長門「・・・・・・舐めて」 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 12:47:06.05 ID:TVfqDqwo0 長門「うまく言語化できない」 長門「情報の伝達と意思の疎通に齟齬が発生しているかもしれない」 長門「でも    … 舐めて」 キ○○「・・・ 」 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 13:50:48.68 ID:TVfqDqwo0 長門「… 私があなたに求めている行為は あなたの主義に反するものなのかもしれない」 長門「… でも あなたはいまとても弱っている状態にある このままでは危険」 キ○○「・・・ 」 長門「… 」 長門「… 顔を背けないでこちらを向いて欲しい   あなたの表情が見えない とても不安… 」 長門「!! 」  66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 14:52:59.18 ID:TVfqDqwo0 長門「あなたの理解ある行動に感謝する 表情が見えるようになった」 長門「あなたに私の意思が僅かでも伝わっていることを信じて 説得を続けることにする」 長門「… (コホン)」 長門「… 私の求めている行為はあなたのためだけでは無い」 長門「あなたの弱り果てた姿を見ていると 末梢記憶領域深層部に重大な負荷がかかる     このままでは涼宮ハルヒの観察者である このIFに予期せぬエラーが発生する恐れがある」 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 16:36:02.84 ID:TVfqDqwo0 長門「… 情報統合思念体にとって あなたは取るに足りない存在     しかし 当該対象の観察行動に支障が出ることは 看過できない問題であるとの認識で一致している」 長門「依って 情報統合思念体はこの件に関して一切の権限を私に一任した」 長門「… 言うなれば お墨付きを得た ということ」 長門「… いわば やりたいほうだい 」 キ○○「・・・ 」 長門「!! 」 80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 17:00:06.30 ID:TVfqDqwo0 長門「… … そうやって 頭をぽりぽり掻かないで欲しい」 長門「その行動を『第三惑星現有生命体無くて七癖DB』から参照すると     困惑・嫌気・諦観・不興・あ〜あ やってらんねぇよ・どうすりゃいいんだ などが該当する」 長門「… その行為をあなたが自発的に終了させるまで 私からは一切の発言を拒否することにする」 長門「… 」 長門「… 」 長門「… 」 87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 17:55:09.47 ID:TVfqDqwo0 長門「… 」 長門「… 」 長門「… 」 長門「… 」 長門「… 」 長門「… そう  では続けることにする」 88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 17:55:49.26 ID:TVfqDqwo0 長門「… 私はこの行為によって あなたが元の元気を取り戻せると推測している」 長門「… 私はこの行為以外にも…     … もし あなたがこの行為以上のことを望むのなら   … 私は可能な限り応える準備がある」 長門「だから  … 舐めて」 キ○○「・・・ (もそもそ)」 長門「!!」 90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 18:20:47.09 ID:TVfqDqwo0 長門「だめ… それはいけない」 キ○○「・・・ 」 長門「… それはまだしてはいけない行動 あなたはまだ 舐めていない」 長門「いま あなたがしようとしたこと それは『舐めるという行為以上のこと』に該当すると判断した」 長門「… あなたが私にそれを望んでくれたということに 私という個体はうれしいと感じている」 長門「でも 物事には順序というものがあるはず」 95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 18:45:38.00 ID:TVfqDqwo0 長門「… 仮にあなたが順序を組み替えて先にそういった行動に及んだとしても統合思念体は     歯牙にもかけないと予測される しかし 私にとって『舐める』という行為は別の意味合いを持つ」 長門「舐めるという行為 それはとてもとても… 」 長門「… 」 長門「… (コホン)」 長門「!!  … そうやって頭を掻くのはやめて欲し…   そう わかってくれればいい … 続ける」 97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 19:06:38.43 ID:TVfqDqwo0 長門「… あなたが最前及ぼうとした行動が 『舐める』という行為を円滑に行うための予備動作だとしたら     私はそれを受けいるれ事も吝かでは無い」 長門「… 私の目を見て欲しい」 キ○○「・・・ 」 長門「… やくそく 」 キ○○「・・・ 」 長門「… 」 長門「    … きて」 99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 19:33:14.34 ID:TVfqDqwo0 キ○○「・・・ (ムクリ)」 長門「…  」 キ○○「・・・ (スルリ)」 長門「ぁ… 」 長門「…  」 キ○○「・・・ (ふわっ) 長門「ん… あたたかい 」 キ○○「・・・ (もそり)」 長門「!! 」 キ○○「・・・ (もそもそ)」 長門「ゃ… 」 キ○○「・・・ (もぞ・・ もぞ・・)」 長門「だ だめ… 」 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 19:53:12.50 ID:TVfqDqwo0 長門「だめ… これ以上は」 長門「… 先に    やくそく」 キ○○「・・・ 」 長門「… 」 長門「… 約束を先に  …それからなら」 長門「… 」 長門「… あなたが舐めてくれないのは あなたの好みでは無いから?」 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 20:18:33.52 ID:TVfqDqwo0 長門「… 」 キ○○「・・・ 」 長門「… 既にあなたの趣味嗜好に少しでも近づけるために 情報を改編・再構成してある」 長門「… だから舐めて欲しい」 長門「… あなたがいつも舐めているのは知っている」 長門「… 私以外の人… のでないと…   私では… だめ?」 112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 20:41:22.92 ID:TVfqDqwo0 長門「… 」 長門「… 」 長門「… 」 長門「… そう  だめなのね…」 キョン「・・・ (とんとん)」 長門「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 20:42:36.46 ID:TVfqDqwo0 キョン「長門じゃないか どうしたんだこんな所で?」 長門「… 」 キョン「ああ 子猫か そういえば長門は猫が好きだったよな      少しばかり弱良しい感じだが病気ではなさそうな お腹を空かせてるだけか・・      って これって牛乳じゃないか コンビニで買ってきたのか?」 長門「… (こくん)」 キョン「長門よ 非常に言いにくいんだがな 子猫に牛乳はあまり良くないと聞いたことがあるぞ      ちょっと離れてはいるがペットショップがあるから猫用のミルクを買って来てやろうか?」 長門「… 心配いらない この牛乳は子猫が飲んでも下痢をしないように乳糖を分解・脂肪球粉砕など     組成情報の操作を施し かつ適温にしてある 猫ミルクとあまり変わらないはず」 キョン「そうか それだったらいいんだ おれの先走りだった 忘れてくれ 」 114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 20:43:30.53 ID:TVfqDqwo0 長門「… 先走り=前立腺液(ぜんりつせんえき)とは     前立腺の内壁から分泌される乳白色の弱アルカリ性の液t…」 キョン「長門・・ 説明はしなくていいし そもそもそっちの意味でいったんじゃない・・      って おい 長門 見てみろ」 キ○○「・・・ (ペロ・・)」 長門「あ… 」 キ○猫「・・・ (ペロペロ ペロッ ・・チャプチュプチャプチュプ )」 長門「… やっと 舐めてくれた」 キョン「おいしそうに飲んでるな 最初は飲まなかったのか? いやいい なぜか想像できちまったぜ      ・・でもまあよかったじゃないか」 長門「… (こくん)」 キジ猫「チャプチャプ ピチャピチャピチャピチャ 」 116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 20:44:09.20 ID:TVfqDqwo0 キョン「ところでこの隅っこにある段ボール箱は元からあったのか? そうか この猫がその中で眠ってたか・・      箱には何も書いてないし 書き置きのようなものも無しか  車はあまり通らない道だからいいようなものの      こんな所になぁ・・ 」 長門「… ?」 キョン「いやな たぶん・・ 捨て猫なんだろうな こいつは」 長門「… 捨て猫 捨てられた猫 捨てる… 見放すこと 見限ること 見捨てること 破棄すること 打ち捨てら… 」 キョン「すまん・・ 失言だ 忘れてくれ」 長門「… 」 119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 20:47:43.21 ID:TVfqDqwo0 キョン「ホントは近くに母猫か飼い主でもいてくれれば何の問題も無いんだがな (ん〜 うちには既に     一匹いるし 長門に生き物を飼うことは無理なような気がするし・・ さあどうしたもんか) 」 キジ猫「ちゅぷちゅぷ ぺろ ぺろ   ぺろ  (ススス スルリ すりすりすり)」 長門「ぁ… 」 キョン「どうやら満腹したみたいだな 最初見た時よりすごく元気そうに見えるし」 キジ猫「(ごろごろごろ ふっふっふっ)」 長門「… あなたは約束を果たした     あなたが望むなら…     あなたが住居と日毎の糧を望むのなら     … 私は可能な限り応える準備がある」 120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 20:48:46.31 ID:TVfqDqwo0 キョン「長門・・・ 大丈夫なのか?えっと なんとか思念体とかの兼合いとかさ いろいろあるんじゃないのか?      (思念体どうこうより もっと他の事が心配なんだが・・ ) 」 長門「まかせて」 キョン「!! (うぉ・・ 語調はあくまでも平板だが 長門が親指をびしっと立ててるトコなんざ初めて見たぜ・・      kyだとは思うがここはひとつ携帯を取り出して写メっとくべk・・ とか考えてる間に時既に遅しか・・ ) 」 キョン「(でもまあ考えようによっては あの長門の事だから まあ 心配はいらないんだろうな     何か問題でもあればおれ達で協力すればいい か) 」 キジ猫「なーぉ なーぉ(ペロペロ ゴロゴロゴロ )」 長門「… そう あなたは望んでくれるのね」 123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 20:56:04.63 ID:TVfqDqwo0 おれは ミルクを飲み終えて満足そうに喉を鳴らしつつ 足を揃えてしゃがみ込んだ長門の膝がしらに 頭を擦りつけ続けるる子猫と 普通の人間なら 満面の笑みを浮かべつつ撫でたりさすったりしそうなもんなのだが さすがにそういう事もなく いつもと変わらない表情で自分にじゃれついている小いさな生き物を飽く事もなく見詰め続ける少女を 『この瞬間をカメラで写したとしても この暖かな雰囲気まで印画紙やデータに収めることはできないだろうなぁ』 などという阿呆な事を考えながら このめったに見られないであろう光景を眺めていた 124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 20:57:15.82 ID:TVfqDqwo0 キョン「新しい家族 か・・」 長門「… ?」 キョン「ああ そうだな 長門はずっと一人住まいだったよな 普通家族ってのは血縁関係があるとか     一緒に暮らしてる人たちの事を言うと思うんだが(厳密にはどうだかわからんが) 例えばな     うちのシャミセンなんかはおれの家族なんだ     まあ 相手は動物だからどう考えているかはわからんが ともかくおれは家族だと思ってる」 長門「… 」 キョン「長門がその子猫と一緒に暮らすようになるってことは      長門の家に新しい家族ができたようなもんだな って思ったんだ 」 長門「… 家族」 キョン「まあ これについてはそんなに深く考えることでもな・・」 キジ猫「うにゃ!! なぉーーーー (パッ ヒラリ とととととととと・・ ) 長門「あ… 」 126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 21:01:15.46 ID:TVfqDqwo0 ようじょ「あ〜 みーちゃん ここにいたんだぁ さがしたんだよ もう だめじゃない さあおうちかえろ〜」 長門「… 」 キョン「・・・ 」 長門「… 」 キョン「ちゃんといたんだな 飼い主 段ボール箱に入ってたのは偶然だったか」 長門「… 」 キョン「また 会えるさ きっと な」 長門「… (こくん)」 キョン「日も暮れてきたし 行くか? (だめだ この雰囲気 早く何とかしないと・・ おおっ こ、これだ!)     ああこの牛乳まだ残ってるじゃないか どんなに腹を空かせていても500mlは飲まないよな もらっていいか?」 127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 21:06:32.51 ID:TVfqDqwo0 長門「… いい」 キョン「のどが渇いてたんだ 残り450ml位か・・ 男はやっぱり一気飲みだよな」 長門「… 飲んで」 キョン「んっんっんっ・・ ふぅ〜  さてと・・(コホン)      Mr.ジョン・スミスのー スーパー イリュージョン シy・・(ゲフッ!) 」 長門「… 」 キョン「す・・ すまん・・ 」 長門「…              いい… 」 130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 21:16:31.92 ID:TVfqDqwo0 キョン「・・・ (やっちまったなぁ・・) 」 長門「… 」 キョン「さ、さてと かえろうか・・?」 長門「… 」 キョン「う・・  (長門よ そんな瞳で子猫が入ってた段ボールをみつめないでくれよ・・) 」 長門「… 」 キョン「な、長門 いまから図書k・・ はもう閉まるから本屋でも行くか?」 長門「!!!   いく 」 キョン「今日はいろいろあってな ちょっと懐があったかいんだ 何か一冊だけ買ってやるからな」 134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 21:26:58.91 ID:TVfqDqwo0 というわけで おれと長門はそこからほど近い書店に向かい長門が選んだ本を一冊買って マンションまで送ると申し出たおれの提案を断った長門としかるべく交差点で別れ 別々の道を歩いて帰途についた 書店での事は思い出したくもないし いっそのことおれの記憶から抹消したいくらいなんだが 自分への戒めとして あらすじだけおれの日記帳代わりのチラシの裏に書き記しておこう 135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 21:32:41.85 ID:TVfqDqwo0 書店内に入った長門はまっしぐらに書店のある一角に向かっていった おれはてっきり『かわいいペット』だの『猫写真集』みたいなものを想定していたわけなんだが どうやらおれが先刻口走った『家族』という言葉が長門の意識内のどれかの琴線に触れて しまったらしい それが置かれている場所を前もって調べておいたかのように 何かの力に引き寄せられるように 一直線に目的の本へと向かって行けたのが何故なのかおれには皆目わからんのであるが その本を両手で堅く握りしめて おれをじっと見つめ続ける長門に抗う気力は おれには残されていなかった・・ 150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 21:53:36.43 ID:TVfqDqwo0 おれが支払うのだし なにより長門にこのようなタイトルの書籍を買わせるわけにもいかず おれが清算のためにレジに持っていったんだが 長門がすぐ後ろについて来てるのに 気付かなかったのは 不可抗力ではなく まさにおれの不徳と致すところなんだろうな あの時のレジのお姉さんの 本とおれと長門を給食の三角食べのように交互に見つめる なんとも形容しがたいある種の想いを秘めた冷たくも生暖かい視線は この先長い事おれのトラウマになるであろう 少なくともこの街でおれが行ける書店が一つ減ったことだけは 確かな事実である 152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 22:02:56.72 ID:TVfqDqwo0 紙袋に入れられた本を鞄に入れずに片手で胸の前に抱えるようにして持つ長門との帰り道 おれは長門にいくつかの約束を いや 約束というか『お願い』をすることにした 本は学校に持ってこない事・本を人に見せたり貸し出したりしない事 急な来客があっても大丈夫な場所に保管すること 本の内容についての質問は他の人にしない事(ほんとはおれにもして欲しくは無い) などなど 長門の事だからおれの願いは聞き入れられ あの本の事は二人だけが知るところになるだろう しかし あの長門の事だからこそ 何かとんでもないことが・・ と一抹の不安を覚えないわけでもない 155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 22:10:19.47 ID:TVfqDqwo0 はてさて 気がつけばこんな時間だ いろんな事をいい加減に書き綴って来たわけなのだが やらなきゃならないことも溜まってきたし ここは素直に言っておくべきなのだろうな・・ また騙された・・    長門かわいい                    (おわり)