ハルヒ「新団員の朝倉涼子ちゃんよ!」 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 10:53:00.85 ID:It8ncpW50 「何か物足りないわねぇ・・」 呟いたのは、我らがSOS団団長様涼宮ハルヒ。 コイツは常に何か不満を漏らすが、今度は物足りないと来ましたか。 一々答えるのは面倒だな、今日の夕飯何かなと思いながら、一応返事をした。 「どうしたんだハルヒ、なんだ、何が望みだ」 「あら、随分と偉そうじゃない。いつ貴方の株が上がったの?」 やっぱり言い返してきたな。いいぞ、ラノベの醍醐味無駄な討論だ。 だが、俺は枠にとらわれるような矮小な存在ではない。 「すまなかったな涼宮様。何か御不満でもありましたか?」 「まあいいわ。アレよ、何ていうかな。えと・・・」 いや、なんだよ。早く言ってくれたまえ。 枠におさめる気か、畜生。 ミスターアンチェインキョン様をなんだと思っているんだ。 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 10:55:54.80 ID:It8ncpW50 夕飯と同時進行で思案している最中、ハルヒ様は唇に手を当てて、 何か次に出す言葉を考えている。生意気な女だがこういう姿は可愛いものだ。 黙ってればいいんだがな、しょこたんよろしく。 SOS団のしょこたんは唇から手を離し、 俺のアイドル朝比奈さんを無礼にも指差した。 「みくるちゃんは・・・、ロリ巨乳よね・・」 「は、いきなりなんだよ?」 無礼な行動、無礼な発言に憤りを感じたが、 クールなアンチェインは聞き返してあげる。 「言葉の通りよ。ロリ巨乳よ。萌え萌えの乳牛」 その思いやりを足蹴にし、さらに無礼な言動をし始める。 なんなんだ。ハルヒ様、喧嘩なら千円までで買いますよ。 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 10:59:30.09 ID:It8ncpW50 「なんなんだ。あんまりひどい事言うと怒るぞ」 無視して、古泉を指差す。 「・・・さわやかクール」 「・・・綾波系無口」 長門指差す。 「・・・優柔不断主人公兼、ツッコミ担当」 俺。 なんなんだ人を誠ちゃん呼ばわりして、結論をいいたまえ結論を。 「何が言いたいんだ?急に主観で人をキャラ付k・・」 言葉をさえぎり、バンと香具師は机を両手で叩き、立ち上がった。 同時に椅子が床に擦れ、不快な音を出す。 「新団員が欲しいわ!」 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 11:04:12.87 ID:It8ncpW50 「まったく何を言っているんだ。朝比奈さんだけで十分だろうが」 口が滑った!良くないことだ! 「貴方は画像収集で満足みたいだけど、こっちはそうでもないのよ」 「ぶは!」 「いいわよ。私も見てるから」 くぅ・・・朝比奈さんの視線が痛い・・・。 涙の滲んだ目つきがたまらない・・・。 「ははははは!話を戻そうか!」 「で、よ。何か新キャラが欲しいのよ。皆が被らない感じの」 そうですか。それがものたりないことか。 半年以上は経過しているからな。メンバーなんか勧誘しない限りこないだろうな。 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 11:07:55.97 ID:It8ncpW50 「それは、同意見だ。半年以上新団員がいなものな」 「分かっているじゃない、新団員は必要よね!」 「ふうむ。ではどういったのがいいんだ?」 「それは、私も一理ありますね。私も友達が欲しいです」 古泉が話しに入ってきた。 なんだ友達は団員だけか、協調性のない奴め。 「勧誘というのは、バニー騒動の後からやってません。 こんどこそ正攻法で団員を勝ち取りましょう」 「分かっているじゃない古泉くん。何かいいキャラないかしら」 「急に聞かれましてもね、中々出てこないものです」 ふむぅと唸りながら唇に手を当て、うつむく二人。 無視されているようなので、朝比奈さんとランデブーのひと時を凄そうじゃないか。 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 11:11:30.41 ID:It8ncpW50 歩み寄ると、朝比奈さんは怯えた感じで体を震わせている。 どれだけ弱いんだ彼女は、そこが守ってあげたくなるのだよ。 「さっきのは気にしないでください朝比奈さん」 「そうですか・・?」 「そうです。僕はそんな盗撮なんてしてないです」 「だと、いいですけど・・・。あの、新団員ってどういう方が」 「思案中らしいですけどね、勧誘って事にするそうです」 「いい案ですね。待ってても来ませんですし・・・」 さすが朝比奈さんだ。的を射ている。 話が弾む、話題提供ありがとうハルヒ。 長門が本を閉じた。外を見ると空がオレンジ色になっている。 つかの間の幸せだった。また明日アプローチするとしよう。 それにしても長門はこの瞬間以外存在感がしないものだ。 古泉と同じく協調性を持ってもらいたい。 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 11:15:30.01 ID:It8ncpW50 「じゃあ、今日はてっしゅーう!」 威勢のいいハルヒの声で、部活はお開きとなった。 帰ろうとハルヒに一声かけると、古泉ともう少し話をするからと、 先に帰るよう言われた。 朝比奈さんと校門までを二人できゃっきゃしながら行き、帰路についた。 新メンバー?何それ? 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 11:20:08.56 ID:It8ncpW50 翌日、何時も通りに時間は過ぎ、恒例の部活の時間である。 朝比奈さんへのアプローチを考えながら部室の扉を開いた。 面子は朝比奈さん、古泉、長門の三名だった。 団長のハルヒだけが居ない。 遅れてくるのがステータスのような奴だ。待ってれば来るだろう。 さてと、朝比奈さんへの熱烈なアプローチを始めようじゃないか。 朝比奈さんへ視線を移すと同時に、 「トランプをやりましょう」 古泉からのアプローチが来た。トランプか、いいじゃないか。 「今日は朝比奈さんも混ぜようじゃないか、古泉」 「いいですね。朝比奈さんも混ざりませんか?」 「はい、私もたまには」 俺の気を悟ったのか知らないが、よくやったぞ。 さて何をしたものか。 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 11:23:44.85 ID:It8ncpW50 「ポーカーをしませんか?私得意なんです」 「ええ、良いですね」 朝比奈さんのしたいものなら、何でもするわけだが。 お茶を淹れるのか、朝比奈さんが向きを変える。 それを古泉が制止し、たまにはと奴がお茶を淹れ始めた。 朝比奈さんは少し戸惑いながらも彼にまかせ、 既に座っている俺の正面の椅子を引き、座った。 ちょうど向かい合って座る形になる。 腕を組んで、前のめりになり両肘をテーブルに乗せて微笑んでいる。 まるで天使だ。いや、彼女は天使だよ、うん。 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 11:28:22.83 ID:It8ncpW50 「ところで朝比奈さん」 「はい」 「古泉ってお茶淹れられましたっけ?」 「問題ないです。少し前私が教えたので」 その姿は見てないな。古泉の野郎、二人の時間を過ごしていたのか。 にっくきやろうだ。さわやか君は警戒されないのか。 俺もやろうかな。 「あの・・、昨日のことなんですけど。本当に・・、盗撮なんて・・」 不安そうな顔で聞く。 「いやいや!してないですって!そこまで落ちないです俺は!」 「信じていいんですか・・?」 「ええ、神に誓って良いです」 「もう、聞くのはやめにします。気分が悪くなるので」 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 11:34:24.71 ID:It8ncpW50 そうは言ったが、彼女の後ろのパソコンには、 朝比奈さんフォルダが2GBもある。神に殺されるかもな俺。 古泉が危なそうに盆を震わせながら、お茶を運んできた。 俺、朝比奈さんと茶碗を置き、朝比奈さんの隣へもう一つ置いた。そこに座るんだな古泉。 古泉が席に着き、トランプを切り始める。 相変わらずのにやにや顔で、凄いトリックを駆使して混ぜている。 視線が合うと、ふふと微笑む。凄い奴だよお前は。 カードを配り始める。奴から時計回りにカードを滑らせ手元へ送る。 四順し俺へと最後のカードが配られると同時に、勢いよく扉が開いた。 破壊神のご登場である。 扉を開いたまま、俺達の所へ来て、机を両手で机を叩いた。 「やったわ!新団員よ。私の功績に感謝しなさい!」 なんだとう。新団員か、奴が望めば何でも起きるわけだが、 これは素直に嬉しいよ。 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 11:39:25.04 ID:It8ncpW50 「あの、新団員の方はどういった方なんでしょうか」 朝比奈さんが口を開く。それにハルヒが答える。 「それを今から紹介するのよ。まったくKYって奴なんだから!」 「あ、あの・・、すみません」 申し訳なさそうに俯いた。 そういう行動が俺の愚息を上向きにさせてくれる。 毎日のスタミナ源だ。 ハルヒが扉へ腕を払い、指を広げた。 「皆の頼れる清楚なお姉さん朝倉涼子ちゃんよ!」 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 11:43:32.58 ID:It8ncpW50 聞き覚えのある名前を口にした。 ハルヒ以上の破壊神、朝倉涼子の名を。 同時に太い眉のお嬢さんが部室に入る。 前かがみになり、緊張しながら扉をくぐったのは、紛れもない。 朝倉涼子だった。 ハルヒ以外の全員が目を見開き彼女を凝視している。 5秒ほどした後、朝倉涼子が沈黙を解く。 「あの・・、迷惑、だったかな・・?」 「迷惑なんてことは無いわ!私が連れてきたんだもの!」 彼女の元へ歩きながら言う。 後ろにまわって、俺達の居るテーブルへ両手で押す。 テーブル越しに、長門と真正面に対峙している。 普段なんの反応もしない長門が、ずっと彼女の方へ視線を送っていた。 何も発言しないのは相変わらずだが。 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 11:47:12.19 ID:It8ncpW50 「さあ皆も挨拶して!卒業するまで一緒の予定なんだから!」 「そうですね。非礼を詫びます。古泉一樹と申します」 最初に口を開いたのは。古泉の野郎だった。 奴の性格上同様は薄いみたいだった。 それに続き、俺と朝比奈さんも自己紹介をする。 といっても名前だけだが。 こういう時でも長門は口を開かない。 痺れを切らしたのか、ハルヒが紹介をする。 こうなることは考えずとも予測はできるが。 「えーと、彼女は長門有希よ。無口だけど悪い子じゃないから安心してね」 喋り終えるまでハルヒを見ていた。 長門の方へと向きを変えると、朝倉涼子が長門の正面に立っていた。 足音はあまりたてない奴だったのか。 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 11:51:17.08 ID:It8ncpW50 「苗字、長門っていうの?」 「そう」 本に栞を挟んで閉じた。 そして、少し間を空け返事をする。 なんだテレパスーで邪悪なやり取りでもしてるんじゃないか?おい。 「そうなの、私この間引っ越して来たんだけど、貴女は○×アパートに住んでるの?」 「そう」 「708号室なら、お隣さんよ。気づいてた?」 「そう」 「・・・えっと、よろしくね長門さん」 握手を求め、手を差し出す。 長門もそれに答えて手を添え、軽く指を曲げるだけで、握ったというわけではなかった。 相手はしっかりと握り、ニ、三回上下させた。 「そう」 最後に一言呟き、本を開き何時もの姿勢に戻った。 このごろ長門から「そう」としか聞いたことがないが気のせいだろうか。 今日の夕飯なんだろうか。カレーだったな、大好物だやっほーい。 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 11:57:29.10 ID:It8ncpW50 「そういえば貴方達トランプしてたの?枚数から推測するにポーカーね。 私達も混ぜなさい。ほら涼子ちゃんも座って。有希は・・、本読んでるからいっか」 ハルヒが俺の隣に座る。椅子は四つなので全て埋まってしまった。 朝倉涼子は胸の辺りに手を置いて辺りを見回している。 墨にパイプ椅子が詰まれているのを見つけ、取りに行く。 それを見てハルヒが立ち上がり、俺の頭をひっぱたいた。 なんだよと貴奴の方を見ると呆れた顔をしている。 「あんた雑用の癖に、椅子ぐらい取れないの? それ以前にレディファーストって分かる?椅子取りなさいよ」 「そんなに怒らないで。椅子ぐらい自分で取るわ」 既に朝倉は椅子を持ってきていて、ハルヒと古泉の間の位置の辺・・・ええいややこしい。 とりあえず座っていた。 その間には古泉がトランプを回収し、またトリッキーなシャッフルをし、にやついていた。 長門が本を閉じるまで、トランプを続け談笑したが。 朝倉からあの時のような悪い感じを受けず、ただ普通のおとなしい女の子という印象だった。 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 12:01:56.90 ID:It8ncpW50 本日の部活を終えた後、私は市の図書館により、家に帰った。 興味を引く本があり、それを読み続けていて遅くなった。 既に時は20時を回っている。 部屋に入る前に隣の表札を見た。部屋の電気は点いていない。 確かに朝倉と書いてある。毎日は目にしないので、いつ越して来たのか分からない。 下に家族の名前を書く欄がある。 そこには「涼子」とだけ書かれていた。 一人暮らしなのか、家族は居る事になっているのか。 彼女は何が目的なのか。止そう、考えるときりが無い。 今日は食事をとって寝ることにする。 鍵を開け、部屋に入り扉を閉め、鍵をかけた。 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 12:07:11.10 ID:It8ncpW50 翌日。 ちなみに、日が変わるたびに「翌日」と言うことにする。 目印となってくれると幸いだ。               ミスターアンチェインより 居眠りをしたり、ハルヒの対応をしながら4時間の授業が終わり、昼休み。 朝倉は隣のクラスだと言うので、顔を出すことにした。 扉から覗くと、確かに朝倉は居た。隅の席で一人食事をしている。 孤立・・しているのか? とりあえず彼女の前の席の椅子をお借りするとする。 彼女は俯いたまま気がつかない。 声をかけるとやっと気がつき、俺の名前を呼んだ。 ごはん粒が飛んでるぞ、清楚なお嬢さんよ。 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 12:12:15.20 ID:It8ncpW50 「あの、何しに来たのかな。キョン君・・だったかな」 「それであってますよ朝倉さん。食事中にすみません」 「それ」 俺の右手を指差した。何故か弁当箱を持っていた。 食事をする直前に気がついて来たせいだろう。 「一緒に食べたいの?」 よく分からない状況だ。 断る理由はない。勝手に抜け出したとハルヒが怒るだけだ。 それに彼女は孤立しているんだ。断ったら傷つくかもしれない。 それだけは避けたかった。たとえ命を狙われたといっても。 「あ、ああ。一緒に食べましょうとも。その為に来たようなものです」 「ありがと。一人で寂しかったの」 「ええ、どういたしまして。一つ聞きたい事があんですが」 「何、遠慮なく言って」 「俺のことを殺しに来たんですか?」 「え、は?何のこと?」 「言葉の通りです。この前、物騒なナイフを俺に突きつけたのを覚えてませんか?」 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 12:16:46.70 ID:It8ncpW50 彼女がこんな言葉でボロを出すとは思ってない。 でも聞くだけでもしておきたかった。 ずっと怯えていては余生も楽ではない。 正直に言われても余生は恐怖に駆られるわけだが。 「覚えてないわ。そんなこと、私がしたの?」 「そうです。長門にも大怪我をさせました」 「もし、私が貴方の命を狙ってるとして、正直に言うと思う?」 「言わないと思います。でも殺意はないと言ってもらえるだけで安心することはできます」 目的はなんか分からなくなった。なんだか彼女との会話が楽しかった。 「なんの事だか分からないわ。私が貴方を殺すっていうのも」 「覚えてないんですか?何も」 「私、貴方とは初対面よ。それに私そんな怖いことできない」 「そうですか、すみませんでした。失礼なこと言って」 「いいの、忘れて」 その後は普通に話をし、食事を終え教室に戻り、 「私に許可をとらずに外に出るな」とハルヒに張り手を食らった。 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 12:21:14.80 ID:It8ncpW50 部活である。 団員全員が既に来ていて、俺が最後らしい。 ハルヒに恒例の張り手を喰らい、席に着いた。 皆思い思いの事をしている。 長門は何時もどおり本を読んでいるが、時々朝倉に視線を移していた。 その朝倉は何も行動を起こさない。 古泉とパソコンでぷよぷよなんかをやっている。 何だ、へらへらしている同士気が合うのか。 見ると古泉が圧勝している。13連鎖?正気かよ。 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 12:26:03.67 ID:It8ncpW50 「えーと皆。明日は休みよね。久しぶりに探索とかやんない?」 ハルヒが提案する。 「ちょうど6人なわけでしょ。きっちり2グループに分けれるじゃない」 「それいいんじゃないか。たまには」 いい案だ。休日は何もすることがない。 そういうのもたまにはいい。 SOS団と一緒にいると休むといった感じではないが。 長門が本を閉じた。今日もまた終了というわけだ。 朝倉は何もこれといったアクションをしてこない。 それより、普通にSOS団に馴染んでいるのが面白い。 やはり今日も校門まで朝比奈さんときゃっきゃした。 夕飯なんだろ。野菜炒めが食べたいぞ、うん。 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 12:29:16.30 ID:It8ncpW50 今日は直帰することにした。 自室の階へと辿り着く。 ずっと彼女の事が気にかかっている。 特にこれといった事もしてこないし、普通の女の子にしか見えない。 おまけにクラスにあまり馴染めていないみたいだ。 情報操作で委員長キャラを作らないのか。 よく分からない。 考えるだけ無駄だ。さっさと部屋に入ろう。 その前に隣の部屋を見る。電気が点いている。 何をしているのだろうか。 どうしても彼女のことが頭から離れない。 もう、寝てしまおう。 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 12:33:54.76 ID:It8ncpW50 電話が鳴る。 目を開け時計を見ると19頃だった。 無神経という時間ではないが睡眠中だ。 眠りが浅い分、少しだけ気分が悪い。 電話をとった。誰だ、男だったら嫌だ。 「もしもし、朝倉だけど。忙しかったかな?」 「涼子・・・」 「ええと、嫌だったらいいんだけど。お夕飯作りすぎちゃって、 肉じゃがなんだけどね。一緒に食べないかなって」 「そう」 「あ・・、ずうずうしかったかな、ごめんね。もう切るから・・」 「待って。お言葉に甘えさせてもらいたい。今から貴女の部屋に行かせてもらう」 「そう。あ、ありがと。すぐ掃除するから、ゆっくり来ていいから!」 「あせる必要はない」 「じゃ、切るね。待ってるから」 「わかった。・・・切れてる」 何故だ。彼女だと分かった瞬間凄く気分が良くなった。 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 12:38:56.67 ID:It8ncpW50 彼女の言うとおりゆっくりと、五分後に向かった。 隣なのに、直接来ればいいのに。 彼女のことを考えるほど分からなくなる。 監視に身が入らない。 彼女は迂闊な人じゃない。当分は普通にしていて欲しい。 ドアをノックすると直ぐに扉が開いた。 まるで、扉の前で待ってたのかのようだ。 制服の上にエプロンを着ている。 よく見ると、エプロンから露出した肩の部分にシミがある。 料理の途中で跳ねたのか。 「来た」 「あはは、こんばんわ・・・」 「こんばんわ、寒い。早く上がりたい」 「ごめんね。さあ入って入って」 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 12:40:31.28 ID:It8ncpW50 中へ入る。廊下を通り、座敷部屋へ。 入り口には黒くて耳の丸い鼠の暖簾が掛かっている。 綺麗に整頓された部屋だった。 部屋の隅にたたんだ布団があるここが寝室だろう。 居間は中心に折りたたみ式のテーブルがある。 土鍋が置いてあり、そこに肉じゃがが盛られている。 所々焦げている気がする。料理は得意じゃないみたいだ。 いい度胸だ。でも彼女の事だと思うと許せる気になった。 「熱いから気をつけてね」 朝倉涼子が御椀を運んで来た。 おたまを使い、皿に盛る。それを私に差し出した。 近くで見ると、焦げが目立つ。汁にとろみが無く、水のようだ。 とりあえず、ジャガイモを箸で程よい大きさに潰し、頬張った。 「おいしい」 本当はそうでもない。料亭で出されたら少々ムッとするレベルだ。 でも言葉はとっさに出た。 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 12:43:58.07 ID:It8ncpW50 「おいしかったの、ありがとう」 「そう」 少しだけ我慢して、盛られた分を完食した。 時計を見ると三十分以上経過していた。 「えっと・・、長門さん。本当は美味しくなかったの?」 図星だ。御世辞にも美味しいとは思えない。 「どうして」 「顔色が悪いわ。時間かかってたし」 「そんなことない」 「いいの。余り、料理得意じゃないの。今日は良く出来たと思ったから・・」 「いい。そろそろ帰る」 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 12:47:20.52 ID:It8ncpW50 立ち上がって暖簾を潜り、廊下を歩く。 急に左肩を掴まれた。とても強い衝撃がはしった。 彼女が背後に居ることは分かってたし、あまり驚くことじゃない。 でも、心臓の鼓動が聞こえる位大きくなる。 「あの、もっと練習するから・・。また、今度食べてくれるかな・・」 「分かってる。あまり、触られると・・」 そっと、手を重ねて、彼女の手を肩から離した。 腕がだらりと落ち、服に擦れる音が聞こえた。 扉に手をかけ、開いた。 「ごめんなさい」 彼女が発言するのと私が扉を閉めるのは同時だった。 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 12:53:47.13 ID:It8ncpW50 明日になった。 俺は今日の散策の為、早起きした。 ハルヒは予定の10分前には来ているだろう。 という事は俺は15分前に居ないとハルヒが怒る。 まったくプレイボーイは困ったものだよ。 身支度をし、玄関に向かうとシャミセンを抱えた妹が走って来た。 おいおい今は8時だぞ。シャミセンはまだ寝てるじゃないか。 早起きなんていい子だよ。 「私も行くー!」 今日だけは駄目だ。なんたって朝倉涼子が居るんだ。 妹を危険な目に合わせるわけにはいかない。 「今日は駄目なんだ。留守番してなって」 「でも、暇なんだもん!一緒に行く!ねぇ連れてってよー」 「しょうがないな。お母さんに許可を取ってきてくれ、そうしたら連れてってやろう」 「うん!待っててよ!」 言うが早いか、無邪気に走っていった。可愛い妹だ。 悪いな妹よ。お兄ちゃんは忙しいんだ。 俺は音を立てないように扉を開けて出て行った。 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 12:58:16.48 ID:It8ncpW50 集合場所に着くと長門、朝比奈さん、古泉の三名が居た。 ハルヒは居ないようだ。俺は勝ったんだ! 「キョン君。朝倉さんの事なんだけど・・・」 朝比奈さんが話しかけてくれたと思ったら、 朝の挨拶なしに本題ですか。嬉しいですが悲しいです。 「その、キョン君。殺されるかもしれないんですよね・・」 「ええ、そのようですね。前例がありますから」 「彼女に敵意は感じられない。他の意思があるはず」 唐突に長門が口を挟んだ。 なんだ、お前が一番ひどい目に会ってるのに弁護するというのか。 「いえ、彼女からは尋常ではない邪気を感じます。やはり、警戒が必要です」 古泉も会話に割り込む。随分喋るな君達は。 「取り合えずだ。警戒はしておこう。俺だってジェントルマンだ。 朝倉さんをあまり傷つけたくない。クラスでも孤立していたみたいなんでな」 とりあえず話をまとめた。ハルヒに聞かれたら面倒だ。 俺が心配するのもおかしいが。 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 13:04:31.13 ID:It8ncpW50 「何の話してんの?キョン」 おおっと噂をすれば影だ。なんと朝倉涼子も一緒だ。 「ああ、涼子ちゃん?場所がよく分からないって電話貰ったから、迎えにいったのよ」 「なんだ、いいとこあるじゃないかハルヒ」 「何言ってんの。私は善良市民よ!」 破壊神が言うじゃないか。まったく可愛い奴め。 くじを引き、チームを決める。 もれなく朝倉涼子と俺は一緒になった。そしてもう一人は長門。 古泉と朝比奈さんはハルヒの子守となるわけだ。お気の毒に。 いや、本当に気の毒なのは俺じゃないか。畜生。 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 13:10:27.93 ID:It8ncpW50 散策が開始されたわけだが、いかんせん何をしていいのか分からん。 取り合えず、デパートとかを回ってみようという朝倉涼子からの提案で、 そういうことになった。 人が多い場所とは、今日は決行しない気なのだろうか。 一通り全部の売り場をまわったがこれといって面白いことも無い。 なんていうかな、もう手分けする必要がないんじゃないかってぐらいだ。 結局は書店で立ち読みということになった。 朝倉さんが長門を引き連れて、小説なんかを物色している間、 俺は青少年らしく、ジャンプで画太郎を読んでいた。 ページを捲る毎に朝倉涼子の方を見てみるが、 警戒の必要が無いくらい、無邪気にはしゃいでいる。 結構たった頃、二人は乙女らしくオブラートに包んだ言い方で 便所に行く旨を伝えた。 なんだよ、もう完全に孤立じゃねえか。 やってらんねーよ。 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 13:14:48.94 ID:It8ncpW50 用を足し終えた。 個室から出ると、朝倉涼子が先に手を洗っている。 私も隣に立ち、石鹸で念入りに洗う。 彼女はというと、私の倍の時間をかけて洗っていた。 トイレから出て、彼の元へ戻る。 待たせてはいけないので少しだけ急いだ。 「長門さん」 急に声をかけられた。 やっぱり彼女といるだけで、体が熱くなる。 よく分からない。 「少し休もう。立ちっぱなしで疲れてない?」 「彼を待たせている」 「三分だけでいいから、ね?お願い」 「少しだけ」 近くにベンチがある。書店の入り口の前だから見失うことはないだろう。 ゆっくりと腰を掛けた。少し疲れがたまっていたかもしれない。 あしが痺れている。貧弱な体だ。 涼子は私のすぐそば、肩がぶつかるかぶつからないかの位置に座った。 一気に心拍数が上がる気がした。 彼女の下ろした手が私の手に当たった。 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 13:19:44.77 ID:It8ncpW50 「手がどうしたの」 手をずらして手の平をを合わせた。暖かい。 彼女から見たら、私の顔は真っ赤になっているのか。 これは照れくさいという感情なのだろうか。 「長門さん、手握ってもいいかな」 「いい」 優しく包み込むように手を握ってきた。 今度はこっちもしっかりと握った。 私のほうから体重をそらし、涼子の肩にもたれた。 相手も緊張しているのか、心臓の鼓動を感じる。 「長門さん、出会って三日でこんなこと言ったらひかれると思うけど、 私貴女の事好きみたい」 「そう」 「ごめんね急に、女の子同士なのに。いいの、忘れて」 「嫌じゃない」 「そうなの、ありがと」 とても心地よい。どうしてこんな気持ちになるのだろう。 エラーだ。上に診てもらわないと・・・。 しばらくたって、私はそのまま寝てしまった。 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 13:25:47.82 ID:It8ncpW50 ふぅ、立ち読みはこの程度にしようかな。 俺は本を置き、背伸びをした。 そして立ち読みの礼として何故か置いてあるチューインガムを一つ買った。 俺やっぱ紳士だよ、うん。 店を出ると、ベンチで座っている朝倉と、寝そべっている長門が見えた。 ひ、膝枕だとう!? 羨ましいじゃない、おっかない事をしてるじゃないか長門さんよ。 何でだろうね、時折破壊神朝倉が長門の髪を撫でてる様に見えるんだ。 近寄って確認することにする。 「やあ、すみません。立ち読みに没頭してしまって。隣失礼します」 一応断りを入れて座る。 「別にいいわ。別に退屈もしてなかったから」 「だといいんですけど。長門はどうしたんです」 「寝ちゃったみたい。歩きっぱなしだったから。この子体力ないみたい」 なんだ退屈だったんじゃないか。 凄く申し訳ないよ。どうしようよ。 ふと前を見るとハルヒご一行がいた。 まずいな、今の見られたよ。俺は瞬時に立ち上がって、いちゃついてませんオーラを出した。 オーラが見えないのか、ハルヒは早歩きで俺の所へ来て、 張り手を喰らわせた。俺はのけぞって頭を打った。今までで一番痛い。 「楽しかったかしら、何よべたべたしちゃって!エロキョン!」 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 13:31:07.93 ID:It8ncpW50 「違う!濡れ衣だ!隣に座る位いいじゃないか!」 「もういいわよ馬鹿!」 馬鹿だと、何時もにもまして酷いぞ。 俺が何をしたっていうんだ・・・。 「起きなさい!有希!帰るわよ!」 ぱちりと目を開けて、目を擦らずにハルヒの方を見てうなずく長門。 凄いな。かなり空気が読めてる。 考えてる間に女性陣はかなり前に行ってしまっている。 待っていてくれたのは古泉一人だ。心の友よ。 「なあ古泉、ハルヒなんか機嫌悪いんだけど」 「さあ、私には女心は分かりかねますが、貴方が悪いと思いますよ」 「そうかい、分かりかねるよ。ってぇ・・・」 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 13:36:38.28 ID:It8ncpW50    人が少ないww誰かいるのかねwww その日の晩。 風呂に入り終え、部屋でティーブレイクを過ごしていた。 なんとなくテレビを点けてそれを見る。 すごく無駄だが凄くいい時間だ。 その時間をさえぎり、携帯電話が鳴る。 画面には長門の番号が書かれている。 意外だな、奴が電話とは。 テレビの音量を下げ、通話ボタンを押し耳に添える。 「もしもし長門か?急にどうした」 「貴方は最近ハルヒに冷たい気がする」 「なんだ、唐突にハルヒなら別に普通だぞ」 「貴方は朝倉涼子を意識しすぎる。そのせいで彼女に気があると勘違いされている」 なんだ、ハルヒに限ってそんな女々しい・・。 こちとら命狙われてるんだ。意識しないでどうしろというんだ。 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 13:43:05.53 ID:It8ncpW50 「古泉一樹もバイトが忙しくなったと言っている」 「そうだな。すまない、明日謝っておく。そうしたら機嫌を直してくれるか?」 「もう少ししっかりして欲しい」 「分かったよ。切るぞ」 「・・・貴方のせいで涼子が・・」 なんだ、やけに声が荒々しかったな。長門らしくない。 テレビの音量を戻して、お茶を飲む。実に美味しい。 そういや夕飯ひじきだったなとかどうでもいいことを就寝まで考えた。 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 13:46:34.02 ID:It8ncpW50 翌日である。何時もどおり登校した。教室に入り席に着いた。 昨日のことを引きずっているのか、ハルヒは凄く機嫌が悪そうだ。 長門との約束もある。とりあえず謝っておこう。 「おいハルヒ」 「何よ」 「昨日その・・すまなかったな」 「別にいいじゃない、いちゃいちゃしたいなら好きにすれば?」 おいおい完全にすねてるよ。俺に好意があるのは嬉しいが、なんか複雑だよ。 「あのな、悪いと思ってるんだ。別にやましい事は考えてなかった。それは本当だ」 「だったらなんだっていうのよ!上から目線で話をしないで!」 まずいな、こいつは興奮しすぎだ。 ちょっと冷静にならないと話にならない。ここはなだめる感じで話すべきか。 アンチェインはクールだもんな。 「ヒスを起こすな、謝ってるじゃないか。何が不満なんだ、俺直すからさ」 「それが嫌だって言ってるの!馬鹿キョン!」 叫ぶと同時にグーで殴られた。 俺は鼻血を出し、ハルヒは泣き出した。なんなんだよ。 何で俺が、命狙われたあげく、女子高生のご機嫌取りか。 畜生、やってらんねーよ・・。 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 13:51:08.24 ID:It8ncpW50 放課後の部室、古泉一樹が私に話しかけてくる。 彼のことだろう。うまくいったのだろうか。 いつものにやにや顔ではなく、緊迫した表情をしている。 「長門さん。彼、失敗したみたいです。大喧嘩した挙句、今も口を聞いてません。 閉鎖空間が凄いことになっています」 「そう」 「この様子じゃ、朝倉涼子は消されてしまいますね」 「問題ない。彼女がいなくなればこの感情も消えると推測される」 「まったく涼宮さんには困ったものです。自分で団員を連れてきて、 いらなくなったらポイなんですから」 「いい、これは彼女の願望であって、意志ではない」 分かってはいるが、胸が苦しい。 これは涼宮ハルヒの誘導による感情だ。分かっているはずなのに・・。 「長門さん、慰めぐらいにしかならないでしょうが、 彼女の元へ行ったらどうです?教室に一人いるみたいです」 「・・・そうさせてもらう」 小さな返事をして長門は部室を後にした。 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 13:54:49.17 ID:It8ncpW50 教室に着くと、朝倉涼子が窓の外を見て佇んでいた。 机の上に、鞄が置かれている。これから帰るところなのだろう。 私は彼女の元へ歩み寄った。何を喋っていいのか分からない。 もう、彼女は消えるんだ。 「あ、長門さん。古泉君に長門さんが用があるっていうから待ってたの」 「そう、待たせてすまない」 「で、用って何?」 「・・前、キョンという部員が貴女に殺されかけたと言った事は本当」 彼女は消えるんだ。全て本当の事を伝えたい。 私の人生で恐らく一番苦しい。これも全て涼宮ハルヒのせい・・。 「信じられないかもしれないが、黙って聞いて欲しい」 「よく・・、分かんないけど、聞いてから判断することにするわ」 「ありがとう。幼少からの記憶があるかもしれないが、貴女が生まれたのは最近のこと」 「すべては涼宮ハルヒの願望。彼女はいわゆる神というもので・・」 私が宇宙人であること、朝比奈みくるが未来人、その他古泉、涼宮ハルヒ、 今の朝倉涼子のモデルとなった人物、本件に関わることを全て話した。 彼女はうなずきながら聞いていた。 ただ、彼女が消えるということを中々口に出せない。 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 13:58:39.80 ID:It8ncpW50 「彼は、貴女にまだ命を狙われてる思って警戒している。そのせいで、涼宮ハルヒに 貴女が好意を持たれていると勘違いさせた」 「じゃあ、私は嫉妬されてるわけなの?」 「そう、私達が短期間でこういう関係になったのも、貴女が彼に好意を向けないため」 「だから・・・、貴女は私の事が本当に好きじゃない」 「そうなの」 「先日、貴女の事で喧嘩して、それが今も悪化している。 このままでは、貴女は消されてしまう」 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 14:00:56.62 ID:It8ncpW50 「消えるってどういうこと?」 「死ぬに近い。苦しみは・・、ないから安心してほしい・・」 言葉が出にくい。目に涙が滲む。 小さい吐き気のようなものが、数秒の間を空けて断続的に来る。 「私と長門さんのことを考えたら嘘じゃないみたいね。 私、いつ消えるのかな・・」 急に消極的な声になった。 「きっともうすぐ、最後までずっと一緒にいたい」 朝倉涼子が私を抱きしめた。 私もそれに答えて目を閉じる。 「貴女が朝倉涼子じゃなかったら・・」 「いいの、教えてくれてありがとう」 彼女が呟いた。 目を開けると、朝倉涼子は居なかった。 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/21(月) 14:03:28.43 ID:It8ncpW50 翌日の放課後、少し遅れて部室に行った。 そこにはいつも通りの元気な涼宮ハルヒが居た。 この五日間のことなど一切覚えてないようだ。 それほどまでに涼子のことが鬱陶しかったのか、 どこかいつもより晴々とした表情に見える。 彼はというと、責任を感じているのか、私と目を合わせてくれなかった。 古泉一樹と朝比奈みくるは慰めの言葉をかけてくれたが、もういい。 私のこの感情は涼宮ハルヒのせいでその内消える。 私の中から涼子はいなくなる。 〜めでたしめでたし〜