キョンが修造ばりに熱くなったようです 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 04:49:38.89 ID:KCeVJsyJ0 「よぉハルヒ!今日も暑いな!」 まだ人気の少ない教室にあいつの声が響く。机に寝そべり、夏の暑さにうなだれていた私は気だるげに答える。 「このクソ暑いのに、あんた妙に元気ね・・・」 「馬鹿野郎!この暑いのに元気でなくてどうする!」 「何言ってんのよバカキョン。あんたいつも夏は暑いから嫌だって言ってたじゃない。暑さで頭やられちゃったの?」 頭にそんな疑問符を浮かべながら、私は暑さに抵抗するように顔を上げた。 目の前にはいつも通りのキョンが・・・あれ?何だか雰囲気が違うわね。 何というか・・・普段のように目が死んでないというか。むしろ目が燃えているというか。 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 04:53:23.53 ID:KCeVJsyJ0 「お前こそ暑さで頭やられちまったのか?俺がどんだけ夏を待ちわびていたか知ってるだろ!海!プール!水着!綺麗なお姉さん!」 「は、はぁ?」 「食い物だって最高だ!スイカ!焼きそば!カキ氷!綺麗なお姉さん!」 「ちょ、ちょっとキョン?」 「夏万歳!今年もSOS団で海行くぞ!綺麗なお姉さん!」 「あんたホントにどうしちゃったの?」 「というわけで俺は寝る!SOS団の活動に備えなきゃな!今日もハードなんだろ!」 そう言い終わるや否や、キョンは机に突っ伏してしまった。 叩けども罵ろうども微動だにしない所、本当に寝てしまったのだろう。 「・・・」 ちょっと、何なのこれ?全然意味分かんない。やっぱり暑さでやられちゃったのかしら。 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 04:59:15.01 ID:KCeVJsyJ0 朝のキョンのテンションには不覚にも圧倒されてしまったけど、授業中のキョンは至って静かなものだった。 そりゃそうよね、1限から5限まで寝通しだもの。でも、いくら寝ると宣言したといえ、一秒たりとも目を覚まさないなんてこいつは筋金入りの バカね。 全く、学業を怠るなんて団員としての自覚が足りないのよ、このバカキョン。バカの二乗よ。大バカ。 まぁ、かく言う私も授業中は寝てばかりなんだけど。大体、退屈な授業ばっかする教師にも責任があるのよね。 日本の将来を担う若者を育てる存在なのに、教師がこの体たらくじゃこの国の未来も知れたもんね。 しかし今日のキョンは何をしても起きなかったわね。普段のキョンならシャーペンで首筋をつつけば一発で起きるのに。 全く、昨日どれだけ夜更かししたか知らないけど、これだけ鈍いのも一種の才能ね。 それに朝キョンが言ってたことも気になるわね。SOS団の活動がハード?何言ってるのかしら? そりゃあ野球大会の練習はハードだったし、多丸さんの別荘での状況もハードといえばハードだったけど・・・。 普段のSOS団の活動はお世辞にもハードとは言えないもんよ。団長の私が言うのもアレだけど。 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 05:01:50.22 ID:KCeVJsyJ0 私がそんな疑問を頭の中に巡らせていると、いきなり目の前の大バカが目を覚ました。いや、これは目を覚ますというよりは飛び上がると 言った方がいいわね。ガタンと耳障りな音を立てて、キョンがいきなり立ち上がったのだった。 「どっ、どうしたのよ急に!?」 「ハルヒ!授業は終わったか!?」 「終わったわよ。あんた昼食も取らずによくもまぁあれだけ寝られるもんね」 「そうか!終わったか!よし!部室行くぞ!」 「ちょっ!」 私が何か言いかけるのも無視して、キョンは私の手を取り、今は亡き文芸部の部室へとまっしぐらに驀進するのだった。 まるで去年の春に私がキョンにしたことのように。 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 05:05:20.47 ID:KCeVJsyJ0 「待たせたな!」 キョンは威勢よく部室のドアを開け放ち、普段からは考えられないような声でその言葉を放つのだった。 「ちょっとキョン!それは私の台詞よ!」 「うるせぇ!細かいことは気にすんな!」 そんなやり取りをしている私達を、部室の中にいた団員達は呆気に取られたように見ていた。 「・・・ふぇ?」 「・・・」 「・・・」 そんなのお構いなし、といった風に、キョンはズケズケと部室の中に足を進めていく。 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 05:07:45.13 ID:KCeVJsyJ0 「朝比奈さん、今日も暑いですね!せっかくなんでお茶もらえますか!熱いやつ!」 「お、お茶ですか?キ、キョンくん?」 みくるちゃんは事態が飲み込めていないようね。まぁそれは私も同じなんだけど。 それにこの暑い中お茶を頼むってどういう事なのかしら・・・。 「おお長門!今日も読書熱心だな!」 「・・・そう」 有希は流石に冷静だわね。でもちょっと戸惑ってるのかしら? 「よぅ古泉!お前は暑くても笑顔を崩さんな!いいことだ!」 「はぁ・・・ありがとうございます」 流石の古泉くんも笑顔が不自然ね。口元が強張ってるわよ。 やっぱりみんなキョンの変貌に戸惑ってるのね。これはキョンには本格的な治療が必要ね。 そんな下らない観察をしていると、突然キョンが声を上げた。 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 05:08:33.67 ID:KCeVJsyJ0 「よし!みんな揃ったな!」 「ちょっとキョン、団長は私よ!平のくせに勝手に仕切ってるんじゃないわよ」 「だから細かい事は気にすんな団長!」 「あんた朝からおかしいわよ?病院行った方がいいんじゃないの?」 「失礼なことを言うな!俺のどこがおかしいんだ!俺は至って正常だろうが!」 いや、明らかにおかしいわよあんた・・・。そんな私の言葉も意にせず、キョンは話を進めていく。 「今日もSOS団始めるぞ!行くぞお前ら!エスオーエス、ファイ!」 「・・・」 有希を除いた誰もが口をポカンと開けていた。な、何なの、この体育会系的な掛け声は・・・。 33 名前:1[] 投稿日:2008/08/17(日) 14:17:09.85 ID:VPwF3IT+0 「おいおい!どうしたお前ら!気合が足りてないんじゃないか!?SOS団員としての自覚も足りてないぞ!」 まさかキョンの口からこんな言葉を聞けるとはね。団長としては嬉しいことだけど、何だか素直に喜べないわね。 今日は一体何回こいつに困惑させられなければいけないんだろう。そう思うと何だかため息が出てくる。 みくるちゃんや古泉くんにさっきの珍妙な掛け声に対する返事を求め続けるキョンに向かって、私は問いかけた。 「・・・で、あんた、これから一体何をする気なのよ」 「ん?そうだな!今日はだな・・・」 何だか嫌な予感しかしないわ。きっとみんなも同じことを思ってるんでしょうけど。 「−−−テニスをするぞ!!」 38 名前:1[] 投稿日:2008/08/17(日) 14:27:58.28 ID:VPwF3IT+0 「ふーん、テニスねぇ・・・って、テニス!?」 「そうだ!さっさと支度しろ!今日もハードだぞ!」 あぁ、ハードってこういう事なのね。また一つ謎が解けたわ。 大方こいつは昨日スポ根漫画でも読んだのね。バカなキョンのことだから、すぐに影響されちゃったと。 全く、影響されるのはいいけど周囲にまでその影響を及ぼさないで欲しいわね。まぁ、面白そうだから少しは付き合ってあげてもいいかしら。それに、強引なキョンってのも・・・案外、悪くはないかも。 「分かったわ!それじゃあちゃっちゃとやりましょ!」 「す、涼宮さん!?」 みくるちゃんと古泉くんが同時に声を上げる。まぁいいじゃないの。たまには身体を動かさないといざって時に動けないもんよ。みくるちゃんもそのスタイルを維持しなきゃいけないんだし、古泉くんだってゲームばかりじゃ将来太っちゃうわよ? 「・・・涼宮さんがそう言うのなら仕方がありませんね。確かに一理あります」 「ふ、ふぇええ・・・。でも私、運動音痴ですし・・・」 「「つべこべ言うんじゃない(の)!!」」 今度は私とキョンが同時に声を上げる番だった。 39 名前:1[] 投稿日:2008/08/17(日) 14:37:55.13 ID:VPwF3IT+0 「ハルヒ!お前はもっと出来るだろ!?熱くなれよ!」 今現在、私たちはテニスとは名ばかりの、キョン主導による地獄の特訓を課されている。 「甘えてるんじゃないのか!?お前はやれば出来る!熱くなれよ!」 そう叫びながら左右にサービスエースを打ち込むキョン。こいつ、こんなにテニス上手かったのね・・・。意外な一面だわ。 しかし、そんなことに悠長に感心している場合ではなかった。 「何ボーッとしてんだよハルヒ!集中しなきゃ試合には勝てないんだぞ!熱くなれよ!」 「あ痛っ」 あまりに激しい左右の反復行動についていけず、私は転んでしまった。しかし・・・疲れるわねこれ・・・。 みくるちゃんはキョンの凄い剣幕に泣き出しちゃったし、古泉くんは「笑顔でテニスをやるな」とか何とか言われて、表情の指導から始められたし、有希もついでに表情の指導に加わってるし。 41 名前:1[] 投稿日:2008/08/17(日) 14:42:30.00 ID:VPwF3IT+0 「ハルヒ!お前やる気あるのか!そんなんで本当に強くなれると思ってるのか!」 そんな事をぼんやり考えていると、キョンから手厳しい一言が飛んできた。 「なっ、何よ!少し疲れたから休んでるだけじゃない!あんたハードといってもハードすぎるのよ!」 「コーチに口答えするとはいい度胸だ!よーし、今からお前だけランニングだ!ついてこい!」 いつからコーチになったのよあんた・・・。そう思っていると、突然キョンは走り出してしまった。 「あっ、ちょっと!待ちなさいよ!」 43 名前:1[] 投稿日:2008/08/17(日) 14:54:19.14 ID:VPwF3IT+0 残された3人は、ここぞとばかりに集まり、現在の状況について話し始めた。 みくるは泣きじゃくっていてそれどころではなさそうだが。 「・・・さて、まずは彼がこうなった原因を教えてもらえますか、長門さん?」 「涼宮ハルヒの願望実現能力の発動」 「・・・彼女がこの状況を望んだということでしょうか?」 「そう。彼女は普段からはっきりしない彼の態度に業を煮やした。彼がもっと積極的になるようにと願った結果がこの状況」 「そうでしたか。しかし、涼宮さんが彼の変化を把握していることは珍しいですね。それに、望んだとはいえ彼女もそれに困惑している節がありますし」 「彼女は、彼が突然積極的になるというギャップを自分も見ることができるよう望んだ。」 「なるほど、世の中にはギャップ萌えといった需要もあるらしいですからね」 「それについてはよく分からない。ただ、彼女は困惑しつつも、積極的で強引な彼に惹かれつつある」 「そうですか。しかし、この調子で毎日活動をされてしまったら僕達の身体が持ちませんね。何かいい方法はありませんか?」 「涼宮ハルヒから、今現在の積極的で強引な彼への興味が失われること。これしかない」 「しかし、彼女は今の彼に惹かれつつあるんですよね?興味が失われることはあるんでしょうか?」 「分からない。いずれにせよ、私達がどうにかできる問題ではない。それにこれは本人達の問題」 64 名前:1[] 投稿日:2008/08/17(日) 15:13:12.32 ID:VPwF3IT+0 「よし、今日はここまで!お疲れさん!」 「流石に疲れたわ・・・」 どうしてあんたは息一つ切れてないのよ。普段のあんたじゃ考えられないわね。 「そりゃ毎日鍛えてるからな!お前ももっと体力つけなきゃいかんぞ!」 あっそう・・・。でも何だかんだで結構楽しかったわよ。やっぱりスポーツはいいもんね。 「そうだろうそうだろう!ハルヒ、お前この後暇か?」 えっ、何よ急に。まぁ暇といえば暇だけど。 「それじゃあこの後飯でも食うか!運動した後の飯は美味いぞ!」 あ、あんたがどうしてもって言うんだったら、食べてあげてもいいわよ。もちろんあんたの奢りだけどね。 「ハハハ、しょうがないな!奢ってやるよ!」 ど、どうしよ。キョンからご飯に誘われちゃった。こいつがこんな積極的になるなんて・・・。 70 名前:1[] 投稿日:2008/08/17(日) 15:20:11.89 ID:VPwF3IT+0 「よし、俺の奢りだ!腹いっぱい食えよハルヒ!」 キョンに連れて来られたのは、そこらじゅうにある何の変哲も無いファミレスだった。 雰囲気ってもんが無いのよね、全く。まぁ、高校生だし仕方ないか。それにキョンにはいつも奢らせてるし。 キョンもこう言ってることだし、今日は思い切り食べさせてもらうわよ。 「どんどん食えよ!食って食って強くなれ!あ、店員さん!俺ここからここまで全部!」 本当に雰囲気もクソも無いわね・・・。 73 名前:1[] 投稿日:2008/08/17(日) 15:23:48.89 ID:VPwF3IT+0 「ふー、食った食った!」 食いすぎよあんた。 「あれで腹八分ってとこだな!あ、そうだハルヒ!まだ時間平気か?」 え?まだ何かあるの?まぁ、まだ時間は平気だけど・・・。 「よし!それじゃ大事な用事がある!ちょっと公園まで行くぞ!」 大事な用?公園?何かしら・・・ひょっとして、こ、告白ってやつ? あ、ちょっと走らないでよ!よくあれだけ食べた直後に全力疾走できるわね・・・。 77 名前:1[] 投稿日:2008/08/17(日) 15:28:00.99 ID:VPwF3IT+0 「よし、いい腹ごなしになった!」 「は、早すぎるわよあんた・・・」 息も絶え絶えになりながらついてきた私に、キョンはいきなりこう言った。 「ところでハルヒ!俺のこと・・・好きか?」 な、ななな何を急に! 「嫌いなのか?」 べ、別に嫌いってわけじゃないわよ。どっちかっていうと・・・す・・・好きな部類ではあるわね。 「そうか!俺もお前のことが大好きだ!」 え、ええええええええええええ!?いいいいいきなり何よこれ!?こここ告白!? 81 名前:1[] 投稿日:2008/08/17(日) 15:37:30.05 ID:VPwF3IT+0 「ハルヒ、俺はお前のそのひた向きな姿勢が大好きだ!これから付き合ってくれるか?」 あ・・・う、うん!あんたがどうしてもっていうなら、その、つ、付き合ってあげてもいいわよ! キョ、キョンから私に告白してくれるなんて・・・これひょっとして夢じゃないかしら。 「よし!付き合ってくれるか!夜の特訓に!」 ・・・へ?何?What?何の何に? 「今日の練習は物足りなかったからな!お前に夜練に付き合ってもらおうと思ってだな!」 ・・・ちょっと通訳さん?こいつが何言ってるか訳してもらえないかしら? 「お前は疲れてるだろうが、大丈夫だ!好きな人となら何だって出来るさ!よし、熱くなるぞおおおおおお」 ・・・えーっと。つまり、あんたは練習の相手が欲しかっただけ? 「そう言うな!俺はもちろんお前のことが大好きだ!テニスのパートナーとしてだけどな!そのひた向きな姿勢、きっとお前は強くなれる!」 ・・・ 87 名前:1[] 投稿日:2008/08/17(日) 15:43:13.83 ID:VPwF3IT+0 なるほど。なるほどね。やっぱりこいつはバカね。バカの2乗、いや3乗よ。超バカね。 「ハルヒ、俺にサーブを打ってくれ!熱く!」 いいわよ。打ってやるわ。打ってやろうじゃないの。 「いいぞハルヒ!その目!まるで相手を殺しそうな目だ!熱くなってるな!」 こぉぉぉぉんのバカキョンがぁぁぁぁぁぁ!!! バキューン 「グハァッ!」 私の渾身のサービスエースはキョンの顔面にクリーンヒットした。 私は後ろも振り返らずに自宅へと戻った。死んだかしら。 あのバカに一瞬でも期待した私がバカだったわ。 でも、どうしてこんなに悲しいんだろう。 89 名前:1[] 投稿日:2008/08/17(日) 15:49:47.31 ID:VPwF3IT+0 「・・・?」 俺は小鳥が囀る公園で目を覚ました。 ここは何処だ?どうして俺はこんなところで寝ているんだ?酒でも飲んだか? それに顔面がやたらと痛い。さすってみると、鼻血が流れているのが分かった。 そして自分の格好を確認してみると、どうやらテニスウェアを着ているらしい。 少し離れたところにはラケットが転がっていた。 「何だこの状況は・・・まるで修造みたいだな」 そんなことはどうでもいい。とりあえず家に帰らなければ。 91 名前:1[] 投稿日:2008/08/17(日) 16:02:24.21 ID:VPwF3IT+0 深夜に帰宅した俺は両親にこっぴどく叱られ、ついでに妹にはひどい顔だと笑われもした。兄をバカにするもんじゃありません。 さっぱり状況が把握出来なかったが、とりあえず明日長門にでも聞くことにしよう。あいつなら絶対に知っているだろうからな。 「俺が昨日そんなことをしたのか?」 「そう」 「まいったな・・・全く記憶に無い」 「涼宮ハルヒは昨日のあなたの行動を全て無かったことにしたいと強く願った」 「やれやれ、人の記憶を消すだなんてやっていいことなのか?」 「私達も情報操作でしていること。問題は無い。それに、私も昨日のあなたの行動は好ましいものではないと思っている」 「そうか・・・何だか悪い事をしたな」 「いい。あなたがしたいと思ってしたことではない」 俺がそんなハードなことをしたとは・・・確かにSOS団のみんなには悪いことをしたな。この暑い中、テニスをするだなんて自殺行為だ。 今の俺だったら絶対にやりたくないね、そんなこと。 しかし、そんな反省の念も、目の前のこいつの笑顔を見ているといきなり薄れてきてしまった。 「昨日は久しぶりに閉鎖空間が出現して大変でしたよ。それも過去類を見ないほどの大規模なものでした」 「悪かったな。だが俺は記憶に無いんだ。苦情を言うなら昨日の俺に言ってくれ」 「分かっていますが、たまには愚痴を言わせて下さい」 93 名前:1[] 投稿日:2008/08/17(日) 16:07:16.80 ID:VPwF3IT+0 まぁ、愚痴ぐらいなら聞いてやるよ。お前も大変だったみたいだからな。 「ありがとうございます」 「しかし、どうしてそこまで大規模な閉鎖空間が出来たんだ?ハルヒが望んで生まれた状況だったんじゃないのか?そもそも俺は状況を把握したはいいが、何故ハルヒがそこまで怒ったのか分からんのだが」 「・・・やはりあなたはもう少し女心を知った方がいいようですね。というよりも、その鈍さは一種の才能です」 何言ってやがるんだ、全く。 「そういえば今日は涼宮さんは来てないのですか?」 「どうやらそうらしいな。携帯に連絡しても返事もない」 やれやれ、お手上げです、といった風に古泉は両手をかざした。相変わらずオーバーリアクションな奴だ。 94 名前:1[] 投稿日:2008/08/17(日) 16:11:55.32 ID:VPwF3IT+0 すると、いきなり部室のドアが勢いよく開けられた。 そこには我がSOS団団長が威勢良く立っていたのだった。 「おっまたせー!」 何だ、意外と元気じゃないか。長門や古泉から聞いた話ではもっと落ち込んでいるもんだと思っていたが。 それに、何だか目がいつも以上に輝いていないか?というよりも燃えている、と言った方がいいな。 「よーし、みんな揃ってるわね!それじゃ行くわよ、エスオーエス、ファイー!」 「それじゃあ今日もテニスやるわよ!私は先にテニスコート行ってるから、あんた達も早く来なさいよ!」 ・・・何だ、この状況は? 長門さん?これは一体どういうことなんでしょうか? 95 名前:1[] 投稿日:2008/08/17(日) 16:17:01.33 ID:VPwF3IT+0 「涼宮ハルヒはあなたに積極的になって欲しいと望んだが、その目論見が外れたことを感じた」 「それで?」 「彼女はやはり自分があなたを引っ張っていかなければならないと感じた」 「・・・それで?」 「つまり彼女はいつも以上に積極的になっているということ」 マジですか。ただでさえあれだけ活動的なハルヒがこれ以上活動的になったら一体どうなってしまうんだろうか。 その事を考えると頭痛がする。 「あなたに一抹の責任がある」 「俺に?Why?何故?」 「・・・鈍感」 ・・・ダメだ、さっぱり分からん。長門の冷ややかな視線を浴びながら、俺はテニスコートへと向かうのだった。 「キョーン!早く来なさーい!熱くなるのよ!」 おわり 97 名前:1[] 投稿日:2008/08/17(日) 16:18:33.10 ID:VPwF3IT+0 ごめん一応終わらせたけどgdgdでした 今度はもうちょい文章練ってから投下します あと、ハルヒが神人呼ばなかったのは自分がキョンをああいう性格にしたからしょうがないよね、という最低限の責任を感じたからです