世にも奇妙ならき☆すた〜初夏の特別編〜 122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 03:20:26.55 ID:1YhjmK1c0 日下部みさお      背景 123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 03:22:31.46 ID:1YhjmK1c0 あたしの名前はみさお。 日下部みさおだ。 青春真っ盛りの高校三年生!勉強はたまに辛いけど・・・それでも学校は楽しい! なんでかっつーと、学校には友達がいっぱいいるからだ! ・・・でも、そんなあたしにも一つだけ、悩みがある。 それは・・・あたしが「背景」だから。      背景          日下部みさお 124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 03:23:45.85 ID:1YhjmK1c0 「やべ、寝過しちまったってヴぁ!!」 一週間のはじまり、月曜日の朝。 あたしは、枕元の目覚まし見てとび起きた。 7時。 あたしの家から学校へは、そんなに遠くない。だけど、あたしは陸上部に所属している。 本来ならば、もう着替えも朝食も済ませ、そろそろ家を出ようかという時間だ。 「やっべー遅刻だぁ!!母さんなんで起こしてくれなかったんだよ!・・・あれ?」 部屋を転がるようにとびだし、リビングの戸を開けてみると、そこには誰もいなかった。 「母さんどこいっちまったんだ?」 おかしいな?この時間なら、母さんが朝食を用意しているはずだ。 「まさか母さんも寝坊か?しょうがねーなーなんつってw・・・って」 そう思った矢先に、あたしは、なぜかすでにテーブルに朝食が用意されていることに気付いた。 「なんだよー朝ごはんあるじゃねーか!いっただっきまーあむ」 時刻はすで遅刻寸前。いそいでいたあたしは、朝食にがっついた。 126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 03:29:06.35 ID:1YhjmK1c0 「やっぱミートボールうめーなぁ!」 「いそいで食べないで、よく噛んで食べなさい」 「わかってるってヴぁ!?ゴホッゴホッ!」 急に背後から声をかけられて、思わずむせちまった。 「な、なんだ母さんいたのかよ!!」 でも、声がした方向には誰もいなかった。 「…おっかしいな。空耳だったのかぁ?」 たしかに母さんの声だと思ったんだけどなぁ…。 まぁいいや、とりあえず食ったからもういこーっと。 「いってきまぁす!って誰もいないんだってヴぁ」 無人の我が家に一声かけて、あたしは家をとびだした。 「いってらっしゃい」 127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 03:34:55.83 ID:1YhjmK1c0 奇妙だった。 いや、あたしはこんな言葉あんましつかわねーんだけどな。 それでも、今日はその言葉がぴったりあてはまるような感覚だった。 それは学校に登校する時のこと。 (……なんでだ?) はじめはまったく気がつかなかった。 いや、あたしが馬鹿だからとか、そんなんじゃないって。 「なんでだ?なんでだれも」 なんで誰もあたしの『前』を歩かないんだ? 130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 03:42:11.76 ID:1YhjmK1c0 前を歩かない。という表現は、誤解を招くかもしんない。 言い直すと、誰もあたしより前へ出ないってことだ。 うーん、難しいな。 詳しく説明するだな、あたしの視界には誰も入ってこないんだ。 その代わり、あたしの背後から聞こえる足音。 一つや二つじゃない…もっと大人数。 ストーカー?なわけない。こんな大人数のストーカーがいるわけねぇよな。 振り返ってみればいい。でも、なぜだろうか。 怖い。 振り返ったそこに、どんな連中がいるのか…。 あたしは、走って逃げたかった。いや、もうすでに走ろうとしていた。 131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 03:51:46.47 ID:1YhjmK1c0 「それが本当にくさくってさー」 「え〜うっそだー」 (あ!あれは柊とちびっこ!!) 幸運にも、交差点の角から柊とちびっこが姿を現した。 しかし、この状態をあいつらはどうとらえるだろうか。あたしの後ろの『連中』をみてどう反応するのだろうか。 もし、後ろの連中がろくでもないやつらだったら。柊たちをまきこむことになるかも。 それでも、あたしは声をかけずにはいられなかった。 「おーい!ひいらg「駄目!」へ?」 ガンッ 雲ひとつない青空。 ってか、足払いって結構いてーんだな。 132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 04:01:21.34 ID:1YhjmK1c0 「―――ですか?」 あ?よく聞こえねーってヴぁ? 「大―――すか?」 「あー…」 「大丈夫ですか?」 誰かが、あたしの上から心配そうに声をかけ続けてる。 あたしはやっとそれが聞き取れるようになってくるのに、ちょびっとだけ時間がかかった。 「よかった、意識が戻って」 「あ、あれ?ここは?」 白いベッド、白いカーテン。 ここには以前一度だけ、お世話になったことがあるけど、普段はあんまり行かないからすぐには気付けなかった。 「保健室です。痛いところとかありますか?日下部先輩」 いまだうつろな意識のあたしを上から覗き込むようにして見ているのは。 (あーこいつしってるぞ…なんだっけな…浜崎?岩波だっけか?) そいつの名前が出てくる頃には、自分の意識もはっきりしてきていた。 133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 04:09:17.28 ID:1YhjmK1c0 「おめーたしか、岩崎み…イテテ」 「頭を打ったようですから…少し安静にしていたほうがいいです」 こいつはたしか、岩崎みなみ。ちびっこの新関の友達の一年生だ。ヨシ、頭の中身のほうはダイジョブみたいだな。 「いったい何があったんだ?なんであたしはこんなところに寝てるんだ?」 あたしがそう問いかけると、岩崎みなみは神妙な顔をして、何やらかんがえてるようだった。 「やっぱり、先輩は知らないんですね」 「へ?何をだ?」 すると、岩崎はその表情を崩さないまま、あたしの問いにこう答えた。 「背景ルールですよ」 134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 04:17:14.59 ID:1YhjmK1c0 「はいけいるーるぅ?」 なんだそりゃ?そんな校則あったけか? 「校則ではありません。世界共通の絶対ルールです」 岩崎の説明ではこうだった。 一つ、自分より配役の高い存在より目立ってはいけない。 二つ、自分より配役の高い存在より前へ出てはならない。 三つ、自分より配役の高い存在の命令は絶対。 四つ、以上のルールを犯した場合、法的に罰することができる。 意味わかんね。誰か説明してくれってヴぁ。 「つまり、我々背景は主役より目立ってはいけないということです」 135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 04:28:18.46 ID:1YhjmK1c0 「主役?主役ってだれだ?」 「あの四人です」 「あの、って誰だよ!」 「泉こなた、高良みゆき、柊かがみ、つかさ」 「あー…なるほど」 って、納得しちゃだめだろ!つーかなんでその四人が主役なんだってヴぁ! 「わかりません…。しかし、そうきまってるんです」 法的にってか?信じらんねーって。お前冗談下手だなー。 「冗談、ではありません。実際に見てもらったほうが早いかも…」 わかったってヴぁ。もういいから、あたしは教室にもどるぜ。 「すぐに…わかりますよ」 まったくなんなんだあいつ。ほんと意味不明だぜ。 「あ、ってことはあたしを足払いしたのあいつじゃねーか?」 そう愚痴りながら、あたしは自分の教室の入り口を勢いよく開いた。 136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 04:36:48.23 ID:1YhjmK1c0 奇妙な光景だった。 授業中だから、ではない。 教室も、間違ってはいない。 「おお、日下部。大丈夫か?」 あたしに先生が声をかける……教室の一番後ろから。 なんであんなところに先生が?ってかそれより。 (なんで三角形なんだ?) 教室が、ではない。 机の配置が、生徒の席の配置が、黒板に向かって三角形なのだ。 そしてその先頭の、一番前の席にすわってるのは… (柊…) 「どうしたのよ?あんたの席はここよ?」 そういって柊が指さしたのは、柊の真後ろ。前から二番目の列の机だった。 「お、おう」 柊に指図されて、あたしはその席に座った。が。 (後ろからものすごい視線を感じる…) 結局、その一日落ち着かずに、昼寝もできず授業に集中することもできなかった。 137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 04:43:28.71 ID:1YhjmK1c0 朝、リビングへ下りると必ず誰もいない。 いや、いる。あたしの後ろに。 登校の時、後ろに感じでいた存在感の正体は、あたしより配役の低い連中だったんだ。 あたしの配役は、かなり高めで、あの四人の次点ぐらいらしい。 そして、あの岩崎ってやつもあたしと同格なんだろう。 毎日毎日、柊の後ろ。なるほど、確かにこれは。 (背景、だな) 139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 04:53:55.46 ID:1YhjmK1c0 夕暮れ。もうほとんど陽が落ちかけてる。 部活が長引いたために、こんな時間になっちまった。 しかし、あたしはこの空が好きだ。今日も一日おつかれさんって感じで、なんかほっとする。 ただ、さ。 「こいつらほんとどうにかなんねーかな…」 あたしが立ち止まると、後ろの大量の足音もやんだ。 「ったく。これじゃ落ちつかねー…ん?」 あたしは本当に驚いた。なぜなら、目の前に人が立っていたからだ。 あたしの前に立てる人間は、あの四人か、一年のやつらだけのはずだ。だが、あたしはそいつに見覚えがあった。 「おめーたしかうちの部の二年…」 「先輩……死んでください!」 140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 05:09:59.04 ID:1YhjmK1c0 そいつは右手にナイフを持っていた。それをもってあたしめがけて突っ込んできた。 「な、なにするんだってヴぁ!!」 間一髪だった。でも、次に避けられる自信がない。マジで死ぬ!! 「先輩がいると困るんです…先輩がいると…みんなが報われない」 怒りか悲しみか、そんな目で私を睨むと、そいつは再度ナイフを突き刺してきた。 (もう…駄目だ!!) 「そこまでだ!取り押さえろ!」 間一髪でそこに現れた連中を見て、あたしはまた驚いた。 そこにいたのは、警官隊。しかも、半端じゃない量の人数だった。 「くそ!はなせ!!先輩を殺さなきゃ、部のみんなが」 「連れて行け!」 後輩は、何やらわめいていたが、警官隊に連れて行かれた。 取り残されたあたしが、その光景を見つめながらぼうぜんと突っ立っていると、 警官隊の山の中から、一人の女性が近づいてきた。 「大丈夫?君、こなたの友達だよね?」 ああ、この人もしってるぞ…えーと、なるとだっけ? 143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 05:22:46.85 ID:1YhjmK1c0 「はい、コーヒーどうぞ〜」 「ど、どうも」 その人、成実ゆいは、あのちびっこのいとこだった。 そして、配役のレベルはあたしと同じらしい。 「いやぁ大変だったね〜。まぁしょうがないっちゃぁしょうがない話なんだけども」 「しょうがないって、どういうことだってヴぁ?なんであたしが後輩に命を狙われなきゃいけないんだ!?」 「あれ?わかんないっかな〜?」 う〜ん、と唸りながら、眉を寄せて嫌そうな表情になった。 「わかんないって…心当たりもなにも…」 「だって、背景の人たちは、配役の高い人より目立っちゃいけないんだよ?」 一つ、自分より配役の高い存在より目立ってはいけない。 「ど、どういうことだってヴぁ?」 「同じ部の人は、みんな君の背景なんでしょ?」 「それはそうだけどっ…あ…」 『先輩がいると困るんです…先輩がいると…みんなが報われない』 「そっか…そうだよな」 「そういうこと」 144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 05:32:42.49 ID:1YhjmK1c0 同じ部の連中は、あたしより目立てない。 あたしが出れなかった大会には出られない。 あたしよりいい記録を出すことはゆるされない。 つまりは、そういうこと。 「そんな…それじゃ…最悪だってヴぁ…」 「そうだよね。でも、これだけはしょうがないよ」 そんなんで、納得いくわけ…ないって…。 「どうにもならないのかよっ!こんなの、絶対まちがってるってヴぁ!」 「それがねぇ…あるのよ」 「そんな…へ?」 「どんな法律にも必ず穴があってね。この背景ルールも例外じゃないんだよ」 「穴…教えてくれ!!その穴ってなんだ!?」 「…本当はね。私から言いたくないんだけどさ」 成実さんは、一度溜息をついてばつがわるそうな表情をした。 「さっき、身をもって体験したでしょ?」 「え?」 自分より、配役が高い人間を 「殺すのよ」 145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 05:39:49.72 ID:1YhjmK1c0 自分より配役が高い人間を殺害する。 そうすれば、自分に命令権が移り、自分の背景を自由にすることもできる。 すくなくとも、自分に関係している人を解放することはできる。 自分より配役が高い人。自分はだれの背景なのか。 (柊…) 柊かがみ。彼女を殺害できれば、彼女の背景は自由にできる。 でも…柊は…。 あたしの、親友だから。 なんとか、説得する。 もしできなければ…。 146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 05:51:33.17 ID:1YhjmK1c0 「柊」 授業中。あたしの一言で、教室の空気が凍りついた。 「なによ」 「あのさ…もう、やめね?」 「は?なにが?」 「こんな風にさ、変な形に机並べたり、目立っちゃいけないとか、そんなのおかしいって」 「……」 「誰かが誰かの背景だなんて、おかしいよ。どんなにがんばっても一生脇役なんて…」 そんなこと、絶対間違ってる。 「……で?」 「へ?」 「それがどうかしたの?」 「どうって、おかしいだろ!?」 「はいはい」 なんで?どうして?柊なら、わかってくれると思ってたのに…。 「う、うそだろ柊?背景のいうことなんて…どうでもいいとか思ってない…よな?」 「思ってるわよ」 「ひ   ! 」 「  ?」 「    !!」 「  」 そっからは、よく覚えてない。 147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 06:01:23.91 ID:1YhjmK1c0 気がつけば、あたしは保健室にいた。 その手に、赤く染まったナイフを持って。 「……もう、いいや」 あたしが死ねば、あたしの背景だった人が解放される。 「あ、夕焼けだ」 あの夕焼け空をみると、ほっとする。すべてが終わったと思わせてくれる。 ほかの主役たちはまだ生きてるけど、少なくとも陸上部の連中や、クラスのみんなはこれで救われたはず…。 背景に…幸あれ。 はい☆けいロワイヤル ――完―― 148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 06:06:28.70 ID:1YhjmK1c0 「ちょっと何よこれ」 「いや〜なんか最後のほうめんどくなっちゃってさ〜」 「いや、ラストのほうグダグダじゃないの!!こんなん発表できるわけないでしょ!」 「え〜いいじゃん。ほら、こんなにキャストも豪華な」 「みんな知り合い連中でしょうが!だいたいなんで私が殺されなきゃいけないのよ!!」 「だってかがみん悪役にあうし?ホラ、このラストのセリフがなんとも」 「おまえは何か勘違いしているようだな?ええ?」 「いやーかがみんが火を噴いたー」 「だれが火を噴くか!!」 150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 06:18:45.56 ID:1YhjmK1c0 「私たちも、映画やろうよ!ハ○ヒみたいに!」 そういいだしたのは、ちびっこだった。 てっきり、柊の奴がとめるかとおもったけど、以外にも賛同が多く、これで決行することになった。 まさか、自分が主役をやるとは思わなかったけどな。 んで、あの映画は、今度の文化祭で発表することになっている。 なんか、自分が主役の映画を文化祭で発表するなんて、マジではずかしいぜ。 あとでちびっこにさ、「なんであたしが主役なんだ」って聞いたら、「いやーみさきちは私たちの中で一番明るいから〜」だって。 見てくれる人は、見てくれるんだな。 そっか、そうだよな。 もう、自分が背景だなんて思わない。 あたしにとっての主役は、あたししかいないから。 らき☆すた ?巻 ―――完――― 151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 06:26:13.10 ID:1YhjmK1c0 「いやー読ましてもらいましたけど、今回もおもしろかったですよ美水先生!」 「そうでしょそうでしょwww今回は特に力作だからね〜」 「今回は珍しくホラー路線、と思わせといて、やっぱりほのぼので締めますか!」 「まぁ、らき☆すたこうでなくっちゃね。つねにハッピーエンドをこころがけてますから!」 「今回は、みさおを主役に立ててましたけど、そのほかのキャラも色々味が出てましたね」 「意外な一面見たいな風に見れたらいいと思い、ちょっとこんな手法をとってみたんですけども」 「そうですねぇ。でも、やっぱりってキャラもいましたよね。ほら、あの峰岸…でしたっけ?」 「え?峰岸?出てましたっけ?」 「ほら、ここですよ!このシーンのバック!」 「え?どこどこどこ?」 世にも 奇妙な らき☆すた