キョン「ハルヒが、第二のキラ……!?」 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:06:17.43 ID:5xmbmjNW0 -放課後・水曜日・部室-(キョン) ハルヒ「そう、そしてこれがデスノーット!」 キョン「どういうことだ?」  キラ事件。  最初は知らなかったが、どこぞの団長様の強制により、オレはキラを知ることになった。 そして、第二のキラが発生、そんな情報が流れ始めた最中……こいつはそんなことを言い出した。 ハルヒ「どうもこうもないわよ、このノートに名前を書かれた人間は死ぬの。      これはキラと同じ力に違いないわ!」  ハルヒは当初から、キラに会いたい、キラと同じ力を持ったら会えるのだろうか。 そんなことをよく言っていた。 キョン「古泉」 古泉「……後ほどどこかで落ち合いましょう」 長門「うちに来て」  考えることは同じか。  そうだ、その前にハルヒに確かめることがある。 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:08:19.28 ID:5xmbmjNW0 -日時・曜日・場所-(主観の人物) で進行します。 ----- キョン「お前がさくらTVにあのテープを送ったのか?」  テープ。第二のキラと思われる者が、キラに会いたいという内容のものを送っていた。 ”私はキラに会いたい。お互い死神を見せ合えばそれが分かると思います”  たしか、そんな内容だ。 ハルヒ「そうよ!」 キョン「じゃあお前は、人を殺したということか?」 ハルヒ「……そうよ。でも犯罪者よ! それにキラに会うためだもん、しょうがないじゃない!」  しょうがない……か。  ハルヒ、お前はそこまでしてキラに会いたいのか? 人を殺す……お前の力なら正当化してしまうのかもしれないが、オレにとっては……。 キョン「キラに会いたいというのはいい。だが、人を殺すのは絶対にやめろ」 ハルヒ「……あたしだって本当はしたくなかった。でも、ためしに使っちゃったんだもん……」 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:10:09.79 ID:5xmbmjNW0 ハルヒ「いいわ、じゃあこのノートはキョンが持ってなさい!      あんたもそう言ったからには、絶対に使わないのよね!?」 キョン「当たり前だ」  ハルヒにしては珍しい行動だ。まさか、何か企んでいるのか? ……ハルヒの力でキラがここに来るなんてことないよな?  とにかく、このノートは部室に置いておこ…… キョン「!?」  何……だ……? ハルヒの後ろに何かいる……! レム「見えているようだな。私はレム。死神だ」 キョン「死……神……?」 古泉「! ノートを貸してください! ……なるほど。触れた者には見えると」 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:12:17.98 ID:5xmbmjNW0 キョン「朝比奈さんは絶対に触っちゃダメですよ」  あれを見たら朝比奈さんは未来へ逃げ帰ってしまうかもしれない。 レム「ハルヒ、所有権を譲るということか?」 ハルヒ「違うわ、キョンに預けるだけよ。だからレムはあたしに憑くの。      聞きたいことが山ほどあるんだから!      でも、キョンに死神の目を持たせれば、キラがすぐに誰か分かるかも?」  死神の目? みくる「死神の目ってなんですか〜!? 何が起こってるんですかぁ〜〜!?」 レム「死神の目は、残りの寿命の半分と引き換えに、人の名前が見える。     キラが誰かも分かる」 古泉「キラの殺しに必要なのは顔と名前。それが揃うというわけですか」  ハルヒのせいでキラについて調べさせられていたから、ある程度の情報はあった。 ハルヒ「でも寿命の半分なんて無理よ。その失った半分に、不思議があったらどうするのよ!」 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:14:31.39 ID:5xmbmjNW0 -2時間後・長門宅-(キョン) 長門「このノートは本物。これに書かれた人間は死ぬ」  オレは、ハルヒから預かったノート自体は部室に置きっぱなしになっているものの、 その1ページを切り取って長門に渡していた。 古泉「間違いなく涼宮さんの力でしょうね」 キョン「自分もキラと同じ力……か。ってことはまさか!?」 長門「キラが来るかもしれない」 古泉「その可能性が高いですね。もし近々、転校生、赴任教師が学校に現れたら、     その人物がキラだという仮説が立ちます」  自分もキラと同じ力を持てばキラと会えるかも。またそのハルヒのことばが頭をよぎる。 古泉「この際一番注意しないといけないのは……     その人物に、涼宮さんが第二のキラだと知られてはいけない、ということです」 キョン「どういうことだ?」 古泉「キラは今まで一人でした。ですが、突如現れた第二のキラ……。     涼宮さんはあのテープの中で、”死神”ということばを使っている。     それはとても現実味に欠けるものですが、キラにとってはあまり知られたくない情報のはず。     そんなことを流す者を生かしておくとは思えません」 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:16:34.41 ID:5xmbmjNW0 キョン「つまりハルヒは殺される……」 古泉「最悪、長門さんになんとかしてもらうこともできますが、まずは注意からです」 長門「そう」  殺すとか殺されるとか……いつからこんな物騒な団になってしまったのか。 キョン「ん? そうえいばあの死神ってのは、ノート一冊につき必ず憑いてるものなのか?」 古泉「……そうでしょうね」 キョン「だったら、死神同士ってのは互いが見えるんだろうか」 古泉「!」 長門「その可能性はある」 古泉「確かにそうなると……レムさんが見えて、涼宮さんが第二のキラだとバレる……。     もっとも、その死神が所有者に教えるという前提の話ですが。     死神の目の方は大丈夫かと思っていましたが、死神本人の方までは気が回っていなかった。     御見それしました」 キョン「バカいってないで、どうするか考えるぞ」 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:19:09.75 ID:5xmbmjNW0 >>2 続き? 前にも同じようなのがあったんでしょうか。    だとしたら違います。 ----- -1時間後・ハルヒ宅前-(キョン) ハルヒ「そうね、確かにみくるちゃんが恐がっちゃうし、      このバカキョンがノートを持っているんだから、誰かに触られるかもね」  だったらオレにあんなもん持たすな。  オレ達は、とりあえずレムとやらをしばらくハルヒの近くにいないようにするべく、 ハルヒの所へ来ていた。  当然キラが転校してくるから、なんていう理由が言えるわけもなく、 朝比奈さんの名前を出すことにした。また、同じく朝比奈さんが恐がるかもという理由で、 デスノートのことを公言するなとも言っておいた。 ハルヒ「でもみくるちゃんが恐がるのも見たいわねぇ……」 キョン「ハルヒ……」 ハルヒ「……分かってるわよ」  大丈夫なのか? 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:21:11.47 ID:5xmbmjNW0 古泉「レムさん、そこでお願いg」 レム「私はお前みたいなすかした奴は嫌いだ。頼みなんて聞かない」 古泉「す、涼宮さん」 ハルヒ「おねがいレム!」 レム「……ハルヒの頼みなら仕方ない」  中の人が好きなのかこの死神は。 長門「中の人?」 キョン「な、何でもない」  ひとまずこれで、ハルヒの安全は確保できたといえるのだろう。 どうなってしまうんだ、この先。 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:23:06.08 ID:5xmbmjNW0 -翌日・木曜日・教室-(キョン) 月「夜神月です。おねがいします」 キョン「……!」  早すぎる。  昨日の今日で、早速転校生が現れやがった。 ハルヒ「こんな時期に転校生……!」  後ろでボソっとハルヒが呟いた。これは……入団フラグか? そしてあいつがキラなのか……? ※注   原作では月は高3で、第二のキラが出てくるのは大学以降ですが、   そのあたりの設定は無視してください。   ここでの月は、高1で、すでにLと接触しており、後は原作と同じ、という感じです。 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:26:06.91 ID:5xmbmjNW0 ハルヒ「夜神くん!」  朝のホームルームが終わると、夜神月の周りには人だかりができていた。 はいはいイケメンイケメン。 月「そんな大きな声出さなくても聞こえるよ」 ハルヒ「SOS団に入りなさい!」  あのバカ、やりやがった。 月「……なんだいそれは?」 ハルヒ「世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団!      放課後また声かけるから、絶対来なさいよ!!」 キョン「夜神」 月「ん?」 キョン「分かってると思うが、あのバカの妄言には付き合わないほうがいい」 月「あ、ああ」 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:29:39.22 ID:5xmbmjNW0 -放課後・部室-(キョン) ハルヒ「さて、今日も始めるわよ!」 古泉「……」 みくる「あの、えっとぉ……」 月「……何を始めるんだい?」  何でいるんだ。 ハルヒ「今我がSOS団がやっているのは、ずばりキラ捜査!」 キョン「バカだろ? あいつ。……何で来たんだ?」 月「いや、何か来ないといけないような気がしたんだ」  夜神にボソリと話しかけるも、そんな返答しか得られない。 ハルヒの力としかいいようがないか。 ハルヒ「新入りの夜神くんのために、これまでの成果を整理するわ!」 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:33:37.84 ID:5xmbmjNW0 古泉「涼宮さん、せんえつながら、その役僕がやってもよろしいでしょうか?」  恐らくハルヒに話させると、自分が第二のキラであることも言ってしまう恐れがあるから、 こいつが立ち上がったのだろう。 古泉「――という具合です。どう思いますか、夜神くん?」  数分話したところで、古泉はそうまとめた。  という具合といっても、実際大したことは言っていない。 テレビやネットで話題になったことを、ハルヒが適当にまとめただけのものだからだ。 月「そうだな……顔と名前が必要……それは僕も考えていたことだ。    ……実は僕も、個人的にキラのことを調べていたんだ」 ハルヒ「そうなの!? じゃあキラっていったい誰なの!?」 月「はは、それが分かってたら、もうとっくにキラは捕まってるんじゃないかな」  キラを調べていた……。ハルヒが欲したのは、キラ本人じゃなく、キラを探す力…… つまり、夜神のように頭の良い人材ってわけか? 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:36:17.47 ID:5xmbmjNW0 -帰宅途中-(キョン) キョン「どうなんだ古泉?」 古泉「今のところはなんとも……」  オレは、ハルヒの力じゃなく、本当に偶然転校してきたとも思い始めた。 もしハルヒの力によるものだとしたら、キラを捕まえるための即戦力として迎えるためだと思う。 古泉「ですが、もし彼が本当にキラだとしたら、我々はかなり危険な状態にあることになります。     キラはかつてFBI、つまり自分を追う者を殺しています。     僕達はまだあまり情報を持っていないように見せていますが、やはり心配です」 キョン「警察に……いや、ダメだろうな。なんて説明すればいいか分からん」 古泉「Lという探偵にコンタクトを取ろうとしたのですが、門前払いでした。     自分の情報を外に出したくないようです」  ただオレが気になるのは、ハルヒ……。あいつは第二のキラで、一人ではあるが殺しを行ってしまっている。 もし夜神がキラで捕まったとしたら、ハルヒも……。 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:39:30.37 ID:5xmbmjNW0 古泉「涼宮さんのことが気になりますか?」  オレが少し遠くにいるハルヒの背中を見ていたからだろう、古泉はニヤケ顔でオレの視界を遮る。 キョン「……」 古泉「当面は、夜神くんに揺さぶりをかけて見ることにしましょう。     キラ事件のことを夜神くんに尋ね、デスノートに関すること、つまり、     報道されていないようなことを言わせればいいんです。危険ですが、仕方ありません。     一番手っ取り早いのは、レムさんに夜神くんに死神が憑いているか見てもらうことですが、     それは向こうの死神にレムさんを見られることになるので、こちらの方が危険ですね。     一応そのための準備……機関内でのフォローのための用意をしていますが、     さすがに死神なんてものの説明はなかなか上手く通らず、難航しているようです」 キョン「夜神がキラじゃなく、前みたいに、バカやりながらキラ捜査、なんて出来るのが一番いいけどな」 古泉「おや、あなたがそんなことを言うなんて意外ですね」 キョン「……」  そうでもないさ……。 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:42:17.44 ID:5xmbmjNW0 -同じ頃-(月) リューク「SOS団ねぇ。また変なのに入ったな、ライト」 月「自分でも何であんなのに入ったかよく分からない……。だが……」  あそこで調べているキラのこと。どういうルートで調べているのかは分からないが、 どれも正しい情報だ。古泉は口にこそしなかったが、キラは心臓麻痺以外でも殺しを行える、 そんなことを書いた紙もあった。 月「まったく、第二のキラの問題もあるのに、さらに問題が増えた……」  あれから第二のキラから何も送られてこないが……まさか誰がキラか分かったとでも? いや、死神の目を持っていない限りそんなことは不可能……憑いている死神が教えたか? 月「リュークは第二のキラを見た、つまり死神を確認できたとしても、    僕には教えないという考えでいいんだな?」 リューク「ああ」 月「まぁ、それが正しいと思うよ」  焦る必要はない……もし彼らがこれ以上の情報を持つようならば、殺すだけだ……。 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:45:21.08 ID:5xmbmjNW0 -翌日、放課後・金曜日・部室-(月) キョン「夜神、お前はどう考える?」 月「そうだな……確かに心臓麻痺以外でも殺せると考えられなくはないが、    まだ証拠が不十分だといえる」 古泉「こちらはどうでしょう?」 月「それは……」  今日はやたらと質問攻めにされるな……転校生ゆえに珍しさから、という考えもできるが、 どれもキラ事件についてのこと……転校生なんてものは関係ないな。  もっとも、ここの面々は古泉を除いてあまり頭は良くなさそうだ…… だから僕にいろいろと意見を求めてくるのかもしれない。 月「何かやたらと僕に質問をしてくるね」 ハルヒ「当たり前じゃない! 夜神くんは的確な意見を言ってくれるんだもの、      どこかの雑用係とは大違いだわ!」 キョン「それは悪かったね」 古泉「今までの質問は、僕達の中ではかなり話し合われたものでして、     それを踏まえて夜神くんならどう思うか、それを知りたいんですよ」 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:48:54.20 ID:5xmbmjNW0 月「なるほど、そういうことか」  しかし……聞いてくる内容があきらかにおかしい。どれもデスノートに迫りすぎている。 死の行動を操れるはともかく、心臓麻痺以外での殺し……それは、まだLですら気づいていないこと……。 もっともLならば、可能性として考えているかもしれないが、それはLだからだ。  ここにいるのはただの高校生……なぜそんなことに気づけた? 月「でもすごいな、これだけの人数で、こんなにも調べてあるなんて」 ハルヒ「当然よ!」 長門「でも、懸念事項がある」 古泉「そうですね……。僕達はキラ事件についてかなり調べいます。     そうなると、FBIのように殺されるかもしれません」  実際、これ以上知られているようならば、こいつらを始末する必要がある。 キョン「そんなバカな。オレ達はただの高校生だ、なんでキラが注目するんだ?      もしオレ達が死ぬようなことがあれば、それはこの中にキラがいるってことだろ。      だから大丈夫だ」  ……! 古泉「言われてみれば確かに。それに、万が一僕達が死んだとしたら、彼らが動くでしょうし」  ”彼ら”……? 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:50:46.42 ID:5xmbmjNW0 ハルヒ「さってぇ、キラに会うために、もっと調べるわよ!」  その後少し間があったためか、涼宮がバカみたいに大声を出す。 成績が良いだけで、頭が良いというわけじゃないみたいだな。  しかし……さっきのキョンと古泉の言動……。あれは、この中にキラがいる場合、 その殺しを抑制するという目的が考えられる。勿論、そこまで深く考えていないとも言えるが……。  そして古泉の言った”彼ら”。彼らとは何だ? ハッタリか? いや、なぜハッタリを言う必要があるんだ。 それに、あの人数だけで調べているとはとても考えられない情報量……他に仲間がいると考えた方が自然だ。  だがこれで……僕がキョン達を殺すのは難しくなった……。  もしこれが狙ってやっているのだとしたら……僕はキラだと疑われていることになる。 そんな言動はした覚えはないが……こういうときは最悪の状況を考えるべきだ。 ハルヒ「キョン! 何か意見はないのぉ!?」 キョン「ない」 ハルヒ「やっぱり使えないわね!」  それにしても……いくら仲間がいるとしても、やはりこいつらは知りすぎている……なぜなんだ? 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:54:00.28 ID:5xmbmjNW0 -帰宅中-(月)  あの後も、やはり核心に迫るような質問ばかり……当然報道されていないことなど話していないが、 気が気でなかった……相手はLとは比にならない者達だが、情報が……。  考えれられる可能性は二つ……。  まず泉の言った”彼ら”というのが、Lに匹敵するような存在である場合……。 これならば、あのような情報があってもおかしくはない。いや、もしかしたらL本人と繋がっている? ……バカな、なぜあんな一般の高校生とLが接触する必要があるんだ。  僕が転校すると知ったLが送りこんだ刺客とも考えられるが、今回の転校は僕や父さんにとっても急なもの、 Lが準備できる暇などなかったはず。それに、刺客にしてはぬるすぎる。  転校そのものがLの罠かもしれないが……それも考えにくい。  ならば、もう一つの可能性の方か……? 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 21:59:49.79 ID:5xmbmjNW0 月「……まったく、死神ってのは厄介だよな」 リューク「……なんだよ急に。悪かったな」 月「いや、お前じゃなく」 リューク「……? どういう意味だ?」 月「いや、気にするな」  リュークのこの反応……少なくとも、ここ最近リュークは死神を見ていないことの証明だ。 もう一つの可能性はあの中に第二のキラがいること……それならばデスノートの情報を持っていて当然だ。 だがリュークが死神を見ていないとなると、それも違うのかな。  まぁ何にしても、明日明後日は連休……Lの所へ行かねばならない。 今はそちらの心配をするべきか……。 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 22:05:35.72 ID:5xmbmjNW0 -翌日(土曜日)・不思議探索中-(キョン)  キラ捜査中といいながら、不思議探索は行うらしく、すでにグループ分けも終わっていた。 今一緒にいるのは古泉だ。 キョン「古泉、オレにはどうも、夜神がキラだと思えんのだが」  確かにキラ事件について詳しい印象だが、それは本人も言っていたように、 個人的にキラ事件を調べているからだ。 古泉「そうですね……ですが、まだたったの二日です。     しかし、このままでは埒があきませんね……」 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 22:09:06.03 ID:5xmbmjNW0 古泉「……夜神くんに、涼宮さんが第二のキラだと告白しましょう」 キョン「!? おいちょっと待て、それは!」  ハルヒが殺されると言っていたじゃないか! 古泉「いえ、その可能性は低くなったはずです。     昨日僕があなたに言うように頼んだこと……あの意味は分かってますよね?」  オレが頼まれたこと……オレ達が死ねば、ここにいる誰かがキラとなる、ということ……。 それはつまり、オレ達が死んだら、夜神がキラで確定、ということになる。 古泉「それともう一つ。僕が”彼ら”と意味ありげに言ったことを覚えていますね?     あれは機関という意味もありますが、あのことばにより、     余計に僕達を殺すことに、ためらいを覚えるはずです」 キョン「だが、ハルヒを第二のキラだと言って、何の意味がある?」  危険になるだけなんじゃないのか。 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 22:13:29.50 ID:5xmbmjNW0 古泉「実は涼宮さんを第二のキラだと言ってしまうのは、予防策なんです。     本当の目的は、レムさんに夜神くんに死神が憑いているか確認してもらうことです。     一昨日言っていた機関内の準備が、この週末が明けたあたりで終わりそうなんですよ。     といっても、僕達に何かあれば夜神くんがキラだと断定させるだけですが」  どれだけでかい機関なのか知らないが、いくらハルヒという現実離れした奴を見ているとしても、 まとめるのは大変というわけか。  しかし……オレ達に何かあったら、とは……。 キョン「……ただ単にレムとやらに、夜神に死神が憑いているか確かめさせた場合、      死神が憑いていたとき、そいつが夜神にレムのことを言う可能性がある。      そうすると夜神が何をしてくるか分からないってことか。いくら防御を固めたとしても」 古泉「そういうことです。こちらから見せてしまえばその可能性はなくなります」 キョン「やるしか……ないのか」 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 22:16:35.44 ID:5xmbmjNW0 -同じ頃・Lの部屋-(月) L「遠くからご苦労様です、月くん、夜神さん」 月「いや、こっちこそ急なことですまない」  僕と父さんは、関西に引越したといえど、この捜査本部には最低週一で顔を出し、 捜査をすることになっている。  ここでLと長く離れることになれば、何を仕出かすか分かったものではない。 本来ならば常に監視しておきたいところだが……本当に、なんでこんな大事なときに転校なんだ。 L「実は、お二人にお知らせしたいことがあるんです」 月「……何だ?」 ※注   会話文の前につける名前は、   月→夜神月   夜神→夜神総一郎   ということでおねがいします。 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 22:20:51.18 ID:5xmbmjNW0 L「第二のキラが潜んでいる地域を特定しました」 月「!」 夜神「本当か、竜崎!」 相沢「封筒に付いていた花粉から、まず関西方面だと判断し、そこを中心に洗ったんです」 L「その結果、かなり狭い地域に限定することができました。そしてその地域は、    月くん達が引っ越した地域です」 夜神「本当か! それならば私と月が中心になって捜査すれば……!」 L「それもあります……が、このタイミングで引越しとは……偶然でしょうか?」  ……。  当然Lは疑ってくるか……。しかし、今回の引越しは僕にとっても予想外のこと……。  それにしても、第二のキラが僕の近くにいるだと!?  まさか……いや、その可能性はなくなったはずだが……。 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 22:24:25.06 ID:5xmbmjNW0 夜神「待ってくれ、前にも言ったが、引越しは私達にも予定外だったんだ。     第二のキラがいることなど関係ない!」 月「そうだよ竜崎。もともと僕を疑っている竜崎なら当然の疑問だろうが、    全く関係ない。それよりもこの偶然を生かして捜査すべきだ」 L「……。……分かりました」  ……第二のキラ……本当に厄介な存在だ。  僕に会いたいなどと抜かし、あまつさえ証拠を残したテープを送ってくるなんて……。 もしそいつが捕まったらどうなる? デスノートのことを竜崎に知られることになるか……?  だが、そこまで絞られた犯人、竜崎ならすぐに捕まえるだろう。どうするか……。 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 22:27:53.00 ID:5xmbmjNW0 -二日後(月曜日)・部室-(キョン) ハルヒ「じゃあレム、頼んだわよ!」 レム「……分かった」  オレ達は、一昨日古泉が言っていた計画を実行に移すべく、レムにその旨を伝えた。 ハルヒにだけは夜神がキラである可能性を言いたくはなかったのだが、 レムに動いてもらうにはハルヒの頼みが必要だったため、仕方なかった。  もっとも、仮に夜神がキラであると分かったとしても、本人は勿論他人にも絶対話すなと、 しつこく言っておいたが。 ハルヒ「ああ! 夜神くんがキラ!? まさか不思議の張本人がこんな身近にいたなんて!      今まで気づかなかったのは一生の不覚だわ!!」  ……まだ夜神がキラだと決まったわけではないのにこのはしゃぎよう……心配だ。 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 22:31:06.27 ID:5xmbmjNW0  そのとき、ノック音が響く。ここには夜神以外のSOS団メンバーはすでに揃っていた。 ……計画実行のときだ。夜神……お前はキラなのか? 月「僕が最後か。遅れてすまない」 古泉「いえ、僕達も今集まったところです。それより夜神くん、あなたに見せたい物があるんです」 月「見せたい物?」 キョン「……これだ」  ハルヒから預かったデスノート……夜神がキラなら、これを見ただけでその意味は分かるはず……。 月「ノート……? な、何だその後ろの奴は!!」  月は、レムを見てそう叫んだ。 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 22:35:02.62 ID:5xmbmjNW0 -数時間後・帰宅中-(キョン)  あれから夜神に、デスノートのことを粗方説明し、ハルヒが第二のキラであることを告げた。 レム「死神は憑いていなかった」 古泉「……そうですか」 キョン「……」  死神はついていない……つまり夜神は、キラじゃない……? ハルヒ「ってことは、ハズレってことぉ!? なによ、期待させといて!」 古泉「面目ないです。……ですが、まだ僕は夜神くんがキラである可能性を捨てたわけではありません」  お前も意外と頑固だな。 古泉「お前”も”ということは、あなたもですか?」 キョン「さぁ、どうだか」  正直なところ、よく分からないでいる。 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 22:39:43.29 ID:5xmbmjNW0 -翌日(火曜日)・教室-(キョン) 古泉「大変です!」  登校して教室のドアに触れた直後、背後から声がかかった。 キョン「どうした」  朝っぱらからお前の顔を見るはめになるとはな。 古泉「……さきほど機関から連絡があったんです……!」 キョン「だから、どうした」 古泉「涼宮さんが、キラ容疑でLに逮捕されました!」 キョン「!?」  何……!? どういうことだ! 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 22:44:39.95 ID:5xmbmjNW0 キョン「確かなのか!」 古泉「間違いありません……」 キョン「くそ……何がどうなっていやがんだ!」 古泉「とにかく、一度部室へ行きましょう。僕は長門さんを呼んできますので、     あなたは朝比奈さんを」 キョン「分かった!」  ハルヒが逮捕……!?  昨日夜神にハルヒが第二のキラと言ったから、夜神が警察に……? いや、それにしては昨日の夜神の落ち着きぶりはおかしい……。  とにかく、状況確認が先決だ! 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 22:50:13.61 ID:5xmbmjNW0 -数分後・部室-(キョン) 古泉「僕のミスです……すいません」  部室に全員が集まると、早々に古泉がそう言って頭を下げた。 キョン「待て、なんでそうなるんだ」  確かにハルヒが第二のキラであることを告げる、というのを言い出したのはこいつだが、 それが原因であるとはまだ分からない。 古泉「夜神くんに涼宮さんのことを告げる……そこにはデスノートが関わっているため、     その存在を公にしたくない彼は、動揺こそすれどその情報を明かすことなどしない。     ……僕はそう考えていました」 長門・みくる「……」 古泉「すいません……」 キョン「……分かった、お前の考えでは、どうあっても夜神がキラなんだな?」 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 22:53:01.53 ID:5xmbmjNW0 古泉「そのとおりです。彼が転校してきた瞬間から今まで、それが覆ったことはありません」 キョン「そして第二のキラが邪魔に感じる夜神は、厄介払いをするためにLへ売った」 古泉「……はい」 キョン「お前の考えではデスノートの存在を知られることになり、      夜神がその行動を起こすのは絶対なかった、そういうことだな」 古泉「僕が甘かったです……」 キョン「いや、悪いのはお前じゃない……キラ……夜神月だ」 古泉「!」 長門「あなたがそう決めたならば、力を貸す」 みくる「わ、私も!」 キョン「必ずキラを捕まえるぞ!」 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 22:56:54.59 ID:5xmbmjNW0 -二日前(日曜日)・Lの部屋-(月) 月「竜崎……少し気になることがあるんだ」 L「……何でしょう?」 月「僕が転校した学校に、キラを調べている団があったんだ」 L「そういう活動をする人達は少なくないでしょうね」 月「そうなんだが、あまりに真に迫りすぎているというか……    竜崎と同じ考え、それ以上の考えが出ているんだ」 L「……」 月「だから、彼らはキラと繋がりがあるんじゃないかと僕は考えている。    竜崎は僕の知る中で最も優秀な探偵だ。そんな竜崎をいち高校生が超えていいはずがない」 L「月くんも高校生ですよ」 月「僕は……いや、今そんなことはどうでもいい。    僕がいいたいのは、彼らを調べないか、ということだ」 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 23:00:22.24 ID:5xmbmjNW0 L「……」 月「そうだな……僕に盗聴器を貸してくれないか? というより、僕自身にそれを付けてほしい。    そうして僕がその団に行くことで、何か掴めるかもしれない」 L「……私が疑うあなたの意見を取り入れるのはあまり気が進みません……が、    今は確かに第二のキラを追うことが優先ですね。    月くんがキラだと睨んだのなら、調べる価値はあります」 月「何だか言ってることが矛盾してないか?」 L「いえ……やはり月くんの頭脳も必要だと、言いたかったんです」 ワタリ「こちらの盗聴器をお使いください」 月「ありがとう」 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/03(日) 23:05:20.25 ID:5xmbmjNW0 -時間軸戻る・登校中-(月)  そして昨日、偶然にもSOS団の奴らは涼宮が第二のキラだと暴露し出した。 さすがにこんなに早く核心を聞けるとは思っていなかったが……まあいいだろう。  早めにリュークを下がらせておいてよかった……。  Lの情報を聞いた僕は、改めてSOS団の誰かが第二のキラ、という可能性について探ってみた。 そこで問題になってくるのは、リュークの存在。  もし今まで、僕側の死神の存在を恐れ、自分達の死神を隠しているのだとしても、 いつかはそれを出し、リュークの存在を確認しにくるだろう。  そうなれば、僕はキラだと分かってしまう。そこでリュークには、 しばらく僕の近くにいないように言っておいた。  だがすでに相手側の死神レムはいないため、リュークは早々に戻ってきている。 月「……一週間」  それくらい間を開けたら、次の策を実行しよう。いや、策なんて大それたものでもないか。 相手はバカどもだしな……。 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 00:00:07.21 ID:AopOnBOa0 風呂とかいってる間に落ちてたらやめるつもりでしたが、 残ってるみたいなので続けさせていただきます。 ----- -放課後・部室-(キョン) 古泉「夜神くんは団活は欠席……都合はいいですが、怪しいですね」 キョン「ああ」  夜神は用があるからと言って、先ほど帰っていった。 古泉「改めて機関に問い合わせましたが、”まだ夜神月をキラとして立証するには証拠が足りない。     Lとも未だコンタクトとれず”、だそうです」  夜神がキラだという証拠……オレ達の中では奴が確実にキラだが、 絶対的な証拠であったはずの死神は出てこなかった。  それどころか、ハルヒが捕まってしまう始末……なんてことだ。 長門「統合思念体は、こういった状況の涼宮ハルヒを観察するという結論になった。     私は何も出来ない……」 キョン「……お前の気持ちだけで十分だ」  オレには分かるぜ、お前のもどかしい気持ち。 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 00:02:07.65 ID:AopOnBOa0 キョン「朝比奈さんの方はどうですか?」 みくる「こっちは何も……」 古泉「今は状況判断の段階ということでしょうか……」 キョン「……夜神をキラと断定できる証拠は何だ……? ノートを見つけることか?」 古泉「そうなんですが……機関が家宅捜索したものの、それらしきものは出てきませんでした」 キョン「くそ……」  どうしたらいんだ、本当に!  なぁハルヒ、お前のとんでも能力で、何とかできないのか! 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 00:06:01.52 ID:AopOnBOa0 -翌日、昼休み(水曜日)・教室-(キョン) キョン「夜神、ちょっといいか?」 月「何だい? あ……涼宮さんのこと噂で聞いたよ……残念だね」 キョン「残念……」  実際、夜神がLとかいう探偵に情報を言ったのだろうか? 古泉も言っていたが、キラとしてはデスノートの存在を知られることは、 マイナス要素でしかないはずだ。 キョン「……そのハルヒの話で来た」  オレにできること……夜神に問い詰めることくらいしか思いつかない。 下手なことをすればオレが殺されるかもしれないが……。 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 00:10:15.64 ID:AopOnBOa0 キョン「オレは、お前に第二のキラのことを話したから、ハルヒが捕まったと思っている」 月「僕? まさか、あの話は誰にもしていないし、第一、そんなことをしたら、    僕の頭が疑われる。警察だってそうだろう」 キョン「……」  確かに、そうだ……。 キョン「じゃあ一つだけ聞かせろ。……お前はキラか?」 月「キラ? そんなわけないだろう」 キョン「そうか……分かった」  あくまでしらを切るのか……それとも本当なのか……オレには分からない……。 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 00:13:40.68 ID:AopOnBOa0 -一週間後・水曜日・部室-(キョン) 古泉「結局、進展なしですね……」 キョン「……」 長門「思念体からの命令も変化なし」  ハルヒが捕まってから一週間あまり……夜神をキラだとする証拠はおろか、 証拠になりそうなものさえ見つからない。どうしたものか……。 みくる「あれ……あ……う!?」 古泉「!」 キョン「朝比奈さん!?」  朝比奈さんは、その場に倒れこむ。何だ!? 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 00:16:09.11 ID:AopOnBOa0 古泉「う……ぐ……これは、デスノー……!」 長門「……異常事態発生。私の存在が消えていく……」 キョン「古泉! 長門!!」  朝比奈さんと同じく倒れこむ古泉。そして長門は、光の粒みたいになって、 体がだんだんと消えていく。 キョン「長門! これはいったい……!」 長門「分からない。でも、これだけは言える。私は消え……」  次の瞬間、長門がいた場所には、イスと、本だけになっていた。 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 00:20:11.17 ID:AopOnBOa0 -一時間後・部室-(キョン) 機関人A「あたなを拘束させていただく」  オレは、とりあえず事態を誰かに報告すべく、機関へと連絡をした。 古泉の携帯を見ると、森さんや新川さんといった見知った名前があったため、 そこに連絡をしたのだ。  彼らなら協力してくれると思ったのだが……。 キョン「どういうことですか?」 機関人B「私達機関は、ここの団員が全員死んだとき、       夜神月をキラと断定するようにしていた。       だが今回、あなたと夜神月以外の人間が死んだ」 機関人A「そこで、夜神月の家は捜索済みだったため、まずはあなたの家を捜索した。       そこで、これを発見した」 キョン「ノート……!」  機関の人が持つのは、黒いノート。デスノートか……? 何でオレの家から!? ハルヒがオレに渡したノートはいつもここに置いてあったし、そもそもハルヒが捕まったとき、 警察関係者と思われる人が持っていったはず……。 80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 00:24:54.15 ID:AopOnBOa0 -三時間後・キョン宅-(キョン)  あの後機関に連れて行かれたオレは、キラに関することをこれでもかというほどに聞かれたが、 結局証拠不十分ということで解放された。  あのノートは、昼頃に家のポストに入れられたのだと分かったのだ。 キョン「……」  こんなことをするのは……SOS団でもう一人残った、夜神しかいない……。 そして、オレに罪を着せるために、ノートを送ったんだ。 キョン「朝比奈さん、長門、古泉……ハルヒ」  オレはたぶん、お前達が望んでいないことを、するんだと思う。 81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 00:27:11.75 ID:AopOnBOa0 -二日後、放課後(金曜日)・月宅-(キョン) 月「やあキョン、どうしたんだい?」 キョン「いや……ちょっとあがっていいか?」 月「かまわないけど、今親がいないから、大したことはできないよ」  夜神……お前はそうして、いつもと同じ顔でオレと話すんだな。 オレは……今どんな顔になっているんだろうか。 月「でもよく知っていたね、僕の家がここだって」 キョン「いや、まぁな」  昨日お前を尾行したからな……。 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 00:30:30.50 ID:AopOnBOa0 キョン「夜神、一昨日、朝比奈さん達が死んだ……いや、殺された」  機関の人達は、死因を心臓麻痺だと言っていた。 月「ああ、聞いてるよ。涼宮さんに続き、不幸なことばかりだね……」 キョン「……」  その元凶は夜神、お前だ……! キョン「まあ……今日オレがここに来たのは、      それを言いに来たから、ってわけじゃない」 月「ん?」 キョン「これだ、夜神」  オレは、一枚の紙を取り出した。 83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 00:35:12.79 ID:AopOnBOa0 月「それは?」 キョン「デスノート。お前なら分かるだろう?」  デスノートは、ハルヒの持っていた物は警察が、夜神の持っていた物は機関が、 それぞれ持っていった。つまり、ノートはそう簡単に触れられる場所にはない。  だが。  オレは最初に、長門に調べてもらうため、ハルヒのノートのページを切り取っていた。 そのページは、そのときは特に意味なく、ノートがある場所と違う所に置いておいた。 もっとも、どちらも部室だが。  そして今オレが持つのが、その切れ端。切れ端でも効果があるのは、レムから聞いていた。 キョン「夜神、お前はキラか?」  もしお前がここでそれを認め、ハルヒ達のことを悔いるならば……。 88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 00:50:31.46 ID:5ED6nKmsO 月「……前も言ったはずだ、僕はキラじゃない。それにデスノート……    それは、キラの殺しの道具なのか? だとしたら……お前がキラだ!」 キョン「夜神……!」  そうか、やはりお前はそういう性格か。  ならば……もういいだろう。 キョン「これを見ろ」  オレは、切れ端の裏側を夜神に見せる。そこにはすでに、名字まで書いておいた。 キョン「これでもか?」 月「……何がだ?」  そうか……。 キョン「分かった、もう終わりにしよう、夜神」  月……その画数の少ない漢字を、付け加えた。 91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 00:53:41.75 ID:5ED6nKmsO 月「……L! 見ていたか!?」 キョン「!?」  L……? 何だそれは。 L『はい。……突入してください』  突入……? 相沢「そこまでだキラ!」 夜神「観念しろ!」  警察……? 前部室に来て、ノートを持っていった人達だ。夜神を捕まえにきてくれたのか?  しかし……銃を突きつけられたのはオレだった。 93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 00:56:17.50 ID:5ED6nKmsO キョン「な……どういうことだ!」 夜神「どうもこうもない、キラ。お前のここでの行動は監視していた。     お前はその凶器……デスノートで月を殺そうとした……キラ確定だ」 キョン「……!」  そういうことか……! キョン「夜神……お前……!」  だが、夜神は死ぬ……それだけで十分だ。 月「残念だけどキョン、僕は死なないよ」 キョン「……!」  確かに、あれから1分は経ったはずだ。なぜだ、なぜなんだ!  ハルヒ……すまない……。 -終- 96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 00:58:20.92 ID:5ED6nKmsO -昼休み(水曜日)・教室-(月) キョン「夜神、ちょっといいか?」 月「何だい? あ……涼宮さんのこと噂で聞いたよ……残念だね」 キョン「残念……」  その表情……やはり涼宮に気があるってことだな……使える。 キョン「……そのハルヒの話で来た」  こいつらが僕を疑っているのは明白……ならば涼宮が捕まったことを、 僕がやったと予想しているだろう。 98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 01:01:22.40 ID:5ED6nKmsO キョン「オレは、お前に第二のキラのことを話したから、ハルヒが捕まったと思っている」 月「僕? まさか、あの話は誰にもしていないし、第一、そんなことをしたら、    僕の頭が疑われる。警察だってそうだろう」 キョン「……」  黙るなよ……これくらいの返し想定しておいてくれないと、 やりがいというものがないじゃないか。 キョン「じゃあ一つだけ聞かせろ。……お前はキラか?」 月「キラ? そんなわけないだろう」 キョン「そうか……分かった」  本当にくだらない奴らだ……早く殺してしまおう。 こいつらを殺すことでのリクスは少なからずあるが……そこは利用するべきだ。  しかし何だ……? 以前も同じような会話をキョンとして、同じようなことを考えていたような……。 ……いや、ただのデジャブかな。 101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 01:05:49.09 ID:5ED6nKmsO -一週間後・水曜日・学校-(月) 月「そろそろかな……」  あれから一週間……計画実行のときだ。  まずは、キョンを除くSOS団のメンバーを殺す。そうすればキョンは僕に対して怒りを覚えるだろう。 それでいい。行き着く先に、僕を殺す、そういう意思が伴えば、僕の勝ちだ。  とはいえ、少し気になること……古泉がかつて言っていた”彼ら”……。 もしこれが本当にバックアップとなる者達ならば、一度遠ざける必要がある。  キョンは残るとはいえ、その”彼ら”というのは僕を疑っている可能性があるからだ。 となれば、キョン同様に生き残った僕も、何かしら取り調べを受けるかもしれない。  そこで僕は、デスノートをキョンの家のポストに入れておいた。勿論僕自身が入れたわけではないが、 紛れもない本物のデスノートだ。それが偽物だとバレたら何の意味もないし、僕自身は、 ノートから何ページか切り離したものを持っている。  それに、後々新しいノート……レムのノートを手に入れることが、僕の策だ。 103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 01:09:24.60 ID:5ED6nKmsO -二時間後-  名前を書いてから結構な時間が経つが、警察と思われる人達の動きはない……つまり、 ”彼ら”というのが実在していたことになる。  もしSOS団のメンバーが死んだことで、キョンが警察に連絡すれば、 ”彼ら”は存在しないことになる。そしてキョンは、家にあるノートのせいで逮捕…… 証拠がなくても、警察はそうせざるを得ないはず。 月「”彼ら”……どんな組織だか知らないが、これで無意味になった……」  だがそうなっていないところを見ると、キョンが連絡したのはその組織ということになる。 バックアップをしているくらいだ、ノートが家にあるということくらいでは、 キョンをキラだと断定しないだろう。  しかし、今後キョンの補助をするのは難しくなる。  このパターンも想定済み……いや、むしろこれが本命だ。 104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 01:12:44.50 ID:5ED6nKmsO  恐らく今は、キョンは部室にいないだろう。他の遺体も運び出されたはずだ。 これならば部室に入ってなんら問題ない。 月「ノート……」  以前キョンは、涼宮のノートを保管している場所以外に、何かのノートのページと思われる物を置いていた。 僕の予想では、それはデスノート……。  なぜそんなことをするのか分からないが、それがあることで、僕は今回の策を実行できた。  すり換え。  それを普通のノートのページとすり換える、それが僕の策。  そしてそれで、キョンが僕の名前を書くことで、キョンがキラだと確定することになる……。  これで第二のキラ、そしてキラも捕まったことになり、僕はLの疑いから解放されることになる……。 最初は邪魔でしかなかった者達だが、こうやって利用できたんだ、良しとしよう……。 106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 01:17:13.52 ID:5ED6nKmsO -二日後、放課後・金曜日・月宅-(月) 月「やあキョン、どうしたんだい?」 キョン「いや……ちょっとあがっていいか?」 月「かまわないけど、今親がいないから、大したことはできないよ」  ようやく来たか、キョン。 月「でもよく知っていたね、僕の家がここだって」 キョン「いや、まぁな」  昨日何者かにつけられている気配を感じたが……恐らくキョンだったのだろうな。 107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 01:20:13.15 ID:5ED6nKmsO 月「それで、何の用だい? ……朝比奈さん達が亡くなったことか?    涼宮さんこととに続き、不幸なことばかりだね……」 キョン「それもあるが、オレが来たのは、これだ」  キョンはそう言うと、ノートの切れ端と思しき物を取り出す。 そこにはすでに、”夜神”と書かれていた。そこに続くのは、月、なんだろうな。  ……計画通り。 月「それは……」 キョン「デスノート……お前なら分かるだろう、この意味が」  ……お前こそ分かるか? 今お前のしていることの意味が。 109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 01:24:08.64 ID:5ED6nKmsO キョン「夜神、お前はキラか?」 月「……前も言ったはずだ、僕はキラじゃない。それにデスノート……    それは、キラの殺しの道具なのか? だとしたら……お前がキラだ!」 キョン「夜神……!」  そう、お前がキラ……キラになるんだよ! 僕の身代わりとしてな!  今この場所は、Lの監視下にある。僕がそうLに頼んでいた。 こういう状況になることは分かっていたからな……。  L達には、キョンがキラであると疑わしく、残った僕を殺そうと考えていると、言っておいた。 そしてノートをすり返ることも伝え、僕の名前を書かせることで捕まえようと、そう提案したのだ。 なぜ古泉達が死んだ時点で僕も殺されなかったのかという不明な点もあるが、この際関係ない。  Lは当然そこに疑問点を抱くだろうが、僕とキョンを監視する体勢を取らないわけにいかなくなる。 キョン「分かった、もう終わりにしよう、夜神」  そうだ、早く僕の名前を書ききるんだ。そうすれば、僕の勝ちだ……! 110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 01:28:19.31 ID:5ED6nKmsO 月「L、見ていたか!?」  キョンがペンを取り、そして止めるのを見て、僕は監視カメラに向かってそう叫ぶ。 L……お前はその目で確認したはずだ、キラの殺しを。  そして他の捜査部の者達は、僕が体を張ってキラを捕まえたように見える……。 キョン「夜神……」  キョン、お前は僕の言っている意味が分からないだろうな。 いきなりLの名前……そしてキョン、お前が捕まろうとしているという事実。 キョン「残念だが、この部屋にある監視カメラは、機能していないぞ」 月「!?」  何だ……こいつ何を言っている……? 112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 01:32:33.45 ID:5ED6nKmsO 月「な、何のことだい?」  なぜキョンの部屋からそんなことばが出る? それに機能していない……どういうことだ? そういえばLからの応答がない……! キョン「まずお前に言っておくことがある。オレはノートにお前の名前を書いたが、      時間指定もした。今から五分後だ」  そのノートは偽物……そんなことは関係ないが……。 キョン「この五分で、お前の本音を聞かせてもらうぜ」  本音……!? キョン「いや、一つ説明しておかないと、それは聞けないか。      このノートは本物だ。お前にすり換えられると思い、さらに別の物を用意してあった。      さらにいえば、お前が持っていたデスノート……それは二日前に偽者にすり換えた」 月「何……!?」 113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 01:36:04.05 ID:5ED6nKmsO キョン「夜神、お前はキラか?」 月「……」 キョン「……言うはずがないよな。……でもよかったじゃないか、夜神」  ……よかった……? キョン「お前はキラではないと証明したかったんだろう?      オレがここでお前を殺せばオレはキラ……お前は被害者。      夜神、お前がキラではなくなる」 月「ちょっと待て、僕はもともとキラではない!    それにキョン、お前はキラではなかったはずだ、なんでそんなことをする必要がある!」  何を言っているんだ僕は……仮にキョンがキラであったとしても……いや、キラは僕だ……。 キョンの持っているノートが本物なら何を言っても今更遅い……だがあのノートが偽物なら話は別…… ここで説得すれば僕はキラ……。……何? 何を考えている、僕は!?  ちょっと待て、落ち着くんだ! 120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 01:55:49.09 ID:5ED6nKmsO あと少しで終わりなのに、さるくらってました。 ----- キョン「必要? そんなことは簡単だ。お前は古泉達を殺し、そしてハルヒに罪をかぶせた。      いや、ハルヒは確かに第二のキラだったが……お前の存在のせいだ。      だからオレは……誰も望まない、オレすらも望んでいなかった結果をここに残すんだ」 月「りゅ、リューク!」 キョン「無駄だ夜神。さっき言ったろう、お前の持っていたノートはすり換えた……      つまり、一度はそのノートに触れている。そこの死神も最初から見えていた」 月「!」  な、なんてことだ……僕は死ぬのか!? 嫌だ、死にたくない!  僕は新世界の神だぞ! キョン「そろそろ終わりの時間だ……。夜神、オレはこれから警察に行く。      オレがキラだった……そう言えば、全てのキラ事件はかたがつくだろう」 月「キョン、お前はそれでいいのか! ……!?」  胸が、心臓が……! キョン「言ったろ、誰も望んでない、ってな」  逝きたくない逝きたくない逝きたくない逝きたくな……い……。 -終- 123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 02:06:46.69 ID:5ED6nKmsO またさるくらってました。時間短かすぎですね。 ----- -放課後・水曜日・部室-(キョン) ハルヒ「第二のキラが出現したんですって!!」  我らが団長様は、パソコンのウィンドウに向かってそう叫んだ。 キョン「だからどうした」 ハルヒ「どうしたじゃないでしょバカキョン! キラに続いて第二のキラ……      キラに会えるチャンスが増えたのよ!?」  どうしてお前はそう変なものに興味を抱くかね。 ハルヒ「こうしちゃいられないわ! 情報収集よ!!」  やれやれ、毎度ドアがかわいそうだよ。 124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 02:11:16.88 ID:5ED6nKmsO 古泉「ちょっといいですか?」 キョン「ん?」 古泉「この感覚……今日という日……前にも感じませんでしたか?」 キョン「さぁな、ただのデジャブじゃないのか」  古泉、やはりお前もか。  いつものニヤケ顔も、何だか今は見栄えがいいぞ。 朝比奈「何か私もぉ」 長門「知らない」  朝比奈さん、あなたもです。いつもお美しい。  長門、お前が知らないなんてことはないだろ。お前も思い出したくないことが、 あるってことかな。 キョン「……皆同じか」  覚えてるさ、二回のループ。そして今日という日は三度目だ。 125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/04(月) 02:16:00.71 ID:5ED6nKmsO  一度目……オレ達は夜神の策略にまんまとハマり、皆やられてしまった。  二度目……オレ達は夜神の行動をある程度わかっていつつも、ハルヒは逮捕されてしまった。 しかし、古泉達が殺されることは避けることができた。  夜神の家を徹底的に洗った結果、二重底に細工されていた引き出しからノートを発見。 それをすり換えたからだ。後は古泉達が死んだように見せるだけでいい。  そしてオレは、皆が止めるのも聞かず、夜神の所へ行き……あいつを殺した。  だがハルヒ、お前はそのどちらも望まず、ループさせたんだな。  三度目……今回のハルヒは、どうやら第二のキラじゃないらしい。不気味なノートもなければ、 白いスカスカした人外もいない。  これがお前の望んだ、SOS団の姿ってことか。  ならばハルヒ……オレはお前を感謝するさ。こんな日常が、オレは好きなんだから。 ハルヒ「こぉらぁキョン! 遅いわよ!! 罰金として今から行くご飯、あんたのおごりだからね!!」  ……前言撤回、かな。              -完-