長門「ポーニョポーニョポニョ…」 332 名前:9-1[] 投稿日:2008/07/20(日) 13:27:14.79 ID:Jig9rTIZO 邪魔でしたら言ってください。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥  週末の団活も解散となり、ハルヒ達と別れ自転車置 き場に向かう。自分の自転車を出したところで、小さ なセーラー服に、行く手を塞がれた。 「来て」  長門がこう言う時は、何かある場合だ。だいたいに おいて、拒否権は認められないから、仕方なく従う。 歩きながら、理由を尋ねたが、常にたがわず沈黙で返 される。ただ、あの長門が怯えて見えたのは、気のせ いじゃなかった。 「下がって」  マンションの前で、長門が身構える。長門の前方を 見据えると、初めからあったように、佇む影。━周防 九曜━確か、長門の親玉と違うけど似たようなモンの インターフェイスだったな。佐々木達はと、見渡すが、 ソレらしい人影は見えない。俺なんかに見つけられる 筈もないが。 「―導く―存在―」 雑音に似た呟き、長門は高速言語を呟く。魔法使いの 呪文合戦か。おそらく、目に見えない何かが二人のイ ンターフェイスの間であるのだろう。 「…………………っ」  突然、長門がブレた様に見え、倒れた。 336 名前:9-2[] 投稿日:2008/07/20(日) 14:02:57.33 ID:Jig9rTIZO >>332 長門!長門!しっかりしろ!  駆け寄って抱き起こす。長門が白眼を剥くなんて信 じられない。しかし、腕の中の長門は、眼が裏返り、 涎を垂らし、痙攣が腕を伝わってくる。 長門に何をした! 「―存在―障壁―一つ―」  意味不明な呟きを残して、立ち去る九曜。それより 長門だ。マンションにと思うが、暗証番号を知らない。 管理人が居た筈だが、管理人室の窓には、不在を告げる札が。 「長門さんの部屋ですね」  喜緑さん!?生徒会書記で、俺の知る三人目のインタ ーフェイス。事情を説明する前に、暗証番号を押して、 マンションに入っていく。慌てて長門をお姫様抱っこ して続く。自転車はほったらかしだが、緊急事態だ。 喜緑さんがドアを開け、長門の部屋に入る。殺風景な 居間を通り、奥の和室に入る。朝比奈さんと来た七夕 の日、ここには布団があった筈だ。喜緑さんが敷いてくれた 布団に長門を横たえる。 「リセットが必要ね、あなた、長門さんをお願いね」 はい…、えっ!?  無理ってことを訴えたが、笑顔で押し切られてしまう。 「お家へは、私から連絡しておきますから」  それだけ言って、喜緑さんは帰って行った。 337 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/20(日) 14:22:06.12 ID:Jig9rTIZO >>336  看病ったって、この場合どうしていいのか、さっぱ りわからない。長門の右手を握り、顔を見る。喜緑さ んが瞼を綴じさせたが、半開きの口は涎を垂らしてい る。時折、痙攣が襲うが見ているしかない。窓からの 光が黄昏色になる頃、 「…あり…が…とう」 長門!気が付いたか  頷き、目を細める。気が緩む、あぁこれで一安心。 そう思った。  ビクン  長門の身体が弓形に反り返る。眼は限界まで開かれ、 口はパクパクと酸欠の魚のようだ。 長門!  握ったてに力を込める。応える様に、握り返す。長 門に想いを送る、俺にできるのはそれだけだ。だった らありったけの想いを送ろう。たぶん、俺は酷い顔だ ろう。それをどうこうする余裕はない、ただ、長門に、 長門に想いを送るだけだ。長門の苦しむ姿を見たくな い、しかし、長門は俺に助けを求めた。そう確信して いる。だからこそ、喜緑さんも俺に託したのだろう。  不意に長門が静かになる。さっきまでの光景が、無 かったかのようだ。気付けば、寝息を発てている。以 前、睡眠について尋ねたが必要ないと言っていた。 「リセットが必要ですね」  喜緑さんの言葉が蘇る。 338 名前:9-4[] 投稿日:2008/07/20(日) 14:34:05.23 ID:Jig9rTIZO >>337  汗や涎、涙等で濡れてしまった長門の顔、せめて拭 いてやろうと起こさないように居間に移る。喜緑さん が用意してくれたのか、タオルと着替えが並べてあっ た。タオルを取り、長門の元へ帰る。改めて見れば、 制服も汗でべったり体に張り付いて、下着が透けてい た。替えなきゃダメかな。  着替えを取りにきたものの、おそらく無用であろう 理性が躊躇わせる。携帯のアドレスを眺める。ハルヒ はダメだ。やはり、朝比奈さんか。 「キョンくん、終わりましたよ」 すみません、遅い時間にこんなお願いをしてしまって 「いいえ、わたしもこのくらいしかお手伝いできませんから」  急なお願いにもかかわらず、駆け付けてくれた朝比 奈さん。長門の着替えを終えると、お茶を入れて俺の前に置く。 「じゃあわたしは、帰りますね、」 すみません、助かりました 「うふふ、いいんです」  しかし、玄関を出る時、 「次は、キョンくんが一人で替えてあげてね」 えっ、それだと長門が 「長門さんは苦手です、けど気持はわかりますよ」  意味を計りかねていると 「わたしに聞いても無駄ですよ、禁則事項ですから」 341 名前:9-5[] 投稿日:2008/07/20(日) 14:46:28.93 ID:Jig9rTIZO >>338  朝比奈さんが帰り、長門の傍らで言葉の意味を考え る。結論としては、長門の着替えを俺がするってこと だ。理由は禁則事項ですって、朝比奈さん、わかりま せん。長門は、淡い色合いのパジャマで寝ている。制 服以外の長門は、新鮮な印象だ。そっと右手を取りそ の温もりを確かめる。  うとうとしてしまったらしい、腕を引かれ目を覚ま す。何事か呟き、頭を激しく振る長門が居た。不規則 に痙攣する体、激しく頭を振りながら、光のない瞳を 開き、呟き続ける長門。  右手は、痛いほどに俺の 手を握り締める。まるで、崖から落ちそうな人間がそうする様に。 長門!俺はここだ、側にいるぞ  聞こえないかもしれない、でも、叫ばずにいられな かった。届くと信じて。  また、不意に静かになる。長門と目が合う、酷いな、 可愛い顔が台無しだ。声に出してしまったのだろう。 「…あな…たも…酷…いか…お……ふふ」  僅かだが、初めて見る微笑みを浮かべる長門。 全身汗だくだな、夏でも汗ひとつかかなかったのに 「…情報…操作は…得意」 342 名前:9-6[] 投稿日:2008/07/20(日) 14:55:58.66 ID:Jig9rTIZO >>341 長門、着替えるか 「……」コク  蛍光灯の下で顔を紅潮させつつ、小さく頷く。  タオルと着替えを持ってきて固まってしう。服を脱 がさなきゃならない。様子を察して長門が 「脱がして、気持悪い」  指が震えていたが、初めてなんだし許してくれ。  ボタンを外すと、長門の体を右に向け、パジャマの 左手を抜く。反対にして右手を抜く。ボタンを外す際 に気付いたが、下着を付けていなかった。汗を拭こう とすると、長門の二つの丘陵に目が行ってしまう。朝 比奈さんは別として、ハルヒよりも控え目だがそれが長門らしい。 「…大きな胸が好き…」 長門は、長門でいるからいいんだ 「…………私は、私」 そうだ、長門は長門だ  上体を起こし、背中を拭く。華奢な長門の体、この 体で、朝倉の刃から俺を助けたり、様々な危険な場面 を切り抜けてきたんだ。気付けば、長門を抱きしめていた。  ありがとう、すまない、ごめんな、感情が一度に溢 れ、泣き声にしかならなかった。俺の涙が長門の体を伝う。 「いい、私が私でいられるのは、貴方が貴方でいたから」  気持に蹴りを入れて、着替えの作業に戻る。 343 名前:9-7[] 投稿日:2008/07/20(日) 15:06:32.52 ID:Jig9rTIZO >>342  パジャマのズボンを脱がして、汗を拭く。さすがに、下着は履いていた。 「…下着も、替えていい…」  普段より一段抑えた声で尋ねてくる。天井を見つめ、 こちらを見ないようにしているが、赤くなっているの はわかる。声をかけ、下着をずらす。腰を浮かそうと するけれど、力が入らないのだろうか、上手くいかな い。片手を添えて、手伝い、下着をずらす。足首まで 下げて、右足、左足と抜いていく。新しい下着を履か せる前に、拭こうと近づく。長門はと見れば、顔を赤 くして目を綴じていた。  左足の腿を持ち上げ、内股を拭く。足も細いな。場 所が場所だけに、長門のスリットを見てしまう。汗で 光らなければ気付かなかった産毛の程の陰毛。先端の 僅かな膨らみで分かれた以外は見事な一本スリット。 綺麗だ。そっとタオルを当て、汗を取る。新しい下着 を、逆の要領で履かせ、やはり新しいパジャマのズボ ンも履かせる。新しいパジャマの上はTシャツタイプ だったので、長門に万歳してもらって着せる。  布団も新しいものを敷き、抱っこして長門を移す。 冗談っぽく体重を尋ねたら、禁則事項と言われた。 345 名前:9-8[] 投稿日:2008/07/20(日) 15:15:06.19 ID:Jig9rTIZO >>343  長門の着替えを終えると、汗を吸った布団を部屋の 隅に寄せ、汗を拭いたタオルと脱いだ衣類をまとめる。 脱衣所に洗濯物を持ってきて、洗濯機の無いのに気付 く。元々、長門は、おそらく喜緑さんや朝倉も情報操 作で風呂はおろか洗濯など不要なのだろう。見れば、 朝比奈さんが持って来たであろう洗濯物が置いてある。  仕方がないので、並べて置く。冷蔵庫から冷やして あったお茶を湯飲みに移し、盆にのせる。和室では、 長門が座って待っていた。 「起きて大丈夫なのか」 「…落ち着いた、大丈夫」  傍らに座ると、長門が身を預けてくる。肩に回した 手で長門を支え、空いた手で頭を撫でる。うつ向いて しまったので、辛いのかと聞いたら、 「…よくわからない、ただ、この時間が続いて欲しい」 俺は嫌だ、こんな時間は、早く終わらせたい 「なぜ…私が迷惑かけるから」  ゆっくり顔を向けた長門の目が、涙に濡れる。 「長門の苦しみが続くのは、耐えられない、元気な長 門とこうしたいんだ」  言って、後悔した。照れ臭くていけない。長門は、 顔をさらに紅く染めながら、澄んだ瞳で俺を見る。話 題を変えようと、少ない引き出しを探す。 346 名前:9-9[] 投稿日:2008/07/20(日) 15:22:51.79 ID:Jig9rTIZO >>345 来週の休みに、映画見ないか 「…図書館でいい」 もちろん、図書館もだ、その後で映画鑑賞な  テレビを視ない長門に、最近CMされてる映画の話を した。携帯を開き、ダウンロードした主題歌を二人で聞いた。 「ポ〜ニョ、ポ〜ニョポニョ」  チビチビとお茶を飲んでいた長門が、いつの間にか 口ずさむ。気に入ったかな。 「ポニョポニョ…ユニーク、楽しみ」 長門と映画、楽しみだ、必ず行こう  出された小指を見て、首を傾ける長門に、指切りを 教えて、指を絡ませる。 「指切りげんまん、嘘ついたら、針千本のーます」  窓の外が明るくなってきた部屋に、二人の声が響いた。  肩を抱かれ静かに寝息をたてる長門、寝顔が可愛い。 いきなり三度目の発作が襲ってきた。突如身体を反ら せた長門に、油断の塊だった俺は壁まで飛ばされた。 手足がバラバラになりそうな程、暴れている。蹴られ るのも構わず抱きしめる。 「ゲッオエェェェェェップ」  長門の吐いた物が肩にかかる。染み込んだソレが肌 に触れると熱い。それでも、長門の名を呼びながら抱 きしめる。俺には、これしか出来ない。 長門…、長門…、長門…、長門…、長門………… 347 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/20(日) 15:27:23.41 ID:Jig9rTIZO 目汚し、失礼いたしました。 ポニョで妄想しました。 ご覧くださった方々に、感謝します。