ハルヒの直列で妄想怪談 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 17:07:53.58 ID:R34lKDGyO 「都市伝説や学校怪談物って面白いわね。こういう学園生活に憧れるわ!」 コイツに「ぬ〜べ〜」やら「学校怪談」やら貸した奴は正直に出てきなさい。 先生怒らないけど体罰は加えるから。 オセロの相手をしていた古泉は、「やれやれです」と聞こえてきそうな仕草を体全体で表現した。 長門は現状を理解しているのかいないのか、黙々と読書を続けている。 朝比奈さんは……顔が青ざめている。 近いうちに悪霊やら妖怪に襲われるなこの人は。 なあ、ハルヒ。 放課後、女子生徒が妖怪の触手に弄ばれるって言うDVDがあるんだが見るかい? そしてそれを望んでくれ。俺のために。 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 17:09:55.78 ID:R34lKDGyO ……それにしても時間遡行出来る技術を持った未来でも、心霊現象は解明されてないのか。 嬉しいやら悲しいやら。 「そういうわけで!」 腕章がいつの間にか『超霊能力者』に変わっていた涼宮ハルヒは、机の上に立ち上がって叫んだ。 「今日から我がSOS団は悪霊や妖怪退治が活動内容よ!」 ……「退治」ってなんだ。せめて「幽霊を見つける」にしろ。 「私の鬼の手が真っ赤に燃えるぅ!」 人の話を聞け。あと混ぜるな。鬼の手は左でドモンは右手だ。 阪中さんの時に満足したんじゃないのか? 「あれとは別よ!それに、校内に巣食う悪霊や妖怪は退治しなきゃ!」 それが望みか……誰かコイツを止めてくれ。俺は額に手を当てて溜め息をついた。 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 17:12:14.02 ID:R34lKDGyO 其の一 紫ババアと赤い紙青い紙 朝比奈さんの入れるお茶を飲みすぎたのか、突然尿意に襲われた俺はトイレに行ってくると告げた。 「花子さんに会ったらヨロシクね!キョン!」 何をヨロシクするんだ。花子さんは男子トイレに居ないだろう。 もし何かの間違いで出会ったらアップリケでも貰ってくるよ。 そう言い残して部室を出る。 ……まさかいきなり現れる事は無いだろう。それにトイレ系怪談の相場は女子トイレだしな。 「……待って」 突然少女の声に呼び止められ、ゾワッと身体中を悪寒が走った。 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 17:13:42.85 ID:R34lKDGyO 聞き覚えのある声だし、わかっちゃいるが長門よ、今はその喋り方はやめてくれ。心臓に悪い。 「……私も」 トイレにか?との問いに微かに頷く長門。 ……まあ長門なら花子さんが現れても大丈夫だろう。 こうして俺と長門は一緒にトイレに向かった。 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 17:16:57.46 ID:R34lKDGyO 「……ふう」 何かを排泄する行為はほっとするな。 ファスナーとベルトを閉め、手を洗うべく便器から離れた時だった。 「おまえが孫を殺したね」 はいはいハルヒよ。いくら俺を脅かそうっていっても、男子トイレに忍び込むのはどうかと思う…… 「あんただね」 後ろを振り返った俺は恐怖の余りに身体が動かなくなった。 冷静に考えればハルヒなわけ無いじゃないか。どうやって俺と長門より先にトイレに忍び込むと言うんだ。 目の前には全身紫色で、腰まで伸びたざんばら髪の老婆が笑いながら立っていた。 着ている服も、靴も、髪も、爪の色も、目の色も、唇の色も、全て紫色だった。 「孫と同じ目に合わせてやる。ヒヒヒッ!」 笑いながら近寄る紫の老婆。何だコイツは!長門!何とかしてくれ! ……反応無し。それにこれは恐怖で動けないんじゃない。金縛りってやつか?ヤバい。これは非常にヤバいぞ。 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 17:19:00.00 ID:R34lKDGyO 「孫は肝臓を潰された。おまえも肝臓を潰してやるさ。ヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ!!」 紫色の口で笑いながら、俺の腹部に手を伸ばして来た ……もう駄目だ…… 「ムラサキ!ムラサキ!ムラサキ!」 観念し始めた俺の後ろから古泉の叫び声が聞こえた。 「助けてくれ!古泉!この紫……ってあれ?」 紫の老婆はいつの間にかいなくなっていた。それに金縛りも解けている。 「危ないところでしたね」 あっけに取られる俺。 いったいどういう事だ?おまえ霊能力も備えていたのか? 「紫ババアですよ。聞いた事ありませんか?」 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 17:21:00.41 ID:R34lKDGyO 紫ババア 学校のトイレに現れる、全身紫色づくめの老婆。襲われた者は金縛りにあったり、心臓を抜き取られるが、「ムラサキムラサキムラサキ」と3回続けて唱えると退散する、というもの。紫色の物を手にして「ムラサキ」と唱えると良いともいう。 またはザビ家のキシリアの愛称。以上Wikipediaより。 「紫ババアなのにムラサキで退散とはなんだ……肝臓とか孫とか言っていたぞ?」 「ああいう妖怪は様々なバリエーションが在りますからね。勿論、対策法も数多くあります」 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 17:21:54.80 ID:R34lKDGyO 「貴方と長門さんが出ていった後、嫌な予感がしましてね。 トイレに向かうと貴方の悲鳴が……そういえば長門さんは?」 「長門ならトイレに……!!」 そんな怪談や都市伝説の類いを長門は知らないんじゃないか? 俺と古泉は急いで女子トイレに入った。 「長門……!!」 そこには血塗れの長門有希が立っていた。 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 17:23:04.72 ID:R34lKDGyO 血塗れの長門有希は俺達を見て呟いた。 「……着替えが必要」 うん、そうだよね。コレじゃあ帰れないよねって違うだろ! 大丈夫か長門!? 「……問題ない」 そうですか。 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 17:25:32.74 ID:R34lKDGyO 以下長門から聞いた話 トイレに入った長門は紙が無いのに気づいた。仕方がないので隣に行こうとすると鍵が開かない。 そして何者かに声をかけられた。 「赤い紙が欲しいか?青い紙が欲しいか?」 長門は少し考えて答えた。 「……赤い紙」 そう呟いた瞬間、ゲラゲラ笑いながら男がドアを開け、鎌で全身を斬り裂かれ血塗れになった。 「赤い紙……成る程、ユニーク」 そのまま男を無視して隣に行き、用を足した。 男は呆気に取られながら消えていったそうだ。 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 17:26:49.07 ID:R34lKDGyO 「赤いちゃんちゃんこじゃ無かったですか?」 いや古泉、問題はそこじゃねえ。 「……青よりは赤が目立たない」 そこも問題じゃないんだ長門。 「ふふ、考えたら負けですよ。とりあえず部室に着替えを取りに行きましょうか。 長門さん、また同じ質問をされたら「何も答えない」が正解です。無視してください。」 「……わかった」 「長門さんはあの調子だと大丈夫ですよ。それに見たくありませんか?長門さんの……」 俺は少しだけハルヒと学校の妖怪に感謝した。 そういえば部室にはコスプレ服がいっぱいあったな。 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 17:28:14.52 ID:R34lKDGyO 部室に戻るとハルヒと朝比奈さんは帰り支度をしていた。 「遅いわよバカキョン……あれ?有希は?」 「配管でしょうか?トイレで水浸しになってしまったようです。それで着替えをですね。」 いいぞ古泉。俺はメイド姿の長門をだな。 「それなら私の制服がいいですね。あ、私はこのままで帰ります。もう慣れっこですから♪」 朝比奈さんの優しさに、俺達は少し悔し涙を流した。 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 17:32:38.15 ID:R34lKDGyO それから妖怪や幽霊に会う事もなく無事に家に帰った俺は、あの紫ババアや血塗れの長門を思い出すと食欲なんて当然わくはずも無く、部屋でゴロゴロしていた。 勿論、入浴なんて……なあ?わかるだろ? 携帯をポチポチいじっていると着信。……驚かすな古泉。 「夜分遅くすいません。今から一泊、いかがですか?」 何でオマエと泊まらなければならんのだ。 おまえじゃなくて朝比奈さんなら即答でyesと答えるんだがな。 「その朝比奈さんも今一緒ですよ。長門さんの部屋で男二人、女二人の一泊……ふふっ 機関の車で指定の場所に迎えに来ますよ」 俺は家を飛び出した。 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 17:34:26.01 ID:R34lKDGyO 「……まあこんな事だろうと予想はしていたがな」 長門の部屋には大量の怪談物と都市伝説の本。 自前のノートパソコンなのか、オカルト系サイトを開きまくる古泉と、隣で黙々と読む長門。 朝比奈さんは……ホラー系の漫画を真剣な顔で読んでいた。 「ある程度のパターンと回避方法を覚えれば、僕達にも何とか出来るようですね」 成る程。 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 17:37:00.19 ID:R34lKDGyO 「そういえば朝比奈さん、こういう怪談とか都市伝説を知っていましたか?」 「鶴屋さんから聞いたりしてはいましたが、初めて読む物が多くて……とても面白いです」 いつの時代も女性は怪談話や噂話が好きなんだな。 ところで未来ではどんな都市伝説が有名なんだろうか? 「えっと……頭がオウムのポアポア叫ぶびながら毒ガスを吐く妖怪とか、幼い女の子ばっかり狙うモエモエって言うバンダナとリュックサックを背負った太った妖怪とか……」 ……そうやっていろいろとねじまがって妖怪と化して未来に残るのか。俺も気をつけなければ。 「そういう物ですよ。妖怪や怪談、都市伝説の類いの中には、過去にあった事件や有名人が元ネタとしか思えない物がありますからね」 わかったからいちいち顔を近付けるな。 ……それにしてもコレを全部読まなきゃいけないのか?長門じゃあるまいし、1日で終わらないぞ。 「僕と長門さんでまとめてます。かぶっている内容も多いですからね。 貴方と朝比奈さんは適当に読んで、予備知識を養って置いて下さい」 頼りになるな。さすがは副団長殿だ。 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 17:40:14.30 ID:R34lKDGyO 其の二 潜む男 活字は読む気にはなれず、漫画を適当に手に取り読む事にする。 ……うむ、漫画を読んでいたらお腹が空いてくるのは何故だろう。 ……そういえば帰ってから何も食ってないな。 「ふわわ!そ、それならコンビニにいきませんか!?みみみんなで行きませう!?」 朝比奈さんが急に立ち上がった。 「……カレーならある」 「長門さん、そうじゃなくって……えっとアイスクリーム食べたくないですか!?」 俺と古泉に何かを訴えるような視線。いったい何があった朝比奈さん。 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 17:43:28.27 ID:R34lKDGyO 「ふむ……わかりました朝比奈さん。では行きましょうか。なるべく急いでね」 真剣な表情で古泉が長門の手を引っ張りながら立ち上がった。 「キョ、キョン君も!!」 差し伸ばされた朝比奈さん手を握る……震えている。これはただ事ではない。 急いで部屋を飛び出し、マンションの外に俺達は出た。 「ここまで来れば大丈夫でしょう。……朝比奈さん、どこに潜んでいましたか?」 「クローゼットです……隙間から見えました……刃物を持った男が……」 涙目で答える朝比奈さん。 ああ、「潜む男」か。 ベッドがあの部屋に無かったからクローゼットの中に現れたのだろうか? 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 17:45:42.58 ID:R34lKDGyO 「……いつの間に」 不思議そうな顔をする長門。 「具現化された物……空間断層からの出現……いろいろと考えられますが、察知するのは長門さんでも難しいでしょう」 「……試行が必要。次は必ず」 長門怒ってるな……そりゃあそうだ。無断で男が自分の部屋のクローゼットに居たんだからな。 「はうう……こんな事がこれから続くんですか……?」 「その都市伝説や怪談のルールに沿って回避すればいいんですよ朝比奈さん。今のようにね」 「……今みたいにうまく出来るかな……」 ギュッと俺の手を握る朝比奈さん。そういえばまだ手を繋いだままだった。 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 17:48:09.68 ID:R34lKDGyO 「はわわ!ご、ごめんなさいキョン君……夢中で気づきませんでした……」 顔を真っ赤にして恥ずかしそうに手を離す朝比奈さん。 別に握ってても俺は構わなかったんですけどね。 「ついでにコンビニに寄りますか……あ、弁当は買わないでください。危険な物に変わっている可能性があります」 コンビニ弁当の都市伝説だな。全く、ハルヒのおかげでハンバーガーも食えないぜ。 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 17:50:39.72 ID:R34lKDGyO お菓子や飲み物だけを購入し、念のため先に長門と古泉が部屋に入る。 ……どうやら大丈夫のようだ。 それから俺達は対策を練った。 入浴は朝とか電気を付けて睡眠、トイレは一人で行かない等、小心者大会かと思われる項目を増やしていく。 明日からこの生活をするのかと思うと、なんだか情けなくなって来た。 そして、ある程度まとまって来たトコで就寝する事に。 もちろん電気を付けて、バナナの絵を枕元に置き、悪夢等に関する回避方法をしっかり覚えてからな。 健全なる男子生徒が妄想するような事が、こんな事では起こる筈無い。 ちくしょう。 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 17:52:36.26 ID:R34lKDGyO 全く厄介な事を望んでくれたなハルヒ……。 俺のほうを向き、寝顔を見せつけ、寝息を吹きかける古泉に背を向けて眠りについた。 ………… …… … 夢の中、左手が鬼になったハルヒが、古今東西の悪霊や妖怪を退治していた。 時折「シャイニングフィンガー!!」とか叫んでいる。 それは右手だ。ていうか出来るなら全部オマエがそうしてくれ。 そうすりゃ俺達もこんな苦労をしなくて済む。 「それじゃあつまんないでしょ!?」 そこで目が覚めた。 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 17:57:35.76 ID:R34lKDGyO ふと、隣を見ると他の三人も同時に起きだしていた。 「………シャイニングフィンガーとは?」 呟く長門。後でGガン観せてやるよ どうやら全員同じ夢を見たようだな。 睡眠不足の眼を擦りながら、今日からどんな学校生活が待っているのやら。ま、このメンバーなら何とかなるだろう。 少し楽しんでいる俺がいた。 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 18:00:37.75 ID:R34lKDGyO 書き溜め終わり 落ちるまでゆっくりと 駄文だったり、改悪だったり、パクリだったりといろんな怪談や都市伝説をハルヒ達で投下 暇なら方いたら……頼む書いて下さい。お願いします。 ハルヒ怪談物を。 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 18:20:00.13 ID:R34lKDGyO 其の四 おまえじゃない 長門さんのマンションから朝日と共に出てきた僕達は迎えの車に乗り、彼と朝比奈さんを送って家路につこうとしていた。 やれやれ涼宮さんにも困ったものです……頬杖を付きながら車内から流れる、朝の風景を眺めていた時だった。 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 18:26:37.79 ID:R34lKDGyO 「古泉君。」 珍しく運転手が話しかけて来た。 「外を見ないで下さい」 いったいこの人は何を言っているのでしょうか? 「古泉君のためです」 ……寝起きの頭をフル回転させる……そうか、このパターンは。 気付いた時には遅かった。 目の前の車の窓にドンッとグシャグシャの顔面が張り付いた。 どこが目なのか鼻なのかわからない程に原型を留めていない。 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 18:32:45.68 ID:R34lKDGyO 多分、口であろう穴からぶしゅぶしゅと血を吹き出しながら、その肉片は呟いた。 「おまえじゃない」 そして消えていった。 朝からグロ画像を見せつけられ、鬱になる気持ちが今ならよくわかります。 強烈過ぎて記憶から消せない……今日は食事抜き決定ですね。 青ざめた表情に気付いたのか、運転手が僕に謝罪した。 「すいません。もう少し早く伝えるべきでした。昔この通りで轢き逃げがありまして……未だに犯人を探しているんですよ。アイツは」 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 18:35:31.65 ID:R34lKDGyO 次からは出来るだけ早めにお願いします。と運転手に伝えた。 さて、気を抜けない生活が始まりましたね……やれやれ、本当に困ったものです。 僕は車を降り、帰宅した。 おはり 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 18:47:00.62 ID:R34lKDGyO 松ちゃんの話 長門有希は自宅マンションのエレベーターで奇妙な男と出会った。 全身黒ずくめで顔を隠し、うつむいて立っている。 会釈するも返事は無し。 無言のまま一階に到着。長門は降りようとした時に男と肩がぶつかった。 「……ごめんなさい」 謝る長門を無視するかのように男は走っていった。 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 18:52:33.30 ID:R34lKDGyO ふと、ぶつかった肩を見ると血が付いていた。 その時になってようやく長門は気付いた。 「……警官の殺人鬼」 あの男は今日、私の部屋を訪ねて来る。 その時に捕まえるべきか、ルールに沿って知らないで通すか。 少し悩みながら学校へと向かった。 おはり 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 19:21:35.40 ID:R34lKDGyO なんでわかったの? 朝比奈みくるは登校途中に、髪の長い黒ずくめの女が立っているのを見かけた。 「生きている人じゃないみたい……あ」 女がゆっくりこちらを振り返ると同時に、朝比奈みくるは背を向けて走って逃げた。 昨日読んだ、「なんでわかったの?」って言う女の幽霊! 幽霊の声なんて朝から聞きたくありません! 耳をふさぎながら、遠回りをして学校に向かった。 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 19:23:59.89 ID:R34lKDGyO 遅刻ギリギリ。 息を切らしながら朝比奈みくるは校門に到着。 「はあ、朝から出会ってしまうなんて……」 「遅かったわね」 心臓が凍りつくような声が校門の影から聞こえた。 恐る恐る見ると、あの黒ずくめの女がニタニタ笑っていた。そして真っ黒な口を開いた。 「ねえ、なんでわかったの?」 朝比奈みくるはその場で気を失い、保健室に運ばれた。 おはり 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 19:55:08.27 ID:R34lKDGyO 『キョンの作戦』 朝から悪霊やら妖怪やらに出会うだろうと考えた俺はなるべく回避すべく、 MP3プレーヤーから伸びるイヤホンを耳に付けて歌をループ。 そして普段から細い目をさらに細くしたり、なるべく下を向いて登校する作戦に出た。 これなら奴等の声も聞こえないし、姿を見る事も無いだろう。 朝から厄介事はごめんだ。 学校前の坂の付近まで無事に到着。 ……うむ。この作戦は成功のようだ。まあ、毎日通っている道だしな。 「他のみんなは無事に登校してるだろうか」 ぼそっと呟いた。 「大丈夫じゃねwww見てないけどwww」 歌が流れているはずのイヤホンから、ふいに男の笑い声が聞こえて来た。 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 20:00:02.75 ID:R34lKDGyO 「うおっ!?」 イヤホンを引きちぎるように投げ捨てる。まだゲラゲラ笑っているのが聞こえる。 MP3プレーヤーには繋がっていないのに。 そして道に投げ捨てたイヤホンから 「長い付き合いになりそうだなwwwこれからよろしくwww」 くそ、作戦は失敗だったか……もう目を細める必要は無いな。 目をしっかりと開き、俺はゲラゲラ笑うイヤホンに向かって呟いた。 「わかったよ。ハルヒが飽きるまでお前達に付き合うさ。」 もうあのイヤホンは使いたくないな。そのまま捨てよう。 まだゲラゲラ笑うイヤホンを無視して俺は学校に向かった。 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 20:01:17.91 ID:R34lKDGyO おはり 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 20:39:54.94 ID:R34lKDGyO 『電話』 国木田が携帯を見つめながら何やら不思議そうな顔をしていた。 どうした?と尋ねると何やら携帯の留守電に不思議な音が録音されているらしい。 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 20:43:55.00 ID:R34lKDGyO 「どうせイタズラだろう。ちょっと聞かせてみろ」 「いいけど。この音、どっかで聞いた気がするんだよ。キョンはわかるかなあ?」 携帯に耳を当てる。 『バクン…バクン…バクン…』 一定の感覚で生々しい音がずっと続いている。確かになんだか聞いた事があるぞ。 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 20:50:31.91 ID:R34lKDGyO 「どっかで聞いたようなリズムなんだけどな」 「キョンもそう思う?」 いったい何の音だろうと考えていた時、廊下を歩く長門を見つけた。 こいつならわかるかも知れん。 「長門、ちょっとこれを聞いてみてくれ」 俺は国木田の携帯を長門に手渡した。 長門は携帯を耳にあて、暫く目を閉じていた。 そして理解したように目を開けると呟いた。 「………これは人間の心臓の鼓動」 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/25(水) 20:58:26.62 ID:R34lKDGyO 「心臓?」 「胸に携帯を押さえつけて留守録したのかな?」 国木田の問いに長門は首をふった。 「……これは、胸を切開して、剥き出しにしなければ聞こえない音量」 国木田の血の気がサッと引くのがわかった。 自分の心臓の音なのか、他人の心臓の音なのか。 どちらにしろ、国木田の携帯にこの音を留守録した奴は異常者だ。 「……携帯を変えたほうがいい」 「うん……」 「……私も一緒に行くから。心配しないで」 「ありがとう長門さん……」 国木田は携帯の電源を切り、教室に向かった。 おはり