長門「古泉一樹とはもう口をきかない」 216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越)[] 投稿日:2008/09/15(月) 21:52:46.21 ID:ErLeEXOVO 長門「古泉一樹とはもう口を聞かない」 ハルヒ「ど、どうしたのよ有希」 キョン「おい古泉、長門に何をした」 古泉「本当に申し訳ありません長門さん…」 長門「小説のオチを言われた」 キョン「そ、それは…」 ハルヒ「有希、それはいくら何でもあんまりよ」 古泉「本当にすみません…長門さんが同じ本を読んでいると知って興奮してしまったものでつい…」 長門「絶対に許さない」 古泉「長門さん…」 ハルヒ「ちょっと待ちなさいよ有希!少し落ち着きなさいってば!」 長門「では涼宮ハルヒ、あなたがもし読んでいる小説のオチを教えられたらどうするの」 ハルヒ「ぶん殴るわ!」 長門「了解した」 キョン「ま、待て長門!」 218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越)[] 投稿日:2008/09/15(月) 22:05:56.81 ID:ErLeEXOVO ハルヒ「とりあえず今日はもう帰りましょう!」 みくる「は、はぁい」 長門「……」 ハルヒ「さ、男子連中は出てって!」 廊下 キョン「長門があそこまで怒るなんてな…」 古泉「うっかりしていました」 キョン「部室に入るなり長門のあのセリフだったからな。面食らっちまったよ」 古泉「…長門さんが一番最初に来ているのはいつも通りでしたが、本の表紙が見えた時に僕から話しかけたんです」 キョン「そうなのか」 古泉「長門さんと他愛も無いお喋りなんて珍しいですからね。多分舞い上がってしまったんでしょう」 キョン「……まぁ長門がここまで感情を表すのも珍しいけどな。そんなに心配すんなよ」 古泉「……そうでしょうか」 キョン「……(コイツらもたまにはこうやってコミュニケーション取った方が良いしな)」 バタン! ハルヒ「待たせたわね!さぁ帰るわよ!」 みくる「お待たせしましたぁ」 長門「……」 古泉「長門さ」 長門 プイ 古泉「……」 222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越)[] 投稿日:2008/09/15(月) 22:16:00.26 ID:ErLeEXOVO 古泉宅 ガチャン 古泉「ただいま……」 古泉「とはいえ誰も返してくれませんが…」 古泉「はは」 古泉「……ハァ…」 古泉「…困ったなぁ…あんなに長門さんが怒るだなんて…」 古泉「……」 古泉「……まぁ元々僕無視されっ放しでしたけどね」 古泉「……嫌われてるのかな」 古泉「……グスッ」 古泉「…ウッ…ヒク…」 古泉「……機関の人間じゃなかったら、こんな演技が無かったら…」 古泉「…ちゃんと友人になれたかも知れないのに…」 古泉「……」 古泉「……もう寝よう」 長門宅 長門「上手な人間関係の取り方、37ページ」 長門「怒る時の意思表示ははっきりと、曖昧な態度は後々にまで響く恐れがある」 長門「……完璧」 長門「これで古泉一樹とは以前より良いコミュニケーションが取れるはず」 長門「明日が楽しみ」 長門「寝る」 225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越)[] 投稿日:2008/09/15(月) 22:27:33.59 ID:ErLeEXOVO 翌日 古泉(…もう長門さんいるかな) 古泉(謝らないと) ガチャ 古泉「……あ、」 長門「……」 古泉「お、おはようございます」 長門「……」 古泉「とは言っても、もう今は放課後ですけどね、ふふ」 長門「……」 古泉「はは…は…」 長門「……」 古泉(…気まずいよ…) 古泉「あ、あの長門さん…」 長門「……」 古泉「昨日は本当に申し訳ありませんでした。楽しみにしていたオチを言われたら、それは怒りますよね」 長門「……」 古泉「ですから…その…」 長門「……」 古泉「本当にすみませんでした…」 長門「……」 古泉(…ダメ、か…) ガチャ ハルヒ「皆もう来てる!?」 229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越)[] 投稿日:2008/09/15(月) 22:33:54.14 ID:ErLeEXOVO ハルヒ「あら、まだ2人だけ!?全く弛んでるんだから!」 古泉「こんにちは、涼宮さん(助かった…)」 ハルヒ「こんにちは古泉くん!有希!2人はいつも早いわね、良い事だわ!」 長門 コク 古泉「!」ズキ 古泉(……やっぱり嫌われてる) 長門(……一つ問題が発生した) 長門(いつまでこの態度を取れば良いのだろう) 古泉(何でかなぁ…やっぱりこの嘘臭い演技が原因なのでしょうか) 長門(本には書いてなかった) 古泉(彼にも時々嫌な顔をされるけど…長門さんはそれよりももっと嫌な思いをされていたのでしょうか…) 長門(私には予想が付かない) 古泉(出来るだけ…もう…長門さんに話しかけるのは止めましょう…) 長門(でも大丈夫。あの本の通りにすればきっと上手く行く) ハルヒ「何よ2人とも黙っちゃって…まぁ有希はいつも通りだけど」 241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越)[] 投稿日:2008/09/15(月) 22:50:05.14 ID:ErLeEXOVO ガチャ みくる「遅くなりましたぁ」 ハルヒ「遅いわよみくるちゃん!お仕置として今日は露出度多めの特注メイド服を着てもらうからね!」 みくる「ひ、ひぇ!許して下さぁい!」 ハルヒ「ダメよ!さ、古泉くんは出ててね!キョンが来たらちゃんと引き止めるのよ!」 古泉「ふふ、畏まりました」 ガチャ ハルヒ「さぁ〜、観念しなさいみくるちゃぁ〜ん」 みくる「ふぇ、た、たしゅけてぇ!」 長門(……本の通り) 長門(涼宮ハルヒは怒りを露にすることによって、こうして他の人間とのコミュニケーションを図る) 長門(朝比奈みくるは一見嫌がりながらも、今では自ら進んでメイド服に着替えるようになった) 長門(間違いない) 260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越)[] 投稿日:2008/09/15(月) 23:26:38.97 ID:ErLeEXOVO 廊下 古泉「はぁぁあぁあぁぁ………」 キョン「……何だその魂の抜ける音のような溜め息は」 古泉「え?う!うわっ!いらっしゃっていたんですか!びっくりさせないで下さいよもう」 キョン「さっきからいたんだが」 古泉「それはそれは…失礼致しました」 キョン「お前がそこまで落ち込むなんてな…まだ長門に無視されてるのか」 古泉「はは…それどころか完璧に嫌われてしまったようです」 キョン「は?」 古泉「今日また、長門さんと僕が最初に来たんです。それで長門さんにまた謝ってみたんですが…まるで無視されてしまいました」 キョン「……」 古泉「長門さんはきっと、僕のことがお嫌いなんです」 キョン「おいおい、それはちょっと考え過ぎじゃないのか」 古泉「いえ、きっとそうです。こんな見た目も喋りもうさん臭い男、気持ち悪いに決まっています」 キョン「あー…いや…そんなこと…」 古泉「あなただってそうでしょう」 キョン(ごめんなさい、こんな時どうしたら良いか分からないの) 262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越)[] 投稿日:2008/09/15(月) 23:29:40.79 ID:ErLeEXOVO ハルヒ『古泉くんもう良いわよ!』 古泉「はい」 ガチャ キョン(大丈夫かコイツ…) キョン「うーす」 ハルヒ「遅いわよキョン!全く雑用の癖に!」 キョン「俺がいつその役割に甘んじたんだ」 ハルヒ「ブツブツうるさいわよ、キョン!」 キョン「……やれやれ」 キョン「って朝比奈さんどうなさったんですかそのお姿は!!」 みくる「み、見ないでくださいぃ〜」 長門「……」 みくる「長門さんも見ないでぇ〜」 古泉(……やはり) 古泉(…僕が関わらない時の長門さんは、非常に楽しそうです) 古泉(……辛いですけど…) 長門(…いつ良好なコミュニケーションになるのだろう) 長門(分からない) 長門(…焦ってはダメ) 長門(本の通りに…まずはこの態度を継続する) 264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越)[] 投稿日:2008/09/15(月) 23:31:46.01 ID:ErLeEXOVO 数日後 長門(……) 長門(……おかしい) ハルヒ「それでね!その時の谷口の顔ったら…」 キョン「おいおい、言ってやるなよ」 みくる「谷口くんったら、おかしいですぅ」 古泉「ふふ、彼は相変わらずですね」 ワイワイガヤガヤ 長門(……この態度を継続して数日、全く古泉一樹との関係に向上は見られない) 長門(それどころか) 長門「……」(目を合わせようとする) 古泉「……」 古泉 フイ 長門(…むしろ悪くなっているようにすら思える) 長門(何故) 長門(私はあの本に従った) 長門(間違いは無い筈) 古泉(一瞬長門さんと目が合ってしまった…)ドキドキ 長門(それならば何故古泉一樹は私とコミュニケーションを取ろうとしないのだろう) 古泉(きっとまた不快な思いをさせてしまいましたね) 長門(…もしかして) 長門(私は古泉一樹に避けられている?) 265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越)[] 投稿日:2008/09/15(月) 23:34:24.97 ID:ErLeEXOVO 長門(……何故?) 古泉(すみません、長門さん…) 長門(……どうしたら良いのだろう) キョン「……」 キョン(やっぱり変だなアイツら…) ハルヒ「と、言う訳で!今日はそんな谷口の不思議について探るわ!」 キョン「お、おいちょっと待て。何でそうなる」 ハルヒ「馬鹿ねキョン!不思議って言うのは意外と身近な所に潜んでいるものよ!」 ハルヒ「という訳で行くわよ、付いてきなさいあんた達!」 みくる「ふぇ、待って下さぁ〜い」 古泉「谷口くんが異世界人だったりしたら、それはそれで面白いかもしれませんね」 キョン「はぁ…やれやれ」 キョン「……長門、どうした?」 長門(……は、) 長門「何でも無い」 ガタガタ 長門「先に行く」 スタスタ キョン「……」 キョン(何か隠したな今) キョン(一応女子のプライベートだからな、気は引けるが…) キョン「ちょっと失礼するぞ、長門」 269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越)[] 投稿日:2008/09/15(月) 23:49:41.88 ID:ErLeEXOVO キョン「上手な人間関係の取り方…?」 キョン「何だこりゃ」 キョン「長門のヤツ、何でこんなモノを…」 キョン「…ん」 キョン「折り目が付いてる所があるな…」 キョン「37ページ…」 キョン「……」 キョン「…なるほど、そういうことか」 ――― ハルヒ「全く谷口のヤツ!!どこ行ったのよ!」 みくる「お、落ち着いて下さい涼宮さぁん」 古泉「もしかしたらもう、お帰りになられてしまったのかも知れませんね」 ハルヒ「ったく!肝心な時に居ないんだから!」 長門「……」 キョン「あーおいハルヒ」 ハルヒ「何よ!」 キョン「谷口ならさっき自販機にジュース買いに行ったってさ」 ハルヒ「でかしたわ!」 キョン「屋上に行くとも言っていたな」 ハルヒ「どっちなのよ!」 キョン「二手に分かれれば良いだろ」 ハルヒ「それもそうね!」 271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越)[] 投稿日:2008/09/15(月) 23:52:34.57 ID:ErLeEXOVO キョン「と、言う訳だ。長門、古泉、お前らは屋上に行け」 長門&古泉「!!」 ハルヒ「そうね、頼んだわ2人とも!さぁ行くわよみくるちゃん!」 古泉「あ、あの…」 キョン「古泉」 古泉「僕もそっちに…」 キョン「良いからこれを読め」 ベシッ 古泉「いたっ!な、…?『上手な人間関係の取り方』…?」 長門「!!!」 キョン「あーそれからな、長門、態度ははっきりと、そして引きも早目にあっさりと、だ」 長門「……!」 キョン「じゃ、早いとこ屋上行かないとハルヒのご機嫌を損ねるぞ」 古泉(37ページ…もしかして…) 古泉「…あの…長門さ」 長門「古泉一樹」 古泉「は、はい」 長門「…あなたに話がある」 282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越)[] 投稿日:2008/09/16(火) 00:05:47.67 ID:j/+DuGRJO 屋上 長門「…私が、このSOS団に入部して1年2ヶ月と7日が経過した」 古泉「……」 長門「私はこの期間に、様々な体験をした。最初の内はそれらに、大して意味も見出だせずに参加していた」 長門「しかし次第に、このSOS団で行う全ての事が、"楽しい"と、そう感じられるようになった」 長門「それと言うのもきっと、行動を共にするあなたたちのお陰」 長門「私はあなたたちに感謝している」 古泉「…長門さん」 長門「しかし私には、一体どうやってこの感情を伝えたら良いのか分からなかった」 長門「私には、あなたたち有機生命体…人間とのコミュニケーション能力が圧倒的に不足していた」 長門「それでも、あなたたちは優しかった」 長門「涼宮ハルヒは無理矢理私の手を取り、色々な場所に連れ出してくれる。彼はいつでも私の身を案じてくれ、勝手が分からない事ばかりのこの世界でもすぐに手順を導いてくれる」 長門「朝比奈みくるは穏やか。お礼の一つも言えないような私にも、毎日お茶を煎れてくれる」 長門「私は、そんな彼等との些細なやり取りの中で、少しずつで良いから感謝の気持ちを伝えていこうと決意した」 284 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越)[] 投稿日:2008/09/16(火) 00:14:07.99 ID:j/+DuGRJO 長門「けれど、古泉一樹」 古泉「……」 長門「私とあなたのコミュニケーションの数は、恐らく団の中でも一番低かった」 長門「涼宮ハルヒが何か問題を引き起こした時には協力して解決した事もある」 長門「しかし私にはそれだけでは足りないのでは、と思えた」 長門「私は――」 長門「古泉一樹、あなたともっと同じ団員として、良好な関係になりたかった」 古泉「…!」 長門「この数日間、あなたの持っているその本に従って行動した」 長門「けれど、あなたとの関係は一向に深まらず、むしろ離れてゆくばかり」 古泉「そう…だったんですか…」 長門「古泉一樹、謝りたい」 長門「私はあなたに嫌われた?」 289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越)[] 投稿日:2008/09/16(火) 00:24:49.38 ID:j/+DuGRJO 古泉「……」 長門「…答えて」 古泉「……ッ」 長門「何故泣くの」 古泉「違います、嬉しいんです」 長門「…?」 古泉「長門さん、僕こそ、あなたに嫌われたと思いました」 長門「!」 古泉「僕は、いくらSOS団の団員とはいえ、あくまで機関の人間です」 古泉「涼宮さんの望み通りの謎の転校生を演じてこなくてはなりませんでした」 古泉「ですから、僕は思ったんです。こんな演技をしているから、きっと長門さんに嫌われたのだと」 長門「違う」 長門「そんなことはない」 古泉「えぇ、ですから…本当に今、嬉しいんです」 古泉「長門さん、僕も、あなたともっと仲良くなりたかったんですよ」 長門「…そう」 古泉「…ハァ、みっともない所をお見せ致しましたね」 長門「構わない」 長門「有りのままの感情をさらけ出す事の出来る間柄、それが友人だと聞いた」 古泉「…もう、止めて下さいよ。折角止まったのに…」 292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越)[] 投稿日:2008/09/16(火) 00:33:53.36 ID:j/+DuGRJO 長門「…落ち着いた?」 古泉「…はい、ありがとうございます」 長門「…そう、良かった」 古泉「あの、長門さん」 長門「何」 古泉「握手、しませんか」 「友情の証に」 ――― 翌日 長門「あなたとはもう口を聞かないことにした」 古泉「僕もです」 キョン「…どういう風の吹き回しだ」 ハルヒ「あら何よ、また喧嘩?」 古泉「ええ、僕たち、しばらく彼とは口を聞かないことにしたんです」 長門「そう」 ハルヒ「今度はどうしたのよ?」 古泉「読んでいた本のオチを言われたんですよ、ね?」 長門「そう。とても酷い。許せない」 キョン「勘弁してくれよ…」 ハルヒ「ふぅん、何だか良く分かんないけど、あんた達何だか雰囲気良くなったわね!良い事だわ!」 古泉「ふふ」 長門「…そう」 キョン「…まぁ良いか」 ハルヒ「さ、今日も不思議探索に行くわよ!」 終 295 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越)[] 投稿日:2008/09/16(火) 00:36:47.32 ID:j/+DuGRJO 終わりです もうなんか色々すいませんでした 読みにくかったりキャラ間違ってたりしてたようですね 多分誤字脱字も酷いと思います 個人的には恋愛よりは友情に持って行きたかったので無理矢理こういう形で終わらせました