ルイズの憂鬱 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/07/03(金) 17:30:06.48 ID:S/G96N6V0 「ん?」 夜中に目が覚めた。 普段はこんなことはなくぐっすりと自分のベッドで寝ているはずだ。 なぜか不思議な感じがして夢から覚める。 「?」 あたりを見渡すが、特に何もない。 隣でエロ犬のサイトが寝ているだけだった。 「おい、どうした?」 犬の剣が話しかける。 「なんか、目が覚めちゃって」 「珍しいな、いつもはグースカ寝てるくせによ」 剣のくせに生意気なことを言う。 「うるさいわね、今度そんな口聞いたら粗大ゴミに捨てるわよ」 布団を被って眠りに入ろうとする… が、眠れない… 「おい起きろ、あれはなんだ?」 デルがまた喋りだす。寝ろって言ったり起きろって言ったり何なのよ。 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 17:36:02.30 ID:S/G96N6V0 部屋の隅を見ると、あやしく光る楕円形のものが浮いていた。 「これ…は?」 不思議な感じの違和感が強くなる。 すぐベットから降り、近づいてみる。 「う〜ん、誰かの魔法かしら?  ちょっと、サイト!起きて!」 「う〜ん、さっきからうるせぇな、  俺はお前の命令で夜更かししたんだからもっと寝させてくれ…  ぐかぁ〜」 「ホント使えない駄犬ね」 フンっと鼻で笑う。こいつにはそんな扱いで十分よ。 「それにしても何かしら…?」 すこし手で触れてみる…と… 「馬鹿野郎!それに触るな!」 剣が怒鳴り、その瞬間私の体はその物体に吸い込まれた。 最後に見た光景は眠そうなサイトが私を見た瞬間に慌てた様だった。 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 17:45:04.26 ID:S/G96N6V0 「え?なに?何なの?」 吸い込まれた私はどんどん落下する。 どこが上かもわからないので本当に落ちているのかも分らないけどそんな感じ。 誰かの魔法かしら…? 考えているうちにどうやら着いたみたい。 本当はもしかしたら死ぬんじゃないかって心配だったけど、 慌てちゃかっこ悪いものね。私だって死線を潜り抜けてきたんだから。 ボンッ 「……ここは?」 思わず声に出た。目の前には見たこともない景色が広がっていた。 高さだけならお城ぐらいある長い建物。 馬もいないのになぜ動いているのかわからない車。 祭りの時にでもここまでに人はいないだろうと思うくらいの人ごみ。 人の服装はどれも見たことはないが恐らく平民のものね。 それに、さっきまで夜だったのに今は昼。 もう!どこに移動させられたのよ! 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 17:53:12.76 ID:S/G96N6V0 道端にしゃがみ込んでいると、皆の視線が集まる。 多くの人に見られるのは緊張するわね。 ここは異国かしら?ハルケギニアの人は珍しいのね。 『あれ?ルイズのコスプレじゃね?』 『ほんとだw完成度高すぎだな』 何を喋ってるか全然わからない。 でも今私の名前読んだわよね? 私のこと知ってるのかしら? 「異国まで私の武勇伝が知られるなんて有名人になるのも困ったものね」 なんて言ってみたものの、目を輝かせているのは一部の人だけで、 ほとんどの人は何かかわいそうなものでも見るかのような眼だった。 それに、武勇伝は広がっちゃダメじゃない! 昔、姫様から受けた命令は秘密なんだから! でも、周りの反応を見る限り、武勇伝とかそんなものではないんだろうなって思った。 言葉もわからないし、ここがどこなのかもわからない。 周りを見ても字すら読めないわ… はぁ…これから先、どうしよう… 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 18:02:05.67 ID:S/G96N6V0 仕方ないので歩き始める。 貴族がこんな人ごみの真中でいつまでもしゃがんでたら格好悪いじゃない。 でも特に行くあてもない… どうしよう… サイトぉ… 歩いていても皆の視線が集まる。 そんなに珍しいのかしら? あ、あれ?どこかで見たことあるような… そこは何かのお店らしく、商品が並べられていた。 そうだわ!確かぱそこんよ!ぱそこん! サイトが来たとき持ってた物よ! 確か「であいけい」がどうのこうのって… じゃあここはサイトの世界?日本というところ? へなへなと力が抜けた。 それじゃ、戻る術なんて全く見当もつかないわ… なんでサイトがハルケギニアにいて、私が日本にいるのよ… だけど、サイトの国を見れて少しだけ嬉しい気持ちもあったのは内緒である。 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 18:12:55.07 ID:S/G96N6V0 prrrrrrr!prrrrrrr! 熟睡していた俺は電話に起こされる。 「誰だよったく…古泉…?  また悪い予感がする」 この時間にこいつから電話があるってことはいい話なわけがない。 「もしもし」 「あ、夜分遅くにすみません。実はですね…」 古泉が言い終わる前に口を挟む 「ちょっと待て、それは結構やばそうなことか?」 聞いてみたものの、結果を聞かなくても分かっている。 俺のこの今までにない違和感がそれを物語っている。 「えぇ、非常にまずいですね。世界が改変されています」 「やれやれ」 まいったなぁ、前ふりもなく改変か… もう振り回せれるのはごめんだぜ。 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 18:19:54.80 ID:S/G96N6V0 次の日、日曜日だから家でごろごろしていようと思ったのだが、 世界が改変されたとなってはそれどころではなく、 俺は、古泉と長門と打ち合わせをするためにいつもの喫茶店に集まることなった。 支度をしている途中、テレビをつけていたが、 犯罪者の多くの方が突然亡くなったらしいが、今の俺にはそんなことはどうでもよかった。 喫茶店に行く途中、妙な髪の色の人に何人かすれ違ったが、それもどうでもよかった。 じゃあ、なぜ言うのかって?そんなこと俺に言われてもしらん。どうせ回収されない複線だろ。 喫茶店につくと、すでに二人はいた。 席につきカフェオレを頼む。 「それで、どういうことなんだ?」 長門と古泉に尋ねる。 「昨日話した通りです」 「だからそれは何でなんだよ」 「理由はわかりません」 「なんだよ。長門の方は?」 「原因は不明。ただ現在何が起きてるのかはわかる」 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 18:28:00.81 ID:S/G96N6V0 …… …… え〜っと、長門の話を古泉がくだいて説明し、 それをさらにくだいて言うととこういうことだ。 どうやら、この辺りで異次元に繋がるゲートのようなものができて、 他の世界とつながっているらしい。 他の世界というのは、この宇宙上にはなくて、別の次元らしい。 それは宇宙全体のエネルギーの総和が変化したことから分かるとのこと。 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 18:29:43.61 ID:S/G96N6V0 「ついに異世界人か…」 「んふっ、そうみたいですね」 「そんな爽やかに言うなよ、機関はどう考えてるんだ?」 「それがどうしようもないので、今はまだ検討中です」 「長門の方は?」 「このままでは宇宙のバランス崩れる可能性がある。  早急に改善するべきと判断する。  しかし解決方法は現在見当たらないため、一時保留にする」 「じゃあ、このままいつも通り過ごすしかないのか…」 「そうでもないみたいです、接触を試みてみましょう」 古泉と長門が俺を通り越して、店の外を見ている。 俺もそちらに目をやると、なんとも鮮やかなピンクの髪をした少女がいた。 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 19:23:37.37 ID:S/G96N6V0 もうどれくらい歩いたんだろう。 人の群れからは抜け出したけど、どこに向かって歩けばいいかわからない。 ただ闇雲に…ただ適当に… 帰りたい… サイトぉ… あれ?こっち向って歩いてくる人たちがいる 私に向かって来ているのよね? この際誰でもいいわ… 「あなた、言葉わかる?私日本ってとこに来たみたいなんだけど、 これからどうしたらいいかわからなくて…」 自然と涙が滲む。泣きたくなんかないのに。 『まいったな、何を言ってるかわからないぞ、長門わかるか?』 やっぱり、何を言ってるかわからない。 横の女の子がコクリと頷いた。 『なんて言ってるんだ?』 『助けてを求めてる。情報を連結する』 女の子が呪文を唱えた。 それは私たちの詠唱とは全く違うが雰囲気でわかる、きっと日本の魔法だ。 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 19:44:25.52 ID:S/G96N6V0 「これで、言葉が通じるようになったのか?」 え? 「今何て言ったの?」 まさか、話せると思ってなかったので驚いた。 ゆっくり考えれば彼女の魔法ってわかるのに、そこまで頭が回ってなかった。 「どうやら、話せるようになったみたいですね」 後ろにいる、顔立ちの整った男が話す。 意味もわかる。気持ちがふっと楽になった。 「ありがとう、私はハルケギニアから来た ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ。  何故かわからないけど、ここ…日本に来てしまったみたいなの。  誰とも話せなくて困ってたんだけど、魔法が使える人がいて助かったわ」 「ん?魔法?」 「今の魔法でしょう?」 「うん、あぁ、そうなのか長門?」 「違う。今のはただの情報操作。  魔法とは精神エネルギーを物理エネルギーに変換する手法のこと」 「だ、そうだ」 よ、よくわからないわね… 「……ま、まぁ立ち話もなんだし、喫茶店にでも入りましょうか」 後ろの男の提案で近くの飲食店に入ることになった。 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 19:59:48.33 ID:S/G96N6V0 「俺の名前は…キョンとでも読んでくれ」 「古泉一樹です。よろしくお願いします」 「長門有希」 「キョンとイツキとユキね。ありがとう。あなたたちのおかげで助かったわ。  改めてお礼を言うわ」 「いや、気にするな、困った時はお互いさまさ」 まだ逢って間もないが、キョンからは私をだます様な悪意は感じられない。 「すこし話を戻しますが、なぜここが日本だと?」 イツキは並の女ならコロっといってしまうような笑顔で尋ねる。 生憎私はきれいな顔の男にはいまいち関心がないの。 それはあのバカ犬と一緒に暮らしているせいでもあるのかしら。 「歩いてる途中、お店でぱそこんを見つけたけたから」 「パソコン?」 「私はハルケギニアという国から来たの。  そこでは1人前の魔法使いとなるための儀式で使い魔を召喚するの。  それで召喚されたのがサイト。人間が使い魔なんて珍しいんだけどね」 「もしかして、そのサイトという人は、  もともと日本人で、召喚された際にパソコンを持っていたということですか?」 イツキは私の言おうとしていたことをそのまま言ってくれた。 「お前は相変わらず頭が回るな」 横でキョンがぼそっとつぶやいてたのが聞こえた。 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 20:13:33.10 ID:S/G96N6V0 「サイトか…日本人が別世界に行っていたとは驚きだな」 「全くです、今の話ですと、  それは今回みたいに涼宮さんの力によるものではないでしょうからね」 「今回はやっぱりハルヒなのかよ」 「言ってませんでしたっけ?でも当然あなたなら気づいていたんでしょう?」 「まぁな、ハルヒしかいねぇだろ。こんなことする奴は。  だが、さっき原因はわからないって言ってたろ?だからだよ」 「それは涼宮さんの力が発動した原因がわからないという意味です」 「あぁそうかい」 涼宮ハルヒという名前が初めて出てきた。 どうやら、私がこの世界に来たのは涼宮ハルヒとういう人物が関係しているようね。 でも、この人達も原因はわからないって言うし…本当に帰れるかしら。 サイトの世界と私の世界か…どうなっちゃったんだろ。 それに…サイト今頃何やってるのかしら… まさか、シエスタといちゃついてんじゃないでしょうね。 それとも私を心配してくれてる…?そうだといいな…。 「そんな心配そうな顔するなよ。俺たちがなんとかするから大丈夫だよ」 キョンが優しい言葉をかけてくれたの心に沁みる。今は彼の言葉が何よりも嬉しかった。 涙が頬を伝ったのがわかる。 「ありがとう」 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 21:27:05.89 ID:S/G96N6V0 「しかし、実に興味深い」 何やら考えているイツキ 「何がだ?」 キョンがまだ難しいことを考えるのかと言った素振りで聞く。 「ハルケギニアの国には次元を超越できるほどの力があるってことです。  どういった経緯でそうなるかは検討がつきませんが、涼宮さんに匹敵するほどの能力です。  これは世界を戻すための、いいヒントになるかもしれませんよ」 さっきキョンも言っていたけど、イツキは本当に頭がいいみたいね。 「その、さっきから出ている涼宮ハルヒって誰なの?  私がここにいるのはその人のせいなのよね?  なんなら私が魔法でとっちめてあげるわよ?」 こちらとてそれなりの修羅場は潜って来ている。 だが、そう言った瞬間、キョンとイツキの目が丸くなっている。 「それは推奨できない」 ユキが話す。そこにいることも忘れるくらい無口な子ね。 でも今改めて見るとちょっとタバサに似てるかも。 「なんで?」 「ハルヒ、は敵でもなんでもないからさ」 キョンが笑顔でそう答えた。 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 21:40:38.03 ID:S/G96N6V0 「敵じゃないのに、あなたたちが困ってるってどういうことなの?」 「まぁ話せば長くなるんだが、あいつも悪気はないんだ」 「じゃあ、とりあえず会ってみましょう。何か分かるかも」 「そ、それは…ちょっとまずいかな?どうだろう、古泉?」 キョンはさっきから人に意見を聞いてばっかりね。 でも悪い感じはしない。 キョンはどことなくサイトに似てて話しやすい。 サイトみたいに生意気じゃないけれど、素直そうなところが似ている。 「とりあえずやめといた方がいいと思います。  ルイズさんは日本人としては違和感がありますし、  涼宮さんに異世界人と疑われたら何が起こるかわかりませんからね。  もう少し待ってからでも遅くはないかと思います」 「やっぱりそうだよなぁ、じゃあしばらくの間ルイズが泊まれるところを探さないとな」 私は彼らに迷惑かけてるんだって改めて気付かされた。 申し訳ない気持ちはあるが今は彼らを頼るしかないのも事実。 「あなたの家はどうです?」 イツキの問いかけに、「かふぇおれ」を飲んでいたキョンが噴き出す。 「馬鹿野郎!何で俺んちなんだよ!家族がいるんだぞ」 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 21:50:51.78 ID:S/G96N6V0 「しかし、僕の家にも家族がいますし…  それに僕は機関の人間なので都合が悪いんです」 「じゃあ、長門の家はどうだ?誰もいないからいいんじゃないのか?」 「駄目。情報統合思念体が異次元生命体との1対1の接触を認めていない」 ユキの話す言葉は時々何を喋ってるのか全然わからない。 「じゃあ、どうするんだよ?他の誰かに頼むか?  鶴屋さんとか朝比奈さんに……いや、やめておこう」 キョンはこっちをチラッと見て意見を変えた。 恐らく他の人では私が不安に思うと思ったのだろう。 「やっぱり俺の家で預かる。  長門、ルイズを俺たち以外には見えなくすることはできるか?」 「遮蔽シールドを展開しておく」 ユキはそう言うと呪文を唱えた。 やっぱりこれって魔法よね? 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 21:59:38.23 ID:S/G96N6V0 そうして私はキョンの家にお邪魔することになった。 「ルイズは見えないからこっそり入ってくれよな」 コクッと黙って頷き、キョンの後に付いて行き、家にお邪魔する。 日本の家…作りがちょっと変わってるわね。 「ただいま〜」 キョンが家に入ると小さい女の子が走ってくる 「キョン君おそーい」 「おい、お前こそこんな時間まで起きて、早く寝な」 「もう、寝るとこ〜」 てってってと駆け去る女の子。 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 22:04:00.05 ID:S/G96N6V0 キョンの部屋に招きいれられると、 「狭いとこだが座ってくれ」 「ありがとう。今の子は?」 「妹だ」 「あんまり似てないわね」 「だろ?」 二人でふふふと笑った。 日本に来て素直に笑ったのは初めてかも。 正直に言うと、私もキョンの家に泊まりたかった。 贅沢なことは言えないから黙っていたんだけどね。 イツキもいい人だけど、顔立ちのいい人は下心持ってたりするし… あ、そんなこと言ったらうちのエロ犬は顔もいまいちなくせにスケベね。 ユキも会話が続かなさそうで少し不安。 キョンが一番話しやすいし安心できる。 私は彼と話すのが楽しかった。 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 22:14:29.71 ID:S/G96N6V0 キョンと1時間ほど話をした。 それは難しい話ではなく家族のこととか、他愛もない話。 それでもその時間は充実してた。 どうしてこんなに優しくしてくれるんだろう。 どこから現れたのかもわからない人に… 「さて、そろそろ寝るか」 ドキッっとした。 「え、え、え?なななに?」 「俺は下で寝るから、ベッド使えよ」 そ、そうよね。何考えてるんだろう私。 「う、うん…ありがとう」 自分でも赤面してるのがわかる。 慌てて布団にもぐり顔を隠す。 それにしても…サイトも見習ってほしいくらい気が利くわね。 あの犬は私が厳しくしないと勝手なことばかり言って… ちょっと目を離すと女とイチャイチャして・・・ 帰ったらタダじゃなおかないんだか・・・・・・ すぅ〜 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 22:30:15.50 ID:S/G96N6V0 さて、ただいま深夜2時であり、明日というか今日は月曜日。 早く寝なきゃいかんとは思いつつも全く眠れん。 なぜかというと、横にとてつもない美少女が寝ているからだ。 最初は 「ハルヒの撒いた種は俺たちSOS団がなんとかしなくては」 なんていつも通りび軽い気持ちでいた。 しかし彼女の涙を見てから、情が移っちまったかなぁ。 今はどうしても彼女を元の世界に返してやりたい。 異次元の世界なんて俺になんかどうこうできることなんてないかもしれない。 こうやって寝床を貸すことくらいしかできないかもしれない。 それでも…それでもこの子が少しでも喜んでくれればそれでいい。 さっき見た、この世の者とは思えないほどの可愛い笑顔を思い出しながら眠りについた。 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 22:37:10.49 ID:S/G96N6V0 「キョンく〜ん起きて〜」 ガチャ 「あれ?なんでベッドで寝てないのぉ?それ」 「ぐほぉ」 突然腹に飛び蹴りをくらって、起こされた。 「そうやって乱暴な起こし方しちゃいけません。それに勝手に部屋に入らないこと」 「ご飯だよ〜」 「わかったから先に降りてなさい」 「は〜い」 妹が去っていくのを見届けてからルイズの方を見る。 まだ寝ているようだ。寝顔がとても愛くるしい。 俺は朝食を食べず、俺の部屋へ持っていく。 それをルイズへの手紙と並べて机に置いておいた。 手紙と言っても、朝食のことと、家から出ないでほしいことが書いてあるだけだが。 そして俺は学校へ向かった。 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 22:59:31.28 ID:S/G96N6V0 教室につくとハルヒが机に向って寝そべっていた。 「よう、なんだお疲れモードか?」 「別にちょっと夜更かししただけよ」 首だけあげて答えるハルヒ。 「なんだ?また良からぬことでも考えたのか?」 「そんなわけないでしょ、読書よ読書!」 ムッとしたハルヒは再び顔を伏せてしまった。 とはいえ、俺も睡眠不足で授業は睡眠時間に当てさせてもらった。 ほとんど寝てたとは言え、起きてる間はルイズのことが気がかりだった。 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 23:05:56.47 ID:S/G96N6V0 そして放課後の団活。 「はい、どうぞ」 朝比奈さんがお茶を入れてくれる。うむ、今日もうまい。 「あぁ〜暇ねぇ。なんか面白いことはないかしら?」 お前以外は世界崩壊の危機にされされているんだがな。 しかし、ハルヒはなぜ世界の改変を? そういえば朝、読書とか言ってたな…まさか… 「なぁハルヒ、最近何の本読んでたんだ?」 「え?何って、最近たくさん読んだから一言では言えないわね」 「そんなに読んだのか?」 「えぇ、20種類くらいは読んだわね」 お前は長門か。 「その中に日本人が魔法の国に迷い込んで一緒に暮らすって話はあったか?」 「何で知ってるのよ?」 「いや、ただのヤマカンだ」 やっぱりそれが原因か… でもたかが本を読んだだけだろ、それだけで改変されるのか? 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 23:17:40.67 ID:S/G96N6V0 パタンと長門が本を閉じる音を合図に解散となる。 俺は一目散に家に戻った。 今日は改変の原因がハルヒの読書と分かっただけでも収穫だ。 ただ、ルイズのことが心配だった。 家に着き、俺の「ただいま」と家族の「おかえり」の交換を終わらせ、 すぐに部屋に向かった。 ガチャ 「キョン」 1人でいるのが不安だったのだろうか。 涙ぐんでいるルイズの姿がそこにあった。 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 23:33:55.18 ID:S/G96N6V0 キョンが帰ってくるまでは本当に辛かった。 一晩が立ち、冷静に考えられるようになったし、昨日のことを思い出す時間は十分にあったからだ。 今私がいるのはサイトの世界… サイトが日本に戻れないように、私もハルケギニアには戻れないかもしれない。 もう2度と皆には会えないのかもしれない。 昨日、キョンは心配するなと言ってくれた。 でも…どうしようもできなかったら… このままキョンは部屋に戻ってきてくれなかったら… 私は一人ぼっちになって… そんなことを考えるだけで胸が苦しくなっていた。 涙が止まらなかった。 だけど、今目の前にキョンが帰ってきてくれて、心がすっと軽くなる。 あぁ…自分は1人じゃなかったんだ… 「ルイズ悪かったな」 本当に申し訳なさそうにしているキョンを見て、 「ふん、どこ行ってたのよ。ちゃんと何時に帰ってくるか書いときなさいよね」 なんて強がって見せた。 たぶん、この時は強がりながらも顔は笑ってたんだと思う。 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 23:45:34.93 ID:S/G96N6V0 「悪かったよ」 頭をなでてくるキョン。 顔が熱くなるのがわかり、下を向く。 「明日も…行くの…?」 「あぁ」 胸がキュッとなる。できればそばにいて欲しい。 「は、早く帰ってくるのよ。 お昼ごはん抜きで私はおなかぺこぺこなんだから」 本当はこんなこと言いたいんじゃなかった。 別におなかが空くぐらいどうってことない。 ただあなたにそばにいてほしいだけ。 「そうだったのか?じゃあ、明日は昼飯も用意しておくから」 ほら、キョンもわけわからないこと言ってる。 でも、女の子がそう言ったら察しがつくわよね… 鈍感さはサイト以上ね… 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/03(金) 23:53:53.16 ID:S/G96N6V0 prrrrrrr!prrrrrrr! キョンの「けいたい」が鳴る。 「ん、古泉か…」 こっちを見るキョン。 「出たら?」 何を遠慮してるんだろう。 「もしもし」 「あぁ」 「今一緒にいるよ」 「なんだって?機関はそれで大丈夫なのか?」 「分かった。やっぱり長門に頼むしかないか…」 「あぁ、じゃあまた明日な」 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/04(土) 00:06:29.20 ID:4w+XOSfZ0 電話を机の上に置くキョン 「イツキ、なんだって?」 「改変されてしまった世界を元に戻すのは不可能だそうだ。  ハルヒに前の世界をイメージさせればできなくもないらしいが、  それが以前と全く同じになる保障はないから機関はやりたがらない。  だから、ルイズを元の世界に戻すには直接転送するしかないんだとよ」 前段部分の「改変」っていうのは何を言ってるのかうまく話が飲み込めなかった。 だが後半はわかった。 「じゃあ、まだ元の世界に戻れるか分からないってことね」 「…そうなるな。すまん」 キョンが謝ることじゃないのに… 「大丈夫、なんとかするよ。まぁなんとかするのは俺じゃないけどな。  俺はただルイズと話すだけさ。ははは」 また頭を撫でてくる。 恥ずかしい…。 キョンの背中に手をまわし、キュッと服を掴んだ。 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/04(土) 00:16:58.37 ID:4w+XOSfZ0 さて、ただいま深夜3時であり、明日というか今日は火曜日。 早く寝なきゃいかんとは思いつつも全く眠れん。 なぜかというと、横にとてつもない美少女が寝ているからだ。 昨日と同じようなことを言ってるかと思うが、今日は状況が少し違う。 さっき寝る前に、ルイズの頭を撫でていたら、背中に手を回せれた。 それ以来鼓動が高鳴りっぱなしで、興奮しっぱなしだ。 ルイズの泣き顔はとても切なくて、笑顔は太陽の様に眩しい。 朝比奈さんにもこんなにときめいたことはあっただろうか。 ドキドキが納まらない。 ルイズを抱きしめたくなる衝動に駆られる。 まだ会って3日と言うのにどうしちまったんだ俺は。 体を起こしルイズの方を見る。相変わらず可愛い寝顔だ。 手を伸ばし頭を撫でてやると鼓動が納まっていく。 「おやすみ、ルイズ」 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/04(土) 00:26:05.44 ID:4w+XOSfZ0 今日も朝ごはんをルイズの為に残しておく。 おっと、昼食も忘れないようにな。 学校はいつも通りすごし、 団活でもいつも通り暇を持て余してるだけだった。 まさか、ハルヒの読書で世界を改変しちまうとはねぇ。 古泉の話によれば、もともと、1年生の5月の段階で異世界人は呼ばれる予定だったらしい。 だが、ハルヒの頭の中で具体的な異世界人のイメージがなかったから、 今まで呼ばれていなかっただけで、条件さえそろえばいつ現れてもおかしくなかった様だ。 なんともまぁ、いいかげんだな。 しかし、そのおかげでルイズに会えたと思うと俺も嬉しかった。 団活終了後、俺は真っ先に家に帰らず、長門と一緒に帰る。 ハルヒの力で改変しないと決まったからには、長門の力を頼るしかない。 いつもお願いしてばかりで申し訳ない…すまん長門。 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/04(土) 00:38:20.04 ID:4w+XOSfZ0 「古泉の話によると、機関はハルヒの能力は使う予定はないらしい」 「涼宮ハルヒの力を使わないのは賛成する。  情報統合思念体も大きな情報爆発は避けるべきと判断」 「それで、ルイズのことなんだが、元の世界に戻れそうか?」 「今やってる途中。全ての異次元パターンを洗い出し、  その中から彼女の次元断層を特定することができれば可能」 「それってどれくらいあるんだ」 「約1穣のパターンが存在する」 「っていうと?」 「10000の7乗」 「聞き方を変えよう。長門ならどれくらいで特定することができる?」 「1週間から1か月」 「ありがたい。頼む」 深々と頭を下げた。長門にはいつもお世話になりっぱなしだ。 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/04(土) 00:46:14.31 ID:4w+XOSfZ0 長門の話によると、俺たちの世界を救うだけなら異世界人を消滅させるだけでいいらしい。 何でも他の次元とは本来ならば干渉することはないから、ということらしい。 つまり他の異次元がどうなろうとこっちの次元には関係ないってこった。 しかし、そんなものは俺が絶対認めない。 それは長門も承知の上で、 長門も古泉もルイズをハルケギニアに返すのには賛成してくれた。 俺はありがたい仲間を持ったとつくづく思う。 そして俺は、ルイズに会うために急いで家に向かった。 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/04(土) 01:02:54.95 ID:4w+XOSfZ0 今日で私が日本に来てから5日になる。 キョンが学校に行っている間は私はキョンの家でお留守番。 と言ってもすごく暇でいつも考え事してばかり。 嫌なことを思い出して泣いてしまう時もあるけど、 今はキョンのおかげで随分楽になった。 「明日は土曜日だから…さ、」 「土曜日ってどういう日よ?」 「学校が休みなんだ。いつも家に籠ってばかりじゃ疲れるだろ?  明日は遊びに行こう」 それを聞いたらすごく嬉しくなった。 キョンが学校に行かないってことは1日中一緒にいられる。 「それに、帰る前に、サイトの世界を見ていくといい」 そっか…私、もうすぐ帰れるんだ… でも、そうするとキョンとは…もう… 複雑な気持ちになる。 私は帰ってサイトに会いたい。 その心に偽りはない。 …でも、この気持ちは何? 84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/04(土) 01:10:46.81 ID:4w+XOSfZ0 「さて、どこに行こうか?」 「私は何にもしらないんだからキョンが案内してよね」 「そ、そうだな。じゃあ遊園地でも行くか」 そう言って自転車という人力車に2人で乗る。 そして、駅というところに行き電車というものに乗る。 「ねぇ、前から思ってたんだけど、  車とか電車って何で動いてるの?魔力?」 「ははは、こっちの世界には魔力はない。  全部ガソリンや電気さ」 ガソリン?前サイトが竜を召喚した時に言ってたような? 「ふ〜ん、キョンは物知りね」 「こんな知識で褒められたのは初めてだな」 キョンが照れているのがわかる。 2人で話しているととても楽しい。 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/04(土) 01:24:22.50 ID:4w+XOSfZ0 「ふぅ、もうこんな時間か…そろそろ帰ろうか?」 日も暮れてきたが、私はまだ遊びたりなかった。 ここにあるものはどれも刺激的で面白い。 ちょっと怖いのもあるけど、それはそれでいいの。 でも、遊び足りないというより、もう少し一緒にいたい。 「もうちょっと…」 「あぁ、じゃあ次は観覧車にでも乗るか?  あんまり子供っぽいんで乗りたくなかったんだが」 「観覧車?」 キョンに案内されてついて行く。 遊園地で一番高い乗り物だ。 それに乗り込み、キョンと向かいあって座る。 ゆっくり上昇し、景色が広がっていく。 辺りは電気という明かりで照らされてとてもきれい。 「なぁ、ルイズ今日はどうだった?」 「え?」 景色に見とれていた私はびっくりした。 90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/04(土) 01:32:21.60 ID:4w+XOSfZ0 「いや、今日はどうだったかなって…」 楽しかった。 今まで味わったことのない貴重な体験を味わえて本当によかった。 それにあなたと一緒だったから… うん…楽しかった… 楽しかったんだけど… …涙が頬を伝った、顔が熱い。 「ひくっ、ひく…私…どうすればいいの…?」 「どうするも何も、帰るんだろ?」 いつの間にか隣に来て優しく頭を撫でてくれるキョン。 彼はひたすら頭を撫でてくれていて、 私は彼に寄りかかり、泣いていた。 92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/04(土) 01:47:01.65 ID:4w+XOSfZ0 泣きじゃくるルイズを慰め、観覧車を後にする。 俺が差しのべた手を取ってくれて、今はつないだままだ。 ルイズは帰るのが寂しいのか? 本心は帰りたいと思ってるはずだ、だが邪魔してるのは俺だ。 俺はルイズの事を思っているようで、何も考えちゃいなかったのかな… 深々と自分のアホさにあきれてくる。 俺はいつも大事なところでへまをするんだ。 「キョン、大丈夫?」 心配そうに見つめるルイズ。 「あぁ大丈夫だよ」 もう迷わせないよ。済まなかったなルイズ。 そう決心し、家へ向かう。 しかし、そのすぐ後、久々に命のやり取りをすることになる。 恋愛で浮かれて、勘が鈍ったか。 思い出した、自分の状況を。世界崩壊は俺の手にかかっている。 そう気づいてからでは遅かった。 気づいた時には、周りの景色は、昔、教室の中で殺されかけた時のような 不思議な空間へと姿を変えた。 93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/04(土) 01:54:06.17 ID:4w+XOSfZ0 「え?これは何?」 ルイズが混乱している。無理もない。俺も初めての時は混乱した。 「閉鎖空間か…」 そこに姿を現したのは、予想外にも今まで見たこともない女だった。 「なんだ、てっきり知り合いが来ると思ったけどな」 「あら?余裕ね?今回は長門さんは助けにこないわよ。  来れたとしても1時間後くらいかしら?ふふふ」 まずいな。俺一人じゃなんともならん。 長門並の能力を持つであろうこの女に適うわけがない。 「目的はなんだ?」 「今回はあなたじゃないわ。私は急進派じゃないもの。  むしろ逆。穏便にことを収めたいと思ってるの。  だってそこの異世界人、早急に始末しないとまずいでしょ。  どっかの誰かが次元を繋げようとしちゃってるし…  それは世界にとってもリスクは高いの」 やっぱりルイズが狙いか。 96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/04(土) 02:02:26.51 ID:4w+XOSfZ0 「あなたには用はないの」 歩いて近づいてくる女は前に出た俺を抜かそうとする。 「待て」 女の腕をつかむ。 ルイズは殺させない。 「邪魔よ、残念だけどあなたは殺せないの」 女のけりが繰り出され、当然避けることもできない俺の横腹に直撃し、 俺は吹っ飛ばされる。 「キョン」 ルイズが叫ぶのが聞こえる。 あぁいってぇ。 女がルイズを捕まえようとするので、 俺は女を後ろから殴ろうする。 が、俺は裏券らしきものをくらってしまう。 しかし、あきらめることはできず、がむしゃらにすがりつく。 女の意識が俺の方に来てくれればそれでいい。 ルイズが何か言ってるが聞こえない。 俺は腹を何度もけられ、気絶しそうになる。 女の背中にルイズの姿が見える… 「ル…イズ…?」 99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/04(土) 02:07:16.28 ID:4w+XOSfZ0 ルイズから白い光が見える。 何か喋っているのか?全然聞き取れない… その瞬間ルイズから放たれる光は広がり、空を割った。 今まで居た空間は嘘のようになくなり、外の景色が広がる。 女はうずくまり息絶えそうだ… 今のはルイズがやったのか… 魔法…本当に使えたんだな… あぁ、体中が痛い… 薄れ行く意識の中、ルイズの泣き顔だけが映っていた。 101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/04(土) 02:16:20.47 ID:4w+XOSfZ0 「キョン!キョン!ひっくっ」 あぁ、どうしよう、このままじゃこままじゃキョンが… 「ねぇ!ひく!キョン目を開けて!」 お願い、神様…キョンを…助けて… 私は戻れなくなってもいいから… 私の祈りが通じたのかはわからないが、 いつの間にか、私のすぐ隣にユキの姿があった。 「情報を再構築する」 そう言いながら呪文を唱え、手のひらをキョンに当てる。 するとみるみるうちに傷が治っていく。 くどいようだけど、これってやっぱり魔法よね? 「ん…はっ…ルイズ!!」 キョンの目が覚めた。 「キョン!」 私は思いっきりキョンに抱きついた。 嬉しくて嬉しくてたくさん泣いた。 102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/04(土) 02:24:34.36 ID:4w+XOSfZ0 ユキはいつの間にか、いなくなっていて、キョンと2人で帰ることになった。 彼女は本当、キョンやサイトと違って空気が読めるわね。 「なぁ、大丈夫か?」 「私は全然平気よ!…ちょっと疲れちゃってるけどね」 ニコっと笑って返事する。 虚無を使った後は体中がだるい。 「魔法、使えたんだな」 キョンは魔法の使えない普通の人間だった。 ハルケギニアでは高等な魔法が使えるほど誇っていいものだが、彼の前ではどうなのだろう。 「嫌いになった?」 「馬鹿野郎、俺はお前が宇宙人だろうと未来人だろうと、神様だろうと嫌いになるもんか」 言ってる意味がよくわからなかったが気持ちはよく伝わった。 「ありがとう。ねぇ、キョン」 「何だ?」 「…好きよ」 その後真っ赤に照れた彼の顔は一生忘れることはないだろう。 たぶん、私も今顔真っ赤。 106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/04(土) 02:35:08.26 ID:4w+XOSfZ0 そしてそれから2週間後、ユキから連絡が入り、私はいつでも帰れるようになった。 この2週間は、今までで一番私を悩ませた。 帰りたいのと残りたいの葛藤で、憂鬱な日々を過ごしていた。 「やっぱり帰るのか?」 心配そうに尋ねるキョン。 私の心は悩んだ挙句、今は決まっている。 「うん。帰るわ」 凛とした態度で言う。ここで泣き顔を見せるわけにはいかない。 「あぁ、俺もその方がいいと思う」 キョンも笑顔で答える。でも無理してるのがバレバレ。 でもそこが彼の優しいところ。 108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/04(土) 02:37:26.05 ID:4w+XOSfZ0 別れの挨拶はそう長くは続かなかった。 私達には思い出の20日間があるから。 「情報の連結完了。5分後に閉鎖する」 ユキが言う。彼女には本当にお世話になりっぱなし。 本当にしつこいようだけど彼女は魔法使いなのよね? 「ユキも、ありがとう。今度こっちの世界に来たら友達紹介するわ」 コクッと頷くだけのユキ。 最後にこれだけ言っとかないとね。 「キョン、今までありがとう!」 今までで一番の笑顔でそう言った。 111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/04(土) 02:44:22.52 ID:4w+XOSfZ0 長い落下を経て、到着した先は私の部屋。 「ふぅ…戻ってきたのね…懐かしいな…」 「おい、消えちまったんでびっくりしたぜ。助かったみたいだな」 ガラクタの剣が喋ってくる。あんた、まだいたの? 「長い間空けて悪かったわね」 素直に思ったことを言った。 「おいおい、5分も出てねぇだろ?どうしちまったんだ?」 ん?5分? そう言えばユキが…「次元空間によって時間軸のとらえ方異なる」 みたいなことを言ってたわね。こういう意味だったの。 「べ、別になんでもないわよ、さぁ寝るわよ!」 「ただいま、サイト」 112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/04(土) 02:56:52.45 ID:4w+XOSfZ0 さて、先生に頼まれた薬品を用意しなくちゃな… ん?サイト、またあんなところで油売って… 「シエスタ〜」 「やぁんダメですよサイトさん…あ・と・で」 …あの、エロ犬!!!万年発情期か!? 私に気づくサイト 「まずい、ルイズだ!」 逃げていくシエスタ 「すまん、ルイズ、悪かった」 条件反射的に謝るサイト。 「こ、今回だけは許してあげるわ!つ、次はないんだからね!」 べ、別にやましいことがあるとか… そんなんじゃなくて…ゴニョゴニョ     お         し          ま          い 114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/04(土) 03:01:43.62 ID:4w+XOSfZ0 「ところで、感傷に浸ってるところ申し訳ないんですが」 「なんだ古泉?」 「次の異世界人はどうしましょう?」 「なに?まだいるのか?」 「え?当然知ってるものだとばかり…  涼宮さんの読んだ本は現在30種類を超えてますよ」 「あと84人と5匹」 「ま、マジかよ…」 こんなことならルイズは最後にしとけばよかった…     お         し          ま          い       2   116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/04(土) 03:17:15.80 ID:4w+XOSfZ0 みなさん、支援と保守ありがとうございました。 伏線はすべて回収できたと思う。 他の異次元キャラ →落ちに使う(これは元々そうするつもりだった) 長門の言っていた「無理に転送しなくても消滅させてもいい」 →穏便派の宇宙人 古泉の言っていた「次元を超越するほどの、ハルヒに匹敵する力」 →閉鎖空間を破壊するほどの虚無の威力