朝倉涼子の消失(前中編) 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 00:18:42.02 ID:gncthkhjO 「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」 このクラスの自己紹介でそんなことを言った奴がいたのだというのを知ったのは、入学して二日目だった。 隣の席の友達作りに必死なクラスメートから聞いたのだ。 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 00:20:42.08 ID:gncthkhjO 「え!あれを聞いてなかったのか?そいつは残念だったなー、すっげー真面目な顔して言いやがったんだぜ」 オレはそのとき寝ていたからな。 自分の自己紹介をした記憶もない。 担任がオレの名前を呼んだ気はするのだが、どうでもよくて相手にしなかった。 「それでな、知り合いから聞いた話だと、中学の頃から、」 「なあ」 話しを続けようとするクラスメートに視線を向ける。 「ん、なんだ?」 「オレ、そんな話に興味ないから、黙ってくれないか」 「……え」 「どうでもいいんだ。くだらないことで話しかけないでくれ」 オレの性格を察したのであろうクラスメートは、すこしムッとした表情をしたものの、 「あぁ、そんなんだ、悪かったな」 とだけ言って離れて行った。 オレはそのまま、教室の中央に視線を移した。 ロングストレートな髪にカチューシャをつけた女が、ふてぶてしい表情で席についていた。 涼宮ハルヒと言う名のクラスメート。 一瞬、目を奪われた。しかし、 「どうでもいい」 オレには関係のない事だ。 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 00:23:46.84 ID:gncthkhjO 笑わない、話さない、起きてすらいない。 新学期が始まってからずっとそんな調子のオレに、話しかける者は段々といなくなっていった。 しかし、特別目立ってはいなかった。幸か不幸かオレなんかより、よっぽどな奴がいたからな。 クラスの誰が話しかけても相手にしないばかりか、意味不明なくせに積極的な行動までしてる奴が。 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 00:24:37.86 ID:gncthkhjO 「涼宮さん、このアンケートなんだけどね」 「……」 今日も涼宮ハルヒは相変わらずだ。クラスの女子が話しかけても返事ひとつしない。 相手の女生徒も諦めれたようで、ため息をついた後、その場から離れた。人のことを言えないのだが、愛想のカケラもない。 「どうして、反応してくれないのかしらね」 一瞬、自分に向けられた言葉だと気が付かなかった。いや、気付けなかった。オレの脳が止まってしまったからだ。 「あたし、なにか怒らせることいったかな。自分じゃそんなことないと思うんだけど、どう?」 頭を振り、脳に血液を循環させる。なんだっけ? そうだ、その女生徒がオレに話しかけてきたのだ。 「さぁな、オレが知る訳ないだろ」 オレのそっけない返事の何が楽しいのか、その女生徒は笑顔を作り、 「あなたと涼宮さん、なんとなく雰囲気がにている気がするから、わかるかなって思ったんだけど。うん、けどそうね、勘違いだったかも。あなたはちゃんと答えてくれるものね」 「………」 オレはならばと言わんばかりに押し黙る しかし、女生徒はそんなオレの態度が尚更面白かったようで、口に手を当ててクスクスと笑いだした。 「ふふっ。やっぱり涼宮さんと違ってわかりやすいわ。彼女だったら逆に話しをしてくれそうだもの。怖い顔で怒鳴られるだけでしょうけどね」 その女生徒は、じゃあね、と一言残し友達なのであろう数人の女生徒の輪に戻っていった。 「……あ〜、眠い」 オレはそのまま机に額をつけた。 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 00:25:53.95 ID:gncthkhjO 朝倉涼子。 のちにわかるその女子生徒の名だ。 そしてオレが一生忘れないかもしれない文字の並びでもあった。 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 00:28:01.69 ID:gncthkhjO オレは別に高生生活の間、誰ひとり親しい友人が出来なくてよかった。 他人に興味がないと言うのが正しい表現かもしれない。 加えて自分でもわかるほどの無気力症状が出ているのだから、人とのコミュニケーション能力は皆無だ。 入学してから一ヶ月、ゴールデンウイークが明けた頃になるとクラスメート達も扱いかたに馴れたようで、事務的な用事がない限りオレを相手にしようとはしなくなっていた。 一人を除いて。 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 00:28:30.88 ID:gncthkhjO 「ほら、起きなさい。もう授業終わってるよ」 閉じたままの瞼を擦りながら、オレは顔を上げた。 「終わったのなら、起こさなくていいだろうが」 差し込む日の光を欝陶しく思いながら目を開く。 そこには、見慣れた顔があった。 といってもクラスメートの中で区別するなら1番という意味での見馴れた顔だ。 「それ、本気でいってるの?授業中だって、休み時間中だって、学校は寝る場所じゃないの。ここは学び屋なんだもの。委員長として見過ごせないわ」 朝倉涼子だ。 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 00:30:52.53 ID:gncthkhjO オレはあくびを間に入れてから、 「学び屋にだってな、真面目な生徒ばかりが来てる訳じゃないんだ。何割りかは出来損ないが必ずいる。その何割りかがオレだ。だから、同じような割り合いでいる優等生側の人間が気にする必要はない」 「優等生だって言ってくれるのはいいけど」 朝倉涼子は教科書でコツッとオレの頭を叩く。 「自分を出来損ないだって断言する人に褒められても嬉しくないな。はい、これあなたのでしょう」 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 00:31:43.21 ID:gncthkhjO よく見ると頭を小突いた教科書はオレのものだ。授業中のまどろみの中で机から落とした記憶が微かにある。 それを、こいつがまた拾ったのだろう。 「何度も言ってるだろ。自分の教科書ぐらい気付いたときに自分で拾う」 「そう言われたから、あたしも迷ったんだけど。あなた、いつまでたっても気付かないんだもの。これ、1時間目の教科書よ?」 「……いま何時だ?」 朝倉涼子は見るからに呆れた表情で、 「それも本気で言ってるの?もう4時間目が始まるところじゃない」 つまり丸々2時間も床にほってあったのか。 この前行った席替えの結果、朝倉はオレの真後ろの位置になった。 つまり床に落ちた教科書が嫌でも目についてしまい気になってしまったのだろう。 こいつのようなお節介な人種には特にな。 オレは教科書を受け取り小さく礼を言うと、その教科書を机にひき、額をつけた。 「……もう」 その声の後、朝倉涼子の気配は離れていった。 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 00:35:11.31 ID:gncthkhjO その後も朝倉涼子は何かとオレに話しをかけてきた。 本人が言うには、委員長だから、クラスの問題児 の世話をやくのは当然なのだそうだ。 因みに付け足すと、朝倉涼子は頭もよく、同性から好かれるようで友達も多い。 まるで絵に書いたような優等生っぷりだ。 容姿に関しても、周りから抜きん出て端麗なのだから、ちょっとした完璧人間だ。 朝倉涼子という題名の絵画をかいた奴はよっぽど達者なのだろう。 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 00:35:41.59 ID:gncthkhjO 「よく、出来てるな」 そう。 オレの朝倉涼子へ率直な感想はこうだった。 作り物。 よく出来た人形のような女だ、と。 どうしてこんなふうに思うかはわからない。オレとは違い何でもそつなくこなす彼女への嫉妬なのかもしれない。 しかし、それはここ数年忘れていた他人への興味という感情でもあった。 良い物を取って付けたような彼女にオレは関心を持つようになっていった。 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 00:40:01.37 ID:gncthkhjO 「なあ朝倉、ちょっといいか」 「なーに?」 上半身だけ後ろにそらしたオレを朝倉涼子が不思議そうに見つめる。 「他の奴らが続々と教室からいなくなっていくが、次の授業は何処の教室だっけか?生物室か?」 「違う。理科実験室よ。先週の授業寝てたから、そんなことになるのよ」 「理科実験室……あぁ、あそこか。なら早めにいって寝ておくとするか」 「こら。あたしの目の前でそんなこと言うなんて、いい度胸ね。あ、そうだ!」 鞄から次の授業に必要な物を取り出し終えた朝倉涼子は、笑顔で立ち上がった。 「なら、あたしも早めに行って、あなたが居眠りしないように見張っててあげるね」 「うぇ、まじかよ。言わなきゃよかった」 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 00:41:15.46 ID:gncthkhjO 心境の変化もあってか、一週間もしないうちにオレは朝倉涼子と友人程度の会話をするようになっていた。 まあ、オレの態度の変化に合わせられる程の、人付合いの良さを朝倉涼子が持っていた、というほうがこの場合は大きいだろう。 「もう一人の問題児の面倒をみなくていいのか?」 オレの準備ができるのを待っている朝倉涼子の後、教室の隅を指す。 今は、誰も座っていないが涼宮ハルヒの座席だ。 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 00:42:03.42 ID:gncthkhjO 「彼女は彼に任せてるから、大丈夫じゃないかしら。あ、けどあたしも話しかけてはいるのよ?あんまりいい反応してくれないけどね」 「彼ってのは涼宮の、前の席の奴か?」 鞄から出した手を、机の中に入れながらオレは尋ねる。 「そ、二人とも何か一緒にやってるみたい。なにをしてるかは分からないんだけど、涼宮さんはともかく、彼は常識がありそうだし、ブレーキ役になってくれてると思うわ」 「へー、そうなのか」 ブレーキ役ね。 常識があるなら、あんな女と係わり合いにならないと思うがな。 その男子生徒とは話しをしたことがないから、どんな人物かは知らないが。 「……ねえ、その机の中から全然出てこない手のことなんだけど」 ……ばれたか。 「もしかして教科書忘れたの?」 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 00:45:24.19 ID:gncthkhjO 「いいって、教科書ぐらい」 オレの手を引き歩く、朝倉涼子は、振り返りもせず。 「だめよ。あなたはそうでなくても、眠ってばかりいるんだから、忘れものなんてしたら、成績に響くことになるんだからね」 だからって他のクラスの奴にわざわざ借りなくてもいいだろ。それに、 「オレ、他のクラスに知り合いなんていないぞ」 「そこは心配しないで。大丈夫、あたしの友達に貸してくれるように頼むから、あ!ちょっとそこのキミ、呼んで欲しい人がいるんだけど、」 他のクラスに着いた朝倉涼子は、適当な生徒に声をかけ、友達を呼ぶように頼んでいる。 世話焼きにも程がある。 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 00:48:01.52 ID:gncthkhjO 不本意ながらも借り物をすることになるかもしれない見ず知らずの人物を確認しようと、教室の中を覗きこんだ。 そして、とある生徒が視界に入った途端、グラリと視界が歪んだ。 「ほら、あなたも何か言って」 オレの意識が回復したのは、この朝倉涼子の声を聞いてからだった。 「あ……あぁ、よろしく頼む」 朝倉涼子に急かされ、とっさにそう口にだしたのには、我ながら驚いた。 言葉を発してから今の状況、朝倉涼子に連れられて教科書を借りにきたことを思いだしたのだ。 いつのまにか、オレと朝倉涼子の前に女子生徒がたっている。 朝倉涼子の友達だろう。 驚く事にオレはこの女子生徒が呼ばれて、ここにくるまでの記憶がない。 しかし、そんなオレの心境を知るよしもない女子生徒は、快く貸し出しを承諾してくれて、教科書を席に取りに戻り、オレに手渡してくれた。 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 00:48:56.28 ID:gncthkhjO オレは、 「ありがとう」 と言ったあと、一拍おく。 そして意を決して女子生徒に声をかけた。 「それと、あそこにいる生徒って」 そうオレが指をさした先には一人の女子生徒が静かに座っていた。 髪の短い眼鏡をかけた少女だ。 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 00:49:40.91 ID:gncthkhjO 朝倉涼子の友達である女子生徒はオレの視線の先を見て首を傾げた。 「長門さんのこと?」 「あの眼鏡かけた女の子。髪の短い」 オレは口で容姿を説明する。 「あぁ、やっぱり長門さんのことだね」 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 00:50:17.54 ID:gncthkhjO どうやら、あの眼鏡をかけた少女は長門という名前らしい。 「彼女がどうかした?知り合いなの?けど知り合いはいないって言ってなかった?」 朝倉涼子が長門という名の少女を見ながら言う。 「あ、いや。やっぱりなんでもない」 まさか、彼女は何物だ?と聞く訳にもいかない。 朝倉涼子とその友達は不思議そうな表情をしたが、次の授業がまじかに迫っているのもありそれ以上余計な話しはしなかった。 「ほら、早く!チャイムなっちゃうわよ!」 朝倉涼子に急かされながらオレは理科実験室に向かった。 長門という生徒の無表情な白い顔を思いだしながら。 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 00:53:35.46 ID:gncthkhjO 日が重なるごとにオレは朝倉涼子とよく話しをするようになっていった。 あぁ、確かに人見知りしないときのオレはこんな奴だったなと、昔のことを思いだしてしまうほどだ。 しかし、それに比例して朝倉涼子への興味が大きくなっていく理由は自分でもよくわからなかった。 たいした会話はしていないはずなのにな。 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 00:54:30.67 ID:gncthkhjO 今してるのもそうだ。 地理担当の教員に頼まれて、朝倉涼子と教材の片付けに向かっている最中なのだが。 「不思議なことを探してるみたいね」 この学校ではもっともポピュラーな世間話、涼宮ハルヒのことだ。 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 00:55:40.31 ID:gncthkhjO 「自己紹介のときの、超能力とか未来人みたいなやつ。ホームページにもそう書いてあったから」 隣を歩く朝倉涼子の言葉を、オレは右肩に地球儀担ぎ、左脇にはクラスメート半数分の資料集を抱えながら聞いていた。 「校門でビラを配ってすぐのときは、トップページしかなかったんだど。最近かしら。ビラに書かれてた文章と同じようなのが追加されてたの」 「あの時のビラか」 オレは数日前に門の前で手渡された藁半紙を思い出した。 涼宮ハルヒから直接受け取って、すぐ道端に捨てたのだが、内容を一読はした。 全てを覚えてはいないが、SOS団という名前で、不思議を募集していて、パソコンのメールアドレスが載っていたのは記憶している。それしか思い出せないのは、別のことのインパクトが強すぎたせいもあるだろうな。 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 00:56:53.95 ID:gncthkhjO 「ブレーキ役は余り働いてないみたいだな。知り合いがバニーガール姿でビラを配ろうとしたら、止めるぞ。常識人なら必死にな。止まってくれなかったら縁を切るしかなくなる」 「言えてるけど。彼も疲れてるみたい。きっと彼の常識より、涼宮さんの非常識のほうが上回ってるんじゃないかしら」 「なるほどな。ならそろそろ、そいつも涼宮に愛想つかすんじゃないか?精神を擦り減らしてまで付き合っていてもしょうがないだろ」 「どうかしらね。涼宮さんはこのごろ凄く楽しそうだから。彼を離さないんじゃないかと思うな」 「そい言えば仏頂面は近頃見ていないな。なら話しかけてみたらどうだ。今なら良い反応が貰えるんじゃないか?」 「そうよね、そう思うよね。けど全然だめ。怖い顔しないだけで、返事は代わり映えしないもの。最近はあたしもあきあきしてきちゃった。あ、ここ、ここ」 朝倉涼子は、教員から預かっていた鍵を使い、準備室の扉を開いた。 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 00:57:51.38 ID:gncthkhjO 準備室の中に入った朝倉涼子は、自分が抱えていた分の資料集をダンボールにしまい、 「はい」 とオレに向かって手を差し出した。 「悪いな、頼む」 オレは抱えていた資料集を手渡す。 この地球儀は何処に置けばいいんだ?と辺りを見回すと調度いいスペースが目に入った。 「飽きたんなら、涼宮なんて気にしなければいいだろう。担任達も諦め初めてるんだ。委員長のお前が涼宮をほっといても、誰も何も言わないさ」 地球儀を台の上に乗せながら、何気なくそう言った直後、 「そういう訳にはいかないの」 その声が耳に届いた瞬間、ゾクリと背筋が震えた。 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 00:59:14.28 ID:gncthkhjO ここ最近、頻繁に感じる悪寒のようなものだ。 朝倉には背を向けていたため、どんな表情をしているかはわからない。 いや、そもそも今聞いた声だっていつもと変わらない朝倉涼子のものじゃないか。 教室で会話してるときと何処が違うのかと言われればオレは押し黙るしかない。 しかし……。 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:00:00.09 ID:gncthkhjO 「……委員長だからか?」 そう言ってオレは自然に振り返った。 「そ!」 笑顔だ。 屈託のないそれはいつもと何らかわりない。 ふぅ。 自分でもよくわからない安心感に包まれたオレは、いまだに地球儀から手を離していなことに気付き、握っていた手の力を抜いた。 「さあ、速く戻りましょう。次の授業が始まっちゃう」 そい言ってオレの前を朝倉が通り過ぎる。 「なあ」 資料室から出ようする朝倉をオレは呼び止めた。 朝倉は振り返り、何も言わずにオレのことを見つめる。 「放課後ちょっとオレに付き合わないか?」 返事はすぐにかえってきた。 「いいよ」 いつもとなんらかわりのない笑顔だった。 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:04:39.35 ID:gncthkhjO その日の放課後。 北口駅前でオレは1人ポールに寄り掛かりっていた。 時折辺りを見渡すが目的の人物は見当たらない。当然だ。時計を見れば時間まで40分もある。 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:05:06.14 ID:gncthkhjO 朝倉とはこの場所で、待ち合わせの約束をした。 学校から一緒に行動を共にすればいいじゃないか、とも思うが。 やはり。やめておいて正解だっただろう。変な噂になったらお互い困りそうだしな。 もう一度、制服のポケットから時計を取り出す。 懐中時計だ。 携帯電話を持っていないうえ、腕時計の嫌いなオレはいつもこれを持ち歩いている。 パチンとバネ仕掛けの蓋をあける。 時間はさっき見てから、5分しか進んでいない。 当たり前だ。5分しかたってないのだから。 どうやら、オレは緊張しているようだ。 相手が相手だ。無理もない。 それから10分もたたずに朝倉涼子は姿を表した。 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:08:26.63 ID:gncthkhjO 「あなたより先に来ようと思ってたのに。ずいぶん早いのね。待った?」 「いや、オレも今来た所だ」 「ふふっ、こんなドラマみたいなやり取りをすることになるなんて、思ってもなかったなぁ」 「下手な恋愛ものなら逆だろ。男が遅く来て、女が待ってるんだよ」 「そうかもね!」 悪戯っぽく笑う朝倉からオレは目をそらす。理由はわからん。 「それで?どんな所に連れてってくれるの?」 朝倉の期待の眼差しがオレに向けられる。 「映画とかどうだ?一人でよくいく映画館があるんだ。ポイントが貯まってて割引されるし、払ってやるぞ」 「ふ〜ん。映画館ね〜」 何か考えこんでしまう朝倉を見て、オレは急に不安になった。 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:09:23.98 ID:gncthkhjO 深く考えずに提案してしまったが、オレは女の子と二人で何処かに行った事などないのだ。 映画館はまずかったのか? けど、それ以外に思い浮かぶ場所もない。 「いいわね。あたしも調度、観たい映画があったから」 「そ、そうか」 よかった。間を開けたにしては、あっさりと承諾してくれた。 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:10:52.58 ID:gncthkhjO 北口駅から歩いて数分のデパート。そこの上階は割と大きな映画館になっている。オレは朝倉をそこに連れてきた。 「あの上から二番目。あたし、あれが見たかったの。あれにしましょう」 朝倉の視線の先、チケット売場の上部にある一覧表をオレも見上げる。 朝倉が見たいと言った作品は日本の恋愛映画だった。 「たしか小説が原作の純愛ものだろ、お前こんなの見たいのか?」 「あら、こんなのとはちょっと失礼じゃない?」 「いや、そうゆう意味じゃなくてな。なんつうか以外でな。もっと別のを想像してから」 「別のって?SFでも見ると思ったの?」 「え!いや……」 「とにかくあたしはこれが見たいの。参考にしたいしね」 「……参考って、なんの?」 「秘密」 「……まあ、いいや。お前が見たいならそれでいいよ。時間は……4時15分からか」 時計を取り出し時間を確認する。4時調度だ。 「おお、ナイスタイミングでもうすぐやるな」 「随分センスのいい物持ち歩いてるのね。それ、懐中時計だっけ?」 オレがポケットに戻そうとした物を朝倉が興味深げに見つめた。 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:12:22.74 ID:gncthkhjO 「まあな。オレ携帯電話持ってないし。これをいつも持ち歩いてるんだ。どうだ!いい物だろう?」 「うん、そうね」 「だろう!?これはな、一年ぐらい前に露店で見つけたんだ。形が最高にオレの理想でな。多少値がはったんだけどそのばで即買いしたんだよ。 けどなぁ、これ手巻きタイプじゃなくて、電池で動くほうなんだ。電地だとな、ゼンマイと違ってカチカチとあのいい音がしないんだ。 残念だよな〜、この形で手巻きなら、生涯の相棒になったのに。同じタイプの手巻きがないか探してるんだけど、なかなか見つからないん……だ……」 と、そこまでいってオレは我にかえった。 ……なにをいきなり力説してるんだオレは。 「ん?どうかしたの?」 急に黙りこみ、俯いたオレを朝倉が不思議そうに覗きこむ。 「あ、いや悪い。突然、懐中時計の話しされても困るよな」 そんなオレの言葉を聞いた朝倉はクスッと小さく笑った後に、満面の笑みを浮かべた。 「懐中時計好きなのね」 「あ、あぁ、まあな。数少ない趣味の一つだ」 「理想の懐中時計が見つかったらあたしにも見せてね。あなたの理想がどんなものか見てみたいから」 「え、あぁ……わ、わかった」 予想外の朝倉の反応に戸惑いながらも、オレは頷うた。 「約束ね」 朝倉は小指を少し上げるポーズをしたあと、チケット売り場に歩きだした。 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:15:18.04 ID:gncthkhjO チケットを買ったオレ達は、薄暗い劇場に入り、階段状になってる座席の中央に腰を下ろした。 こんなベストポジションに座れたのは、客がオレ達以外に数人しかいないおかげだろう。平日だしな。 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:16:54.59 ID:gncthkhjO 「あたし、こんなに空いてる映画館は初めてだわ。休みの日とかに友達ときたら人の数が凄いもの、ゆっくりと見れそう」 薄暗い中でも解るほど朝倉は瞳を見事に輝かせていた。本気でワクワクしてるような表情だ。 「オレは逆に混んでる映画館に来た覚えは殆どないな。空いてそうな日にちと時間を狙うからだけど」 「一人でだっけ?」 「まあな」 「寂しくないの?一人で映画見て。あたしだったら嫌だな。見る前に友達とどんな内容なのか期待しながら話をしたり、終わったらお互いの感想を言い合ったり。そういうのも映画の楽しみじゃない」 「そういう楽しみ方もあるだろうな。けど一人で映画だけに集中するのもいいだろう。せっかく金払ってまで見るんだ。余計なものを楽しみにプラスしなくても充分だ楽しめる………とか言いたいところだが、単に一緒に映画を見るような仲の人間がいないだけだな」 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:18:25.10 ID:gncthkhjO 「いないの、中学の同級生とか?」 「ああ、いないな。中学に入学したときぐらいから極端に、他人に興味を持たなくなったからな」 「ふーん。こんなに普通に話せるのに。不思議ね」 上映のブザーが鳴ったので、オレ達は会話やめた。 あまり話したくない内容だったので助かった。 真っ白で巨大なスクリーンに、上映中の注意、映画の予告に続き、本編が流れ始める。 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:19:07.17 ID:gncthkhjO 男女が恋に落ち結ばれる。しかし、男は重い病にかかり、死んでしまう。 よくある悲劇的な恋愛模様を題材にした物語だ。 しかし、この映画が他と違うのは、男が中盤辺りで息を引き取ってしまうところにある。男の死による、女の心の葛藤が、話しのメインのようだ。 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:20:51.89 ID:gncthkhjO 映画が終わり、エンディングのスタッフロールが流れる。 予想外に楽しめたな。 隣にいる朝倉を見ると、 ラストの展開の影響か目を潤ませていた。その表情はとても女の子らしい顔だった。 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:25:15.92 ID:gncthkhjO 「楽しめたわね」 スクリーンの幕が下り、すっかりと明るくなった場内で朝倉が微笑む。 「そうだな。思ったより……かなりよかったのは認める」 オレは鞄を手に取り席を立ち上がった。 「さあ、出ようぜ。いつまでも場内にいたら、清掃員に睨まれる」 客席と客席の間を歩きながら、朝倉を振り返る。 朝倉はまだ座ったままだ。 そして先程とまったく同じ表情で微笑んだまま、こう言った。 「そうね。そろそろ本題を始めましょうか」 ゾクリとまた背筋に寒気が襲う。 いままでとは比べものにならない嫌な予感とともに。 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:27:25.91 ID:gncthkhjO 「な!?」 途端に場内が暗くなり始めた。天井からの照明が光りを失い続ける。 上映が終わったばかりの今、館内の照明が消えるなんてあるわけない。 いや、照明の故障に誤作動、理由なんていくらでもある。 けど、多分違う。これは自分でもよくわからない感のようなものだ。 「朝倉っ!」 視界の全てが少しずつ、そして確実に闇に近づく中、オレはすぐ目の前にいる朝倉に手を延ばした。 「じゃあね」 しかし延ばし手のすぐ先にいた朝倉は館内の景色と共に真っ暗闇に消えていった。 笑顔のまま。 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:28:37.57 ID:gncthkhjO 「………なんなんだ」 暗闇。 目を開けているはずなのにオレの視覚が光をまったく捕らえない。 手をいくら目に近づけようと輪郭すらつかめない。そして気付けば音すら聞こえていなかった。 完璧な無音だ。 「オレは今、どうなってる?」 地に足がついているのだから立っているはずだが、なにも見えないとそれすらも怪しく思えてくる。 残りの感覚を頼りに一歩、足を前にだす。 靴の裏が床を擦る音さえも聞こえない。オレ以外の時間がと止まっているかのようだ。 何歩か進み、周りの客席がなくなっていることにも気付いた。手で周囲を探ってもなにも触れるものはない。 オレの中のなにかが警笛を鳴らす。ここはやばい。これ以上ここにいたらいけない。この空間から抜け出さないと。 「……向こうか?」 空間を抜け出す、という意識をしだすと不思議な事に足がある方向をむいた。 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:29:25.60 ID:gncthkhjO 一歩、一歩ゆっくりと進む。 目と耳はなにも捉えないのだが、別の感覚が光と音がこっちにあると言っている。 立ち止まり、両手を前にだす。なにも触れはしないのだが。 「ここだ。ここから外に出れる」 なにもない空間に手をかける。そして押す。 扉を開いたかのように、光と音が漏れだした。 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:30:45.85 ID:gncthkhjO 雑踏と天井の電灯、気付けばそこは通路だった。 オレはまるで劇場の扉を開け、通路に出たかのような状況なのだ。 後ろを振り返る。なんの変哲のない劇場が、力無く閉まっていく扉の隙間から見えた。 「遅かったのね」 「!」 再び正面をむくと、ある人物が目に飛び込んできた。 「なにしてたの?あなたが早く出たほうがいいって言ったんじゃない」 「……朝倉」 壁に寄り掛かりながら朝倉涼子はオレを見つめ、僅かに頬を膨らませる。 「女の子を待たせるのはよくないと思うな」 「え……あ…」 思考が状況に追い付かない為、オレはうまく返答ができない。そんなオレに朝倉は首を傾げる。 「大丈夫?寝ぼけてるの?」 「いや、寝ぼけては……ない……大丈夫だ」 「そう?ならいいけど。さ、出ましょう。清掃員さんに睨まれないうちに、ね」 朝倉は笑顔で歩きだした。 「ほら、いきましょ」 「……あ、あぁ」 オレはゆっくりと足を動かし、朝倉の後を追った。 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:33:05.95 ID:gncthkhjO 朝倉「ここから中偏よ!」 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:37:35.19 ID:gncthkhjO 外に出ると辺りはすっかりと暗くなっていた。 夜道を朝倉と今見たばかりの映画の話しをして歩く。 人と話しをしながら外を歩くなんて今思えば随分と久しぶりだった 再び西口駅前まで来た俺と朝倉は、近くの喫茶店に入った。 朝倉がもう少し話しをしたいと言ったからだ。 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:40:26.48 ID:gncthkhjO 「そういえば、隆弘が死んだ後の晴美は凄かったわね。半狂乱っていうかしら?ああいうの」 運ばれてきたばかりのアップルティーをストローですすりながら朝倉がオレに尋ねてきた。 「あれか……」 朝倉が言っているのは、映画の主人公が恋人を失った直後の描写のことだ。 「あれじゃ半狂乱というより完全にイカレてただろう。いくら、恋人と死別したからってあの演出はやり過ぎだ」 「そう?あたしはよく出来た心理描写だと思ったわ。人間なんて、本当に拒絶したい事が起きれば、すぐあんなふうに壊れてしまうんじゃないの?」 「そうなのか?そんな状況になった事がないからわからないな」 「ふーん。そっか……わからないのね」 ストローでグルグルとアップルティーを掻き交ぜる朝倉は、何か考え事をしているようだ。 そんな朝倉を見ながらオレは、さっきの事を思い出していた。 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:41:15.13 ID:gncthkhjO あの暗闇は何だったのか。正直、朝倉と会話している最中もこの事はずっと頭から離れてはくれなかった。 不可思議な体験過ぎて夢でも見ていたのかとも思うが。そんな事では片付けられないほどの現実感があれにはあった。 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:42:52.00 ID:gncthkhjO 「なあ、朝倉。ちょっと聞きたいんだけど」 「ん、なに?」 朝倉が手を止め、オレを見る。 「さっき、映画が終わった後、朝倉はオレより先に劇場をでたよな。なんでだっけ?」 「なんでって……なんのこと?」 朝倉の不思議そうな表情に戸惑いながらも、オレは言葉を続ける。 「映画が終わって、オレ達ちょろっと会話した後、オレのほうが先に席たっただろ?なのに朝倉が先に外出てたのはなんでだったんだっけ」 端から聞けば意味がわからない質問なのは自分でもわかる。 しかしオレが聞きたいは間違いなくこのことだ。ごまかしてもしかたがない。 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:43:48.04 ID:gncthkhjO 「……」 オレがなにかジョーダンを言っている訳ではないと気付いた朝倉は怪訝な顔で黙りこんでしまった。 ストレートすぎたか。 「あぁ、なるほど。そういう事ね」 なにを納得したのか、朝倉はオレに鋭い目付きを向けてきた。 「あなた……寝てたんでしょ」 「は?」 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:44:44.80 ID:gncthkhjO 朝倉は呆れたようにため息をつきながら、 「劇場から出て来た時、なにか変だと思ったのよ。映画見ないで寝てたんでしょ?それで寝ぼけてたんだ」 「い、いや……そんなことは」 「もう。女の子を誘っといて居眠りはないんじゃないの?それともやっぱり、あたしとじゃつまらなかった?」 「そ、そんな事はない。出来ればまた来たいぐらいだ!……って」 オレはどさくさに紛れてなにを言ってんだ。 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:47:45.11 ID:gncthkhjO 「その言葉を聞いてちょっと安心したかな」 「え」 いつのまにか朝倉はら先程までの拗ねた表情から、いつもの笑顔に戻っていた。 「あなた、映画が終わってからずっと上の空だったから。あたしとじゃ、つまらなかったのかなって、ちょっと本気で考えちゃってたのよ」 「上の空だったか?」 「うん。まあ、けど確かに学校終わってすぐ映画って疲れるわね。あたしも結構くたくた。次は休日にしましょう。人がいっぱいいてもいいから」 ね?、と笑いかけてくる朝倉。 オレは自然に、 「あぁ」 と笑顔で返事をしていた。 こうやって他人に笑った顔を見せるのも随分と久しぶりだった。 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:48:58.66 ID:gncthkhjO そこからまた、少し映画の話しやら世間話しをしてから、オレと朝倉は喫茶店を出た。 「家はどの辺なんだ?」 「送ってくれるの?けど大丈夫よ。それほど遠くないし」 「そうか、ならここで。明日学校でな」 「えぇ。また明日」 小さく手を振った後、朝倉は遠のいていく。 「……」 オレはその小さくなっていく、背中を見つめた。 「朝倉!!」 そして見つめていた背中が完全に遠のいてしまう前に、オレは朝倉を叫び止めた。 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:50:26.64 ID:gncthkhjO 振り返った朝倉は驚いた表情をしている。 「さっきの話しの続きなんだが!」 オレは躊躇わず叫ぶ。 「あのまま、ごまかされようとも思ったが、やっぱ駄目だ!気になるもんは気になる!」 「……」 オレの言葉を朝倉は、黙って聞いている。 「朝倉!お前、何者だ!?」 言ってしまった。 イカレタ事を言っているのはわかっているが…… 朝倉、間違ってはいないんだろう? 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:52:08.66 ID:gncthkhjO 「……」 「……」 朝倉とオレの間にしばらく沈黙が続いた。 そしてその静寂を崩したのはオレではなかった。 「次の日曜日、午前10時に光陽園駅前公園で待ってるわ」 それだけ言うと、朝倉はきびすを返し、駅入口の人込みに姿を消した。 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:52:50.72 ID:gncthkhjO 朝倉のその言葉は、どこか淡泊でいつもの朝倉とはやはり、雰囲気が違っているように思えた。 もしかしたら、オレ以外ではわからない変化なのか。 そうだ。 あの笑顔の裏に何があるのか。オレはすでに知っているのかもしれない。 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 01:59:00.83 ID:gncthkhjO 次の日曜日の朝倉との約束。 約束とはいっても、あの時オレは返事をしていないので、約束とは言えないのかもしれない。 返事をするまもなく朝倉はオレの前から姿を消した。あれは、必ずこいと言う意味なのか?それとも、来たくなければ来なくていいという意味なのか ……どちらにしてもオレは行くしかない。 だからあのとき朝倉の裏の顔へ一歩踏み込んだのだ。 それが随分に前に放棄した道への一歩だと気付いていながら。 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 02:00:29.03 ID:gncthkhjO 今日の朝倉はやはり普段とかわりない。昨日の別れぎわに見せた、妙な感じを微塵も感じさせないほどの優等生顔だ。 いや、もともと表情や態度に変化なんて見られないんだ。時折感じるのは、上手く言い表せない雰囲気のようなものだ。 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 02:01:42.96 ID:gncthkhjO オレと朝倉が前より話すようになったとはいえ、きっかけがないときはまる一日会話をしないこともある。 朝倉に注意されるようになってからは、授業も比較的真面目にうけるようになったから、委員長と問題児という接点も随分と薄れていたしな。 だからこの日、朝倉と一言も話しをしなかったのは特別珍しい事ではない。 ないのだが。 「はぁ」 帰りホームルームが終わり一人、昇降口に降りてきたオレはため息なんてものをはいていた。 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 02:02:43.09 ID:gncthkhjO いったい何にたいしてのため息なんだかな。 自分でも恥ずかしくなるほどにオレは朝倉を意識しているようだ。 「疲れているようですね。それとも何か悩み事でも?もし僕でよろしければ相談にのりますよ」 そんなオレへいきなり後方から声をかけられた。 「……?」 振り向くと一人の男子生徒が立っていた。 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 02:04:28.29 ID:gncthkhjO 「誰だ?おまえ」 細身でさわやか印象をうけるその男子生徒の顔に見覚はない。 クラスメートじゃない。 当たり障りのない笑みでその男子生徒は言葉を続ける。 「おっと、失礼しました。随分と深いため息でしたので。先に挨拶をしたほうがよかったですね。僕とあなたは初対面どうしなのですから」 男子生徒は穏やかに細めた目を崩さずに、 「僕の名前は古泉一樹です。つい先日にこの学校に転校してきました。クラスは九組なのであなたが、僕に見覚えがなくても無理はないでしょう」 77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 02:06:00.83 ID:gncthkhjO 「んで、その転校生がオレになんかよう?まさか、ため息ついてる人はほっとけないとか?」 「いえ、僕はそれほどお節介ではありませんよ。あなたに用があったので、声をかけさせていだだいたんです。それもかなり重要と言える用事です」 オレが名乗らないことに、何も言わない男子生徒。 恐らくオレの事はすで知っているのだろう。 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 02:07:43.72 ID:gncthkhjO 「その用ってのはなんだ。さっさと言え」 「そうですね。これ以上無駄話をするとあなたに話しを聞いてもらえなくなってしまいそうです。単刀直入にいいます。朝倉涼子と必要以上に関わるのは控えてください」 「……なんだそれ。おたくは朝倉の彼氏かなにか?」 あからさまに機嫌が悪そうに答えるオレに対して、古泉一樹と名乗った男子生徒は態度を微塵も変える様子はない。 「そのような恋愛小説の修羅場的なわかりやすい状況なら、どんなによかったでしょうか。しかし事態はそれよりも複雑です。僕が機関の者だと言えば大体の察しはついていただけるかと思いますが」 「……」 ……なるほどな。あれの仲間か。 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 02:09:24.95 ID:gncthkhjO 「つまりお前は何年か前、オレにトンチキな話しをした連中と同類って訳か。なるほど、大体察した。お前も頭がイカレた一人か」 古泉一樹は笑顔をわざとらしい程に苦いものにかえ、 「手厳しいですね。確かに我々の頭がどうにかなってしまったと言う事は否定できません。しかし僕達は出来る事をするしかないのです。仮に間違っていたとしても、我々が使命とすら感じているのは紛れも無い真実なのですから」 古泉一樹はオレを見据えてもう一言つけたした。 「まあこれに関しては、説明は無用でしょう。あなたも紛れもなく僕達の同志なのですから」 80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 02:12:10.84 ID:gncthkhjO 「ふん。それで、そのことと朝倉がなんの関係がある」 「本当にお分かりでないのですか?」 芝居がかった古泉一樹の驚いた表情。 「その笑顔とオーバーアクションは、作りか?不自然だぞ」 「おや、そのように見えますか。以後気をつけるとします。話しを戻しますが我々機関はあなたと朝倉涼子との接触を快く思っていません。転びようによっては悪い方向に行くのではないかと見ています。具体的な例は何もありません。あくまで可能性の段階です」 そこで古泉一樹は、しかし。と付け加えた。 「これは忠告ではなく警告と受け取っていだだきたい」 その表情に先程までの笑顔はない。 81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 02:13:03.19 ID:gncthkhjO 「わざわざ、そんな事を言いに来たのか」 「えぇ、そうです」 笑顔に戻ったさわやか男子生徒がそう答えた。 「それはご苦労様だな。警告とやらは承知した。話しが終わりなら、オレは帰る」 オレは自分の靴箱から、外履き出し、履きかえ、上履きをしまった。 「それと、同志なんて呼ぶな。数年前オレはお前のお仲間に、そんな団体に入らないときっぱり言ったはずだ」 オレは背中越しにそれだけ言い昇降口を出た。 84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 02:22:46.03 ID:gncthkhjO 朝倉との約束の日曜日。 光陽園駅はオレが通っている高校に1番近い駅だ。 学校へは電車通学である為、高校生になってからは当然毎朝使用している。だからまず、光陽園駅までは、平日通りの道準でいけばいい。 自宅に1番近い西口駅から、電車に乗ればすぐだ。 そう考えて西口駅の北側改札口まで来たところでとある一団が目についた。 85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 02:23:44.88 ID:gncthkhjO 改札口前のちょっとした広場に若い男女が五人。 一人は今、到着したところのようだ。 「なんの因果もないはずなんだがな」 その一団の中には、顔と名前が一致する人間が三人も混じっていた。 87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 02:39:00.05 ID:gncthkhjO 涼宮ハルヒ、古泉一樹、そして長門。 あとは名前をしらないが、幼い出で立つの女性が一人と、クラスメートの男子が一人。あいつは確か涼宮の後ろの席の奴だ。 91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 02:53:31.30 ID:gncthkhjO 涼宮と到着したばかりのクラスメートの男子が少しばかり会話をした後、その一団は近くの喫茶店に入っていった。 オレが朝倉と入った喫茶店と同じ店だ。 オレは五人の最後尾を歩く、長門が喫茶店の入口に消えるのを見届けてから、立ち止まっていた足を動かした。 長門はなんで休日なのに制服なのか、という素朴な疑問を思い浮かべながら。 117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 09:26:18.35 ID:gncthkhjO 光陽園駅前公園には行ったことはなかったが、駅近くにそのような場所があることは知っていたので、駅から公園へは迷うことなく来る事ができた。 少し早くつきすぎたな。 しかし、そんな心配をする必要はなかった。 公園に入って道なりに少し歩くと目的の人物が街灯の下の木製ベンチに座っていたからだ。 118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 09:27:58.20 ID:gncthkhjO オレに気付いた朝倉は立ち上がり、手を振ってきた。 「ふふ、今日はあたしのほうが早かったわね」 「早過ぎだろ。何十分前からいんだよ」 「9時ぐらいからいたかな。もうあなたがいたらどうしようかと思ったけど、さすがに大丈夫だったみたい。これで少しは威厳が保てたかな」 「威厳って。この前遅刻した訳じゃないんだ。いやまあいい、確かに恐れいったよ。内心またオレが先に到着かな、と考えてたからな」 「ふふ、あまいわよ!」 朝倉と談笑出来ている自分自身に少し安心した。最近話してなかったこともあるが、この前、映画を見た後の別れ際に感じた、いつもと違う朝倉の雰囲気を思いだすと多少緊張してしまうからだ。 119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 09:28:49.53 ID:gncthkhjO 「それじゃ、こっち。ついて来て」 手招きをした朝倉は、オレに背を向け歩きだした。 「こっちって、何処いくんだ?」 「あたしの家」 「!?」 とりあえず朝倉を追い掛けようとしていた足が停止する。 「家って……」 困惑するオレのことなど振り返りもせず、朝倉は歩を進め続けていた。 120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 09:30:18.37 ID:gncthkhjO 朝倉に連れられて行き着いた場所は、駅からさほど離れていない分譲マンションだった。 そこの505号室の扉を開け、朝倉がオレに笑みを向けた。 「どうぞ、入って!」 どうやらここが朝倉の家らしい。 「おじゃまします」 朝倉の後に続き扉をくぐった。 121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 09:33:20.47 ID:gncthkhjO 通されたリビングには背の低いガラスばりテーブルと、薄ピンク色をした2、3人座れそうなソファー、そして画面が大きめのテレビが置かれていた。 その他、家の中にあるものも新築マンションの一室に相応しい家具ばかりだ。しかし、どうも違和感を覚える。これではまるで、 「一人暮しの部屋みたいだな」 オレは辺りを見渡した後、朝倉にそう言った。 122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 09:34:30.78 ID:gncthkhjO 「あら、やっぱりわかる?そ、あたし一人暮ししてるの。それにしてはちょっと部屋が広すぎるけどね。あ、お茶は冷たいのと、熱いのどっち?」 いつのまにか、台所にいる朝倉がそう聞き返してくる。 「熱いので」 「りょーかい。座って待ってて」 朝倉が戻ってくるまでリビングで待機することにした。 うん、なかなか座り心地のいいソファーだ。 124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 09:36:35.64 ID:gncthkhjO 朝倉はすぐに二人分の湯飲みをトレーに乗せて持ってきた。 オレの前とその反対側に湯飲みを置く。 そしてオレのほうに近づいてきた。 「?」 なんだ? 「ほら、そっち詰めて」 「??」 言われた通りにオレはソファーの端に寄った。 125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 09:38:48.52 ID:gncthkhjO すると朝倉はオレが座ってないほうに、手をかける。 「なるほど」 ソファーが二つに別れた。一人用には少しばかり広いと思ったら、そうゆう機能がついてる訳か。 朝倉はソファーの片割れを押し、自分の湯飲み前までもっていく。 「よし」 朝倉はソファーに腰をかけるとオレに満面の笑みを向け、自分の湯飲みに手を伸ばした。 「さあ、あなたも飲んで。せっかく熱いの煎れたんだから、冷めたら勿体ないじゃない」 「それもそうだな。いただきます」 ズズッ。 「おいしい?」 「ああ、うまい」 「そう、よかった」 126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 09:39:34.37 ID:gncthkhjO お世辞ではなく、本当にうまかった。もしかしたら使ってる茶葉が高級なのか。いやいや、ここは朝倉の煎れ方が上手いのだと思う事にしよう。 ズズッ。 オレは黙々とお茶を飲む。 朝倉はそんなオレを眺めながら、時たま自分の湯飲みに口をつけていた。 127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 09:40:34.53 ID:gncthkhjO 「………うぅ」 ちょっと飲み過ぎた。朝倉にすすめられるがまま、四杯も飲みほしてしまった。 「もっとおかわりいる?まだあるよ?」 オレとは違い、一回しか使ってない湯飲みを目の前に放置している朝倉が、笑顔を向けてくる。心なしか笑い声を堪えているような笑顔だ。 こいつ……。 136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 11:28:58.30 ID:gncthkhjO 「もういいよ。それより………話をしてくれるんだろ?」 「そうだったわね。今日はその事でわざわざ、家に来て貰ったんだった。あなたが、すすめれば、すすめるだけお茶を飲むのが面白くて忘れる所だったわ」 「お前……」 「ふふ、冗談よ。話しねわかってる。じゃあ、そろそろ始めるとしようかな」 そこから朝倉は表情を真面目なものに変えた。 「あたしの事、それとあなたの事。そして……涼宮さんの事をね」 今、目の前にいるのは時折見せていた、普段と違う雰囲気の朝倉だった。 137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 11:39:14.66 ID:gncthkhjO 朝倉涼子の消失(前中偏) 終 151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 15:57:00.25 ID:gncthkhjO 朝倉「朝倉涼子の消失(前中偏)座談会コーナー!!」 長門「……」 喜緑「……」 朝倉「あらら、なんだか元気がないわね、二人とも。長門さんはいつも通りだけど」 喜緑「いえ、前にも言いましたが、私、お話に出てこないの座談会コーナーの常連になってしまっていいのでしょうか」 長門「……」 朝倉「いいの、いいの。もろもろの事情でね!」 155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 16:06:50.54 ID:gncthkhjO 朝倉「なんか終わりって書いたのにも関わらず、保守してくれる方がいるので、まんをじしてあたし達インターフェイス三人娘が気の向くままに座談会をするわ」 長門「……」 喜緑「それにしても、随分中途半端な所で終わってしまいましたね。朝倉さんが彼に核心話をする直前でおしまいなんて」 朝倉「そう?むしろ、次回へ続く!!みたいな展開で区切るのには、ぴったりだと思ったんだけど」 朝倉「あら、眠いの。あなたは結構頑張って保守してくれた人よね。うーん、あたしも残念だけど眠たかったら、寝たほうがいいわよ。体調崩したもしかたないしね」 朝倉「会えたら、夢の中で会いましょう」 157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 16:12:57.67 ID:gncthkhjO 朝倉「……後半、後半ね。んー、困った時には長門さん!お願い上手いこと言って」 長門「後半は気がむいたら」 朝倉「うわぁー」 喜緑「気が向いたらと言うと、少し語弊がありますね。前回どうよう、お話の構想は最後まで終わっているのですが、まだ文にしていません。それが出来しだいとなります」 159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 16:21:07.62 ID:gncthkhjO 朝倉「さて、本編に触れておくと、そういえば、登場人物が増えたわね。主人公に近づく謎のさわやか青年である古泉君」 喜緑「時期的に彼は、本当に転校してきたばかりの時ですね。主人公の前に姿を表したのは機関のお仕事の為。のようです」 朝倉「きっと、裏では機関の工作活動をいろいろこなしているんでしょうね」 長門「……」 160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 16:24:40.56 ID:gncthkhjO 喜緑「温かいお言葉ありがとうございます」 朝倉「待っててくれるというのならあたし達もがんばるわ」 長門「……」 喜緑「私は出ないかも知れませんけどね」 162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 16:44:47.68 ID:gncthkhjO 長門「待ってて」 165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 17:03:24.18 ID:gncthkhjO 長門「……」 朝倉「今改めてわかった!あたしのライバルは長門さんなんだわ!」 喜緑「私も原作でもう少し出番があれば……」