キョン「ハルヒには一切、女性的魅力を感じないだが?」 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 09:08:46.46 ID:GIrcGUYhP プルルルル――プッ 古泉「はい、もしもし」 キョン「よう。こんな時間に悪いな」 古泉「いえ、お気になさらずに。あなたが僕に電話をしてくるなんて珍しいですね」 キョン「ん、そういえば初めてかもしれんな」 古泉「それほど重要な用件があるという事なのでしょうか」 キョン「重要と言うか、その……なんだ。こんな事をお前に言っても困るだけなんだろうけど」 古泉「どうしたんですか? 僕に遠慮するなんてあなたらしくない」 キョン「古泉、実は俺……ハルヒには一切、女性的魅力を感じないんだが?」 古泉「……」 キョン「……まあ、そうなるよな」 古泉「す、すみません! 今からどこかでお話出来ませんか? お願いします!」 キョン「んー……顔を合わせてると話しにくい気もするんだが」 古泉「そこを何とか!」 キョン「……解った。で、どこにする?」 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 09:15:43.19 ID:GIrcGUYhP ――ファミレスにて 古泉「本気で心臓が止まるかと思いましたよ」 キョン「安心しろ。心臓が止まったら、もう心臓が止まる様な思いをする事もない」 古泉「……あの、さっきの電話でのお話ですが」 キョン「先に言っておくが、今日は4月1日じゃないし罰ゲームとかでもない。さっきの俺の発言はただの本音だ」 古泉「嘘であって欲しかったですよ……本当にね」 キョン「お、おい。お前が振られた訳じゃないんだ、そんなに落ち込むなって」 古泉「ある意味それ以上にショックです。しかしどうしてなんですか?」 キョン「どうしてって」 古泉「僕には、あなたが涼宮さんに好意を抱いている様に見えていました。正直に言えば今だってそうだと信じています」 キョン「……」 古泉「涼宮さんは確かに、他の同年代の女性とは性格的に考えて変わっている所はあります。ですがそんな彼女を、いつもあなたは優しく見守っていたじゃないですか」 キョン「まあ、そうかもな」 古泉「でしょう?」 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 09:33:08.04 ID:GIrcGUYhP 古泉「……率直にお聞きします」 キョン「何だ、怖い顔をして」 古泉「他の女性が好きになったんですか?」 キョン「率直にも程がある」 古泉「答えてください」 キョン「俺が何故、お前にそんな事を言わなければならんのか解らんが……まあいいか。ノーだ」 古泉「え?」 キョン「聞こえなかったか? そんな奴は居ない」 古泉「で、ではまさか……他に好きな男性が?」 キョン「メローイエローかけるぞ」 古泉「冗談です。……というより、ほっとしました」 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 09:46:20.78 ID:GIrcGUYhP キョン「安心しろ、俺にそんな特異な趣味はない。普通に朝比奈さんみたいな可愛い女の子が好きなただの男子高生だ」 古泉「でもそれならば何故……」 キョン「なあ古泉、これは自惚れだと解ってはいるんだが……」 古泉「何でしょうか」 キョン「以前からお前が言ってたようにだ、俺にも……その、なんだ。ハルヒは俺の事を好きなんじゃないか? って思う事はある」 古泉「……それを知った上で、涼宮さんの事を」 キョン「ああ。女性的魅力は感じていない」 キョン「これは誤解させない為に言うんだが、ハルヒが美人じゃないって思ってるんじゃないぞ?」 古泉「……」 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 09:58:17.48 ID:GIrcGUYhP キョン「そりゃあ街を歩けば10人中9人は振り返るような顔をしてるし、スタイルだってその辺の雑誌の表紙を飾ってたっておかしくないレベルだと思うさ」 キョン「服のセンスだっていいし、あの性格さえなければ朝比奈さんみたいに非公認ファンクラブくらい出来るかもしれん」 古泉「……あなたの言った言葉の意味が解らなくなりました」 古泉「あなたは涼宮さんの容姿について、僕と同じ様な意見を持っています。しかし、彼女には女性的魅力を感じないと言う」 キョン「ああ」 古泉「それって矛盾していませんか?」 キョン「……古泉。前に一度、俺とハルヒの二人だけが妙な世界に閉じ込められた時があったのを覚えてるか」 古泉「ええ、もちろん。あなたのおかげでこの世界は消滅の危機を免れましたんですから、忘れるはずがありませんよ」 キョン「あの時、俺は朝比奈さんや長門からヒントをもらってハルヒに……その、キスをしたんだが」 古泉「……」 キョン「そこで気づいちまったんだよ」 古泉「え?」 キョン「俺、あいつの事を妹みたいにしか思ってないって」 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 10:13:06.01 ID:GIrcGUYhP ――SОS団、部室 授業時間内 古泉「――と、いう話を昨日彼から聞かされまして」 みくる「そ、それって本当の話なんですか?!」 長門「……」 古泉「ええ、残念ながら。言われてみれば確かに、彼の涼宮さんを見る目は異性というより……もっと親しい物だったように思います」 古泉「機関としても今後の対策を練っている最中なのですが、正直答えは出そうにありません」 古泉「そこでお二人にも何か知恵をお借り出来ないかと思ったんですが」 みくる「解りました。非常事態という事で、すぐに未来へ確認を取ってみますね」 古泉「すみません、よろしくお願いします」 古泉「あの、長門さんの方はどうでしょうか?」 長門「……情報統合思念体は貴方のもたらした情報に対して、特に問題は無いと感じている」 古泉「え?」 みくる「そ、そうなんですか? ――あ、嘘!。わたしの方も同じで……特に何もしなくていいから、このまま観察を続けなさいって言われました」 古泉「……それは、つまり。涼宮さんと彼が恋人になる事は、この世界における規定事項だったのでは……」 長門「ない」 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 10:30:23.15 ID:GIrcGUYhP ――SОS団、部室 放課後 コンコン みくる「は〜い」――ガチャ キョン「どうも」 古泉「おや、今日は涼宮さんとご一緒ではないのですね」 キョン「ああ。あいつもそろそろ来ると思うぞ」 長門「……(彼は、涼宮ハルヒと恋人になる必要はない)」 キョン「ん、どうかしたか? 長門」 長門「しない(つまり、彼はフリー)」 キョン「そっか」 キョン(それにして凝視されてる気がするんだが……まあ長門の事だ、何かあるなら言ってくれるだろ) 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 10:39:42.73 ID:GIrcGUYhP みくる「はい、どうぞ」コトッ キョン「ありがとうございます」 みくる「それと、これもよかったら。購買部で買った物なんだけど……」コトッ キョン「あ、御茶菓子ですか。ありがとうございます」 みくる「……あの、キョンくんって甘い物って苦手ですか?」 キョン「いえ? 好きですけど」 みくる「そっかぁ……あ、何でもないんです。何でも」 キョン「はあ」 みくる(クッキーとか焼いたら……食べてくれるかなぁ) 長門「……」 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 10:54:20.80 ID:GIrcGUYhP ハルヒ「おっまたせー! あ、キョンあんた何一人だけ美味しそうなお菓子食べてんのよ」 キョン「これの事か? これはさっき朝比奈さんがくれた御茶菓子だ」 ハルヒ「……ふ〜ん。みくるちゃんがあんた一人だけにねぇ……」 みくる「あ、あの。えっとそれはその」 キョン「すみません朝比奈さん。あそこの五月蠅いのも空腹みたいなんで、何か食べる物を恵んでやってくれませんか?」 ハルヒ「なぁんですってー!」 みくる「あ、あの涼宮さん。どれでもお好きなのを」 ハルヒ「え、いいの? じゃあこれとこれとそれと――」 キョン「安い奴だな」 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 11:01:58.91 ID:GIrcGUYhP 古泉「どうやら、昨日の話は本当の様ですね」 キョン「ん、ああ。お前に謝るのもどうかと思うが……すまん」 古泉「僕はあくまで第三者ですから気になさらなくて構いません。ですが、涼宮さんは……」 キョン「まあ……もしも、はっきりさせなくちゃいけなくなった時は……はっきり言うさ」 古泉「そうですか」 キョン「すまん、また迷惑をかけるかもしれん。というか、かける事になるんだろ?」 古泉「いえ、僕個人としてはあなたに無理を続けてもらう事の方が辛いですからね。機関としての僕は気にしないでください」 キョン「機関としてのお前もお前だ。……もし、そうなった時はあれだ。ラーメンでも奢ってやるよ」 古泉「ふふっ、覚えておきます」 キョン「変な声で笑うな」 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 11:17:26.05 ID:GIrcGUYhP ハルヒ「ちょっとそこの二人! ……何をこっそり親しげに話してるのよ?」 キョン「男同士がこっそり話す話題っていったら……なあ、古泉」 古泉「えっ?」 キョン(いいから頷いておけって) 古泉(はぁ……) ハルヒ「な、何よ……どんな話題なのか言ってみなさい」 キョン「俺の口からはちょっとなぁ……お前はともかく、朝比奈さんや長門もここには居るわけだし」 ハルヒ「いいから言いなさい!」 キョン「断固断る。……まあどうしても聞きたいって言うんなら、ここまで来て耳を貸せ」 ハルヒ「え……。しょ、しょうがないわね。――ほら、これでいい?」 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 11:22:59.90 ID:GIrcGUYhP キョン「ああ、じゃあ教えてやるよ。……実はな、さっき俺と古泉は――」 ハルヒ「う、うん」 キョン フッ ハルヒ「ぃひにゃぁっ!!」 キョン「……今時こんな手にひっかかる奴が居たとは驚きだ。――ってちょっと待てハルヒ! いっ椅子はまずい、椅子は! せめて鞄にしろ!」 ハルヒ「こ、このバカキョン!」 キョン「待て! 話せば解る! な? っていうかお前、顔真っ赤だぞ?」 ハルヒ「う、うるさいっ! 逃げるなこのバカァ!」 キョン「危ねっ?! 逃げるに決まってるだろうが!」 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 11:36:47.74 ID:GIrcGUYhP みくる「あ、涼宮さん。おかえりなさい」 ハルヒ「はぁ……はぁ……あのバカ、逃げ足だけは無駄に早いんだから」 長門「……」パタン ハルヒ「え、もうそんな時間? じゃあ今日はこれで解散ね」 みくる「は〜い」 ハルヒ「――じゃあみんな忘れ物はない? 鍵かけるわよー」 古泉「涼宮さん。まだ部室の中に彼の鞄が残っていますが」 ハルヒ「廊下に出しておけば持って帰るでしょ」 みくる「それはちょっと可哀想だと……」 ハルヒ「いいのよ。あの馬鹿にはちょうどいいわ」 古泉「まあ学校内ですから何も無いとは思いますが……念の為、彼が戻るまで僕が残りましょうか?」 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 11:47:09.65 ID:GIrcGUYhP ハルヒ「え? ……あ、それは古泉君に悪いし……。し、仕方ないからあたしが」スッ 長門「残ってる」 ハルヒ「ゆ、有希?」 みくる(あ……長門さん、もしかして) 長門「もう少し、本の続きが読みたかったから」 ハルヒ「あ、そっそうなの。でもあいつ、いつ戻ってくるか解らないし……」 長門「それに、あなたが部室に居る間は彼は部室に戻らないかもしれない」 古泉「なるほど、それはあるかもしれませんね」 ハルヒ「う……じゃ、じゃあ。お願いするわ」 長門「了解した」 みくる「……」 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 11:51:58.05 ID:GIrcGUYhP キョン「――お、良かった長門だけか」 長門「そう」 キョン「ったくハルヒの奴、パイプ椅子を持ってて何であんなに足が速いんだ? ……って、長門」 長門「何」 キョン「お前しか居ないって事は、もしかして俺のせいで残っててくれたのか?」 長門「そう」 キョン「悪い、迷惑かけちまったな」 長門「いい」 キョン「さて……じゃあ俺は帰るけど」 長門「わたしも帰る」パタン キョン「そうかい。じゃあ途中まで一緒に行くか」 長門「行く」 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 13:41:46.84 ID:GIrcGUYhP ――下校中 キョン「やれやれ……今日はやけに疲れたぜ」 長門「……」 キョン「まあ、さっきのあれは自業自得なんだけどな」 長門「……」 キョン「にしたってハルヒの奴、耳に息を吹きかけたくらいであんなに怒る事はないだろ」 長門「……」コクッ キョン「……すまん、何か喋り過ぎてるな。俺」 長門「いい」 キョン「なあ、長門。……違ったら気にしないで欲しいんだが……古泉から、俺とハルヒの事で何か聞いてたり……」 長門「……聞いてる」 84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 13:55:03.26 ID:GIrcGUYhP キョン「そっか、ちなみにどこまで聞いてるんだ?」 長門「あなたが涼宮ハルヒに対して、女性的な魅力を感じていないという所まで」 キョン「じゃあ全部だな。……これって、お前の上司というか上の奴からしたら困る事なのか?」 長門「困らない」 キョン「それならいいんだけどな」 長門(わたしも困らない) キョン「俺さ……ハルヒの事は普通に可愛いと思うし、好きだって気持ちも正直あるんだ」 長門「!」 キョン「でも、男として好きなのかって言われると違ってて……」 キョン「それを言わないってのは……俺、ハルヒに対して悪い事してるのかな……ってすまん、何か今日の俺変だな」 長門「……いい」 85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 14:06:35.49 ID:GIrcGUYhP キョン「お、いつの間にか駅前まで来てたか」 キョン「じゃあまたな、今日は話を聞いてくれてありがとよ」 長門「……あなたが涼宮ハルヒと共にこの世界から消えた時」 キョン「え?」 長門「パソコンでチャットとした時の事、覚えてる」 キョン「あ……そっか。すまん、あの時はちゃんと覚えてたんだが」 長門「……」 キョン「また図書館に、だろ?」 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 14:22:23.07 ID:GIrcGUYhP 長門(違う) 長門(わたしが覚えていて欲しかったのは、その事じゃない) 長門(わたしという個体もあなた「には」戻ってきて欲しいと感じている。あの時、わたしはあなたにそう伝えた) 長門(……でもいい。今はそれでもいい) キョン「すいぶん遅くなっちまったけど、今度の週末にでも行くか?」 長門「……もし、よければ」 キョン「嫌だったら誘わねえよ。じゃあ今週の市内散策では図書館に行くように、ハルヒに頼んでみるからな」 長門「……」 キョン「長門?」 長門「……何でもない(彼にとって、わたしはどんな存在なのだろう)」 88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 14:38:54.78 ID:GIrcGUYhP ――週末、駅前にて ハルヒ「遅い! 罰金!」 キョン「悪いなハルヒ。俺は今来たんじゃなくて、お前が遅いからバスの時間を確認してきた所なんだよ」 ハルヒ「う、嘘!? みくるちゃん、キョンが言ってる事って」 みくる「はい。本当ですよ」 ハルヒ「有希、本当?」 長門「本当」 ハルヒ「こ、古泉君」 古泉「今日は彼が一番だった様ですね」 キョン「さてハルヒ、お前に課せられた罰金についてだが」 ハルヒ「さ、今日の行先は図書館だったわよね。無料の施設で助かったわ〜」 キョン「図書館までの移動にはバス賃という物が必要であってだな」 ハルヒ「何の為の直立二足歩行よ! 歩く為に足があるのに歩かない理由があるなら言ってみなさい!」 キョン「よし、ちょうどバスが来たな。2つ先のバス停で降りるから前の方に座ろうぜ」 ハルヒ「あ、こら! あたしを置いていくな!」 91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 15:04:20.86 ID:GIrcGUYhP ――市立図書館 ハルヒ「で? キョン、ここにどんな不思議があるの」 キョン「さあ」 ハルヒ「さあって……じゃあ何でここに連れて来たのよ? 週末に図書館に行きたいって言い出したのはあんたじゃない」 長門「……」 キョン「たまには図書館もいいかと思ってな」 ハルヒ「はぁ?!」 キョン(……古泉や長門に打ち明けたせいなのか知らんが、今日は気が楽だな) キョン「ある意味、俺が読書をしたいなんて言い出した事が不思議だろ」 ハルヒ「それはそうだけど。……まあいいわ、あたしも読みたい本があった所だし」 ハルヒ「じゃあ12時にここで集合しましょう。何かあったら携帯で連絡すること、もちろんマナーモードでね」 キョン「お、一つ常識を学んだな。偉い偉い」 ハルヒ「キョン、あんた今何か言った?」 キョン「別に」 95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 15:22:31.59 ID:GIrcGUYhP ハルヒ「で、あんたはエッチな小説目当てって訳ね……」 キョン「人聞きの悪い事を言うな。っていうかハルヒ、俺が読んでるこの本知ってるのか?」 ハルヒ「シドニィ・シェルダンのゲームの達人でしょ? 中学の時に読んだわよ」 キョン「そうかい」パラッ ハルヒ「……今、終盤ね」 キョン「ああ。前に途中まで読んでて気になってたんだ」 ハルヒ「(ふ〜ん、これは仕返しのチャ〜ンス)キョン、その事件の犯人はね〜ロッフ家の」 キョン「言うなっ!」 ハルヒ「もぐっうぐううぅ」 キョン「ハルヒ、世の中には言っていい事と悪い事があってだな」 ハルヒ(ちょ、ちょっと! 唇の間にキョンの指が……) キョン「推理小説を読んでる奴の横で犯人の名前をネタバレするってのは、極めて悪質な犯行だ」 ハルヒ(これって……結構エッチなんだけど……) キョン「お前も本を読んだ事があるならそれくらいの事は……って、おいハルヒ。聞いてるか?」 96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 15:37:37.92 ID:GIrcGUYhP ハルヒ「え? ……うん(指、離れちゃった)」 キョン「まあ解ってくれればそれでいいんだ」パラッ ハルヒ「……面白い?」 キョン「それはもう」 キョン「……ハルヒ、もしかして図書館は退屈なのか?」 ハルヒ「え? ううん、そうでもないかも(どきどきしちゃったし)」 キョン「本を読んでもないのに?」 ハルヒ「ぐ、それは……えっと、ほら。人間観察とか」 キョン「渋い趣味だな」 ハルヒ「結構面白いのよ? 例えばほら、向こうに座ってる有希とか」 キョン「……手以外は一ミリも動きそうにない観察対象だな」 ハルヒ「それもそうね……じゃああんたにするわ」 キョン「好きにしろよ」 ハルヒ「うん!」 キョン(……おい、何でハルヒはこんなに笑顔なんだ? 俺の顔ってそんなに面白いのか?) 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 16:01:03.36 ID:GIrcGUYhP みくる「――なるほど」メモメモ 古泉「おや、料理の本ですか」 みくる「あ、はい。今度お菓子を作ってみようかなって」 みくる「……あの、古泉君」 古泉「なんでしょう?」 みくる「キョンくんって、どんなお菓子が好きかって知ってますか?」 古泉「お菓子、ですか」 みくる「はい」 古泉「以前バレンタインにチョコを差し上げた時は、ミルクよりもビターの方が好きだと言ってましたね」 みくる「え……えええっ?! ここ、古泉君がキョンくんにチョコをあげたんですか?」 古泉「あの、何か誤解されてるみたいですが……バレンタインの時、僕が貰ったチョコをいくつか差し上げただけですよ?」 古泉「僕はチョコが苦手なので、義理と解る物のいくつかを食べてもらったんです」 みくる「そ、そうですよね。……ふぅ、驚きました」 古泉(そこまで驚かれるのも複雑ですね) 103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 16:10:39.61 ID:GIrcGUYhP ――12時 図書館ロビー ハルヒ「みんな揃ったわね、じゃあ行くわよ〜」 みくる「は〜い」 キョン「ハルヒの奴、妙にハイテンションだな」 長門「……(読書に夢中になり過ぎて、一言も会話出来なかった)」 キョン「どうした、長門。名残惜しそうだな」 長門「少し」 キョン「そっか」 キョン(読みたいと思ってた本が無かったんだろうか) 長門「でもいい、また一緒に来れて良かった」 104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 16:25:07.68 ID:GIrcGUYhP キョン(まあ、長門に思ってる事は何でも素直に言えって方が無茶だよな) キョン「……長門。俺も読みたい本がいくつか見つかったんだが、経験からして借りて帰っても結局読まない事が多いんだ」 キョン「それで、だ。お前がもし迷惑でないなら、今度また一緒に図書館に来ないか?」 長門「……本当」 キョン「ああ」 長門「そう」 長門「楽しみにしてる」 長門(とても) 106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 16:39:44.91 ID:GIrcGUYhP ――ファーストフード ハルヒ「午後の組み分けは……えっと」 みくる「印無しです」 長門「わたしも」 古泉「これは、もしかして初めての組合わせかもしれませんね」 キョン「俺と古泉か。確かに記憶に無いな」 ハルヒ「……そうよね。5人なんだから、こんな組み合わせになる可能性も確かにあるわ」 キョン「よし、じゃあ行くか」 古泉「はい」 ハルヒ「ちょ、ちょっとキョン。ちゃんと探索してきなさいよ? いい、マジデートじゃないんだからね?」 キョン「今回ばかりは当たり前だ」 みくる「……」 古泉(朝比奈さんの視線が辛いです) 107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 16:53:16.69 ID:GIrcGUYhP ――いつもの公園 キョン「さて……どうやって時間を潰すかな」 古泉「いいんですか? 何も探さなくて」 キョン「こんなどこにでもある公園……って訳でもないが、そう簡単に不思議な物があってたまるか」 古泉「まあ、確かに」 キョン「古泉、お前はこれまでの市内探索はどうやって過ごしてきたんだ?」 古泉「と、仰いますと」 キョン「お前はハルヒと組になる事が多かったから、いったいどんな目にあわされてきたのかって思ってな」 古泉「特に変わった事はしていないと思いますね。服やアクセサリーのお店に行ったり、ペットショップでのんびりしたりと」 キョン「あいつもまるで探してねーじゃねーかっ!」 古泉「……まあ、そうとも言えますね」 キョン「ったく、あいつは何がしたくて毎週毎週こんな事を」 古泉「あなたと一緒にデートをしたかったからでしょう」 109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 17:11:00.62 ID:GIrcGUYhP キョン「…………は?」 古泉「今だからこそ言えますが、彼女は常にそうなる事を望んでいたと思います。あなたと離れている間、彼女の口から出る話題は殆どあなたの事でしたからね」 キョン「いや待て、それならみんなを誘わないで俺だけ巻き込めばいいだろ?」 キョン「それか、くじ引きなんて運任せにしないで直接組み合わせを指名すればいい」 古泉「涼宮さんにはそれが出来ないから、僕らも一緒に誘っている……とは、考えられませんか?」 キョン「……」 古泉「それから朝比奈さんですが、彼女は今、手作りのお菓子に挑戦しようとしているようです」 キョン「そ、そうなのか」 古泉「あなたの為にですよ?」 キョン「古泉、人をからかうのはいい加減に……」 古泉「あなたがどんなお菓子が好きなのか、さっき図書館で聞かれました」 キョン「……」 古泉「そして長門さんですが……これはもう、言わなくてもいいでしょうか?」 115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 17:27:55.16 ID:GIrcGUYhP キョン「意味が解らんな」 古泉「長門さんもまた、あなたに好意を抱いているという事です。これまでの出来事を考えればそれは自然な結論だと思いますが」 キョン(……それらしい心当たりは無くはないが) キョン「でもそれは……あいつが俺くらいしか親しい奴が居ないから、たまたま」 古泉「それだけでしょうか? いえ、仮にそうであったとしても、何故彼女はあなたにだけ心を開くのでしょう」 キョン「……古泉、お前は何が言いたいんだ」 古泉「ずっと、あなたに打ち明けたかったんですよ」 キョン「何をだ」 古泉「皆さんの思いを、です。機関として、世界を崩壊の危機から救う一員として……僕はこれまであなたには涼宮さんと共にあって欲しいと思っていました」 古泉「その為に、涼宮さん以外の人があなたへ好意をもっている事を教える訳にはいかなかった。例え、それが危険を共にしてきた仲間と呼ぶべき人でも」 古泉「それが、心苦しかったんです」 キョン「……だから、俺に誰かを選べっていいたいのか?」 118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 17:42:37.81 ID:GIrcGUYhP 古泉「結論で言えば、その通りです」 キョン「……やれやれ。古泉、これはモテた事が無い俺の僻みなのかもしれんが……俺にはお前の言っている事が信用できない。信じたくなる様な夢物語だがな」 キョン「っていうか。言いたくはないが俺とお前が部室に居て、あえて俺を選ぶ理由ってなんだ?」 古泉「それは本人に直接」 キョン「聞ける訳ねーだろ……ったく」 キョン(ハルヒに長門、その上朝比奈さんまでもが俺をす……好きだって?) キョン(無い。断言できる、無いな) 古泉「まあ、僕としては結果としてあなたが誰かを幸せにしてくれればいいと思っているですよ。その時期や相手については、僕が関わる事ではないでしょうし」 キョン「そろそろ目を覚ませ古泉、今はまだ昼間だぞ」 古泉「そうですね。今のは僕の寝言という事でお願いします」 キョン「随分長い寝言だったな」 古泉「ええ、おかげですっきりしました」 キョン(代わりにこっちは複雑な心境なんだけどな……) 127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 17:52:33.86 ID:GIrcGUYhP ――自宅 キョン(はぁ……ようやく家に帰ってきたはいいが、明日からどんな顔でみんなに会えばいいんだ?) キョン(妙に意識してしまって、みんなの顔をまともに見れなかったぜ) キョン(……ま、全部古泉の妄想だって線が一番濃厚なんだ) キョン(だが……もしも本当だったなら……) キョン(長門の奴、もしかして今日は……俺と二人で来たかったんだろうか) キョン「……」 キョン「まあいい、今日はもう寝――ん? メールか」 キョン「――長門からで『今日はありがとう』……」 キョン「……まだ、電話してもいい時間だよな?」 134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 18:05:24.09 ID:GIrcGUYhP プルルルル――プッ 長門「……」 キョン(この沈黙は長門だな) キョン「長門、メール届いたぞ。それと電話口では何か言った方がいい」 長門「そうする」 キョン「ん、そういえばお前に電話するのはこれが初めてかもしれんな」 長門「初めて」 キョン「そっか。……あのな? 長門」 長門「……」 キョン「今日、図書館へ行った事なんだが。お前はもしかして……」 キョン(待てよ、これって普通に聞いてもいい事なのか? ……って、ここまで言って聞かないのも変か) キョン「その、もしかして。みんな一緒じゃなく、俺と来たかったのか?」 長門「……」 141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 18:29:28.39 ID:GIrcGUYhP キョン(ほらみろ、やっぱり古泉の妄想じゃ 長門「そう」 長門「わたしは、あなたと一緒に図書館に行きたいと思っていた」 キョン「そ……そうか」 長門「……」 キョン(マジ……か。いや待て、ただ二人で話したかった事があるとかそんな可能性も) 長門「あなたと一緒でなければならない理由は無いのに、どうしてそう考えるのかは自分でも解らない。統合情報思念体も返答を保留している」 長門「……ただ、あなたにまた図書館に行こうと誘われた時、わたしはそれをとても嬉しいと感じた」 キョン(……な、長門の声に少しだけど感情があるだと?) 長門「また、あなたと図書館に行ける日を楽しみにしている」 キョン「あ、ああ。その……俺もだ」 長門「……」 キョン(っておい! 何を言ってるんだ俺ぇ!) キョン「じゃ、じゃあまた学校でな?」  それっきり長門は何も言わなかったが、俺が電話を切るまで受話器の向こうには長門の気配があった気がした。 142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 18:45:19.32 ID:GIrcGUYhP ――登校中 谷口「お、キョン。今日は早いじゃねーか」 キョン「お前もな」 キョン(長門の事が気になって、まともに寝られなかったぜ) 谷口「ま、流石に赤点が続いてるお前でも今日のテストは気にしてたって事か。何せ今日の結果で次の連休が補習になるかどうかが決まる運命の日だもんな」 キョン「そうかい」 キョン「……ってぇ! 谷口お前今何て言ったぁ!」 谷口「うぉっ。何って、だから今日は2時間目から昼までテストがあるって」 キョン(やばい、完璧に忘れてた……) 谷口「おいお前まさか……いやーご愁傷様。せっかくの3連休が補習ってのは涙無しでは語れないな」 キョン「……はぁ……ま、今更足掻いても無駄か」 谷口「そうそう。ま、エアコンの効かない校舎で良ければせいぜい勉学に励んでくれ」 キョン(ったく良い事があると、その分悪い事もあるってのかよ……) キョン(待て、良い事って何だ。良い事って) 144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 18:59:30.33 ID:GIrcGUYhP ――教室 岡部「よーし、そこまで。鉛筆を机に置けー」 キョン(今時鉛筆を使ってる生徒が居ると本気で思ってるのか) 国木田「お疲れ様、キョンはどうだった? 今回のテスト」 キョン「是非もない」 国木田「ん〜それって、どうとっていいのか解らないな」 谷口「へ、実はこのバカ今日がテストだって事忘れてたんだってよ」 キョン「言ってる台詞の割に、顔が暗いぞ谷口」 谷口「う、うるせえ!」 キョン(ま、俺自身は人の事を言える様な内容じゃなかったがな) 国木田「放課後には結果が出るってさっき岡部が言ってたよ」 キョン「ええい、どうでもいい事に全力を注ぎやがって」 谷口「そいつは楽しみだな」 国木田「あれ、谷口の箸。震えてるよ?」 147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 19:12:18.14 ID:GIrcGUYhP ――SOS団、部室 コンコン みくる「は〜い」 キョン「……どうも」 ハルヒ「うわっ、キョンあんた何て顔をしてんのよ?!」 キョン「何がだ」 ハルヒ「何って……徹夜で仕事を終えたサラリーマンがやっと寝ようと自宅に帰ったら、不具合が見つかったって電話がかかってきたって感じの顔よ」 キョン「どんな顔だそれは」 ハルヒ「こんな顔」 キョン「人の顔を指差すんじゃありません。……すまん、今日は帰るわ」 ハルヒ「え? あ……お大事に」 キョン(まさか谷口に大差をつけられてテストに負けるなんて……悪夢だ) 152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 20:02:26.78 ID:GIrcGUYhP  俺が、人の落ち込むという状態の極限に挑戦するかの様な顔色だった理由は翌日にはハルヒの知る所となり、 ハルヒ「ちょっとキョン! テストであの谷口に大差で負けるってどれだけバカなのよ?」 谷口「うわっ酷え」 国木田「まあ、谷口は補習を免れたのが奇跡みたいな点数だったからね」 キョン「言い返す言葉もねえよ」 ハルヒ「……しかも、あのテストって今週末の連休の補習がかかってたんだって? あたしはそんな事知らなかったんだけど」 キョン「俺も知らなかった」 キョン(知ってれば、無駄な抵抗だって解ってても少しは勉強したさ) ハルヒ「もう! せっかく週末はみんなで遊びに行こうって計画立ててたのに!」 キョン「計画も何も聞いた覚えはないが、そいつは悪かったよ」 キョン(長門との約束も、今週末は無理になっちまったな) ハルヒ(せっかく、みんなでどこかに旅行にでも行こうと思ってたのに) ハルヒ「もう……このバカ」 154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 20:17:23.83 ID:GIrcGUYhP  ――ハルヒに不満を言われるだけの平日を過ごし、そして週末 谷口「じゃーな、キョン。明日はおくれんなよ?」 キョン「へいへい」 国木田「勉強頑張ってね」 キョン「はいよ」 ハルヒ「ちょっとキョン」 キョン「何だ、まだ部室に行ってなかったのか」 ハルヒ「あんた明日からの補習って出るつもりなの?」 キョン「出たいとは欠片も思わんが、出ない訳にはいかないだろ?」 ハルヒ「まあ、そうだけど」 キョン「……ハルヒ、悪かった」 ハルヒ「えっ?」 キョン「朝比奈さんから聞いたが、お前本当に色々計画してたんだって?」 キョン(まあ、俺は聞いてなかったんだが) キョン「それなのに、俺のせいで水を差すみたいな形になっちまってさ」 158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 20:27:24.85 ID:GIrcGUYhP ハルヒ「べ、別に……そんな」 キョン「せっかくの休みだし、俺の事は気にせず楽しんで来てくれ。ま、言われなくてもそうするだろうがな」 ハルヒ「……あんたが居ないのに、旅行に行ったって……」 キョン「ん?」 ハルヒ「な、何でもないっ! お土産買ってきてあげるから、せいぜい勉強に精を出しなさいよ?」 キョン「へいへい。楽しみにしてるよ」 ハルヒ(……本当に、行かないつもりなんだ) キョン「さて、旅行に行かない奴が居たらしにくい話もあるだろうし……今日は部室に行かずにこのまま帰るわ」 ハルヒ「え?」 キョン「みんなによろしく言っておいてくれ。じゃ、また来週な」 ハルヒ「う、うん……」 159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 20:29:45.49 ID:GIrcGUYhP ――翌日 ガラッ 岡部「よし、全員ちゃんと来てるなー」 キョン「そいつは俺一人って事への皮肉ですか」 岡部「はっきり言えばそうだ。……なあキョン」 キョン「いや、あなたは一応教師なんだから、あだ名じゃなくてちゃんと生徒の名前を呼びましょうよ」 岡部「お前がハンドボール部でレギュラーだったなら、俺はお前に補習なんぞさせん」 キョン「はぁ?」 岡部「こんなクーラーも無い教室で、せっかくの休日を勉強だけで過ごすなんて無駄の極みだとは思わないか?」 キョン「思います」 岡部「だろう?! これは先生からの提案なんだが、お前がハンドボール部に入部すれ気があるのなら、補習の時間を部活の練習に代えてやってもいいぞ」 キョン「補習はこのプリントっすね。教科書を見てもいいですか?」 岡部「……はぁ、好きにしろ」 185 名前:保守感謝[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 00:15:01.72 ID:hEnH81qyP >>159 キョン(さて、と。岡部は職員室に帰ったはいいが……結構な量の補習だな、おい) キョン(しかもこれが後二日も続くってのか……笑えねー) キョン「しゃあない、ゆっくりでもいいからやるとするか」  カリカリカリカリ…… キョン「――はぁ、全然進まねぇ」 キョン「ハルヒ達は今頃どの辺かな」 キョン「……結局長門には電話できなかったし」 キョン(長門、落ち込んでるかな……) キョン「まあいい、今はまずこの補習を終わらせないと」  ガラッ キョン(岡部が教室の戸を開けたにしては小さな音だな。……まさか、長 190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 00:33:19.90 ID:hEnH81qyP 谷口「……よう、キョン」 キョン「谷口、俺を笑いに来たのか」 キョン(この暇人が) 谷口「それだったらわざわざ制服まで着てこないっつーの。……岡部からさっき電話があって、採点ミスがあったから俺も補習だってよ」 キョン「……何て言うか、ご愁傷様だな」 谷口「一週間かけて練った俺の週末計画が……はぁ」 キョン「なるほど。確かに徹夜で仕事を終えたサラリーマンがやっと寝ようと自宅に帰ったら、不具合が見つかったって電話がかかってきたって感じの顔だな」 谷口「あ、なんだそれ?」 キョン「こっちの事だ」 谷口「まあいいや、何でもいいからお前のプリント見せてくれよ。少しは進んでるんだろ?」 キョン「別にそれはいいんだが」 谷口「うわっ、全然進んでねぇ」 キョン「しかもあってるかどうかも怪しい」 谷口「……しゃあない、真面目に自分でやるとするか」 キョン「そいつが賢明だな」 192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 00:46:45.11 ID:hEnH81qyP  カリカリカリカリ…… 谷口「ああ……俺の貴重な休日が無駄になっていく」 キョン「そうだな」  カリカリカリカリ…… 谷口「高校生にとって休日ってのがどれ程大切なのか教師どもは解ってんのか?」 キョン「解ってて補習させてるんだろうな」  カリカリカリカリ…… 谷口「町には俺にナンパされるのを待つ女が溢れてるのに違いないってのに……俺は何をやってるんだよ」 キョン「その根性が勉強に向けば、こんな風に補習に呼ばれる事もないだろうにな」  カリカリカリカリ…… 谷口「あ、そういえば」 キョン「ん?」 谷口「さっき廊下で長門有希とすれ違ったぜ」 キョン「このバカそいつを最初に言えっ!」 195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 01:02:56.39 ID:hEnH81qyP 谷口「お、おいキョン! お前どこに行くんだよ? 補習は?」 キョン「っと、確かに投げ出して帰っちまうのもまずいか……」 キョン「そうだ、岡部が来たら教室はお前が煩いから静かな所で勉強してくるって言っておいてくれ」 谷口「はぁ? なんだよそれ! ――って聞いてねー」 谷口「もしかして、キョンの奴長門有希と付き合ってんのか?」 谷口「無い。断言できる、無いな」 谷口「……勉強するか」  ガラッ キョン「おい、長門とすれ違ったってのはどの辺りでだ?」 谷口「え? ああ一階の廊下だけど、部室棟に行く途中みたいだったぞ」 キョン「ありがとよ!」 谷口「……無い、よな?」 198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 01:35:55.03 ID:hEnH81qyP ――SOS団、部室  ガチャ キョン「はぁ、はぁ……谷口の見間違え、じゃなかったか」 長門「……」 キョン「よう。旅行はどうしたんだ?」 長門「戻ってきた」 キョン「え」 長門「現地まで移動した後、用事が出来たと言って戻ってきた」 キョン「それってマジなのか?」 長門「本当」 キョン「……でも、それってまずくないのか? ほら、ハルヒの観察がどうのって」 長門「……」 キョン(何で悲しそうな顔をするんだ?) 202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 01:52:42.48 ID:hEnH81qyP 長門「今日は休日」 長門「任務も、今日は休み」 キョン「……そっか、まあたまには休んだっていいよな」 長門「……」 キョン(ここで、旅行から戻ってきた用事って何なんだ? って聞いていいんだろうか) キョン(まさか部室で本を読むために戻ってきたんじゃないだろうし、そもそも今日は学校に殆ど誰も居ない) キョン(居るのは岡部と俺と谷口くらいのもんで……つまり、その) キョン「長門」 長門「……」 キョン(その顔は、俺に会いに来てくれたって思っていいんだよな?) キョン「実は俺も今日は休みたいって思ってるんだが、生憎とまだ補習を受けなくちゃならん」 キョン「でも午後からは時間が空いてるから……もし、良かったら一緒にどこかへ出かけないか?」 207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 02:07:32.48 ID:hEnH81qyP 長門「いいの」 キョン「前にも言ったが、嫌だったら誘わねえよ」 長門「……じゃあ」 キョン「決まりだな。……あ、そうだ」 キョン「長門。このまま教室に戻るのもなんだし、かといってここで勉強してるって言っても説得力がない」 キョン「だから学校の図書室で勉強しようと思うんだが、お前も一緒に行かないか? ここで一人で居るよりはいいと思うんだが」 長門「……」パタン キョン「よし、決まりだな」 ――職員室 岡部「……なるほど。谷口と一緒じゃ教え合う事も出来ないし、かといって集中も出来ないから図書室の鍵を借りたいと」 キョン「まあ、そんな所です」 岡部「そうか」チラッ 長門「……」 210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 02:24:46.37 ID:hEnH81qyP キョン「長門は、その。同じ部活の仲間でして。親切にも俺に勉強を教えてくれるって言ってくれてて」 岡部「なるほど。話は解った、だが」 キョン(……駄目か?) 長門「……」 岡部「なあ長門さん、君は以前市民野球大会では特大の場外ホームランを打ったそうじゃないか。もし君に運動部への興味があるのなら是非、我がハンド」 キョン「先生、北高のハンドボール部に女子部は無いですよ」 岡部「……そうか……そうだったな……くっ残念だ」 キョン(生徒にさん付けで呼ぶ辺り、本気で勧誘してたんだろうか) ――図書室 キョン「意外とすんなり鍵を貸してくれて助かったぜ。……さて、さっさと補習を終わらせるか」 長門「教える」 キョン「あ、さっき俺が岡部に言った事を本気にしたのか。長門は好きに本を読んでていいぞ」 長門「でも」 211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 02:38:59.29 ID:hEnH81qyP キョン「お前に教えてもらえたらすぐに補習は終わるのは解ってるんだが、それをやっちまったら岡部に悪いだろ」 キョン「あいつのせっかくの休日を無駄にさせちまってるのは、他ならぬ俺なんだしな」 キョン(ああ、後ついでに谷口) キョン「だからすまん、長門。暫く待っててもらっていいか?」 長門「待ってる」 キョン「悪いな」 長門「いい」 キョン(とは言ったものの、今更俺の頭が急に良くなるなんて奇跡が起きる事もない訳で) キョン(ええい、泣き言は後だ。教科書は見ていいって言われてるんだから、後は気合次第で……っていつごろ習ったっけな、これ) 長門「112ページ、16行目」 キョン「え?」 長門「……」 キョン(もしかして……おお、探してた公式が載ってるだと?) 213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 02:53:08.21 ID:hEnH81qyP 長門「……ごめんなさい」 キョン「いや、謝らなくていいさ。これは教えた内には入らないだろうし」 キョン「ありがとうな」 長門「いい」 キョン「さて、次の問題は……と」 長門「……」 キョン(これは正直、自力でも解けそうな問題なんだが) キョン「長門、俺は何ページを見ればいいと思う?」 長門「98ページ、3行目」 キョン「ありがとよ」 キョン(そんな嬉しそうな顔をされたら聞くしかないよなぁ) 214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 03:07:52.76 ID:hEnH81qyP ――校庭 キョン「……ふぅ……ようやく終わったか」 長門「……」 キョン「長門のおかげで助かったよ。本当にありがとうな」 長門「いい。わたしも楽しかったから」 キョン「俺の勉強を手伝う事がか?」 長門「そう」 キョン「そっか。さて……と、これで岡部の顔も明日まで見なくていい訳だし、出かけるとするか」 長門「……」 キョン「長門、結局午前中は図書室に付き合わせちまったんだが、どこか他に行ってみたい場所はあるか」 長門「……特に」 長門「あなたと一緒なら、どこでもいい」 キョン(……い、今のは流石にドキッとしたぞ) 215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 03:22:20.05 ID:hEnH81qyP キョン「じゃあとりあえず……そうだな」 キョン「遊びに行く前に、何か食べに行くか。勉強のお礼に奢ってやるよ」 長門「いい」 キョン「遠慮しなくていいぞ? ところで何か食べたい物はあるのか」 長門「カ」 キョン「か?」 長門「……何でもいい」 キョン「ああ、カレーか」 長門「どうして解ったの」 キョン「あ、本当にカレーだったのか。「か」から始まる物を適当に言ったつもりだった」 長門「……」 218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 03:37:47.14 ID:hEnH81qyP ――某、カレーチェーン店 店員「いらっしゃいませー」 店員「2名様でよろしかったですか?」 キョン「はい」 店員「只今店内混み合っておりまして、カウンター席へのご案内になりますが」 キョン「長門、カウンターしか席がないらしいがそれでもいいか?」 長門「いい」 店員「かしこまりました。2名様カウンターご案内です」 キョン「さて、と。――あれ、長門はメニューを見なくていいのか?」 長門「……読む」 キョン(と言いながらサイドメニューしか見てないよな) キョン「ちなみに、この店で長門のお勧めはどれなんだ」 長門「チキンカツカレー」 キョン「即答ですか」 長門「……とても、美味しい」 220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 03:45:49.07 ID:hEnH81qyP ――店外 キョン「――初めて食べたんだが、想像以上に美味かったよ」 長門「御馳走様でした」 キョン「いえいえ。じゃあ図書館にでも……って、雨?」 長門「……」 キョン「しまったな……傘なんて持ってきてないぞ」 長門「寄って行く」 キョン「え?」 長門「わたしの部屋。ここから近いから」 キョン「それはまあ助かるんだが……いいのか?」 長門「いい」 222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 04:01:58.10 ID:hEnH81qyP ――長門の部屋 キョン「この部屋に来るのも久しぶりだな」 長門「座ってて。お茶、淹れるから」 キョン「お構いなく」 キョン「ふぅ……やれやれ」 キョン(って、何を落ち着いてんだ俺。長門は俺の為に旅行先から戻ってきてくれたんだろ?) キョン(その長門が俺を部屋に呼んだってのは、今までみたいに宇宙人的な理由があるとかじゃなくて) 長門「どうぞ」コトッ キョン「あ、ああ。ありがとう」 キョン(……でも長門はいつもと同じ様に見えるし、俺の考えすぎなんだろうか) 長門「美味しい?」 キョン「ああ」 長門「……あなたに、聞いて欲しい事がある」 キョン「聞いて欲しい事?」 長門「そう」 224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 04:24:31.16 ID:hEnH81qyP 長門「上手く説明出来ないかもしれない、情報の伝達に齟齬が発生するかもしれない」 キョン「なんか懐かしいな、それ」 長門「これから話すのは、あの時のわたしには言えなかった事。今のわたしが伝えたい事」 長門「わたしは、この銀河を統括する情報統合思念体によって造られた、対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース」 キョン(この事を初めて長門から聞かされた時は驚いたよな) キョン(ま、今となっては信じざるをえないんだが) 長門「わたしの任務は涼宮ハルヒの観察。でも、今のわたしには任務よりも大切な事がある」 長門「……どうしてそう思うのかは解らない、でも伝えたい」 キョン(さて、今度はどんな事を聞かされるんだ?) 長門「わたしは、あなたの事を好きだと感じている」 キョン「……」 キョン(え? 今、長門はなんて) 長門「好きだから、あなたがわたしをどう思っているのかが知りたい」 長門「それが、わたしが旅行先から戻ってきた理由。あなたを部屋へ呼んだ理由」 285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 20:35:08.93 ID:hEnH81qyP コピペミスでした >>224 長門「つい先日までわたしは、あなたと涼宮ハルヒは結ばれる事が規定事項なのだと思っていた」 長門「その根拠は、彼女がそれを望んでいるから」 長門「でも、彼女の中の理性は自らの欲求をあなたに重ねる事を否定している」 長門「だから、決定権を握っていたのは「鍵」であるあなたの自由意思だった」 長門「……」 キョン「それで?」 長門「あなたは古泉一樹に、涼宮ハルヒに対して女性的な魅力を感じられないと伝えた」 289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 20:44:17.69 ID:hEnH81qyP 長門「その事について、情報統合思念体は明確な意思を示していない」 長門「……だから、伝えてもいいと思った」 長門「これまで、わたしの中でエラーとして処理してきた感情」 長門「あなたの事を好きだという気持ちと、あなたがわたしをどう思っているのかを」 長門「……」 キョン「……」 キョン「じゃあ、もしかして……。前にお前がハルヒの力を使ってあの世界を作っちまったのは、ハルヒの監視に疲れてたからとかじゃなくて」 キョン「俺の事が……」 長門「好きだから」コクッ キョン(マジか……どんだけ鈍いんだよ、俺) キョン「いったい、いつから何だ? その……」 長門「……明確な時期は覚えていない」 長門「気づいた時には、もう好きになっていた」 291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 20:58:22.27 ID:hEnH81qyP キョン「……」 キョン(俺と長門が初めてあったのは北高に入学してから暫くして……じゃない) キョン(その年の七夕の日に、俺は朝比奈さんと3年前の七夕にタイムスリップして) キョン(そこで、3年前の長門に会って助けてもらったんだ) キョン(あの時長門は、3年後の自分と同期ってのをして……よく解らないが、3年後の記憶を手に入れていた) キョン(つまり長門とって、俺と出会ってからすでに3年以上経過してるって事なのか) キョン(いやまて、あの夏休みの時の事を考えたら……) キョン「長門、ずっと黙ってて辛くなかったか?」 長門「……」 キョン「すまん、気づいてやれなくって」 長門「いい」 295 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 21:11:17.96 ID:hEnH81qyP キョン(何でもかんでもハルヒのせいにしてたのは、まさか俺もだったとはな) キョン「……長門。その、お前について何だが」 長門「……」 キョン「その前に、もう一つだけ教えてくれ」 長門「何」 キョン「前にも聞いた事だが。俺が以前、ハルヒと変な世界に閉じ込められた時の事だ」 キョン「あの時、お前は俺に「また図書館に」ってチャットで言ってたが」 長門「……」 キョン「その前に確か、わたしという個体も、あなたには戻ってきて欲しいと感じているって……言わなかったか?」 長門(……覚えていてくれた) キョン「あの時は、ただの打ち間違いだと思ってたんだが……もしかしてあれは」 キョン「長門。お前の素直な気持ちだったのか」 長門「……そう」 キョン「……」 299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 21:24:36.77 ID:hEnH81qyP 長門(……旅行から戻ってきて、彼をここへ呼んでよかった) 長門(もし、わたしも女性として意識されなかったとしてもいい) 長門(例え選ばれなくても、いい) 長門(彼が、わたしの気持ちを覚えていてくれたから) キョン「あのさ……」 長門「……」 キョン「正直、これは情けなくて聞かれたくない話なんだが……。俺は、所謂彼女って呼ばれる相手が居た事がなくって」 キョン「こんな時、お前に何て言ってやればいいのか解らない」 長門「……」 キョン「ただ、この間。古泉から……俺に好意を持ってくれてる奴は実は結構居るんだって聞かされた後」 キョン「最初に俺が思い浮かべた相手は……長門、お前なんだ」 長門「……本当」 キョン「ああ」 301 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 21:37:06.21 ID:hEnH81qyP キョン(はぁ……俺にはもう、谷口を笑う資格はねーな) キョン(あいつは毎週毎週こんな大変な思いをしてたってのかよ) キョン(ふぅ…………よし。言っちまえ!) キョン「長門、俺は……お前の事が好きだぜ。妹とかじゃなくて、一人の女性としてな」 キョン「……」 長門「もう一度」 キョン「え?」 長門「もう一度だけ、言って欲しい」 キョン(……ああ、そうか。お前が部室で俺を見ていたあの視線にはそんな意味があったんだな) キョン「いいぜ、何度でも言ってやるよ。俺は、お前の事が――」  ガチャッ――ピンポーン――ピポピポピポピポ―― キョン「インターホンより前にノブを回すって事は……ハルヒだな」 309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 21:50:01.88 ID:hEnH81qyP 長門「……」スッ キョン「長門?」 長門「少し、待ってて」 キョン「待っててって……あ、ハルヒに俺との事を話すつもりなら俺も一緒に」 長門「いい」 長門「彼女と、二人で話したい」 キョン「長門」 長門「大丈夫」 キョン「――行っちまったか」 キョン(外で話して来るって言ってたが、長門は一体どうやって説明するつもりなんだ?) キョン(一応、携帯だけはすぐに出られるように……あ、補習だから電源切ってたんだっけ) キョン「何だこの大量のメール……って、全部ハルヒじゃねーか」 キョン(え〜なになに。有希が急に帰ってしまった……連絡が取れない……あんた今どこに居るの……まさか有希と一緒に居るんじゃないでしょうね……なるほど、どうりでここへ来る訳か) キョン「……心配だが……待つしかないか」 315 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 22:01:28.24 ID:hEnH81qyP  ガチャ ハルヒ「有希! も〜居るんじゃない。携帯にも出ないから心配してたのよ」 長門「ごめんなさい」 ハルヒ「急に用事が出来たって言って帰っちゃうし、何かあったんじゃないかって……え」 ハルヒ「その靴……」 長門「あなたに相談がある」 ハルヒ「それってキョ……え? あ、う、うん。何?」 長門「ここでは言えない。一緒に付いてきて欲しい」 ハルヒ「あ、ちょっと有希!」 ――駅前公園 ハルヒ「それで、有希の部屋じゃ言えない相談って何」 長門「……」 317 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 22:11:51.47 ID:hEnH81qyP ハルヒ「そ、そんなに深刻な内容なの?」 長門「ずっと、好きだった」 ハルヒ「え」 長門「でも、諦めなければいけないと思っていた」 ハルヒ「え? ……えええっ?」 長門「……だけど、思いは通じた」 ハルヒ「ゆ、有希? わ、わたしはほら。何でも普通じゃない方がいいって思ってる様に見えるかもしれないけど、恋愛に関しては一応その…………通じた?」 長門「……」コクッ 長門「彼に、告白した」 ハルヒ「彼って、彼ってまさか……キョン?」 長門「……」コクッ ハルヒ(うそ……) ハルヒ「ゆ、有希にして面白いじょうだ……」 長門「……」 ハルヒ「本当……なの?」 323 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 22:22:44.07 ID:hEnH81qyP 長門「本当」 ハルヒ「……そ、そうなんだ……そっか」 ハルヒ「通じたって事は、つまり……あいつも」 長門「わたしの事を、好きだと言ってくれた」 ハルヒ「……そう」 ハルヒ(キョンが好きなのって……やっぱり、有希だったんだ) ハルヒ(な、何であたしの体が震えてるのよ。こんなの、別にショックでもなんでもない) ハルヒ(あたしだって、何度もこうやって男を振ってきたじゃない) ハルヒ(なのにどうして? ……どうしてこんなに体が震えて、涙が出るのよ……) 長門「……」 ハルヒ(泣くなっ……ここではまだ泣くなぁっ! 部屋に帰ったら、好きなだけ泣いていいからぁ) ハルヒ「く………………よ、良かったじゃない。それが旅行を急に抜け出した理由だったの?」 326 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 22:34:14.12 ID:hEnH81qyP 長門「ごめんなさい」 ハルヒ「いいのいいの。あたしも、みんな揃ってなければ楽しめないって思ってたし……ちょうど良かった」 ハルヒ「それで? 相談ってその事なの?」 長門「……わたしは、好きな人にどうやって接していいのか解らない」 ハルヒ「……」 長門「好きだと伝えて、好きだと言って貰えるだけで気持ちが溢れてしまった」 長門「これから、どうすればいいのか教えて欲しい」 ハルヒ(……どんなに頑張っても、あたしには出来なかった事をやれた有希に、あたしが言える事なんて……) ハルヒ(でも……そうね。もしあたしが有希の立場だったら……きっと) ハルヒ(きっと、キョンにこうして欲しかった) ハルヒ「いい? そんな時は何も考えなくていいから、とにかく抱きしめてもらいなさい」 331 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 22:42:01.04 ID:hEnH81qyP ハルヒ「そして、頭をそっと撫でてもらうの。きっと……それは凄く素敵な事だから」 長門「……」 ハルヒ「そしたら後は、向こうが勝手に色々したくなるだろうし、その先は有希がいいって思える事だけしてあげればいいのよ。簡単でしょ?」 長門「ありがとう」 ハルヒ「お礼なんていいから……うん、有希が幸せになってくれればそれでいいから」 長門「……」コクッ ハルヒ「……じゃあ……。有希、また来週学校で会いましょう」 長門「……」コクッ 長門「……ありがとう」  長門ルート おしまい  以下、後日談 338 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 22:54:14.63 ID:hEnH81qyP 谷口「ようキョン、この間の補習の結果が返ってきたんだが」 キョン「おお、どうだった」 谷口「お前、3日とも俺だけ残してさっさと帰りやがったくせに何でこんなに点数がいいんだ?」 国木田「僕も見たけど驚いたよ、教科書ありだったにしても学年平均より結構上の点数だったからね」 キョン「まあそうだろうな」 谷口「キョン、お前本番で手を抜いてたってのかよ?」 キョン「誰がそんな無意味な事をするか。……先生が良かったんだよ」 谷口「岡部がぁ? 何だ、ついにハンドボール部に体を売りやがったのか。あ〜あ、知らねえぞ。ハンドボール部は部員が少ないから、一人あたりのしごきがきついって有名で」ガラッ 長門「……」 キョン「よう長門、じゃあ行くか」 谷口「行くかって、何処へ」 キョン「だから先生と勉強だよ、じゃあな」 国木田「また明日」 谷口「……」 谷口「悪夢だ」 346 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 23:05:37.41 ID:hEnH81qyP ハルヒ「あ、キョン」 キョン「よっ。ちょっと今日の復習を図書室でしてきたいんだが、部室に行くの遅れてもいいか」 長門「……」 ハルヒ「別にいいけど。……有希と一緒だからって、学校内で変な事してたら許さないからね」 キョン「へいへい。解ってるさ」なでなで ハルヒ「こっこらぁ! ゆ、ゆゆ有希が見てる前で人の頭を撫でるなんて……」 キョン「嫌なのか?」 ハルヒ「別に……あんたに頭を撫でられるくらいあたしは気にしないけど……。でも、有希は気にするでしょ?」 長門「気にしない」 ハルヒ「そ、そうなの?」 長門「わたしも撫でていい」 ハルヒ「え? ……どうぞ」 長門「……」なでなで ハルヒ(はぁ……何だか、キョンが有希を選んだ理由が解った気がする) ハルヒ「変な所で似てるのよね、この二人」 348 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 23:09:01.32 ID:hEnH81qyP キョン「ハルヒ、お前今何か言わなかったか」 ハルヒ「何も。じゃあ、さっさと勉強してきなさい」 キョン「あいよ」 長門「……」 ハルヒ「……ふぅ」 ハルヒ「悔しいけど、御似合いかなぁ」 ――図書室 キョン「さて、さっさと終わらせるか」 長門「……その前に」 キョン「ん?」 長門「わたしの頭も撫でて欲しい」 キョン「……あいよ」なでなで 長門「……」 352 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 23:16:35.30 ID:hEnH81qyP キョン「なあ」なでなで 長門「……」 キョン「俺がハルヒの頭を撫でるのってやっぱり嫌か?」 キョン「何か最近はあいつがうちの妹みたいに見えてきて、つい無意識にやってしまうんだが」 長門「してもいい」 長門「でも」 キョン「でも?」 長門「その後で、わたしの頭も撫でてくれたら……もっといい」 キョン「そうかい」 長門「……抱きしめてくれたら更にいい」 キョン「お、今日の長門は積極的なんだな」 長門「……あなたと付き合うようになって気づいた事がある」 キョン「気づいた事?」 長門「そう」 356 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 23:20:58.88 ID:hEnH81qyP 長門「わたしは、あなたの傍に居る事に強い安心感と喜びを感じている」 長門「通俗的な用語を使用すると、甘えん坊に該当する」 キョン「……長門」 長門「何」 キョン「俺としては、お前は甘えん坊な位の方が可愛いと思うぞ」 長門「……よかった」  後日談、おしまい 365 名前: ◆1/dtGJfhU6.F [sage] 投稿日:2009/06/24(水) 23:35:54.61 ID:hEnH81qyP 補足 *長門とミヨキチはすでにメインなので集計対象外です *今日はもう時間が取れそうにないので、次の投下は明日の早朝(多分4時半過ぎ))になると思います *落ちてしまった時の為に、トリだけ残していきます それではまた 373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 23:48:41.40 ID:hEnH81qyP あれ? トリップ変わってる 覚えやすくて結構お気に入りだったんだけど、残念 旧トリ◆Yafw4ex/PI ←これで検索すれば色々出るので、お暇だったらどうぞ 414 名前: ◆1/dtGJfhU6.F [sage] 投稿日:2009/06/25(木) 05:03:18.20 ID:f3kKYuBFP >>118 ――自宅 キョン(はぁ……ようやく家に帰ってきたはいいが、明日からどんな顔でみんなに会えばいいんだ?) キョン(妙に意識してしまって、みんなの顔をまともに見れなかったぜ) キョン(……ま、全部古泉の妄想だって線が一番濃厚なんだ) キョン(だが……もしも本当だったなら……) キョン「いきなり誰かを選べって言われてもなぁ……」コンコン ガチャ 妹「あ、キョンくん居たー」 キョン「なあ、お前ノックの意味って知ってるか?」 妹「うん! ドアを叩くことー」 キョン「……そうか」 妹「あのね、キョンくん。今ミヨちゃんが遊びに来てるんだけど」 キョン「ミヨキチが? 珍しいな」 妹「ミヨちゃん、キョンくんとお話したいんだってー」 415 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/25(木) 05:11:22.59 ID:f3kKYuBFP ――コンコン キョン「どうぞ」 ミヨキチ「……失礼します」ガチャ キョン(おお、また背が伸びてる) ミヨキチ「……」 キョン(あと5年もすれば朝比奈さんに対抗できるかもしれないと思ってたが……どうやら5年も必要ないらしい) キョン「どうした? 入ってもいいぜ。あ、やっぱりリビングの方がいいなら」 ミヨキチ「あ、いえ。……ここでお願いします」 キョン「ミヨキチがそれでいいならいいんだが」 ミヨキチ「お久しぶりです。お兄さん」 キョン「久しぶりだな、もう6年生だっけ?」 ミヨキチ「はい」 キョン「そっかぁ……来年はもう中学生なのか」 キョン(これ程いい意味で違和感のある中学生ってのも、珍しいよなぁ) 417 名前:許されそうな範囲で書こうと思ってます[sage] 投稿日:2009/06/25(木) 05:21:23.97 ID:f3kKYuBFP キョン「多分、学区的に家の妹と同じ中学になるんだろうが……まああまり気を落とさずに、気が向いた時にでも相手をしてやってくれ」 ミヨキチ「そんな。むしろ、わたしの方が遊んでもらってるくらいですから」 キョン(あの妹にミヨキチが遊んでもらう? ……俺の想像力にも限界という物があるんだが) キョン「そう言ってくれて助かるよ」 ミヨキチ「いえ……」 キョン(初々しいなぁ) キョン「あ、所で話って何だったんだっけ」 ミヨキチ「……その、実は」ゴソゴソ ミヨキチ「これを、お願いしたいんです」スッ キョン(手紙?) キョン「え〜……これって」 ミヨキチ「……」 キョン(無駄に可愛い包装、丁寧な文字。そして宛先に書かれた俺の苗字……) キョン「もしかして、これ」 418 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/25(木) 05:28:04.29 ID:f3kKYuBFP ミヨキチ「……ラブレター……です」 キョン(え……マジ? ってまてまて、俺) キョン(仮にも俺は高校生な訳で、ミヨキチはまだ小学生だ。見た目はともかくな) キョン(そんな相手からのラブレターで動揺して……) ミヨキチ「……」 キョン(……動揺するよな、普通) キョン(何だ、人生に何度かモテ期があると谷口がよく言ってるがそれなのか?) ミヨキチ「急にこんな事を言われても、お兄さんは困るだけだと解ってるんですけど……」 キョン「あ、いや。別に困ってる訳じゃないんだが」 ミヨキチ「でも、お兄さんにしか頼れなくって」 キョン「ただ急な事で驚い……頼る?」 ミヨキチ「はい」 420 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/25(木) 05:47:16.19 ID:f3kKYuBFP ミヨキチ「今日、学校でそのラブレターを預かったんですけど。わたしからはどうしても渡せなくって」 キョン(預かったって事は……これはミヨキチからじゃない? にしても、今俺に渡したよな) ミヨキチ「お兄さんから妹さんに渡してもらえないでしょうか?」 キョン「……ああ、なるほどな」 ミヨキチ「え?」 キョン「いや、いいんだ。気にしないでくれ」 ミヨキチ「はぁ……」 キョン(そっか。俺と同じ苗字を使ってる奴は、この家に住んでる奴全員だもんな……) ――数分後 キョン「――つまり、このラブレターの差出人はミヨキチとうちの妹の共通の友人からで」 ミヨキチ「はい」 キョン「それで、ミヨキチから手紙を渡してしまうと、あいつがもし断ろうと思った時に断りにくくなるんじゃないかって事なんだな」 ミヨキチ「そうなんです」 キョン(家の妹にそんな繊細な気づかいが出来るなら、俺の人生はもう少し気楽な内容だったはずなんだけどな) キョン「話は解った。こいつはポストに入ってたって事にして、俺から渡しておくよ」 421 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/25(木) 06:15:32.46 ID:f3kKYuBFP ミヨキチ「すみません、こんな事をお願いしてしまって」 キョン「別にミヨキチが謝る事じゃない、むしろそこまで考えてくれてお礼を言いたいくらいだ」 キョン「しかし……あいつにラブレターを送る様な奴が居るとはなぁ。世の中は広いぜ」 ミヨキチ「妹さん、学校では結構ラブレターもらってるみたいですよ?」 キョン「マジでか?!」 ミヨキチ「はい。……でも、ラブレターの意味には気づいてないみたいです」 キョン(だろうな) キョン「はぁ……最近の小学生は侮れないな」 ミヨキチ「……お兄さんは」 キョン「ん?」 ミヨキチ「あ、いえ。……何でもないです」 キョン(待てよ、あの妹ですらラブレターを貰っているのなら) キョン「ミヨキチも結構貰ってるのか」 423 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/25(木) 06:35:44.48 ID:f3kKYuBFP ミヨキチ「え」 キョン「ラブレターさ」 ミヨキチ「わたしは……そんなには」 キョン(そんなにって事は、やっぱり貰ってるんだな) キョン「こんな事を聞いていいのか解らんが、ミヨキチは付き合ってる奴っているのか?」 ミヨキチ「わ、わたしですか?」 キョン「ああ」 ミヨキチ「……今は、いません」 キョン(今は……か。俺はこの年まで何をやってきたんだろうな) ミヨキチ「あの、お兄さんは」 キョン「ん?」 ミヨキチ「お兄さんは、今……」 キョン「……ああ、付き合ってる奴か。居ないよ」 425 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/25(木) 06:48:09.77 ID:f3kKYuBFP ミヨキチ「本当ですか?」 キョン「ああ」 キョン(ついでに言えば、居た事すらない) ミヨキチ「……そうなんだ」 キョン「恋愛に関して言えば、ミヨキチの方が大先輩だな」 ミヨキチ「そ、そんな事は……ないと」 キョン(……そうだな。考えてみれば、こんな事を相談できるのはミヨキチくらいしか居ないかもしれん) キョン「ミヨキチ、色々と聞いて悪いんだが」 ミヨキチ「はい」 キョン「率直な意見が欲しい。ミヨキチから見て、俺って鈍いのか?」 ミヨキチ「……え、えっと」 キョン「まあ見た目が鈍そうなのは知ってるんだが、今聞きたいのは恋愛面に関してだ」 キョン「というのも、俺は自分へ向けられてる好意に気づかな過ぎるって指摘を最近知り合いにされてな」 ミヨキチ「……」 426 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/25(木) 06:55:26.75 ID:f3kKYuBFP ミヨキチ「……きっと」 ミヨキチ「きっと、お兄さんに気持ちを気づいてもらえなくて寂しい思いをしてる人は……他にも居ると思います」 キョン(ミヨキチ?!) キョン「へ、変な事を聞いて悪かったから。そんな悲しそうな顔をしないでくれ? な?」 ミヨキチ「……ごめんなさい、ごめんなさい」 キョン(俺、そんなに変な事を聞いちまったのか? ……って、これこそ鈍いって事の証明だよな) 十数分後―― コン ガチャ 妹「あれ? ミヨちゃんは?」 キョン「さっき帰ったよ、会わなかったのか」 キョン(あと、ノックの回数が減ってる気がするんだが) 妹「お話が長そうだから、先にお風呂に入ってたの」 キョン「そうか。あ、お前宛てに手紙が来てたぞ」 妹「見せてー」 キョン「好きにしろ」 427 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/25(木) 06:57:13.30 ID:f3kKYuBFP 妹「ふんふん。……あ、やったー! ラブレターだー」 キョン「……」 妹「今月3通目ー嬉しいなー」 キョン「!」 キョン「なあ、一つ聞きたいんだが」 妹「なーにー」 キョン「そんなにいっぱいラブレターをもらってて」 妹「今月は少ないよ?」 キョン「…………まあいい。ともかくいくつもラブレターを貰ってだ、返事は書いた事はあるのか?」 妹「お返事? 何で?」 キョン(何でときたかこの小悪魔) キョン「ラブレターってのは、貰ったら普通は返事をするもんなんだよ。手紙を返してもいいし、直接会って話してもいい」 妹「あ、そうだったんだ。じゃあ書くね」 キョン「軽っ」 妹「ふんふんふ〜らららラブラブらぶれた〜――」バタン 428 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/25(木) 06:59:07.14 ID:f3kKYuBFP 今日はここまでです すみませんが、次に書ける時間が作れそうなのは明日になりそうです