キョンが朝倉涼子と付き合い始めたようです 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 15:29:05.99 ID:sh3lnKweO 我慢できん 俺も書く >>1が戻ってきたら引っ込む 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 15:37:10.87 ID:sh3lnKweO ハルヒ「この中に宇宙人未来人異世界人超能力者がいたら私の所に来なさい、以上!」 適当に自己紹介を終え、ぼけっとしていた俺だったが、後ろから聞こえてきたおかしな自己紹介に驚いてそちらを振り向いた。 驚いたね。 なかなか可愛い女子がふんぞり返っているんだから。 だが。 この時の俺は既に同じクラスの女子、朝倉涼子の事が気になっていた。 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 15:44:58.79 ID:sh3lnKweO あのおかしな自己紹介を忘れてしまっていた俺は、席が近いって事で涼宮ハルヒに話しかけた。 なんでそんなことしちまったのかね。普段の俺なら絶対しないハズなのに。 キョン「なあ、自己紹介の時のアレ、どこまで本気だったんだ?」 ハルヒ「あんた宇宙人?」 キョン「いや、違うけど」 ハルヒ「なら話しかけないで」 ここで会話は終了。 とりつく島もない、ってやつだ。 会話を諦めた俺は前を向いたが、そこで俺に視線が集中している事に気付いた。 ……まあそうだよな、あんな自己紹介したやつだもんなあ。 81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 15:49:44.67 ID:sh3lnKweO ハルヒ「ねえ、あんた前に私と会ったことない?」 ある朝席に付くと、いきなり涼宮に話しかけられた。 なんだそりゃ。逆ナンか? こないだ話しかけるなとか言っておきながら。 キョン「さあな。多分無いと思うが」 ハルヒ「そう? 似てるんだけどな……」 知るか。 俺には電波なんか相手にする暇は無いんだ。 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 15:53:58.50 ID:sh3lnKweO 谷口「おい、キョン」 キョン「なんだよ」 谷口「俺は涼宮と同じ中学だったから言っておくがな、あいつだけはやめとけ」 何言ってんだ、こいつは。 どこをどうみたら俺が涼宮にちょっかいかけてるように見えるんだ。 国木田「キョンはおかしな女が好きだからねえ」 国木田、お前も脳みそいかれてるんじゃないのか。 83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 15:56:48.70 ID:sh3lnKweO 国木田「そうは言っても、ねえ」 谷口「なあ」 キョン「なんだよ」 国木田「気付いてないの?」 キョン「だから何がだ」 谷口「入学してから、涼宮から話しかけられたやつはお前だけだぜ?」 知るかよ。なんでそんな細かい事気にしてんだよ。 国木田「だって、あの涼宮さんだからねえ」 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 16:04:38.96 ID:sh3lnKweO それから俺はえんえんと谷口と国木田に涼宮の事を聞かされた。 告白されても断った事がない、だの、決まって一週間以内に自分からふるだの。 学校中に御札を貼ったり、校庭に訳が分からない絵を描いた事もあるらしい。 校庭の絵のことなら俺も知っている。 なんせたいした事件も無いこの街が新聞に載ったくらいだからな。 ……なるほど、あんな自己紹介するくらいだからどんなやつかと思えば……。 谷口「だからな、キョン。涼宮はやめとけ。……そうだな、俺のオススメは朝倉涼子、こいつだ」 朝倉「私がどうかした?」 87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 16:10:19.80 ID:sh3lnKweO 国木田「朝倉さん」 なんと言う幸運。まさか朝倉から話し掛けてくるなんて。 正直、谷口と友人になった時点で諦めていたのに。 こいつは何故か女子から嫌われてるからな。 キョン「よう」 朝倉「あ、キョン君、聞きたいことがあるんだけど」 キョン「聞きたいこと? 俺に?」 何だ? 一体。 朝倉「キョン君って涼宮さんと仲いいの?」 88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 16:15:54.31 ID:sh3lnKweO キョン「へ?」 いやいやいや、それは勘違い、俺は涼宮と仲良くなんて無い、そう言おうとしたのだが。 谷口「ああ、そうだ。キョンは涼宮と仲いいよな!」 キョン「谷口!?」 お前何言ってんだ!? なんでここでそんな、 朝倉「やっぱり」 ……あの、朝倉さん。なぜあなたはそんないい笑顔をしていらっしゃるんですか? 朝倉「涼宮さんって誰に対してもあんな感じでしょ? 委員長として心配で」 91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 16:29:30.56 ID:sh3lnKweO 朝倉「本当は私も仲良くしたいんだけど……なかなか難しくて」 そんなもんかねえ。 まあ確かにクラスで孤立するなんて事はないほうがいいからな。 朝倉「でもキョン君が涼宮さんと仲がいいなら安心ね。徐々にでいいから、涼宮さんがみんなと打ち解けるお手伝いしてあげてね」 もちろん私も頑張るから、と続けて朝倉は友人達の所に戻っていった。 なんだ、谷口。その顔は。 谷口「ナイスアシスト、だったろ?」 誤解されかねない程のキラーパスだったっつーの。 92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 16:38:07.77 ID:sh3lnKweO まあ、朝倉にそんな事を言われた俺は、少しづつ涼宮と会話をするようになっていった。 大体は朝、ホームルームが始まるまでの短い時間だけどな。 ハルヒ「あんたは宇宙人はいると思う?」 キョン「さあな、一応計算上の可能性としてはいるらしいけどな」 ハルヒ「……夢の無いやつね」 そう言うと涼宮はそっぽ向いてしまった。 最初のうちは、怒らせちまったか、などと心配もしていたが、最近はこいつはこういうやつだと分かったので気にしなくなった。 まあ、なんだ。 相手が涼宮だろうと、会話するのは楽しいわけで。 いつの間にか涼宮に対する苦手意識は無くなっていた。 94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 16:44:36.19 ID:sh3lnKweO だからだろうな。 大抵涼宮から話しかけられるだけだった俺が、自分から涼宮に話しかけるようになったのは。 涼宮は何故か毎日髪型を変えていた。 朝倉はオシャレだとか言っていたが、俺はある規則性に気付いていた。 月曜日はポニーテール、火曜日はツインテール(怪獣では無い)と言ったように1日ごとに数が増えていくのだ。 この調子だと土曜日とかは凄い事になってそうだな。 キョン「なあ、毎日髪型を変えるのは宇宙人対策か?」 ハルヒ「!?」 95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 16:51:18.06 ID:sh3lnKweO こんなやり取りをした次の日、涼宮は髪の毛をばっさり切ってきた。 もったいない。あんなにポニーテールが似合っていたのに。 キョン「なあ、なんで髪の毛切ったんだ?」 ハルヒ「あんたには関係ないでしょ。ただの気分転換よ」 そうですか。 ちなみに、この日の放課後、朝倉に呼び出されてかなり問い詰められた。 涼宮に何かあったのか、涼宮に何かしたのか。 とにかく涼宮が気になるらしいな、朝倉は。 97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 16:57:17.22 ID:sh3lnKweO そして。 そんなこんながあり、何故か俺は涼宮と部活を作っていた。 まだ承認されていないけどな。 部員は涼宮が文芸部に話しをつけて借りるらしい。 その流れで文芸部員の長門さんも涼宮の部活に入り、涼宮が引っ張ってきた朝比奈さんも入部することになった。 だが。 朝倉はあんなに涼宮の事を気にしていたくせに、何故か部活に入ろうとしなかった。 99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 17:03:40.09 ID:sh3lnKweO キョン「よう」 朝倉「あら、キョン君。おはよう」 キョン「なあ、朝倉は今部活に入ってないんだろう?」 朝倉「え? うん。そうだけど、どうして?」 キョン「涼宮が部活作った事は知ってるよな?」 朝倉「うん」 キョン「なら、なんで涼宮に声かけないんだ? あんなに涼宮の事気にしてたろ?」 朝倉「え、あー、それはね」 朝倉「あ、涼宮さん来たわよ! 涼宮さんおはよー」 朝倉は涼宮の方へ行ったが、いつものようにあしらわれ席へ戻って行った。 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 17:07:23.66 ID:sh3lnKweO キョン「いいか、一度友達になった以上、多少の短所には目をつぶらなければいけない事もあるんだ」 キョン「友達を大切にしないやつは最低だとお婆ちゃんが言っていた」 101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 17:12:10.40 ID:sh3lnKweO 朝倉が席に戻り、涼宮が自分の席についた。 なんだ、今日は不機嫌だな。 キョン「よう、おはよう」 ハルヒ「………………」 キョン「どうした? 機嫌悪いな。どっか具合でも悪いのか?」 ハルヒ「…………あんたってさ」 キョン「ん?」 ハルヒ「あんたって、朝倉と仲がいいわよね」 そう言い涼宮は机に突っ伏してしまった。 まったく、朝倉といい涼宮といい何なんだ一体。 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 17:21:56.31 ID:sh3lnKweO そして。 転校生の古泉が俺達の部活に入部し、長門からは宇宙人、朝比奈さんからは未来人、古泉からは超能力者だとカミングアウトされた。 こいつらによると、涼宮は進化の可能性であり、時空の揺らぎであり、神様なんだと。 ……阿呆か。 しかも、俺が涼宮に対する鍵なんだとよ。 知るかよ。 勝手に人を訳わからんことに付き合わせやがって。 なんだ、あれか。 三人がかりでおれにドッキリでも仕掛けてんのか? そんな事する連中には見えなかったけどな。 古泉も転校したばかりで下らない事しやがる。 無理やりやらされたなら可哀想だが。イジメられてるなら相談に乗ってやらんとな。 110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 17:30:55.76 ID:sh3lnKweO 長門がぱたん、と本を閉じ、今日の活動は終了した。 ……まいどまいど、何をやってる部活なんだろうな、一体。 ハルヒ「それじゃまた明日ね!」 涼宮はそう言い、長門や朝比奈さんと帰って行く。 俺は、そのまま部室を出ようとする古泉を呼び止めた。 キョン「古泉。ちょっといいか?」 古泉「なんでしょう」 あー、呼び止めたのはいいが、なんも考えてなかったな。 流石にストレートには聞けないよな、イジメられてるのか、なんて。 112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 17:34:15.42 ID:sh3lnKweO 古泉「最初は彼から話しかけてますよ」 古泉「国木田君が涼宮さんの事を知っているのは、彼も言っていたように新聞を読んで知っていたのではないかと考えますが……いかがでしょう?」 113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 17:40:50.28 ID:sh3lnKweO 俺が古泉に話しかけられずにぐだぐだ悩んでいると、何を勘違いしたのか古泉は俺から距離を取り出した。 古泉「あ……すいません、今日は急ぎの用がありまして……帰ってもよろしいでしょうか?」 キョン「ん? ああ、すぐ済むんだ。ちょっと待ってくれ」 古泉「えー、すぐ、とは申されましても」 キョン「ああ、すまんな。ちょっと重要な事だから言葉を選ぶのに時間がかかったんだ」 古泉「え?」 キョン「あんまり人に聞かれたくない話だからな」 古泉「それはそうかも知れませんけども!」 114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 17:45:16.42 ID:sh3lnKweO キョン「なあ、古泉」 古泉「あ、ちょ、僕はそんな趣味ありませんからね!?」 キョン「は? お前、何を言って」 古泉「近寄るなぁ! 僕はノンケなんだぁ!」 …………。 放課後の薄暗い教室。 二人きり。 なかなか話し出さない、呼び止めた本人。 言い出しにくい話題。 …………なるほどー。 勘違いしちゃうかもしれませんね、これは。 キョン「アホかー!!!」 117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 17:54:14.67 ID:sh3lnKweO 取り敢えずここからは古泉の誤解をとくのに必死だった。 いくら俺もノンケだと言っても信じず、逃げ出そうとする古泉を捕まえ部室の鍵をかける。 半狂乱になった古泉を押さえつけ、何故か部室にあった縄跳びで縛り付ける。 叫ばれると面倒なので猿轡を噛ませ、ようやく落ち着いてが出来るようになった。 古泉は完全に怯えた表情で俺を見ている。 はあ、まったく俺が何をしたと言うんだ。 お前がパニクったせいで使わんでもいい体力を使ったというのに。 少し落ち着いた俺は当たりを見回す。 もう日が落ちたなあ。 早いとこ帰らないと。 古泉に声をかけようとした時に気がついた。 キョン「あれ? なんで俺犯罪現場にいるの?」 古泉「ん゛ー、ん゛ー!」 122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 18:04:08.02 ID:sh3lnKweO 俺はもはや号泣している古泉に話しかける。 キョン「な、なあ古泉」 古泉「!」 まあ、古泉が怯えるのも仕方ない。 まずは誤解を解くとしよう。 キョン「古泉、俺はノンケだ。まずはそれを分かってくれ」 古泉「む゛ー!」 涙目の古泉が必死に首を縦に振る。 本当に分かってくれたか? キョン「ほら、古泉。これを見てくれ。俺の宝物だ」 そう言って俺は古泉に朝比奈さんの着替えの写真を見せる。 途端に食いついてくる古泉。 キョン「これはお前がくる以前にハルヒが撮ったものだ。みんなには削除してあると言ったが、実はそこのパソコンにまだ残っているんだ」 古泉「……ごくり」 126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 18:09:25.58 ID:sh3lnKweO キョン「俺はノンケなんだ。それを信じてくれたら、これらのデータが入っているフォルダの場所を教えてやる」 そう言った瞬間、古泉が猛烈に頭を縦に降り出した。 そうか、分かってくれたか古泉。 古泉「ん゛ー!」 俺は古泉の猿轡を外し、向き合う。 古泉「あなたはノンケです。だから早く」 キョン「そうがっつくな。それより、ようやく本題だ」 古泉「はい?」 キョン「古泉」 キョン「お前イジメられてはいないか?」 130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 18:16:55.67 ID:sh3lnKweO 結論から言うと、古泉はイジメられていなかったらしい。 俺の早とちりだったが、まあいいとしよう。 そんなこんなで学校を後にし、家へと帰ろうと……。 ……忘れてた。今日は親が親戚の葬式でいないんだった。 飯どうするんだ? 取り敢えず妹に電話してみるか。 キョン「もしもし」 妹「はーい。どなたですかー?」 キョン「俺だ、お前のお兄ちゃんだよ」 妹「あー、キョンくんどうしたの?」 妹よ……、オレオレ詐欺には気を付けろとあれほど……。 まあいい。 キョン「今日の飯はどうする?」 妹「わたしミヨちゃんのとこでご馳走になったからいらなーい」 キョン「ん、分かった」 なら飯は俺の分だけで十分だな。何を買って帰ろう? 134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 18:26:38.81 ID:sh3lnKweO うー、晩飯晩飯。 今、晩飯を求めて走る僕は高校に通うごく一般的な男の子。 名前は他称キョン。 強いて人と違う所をあげるとすれば、部活仲間がみんな電波ってトコかナー。 そんなわけで学校帰りのスーパーへとやって来たのだ。 キョン「何にすっかな」 カップめんだけじゃ味気ないし、弁当ってのもなんだかなあ。 ん? ごはんがあるのか。そうかそうか。 これなら、ここにならんだ単品の惣菜が全ておかずとして立ち上がってくる。 湯葉さし、いくらのどぶ漬け。岩のり250円も渋くていいな。 そんな、孤独な感じで今晩の食事を選んでいると。 朝倉「あら? キョン君?」 139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 18:37:23.29 ID:sh3lnKweO キョン「朝倉?」 こんな所で朝倉に会うなんてな。 朝倉も夕飯の買い出しらしく、買い物かごからはネギがはみ出していた。 しかし……うむ。いいね。 私服の朝倉。とてもいい。 いつも制服姿しか見ていないせいか、とても新鮮だ。 …………そのネギをもって初○ミクのコスプレも……俺は何を考えているんだ。 朝倉「キョン君? ぼーっとしてどうしたの?」 キョン「あ、ああ、いや、今日の晩飯どうすっかなって思って。朝倉も夕飯の買い出しか?」 朝倉「ええ。私の家、両親が海外にいるから全部自分でやらないと」 ええ娘やないですか、奥さん。 141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 18:45:02.32 ID:sh3lnKweO 朝倉「キョン君もお買い物?」 キョン「ん、ああ、今日葬式で両親がいなくてな」 朝倉「ふーん」 さ、しっかりと脳内フォルダに朝倉の私服姿を焼き付けたしな、そろそろ買うもの買って帰るか。 焼き肉もいいな。 一人で焼き肉なんて食うと休む暇も無くて楽しそうだ。 朝倉「家に来る? ご馳走しちゃうわよ?」 ……んー、なんだか俺の耳が都合のいい幻聴を聞いたような。 でもなあ、もし本当だったとしたら。 キョン「え?」 朝倉「だから、私の家に来ない?」 フラグ? 182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 20:13:53.28 ID:sh3lnKweO 誘われるままホイホイ俺は朝倉のお宅にお邪魔した。 ご飯が食べたいだけなんだからね! 別に下心がある訳じゃないんだから! 朝倉「どうぞ」 キョン「あ、お邪魔します」 朝倉の家は女の子の一人暮らしらしく、暖かみのある配色をしており、この間入った長門の部屋と正反対な印象だった。 まあ、長門は宇宙人(自称)らしいからな。 朝倉とは違うだろう。 朝倉「はい、どうぞ」 キョン「ありがとう」 目の前にはチンジャオロースや回鍋肉、麻婆豆腐など、いかにもな中華料理が並んでいた。 うん、旨そうだ。 しかし、この量は……。 朝倉「あはは、誰かとご飯食べるの久々だからはりきっちゃった」 絶対残すもんか。 183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 20:23:56.37 ID:sh3lnKweO キョン「ふぅ」 いやあ食った。 正直もう何もする気がおきん。 ……いや、もとから何もする気なんてありませんでしたけどね? 朝倉「ふふ、残しても良かったのに」 キョン「それは勿体無いからな。ご馳走様」 朝倉「お粗末様でした」 キョン「んじゃ、俺はそろそろ失礼するよ」 朝倉「あら? 別に泊まっていっても構わないけど?」 そう言って微笑む朝倉。 だから反則だって。 キョン「妹が待ってるからな。帰らないと」 朝倉「残念。それじゃ、また明日学校でね」 キョン「ああ、それじゃ」 185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 20:35:50.34 ID:sh3lnKweO 朝倉の家で夕食をごちそうになった数日後。 俺は不思議探索とかいう謎の活動の為に街にいた。 毎回俺がおごらなきゃいけないのはどうしてなんだろうな。 こいつら実は前日から泊まり込んでるんじゃないのか? ハルヒ「今日は組み分け無し! 全員で不思議をさがすわよ!」 だから涼宮さん、毎回喫茶店で大声を出さないで下さいよ。 まったく恥ずかしい。 ハルヒ「ほら、何してんのよキョン! さっさと行くわよ!」 キョン「はいはい」 188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 20:41:18.61 ID:sh3lnKweO こうやって歩いてると、ただ遊んでる高校生にしか見えんな。 まあ実際そうなんだが。 涼宮がどこまで本気だかは知らないが。 ハルヒ「ほらキョン! ぼさっとしない!」 へいへい。 朝倉「キョン君?」 へ? 振り向くとそこには朝倉がいた。 朝倉「涼宮さんも。こんにちは」 ハルヒ「朝倉……」 キョン「よ、朝倉。どうしたんだ、こんな所で」 190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 20:51:13.77 ID:sh3lnKweO 朝倉「私はお買い物。キョン君達は……デート?」 おいおい、何言ってるんだ。 この集団のどこをどう見たら……あれ? 古泉達がいない? そういえば俺だけ遅れてたんだっけ。 ハルヒ「んな訳ないでしょ!」 涼宮が顔を真っ赤にして反論する。 そこまで嫌そうにしなくともなあ。 いくら俺でも少しは傷つくぜ。 キョン「今日は部活の活動でな。多分他のメンバーが先に行ってる」 ハルヒ「そう! そうなの! だから部外者はさっさと」 キョン「朝倉も暇なら一緒にまわるか? 一人くらい増えてもかまわんだろ」 ハルヒ「キョン!?」 朝倉「うーん、今日はやめとこうかな。また今度誘ってね」 そう言うと朝倉は去っていった。 残念だ。 しかし、何故涼宮がこっちを睨んでいるのかね。 193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 21:05:10.84 ID:sh3lnKweO 古泉「何かあったんですか?」 朝倉と別れ、俺達が合流した後、古泉が俺にこっそりと問いただしてきた。 何か、って言ってもな。 特に何も無かったと思うが……。 …………ああ。 キョン「朝倉と会ったな」 古泉「それですね」 キョン「そうか? 俺としてはクラスメートに会ってなんで機嫌が悪くなるのか分からんのだが」 俺がそう言うと、何故か古泉と朝比奈さんが揃って溜め息をついた。 何時の間に仲良くなったんですか。 古泉「これは……」 みくる「……ですねえ」 201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 21:17:33.06 ID:sh3lnKweO 例によって強制ハイキングコースを登り、程よく疲れながら登校した俺は、自分の下駄箱で見慣れぬ物を見ることになった。 白い封筒に薄いピンクの便箋。 書いてあったのは一言、『放課後、誰もいなくなった教室で』。 どこからどうみても果たし状には見えず、これはやはり……。 キョン「ラブレターってやつか?」 誰かが入れる所を間違ったか? しかしまいったな、その事を手紙の主に教えようにも、差出人が書いていない。 どうしたものかね。 202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 21:22:42.28 ID:sh3lnKweO 谷口「キョン、聞いたぜ」 キョン「なんだよ」 国木田「日曜日、涼宮さんとデートしてたんだって?」 キョン「はあ? なんだそりゃ」 一体誰がそんな事を。 全く、こんな事が涼宮の耳に入ったら一大事だな。 キョン「あのな、日曜日は部活の活動だったんだよ」 谷口「は? 別に誤魔化さなくともいいんだぜ?」 キョン「誤魔化してなんかねえよ。実際古泉達も一緒だったんだ」 谷口「なんでえ、つまんねえの」 204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 21:28:19.47 ID:sh3lnKweO そんなこんなで放課後。 部活の時間になった。 ハルヒ「キョン! 部室に行くわよ!」 キョン「ん、ああ、すまんな。今日は用事があって遅れる」 ハルヒ「何よそれ! 部活よりも大事な用なの!?」 キョン「まあな。もしかしたら部室に行けないかもしれん」 ハルヒ「…………ふんっ!」 涼宮は部室に行ったか。 まあ、流石にこの手紙の主も複数の人がいたら気まずいだろうしな。 そう。俺は間違いにしろ何にしろ、取り敢えず手紙の差出人を待つ事にしたのだ。 206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 21:35:54.80 ID:sh3lnKweO 間違いだった場合、まあこの可能性が一番高いだろうか。 この場合、手紙を読んでしまった事を差出人に詫び、手紙を返す。 間違いでは無かった場合。可能性は低いが。 果たし状では無いだろうから、この場合は相手の話を聞くことになるか。 しかし、俺なんかにラブレターを出すようなやつはいないだろうから、一体何の話なんだろうな。 そんな事を考えていると、ぽつりぽつりと人が減っていき、ついに教室の中には俺一人になった。 キョン「はあ」 俺はなんて間抜けだ。 もう一つの可能性を忘れていた。 イタズラ、だ。 むしろこの可能性が一番高いんじゃないのか? 207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 21:39:52.19 ID:sh3lnKweO そんな事を考えると、途端に怪しくなってくる。 犯人の最有力候補は谷口あたりか。 わざわざ女の字まで真似てごくろうなこった。 キョン「ったく」 教室に一人になってもう三十分程度、そろそろいいか。 俺はカバンを持って教室から出ようとした。 朝倉「あら、どこにいくの?」 209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 21:44:34.95 ID:sh3lnKweO キョン「朝倉」 何時の間にか、教室の中に朝倉がいた。 教室の扉が開いた様子は無かったはず。 一体いつからそこにいたんだ? キョン「ああ、そろそろ部室に行こうかと思ってな」 朝倉「あら、てっきりキョン君は手紙の差出人を待ってるんだと思ったのに」 今、なんて言った? キョン「朝倉? まさかこの手紙はお前が?」 朝倉「そ。驚いた?」 210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 21:52:11.86 ID:sh3lnKweO 相変わらず朝倉は微笑みながら、教室の真ん中に立っている。 だが、なんというか。 今の朝倉の笑顔はいつもの朝倉のそれとは違っていた。 まるで貼り付けられた仮面みたいな笑顔だ。 朝倉「人間ってさ、よく、やらないで後悔するよりやって後悔した方がいいっていうよね」 朝倉はゆっくりと俺に向かって歩き出す。 朝倉「キョン君はどう思う?」 キョン「さあな、そんなのは状況しだいだと思うが」 朝倉「じゃあ、行動を起こせば変化が起こるのは確実。でも、上の人達は頭が固くてぜんぜんダメ。こんな時は?」 212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 21:58:49.49 ID:sh3lnKweO 一体何を言ってるんだ、こいつは。 キョン「さあな。そんな話がしたくて俺を呼び出したのか?」 朝倉「ええ。キョン君なら教えてくれるかと思って」 俺は朝倉にバレないように溜め息をつく。 誰かが言ってたな、溜め息をつくと幸せが逃げる、とか。……知ったことか。 ああそうだよ! 手紙の差出人が朝倉だと分かって! 俺に出したのも間違いじゃないと知って! 嬉しかったんだよ! 悪いかこの野郎! 勝手に期待して勝手に勘違いした俺が悪いだけだ。さっさと切り上げて部室に行くか。 キョン「悪いが俺には答えられそうにないな。用がこれだけなら俺はもう行くぞ」 213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 22:04:12.75 ID:sh3lnKweO 朝倉「あ、ちょっと待って」 なんだ、まだあるのか。 朝倉「さっきの話の続きなんだけどね、私もう我慢できなくなっちゃったの」 朝倉は笑顔で話続ける。 朝倉「だからね」 朝倉の笑顔は崩れない。 朝倉「あなたを殺して、涼宮ハルヒの出方を見る」 何時の間にか、朝倉の手には巨大なナイフが握られていた。 221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 22:22:10.96 ID:sh3lnKweO 朝倉「ねえ、殺されるのって嫌? 死ぬのは怖い? 私には有機生命体の死の概念が良くわからなくて」 キョン「意味が分からないし笑えない。早くその物騒なものをしまってくれ」 朝倉「くすくす……知ってる? キョン君」 朝倉は俺の話など聞く気はないようだ。 笑いながら一人で語り続ける。 朝倉「私は長門有希と同じ、情報統合思念体に作られた、対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェース」 朝倉「あの子はあなたにどんな説明をしたかは知らないけど……」 そう言うと朝倉はナイフを持った腕を振り上げる。 朝倉「こんな事が出来ちゃうって、知ってた?」 朝倉がそう言うと、教室の風景が一変する。 出入り口が無くなり、壁が崩れた向こうには見たこともないような風景が広がっていた。 223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 22:28:43.56 ID:sh3lnKweO キョン「な……」 俺は驚いて声が出せなかった。 こんな事が現実に起きるなんて。 朝倉「あら、驚いて声もでない? まあ、この空間は今、私の情報制御下にある。だからあなたが何をしようと」 朝倉「ム・ダ・な・の」 朝倉のナイフが俺の頬を軽くなぞる。 ぷつ、といった音がし、血が少し出てきた感触がある。 朝倉「もう諦めたの? 人間って、もう少し諦めが悪いって聞いてたんだけど」 225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 22:35:43.89 ID:sh3lnKweO 朝倉「まあいいわ」 そう言って朝倉はナイフを俺の左胸に突きつける。 ああ、本当にこいつは俺を殺すつもりなんだな。 キョン「なあ、朝倉」 朝倉「なあに、キョン君」 キョン「俺に夕食をご馳走してくれた事、あったよな」 朝倉「ええ。それが何か?」 キョン「あれも……お前の上司に言われてやったのか?」 朝倉「そんなわけないじゃない。私の使命は涼宮ハルヒの観察。それ以外はムダな事なの。」 226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 22:44:53.45 ID:sh3lnKweO キョン「そうなのか。じゃあなんであの時」 朝倉「うるさいわね、ただの気まぐれよ! 何? 今更命乞い?」 キョン「いや、違うさ。」 そう、この会話は命乞いでも、時間稼ぎでもない。 ただ、思い出してしまっただけなんだ。 キョン「あの時のお前の笑顔、最高だった」 朝倉「な……」 朝倉「何よ、それ」 朝倉がナイフを落とし、からん、と渇いた音がした。 そして、うろたえる朝倉の後ろからもう一人の人影が現れた。 228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 22:50:39.31 ID:sh3lnKweO 長門「もういい」 朝倉「長門さん……」 朝倉の後ろから現れた人影は、SOS団一の無口キャラ、長門有希だった。 そう言えば、長門も朝倉の同類だとか言ってたっけ。 長門「情報統合思念体は方針を変更した。彼の殺害は今回は見送られる」 朝倉「……本当?」 朝倉の問いかけに長門が頷く。 ……そうか、助かったのか、俺。 朝倉「……よかった……」 230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 22:56:33.22 ID:sh3lnKweO 長門「情報統合思念体は今回の事態を重要視している」 長門「朝倉涼子があなたに接触した際、涼宮ハルヒは中規模な情報爆発を幾たびも起こしていた」 長門「あなたの殺害を提案したのは情報統合思念体の急進派だが、我々主流派でシミュレートした結果、想像も出来ない大規模な情報爆発が起こるといった結論が出た」 長門「我々が望んでいるのは自律進化の可能性。宇宙崩壊の可能性ではない」 長門「よってあなたの殺害は見送られた」 キョン「はあ」 なんだかつらつらと説明してくれてるが、やはり良くわからん。 まあ命が助かっただけでもありがたいか。 233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 23:03:53.08 ID:sh3lnKweO 長門「更に」 長門「朝倉涼子」 朝倉「はい?」 長門「情報統合思念体はあなたに、プログラミングしていない情報の発生を確認した」 朝倉「え?」 長門「あなたはもともと人間に近く作られた個体。だから発見が遅くなった」 長門「あなたには人間で言う、感情が発生している」 長門「我々情報統合思念体はこれも自律進化の可能性ではないかと考える」 長門「よって、その発生原因……彼とあなたとのこれからの交際を認め、様子を見るとの結論となった」 朝倉「は?」 キョン「はあ?」 長門「おめでとう」 いや、無表情で言わないで下さい。 240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 23:15:41.68 ID:sh3lnKweO つまりはこういう事らしい。 朝倉が俺に近づくと、涼宮のやつが情報爆発とやらを起こすらしい。 てことは、俺と朝倉を恋人同士にしちまえば、もっと自然に朝倉を近づけられるって事だ。 更に、俺と付き合う事によって朝倉に芽生えた感情も変化していくかもしれない。 実に情報統合思念体にとっては一石二鳥って訳だ。 朝倉「ごめんね、キョン君」 朝倉は申し訳なさそうに頭を下げる。 キョン「また、夕食食わせてくれよ」 朝倉が顔を上げる。 キョン「これからよろしくな、朝倉」 朝倉「うん! こちらこそ!」 ……そう、この笑顔。 やっぱり、最高だ。 終わり 242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 23:18:52.14 ID:sh3lnKweO みくる「今度はセリフが一言しかないとかどう言う事でしゅか……」 古泉「…………」ガクガクブルブル みくる「ああ゛ん!?」 長門「落ち着いて」 みくる「長門しゃん……」 長門「あなたは今回もヘリウムだっただけ……ぷっ」 みくる「うがー!!!」 今度こそ終わり 244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/01(木) 23:21:56.18 ID:sh3lnKweO >>1がいなくなったスレに書かせていただきありが……>>1さん、普通にいるじゃないすか マジすんませんした! それでは皆さん、これから>>1さんの続きがあると思われますので、僕は支援に戻ります 朝倉は俺の嫁 パイナポゥでした