キョン「なんだ、今日はまだお前だけか?」 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 13:47:16.17 ID:RhDZIAfFO 朝倉「そうみたい」 キョン「!?朝倉!?」 朝「?」 キ「ど、どうして」 朝「どうしてって…たしか涼宮さんは掃除当番だって言ってたかな。他の人は知らない」 キ「そうじゃねぇよ!」 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 13:48:58.41 ID:RhDZIAfFO キ「なぜお前がここにいる?」 朝「あら、私がここにいたらおかしい?」 キ「ああおかしいね。お前の登場と俺の平和な日常は相入れないというのが これまでに俺が学んだ教訓の一つだ」 朝「…はぁ?」 キ「今度は何をするつもりだ。また俺を殺すか? 言っとくが、武器になるようなものならここにはねぇぞ」 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 13:50:32.39 ID:RhDZIAfFO 朝「…おっどろいた。気付かなかったな。 同じSOS団員にここまで自分を嫌っている人がいたなんて」 キ「しらばっくれんな!」 朝「身に覚えが無いって言ってるのに、まだ言うわけ? さすがの私でもいい加減怒るよ」 キ「ああ良いさ、来るなら来い。…だがな、仮にこれまでと同じように 俺を殺そうとしてもだ。お前はいつだって長門に」 ガチャ キ「!」 朝「あら」 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 13:51:23.71 ID:RhDZIAfFO み「…あ、お二人だけですかぁ?」バタン キ「朝比奈さん」 朝「こんにちは。先輩」 み「こんにちは朝倉さん、キョンくん」 キ「…!」 み「よいしょ。すぐにお茶淹れますね」 朝「あ、良いですよ先輩。私やります」 キ「…」 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 13:53:03.53 ID:RhDZIAfFO …バタン み「あれ?キョンくん」 朝「どうしました?」 み「キョンくん、出てっちゃいました。どこ行くんでしょう?」 朝「たぶん、これから先輩が着替えると思ったからじゃないですか?」 み「あっそっかぁ…それなら早く着替えなくちゃ」 朝「あっでも違うかも。彼、さっきから何か様子が変だったから」 み「そうなんですかぁ?」ぱさっ 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 13:55:03.97 ID:RhDZIAfFO キ「畜生…どうなってやがる」 キ「またこのパターン。いい加減勘弁してくれ」 キ「……帰るか」 古泉「おや、また無断欠席ですか」 キ「ん?なんだ古泉か」 古「涼宮さんの機嫌が悪くなって困るのは、他ならぬ僕なんですけどね」 キ「…」 古「僕の顔に何かついてますか?」 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 13:56:23.58 ID:RhDZIAfFO キ「なあ古泉。妙なことを言うようだが SOS団のメンバーを一人ずつ挙げてみてくれないか」 古「?」 キ「いいから頼む。さあ」 古「涼宮さんに朝比奈さんに朝倉さん、それにあなたと僕…」 キ「…」 古「鶴屋さん…は、半分団員とでも言ったところですか。 ま、小集団ですからね。こんなところでしょう」 キ「間違いないか?」 古「そう思いますよ。僕の記憶が確かならね」 キ「…やっぱ帰るよ。考えることができた」 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 13:58:15.70 ID:RhDZIAfFO 古「考えごとでしたら相談に乗りますよ」 キ「ん?」 古「一人で煮詰まってしまうよりは、幾分生産的かと」 キ「…そうだな。そう遠からずお前の力も必要になろう。だが」 古「?」 キ「それはまた今度頼むよ。今日のところは 悪いがハルヒの機嫌とりに殉じてくれ。んじゃな」とぼとぼ 古「…困ったものです」 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 14:00:25.17 ID:RhDZIAfFO …どすどすどすどす、バタンッ!! ハルヒ「おっまたせー!ちゃんと全員揃って…あら?」 朝「?どうかしたの?涼宮さん」 ハ「朝倉さん?…うん、朝倉さんよね…ごめんね。何でもないわ」 朝「うふふ、変な涼宮さん♪」 ハ「(何かしら…この違和感)」 古「ふむ」 み「?」 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 14:01:56.17 ID:RhDZIAfFO ハ「まぁ良いわ。今日の活動に入りましょ…って、そういやキョンがいないじゃない」 み「キョンくんなら、さっきまで部室にいたんですけど…」 朝「でも急に出てっちゃったのよね」 ハ「ふぅん?」 古「あ、彼ならさっき下駄箱で少し話しましたよ」 ハ「ほんと?で、なんて?」 古「すまないが、今日は用事があるので……とのことです」 ハ「用事?キョンが?」 古「ええ」 ハ「…」 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 14:03:49.83 ID:RhDZIAfFO ガチャ 妹「あ、キョンくんおかえりー」 キ「ただいま。それと寝そべって菓子を食うんじゃありません」 妹「はぁーい」 …バタン キ「ふう…さて」ぬぎぬぎ 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 14:06:07.13 ID:RhDZIAfFO ぱさっ、ごろり キ「やれやれ。これからどうしたものかな」 キ「まさか長門がいなくなるとは… まぁ確かに、ハルヒたちが消えてないだけ前よりはましだけどよ…」 キ「…なに、こうして少し考えりゃ案外打開案も見えてくるさ」 キ「だがそれより何よりまず、ハルヒへの言い訳を考えねば…うむむ」 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 14:07:16.34 ID:RhDZIAfFO プルルル、プルルル キ「うおっ、言ってるそばから…もしもし?」 ハ「キョン?あたしだけど」 キ「おうハルヒ。わかってるよ、今日の欠席だろ?実は―」 ハ「あーそれは後で良いわ。ちゃんと面と向かって聞くから」 キ「?」 ハ「実はその…今あんたの家の前にいるんだけど」 キ「…うむ?」 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 14:08:59.25 ID:RhDZIAfFO シャッ、ガタン キ「…おお本当だ。しかもお前一人か。珍しい」 ハ「そ、そんなことは良いの。とにかく入れてよ」 キ「はいはい、少し待ってろ」 ハ「ちゃんとズボン履いてから出てきなさいよ?」 キ「うおっ、忘れてた」 ハ「ばか」 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 14:11:12.93 ID:RhDZIAfFO ガチャ キ「よ、久しぶり」 ハ「…今日学校で会ったじゃない」 キ「まあ良い、とにかく入れ」 ハ「うん」 …バタン 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 14:12:56.88 ID:RhDZIAfFO ぱたぱたぱたぱた… 妹「キョンくーん!今来たのだあれー?」 ハ「おじゃまするわね妹ちゃん」 妹「あっハルにゃんだ!いらっしゃーい」 妹「あれ?いつもみたいにみくるちゃんや古泉くんは一緒じゃないの?一人だけ?」 ハ「う!そう、その…ちょっと勉強を教えに、ね」 キ「(何の言い訳だ?)」 妹「ふぅ〜ん?」 キ「そうだ、あらかじめ言っとくが、菓子は持ってこなくて良い」 妹「えぇー!?」 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/29(水) 14:18:51.40 ID:RhDZIAfFO キ「俺の部屋で良いか?」 ハ「良いわ。どこでも」 …バタン キ「やれやれ…ま、適当に座ってくれ」 ハ「あんたどうして今日来なかったわけ?」 キ「うぐ」 ハ「こうして家にいるんだから、何か用事ってわけでもなさそうだし」 キ「うぐぐ!」 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/29(水) 14:20:52.27 ID:RhDZIAfFO キ「そ、それはだな…(やばい、何も考えてねぇぞ)」 ハ「…」 キ「…………なんとなく」 ハ「はぁ?」 キ「(…アウトだな。何でよりによって最悪な言い訳が出てくるかね)」 ハ「ふーん…ま、いいわ」 キ「なんと!?」 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/29(水) 14:22:16.74 ID:RhDZIAfFO ハ「なんて声出してんのよ」 キ「あ、ああ…すまん」 ハ「いーのよ。あたしも似たようなもんだから」 キ「そういやさっきから元気が無いな。悪いもんでも食ったか?」 ハ「…あんたねぇ」 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/29(水) 14:23:40.05 ID:RhDZIAfFO キ「冗談だよ。ところで団活はどうした?いつもならまだ活動時間だろう」 ハ「そうなんだけどね…なんか調子が出ないのよ」 キ「うむ?」 ハ「部室行く間は、今日は何しようーとか、もうすぐ週末だからその時の活動はーとか すんごいやる気満々だったのよね。もうガーッ!て感じで」 キ「なんか簡単に目に浮かぶな」 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/29(水) 14:25:32.81 ID:RhDZIAfFO ハ「それが、部室の扉開けた瞬間ね。あれ?ってなったのよ。 違和感…というか、いつもそこにあるものが無くて落ち着かないような」 キ「ほう。つまり俺だな?」 ハ「ばっか。それで原因がわからなくてむしゃくしゃするし、いまいち調子も出ないし。 しょうがないからもう今日は終わりにしたってわけ」 キ「なるほどね」 ハ「あーもう、なんなのよこれ!うぅ、むしゃくしゃするわ…」 キ「(こいつ、もしかして気付いてる?)」 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 14:27:44.08 ID:RhDZIAfFO キ「なあハルヒ」 ハ「…なによ」 キ「他の団員はみんな来てたんだよな」 ハ「そーよ、みくるちゃんも朝倉さんも古泉くんも、あんた以外みーんな揃ってたわ。 ほんとにあんた、団員としての自覚あるの?」 キ「朝倉って、SOS団…だよな」 ハ「…あんた、とうとう頭おかしくなったわけ?」 キ「お前がスカウトしたんだろう」 ハ「そーよ」 キ「その時のこと覚えてるか」 ハ「そりゃあ………あれっ?」 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/29(水) 14:29:09.63 ID:RhDZIAfFO ハ「…え?おかしいわね…」 キ「どーした」 ハ「うー…しょうがないじゃない。あたしだってど忘れすることもあるわ」 キ「なるほどね。ところで話は変わるが SOS団の部室ってもとは何だったかな」 ハ「?文芸部室よ」 キ「どのような経緯を経て、それが我が部室になったんだ?」 ハ「へ……あれ…?」 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/29(水) 14:30:58.87 ID:RhDZIAfFO ハ「え、何これ…?なんで思い出せないの…?」 ハ「それにあたし…なんで今こんな気持ちなんだろ」 キ「(まずい、やりすぎたか)」 ハ「何よこれ…怖い…いや違う…悲しい…?それも違う…」 キ「ハルヒ」 ハ「……寂しい?…そうよ、寂しいよ!…でも、どうして…?」 キ「おいハルヒ、しっかりしろ」ガシッ! ハ「…キョン」 ハ「思い出せない…あたし、何かの病気なのかも…」 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/29(水) 14:32:34.66 ID:RhDZIAfFO キ「そんなことないさ。少し疲れてるんだよ」 ハ「…そうかしら」 キ「そうさ。お前くらい常日頃元気だとな、そんなこともたまにはあるさ」 ハ「…」 キ「まぁゆっくりしてけよ。俺で良ければいくらでも話相手になってやる」 ハ「…ありがと」 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 14:34:07.16 ID:RhDZIAfFO キ「もういっそ明日は部活無しにしてさ。少しゆっくりと過ごすのが良いんじゃないか」 ハ「え、でも」 キ「実はちょいと野暮用があって明日も行けそうに無いんだ、俺」 ハ「あ…そう」 キ「その代わり明後日は土曜だ。いつものやつ、やるんだろ?」 ハ「!当然じゃない」 キ「今回は一つ、それに備えるつもりでさ。 いつも100%全開で探されてたら、そりゃあ秘密も寄りつかないってもんだ」 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/29(水) 14:36:25.60 ID:RhDZIAfFO ハ「…あんたにしては、まともな意見ね」 キ「なんだよそれ」 ハ「そうね…緩急をつけるのは盲点だったわ。考えといてあげる」 キ「ありがとよ」 ハ「キョン、ちょっと」 キ「?」 ハ「もうちょっと…こっちきなさいよ」 キ「はいはい」 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 14:38:47.12 ID:RhDZIAfFO ハ「…」ぽす キ「おお…なんだ、お前がそういうことするとは」 ハ「あたしだって健康な女子だもの。そういう気分になるときだってあるわよ」 キ「なるほどね」 ハ「あ、誤解しないでよね。一番近くにいたのがたまたま あんたってだけなんだから」 キ「なんて言い種だ」 ハ「…団員なんだから、団長が弱ってる時くらいせめて傍にいなさい」 キ「はあ」 ハ「言ったでしょ。なんか今、寂しいの」 キ「…わかってるよ」 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/29(水) 14:40:06.22 ID:RhDZIAfFO ハ「…どうしちゃったのかしら、本当に」 キ「そう言われてもなぁ」 ハ「いいの、わかってるから。確かに寂しいのよ。 寂しいってことはつまり、何か大事なものを失したってことなのに」 キ「…」 ハ「それが何かわからない。思い出せない。…だから、また余計に寂しくなる」 ハ「ずーっと、その繰り返しなのよね…」 キ「…」 ハ「…」 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/29(水) 14:42:05.45 ID:RhDZIAfFO キ「…まぁ、だがこれで大体状況がつかめてきた」 キ「まず、昨日の内に世界が変わったのは間違いない。 …だがそれは以前のように大規模なものでは無いらしい」 キ「長門がいなくて、代わりに朝倉がいる。それだけだ」 キ「…まあ、それが唯一にして最大の問題なわけだが…」 キ「まあ、つまるところ今回はいざという時に頼る最後の砦がいないってわけだ」 キョン「…誰か助けてくれ。いやほんとに」 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/29(水) 14:44:43.61 ID:RhDZIAfFO キ「しかし、ハルヒは何か違和感を感じているらしい。これは重要なことだ」 キ「それならまだ望みはある。場合によっては、朝比奈さんや古泉が気付くかもしれない。 …いつかの夏休みの世界改変のように」 キ「ともかくだ。今何より優先してやるべきことは―」 ハ「…すやすや」 キ「おい起きろこの野郎」 ハ「…ふがっ!」 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/29(水) 14:46:07.40 ID:RhDZIAfFO ハ「ぅ…何すんのよぅ…」すんすん キ「なんか面白い音したな」 ハ「あんたのせいでしょ!」 キ「いやな、もう暗くなってきただろ? そろそろ帰った方が良いんでないかと思ってね」 ハ「げ…なに、あたしこんな寝てたわけ?」 キ「ああ。同級生の男の部屋で、それもしっかり身体を預けてな」 ハ「…」 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 14:47:54.64 ID:RhDZIAfFO キ「一つ忠告させてもらうなら、あまりに無防備すぎる」 ハ「…あんた、あたしの寝てる間に何かしたの?」 キ「ああ?そうか、しときゃよかったな」 ハ「!ちょっ…//」 キ「額にひとつ、肉の文字でも」 ハ「馬鹿」 キ「んん?なんかいつになく冷たい反応」 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/29(水) 14:49:48.86 ID:RhDZIAfFO ハ「帰るわ」 キ「そうか。送っていくか?」 ハ「大丈夫よ。まだそこまで暗くないし」 キ「そうか」 ハ「…でもまぁ、さっきまでモヤモヤしてたのが随分ましになったのは あんたのおかげかもね」 キ「ほう?」 ハ「あー…一応、お礼いっとくわ」 キ「…そいつはどうもw」 ハ「あ、何笑ってんのよ!」 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 14:52:11.48 ID:RhDZIAfFO …バタン 妹「あれー?ハルにゃん帰っちゃったの?」 キ「ああ、たった今な」 妹「えぇー!おはなししたかったのにー」 キ「今日はそんな雰囲気じゃなかったんだよ。 まぁ、またいつでも遊べるさ」 妹「本当に?約束だよー?」 キ「はいはい」 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/29(水) 14:54:17.50 ID:RhDZIAfFO キ「さて、どうするかね」 キ「とりあえずあいつに連絡してみるか」 キ「……あ」めるめる キ「…ああもう!何をやってるんだ俺は」 キ「その『あいつ』がいないから、困ってんじゃねえか…」 キ「…そうか。考えてみると」 キ「こんな当たり前のようにあいつを頼ってたんだな、俺は」 キ「…長門」 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/29(水) 14:56:07.69 ID:RhDZIAfFO 次の日、学校 キ「…はあ、憂鬱だ」ガララ 朝「あ、おはよっ」 キ「!!」ビクッ 朝「?」 キ「…お、おう朝倉」ドキドキ 朝「?どうかしたの?」 キ「いや、まあ何だ……昨日はすまんかったな」 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/29(水) 14:57:51.89 ID:RhDZIAfFO 朝「なに、昨日とずいぶん態度が違うじゃない。一体どういう風の吹きまわし?」 キ「いや、昨日はただ少し虫の居どころが悪かったんだ。 八つ当たりであることないこと言っちまった。反省してるよ」 朝「へぇ、あれ八つ当たりだったの? なんだかえらく鬼気迫る取り乱し方だったけど」 キ「いやあ、はは…」 朝「もう、頼むよー?w 急に友達からあんなこと言わるの、結構傷つくんだから」 キ「いや本当悪かったよ。今度なんか奢る」 朝「ふふっwじゃあ許してあげる」 キ「そうか、ありがとう」 キ「(…何かえらく理不尽だな…)」 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/29(水) 15:01:28.19 ID:RhDZIAfFO キョン「(…まあ、仮に問い詰めてもだ。あいつのことだからな。 前のように白を切り通すだろう)」 キョン「(ん、待てよ?…普通に考えれば他はともかく 奴だけは知ってるはずだよな?この事態のこと)」 キョン「(とすれば、問題は敵意があるか否かだが…)」 キ「(過去二回、100%の確率で刺されてんだよな俺…)」 朝「?どうかしたの?」 キ「いやっ!何でもないが!?」ビクン! 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/29(水) 15:05:01.86 ID:RhDZIAfFO キ「はぁ…朝からこんなんではとても体力が持たん…」 キ「おっす、ハルヒ…って、ん?」 キ「なんだまだ来てないのか。珍しいこともあるもんだ」 キ「(いや昨日のハルヒのブルーさ加減を考えると、これはもしや…)」 谷口「おいおいキョン、お前ってやつはそんなに涼宮のことが」 キ「おお、タコ野郎。もしかして欠席か?ハルヒは」 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 15:07:52.08 ID:RhDZIAfFO 谷「ばっ…誰がタコ野郎だ!知るかっつーの、涼宮の出欠なんざ」 キ「ああ、そうだよな。お前に聞くだけ時間の無駄だった」 谷「んだとこの野郎!」 キ「ほら、岡部が来たぜ。席つけよ」 谷「ああくそっ…あとで覚えてろ!」 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 15:10:48.48 ID:RhDZIAfFO キ「(…まぁよくよく考えてみればだ。朝倉といえ さすがに皆の前で俺に手出しするとも考えられん)」 キ「(つまり、単独で奴と会わければ良いわけだ)」 キ「(ハルヒがいないなら部活も無いし…トイレや下校さえ用心してりゃ まず二人きりになることもあるまい)」 キ「(…まぁ朝倉の能力なら、そんな問題どうとでもなる気がせんでも無いが…)」 キ「(…ま、今日一日くらいは大丈夫だろ)」 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 15:15:58.83 ID:RhDZIAfFO 放課後 キ「…よし。なんとか乗り切ったな」 キ「正直いつ刺されるものかと気が気じゃなかったが…」 キ「ともあれ、早速行くか」 朝「あ、ちょっと待ってよ」 キ「うお!な、何でしょうか!?」ビクッ 国木田「(今日のキョンは動きが面白いなあ)」 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 15:19:43.12 ID:RhDZIAfFO 朝「今日涼宮さんお休みなのよね。部活、どうする?」 キ「ああ…いつもはハルヒがいなくても関係無いんだがな。 しかしそれとは別に、今日は正式な休暇らしい。昨日ハルヒがそう言ってた」 朝「そう?…あ、本当だ。メールが来てる」 キ「あいつ…つーことはやっぱズル休みかい」 朝「あ、でもこれ複数送信みたい。 ということはもう皆に伝わってるわね」 キ「だな。部室へ行くだけ無駄だろ」 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/29(水) 15:22:44.09 ID:RhDZIAfFO 朝「そっか」 キ「うむ。じゃ、またな」 朝「…あっ!ねぇあなた、良かったら一緒に帰らない?」 キ「ぶっ!いや…すまないが、それはできかねる」 朝「へぇ、どうして?」 キ「どうしてって…それはあれだ。この後、どうしても外せない用事があるわけだ」 朝「用事?」 キ「そう、実は岡部から呼び出しを食らってしまってな。この後は職員室直行だ」 朝「はぁ、直々に呼び出しって…あなたまた赤点でもとったの?」 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/29(水) 15:25:59.78 ID:RhDZIAfFO キ「かもしれん。こないだのやつは、正直手応えが最悪だった」 朝「ふぅん。ま、それならしょうがないわね」 キ「ああ…すまんな」 朝「私は良いから、精々こってり油を塗られてきなさいよwじゃあね」 キ「そうするよ。また明日な」 谷「(AA+を断っただと…?)」 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 15:27:18.62 ID:RhDZIAfFO キ「やれやれ。さて」ガタン 谷「おいおいキョンよ、お前も相当だよなあ」 キ「?なんの話だ」 谷「だってそうだろ?こないだのテストなんか俺でも5割いったぜ?」 キ「ああ、さっきのか。ありゃ嘘だ」 谷「………は?」 キ「朝倉には悪いが、どうしても行かにゃならん所があるんでね…っと。それじゃな」 谷「お、おい――」 ガラガラ、ピシャリ 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 15:33:27.17 ID:RhDZIAfFO コツ、コツ、コツ… キ「まぁ今も昔も俺が行く場所なんざ、あそこしかないんだがね」 キ「人間、長い習慣になると来なくて良いと分かってても その場所へ足が向いてしまうものなんだよ」 キ「それはまぁ、何も俺だけじゃないわけで。 その証拠に、俺はそういうやつに何人か心当たりがある」 キ「…つまり、お前らだ。そうだろ?」 ガチャ み「あっ…キョンくん♪」 古「お待ちしておりましたよ」 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 15:38:14.52 ID:RhDZIAfFO キ「やはり、いてくれたか」 古「来なくても良い――とは言われましたがね。 ま、来てはいけないということは無いでしょう」 み「それに…その、最近の違和感も気になってましたし」 キ「…!それじゃ、やっぱり」 古「ええ、非常事態です。少しばかり対策を練る必要があります」 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 15:44:37.19 ID:RhDZIAfFO キ「それで、朝倉は?」 古「魅力的な人とは思いますがね…やはり長門さんの代わりは務まりません。 …ああ、これは決して能力的な意味ではありませんよ」 み「私ったら本当に気づかなくて…凄いですよね、情報操作って」 キ「しかし…これで助かった。まずは何とかなりそうだ」 古「『何とか』しなくてはなりませんね。 このままでは、些か問題がありますから」 み「ふぇ…問題?」 77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 15:47:48.61 ID:RhDZIAfFO 古「端的に言うと、閉鎖空間が発生しています。 それも昨日の部活以来、ずっと消えてません。現在進行でね」 キ「いやいや待てよ。閉鎖空間は神人を倒せば消えるって話だろう?」 古「ええ」 キ「んならさっさとそうしろよ。さぼってんじゃねーぞ」 古「ですから、それができなくて困ってるのですよ」 キ「む」 古「良いですか?こんなことは異例中の異例なのですが… 神人の生まれる早さが、我々が狩る早さを越えているのです」 キ「…は?」 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 15:52:33.72 ID:RhDZIAfFO キ「そいつは…かなりやばいんじゃないか」 古「だからそう言っているでしょう。こんなことは前代未聞です」 キ「むむ」 古「一つだけ救いといえば、神人がほとんど抵抗を見せないということです」 キ「?…動かないってことか」 古「ええ。現れたものの、手持ち無沙汰に立ち尽くすばかり。 そのお陰でこちらも、辛うじていたちごっこに持ち込めていると言えますが…」 キ「つまり、ハルヒは今イライラしてると言うより落ち込んでいるというわけか…」 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 15:54:34.87 ID:RhDZIAfFO み「えっと、そのことなんですけど」 キ「はい?」 み「涼宮さん、昨日の部活で違和感に気付いてたみたいなんです。 …たぶん私たちより、ずっと敏感に」 キ「となると、ハルヒの落ち込んでる原因は…」 古「ええ。まず間違いなく長門さんがいなくなったためです」 80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/29(水) 15:57:11.50 ID:RhDZIAfFO キ「そうだ。一つ教えてくれ」 古「聞きましょう」 キ「たしかにハルヒは、何かえらく引っかかってたよ。だが考えてみたら変だ」 み「?」 キ「なぜそのハルヒより、お前や朝比奈さんの方が先に 長門の存在を思い出すことができたんだ?」 81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 16:00:33.50 ID:RhDZIAfFO 古「それについては、偶然という他ありませんね」 キ「?」 古「危ないところでしたよ。まさに行幸と言うべきです。 一歩間違えば涼宮さんが先に見つけていたかと思うと…」 み「じつは私たちがそれを気付いたのは、キョン君が来るほんの少し前のことなの」 キ「えっ…それってマジでついさっきじゃないですか」 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 16:02:07.60 ID:RhDZIAfFO み「キョンくんが来る、すこし前なんだけどね。 私、思い切って違和感のことを古泉くんに打ち明けたんです」 み「そしたら古泉くんも同じだっていうから…」 古「ともかく、部室内で手がかりを探すことにしたのです。 何かあるとしたら、まずここだろうと思いましたからね」 キ「ほう」 古「誰も使わない窓際の椅子や、棚に並ぶ本を見るにつけて 何か思い出しそうではあったのですが…」 古「決定的だったのは、これです」ガタン 83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 16:05:52.50 ID:RhDZIAfFO キ「…パソコンじゃねえか」 古「ええ、どうぞ。ご覧ください」 キ「?…………!」カチカチ キ「(なんだろうな、時間的にはたった一日会ってないだけなのに)」 キ「(なんだかずいぶん久しぶりに顔を見た気がするぞ、長門)」 み『な、長門さんっ!今日こそあなたを倒してみせますっ!!』 長『そうはさせない。古泉イツキは私と手を組むべき…』 84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/29(水) 16:07:48.34 ID:RhDZIAfFO キ「…やれやれ、またずいぶんと懐かしいものを出してきたもんだ」 古「ええ、ですが流石にこれを見た瞬間に思い出しましたよ。全てね」 み「不思議ですよねぇ…メールアドレスとかは消えちゃってたのに。 やっぱりこの部屋のものだからなんでしょうかぁ?」 古「そこが問題です。以前の世界改変では、全くと言っていいほど もとの世界の痕跡が無かった。そうですよね?」 キ「ん?ああ」 85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/29(水) 16:11:25.23 ID:RhDZIAfFO 古「仮にですよ。長門さんの消失が涼宮さんの能力のためだとしたら、 こんなに早く気づけると思えません。先の夏休みの一件でもそうでした」 キ「たしかに」 古「とすると、こうは考えられませんか?」 古「今回の一件は涼宮さんの世界改変ではなく、何か別の原因によるもの。つまり」 古「長門さんは消えてしまったわけじゃない。 この世界のどこかに存在している」 キ「…!」 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 16:13:57.01 ID:RhDZIAfFO …まっがーれ♪まっがーれ♪ み「あ…」 古「おっと。…失礼、どうやらここまでのようです」 キ「ま、ここまでわかれば上々だよ」 古「すみません」 キ「いいさ。せいぜい気合い入れて狩ってこい」 古「…ふふ、そうですね。 ですが、その仕事の量を左右するのは涼宮さんと他ならぬあなたですよ。 そろそろ休暇を頂きたいものです」 キ「む」 古「では、失礼」 …バタン 87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/29(水) 16:17:38.59 ID:RhDZIAfFO キ「…」 み「…」 キ「…帰りますか」 み「そうですね」 ガチャ、バタン キ「ああそうだ、朝比奈さん」 み「はい?」 キ「未来側で今回の事件はどう扱われているんですか」 み「…それが、ほとんど無関心と言ってもいいくらい… 私としては、それも不思議なんですけど」 キ「…」 89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 16:20:17.84 ID:RhDZIAfFO キ「(向こうとしては、宇宙人枠が長門から朝倉に変わった程度なら とくに考慮に値しないということか…?)」 キ「(ふざけんな。大問題だ馬鹿野郎)」 み「あっ…でも」 キ「あ、はいはい」 み「明日のパトロール。あれは大事なイベントですよ」 キ「…ん?」 み「頑張ってねキョンくん。応援してます」 キ「ええ、任せてください」 キ「(…何を?)」 91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 16:24:17.01 ID:RhDZIAfFO 翌日 キ「(ってこういうことかい…)」 キ「おっす、ハルヒ」 ハ「…遅い。罰金」 キ「待てい。異議あり」 ハ「言ってみなさい」 キ「まだお前一人だけじゃねえか。他の三人が来てない」 ハ「それなんだけどね。みーんな揃って都合が悪くなったらしいのよ。 …しょうがないから、今日はこの二人ね」 キ「…」 92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 16:26:26.47 ID:RhDZIAfFO ハ「あ、何よその顔。あたしだって不本意なんだからね」 キ「そいつは悪かったね」 キ「(これもハルヒの能力の一環か? …いや、だが古泉はさすがに来れないだろうと思っていたが)」 ハ「ぼさっとしてないで、とりあえずいつもの喫茶店にいくわよ」 キ「おお、すまんすまん」 ハ「あ、もちろんあんたの奢りね?」 キ「…やれやれ」 93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 16:29:33.03 ID:RhDZIAfFO 店内 ハ「…」 キ「なぁ、ハルヒ」 ハ「何?」 キ「昨日学校来なかったよな。それはその…一昨日のやつが原因か?」 ハ「ん…まあ、そうね」 キ「そうか」 ハ「あれからずっと考えてみたんだけどさ。 やっぱ病気かもしれないわね、あたし」 キ「…」 94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 16:35:31.30 ID:RhDZIAfFO ハ「SOS団での活動を振り返ってみるとね…やっぱり思い出せないとこがあるのよ。所々」 ハ「これは前にも言ったけどね。拠点が文芸部室になった経緯や、朝倉さんを勧誘したことも思い出せないままだし…」 ハ「もっと大きなイベント…例えば夏の合宿や、文化祭なんかもね。 やっぱり大事なところが虫食いみたいに抜け落ちてるの」 ハ「…これって、アルツハイマーとかいうやつじゃないの?」 95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 16:36:28.98 ID:RhDZIAfFO ハ「そうね…特に朝倉さんに関することは、ほとんど覚えてないわね」 ハ「それとは全く別に、何かすごく大切なものを失しちゃった気もするわ」 ハ「今まですっごく近くにあって、すっごく仲の良かった兄妹みたいな…」 キ「ハルヒ!」 ハ「…な、何?」 キ「見直したよ。それと、悪かった」 ハ「…はぁ?」 96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 16:40:04.10 ID:RhDZIAfFO キ「(怖くて古泉たちには言えなかったが…俺は心のどっかでハルヒを疑ってたんだな)」 キ「(つまりハルヒが長門に消えろと望んで――結果、その通りになっちまった…)」 キ「(だがな、今のお前を見て確信した。お前はんなこと望んだりしねえよな)」 キ「(いつだって姉妹みたいに仲が良かった。少しでも疑ったのが恥ずかしいくらいだ)」 キ「(流石は俺たちの団長様…とでもいったところかね)」 キ「おい、ハルヒ」 97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 16:43:10.23 ID:RhDZIAfFO ハ「…ちょっと、何度も大きな声で呼ばないでよ。恥ずかしいわね」 キ「今日の徘徊コースは、ひとつ俺に任してくれないか」 ハ「?…あんた、どこか不思議な場所に心当たりがあるの?」 キ「それはわからんが、上手くいけば お前のモヤモヤを晴らすきっかけになるかもしれん」 ハ「ふぅん?」 98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 16:45:04.05 ID:RhDZIAfFO キ「それにな、たまには何も考えずぶらつくのも良いもんだ。 探し物って、諦めかけた頃に出てくるものだろう」 ハ「…一理あるわね。ま、良いわよ」 キ「決まりだ。んじゃ早速行こう」 ハ「あ、ちょっと」 キ「ん?」 ハ「はい、忘れ物」 キ「…伝票ですかい」 101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 16:50:52.10 ID:RhDZIAfFO ハ「で?どこ行くのよ」 キ「あー…とりあえずあっちだ」 ハ「あっち?駅前から離れちゃうじゃない」 キ「ま、それもまた良し。…そーだ、なんなら手でも繋いどくか?」 ハ「ばか。あんた、神聖なるSOS団の活動をなんだと心得てるわけ?」 キ「神聖、ねえ」 103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 16:58:23.84 ID:RhDZIAfFO ハ「そーよ。我らがSOS団のメイン活動とも言うべき、実に意義のあるイベントなのよ」 キ「(そんな団長の思いとは裏腹に、今ひとつ集まりの悪い団員たちであった)」 ハ「その辺にいる、いかにも頭の悪そうなカップル共のデートとは それはもう太陽とスッポンくらいの差があるわけ」 キ「はいはい」 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 17:02:47.53 ID:RhDZIAfFO ハ「まぁでも…そうね。 あんたがそういった陳腐なことをしたいってどうしても言うのなら、あたしも…」 キ「…」 ハ「ち、違うのよ!ほら、社会学習の一環になるし この間のお礼って意味でも…!」 キ「まだ何も言ってないだろ」 106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 17:06:11.58 ID:RhDZIAfFO ハ「ぅー…」 キ「ほら、膨れんなよ」 ハ「膨れてないわよ。バカキョン」 キ「おっ、なんだかいつものお前らしくなってきたじゃねえか」 ハ「それどういう意味よ」 キ「さっきまで落ち込んでて見てられなかったもんでね。 そのくらいふてぶてしい方が、こっちとしては安心だ」 ハ「…ふん」 108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 17:09:50.07 ID:RhDZIAfFO キ「とはいえあれだな、お前は元の顔は良いんだから もう少し普段から静かにしてりゃなあ…」 ハ「ええ?なんでよ」 キ「なんでって…多分モテると思うぞ。谷口あたりに」 ハ「あんなのに好かれてどうすんのよ」 キ「奴は清楚な子がタイプとのことだ」 ハ「聞いてないわよ」 110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 17:14:43.80 ID:RhDZIAfFO ハ「大体ね、清楚な女が好きなんて言う男はこちらから願い下げだわ」 キ「そりゃまたどうして」 ハ「そういうのはね、大抵馬鹿のくせに相手を見下したいのよ。 活発な女相手だと、主導権を握る自信が無いのよ」 キ「あながち間違いではないかもな」 ハ「つまるところ、谷口は馬鹿なのよ」 キ「そこは同感だ」 112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 17:21:39.12 ID:RhDZIAfFO キ「だけどな、おとなしい子っていい子じゃないか。 なんつーか話していて角が立たない」 ハ「そんなことを堂々と言うのが団員だなんて、あたしは情けないわよ」 キ「それにほら、そういう子は同性から見ても良い子だろう?」 ハ「まあね。有希とか」 キ「!」 ハ「え?……あれっ」 115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 17:27:55.80 ID:RhDZIAfFO ハ「…あたし今、妙なことを言ったわよね」 キ「ハルヒ」 ハ「おかしいわね…何なの、本当に」 キ「大丈夫だ。おかしいことなんて、何一つ無いんだ」 ハ「う、うん…そうよね」 キ「あ、ほら。そうこう言ってるうちに着いたぞ」 ハ「ここ…図書館?」 116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 17:30:07.89 ID:RhDZIAfFO キ「いかにも」 ハ「ま、確かにパトロールで来たことは無いけどさ」 キ「ほう、そうなのか」 ハ「何よ。あんたも同じでしょ」 キ「ところがどっこい、俺は一度来たことがある」 ハ「へえ、誰とペアの時よ」 キ「誰って…」 ハ「…」 キ「…」 117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 17:34:56.67 ID:RhDZIAfFO ハ「…まあでも、図書館って来てみると意外に時間潰せるのよね」 キ「おう、それにタダだしな」 ハ「キョンにしては上出来じゃない」 キ「ありがとよ。とにかく入ろうぜ」 図書館内 ハ「…!うわ、結構人多いわね」(小声) キ「休日だからな。静かにしろよ」(小声) ハ「あんたに言われたくないわよ」(小声) 124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 17:57:45.78 ID:RhDZIAfFO さる食らった 128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 18:03:02.71 ID:RhDZIAfFO いや、一度終わったスレなのにこれだけ支援してもらえるのはありがたいくらい ただ定期的にあげてもらえると助かります。ひやひやした さるって具体的にどんな条件で発動だっけ 129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 18:07:18.79 ID:RhDZIAfFO キ「(例によって席を確保、荷物を置いて…と)」ドサ ハ「…」ガタ キ「(そして本を物色。まあこの流れだよな)」 キ「(ハルヒも本を取りに行ったか。…さて、どうしたものかね)」 131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 18:11:00.10 ID:RhDZIAfFO キョン「……」 キ「(ここは…ああ、受付か)」 キ「(懐かしいな。いつかここで長門にカードを作ってやったっけ)」 キョン「(あいつはてこでも動こうとしなくて…なのに、結局俺がハルヒにどやされたんだ)」 キ「(というかなんだ。さっきから俺は長門のことばかり考えてやしないか…?)」 キョン「…何やってんだか」 134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 18:20:44.30 ID:RhDZIAfFO キ「(こんだけありゃ充分だろ。席に戻るか)」 ハ「…」 キ「(おお、読んどる読んどる)」 キ「(こいつとこんな静かに過ごしてるとはな…なんか不思議だ)」ジーッ ハ「?…」キッ キ「(む)」 ハ「(な・に・よ?)」 キ「(べ・つ・に)」 ハ「…」 キ「…」 137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 18:29:16.53 ID:RhDZIAfFO ハ「…」ムゥ キ「…」ヒラヒラ ハ「…ふん」ペラッ キ「(ふぅ、やれやれ。おっ)」 キ「(あそこの本棚のとこなんか、じっと見てると何やら長門が浮かんでくるような…)」 キ「(…ハッ!いかんいかん。さっきから挙動がやばい。俺は不審者か)」 キ「(…読書に集中するか)」ペラ 138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 18:33:16.23 ID:RhDZIAfFO キ「…」 ハ「…」パラ キ「…」 ハ「…」 キ「…」パラ ハ「ぁふ…」 キ「…」 ハ「…」パラ キ「……おい、ハルヒ」 140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 18:38:27.07 ID:RhDZIAfFO ハ「…図書館では静かに」(小声) キ「悪い。ところで今何時だ」(小声以降略) ハ「へ?えっと、ちょうど2時…ってもう3時間近くもいるじゃない!」 キ「ああ、そろそろ行こうぜ」ガタン ハ「後で入り口に集合!」ガタ キ「OK」 141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 18:41:55.42 ID:RhDZIAfFO ハ「んんっ…!たまには良いわね、読書も」 キ「同感させてもらう」 ハ「で、次はどこ行くのよ」 キ「うむ、あっちだ」 ハ「?あんた、さっきから行き当たりばったりで決めてるのよね」 キ「そうだが、何か?」 ハ「それにしては行く先々に迷いがないじゃない。 まるでどこへ行くか、始めから決まってるみたい」 キ「あー、そうなのかもな。本当は」 144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 18:48:38.18 ID:RhDZIAfFO ハ「…で、ここは何よ」 キ「うむ、ここは長…じゃなくて朝倉の家だ」 ハ「知ってるわよ。何、ここに不思議なものがあるとでも言いたいの?」 キ「まあそれもあながち間違いではないんだが」 ハ「はぁ?」 キ「何でもない」 146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 18:54:53.53 ID:RhDZIAfFO ハ「そもそも朝倉さんは、今日欠席してるのよ。家にいるはずないじゃない」 キ「まあまあ…せめてインターホンくらい押しても良いだろ」 ハ「…むぅ」 キ「(えーと…長門の番号だよな、たぶん)」ポチポチ…ブツッ 朝「…はい、どなた?」 キ「!」 ハ「あ」 148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 19:03:46.78 ID:RhDZIAfFO 朝「…ああびっくりした。急に訪ねてくるとは思わなかったな、しかもこの二人で」 キ「こっちはお前が家にいたことにびっくりだよ。 今日は何か用があったんじゃねえのか」 朝「それがね、むこうの都合で急にキャンセルになって…あ、はいお茶どうぞ」 ハ「え?あ、ありがと」 朝「うふふ、どういたしまして♪」 キ「…」 149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 19:13:01.79 ID:RhDZIAfFO キ「えーと」 ハ「…」 キ「(ハルヒはやはり何かひっかかっているようだな)」 朝「…それで?わざわざ二人のデートを中断してまで、私に何の用事?」 キ「ブッ!!」 ハ「あ、朝倉さん、お手洗いどこかしら?」 朝「ん?えっとね、そこ出てまっすぐ」 ハ「う、うんありがと」スクッ キ「(うお、一人にするなハルヒ!!)」 150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 19:18:23.88 ID:RhDZIAfFO 朝「…」 キ「…」 朝「で?本当は何の用かしら」 キ「ああ、単刀直入に言う。長門をどこにやった」 朝「…何の話?」 キ「もうとぼけられねえぞ。既に古泉と朝比奈さんも気付いてるからな」 朝「!…あぁそっか。そうだよね」 キ「?」 朝「やっぱり私の情報操作には粗があったかあ。凄いな涼宮さん」 キ「!!…やはり、お前が…」 152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 19:22:03.17 ID:RhDZIAfFO 飯食ってきます 15分くらい 159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 19:40:44.71 ID:RhDZIAfFO そこそこ見てくれてたんだな 本当にありがとうと言いたい 163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 19:51:56.66 ID:RhDZIAfFO 朝「ねぇねぇ、やっぱり涼宮さんが原因の…ほら、夏休みでの世界改変の時の方が気づきにくかった? 私の情報操作のどこにミスがあったか、あなたわかる?」 キ「んなもん知るか。長門を返せ。お前は何がしたい」 朝「もう…そんな怒らないでよ。 物事にはちゃんと手順があるんだから。」 キ「どういうこった」 朝「手順を無視してがむしゃらに急ぐだけでは、いつまでたっても先へ進めないんだよ?ってこと」 キ「…」 165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 20:03:21.11 ID:RhDZIAfFO キ「…お前の言うことは、いつだって抽象的すぎる」 朝「うふ、そうかもね。あなたたちにしてみれば」 キ「そう思うなら、分かる様に説明しやがれ」 朝「うーんと…つまりね。具体的に、あなたがしなくてはならないことが幾つかあるの」 朝「そのうちの一つで、まず何より優先すべきことは」 キ「…」 朝「私と一緒に、ご飯を食べるの」 キ「……は?」 170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 20:11:50.64 ID:RhDZIAfFO ハ「あら…どうしたのよキョン、そんな怖い顔して」 キ「ああ?…ハルヒか」 朝「涼宮さん。今ね、晩ごはんの支度をあなたたちに手伝ってもらいたいなぁって 彼にお願いしてたのよ」 キ「!?」 ハ「ふぅん?ずいぶん殺伐としたメニュー会議だったのね」 朝「涼宮さんったら」 171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 20:14:13.33 ID:RhDZIAfFO ハ「それで、何のメニューに決まったの?」 朝「おでん」 ハ「手伝いようが無いわよそれ」 175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 20:24:11.44 ID:RhDZIAfFO キ「(いやいやいや!!わけがわからん。何だこの展開は)」ピンポーン キ「なっ…」 朝「あら来たみたいね。涼宮さん、インターホンで出てくれる?」 ハ「あたしが出るの?」 朝「大丈夫よ、涼宮さんも良く知ってる人たちだから」 ハ「ふぅん?」カチャ ハ「…へ?」 177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 20:30:29.43 ID:RhDZIAfFO み「えっと…こんにちはっ」 古「ご招待に預かり、光栄です」 キ「いやまてまてまて!何故二人がここに!?」 ハ「まぁそんなことは良いのよキョン。それより朝倉さん!」 朝「なあに?」 ハ「この人数じゃ、流石に材料が足りないわ!そうでしょう!?」 朝「あら…そうね、そうかも」 179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 20:37:46.45 ID:RhDZIAfFO ハ「そうと決まれば買い出しよ!メニューはその時決めるわ!」 キ「(ああ、なんか久しぶりだなーこういうハルヒ…って俺もかなり混乱してんな)」 ハ「行くわよ朝倉さん、みくるちゃん!…あ、男子は留守番よ。 暇ならそーね、掃除でもしといて」 朝「あらあら」 古「これはこれは」 キ「(…俺なのか?おかしいのは、俺一人なのか?)」 181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 20:45:06.01 ID:RhDZIAfFO ハ「さあ行きましょ!」 み「キョンくん古泉くん、いってきます」 朝「お留守番よろしくね」 ガチャ、バタン キ「……なんだったんだ」 古「ふふ」 キ「…」 古「あ、掃除やります?」 キ「お前一人でやってろ」 184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 20:54:42.13 ID:RhDZIAfFO 古「おや、何も質問しないのですか?」 キ「…終わった後にじっくり聞くとも。今はもう、考えるのをやめた」 古「ふふ、なるほど…涼宮さんと同じですね」 キ「あ?」 古「今の彼女にとって、長門さんが朝倉さんに代わっていることによる 僅かな違和感は拭えない…」 古「しかし突然、目の前に楽しそうなイベントが出現したので ひとまず考えるのは保留にしよう…そんなところですか」 キ「…」 188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 21:03:19.29 ID:RhDZIAfFO 古「非常に合理的な考え方だと思いますよ」 キ「…誰がなんと言おうと、俺は朝倉を信用できん。 ハルヒの隣は、朝比奈さんとは長門にしか務まらないんだよ」 古「もちろん涼宮さんだって、心の底から納得してないのは言うまでもありません。 こうしてる今でさえ、閉鎖空間が拡大中であることがその証拠です」 キ「……」 191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 21:09:39.63 ID:RhDZIAfFO キ「そう言う割に余裕じゃねえか」 古「とんでもない!ここまで持ってくるのに随分苦労しました。 ですが…そうですね。今はいくらか落ち着いてます。やっと人心地がついたので」 キ「何、どういうこった」 古「はて、質問は後回しのはずでは?」 キ「む…」 193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 21:16:47.97 ID:RhDZIAfFO 古「大丈夫、あなたにも遠からず知ってもらうことです。 しかし、物事には順序があります」 キ「それはさっき、散々聞いたよ」 古「うふふ。もちろん僕だって長門さんがいないままで納得できるはずがありません。 次にやるべきことも見えています。ですが…」 古「それは、我がSOS団女性団員たちによる夕食に舌鼓を打った後でも 遅くはないでしょう?」 194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 21:22:39.06 ID:RhDZIAfFO キ「…まぁ、お前も疲れてるだろう。わかったよ」 古「ご理解頂けて光栄です」 キ「ああ、だが古泉。一つだけ聞かせてくれ」 古「はい?」 キ「長門のいない世界を造ったのは、本当にハルヒじゃないんだな?」 古「…涼宮さんが長門さんの消失を望む理由が、何か見当たりますか?」 キ「…だよな。安心したよ」 バタン! ハ「たっだいまー!鍋やるわよ、鍋!」 196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 21:32:08.84 ID:RhDZIAfFO み「うぅ、重かったですぅ…」 朝「ふふ、ご苦労さま」 ハ「やっぱり男も連れていくべきだったわね……ま、とにかくはじめましょ! キョン、あんたもちょっとは手伝いなさい!働かざる者、食うべからずよ!」 キ「しょうがねぇな。分かったよ…」 199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 21:39:29.65 ID:RhDZIAfFO 古「ああ、言い忘れてましたが」 キ「ん?」 古「動けないほど満腹まで食べないようにお願いします。 …僕もあなたにも、この後にもう一仕事控えていますので」 キ「…そういうことかい。やれやれ、分かったよ」 ハ「キョーンー!?」 キ「ああ、今行く!」 200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 21:44:31.95 ID:RhDZIAfFO ちょっとばかし流れががが早すぎて辛い 食事シーンは割合して構いませんね 206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 21:52:48.24 ID:RhDZIAfFO PM 8:00 み「今日はすみません、遅くまでお邪魔して」 朝「あらあら、良いのよ。楽しかったし」 ハ「まあ何はともあれ、最後に全員で集まれたのは良かったわね。うん」 古「結構なお味でしたよ」 ハ「ありがと!キョン、あんたも何か言うことは!」 キ「え?ああその、ごちそうさまでした」 朝「うふふ、お粗末様♪…といっても、皆で作ったんだけどね」 キ「…」 210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 21:58:54.40 ID:RhDZIAfFO 会話形式でない文で書こうかと思いましたが 時間かかってそれ書いて投下する間に落ちてしまいそうです 落ちるの早すぎです あと食卓に朝倉がいる時点で和むのはたぶん無理です 215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 22:05:04.21 ID:RhDZIAfFO キ「(楽しかった?…ああ、確かに楽しかったさ)」 キ「(朝倉がもし普通の奴だったら、こうして友達として遊ぶのも それはそれでありだと思えたくらいだ。…だが)」 キ「(…やはり俺は、前の居場所に少し慣れ過ぎたんだろうな。 このメンバーで囲む食事には、食欲でハルヒとタメはれる奴がもう一人くらいは必要だ)」 キ「(…肝心のハルヒは、どう思っているのやら)」 219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 22:11:13.61 ID:RhDZIAfFO ハ「じゃあ今日はここで解散!また月曜に部室で会いましょう!」 古「はい、お疲れさまです」 み「さようならぁ」 キ「…」 朝「…また月曜、ね。会えたら良いのにな」 キ「?何か言ったか」 朝「ううん?何も」 223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 22:17:17.87 ID:RhDZIAfFO 古「さて…では」 キ「ああ、悪いがちょっと待ってろ」 古「?」 キ「おいハルヒ、ちょい待て!」 ハ「ん?」 キ「……」 ハ「…何よ」 キ「お前、本当にもう大丈夫なのか?…朝倉のことや、それに」 ハ「え、ああそのこと?大丈夫よ。もうすっかり元気、悩んでたのがバカみたい」 228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 22:21:49.24 ID:RhDZIAfFO キ「…そうか」 ハ「そうよ」 キ「それなら良いが…もしまた何かあったら、遠慮なく言えよ?」 ハ「団員に遠慮する団長がどこにいるってのよ。変なキョンね」 キ「悪かったな。それじゃまたな。気をつけて帰れ」 ハ「あんたに言われるまでも無いわよ」 229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 22:27:58.03 ID:RhDZIAfFO キ「…待たせたな」 古「どうでしたか?」 キ「ん?ああ、もう大丈夫だとよ。…しかし本心はどうだか」 古「ふふ。…さて、僕たちも行かなければ」 キ「ああ。どこへ行くかは知らんが、煮るなり焼くなり好きにすれば良い」 古「そうですか?では、お言葉に甘えて」ギュ キ「!?」 234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 22:36:16.48 ID:RhDZIAfFO キ「な、な、な!?」 古「ああ失礼、誤解しないでください――ほら」 キ「??」 古「我々の目の前…ここに、閉鎖空間の入り口があります」 キ「なっ…こんな、長門の家の真ん前じゃねえか!」 古「ええですので…おっといけない。あなたも一緒にです」 キ「!…まさか」 朝「…うん、わかってるわ」 237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 22:44:38.76 ID:RhDZIAfFO 古「ではお二人とも、手を――ええ結構」 朝「…ふふ、私これ初めてなの。あなたは一度経験してるのよね? 何かあったらちゃんと教えてね」 キ「(…教えるも何も、ただ歩くだけだ)」 古「では行きます。少しの間目を閉じていてください」 朝「…」 キ「(…道の真ん中で並んで手を繋ぐ男女三人、か)」 キ「(シュールな画だな)」 242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 22:51:43.14 ID:RhDZIAfFO 古「…入りました。もう目を開けても結構です」 キ「うん?…………これは」 古「ふふ、中々の壮観でしょう?まさに神人の洪水ですよ」 キ「ハルヒの奴……」 ハ『え、ああそのこと?大丈夫よ。もうすっかり元気、悩んでたのがバカみたい』 キ「…団員に嘘つくんじゃねえぞ、馬鹿野郎」 248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 23:00:37.45 ID:RhDZIAfFO キ「おい古泉…って赤いなおい!!」 古「仲間が戦っている中、僕だけ知らぬふりをして見てるわけにいきませんからね 少し失礼します」 キ「待てよ!俺たちをこんな場所に連れてきて、お前は何がしたかったんだ」 古「あなたを連れてきたのは、あなたの望みを叶えるためです。 …そして、この閉鎖空間を終わらせるのが僕の願い」 キ「…!」 古「後でまた会いましょう。御武運を」 250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 23:05:41.08 ID:RhDZIAfFO キ「…!行っちまったか…」 キ「朝倉…も、いつのまにか居ないな」 キ「皆やりたい放題ってか?…ああ分かったよ。それならこっちも好きにやらせてもらう」 キ「走るのはあまり好きじゃないんだが…ま、この場合はその方が気分が出るだろ」 252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 23:13:03.41 ID:RhDZIAfFO 15分後 キ「はっ…はっ……やっと着いた」 キ「長門よ、結構大変なんだな…お前ん家からの通学は」 キ「しかし、こいつらは本当に動かんのな…いや、お陰で迂回せずに済んだが」 キ「…まあなんだ、ハルヒよ。あまり落ち込むんじゃない」 キ「もうすぐたぶん全てが終わるからさ。それまでの辛抱だ」 254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 23:20:19.57 ID:RhDZIAfFO キ「……」 キ「…ああ、そうか。上履きに履き替えなくて良いのか」 キ「(…しかし、何度来てもやはりここは不気味だね)」 キョン「(あまり何度も来たい場所じゃない…いや、そりゃむこうでは毎日通っているんだが)」 キ「おっ、流石にこの高さに来ると神人が良く見える」 キ「…古泉には悪いが、なんだか変に幻想的な光景だよな」 キ「あの中の一つがお前か?…まあせいぜい、頑張ってくれ」 257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 23:29:28.05 ID:RhDZIAfFO こつ、こつ、こつ… キ「しかし我ながら、ことあるごとにここへ来るよなぁ」 キ「日常でも、閉鎖空間でも…そういや以前ハルヒの時も、ここを拠点にしてたっけ」 キ「だが来ないわけにもいかないし… おかしな習性が身についてしまったもんだ…と、さて」 キ「…」 キ「…行くぞ」 ガチャ 260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 23:33:57.25 ID:RhDZIAfFO キ「…っと」 バタン キ「…」 キ「…」 キ「…よ。お前一人か?」 長門「…」コクン 267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 23:41:20.56 ID:RhDZIAfFO キ「ここに辿り着くまで、ずいぶん苦労したんだ」 長「…そう」 キ「ああ。ずっと、捜していたんだぞ?」 長「…私のせいで」 キ「?」 長「迷惑をかけた…ごめんなさい」 キ「…」 ぽん キ「お前のせいじゃない。俺が勝手に捜しただけだ。だから」 キ「そんな顔、するな」 長「…」 270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 23:48:43.75 ID:RhDZIAfFO キ「いつから、ここにいたんだ」 長「…二日前」 キ「二日前から、ずっと?」 長「…」コク キ「へえ。ここで、何してたんだ?」 長「…本を読んでいた」 キ「そっか、いつも通りだなぁ」 長「そう」 272 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/29(水) 23:52:51.57 ID:RhDZIAfFO キ「教えてくれるよな、なぜお前が消えたのか…また、ハルヒ絡みか?」 長「違う」 キ「なんだ。じゃあ…朝倉か、あるいは雪山で遭難した時の奴か」 長「そうではない」 キ「じゃあ誰だ。お前を消した張本人は」 長「…」 長「情報統合思念体」 277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 00:00:20.45 ID:GjHuoHo9O キ「!……それは、何故」 長「ここ最近の私は、独自の判断で敢えて効率的でない行動をとることが多々あった」 長「…情報統合思念体は、それを良く思っていなかった。 やがて、私では涼宮ハルヒの監視を続けるのに不適任と考えた」 キ「そんな…」 長「それで二日前、私を一度削除した後 涼宮ハルヒの監視は朝倉涼子に継がせる方針を決定した」 キ「お前を削除だって!?」 282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 00:10:48.49 ID:GjHuoHo9O 長「私たち言う削除は、人間のそれと異質。一度消滅しても 思念体本体に残された情報をもとに、復元が可能」 キ「いや、しかし…」 長「現に朝倉涼子は過去に二度削除されている。 一度は私に、もう一度は思念体に」 長「彼女はその都度再構成され、あなたの前に現れた。…二日前のように」 288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 00:21:21.86 ID:GjHuoHo9O キ「それじゃ、あの朝倉は…」 朝「…そうね。私は三度目に構築された、全く別の私なの」 キ「!お前、いつのまに…」 朝「もちろん、過去二回の情報も記憶としてあるけど…今の私が体験したわけじゃない」 朝「あ、お久しぶりね長門さん♪元気だった?」 長「…」 290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 00:27:26.32 ID:GjHuoHo9O 朝「今回私がしたのは、皆の中から長門さんの記憶を消した…それだけよ」 キ「!」 朝「最も、それも涼宮さんの世界改変に比べると全然不完全だったんだけど…あんなにすぐにばれちゃったしね。 …あ、でも中々うまくやったと思わない?」 キ「…っの野郎!!…」 ――ガシッ キ「!?」 長「やめて…」 293 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 00:35:11.79 ID:GjHuoHo9O キ「長門…しかし」 長「そのことを要請したのは情報統合思念体そのもの。彼女を責めるのは理不尽」 キ「…!」 長「寧ろ彼女は、私を守ってくれたと言って良い」 キ「え…」 長「私が削除される直前になって、私を閉鎖空間に移すことで あちらとの分断を図るという案を申請したのは、他ならぬ彼女」 キ「!!」 朝「…」 296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 00:44:06.62 ID:GjHuoHo9O キ「お前…どうして」 朝「どうしてって…しょうがないじゃない。 一度削除されたら、もうそこの長門さんは返ってこないのよ?」 朝「もちろん再構成されても、長門さんは長門さんよ。 …まだ眼鏡をかけてて、今よりほんの少し表情の堅い長門さんね」 朝「でも良く考えてみてよ。それってつまり、一見あなたたちに囲まれていても、 本当の意味では思い出を共有できないのよ?」 朝「それって、少し悲し過ぎると思わない?」 キ「…」 299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 00:54:37.64 ID:GjHuoHo9O 朝「私なら、自分で変わってるつもりなんか全然無いものね。 何度消滅しても、私は私」 朝「あなたたちと一緒になって、長門さんが変わった理由を見つけるのも 目的の一つだったけれど…やっぱり、私には分からなかったな」 キ「…朝倉」 朝「ううん、そりゃそうよね。涼宮さんもあなたも 私と一緒だと少し堅いんだもの。もう参っちゃった」 朝「記憶も、完全に消したはずなのにね。 …やっぱり私は、ただの長門さんのバックアップだから」 長「…それは間違い」 301 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 01:02:26.12 ID:GjHuoHo9O キ「!」 朝「…なぁに長門さん、慰めてくれるの?」 長「…そうじゃない。あなたがどこか不完全というのは、根本的な誤り」 長「今回のあなたの情報操作はどれもが完璧」 302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 01:06:44.21 ID:GjHuoHo9O 朝「完璧?……やだなぁ長門さん、からかわないでよ」 朝「完璧なら、私は完全に長門さんの位置に収まることができたはずなのよ?誰にも疑問に思われずに」 長「だから、それはあなたのミスではない。その原因は私」 朝「えっ…」 長「涼宮ハルヒ、朝比奈みくる、古泉一樹らが違和感を感じていたその理由。それは――」 長「――私が、妨害していたから…」 305 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 01:15:03.42 ID:GjHuoHo9O 朝「…嘘」 長「嘘じゃない。貴方が記憶を改変する際、ほんの僅かな妨害因子を侵入させた」 長「結果、それらの因子が彼らに違和感を抱かせた」 朝「…」 キ「だが長門、なぜそんなことを」 長「…あなたたちの誰もが、私を忘れる」 長「…それが、少しだけさみしかった」 キ「…」 長「…ごめんなさい。」 306 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 01:21:27.21 ID:GjHuoHo9O 朝「…あーもう、やめやめ!もう良いわよ!」 キ「へ?」 長「…」 朝「悔しいけど…今ので長門さんが変わった理由が、少し分かった気がするわ。 それで、少しスッキリした」 キ「朝倉」 朝「ああそう、あなたに良いこと教えてあげる」 キ「む?」 朝「ついさっき、情報統合思念体の新たな方針が出たわ。 そっちの世界に長門さんが回帰するみたいよ」 キ「えっ…おい、そりゃ本当か!」 長「…」 308 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 01:27:35.94 ID:GjHuoHo9O 朝「本当も本当。流石の情報統合思念体も、長門さんがいなくなるだけで 今回の状況になるのは予測できなかったみたい」 朝「あなたは長門さんを連れて、あっちへ帰るの。 …そして、代わりにここに残るのは私」 キ「なっ」 長「…」 朝「…そうね、長門さんに倣ってじっくり本でも読んでみようかな。 もう少し色々なことが分かってくるかも」 313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 01:34:45.74 ID:GjHuoHo9O キ「う、うむ。そりゃ結構だが…しかし、その後はどうなる?」 朝「その後?…そうね。長門さんがそっちに戻れば、もう私は不要になる。 私と長門さんがむこうで共存することは最早不可能だから… …恐らく、閉鎖空間が消えると同時に消滅するわね」 キ「…お前は良いのか、それで」 朝「良いも何も…しょうがないじゃない。 それに言ったでしょ?何度消えても、私は私」 朝「またあっちで会うこともあるかもね…今の私以外の私に」 314 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 01:42:18.52 ID:GjHuoHo9O キ「…」 朝「ふう。他に何か、聞きたいことはある?何でも言ってよ」 キ「いや…無いよ」 朝「そう、良かった」 キ「…」 朝「なら、できるだけ早めに戻った方が良いかもね。 古泉くんが頑張ってるんでしょ?」 315 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 01:44:13.36 ID:GjHuoHo9O キ「あ…いかんいかん忘れてた。そうだな、あまり引き延ばすのも… …それじゃ朝倉、俺たち行くよ」 朝「ええ、元気でね」 長「…」スタスタ キ「長門?」 朝「?どうしたの?長門さん」 長「…この棚の、ここからここ」 長「…おすすめ」 317 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 01:52:37.59 ID:GjHuoHo9O キ「…だ、そうだ」 朝「へ?…あ、ありがと長門さん」 長「いい」 キ「んじゃ行くか、長門」 長「…」コク 朝「あ、ちょっと待って!」 キ「ん?」 朝「涼宮さんたちが長門さんの記憶をなくしてる中、 あなただけは何一つ失わずに完璧に覚えていたという事実!」 朝「その意味、あなたよーく考えるのよ!?」 318 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 01:55:44.32 ID:GjHuoHo9O キ「む…分かってるよ」 朝「あ、そう?安心したわ」 キ「それじゃ今度こそ…じゃあな朝倉」 朝「ええ。またね」 長「さよなら」 朝「さようなら。長門さん」 ……バタン 朝「…あーあ」 朝「少し…静かになっちゃったな」 320 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 02:02:59.66 ID:GjHuoHo9O 校庭にて キ「うーむ、ここから呼べば来るものか」 長「わからない」 キ「ま、物はためしか」 キ「おい、古泉!聞こえるか!目的は果たしたぞ!」 古「すでに来てますよ。後ろにね」 キ「うおぉ!?…お前、こっそり後ろに立つんじゃねえよ!」 長「…」 古「お久しぶりですね、長門さん」 長「そう」 古「閉鎖空間を抜け出します。お二人とも手を…はい。 では…いきますよ」 322 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 02:09:14.81 ID:GjHuoHo9O 古「…はい、もう結構です」 長「…」 キ「戻ってきたか…」 古「お疲れさまでした…と言いたい所ですが、まずは一刻も早く 長門さんを涼宮さんのもとに」 キ「ああ!ちょっと待ってくれ!」 古「?」 キ「その…なんだ。ハルヒに会わせるのは、せめて月曜の部活まで待って欲しい」 古「…はい?」 325 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 02:16:46.43 ID:GjHuoHo9O 古「……正気ですか?」 キ「その…ほら、ハルヒが今回の件について疑問を持ったりしたら厄介だろう? 別れてすぐ、直接訪問なんて不自然じゃないか」 古「それはそうですが…しかし」 長「それがいい」 古「ええ、長門さんまで!…困りましたね」 キ「頼むよ古泉。今閉鎖空間が無くなったら、まだ一冊すら読めてないままだ」 古「いや何の話です?」 328 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 02:22:52.68 ID:GjHuoHo9O 古「…やれやれ、まあ良いでしょう」 キ「!マジか!」 古「機関の仲間には悪いと思いますが…幸い 神人がおとなしいお陰で、怪我人も出てませんしね。大丈夫でしょう」 キ「話の分かる奴だよお前は」 長「…」ホッ 古「そのかわり、あなたには明日も引き続き彼女の機嫌をとってもらいます」 キ「うお!?」 長「…がんばって」 330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 02:31:40.20 ID:GjHuoHo9O そして月曜、放課後 長「…」ペラ キ「…」 み「キョンくん…なんかやつれてますね」 古「き、昨日は大変だったと見えますね」 キ「おかげさまでな。パトロールの出張版だと、電車を駆使して引っ張り回されたよ。 …所々で奢らされたせいで体は重いのに、財布は軽い。すげー不思議」 み「ひぇえ…」 古「それは…なんとも」 長「お疲れ様」 キ「ありがとよ、長門」 333 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 02:39:16.15 ID:GjHuoHo9O み「でも良かったですぅ、長門さんが戻ってこられて」 古「ええ。機関の仲間たちも、ようやく神人から解放されるというわけです」 長「そう」 キ「ん…ああ、そうか。ハルヒは今日まで長門を見ていないんだよな」 ガチャ ハ「おまたせー、みんないる?」 キ「あ」 ハ「へ?」 み「あっ」 長「…」 335 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 02:42:35.18 ID:GjHuoHo9O ハ「…」 キ「(おお、なんか呆然としてやがる。信じらんない…ってか)」 キ「(だんだん顔歪んできたな。泣きそう?…というか、百面相みたいで面白れーなこいつ)」 キ「(あ、なんか涙溜めて…いや堪えようとしてる…しかし、やっぱ無理と)」 キ「(そして次は…さぁくるぞ……長門、覚悟)」 336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 02:44:27.18 ID:GjHuoHo9O ハ「有希ぃ――――!!!!」がばっ! 長「きゅう」 ハ「んもーこの子は!この子は!心配かけて…もう!!」なでなでなでなで 長「…ごめんなさい?」 キ「おい待てハルヒよ、まず落ち着け」 ハ「何よぅ!うっさいわね」ズルズル キ「何をそんなに泣くことがあるんだ。長門なら毎日会ってるだろう」 339 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 02:49:11.98 ID:GjHuoHo9O ハ「え?…そ、そういえばそうね… でも良いの、そんなこと!有希〜…」ぎゅううぅ 長「…ぅ」 キ「ほら、そんな捕まえてなくとも長門はいつだってここにいるさ。 これまでも、これからも。そうだろ?」 長「…そぅ」 み「あー良かった…本当に」ニコニコ 古「これで、一件落着ですかね」 341 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 02:58:30.10 ID:GjHuoHo9O 一方、閉鎖空間にて 朝「ふう、結構読んだわね…あら?」 とてとて、ガララ 朝「神人がみんな消えてく…? …そう、うまくいったのね。良かったわね長門さん」 朝「ということは、私もいよいよお別れか…でも、まぁ良いかな。 みんなで鍋、本当に楽しかったし」 朝「あ、天井にひびが… 閉鎖空間ってこうやって消滅するのね。…凄く神秘的…」 朝「長門さん…さようなら」 朝「…ん…眩しい…」 朝「」 ・ 346 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 03:08:37.25 ID:GjHuoHo9O 部室 キ「ほらハルヒ、そろそろ長門を解放してやれよ… んで、今日の活動は?またいつもと同じで、考えてないのか?」 ハ「んん…!?あんた、団長をなめんじゃないわよ…」ぐしぐし ハ「良いわ、教えてあげる!そしてその素晴らしい内容に感銘を受けるが良いわ!」ダンッ! キ「いや、机に乗らんでも」 351 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 03:15:29.16 ID:GjHuoHo9O 古「なんでしょうか。胸が踊りますね」 キ「こいつはまた…頼むから、あまりハルヒを持ち上げてくれるな」 み「長門さん、大丈夫ですかぁ?」 長「へ、平気」 キ「(…ハルヒが元気になる、即ち俺が疲れるというこの構図)」 キ「(ただ、それがなぜかあまり嫌じゃないんだな。…今はね)」 ハ「あっこらキョン、余所見しない!」 キ「…やれやれ」 ハ「はい全員注目!今日の活動はね…」 fin 360 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 03:24:27.19 ID:GjHuoHo9O ありがとう 叩かれる覚悟でも立てて良かった 最初我慢して続けた甲斐があった 色々学ぶことが多かった 勉強になりました 366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/30(木) 03:49:07.51 ID:GjHuoHo9O …そうか、完結したからもうあとは落ちるだけなのか いや、ここまで支援ありがとうございました 本当におやすみなさい