古泉「涼宮さんは処女でしたよ」 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/18(水) 22:33:33.41 ID:AZza5IdYO ――――――ねぇ、白馬の王子様って信じる? キョン「お、なんだ突然?」 ハルヒ「いいからあっち行って!」 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/18(水) 22:37:09.58 ID:AZza5IdYO 谷口「お前、最近涼宮と仲いいじゃねーか。二人で何してんだよ?」 キョン「別になにもしてない。ただあいつに振り回されているだけだ」 国木田「でもキョン、涼宮さんと話してるとなんか楽しそうだよね?」 キョン「そんなことはない!」 谷口「とか言ってもまんざらでもないんだろ?涼宮は顔だけはいいしな」 キョン「確かに顔がいい分、谷口よりはましかもな」 谷口「えーっと……? いきなりローブロー気味の冗談はやめてくれよ」 国木田「どこらへんが冗談なわけ?」 谷口「……えーっと」 キョン(『楽しそう』か……。とりあえず朝比奈さんのバニーガール姿を間近で見れたのは役得だったな) 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/18(水) 22:40:33.93 ID:AZza5IdYO キョン(言われてみれば、確かに前より充実してるかもな。朝比奈さんのおかげで) ハルヒ「キョン、部活行くわよ!早くしなさい!」 キョン「やれやれ。今日は何をするっていうんだ?っというか、俺たちは掃除当番だろうが」 ハルヒ「もう十分やったじゃない! それにね、捨てられたバナナで滑って転ぶような奴は、廊下が綺麗でも転ぶようなつまんない奴に違いないわ!」 キョン「いいや、転ぶのはお前みたいに走り回る奴だろうよ」 ハルヒ「うるさいわね!いいからさっさと来なさい!グズグズしてると死刑なんだから!」 キョン (まったく。飴もらった子供みたいな顔だ) キョン「仕方ない。死刑はイヤだからな」 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/18(水) 22:43:18.80 ID:AZza5IdYO ―――部室 ハルヒ「みくるちゃん、有希、それにキョン、揃ってるわね!」 長門「……」 みくる「あ、お二人とも遅かったですね〜」 キョン「ええ、掃除当番だったんで」 ハルヒ「そんなことはどうでもいいの!それより、明日転校生が来るらしいのよ!」 キョン「お前はどっからそんな情報仕入れてくるんだ」 ハルヒ「ねぇキョン、どんな人だと思う?宇宙人、未来人?それとも超能力者?」 キョン「そんなはずがないだろう。普通の人間だ、普通の」 ハルヒ「それじゃあつまらないじゃない!SOS団が求めるのは普通じゃない人間なのよ!」 キョン「またわけの分からんことを……」 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/18(水) 22:45:46.40 ID:AZza5IdYO ―――翌日 女子A「ねぇねぇ、9組の転校生見たのかしらぁ?」 女子B「見てないのー!でもカッコいいって聞いたの!うにゅー!」 ハルヒ「キョン、転校生を見に行くわよ!」 キョン「一人で行けばいいじゃないか。なぜ俺も行かなきゃならんのだ」 ハルヒ「細かいことは気にしないの!さっさと来なさい!」 キョン「俺の10分休みが!」 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/18(水) 22:49:11.27 ID:AZza5IdYO ―――9組 キョン「なんだこの人だかりは!これが転校生パワーなのかッ!」 ハルヒ「人が邪魔で見えないわね……。キョン!肩車しなさい!」 キョン「無茶を言うな!」 ハルヒ「何よ使えないわねぇ。しょうがないわ、行くわよ!キョン!」 キョン「行くってどこに……ぬわっ!引っ張るな!」 ハルヒ「はいどいてー!聞こえないの!?あんたたち邪魔だっつってんのよ!」 ハルヒ「あなたが噂の転……校生……」 ――――――この時のハルヒの顔を忘れることはないだろう。雷に打たれたというか、ネッシーにでも遭遇したような、とにかくそんな顔だったのだ。 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/18(水) 22:53:58.08 ID:AZza5IdYO 古泉「どうも初めまして。古泉一樹と申します。あなた方のお名前は?」 キョン「あぁ俺は……っておい、なんだその顔?どうした?」 ハルヒ「あ…あ…あたしは……キョ、キョン!行くわよ!」 キョン「何だ?相手が名乗ったんだ、こっちも名前ぐらい言うのが礼儀というものであってだな……痛い!だから引っ張るなって!」 ハルヒ「い、いいから帰るわよ!気が変わったの!は、早くしなさい!」 キョン「一体なんだっていうんだ?」 古泉「キョン君、ですね。またいずれお会いしましょう」 キョン「あ、ああ。済まんな、また」 古泉「……ふふ」 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/18(水) 22:57:00.17 ID:AZza5IdYO ―――教室 キョン「おい涼宮、どうしたんだ?」 ハルヒ「……べ、別になんでもないわよ。授業始まるでしょ、前向きなさい」 キョン「わかったよ。おかしなヤツだな」 ハルヒ「……」 ───昼休み 谷口「おいおい、涼宮はどうしちまったんだ?」 キョン「俺はあいつのスポークスマンでもなんでもないぞ」 国木田「随分ぼんやりしてるねぇ。いつものアクティブさからは想像もつかないよ」 谷口「ふふーん。なるほど」 国木田「何かわかったの?」 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/18(水) 23:00:28.89 ID:AZza5IdYO 谷口「ずばり、恋だな! あの魂が抜けたような、甘酸っぱい晩春の恋物語に出てきそうな雰囲気! あれは間違いなく恋であると、俺の経験則がそう言ってる、ぜ!」 キョン「ばかな。恋愛は精神病の一種だと豪語してた奴だぞ。今更そんなことあるか。というか谷口は信用できん」 国木田「もう谷口の知ったかっぷりにも飽きてきたなぁ」 谷口「ちょっと外の風浴びてくるわ」 国木田「でも僕も少し気になるな。キョン、聞いてみてよ。出向かずともあっちから来てくれたみたいだし」 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/18(水) 23:03:19.42 ID:AZza5IdYO キョン「今度は何の用だ? 昼休みまで潰されるのはかなわんぞ」 ハルヒ「あんたあの転校生に名前覚えられてたわよね…事件のにおいがするから今度連れてきなさいよ…」 キョン「誰かさんが大声で呼んだからな。つーか事件てなんだ?」 ハルヒ「この時期の転校生なんておかしいわ。何かあるにきまってるじゃない!」 キョン「またわけのわからんことを。親父さんの急な転勤かもしれないじゃないか」 ハルヒ「団長命令よっ!」 キョン「やれやれ。行きたきゃ一人でいけよ。転校生が一人くるたびに俺の昼飯が妨害されるのはゴメンだからな」 ハルヒ「そ、そうね。今は人だかりが出来てて話しかけづらいし、明日でいいわ」 キョン「やれやれ、また面倒が増えそうだ・・・・・・。しかしあいつが男に興味を持つなんて珍しいな」 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/18(水) 23:05:03.65 ID:AZza5IdYO ―――翌日 ハルヒ「ほら、あんたいきなさいよ……!」 キョン「あ、押すなってこら!」 古泉「おや、こんにちは、キョンくん、それに涼宮さんですね。どうなさいました?」 キョン「おう、ちょっと話があってな。……その前に、どうしてお前は涼宮の苗字を知ってるんだ?」 古泉「彼女はこの学校ではちょっとした有名人だそうじゃないですか。いろいろ聞きましたよ」 キョン「ふむ、確かにそう言われればそうだな」 古泉「それで、お話とはなんでしょう?」 キョン「あぁ、こいつが謎の転校生とやらに興味があってな。で、こいつがやってるSO…」 ハルヒ「ぶ、文芸部よ!文芸部に入ってほしいの!」 キョン「!?」 古泉「文芸部ですか、いいですよ」 キョン「!!?」 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/18(水) 23:07:02.64 ID:AZza5IdYO ───部室前 古泉「ここが部室ですか」 ハルヒ「そ、そうよ!ちょっと待っててね、えっと……、古泉くん!」 キョン「あー、俺もちょっと行ってくるから。すまんな」 古泉「わかりました」 ―――部室内 キョン「どういうことだ涼宮、っておい、それ捨てるのか!?」 ハルヒ「うるさいわね!いいからあんたも手伝いなさいよ!」 みくる「ふぇー、どうしたんですか涼宮さんっ!」 長門「……」 キョン「昨日からずっとこの調子なんですよ」 ハルヒ「いい?今日からここは文芸部だから!SOS団のことは忘れること!これは団長……部長命令よ!」 キョン(おいおい、本当にどうしたんだ?食べ物にでもあたったか?おかしいのにも限度があるだろう。とりあえずバニーガールの衣装はとっておこう) 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/18(水) 23:09:24.30 ID:AZza5IdYO ハルヒ「お待たせ古泉君!入ってちょうだい!」 古泉「お邪魔します」 ハルヒ「部員を紹介するわね!この娘は朝比奈ミクルちゃん!」 みくる「は、初めまして!」 ハルヒ「この娘は長門有希!」 長門「……」 ハルヒ「こちらは古泉くん!今日から文芸部の一員なったわ!みんな、よろしくね!」 古泉「古泉一樹です。以後よろしくお願いします」 キョン「やれやれ。文芸部、ね」 キョン(そういえばここに俺以外の男がくるのは初めてだな) 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/18(水) 23:14:37.50 ID:AZza5IdYO 古泉「素敵な部室ですね。どんな活動をなさってるんですか?」 ハルヒ「ええーっと……お茶を飲んだり本を読んだり……あ、古泉くんは紅茶派?それともコーヒー派?」 古泉「コーヒーの方がどちらかと言えば好みですね」 ハルヒ「わかったわ!それじゃみくるちゃ……いいわ、私が淹れるから」 キョン「!!!?」 みくる「ふぇ?えぇっと……」 キョン「おいおい、お前ちゃんといれられるのか?紅茶とコーヒーのお湯の温度は違うんだぞ。おとなしくここは朝比奈さんに……」 ハルヒ「うるっさいわね!みくるちゃんは座ってるだけでいいの!」 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/18(水) 23:18:41.94 ID:AZza5IdYO ハルヒ「熱っ!」 キョン「おいおい大丈夫……」 古泉「大丈夫ですか涼宮さん!?すぐに冷やさないと!」 ハルヒ「あ……大丈夫だから」 古泉「大丈夫じゃないでしょう!火傷の痕が残ったらどうするんですか!ほら、手を出してください!」 ハルヒ「う……うん。ありがとう」 キョン(おいおい何だよあの二人……手なんか握っちゃって……) 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/18(水) 23:23:09.40 ID:AZza5IdYO ―――翌日 古泉「涼宮さん、手の火傷は大丈夫ですか?」 ハルヒ「古泉くんがすぐに冷やしてくれたおかげでバッチリよ!」 古泉「そうですか、それはよかったです」 みくる「あの二人、仲がいいですねぇキョンくん」 キョン「そうですね、涼宮が誰かとあんな風に接してるところは珍しいですね」 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/18(水) 23:25:09.55 ID:AZza5IdYO みくる「本当にSOS団は解散して文芸部になっちゃうのかなぁ?」 キョン「いいことじゃないですか、無茶も減るだろうし……」 みくる「そんな……。せっかくビラも配ったのに……」 キョン(残念なのそこっ!?) キョン「いいんですよ、超能力者やら宇宙人やら子供じみた物をおっかけまわすなら本の中で十分じゃないですか」 みくる「でも……このままで大丈夫なのかな……」 キョン「何がです?」 みくる「いえ、なんでもないんです!」 キョン「とにかく! 本や男に興味があるほうが余程健全な高校生らしいですよ。ええ。まったくです」 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/18(水) 23:34:36.58 ID:AZza5IdYO 長門「……」 キョン「どうした長門?俺の顔になんか付いてるか?」 長門「特に何もついていない」 キョン「そうかい。ならあんまり人の顔を睨まないでくれよ」 長門「貴方が何に対して憤慨しているのか、それが気になった」 キョン「憤慨って俺がか?気のせいじゃないのか?」 長門「……かもしれない。気のせいなら、いい」 キョン「そういうことにしといてくれ」 キョン(いまいちこの眼鏡文学娘のキャラがつかめん……本来の文芸部はこんな奴ばっかなのか?) 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/18(水) 23:38:57.43 ID:AZza5IdYO ハルヒ「ねぇ、古泉君はどうしてこんな時期に転校してきたの??」 古泉「ああ、涼宮さんはクラスが違うんでしたね。もう聞いているものだとばかり。申し訳ありません」 キョン(一々仰々しい奴だな) キョン「なんかの事件にでも巻き込まれたんじゃないのか?」 朝比奈「あっ……」 キョン(なんで朝比奈さんが反応する?) 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/18(水) 23:49:26.96 ID:AZza5IdYO ハルヒ「ちょっと!キョン!」 古泉「ご明察、といいたいところですが、御期待に沿えず残念です。真相はいたって平凡、父親の急な転勤です」 キョン「だとよ。謎の転校生ねぇ」 ハルヒ「う、うるさいわね!キョンは黙ってなさいよ!」 キョン「やれやれ」 ハルヒ「でも父親の都合でこの時期に転校なんて、気の毒ね。友達も出来たばかりだったでしょう?」 古泉「胸躍る入学式を二回も体験した心地ですから、悪いものじゃありません。何より、ラッキーなことに素敵な文芸部にも入れましたしね。正にいいこと尽くめといっていいでしょう」 ハルヒ「そ、そうよ! 古泉君はラッキーね! この学校に来たことを後悔なんて絶対させないんだからっ!」 古泉「ありがとうございます」 朝比奈「キョン君、お茶要りますか?」 キョン「ああ、助かります。今日は春冷えみたいですから」 朝比奈「……? そうですね」 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/18(水) 23:55:24.47 ID:AZza5IdYO ―――翌日 ハルヒ「ねぇキョン?5限は何?」 キョン「いい加減時間割ぐらい覚えたらどうだ?もう5月も終わるってのに」 ハルヒ「うるっさいわねぇ。さっさと教えなさいよ」 キョン「ったく。英Tで、今日は視聴覚室だ。映画を観るらしい」 ハルヒ「わかったわ!それじゃああたしの教科書とノート持ってっといて!いいわね!」 キョン「はぁ!?自分で持ってけば……ってもういないとはどういうことだよ……」 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 00:04:41.79 ID:rNir1wywO キーンコーンカーンコーン…… キョン「おい待て涼宮、どこに行くんだ?」 ハルヒ「痛っ!離しなさいよ!……別にあたしがどこへ行こうと勝手じゃない」 キョン「正論だがな、しょっちゅうお前の教科書やらノートやらを運ばされる俺の身にもなってくれ」 ハルヒ「うるさいわねぇ。購買よ購買!早く行かないと売り切れちゃうから、さっさと離しなさい!」 キョン(購買行くのに昼休み全部使ってるのか?あいつは) 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 00:09:59.30 ID:rNir1wywO 谷口「おいキョン、どうしたんだ?涼宮の奴」 キョン「俺はお前の中で涼宮のなんなんだ……。それはそれとして、その質問はこっちが聞きたいぐらいだ」 谷口「ってことはお前、知らないのか?」 キョン「何をだ」 国木田「キョンが知らないなんて意外だね。涼宮さん、最近昼休みはいつもD組で昼食べてるんだ」 谷口「ほら、なんつったか、あの転校生」 キョン「古泉か?」 谷口「そう、そいつだ。この前トイレ行くときにちらっと見えたんだがな、アレは相当なもんだぞ」 キョン「だから何のことかわかるように説明しろ」 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 00:19:56.11 ID:rNir1wywO 国木田「二人で向き合ってお弁当食べてるんだよ」 キョン「……」 国木田「しかもすごく楽しそうな顔で」 キョン「……」 谷口「まだ解かんねえか?涼宮は、古泉っつったか?ヤツに惚れてるんじゃねぇかってことだよ。前も言ったじゃねぇか」 キョン「お前のセリフなぞ覚えていない。……仮にそれが本当だったとして、まぁいいことなんじゃないか?あいつも人を好きになるってことが判明したんだ」 国木田「うーん、それはそうだけど……涼宮さんすごく変わったよねぇ。キョンはそれでいいの?」 キョン「何がだ?」 谷口「いやお前なぁ、前までは涼宮はお前にベッタリだったじゃねぇか。実は寂しかったりするんじゃないのか?って言うか俺が寂しい。すげー寂しい。もうどこか遠くに旅してぇ」 キョン「少し黙っとけ。そしてアホなことを言うな。俺はあいつに振り回されないでいられて助かってるところだよ」 国木田「ふーん……そんなもんなのかぁ」 谷口「俺に羽が生えてれば自由の国へアイキャンフライ……」 キョン(あぁ、本当にせいせいしてたとこだ……本当に……) 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 00:23:44.40 ID:rNir1wywO ハルヒ「それでは第1回文芸部会議を開催します!」 キョン「いきなりかよ!一体何をするつもりだ!?」 ハルヒ「決まってるじゃない!我が文芸部の今後の方針を決定するのよ!」 キョン「確かに今までろくに活動してなかったからな。その案には賛成だ」 ハルヒ「素直でよろしい。それじゃあまず副部長を決めるわ!古泉くんに任命します!いいわね?」 古泉「拝領します」 キョン「即答かよ!」 古泉「断る理由もありませんからね。それともやりたかったのですか?」 キョン「まずそのニヤケ面を何とかしろ。それから、俺はそんなもの全く以てやりたくはない」 80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 00:28:14.49 ID:rNir1wywO ハルヒ「それでね、文芸部ってただ本を読むだけじゃダメだと思うのよ」 キョン「その前に、お前なんて本読んでたか?」 ハルヒ「当たり前じゃない!文芸部部長なのよ?本ぐらい読まないでどうするっていうの?」 キョン「お前が本なんて読んでるところを見た事がないもんでな」 古泉「おや、そうでしたか。あれで涼宮さんはかなりの読書家ですよ?」 キョン「本当か?」 古泉「勿論本当です。一日一冊のペースで読んでいるようですよ。様々なジャンルのものを」 キョン「ほー。あいつがねぇ」 古泉「常人としてはかなり早いペースだと思うのですが……驚かれないのですか ?」 キョン「あいつならやりかねん」 古泉「ふふっ……確かにそうですね」 キョン「その笑い方はやめてくれ」 キョン(しかし……いつの間に読んでるんだ?そして何故それを古泉しか知らないんだ?) 83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 00:34:29.58 ID:rNir1wywO ハルヒ「ねぇあんたたち、ちゃんと聞いてる?」 キョン「程々にな」 古泉「失敬、続けてください」 ハルヒ「全くもう……でね、やっぱり文芸部なんだから、読むだけじゃなく、書かなきゃいけないと思うのよ!」 キョン(なにやら久々に面倒なことになりそうだな) ハルヒ「そんな顔しないの!文句があるなら挙手してからすること!」 キョン「へいへい」 ハルヒ「まったくもう、ちょっとは古泉くんを見習ったらどうなの?」 キョン「何故古泉を引き合いに出す?」 ハルヒ「ど、どうでもいいでしょ?そんなこと。それより、ものを書くためには取材が必要よね?」 古泉「同意します」 ハルヒ「そういうわけで、今週土曜、明後日ね。この文芸部で取材をしに行こうと思うの!」 キョン「……やれやれ」 87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 00:38:47.44 ID:rNir1wywO ハルヒ「今週はどこへ行こうかしらねぇ。ねぇ古泉くん、どこがいいと思う?」 古泉「そうですねぇ、ここなんかどうです?」 キョン(二人して情報雑誌なぞ読みやがって……文芸部はどうしたよ) ハルヒ「決めたわ!ここにしましょう!」 古泉「わかりました。ここは人気がありますからね、今日中にランチの予約をしておきます」 ハルヒ「流石副部長ね!頼りになるわ!」 古泉「ありがとうございます」 キョン(んなもん二人で……ってそれじゃデートじゃないか。……デート、か… …) 89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 00:43:26.72 ID:rNir1wywO ―――駅前 キョン「おい涼宮、そろそろ文芸部なのかただのお遊び集団なのかはっきりさせないか?」 ハルヒ「何言ってるのよ。私はちゃんと活動してるわよ?本も読んでるし」 キョン「本を読むぐらい部活でなくてもできる。お前は前に言ってたじゃないか、『書く』ことも必要ってな」 ハルヒ「そうねぇ……考えておくわ。それより、さっさとしないと置いていくわよ」 キョン「おい涼宮!……ったく」 91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 00:46:43.61 ID:rNir1wywO そう、思い返してみればここあたりが転換期だったのだろう。 あの第一回会議からというもの、ハルヒは「取材」と称し、週末になると俺たちをそこかしこへと引っ張っていった。 繁華街や遊園地など、若い奴らがよく行く場所に。 92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 00:50:41.79 ID:rNir1wywO 古泉が来てからというもの、ハルヒの態度は激変したと言っていい。 SOS団という不可思議な集団を無かったものとし、普通の女子高生、つまり休み時間には友達と談笑し、週末には街へと遊びに行く……。 そういう、ハルヒがかつて大嫌いだった「普通」という存在になろうとしていたのだ。 ……成り下がってしまった 95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 00:54:17.19 ID:rNir1wywO 退屈だと思いながらも、そんな普通の日常も悪くないと思い始めたときだった。 俺は、文芸部の人間が、俺以外普通じゃないということを知ったのだ。 長門曰く、「自分は、統合思念体に生み出された宇宙人」 朝比奈さん曰く、「自分は、未来から送り込まれた未来人」 古泉曰く、「自分は、ある組織から派遣された超能力者」 であると。 97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 00:58:01.18 ID:rNir1wywO ただの与太話で済むならそれでもよかった。しかし俺がその証拠をこの目で見てしまったのだから、信じるほかはない。 そして、彼らがここにいる理由、その中心にいるのが涼宮ハルヒだった。 99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 01:01:41.68 ID:rNir1wywO その時ひとつの疑問が浮かぶ。 じゃあ俺は…? ハルヒは「宇宙人」、「未来人」、「超能力者」を望んだ。 だから長門、朝比奈さん、古泉がいる。 自分にだけ存在意義が見当たらない気がした。 ハルヒにとって俺はなんなのか。 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 01:04:04.02 ID:rNir1wywO ―――ある放課後 ガラッ キョン「おぉ、涼宮。今日はあの3人、用事があって部活に来られないそうだ」 ハルヒ「知ってる」 キョン「古泉から聞いたのか?」 ハルヒ「そうよ。あんたには関係ないけどね」 キョン「まぁ……そうだな」 ハルヒ「……」 キョン「……」 ハルヒ「やっぱり今の嘘」 101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 01:07:14.81 ID:rNir1wywO キョン「ん?なんだ?」 ハルヒ「あんたに関係ないって言ったのが嘘でしたって言ってんのよ」 キョン「おいおい、一体どういう風の吹きまわしだ?」 ハルヒ「……」 ハルヒ「私……古泉くんのことが好きみたいなのよ」 キョン「まぁ……うすうす気づいてたぞ」 ハルヒ「じゃあ話は早いわ!協力してちょうだい!!」 キョン「協力か……。いいぞ」 104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 01:10:03.11 ID:rNir1wywO ハルヒ「あら意外……あんたはもっとしぶると思ってたわ」 キョン「断る理由もないからな」 ハルヒ「協力をすると言ったからには最後までちゃんと手伝うのよ!     あのねまずはね―――」 ハルヒ「―――ってことで、よろしくね、キョン」 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 01:15:01.06 ID:rNir1wywO キョン「おう、まかせろ。それにしてもえらくはりきってるな」 ハルヒ「うっさいわね、黙って協力しなさい!じゃあ、また明日」 キョン「じゃあな」 キョン「まぁいいさ、もともと振り回されるのには困っていたからな」 キョン「……うん」 キョン「ハルヒは古泉のことがホントに好きなんだな」 キョン「ちゃんと応援してやらねばな、うん」 107 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 01:19:40.80 ID:rNir1wywO ───下校中 谷口「よう、キョン!」 キョン「なんだ、谷口か」 谷口「なんだぁ? ははーん、涼宮だと思ったんだろ?」 キョン「別に。ただつまらん奴に声をかけられたと思っただけだ」 谷口「よし、いつか死ぬなら今死のう」 キョン「国木田はどうしたんだ?」 谷口「(スルーかよ)さぁ? することがあるって言って学校に残ったぜ。アイツ部活もしてないのになんだってんだろうな」 キョン(コイツと帰るのにそろそろ飽きたんだろうな) 109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 01:24:56.33 ID:rNir1wywO 谷口「あーあ。そろそろ俺と高校生活も倦怠期だぜ。俺もお前みたいに何かおっぱじめるかな。おっと、始めたのは涼宮だったか」 キョン「じゃあSOS団にでも入るか? アイツに引っ張り回される覚悟があるならな」 谷口「今は文芸部だろ? しかもオーランよろしく健全に遊びまわってるらしいじゃねえか。あ、この前教室で長門と抱き合ってたのもその流れか!」 キョン「……」 谷口「くー、うらやましいぜ。それに今の涼宮なら俺でも付き合えそうだしな! ったく中学の頃にああなってりゃ今頃……っておい、キョン!どこいくんだ!」 キョン「悪い、用事思い出した。先帰ってくれ」 キョン(谷口の言うとおりじゃないか。何故俺はそれを認められないんだ) 113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 01:32:00.82 ID:rNir1wywO ───図書館の男子トイレ キョン(まさかぶらついて辿り着いたのがこことはね。全く俺も文芸部が板についたもんだ) キョン(家じゃ晩飯食ってる時間だってのに。俺は何だってこんなところに……) キョン「そっか。そういや涼宮から頼まれごとしてたんだっけか」 キョン(アレを果たすには必要なものが幾つかある。それでわざわざ町まで出てきたんだったな。全く、我ながら自分が若年性なんたらかと疑うね) キョン「……ふぅ。さてと、商店街に行くとするかな」 長門「その必要はない」 キョン「!!! 長門、いたのか。いつからいたんだ?」 長門「よう、キョン! の辺りから。谷口の視線を避けるために今まで気配を最大限消していた」 キョン「……」 長門「正直、朝倉戦より疲れた」 117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 01:37:42.13 ID:rNir1wywO キョン「しかし、必要がないってのはどういうことだ?」 長門「涼宮ハルヒには願望をかなえる力がある」 キョン「お前が宇宙人であることはこの前の朝倉との一件でよくわかった。だが俺の目には……」 キョン(今となっては……) キョン「ハルヒが普通の女子高生にしか見えないがな」 長門「涼宮ハルヒが一人の女子高生としての属性を持っていることは間違いない。ただ、彼女は統合思念体が重要視するだけの存在であることも真実」 キョン「……」 長門「……」 キョン「……わかった、仮に信じたとしよう。だがそれがどうして俺が手伝う必要がないことにつながるっていうんだ?」 長門「涼宮ハルヒが願った地点で、その願いはもう叶ったことと同義。では涼宮ハルヒが古泉一樹と上手くデートをすることを願ったならば」 キョン「俺の手伝いなしでも、デートは上手くいくってことか」 長門「もし本当にそう願ったとしたら必ず成功する」 キョン「……」 121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 01:42:55.72 ID:rNir1wywO キョン(得意でいたんだ。クラスで一番の美少女で、そのくせ一筋縄のいかない性格の涼宮が俺だけは引っ張りまわしたがる) キョン(破天荒なハルヒに付き合ってやれるのは俺ぐらいなもんだった。SOS団なんか作って。初めはそりゃ面倒だとも思ったさ) キョン(だけど、それだけじゃなかったんだ……) キョン「おい、長門。一つ質問していいか」 長門「……何」 123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 01:47:28.38 ID:rNir1wywO キョン「お前は涼宮が宇宙人をねがったからここに来たんだよな?」 長門「私が派遣されたのは彼女の願いと統合思念体の意思が一致していた結果。ただ、統合思念体の意思に彼女の力が影響を与えた可能性も否めない」 キョン「じゃあ……俺は?」 長門「……貴方は彼女にとってのキー」 キョン「……どういう意味だ?」 長門「上手く言語化できない」 キョン「なぁ、まさかと思うんだがな……」 長門「……」 キョン「つまりこういうことか?」 キョン「涼宮を古泉とくっつける役に俺は選ばれたってことなのか……!?」 127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 01:54:09.76 ID:rNir1wywO 長門「……待って」 キョン「おかしいとは思ってたがな。みんなハルヒに望まれてここに来たおかしな奴らばっかりだった」 長門「……」 キョン「宇宙人? 未来人? 超能力者? ハッキリ言って、始めはばかげた話だと思っていた」 長門「……」 キョン「俺が間違いなく一般人であると聞いて、安心したもんだ」 長門「……」 キョン「なのになんでだろうな。今は……」 長門「……」 133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 02:02:05.22 ID:rNir1wywO キョン「……すまん。もう帰る。つまり明日は久々の何もない休日だってことか。やれやれ、やっと体を休められるな。妹にも構ってやらにゃならんし」 長門「待って」 キョン「なんだ? 涼宮の話ならもう聞きたくないぞ」 長門「貴方は、涼宮ハルヒにとって特別な存在。貴方は彼女に望まれた数少ない人間の一人」 キョン「……」 長門「貴方は彼女の中において、少なくとも古泉一樹やわれわれと同格あるいはそれ以上の存在。貴方は自分に自信を持つべき」 136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 02:08:38.25 ID:rNir1wywO キョン「だがもし、俺がただの……」 長門「統合思念体は貴方の存在をそう定義しない。さっき説明した通り、貴方が仲介役をこなさずとも涼宮ハルヒが願えばデートは上手くいく」 キョン「つまり、どういうことなんだ?」 長門「貴方はもっと違う形で必要とされていると考えている」 キョン「……」 長門「人間の感情の機微について、まだ統合思念体もはっきりと理解できていない。だから上手く言語化できない」 キョン「……」 長門「言葉足らずになり、申し訳なく思っている。ただ貴方には何かつたえるべきであると考えた。……じゃあまた明日」 キョン「明日?おい……いっちまったか。明日、長門もくるのか。俺はまだ行くかどうかも迷ってるってのに」 キョン(っというかここ男子トイレだぞ……いや、宇宙人はボーダーレスなのかもしれん) 143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 02:15:06.20 ID:rNir1wywO ───商店街への道 キョン(商店街に急がなきゃな。店しまっちまう) キョン(……なんと? こんな夜にたわわな果実が二つもゆれてるのが見えるぞ?) みくる「こんばんは、キョン君!」 キョン「あれ、朝比奈さんじゃありませんか。こんばんは、こんな時間にどうしたんですか?」 みくる「えっと、ちょ、ちょっと、豆乳を買いに来たんです」 キョン「そのたわわ……じゃなくてイソフラボン注入ですね」 みくる「禁則事項です」 キョン「またそれですか……」 146 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 02:20:47.37 ID:rNir1wywO みくる「キョ、キョン君こそどうしたんですかこんな時間に? 商店街に何か用でもあるんですかぁ?」 キョン「よくわかりましたね。さすが朝比奈さんです」 みくる「……大丈夫ですか? キョン君」 キョン「え?」 みくる「やっぱりダメ、私。口下手で、うまく伝えられない……」 キョン「……」 みくる「最近キョン君の元気がないのを、みんな心配していました。四月の頃はあんなに生き生きしていたのに、最近はなんだか寂しそうだったから」 キョン「そんなことは……」 149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 02:22:54.57 ID:rNir1wywO みくる「長門さんがさっき、私に連絡をくれたんです。すみません、明日のことも聞いてしまいました」 キョン「いや、別に全く構わないですよ。俺が知られて困ることじゃないですから」 みくる「……長門さんは、人間の感情の機微がわからないから、キョン君に上手く伝えられなかったと言っていました」 キョン「何を?」 みくる「……。私も実は上手く言葉にできません。でも一つだけ、キョン君、聞いてくれますか?」 キョン「……どうぞ」 みくる「さっき長門さんは、キョン君を励まそうとしていたんです」 キョン「あの長門が?」 みくる「そう。普段自分の言葉を使おうとしない長門さんが、です。精一杯のことをしたんだと思います。だからお願い、長門さんの言葉を信じてあげてほしいの」 キョン「……あの、長門が」 みくる「それだけです。じゃあまた、学校で」 キョン「……」 151 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 02:24:39.56 ID:rNir1wywO キョン(俺のことで朝比奈さんや長門に心配させちまうとはね、ったく) キョン(正直、涼宮の願望をかなえる力なんて眉唾もんだがな) キョン(涼宮の機嫌取りが、世界を救うためだと思うことにすれば……) キョン「また休日がつぶれると思うと、余り良い心地じゃないがな。仕方ない、今回だけは勘弁してやる」 152 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 02:27:20.07 ID:rNir1wywO 店員「ありがとうございましたですぅ。またおとといきやがれですぅ」 キョン(ふぅ、何とか揃ったが意外とかかったな……。いくらいつも奢ってるからって、俺の小遣いは無尽蔵にあるわけじゃないんだぞ) キョン(それにしても涼宮の奴、変装して付いて来いとは。それで古泉の反応を見るだって?バカバカしい) キョン(まさに貧乏クジってやつか) キョン(とりあえずヅラと帽子と眼鏡でなんとかなるだろ。長門にはあとで「制服以外のものを着ろ」ってメールしとけば大丈夫だな。気配も消せるらしいし) キョン(……もしかしてこれって長門とのデートになるんじゃないか?いやいやそんなことはない。断じてないぞ。そりゃ長門はまぁ可愛い方だと思うし、ある意味役得っちゃあ役得だが……) 長門「……揃ったの?」 キョン「あぁ、なんとか……っておい!いつの間にいたんだ!?」 157 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 02:30:28.13 ID:rNir1wywO 長門「俺の小遣い……あたりから」 キョン「お前はエスパーか」 キョン(いや、あながち的外れでもないのか……?っと待てよ、それならその後の俺の……) 長門(可愛い方……可愛い方……) キョン「嬉しそうだな、なんか」 長門「……気のせい」 キョン「わかった。まぁ、その、なんだ。とりあえず読心術は金輪際使用禁止な。わかったか?」 長門「…………」 キョン「わ か っ た な?」 長門「……把握した」 159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 02:33:03.99 ID:rNir1wywO ―――次の日 キョン「どうだ長門、ホシに動きはあるか?」 長門「まだ無い。2人で談笑しながらモ○チキンを食べてる」 キョン「古泉の様子はどうだ?」 長門「特に変わった様子はない」 キョン「よし。観察を続けてくれ」 長門「了解」 キョン(……こいつの目はいったいどうなってるんだ。ズームでもついてるってのか。最終兵器なのかこいつは。そのうちミサイルやらなんやらを背中から……) 長門「ホシが動いた。我々も移動すべき」 キョン「ノリノリだなお前……俺は会計を済ませてくる。目を離すなよ」 長門「了解」 店員「3500円なのだわ。さっさと払ってちょうだい」 キョン(高いなおい!長門食いすぎだ!……しかしわざわざ変装道具買う必要無かったんじゃないか?これは) 163 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 02:36:06.99 ID:rNir1wywO キョン「で、結局昼飯食った後、ウィンドウショッピング、映画、夜飯、解散、か。まったくもって普通のデートだな、こりゃ」 長門「……もう終わり?」 キョン「あぁ、ご苦労だったな。その帽子はお礼代わりだ。たまにでいいから使ってくれ」 長門「……わかった」 キョン(さて、これから涼宮と会って反省会か。早く帰りたいんだが……) 166 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 02:38:56.06 ID:rNir1wywO ―――喫茶店 ハルヒ「あんたちゃんと見てたでしょうね?ちっとも見当たらなかったんだけど」 キョン「そりゃ見つかったらマズいだろうが。大丈夫だ、ちゃんと見ていた」 ハルヒ「たしかにそうね。で、どうだった?」 キョン「悪い雰囲気ではなかったと思うぞ。どっからどうみても普通のカップルだった」 キョン(そこらへんに掃いて捨てるほどいる感じのな) ハルヒ「そう、それならよかったわ。私も楽しかったし」 キョン「言うことなしじゃないか。それじゃ、俺は帰るぞ」 ハルヒ「はいはい。それじゃここは私が払っとくから。さっさと帰っていいわよ」 キョン「今なんつった!?」 ハルヒ「私が払うって言ったの!いいからさっさと帰りなさい!」 キョン(珍しいこともあるもんだな……やっぱりおかしくなってるぞ、こいつ) 167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 02:40:59.05 ID:rNir1wywO キョン「わかったわかった、ありがとうな涼宮」 ハルヒ「あんたって律儀ね」 キョン「まぁな」 ハルヒ「…なんかむかつく」 キョン「むかついて結構。じゃあ俺は帰るぞ」 ハルヒ「はいはい、また明日ね」 キョン「あぁ、また明日な」 店員「ありがとうございましたなのぉ―――」 171 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 02:44:01.12 ID:rNir1wywO ―――翌日 タッタッタッタ… キョン「……今日は早いんだな、涼宮」 ハルヒ「!!な、なんでわかるのよ……!驚かそうと思ってたのに!」 キョン「さぁな。勘だ、勘」 ハルヒ「あんたの勘もバカにできないってことね、じゃあ次に起こることもわかるかしらー?」 キョン「嫌な予感がするから言わんでいいぞ」 ハルヒ「……。古泉くんに告白するわ。今日。」 177 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 02:48:27.63 ID:rNir1wywO キョン「……」 ハルヒ「なんか、いいなさいよ」 キョン「……いいじゃないか、がんばれよ」 ハルヒ「当然よ」 キョン「いつ言うんだ?」 ハルヒ「いろいろ考えたんだけどね、部活の後とか、昼休みに屋上でとか」 キョン「ベタだな」 184 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 02:56:39.25 ID:rNir1wywO ハルヒ「そうよ、でもそれじゃあつまらないから朝一番に告白しようと思って!」 キョン「それでこんなに早く来たのか」 ハルヒ「あんただって十分早いじゃない」 キョン「たまたまだ、そういう気分だったんだよ。それより古泉はこんな早くには来ないんじゃないのか?」 ハルヒ「来るわよ、なんだかそんな気がするの!」 キョン「そんな都合よくいくわけないだろう。ほら、学校ついた……」 ハルヒ「運命ってもんは、あながちウソじゃないかもしれないわね」 190 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 03:00:54.99 ID:rNir1wywO 古泉「あ、お二人とも、おはようございます」 キョン(……忘れていた。こいつの……力なんだな) キョン「俺は急ぐから先に行くよ」 古泉「そうですか、ではまた後で」 ハルヒ「じゃあね、キョン」 キョン「あぁ。……じゃあな」 194 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 03:07:53.20 ID:rNir1wywO キョン(じゃあね、か) キョン(「またね」じゃないんだな) キョン(あぁ……今わかった) キョン(俺はこの日が来ることが……) キョン(あいつの無茶に付き合わされることがなくなることが……) キョン(あいつがほかの男に告白することが……) キョン(……嫌だったんだ) 197 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 03:10:45.93 ID:rNir1wywO キョン(…………本当にこれでいいのだろうか?) キョン(もし古泉と涼宮が付き合ったらもう涼宮と二人で会うことなんてできなくなるな……) キョン(俺は涼宮のことを『一緒にいて当たり前』と思ってしまっていた……) キョン(なんだ……この気持ちは……古泉に対する嫉妬なのか?それとも涼宮との関係が変わってしまうのが悲しいのか……) 198 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 03:13:24.38 ID:rNir1wywO キョン(どうする……?今から行って涼宮の告白を止めるか……?) キョン(しかし古泉が涼宮の告白を受け入れるとも限らないし……) キョン(俺はどうしたらいいんだ……誰か教えてくれ……) 「さん……」 古泉「おや?下駄箱で何をしているのですか?急いでいたのでは?」 キョン「ああ……古泉か、ちょっと考え事をしてt……」 209 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 03:20:45.62 ID:rNir1wywO 目の前には古泉。そして隣には古泉と手を繋いでいる涼宮。 その時、古泉の見えないところで涼宮は笑顔で小さく親指を立てて俺に見せた。 キョン(……俺は親指を立ててやれない……) 217 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 03:24:47.32 ID:rNir1wywO 谷口「フンフンフフーン、フンフンフフーン〜泣〜いてばかりいーるーっと、キョンじゃねーか」 キョン「お、谷口、そうだ、お前に用があるんだ。じゃあ古泉、それじゃな」 古泉「ではまた」 ハルヒ「教室でね!」 キョン「おう」 谷口(YOって何だ? YO、俺にYO! いい響きだぜ! キョン流ランクで俺格上げかぁ?) 谷口「なんだよー、ひっぱんなってー。WAハハハハハ」 キョン「それじゃ、また教室でな」 谷口「え? おい、用は?」 キョン「もう済んだ」 谷口「??」 キョン(教室になんか行けるか) 221 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 03:27:00.03 ID:rNir1wywO ───部室 キョン「……お、長門はちゃんとHR出てたんだな」 キョン(正直、誰とも会いたくないからいなくて助かったぜ) キョン(……俺一人の問題だからな。俺にしか解決できないしな) キョン「冷静になれ、俺、周りの気を感じるのだ」 キョン(ガキか、俺は。こりゃハルヒに当てられたかな) 223 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 03:29:26.03 ID:rNir1wywO キョン(しかしまぁ、色んなもんがあるな) キョン(まるで子供の頃の秘密基地みたいだ) キョン(PCがあるあたり、少し現代風の秘密基地だが。ネバダ辺りの子供なら置きかねないから合格だ) キョン(学校終わる度にここでギャーギャーとやってたからな。まさに秘密基地だ) キョン(ふふ、お前らも好きだろ?秘密基地) キョン(作るのにも一苦労だったぜ。朝比奈さんも体張ったし、SOS団を部として学校認めさせるのも難しかった) キョン(結局学生を応援するとかどーの、って部になったんだっけ。っと、結局文芸部に巻き戻った訳だが……) キョン(……) 225 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 03:31:07.64 ID:rNir1wywO キョン(応援してたつもりだったがな。いや、実際応援したさ) キョン(だけど、それはまたハルヒと笑って肩を並べるためで……) キョン(それなのに、今日の朝、アイツが笑顔でいるのを見たら……) キョン(なんだかその笑顔がこれまでと違って見えちまったんだ……) キョン(そしたらわかってしまった。もうこれまで通りにいかないってことが) キョン(仕方ないんだ。変化が理解できない年じゃない。月日は百代の過客なんだ、うん) キーンコーンカーンコーン キョン(1限が始まっちまった) キョン「これはこれでアリだな。涼宮が授業を受けてる時間に部室でのんびりだべってるのも。高校生らしくて」 キョン「いやぁー、全く。最近は忙しかったし、時には休暇が必要なのさ。俺の分まで勉強してくれ、涼宮よ」 227 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 03:33:32.24 ID:rNir1wywO キョン「さて……。一眠りするかな……」 キョン「いやぁ、目を閉じると瞼に色々映りこみしてしまって困るね。ホント充実した毎日なもんで……」 キョン(……しかしそのどれにも……アイツが……) “ないんだったら自分で作ればいいのよ!部活よ!” “これからは放課後はこの部屋に集合ね!絶対に来るのよ。来ないと、死刑だから!” “大丈夫!名前ならたった今考えたから!SOS団!” “ねぇキョン?後必要なのはなんだと思う?やっぱり謎の転校生は抑えておきたいと思うわよねぇ” “あなたが噂の転……校生……” “いい?今日からここは文芸部だから!SOS団のことは忘れること!これは団長……部長命令よ!” “私……古泉くんのことが好きみたいなのよ” “……。古泉くんに告白するわ。今日” キョン「う……う……」 キョン「あああああああああああああああ!!!!!!」 231 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 03:35:19.99 ID:rNir1wywO キーンコーンカーンコーン…… キョン(もう……放課後なのか) キョン(結局授業出ないで部室に居続けてしまった) キョン(ダメだな……現実逃避ってやつか) キョン(ここにいてももう、今までの涼宮はいないんだよな……) キョン(あの二人来るだろうな。……帰るか) 234 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 03:40:43.45 ID:rNir1wywO とぼとぼ…… キョン(まったく俺は学校に何しに来たんだろうな) 国木田「あ、キョン」 キョン「国木田か、久し振り。イタリアから帰ってきてたんだな」 国木田「うん、昨日ね。おじいさんからタバコよこせだとか、ムダにイケメンのイタリアお兄さんから火を貸せだとか、 「ナカータ」とかほざくおっさんに腕にミサンガ巻いてやったんだから25セントよこせとか、 バスの運転手さんからサバドとか言う名前貰ったりいろいろあったよ! 」 キョン「そ、そそ、そうか」 235 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 03:41:46.95 ID:rNir1wywO 国木田「……」 キョン「なんだ?」 国木田「涼宮さん、なんかあったんでしょ」 キョン「なんのことやら……」 国木田「キョンはそれでいいの?」 キョン「あぁ、涼宮の無茶苦茶ぶりから解放されてせいせいしてるよ」 国木田「そっか……」 260 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 04:26:43.03 ID:rNir1wywO 保守ありがとうございました。 再開します。 キョン「さて、帰るか?」 国木田「ごめん、これから谷口にノートコピーさせてもらうんだ」 キョン「そうか、それはまた実に不安なノートだな」 国木田「ふふ、そうだねw」 キョン「じゃあ、俺は先に帰るよ」 国木田「うん。じゃあまたね」 キョン「ああ、ありがとな。なんだか」 262 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 04:28:31.63 ID:rNir1wywO ―――翌日 女子C「聞いたですかぁ?涼宮さんの……」 女子D「聞いたどころか見たのだわ!!がっちり手をつないでいたのだわ…!!」 女子E「ってことはあれねぇ、いつもの男のコのほうは……」 女子C「ふ、ふふ、ふられちまったですか!?」 女子D「しっ!聞こえるのだわ!!」 女子F「君はっ!」 キョン(すでに聞こえてるぞ……) キョン(俺が休むべきだったのは昨日じゃなくて今日だったか……) 264 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 04:32:58.86 ID:rNir1wywO 噂がまわるのは早い。 そしてどこまでもまわる。 それからしばらく、学校はこの噂でもちきりだった。 それだけ涼宮は有名人だったってことだろうな。 古泉は涼宮と付き合ったという称号が与えられ、 俺には涼宮にフられたという称号が与えられた。 265 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 04:36:38.45 ID:rNir1wywO 涼宮のことをおそれたからか、 涼宮の期限を損ねないよう機関が手をまわしたのか、 はたまた涼宮の例の力なのか。 古泉のまわりに女のコが寄り付くことはめっきり減った。 270 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 04:38:57.10 ID:rNir1wywO キョン「……はぁ、『人の噂も七十五日』とは言うが、いかんせん長いぜ……」 国木田「元気ないなぁ、最近ずっとそんな感じだね。別にフラれたわけじゃないんでしょ?」 キョン「それはそうだが、こうさもフラれたかの如く噂されると本当のような気がしてきてな……」 国木田「災難だねぇ。でももうすぐ夏休みだし、試験が近くなれば忙しくなってそれどころじゃなくなるよ、みんな」 キョン「そう願いたいもんだがな。だが俺もテストに集中できるかどうか」 国木田「元気出しなって。集中したところで元があの成績じゃあ変わらないよ」 キョン「何気にキツいこと言うな、お前」 谷口「なぁキョン、お前涼宮にフラれたって本当か!?」 キョン「消えろ」 キョン(夏休みか……。文芸部、もといSOS団が実質上活動してない今、俺はどう過ごせばいいのやら) 274 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 04:44:15.66 ID:rNir1wywO キョン「なぁ涼宮、お前今幸せか?」 ハルヒ「何よいきなり。……まぁいいわ。当然、幸せよ。それがどうしたの?」 キョン「いや、それならいいんだ。本当にただ聞いてみたくなっただけだから」 ハルヒ「怪しいわね。言いたいことがあるならはっきり言いなさいよ」 キョン「だから他意はないって。とにかく、何か相談があるならいつでも言ってくれよ?」 ハルヒ「なんだか気持ち悪いわね。とりあえずわかったわ。そのときが来たらね。それじゃ、私もう帰るから」 キョン「お疲れさん。また明日」 キョン(そう、これでいいんだ。別にあいつが幸せならそれでいい) 277 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 04:49:41.04 ID:rNir1wywO 国木田「ねぇキョン、古泉君ってどういう人?」 キョン「またそれ関係か。勘弁してくれよ」 国木田「悪いとは思ってるけど……9組の友達に聞いても、皆同じような答えでさ」 キョン「何て言ってたんだ?」 国木田「えーと、頭が良くて、性格もいい普通にいい人って感じらしい。なんで涼宮さんと付き合ってるのかわからないぐらいだってさ」 キョン「まあその通りなんじゃないか?間違っちゃいないと思うぞ。涼宮云々は置いといて」 キョン(まさか超能力者とも言えないしな……) 国木田「そっかぁ。やっぱりそうなのかなぁ」 キョン「どうした?あいつが気になるのか?」 国木田「まぁ、ちょっとね。たいしたことじゃないよ」 キョン「そうか。何というか……あまり詮索はしてやるなよ。いろいろと面倒だからな」 国木田「了解。心配しなくていいよ」 谷口「あのーお二方、そろそろ僕と口を聞いては頂けないでしょうか」 278 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 04:52:48.89 ID:rNir1wywO 古泉「おや、奇遇ですね」 キョン「そうだな。……丁度いい。ちょっと付き合え」 古泉「珍しいですね。あなたから僕を誘うなんて」 キョン「ちょっと聞きたいことがあったんでな。特に最近、お前と涼宮は部室に来なくなっちまったし」 古泉「それは……どうも申し訳ない」 キョン「いいさ。付き合い始めのカップルなんて、今ぐらいが一番楽しいんだろうからな。せいぜい2人の時間を漫喫してくれ」 古泉「そうであって欲しくはないものですがね」 286 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 05:14:52.39 ID:rNir1wywO すいません。ちょっと軽食とってました。 キョン「ここでいいだろ。さっき言ってたことと重なるんだが、最近涼宮とはどうなんだ?」 古泉「ずいぶん抽象的ですね。『どう』とは?」 キョン「何と言うか、お前は涼宮と一緒にいて楽しいかってことだよ」 古泉「それについては先刻あなたがおっしゃったじゃないですか」 キョン「それはあくまで俺の主観だ。お前自身がどう思っているかが知りたい」 古泉「簡単に逃がしてはくれないようですね。わかりました。……僕自身としましては、とても楽しいですよ」 キョン「それならいい。……あまりこういうことは聞きたくないんだが、お前は本当に涼宮のことが好きなのか?」 古泉「これはまた随分あなたらしくない質問ですね。どうかなさったんですか?」 キョン「色々と思うところがあってな。……頼む。正直に答えてくれ」 古泉「あなたらしくないですが、まぁいいでしょう。当然、好きですよ。あれほど魅力的な女性は滅多に、いや、全くと言っていいほどいないでしょうね」 キョン(本当に信じていいのか?……いや、邪推はよそう。これで両思いってことがわかったんだ) 288 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 05:17:00.81 ID:rNir1wywO キョン「わかった。悪かったな、変なこと聞いちまって」 古泉「いいですよ。あなたも僕たち……いえ、涼宮さんと僕の関係は気になるでしょうし」 キョン「言い直したのが気になるが、まあいい」 古泉「では彼女を待たせていますので、これで」 キョン「あぁ最後にひとつだけ。お前といてハルヒも幸せそうだからな、もうあの閉鎖空間とやらは発生してないんだろ?」 古泉「それは……そうですね。ここ最近バイトは入ってませんよ」 キョン「……わかった。さっさと行ってやってくれ」 古泉「はい。ではまた」 290 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 05:19:05.65 ID:rNir1wywO キョン「涼宮、お前この間、今は幸せだって言ってたよな?」 ハルヒ「またその話?だからなんだっていうのよ」 キョン「いや、本当に古泉に不満は無いのかと思ってな」 ハルヒ「そんなことあるわけないじゃない!何言ってんのよ!」 キョン「あ、ああ……ならいいんだ」 ハルヒ「全く……(あんたには別に関係ないでしょ)」 キョン「何か言ったか?」 ハルヒ「別に」 291 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 05:23:10.94 ID:rNir1wywO 国木田「どうしたの?涼宮さん、すごい不機嫌で出て行ったけど」 キョン「いや、気にしないでくれ。大したことじゃない」 国木田「それならいいけど。それで、あの2人はうまくいってるの?」 キョン「何だ?お前も気になるのか?」 国木田「ちょっと思うところがあってね。彼氏ができたっていうのに、クラスじゃあんまり涼宮さん楽しそうじゃないし。」 キョン「友達がいないんだからしょうがないんじゃないか?」 国木田「それにしても、だよ。キョンと一緒にいたときは、少なくとも今よりは楽しそうだったよ」 キョン「お前……良く観察してるな。涼宮のことが好きなのか?」 国木田「顔はかわいいと思うけどね、付き合いたいとは思わないよ」 谷口「YAME☆TOKE」 キョン「……」 国木田「……」 谷口「ヘイブラザーズ、そりゃないぜ。冷たいってもんだぜ。I feel coldだぜ」 キョン(サムいのはお前の存在だ) 295 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 05:28:48.89 ID:rNir1wywO キンーンコーンカーンコーン…… 国木田「あ、授業始まるね」 キョン「そうだな、席に戻るか」 谷口「元気のない涼宮のもとへな!」 国木田「お前ちょっと黙れ」 谷口「ごめんなさい」 299 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 05:36:16.79 ID:rNir1wywO ハルヒ「……」 キョン「……」 ハルヒ「キョン。あんた月の小遣いっていくらもらってる?」 キョン「7000円だが?」 ハルヒ「7000円……普通そのくらいよね」 キョン「まぁ、少ないぐらいだと思うが……」 ハルヒ「……」 304 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 05:41:38.95 ID:rNir1wywO キョン「……なぁ、涼宮、古泉はお前と二人の時ってどんななんだ?」 ハルヒ「変なこと聞くわね。普通よ。普通」 キョン「普通ってことはないだろう、なんか付き合う前と変わったこととかないのかぁ?」 ハルヒ「あんまりないけど……そうだ、古泉くんってすごいのよ」 キョン「おぉ、どうしたいきなり」 もう少しでスレタイのあたりなのですが、すいませんが、そろそろ限界なので少し寝かせてください。 申し訳ないのですが保守お願いします。 363 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 12:44:01.04 ID:rNir1wywO 保守してくださったかたありがとうございます!心から感謝します! 再開させていただきます! ハルヒ「言い方悪いのかもしれないけどね、お金持ちみたいなのよ」 キョン「へぇ…(組織から支給されてるとかか??)それでさっきの質問したのか?」 ハルヒ「そう。デートの時はいつもおごってもらっちゃうんだけど……なんだか悪い気がしちゃって」 キョン「まぁ、いいんじゃないか??古泉はそんなことあんまり気にしないだろ」 ハルヒ「まぁね。でもちょっと額が大きいとね……」 キョン「そんなに大金だったのか」 ハルヒ「すごい大金ってわけじゃないけど……」 キョン「一体何に使ったんだ?」 ハルヒ「……なんでもいいじゃない」ボソ 368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/19(木) 12:52:50.55 ID:rNir1wywO キョン「え?」 ハルヒ「なんでもない。この話はやめましょ。ほら授業終わったから部室行くわよ」 キョン「珍しいな、部室に来るなんて久しぶりじゃないか??」 ハルヒ「古泉くんは今日用事あるらしいのよ」 キョン「そういうことか」 374 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 13:10:48.21 ID:rNir1wywO ハルヒ「だから早く行くわよ」 キョン「あぁ、すまん。俺はちょっと国木田にノートをコピーしてやらなきゃならんから先に行っててくれ」 ハルヒ「ノート?」 キョン「あいつが休んでたぶんのノートだ。谷口のノートをコピーしたらしいんだが中身が黄ばんでたらしくてな」 ハルヒ「わかったけど、早く来なさいよ!」 キョン「了解だ」 376 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 13:18:10.96 ID:rNir1wywO ――― キョン(国木田にコピーも渡したし……そろそろ部室に行くか) キョン(9組…誰か残ってるな) キョン(古泉???) キョン「何してんだ?ひとりで」 古泉「こんにちは。待ってましたよ」 381 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 13:27:35.19 ID:rNir1wywO キョン「待ってたって……俺はお前と待ち合わせなんかしてないだろう」 古泉「いえ……僕には貴方が来ることがわかっていましたから」 キョン「……?」 古泉「何いってるんだこいつ……って顔ですね」 キョン「そりゃそうだ、まるで予知能力があるような言いぶりだったからな」 古泉「あったらおかしいですか?」 キョン「お前の能力は閉鎖空間とやらでしか発動しないんだろう?」 古泉「……ふふっ」 384 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 13:47:24.14 ID:rNir1wywO キョン「何がおかしいんだ」 古泉「いえね、この前までは何が起きても驚きはしないと言っていたのに、あっさり否定するものですから」 キョン「驚かないと信じるは違うだろう」 古泉「これを見てもですか?」 キョン「!!!!!」 387 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 13:50:30.70 ID:rNir1wywO キョン「あのなんかよくわからないでっかい赤い球体じゃないか!!!」 古泉「そのとおりです、閉鎖空間の中と比べるとかなり小さい力なのですがね」 キョン「なんでだ…?」 古泉「おそらく……変わったのでしょう」 キョン「だから何が変わったんだ」 古泉「涼宮さんが僕に求めるもの、ですよ」 キョン「……」 390 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 14:02:50.23 ID:rNir1wywO 古泉「当初涼宮さんは僕を、閉鎖空間に出現する神人を倒すために、つまりはストレスを解消した後の後処理をするためのようなもんですね。そのために僕にあの力が与えられた」 キョン「前に言ってたやつか」 古泉「えぇ。でもそれが変わったということは今の僕には他の使命が与えられているということです。わからないんですか?今まではあなたに与えられていたポジションですよ、キョンくん」 キョン「なん…だと…!?」 406 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 14:39:42.16 ID:rNir1wywO 申し訳ない。キョン君訂正します。 御指摘ありがとうございます。 古泉「涼宮さんの恋人となった僕に、なんらかの新しい能力が与えられてもなんら不思議はない」 キョン「そうか………。そういえば今日涼宮が言ってた。  古泉くんはいつもおごってくれる、お金持ちみたいなんだってな。それも何か関係があるのか?」 古泉「あぁ、そのことですか。僕が涼宮さんの恋人というポジションについてからというもの機関から支給される金額が格段に上がったんです。    でも高校生のカップルにそんな大金は必要ないと思いませんかキョンくん、機関の方達はバカばかりなんですよ。ふふっ。    まぁそのおかげで何不自由ない暮らしを送ることができるんですけどね」 キョン(こいつ……!!!!!!) 411 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 14:53:44.18 ID:rNir1wywO 古泉「そんな恐い目をしないで下さいよキョンくん、驚いた拍子に僕の超能力が出てしまったらどうするんですか??w」 古泉「僕と涼宮さんのこと、キョンくんも応援してくれているのでしょう?邪魔したりしたら涼宮さんが悲しみますよ?」 古泉「心配しなくても涼宮さんのことは大事にしますよ、とても素敵な人ですからね…ククク…超能力は強くなる…大金は手に入る…ホントに最高ですよ!」 キョン「……」 古泉「……あ、それともうひとつ……」 スタスタスタスタ…… 古泉「涼宮さんは処女でしたよ」ボソッ… 458 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 15:55:27.28 ID:rNir1wywO 投下遅くなって申し訳ない。 キョン「……お、お前なあ」 古泉「ふふ、サポーターに経過報告を、とおもいまして。これ はちょっとしたサービスですよ」 キョン「お前なあ!」 古泉「何故怒るんです?貴方はわざわざ尾行してまで、僕らの デートを見守ってくれたじゃないですか。それに報いたつもり ですが」 キョン「そ、それはだな……」 古泉「涼宮さん、いや、この際だから彼女の呼称も改めましょ う。そうでもしないと、貴方はまだ自分の立場を弁えてくれそ うにありませんしね」 キョン(俺の立場……?) 古泉「ハルヒ、ふふ、ハルヒの幸せを貴方も願っていたのでは ないのですか?」 キョン「……」 465 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 15:59:16.86 ID:rNir1wywO 古泉「貴方に彼女がいつも相談していることは知っていますよ 。それに乗ってあげているのは、応援していないなら何故なの でしょうか?」 キョン「下らない話はもういい。さっきから何がいいたい」 古泉「ですが、貴方が僕らのことを本当に応援してくれていた なら、僕もこんな話をするつもりはありませんでした」 キョン(おしゃべりクソ野郎) 古泉「僕は貴方の本当の感情を知っています。それは応援なん て綺麗な言葉では片付けられないものだということもね」 キョン「あのなぁ!さっきから一体何がいいたいんだ!?俺に 文句でもあるのか!?おまえらが付き合ってて、それが一体俺 となんの関係があるってんだ」 古泉「……ふふ、強情ですね。とにかく、今ハルヒは幸せです 。貴方が応援してくれれば、もっと僕らは幸せになれる。立ち 振る舞いを考えてください」 キョン「いいたいことがそれだけならもう帰るぞ」 古泉「……僕自身も貴方からの支援を望んでいるのですよ」 キョン「なんだと?」 511 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 16:26:24.17 ID:rNir1wywO 古泉「僕は三年前にこの力を得てから、ずっと彼女のことを見 てきました。同時に世界を守りながらね」 キョン「それは前にもきいたぞ」 古泉「僕は貴方より彼女の様々な顔を知っています。泣き顔も 、笑い顔も。三年間、そして高校に入ってからもずっと一緒だ ったのですから」 キョン「……」 古泉「僕は彼女のことが好きです。それは彼女も同じだと信じ ています。加えて僕は、彼女に選ばれた存在でもある」 キョン「……」 古泉「そして貴方も選ばれた存在だと言っておかなければなり ませんね」 キョン(言うな……) 古泉「とはいえそれは、お察しの通り、ハルヒが貴方のことを 大切な友人だと考えているからなのです」 キョン(……) 古泉「そこに、恋愛感情はないんですよ」 520 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 16:30:21.11 ID:rNir1wywO キョン「……付き合ってられん。悪いがもう帰るぞ」 古泉「貴方には、貴方のロールすべき役割があるんです。それ を忘れないで下さい」 キョン「……」ガラガラガラ、ピシャッ 古泉「いってしまいましたか……ん?」 prrrrr ピッ 古泉「どうかしましたか?……わかりました。すぐ応援にいき ます」ピッ 古泉「やれやれ……。困ったものです」 530 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 16:35:10.98 ID:rNir1wywO ピッ キョン「……俺だ。すまん、今日用事が出来て部室いけなくなった」 キョン「……そういう言い方をするがな、お前もいつも来ないだろうが。自分のことを棚に上げるな」 キョン「……とにかく今日はもう帰らないといけないんだ。切るぞ」 ピッ キョン「……大切な友人なら女にしろよ」 538 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 16:42:46.84 ID:rNir1wywO ───翌日 ハルヒ「やっほー! 珍しいじゃない、あんたがこの時間に登校してくるなんて!」 キョン「お前こそなんでこんなに遅いんだ? 遅刻すれすれだぞ」 ハルヒ「すれすれならいーの! グレーゾーンは決してブラックではないものね」 キョン(朝から会いたくない奴に会っちまったな) ハルヒ「明日からは三連休だし、文芸部も何か活動をしたいところよねー。あんた何か予定は入ってるの?」 キョン「俺は……」 キョン(正直、もう文芸部には参加したくない) キョン「悪いな、ちょっともう予定入っちまってるんだ」 ハルヒ「全部?三日とも?」 キョン「ああ、もう朝から晩までビッシリだ」 539 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 16:46:37.28 ID:rNir1wywO ハルヒ「……ダメ」 キョン「は?」 ハルヒ「絶対そんなの許さない! ヤダ!」 キョン「お前一体何を言い出すんだ?」 ハルヒ「あんたは参加確定だって言ったの!」 キョン「どこをどー聞けばそうなる? というか、俺にも都合というものがあってだな」 ハルヒ「いい?あんた最近、文芸部でもなんかポケーっとしてるし、気合いが足りないわ! だから明日の朝、 いつものカフェに集合なんだからね! いい? 絶対く るのよ!? これは……部長命令なんだから!」 キョン「……仕方ない。わかったわかった、ったくお前は強引な奴だな」 ハルヒ「ふふん、もともとあんたに拒否権なんてないのよ!」 547 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 16:50:14.12 ID:rNir1wywO ハルヒ「あ、あれ有希じゃない? やっほー! 有希はいつもこの時間なの?」 有希「コクリ」 ハルヒ「ふーん、そういえば有希と登校中に会うの初めてね。家はどっちなの?」 有希「あっち」 ハルヒ「あのマンションがある方?結構高校から近いわね」 有希「そう」 ハルヒ「でもしょっちゅう遅刻する人ってのは家から学校が近い人に多いの! だから有希も気をつけなさいよ ?」 有希「そうする」 ハルヒ「キョンもだからね! くだらない遅刻して、いざ学校休んで部活するぞってなった時に出席数足りなく なるなんてこと許さないんだから!」 キョン「すまん、もう一度言ってくれ。前提からしてよくわからん」 560 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 17:00:35.74 ID:rNir1wywO ハルヒ「あーもう! とにかく! 遅刻するぐらいなら学校は計画的に休んだ方がいいじゃない!」 キョン「まったくお前はハチャメチャな奴だ」 ハルヒ「あんたがぼんやりしすぎなのよ! そんなだとね、不思議で面白くてもう二ヶ月はお得感が付きまとう ような物が目の前に来てもすぐに捕まえらんないわよ!」 キョン「どっかのバーゲンで売ってそうな物だがな」 みくる「おはよーございます。今日はみんな揃って登校ですかぁ?」 ハルヒ「ミクルちゃんじゃない! とーう!」 ガシッ ミクル「ひえー、何するんですか涼宮さん!」 ハルヒ「朝のスキンシップは胸からっしょー! 相変わらずでっかいわねー!」 ミクル「やめてくださーい!」 キョン「おい、ほかの通行人が目のやり場に困るからやめなさい」 578 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 17:14:26.24 ID:rNir1wywO みくる「あ、古泉くん、おはようございます」 長門「……」 キョン「……」 ハルヒ「あ……お、おはよう」 古泉「おはようございます。久し振りですね、文芸部全員が揃うのは」 キョン「そうだな」 古泉「じゃあ涼宮さん、行きましょうか」 ハルヒ「う、うん」 古泉「では」ニヤ キョン(こっち向いてニヤついてんじゃねぇ) 586 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 17:18:36.50 ID:rNir1wywO 国木田「あ、キョン、おはよう」 キョン「国木田か。ちょうどいい。ちょっと付き合え」 国木田「別にいいけど……何?」 キョン「あとで話す。それでは朝比奈さん、長門、また後ほど」 みくる「えっと……長門さんと2人ですかぁ?えぇー?」 長門「……」 キョン(すみません、朝比奈さん。今は我慢して下さい) 598 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 17:43:52.90 ID:rNir1wywO 国木田「どうしたの、キョン」 キョン「さっきの見てたか?」 国木田「さっきのって、キョン達のやりとり?」 キョン「そうだ」 国木田「……涼宮さんってことだね」 キョン「……あぁ」 国木田「涼宮さん今までとはだいぶ違う感じに見えるよ」 キョン「まぁそうだよな、彼氏ができたんだからな」 国木田「でも、なんだかつらそうに見えるかな」 キョン「涼宮がか?幸せそう…じゃないか」 国木田「キョンは当事者だからわからないのかもね」 キョン「俺が?」 国木田「キョンもわかってるんじゃないの?」 608 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 17:52:22.79 ID:rNir1wywO キョン「何をだ?」 国木田「涼宮さん、古泉君といるときよりキョン達といる時のほうが涼宮さんらしいと言うか……」 キョン「涼宮らしいってのはどういうことだ?」 国木田「何て言うか、最近の涼宮さんは入学したばっかの感じに近いんだよね」 キョン(あぁ、わかってるさ。でもしょうがないじゃないか、涼宮はそれで幸せだって言っているんだから) キョン(俺はあいつを応援するって決めたんだ……) 636 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 18:07:39.85 ID:rNir1wywO ―――教室 キョン「よう涼宮、今日は早いんだな」 ハルヒ「……来ないのよ」 キョン「誰がだ?古泉か?」 ハルヒ「他に誰がいるってのよ」 キョン「確かにな……。でも遅刻かもしれないじゃないか」 ハルヒ「昨日も約束してたのに、それにも来なかったの。どうかしてると思うでしょ?」 キョン「ああ、そうだな……まさか」 ハルヒ「なに!?知ってることがあるなら言いなさい!」 キョン「いや、なんでもないんだ。本当に」 ハルヒ「怪しいわね……。まぁいいわ」 646 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 18:10:34.40 ID:rNir1wywO キョン(あの野郎、閉鎖空間は発生してないって言ってたじゃねぇか。いや、まだ決まったわけじゃないが) キョン(しかし、会って確かめなきゃ気が済まんな) キョン「なぁ涼宮、お前は古泉が何をやってると思うんだ?」 ハルヒ「知らないわよ。里帰りじゃない?」 キョン「ならすぐ帰ってくるじゃないか。お前は心配しなくていい」 ハルヒ「何よ、やっぱあんたなんか知ってるでしょ!言いなさい!」 キョン「知らん!断じて知らん!」 谷口「鬼の居ぬ間に洗濯ってかぁ?金田ぁ?」 キョン「さんをつけろよでこすけ野郎」 653 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 18:16:36.91 ID:rNir1wywO ―――数日後 古泉「どうも、お久しぶりです」 キョン「古泉!お前……今までどこ行ってたんだ?」 古泉「おや、気になりますか?」 キョン「当たり前だろうが。あんなこと言われて、すぐさま失踪だ。こっちはお前に問い詰めたいことで一杯な んだよ」 古泉「あぁ、あの件ですか。まぁいいでしょう。あなたには機関も一目置いていますから、知る権利ぐらいはあ ります」 キョン「余計なことはいい。要点だけ話せ」 古泉「失礼。どうぞ何でも聞いて下さい」 キョン「今聞きたいことは一つだけだ。お前、ここ数日どこに行ってた?」 655 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 18:20:08.72 ID:rNir1wywO 古泉「そうですね、単刀直入に申し上げるならば、閉鎖空間です」 キョン「お前、閉鎖空間は発生していないと前に言ってなかったか?」 古泉「それは前の話ですよ。状況は変わるものです。時間の流れと共に」 キョン「そんなことを聞いてるんじゃない。涼宮はお前といて満足しているから、閉鎖空間はもう発生しないは ずだったんじゃないのか?」 古泉「それはそうですが、彼女にもいろいろあるでしょう。人間とは総じてそういうものです」 キョン「要点だけ話せと言ったはずだ。まあいい。その閉鎖空間を破壊するのにこんな時間がかかったのはなぜ だ?」 古泉「それは僕に聞かれてもわかりませんとしか」 キョン「心当たりはないのか?機関の見解はどうなんだ?」 古泉「心当たりは特に見当たりません。機関の見解はあなたにお伝えすることは残念ながらできません」 キョン「わかった。もういい」 古泉「では、失礼します」 660 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 18:24:39.95 ID:rNir1wywO ───教室 キョン「涼宮、最近悩んでることとかあるんじゃないのか?」 ハルヒ「いきなり何?あんたには関係ないでしょ」 キョン「無いわけじゃないだろう。お前達の関係に協力しろって言ったのはお前じゃないか」 ハルヒ「別に私の悩みにまで口を出せって言ったわけじゃないわ。あんたは私の部下なんだから、黙ってついて くればいいの!」 キョン「わかったよ、団長様」 ハルヒ「何だか懐かしい響きね……」 キョン「SOS団に戻りたくなったか?」 ハルヒ「そんな訳……ないじゃない」 キョン「……そうかい」 690 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 18:40:01.16 ID:rNir1wywO ───翌日 ハルヒ「ねぇキョン、また古泉くんが来てないんだけど……」 キョン「またか。あいつもあいつで忙しいんだろう。変な時期に転校してくるほどだからな」 ハルヒ「本当にあんた何も知らないの?」 キョン「本当だ。知ってたとして、隠す理由が俺にあるか?」 ハルヒ「そうかもしれないわね……。でもいい?何かわかったらすぐに言うのよ?命令だからね!」 キョン「わかってるさ」 キョン(すまんな。お前たちの関係のために、言うわけにはいかないんだ) 691 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 18:41:25.08 ID:rNir1wywO ―――数日後 キョン「よう。今日もあいつと一緒じゃないのか?」 ハルヒ「…………」 キョン「おい、どうした?」 ハルヒ「…………」 キョン「涼宮?」 ハルヒ「……うっさいわね!ちょっと黙ってなさい!」 キョン「何かあったのか?あったんだろ?」 ハルヒ「あんたには関係ないでしょ!いいから消えなさい!」 キョン「……わかったよ。丁度行く場所もできたしな。今日はあいつ、来てるんだな?」 ハルヒ「……来てるんじゃない?……さっさと行く場所とやらに行きなさいよ」 キョン「言われるまでも無い」 696 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 18:42:51.24 ID:rNir1wywO ―――9組 キョン「古泉、いるか?」 女子K「いるかしらー!ちょっと待つかしらー!」 古泉「来ると思ってました。場所を移しましょう」 キョン「……あぁ、そうだな」 703 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 18:45:18.41 ID:rNir1wywO 古泉「さて、聞きましょう。言いたいことは沢山あるはずです」 キョン「お前の態度が気に食わないのはまぁいい。古泉、お前涼宮に何やった?」 古泉「さて、特に心当たりは無いのですが」 キョン「ふざけるのも大概にしろ。ハルヒに全てバラしてもいいんだぞ?」 古泉「彼女がそれを信じるとでも?もう少し考えてはいかがです?」 キョン「いいから言え」 古泉「そうですね。涼宮さんの機嫌を損ねた上にあなたを怒らせても機関にとって害にしかなりませんから」 キョン「また機関か」 古泉「そうです。まぁ、早い話、半分機関による実験、半分僕の八つ当たりと言ったところでしょうか」 708 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 18:49:35.16 ID:rNir1wywO キョン「どういう意味だ?」 古泉「最近、閉鎖空間の発生頻度が上がってるのはあなたも知っていることです。僕はそれに振り回されてばっ かりだった」 キョン「それがお前がここにいる理由だろう。嫌なら機関を辞めればいい」 古泉「無論、それは手段のひとつです。しかし、諸々の事情で僕は機関を辞められないし、辞めたくもない」 キョン「なら普通に役割を果たしていればいいだろう。涼宮に文句を言う筋合いは無いはずだ」 古泉「忘れているのですか?僕は涼宮さんの恋人なんですよ?彼氏の愚痴を聞くのも彼女の役割とは言えません か?」 キョン「……ッ!」 古泉「わかっているけれど、認めたくはない、といった感じですね」 キョン「……黙れ」 719 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 18:57:54.10 ID:rNir1wywO 古泉「……さて、組織の側ですね。あなたはおかしいと思いませんか?」 キョン「何がだ?」 古泉「涼宮さんは、この日常を変革させることを考えたんです。だから、僕や長門さん、朝比奈さんがここにい る。それにあなたを加えてもいい」 キョン「……」 古泉「ですが、彼女はあなた達、つまり僕を含めた文芸部として過ごすのではなく、僕一人と共に過ごすことを 選んだ。これがどういう意味か分かりますか?」 キョン「……」 古泉「あなた以外の、普通ではない存在である我々は、その時点で消滅してもおかしくなかった。必要が無くな っていますからね」 古泉「しかし、我々はまだ存在している。この事実は、彼女が我々を未だ必要としていることに他ならない」 キョン「……だからどうだって言うんだ?俺はお前のムダに長い台詞を聞くためにここに来たわけじゃない」 729 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 19:09:44.62 ID:rNir1wywO 古泉「まだ解らないのですか?もう少し察しがいい方かと思っていましたが」 キョン「そんなことはどうだっていい。さっさと続きを話せ」 古泉「わかりました。さて、彼女は我々を必要としており、我々はここにこういう能力を保持して存在している 」 古泉「つまり、彼女が恋人を作ったとしても、彼女の能力は消滅しないわけです」 キョン「……それで?」 古泉「機関にとってもこれはイレギュラーな事態と言えます。もし、一般人の彼氏が出来てしまったのであれば 、その人物の願望を好きなだけ叶えることになりかねません」 キョン「お前ら……まさか……」 古泉「漸く気が付きましたか。機関は、僕を通して彼女、つまり世界そのものを変革し得る能力を得たわけです 」 キョン「……ちょっと待てよ……その機関ってのは、涼宮を道具としてしか見てねぇじゃねぇか……」 736 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 19:16:11.48 ID:rNir1wywO 古泉「確かに、そう言われても仕方無いかもしれませんね」 キョン「お前に言いたいことは死ぬほどあるが、最後まで聞いてやる。機関の『実験』ってのは何だ?」 古泉「……その名の通りですよ。彼女の僕に対する愛情の、です」 キョン「何だと?」 古泉「僕が彼女を刺激したとしても、まだ彼女は僕の言うことを聞いてくれるか否か」 キョン「……ッ!」 古泉「実験は成功しました。彼女は当分、何があろうと僕の言うことを聞いてくれるでしょう。僕の言うこと、 つまりは機関が求めることを」 キョン「……古泉、お前は涼宮のことが好きなんじゃないのか!?だから付き合ってるんじゃないのか!?」                         ・・ 古泉「魅力的な女性であることには変わりませんよ。我々にとって」 キョン「てめぇええええええええええッッ!!!」 ………… 757 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 19:48:03.52 ID:rNir1wywO キョン(体が言うことを聞かない……ここはどこだ……俺は何をしている……) キョン「ん……」 長門「……」 キョン「……長門!?」 長門「ここは部室。あなたは今まで気を失っていた」 キョン「お前がここまで運んでくれたのか?」 長門「違う。昼休みに来たらあなたが床に倒れていた。古泉一樹の行動」 キョン「そうか……お前、もしかして昼休みからずっとか?」 長門「……(コクリ)」 キョン「……悪かったな、わざわざ」 長門「問題ない。それよりも涼宮ハ……」 キョン「待った。ちょっとその話、今はしないでおいてくれ」 772 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 20:04:06.73 ID:rNir1wywO 長門「……?」 キョン「ちょっとな、悪いが詳しくは言えないんだ。痛っ……俺は帰る。また明日な」 長門「……」 キョン(……俺は古泉に殴りかかって……帰り討ちになったってことか) キョン(そしてヤツは俺を部室まで運び、何食わぬ顔で授業に出たわけだ) キョン(……完敗じゃないか。俺は……涼宮に……何もしてやれない……あいつがどういうヤツなのかわかって るのに……) 785 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 20:10:21.08 ID:rNir1wywO ―――次の日 キョン「痛ぇ……あの野郎、容赦ないな、畜生」 国木田「あ、おは……ってどうしたのキョン!?痣すごいよ!?」 キョン「まぁ、いろいろあってな。気にしないでくれ」 国木田「ん、わかった。でも一つだけ」 キョン「何だ?」 国木田「キョンが、傍にいてあげる存在だと思うよ」 キョン「……国木田……」 国木田「あんまり深く考えないでいいよ。ただ、僕はそう思っただけだから」 キョン(俺が傍に……俺は……) 804 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 20:26:21.29 ID:rNir1wywO キョン(古泉はあんなことを言っていたが、機関にとって最善と思われることをしているのだろう) キョン(それがどんなことであれ、涼宮は従う……涼宮は恋をしているから……) キョン(国木田はあんなこと言っていたが、俺が出る幕なんてないじゃないか) キョン(そう、これでいいんだ。これで……) 819 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 20:38:57.06 ID:rNir1wywO ハルヒ「キョン、あんたどうしたのその顔!?」 キョン「ちょっとな。詳しくは聞かないでくれ」 ハルヒ「……大丈夫なのね?」 キョン「……あぁ、問題無い。心配するな」 ハルヒ「だ、誰があんたの心配なんかするのよ!」 キョン「やれやれ。……そういや涼宮、お前」 ハルヒ「何よ」 キョン「白馬の王子様がどうとか言ってたな」 827 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 20:47:32.55 ID:rNir1wywO ハルヒ「そんなこともあったわね。で?」 キョン「まだ信じてるか?」 ハルヒ「……わかんないわ。いきなり何なの?」 キョン「いや、何となくだ」 ハルヒ「あっそ」 キョン(お前にとっての白馬の王子様は古泉じゃないのか?不満があるなら言ってくれよ……) 832 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 20:52:13.99 ID:rNir1wywO ―――数日後 キョン「あぁ、もうすぐ期末か。鬱々真っ盛りだぜ」 国木田「まぁまぁ、終わったら夏休みだよ。赤点さえ取らなければ大丈夫だって」 谷口「低空飛行ってカッコ良くねぇか?なぁなぁ?」 キョン「補習はイヤだからな。ヒマになったから適当に勉強するか」 国木田「キョン、手遅れにならないうちに始末つけときなよ」 キョン「お前……」 谷口「ライト兄弟だって……キティホークでは……ライトフライヤーでは……低空飛行だったんだぜ……聞けよ ……」 835 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 21:03:41.23 ID:rNir1wywO ―――部室 キョン「誰もいないのか……」 キョン(俺は、どうするべきなんだ……) キョン(俺は、涼宮は古泉さえ傍にいれば幸せだと思っていた。だが古泉はあの通りの人間だった) キョン(しかも、涼宮は古泉のことを前のように好きというわけじゃない) キョン(ただ、白馬の王子様の幻想にしがみついて、それを放せないだけだ) キョン(それはわかってる……わかってるが、俺に何ができる?) キョン(古泉に説教をくれてやることも、殴り飛ばしてやることも出来ない俺に……) キョン「俺は、なんでここにいて、こんなに悩まなくちゃならないんだ?」 837 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 21:10:50.95 ID:rNir1wywO ガチャ キョン「あ、朝比奈さん!?」 みくる「キョン君、少しお話があります」 キョン「……なんでしょうか」 みくる「あなたもご存じの通り、私は未来から来ました」 キョン「はい……」 みくる「今の涼宮さんと古泉くんの関係は、私たちにとってあまり好ましい事態とは言えませんでした」 キョン「……でした?」 みくる「はい。そのまま時が進むとしたら、私たちの未来はそれを是正しようとしたでしょう」 キョン「でも、それをしなかったと?」 みくる「はい。それがどういう意味かわかりますか?」 キョン「……」 838 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 21:13:11.14 ID:rNir1wywO みくる「それは、誰かが私たちの干渉を必要とせずに、時代をあるべき方法へと導くからです」 キョン「誰かとは……」 みくる「ごめんなさい。禁則事項です。でもあなたならわかってるはずです」 キョン「……」 みくる「このことは言うべきではなかったかもしれません。でも、私はキョン君のそんな姿を見ていたくなかっ たの。SOS団のころのキョン君でいて欲しかったの」 キョン「朝比奈さん……」 みくる「キョン君、あなたはこの時代に生きる人です。本来は未来の干渉なんてされるべきではありません。あ なたの進むべき道はあなたが決めるべきです」 839 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 21:16:26.31 ID:rNir1wywO みくる「重要なのは、あなたがどうありたいかです。このままでいいのか、それとも……。あなたがやらずとも 誰かがやるのでしょう。でもキョン君はそれでいいの?」 キョン「それは……」 みくる「私が言いたいのはそれだけです」 キョン「……ありがとうございます。ひとつ、いいですか?」 みくる「何でしょうか?」 キョン「言うべきではなかったのに、何故俺に言ったんです?」 みくる「それは……」 850 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 21:30:34.73 ID:rNir1wywO みくる「禁則事項です」 ガチャ みくる「!!」 キョン「長門!?いつからそこに!?」 長門「朝比奈みくるが入って行ったときから。話の内容は全て聞いた」 みくる「……」 キョン「……」 長門「朝比奈みくるの言葉は間違ってない。一番重要なのはあなた自身の意思」 キョン(長門……) 855 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 21:34:46.06 ID:rNir1wywO 長門「私は統合思念体に生み出され、涼宮ハルヒの願望でここに来た。でもそこに私の意思が無いわけではない 。それは恐らく朝比奈みくるも、そしてあなたも同じ」 長門「あなたの意思は何をしたいのか、何をすべきなのか。もう答えは出てる筈。進むべき道は限られている」 キョン「でも……俺は……俺は無力なんだ!超能力も、未来人的、宇宙人的力も、何もないんだ!……どうしろ って言うんだ……」 長門「力だけでは解決しないこともある」 キョン「でも……でも……」 みくる「キョン君。あなたはにとって、入学してから涼宮さんと一緒にいた時間は楽しかったですか?」 キョン「それは……」 みくる「その答えがあなたの答えです。その日々は、失ってもいいものでしたか?」 キョン(俺は……どう思っていた?涼宮のことを迷惑なだけの存在だと思っていたか?つまらない日々だったか ?) キョン(……そんなわけないじゃねえか。俺は間違いなく楽しかった。だから、古泉が涼宮と付き合ったとき、 ここで泣いたんだろ?) キョン(ここで否定したら、今までの日々は全部嘘だったことになっちまう。そんなのは御免だね。許せねえ) キョン(俺は涼宮の傍にいたい。楽しかったからな。何を悩む必要があるんだ。俺がやるべきことは一つだけだ ) 859 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 21:40:05.37 ID:rNir1wywO キョン「長門、涼宮がどこにいるかわかるか?」 長門「涼宮ハルヒはまだ教室にいる」 みくる「キョン君……!!」 キョン「……心配かけてすいませんでした。ちょっと、楽しい日々を奪還してきます」 みくる「……いってらっしゃい」 長門「……(コクリ)」 キョン「朝比奈さん、ありがとうございました。長門、お前も。ありがとう」 キョン「じゃあ、行ってきます」 みくる「ふふっ……長門さん、らしくなかったですね」 長門「私は必要なことをしたまで。あとは彼次第」 みくる「そうですね……大丈夫、あのキョン君はきっと大丈夫」 861 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 21:41:53.24 ID:rNir1wywO ―――教室 キョン「……涼宮、話がある」 ハルヒ「あんた帰ったんじゃないの?……まぁいいわ。何?」 キョン「お前、白馬の王子様ってのをよくわからんと言っていたな」 ハルヒ「いきなり何よ?」 キョン「俺が思うに、白馬の王子様ってのは、お前が一番辛いときにすぐそばにいて、お前の力になってやれる 奴のことじゃないか?」 ハルヒ「……」 キョン「よく考えろ。お前はこのままでいいのか?正直になっていいんだ。お前は誰かの道具になんてされたく ないだろ?」 ハルヒ「何のことかよく分からないけど、当たり前でしょ?私は指図されることが何よりも嫌いなの!」 キョン「そうだ。それでこそお前だよ。話ってのはこれだけだ。じゃあ俺は行くとこがあるんでな」 ハルヒ「……キョン……」 867 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 21:44:38.30 ID:rNir1wywO ―――校門 古泉「……おや、あなたでしたか」 キョン「涼宮じゃなくて悪かったな」 古泉「そんなこと思っていませんよ。ただ、あれだけされてもまだ向かってくるあなたに少々驚いているだけで す」 キョン「勝手に驚いてろ。俺はお前に一発入れなきゃ気が済まない」 古泉「無理だと言っても聞いてくれそうにはないですね。いいでしょう。ここでは何ですので、場所を変えませ んか?」 キョン「……いいだろう」 884 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 22:04:25.19 ID:rNir1wywO 古泉「ここならば人目にも付きにくいでしょう。始める前に聞いてもよろしいでしょうか?」 キョン「言ってみろ。聞くだけ聞いてやる」 古泉「ありがとうございます。……あなたなら、世界を支配し得る能力を持つ存在を操れる状態になったとき、 どうしますか?」 キョン「どうもしないさ。俺は世界征服なんて願望は持ち合わせちゃいないからな」 古泉「本当ですか?それを使って好きなように世界を変えられるとすれば、使ってみたいと思うのは普通ではな いでしょうか?」 キョン「お前の話はいつも回りくどい」 古泉「それは失礼。つまり、あなたは我々を悪者だと決めつけているようですが、それは誤りではないのかとい うことです」 キョン「……人間を、涼宮ハルヒを道具として扱ってるお前らが言うセリフじゃあないだろうが」 古泉「心外ですね。非常に紳士的な対応だと思っているのですが」 887 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 22:06:14.23 ID:rNir1wywO キョン「……もういい、何を話しても無駄だ」 古泉「その意見には賛成します」 キョン「……だが言っておく。俺はお前を許さん。涼宮がお前のことをどう思っていようが知ったことじゃない 。お前は最低のクソ野郎だ」 古泉「ひどい言われようですね。男の嫉妬というものは醜いものです」 キョン「嫉妬か、そうかもしれん。だがな、あいつの隣にいるべきはお前みたいな奴じゃない。……あいつはも っと自由であるべきなんだ!」 古泉「それはあなたの独りよがりでは?彼女は僕を選んだ。そして、これからもそれは続いていくでしょう」 キョン「やっぱりお前はあいつのことを何も分かっちゃいない。そのうち分かるだろうがな。あいつをそこいら のバカ女と一緒にしてると、痛い目見るぜ」 古泉「負け惜しみですか?……もういいでしょう。さっさと向かってきたらどうです?彼女をずっと待たせるわ けにはいきませんから」 キョン「……そうだな」 890 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 22:08:23.45 ID:rNir1wywO …… キョン(痛ぇ……でも気絶はしてない。前よりはマシってやつだ。それに……) キョン「……効いただろ?」 古泉「……失礼します」 ………… キョン「雨かよ……目に沁みるぜ……」 キョン「……朝比奈さん……長門……これで……よかったのか……?……俺は……結局……」 893 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 22:09:50.94 ID:rNir1wywO ―――翌日 ハルヒ「あんた何その顔!?この前もそんなことなかった?」 キョン「……気にすんな」 ハルヒ「気にするわよ!……ひょっとしてキョン、あんた古泉君とケンカしたの?」 キョン「何でそう思う?」 ハルヒ「昨日、小泉君の顔にも痣があったの」 キョン「偶然だろ。俺があいつとやり合う理由がない」 ハルヒ「そうかもしれないけど……いい?何かあったらすぐ私に言うのよ?これは命令だからね!」 キョン「……やれやれ」 897 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 22:13:11.43 ID:rNir1wywO ―――数日後 キョン「……終わった……」 ハルヒ「まだ1日目よ。気を抜くには早いんじゃない?」 キョン「少しぐらいいいじゃないか。バカにとってこの3日間は死にたくなる程鬱になるんだ」 ハルヒ「じゃあ日頃から勉強しておきなさいよ」 キョン「それができたら苦労はしないさ。ところで、最近古泉とはどうなんだ?」 ハルヒ「別に何もないわ。最近また学校来てなかったし」 キョン「……またか。なぁ、お前はなんであいつと付き合ってるんだ?」 ハルヒ「面白いと思ったからよ。でも……どうなのかしらね」 キョン「面白いと今も思えるならいいじゃないか」 ハルヒ「そうなんだけど……」 899 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 22:14:12.18 ID:rNir1wywO ハルヒ「気がついたことがあるの」 キョン「何だ?」 ハルヒ「……白馬の王子様なんて、どこにもいないってこと」 キョン「……」 ハルヒ「くだらない幻想の産物なのよね、所詮」 キョン「……それが答えか?」 ハルヒ「あんた何言ってんの?答えって何の?」 キョン「いや、何でもない」 ハルヒ「何でもないじゃないわよ!あんたは団員1号なのよ?団長の聞いたことにはちゃんと答えなさい!」 キョン「団長……」 902 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 22:16:45.00 ID:rNir1wywO ―――2日後 キョン「……終わった……今度こそ終わった……」 ハルヒ「部室に集合だからね!さっさと来なさい!重要な話があるの!」 キョン「おい!だから引っ張るな!」 905 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 22:18:24.24 ID:rNir1wywO ―――部室 ハルヒ「……というわけで、文芸部改め、SOS団の活動を再開します!」 キョン「どういうわけだよ」 ハルヒ「細かいことはいいの!とにかく、SOS団は復活するの!だからみくるちゃん、すぐ着替えてお茶!」 みくる「は、はい〜」 キョン「ちょっと待て、古泉の姿が無いが……」 ハルヒ「また転校するって言ってたわ」 キョン「なに!?お前はそれでいいのか?」 ハルヒ「ちゃんと話し合ったわよ。」 913 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 22:26:43.28 ID:rNir1wywO キョン「涼宮、ちょっと来い」 ハルヒ「話があるならここでいいじゃない。はっきり言いなさいよ」 キョン「俺は別にいい。だがお前はよくないんじゃないかと思ったんだ」 ハルヒ「別にいいわよ。今更ここのみんなに隠すことなんてないわ」 キョン「わかった。じゃあ聞くが、お前は古泉と別れたのか?」 ハルヒ「まぁ、そういうことになるわね。でも別にどっちからとかじゃないの」 キョン「どういう意味だ?」 ハルヒ「私は古泉君のことが好きだったし、あっちもそうだったと思うけど、それは恋愛じゃなかったのよ。両 方ともね」 キョン「……」 ハルヒ「大体ね、恋愛感情なんて一時の気の迷いなの。そんなのに振り回されてる時間は無いのよ!」 923 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 22:32:12.71 ID:rNir1wywO キョン「お前……それでいいのか?」 ハルヒ「何も問題はないわ!それはそれで楽しかったしね!」 キョン「そうかい、ならいいんだ」 ハルヒ「じゃあみくるちゃん!お着換えの時間よ!」 みくる「ひ、ひぇ〜」 キョン(せめて、思い出ぐらいは綺麗なままでいいだろ?そこまで曲がっちゃいないんだぜ、俺の性格は) キョン(なぁ、古泉) 927 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 22:34:32.53 ID:rNir1wywO …… ―――新学期 ハルヒ「キョン!転校生が来たみたいよ!見に行くから来なさい!」 キョン「……やれやれ」      古泉「涼宮さんは処女でしたよ」完 955 名前:1[] 投稿日:2009/03/19(木) 22:44:19.19 ID:rNir1wywO とても長い時間がかかってしまいましたが、読んでくださった方ありがとうございました。 正直、こんなに大変だとは思ってもみませんでした。 はじめての投下で、間隔の空け方とかもよくわからなかったというのもありましたが、何よりSS自体の尺の調整 が難しかったです。 ラストは投下しながら仕上げていたのですが、やや力尽きた形になってしまいました。そこは申し訳なく思って ます。 でもホント頑張れ! とかそういうレスは力になりました。マジで感謝してます。嬉しかったです。 ということでこれでSSは終わりです。スレ埋まるまで、何か質問とかあればこたえますね。