かがみ「つかさの日記か・・・」 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/09/20(土) 02:40:25.75 ID:SPMHTEyq0 テストのことで聞きたいことがあって、私はつかさの部屋にはいった。 つかさは部屋にいない。机の上に無造作に日記が置いてある。 かがみ「つかさはお風呂入ってるんだ・・・」 何書いてるのかしら・・・一度そう感じ始めると、すごく気になり始める。 かがみ「ちょっとだけなら、いいよね・・・」 そう思いながら、私は日記のページをめくった。 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/09/20(土) 02:47:24.30 ID:SPMHTEyq0 「今日もこなちゃんから愚痴を言われた。 お姉ちゃんのことで私に愚痴を言われるのはつらい。 ゆきちゃんも最近はお姉ちゃんのことをかばってくれなくなった。 今のままじゃよくないかなぁ・・・」 私の頭の中は真っ白になった・・・ 恐る恐る他のページも見てみる 「こなちゃんが珍しく機嫌がよかった。 お姉ちゃんが風邪で休んだからだって・・・ お姉ちゃんのこと、こんな風に言われるのはつらいけど ほかのみんなも同じようなこと言ってる・・・ お姉ちゃんはたぶん気づいてない。」 「今日もお姉ちゃんが、こなちゃんを馬鹿にするようなこと言ってた。 顔では笑ってるけど、こなちゃんは大分腹が立ったみたい。 止めようと思ったけど、何も言えなかった。 私のばか・・・」 日記を持つ手が、震えているのがわかった。 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/20(土) 02:52:06.88 ID:SPMHTEyq0 体中から血の気が引いていく。 ふるえる手で、日記をもと位置に戻すと、私は自室に戻った。 「・・・私・・・もしかして・・・」 思わず口に出かけた言葉を、私はあわてて飲み込んだ。 部屋の電気を消して布団にくるまり、つよく目を閉じた。 ・・・嫌われてる? 私の心が、私の不安が、そっと私に囁きかけてくる。 自分がどんな風に思われているのか、はじめて気づいた。 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/09/20(土) 02:56:08.48 ID:SPMHTEyq0 寝付けづに何度も寝がえりをうった。 眠れるはずなんてない。さっきから動悸が激しくて 喉の奥から何か飛び出しそうで 目を閉じてても、ちっとも眠くならない。 真っ暗で静か部屋の中で、みんなとの思い出が私の心に思い出される。 一緒にバイキングに行ったり、カラオケに行ったり、くだらないお話をしたり 私はすごく楽しかったのに こなたのわがまま、みゆきの優しさ、つかさの抜けた所 みんな大好きで・・・ 私は、うまくいってると思ってた ずっと友達だって・・・ 私だけだったんだね、ごめんね 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/09/20(土) 03:01:58.43 ID:SPMHTEyq0 窓からの朝日で目が覚めた。 学校に行くのがつらい。心なしか、気分が悪い気がする。 きっと昨日のことがあったからだ。 重い体を起こし、私は長い階段を下まで降りていく。 朝食ものどを通らない。 「お姉ちゃんおはよう〜」 いつもと変わらない笑顔で、台所につかさが顔を出した。 「おはよう、つかさ」 精一杯の笑顔で私も返事する。 「いつも早いね〜」 変わらぬ調子で席につき、朝食をとるつかさ。 私のこと・・・どう思ってるんだろう? 聞いてみたいけど、聞くのが怖い。 なんで、日記なんか盗み見たんだろう。 自分自身の浅はかさに、涙が出そうになる。 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/09/20(土) 03:08:51.57 ID:SPMHTEyq0 学校までの道のり、バスに揺られながら、私は外ばかり見ていた。 何も考えたくなかった。陵桜の生徒がみんな私を嫌ってる気さえした。 「おねえちゃん、どうしたの〜?」 そんな私を気遣い、つかさが声をかけてくれる。 「うん、ちょっとね。昨日遅かったから眠いのよ」 「そっか〜いつも遅くまでべんきょうしてるもんね〜 私10時には寝ちゃうから〜」 つかさだけが、私の味方のような気になる。 日記の感じからも、つかさは私のこと庇ってくれてるみたいだった・・・ 「つかさが頼りないから、自分がしっかりしないと」 そんなこと言っていた自分が恥ずかしくなった。 (ありがとう・・・つかさ・・・ つかさが妹で本当によかった・・・) つかさに気づかれないように、私は目に溜まった涙をそっとぬぐった。 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/09/20(土) 03:16:37.48 ID:SPMHTEyq0 駅に着いた。 いつもなら、こなたと話すのが楽しみだった。 今日はどんなバカやってくれるのかな、なんて・・・ でも今日は違う。こなたと会うのがたまらなく怖い。 できれば、こなたに会わずに学校まで行きたいと思った。 「あ〜こなちゃん、おはよ〜」 そんな私の淡い願いを、つかさの一言が打ち消してしまった。 「あ〜つかさ、おはよ〜」 こなたもいつもと変わらず挨拶をする。 「あ、おはよ・・」 「つかさ聞いてよ〜昨日カレー作ったんだけどね、それが・・・」 私の挨拶にかぶせるようにつかさに話しかける。 何だろう・・・いつもなら多分怒るか、こなたらしいで片づけるのに 今日はなんだかすごく悲しかった・・・ こなた、ごめんね・・・おはようも返してくれないくらい 私のこと嫌いなんだね 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/09/20(土) 03:25:22.73 ID:SPMHTEyq0 「みなさん、おはようござます」 学校までの途中で、みゆきが合流した。 「おはよ〜みゆきさ〜ん」 「ゆきちゃんおはよう〜」 「おはよう・・・みゆき」 なんだろう・・・名前を呼ぶだけなのに、挨拶するだけなのに 声がふるえそうなほど緊張してしまう。 「こなたさん、昨日メールありがとうございました。」 「いやいや〜いいよいいよ〜」 何の話だろう・・・。いつもなら自分も割って入るところだけど 今日はそんな気持ちにはとてもなれないでいる。 「あーそれ私も知ってる。ゆきちゃんからのメールでみたから」 三人は楽しそうに話をつづけ、私はひとりで、三人の少し後ろを歩いている。 ・・・今日は、クラスでじっとしてよう。 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/20(土) 03:32:06.30 ID:SPMHTEyq0 クラスにいけば、多少は気がまぎれるかなって思った。 大きな間違いだった。 「あれ?今日は柊あっちのクラスいかね〜のか?」 「珍しいわね、柊ちゃん」 「まぁね」 「ふ〜ん。ところで、この前のアレすごかったよなぁ〜」 「あ、みさちゃんといった映画ね〜」 「そうそう、もう大冒険でなぁ〜」 いつも二人をないがしろにしてたせいだ。 こっちでも会話に入っていけない どこにも自分の居場所がない そんな気がした 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/09/20(土) 03:38:52.29 ID:SPMHTEyq0 昼休み、私はお弁当を持って屋上へ上がった。 日下部たちといても、こなた達といても、どうせ私の居場所なんかないんだ。 だったら・・・一人で食べたい。 つかさが作ってくれたお弁当。 私のと違って、きれいに盛り付けられていて、おいしそう。 いつもこれを見て、こなたが私を茶化してた・・・ 玉子焼きを箸で切って口に運ぶ。すごく甘くておいしい。 すごくおいしいのに 一口食べたら、涙があふれて止まらなくなった。 どうしようもないくらいに・・・ 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/20(土) 03:46:07.02 ID:SPMHTEyq0 その日HRが終わると、私はひとりで帰った。 いつもは図書館でおしゃべりしたり、こなた達と寄り道してるけど そんなことできるわけもない。 家に帰りたい。学校にいるのは辛かった。 こなたや、みゆき、日下部に峰岸 みんな怖い・・・ 会いたくない・・・ そうだ、家に帰って本でも読もう・・・ 私は、学校から逃げるように下校した 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/09/20(土) 03:55:05.90 ID:SPMHTEyq0 部屋に帰りついた私を、安心感が包み込む。 とても長く感じた帰り道。行き交う陵桜の生徒が、みんな私を見てる気がした。 いや、陵桜の生徒全員が、私を嘲笑っているような感じすらした。 なんて小心者なんだろう・・・ 自嘲しながら、私はカバンをおろし、部屋着に着替える。 そして本棚から一冊の本を手にとった。 何も考えたくなくて、一心不乱に本を読む。 当然のことながら、ほとんど内容が頭に入らない。 それに時間も全然たたない。 なにより心はモヤモヤしたままだった・・・ そんな時だった 「ただいま〜」 私と同じで、いつもよりずっと早い帰宅。 下から響いてくるのは、間違いなくつかさの声だった 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/09/20(土) 04:04:04.17 ID:SPMHTEyq0 部屋をノックする音が聞こえる 「お姉ちゃん・・・ちょっといい?」 「・・・うん」 つかさがそっと部屋のドアを開いた。 そして、部屋に入りそっと扉を閉めた。 「お姉ちゃん・・・今日なんか変だよ?」 「そう?」 なるべく平静を装った。心臓は信じられないくらい早いスピードで鼓動し いやな汗がにじみ出てくる。 「話してても上の空だし、顔色も良くなかったし、お昼も・・・」 「いいじゃない!!」 我に返った私の目に、泣きそうな顔をしたつかさが飛び込んできた。 思わず声を荒げてしまっていた。 「・・・ごめん。でもいいでしょ。そんな日もあるの」 興奮を抑えて、なんとか取り繕ってみる。 「・・・でも・・・」 「もう、ほっといてよ!!」 駄目だとわかってても、また声が大きくなってしまう。 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/09/20(土) 04:11:24.08 ID:SPMHTEyq0 もし寝てしまったら、明日またスレ立てて続き書くわ・・・ きっちり最後まで。 富樫と同じで、更新遅いけど・・・ 「お姉ちゃん・・・」 つかさが絞り出すようにぽつりと言った。 「なによ!?」 もう、自分でも止めようがない。 自分の味方のつかさの思いやりでさえ、今の私には辛い。 つかさは何も悪くないのに、最低・・・ 冷静になって、部屋に沈黙の時が流れた・・・ 時計の秒針の音だけが、静かに時を刻んでいる。 夕日が差し込んで、部屋をオレンジ色に染めている。 何時間にも思えるような沈黙を破り、つかさが口を開いた 「私の日記・・・見たんだ・・・」 私の鼓動は、再びはげしくなった。 163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/09/20(土) 21:13:50.34 ID:SPMHTEyq0 「うん・・・読んだの・・・ごめん」 「そう・・・どれくらい?」 「・・・あんまり読んでないけど、私が嫌われてるってこと つかさに迷惑かけたことぐらいは分かる・・・程度には」 二人の間に再び沈黙が流れる。互いににらみ合った剣豪同志の間に張りつめた空気が生まれるような感じだろうか。 息がつまりそうになる。私は、視線をつかさの手前の床に落とし、何もできず固まっていた 「ごめんね・・・お姉ちゃん」 思わぬ言葉に、私は意表を突かれた。 つかさにまで嫌われるかと思い、私は内心ひどく怯えていた それなのに・・・ つかさの口からは、私を責めるどころか謝罪の言葉がでたのだから。 「・・・つかさ?」 「ごめん・・・ごめんね・・・」 謝罪の言葉を繰り返すつかさ。つかさの目からは大粒の涙がこぼれおちる。 つかさは謝ることなんてない・・・私が悪いのに・・・ 164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/09/20(土) 21:21:30.79 ID:SPMHTEyq0 「お姉ちゃん、ずっと黙っててごめんね・・・ 何度も言おうと思ってたんだけど・・・」 「私に気を使ってたんでしょ?つかさは悪くないよ、ありがとう・・・」 「ううん・・・だってもっと早く言ってたら、こんなことにならなかったかかもしれないもん。 ・・・だから私のせいなんだ・・・」 「つかさ・・・そんなことないわよ・・・だって」 そこまで言うと、私の眼からも涙があふれ出す。 こんなことになってしまった悲しさと・・・ こんなときでも、私を思いやってくれてるつかさの優しさに・・・ 姉妹二人で、声を出して泣いた。 私にはまだ一緒に泣いてくれる人がいる。 それだけでも、すごく救われた気持ちになった。 176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/20(土) 21:51:01.56 ID:SPMHTEyq0 「泣いたらすっきりした。」 そういって、私は涙を拭いて、思いっきり笑顔を作って見せた。 「うん。そうだね」 そういって、つかさも赤くなった顔で笑った。 「どうしようかなぁ・・・これから」 なんとなく言った言葉。特に意味なんかない。 みんなの輪の中に、もう居場所がない以上、他の居場所を探すしかない。 でも、たぶん新しい友達ができても、こなた達のことが気になってしまうと思う。 「お姉ちゃんのやりたいようにしたらいいよ・・・何があっても 私にとってお姉ちゃんはお姉ちゃんだもん。」 そういって優しく笑うつかさを見てると、また涙が出そうになる。 もう三年分くらいの涙を出したあとなのに。 本当は、こなた達と仲直りしたいと思ってる。 でも、こなたたちの気持ちと、真正面から向き合うのは怖い・・・ ほんと、どうしよ・・・ 186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/20(土) 22:18:03.76 ID:SPMHTEyq0 夜・・・ひとりで布団に入って、学校のことに思いを巡らせる。私どうしたらいいのかな・・・ こなた達と仲直りしたい・・・でも怖いからなぁ やっぱり日下部や峰岸と一緒にいようかなぁ・・・でも、二人をないがしろにするようなことしてきたし いっそ転校とか・・・ないない 窓の外には、月がとっても綺麗に浮かんでいる。だから電気は消していても、部屋は薄明かりに照らされて、いつもより少し明るい。 暗い部屋に差し込む光がすごく優しくて、その光に包まれているとなんだか気持が穏やかになっていく気がした。 何があってもお姉ちゃんはお姉ちゃん・・・か つかさの言葉を思い出して、思わず笑ってしまう。すごく優しくて、勇気づけられる。 つかさらしいな・・・ /..::.::.::.::.l::.::.::.:l::.l::.:l::.ヽ三エ/::./::.::.::.::.::.::.::.::.::.:/::.:/ . /!::.::.::.ハ::.::.:.:.:.ヾ、:ヽ . .::.::.::.::.l::.::.::.::l::.l::.::ヽ::.ス,/::.::./::.::.::.::.::.::.::.::.:/: -≠ェ.,_ j l::.::.:/::.:.l:.:::.::.:.:.:.jヽ:ヽ :. /::.::.::.l::.::.::.:.l::.l::.::.::Y::.::.::.::,::.::.::.::.::.::.::.:.::.,イ::.::.:/   メ、l::.::/::.::.:.l:.:.:.::.:.:.:.l ヾ,、 :/::.::.::.::l::.::.::.::.:!:_j -/::.::.::.:/::.::.::.::.::.::.::.:/://:/ ___   / .l::./::.::.::.:.lヽ:.:.::. .:l   ヾ 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::.::. /::_,. -──‐-.,_ヽ、::.:.:.:.ヽヽ// ::.::/'´_,.z=====z.,-\::.::.:.:.ヽ〈 199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/09/20(土) 22:28:04.34 ID:SPMHTEyq0 1 こなた達と関係修復 2 日下部たちと仲良くする 3 転校 4 猟奇 選んでくれ>>205 205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/20(土) 22:31:32.45 ID:1OYehTRE0 2 212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/20(土) 22:48:14.87 ID:SPMHTEyq0 こなた達と話すのは正直怖いし、それに多分もう前みたいな感じには戻れない。 やっぱり、明日から少し距離を置こう・・・ そう心にきめて、私はそっと目を閉じた。 次の日はつかさとは少し時間をずらして登校した。 そこまでしなくてもって、つかさは寂しそうな顔をしてたけど。 バスに揺られる時間、電車を待つ時間・・・いつもよりほんの少し長く感じた。 「おはよ、日下部。」 「おっす柊ぃ〜今日は、はえ〜じゃんか〜」 「あんたも早いじゃない。あんた時間にずぼらなのに珍しいわね」 「何言ってんだよ〜?最近は早いんだぞ。大会前だし朝連とかしてるんだってヴぁ」 「・・・あ、そっか」 同じクラスなのに、あたし日下部のこと全然知らない。 大会近いことも、朝連やってたことも・・・。 「柊こそ今日はどうしたんだよ〜?いつも、もう少しおせ―じゃんか」 「あ・・・うん。ちょっと早く来るようにしようと思って」 「ふ〜ん・・・」 何か、話しててぎこちがない気がするのはなんでだろう。 ずっと話してなかったから?なんだか入学したての頃に、知らない人と一言二言交わしてるときみたいな感じ。 何だろう・・・この感じ。 216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/20(土) 23:06:04.79 ID:SPMHTEyq0 「おはよう、みさちゃん。柊ちゃんもおはよう」 「おはよう」「おはよう」 「みさちゃん、毎日早いわね。今日も朝連?」 「そうそう。なんたって大会近いからなぁ〜」 二人の会話は、私のそれと違っている。 互いが互いのことをちゃんとみてるからだろう。 自分の居場所がなくて、逃げてきた私とは違うんだ・・・ 「がんばってね。また応援しに行くから」 「峰岸の作る弁当はマイウ〜だからなぁ」 「ふふふ」 二人の会話を聞きながら、私は気持ちばかりが焦っていった。 「あ、あの・・・」 おもわず声が出る。 「なぁに柊ちゃん?」 「私も応援行くわ。いつなの、大会?」 「今度の日曜よ。柊ちゃんもだなんて、めずらしいわね」 「おう。柊に何言われっかわかんねぇから、負けられねぇなぁ」 よかった・・・ 私はすごくほっとしていた。二人となんとか仲良くなりたくて、私は必死だった。 体の奥から何かがこみ上げるような、そんな感じがしていた。 今度こそ・・・なんとか・・・嫌われないようにしよう・・・ 228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/20(土) 23:32:43.45 ID:SPMHTEyq0 休み時間も、昼休みもなるべく日下部や峰岸と話すようにした。 二人だけしか知らないような話もあって、なんだか疎外感を感じることもあった。 でも、こうやって時間を共有してれば、きっと・・・ 今はそう信じて、二人といっしょにいる。 相手をきつく否定する言葉や、揚げ足とりみたいなこと・・・ それに水を差すようなこと言ったりするのはやめよう。 自分なりの反省点。もしかしたら、まだもっとほかにあるかも。 でも今はこれが精一杯。 仲良くなりたいっていう気持ちばかりで・・・自己分析なんてしてる余裕はなかった。 いつもなら、日下部を馬鹿にしてしまうような場面も、ぐっとこらえた。 二人の機嫌を損ねないように、わたしは必死に「柊」を演じている。 232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/20(土) 23:52:17.28 ID:SPMHTEyq0 「じゃあ、また明日なぁ〜あたし部活あっから」 「じゃあね」「また明日」 いつもの笑顔でそう言うと、日下部が部活に向かっていく。 「みさちゃん大変そう。」 「そうね。」 「柊ちゃんはもう帰るの?」 「え・・・うん・・・」 「そう、じゃあまた明日。」 一緒に帰ってくれないことに少し寂しさを感じながら、私は廊下を出た。 あるものを見て、慌てて教室に戻る。 「あら、柊ちゃん。忘れ物?」 「あ・・・うん・・・ちょっと」 「案外そそっかしいのね。急ぎの用でもあったの?」 「そ、そんなとこ」 適当に机の中に手を入れ、忘れ物を取りに来た封を装いながら、廊下のほうに眼をやった。 楽しそうに歩く三人組。 眼鏡をかけた大人びた女の子。小柄な青髪の生徒。 そして、一瞬悲しそうな表情をうかべてこちらをを見る、双子の妹・・・ その姿を見つけた私は、ひどく動揺した。 恐怖か、悲しみか、後悔か 私の胸にモヤモヤした感覚がよみがえる。 238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/21(日) 00:19:25.11 ID:pV3k3KN70 三人でどこに行ってたんだろう・・・図書館かな? みんなで、図書館でよく話したな。みゆきが電気消しちゃったり・・・ 帰り道の途中、そんなことを考えていると、ほんの少し視界がにじんだ。 仲直りするのが怖くて、距離を置いたのは自分なのに。 ホントは自分でも気づいていた。みんなと前みたいに仲良くしたい。 今日だって、こなたやみゆきが来てくれることを、どこかで期待していたのかもしれない。 たとえそれが絶望的であっても。 追いかけることができない私の精一杯だった。 家について部屋に入ると、着替えて布団に潜り込む。 あふれてくる涙を止めようともしないで、ただ声だけを押し殺して泣いた。 299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/21(日) 10:44:29.61 ID:pV3k3KN70 しばらく泣き続けていた私の耳に、誰かの足音が聞こえる。 その足音は、階段を上り私の部屋の前で止まった。 コンコンと部屋をノックする音が聞こえる。 「お姉ちゃん・・・」つかさの声だ。 「何?」 布団の中から返事をする。 「入ってもいい?」 「ちょっと待ちなさい。」 私は、涙をぬぐって、鼻をすすり泣いてたのがばれないようにして、部屋のドアを開けた。 「どうしたのよ、つかさ?」 「どうしてるのかなぁって・・・アハハー・・・」 「・・・部屋で休んでただけよ。」 「そう。ならよかった・・・」 「なぁに?泣いてるとでも思ったの?」 「そうじゃないけど・・・。今日はこっちにこなかったし それに、放課後も私たち見つけて隠れちゃったから・・・」 「みんなとは少し距離を置きたいの。」 「でも・・・」 「つかさがそう言ってくれるのはうれしいけど、他の二人がどう思うかわかるでしょ?」 「・・・」 「学校じゃあんなだけど、つかさとは家でも話せるんだし。気にしないで。」 「うん・・・」 「学校ではあたしの肩をもつようなそぶりはやめなさいよ。」 そう言って、私は部屋のドアを閉めた。 「あ、お姉ちゃん・・・」 部屋の外からつかさの声が聞こえる。私はその声に無愛想に宿題がある、とだけ答えた。 私の肩を持つようなことをすれば、つかさまでよくないように思われるかもしれない。 つかさは、優しいから、きっとそれに耐えられない。そんな風にはなってほしくない。 302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/21(日) 11:09:07.23 ID:pV3k3KN70 夕食を食べ、お風呂の入り、私は部屋に戻ってきた。 宿題の残りを片づけようと机に向かうも、最近のことを考えると頭が回らない。 今日の授業中もそんな感じで、全然頭に入らなかった。 「あ〜もうっ」 イライラして思わず声を上げる。 「どうしたらいいのよ・・・」 無意識のうちに、頬杖をつき指で机をとんとんと叩いている。 イライラして思わずやってしまう。 「もうやめて寝ちゃおうかなぁ・・・」 布団のほうに目をやってぼそりとつぶやく。 独り言が多いなぁ・・・私は。 飲み物でも飲んで、もうちょっとだけ頑張ってみよう・・・ 304 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/21(日) 11:37:53.93 ID:pV3k3KN70 今日は金曜日 日下部達と話し始めて、数日が経った。 相変わらず、会話にはぎこちなさが残る。 会話の合間に時々沈黙が流れる。 「柊ちゃん、最近うちのクラスにいることが多いわね〜」 「そうだよなぁ〜、今週ずっとだよなぁ」 「もしかして喧嘩とかしたの?」 「え・・・」 峰岸の言葉に動揺し、言葉に詰まった。 聞かれたくなかったのに・・・ 「あー・・・えーっと・・・」 私がうまく答えられずに、しどろもどなってしまい、気まずい空気が流れ始める。 「・・・・・・あーそっか、柊は凶暴だからなぁ〜こえ〜し」 「な、何よそれ!!!」 「わ〜こえぇ〜」 そう言って日下部がケラケラ笑う。それにつられて峰岸も笑ってる。 なんだか場の雰囲気が和んだ。 「みさちゃん、そんなこと言ったら柊ちゃんに悪いわよ」 日下部はまだ笑ってる。 「そうだ、柊ちゃん、明後日の大会の話なんだけど・・・」 「あ、そうだ。私場所聞いてなかった・・・」 「私も行ったことない場所だから、みさちゃんに聞かないとって・・・」 「あ〜そういや言ってなかったけぇ〜わりぃわりぃ」 私は話がそれてくれてほっとしていた。 308 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/21(日) 12:15:24.34 ID:pV3k3KN70 「だったら、明日案内しようか?大会前ってことで部活も午前中だけで終わりだしさ」 「でも、みさちゃん大会前だし休んだほうがいいんじゃない?」 「大丈夫、大丈夫。じゃや、明日一時くらいでいいかぁ〜?」 「わたしはいいよ。柊ちゃんは?」 「わたしも大丈夫よ。」 「じゃあ、明日一時に柊んち集合な。」 「いいの、柊ちゃん?」 「う、うん」 本当は少し嫌だったけど、否定できなかった。 ほんの少しのこと、たいしたことじゃyなくても嫌われる原因になりそうな気がして・・・ 昼休みが終わるチャイムが鳴り、二人が自分の席に戻る。 明日一時か・・・なるべく、つかさには見られたくないんだけど。 少しのことでも気にするからなぁ・・・つかさは 今の私が言えた義理じゃないけど・・・ 318 名前:ただいま[] 投稿日:2008/09/21(日) 13:19:33.73 ID:pV3k3KN70 次の日。 私はそわそわしながら、二人を待っていた。 幸いなことにつかさはいない。 こなたの家にでも遊びに行ったのだろうか・・・ 自分が誘われていないことに、こなた達とのハッキリとした壁を感じた。 自分から距離をとったんだけど、こうなるとどこか寂しいし悲しい。 分かってはいたことだけど・・・私はわがままだ。 その時、玄関のベルが鳴る。日下部たちだろう。 私は急いでドアをあけ、下の階に下りた。 「おっす柊ぃ〜」 「こんにちは、柊ちゃん」 ボーイッシュな恰好の日下部と、可愛らしい服を着た峰岸。対照的な二人の姿があった。 「さっそく行きましょうか、柊ちゃん」 「案内よろしくね、日下部」 「おっけぃ任せろよ〜」 お母さんに出かける旨を告げて、私は二人と家を出た。 さっきまで感じてた寂しさが、癒されていく。 321 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/21(日) 13:39:32.45 ID:pV3k3KN70 会場まで、割と距離があった。 電車で揺られながら、二人と会話を交わす。 人が溢れかえる休日の街中を歩いて、大会の会場に向かう。 日下部は、この前の大会で思うように結果が出ないから、今度は頑張っていい結果を残したいらしい。 部活に対してそんなに気合が入ってるなんて知らなかった・・・ 「あ、ここだここ」 そういって、日下部が指さす。 「みさちゃんの競技は何時くらいからなの?」 「私は10時からと、2時からだぞ〜」 そういって、日下部はグランドのほうに視線をやった。 明日の大会のイメージを膨らませてるようだった 「この後どうしよっか?」 「甘いもんでも食いに行くかぁ?柊が好きな店で」 「え、いいの?」 「いいわよ、柊ちゃんにお店きめてもらおうか」 二人と甘いもの食べに行くなんて、初めてかもしれない。 嬉しさと、ほんのちょっぴりの緊張で私の胸は高まっていた。 357 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/21(日) 15:44:28.64 ID:pV3k3KN70 今度は私が二人を案内して、おいしいと有名なお店に入った。 前にテレビで紹介されたこともあるお店。 生クリームが自慢のイチゴのショートがすごくおいしそうに見えた。 そのうち、こなた達と来るつもりだったんだけど。 「ほんと柊は甘いもんが好きなんだなぁ〜」 「ふふ・・・私も好きだから、どんなケーキが出てくるか楽しみだわ」 「あの窓際の席にしようか。」 三人で開いていた窓際の席に座る。 窓の外には人の波。 三人で思い思いのケーキを注文する。 私はモンブランで日下部はチーズケーキ、峰岸はお勧めのショートケーキをそれぞれ頼んだ。 ケーキの到着を待ちながら、外の景色を眺めたり、おしゃべりしたり。 まったりと時を過ごす。楽しい女子高生の休みの風景。 でも、なんでだろう? 何だか物足りないような気もしていた・・・ 359 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/21(日) 15:53:57.20 ID:pV3k3KN70 どこか、心にぽっかり穴が開いたみたい。 笑顔で話してても、とびきり甘いスイーツ食べてても、自分の居場所じゃyないような気がしてします。 二人が仲良くしてくれているのは、「柊」で「かがみ」じゃないのかも。 自分で変な話だっていうのはわかるんだけど、なんとなく自分であって自分でない そんな気がしていた。 「なぁ、柊ぃ] 不意に、日下部が私の名を呼んだ。日下部はケーキを早々に平らげたようだ。 「な・・・何?」 「なんかボーっとしてたから。」 「ほんと、最近柊ちゃんへんよ?」 峰岸までが、手を止めてこちらを見ている。 「最近、あのちっこいのの所に行かねえし、ぼーっとしてたりするし。」 「それに、なんだか元気ないみたい・・・」 二人がじっと私をみている。私は目を上げられないで、手の中でフォークをくるくる回しながら それをじっと見つめていた。 「柊ぃ、聞いてんのかよぉ?」 「そうよ・・・最近の柊ちゃんはらしくないわ」 「ほんとだよ、全然凶暴じゃねーしさぁ・・・」 そんなこと言ったって・・・ 私だって厭なんだから、こんなの。 うつむきながら、私は必死に涙をこらえていた。 368 名前:1[] 投稿日:2008/09/21(日) 16:54:29.21 ID:pV3k3KN70 すまん、狼と香辛料に見入ってしまっていた・・・ 「ねぇ、柊ちゃん。本当のこと言って? 泉さんたちとなにかあったの?」 峰岸達に一番厳しいところを突かれた。 「・・・」 私はただ黙っていた。 「ねぇ、柊ちゃん」 「柊ぃ」 「私嫌われてるから・・・」 「え・・・?」 「もう、こなた達のところには戻れない・・・」 そこまで言うと、私の目から一粒、二粒・・・涙が零れ落ちる。 「柊ちゃん・・・」 「だからって、あたし達にまで余所余所しくすんなってヴぁ!!」 386 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/21(日) 17:41:55.10 ID:pV3k3KN70 日下部の思わぬ言葉に、私は顔をあげた。 「え・・・」 「ちいこいのと喧嘩したから、何か言われたからって アタシらには関係ないじゃんかよぅ?」 「そうよ、柊ちゃん。」 「でも・・きっと私が悪いから・・・そんな私はどこでも嫌われるにきまってるから・・・」 「いい加減にしろってヴァ!!」 日下部が声を荒げた。 そんなこと初めてだったから、かなり驚いた。 「みさちゃん、落ち着いて。 あのね柊ちゃん、誰かに自分を受け入れてもらえないからって 他の人からも受け入れてもらえないってわけじゃないでしょう? 確かに泉さん達とはうまくいかなかったかもしれない。 でも、だからって私達にまで自分を偽って接してほしくないわ。」 「まったくだぜぃ・・・気持ちわりぃよ〜柊が優しいと」 「みさちゃん、茶化さないの」 私は、ただ黙って聞いていた。 胸は熱くなって、目からは止めどなく涙があふれてくる。 二人の顔が全然見えない 392 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/21(日) 17:52:20.25 ID:pV3k3KN70 「私は前の柊ちゃんのほうが好きよ。 きついことも言うけど、周りのことちゃんと考えてたと思うから。」 「柊は柊でいいじゃん。 だいたい、中学の時から五年連続で同じクラスなんだぜ〜? いまさらキャラ変える必要ね〜じゃんかよぅ」 「ほんと。最初はイメチェンでもしてるのかと思って、二人で笑いそうになっちゃった。」 「優しい柊にあわねぇ〜って」 二人はそういってくすくす笑っていて、私はひとり泣いていた。 二人の優しさが伝わってきて、もやもやなんかどっかに吹っ飛んでしまった。 397 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/21(日) 18:02:39.13 ID:pV3k3KN70 私は涙を拭いて、二人の顔を見た。 「ごめんなさい。それからありがとう、二人とも」 言いながらまた少し泣きそうになったけど、二人がほほ笑むのを見て、私もつられて笑ってしまった。 「でも、優しいのが合わないってどういうことよ、日下部!!」 「・・・あやのぉ〜柊がこえぇ〜よぅ」 「ふふふ」 三人でクスクスわらった。 久しぶりに心の底から笑ったように思う。 ほんの一週間ほどなのに、一年ぶりくらいに感じた。 ふたりとも・・・本当にありがとう・・・ 407 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/21(日) 18:23:16.76 ID:pV3k3KN70 次の日、私と峰岸は朝から大会の会場へと足を運んだ。 他校の生徒たちも集まっていて、そこにはかなりの人がいた。 「どの辺で待機してるのか聞いとくべきだったわねぇ〜」 「みさちゃん今携帯持ってるかなぁ・・・」 そんなことを言いながら、二人で日下部を捜していた。 「お〜い、あやのぉ〜かがみぃ〜」 後ろから私たちを呼ぶ声がする。 陸上部のユニフォームを着た日下部が走ってきた。 「みさちゃん」 「おはよぅ!!ちょうどいい時に来たじゃんかよぅ〜。ちょうど今からなんだ〜 応援よろしくぅ〜」 そういって日下部は手を振りながら私たちを抜かしてく。 その後ろ姿を見ながら、峰岸が囁いた。 「気づいた?」 「何が?」 「みさちゃん、“かがみ”って・・・」 「あ・・・」 日下部に下の名前で呼ばれるのは初めてだった。 「しっかり応援しましょう・・・かがみちゃん」 そう言って峰岸はふふふと笑った。 「そうね・・・あやの・・・」 私は、走っていく後ろ姿に大きな声で呼びかけた。 「みさおーーー応援してあげてるんだから、負けたら承知しないわよーーー!!」 その声に立ち止まり、みさおはびっくりしたような顔でこちらを見た。 「心配すんなって〜絶対トップだってヴァ〜」 相も変わらぬ舌足らずなしゃべり方でそう言うと、みさおはにっこり笑った。 再び走り出したその背中に向かって、私は小さくありがとうをつぶやいた。                             〜終わり〜 410 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/21(日) 18:24:37.04 ID:pV3k3KN70 ごめん ここで終わり 日下部達と仲良くするverはこの終わり方って決めてたから。 こなた達とは距離を取ったままっていうわけで 中間エンドだとでも思ってください。 413 名前:おれは、みさおが一番好き[] 投稿日:2008/09/21(日) 18:27:17.81 ID:pV3k3KN70 読んでくれた人 保守ってくれた人 どうもありがとうだってヴぁ 443 名前:みさおカワユス[] 投稿日:2008/09/21(日) 19:07:07.11 ID:pV3k3KN70 ちなみに別ルートはこんな感じにしようと思ってた。 @こなたと仲直り(ハッピーエンド) B転校(かがみんがミアトルに入学するようです) C猟奇展開(待て、これはつかさの罠だ) 452 名前:みさおカワユス[] 投稿日:2008/09/21(日) 20:05:50.37 ID:pV3k3KN70 何人か見てくれてるみたいだから、他展開も頑張ってみるお >>465(ここまでレスつくかなぁ・・・) @仲直り A猟奇 B転校 選んでほしい。 一言断っておくと、私は百合スキーなのでBには多分にその要素が含まれてしまいます。 猟奇はあまり見たことないので、勉強しないといけないので時間がよりかかるかも。 仲直りは当初予定になかったので、とってつけたようなものになるかもしれません。 465 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/21(日) 20:14:00.05 ID:jneW2riz0 @ 508 名前:1[] 投稿日:2008/09/21(日) 23:19:41.36 ID:pV3k3KN70 >>186からね とにかく、しばらく距離を置いてみようかなぁ・・・ 私は月を眺めながら、ふぅ、とひとつため息をついた。 やっぱり今の状態のままいきなり話しても難しいよね。 しばらくして落ち着いてからにしよう。 そっちのほうがお互いに冷静になれるかもしれないし。 寂しいけど、がまんがまん・・・ それからゆっくり話してみよう。 私は、そう心に決めると、そっと目を閉じた。 512 名前:1[] 投稿日:2008/09/21(日) 23:27:07.57 ID:pV3k3KN70 その日から、私はなるべくこなた達のクラスに行かないようにしていた。 廊下で会ったときには、普通に挨拶するけど、前みたいに休みのたびに会いにいったりはしていない。 「ひぃらぎぃ〜最近こっちにいること多いじゃんかよぅ」 日下部たちには、どういう風の吹きまわしだなんて言われたけど。 寂しい毎日だった。 つかさはずっと心配してくれている。 できれば、つかさに心配はかけたくない。 でも、時がたてば落ち着くと思っていたのは間違いで、だんだん話にくくなってる気がする。 こんなはずじゃなかったのに・・・ 519 名前:1[] 投稿日:2008/09/21(日) 23:42:02.85 ID:pV3k3KN70 私が日記の中を見てしまった日から、ニ週間程が経った。 相変わらず、私はこなた達とつるんでいない。 最近では日下部や峰岸までもが心配してくれている。 何でもないっていってるけど、たぶんなにかあったってことはうすうす気づいてるはずだ・・・。 「何でも言ってね柊ちゃん?」 「そうだよ、水くせぇぞぅ〜ひぃらぎぃ〜」 二人の優しさはうれしかったけど、私は話す気にはなれなかった。 それからさらに数日が経った土曜日の午後・・・ 意外な来訪者があった。 柔らかそうなピンクの長髪で、スタイルがいい、眼鏡をかけた同級生。 「・・・いらっしゃい。」 「お久しぶりですね、かがみさん」 みゆきだった。 「・・・そうね、久しぶり。」 「上がらせていただいてもいいですか?」 「私に用事なの?」 「はい・・・お邪魔でしたら結構ですけど・・・」 「・・・どうぞ、あがって」 そう言いながらも、私はひどく怯え、緊張していた。 みゆきに何を言われるのか・・・全く予想できなくて、怖かった。 524 名前:1[] 投稿日:2008/09/22(月) 00:10:41.22 ID:GUa0Vd7x0 みゆきと一緒に階段を上ると、そこにはつかさが立っていた。 「ゆきちゃん・・・」 「つかささん・・・」 「お姉ちゃんに会いに来てくれたの?」 「・・・ええ、もちろん」 二人の間で、何か話があったのかしら? 今の私には、何もわからないけれど・・・ とりあえず私は、みゆきとつかさを自分の部屋の中へと入れた。 椅子に腰かけるみゆき。 私とつかさは、ベットの上に腰かけた。 部屋には、しばらくの間沈黙が流れた。 「どうして急に?」 私は意を決して、震える声で聞いてみた。 「つかささんから、かがみさんが最近お見えにならないことについてお話があって。」 「・・・日記のこと、全部話したの・・・ゆきちゃんに」 「・・・そうなの。」 533 名前:1[] 投稿日:2008/09/22(月) 00:27:19.06 ID:GUa0Vd7x0 「それで、かがみさんにお話がしたくて。 かがみさん、私たちを避けるようなことしないでほしいです。 寂しいですから・・・」 「だって・・・私は・・・」 「少なくとも私は、かがみさんのこと嫌ってなんていませんよ。」 「え・・・」 「かがみさんも泉さんもつかささんも・・・みなさん大好きです。 ですから誰かの味方なんてできなくて。 泉さんがかがみさんに対する愚痴を言ってる時も、私どうしてらいいかわからなくて・・・」 そう言ってみゆきは申し訳なさそうに俯いて、膝のうえに乗せた手をぎゅっと握りしめている。 「みゆき・・・ごめんなさい・・・」 「かがみさん・・・」 「私、自分のことばっかり考えてて・・・周りのこと見えてなかった。 みゆきの気持ちとか・・・全然・・・わかってなくて・・・」 途中から声が出なくなってしまった。 言いながら私の目から滝のように涙があふれてくる。 「私のほうこそごめんなさい、かがみさん・・・ かがみさんのこと、苦しめてしまったみたいですね・・・」 そう言ったみゆきの目にも涙がたまっていた。 「お姉ちゃん・・・ゆきちゃん・・・ よかった・・・よかったよぅ・・・うわぁあぁ」 私たち二人が、泣くのを忘れてしまうほどに、一際大きな声でつかさが泣き始めた。 「つかさ、しっかりしなさい。」 みゆきと話せた安心感からか、泣いているつかさを今日は慰めることができた。 いつかは、一緒にわんわん泣いたけど・・・ 「つかささんが、きっと一番つらかったんだと思いますよ。」 みゆきが優しくつかさの頭を撫でながらいった。 537 名前:1[] 投稿日:2008/09/22(月) 00:36:10.36 ID:GUa0Vd7x0 「そうよね・・・つかさ、ありがとう」 私がそういうと、私の胸に顔をうずめたつかさはそのまま顔を横に振った。 「よかった・・・よかった・・・」 さっきからそればっかり。なんだか可笑しくて、少し笑いそうになってしまう。 「かがみさん・・・きっと泉さんもかがみさんのこと心から憎いだなんて思ってないと思いますよ。 だから、一度ゆっくり話してみてはいかがですか?」 「でも・・・」 みゆきはそういったけど、私はまだ少し怖かった。 「こういうことは時間がたてばたつほどややこしくなるものですし・・・」 みゆきの言うとおりだった。 実際、以前にもまして話しづらくなってるのは間違いなかった。 “落ち着いたら〜”なんて思ってた私は甘かったのかな・・・ いや・・・違うと思う。多分怖かったから、話すのが怖かったから逃げてただけなんだ。 「ね、かがみさん」 「そうよね・・・頑張ってみるわ。」 私は、胸の中で泣き続けるつかさの頭を撫でながら心を決めた。 いつまでも二人に心配かけられない。 なんとか仲直りしよう。 548 名前:1[] 投稿日:2008/09/22(月) 01:03:52.28 ID:GUa0Vd7x0 でもどうやって話す時間を作ろう。 私がその気でもこなたはその気にならないかもしれないし・・・ みゆきが帰り、つかさが自室に戻った部屋で私はひとり考え込んだ。 せっかく仲直りしようって決意したのに、いきなり頓挫・・・ なるべく自分で解決したかったけど、やっぱり二人に協力してもらうしかないかなぁ・・・ 峰岸や日下部は、こなたと仲いいわけじゃないしね。 大きくため息をつき、私は大きく伸びをした。 そのまま後ろに反りかえると、お気に入りのボン太くん人形が見える。 「どうしたいいかしらね?ボン太くん。 それから四期はいつなの?」 もちろん返事なんてなかった。 「ふも、ふもるる、ふもっふ(かがみ・・それは君が自分で考えるべきだ)・・・なんてね」 一人で何やってんだろう。しょうがない・・・ダメもとで話してみよう。 もしだめだったらその時に助けてもらおう。 「御飯よ〜かがみ〜」 その時、下からまつりお姉ちゃんが私を呼ぶ声が聞こえた。 551 名前:1[] 投稿日:2008/09/22(月) 01:18:16.15 ID:GUa0Vd7x0 月曜の放課後、私は、緊張しながらこなたのクラスへと入った。 こなたは自席に座って、みゆきとつかさを相手に楽しそうに話している。 怯んじゃだめだ・・・頑張れ私・・・ 重い足取りでこなたのそばまで近づく。 「あの、こなた・・・」 振り返り私の姿を見たこなたの顔には、驚きの色が浮かぶ。 「どうしたの・・・・かがみん・・・」 「ちょっと、話したいことがあって・・・」 「いいよ・・・話して。」 「ここじゃちょっと・・・別の場所で、二人で話しましょ」 「・・・いいよ」 少し嫌そうな顔をしたけど、こなたは承諾してくれた。 ふぅ・・・第一段階は、なんとか成功、ってとこかな。 556 名前:1[] 投稿日:2008/09/22(月) 01:33:44.23 ID:GUa0Vd7x0 誰にも聞かれたくなったから、なるべく人が来ない場所を選んだ。 別館三階の廊下。 特別教室のある棟だから、この時間ほとんどだれも来ない。 文化部の教室は二階に集中してるし。 「急にどうしたの、かがみん?」 いざ改まってそう言われると、何から話せばいいのかわからない。 だんだん頭がパニック気味になってきた。 「え・・・えっと・・・」 しどろもどろな私を、怪訝な顔をして見ている。 私のいくじなし・・・ここで話しておかないとますますややこしくなるじゃないの!! 561 名前:1[] 投稿日:2008/09/22(月) 01:41:51.30 ID:GUa0Vd7x0 私は不意につかさの泣き顔を思い出した。 みゆきと話したあの時、わんわん泣いたつかさの姿。 もう心配かけないって決めたんだ・・・ 気持ちを強く持って、私は口を開いた。 「あのね、こなた・・・ 最近そっちの教室に行ってなかったでしょ。 何でかわかる・・・?」 「さぁ・・・わかんない。」 「私、つかさの日記見ちゃったんだ・・・ それに書いてあったの。こなたが私のことどう思ってるか・・・」 「・・・」 「それがショックでさぁ・・・まさか、こなたがそんな怒ってるなんて思ってなくて・・・」 「・・・」 「私、無神経だった。それで、なんだか顔合わせずづらくなっちゃって・・・ 話すこともしないで逃げてた。 でも、数週間離れてわかった。 やっぱり・・・こなた達がいないと寂しいって。」 「・・・」 565 名前:1[] 投稿日:2008/09/22(月) 01:57:54.17 ID:GUa0Vd7x0 「今まで・・・ごめん、こなた。 確かに言い過ぎたことも多かったと思ってる。 これからは気をつけるから・・・だから・・・ また・・・前みたいに、私と仲良くしてほしいの」 「・・・・私も」 「・・・え?」 「やっぱり、かがみんがいないと物足りないっていうか」 「こなた・・・」 「それに、腹が立ってつかさに愚痴っちゃってたこともあったけど、今思えば私も勝手な所あったし・・・」 「・・・」 「だから・・・私もごめんなさい、だね〜かがみん」 そういうと、こなたはいたずらっぽく笑った。 つられて私も思わず笑ってしまった。 「・・・うう・・・うわぁぁん」 その時、物陰から泣き声が聞こえた。土曜の午後に聞いたばかりの声。 「よかったよぉ〜うわぁああん」 「聞いてたんだ」 「つかさはいい子だねぇ〜」 「よかったですね・・・かがみさん」 みゆきもいる。二人でこっそりのぞいてたみたい。 泣きやまないつかさの頭を、幼児をあやすように撫でながら、三人でクスクス笑った。 また、こんな風に笑えるなんて思わなかった。 やだな・・・うれしいはずなのに・・・ 私の目からも涙がこぼれた。 572 名前:1[] 投稿日:2008/09/22(月) 02:09:12.21 ID:GUa0Vd7x0 あれから、私は少し柔らかくするようにした。 もうあんなことはごめんだったから。 こなたは毒舌キャラなんだから気にしなくていいのに〜とか言ってたけど。 一緒に登校して、ご飯食べて、図書館で話して、休みの日には一緒に出かけて・・・ また訪れた何気ない、でも幸せな毎日を私はかみしめていた。 今度は大事にできる、きっと・・・                               〜終わり〜 おまけ 「ねぇ、つかさ・・・あの日記に書いてあったみんなって・・・」 「それは、セバスチャンがお姉ちゃんの落し物拾ったのにお礼言わないとか言ってて」 「・・・」 「それで、いつも一緒にいる窓際族の人たちといっしょに、仕切り屋とか うちのクラスに顔だしてでかい面しやがってとか・・・・」 「・・・」 「・・・」 「心配して損した・・・」 581 名前:1[] 投稿日:2008/09/22(月) 02:17:50.15 ID:GUa0Vd7x0 若干駆け足になっちゃった。申し訳ない そして読んでくれた人サンクス。 もう寝るけど、一応希望あったら他のも書きます。(明日) 一応安価は>>600くらいで。伸びなかったら・・・そんときはそんときで。 @転校(ミアトル、スピカ、ル・リムから選んでほしいお) A猟奇エンド(まて、それはry) 600 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/09/22(月) 02:50:17.82 ID:xr3G2VHx0 2 691 名前:1[] 投稿日:2008/09/22(月) 20:44:59.89 ID:GUa0Vd7x0 それでは、またまた>>186からです 窓の外から虫の音が聞こえる。 明るい月に照らされた室内で、私はもう一度考えてみた。 自分がこれからどうするべきなのか。 宇宙でただ一人凍える星のように、頼る相手もいないで、一人放り出されたような私に いったい何ができるんだろう・・・ 依るべき答えは全く見つからず、いつしか私の意識はまどろんでいった。 小鳥の囀る声が聞こえる。 気がつけば、いつも目が覚める時間になっていた。 「・・・はぁ」 目覚めたばかりなのに、大きなため息が一つ洩れる。 まだ目覚ましは鳴っていない。 不安からだろうか、眠りが浅いみたいだった。 私はゆっくりとベットから起きだし、服を着替え、下の階へと降りて行った。 憂鬱な一日が始まる。 693 名前:1[] 投稿日:2008/09/22(月) 20:49:24.64 ID:GUa0Vd7x0 それは、いつもと変わらない朝だった。 お母さんも、お父さんも、お姉ちゃんたちも、つかさも。 みんながいつもと変わりない様子で。 つかさも家族の前だからか、いつもの調子でふるまっていた。 「おはよう、かがみ」 まつりお姉ちゃんがいつもの調子で言った。 私もいつもの調子で答える。 (・・・あんなことお父さんやお母さんには知られたくない。) つかさは仕方ないけど、もうこれ以上家族の誰かに心配はかけたくなかった。 いつもと同じように・・・いつもと同じように・・・ そう意識しながら、私は家を出た。 695 名前:1[] 投稿日:2008/09/22(月) 21:02:21.55 ID:GUa0Vd7x0 つかさと一緒だと、こなたと会った時に辛いから 私はひとりで家を出た。 席に座ると、隣の人が大きく新聞を広げていた。いろんな記事が載っている。 今の私も大事件の真っただ中。迷宮入りはしませんように・・・ 電車に揺られながら、いつものレールを行く。 学校に着くと、日下部がもう来ていた。 「おはよう。早いわね〜。」 「おっす・・・」 こちらを向かずに、日下部は一言だけ答えた。 何か元気ないな・・・どうしたんだろう。 あまり深く追求するのも悪いかと思い、私はそれ以上何もいわなかった。 703 名前:1[] 投稿日:2008/09/22(月) 21:36:49.57 ID:GUa0Vd7x0 なんだか日下部に話しかけづらくて私は黙っていた 私より少し遅れて峰岸が教室に入ってきた。 「あ、おはようぅあやのぉ〜」 え・・・ 「おはよう、みさちゃん。昨日はありがとう」 「いいってことよぅ。兄貴も幸せもんだよなぁ〜」 「もう、言わなくていいって。」 何で・・・さっき私が挨拶したときは・・・ 呆然と二人を眺めていると、峰岸と目が合った。 「あ、おは・・・」 それ以上声が出なかった。 峰岸は、汚物でも見るかのように私を一瞥し、みさおにヒソヒソト話しかける。 私は、机に顔を伏せてじっと耐えていた。 732 名前:1[] 投稿日:2008/09/22(月) 22:31:09.44 ID:GUa0Vd7x0 なんで・・・なんでなんでなんで???? 訳がわからない。 こなた達とはほとんど話しない日下部達まで・・・ (どうしよう・・・どうしよう・・・どうすればいいの?) 私は混乱する頭で必死に考える。 あの日記に、ハッキリと書かれていたのは、こなたの名前とみゆき。 ざっと見ただけだったけど、たぶんそうだったと思う。 「みんな」って書いてあったけど、日下部たちなら名前で書くような気がする・・・ じゃあ、日下部達はこなた達とは関係なく、私を嫌ってるの? それとも・・・本当に・・・みんな・・・私のこと嫌いなの・・・? 泣きそうなわたしの耳に、一時間目の開始を告げるチャイムの音が届いた。 737 名前:1[] 投稿日:2008/09/22(月) 22:39:13.73 ID:GUa0Vd7x0 変わってしまったのは日下部たちだけではなかった。 クラスのみんなが、私を見てひそひそ話したり、峰岸のように汚いものを見るような目で私を見ている気がする・・・。 (何でこんなことになっちゃったのよ・・・) 私は休み時間中、上を向くことができずに、ずっと顔を伏せたままでいた。 きっと、私が悪いんだ。そうだ、そうにきまってる。 じゃなきゃ、こんなことになるはずない・・・ そうだ、私が悪いんだ・・・ そしてただ、自分を呪っていた うつむいていても、耳にはみんなの声が聞こえてくる。 「・・・・かがみさん・・・・」 「・・・柊さん・・・」 ところどころに私の声が聞こえる気がする。 その日、耐え切れなくなった私は昼休みに先生に気分が悪いと告げて、早退した・・・ 744 名前:1[] 投稿日:2008/09/22(月) 22:52:08.49 ID:GUa0Vd7x0 なんで・・・なんでよぉ・・・ 帰り道、私は必死に涙をこらえていた。 今まで自分がしてきた行動を必死に振り返って・・・ 今日あった出来事思い出して・・・ これからの学校生活を思って・・・ 私の心には暗い暗い感情がたちこめた。 行き交う人笑い声が、心に突き刺さり、私を苛立たせる。 みんなが自分を笑っている。 行き交う人々の視線が怖い。 みんなが私を見て、馬鹿にしている。 今の私には・・・見るものすべてが得体のしれない畏怖の対象だった。 747 名前:1[] 投稿日:2008/09/22(月) 23:05:46.48 ID:GUa0Vd7x0 家に着いた。ちょうどお昼時で、お母さんがいた。 「あら、かがみ?どうしたの?」 「ちょっと具合が悪くて・・・早退したの。」 「あら、ほんとに?今日はお父さんとお母さん用事があるから遅いんだけど・・・」 「平気平気。軽い頭痛だから、熱もないし。部屋でゆっくり休んでる。」 「ならいいけど・・・なにかあったら携帯に電話しなさいよ。 それから、つかさにもそう伝えておくわね。」 「うん・・・ありがとう」 お母さんに適当に言い訳をして、私は部屋に入った。 学校にいるのがつらくて帰ってきたなんて言えるわけなかった。 制服を脱ぎ棄て、適当にパジャマを着て布団にもぐりこむ。 窓の外から、子供の声が聞こえる。 その無邪気な笑い声にさえ、私の心はかき乱された。 759 名前:1[] 投稿日:2008/09/22(月) 23:29:46.75 ID:GUa0Vd7x0 もうやだ・・・疲れた・・・ 起きててもいろいろ思い出して辛いだけだし、さっさと寝てしまおう。 そう思って目を閉じたけど、当然眠れるわけもない。 何度も寝がえりをうつだけで、時間が過ぎていく。 眠れずに、今日のことを思い返しては、胸が苦しくなり、鼓動も早くなる・・・ (・・・・何も考えたくないのに!!!) 自分にいらいらしてしまう・・・ 私は、布団から這い出ると下まで降りて麦茶を一杯飲んだ。 なんだか、頭に上ってたイライラが、ほんの少し収まったような気がする。 そういえば、お母さんがいないなぁ・・・ 用事があるって言ってたあれかな・・・? 家の中には物音ひとつせず静かだ。 誰もいない家の中って、すごくさみしくて、ちょっと怖い。 なんだか薄気味悪さを感じて、私は二階に上がった。 764 名前:1[] 投稿日:2008/09/22(月) 23:45:45.12 ID:GUa0Vd7x0 二階に上がり、自室のノブに手をかけたところで、私はふと違和感を感じた。 つかさの部屋のドアが開いてる・・・? さっきまでしまってたっと思ったのに。なんでだろう? つかさが返ってきた様子もないし。 泥棒?いや、さっきまでお母さんがいたし、物音なんて全くしてない。 いくらなんでもそれは・・・ 私は恐る恐るつかさの部屋のドアを開ける。 つかさのベッド、机、本棚にタンス・・・ 視線を横にずらしていくが、変わったところはない。 「・・・誰もいない・・・よね・・・やっぱり気のせいかしら?」 私は、誰もいないことを確認してドアを閉めようとした。 けれど、なぜか気になってもう一度部屋の中に目をやった。 そこには、一冊のノートが机の上に置かれていた・・・。 778 名前:1[] 投稿日:2008/09/23(火) 00:14:54.82 ID:X9Yhff6M0 ・・・ダメよ・・・ダメ・・・ でも・・・皆に嫌われた理由が書いてあったら・・・ 嫌われて避けられる理由もわからないで、あれこれ考えて疑心暗鬼になってる今の状態も耐えられなかった。 せめて理由さえわかれば・・・ その誘惑に負けて、私はノートを開いた。 中を見た私は、何が書かれているのか、にわかには理解できなかった。 何かが書きなぐられたノート・・・ 普段のつかさからは想像もできないような言葉が並ぶ。 人形のようなものに、杭が打ち込まれたような絵も描かれている。 かなり以前から書かれたようで、何重にも文字が書かれていてうまく読めない。 それに比べると最近、書かれたと思われる場所は比較的読みやすい。 私は戸惑いを感じながらも、ページをめくった。 「お姉ちゃんが私の日記を見つけた。中に書いてあることを鵜呑みにして 傷ついてるみたい。いい気味だー。このまま追い込んで殺してやる殺してやる殺してやる 死ね死ね死ね死ね死ね・・・・」 私は戦慄を覚え、その場にたちつくした。 796 名前:1[] 投稿日:2008/09/23(火) 00:53:04.29 ID:X9Yhff6M0 「ただいま〜」 下から響いてくる声で我に返った。 ・・・つかさだ 私は気付かれないように、急いで部屋に戻り鍵をかけた。 信じられないくらい鼓動が速い。全身から汗が出てくる。 さっきのは何?あれをつかさが?なんで私が殺されないとだめなの? 頭の中をぐるぐると答えの出ない問が回る。 「お姉ちゃーん、ただいまー」 「お、おかえり」 つかさはいつもと変わらぬ調子だ。 「お母さんから具合良くないってメール来てたけど、大丈夫?」 「う、うん。でも風だったりして、うつると良くないし、私の部屋には入らないほうがいいわよ・・・」 「わかったぁ。何かあったらいってね」 そう言うと、つかさは自室に入った・・・。 813 名前:1[] 投稿日:2008/09/23(火) 01:35:08.81 ID:X9Yhff6M0 隣の部屋には、特に変わった感じはないようだ。 ・・・あれは何かの間違いかな? いや、そんなはずはない。乱暴だけど、確かにつかさの字だった。 「殺してやる」 その一文が私の頭にこだまする。 嘘よ・・・嘘・・・つかさが・・・ 言い知れぬ恐怖に、私は声を押し殺して泣いた。 もう何もかもがわからなかった。 あの日記が本当なのかどうか 815 名前:1[] 投稿日:2008/09/23(火) 01:37:50.86 ID:X9Yhff6M0 それすらもわからない。 でも、もし嘘だったとしたら、なんで日下部や峰岸はあんなに冷たかったの? こなたやみゆきもそう・・・ それにクラスのみんなも・・・ 何で? やっぱり嘘じゃないの?あの日記は本当のことだったの? じゃあ・・・今日のノートが何かの間違いで・・・ 13 名前:1[] 投稿日:2008/09/23(火) 02:05:27.01 ID:X9Yhff6M0 その時、隣の部屋のドアが開く音がした。 足音が聞こえ、それは私の部屋部屋の前までやってきた。 「お姉ちゃん。ちょっといい?」 つかさの声だ。今家には二人しかいないんだから、当然と言えば当然なんだけど。 ふたり・・・? 私の鼓動は、一層早くなった。呼吸が荒くなり、とまっていた汗が再びにじむ。 焦点の合わない目で、ドアのほうを見る・・・ 「ねーおねえゃん。お母さんに夕飯頼まれてるんだけど、何がいいかなぁ? やっぱり食べやすいほうがいいよね?おかゆにしようか?」 「う・・うん・・・、ありがとう・・・」 「じゃあ、もうちょっとしてから作るね〜」 そういうと、つかさは部屋に戻ったみたいだ。 (・・・・やっぱり、何かの間違いだったのかな・・・?) もしかして、日記や学校でのことがあって疲れてたのかな・・・? 74 名前:1[] 投稿日:2008/09/23(火) 11:31:33.70 ID:X9Yhff6M0 やっぱり、さっきみたノートは間違いだったのかなぁ・・・ 後ろめたさとかあったし、見間違いかも。 それに・・・日記ならともかく本当に「殺す」とか書いてるノートなんて 普通机の上に置いとかないよね・・・ 「・・・ハハハ」 強がって少し笑ってみた。ちょっとだけ心が楽になったような気がする。 なんだか眠くなってきた・・・ 張りつめていた緊張が解けて・・・一気に眠気がきたみたい。 時計を見ると、5時30分頃だった。 ちょっとだけ寝よう。そう思って私は目を閉じた。 76 名前:1[] 投稿日:2008/09/23(火) 11:46:03.18 ID:X9Yhff6M0 部屋を激しくノックする音で私は目が覚めた。 尋常ではない叩き方だ。ノブがガチャガチャと音を立てて動く。 「・・・な、何?」 その音の異常さに脅え、私はの体はがたがたと震えだした。 なんなの・・・これは・・・ 「かがみ、かがみ返事しなさい!!」 「お姉ちゃん、お姉ちゃん」 「中で倒れてるのかも・・・」 「どうしよう、まつりお姉ちゃん・・」 まつりお姉ちゃんもいるようだ。どうやら私が中で倒れてるって勘違いしてるみたい。 私はベッドからとび起きると、急いでドアを開けた。 「なによ、いるなら返事しなさい。鍵までかけて・・・」 「よかったよぅ・・・」 「ご、ごめんなさい・・・」 「まったく。つかさがおかゆ作ってくれてるわよ食べる?」 見ると脇にお粥とお茶が置いてある。 「う、うん。ありがとう。」 「心配かけないでよね。」 「食べれなかったら残しておいてね」 そう言うと、二人は一階へと降りて行った。 ・・・一人で馬鹿みたい。お粥・・・冷めないうちに食べよう。 80 名前:1[] 投稿日:2008/09/23(火) 12:06:07.02 ID:X9Yhff6M0 少し酸味がきいたお粥を食べると、お茶を飲み干した。 気を利かせてくれたのかな?食べにくい時は酸っぱいものの方がおいしいし。 私は食器を持って一階に下りた。 下では二人が居間でテレビを見ている。 「あ、お姉ちゃん大丈夫なの?」 「うん。お粥ありがとう。美味しかったわ。」 「お風呂入れる?」 「うん。さっさと入って寝ることにするね。」 「そうしなー疲れたまってたんだよ。」 私は食器を洗うと、着替えを準備してお風呂に入った。 いつもと何も変わらない・・・。つかさの様子もいつもどおりだし・・・ 湯船につかって、伸びをする。 天井には所々に斑点のような汚れが付いている。 なんだか天井が汚れてるなぁ・・・また掃除しないと。 83 名前:1[] 投稿日:2008/09/23(火) 12:27:15.72 ID:X9Yhff6M0 部屋に戻ると、私はすぐにベッドに入った。 色んなことがありすぎて、私の疲れはピークだった。 ベッドに入った私は、すぐに眠りについた。 その夜、私はふと夜中に目が覚めた。 暗闇の中、携帯で時間を確認する。 午前二時十分前分 早く寝過ぎたからかなぁ・・・トイレにでも行っておこう・・・ 私は上体を起こした。 隣の部屋から、つかさの声が何か言ってる声が聞こえる。 まだ起きてるのかなぁ・・・いつもは早いのに。 「明日は・・・」 明日、授業で当てられるのかしら?勉強でもしてるのかな? 私は特に気にも留めることもなく、トイレに行き再び眠った。 89 名前:1[] 投稿日:2008/09/23(火) 13:06:18.07 ID:X9Yhff6M0 次の日、私は体調が悪いと言って学校を休んだ。 「大丈夫?気分悪くない?」 「うん。熱はないし、心配しないで。すこし頭痛がするくらい」 お父さんや、お姉ちゃんたち、つかさが出かけたあと、しばらくお母さんが残っていてくれた。 「本当に大丈夫?何かあったら電話しなさいね」 十時頃、心配そうにするお母さんを見送り、私は家に一人になった。 本当は体調が悪かったわけじゃない。 私は、どうしても確かめたいことがあった。 あのノートの内容を・・・もう一度 96 名前:1[] 投稿日:2008/09/23(火) 13:25:05.68 ID:X9Yhff6M0 家の中にだれもいないことを確認して、私はそっとつかさの部屋に入った。 ・・・昨日のノートを探さないと。 机の中、本棚、タンスの中・・・ 思いつく場所を探してみる。罪悪感もあったけれど、それよりもノートを見つけたい気持ちが勝っている。 しばらく探してみたけど、ノートは見つからない。 まさか学校に持っていくとも思えないしなぁ・・・あんなノート どこかにあると思うんだけど・・・。 昨日はあんなに無防備に置かれていたのに、こんなに探しても見つからないなんて・・・ 学校のことで気落ちしていた私が、ありもしない物を見たのかなぁ・・・ ノートの存在を疑い始めた矢先、私はあることに気がついた。 つかさの机の引出しのうちで一段だけ、底が浅くなってるものがある・・・。 106 名前:1[] 投稿日:2008/09/23(火) 14:00:02.77 ID:X9Yhff6M0 奥から出てきたのは、やっぱり昨日のノート。 心を落ち着けてもう一度中身を見る。 間違いない。昨日見たのと同じ・・・乱暴に書きなぐられた文字・・・そして・・・ 私はノートを元通りに隠すと、つかさの部屋を出た。 ・・・ただの冗談にあそこまで手の込んだことをするはずがない。 だったら・・・ 私は服を着替え、鍵をかけて家を後にした。 いざとなったら・・・その準備をしておかないと・・・ 146 名前:1[] 投稿日:2008/09/23(火) 18:42:28.52 ID:X9Yhff6M0 もうどうしてこうなったかなんて考えるのは止めよ… つかさがその気なら、こっちだって考えがある。 私は、自分を守るための術を探していた。 でも、私には知識がない。どこに行けばいいのか、何をすればいいのかなんてわからなかった。 使いやすそうなナイフを選び、それを購入しただけ。 ぎりぎりのやり取りになれば…これで… つかさだてせいぜい包丁に決まってる。それなら、これでも何とかなるはず。 大体運動神経なら私のほうがいい。同じ程度のモノなら… 147 名前:1[] 投稿日:2008/09/23(火) 18:43:20.16 ID:X9Yhff6M0 家に帰ると、まだだれも帰ってはいなかった。 静かな家の中に、私の足音だけが響く。 部屋に入り、静かに鍵をかけた。 思えば変な話だ。つかさの日記を見つけたとたんに日下部や、峰岸まで… 全部つかさのせいに決まってる。 あの子が私の悪い噂を流してるにきまってるんだ。 許せない…絶対に許してやらない… 私達は姉妹なのに!!! ナイフを握る手に力が入る。 そうよ…あの子が仕掛けてくるのを待つ必要なんてないじゃない こっちから… だめよ、あくまで正当防衛のふりをして殺さないとダメ あんな妹のせいで私の人生滅茶苦茶にされるなんてゴメンよ… 待つのよ、かがみ。 148 名前:1[] 投稿日:2008/09/23(火) 18:44:05.83 ID:X9Yhff6M0 【つかさ編】 「最近、かがみ来ないね〜」 お弁当を食べながらこなちゃんが言った。 「そうですね。今日はお休みされてるようですし…具合はどうなんでしょう」 「…そんなに悪くないと思うよ」 私は、苦虫をかみつぶしたような気持になる。 かがみかがみって、お姉ちゃんのことばっかり。 みんなそうだ。私のことなんてほとんど見てない。 昔からお姉ちゃんばっかり… こなちゃんだって、ゆきちゃんだって… こなちゃん、お姉ちゃんとは二人で遊ぶのに、私と二人で遊んぶことないね。 ゆきちゃん…は誰に対してもこんな感じかな。 「そういえば最近、かがみの悪いうわさはやってるよね。」 「そうですね…特にかがみさんのクラスの方が…」 私は内心ほくそ笑んだ。 いい気味だ。もっと言われればいいんだ。 誰からも相手にされなくなっちゃえばいい。 こなちゃんも、ゆきちゃんもお姉ちゃん何か相手にしないでいいじゃない。 「かがみんは誤解されやすいタイプだろうからねぇ」 「そうかもしれませんね。」 「・・・」 お姉ちゃんなんか心配しなくていいのに… お姉ちゃんなんか、いなくなればいい。 いなくなってもらうんだ… 150 名前:1[] 投稿日:2008/09/23(火) 18:44:51.35 ID:X9Yhff6M0 お姉ちゃんは私の日記を見てだいぶショックを受けてたな。 「こなちゃんが悪く言ってる」ってニュアンスで書いたもんね。 ホントはお姉ちゃんのこと悪く言ってるの、峰岸さんだけど… ラッキーだったなぁ、峰岸さんがお姉ちゃんのこと嫌っててくれて。 おかげで、クラスから孤立させるのが思いのほか順調にいったよ〜 峰岸さんは自分のクラスから信頼も厚いからね、誰かさんと違って。 こなちゃんは私の友達なんだもん。最初に仲良くなったのは私なのに… だから… こなちゃんを返してもらうだけだもん。 「つかさぁ〜体育始まっちゃうよ〜」 「あ〜ごめ〜ん」 こなちゃんが私を呼ぶ声がする。 私は、急いで着替えるとこなちゃんの後ろについて走った。 そうよ。お姉ちゃんには友達がいたのに、なんで私の友達まで取っていこうとするの? ずるいよ。 だから、今度は私がお姉ちゃんから全部とり上げてやるんだから… 151 名前:1[] 投稿日:2008/09/23(火) 18:45:37.22 ID:X9Yhff6M0 午後の授業中。私は考えていた。 問題はお姉ちゃんがノートを見た可能性があるってことだよね。 日記までは計画通りだけど、ノートまで見られたとしたら… 私の計画が大きく狂ってしまう。 授業も上の空で、私はひたすら頭を働かせる。 ノートを見られたとしたら… 一応、峰岸さんに話を通しておこう。 放課後、私は隣のクラスに足を運び、峰岸さんに話しかけた。 どういった内容か察してくれたようで、私と一緒に人通りのない場所まで移動してくれる。 私は、一通りのことを峰岸さんに話した。 峰岸さんのことだ、きっといい考えをだしてくれるはず… そう思っていると、私の頬に峰岸さんの平手打ちが飛んできた。 「何勝手なことしてるの?」 「…あ、あの」 「答えなさいよ!!この愚図!!」 強烈な蹴りが私の腹部に入る。 私は、思わずその場に倒れこんだ。 「…ノートは見せるつもりはなかったんだけど」 「脳なし!!」 そういって、峰岸さんの顔を見上げる私に唾を吐き、そして、しばらく考え込むように腕を組み窓の外を見た。 152 名前:1[] 投稿日:2008/09/23(火) 18:46:24.15 ID:X9Yhff6M0 後ろから刺殺してやろうかと思った。 こいつ…お姉ちゃんの後は… 怒りを抑えながら、頬についた唾をティッシュでふき取っていると、峰岸さんが口を開いた。 「まぁいいわ。どうせならこの状況を生かす方向で考えましょう。 おそらく、柊はあなたのノートを見てるわね。部屋に鍵をかけるようになった。 日記の内容だけだったら鍵をかける理由なんてないからね。今日も帰ってドアを開けようとして御覧なさい? きっと鍵がかかってるわよ。部屋に入ったって聞いてみて、うろたえたらほぼ決まりね。 そして、ノートを見たとすると自意識過剰で単純な柊のこと… 馬鹿みたいに「殺される前に殺す」とか考えだすに決まってる。 そして、きっとこう考える。 “自分のほうが身体能力が高い、頭もいい…だからつかさが行動に出てから 正当防衛にかこつけてつかさを殺せばいい。”ってね」 「…」 「でも、確かに刃物での勝負ならあなたに勝ち目はないわねぇ。」 「…じゃあ峰岸さんが…」 「はぁ?なんで私が手を汚さないといけないの…?」 「でも…」 「私の駒はあなただけじゃないわ。」 「誰を…?」 「知る必要なし。あなたはこれ以上ボロ出さないようにしてなさい、脳なしの愚図!!!」 そう吐き捨てると、蹲る私を冷たい目で一瞥し、峰岸さんは戻って行った。 「…峰岸さんのくせにぃ」 口の中が切れてるみたいだ・・・血の味がする。 227 名前:1[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:11:35.25 ID:SOXwgLFg0 下校中も、私のイライラは収まらない。 本当にイライラする人たちだなぁ・・・ あのあと、峰岸さんと一緒にいる日下部さんとかいう舌足らずが私に話しかけてきたけど 内容なんて聞かず、適当にあしらった。 私より馬鹿なくせに…脳筋は幅跳びでもしてればいい・・・ だいたい・・・峰岸さんはノートが見つかった状況を生かすとか言いながら、 具体的な策も用意せずに何考えてのかな? まさか、私を捨て駒にするんじゃ・・・ 峰岸さんだったらあり得るよね・・・そんなのごめんだよ。 それだったら・・・ 今日中に私が殺しちゃえばいいんだよね… 歩いてる先に、ちょうど我が家が見えてきた。 230 名前:1[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:22:19.25 ID:SOXwgLFg0 「ただいまぁ」 私は玄関のドアをあけ、中に入る。 返事はない。お母さんやお姉ちゃんは帰ってないようだ。 お姉ちゃんは二階で寝てるのかも・・・。 チャンスかもしれない。 私は靴を脱ぐと、お弁当を台所まで持っていく。 居間にも誰もいない。やっぱりお姉ちゃんは部屋にいるんだ・・・。 私は焦る気持ちを抑えながら階段を上った。 さすがに部屋で殺しちゃうのはまずいよね・・・ 「おかえり、つかさ・・・」 その声に虚を突かれる。 「・・・どうしたのつかさ?」 「あ・・・ただいま、お姉ちゃん」 落ち着きを取り戻し返事をすると、私は部屋に入った。 私は、何でもない会話になぜか違和感を感じた。 233 名前:1[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:30:21.20 ID:SOXwgLFg0 【かがみ編】 つかさは臆病だから、今の一言で先手を打つのに躊躇したはず。 勿論、つかさから行動をおこさせ、私が正当防衛としてあの子を殺す。 それが理想。 けれど万が一ということもある。ぎりぎりの命のやり取りになったらわからない。 だから、あの子の心に小さなゆさぶりをかけ続ける必要がある。 迷いや、動揺は行動を鈍らせる。 ただでさえ能力の低い妹だ。その能力でさえ十分に発揮できないようにすれば・・・ 負けない・・・私は絶対負けないんだから・・・ 237 名前:1[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:40:05.03 ID:SOXwgLFg0 【つかさ編】 おかしいなぁ・・・ここ数日、気落ちして私が帰っても無反応だったのに・・・ 今日、もしくは昨日の夜に何らかの心境の変化があったってことだよね。 考えられる可能性としては、こなちゃん、もしくはゆきちゃんが誤解を解いたってこと。 でもそれはない。 お姉ちゃんのメアドをこなちゃんはまだ知らない。携帯持ってることすら知らないんだもん。 ゆきちゃんは自分からメールや電話をしない。 学校で直接会わない限り、この点に関しては問題ないはず。 だったら・・・やっぱり私の部屋でノートを見たってことかなぁ 今日休んだのもノートの確認のため? 一応、こなちゃんに借りてた漫画の隠し方参考にして隠したんだけど、 よく考えてたら、お姉ちゃんも好きだったっけ・・・失敗したかも〜 峰岸さんはお姉ちゃんが私を殺す気になるって言ってたよね・・・ もしあれが間違ってなかったら・・・吹っ切れて私を殺す気になってるのかなぁ・・・ 238 名前:1[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:47:59.89 ID:SOXwgLFg0 【かがみ編】 その時、家の呼び鈴が鳴った。 「誰だろう・・・?」 私は、部屋を出て玄関まで向かう。 回覧版でも回ってきたのかと思い、玄関のドアを開けると そこには、陵桜の制服を着たショートヘアーのクラスメイトが立っていた。 「おっす・・・柊ぃ・・・」 「日下部・・・」 「・・・・」 「・・・上がって」 「うん・・・」 私は混乱していた。昨日、私に対してあんな態度をとった日下部が何で? さまざまな可能性を考えながら、私は日下部を部屋に案内した。 241 名前:1[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:57:08.04 ID:SOXwgLFg0 「・・・」 「・・・」 お互いに口を開けないまま時が過ぎる。 いやな沈黙が続く。何も話さないならここなきゃいいのに・・・ 「柊ぃ・・・ごめんな・・・昨日・・・」 沈黙を破ったのは、思いもかけない日下部の一言だった。 「ほんとごめん・・・なんかクラス中が柊のこと敵視してて・・・ あやのも・・・」 「・・・」 「止めようかって思ったんだけどなぁ・・・」 「・・・」 「なんか・・・あやのがこえぇんだよ・・・」 「・・・」 「それで・・・」 そこまで言うと、日下部は視線を落とした。 嘘は言ってないようだけど・・・ 244 名前:1[] 投稿日:2008/09/24(水) 01:07:23.75 ID:SOXwgLFg0 「あやのが怖いって?」 「・・・うん」 「どんな風に・・・?」 「柊の悪い噂流してるのなぁ・・・あやのなんだ」 「・・・嘘」 「・・・」 「・・・なんで?」 「アタシにもわかんなくってさぁ・・・ どうしちまったんだろう、あやの・・・」 そう言って、日下部は悲しそうな顔をした。 つかさだけだと思ってたのに、峰岸まで私を陥れようとしてるの? 思いもかけないことに、私はひどく困惑した。 246 名前:1[] 投稿日:2008/09/24(水) 01:19:46.85 ID:SOXwgLFg0 「なぁ、柊ぃ・・・一緒にあやののとこ行ってくれねぇかぁ・・・」 「でも・・・」 「でも、今のままってよくねぇと思うんだよぉ・・・」 「・・・」 「二人であやのと話してみようぜ?」 真剣な目で訴えかけてくる日下部。 本当に・・・私を心配してくれてる そんな風に思えた。 「うん・・・二人で話してみよう・・・」 「柊ぃ・・・ありがとう・・・」 そう言って、日下部は寂しそうに笑った。 251 名前:1[] 投稿日:2008/09/24(水) 01:36:14.92 ID:SOXwgLFg0 家を出ると、あたりはかなり薄暗くなっていた。 街灯の明かりに虫が集まる。東の空に月がでている。 その下を日下部と並んで歩く。 どちらも、口を開けないでいる。 峰岸が・・・私の噂を・・・ つかさだけじゃなかったなんて・・・計算外だなぁ みんなして・・・みんなして私の人生無茶苦茶にするつもりなの? 冗談じゃないわ・・・ イライラしながら歩いていると、市内の公園についた。 峰岸の家に行くには、この中を通る。 正直、暗くなってからは避けることが多いけど 日下部が躊躇せずに入っていくから、私も仕方なく付いていった。 256 名前:1[] 投稿日:2008/09/24(水) 01:48:04.88 ID:SOXwgLFg0 あたりはすっかり暗くなってしまっている。 公園の中を歩く私たちの前に、見慣れた人物が姿を現した。 「お疲れ様・・・みさちゃん」 そう言うと、その人物はニコリと笑った。 「峰岸・・・」 「気安く私の名前呼ばないでくれるぅ?」 「・・・!!!」 日下部の言ってたこと・・・ほんとだったんだ・・・ じゃあ、クラスのみんなが私に冷たくなったのはやっぱり・・・ 「どうだった?クラスのみんなから嫌われた感想は?」 「峰岸・・・あんた・・・」 私は、目の前の屑を睨みつける 260 名前:1[] 投稿日:2008/09/24(水) 02:01:12.68 ID:SOXwgLFg0 「前からあなたのこと気に入らなかったのよ。 柊ちゃん・・・。生意気だし、偉そうだしさぁ・・・ 柊ちゃんみたいなのをKYっていうらしいわよ。アハハ」 「・・・あんたこそ何様わけ?」 「・・・そういうとこが大嫌いなのよ」 峰岸の目つきが変わる。 「もう我慢できないのよ・・・わたし」 そう言って、峰岸はカバンの中から新聞にくるまれた“何か”を取り出した。 新聞が取り払われ、中から包丁がその姿を現す。 「・・・自分で殺るつもりはなかったんだけど、考えが変わったわ。 みさちゃん、そいつ押さえつけて。」 日下部もグル?だからお疲れ様って・・・しまった!! 私はとっさに身構える。こんなことになるなんて思ってなかった・・・ ナイフがない・・・相手は包丁・・・分が悪いわ・・・ 日下部のほうを見て、様子をうかがう。けど、日下部は動く様子がない。 「・・・どうしたの、みさちゃん?はやくその蛆虫押さえてよ・・・」 354 名前:1[] 投稿日:2008/09/24(水) 18:58:36.35 ID:SVASERkK0 「あやの…やめよう…そんなの…良くないってヴァ」 日下部が目に涙をため、震える声で言った。 峰岸がさらに険しい表情になる… 「…なんで?なんでみさちゃんまで、その女の味方をするの?」 「なんでとかいう問題じゃねーじゃん… ホントどうしちゃったんだよぅ…あやのぉ」 「どうかしたのは、みさちゃんじゃない!!!」 「いい加減にしなさいよ、峰岸!!!」 峰岸の言葉に私は思わず声を荒げた。 「うるさい!!…そうよ、あなたがいけないのよ。 みさちゃんは私の親友なのに…何で割って入ってくるの?ねぇ、なんで? 私が一番みさちゃんを大切に思ってるんだから…」 「あやの…」 「気づいたのよ…あなたさえいなくなればってね…」 そう呟いた峰岸が、私を見た。 357 名前:1[] 投稿日:2008/09/24(水) 19:00:48.71 ID:SVASERkK0 地面に、真っ赤な血が流れだしている。 その海は時間の経過とともに徐々に広がっていく… 私の目には、刃物が胸に突き刺さり、ぐったりとした同級生の背中が映っていた。 彼女は力なくその場に倒れこみ、その胸から刃物が抜けるとともに血が噴き出した。 「日下部!!!」 「みさちゃん…どうして…?」 「あやの…もう…やめ…」 そう言ったきり、日下部は動かなくなった。 「日下部!!!日下部!!!」 日下部に駆け寄り、呼びかけるが返事がない。 峰岸は微動だにせずに立ちつくしたまま。 「お願い…目を開けて…日下部…」 その呼びかけに返事がかえってくることはなかった… 358 名前:1[] 投稿日:2008/09/24(水) 19:03:27.79 ID:SVASERkK0 「みさちゃんから離れて…まだ私の邪魔をするの?」 不意に峰岸の声がした。 振り返った私の右肩に、峰岸の包丁が刺さる。 「みさちゃんは、私のもの… みさちゃんは、私のもの… みさちゃんは、私のも…」 そう繰り返しながらギリギリと包丁をねじ込んでくる。 激し痛みに気を失いそうになる。必死の思いで振り払い、私は逃げる。 何度も何度も足がもつれて転びそうになる。 「大丈夫だよ…みさちゃん…ずっと二人だけだから… 誰にも邪魔されないね…」 後ろで聞こえていた峰岸の声が小さくなる。 振り返る余裕はなかった。 恐怖で足がもつれてうまく走れない…肩から流れ出す血が止まらない… 頭が朦朧として、私はしばらく走ったところで倒れこんだ。 朦朧とした頭の中に、聞き覚えのある声が聞こえる。 すっかり暗くなってしまったことに加え、貧血だろう目の前がちかちかしてよく見えない。 …誰? 「つけ…き…よかった…」 …つかさ? 「お姉…ん…」 …つかさ…なの? 「さよなら…お姉ちゃん」 私の胸に、冷たい何かが深々と刺さった…。 359 名前:1[] 投稿日:2008/09/24(水) 19:04:53.79 ID:SVASERkK0 月明かりに照らされた公園で、いつまでも同級生の亡骸を抱く少女 ずっと一緒だよ… ただそれだけを、壊れた機械のように繰り返している。 もはやぴくりとも動かない屍に、何度も何度も包丁を突き立てる少女がいる。 こなちゃんは私のもの… ただ、そう呟きながら彼女はその行為を続けている。                            〜おわり〜 369 名前:1[] 投稿日:2008/09/24(水) 19:29:24.98 ID:SVASERkK0 批判にしろ、褒めてもらえるにしろ 反応があるっていうのはうれしいもんだなぁ・・・( ;ω;) 385 名前:1[] 投稿日:2008/09/24(水) 21:44:43.65 ID:SVASERkK0 ずーっと読んでくれた人も、途中からの人もありがとう。 こんなに続くと思ってなかったので、驚きました。 皆様のおかげです。 さすがに、毎度毎度保守してもらうのもあれなので転校は書かないでおきます。 もし気が向いたら、アニキャラ個別にでもそれらしいの建ててのんびり書きます。