鷹野三四の焦燥 2 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 22:59:48.57 ID:lmzd11740 …ピピピッ ピピピッ カチッ 圭一「…3時半、よし!」 午前3時30分。まだ外は暗い。 こんな時間に出て行くのを両親がみたらなんて思われるだろうな… とにかく起こさないように、静かに準備しなくちゃ。 おっと、黙って出てッちゃまずいな。書置きを残しておくか。 えーと、「部活の朝練で早く出る by圭一」っと。 よし、前原圭一、出動! 3 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:01:13.34 ID:lmzd11740 いつもの登校のときのレナとの待ち合わせ場所へいくと レナはもう待っていた。 レナ「あ、圭一くんおはよう! ちゃんと起きれたんだね。よかった」 圭一「おお、それよりお前…    すごいもん持ってきたな」 レナ「ん、この鉈?」 レナの右手には、とても彼女の細腕では扱えなさそうな 大きな鉈を持っていた。 4 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:01:57.08 ID:lmzd11740 圭一「へっ準備は万端ってわけだ」 レナ「まあね」 圭一「よし、監督との待ち合わせ場所に行こう」 レナ「うん!」 *** 5 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:05:33.05 ID:lmzd11740 *** 大石「…というわけで私とあなたは二人で園崎家へ乗り込んで    そこで暴れればいいわけです」 ??「なるほど。了解しました」 大石「よろしくおねがいしますよう」 ??「ええ。しかし久しぶりに雛見沢村へ来たっていうのに、    早速こんな大仕事が待ってるとは…」 大石「いやぁっはっはっは。すいませんねぇ」 6 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:08:02.03 ID:lmzd11740 ??「いえ、大石さんにはお世話になりましたし喜んで引き受けます。    それに梨花ちゃん達も戦うんですからね。    私もやれるだけやりますよ」 大石「いやぁ本当に頼もしくなりましたねぇ赤坂さん!」 赤坂「それじゃあ園崎に一泡ふかせてやりましょう」 大石「他の皆さんも出発している頃です。    私達もそろそろ行きましょう」 赤坂「はい!」 *** 7 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:09:40.37 ID:lmzd11740 *** 詩音「富竹のおじさまおそーい!」 富竹「いやぁごめんごめん。待たせて悪かったね」 梨花「女の子を待たせるなんて紳士失格なのです」 富竹「あはは、まいったなぁ」 詩音「ていうか元々紳士じゃないですし」 梨花「そうでした」 富竹「二人とも厳しいなぁ…ははは」 9 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:12:42.89 ID:lmzd11740 詩音「なんて馬鹿なこと言ってないで、    早速診療所へ向かいましょう」 富竹「そうだね。行こう」 三人は診療所へと続く一本道を歩く。 そして歩くこと5分、うす暗闇のなか、 目標の建物がぼんやりと見えてきた。 富竹「…ここからは注意しながら進もう」 詩音「わかってます。富竹のおじさまこそ注意してくださいよ」 10 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:15:13.10 ID:lmzd11740 羽入「(梨花、梨花!) 梨花「(羽入、どうしたの)」 羽入「(嫌な予感がします。このすぐ先…)」 梨花「(本当?…) 羽入「(はい。…ここはボクにまかせてください) 11 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:17:12.72 ID:lmzd11740 梨花「(どうすればいい?)」 羽入「(…あと五秒後に伏せてください)」 梨花「(わかった。三、二……)」 羽入「(来ます!)」 梨花「二人とも!伏せて!」 富竹「え?」 12 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:19:45.16 ID:lmzd11740 ヒュッ ダンッ! しゃがんだ富竹の頭の30センチ上、 銃弾が空を切って通り過ぎていった。 富竹「今のは銃声か!」 詩音「狙撃されてます!みんな道脇の林へ散りましょう!」 13 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:22:11.04 ID:lmzd11740 三人はそれぞれ暗い林の中へと入っていく。 そして木陰から前方の様子を伺う。 詩音「…あれは。…二人とも、スタンドです」 富竹「詩音ちゃん、スタンドが見えるのかい」 詩音「ええ。しかも私のよく知っているスタンドです    みんな動かないでください」 富竹と梨花は道の前方を凝視すると、 鍵のようなものが二つついたクラゲに似ている30cmくらいの物体が、 空中をふわふわと漂っているのが見えた。 14 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:24:38.01 ID:lmzd11740 富竹「あれは…」 詩音「狙撃衛星です。本体はこのスタンドに弾丸を撃ち込みさえすれば、    スタンドが弾丸を軌道修正して目標に狙いを定めて弾丸を飛ばします。    ちなみに私達を気流の変化で探知してきます。    ですから動いたら場所がばれます」 富竹「…詳しいね。知っているのかい?」 詩音「ええ。本体とはまぁ、知り合いです」 梨花「詩音…」 15 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:27:46.95 ID:lmzd11740 富竹「…どうやら、これは僕の出番のようだな」 富竹は腰のベルトに入れていたリボルバーの拳銃を取り出す。 詩音「無茶です富竹さん!相手はライフルですよ!?    拳銃一丁じゃどうしようもできないでしょ!    それにこんな暗闇じゃ相手がどこにいるかも…」 富竹「弾丸の衝撃音が聞こえてから銃声が僕の耳に届くまでおよそ3秒。    単純だがここから半径約300mの円周上のどこかに潜んでいる。    そして銃声が聞こえた位置と狙撃に向きそうな場所を考慮すると、    あそこの山のふもとのあたり、    ちょっと登ったところから僕たちを狙撃している」 16 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:30:03.34 ID:lmzd11740 詩音「で、でも場所がわかってもその拳銃じゃ届かないじゃないですか!」 富竹「まぁここは僕にまかせてくれよ。…セックス・ピストルズッ!」 富竹の拳銃から白い人形のようなスタンドが6体飛び出した。 No.1「イヤッホー!」 No.5「ヒサビサノデバンダゼー!!」 富竹「よし、配置につけ!」 スタンド達はNo.1、2、6、7と名づけられたスタンド4体が、 山の方向にそれぞれ50mほどの間隔を空けてその順番で一方向に並んだ。 No.4、5の2体は富竹の付近に着く。 17 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:32:12.30 ID:lmzd11740 No.6「OKダゼジロウ!」 富竹「よし、頼んだぞピストルズ!」 富竹は弾丸を山方向へ一発発射する。 その一発が一体目のスタンドに迫る。 No.1「オッシャーNo.2!パスダ!」 ガンッ No.1が銃弾を蹴り軌道を修正し、No.2へと弾丸が渡る。 No.2「No.6、ウケトレ!」 18 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:34:34.21 ID:lmzd11740 更にNo.2が蹴り、No.6もNo.7に向かって同じように弾丸を飛ばす。 そして列の先頭にいるNo.7に弾丸が渡る。 No.7「ヨッシャーブチカマシテヤルゼェ!」 ギュンッ! No.7がここまで渡されてきた弾丸を、山のふもとに思い切り蹴り飛ばす。 No.1,2,6,7「ヨッシャー!」 19 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:36:22.48 ID:lmzd11740 梨花「すごいのです。弾丸をバケツリレーみたいに…」 富竹「だけど当たってはいないか」 詩音「それより今の発砲で場所がばれました!相手の弾丸が来ます!」 富竹「わかってる!頼んだよNo.4、No.5!」 富竹は背後にいた2体のスタンドに弾丸をそれぞれ一発ずつ撃ち込む。 No.4「マカセトケ!」 No.5「アタレエエエエ!」 その弾丸を2体は富竹に向かって蹴る。 20 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:37:03.58 ID:lmzd11740 詩音「な!?なにを!?」 それら2発の弾丸は敵が撃ち込んだ富竹に迫るライフル弾に当たった。 富竹を貫くはずだったライフル弾は軌道を変え、林の中へ飛んでいく。 梨花「す、すごいのです富竹」 詩音「へぇ。だてに6体もいませんね」 富竹「この調子でいくよ!」 *** 21 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:39:39.83 ID:lmzd11740 *** 葛西は焦っていた。 富竹を狙って撃った初弾が外れたのは彼にとってかなりの痛手だった。 狙撃手にとって初弾を外すことは位置を知らせるだけでなく、 それ以降の射撃で命中させることが難しいからだ。 さらに悪いことに、自分の場所も既にばれているようで、 あちらから銃弾が飛んできた。 ただ相手の銃弾はここから5mほど離れた所に着弾したので被害は無かった。 22 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:40:35.67 ID:lmzd11740 また、発砲したことで富竹の場所を特定できたので、彼を狙って撃った弾も なんらかの防御手段によってかわされた。 あちらで何が起こっているのかを確認するにも、 この暗闇のなかで、あちらは林の中に紛れているのもあり 暗視スコープでも確認はできない。 見えるのは自身の衛星スタンドだけである。 まさに今葛西はスナイパーとして危機的状況にあった。 23 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:43:00.34 ID:lmzd11740 しばらくして相手は弾丸をこちらに撃ち込んできた。 だがあちらは自分の正確な位置は把握していないためか、 どの銃弾も自分からかなり離れた場所に着弾している。 しかしこちらも相手の発砲からスタンドが場所を割り出し、 正確に狙撃しているはずなのだが、ヒットする感触はまるで無かった。 互いが当たらない銃撃戦を繰り広げて五分が過ぎようとした頃に、 葛西はあちらに二人しかいないことに気付いた。 *** 24 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:45:58.85 ID:lmzd11740 *** 富竹「チェックメイトだよ。銃から離れてください」 富竹はうつ伏せになりスコープを覗いている葛西の背中に 銃口を向けながら言った。 葛西「…ここまで林の中を抜けてきたんですね」 富竹「ああ」 葛西「ということは…あちらで撃っているのは    あなたでなく詩音さんでしたか」 富竹「ああ。スペアの銃を持たせたんだ。    その隙に僕がここまで来たわけさ」 葛西「なるほど…」 富竹「観測手がいなかくて状況の把握ができなかったことが敗因だね。    さあ、銃を置いて両手を頭の後ろで組むんだ」 葛西「…」 25 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:46:58.63 ID:lmzd11740 葛西は黙ってうつ伏せのまま両手を頭の後ろで組んだ。 No.5「…アイツノライフル、ナンカオカシクナイカ?」 No.6「ハァ?ドコモオカシクナイジャアナイカ」 No.5「ダッテ、サッキマデ銃声ガシテタノニ…    サイレンサーガツイテルンダゼ?」 富竹はそう言われて葛西のライフルの銃口を見ると、 たしかにサイレンサーが付いていた。 富竹「…ま、まさか!?いかん!ピストルズ!」 26 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:49:21.74 ID:lmzd11740 葛西「もう遅いですよ」 富竹「弾をッ!」 葛西は富竹がここに来ることを前もって予測し、 衛星スタンドに弾丸を撃ち込んでおいた。 サイレンサーによって発射音を消し悟られないように、 自分の背後にくる予定の富竹を狙って。 葛西「間に合いません」 27 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:49:56.72 ID:lmzd11740 ドスッ 富竹「うぐっ…」 富竹の腹部が銃弾によって貫かれる。 それを見た葛西が林に残る二人に意識を向けた瞬間、 No.5・No.6「イッケエエエエ!!」 葛西「!?」 28 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:51:29.17 ID:lmzd11740 ギュウン! 富竹を貫通した弾丸はNo.5、No.6により進路を変え再び発射された。 弾丸は葛西の心臓を貫いた。 葛西「バカな…」 富竹「な、ナイスだ…ピストルズ」 No.5「ジロウ!イキテルカ!?」 富竹「く…ちょっと、きついかな」 No.6「チクショォー、シヌナヨ!」 富竹「ははは…これは、ダブルノックアウト…か」 No.6「ジロォォォーー!」 30 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:54:11.01 ID:lmzd11740 …。 ぺし、ぺし 富竹「…あれ、ここは…天国か?い、いたたた!」 詩音「あ、目覚ました」 梨花「本当ですか!」 詩音「私の愛のビンタのおかげですね」 富竹「ここはさっきの…君達、ここまで来てくれたのか」 31 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:56:57.06 ID:lmzd11740 詩音「はい。衛星スタンドが消えて、    しばらくしてこの子達がここへ先導してくれたんです」 No.5「オレタチガツレテキタンダゼ」 富竹「そうだったのか、ありがとうピストルズ…あつつっ…」 詩音「腹の傷、いちおう包帯は持ってたんで巻いておきましたが、    このままじゃ危険です」 富竹の腹に巻かれた包帯には既にかなりの血がにじんでいる。 富竹「…診療所へ行こう。あそこなら応急処置ができるだろうし…」 詩音「そうですね」 32 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:57:32.86 ID:lmzd11740 梨花「富竹、歩けますか」 富竹「ああ、なんとかね。あいたた…」 梨花「詩音、肩を貸してあげてください」 詩音「…すいません、お二人で先行っててください」 33 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:58:09.41 ID:lmzd11740 梨花「え?…」 富竹は詩音の顔を見て理解した。 詩音が葛西を見ていたからだ。 富竹「…わかった。行こう、梨花ちゃん」 梨花「詩音…」 詩音「すぐ追いつきますからね」 34 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/02(火) 23:58:58.43 ID:lmzd11740 詩音「やっぱり、葛西だったんだね」 詩音「…ごめんね、今は急いでるからお墓は作ってあげられない」 詩音「でも、もうすぐあんたの好きな日の出が見れるよ」 詩音「ここからなら、ちょうどあっちの山から綺麗に見える」 詩音「だから、今はこのまま」 詩音「また、戻ってくるから。朝日が昇る頃に」 葛西に背を向け、日の出る方向へ詩音は走り出した。 *** 35 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:03:17.28 ID:x2mgxxO10 *** 圭一「さすがに山道に敵は潜んで無かったですね」 入江「ええ。こちらなら容易に診療所までいけそうですね」 レナ「…銃声が聞こえたけど梨花ちゃん達、大丈夫かな、かな」 圭一「心配すんなよ。    詩音や梨花ちゃんがそう簡単にやられるかっての」 36 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:05:39.40 ID:x2mgxxO10 レナ「うん…あ、富竹さんがはいってないよ」 圭一「あ、…たぶんあの人も大丈夫だよ」 レナ「たぶんって、圭一くんひどいー」 入江「さぁ、そろそろ診療所に近づいてきましたよ。    気を引き締めていきましょう」 37 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:07:54.92 ID:x2mgxxO10 圭一「…あ、レナ。ちょっといいか」 レナ「なにかな、かな」 圭一「これ、持っててくれないか」 レナ「え…500円玉?」 圭一「ああ。間違えて持ってきたらしい。    俺の能力は硬貨だったらなんでもいいんだけど、    なんでか500円玉だけはダメなんだ」 38 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:09:59.33 ID:x2mgxxO10 レナ「あはは。間違えて持ってくるなんて圭一くんらしいね」 圭一「ああ、ドジったぜ」 レナ「……ねぇ、この戦いが終わったら、    この500円でなにかご馳走してよ」 圭一「はぁ?それじゃレナにその500円あげるようなもんじゃねえか」 レナ「だめかな、かな…はぅ」 39 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:11:42.63 ID:x2mgxxO10 圭一「…しょうがないな。いいぜ」 レナ「やったぁ!それじゃあエンジェルモートのパフェね。    前から食べてみたかったんだ〜」 圭一「俺の貴重なこづかい…なくしたり落としたりするなよ」 レナ「わかってる!約束だよ圭一くん!」 40 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:13:14.28 ID:x2mgxxO10 入江「さ、もうすぐ診療所の裏です」 レナ「あ…あの駐車場のところ、誰かいる」 圭一「あれは…魅音…俺たちを待っていたのか?」 魅音は広い駐車場に誰かを待っているかのように一人佇んでいた。 入江「どうします?」 圭一「…とにかく行ってみよう」 41 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:15:43.42 ID:x2mgxxO10 魅音「…お、やっときたね。待ちくたびれたよ」 圭一「魅音…なにやってるんだ?こんなところで」 魅音「なにやってるとは随分だねぇ。    あんた達を待ってたに決まってるじゃない」 圭一「もしかして俺たちの仲間になってくれるのか?    だったら大歓迎だぜ」 魅音「へっ、冗談はやめてよ」 圭一「…そうか、そりゃ残念」 魅音「あんた達、ここのダクトから忍び込もうって魂胆でしょ」 42 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:16:58.18 ID:x2mgxxO10 圭一「ほぉ。俺たちの潜入ルートも予測済みかよ」 魅音「四コマ漫画のオチを予想するよりよっぽど簡単だよ」 圭一「はは。さすが部長」 魅音「部長か…ああ、部活やってたころが懐かしいねぇ」 圭一「今も部活みたいなもんだろ」 魅音「…そうだね。それも生きるか死ぬか、最高の舞台だ」 圭一「ああ、そうさ」 43 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:17:43.74 ID:x2mgxxO10 魅音「圭ちゃんが私の相手かい?    三人いっぺんにかかってきたほうがいいと思うよ」 圭一「俺一人で充分さ…ところでお前、そんな物騒なもん使えるのかよ」 魅音「え、ああこの刀?小さい頃からばっちゃに鍛えられてきたからね。    あんた達をすぐこの刀の錆にするくらいには使えるよ」 圭一「ほぉーおもしれぇ、やれるもんならやってみな」 俺は魅音と対峙するため一歩前へ出ようとしたが、 レナ「相手が違うよ圭一くん」 45 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:19:29.74 ID:x2mgxxO10 圭一「…レナ」 レナ「あんな格下、圭一くんが相手するまでもない」 魅音「…へぇ。言ってくれるね」 レナ「二人は先に行ってて。魅ぃちゃんは私がなんとかする」 圭一「何言ってんだ、俺も戦う」 レナ「ここに魅ぃちゃん一人しか守りがいないってことは、    私達が潜入することはまだ知られてはいない。    でもそろそろ本格的に戦力が動員されるはず。    そうなる前に鷹野さんの元へいかなきゃいけない。    そのためには三人ここで魅ぃちゃんの相手をしているわけにはいかないでしょう」 46 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:21:21.98 ID:x2mgxxO10 圭一「だ、だけど」 レナ「…圭一くんが転校してくる前はね、    私には魅ぃちゃんしか同年代がいなかったでしょ。    だから、本当にいつも、何をするときも魅ぃちゃんと一緒だった。    うん、親友だね」 圭一「レナ…」 レナ「だから、魅ぃちゃんは…彼女は、私に止めさせて」 47 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:23:02.16 ID:x2mgxxO10 圭一「…わかった」 魅音「はやくしてくれないかなぁ、退屈なんだけど」 圭一「入江先生、ここはレナにまかせて行きましょう」 俺と入江先生が魅音の脇を走りぬけ、後ろのダクトへと向かう。 魅音「行かせるかっての!」 49 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:25:25.75 ID:x2mgxxO10 …。 礼奈「魅ぃちゃんの相手は私だよ」 魅音「っ!?」 キィンッ 魅音が圭一達を止めようとした一瞬の隙に、 礼奈は魅音の目前まで迫り、鉈を振り下ろしていた。 それを間一髪で魅音は止めていた。 その隙に圭一と入江はダクトの中へと入っていく。 魅音は再び礼奈から離れ、間合いを取る。 魅音「あちゃ、行かせちゃったか」 礼奈「番人失格だね」 50 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:27:31.36 ID:x2mgxxO10 魅音「しかし、そうか。今のが"時を止める能力"か。    たしかに恐ろしい能力だねぇ」 礼奈「…」 魅音「聞いてなかったら危なかった」 礼奈「いいの?圭一くんたちを行かせちゃって」 魅音「アンタに背を向けるほど命知らずじゃないんでね」 礼奈「私の能力を知ってて立ち向かうのも命知らずだと思うな」 51 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:29:13.03 ID:x2mgxxO10 魅音「ちゃんと相手をすればそうでもないよ」 礼奈「随分な自信だね。試しにやってみていい?」 魅音「やってみな」 …。 ブォン! 礼奈「…!?」 礼奈が振り下ろした鉈は空を切った。 52 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:30:50.73 ID:x2mgxxO10 魅音「ほーら、無駄だったでしょ」 魅音はレナが鉈を振るったところから2mほど離れたところにいた 魅音「見事な空振りだったねぇ。ちょっと風がきたよ」 礼奈「…魅ぃちゃん、なにか能力使った?」 魅音「あんた程度に私の能力なんか使わないよ」 53 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:32:06.55 ID:x2mgxxO10 礼奈「へぇ。じゃあどうしてよけれたんだろ」 魅音「…あんたの能力、もう全部わかったから」 礼奈「…どういうことかな」 魅音「時を止め、自分だけがその時が止まった世界で動ける能力」 礼奈「…」 54 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:34:55.76 ID:x2mgxxO10 魅音「でも時を止めるってことは当然音や光も停止する。    つまり何も見えないし聞こえない。    あんたの創り出す世界は、ただ地面を歩く感触しかない    真っ暗で孤独な世界なんだ」 礼奈「…へぇ、どうしてそう思う?」 魅音「最初、あんたが圭ちゃんたちを行かせようと    時を止めて私に近づき鉈を振り下ろす瞬間、    私の姿を目一瞬見失ってたからね。。    そりゃあ5mも離れた相手の元に何も見えない、聞こえない状態で近づいて    正確に鉈を当てるのは難しい」 礼奈「…」 魅音「そして5mという距離を近づき私に一撃しか入れられないのを    考慮すると、あんたが時をとめられる時間はせいぜい2、3秒ってとこかな」 礼奈「…さすが魅ぃちゃん、いい観察眼だよ」 55 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:36:50.41 ID:x2mgxxO10 魅音「あんたみたいな格下に言われても嬉しくないなぁ」 礼奈「格下かどうか、思い知らせてあげる」 …。 ブンッ 魅音「だから無駄だっていってんじゃん!」 再度レナは時を止め魅音に鉈を一閃するも、 同じように再び魅音に避けられる。 56 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:38:52.44 ID:x2mgxxO10 キィン 振り下ろした鉈を魅音が刀で弾き飛ばす。 鉈はレナの手から離れ飛んでいった。 礼奈「…リナさんよりは楽しめそうだね」 57 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:42:44.71 ID:x2mgxxO10 __________ 魅音「(やっぱりだ。あれは時を止めるサイン…)」 魅音が言うように、時を止めると礼奈は光も音も無い状態になること、 時を止められるのはせいぜい2、3秒であることは当たっていた。 そして魅音はそれ以上に礼奈の時を止める能力の最大の弱点を見つけていた。 それは時を止める瞬間に一瞬だけ礼奈のスタンド像が現れることだ。 それが礼奈のクセなのか能力の特徴なのかはわからないが、 魅音はスタンドが見えた瞬間に今いる場所から離れさえすれば 攻撃を回避できるのだった。 58 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:44:08.18 ID:x2mgxxO10 つまり礼奈と一定の距離をあけ、時を止めるサインをしっかりと確認すれば 魅音にとって対処は簡単だった。 そして礼奈が鉈という得物を失ったことで、 次はスタンドで攻撃してくるはずと予想する。 礼奈のもつスタンドが時を止めるというずば抜けた能力もさることながら 近距離での格闘能力も秀でていることは既に報告を受けていた。 時を止め自分に近づきスタンドで攻撃してきたとき、 これが魅音の狙うチャンスだった。 魅音「(この間合いで不用意に飛び込んでも、    時を止められて反撃を食らうからね…)」 ___________ 59 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:44:59.10 ID:x2mgxxO10 礼奈「…なんだか、私が時を止めるタイミングまでわかってるみたいだね」 魅音「まぁね。よくわかるよ」 礼奈「なにか、サインでも見つけたのかな」 魅音「さぁね」 礼奈「…はぁ、だから格下なんだよ魅ぃちゃん」 60 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:47:01.03 ID:x2mgxxO10 魅音「なにを今更」 礼奈「時を止める瞬間にスタンドを出すことでしょ」 魅音「!?」 …。 なんの前触れも無く時は止められた。 61 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:48:11.74 ID:x2mgxxO10 *** 魅ぃちゃん、私が時を止める瞬間だけ必ずスタンドを 見せるなんて、そんな間抜けなことするわけないでしょ。 もちろんわざと。芝居だよ。 近距離での戦闘は魅ぃちゃんのスピードにはついていけそうもないし、 隙をついて一撃でしとめなくちゃね。 …あと一歩で魅ぃちゃんの目の前。一歩を踏みしめる。 62 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:48:57.59 ID:x2mgxxO10 この暗闇の世界だからわからないけど、 私の目の前には魅ぃちゃんが驚いた顔で立っているんだろうな。 私のスタンドで、心臓をきれいに貫いてあげる。 私も魅ぃちゃんの汚い死体は見たくない。 心臓だけ繰り抜いて、あとは綺麗な体のまま死なせてあげる。 礼奈「…じゃあね、魅ぃちゃん」 スタンドの腕が魅音の心臓を貫く。 心臓の感触はなかった。 *** 63 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:49:44.92 ID:x2mgxxO10 礼奈「…え?」 時が動き出し、礼奈の視界が戻った。 礼奈のスタンドの腕はたしかに魅音の心臓があるべき場所を貫いていた。 礼奈「ジッパー…?」 腕は魅音の胸にある開いたジッパーのなかの 空間に吸い込まれていた。 礼奈「な、なにこれ…」 魅音「うりゃああっ!」 64 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:50:35.55 ID:x2mgxxO10 ザシュッ 礼奈「あああああああ!!」 礼奈の右足の膝から下が宙に舞う。 魅音の居合いによって切断されたのだった。 礼奈「ううう…くっ…」 魅音「やっぱりね。スタンドを出すなんてあんな露骨なサイン、    罠だと思ったよ」 65 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:51:46.33 ID:x2mgxxO10 礼奈の足から大量の血が流れ出ていく。 このままでは長くないことを悟った。 レナ「さ、最初から、わかって…たの?」 魅音「途中からだよ。まさかと思ってね」 レナ「い、今のが魅ぃちゃんの…能力なの?」 魅音「うん。あんたが時を止める前に胸のジッパーを開いて空間を作って    おいたってわけ」 レナ「なんで、心臓を狙うって、わかったの?」 魅音「あんたの性格と、勘だね」 66 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:52:39.78 ID:x2mgxxO10 レナ「…どうして、ひとおもいに、殺さないの?」 魅音「足がなけりゃ私のとこまでこれないじゃん。    それにその出血じゃ、あと5分と持たないでしょ…    さ、冥土の土産はこんなもんでいいかい?次はあの二人を    相手しなきゃいけないんでね」 礼奈「うん、もう十分だよ」 …。 ズブッ 魅音「……はっ……くぅ…」 礼奈「甘いんだよ、魅ぃちゃんは…」 魅音の胸には先端の尖った木が深々と突き刺さっていた。 67 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:53:32.64 ID:x2mgxxO10 魅音「…油断したねぇ…こりゃあ、レナの仕業か…」 礼奈「うん…かぁいくないものに変えたのはこれが初めてだって」 魅音「無生物を、生物に変える能力か…」 68 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:56:08.10 ID:x2mgxxO10 魅音は診療所の壁までよたよたと歩き、 壁に背をつけそのまま地面に尻をつけた。 二人はもう長くない。せめて最後の会話を、 それだけのために踏ん張っていた。 魅音「あたしが話してるときにこれを作ってたのか…    そして時を止めて、スタンドで投げたんだね…」 礼奈「うん、冥土の土産のお返し」 69 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:56:55.80 ID:x2mgxxO10 魅音「こんなのいらなかったよ…はぁ…なにを木に、変えたのさ…」 礼奈「…秘密だって。残念だね」 魅音「くそ、最初から、2対1だったなんて卑怯だ…」 礼奈「最大限勝てる努力を、でしょ」 魅音「はは、そっか。そうだった。忘れてたよ。    おじさんだし…もうボケてきたみたい…あんたの顔も、ぼけてきた…」 礼奈「私もほとんど、見えないよ」 70 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 00:59:06.65 ID:x2mgxxO10 魅音「ねぇ礼奈…最後の、お願いなんだけど、    レナに、変わってくれないかな。    あいつに、言いたいことが、あるんだ…」 レナ「…なに、魅ぃちゃん」 魅音「…レナのばーか」 レナ「…魅音のばーか」 魅音「…はは……」 魅音は満足そうに目を閉じた。 71 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 01:00:54.51 ID:x2mgxxO10 レナ「圭一くん、ごめんね。…500円玉、使っちゃった。    木に、なっちゃった。エンジェルモートのパフェ、残念だな…    先に、魅ぃちゃんと行ってるね………」 うすれていく意識の中、レナが最後に見たのはきれいな日の出だった。 *** 72 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 01:01:59.42 ID:x2mgxxO10 *** 鹿骨市にある園崎組本家では、早朝にもかかわらず 葛西からの連絡を受けたことでてんやわんやな状態だった。 まさかこんなにも早く診療所に攻め込まれるとは思っていなかったからである。 鷹野との取り決めで、診療所が攻められた時は すぐに救援を送るように言われていた園崎茜は組員の指示に追われていた。 茜「あんた達は車で診療所へいきな!そっちは待機組だ」 組員「はい!」 茜「あんたたち、わかってるんだろうね。   鷹野嬢になんかあったらただじゃおかないよ!」 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/03(水) 01:02:48.62 ID:x2mgxxO10 診療所へ行く組員達は庭に止めてある黒塗りの車に乗り込む。 組員1「ん…この車後ろボコボコじゃないか。     だれかぶつけたのか?トランクのとこ。     …他の車もへこんでるぞ。イタズラか?」 組員2「今は車のことより早く出よう。茜さんにどやされるぞ」 組員1「そうだな。俺が運転する。乗れ」 74 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 01:04:04.35 ID:x2mgxxO10 三台の車に組員は三人ずつ乗り、 診療所へ向かうため一斉に走り出した。 大石「んふ…解除」 組員1「ん?うおおお!!!」 グシャアッ! ガンッ グシャン! 大石「おやおや、前の林に突っ込んじゃいましたね。    だめですよう。発進にそんなスピードだしちゃ    …あちゃー。こりゃ即死ですね」 三台の車はまるでミサイルのように発進し、全て前方の木に衝突した。 75 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 01:06:41.88 ID:x2mgxxO10 衝突音を聞きつけて中から組員が出てきた。 組員3「な、なんだこりゃ…車が木に衝突してる…ひでえ」 組員4「診療所に行く組が全滅…なにがあったんだ?」 組員3「!?誰だお前!」 大石「ありゃりゃ、みつかっちゃいました」 言葉とは裏腹に大石は慌てることも無くタバコをふかしている。 76 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 01:09:29.86 ID:x2mgxxO10 組員3「これはお前の仕業か?」 大石「なんでも人のせいにしないでくださいよ。    まぁそうですけどね」 組員4「そうかい。なら死ね!」 組員4は懐から拳銃を抜き大石に向かって構える。 組員3「お、おい。あいつのまわりに、なんか浮いてないか…」 組員4「なに?…あれは、石?」 78 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 01:10:30.33 ID:x2mgxxO10 大石の周りにはいくつもの石が浮いていた。 漂っているというよりはそこに固定されているように浮いていた。 大石「こないなら私からいきますよ?…解除です」 ヒュッ その固定されていたひとつひとつの石が、 まるで銃弾のように組員に向かって飛んでいく 組員3「がぁ…」 組員4「う…」 石は二人の体にさんざん命中する。 大石「ふう、骨折程度ですんでよかったですね」 79 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 01:11:25.58 ID:x2mgxxO10 茜と待機組の組員は大広間にて診療所の状況の把握に追われていた。 葛西の連絡は一度きりで、なんの音沙汰も無かった。 更に組員を向かわせたほうがいいのか悩んでいた茜の元に、組員が 大広間の扉を開け、すごい形相で駆けつけてきた。 組員5「た、大変です、茜さん!討ち入りです!」 茜「討ち入りだって!?…相手はどこのシマだい」 組員5「それが…相手はあの警察の大石蔵人です」 茜「大石?あんな刑事一人に手こずってんのかい」 80 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 01:13:35.85 ID:x2mgxxO10 組員5「そ、それが大石は能力者でして、     しかもスタンドをもっています!」 茜「あいつがスタンド使いだったとはねぇ…被害は?」 組員5「…診療所へ行く組が全滅しました」 茜「…なんだって?あの大石がそこまでやるとはね…   私が直接行くよ」 組員5「気をつけてください。あいつの能力は…」 茜「ああ、どんなんだった?」 組員5「…うぎ、あああ!」 82 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 01:17:35.84 ID:x2mgxxO10 急に喉もとを両手で押さえ組員は苦しみだした。 茜「おい、どうしたんだい!」 組員6「…う、ぐああ……」 組員7「があああ…ああ…」 大広間にいた他の組員達も それに連鎖されるように苦しみだした。 茜「こ、これは…どういうこと?」 組員5「う、…うぉえ…」 カラン 茜「…ハサミ?」 83 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 01:19:23.05 ID:x2mgxxO10 最初に苦しみだした組員は口からハサミを吐き出し、 そして気を失ったかのように倒れた。 他の組員達も口からハサミを吐いていた。 中にはカミソリ、釘などを吐いている組員もいた。 茜「これは…あんたの仕業かい?…   さっきからそこで見ているやつ」 茜は組員が駆けつけたときに開け放たれたふすまを見据えながら言う。 すると白いふすまから徐々に人の姿が現れてくる 赤坂「……」 85 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 01:21:49.49 ID:x2mgxxO10 茜「これはあんたの仕業か。鉄を操る…奇怪な能力だねぇ」 赤坂「砂鉄の保護色で偽装したつもりだったんだが、なぜわかった」 茜「そんな殺気ギラギラさせて入ってきちゃあ   見つけてくれといってるようなもんじゃないか」 赤坂「…さすが鹿骨の鬼姫」 茜「あんた、どっかで見たことあると思ったら…   警視庁の公安第六課、通称能力犯罪課の赤坂衛ともあろう方が   私をご存知とはねぇ、光栄だよ」 赤坂「…それはこっちの台詞だ」 86 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 01:23:07.50 ID:x2mgxxO10 茜「ウチの連中になにをしたんだい」 赤坂「少し体内の鉄を抜いただけだ。死にはしない」 茜「鉄ね…」 赤坂「しかし妙だな。あなたも吐き出すように仕向けたんだが…」 茜「…」 赤坂「…体内にスタンドを潜行させて防いでいるのか」 茜「そう思うかい?」 赤坂「確かめてみよう」 87 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 01:23:58.72 ID:x2mgxxO10 フワッ 組員達が吐き出したハサミやカミソリ、釘などが宙に浮く。 茜「…これで私を滅多刺しって寸法?」 赤坂「理解が早くて助かる」 それら凶器が茜めがけて一斉に飛んでいく。 88 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 01:25:01.78 ID:x2mgxxO10 茜「ハッ!」 茜は紙一重で天井の隅まで飛び退きこれを回避する。 赤坂「…この跳躍力、人間では不可能だ。    やはりスタンドが体内にいるのか」 茜「ハァッ!」 茜は空中で壁を蹴り、抜刀の構えのまま赤坂へと突進する。 赤坂は腰に携帯していた特殊警棒を抜き刀を受け止める姿勢に入る。 89 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 01:26:04.58 ID:x2mgxxO10 赤坂の目の前まで迫った茜が、右手を振るう。 しかしその右手の先に刀はなかった。 赤坂「なに!?」 茜は右手で警棒を掴み、体内に潜行させたスタンドに抜刀させた。 スタンドによって振るわれる刃が赤坂のわき腹に食い込む。 赤坂「ぐっ…」 91 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 01:26:56.44 ID:x2mgxxO10 しかし刃はそれ以上進むことはなく、赤坂のわき腹で止まる。 茜「ふん…防刃ベストか」 赤坂「くっ」 赤坂は茜から離れ間合いを取る。 93 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 01:29:13.92 ID:x2mgxxO10 赤坂「…右手はフェイク、体内のスタンドに抜刀させるとは」 茜「アタシの常套手段さ。   今まで成功率百パーセントだったんだけどねぇ」 赤坂「それじゃもう一度やってみたらどうだ。今度は首を狙って」 茜「はは、アンタおもしろいね。   久しぶりだよ。こんなに熱くなったのは」 赤坂「…」 再び二人は対峙する。 94 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 01:30:12.18 ID:x2mgxxO10 そこへどたどたと足音をならせ大石が大広間へ入ってきた。 大石「はいお二人ともそこまで。赤坂さん、もう十分です」 赤坂「大石さん…」 大石「もうすぐここにも援軍が押し寄せるでしょう。その前に退きます」 大石に止められ赤坂は緊張を解く。 茜「大石…今いいところなんだ。邪魔しないでくれるかい」 大石「そうもいきません。充分暴れましたしね。帰らせていただきますよ」 95 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 01:31:27.65 ID:x2mgxxO10 茜「…待ちな!まだ勝負はついてないよ、赤坂衛!」 大石「あ、後ろ、気をつけてください」 茜「!?」 茜が後ろを見るとさき避けて壁に突き刺さっていた凶器が 再び茜を狙って飛んでくる。 茜「くっ…」 それを避けて赤坂達のほうへ振り返るころには、 既に赤坂達の姿は無かった。 茜「くそっ!!」 *** 96 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 01:32:32.69 ID:x2mgxxO10 *** 鷹野は予想よりかなり早い敵の侵攻に焦っていた。 しかも救援を求めようと園崎に連絡をしたが何故か繋がらない。 鷹野「本当に連絡はつかないの!?」 鳳7「はい…園崎との連絡、つながりません」 鷹野「なんなのよ!…肝心なところで使えないわね」 小此木「まぁ落ち着いてください三佐。監視カメラの映像を見る限り     侵入者はガキばかりに入江先生と富竹二佐ですよ。     二佐は用心しなければいけませんが、他は私達山狗がなんとかしますよ     それに園崎から先行して送られた助っ人もいますし」 98 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 01:33:49.37 ID:x2mgxxO10 鷹野「能力者を舐めないことね。    それに山狗は防諜部隊じゃない。戦闘にはむかないんでしょう」 小此木「そんじょそこらのガキに負けるほどやわじゃないですよ。」 鷹野「そう…一応聞いておくけど、戦闘に長けた隊員は今日は何人いるの」 小此木「えーっと、雲雀1、2は今日休みで、3は夜勤、4は東京本部に行ってましてね」 鷹野「…つまりあなた一人ってじゃない」 99 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 01:35:17.91 ID:x2mgxxO10 小此木「ま、私一人でも余裕です。     三佐はここでゆっくりしててください」 鷹野「小此木あなた、なんだか嬉しそうね」 小此木「久々に腕をふるえそうな場面なんでね」 鷹野「…とにかくあっちがなにを目的に攻めてくるのか知らないけど、    ここまで来させないでね。頼んだわよ」 小此木「ええ。任せてください」 100 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 01:36:20.73 ID:x2mgxxO10 鷹野は簡易司令室を出て自分の研究室へと篭る。 鷹野「(一体どういうこと…なぜここに侵入するのかしら。    そして入江先生まであっちに。…まさか私の研究を邪魔するつもり?    なにかこそこそしていると思ったらこういうことだったのね。    あの若造…だとしたら、させないわよ。絶対に)」 鷹野三四の焦燥・終 102 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 01:38:13.83 ID:x2mgxxO10 支援してくださった方、見てくださった方 これで鷹野三四の焦燥は終わりです。本当にありがとうございました。 あなたがたが神か。 104 名前: ◆7LsipGI0Aw [] 投稿日:2008/09/03(水) 01:41:18.78 ID:x2mgxxO10 あと一章で終わる予定です。 次は明後日か明々後日に立てられると思うので もしよろしければ検索してみてください。