長門「ここ。わたしの家」 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:38:07.33 ID:i/RC3uL9O キョン「えっ、ここか?立派な分譲マンションじゃないか」 長門「違う。その隣」 キョン「え?こっち?」 長門「そう」 キョン「なんちゅうボロアパート…」 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:42:52.70 ID:i/RC3uL9O 長門「ここの2階」 キョン「築何年だよここ」 長門「昭和28年築」 キョン「マジか」 長門「本当。いまドアを開ける」 ギッ、ギッ、ギギ… 長門「ちょっと待って。すぐ開ける」 キョン「建て付け悪いな」 ギギ…ギギ… 長門「…手を貸して」 キョン「わかったよ…」 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:47:11.34 ID:i/RC3uL9O 長門「…開いた。入って」 キョン「お邪魔します」 ギギ…ギギ…ギッ キョン「長門?今度はドアが閉まらないのか?」 長門「気にしないで」 キョン「そうかい」 ギギ…ギッ 長門「…やっぱり手を貸して欲しい」 キョン「…そうかい」 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:51:14.10 ID:i/RC3uL9O キョン「こたつ机だけ?テレビも無いんだな」 長門「………」 キョン「カーテンもかかってないのか」 長門「…お金が無い」 キョン「すまん…。デリカシーの無いことを…」 長門「いい。気にしないで」 キョン「………」 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:55:29.05 ID:i/RC3uL9O 長門「座ってて」 キョン「あ、ああ」 長門「………」トテトテ キョン「(急須と欠けた湯のみ?)」 長門「………」コポポポ 長門「飲んで」 キョン「ただの水…」 長門「こんなものしかない」 キョン「なんでわざわざ急須に?」 長門「せめてものもてなし」 キョン「………ありがとう」 長門「いい」 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 02:01:51.83 ID:i/RC3uL9O キョン「…いただきます」 長門「どうぞ」 キョン「」ゴクゴク トンッ 長門「おいしい?」 キョン「カルキが効いてるね」 長門「そう」コポポポ キョン「………(2杯目…)」 長門「………」 キョン「(せっかく注いでくれたんだしな…)」ゴクゴク キョン「ぷはぁ!」 長門「………」スッ キョン「いや、もう結構」 長門「でも家にはこれしか」 キョン「いえ、お気遣いなく」 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 02:06:52.09 ID:i/RC3uL9O キョン「水はいいから、俺をここまで連れてきた理由を教えてくれないか?」 ギシギシアンアン 長門「涼宮ハルヒのこと」 ギシギシアンアン 長門「それと、わたしのこと」 ギシギシアンアン 長門「あなたに教えておく」 ギシギシアンアン キョン「どうにかならないのか、この音」 ギシギシアンアン 長門「いつものこと」 キョン「………」 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 02:11:04.22 ID:i/RC3uL9O 長門「涼宮ハルヒとわたしは普通の人間じゃない」 ギシギシアンアン キョン「なんとなく普通じゃないのはわかるけどさ」 ギシギシアンアン 長門「そうじゃない」 …………シーン………… キョン「やっと静かになったな…」 長門「油断はいけない」 ギシギシアンアン キョン「またか…」 長門「第2R。いつものこと」 キョン「…そうかい」 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 02:16:25.98 ID:i/RC3uL9O ギシギシアンアン 長門「この銀河を統括する情報統合思念体によって造られた対有機(ry。それがわたし」 ギシギシアンアン キョン「………」 ギシギシアンアン 長門「わたしの涼宮ハルヒを観察して、入手した情報を情報統合思念体に報告すること」 ギシギシアンアン キョン「………」 ギシギシアンアン 長門「きいてる?」 キョン「わっ、すまん!聞いてなかった!」 長門「隣の音は気にしないで」 キョン「…ごめんなさい」 長門「次から気をつけて」 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 02:25:31.07 ID:i/RC3uL9O 中略 長門「…それがわたしがここにいる理由。あなたがここにいる理由」 キョン「待ってくれ。正直言おう。お前が何を言っているのか、俺にはさっぱりわからない」 長門「…ちゃんと聞いてた?」 キョン「聞いてたさ!ちゃんと聞いてたとも!」 長門「なら信じて」 キョン「なぁ長門。こんなこと言いたく無いんだが…」 長門「なに?」 キョン「最近ちゃんと飯食ってるか?」 長門「食べてない。なぜ?」 キョン「失礼だが、だいぶ頭が朦朧としてるんじゃないのか?それで妄想と現実がごっちゃになってるとか…」 長門「否定はできない」 キョン「そうか…。大変だな…」 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 02:33:13.92 ID:i/RC3uL9O 長門「わたしも正直に言う。今、座っているのがやっと」 キョン「…そっか。大変だな…」 ギシギシアンアン 長門「でも、わたしの今の話は本当」 キョン「そうか。でも、ひとまずその話は置いといて、飯でも食いにいこう」 ギシギシアンアン 長門「でもお金がない」 キョン「俺が奢るよ」 ギシギシアンアン 長門「本当に?」 キョン「ああ、本当だ。それにここは雑音が耳障りだ」 ギシギシアンア… ??「ちょっとあなたたち!いつもうるさいのよ!」 キョン「ん?外の廊下から声が…」 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 02:38:35.12 ID:i/RC3uL9O ギギギギ… キョン「なんだろう」 朝倉「もうちょっと隣近所のことを考えてください!」 キョン「あれ、朝倉…?」 朝倉「!?」ダッ バタン! キョン「あ、逃げた」 長門「朝倉涼子はここの2つ隣」 キョン「マジか!」 長門「マジ」 朝倉「(キョンくんにバレた…。私がこんなボロアパート暮らしだということを…。どうしよう)」 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 02:44:32.16 ID:i/RC3uL9O キョン「しかし驚いたな。長門と朝倉が同じアパートなんて」 長門「………」ツンツン キョン「どうした?」 長門「なんでも頼んでいいの…?」 キョン「ああ、気にするな。何でも頼め!」 長門「嬉しい」 キョン「良かった」 長門「わたし、ファミレスは初めて」 キョン「そうなのか」 長門「そう」 キョン「ゆっくり決めたらいいぞ」 長門「………」ジッ キョン「(かわいいと同時にかわいそうでもあるな)」 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 02:50:13.82 ID:i/RC3uL9O 長門「………」 キョン「決まったか?」 長門「わたし…、このハンバーグセットと言うのが食べてみたい…」 キョン「かまわんぞ」 長門「でも高いし…」 キョン「気にすんな!すいませーん」 ウェイトレス「ご注文はお決まりでしょうか?」 キョン「ハンバーグセットと日替わりセットAで。あ、ハンバーグセットはライス大盛りでお願いします」 長門「!!」 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 02:56:16.60 ID:i/RC3uL9O 長門「………」 キョン「長門?」 長門「わたしはあなたになんと言っていいかわからない。うまく言語化できない」 キョン「別にかまわんさ。気にするな」 長門「ありがとう…」 キョン「うん、それでいい」 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 03:02:17.11 ID:i/RC3uL9O 長門「」ゴクゴク キョン「………」 長門「」ゴクゴク キョン「………」 長門「」ゴクゴク キョン「おい長門」 長門「なに?」 キョン「なんでそんな水ばっかり飲んでるんだ?まだ注文きてないんだから控えといたほうが…」 長門「水が無料」 キョン「え?」 長門「こんなに水を飲めるのは久しぶり」 キョン「ああ…」 長門「家では、水は無料じゃないから」 キョン「すいません、彼女にドリンクバーも追加してください」 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 03:06:58.27 ID:i/RC3uL9O 長門「?」 キョン「ドリンクバー知らないのか」 長門「」コク キョン「この機械があるだろ?」 長門「?」 キョン「ここにコップを置いて、このボタンを押すと」 長門「!」 キョン「どれでも飲み放題だ」 長門「ありえない」 キョン「ありえるんだ、それが」 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 03:12:35.97 ID:i/RC3uL9O 長門「この水、色がついてる」 キョン「え?」 長門「泡がシュワシュワしてる」 キョン「まさか」 長門「わたしは、今までこれを見たことがない」 キョン「………」 長門「どうしたの」 キョン「目にゴミが入った…」 長門「大丈夫?」 キョン「ああ…」 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 03:15:55.42 ID:i/RC3uL9O 長門「………」ゴク 長門「!」 長門「この水、甘くて、刺激的」 キョン「それはメロンソーダって言うんだ」 長門「メロンソーダ…」 キョン「ああ」 長門「本で名前は読んだことがある」 キョン「実物がこれだ」 長門「緑色で、とても綺麗…」 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 03:20:26.42 ID:i/RC3uL9O ウェイトレス「お待たせしました」 キョン「そら来たぞ」 ウェイトレス「ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」 キョン「はい」 ウェイトレス「ごゆっくりどうぞ」 長門「…いい匂い」 キョン「食べていいぞ」 長門「いただきます」 キョン「いただきます」 長門「夢のよう」 キョン「(いかん、また涙が)」 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 03:27:02.96 ID:i/RC3uL9O 長門「これが牛肉…」 キョン「………」 長門「ご飯がたくさん」 キョン「………」 長門「野菜もたくさん」 キョン「………」 長門「嬉しい…」ポロポロ キョン「………」 長門「エラー発生。涙が止まらない」ポロポロ キョン「………」 子供「ママー、なんであの二人泣いてるの?」 客「こらっ、そんなこと言っちゃダメ!」 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 03:30:46.07 ID:i/RC3uL9O 長門「ごちそうさま」 キョン「なあ長門」 長門「?」 キョン「このグラタンやるよ」 長門「でも」 キョン「いいから」 長門「…ありがとう」 キョン「神様って残酷だな…」 77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 03:36:24.74 ID:i/RC3uL9O 長門「わたしはいま、満足感に包まれている」 キョン「お腹いっぱいか、良かったな」 長門「これが満腹感…」 キョン「その、なんだ。言っちゃ悪いんだが…」 長門「……?」 キョン「なんでそんな貧乏なんだ?親御さんはどうしたんだ?」 長門「親はいない」 キョン「…ごめん。忘れてくれ」 長門「?」 83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 03:42:34.02 ID:i/RC3uL9O ウェイトレス「ありがとうございましたー」 キョン「じゃあな、長門」 長門「わたしはあなたに改めてお礼を言いたい」 キョン「別にいいさ。今日は何回もお礼を言って貰ったしな」 長門「………」 キョン「じゃあな、長門。また明日」 長門「…また明日」 長門「あ」 長門「彼にあの話の続きをするのを忘れていた。うかつ」 92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 03:53:33.83 ID:i/RC3uL9O 翌日放課後 ハルヒ「どう、可愛いでしょう」 みくる「ふええ…」 キョン「メイド服?」 ハルヒ「そう!一式は結構高かったのよ!まあ仕方ないわよね」 キョン「………」 ハルヒ「あれ?気に入らなかった?こんな可愛いのに」 キョン「(世の中って不公平だな…)」 ハルヒ「おかしいわねえ。女のあたしでもどうにかなっちゃいそうなくらい可愛いのに。もしかしてあんたホモ?」 古泉「ホモ?」 99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 04:03:00.03 ID:i/RC3uL9O ハルヒ「まあいいわ!写真撮るわよ!」 長門「………」ペラ キョン「(長門は読書か…)」 ハルヒ「キョン、カメラマン代わって」 みくる「恥ずかしいですぅ!」 ハルヒ「みくるちゃん、暴れないの!ちょっとキョン!」 キョン「えっ?ああ何だハルヒ?」 ハルヒ「なんだじゃない!ぼーっとしちゃって!」 キョン「すまん」 ハルヒ「古泉くんもみくるちゃんにイタズラしましょ!」 古泉「いえ、後が怖そうだ」 ハルヒ「仕方ないわね」 古泉「見学だけでいいですか?」 キョン「なぜ面白そうな顔で俺を見る」 103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 04:12:37.71 ID:i/RC3uL9O ハルヒ「さて、写真もいっぱい撮れたところで、本題に入るわ」 キョン「本題?」 ハルヒ「次の土曜日!つまり明日!不思議探索に行くわよ!」 古泉「ナイスアイデアです」 キョン「なんだそりゃ」 ハルヒ「朝九時に北口駅前に集合ね!遅れないように。来なかったら死刑だから!」 キョン「それは電車に乗るのか?」 ハルヒ「いや、乗らないつもりよ」 キョン「良かった」 ハルヒ「なにがよ。電車が怖いの?」 キョン「いや、電車賃がだな…」 ハルヒ「何よそれ。電車賃に困るほど金欠なわけ?それは貧乏すぎるわよあんた」 キョン「おい!」 ハルヒ「な、なによ?」 長門「………」 108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 04:20:40.70 ID:i/RC3uL9O 翌日 ハルヒ「遅い。罰金」 キョン「九時には間に合ってるだろ」 ハルヒ「一番最後に来た奴は罰金なの。それがあたしたちのルールよ」 キョン「初耳だが」 ハルヒ「今決めたからね。だから全員にお茶おごること」 キョン「いやだね」 ハルヒ「団長命令よ」 キョン「そんなん聞けるか…」 長門「………」 キョン「気が変わった。奢るよ」 ハルヒ「?」 112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 04:26:17.51 ID:i/RC3uL9O キョン「長門」 長門「なに」 キョン「お前、服…」 長門「制服しか持ってない」 キョン「………」 長門「夏服、冬服、それぞれ2着ずつ。それが精一杯だった」 キョン「………」 ハルヒ「みくるちゃんの次の衣装、何がいいかしらね」 みくる「ふぇぇ〜、また着なくちゃならないんですかぁ?」 120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 04:32:36.54 ID:i/RC3uL9O ハルヒ「あたしこのDXジャンボパフェってのが…」 キョン「駄目だ」 ハルヒ「なによケチ。じゃあアイスコーヒー」 キョン「長門は」 長門「…いい」 キョン「遠慮すんな」 長門「あなたに悪い」 キョン「お前だけに奢らないなんてできん。どれでもいいから選べばいい」 ハルヒ「じゃあDXジャンボ…」 キョン「駄目だ」 長門「………」 長門「…アプリコット」 キョン「そうか」 127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 04:42:15.45 ID:i/RC3uL9O 同日昼 キョン「(長門が宇宙人で朝比奈さんが未来人…。信じられん)」 ハルヒ「昼ご飯にして、それから午後の部ね」 古泉「そうですね」 ハルヒ「ハンバーガーで良いんじゃない?」 古泉「よろしいかと」 キョン「奢るよ」 古泉「え?」 みくる「え?」 ハルヒ「さ、さすがに悪いわよ…」 キョン「いや、十分ほど遅れたしな。悪い」 ハルヒ「いや、別に気にしてないわよ。だから…」 キョン「いや、すまなかった。責任はとらなきゃならん」 133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 04:49:19.69 ID:i/RC3uL9O ハルヒ「キョン、なんかごめん…」 キョン「いや、ハルヒが謝ることは無いって」 みくる「ありがとうございます」 キョン「いえいえ」 長門「…感謝する」 キョン「気にすんな」 古泉「あの涼宮さんが謝っている…。上に報告しないと」 136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 04:56:55.80 ID:i/RC3uL9O ハルヒ「四時に駅前で落ち合いましょう。今度こそ何かを見つけてきてよね」 キョン「じゃあ長門。行くか」 長門「………」 キョン「長門。この前の話、少しは信じてもいいような気分になってきたよ」 長門「そう」 キョン「休みの日はいつも何してんのさ」 長門「じっとしてる。エネルギー消費を抑えるため」 キョン「そうかい…」 長門「そう」 キョン「今、楽しいか」 長門「幸せ」 キョン「そうかい。そりゃ良かった」 141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 05:02:35.67 ID:i/RC3uL9O キョン「長門って本好きだよな」 長門「割と」 キョン「どんな本が好きなんだ?」 長門「東海林さだおの丸かじりシリーズ」 キョン「………」 長門「池波正太郎の食事シーンの描写も素敵」 キョン「…図書館に行こうか」 長門「行く」 144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 05:09:11.94 ID:i/RC3uL9O 長門「………」 キョン「厚モノ好きだな」 長門「………」 キョン「やれやれ、夢中か。俺も本でも読むかな」 長門「………」 キョン「………」ジー 長門「………」 キョン「………」ジー 長門「………」 キョン「(いかん、何で長門ばっかり見てんだ俺は)」 146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 05:15:01.28 ID:i/RC3uL9O キョン「………」 brrrrrrrr キョン「おわ?」 キョン「もしもし?」 ハルヒ『何やってんのこのバカ!今何時だと思ってんのよ!』 キョン「すまん、今起きたとこなんだ」 ハルヒ『はあ?このアホンダラゲ!とっとと戻りなさいよ!三十秒以内にね!』 プッ キョン「長門を見てぼんやりしてたなんて言えんわなぁ…」 148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 05:26:25.92 ID:i/RC3uL9O キョン「長門、行くぞ」 長門「行かなきゃ、駄目?」 キョン「ハルヒはカンカンだ」 長門「もう少し、ここに居たい」 キョン「約束の時間はとっくに過ぎてるし、そういうわけにもいかんだろ」 長門「………」 キョン「そうだ。貸し出しカード作ってやるよ。そしたら家でもその本読めるぞ。待ってろ」 長門「もう少し、二人でいたい、と言うべきだった」 150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 05:32:22.00 ID:i/RC3uL9O キョン「お待たせ。ほら貸し出しカード」 長門「………」 キョン「大事に使えよ」 長門「わかった」キュッ 長門「早速、借りてくる」 キョン「ああ」 ――――――――――――――――― キョン「遅れてすまん」 ハルヒ「遅刻。罰k…」 ハルヒ「今回は許してあげる。次からは気をつけなさいよ」 キョン「わかったって」 みくる「長門さん、やけに大事そうに本を持ってますね」 長門「………」ギュッ 233 名前:保守ありがとうございます[] 投稿日:2009/05/31(日) 13:57:24.47 ID:i/RC3uL9O 月曜日 ハルヒ「あっつー」 キョン「………」パタパタ ハルヒ「あたしも扇いでよ」 キョン「自分でやれ」 ハルヒ「いいじゃない。ちょっとくらい」 キョン「あのさ、涼宮。お前『シンデレラ』って話知ってるか?」 ハルヒ「知ってるに決まってるでしょ」 キョン「『マッチ売りの少女』は?」 ハルヒ「知らない方がどうかしてる」 キョン「じゃあ、灰かぶりと少女の不幸を足して2で割ったような奴がいたとしたら、幸せになれると思うか?」 ハルヒ「あんた熱さで頭おかしくなってんじゃないの?」 キョン「いや、まあ何でもないんだけどな」 238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 14:04:37.28 ID:i/RC3uL9O キョン「変なこと聞いて悪かったな」 ハルヒ「………」 キョン「忘れてくれ」 ハルヒ「わからないけど」 キョン「ん?」 ハルヒ「王子様に出会えるかどうかね。出会わなかったら行き倒れるのがオチだわ」 キョン「………」 ハルヒ「で、なに?そんな奴があんたの知り合いにいるわけ?」 キョン「いや、まぁその、な」 ハルヒ「何よ。私がせっかくあんたのくだらない質問に答えてあげたのに」 キョン「色々と事情があるのさ」 ハルヒ「人に言えない話なら訊いてくんな」 キョン「悪かった」 ハルヒ「………」 240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 14:14:56.11 ID:i/RC3uL9O 同日 放課後 キョン「すいません朝比奈さん。着替え中だったとは」 みくる「わたしこそ、いつも恥ずかしいところばっかり見せちゃって…」 キョン「全然けっこうです」 長門「………」 キョン「よっす長門」 長門「………」 キョン「ふぅ」カチ ブイーン 長門「…それ」 キョン「ん?」 長門「興味がある」 キョン「PCか?」 長門「そう」 241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 14:19:59.47 ID:i/RC3uL9O キョン「そう。ここからドラッグしてきて…」 長門「………」カチカチ キョン「そうそう。飲み込みが早いじゃないか」 長門「そう」 キョン「このツールボックスから…」カチカチ ガチャ ハルヒ「………」 キョン「よう、ハルヒ」 ハルヒ「………」 バタン! キョン「なんだあいつ」 みくる「帰っちゃいましたね」 古泉「困ったものです」 243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 14:29:49.30 ID:i/RC3uL9O 翌日 キョン「坂道は疲れるな」 谷口「よっす。キョン」 キョン「おはようさん」ガチャ キョン「ん?手紙?」 キョン「余った授業プリントの裏か…。誰だか知らんが手紙くらい普通に書けよ」 248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 14:38:14.49 ID:i/RC3uL9O キョン「昨日はどうして帰ったんだよ。反省会をするんじゃなかったのか?」 ハルヒ「うるさいわね。反省会なら昨日一人でしたわよ。あたしは暑くて疲れてるの」 キョン「体調悪いのか?気をつけろよ。季節の変わり目だしな」 ハルヒ「早く衣替えしないかしら」 キョン「涼宮、もう謎探しはすっぱり止めて、普通の高校生らしい遊びを開拓したらどうだ」 ハルヒ「何よ」 キョン「男でもつくって市内の散策をすればいい。デートにもなって一石二鳥だ。お前なら男には困らんだろ」 ハルヒ「ふん。恋愛なんて精神病よ」 キョン「そうかい」 ハルヒ「言っとくけど、SOS団で恋愛は禁止よ。わかった?」 キョン「なんで強制されなきゃならんのだ」 ハルヒ「有希にちょっかいかけちゃ駄目だからね」 キョン「は?」 ハルヒ「ごめん、疲れてるの。そっとしといて」 キョン「あ、ああ」 251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 14:49:11.88 ID:i/RC3uL9O 放課後 団活終了後 ガラ 朝倉「遅いよ。入ったら?」 キョン「何の用だ?」 朝倉「ちょっと訊きたいことがあるの」 キョン「?」 朝倉「人間はさあ、よく『やらなくて後悔するよりも、やって後悔したほうがいい』って言うよね。これ、どう思う?」 キョン「言葉通りの意味だろうよ」 朝倉「じゃあさ、たとえ話なんだけど、現状を維持したらジリ貧になることが解ってるんだけど、どうすればいいか解らないとき。あなたならどうする?」 キョン「なんだそりゃ。もっと具体的に言ってくれ」 朝倉「全財産が5000円だとして、今月の家賃が払えるあてがない。そのとき、パチンコ屋が目の前にあったらどうする?」 キョン「…やけに具体的だな」 朝倉「入り口のところに、出玉増量!って書いてあったのよ。エヴァが激アツ!とも書いてあったの」 キョン「………」 朝倉「………」 255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 14:53:21.09 ID:i/RC3uL9O 朝倉「とりあえず、何でもいいから打ってみようって思うんじゃない?すでに2ヶ月家賃滞納して追い出されそうなんだし」 キョン「なあ、それって…」 朝倉「たとえ話よ…」 キョン「大丈夫か?」 朝倉「ちょっと待って。いまは前が見えないの」 キョン「…ハンカチあるか?」 257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 14:59:41.69 ID:i/RC3uL9O 朝倉「上の方にいる人は頭が固くて、仕送りがほとんどないの。でも現場はそうもしてられない。限界なのよ」 キョン「それは親御さんの話か?」 朝倉「観察対象は何も変化せず、このままだとあたしはずっと貧乏。だから…」 キョン「………」 朝倉「あなたを殺して涼宮ハルヒの出方を見る」 キョン「な!」 朝倉「ぅ…」バタン! キョン「朝倉!」 朝倉「うん、もう無理」 キョン「誰か!誰か来てくれ!」 262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 15:11:32.64 ID:i/RC3uL9O キョン「な!出口がない!」 朝倉「この空間はあたしの情報制御下にある。脱出路は封鎖した。でもあたしは再改変をするだけの体力がない」 キョン「わけがわからん」 朝倉「出ることも入ることもできないわ…」 キョン「じゃあ…」 朝倉「あたしたちはもう出られないわ。せめて一回だけでもプリンを食べてみたかった…」 キョン「朝倉?」 朝倉「あたし、有機生命体の死の概念がよく理解できなかったけど、いまようやくわかったわ…」 キョン「しっかりしろ!」 朝倉「川の向こうに…ご馳走が…鯖の味噌煮定食が…」 キョン「そんぐらいこの世にもあるから渡るんじゃない!逝くな!」 266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 15:19:29.08 ID:i/RC3uL9O ドゴーン!! 長門「一つ一つのプログラムが甘い」 キョン「長門!?」 朝倉「長門さん…」 長門「二人を助けにきた。この空間を正常化する」 キョン「元に戻っていく…」 長門「ぅ」バタン!! キョン「長門!」 長門「もう駄目…」 キョン「二人ともしっかりしろ!」 谷口「WAWAWA忘れ物〜」 キョン「あ…」 谷口「な…3P…」 キョン「いや、これは…」 谷口「ちくしょおおおお!!」 271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 15:33:35.21 ID:i/RC3uL9O キョン「とりあえず食え、二人とも」 朝倉「ありがとう…」 長門「ありがとう…」 キョン「金が無いから定食屋だが…」 朝倉「鯖の味噌煮定食…」 長門「コロッケ定食…」 朝倉「ねえ長門さん、ここって天国なの?」 長門「おそらくそう」 キョン「ちげーよ」 273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 15:38:10.11 ID:i/RC3uL9O 朝倉「一週間ぶりの食事…」 キョン「本当かよ…」 長門「土曜日以来…」 キョン「お前ら…」 朝倉「うぅ…うぇ…生きてて良かった…」ボロボロ キョン「………ゆっくり食えばいい」 277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 15:46:38.12 ID:i/RC3uL9O 朝倉「御馳走様でした」 長門「ごちそうさまでした」 キョン「なあ、お前ら…」 長門&朝倉「?」 キョン「バイトはしてないのか?」 朝倉「してるわ」 長門「わたしも」 朝倉「あたしはコンビニで」 長門「わたしは内職」 キョン「じゃあ飯くらいは食えるんじゃないか?」 朝倉「全部家賃に消えるわ…。ちなみに家賃は2万8000円」 長門「2万2000円」 キョン「安!なんで長門のほうが安いんだ?」 長門「前の住民が死…」 キョン「やっぱ言わんでいい」 282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 15:51:13.38 ID:i/RC3uL9O キョン「じゃあ親御さんからの仕送りは?」 朝倉「親御さんとは違うけど…、これだけ…」ス キョン「1?1万円か?」 朝倉「ううん…」 キョン「千円?」 朝倉「ワンコイン…」 キョン「ワンコイン…」 朝倉「小さいガチャポン1回分…」 キョン「しかも100円かよ!」 292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 16:02:51.61 ID:i/RC3uL9O 朝倉「本当、今日はごめんなさい。もうこんな生活に耐えられなくて…。あなたを殺すなんて物騒なことを…」 キョン「気にするな」 長門「気持ちはわかる」 朝倉「もう頭がふらふらで…なんとかしなきゃ、何か変えなきゃって…」 キョン「悪いのはお前じゃない。貧乏だ」 朝倉「キョンくん…」 295 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 16:08:22.06 ID:i/RC3uL9O キョン「しかし、情報改変だっけか?あれでお金を作るだとか食べ物を作ればいいんじゃないか?」 長門「情報改変には莫大なエネルギーが必要」 朝倉「そうなの。だからわたしはすんでで絶命するところだった」 キョン「そうなのか」 長門「そう。そして勝手に紙幣の流通量を改変することは世界経済に影響を与える恐れがある」 キョン「でも…」 長門「インフレを起こす」 キョン「命がかかってるのに健気だ…」 298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 16:20:04.38 ID:i/RC3uL9O 朝倉「でもどうしよう…今月の家賃が払えない…」 キョン「なんで今はそんな苦しいんだ?」 朝倉「入学金とか教科書代とか…」 キョン「それも全部自腹なのか…」 朝倉「どうしよう…追い出されちゃう…」 長門「わたしのところに来ればいい」 朝倉「でも…」 長門「気にすることはない」 朝倉「長門さん…」 キョン「四畳半に二人…悲しすぎる…」 302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 16:28:52.82 ID:i/RC3uL9O 朝倉「今日はありがとう…おかげで助かったわ」 長門「命拾いをした」 キョン「良かったよ」 朝倉「じゃああたしたち、こっちだから」 キョン「あ!ちょっと待ってろ!」タッ 長門&朝倉「?」 キョン「お待たせ。コレ、持って帰れ」 朝倉「プッチンプリンが2つ…」 長門「ジュースまで…」 キョン「朝倉、食べたいって言ってただろ?二人で分けてくれ」 朝倉「うぅ…」ポロポロ キョン「泣くなって」 長門「………」グス キョン「長門まで…」 369 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 19:21:45.90 ID:i/RC3uL9O キョン「あーあ、格好つけて飯を奢ったのはいいものの」 キョン「俺もそんなに金持ってるわけじゃないしな」 キョン「…バイトすっか」 ピッピッ prrrr 古泉「もしもし」 キョン「よう。夜分遅くにすまんな」 古泉「いえいえ。何の用でしょう」 キョン「お前、何のバイトをしてるんだ?」 古泉「ええと、それは…」 キョン「勤務時間とかは?」 古泉「夜とか深夜が多いですかね」 キョン「え?」 古泉「体をはる仕事ですよ」 キョン「わ、悪かったな。それじゃ!」 古泉「何か勘違いされた気がします」 375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 19:25:35.74 ID:i/RC3uL9O 翌日 岡部「えー、朝倉さんはお家の都合で欠席だそうだ」 キョン「朝倉、どうしたんだ?」 ハルヒ「なに?あんた気になるわけ?」 キョン「ああ、一応クラスメイトだしな」 ハルヒ「どうせ大した理由じゃないわよ」 キョン「ところでハルヒ」 ハルヒ「なによ」 キョン「俺、バイトしようと思うんだ」 ハルヒ「は?」 378 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 19:30:49.60 ID:i/RC3uL9O ハルヒ「どうしたのよ、急に」 キョン「なんとなくな」 ハルヒ「団活を休もうってわけ?駄目よそんなの」 キョン「ちょっと最近金に困ってるんだよ。頼む」 ハルヒ「………」 キョン「ハルヒ?」 ハルヒ「わかったわ。こないだ無理に出費させちゃったし仕方ないわね。週2日までよ!」 キョン「わかったよ」 382 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 19:42:51.91 ID:i/RC3uL9O 放課後 ガチャ キョン「遅れた」 ハルヒ「ちょっとキョン!あたしの置いてたお菓子食べたでしょ!」 キョン「え?そんなの知ら」 長門「………」 キョン「俺が食った!」 ハルヒ「しねっ!」ズン! ハルヒ「人のもん勝手に食べてんじゃないわよ!」 キョン「うぐっ…、すまん。腹が減ってたんだよ」 ハルヒ「まあいいわ。次は死刑だから!」 キョン「くそ、あのバカ力…」 みくる「キョンくん、ごめんなさい。わたしのせいで…」ボソ キョン「え!?朝比奈さんだったんですか?」 長門「………」 394 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 19:55:45.87 ID:i/RC3uL9O ハルヒ「じゃあ今日の活動は終了!じゃあね」スタスタスタ 長門「………」 キョン「長門、一緒に帰らないか?」 長門「」コク キョン「じゃあ行こうか」 ―――――――――――――――――― 長門「………」 キョン「どうした?急にしゃがみこんで」 長門「これ」 キョン「花が咲いてるな」 長門「………」 キョン「(花が好きなのか)」 長門「ここからここまでが可食」 キョン「待て」 396 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 19:59:26.76 ID:i/RC3uL9O 長門「もともとタンポポは食用として」 キョン「タンポポ談義はいい」 長門「オオバコは薬にもなる」 キョン「オオバコも今はいい」 長門「よもぎは万能」 キョン「いやだから」 長門「でもキョウチクトウとツツジには気をつけたほうがいい。毒がある」 キョン「詳しいな」 長門「体で覚えた」 キョン「………」 401 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 20:05:25.87 ID:i/RC3uL9O 長門「我が家では七草粥は基本」 キョン「確かに道端で手に入るしな」 長門「秋にはキノコ狩り」 キョン「危ないぞ」 長門「ここらへんだと、ドクツルタケとニセタマゴテングタケに注意すればあまり命の心配はない」 キョン「詳しいな」 長門「生活がかかっているから」 キョン「身につまされる話だ」 長門「少し歩けばイグチ属のキノコがよく生えている」 キョン「イグチ?」 長門「自然は素敵」 キョン「苦労してるんだな」 412 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 20:15:25.82 ID:i/RC3uL9O 長門「あ」 キョン「ん?」 長門「これ」 キョン「扇風機が捨ててあるな」 長門「直せばまだ使える?」 キョン「使えそうだ。綺麗だしな」 長門「でもうちには工具が無い」 キョン「明後日、工具を持ってきて直してやるよ」 長門「本当?」 キョン「ああ」 長門「迷惑かけてばかり」 キョン「俺は好きでやってるんだよ」 長門「………」 416 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 20:21:18.07 ID:i/RC3uL9O キョン「じゃあな長門」 長門「じゃあ」 キョン「俺は明日バイトだから、また明後日」 長門「明後日」 キョン「………」 キョン「タンポポって食えるのか…」 喜緑「こんばんは」ペコ キョン「あ、こんばんは」ペコ キョン「誰だあれ?同じ学校だけど…」 419 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 20:28:21.57 ID:i/RC3uL9O 翌日 放課後 キョン「今日からよろしくお願いします」 店長「ああ、よろしくね。わからないことがあったら彼女に聞いて」 キョン「はい。って」 朝倉「キョンくん!?」 キョン「朝倉!」 店長「何?知り合いなの?」 424 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 20:38:31.16 ID:i/RC3uL9O キョン「まさか朝倉がここでバイトしてるとはな」 朝倉「学校の人に会わないようにちょっと外れたところを選んだんだけどな」 キョン「俺もだよ」 朝倉「じゃあ考え方が似たもの同士ってことね♪」 キョン「なあ、なんで昨日と今日は学校来なかったんだ?」 朝倉「引っ越しの準備で忙しくって」 キョン「そうか」 ♪♪♪ キョン&朝倉「いらっしゃいませ〜」 ハルヒ「あんたの働く姿を見に来てあげたわよ!」 キョン「げ、ハルヒ」 432 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 20:46:26.48 ID:i/RC3uL9O ハルヒ「あんたその服似合わないわね…って」 朝倉「いらっしゃい涼宮さん」 キョン「………」 古泉「おやおや」 みくる「ふえ?」 ハルヒ「へぇ…あんたそういうことだったの」 キョン「いや、これはたまたまだな…」 ハルヒ「うっさい!帰る!」 長門「………」 みくる「わたしはどうしたら…」 古泉「バイトが入りました」 キョン「こんな時間から開いてるのか!?古泉!?」 古泉「勘違いしてませんか?」 435 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 20:54:44.55 ID:i/RC3uL9O キョン「なんでだ?俺はハルヒにこのコンビニだと教えた覚えは無いが…」 みくる「でも涼宮さん、一発でこのお店を引き当てましたよ」 長門「彼女の力」 キョン「厄介な…」 みくる「じ、じゃあ、わたしたちはお仕事の邪魔なんで帰りますね」 長門「わたしも」 キョン「あ、ああじゃあな」 朝倉「ありがとうございました−」 キョン「やれやれ」 437 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 21:09:02.81 ID:i/RC3uL9O 朝倉「お疲れ様」 キョン「お疲れ。上がりの時間まで一緒とはな」 朝倉「すごいよね。示し合わせたわけでもないのに」 キョン「あるんだな。こんなことが」 朝倉「そうね。うふふ」 キョン「しかし、意外と喉が辛い。レジでちょっと声出してるだけなのに」 朝倉「そうなの?あたしはそうなったことないなー。宇宙人だから」 キョン「いいな、宇宙人」 朝倉「でも気づいたらホットスナックを勝手に食べてたことはあるわ。宇宙人だから」 キョン「宇宙人関係ないだろ」 445 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 21:19:11.53 ID:i/RC3uL9O キョン「よくクビにならなかったな」 朝倉「そこは情報操作を使ったわ。生活がかかっていたもの」 キョン「確かにな」 朝倉「でも情報操作のほうがカロリー使うから結局マイナスだったのよね」 キョン「大変だったな」 朝倉「コンビニバイトなら廃棄のお弁当を貰えるかと思ったんだけど、貰えないし」 キョン「そうなのか」 朝倉「…他のバイトのほうが良かったかなあ」 キョン「ミスドは箱一杯に余ったドーナツくれるらしいな」 朝倉「ちょっと!それを早く言ってよ!」 448 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 21:27:59.02 ID:i/RC3uL9O キョン「まあ終業時間までいないといけないんだがな」 朝倉「あたしは学校もあるしなぁ…。あんまり遅くなるのは勘弁よね。自炊だし」 キョン「朝倉って料理できるのか?」 朝倉「もちろんよ!」 キョン「得意料理は?」 朝倉「おでん」 キョン「…具は?」 朝倉「貰ってきた野菜クズとか、パンの耳とか魚のアラを醤油を入れて煮て…」 キョン「おでん?」 451 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 21:33:47.20 ID:i/RC3uL9O 朝倉「おでんだと思えばおでんの味がするのよ」 キョン「しねーよ」 朝倉「パンの耳がアクセントになるの」 キョン「でろでろじゃねーか。他にはどんな料理作るんだ」 朝倉「もっぱら野草を使った料理が多いわね」 キョン「お前もか…」 朝倉「でも最近はガス止められてて…」 キョン「八方塞がりってやつか」 456 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 21:41:05.64 ID:i/RC3uL9O キョン「しかしこれからは二人で暮らすわけだし、もっとマシな物は食えるようになるんじゃないのか」 朝倉「だと良いんだけどね…。家賃で長門さんの収入は吹っ飛んで、あたしの稼ぎがだいたい3万強」 キョン「ひと月の食費が一人だいたい1万5000円か」 朝倉「………」 キョン「朝倉?」 朝倉「嘘。そんなに使えるなんて…」 キョン「一体どんな生活してたんだよ…」 461 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 21:48:20.04 ID:i/RC3uL9O 朝倉「そんだけあったら白米が毎日食べられる!」 キョン「今までは3日に1ぺんくらいだったのか?」 朝倉「もうご飯に混ぜものしないですむのね!」 キョン「戦中か」 朝倉「白いご飯…。なんて素敵なのかしら。日本人で良かったわ!」 キョン「宇宙人だろ」 朝倉「あたしの人生薔薇色」 キョン「ああ、薔薇色だな…」 472 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 22:13:50.31 ID:i/RC3uL9O 朝倉「そうね、これでちゃんとしたおでんも作れるかも」 キョン「そうだな。節約すればな」 朝倉「明日から楽しみだわ!」 キョン「え、明日からもう同居するのか」 朝倉「ええ、すっごく楽しみ」 キョン「明日、俺も長門の家に行くことになってるからよろしくな」 朝倉「え!あなたも同居するの?あたしたち一応女だし…四畳半に3人はさすがに狭いというか…」 キョン「違うって。扇風機を直しに行くだけだ」 朝倉「へ?あ、ああ、そうよね!同居するわけないわよね!」 キョン「?」 476 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 22:19:37.94 ID:i/RC3uL9O 朝倉「じゃあ明日、あたしが手料理をご馳走するわ」 キョン「へ?」 朝倉「ふふ、こないだの恩返し!」 キョン「いや、いいぜ。気を使わなくて」 朝倉「気にしないで。あたし、頑張るから」 キョン「(いったい何を食わされるんだろう)」 487 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 22:30:51.31 ID:i/RC3uL9O 翌日 キョン「ハルヒは今日は欠席か。団活は無しだな」 長門「………」 キョン「よし、じゃあ行くか長門」 長門「」コクコク ギギ…ギイ… キョン「お邪魔しまーす」 朝倉「いらっしゃい♪」 キョン「おお、若干家具増えたな」 朝倉「あたしの家にあったやつね」 キョン「冷蔵庫がある」 朝倉「長門さん、冷蔵庫持ってなくてびっくりしたわよ」 長門「採集したものは新鮮なうちに食べる。それが乙な食べ方」 キョン「………」 489 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 22:38:56.45 ID:i/RC3uL9O キョン「じゃあさっそく扇風機直すか」 朝倉「じゃ、あたしは材料をとりにいくわ」 キョン「買いにいくじゃなくて?」 朝倉「あ、そうだ。パンの耳も買わなきゃ!ありがとねキョンくん」 キョン「…どういたしまして」 長門「今日は土手の辺りが狙い目」 朝倉「知ってるわよ、長門さん。ふふ」 キョン「話が通じている…」 499 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 22:45:07.62 ID:i/RC3uL9O キョン「ここがこうで、こうなって…」 長門「ここの配線」 キョン「あ、なるほど。じゃあこっちをこうして繋げれば…」 長門「そう」 キョン「後は羽をテープで補修すれば…よっし直った!長門、プラグ挿して」 長門「わかった」 キョン「スイッチON!」 ぶおおおおおお キョン「いい風だ」 長門「いい」 キョン「これで冷房が無いこの部屋でもちったあ夏がマシになるだろ」 長門「あ゛――――」 キョン「はは、宇宙人もそれやるんだな」 509 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 22:51:58.00 ID:i/RC3uL9O 朝倉「ただいまぁ」 キョン「おかえり」 朝倉「あら、扇風機!」 キョン「直ったぞ。すげえだろ」 朝倉「すごいすごい」 長門「〜♪」 朝倉「夏はずっと団扇だったから助かるわ」 長門「駅前でただで配ってるやつ」 朝倉「そう、それ。あたしはauのやつね」 長門「わたしはメディアカフェPOPEYE」 キョン「なんで通じるんだよ」 朝倉「あ゛――――」 キョン「あ、やっぱやるんだそれ」 朝倉「マナーよ」 キョン「マナーか」 517 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 23:02:26.00 ID:i/RC3uL9O 朝倉「修理を頑張ってくれた二人に、わたしからのご褒美!」 キョン「なんだ?」 長門「」ワクワク 朝倉「じゃーん!お肉〜!」 長門「!!」 キョン「おお…」 朝倉「250g398円の高級品よ!あたしは実に2年ぶりに買ったわ!」 長門「あなたは優秀」 朝倉「でしょ!見てこの真っ赤なお肉を!」 長門「アカミー賞主演男優賞間違いなし」 朝倉「そうよね!キョン君も嬉しい?」 キョン「嬉しいよ…」グス 朝倉「あらあら、泣くことないじゃない。ふふ」 529 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 23:11:52.48 ID:i/RC3uL9O 朝倉「じゃあちょっと待ってて。すぐ料理しちゃうから」 キョン「楽しみだな」 長門「楽しみ」 ―――――――――――――――――― 朝倉「できたわよ」 キョン「なんと…」 長門「あなたはとても優秀」 キョン「いただきます」 長門「いただきます」 キョン「美味い…」 朝倉「野菜クズが割ともらえたからね。タンポポの苦味がアクセントになって良いでしょ」 キョン「特にこの煮物が美味いな。これ何?」 朝倉「おでんよ」 キョン「いや、おでんではない」 535 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 23:19:37.77 ID:i/RC3uL9O 朝倉「今日は奮発して白米も炊いたわ!3人で1合よ!」 長門「おお」 キョン「………」 朝倉「しかも混ぜもの無しよ!お粥でもないの!」 長門「素敵」 キョン「このおでん、少ししょっぱいぜ…」 長門「涙が入っている」 朝倉「こんな豪勢な食事が食べれるなんて夢みたいね」 553 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 23:37:40.97 ID:i/RC3uL9O キョン「ご馳走様でした」 長門「ごちそうさま」 朝倉「お粗末さまでした」 キョン「ところで、お手洗いに行きたいんだが」 朝倉「1階に共同トイレがあるわ」 キョン「そういえば、風呂はどうしてるんだ?」 長門「流し」 朝倉「流しね」 キョン「流しって…」 長門「そう。そこ」 朝倉「狭いんだけど工夫すればなんとかなるわ」 長門「このアパートは流しが少しだけ大きい。それが入居の決め手」 朝倉「そうなのよね。頑張ればぎりぎりなんとかなるラインだもの」 長門「冬は地獄」 キョン「………」 564 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 23:48:18.80 ID:i/RC3uL9O 朝倉「身を切られるような寒さってあのことよね」 長門「隙間風もひどい」 朝倉「お湯沸かすとガス代かかっちゃうし」 長門「根性でカバー」 朝倉「あたしは一応心臓マッサージしてから入るわ。危ないから」 長門「その死に方は笑えない」 朝倉「本当よ。流しの前で裸で倒れてるなんて」 長門「みじめすぎる」 朝倉「でも女として、不潔にするのだけは嫌じゃない」 長門「女の意地。最後の尊厳」 朝倉「ねー」 キョン「(ここではこれが常識なんだなぁ)」 576 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 23:57:35.92 ID:i/RC3uL9O 朝倉「髪の毛が長いのが面倒くさいのよ」 長門「切ればいい。短いほうが楽」 朝倉「長門さん、ショートヘアーが似合うわよね。でも自分で切るのって難しいじゃない?」 長門「わたしは自分で切ってる」 朝倉「すごい。あたしも切ってもらおうかしら」 長門「あなたの髪の毛なら高く売れる」 朝倉「あら、それいいわ。売ったお金でパーッとささみでも買いに行きましょうか」 長門「いい考え」 キョン「(自分で切るのが前提なんだな)」 582 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 00:07:12.99 ID:KOLZKwZ+O 朝倉「これから暑くなるけど、この部屋ってどう?涼しいの」 長門「蒸し風呂」 キョン「だろうな」 朝倉「どこも同じね」 長門「ゴキブリが心配」 キョン「わくのか」 朝倉「かなり。古いからね」 長門「今年は朝倉涼子がいるから安心。駆除を一任する」 朝倉「嫌よ」 キョン「二人ともゴキブリが怖いのか」 長門「うっかり本気を出しそうになる」 朝倉「あたしも」 キョン「このアパート崩れるぞ」 595 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 00:18:06.37 ID:KOLZKwZ+O 朝倉「春、夏、秋はいいわ」 キョン「なんで?」 長門「外に食べ物がたくさん」 キョン「そうかい」 長門「春はあの竹林に筍」 朝倉「あそこは管理が甘いから楽勝よね」 長門「野草も多い」 朝倉「つくし良いよね」 長門「ふきのとうも自生している」 朝倉「夏、秋はキノコが多いし」 長門「向こうの雑木林に以前タマゴタケが生えていた」 朝倉「へえ、今度行ってみようっと。そういえば去年、コレラタケ食べて死んだヒューマノイドインターフェースいたわね」 長門「彼女はうかつ」 キョン「え?宇宙人ってお前ら以外にもいたの?」 601 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 00:26:30.48 ID:KOLZKwZ+O 朝倉「けっこういたわよ」 長門「送り込まれたのは全部で13体」 キョン「いた、って…」 朝倉「残ったのは3体だけ」 長門「生存競争は厳しい」 キョン「NHKで特集組んで流せそうなくらい過酷だな」 長門「ほとんどの死因は中毒死」 朝倉「ドクゼリ食べて3人死んだわよね。ハシリドコロで1人だっけ」 長門「そう。私たちも、中毒は1度や2度ではない」 朝倉「医者にかかれないから自然治癒に頼るしかないし、辛いわ」 キョン「思念体って馬鹿だろ」 612 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 00:33:35.75 ID:KOLZKwZ+O キョン「え?でも3体って、あともう一人は?」 朝倉「ああ、それは2年の喜緑江美里…」 長門「禁則事項」 朝倉「あっ!」 キョン「喜緑?」 長門「………」 朝倉「聞かなかったことにして?」 キョン「あぁ、まあいいけど」 長門「………」 622 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 00:47:20.03 ID:KOLZKwZ+O キョン「お、もうこんな時間か」 朝倉「帰るの?」 キョン「そうだな。もう遅いし」 長門「別に、泊まっていっても構わない」 朝倉「!!」 キョン「はは、四畳半に3人は無理だろ」 長門「そう」 朝倉「(さすがキョンくん、動じない…)」 キョン「じゃあな二人とも」 ギギギ… キョン「今のって…。いや、まさかな。長門なりのジョークだろ」 626 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 00:58:50.62 ID:KOLZKwZ+O 翌日 ハルヒ「ねえ、ちょっとキョン!」 キョン「うわ、どうしたハルヒ!?」 ハルヒ「SOS団にお客さんが来たのよ!」 キョン「なんだ、俺はてっきりバイトのことを怒られるかと…」 ハルヒ「あたしはそんなに度量が小さくないわ」 キョン「(さっきまで口聞いてくれなかったくせに)」 ハルヒ「今呼ぶわね。喜緑さん!喜緑江美里さーん!」 キョン「喜緑?」 喜緑「はじめまして。喜緑です」 キョン「あっ、あの時の…」 喜緑「一度、お会いしましたね」 ハルヒ「知り合いなの?まあいいわ」 629 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 01:08:42.27 ID:KOLZKwZ+O ハルヒ「じゃああなたのアッシーが消えたってことね」 喜緑「ええ」 キョン「アッシーって死語じゃないのか?」 喜緑「都合の良い男が失踪しちゃって、私どうしたらいいか…」 ハルヒ「わかったわ。キョン!失踪現場を見てきなさい!」 キョン「はあ?なんで俺が」 ハルヒ「どうせその男は他の女のところでも行ってんのよ。私が出る幕じゃないわ」 キョン「依頼人の前でそんなこと言うか?」 ハルヒ「つべこべ言うな」 キョン「やれやれ」 喜緑「よろしくお願いしますね」 634 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 01:23:37.45 ID:KOLZKwZ+O キョン「えーと、喜緑さん?」 喜緑「なにかしら?」 キョン「早く失踪現場に連れてって欲しいんですが」 喜緑「ああ、あれは嘘です」 キョン「はい?」 喜緑「ヒューマノイド・インターフェースがただの人間如きと関わりを持つわけないじゃないですか」 キョン「え」 喜緑「朝倉さんから聞いたんでしょう?私の秘密」 キョン「いやまあ」 喜緑「とりあえず立ち話も何だから、私の家に行きましょう」 キョン「はぁ…」 639 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 01:31:48.20 ID:KOLZKwZ+O 喜緑「………」スタスタ 喜緑「ここです」 キョン「あ、やっぱりここですか。流しが広いですもんね」 喜緑「流し?」 キョン「1階ですか?2階ですか?」 喜緑「誤解です」 キョン「5階なんてありませんよ」 喜緑「いえ、私はこっちの分譲マンションに住んでいます」 キョン「なん…だと…」 喜緑「ここの最上階です」 キョン「………格差社会か」 643 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 01:39:31.69 ID:KOLZKwZ+O 喜緑「むさ苦しいところですが、どうぞ」 キョン「一流ホテルみたいだ…。いや行ったことないが」 喜緑「ほら、眺めも良いですよ」 キョン「本当ですね」 喜緑「見て見て!キョンくん!」 キョン「?」 喜緑「貧乏人どもの住まいが見えるわ!」 キョン「………」 喜緑「あんなアパートに住む人なんているのかしら?」 キョン「………」 650 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 01:44:21.77 ID:KOLZKwZ+O 喜緑「さて、本題に入りましょうか」 キョン「その前に質問があります」 喜緑「なに?」 キョン「なんであなただけ、こんなに裕福なんですか?」 喜緑「なんでって言われてもなぁ」 長門「それはわたしから説明する」 キョン「長門!なんでここに?」 長門「ご都合主義」 キョン「言っちゃ駄目だろ」 654 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 01:54:44.47 ID:KOLZKwZ+O 長門「彼女もわたしたちと同じ、ほとんど無一文でこの星に投げ出された」 キョン「その時点で俺は泣きそうなんだが」 長門「わたしたちのほとんどが街へ適応しようと努力する中、彼女は一人、山へと籠もった」 キョン「大山倍達かよ」 長門「その結果、彼女は野生を獲得し、山のヌシとなった」 喜緑「懐かしいわ」 長門「鶴屋山の野生動物が絶滅しかけたのは彼女のせい」 キョン「動物愛護の精神を大事にしよう」 長門「そして、感謝の正拳1万回、菩薩拳の会得など、数々の修行を経た彼女に転機が訪れた。2年前の話」 キョン「そのレベルですでに成功への片道切符は掴めてるよな」 長門「彼女は竹やぶの中で1億円を拾った」 キョン「山ごもりのくだりいらねーだろ」 664 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 02:06:30.33 ID:KOLZKwZ+O キョン「じゃあそれで喜緑さんはこんなにリッチなのか」 長門「違う。本領はここから」 キョン「なに?」 長門「彼女はその1億円を元手に、株式の投資を始めた。彼女の能力を持ってすれば、株など金のなる木」 キョン「まあそうだろう」 長門「しかし彼女の中の野生はそんなことでは満足しなかった」 喜緑「PCの画面越しではリアルは伝わらないんですよ」 長門「そして彼女の行き着いた先はギャンブル」 キョン「株も一種のギャンブルじゃん」 長門「彼女は賭郎会員権を手にし、館越えに向けて着実に勢力を伸ばしつつある」 キョン「YJで絶賛連載中」 長門「表向きは全国700店舗を持つ外食産業JFグループの取締役として君臨し、裏では生粋のギャンブラーとして暗躍する彼女を、人はこう呼んだ」 長門「賭博黙示録ワカメ、と」 喜緑「誰がワカメよ」 674 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 02:20:16.84 ID:KOLZKwZ+O 長門「以上。説明終わり」 キョン「なんとまあ…」 喜緑「手間が省けて助かったわ」 キョン「それで話って」 喜緑「いえね。私も正体がばれちゃった以上、あなたに挨拶をしようかと思ったんです」 キョン「本当にそれだけか」 喜緑「ええ。そうですよ」 キョン「嘘だ!」 喜緑「なぜ?」 キョン「こんだけ説明に時間かけて、登場がここだけなんてあり得るか!」 喜緑「どんな理由なんですか」 キョン「吐け!ワカメ!」 喜緑「殴るぞ」 677 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 02:26:08.39 ID:KOLZKwZ+O 喜緑「もともと私は思念体でも穏健派に属していて、涼宮さんをどうこうする気はないんです」 キョン「ふむ」 喜緑「それに私はあなたたち貧乏人にかまってるヒマは無いの」 キョン「貧乏人とか言うな」 喜緑「最近、嘘喰いとかいうギャンブラーがのさばりだして忙しいので」 キョン「死亡フラグたてないでください」 喜緑「そういうことなんで、わかったらとっとと帰ってください」 681 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 02:34:36.11 ID:KOLZKwZ+O 長門「気に入らない」 キョン「長門…?」 喜緑「あら」 長門「あなたはいつもお金の話。お金をイコール力や幸せだと思っている」 喜緑「なにか間違ってる?」 長門「間違い。わたしはお金にかえられない、確かな幸せをみつけた」 キョン「………」 喜緑「教えて欲しいものですね。それは一体なんなのかを」 長門「それは…」チラッ キョン「…長門」 喜緑「さあ、早く」 キョン「長門、言ってやれ」 長門「」コク 長門「知りたければお金をよこs」 キョン「台無しか!」 740 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 04:12:17.00 ID:KOLZKwZ+O キョン「じゃあ喜緑さん、そういうことで」 長門「………」 喜緑「さようなら」 喜緑「お金では得られない幸せ、ね…」 キョン「長門、それ…」 長門「魚肉ソーセージ。持ってきた」モフモフ キョン「泥棒すんなよ」 744 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 04:24:59.53 ID:KOLZKwZ+O 翌日 ハルヒ「キョン、暑いわ」 キョン「知らん」 ハルヒ「みくるちゃんの次の衣装なにがいい?」 」 キョン「朝比奈さんに服を買うんだったら、部室にお菓子とか山ほど置いて欲しいな」 ハルヒ「花より団子ってワケ?健全な男子がそんなことじゃ先が思いやられるわね」 キョン「ほっとけ」 ハルヒ「まあいいわ。あたしは掃除当番だから先に部室行っといて」 キョン「はいよ」 746 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 04:38:17.88 ID:KOLZKwZ+O コンコン ガチャ キョン「どうも」 みくる「お茶入れますね」 長門「………」トテトテ キョン「?」 長門「またパソコンを教えて欲しい」 キョン「おう、いいぞ。まあ言ってもあんま詳しくは無いんだけどな」 長門「感謝する」 キョン「まあ座れよ」 みくる「この二人仲良いなあ…」 751 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 04:58:15.53 ID:KOLZKwZ+O キョン「なあ長門…、昨日までパソコンいじったこと無かったよな?」 長門「」コク キョン「なんでレジストリをいじれるレベルにまで達してるんだ?」 長門「機械語が読めればそれほど難しいことではない」 キョン「“機械語が読めれば”が難しいんだよ」 長門「1から説明する」 キョン「立場逆転ですか」 長門「…座って」サッ キョン「座るって、同じ椅子に半分ずつ?」 長門「いや?」 キョン「いやじゃないが」 長門「座って」 キョン「失礼します」 長門「いい」 755 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 05:18:51.76 ID:KOLZKwZ+O 長門「数値をバイナリデータとして捉え…」 キョン「長門」 長門「なに」 キョン「すまん、俺にはわかりそうもない」 長門「…そう」シュン キョン「だから、ネットしないか」 長門「?」 キョン「食べログ見て、近所の安くて美味い店見つけよう。そんで朝倉も誘ってさ…」 長門「…いいの?」 キョン「ああ、3人で行こう」 バン ハルヒ「何やってんの、あんたら」 みくる「(空気読んでほしいなぁ)」 759 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 05:31:27.52 ID:KOLZKwZ+O ハルヒ「あんた、物静かな娘がタイプだったの?」 キョン「なんのこった」 ハルヒ「とりあえず、そこのきなさいよ。団長席よ」 キョン「わかったよ」スッ 長門「………」スッ ハルヒ「じゃあ、あたしは今から読書に耽るから、邪魔しないでね。みくるちゃん、そこの棚にあるフロイトの『夢分析』とって」 みくる「ど、どうぞ」 長門「わたしも本を読む」 キョン「じゃあ俺も。長門、オススメは?」 長門「これ」 みくる「わたしも本読もっかな」 ガチャ 古泉「うわっ」 古泉「みんな無言って気持ち悪いですね」 826 名前:やべ埋まりそう[] 投稿日:2009/06/01(月) 12:57:37.17 ID:KOLZKwZ+O ハルヒ「…キョン」 ハルヒ「起きてよ」 ハルヒ「起きろってんでしょうが!」 キョン「うおっ」 ハルヒ「やっと起きた?」 キョン「ここどこ?」 ハルヒ「知らないわよ。いつの間にかここにいて。空も変だし…」 キョン「夢かこれ?」 ハルヒ「夢だったらいいんだけど…。でも、キョンと夜の学校で二人きりって…フロイト的に解釈すると」 キョン「?」 ハルヒ「良くない!全然良くないわ!」 キョン「一人で何ぶつぶつ言ってんだ」 839 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 13:06:49.47 ID:KOLZKwZ+O ハルヒ「いや、でも…二人きりで…夢で…」 キョン「なにまだもごもごしてるんだ」 ハルヒ「…ちょっと探検してくる」タッ キョン「お、おい」 キョン「なんだあいつ」 古泉(●)「やあ、どうも」 キョン「うわ!なんだこれ!」 古泉(●)「僕です。古泉です」 キョン「嘘つけ!古泉はそんなに丸くないぞ!赤くもない」 古泉(●)「本当は事前にいろいろ説明したかったのですが…、なかなかあなたがつかまらなくて」 キョン「あっちいけ!この化け物!」 古泉(●)「」ブンッ キョン「うげぇ!」バキッ 古泉(●)「とりあえず話を聞きなさい。正座で」 キョン「はい…」 843 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 13:14:10.16 ID:KOLZKwZ+O 古泉(●)「かくかくしかじかというわけです」 キョン「信じられんが信じざるを得ないようだな」 古泉(●)「まだ足崩しちゃ駄目です」 キョン「ごめんなさい」 古泉(●)「あなたが帰還するには、涼宮さんをどうにかする必要があります。それについて、お二方から伝言があります」 キョン「ふむ」 古泉(●)「長門有希からは『パソコンの電源を入れるように』。朝比奈みくるからは」 キョン「朝比奈さんからは?」 古泉(●)「わたしの出番が少ない、と」 キョン「それは仕方ないな」 古泉(●)「今回特に空気ですよね。では」 キョン「…消えた」 846 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 13:26:02.21 ID:KOLZKwZ+O YUKI.N>みえてる? キョン『ああ。どうすりゃいい』 YUKI.N>わたしからはどうにもならない。 キョン『おい』 YUKI.N>わたしたちは、この星の過酷な環境でいろいろな感情を得た。 キョン『過酷なのは思念体のせいだと思うが』 YUKI.N>空腹感や死への恐れなど、本来ならば情報だけの存在の我々が持ちえない感情 キョン『持たんでいい』 YUKI.N>中でも、あなたにはいろいろなことを教えてもらった YUKI.N>涙を流したのは初めてだった キョン「………」 YUKI.N>あなたに賭ける 858 名前:マルチしてないのにみーライオンと2回さるさんくらった[] 投稿日:2009/06/01(月) 15:01:53.63 ID:KOLZKwZ+O YUKI.N>涼宮ハルヒは重要な観察対象。もう二度と宇宙に同様の能力をもつ存在は生まれないかもしれない。 キョン『そうだろうな』 YUKI.N>しかし、涼宮ハルヒという一個体は二度と生まれない。 キョン『そうだな』 YUKI.N>あなたもおなじ。あなたは一人しかいない。 YUKI.N>思念体の意思とは関係なく、わたしという個体はあなたに戻ってきて欲しいと強く感じている キョン『俺もお前に会いたい』 YUKI.N>またあのファミレスに YUKI.N>メロンソーダを ■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■ キョン「ディスプレイが…」 864 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 15:24:01.72 ID:KOLZKwZ+O キョン「(考えろ、俺はどうすればいい?)」 キョン「(ヒントは大人朝比奈さんの白雪姫という言葉だけ。朝比奈さんの出番はカットされてるが、俺は確かにそう聞いた)」 キョン「(白雪姫…、どんな話だったか…)」 キョン「去年読んだ完訳版では…確か」 キョン「白雪姫…雪…有希」 キョン「そうか!謎はすべて解けた!」 ハルヒ「お、お待たせ…」 キョン「ハルヒ!校庭に行くぞ!」 ハルヒ「え?」 866 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 15:32:01.23 ID:KOLZKwZ+O ハルヒ「キョン!見て!巨人よ!」 キョン「今は後だ!」 ハルヒ「何よ、あんたなに探してるわけ?一生懸命地面かき分けちゃって」 キョン「あった!」ボソ ハルヒ「え、何が?」 キョン「なあ、ハルヒ…」 ハルヒ「どうしたの?改まっちゃって…」 キョン「目…閉じてくれないか…」 ハルヒ「…え」 キョン「…お願いだ」 ハルヒ「う、うん」 872 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 15:44:08.22 ID:KOLZKwZ+O キョン「………」サワ ハルヒ「(キョンの手のひらが頬に当たってる…)」 キョン「ハルヒ…」 ハルヒ「キョン…」 キョン「…ごめん」ガバ ハルヒ「!!」 ハルヒ「(ああ、口の中がモサモサってして、青臭くて、これが初キスの…)」 ハルヒ「って、待って。これキスじゃないわね。何これ」ゴクン キョン「すまん。目をつぶってもらわないと拒絶されると思ってな」 ハルヒ「あんたあたしの口に何を突っ込んで飲ませたのy…ぐっ」バタン! キョン「大丈夫だ。死にはしない」 キョン「白雪姫…つまり毒リンゴを食わせればいい。つまり毒を盛ればいい。そういうことですね?朝比奈さん…」 キョン「そして長門…、お前の野草知識、役に立ったよ…」 879 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 15:51:38.70 ID:KOLZKwZ+O 翌日 朝 キョン「よう、元気か」 ハルヒ「元気じゃないわね。調子最悪よ。悪夢を見たから」 キョン「どんな悪夢だ」 ハルヒ「毒を盛られる夢よ。なぜか起きてからも体が痺れるのよ」 キョン「そうかい」 ハルヒ「……あんたはあたしに毒を盛ったりしないわよね?」 キョン「当たり前だろ?」 ハルヒ「ならいいけど」 キョン「………」 ハルヒ「………」 883 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 16:00:29.72 ID:KOLZKwZ+O 古泉「すいませんお話したいことが」 キョン「どうした古泉」 古泉「なに無茶してんですか」 キョン「無茶って?」 古泉「毒を盛るなんて…」 キョン「帰れたから良かったじゃないか」 古泉「まあ向こうの世界には医者いませんからね。治療を受けようと思えばこっちに帰るしかないわけで…」 キョン「やっぱあれで正解だったのか」 古泉「違いますよ!もうちょっとで世界崩壊ですよ、この唐変木」 キョン「口悪いぞお前」スタスタ 古泉「どこ行くんです?」 キョン「…約束があるんだ。じゃあな」 887 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 16:18:23.37 ID:KOLZKwZ+O キョン「………」ボー 長門「」モフモフ キョン「美味いか長門」 長門「おいしい」 キョン「良かった」 長門「………」 キョン「次は朝倉のバイトが無い日に三人で来ような」 長門「」コク キョン「…うん」 長門「………」 キョン「メロンソーダ、好きなんだな」 長門「…わたしの思い出」 キョン「…そっか」 貧乏長門の憂鬱 END 899 名前:番外 笹の葉ラプソディ[] 投稿日:2009/06/01(月) 16:25:47.04 ID:KOLZKwZ+O 長門「入って」 キョン「すまんな」 みくる「長門さん、こんなところにすんでたんですかぁ?」 キョン「で、どうやったら俺たちは帰れるんだ?」 長門「そこ」 キョン「天井裏?」 長門「登って」 キョン「はぁ?」 キョン「仕方ないな…、うわっ汚ぇ」 みくる「ふぇぇ」 長門「前の住人の発見現場に着想を得た」 キョン「そういうこと言うんじゃねえ!」 みくる「………」 906 名前: ◆/EjCGC14ew [] 投稿日:2009/06/01(月) 16:33:37.63 ID:KOLZKwZ+O 読んでくれた皆さんありがとうございました! 以前、SIRENのクロスSS書いて殺伐としたんで、ほのぼのしたやつが書きたくなったんで立てました また次はゲーム系のクロスSS書くと思います 『真・女神転生3』か『花と太陽と雨と』で迷ってるんですが、何かこのクロスSSが読みたい!みたいな希望が聞けると嬉しいです 本当にありがとうございました! 931 名前:オマケ[] 投稿日:2009/06/01(月) 17:02:33.29 ID:KOLZKwZ+O 獏「ワカメちゃん…だっけ?まぁいいや。ワッキーって呼ぶよ」 喜緑「売ってるんですか?私に」 獏「ウダウダ言ってないでさ〜。早くやろうよ。賭郎勝負」 喜緑「いいでしょう。後悔させて差し上げますわ」 夜行「では両者合意と言うことで、宜しいですね」 ―――――――――――――――――――― 喜緑「喰っ、喰われた!!この悪魔っ!!!!」 獏「普通の人間なんて言っちゃってさぁ〜、アンタ」ピッ 獏「嘘つきだねっ」カリッ 喜緑江美里の敗北 END 965 名前:オマケ 長門と朝倉の夏[] 投稿日:2009/06/01(月) 19:42:30.57 ID:KOLZKwZ+O 朝倉「暑いわね」ダラッ 長門「暑い」ゴロッ じー じじじじ 長門「せみがうるさい」 朝倉「ほんとに」 みーんみんみんみー 朝倉「…せみって食べられるのかしら」 長門「沖縄では食べる文化がある」 朝倉「本当?」 長門「本当。味はエビに似ているという噂」 朝倉「いっぱいいるし、食べてみようかしら」 長門「油で揚げて食べる」 朝倉「あー、それは暑いからパス」ゴロン 長門「そう」 968 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/01(月) 19:46:02.74 ID:KOLZKwZ+O せっかくだから1000までダラッと長門と朝倉書くわ 今ヒマだし 970 名前:続長門と朝倉 夏[] 投稿日:2009/06/01(月) 19:52:04.67 ID:KOLZKwZ+O みーんみんみんみー 朝倉「暑苦しいわ」 長門「限界」カチッ ぶおおおお 朝倉「あ、ずるい」 長門「快適」 朝倉「首振りにしてくれない?」 長門「だめ」ガシ 朝倉「ケチ」 長門「あ゛――」 朝倉「ちょっと、独占しないでよ」 971 名前:長門と朝倉 秋[] 投稿日:2009/06/01(月) 20:03:17.73 ID:KOLZKwZ+O ギギギギギ 朝倉「長門さん長門さん!」 長門「なに」 朝倉「銀杏がいっぱいよ!」 長門「果報」 朝倉「拾いにいきましょう」 長門「すぐに」 キョン「せっせと銀杏を拾う女子高生か…珍しいな」 朝倉「あ、良いところに」 長門「手伝って」 キョン「へいへい」 974 名前:長門と朝倉 冬[] 投稿日:2009/06/01(月) 20:17:16.15 ID:KOLZKwZ+O 朝倉「寒い」 長門「凍える」 朝倉「もしかして外のほうが暖かいんじゃない?」 長門「試す?」 朝倉「いや」 長門「もっとこっちに寄って」 朝倉「はいはい」 長門「もう一枚毛布が欲しい」 朝倉「そうね。この毛布、薄すぎるし」 長門「暖房器具も…」 朝倉「電気代くうから駄目よ」 長門「せちがらい」 977 名前:長門と朝倉 春[] 投稿日:2009/06/01(月) 20:25:58.68 ID:KOLZKwZ+O キョン「なんで俺はこんな朝早くに呼び出されたんだ?」 朝倉「決まってるじゃない。ほら」 キョン「なんだコレ」 長門「鍬」 キョン「それは見ればわかる」 長門「今から竹林に行く」 キョン「なるほどな。タケノコ掘りか」 朝倉「絶対に見つからないようにね。私有地なの」 キョン「おい」 朝倉「あと、鍬も大事に使ってね。勝手に借りてるものだから」 キョン「どこからだよ」 長門「近くの農家」 キョン「お前ら手慣れてるな…」 長門「恒例行事」 983 名前:長門と朝倉 釣り[] 投稿日:2009/06/01(月) 20:34:46.31 ID:KOLZKwZ+O キョン「釣れねえなあ…」 朝倉「釣れないわね…」 長門「潜ったほうが早い」 キョン「着替え持ってないだろ」 長門「うかつ」 朝倉「あっかかった!」 キョン「頑張れ!今網を出すから」 長門「釣りはつまらない」 朝倉「すごい!連れたわ!」 キョン「イシダイだな」 長門「わたしは一人でヤドカリをとる」 986 名前:長門と朝倉 冷蔵庫[] 投稿日:2009/06/01(月) 20:46:06.44 ID:KOLZKwZ+O ガチャン 長門「」ガサゴソ 長門「あ」 長門「プリン」 朝倉「それあたしのよ。食べちゃダ〜メ」 長門「これって」 朝倉「な・お・し・と・い・て」 長門「わかった」 朝倉「(キョンくんにもらったプリン…)」 990 名前:長門と朝倉 バイト[] 投稿日:2009/06/01(月) 20:59:21.08 ID:KOLZKwZ+O 朝倉「だいぶ仕事に慣れてきたじゃない」 キョン「まあな。いらっしゃいませー」 ハルヒ「また来てあげたわよ!」 キョン「また来たのか…」 ハルヒ「もっと喜びなさいよ。売り上げに貢献してあげてんのよ」 キョン「ずっと立ち読みしてるくせに」 ハルヒ「お客様は神様なのよ。文句言うな」 朝倉「あたしたちの上がり時間までよく立ち読みできるわよね」ボソ キョン「本当だよな」 ハルヒ「何か言った?」 993 名前:長門と朝倉[] 投稿日:2009/06/01(月) 21:05:44.07 ID:KOLZKwZ+O 朝倉「あのさ」 長門「どうしたの」 朝倉「あたしたち、確かに貧乏だけどさ」 長門「………」 朝倉「今だって、食べてくのがやっとだけど」 長門「………」 朝倉「あたしはこの生活、結構気に入ってるんだ…」 長門「…わたしも」 朝倉「…よかった」 長門「…今日はもう遅い」 朝倉「そうね。電気代ももったいないし、もう寝ましょうか?」 長門「おやすみ」 朝倉「おやすみ」 パチン 長門「…おやすみ」