbAf6rxR0 〜市内の中央病院〜 国木田「何で中央病院?」 佐々木「おや?総合病院はお気に召さなかったかな?内科か歯医者の方が     良かったかい」 国木田「そういう意味で言ったんじゃないよ」 佐々木「だってさっき体調が悪くなったから学校を休むと友人に言っていただろう」 国木田「あれは方便だよ。そんな所で変に真面目にならなくて良いから」 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 03:46:44.38 ID:gbAf6rxR0 佐々木「ゴメン、冗談だ」 国木田「冗談言う場所でもないけどね」 佐々木「これは手厳しい」 国木田「そろそろ話を進めて欲しいんだけど」 佐々木「うん、そうだね。酷くその通りだ。じゃあ、お話しようじゃないか、国木田君」 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 03:53:13.05 ID:gbAf6rxR0 佐々木「取りあえず病院に来た理由はこれだね」 国木田「制服?」 佐々木「うん、流石に夏休み前で多くの学校が短縮授業でも、この格好でウロウロ     するのは補導される心配があるからね」 国木田「まぁ、そりゃそうだね」 佐々木「でも病院に来ている学生をわざわざ職務質問しに来る警察は居ないだろう?」 国木田「確かに」 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 04:01:45.60 ID:gbAf6rxR0 佐々木「それに病院で本当に診てもらっても、結局は健康体なんだから、医者からは     特に何も言われない」 国木田「……成程ね」 佐々木「君は本当に理解が早いね。助かるよ」 国木田「いやいや、それを言うなら佐々木さんの方が断然凄いでしょう。こんなに     悪知恵が働くんだから」 佐々木「悪知恵かな?」 国木田「悪知恵以外の何だってのさ?優等生とは思えないくらいだよ」 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 04:07:33.90 ID:gbAf6rxR0 佐々木「くくっ、優等生ね」 国木田「どうしたの?」 佐々木「いや、キョンに言われた事を思い出してさ」 国木田「…………」 佐々木「『お前は勉強もスポーツも出来たし、老若男女問わず人気があって明るい。     まさに才色兼備の完璧超人の超優等生。かたや俺は勉強も運動も普通。     そこら辺探せば何処にでもいるような掃いて捨てるほどいる、取り立てて     特に何の才能も特技も持たない凡夫な人間。接点がある方がおかしい』ってね」 国木田「それ……キョンが?」 佐々木「あぁ、九日前の事だ」 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 04:15:32.57 ID:gbAf6rxR0 国木田「そっか」 佐々木「うん、僕は全然優等生なんかじゃないのにね。今だってこうして、不良してるし」 国木田「そうだね」 佐々木「それに、自分を過小評価しすぎだ。むしろ僕にはキョンのような、誰とでもわけ隔て     なく、自由に付き合っていける才能が欲しかった」 国木田「そうだね」 佐々木「それと、そこら辺探せば何処にでもいるって間違えてると思うんだ。僕はこんなにも     キョンを探しているっていうのに、ちっとも見つかりやしない」 国木田「うん。……そうだね」 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 04:23:29.36 ID:gbAf6rxR0 佐々木「そこでだ。僕はこれから、キョンが僕と別れてから殺害されるまでの一週間に何が     あったのかを知ろうと思う」 国木田「……」 佐々木「知らない人間から見たら滑稽と思われるかもしれない。知り合いからだって、馬鹿     だと思われるかもしれない。でも、僕は警察が捜査した結果をただ単に報道する     新聞やTVの情報に左右されたくない。鵜呑みにしたくない」 国木田「佐々木さん」 佐々木「これは僕のエゴで我儘だ。でもね国木田君。僕は僕の手で、僕の目で真実を確かめ     たいんだ」 佐々木「だから協力してほしい」 国木田「……ま、そこまで言われちゃ引き下がれないよね。男として」 佐々木「有難う」 国木田「良いさ、別に。僕だってキョンの友人なんだからね」 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 06:13:57.14 ID:gbAf6rxR0 国木田「でも一つだけ聞いても良いかな?」 佐々木「何だい」 国木田「何故僕を選んだの?高校生になってからキョンと会って話し     してるくらいだから知っているとは思うけど、僕とキョンは     もう中学の頃と違って、いつも一緒に居るって訳じゃない」 国木田「キョンの周りにいつも居るのは…」 佐々木「涼宮さんを始めとしたSOS団の面々の事かい?」 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 06:23:08.25 ID:gbAf6rxR0 国木田「そう。だから最初にアプローチを掛けるんだったら僕じゃなくて     SOS団の方が先だと思うんだ」 佐々木「くくっ。もっともな意見だ」 国木田「だったら何故?」 佐々木「いくら高校で離ればなれになったとはいえ、今でも僕はキョンの事を     ある程度は分かっているつもりだ。勿論君の事もね」 国木田「?」 佐々木「君ならキョンの違和感を感じ取ったと思うからさ。何だかんだいって、     君は人の心に関する洞察力がずば抜けているからね」 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 06:35:51.83 ID:gbAf6rxR0 国木田「そんなに褒めてもらっても困るな。誰の心情でも読める訳でもないんだし」 佐々木「でも君はキョンから違和感を感じ取ったんだろう?」 国木田「………まぁ、そうなるね」 佐々木「さて、もうそろそろ良いだろう。聞かせてくれるかな?キョンが殺害     されるまでの行動を」 国木田「実は……」 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 06:41:37.54 ID:gbAf6rxR0 ……………… ………… …… 佐々木「そうか……北高では」 国木田「うん。キョンが殺されるちょっと前にね。うちの高校でコンピュータ研     の部長が死んだんだ」 佐々木「それは他殺では無かったのかい?」 国木田「警察も最初は殺人だと思ったみたいだよ。なんせ真昼間の部室で遺体が     発見されたんだからね」 佐々木「でも実際には」 国木田「そう、実際には他殺ではないだろうって事になったんだ。まぁ、死因が     心不全だったみたいだし、当然とも言えるけどね」 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 06:47:05.40 ID:gbAf6rxR0 国木田「ただ、その頃辺りだよ。キョンの様子がおかしくなったのは」 佐々木「どんな風に?」 国木田「うーん。確か、そわそわしてたな」 佐々木「そわそわ?」 国木田「うん。後は、あんまり眠れてなかったみたい。目が充血してたし、いつも     欠伸してたしね」 佐々木「他には?」 国木田「あぁ、SOS団の活動にも参加してなかったよ。というよりも途中から学校にも来なく     なったから当然だけどね」 佐々木「(これはやはりキョンが何かの事件に巻き込まれた可能性が!!!)」 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 06:57:17.16 ID:gbAf6rxR0 佐々木「国木田君、話の途中で申し訳ないが質問しても良いかい?」 国木田「どうぞ」 佐々木「その頃のキョンは一人だった?それとも他に誰かと一緒に行動していた?」 国木田「残念だけどそこまでは分からないな。その時は特に気にも留めていなかったし」 佐々木「そうか。すまない、続けてくれ」 国木田「分かった。で、その部長さんが亡くなってから二日後だったと思うんだ。昼に     キョンから電話がかかってきたんだ」 佐々木「!!!」 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 07:04:48.70 ID:gbAf6rxR0 佐々木「キョンは何て?」 国木田「うん」 〜以下、回想〜 キョン『よう、実は頼みたい事があるんだ』 国木田「どうしたの?もしかしてさっきのメールの事?」 キョン『ああ、そうだ。すまないな』 国木田「どうしたのさ。わざわざ電話掛け直すなんて」 キョン『…あぁ……分かってる。それとさ…もし俺がs……いや、何でもない』 国木田「……キョン?」 キョン『うん、じゃあもう時間だから、俺行くわ。待ち合わせしてんだ』 国木田「キョン、その喋り方。少し怖いよ。そのまま居なくなっちゃいそうな感じで」 キョン『そんなんじゃねぇって。……あぁ、サンキュな』 〜回想終了〜 国木田「……って感じだったんだ」 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 07:14:11.47 ID:gbAf6rxR0 佐々木「(所々会話が噛み合っていない。というよりも何処かキョンが上の空で話を     している?その時既にキョンはかなり追い込まれた状況に居たのか。それに     恐らくこの会話の流れからして、キョンは自分の死を予測していた。だとしたら、     やはりキョンは既に……いや、でも、この話が本当ならキョンはまだ生きて     いる可能性も十分ある。彼の周りには宇宙人、未来人、超能力者、さらには     神様まで居るんだ。きっと……)」 国木田「佐々木さん?」 佐々木「おっと、すまない。それでメールというのは?」 国木田「えっ?あぁ。『リング』について知っている事があったら詳しくまとめて、教えて     くれないかってメールだったんだ」 佐々木「『リング』って、あのホラーの?」 国木田「そうそう、それそれ」 佐々木「(『リング』か……)」 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 12:01:57.79 ID:gbAf6rxR0 国木田「今時リングってどうかなって思ったんだけど、その時のキョンの声が     あまりにも鬼気迫る感じだったから」 佐々木「リングについて、知らせたんだね?」 国木田「うん。でも、あんまり時間が無いから要点だけまとめてくれって追加メールが     来たんだけどね」 佐々木「それで君は」 国木田「学校帰りにキョンの家のポストに、リングの要点まとめた資料を     放り込んどいたって訳」 77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 12:09:59.48 ID:gbAf6rxR0 佐々木「その後、キョンから連絡は?」 国木田「来たよ。その日の夜にね」 〜以下、回想〜 キョン『よう、今日はサンキュな。届いてたよ』 国木田「しばらく学校来なかったと思ったら、突然『リング』について教えてくれなんて驚いたよ」 キョン『うん。…………そうか』 国木田「それよりキョン大丈夫?随分声が弱弱しいけど」 キョン「こっちは大丈夫だ……心配すんなよ」 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 12:18:05.73 ID:gbAf6rxR0 国木田「本当に大丈夫?無理しないでよ」 キョン『それとさ、しばらく連絡が取れなくなると思うけど大丈夫だから』 国木田「え?うん。……もしかして学校もまだしばらく来ないの?」 キョン『……あぁ、そんな感じかな。じゃあな……おやすみ……元気でな』 国木田「キョン……ちょっとキョン?」        ツーツーツー 国木田「……キョン」 〜回想終了〜 国木田「今思えば、あの時の会話は何かのSOSのサインだったのかもしれない。     あの電話、キョンが殺される前日だったし」 80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 12:30:32.58 ID:gbAf6rxR0 佐々木「そうか…」 佐々木「(成程。少し繋がってきた。キョンが何故殺されたのかが。そして国木田君が     様々な可笑しな点を見逃しているのにも納得がいく。これはやはり、意図的に     仕組まれた事件の一つだ)」 佐々木「(確かに僕がもし国木田君のように、キョンの周りに居る魑魅魍魎といっても     差し支えのないほどの有象無象を知らなければ、特に大きな問題が存在する事     も見つけられなかっただろう)」 佐々木「(つまり一般人には絶対に露呈することのない事件。ただやっぱり僕の考えは     正しかった。キョンが最後の最後に頼るだろう人物は、国木田君だった)」 81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 12:39:36.02 ID:gbAf6rxR0 佐々木「それで国木田君、その資料というのは……」           ピンポンパンポン アナウンス「国木田様、国木田様」 アナウンス「3番診察室へお入りください」          ピンポンパンポンパン 国木田「おっと、呼ばれたみたいだし行ってくるね?」 佐々木「あぁ、この話はまた後でしよう」 84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 12:49:16.37 ID:gbAf6rxR0 ……………… ………… …… 〜学校〜 国木田「想像以上に簡単に入れたね」 佐々木「ま、一応制服脱いで体操服借りて着替えてるし」 国木田「それにしても、まさかここまで先読みしながら行動してるなんて」 佐々木「まぁここら辺が限度だけどね」 85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 13:02:23.43 ID:gbAf6rxR0 国木田「でも午前中に僕と会って、キョンの情報を得て、さらに警察官の目を     ごまかすという名目の元、病院へ行き診察してもらって」 国木田「これで、僕と佐々木さんの二人共に病院の診断書があるから学校や親に     対しての良い訳が立てれる。しかも僕たちは健康体なんだから、特に何も     なかったとして数時間休憩して、学校に戻って出歩いててもも不思議じゃ     ないし、こちらに対しても言い訳が立つ」 国木田「加えて夏休み前の短縮授業。既に僕と接触している佐々木さんは、僕     からのツテで難なくうちの学校の体操服をGET。残っている生徒も少     ないし特に何の違和感もなく校内に忍び込める」 国木田「事件の手がかりを掴もうと学校に調査に来ている警察官もまだいるって     のに、堂々と振舞っているから特に怪しまれてないし、凄すぎるよ」 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 13:07:12.20 ID:gbAf6rxR0 佐々木「おいおい。そんなに僕を持ち上げたって何も出ないよ?」 国木田「いやいや、素直に感心してるんだってば」 佐々木「……はぁ。ま、ここからは僕だけで行くよ」 国木田「本当に大丈夫?」 佐々木「心配ないさ。何か進展したらまた報告する」 国木田「分かった。じゃあ、僕は家に帰ってキョンに渡した資料の元データを探してくるから」 佐々木「頼んだよ」 96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 15:58:31.91 ID:gbAf6rxR0 ……………… ………… …… 〜文芸部室前〜 佐々木「(……ここがSOS団が活動していた場所)」 佐々木「(でもやっぱり立ち入り禁止になってる。当然か、あの報道があって     まだ二日も経ってないんだ)」 佐々木「(警官も居るし、まだ入れそうにないな)」 佐々木「コンピュータ研の部長さんが使っていたパソコンもどうせまだ警察に     保管されているままだろう。と、なるとやっぱり先に…」 98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 16:07:21.79 ID:gbAf6rxR0                ガラッ 佐々木「調べるのは図書室か」 佐々木「(キョンの話だと、長門さんは本が好きって言ってたな。文芸室が     閉まっている今、僕の手持ち情報だと、恐らく長門さんと接触できる     場所は市内の図書館か学校の図書室位だ)」 佐々木「(国木田君に頼む事も出来たけど、彼には極力非日常的な世界に巻き込み     たくない)」 佐々木「……なんて、既に十分巻き込んでるよね」 佐々木「キョン。私がこんな事してるの知ったら、君は怒るかな?」 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 16:18:02.78 ID:gbAf6rxR0 ……………… ………… …… 〜一時間後・図書室〜 佐々木「……結局長門さんとは会えなかったな」 佐々木「やっぱり不本意だが国木田君に会合の場を設けてもらうしかないのか」         Prrrrrrrr 佐々木「おっと、噂をすれば」 101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 16:24:20.30 ID:gbAf6rxR0 国木田『もしもし』 佐々木「やぁ、国木田君。どうだった?」 国木田『それがおかしいんだ。キョンに渡したリングのデータが何処にも無いんだ』 佐々木「何だって?」 国木田『今も引き続き探してるんだけど、多分見つからないと思うんだ』 佐々木「(これは、既に証拠が消された?誰に?)」 102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 16:30:35.02 ID:gbAf6rxR0 国木田『佐々木さん?』 佐々木「あっ、いや。すまない」 国木田『そう?僕はもう一度調べ直してみるつもりだけど』 佐々木「あぁ、うん。引き続きお願いできるかな?」 国木田『分かってる』 佐々木「あと、もう一つ頼み事したいんだけど良いかな?」 103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 16:38:48.33 ID:gbAf6rxR0 国木田『僕に出来る事なら』 佐々木「うん、有難う。多分大丈夫だと思うけど……国木田君はSOS団の     メンバーを把握してるかい?」 国木田『メンバー?あぁ、キョンと涼宮さんと朝比奈さん。それに長門さんと……途中     で編入してきた古泉君。後は特別顧問の鶴屋さんだったかな』 佐々木「くくっ、素晴らしい記憶力だね」 国木田『佐々木さんにそう言って貰えるなんて光栄だね。でもまぁ、SOS団の事は     いつもキョンから聞かされてたからね』 佐々木「そうか…」 104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 16:46:43.26 ID:gbAf6rxR0 国木田『それで、僕に頼みたい事って?』 佐々木「ん、あぁ。長門さんとお話する機会を作って貰いたいんだ」 国木田『長門さん?涼宮さんじゃなくて?』 佐々木「うん。出来れば、長門さんと二人きりでお話したいんだけど」 国木田『分かった。長門さんももう帰っちゃただろうし、明日学校で聞いてみる。     明日また連絡するよ。データの話もその時に』 佐々木「ああ。仕事を押し付けてばかりですまないね」              ピッ 106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 16:55:51.30 ID:gbAf6rxR0 佐々木「………」 佐々木「(涼宮さんはまだ、自分の力に気付いてはいない。キョンの亡くなった     報道がされてまだ間もないこの時期に、その辺りを説明する訳にはいかない。     橘さんも涼宮さんはまだ、自分の力を制御しきれてないと言っていた)」 佐々木「(それをこんな心が不安定な時期に知らせるのは不味い。何が起きるのか     予想がつかない)」 佐々木「………前途多難だな」 107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 17:01:20.24 ID:gbAf6rxR0 ……………… ………… …… 〜翌日〜 佐々木「(流石に二日続けて学校を休むわけにはいかないか)」 佐々木「(でも、どちらにしろ国木田君からの結果報告待ちだし、焦っても仕方ない)」 佐々木「……それにしても、今更ながら僕の取り巻きは一体全体何処へ行って     しまったのか」 佐々木「(彼女らも今回の事件に巻き込まれてなければ良いんだけど)」 108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 17:12:43.32 ID:gbAf6rxR0 佐々木「(……特にやる事もないし、昨日の考えでもまとめてよう)」 佐々木「(まずは、そうだな。今回の事件の発端)」 佐々木「(キョンは、事件や厄介事に巻き込まれるのは大抵の場合、涼宮さん     がそう望んだからだと言っていた。それを前提と考えるのなら、今回     のトリガーも恐らく彼女)」 佐々木「(少しホラー物に興味を示したって認識で、間違いはないだろう)」 112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 17:31:02.45 ID:gbAf6rxR0 すまん。話考えてたら頭がオーバーヒートしてきた ちょっと休憩下さい 116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 18:08:11.67 ID:gbAf6rxR0 佐々木「(国木田君の話だとキョンは部長さんが死んだ辺りから様子が変わりだした)」 佐々木「(その少し後にキョンも死ぬ事に…)」 佐々木「(確か、リングはビデオテープにダビングされた映像を見て、その一週間後に     死ぬというホラー映画の筈)」 佐々木「(国木田君にリングの事を聞いていた事からも、キョンはそのビデオを観た?)」 118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 18:14:09.43 ID:gbAf6rxR0 佐々木「(そわそわした振る舞い、不眠、不登校)」 佐々木「(それに、何処かへ消え去ってしまいそうな弱弱しい声。不安)」 佐々木「(リング、リングね…)」 佐々木「(あれ?でもそれじゃぁ、おかしい)」 佐々木「(国木田君からリングの資料を受け立ったのなら、キョンは呪いを解けた筈)」 佐々木「(だったら何故…)」 119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 18:21:10.36 ID:gbAf6rxR0 ?? 「さ…き、……オイ、佐々木」 佐々木「はい?」 先生 「はい?じゃない。どうしたんだ、さっきからボーっとして」 佐々木「い、いえ。何でもありません」 先生 「そうか」 佐々木「(キョンが巻き込まれた事件は、リングじゃあ無いのか?)」 120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 18:25:17.66 ID:gbAf6rxR0 ……………… ………… …… 佐々木「やっと授業が終わった」 佐々木「でも、国木田君からは相変わらず連絡来ないな」 佐々木「……ビデオ屋にでも行くか」 佐々木「(リングの中身を確認しておこう)」 123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 18:30:13.62 ID:gbAf6rxR0 ……………… ………… …… 〜TUT○YA〜 佐々木「さて、リングを借りようと思って来てみたけど」 佐々木「まさか全て貸し出し中とはね」 佐々木「いくら夏休み前だからって、皆張り切りすぎだろう」 佐々木「……今日は大人しく家に帰って国木田君からの連絡を待つか」 124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 18:33:42.41 ID:gbAf6rxR0 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 18:35:13.31 ID:gbAf6rxR0 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 18:36:37.34 ID:gbAf6rxR0 佐々木「連絡来ないな」 佐々木「何も進展してないけど、こちらから掛けてみるか」         PrrrrPrrrrPrrrr 佐々木「………」 PrrrrPrrrrPrrrrr 佐々木「出ない」 佐々木「(もしかして国木田君に何か?……やっぱり長門さんとの接触が原因?     いや、決め付けは良くない。電話に出ないなんてざらにある現象だ)」 佐々木「(大丈夫、大丈夫だ)」 131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 19:29:43.97 ID:gbAf6rxR0 ……………… ………… …… 〜翌日〜 佐々木「ん、くふぁぁ」 佐々木「んー、今、5時40分?」 佐々木「(……そうか、あのまま眠ちゃったのか)」 佐々木「(朝刊取ってこよう)」 133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 19:31:32.54 ID:gbAf6rxR0 ……………… ………… …… 佐々木「あれっ?ポストに新聞以外に何か入ってる」 佐々木「………封筒。でも宛名が書いてない。中身は……原稿用紙」 佐々木「ん?この原稿はもしかして…『リング』?」 佐々木「…間違いない、『リング』だ。国木田君、見つけて届けてくれたんだ」 135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 19:35:06.30 ID:gbAf6rxR0 ……………… ………… …… 佐々木「(……成程ね、うん。思い出してきた)」 佐々木「(リングの主人公は不可解な死に方をしている人間の原因を調べ、被害者たちの     足取りを追って行くと、一本のビデオテープに辿り着く)」 佐々木「(多少恐怖はあるんだけど、主人公はテープの中身を見てしまう。勿論ホラー     映画であるのだから中身は…)」 佐々木「(観ると一週間後に死ぬという呪いのビデオ)」 佐々木「(そしてビデオの最後にはその呪いを解く方法も記されている。しかし、ビデオの     最後の部分が何故か切れていて呪いの解除の仕方が分からない。そして主人公達は     どうすれば呪いが解けるのか?と、思考錯誤を繰り返して、解決策を模索するストーリー)」 佐々木「つまり、リングってのは、ミステリー要素を散りばめたホラー作品って事だ」 136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 19:43:25.25 ID:gbAf6rxR0 佐々木「(………でもこれ位の情報なら、ネットか何かで検索すれば直に行きついた     と思うけど)」 佐々木「(キョンは一体この文章の中から何を見つけ出したっていうんだ!?)」 佐々木「………今持っている情報じゃ、これ以上の推測は無駄か」 佐々木「私は本当に無力だ」              ペラッ 佐々木「ん?用紙の途中に紙切れが挟まってる」 138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 19:48:20.43 ID:gbAf6rxR0 佐々木「(裏に何か書いてある)」 長門有希 図書室 佐々木「(これは……図書室に行けば長門さんに会えるって事?)」 佐々木「でも、日時の指定がない」 佐々木「………取りあえず行ってみるしかないな」 140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 20:04:50.95 ID:gbAf6rxR0 〜北高・図書室〜 佐々木「さて、やって来たもののやっぱり長門さんは居ないな」 佐々木「(一応、待つだけ待って何もなかったら国木田君にもう一度連絡     取ろう)」 ……………… ………… …… 〜一時間後〜 佐々木「やっぱり会えなかったか。まぁ良い。国木田君に連絡しよう」                ガラッ 谷口 「あれっ?あんた、この間の…」 佐々木「?」 142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 20:15:16.37 ID:gbAf6rxR0 谷口 「俺だよ俺!覚えてないか?ほらっ、あんたが国木田と一緒に学校サボった     時に居た…」 佐々木「…あぁ、あの時の」 谷口 「何でうちの高校に居るんだ?ちゃっかり制服までうちのだし」 佐々木「これは知り合いに頼んで貸してもらったんだよ」 谷口 「ふぅん。ま、そんなのどうでも良いや!それより折角会ったんだし、どうだい?     良ければ俺が高校案内してやるけど」 佐々木「くくっ、それは嬉しいが今は…」 谷口 「へへっ、遠慮すんなって」 佐々木「(………いや、良い機会かもしれない。国木田君とも連絡がつくとは限らないし)」 佐々木「そうだな、じゃあ頼もうか」ニコッ 谷口 「良し来た!」 145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 20:35:13.87 ID:gbAf6rxR0 谷口 「さーて、何処から案内しよっかなー♪」 佐々木「あ、ねぇ谷口君」 谷口 「ほい?」 佐々木「谷口君ってもしかして国木田君と仲良かったりする?」 谷口 「あぁ、一緒に飯食う仲だぜ」 佐々木「そっか」 谷口 「あり?もしかして俺よりも国木田の方が良かった?」 佐々木「違うよ。後で国木田君と会って行こうかなって考えてたからさ」 谷口 「何だ、やっぱり国木田かよ。でも無理だぜ?あいつ今日学校休んでるから」 147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 20:52:59.72 ID:gbAf6rxR0 佐々木「えっ?そうなの?」 谷口 「以外そうだな」 佐々木「(もしかして昨日は無理して資料届けてくれたのか。だから連絡しても     繋がらなかったんだ。……悪いことしちゃったな)」 谷口 「ま、国木田の事なんて忘れて楽しく行こうぜ?どうせあいつも直に元気に     なって学校来るからさ。なんせ別に何かの大事件に巻き込まれたわけでも     ねーんだし。単なる体調不良なんだからよ!」 佐々木「!」 佐々木「(そうか、谷口君もキョンが死んで辛いのを無理矢理明るく振舞って、     気取られないようにしてるんだな)」 佐々木「…うん、その通りだね。それじゃ、学校案内の方、宜しく」 谷口 「おうっ、任せな」 171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/25(土) 23:54:51.73 ID:gbAf6rxR0 ……………… ………… …… 〜四十分後〜 谷口 「とまぁ、こんな処だな」 佐々木「どうも有難う。大変参考になったよ」 谷口 「うんにゃ、俺もあんたみたいな美人と一緒に居られたんだから     大満足さ」 佐々木「くくっ、君はお世辞が上手いね」 谷口 「いやいや、本心だぜ?」 173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 00:02:53.98 ID:zBw95kLl0 佐々木「くっくっ、そういう事にしとこうか」 谷口 「ま、何か困った事があったら俺に相談してくれよ」 佐々木「うん、その時は遠慮なく……いや、谷口君」 谷口 「あん?」 佐々木「困った事があったら相談してくれと言って貰って、すぐにこんな発言     するのは少し気が引けるんだが、ちょっと君に聞きたい事があるんだ」 谷口 「へぇ、別に気を使ってくれなくても構わないぜ?何だって聞いてくれよ」 174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 00:08:56.42 ID:zBw95kLl0 佐々木「では、遠慮なく。…君もSOS団は知っているよね?」 谷口 「そりゃまぁ知ってるさ、うちの学校で知らない奴はいないんじゃないか?」 佐々木「そうか。有名なんだね」 谷口 「そりゃ涼宮が仕切ってるからな。嫌でも目立つ」 佐々木「くくっ、有名人なんだね、彼女は」 谷口 「そりゃーな。中学の時からだよ、あいつの奇人変人ぶりは」 176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 00:17:58.35 ID:zBw95kLl0 佐々木「それで涼宮さん以外のメンバーは知っているかい?例えば、長門さんとか」 谷口 「長門?あんた長門有希の事知ってんのか」 佐々木「あぁ、どうやら君も彼女の事知ってるみたいだね」 谷口 「へへっ、一応この学校で目ぼしい女子は全員チェックしてるんでね」 佐々木「………」 谷口 「あっ、コラ急に怪訝そうな顔すんじゃねぇよ」 佐々木「これは失礼」 179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 00:25:33.18 ID:zBw95kLl0 谷口 「で?長門有希がどうしたんだ?あいつは誰とも接点持ちたがらねぇから、友達     になろうなんて考えても無理だと思うぜ?」 佐々木「そうか、それは残念だ」 谷口 「おっと、すまない。無神経な発言だったな」 佐々木「気にしないでよ。大丈夫だから。ただ、ちょっとだけ彼女に興味があるだけさ。     キョンと同じSOS団のメンバーだったからね」 谷口 「そか」 佐々木「うん。それで、一度彼女と会ってみたかったんだけど、谷口君、長門さんがいつも     何処に居るか知らないかい?この前から頑張ってみてるんだが、どうしても会えなくてね」 180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 00:35:47.64 ID:zBw95kLl0 谷口 「へぇ、……どういう経緯で長門を知ったのかは知らねぇが、そりゃ随分と     無駄足を踏んじまったな」 佐々木「?」 谷口 「あいつは、キョンが殺される五日、いや四日前だったかな?その辺りからずっと     学校には来てないんだよ」 佐々木「!!!」 谷口 「おいおい、どうしたんだよ、そんな驚いた顔して?」 佐々木「(キョンも殺されたとされる数日前から学校には来ていなかった。     長門さんも学校に来ていなかったのならば、彼女はキョンと一緒に居たのか?)」 184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 00:46:15.02 ID:zBw95kLl0 佐々木「(もしキョンが長門さんと共に行動していたのならば、殺害される確率は一気に     減少する。……あの殺害や報道は長門さんの情報操作の可能性……いや、キョン     の話を聞く限り長門さんはキョンに好意的な感じだった)」 佐々木「(好意を抱く相手を世間的に抹殺しようとするだろうか?)」 佐々木「(いや、……何処かの敵対勢力からキョンの姿をくらませ、追跡から逃れるために     止むを得ず情報操作した可能性もある。一概には決め付けられない)」 谷口 「おい、どうしたんだよ?押し黙っちまって」 佐々木「い、いや。何でもない。そうか、長門さんはずっと欠席しているのか。残念だ」 佐々木「(何にせよ、長門さんがキョンと共に行動していたとするなら、キョンが生きている     可能性は大幅に上がる)」 187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 01:02:22.67 ID:zBw95kLl0 佐々木「!…有難う、谷口君。おかげで助かったよ」 谷口 「お、もう質問はねぇのか?まだまだ相談に乗るぜ?」 佐々木「うん。もう大丈夫だ。すまないが僕はやる事が出来てしまった。次、国木田君に     会ったら宜しく言っておいてくれ」 谷口 「ok」 佐々木「じゃ」 佐々木「(今朝の手紙の件といい、もう一度図書室を調べる必要がある)」 190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 01:12:35.18 ID:zBw95kLl0 〜図書室〜 佐々木「さて、と」 佐々木「(この前図書室に来た時に図書委員や司書さんに長門さんの事を尋ねたが     何かを知っていそうな素振りは見られなかった)」 佐々木「(つまり最近の長門さんはそこまで頻繁に図書室を利用してはいなかった。     だとすると多分手掛かりがあるのは……図書の貸し出しカード)」 佐々木「(長門さんが出席していなかった日に貸し出しがあった本の中に何かヒント     が隠されている可能性が高い)」 佐々木「(勿論そんな形跡は存在しないかもしれないけど、やるだけやろう)」 196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 01:39:56.34 ID:zBw95kLl0 ……………… ………… …… 佐々木「って、やっぱりそこまで安直じゃないか」 佐々木「一応SOS団全員分の図書カードを確認してみたけど、結局SOS団で最近     図書の貸し出しをしたのは古泉君だけ」 佐々木「本のタイトルは『エンドレス・サマー』か」 佐々木「特に関係なさそうね」 佐々木「貸し出し日時は……キョンが殺された次の日か」 200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 01:55:27.51 ID:zBw95kLl0 佐々木「(そう言えば、私SOS団の人と誰とも会ってないな)」 佐々木「(涼宮さんとは、敢えて会わないようにしてるし、涼宮さん自体も私を     監視してる訳じゃないからそ良いとして、涼宮さんを取り囲んでいる他     の人達はどうなんだろう)」 佐々木「(長門さんは置いといたとしても、他にも未来人と超能力者が居る筈)」 佐々木「(特に超能力者は涼宮さんを神と崇めているから、私には極力この学校     には近寄らせたくないんじゃ…)」 佐々木「(この古泉君って人は何処に…)」 佐々木「……ま、それも長門さんに会ったら、はっきりするかな」 247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 15:29:21.49 ID:zBw95kLl0 ……………… ………… …… 佐々木「(……貸し出しカードがヒントだと思ったけど結局何も見つからなかった。     他にも何か無いかなと図書室を一通り探してみたけど、怪しそうな処もない)」 佐々木「『エンドレス・サマー』は古泉君が借りたまま返却されてる様子もないし………」 佐々木「……一応、この本があった場所を確認するだけしよう」                 ガタッ 佐々木「……え〜と、『エンドレス・サマー』、『エンドレス・サマーっ』と」 佐々木「……やっぱり貸し出し中だ」 249 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 15:35:53.71 ID:zBw95kLl0 佐々木「隣にある本も『Lの悲劇』……関係なさそうだな」 佐々木「ん?」            キラッ 佐々木「奥の方で何か光った。何だろう?」           スッ 佐々木「これは………指環?」 佐々木「もしかして、これがヒント?でも指環がヒントって…一体」 251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 15:43:48.11 ID:zBw95kLl0         ピンポンパンポン アナウンス「図書室の閉館まであと15分です。本を借りられる方は、お早めに       貸し出しコーナーへ来て下さい」 アナウンス「繰り返します。図書室の閉館まであと15分です。本を借りられる       方は、お早めに貸し出しコーナーへ来て下さい」         ピンポンパンポンポン 佐々木「おっと、もうこんな時間か」 佐々木「(取りあえず、指環だけでも持って帰るか)」 253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 15:53:20.16 ID:zBw95kLl0 〜翌日〜 佐々木「(結局、指環だけ持って帰っても何も進展しなかったな)」 佐々木「(今日が終業式か。明日から夏休み……夏休みに入ったら涼宮さん達と     会える機会は皆無になる)」 佐々木「今日も帰りに北高に寄ろう」 佐々木「……やれやれ。全く。この事件が片付いてキョンに会ったら、たっぷり     小言を言ってやらなくちゃ。”心配ばかり掛けさせて”って」 佐々木「本当に君は心配ばかり掛けさせるんだから」 佐々木「………キョン。君はきっと、生きているよね?」 255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 16:05:36.52 ID:zBw95kLl0 ……………… ………… …… 〜学校〜 校長 「え〜、であるからして。夏休みだと言っても羽目を外し過ぎぬよう、しっかりと     勉学に励み、新学期に備えて……」 佐々木「(今頃は北高も終業式。北高の終業式が終わって生徒が下校している時間帯に     忍び込んで文芸部に行こう)」 佐々木「(もしかしたら、団員が集まってるかもしれないし……涼宮さんと会っちゃう     可能性もあるけど、キョンが死んだという報道がされてからもう五日経ってる。     落ち着いてると思う)」 佐々木「(それに、涼宮さん自身に話を聞きに行く訳じゃないし、一人ずつ順番に     アプローチしていけば、宇宙人や未来人、超能力者関係の話は涼宮さんに     聞かれる事もないよね)」 校長 「では、これで話を終ります。皆さん良い夏を」 佐々木「(何にしても今日が勝負の日。どうにかして手掛かりを掴まなくちゃ)」 256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 16:19:37.39 ID:zBw95kLl0            ワイワイガヤガヤ 女生徒1「佐々木さん。私達これからカラオケ行くんだけど一緒にどう?」 女生徒2「折角夏休みに入った事だし、親睦を深めるためにも、ね?」 佐々木「ゴメン。実は今日も用事があるんだ」 女生徒1「え〜、今日もどこか行くの?佐々木さん最近、学校が終わると     毎日何処かに行ってるよね」 佐々木「うん。ちょっとね」 女生徒2「もしかして、ついに佐々木さんに彼氏が!?」 女生徒1「彼氏!?そうなの?佐々木さん!?」 佐々木「ち、違うって!」 257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 16:31:55.07 ID:zBw95kLl0 女生徒2「無理に否定する処が尚怪しい」 佐々木「えっ?えっ?」 女生徒1「ちょっと教えなさいよ!何時から?何処まで行ったの?」             グイッ 佐々木「わわっ」         コツン  カラカラカラ 女生徒2「何か落ちたよ?」スッ 女生徒1「指環?佐々木さんやるー。既に男に貢がせてるなんて」 258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 16:43:34.10 ID:zBw95kLl0 佐々木「その指環は…」 女生徒2「でもシンプルな形ね。宝石ついてないし」 女生徒1「いやいや、宝石なんかついてる指環だったらまた佐々木さんの援交疑惑が     高まるって!」 女生徒2「それもそうね」 佐々木「援助交際の疑惑って……私は普段どんな目で見られてるの?」 女生徒1・2「「気にしないで!」」 佐々木「凄く気になるんですけど…」 261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 16:52:43.27 ID:zBw95kLl0 女生徒3「あんた達、さっきからやけに盛り上がってるけど、どうしたのよ」 女生徒1「あっ、実は佐々木さんに彼氏が出来たという話でね」 佐々木「いやいやいや、違いますから」 女生徒2「で、これが男に貢いで貰った戦利品て訳!」               スッ 女生徒3「へぇ、メビウスリングだ」 佐々木「メビウスリング?」 264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 17:01:19.43 ID:zBw95kLl0 女生徒3「一時期私も持ってたな。彼氏にプレゼントしてもらって」 女生徒1「へー。メビウスリングって言うんだ。この指輪。でもま、あんたの     ドロドロした恋話なんて聞きたくないけどね」 佐々木「(ドロドロって…)」 女生徒3「あんた、いくら夏休みに入るからって心の窓も開放的にしすぎじゃない?」 女生徒1「まぁまぁ、この会話も夏休みが明けてる頃にはすっかり忘れてるよ!」 女生徒3「……覚えてろよ」 266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 17:09:17.61 ID:zBw95kLl0 女生徒2「ふーん、メビウスリングね。あれっ?ねぇねぇ」 佐々木「何?」 女生徒2「指環の裏に何か彫った痕があるけど」 女生徒1「どれどれ。あっ、本当だ」 佐々木「ちょっと見せて」 佐々木「(彫った痕?昨日確認した時には何も無かった筈だけど)」 佐々木「本当だ。何か彫ってある。………m i k u r u……みくる?」 268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 17:21:58.17 ID:zBw95kLl0 佐々木「(……みくるって朝比奈みくるの事で良いんだよね)」 女生徒1「みくるって誰?」 女生徒2「そんなの私に聞いたって分からないわよ。ねぇ、佐々木さん、みくるって誰?」 女生徒1「もし男が二股掛けてるんだったら即座に別れた方が良いよ」 佐々木「いや、…その」 佐々木「(朝比奈みくる……朝比奈みくるに事のあらましを聞けって意味?分からない。でも…)」 佐々木「ゴメン!私、もう行かなくちゃいけないから」                 ダッ 女生徒1・2「「あっ、逃げた!!!」」 273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 18:08:41.40 ID:zBw95kLl0 ……………… ………… …… 〜北高校門前〜 佐々木「時間ぴったり、丁度北高の生徒も下校するみたいだ」 佐々木「では、文芸部室もといSOS団の部室に行きますか」 佐々木「(今日の目的は朝比奈みくるとの接触。あわよくば長門さん、古泉君と     会って、キョンについて話を聞く事)」 佐々木「(この指輪は多分SOS団の誰かが用意した物の筈。きっと事件は進展する)」 274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 18:14:21.44 ID:zBw95kLl0 〜文芸部室前〜 佐々木「流石にもう警察の捜査は終わって立ち入り禁止の看板も無くなってる」               トントン 佐々木「すみません。誰かいらっしゃいませんか?」 佐々木「………返事が返ってこない。誰も居ないのか?困ったな」                ガチャ 佐々木「!!!扉は開いてる」 佐々木「すみません。御邪魔しまーす」                カチャ 佐々木「やっぱり誰も居ないみたい。でもドアは開いていたし皆何処かに出かけてる     だけで帰ってくるかもしれない。……少しここで待たせて貰おう」 275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 18:19:55.11 ID:zBw95kLl0 ……………… ………… …… 〜三十分後〜 佐々木「誰も帰ってくる気配は無いな。さて、どうしようか」 佐々木「………PC。警察に回収されてると思ってたけど、残ってるんだな」 佐々木「いや、あのPCは別にキョンの私物じゃなくて学校の備品だから回収     されてないのか」 佐々木「mikuruね……あのPCに手掛かりがあるんだったら警察がとっくに調べ上げて     そうだけど、あのPCちょっとだけつつかせてもらうか」 276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 18:26:32.46 ID:zBw95kLl0           カチッ  ヴィン 佐々木「取りあえず最近の検索履歴でも調べて……『リング』、『リングとは』、     『貞子』、『リング 呪い 解決』、『巨乳』、『貞子 呪い』、     『リング 映画』、『リング 原作』」 佐々木「リングの検索結果ばかりだな」 佐々木「(でもこんなに調べてたんなら、国木田君からの情報は必要無かったんじゃ?     それとも時間がなくて、全てを確認する時間が無かったから要点だけまとめて     もらう依頼をした?)」 佐々木「まぁ、これでキョンが巻き込まれた事件は『リング』と断定してほぼ間違いが     ないのは分かった」 佐々木「……他にこのPCに何かヒントは」 279 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 18:34:39.00 ID:zBw95kLl0 佐々木「mikuruでフォルダ検索でも掛けてみるか」 佐々木「……と、その前に隠しフォルダを全て表示するに設定を変更して……検索スタート」 ……………… ………… …… 〜二十分後〜 佐々木「ヒントにしては直球すぎるだろうと思ったけど、まさか本当にHitするとは」 佐々木「……まぁ良い。中身を確認しよう」 280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 18:37:21.54 ID:zBw95kLl0 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 佐々木「……………………………………………………」 284 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 18:43:29.27 ID:zBw95kLl0 佐々木「……そうか、キョンは巨乳が好きなのか」          ペタッ ペタッ 佐々木「…………くそう」 佐々木「酷く不快な気分になってしまった。もう良い、このフォルダはこれ以上     調べても何も出てこない!」 佐々木「…………くそう」 佐々木「……ん?画像ファイル以外にもフォルダがある」 佐々木「Diary…日記?」 287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 18:53:30.47 ID:zBw95kLl0 佐々木「これも確認しとくか」           カチカチッ 佐々木「あれ?パスワードが掛かってる……これは」 佐々木「真っ先に思いつくと言えば」             『ring』  カチカチッ 佐々木「どうだ?」 PC『パスワード認証エラー。パスワードが違います』 佐々木「違う」 288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 19:00:16.32 ID:zBw95kLl0 佐々木「他には誕生日とか?」           カチカチッ PC『パスワード認証エラー。パスワードが違います』 佐々木「これも違う。でもキョン以外の団員の人の誕生日とかは知らないし」 佐々木「他にパスワードにしてそうな単語は…」           『mikuru』  カチカチッ PC『パスワード認証エラー。パスワードが違います』 佐々木「駄目か…」 289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 19:06:58.53 ID:zBw95kLl0 ……………… ………… …… 〜十分後〜 佐々木「キョンがパスワードにしそうな単語はあらかた試してみたけど、どれも失敗」 佐々木「後、パスワードになりそうな単語といったら…」             『mebius』 佐々木「こいつくらいだな」             カチカチッ 佐々木「どうだ?」 PC『パスワード認識完了』 佐々木「成程ね。……確かにあの指輪はヒントで間違いなかったってわけだ」 306 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 21:54:44.76 ID:zBw95kLl0 佐々木「『Diary』フォルダの中身は……1月、2月、3月、4月の名前     のフォルダか」 佐々木「それぞれのフォルダの中身は、txtファイルね」 佐々木「じゃ、一番古い奴から……」                 カチカチッ 『日記を書くなんて俺の柄じゃないが、今日から俺は一つの記録を残して いこうと思う。別に、この日記について特にどうこうしようとは思っちゃ いないが、一つの軌跡、確認のためだ』 『何の因果か知らんが、俺は涼宮ハルヒに選ばれてSOS団に入る事になっちまった。 まぁ、んなこたぁどうでも良い。俺の財布から放出される出費の数々を考えなけりゃ、 楽しい部活の一環に過ぎないからだ』 309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 22:05:32.83 ID:zBw95kLl0 『ただ、どうにも見過ごせない事実がある。それは、宇宙人、未来人、超能力者 についてだ。まぁ、俺がこの日記をつける発端にもなった一番の理由だが……俺は、 これまでそんな存在が実際に居るとは思いもしなかった』 『いや、居て欲しいとは思っていたが、俺ももうそんな夢見る子供と呼べる年齢 でも無くなってるし、仮に居た処で、俺なんかに見つかる存在じゃあないと思って いたからだ』 『だが、どういう訳か、俺はそいつらに出会っちまった。しかも、未来人、宇宙人、 超能力者どころか、この世界の神様にさえだ!』 『しかし何だ。この神様っつー存在はえらく我儘ではた迷惑な奴なので、俺が多大な 被害を被る羽目になっちまった』 311 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 22:15:27.92 ID:zBw95kLl0 『そこで、だ。俺はこれからその神様の所為で巻き込まれることになった事件の 軌跡を綴っていこうと思う』 『もしかしたら、今までの事件の解決方法が今後の役に立つかもしれねぇし、将来、 この日記を装い新たに書き直して、自伝をSF小説として世に送り出すのも良いかもしれない』 『とかまぁ何とか、色々書き出してみてるけど、やっぱり一番は、いつの日か ここに纏めてある文章を読みなおして、あぁ、こんな事もあったなって、今この時 を思い出せたら、最高だと思う』 『そんな訳で、多少日記とは違うが、これから起こるであろう波乱万丈な俺の毎日 をtxtという形として残していく』 佐々木「キョン……」 313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 22:27:39.42 ID:zBw95kLl0 佐々木「……出来れば、君が高校に入ってから、一体どういう出来事に触れて     きたのか全部知りたいが……それは、またの機会に取っておこう。可能なら     その時は、君の隣で、君の口から語って貰いたいものだ」 佐々木「………」 佐々木「さて、……感傷に浸ってる場合じゃない」 佐々木「とりあえず、この隠しフォルダの意味は分かった。キョンの日記だ。となると、     一番最近のフォルダ……7月。あった、これだ」                カチカチッ 佐々木「txtファイルも他のフォルダと比べて異常に少ない…とにかく中身を」                カチカチッ 318 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 22:38:47.85 ID:zBw95kLl0 『今まで色々な事件に関わってきたが、今回はかなり不味い状況に追い込まれている。想像 以上にヤバい。ここ最近ハルヒも大人しくなって、事件らしい事件に巻き込まれること自体 少なくなっていただけに、ちょっと油断してたってのもあるだろう』 『事の発端は古泉の家に行ってからだ。親睦を深めるという名目の元、AV観賞に行ったのだが、 そもそもこれが間違いだった』 『いや、間違いというほど、古泉のAVセンスが酷いという訳じゃない。あいつはポリスにOLに ナース。戦隊物からガチャ○ンとム○クのかぶり物のAVまで!!!かなりの広い守備範囲を誇 っていた』 佐々木「………キョン。私、こんな時どんな顔をすれば良いか分からないよ……」 『だが、ハルヒをほったらかしにしたまま帰ったのがまずかったのか、久し振りに閉鎖空間が 発生しちまった』 323 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 22:49:23.58 ID:zBw95kLl0 『古泉は森さんに強制召集を掛けられ、やむなく機関に連れて行かれる事となり、俺は一人、 古泉の部屋に取り残された』 『古泉は好きなAVがあれば、好きなだけ観賞して行っても良い、と快く俺に部屋の合鍵を 渡してくれたので、そんな訳で、俺は巨乳DVDはないか部屋を見渡した。こんなに沢山AVがあるんだ。 何本か俺の股間にビビッと来るAVがあったって不思議じゃない』 佐々木「…………」 『と、そこで俺はボックスの片隅に無造作に置かれていた一本のビデオテープを見つけた。 部屋にはDVDが沢山あるのに、何故今時ビデオテープがあるんだ?と若干首を傾げつつ俺は TVのそばにあったデッキにテープを入れた』 327 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 22:59:57.76 ID:zBw95kLl0 『しかし、期待は見事に裏切られる事に。テープを再生したものの只々砂嵐が 映し出されるばかりで、ちっとも女の子は画面に出てこない』 『しばらくして画面は真っ暗になり、そこから数分間は暗闇しか見えなかった』 『もしかして元々このテープには何も録画されてなかったのでは?と思い、テープ を取り出そうとデッキに近づいた次の瞬間、画面は切り替わった』 『画面に映し出されたのは、井戸、だった』 『俺は若干戸惑いつつも、何だ、ちゃんと録画されてるじゃないかと、席に戻って 続きを見ることにした』 329 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 23:09:58.17 ID:zBw95kLl0 『しばらくボーっと画面を眺めていたがビデオは火山や海、病院のような施設や 婆さん、井戸、と目まぐるしく場面展開を繰り返し俺の興味を集めた』 『しかし、特にこれといったストーリー展開が待っている訳でもなく、数分間 場面展開を繰り返した後、ビデオは終了を迎える』 『俺はそれ以上ビデオに何か録画されていないか早送りで確認したが、それ以上 何も無い事が分かると、一気にビデオへの興味をなくし、停止ボタンを押し、ビデオ を見るのを止めた』 336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 23:21:15.04 ID:zBw95kLl0 『興味を失った俺は、また新たにAVを探そうと部屋を見渡したが、ここでタイミング 良く俺の携帯が鳴った』 『着信履歴を確認するとハルヒからだった。俺は今日の活動に参加しなかった事を 怒られるのだろうと思い、携帯に出るのが億劫な気分になったが、しかしどうせ 明日顔を合わせたら何故昨日顔を出さなかったのか+何故電話に出なかったのか? と刺々しく言われる事になるのかと落胆しつつ、腹を決めて電話に出た』 『だが………受話器の向こうからはハルヒの声は聞こえず、代わりに少しどもった感じ の声が聞こえてくる』 183 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/28(火) 18:05:56.87 ID:.Bxsz.c0 『ボソボソと一通り喋った後、電話は切れた。結局上手く聞き取れなかったので 俺は再度ハルヒに電話を掛け直す事にした。きっとさっきの電話は電波が悪かった所為だと 思ったからだ。だってそうだろ?着信履歴は間違いなくハルヒだったんだから』 『だが、ハルヒに電話したら、いの一番に「この馬鹿っ!!!!!!」と怒鳴られ、 「あんた、SOS団の活動をほっぽり出していい度胸ね?今どこに居んのよ?」と捲し立てられた。 俺が「ど、何処って、(古泉の)家だが…」と答えると、「何で帰宅してんのよ!!! もう良いわ!!!今度の不思議探索活動は、あんたが遅れてこようが早くこようがどちらにしても、 全額あんたの奢りだからね?」等という理不尽な結果に』 188 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/28(火) 21:24:44.67 ID:.Bxsz.c0 『あいつから掛けてきたんじゃないか?と、首を捻りつつ携帯の着信履歴を確認すると ハルヒからの着信は午後五時七分が最終であった事を示していた。現在の時刻を確認 すると午後五時三十二分を時計の針は指示している』 『???さっきの着信はハルヒじゃなかったのか?』 『俺は先程のビデオテープの中身を思い出し、背筋が凍るような感じに陥る』        『このビデオを見た者は一週間後に死ぬ』 『そんな馬鹿な。たかがビデオを見たくらいで死ぬ筈ないだろ!……だが俺は少し怖く なって、逃げるように帰宅した。大丈夫、大丈夫だ。そう自分に言い聞かせながら』 190 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/28(火) 21:48:16.26 ID:.Bxsz.c0 佐々木「………キョン。やっぱりキョンは『リング』を見て」 佐々木「………」 佐々木「次のファイルも見てみよう」               カチカチッ 『翌日、俺は昨日の事を古泉に話した。お前の部屋で不思議なビデオを見て その後、変な電話が掛かって来たのだと。しかし古泉は予想だにしない台詞を吐く。 「変ですね。ビデオはもう見ないので全部処分した筈ですが…」と』 『俺は冷静な振りを装い「そうなのか?」と尋ねるも次の古泉の言葉でまたもや 不安に襲われる』     『「ええ。特にデッキが二年前に壊れてからは全く」』 192 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/28(火) 22:04:49.14 ID:.Bxsz.c0 『俺は古泉に食って掛かった。デッキが壊れた?嘘言うなよ。俺はそのビデオ、 お前の部屋にあるデッキで見たんだ!!!って感じで。しかし古泉はあくまで 飄々と「えっ?もしかして僕の部屋のデッキで見たんですか?」等と嘯く』 『俺は若干苛つきながら、ああそうだ!テープ借りた訳じゃないぞ。なんなら今日 団活が終わった後、確認するか?まだお前の部屋のデッキに入れたまんまだしな!と 捲し立てる』 『そんな俺を一瞥し古泉は、ハルヒが原因の可能性もあるから行動を開始しようと 提案してきた。ここら辺で漸く落ち着きを取り戻してきた俺は、「まぁ、ビデオ見た 後電話がかかってきただけだからな。そんなに心配する程じゃないと思うが」と 精一杯の虚勢を張る』 『だが、古泉は「そうだと良いんですがね…」と俺に聞こえるようにそう呟いた』 193 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/28(火) 22:25:00.73 ID:.Bxsz.c0 『SOS団での活動を終え、古泉の家にもう一度訪れた。俺は早速デッキの処に 駆け寄り中身を確認する。だが………ビデオはデッキには無かった』 『何故だ?確かに俺はデッキに入れっぱなしにした!何故無いんだ???』 『慌てふためく俺を余所に古泉が「不味いですね」と口を開く』 『ええい!何をそんなに落ち着いているんだ!お前の部屋に誰かが勝手に侵入 した可能性があるってのに何故落ち着いて居られる?』 『しかし、やはり古泉は酷く落ち着いた様子で続ける。「……………恐らく、 一週間後、いえ、もう残り六日ですか。六日後に、あなたは死にます」』 『それは一番聞きたくなかった台詞であり、一番考えたくなかった言葉だった。 ……世界が”ぐにゃり”と奇妙な音を立てて歪んだ気がした』        『俺は一体どうなっちまうんだ?』 200 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/29(水) 01:13:32.42 ID:7x6IjTU0 『……しばらくした後、古泉に今回の事件の概要を尋ねてみる。俺はビデオを 見て変な電話が掛かって来たのだと、古泉には話したが、一週間後に死ぬという 事は一切話していなかったからだ。それなのにこいつは、俺が一週間後に死ぬで あろうことを言い当てた。それに妙に落ち着いている。何か知っているに違いない』 『古泉が俺に語った今回の事件と思われる内容は以下の通りだ』 『今回俺が体験している事象は『リング』とかいうホラー映画と瓜二つらしい。 ちなみに『リング』という作品は元々小説として世に出た作品であり、その後、 反響が大きかったので映画化、ドラマ化、果てには洋画としてもリメイク作品 が出たほどのホラー物とのこと』 201 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/29(水) 01:17:17.47 ID:7x6IjTU0 『そして肝心のリングの中身だが、話の肝となるのはやはりビデオテープらしい。 そのテープを見た者は、一週間後に死を迎える設定になっている。そしてそのテープ にはある女性の呪いが込められており、登場人物たちは、その呪いを解こうと躍起に なって事件を解決しようとするストーリーみたいだ』        『と、ここで俺の頭の隅で警鐘が鳴らされる』 『『ビデオ』の呪いの解除方法。俺が見たビデオにも確かに最後に録画されてあった。 ……それは、第三者にビデオをダビングして見させること!』  『手元にテープがない俺はどうやってその呪いを解除すればいいってんだ?』      『俺は本日何回目になるのか分からない不安に襲われた』 202 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/29(水) 01:19:29.53 ID:7x6IjTU0 『そして……こんな時に頼りになるのは長門だが、あいつは今は力を使えない只の女子 高生だ。あいつに話しても解決はしないだろう。そんな訳で今回の事件には俺と古泉の 二人だけで挑む事となった』 『そんな中でも時計は刻一刻と針を進め、俺の余命が残り五日と二十一時間になるのを 告げた』 佐々木「…………ちょっと待って。え?あれ?これって?ウソ?うそ、嘘でしょ?」 佐々木「キョンは古泉君と二人で行動していた?長門さんは関わってない?それに     この日付は、谷口君から聞いた長門さんが学校に来なくなった日と同じ」 佐々木「ちょっと、あれ?私何かを見落としてない?長門さん長門さん長門さん…」 203 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/29(水) 01:20:41.07 ID:7x6IjTU0 佐々木「!!!!!!!!!」 佐々木「(私は国木田君に長門さんと二人で会えるように頼んだ。そして昨日の朝、私     の家のポストに『長門有希 図書室』というメモが)」 佐々木「(でも、この日から長門さんは学校に来ていない。当然、一般人である国木田君     ……いや、この場合は長門さんも力を持たない単なる女子高生。だから情報操作     を行っていない長門さんに、谷口君が学校を休んでいると言っている以上、国木田君     は長門さんに会っていない筈)」 佐々木「だったらあのメモは何?国木田君じゃないの?だったら誰が?いや、何故私が     長門さんに会おうとしているのが分かってる?あの時点で国木田君以外に?」    (何だ、やっぱり国木田かよ。でも無理だぜ?あいつ今日学校休んでるから) 佐々木「!!!これは……まさか」ガタッ 218 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/29(水) 22:25:12.49 ID:7x6IjTU0     PrrrrrrrPrrrrrPrrrrrr 佐々木「(頼む。通じてくれ!)」     PrrrrrrrPrrrrrPrrrrrr 佐々木「………」     PrrrrrrrPrrrrrPrrrrrr  ガチャ 佐々木「国木田君!無事か?」 携帯 『現在、電波が届かない所に居るか、電源が…』 佐々木「!」 佐々木「国木田君…」 219 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/29(水) 22:29:26.35 ID:7x6IjTU0 ……………… ………… …… 〜国木田宅前〜 佐々木「ハァ…ハァッ……ハァ」 佐々木「着いた……昔の記憶を辿って…ハァ……走って来たけど」 佐々木「………」          ピンポーン 佐々木「御免下さい」 佐々木「(頼む。出てくれ)」 220 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/29(水) 22:31:43.96 ID:7x6IjTU0          ピンポーン 佐々木「………」          ピンポーン 佐々木「…………」 佐々木「こうなったら…」           ガチャッ 佐々木「扉が開いてる…」 佐々木「御邪魔します」 221 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/29(水) 22:39:16.31 ID:7x6IjTU0 佐々木「誰も、居ないのか?」 佐々木「御免下さーい。誰か、居ませんか?」 佐々木「…………返事がない」          ギシッ 佐々木「……ここは、国木田君の部屋…」          コンコン 佐々木「国木田君。居るんだろ?返事をしてくれ」 佐々木「国木田君?入るよ?」スッ 224 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/29(水) 22:51:20.90 ID:7x6IjTU0 佐々木「……誰も居ない」 佐々木「(体調を崩して休んでるんだったら、家で大人しく寝てる筈。谷口君の     口ぶりからしても入院している感じじゃなかった。何よりも鍵も掛けず     に一体何処へ?)」 佐々木「ん?机の上に何かある」 佐々木「これは…『リング』の原稿」 佐々木「じゃあ、やっぱり私の家のポストに入っていたのは、国木田君が出した訳じゃ     なかったって事だよね」 佐々木「………一体誰が」 225 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/29(水) 23:02:41.09 ID:7x6IjTU0 佐々木「…とにかく、これ以上ここに居ても仕方ない。不審者扱いされる前に出よう」 佐々木「と、その前にポストに、国木田君が帰ってきたら連絡するようにメモを     残して置かなきゃ……もし、数日経っても連絡がこない場合は、警察に     捜索願を…出すくらい…しか……くっ…うぅ……うぅうぅううぅ」 佐々木「…うぅううぅううううぅ」 佐々木「キョン、…ひっく…キョン!私……わたし、もう何が何だか分かんなくなって     来ちゃったよ。っぐ。キョンは生きてるんだよね?国木田君も無事だよね?…ひっぐ。     わたし、わたし!」 佐々木「…わたしの所為なの?これって……うぐ。私が巻き込んだの?私の所為なんだよね、     きっと。私が自分の目で真実を知りたいなんて国木田君に相談したりなんてしたから!!!」 佐々木「う、うぅううぅっぅうううううううう」 佐々木「どうしようどうしようどうしよう。もう、うぅ、訳分かんなくなって。涙が勝手に…」 227 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/29(水) 23:19:00.91 ID:7x6IjTU0 佐々木「何で…ひっく。泣いてんだろ?わたし。っく。まだ、国木田君が死んだって     訳でもないのに…。たまたま、家族の人が鍵かけ忘れて出掛けただけなのかも     しれないのに!!!」 佐々木「でも、でも!キョン……駄目だよ。駄目なんだよ、わたし。もう」 佐々木「私、心のどこかで、あなたはもうこの世に居ないんじゃないかって、思ってたんだ」 佐々木「でもね?それでもね?それでも…少しでも希望があるんなら、それに賭けてみたかった。     うぅん。縋りたかった。あなたは今も何処かで生きているんだって。元気なんだって」 佐々木「でも、キョンの事調べていくうちにだんだん、キョンがもうこの世には居ないんじゃ     ないかって真実味が逆にどんどん増してきて…怖くなって」 佐々木「本当の事言うと、国木田君の事だって、全く何も思わなかった訳じゃない。もしかしたら     って予感はあった。でも…きっと大丈夫、大丈夫だって。心配無いよって。考えないよう     にしたんだ」 佐々木「……酷い女だよね。……本当、酷い…っく。うぅ。うぅううううぅぅぅぅ」 佐々木「うっ、ひくっ。ひっく。んんうぅ」 229 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/29(水) 23:37:46.64 ID:7x6IjTU0 佐々木「んっく……っぐ………もう帰ろう…」           ガチャッ 佐々木「キョン……」 230 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/29(水) 23:40:05.69 ID:7x6IjTU0 ……………… ………… …… 〜帰宅路〜 ?? 「おや?あなたは……」 佐々木「誰?」 古泉 「どうも。SOS団副団長の古泉です。あなたには『機関』の人間である、とこう表現     した方が良いのかもしれませんが」 佐々木「あなたが……」 古泉 「それよりもどうしたんですか?そんなに目を真っ赤にして。いくら機関が敵対     している別の神候補であっても、女性のそんな顔は見ていて嬉しいものではありません。     どうでしょう?僕でよければ相談に乗りますが?」 235 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/30(木) 06:00:43.98 ID:wsUQtNA0 ……………… ………… …… 〜公園〜 佐々木「…………」 古泉 「先程から押し黙ったままですが、まだ何があったのか話して貰えませんか」 佐々木「………………」 佐々木「(古泉君はキョンと一緒に行動していた。だから、古泉君にどうなったのか聞けば     キョンの安否は分かる、でも……でも、もし、もう死んでいるなんて聞かされたら     私、わたし!)」 古泉 「やれやれ、仕方ありませんね。では、こちらの勝手な憶測ですが、今から僕は独り言     を言います。聞きたくなければ、どうぞ、耳を閉じるなどの意思表示をしてください。     直に話を止めますので」 佐々木「………………」 236 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/30(木) 06:02:04.45 ID:wsUQtNA0 古泉 「これは僕の勝手な推論ですがあなたが泣いているのはもしかして”彼”の事     じゃあないでしょうか?」 佐々木「!!!」 古泉 「ふふっ、当たりのようですね」 佐々木「………」 古泉 「まぁ、あなたが悲しむのも無理はありません。あんな報道がなされたのですから」 佐々木「………………」 古泉 「涼宮さんもショックでまだ学校を休んでいますしね」 佐々木「………………そう、なんだ」 237 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/30(木) 06:06:24.72 ID:wsUQtNA0 古泉 「ええ」 佐々木「………………」 古泉 「ふぅ。二人の女神さまをこんなに悲しませるなんて、彼も罪作りな人ですね」 佐々木「………………」 古泉 「………やれやれ。本来なら、あなたにこれを教える義理は全くと言って良いほどの     皆無なんですが、まぁ良いでしょう。女性の悲しむ顔はあまり見たいものじゃない」 佐々木「……」 古泉 「良いですか?これは、『機関』に所属している古泉一樹の言葉では無くて、『彼』の     友人として、同じ彼の友人であるあなたに向けての言葉です」 古泉 「彼は、生きてます」 佐々木「えっ?」 238 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/30(木) 06:12:19.57 ID:wsUQtNA0 古泉 「もう一度言います。彼は生きてます」 佐々木「本当?」 古泉 「ええ。詳しくは言えませんが、今彼は機関の保護監視下に入っています。この間の     報道も機関が一枚噛んでいたんですよ」 佐々木「………そう、なんだ」 佐々木「………キョンは、生きてる」 古泉 「はい」 239 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/30(木) 06:18:13.97 ID:wsUQtNA0 古泉 「もっとも、かなり危機的状況に追い込まれているので、劣性状態ですがね。こちらは     かなり不利な状態から戦わざるを得なかったので、彼と彼の家族には危険が及ばぬよう     あのような報道を流して機関で匿っているんです」 佐々木「妹さんや、彼の両親も無事…なんだ」 古泉 「ええ。もっとも一家四人共一気に匿うのは無理だったので、小出しにして少しずつ     ですがね。特に彼以外の三人は何の情報も持っていない極めて一般人ですから、骨     が折れましたよ」 佐々木「……そっか。キョンも、キョンの家族も皆」 古泉 「ええ。無事です。ですからあなたが、そんなに悲しむ必要なんて何処にもありません」 249 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/30(木) 21:11:48.99 ID:wsUQtNA0 佐々木「じゃあ国木田君も?」 古泉 「おや、これは驚きです。どうやって彼の事も?」 佐々木「それは……」 古泉 「まぁ良いでしょう。既に知っている物をとやかく言っても始まりません」 古泉 「えぇ、そうです。彼も無事です。安心して下さい」 佐々木「そうですか……良かった」 250 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/30(木) 21:23:15.83 ID:wsUQtNA0 古泉 「詳しくは言えませんが、彼と彼の家族もまた機関が保護しています」 佐々木「…良かった。本当に」 古泉 「んっふ。漸くあなたの顔に覇気が戻りましたね」 佐々木「あの……ちょっと良いですか?もう一つお聞きしたい事があるんですが」 古泉 「どうぞ。僕に答えられる範囲であれば、お答えしましょう」 佐々木「有難う」 古泉 「いえいえ。それで?僕に聞きたい事というのは?」 252 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/30(木) 21:33:03.33 ID:wsUQtNA0 佐々木「キョンの事なんですが」 古泉 「ふむ」 佐々木「わた……僕はキョンが殺されたという報道があってから、ずっとキョンが     殺されたとされる直前に何があったのかを調べてきました」 古泉 「ほぅ」 佐々木「その、僕が調べた結果では、キョンは死ぬ五日ほど前に、あなたの部屋で『リング』     を見たという事になっているんです」 古泉 「………」 佐々木「今もキョンが生きているというのなら、キョンはビデオの呪いを解けたんですか?     それとも、これも機関がキョンの情報を敵に漏らさないように作った作り話なんですか?」 古泉 「…………」 253 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/30(木) 21:45:29.79 ID:wsUQtNA0 古泉 「成程。あなたが何故国木田君の話を僕に振って来たのか、これで得心がいきました」 古泉 「………そうですね。結論から言ってしまえば、これは機関の自作自演です」 佐々木「そう、なんだ」 古泉 「はい。先程も説明しましたが、今回の戦い、かなり危機的状況に追い込まれているのが、     現状です。ですのでこちらは、彼と彼の家族には危険が及ばぬようあのような報道を流     して機関で匿っているんです」 佐々木「はい」 古泉 「しかし、あのような報道をただ流しただけでは、敵はそう簡単には騙されてはくれません」 古泉 「そこで、彼が本当に死んだかのように見せかける為、更なるトラップを用意したんです」 佐々木「それが……」 古泉 「ええ。SOS団のPCの中に隠した、あの日記です」 254 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/30(木) 21:54:57.73 ID:wsUQtNA0 佐々木「そうだったんだ」 古泉 「どうやら、あなたにもとんだ心配を掛けさせてしまったみたいですね。     非礼を詫びます」 佐々木「いえ。キョンが……キョンと国木田君が無事だと分かったなら、もう     良いです」 古泉 「そうですか。有難うございます」 佐々木「そっか。無事なんだ……キョン」 古泉 「大丈夫ですよ。彼は今も元気でやってます」 255 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/30(木) 22:04:02.76 ID:wsUQtNA0 佐々木「それで、その戦いはまだ長引きそうなんですか?」 古泉 「…うーん。そうですね、現状を見る限りは、まだ確信的な事でもないですが、     遅くても一週間以内には決着がつくでしょうね。こちらも大分疲弊していますが     それは向こうも同じでしょうから」 古泉 「どちらかのグループが恐らく短期決戦へと勝負を持ちこむ事になるでしょう」 佐々木「……そう」 古泉 「まぁしかし心配しないでください。最後に勝つのは我々ですから」 古泉 「彼も間もなく帰ってきますよ」 256 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/30(木) 22:12:21.56 ID:wsUQtNA0 ……………… ………… …… 古泉 「本当にもう大丈夫ですか?なんなら家まで送っていきますが」 佐々木「いえ、もう大丈夫です。あなたの話を聞いて安心しました」 古泉 「そうですか。それは何よりです」 佐々木「本当にどうも有難う。今日、会う事が出来て良かった」 古泉 「いえいえ、お気になさらず」 佐々木「じゃあ、さよなら」 古泉 「ええ、さようなら。彼が返ってくる日が決まったら、また連絡します」 佐々木「うん。宜しく」 257 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/30(木) 22:21:57.22 ID:wsUQtNA0 そうして、私は意気揚々と家路に足を向けるのだった。あぁ、良かった。本当に良かった。          キョンは生きている。生きているんだ! そう思うと、次第に足取りは軽くなり、私は半分スキップのような形で歩いていた。 今までのもやもやした気持ちが一蹴され、心は晴れやかだった。 あぁ、キョン。キョン!出来る事ならば今すぐ君に会いたい。会って抱きしめたい。 抱きしめられたい。もう何処にも行かないように。決して離ればなれにならないように。 君とまどろみながら抱き合って、そのままこの世界に溶けてしまいたい位だ! ……と、ここで私は突然足をとめた。止めなくても良いのに、いや、止めてはいけないのに、                  止めてしまった。 258 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/30(木) 22:28:00.36 ID:wsUQtNA0 私の悪い癖だ。いつも、いつでも!もう一つの可能性を考えてしまう。悪い方向に思考を向けてしまう。      やめろ!駄目だ!考えるな!考えちゃいけない!思い出しちゃいけない!     やめてやめてやめてやめて!駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ!やめろ!やめるんだ!                     考えるな!!!!!      ……そう、願っていた時には既に遅く、私の頭には、ある考えが浮かんでいた。                  『敵』って一体、誰だよ? 260 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/30(木) 22:32:23.51 ID:wsUQtNA0  足をその場にとめたまま、私は先程の古泉君と私の会話の内容を頭の中で反復する。 『今回の戦い、かなり危機的状況に追い込まれているのが現状です。ですのでこちらは、 彼と彼の家族には危険が及ばぬようあのような報道を流して機関で匿っているんです。 しかし、あのような報道をただ流しただけでは、敵はそう簡単には騙されてはくれません。 そこで、彼が本当に死んだかのように見せかける為、更なるトラップを用意したんです。 それが……SOS団のPCの中に隠した、あの日記』 261 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/30(木) 22:39:27.84 ID:wsUQtNA0      そうだ!日記。日記。日記?何故日記という単語がここで出ている? 私は彼に、喋ったのか?日記を読んでここまで辿り着いたと?何時?何時だ?言ったのか?      私は本当に『日記』という言葉を彼の前で口に出したか?    …………目を瞑って思考を巡らす。彼との会話を思い出す。想い出す。       しかし、幾ら記憶の網を手繰っても、手ごたえは全くない。        当然だ。私は日記という単語は使っていないのだから。 262 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/30(木) 22:46:04.00 ID:wsUQtNA0 それに彼は、古泉君は、古泉一樹は!何と言っていた?あの日記は、『敵』を惑わすための 『トラップ』だと言った。 でも、私があれを読むきっかけとなったのは、メビウスリングという指環のヒントがあった からだ。でも、指環の存在を知る前に私は、図書室に長門さんに会いに行ったのだ。いや、 むしろ長門さんに会うことが目的で、たまたま指環を見つけただけに過ぎない。 しかも、図書室に行けというメッセージは国木田君から来たように偽装された、別の誰かからの メッセージだった。    だから!その通りの手順を踏んだからこそ、私はあの日記に辿り着いたんだ!   ……そして、ものの見事に、あの日記に書いてある事に翻弄され、振り回された。       そう、その『トラップ』とやらに引っかかったのは『私』なのだ。 264 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/30(木) 22:48:43.61 ID:wsUQtNA0      ねぇ、ねぇってば。だったら、この場合、『敵』って私になるよね?    ねぇ、古泉君?一体、何処までが本当なの?……それともこっちの質問の方が良い?                 何処からが『本当』なの? 265 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/30(木) 22:56:43.46 ID:wsUQtNA0 ……………… ………… …… 一時間くらいだろうか?私は天を仰いだまま、その場に立ち尽くしていた。泣きながら。             だけど、私は体を反転させ、歩く。            当然、向かう場所は自分の家では無い。        もう良い。もう終わらせよう。もうこれで、最後にしよう。                 そう、口ずさみながら。 私はこの事件の始まった場所、この事件を知る事になった場所。そして、最愛の人が死んだであろう場所。               キョンの家に、一人向かった。 276 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/31(金) 03:09:36.86 ID:Qsv8PD.0 ……………… ………… …… キョンの家の前についた私は庭の方に回り込み、さっきコンビニで 買ってきたガムテープを何重にも重ねて貼り、なるべく音が出ないように 窓ガラスを割る。             ゴツゴツゴツ と、規則正しい音を数回繰り返した後、ジャリンという鈍い音と共にガラス が割れる。       リビングから、そのままキョンの部屋へ。 277 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/31(金) 03:11:16.13 ID:Qsv8PD.0 ……キョンの部屋に入ると、おびただしい程の血痕を見つける。 あぁ、納得。やっぱり、キョンは…ここで死んだんだ。 そっか。やっぱり……。 私はどんな顔をしているんだろう。悲しんでいるんだろうか?それとも悟った 顔でもしているんだろうか? 何故か頭は、数時間前国木田君の家で怯えていた頃とは打って変わり、冷静だった。 そのまま私は、キョンの机の上を見る。確認する。うん。やっぱり何もない。 証拠となりそうな物はすべて警察に押収されたのだろう。それも、分かり切った 事だった。 でも、私は探した。もしかしたら在るかもしれないという一途の望みを掛けて。 ……そして、意外にもそれは、直に見つかった。 ベッドの傍のBOXの中の、ルービックキューブ。 以前、私が彼に渡したままの状態とは違う状態で。そこにあった。 278 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/31(金) 03:16:40.39 ID:Qsv8PD.0 ……………… ………… …… 以前私が渡した不思議なルービックキューブ。それは……全ての面の色を 揃えると、中に仕組まれたスイッチが押され、キューブが展開されるという 代物だった。 そして、中には空洞部分があり、物を入れて置く事が出来るという、何とも使い勝手 が良いのか悪いのか微妙なキューブなのだが、何故これを彼に渡したかというと、 キョンが大切なものを無くさないようにしたいと、物忘れの激しい彼がぼやいた所為だった。 そこで私は、街で偶然見かけたこれを購入し、日ごろの感謝の気持ちと一緒に彼に プレゼントしたのだ。 しかし、当のキョンは、 「こんな取り出したい時に取り出せないような物、使えるわけねぇじゃねぇか」 と言って、全く使ってくれていなかったのだが……。 だが、今はどうやら違うみたいだ。色がバラバラになっている。 279 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/31(金) 03:19:34.24 ID:Qsv8PD.0 流石にこれには警察も気付かなかったようだ。それに、もし、キョンがこれに 何か手掛かりを残してくれていたのなら、犯人達も気付く事は出来なかっただろう。 ………なんて、キョンの死をもう信じて疑ってない私が、今更こんな事やっても、 何の意味も無いんだけどね。    そう呟きながらも、指は規則正しく動き、キューブを回転させていく。  ……数分もしないうちに、全ての面の色が揃い、ビックリ箱のように展開された。   そして、中には……小さく折りたたまれた手紙らしきものが入っていた。 281 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/31(金) 03:21:04.15 ID:Qsv8PD.0 『これを読んでいるのは佐々木多分お前だろう。すまないが時間がない。手短に書く。 良いか?お前は今回の事件には関わるな!何の事件かといえばもう分かっているとは 思う。俺が死んじまった事になってるだろう事件だ。このルービックキューブをお前の 家のポストに入れる次の日には、TVや新聞にも載っているかもしれない』 『そんで俺の身に何が起こったかだが、俺はどうやら『リング』とかいう奴に巻き込ま れたみたいだ。後、古泉には近づくな!恐らくあいつが犯人に違いない。今振り返って みると、あいつの行動には不可解な点が多かった。いや、不可解だらけだった』 『そもそも何か可笑しいとは思ったんだ。あいつの部屋でビデオを見てから、あぁも すんなり事が運ぶ筈がないと。誰かに乗せられてる。誘導されてるって感じが常に俺に つきまとってた。でもそれでも信じたかった。最後まであいつを』 最後は殴り書きになっていた……。 手紙の内容を読み返し、私はついに、キョンの身に何が起こったのかを知った。 遅すぎるくらいに時間が経過してしまった、今更に知った。       そうか。これをポストに入れる前にキョンは……。 282 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/31(金) 03:22:40.28 ID:Qsv8PD.0        ………と、この手紙を読んでいる私の背後から物音がした。 ハッと後ろを振り向くと、そこには朝比奈みくると、古泉一樹、朝倉良子がそこに居た。       「成程ー。そんな所に隠してたんですか。見つからない筈です」    そんな、見る者なら誰しも癒されるような笑顔で、朝比奈みくるは微笑んだ。 283 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/31(金) 03:23:48.29 ID:Qsv8PD.0 ……………………………… ………………………… …………………… ……………… ………… …… 〜二週間後〜 私はキョンと二人海に来ていた。傍目に見たら、恋人とも見えない事もない この状況に少し、心が浮ついてるのはキョンには秘密だ。 さて、あの事件からもう二週間が過ぎようとしているのだけれど、無事(?) キョンは私の元に帰って来た。 284 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/31(金) 03:24:55.94 ID:Qsv8PD.0 あの日、朝比奈みくるは、私に協力を求めてきた。そして、私が協力すれば、彼を、 キョンを生き返らせると、そう提示してきたのだ。 朝比奈みくるが具体的にどうキョンを生き返らせたかについては、ここでは言及しない でおくが、大まかな方法は次の通りだ。 まず、朝比奈みくるは過去に遡り、キョンが古泉君に殺される直前で、種を蒔く。 その種の中には、宇宙人が開発したとされる未来の情報を一時的に過去に伝える 事が可能な装置が入っている。 確かに、突然見知らぬ人間が、未来について語ったとしても、容易にそれを受け入れ は出来ないだろう。だけど、自分の言葉ならば、納得できる。 つまり、山村貞子自身に、キョンを殺させないように説得させたというわけだ。 285 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/31(金) 03:25:58.81 ID:Qsv8PD.0 けど、それだけでは色々な不都合が起きてしまうので、キョンの死体を本物そっくり に宇宙人に作って貰い、入れ替えたという訳。 そのまま、過去のキョンをそっくり朝比奈みくるが今の時間平面上に連れて帰り、キョン の身に起こった一連の事件の記憶を消す。 ついでに、報道関係にも大規模ではあるが情報操作を行えば、これで晴れて、事件は何事 も無かったかのように闇に葬り去られる。 ………全く。なんてご都合主義。 286 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/31(金) 03:27:01.66 ID:Qsv8PD.0 そして、肝心の彼女の私への要求はというと、いたってシンプル。 今回の事件については何も考えず、今まで通りの生活をしろ、というものだった。 朝比奈みくるが言うには、これは規定事項なのだそうだ。 結局、彼女の居る未来には、涼宮ハルヒという神様は、存在してはいけない存在 だったらしい。 そこで、彼女達未来人は、涼宮ハルヒを始末するために、宇宙人達と手を組んだ。 宇宙人達が興味があるのは、涼宮ハルヒという対象の観察。 未来人達の望みは、涼宮ハルヒの抹殺。 一見、ウマが合わなさそうなカップリングだが、そこは物の考えようだ。 つまり、『この世界から涼宮ハルヒという存在を消す』という発想につながった。 287 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/31(金) 03:28:15.05 ID:Qsv8PD.0 宇宙人達はかねてより、自分たち以外の涼宮ハルヒを監視する者達を疎ましく 思っていた。当然だ。折角監視対象が何かアクションを起こそうとしている というのに、宇宙人達意外の勢力は、それを鎮静化させようとばかりするのだ。 これでは、観察する意味がない。 一方、未来人のグループは自分たちの未来に近づけさせる為、どうしても強大な 力を持つ涼宮ハルヒを始末したかった。 そこで、この二つのグループはお互いに牽制し合っても意味がない、ここは一つ 協力しないか?という事になったのだ。 288 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/31(金) 03:29:07.36 ID:Qsv8PD.0 宇宙人と未来人が選択した、互いにとって最も都合の良いシチュエーション。    『涼宮ハルヒをこの世界から隔離し、別の世界に連れていく』 こうすれば、宇宙人は、他のどの勢力にも邪魔されずに涼宮ハルヒの監視を行え、 未来人は自分達の未来を手に入れられる。 ……でも、この計画には邪魔な組織が一つあった。そう、超能力者のグループだ。 機関という超能力者のグループは涼宮ハルヒを神扱いしており、別世界に隔離する など、以ての他となるのは容易に想像ができる。 289 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/31(金) 03:30:02.71 ID:Qsv8PD.0 ここで、超能力者達を一掃するために作られたのが、あのビデオテープだ。 あのビデオは、やはり『リング』の山村貞子の呪いをモチーフに作られた もので、山村貞子の怨念が宿っている。 ちなみに、山村貞子は元々、超能力者という設定で作られた存在だったので、 同じく異なる能力とはいえ超能力を有する機関の面々には、効果絶大で、機関 の超能力者達は、たちまち山村貞子の支配下になった。 最後に、超能力者達を壊滅させたら、宇宙人達の情報操作によって、山村貞子 という存在も消滅させれば事件は一件落着。 ……つまり、今回私やキョンが走り回ったこの事件は、蓋を開けてみれば宇宙人 と未来人が手を組み、超能力者を一掃し、涼宮ハルヒを別世界に隔離するという、 ただそれだけの事件だったのだ。 290 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/31(金) 03:31:12.40 ID:Qsv8PD.0 私やキョンが関わった事件はそのごく最後のちょっとした余興のようなもので、 突然神様が居なくなるこの世界を安定に導くための儀式だったという訳。 そう、キョンを殺して、私を走り回らせ、十分私が苦しんで、もう抵抗しない だろうと分かった時に、真実を告げ、自分達に従えさせるという寸法。 ご丁寧に、いつでも殺せますから、逃げないで下さいね?というデモンストレーション まで行ってくれた。    これじゃあ身動きどころか、身じろぎ一つ出来ない状況だ。           私は素直に従うしかなかった。 …けど、私がその約束を守って、大人しくし続けた、二週間後の今日、キョンは 帰って来た。あの頃の姿のまま。 291 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/31(金) 03:32:22.48 ID:Qsv8PD.0 更に、ビデオももう回収され、山村貞子も消えた。キョンも帰って来たし、今頃は キョンの家族や、国木田君、部長氏も家に戻っている筈だ。    ……だから、私は今回の事件はこのまま胸にしまっておこうと思う。 ……でも、朝比奈みくるの横顔が、山村貞子のそれにダブって見えたのは、多分 見間違いの所為ではないだろう。 ただ私がそんな事をいくら考えた処で、それも多分きっと、どうにもならない 事なんだろうとも思う。 彼女っぽく言えばこれも、「禁則事項だけどね?」等と表現する部類に入るのだろうか? 292 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/31(金) 03:33:16.84 ID:Qsv8PD.0         …………はぁ。ま、良いか。 そうだ。これからこの世界が何処に向かって行こうと、どうなっていこうと、 私には既に関係がない。もし関係があったとしても、それを止める術は無い。        仮初の神様にはそんな力など無いのだ。 私に出来る事は、ただ、ただただ、この世界がどういう未来を歩んでいくのか を見届ける事だけ。 293 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/31(金) 03:34:22.95 ID:Qsv8PD.0 ……そして、そんな風に溜息をついて、私はそれ以上、今回の事件への考察を止めた。 きっとこれ以上の考察は意味が無い。いや、仮に意味があったとしても、きっとそれは 些細で取るに足らない微細なもので、取り立てて特に騒ぎ立てする必要もない些末な違和感。 ならば私の胸にしまっておこう。 ……誰も気付かないように。誰も考えないように。誰も思い出さないように。 耳を澄ますと、波の音が良く聞こえる。 だが、浜辺の波は、ただただ押し寄せては戻るという単調な作業を繰り返すだけだった。 そして、そんな波の音を聞きながら私達は、さながら螺旋を描きながら階段を転がり続ける 『指環(リング)』みたいに、延々と繰り返すループのような日常に戻っていくのだった。             ……あぁ、世界は今日も廻る。             佐々木「禁則事項だけどね?」                   完 295 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/31(金) 03:37:37.22 ID:Qsv8PD.0 終わったああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!! 最後が眠気と闘いながらの異常な駆け足速度だったが何とか終わったあああああぁぁぁぁ!!! 302 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/31(金) 03:45:46.79 ID:Qsv8PD.0 作者です。どうも今まで有難うございました。何回もの支援や保守、本当に感謝感激です 有難うございました。 最後の方は作者自身も「?」というか釈然としない部分が多少ありますが、眠気を 差し引いても多分ここら辺が限界だったんじゃないかと思います。 もう完全に作者の力不足です。すみません 304 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/31(金) 03:58:34.21 ID:Qsv8PD.0 実は前回の話、AVで盛り上げて終わる予定だったんですが、あまりにもレスが つかなかったもんで、急遽ホラー要素を混ぜちゃったんです それが、いつの間にやらこんなに話がでっかくなっちゃって。 もう、どう収拾をつけようか作者の頭はそれでいっぱいでした でもまぁ不細工ながらも一応話的にはまとまったんじゃないかと思います。うん 305 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/07/31(金) 03:59:29.36 ID:Qsv8PD.0 そんな訳で       古泉「禁則事項です」           佐々木「禁則事項だけどね?」    の2本はこれにて完全に閉幕です。長いお付き合いどうもです。 それでは最後にもう一度、何回もの支援や保守本当に有難うございました。 315 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/08/01(土) 21:21:54.81 ID:e0kX2Bs0 さて、そろそろこのスレを見ている人も居ないと思うので、ネタばらししときます。 @ハルヒ 別世界に隔離されています A長門 計画に邪魔だったので、思念体に消されました B古泉 用済みなので貞子に殺されました 316 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/08/01(土) 21:22:55.28 ID:e0kX2Bs0 Cキョン 死んでいます。一度死んだ人間は生き返りません。最後の佐々木の感じ取った 違和感の一つでもありますが、あれは思念体が作ったクローンです でも、佐々木はこれ以上今回の事件について考えないようにしているので、 気付かない振りをしています D国木田 死んでいます E思念体と朝倉涼子 別世界でハルヒの観察を行う予定でしたが、朝倉が山村貞子の企みに気付いてしまい、 朝倉を伝って思念体は貞子に消されました。無論朝倉も殺されています。詳しくは 『山村貞子と呪いのビデオ』に書いてあります 317 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/08/01(土) 21:24:09.70 ID:e0kX2Bs0 F朝比奈みくる 貞子に乗っ取られています Gコンピ研部長 死んでいます。一度死んだ人間は生き返りません。詳しくは『山村貞子と呪いのビデオ』参照 H佐々木の取り巻きの未来人宇宙人超能力者 勿論邪魔なので殺されています 318 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/08/01(土) 21:25:25.44 ID:e0kX2Bs0 I山村貞子と呪いのビデオ 今回未来人と宇宙人が計画した事件によって、蘇りました。しかし、宇宙人達が 作ったのはあくまでもキョンの興味を引くための『ビデオ』であり、その他の媒体品 は、貞子自身が増殖するために勝手に作ったものです。キョンの家でDVDにダビング されたのが発端です。その後、超能力者達を操って、ネット内に潜んで、拡大していく つもりだったようです。しかし、コンピ研の部長がまだ完成する前のバグのあるままの リングを見てしまい、操る前に、見て直にその場で死んでしまいました。朝倉涼子は それに気付き解析を試みましたが、貞子に操られている古泉によって殺されます。そして、 朝倉涼子の情報伝送から、自身の暗号を送り込み思念体も消滅させました。 現在朝比奈みくるを宿主としている貞子ですが、この先どうするかのは分かりません J世界 貞子のみがこれからどうなって行くか知っています…… 319 名前: ◆sdM9TY622s[saga] 投稿日:2009/08/01(土) 21:39:17.06 ID:e0kX2Bs0 あぁ、後、最後のシーンに出てきた朝倉は貞子が佐々木にこの計画が宇宙人と未来人 によって仕組まれた計画であると信じて疑わないようにさせる為、死体を操っている だけです。別に朝倉がそのシーンだけ生き返った訳ではないので、あしからず。 夏場は死体が腐りやすいので、朝倉涼子は死体安置所から出てきています。本来、情報 が中々出てくる筈のない朝倉の死体が警察に直に発見されたのはこの為でもあります。