朝比奈みくるがボクシングを始めます 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 13:53:25.49 ID:WSc5ihad0 昨日はレースクイーン。 今日は軍服。 明日は婦警。 最近、コスプレのバリエーションが多くなっている気がする。 そして濃くなってる気もする。 「だっはあ……」 下校途中の坂道で重い溜息を吐き、朝比奈みくるは自分の姿を想像する。 涼宮ハルヒに無理矢理コスプレをさせられている間、キョン君たちにどう見られているのだろう。 いつも「似合います」、「可愛いですよ」、なんていわれるけれど、果たしてそうなのだろうか。 コスプレといってもドン・キホーテで売ってるようなどう見てもハンカチで使われる繊維で造られたペラペラのコスチュームである。 見栄えがするわけない……。 ああ、本当のわたしってなに? 誰か本当のわたしを探し当てて。 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 13:55:27.13 ID:WSc5ihad0 「朝比奈さん、背中曲げちゃってどうしたんですか」 隣で歩いているキョンが話しかけてきた。和やかな笑みである。 「いえ、なんでもないです」 みくるは憂鬱に暗む表情を微笑で隠しながらそれに応えた。 本当ならばそこらでたむろしている金髪の糞餓鬼どもギッタンギッタンにしてやるのだが、キョンと一緒に下校している手前それは出来ない。 「ハルヒ、またなんか企んでるみたいです。疲れますねえ」 「そうだねえ」 こいつと話すのも疲れてきた。 「そうだキョン君、わたし用事があるから、ここ曲がるね」 「ああ、はい。さようならー」 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 13:57:38.11 ID:WSc5ihad0 「だっはあ……」 やっと一人になれた。さっきの溜息とは違う。安堵の息である。 目の前は交通量の多い車道だった。みくるは横断しようと思い、信号の前に立つ。 青信号。 渡る。 左へ歩く。 そして、何気なく右にあるウィンドウをみた――。 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 13:59:29.21 ID:WSc5ihad0 やっぱり気になる。朝比奈みくるはあの角を曲がったりしないはずである。 用事とは言っていたが、あの顔はどう考えてもその場で思いついたような顔だ。 「これは、尾行するしかないぜい」 キョンはそう呟いて、来た道をまた戻る。 さっき、みくるが曲がった角を歩くと、国道沿いの道に出る。ジジイババアが死んでも寄らないようなところだ。 では若者の街かというとそうでもない。 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 14:01:08.29 ID:WSc5ihad0 あそこにはデニーズやチャリ屋、死に損ないのヘボ会社などが並んでいるのである。 みくるが一人でデニーズなんて行くわけないし、チャリ屋ならここに来なくてももっと近いところがある。 まさかヘボ会社でOLを勤めてはいまい。 つまり、ここに来る目的など朝比奈みくるにはないのである。 この国道は都心部との連絡のためにあるようなものであり、決してここら辺りに来るためのものじゃあない。 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 14:02:19.08 ID:WSc5ihad0 「ま……まさか! 彼氏!」 そんなわけない。みくるは誰にも渡さん! キョンは胸の内で誰にともなく怒声を飛ばしながらシャブ中のような顔で民家と民家の間を進んでいく。 出た。 国道である。 信号は青。 渡る。 左へ歩く。 そして、何気なく右にあるウィンドウをみた――。 瞠目! 思わずガラスに顔面ごとしがみついてしまった。 「なん……だと……」 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 14:04:02.07 ID:WSc5ihad0 ウィンドウから離れ、二、三歩後ずさり、上を見上げる。 看板があった。 キョンまたもや瞠目。 「鴨川ボクシングジム……だと……?」 キョンの首が上下する。 右手の人差し指も上下する。 「鴨川、朝比奈さん、鴨川、朝比奈さん、……」 「どうしたんだい?」 「おわっ!」 急に肩を叩かれて天地がひっくり返ったようにして震え上がった。 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 14:06:49.80 ID:WSc5ihad0 「そ、そんなびっくりしなくてもいいじゃないか。入門生?」 「え、いや、その……」 誰だこいつ。みょうに明朗な笑みでキョンに話しかけている青年がいた。 首にタオルをかけ、「KGB」と書かれたティーシャツをグレーのシャカパンに入れている。 恐ろしいほどの体格を持った男だった。 「まあ、練習みてってよ」 キョンは背中を押されてジムのなかへ入った。 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 14:08:21.16 ID:WSc5ihad0 中央にリングが君臨し、それを囲むようにして練習器具が置かれている。 サンドバック、なんか腹筋するやつ、なんかボールみたいなサンドバック……。 だが驚くべきはそこじゃない。そんなところじゃあない。 栗色の髪をかき上げて後ろに束ね、黒いグローブをはめ、胸だけをセーブするような黒いランニングシャツ、そして迷彩柄のショートパンツ。 そのような格好でも絶対に見紛うことはない。 朝比奈みくるが巨漢にコーチされながらサンドバックを叩いてる。 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 14:09:18.03 ID:WSc5ihad0 首筋に流れた汗の輝き、そして何の遮りもないへそがやけに艶かしく、チンポを勃起させて、キョンは呆けたようにそこに突っ立っていた。 みくるはこちらを振り向くと静止。 「キョ、キョキョキョキョキョキョキョキョキョキョキョキョキョキョキョキョキョキョキョ、キョンぎゅん!」 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 14:15:03.80 ID:WSc5ihad0 ウィンドウを通して練習風景をみたとき、みくるの心は躍った。 何かに取り付かれた様にそこへ棒立ちしていた。 そこへだった。 「よお譲ちゃん、入門かい。可愛い娘にはめっきり教育してあげるよ〜ん♪」 熊のような体格をした男が話しかけてきたのだ。言葉の間違いは気にしない。 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 14:17:47.00 ID:WSc5ihad0 男は名を鷹村守といって、彼曰く、世界一強い男らしい。 導かれるままに服を着替えさせられて、グローブをはめさせられる。 姿見の前に立ったとき、みくるは絶叫したくなるようなとてつもなく大きな充実感を覚えた。 これがわたし? コスプレなんかじゃない。偽者なんかじゃない。本物! 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 14:19:45.23 ID:WSc5ihad0 あとは流れるかのようだった。 守に言われるがままにサンドバックに拳を叩きつける。 腕が次第に重たくなるが、それが気持ちよかった。 ほとばしる汗が気持ちよかった。 自分のパンチに応えるようにして動くサンドバックがひたすら面白かった。 そこへだった。 通称:ヤレヤレが出現したのである。 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 14:21:45.11 ID:WSc5ihad0 「おー、一歩お! 帰ったかあ!」 守が手を挙げて吠えた。 「ええ、ただいま戻りました」 キョンの隣にいる、大人しそうだがしかし体格が厳つい青年がそう応えた。 守はつづける。 「ちょおどいい時にきた! お前、この譲ちゃん鍛えてやってくれ」 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 14:23:02.83 ID:WSc5ihad0 「ええ!? 僕がですか!?」 どうやら「一歩」という可哀想な名前をした青年は裏返った声をあげて自分の鼻を指差しみくるを素っ頓狂な顔でみる。 キョンは意味不明な苦笑い。どうやらこの空気に呑まれてしまったらしい。根性のない奴め。 だがみくるは、一歩がほんの一瞬だけ見せた不敵な笑みを見逃さなかった。 その目はみくるにこう語りかけていた。 「叩きのめしてやんよ」 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 14:25:11.70 ID:WSc5ihad0 「ルールは単純、両者これを公式戦だと思え。ヘッドギアなしのガチンコ勝負」 守はニヤニヤしながらリングの上の戦士二人を交互に一瞥。 「いいんですかあ。会長に怒られますよお?」 リング外で縄跳びをしていたラーメンの丼みたいな模様のシャツを着た角刈り男が守に言った。 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 14:26:56.50 ID:WSc5ihad0 「いいんだよ。ジジイがいなけりゃここでは俺様が神だ」 一歩がみくるに近づき、よろしくと言う。わかっている。これは疑いようもない素人潰しだ。 早い話がいじめだ。 キョンはびびって放心状態である。 みくるは恐れていない。というと百パーセント嘘である。 恐ろしくてしょうがない。さきほどポスターでみたがこの一歩なる男、プロボクサーである。 そして自分は未来人であることを除けば平凡な女子高生であり、格闘技の心得も一切持ち合わせていない。 やばい……。 「れでぃいいいいいいいいいいいいいい、ふぁい!!!!!!!!!!!」 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 14:30:01.93 ID:WSc5ihad0 練習生の女性蔑視の眼差しがみくるの顔面を刺すように飛んでくる。 一歩はステップしていない。リングに根を張るように足をじりじりと前へ動かしてくる。 インファイターか。 それにしても、ボクシングシューズがこんなに軽いとは知らなかったが、こんなに動きにくいとも知らなかった。 ちょっと横に移動しただけで足をひねりそうになる。 まずい……。 とりあえず、しかけなければならないだろう。相手の様子を見ていても無駄だ。相手はプロだ。 なら闇雲にいくしかない。グローブを強く握り、 前。 いなかった。 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 14:33:56.13 ID:WSc5ihad0 「え、どこ――」 「目の前だ! 上体を低くして目の前にいる!」 キョンの声。 下。 いた。 間に合え――! みくるは左足を軸にして右足をどけるように一歩の低い大勢からの右ストレートをよけた。 「おい一歩お! なんだ今のはあ!」 ラーメン屋がからかうようにして吠える。 一歩はガッチリとガードを固めてこちらを睨んでいる。本気か。 みくるはまだ体勢を立て直していないが、一歩が襲ってくる気配はない。 ゆっくりといたぶるつもりに違いなかった。 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 14:37:12.66 ID:WSc5ihad0 みくる突進。一歩の顔面めがけて右ストレートを発射する。 左足を前に出し、その膝に重心を預け、腰をひねる様にして右腕を伸ばす! 「くっ!」 右肘に凄まじい痛みが走った。 一歩のガードに捕えられてしまったのだ。 構わない――。 みくる連打。観客の心にも忌まわしい応援がひたすらウザい。 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 14:43:47.05 ID:WSc5ihad0 もう基礎もなにもあったものではなかった。 その場で直立し、両腕を拳をひたすら奴のガードにぶつてけていった。 一歩の髪の毛が揺れるだけで後進もしなければガードも下がったりしない。 次第に両腕が死んでいくようだった。 痺れて感覚がなくなっていく。重い、重すぎる。 パンチのスピードも落ち、はじめからないといっても良かった鋭さもなお落ちた。 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 14:47:39.64 ID:WSc5ihad0 心臓が喘ぐ。 三分はこんなに長いのか。 カップラーメンの待ち時間の比じゃない。 呼吸が暴れだし、ざらついた呼気が喉を掠めていく。 もうだめだ――。 一歩から一歩離れる。やかましいわ。 その瞬間。 彼奴の顔がガードからあらわになった。 ここぞとばかりに猛烈な勢いで額と額が合わさらんばかりの距離まで間合いをつめられた。 連打に続く連打。 先ほどのみくるの水鉄砲とは桁が違った。 マシンガンのように速く強烈なパンチがみくるの腕に激痛を刻んでいく。 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 14:49:28.24 ID:WSc5ihad0 パンチが分裂していく。 ガードが崩れていく。 両腕が揺れて離れ、数瞬おきに若干の隙間があく。 右フックが飛んできた。 ガードが、完全にその意味を失った。両腕が右に流れていく。 グローブの赤が一旦一歩の元へ戻り、そして一秒の数百分の一にも感じられる速さで、みくるの視界を四つの赤いグローブが巨大化した。 視界の手前にまでグローブが及んでいくようだった。 衝撃を感じる間もなく意識がぶっ飛び、黒い世界の中で大量の白い火花が散っては消えた。 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 14:50:56.71 ID:WSc5ihad0 右ストレート。 一歩が最後に繰り出したパンチである。 「ちょろいもんだぜ」 唇を歪ませて呟いた。 「かんかんかーん! ゴングです! 朝比奈、ゴングに救われました!」 守が威勢よく怒鳴っている。 「両者! ニュートラルコーナーへ戻って!」 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 14:53:50.59 ID:WSc5ihad0 「朝比奈さん、大丈夫ですか!」 キョンの声で目が覚めた。 視界の霧が溶けてキョンの顔が見えてくる。 「あれ、わたし……」 みくるはいまニュートラルコーナーで座っている。 その前でキョンがみくるの肩を両手でつかんでいるといったところである。 「朝比奈さん、もうやめましょう。危険すぎます。さっきなんか白目でしたよ」 最後の言葉は聞きたくなかった。 「いや、わたしやる。あのウニ頭をぶちのめしてやる」 キョンは異変を感じた。 ――朝比奈さん、笑ってる? 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 14:55:39.69 ID:WSc5ihad0 「かんかんかんかーーーーん! セコンドアウトお!」 みくるが立ち上がり、 「どけ」 「え?」 「どけっていってんだよ」 キョンはみくるに持ち上げられてリング外に放り投げられた。 一歩がこちらを睨んでいる。 「上等じゃねえか」 「れでぃーーーーーーふぁああああああああああああい!!!!!!!!」 始まった。 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 14:57:30.17 ID:WSc5ihad0 一歩が激突せんばかりの勢いで迫ってくる。 だがみくるの方は激突しようとして一歩へと突進した。 「なにっ!」 額と額がぶつかりホームランの音がした。 そこらはもうインファイトだった。 互いに足を止めて拳を飛ばしまくる。 最初のペースはほぼ同じだった。 顔面を揺られ、顔面を揺らしの繰り返し。 だが、始まってから三十秒ほどで誰もが予想しないことがおこった。 一歩のペースが激減したのである。 だが朝比奈の腕はムチのように踊りながら一歩の顔面を歪ませていく。 一歩が逃げた。攻撃の手を止めガードを固めたのである。 しかしそれを朝比奈。 ――上等じゃねえか。 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 14:59:45.90 ID:WSc5ihad0 フックの連打が一歩を襲った。 一歩のガードは決してゆるまない。が、ゆるまないかわりに体躯が振り子にように動いてしまっていた。 「おいおい、なんだありゃ、一歩の足が震えてやがるじゃねえか!」 「すげえな、足にきてやがるんだ。どうやらあの女の子、なかなかのものもってるようだ」 観客が世辞なしで感想を述べている。そうだ、わたしはこんなウニ頭には負けねえんだよ。 「おい一歩お! てめえなにやってんだあ! 打ちかえせえ!」 ラーメン屋が拳を振り上げて怒鳴る。 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 15:03:23.69 ID:WSc5ihad0 うるせえ、ならてめえがやってみやがれ。 幕ノ内一歩はそういってやりたかった。 第一ラウンドはなんだったんだ。こんなに強くなかったはずじゃないか。 右フックのたびに右足に負担がかかり、左フックのたびに左足に負担がかかる。 そしてそれはさっきから数百回も行われているのだ。 ――本当に人間なのか……。 気が緩んでしまった。 一歩の右足が派手に崩れた。 朝比奈はそこで左のボディに右フックを叩き込む。 汗がほとばしる。一歩の顔が激痛に歪む。マウスピースが苦い。 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 15:05:39.98 ID:WSc5ihad0 腹を貫かれたかと思うほどの衝撃が内部にまで響き、喉を締め付けられるような苦しさを覚える。 たまったものじゃなかった。 右腕を左の脇腹に思わず持っていってしまったのが最大の不覚だった。 鉄アレイのような左フックが一歩の顔面をとらえた。 首がもげそうだった。 そして首を戻す前、朝比奈の表情を目だけでみたとき、その双眸に込められた肉食動物にも似た殺意を感じて戦慄した。 一歩の表情と精神は、虎に睨まれた小動物のそれだった。 連打はまだ終わらない。 朝比奈が薄ら笑いを浮かべて鉄アレイを自分の顔面からボディにかけてぶつけてくる。 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 15:08:15.93 ID:WSc5ihad0 怖過ぎた。 急いでガードをあげる。 いつの間にかコーナーへ追い込まれていた。 だが鉄アレイがとまらない。 ここにきて、先ほどから蓄積していた疲労が腕の骨から染み出てきた。 鉄アレイの雨が降り止まない。 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 15:10:28.81 ID:WSc5ihad0 ガードが、万歳になった。 朝比奈、左足を大きく踏み込み、腰を落とす。 ――さっきの俺の真似? ボディーブローか。ガードをあげなきゃ。まだあがるか。 朝比奈は足を鋭いくの字にして爪先で体重を支える。くの字が、次第に縦の一へのしなかやに変貌する ――違う、この体勢は……。 一歩は急いで顎に両手を重ねる。 黒いグローブが迫りつつある。 ――怖え、こいつ怖えよ。 朝比奈が飛ぶ。グローブが急速に伸びていく。 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 15:12:35.55 ID:WSc5ihad0 グローブの黒に反射する光に、一歩は自分を食らおうとする龍を見た。 そして、朝比奈のアッパーに宿った龍に見事に呑みこまれた。 ――左の、アッパーか……。大した奴だ……。 ガードが吹っ飛び、マウスピースを天井高く乱舞させ、棒のように伸び上がって、重心を失った一歩の上向いた顔面を、ハンマーで叩き落とすが如く、朝比奈は下向きの右ストレートを放った。 後頭部からリングに落下。 それを見た朝比奈は、また膝をくの字にして、背中を仰け反らせながら両腕でガッツポーズ。 「しゃあああああああああああああ おらあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!」 両腕を激しく揺らして汗を飛ばす。 「どんなもんじゃあああああああああああああああああああああああああああああい!!!!!!!!!!!!!!!!!」 この話は、後に女性初の三階級制覇を成し遂げることとなる、「ゴットゥーザ☆みくる」こと「朝比奈みくる」の人生、ほんのプロローグに過ぎない。 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 15:15:23.27 ID:WSc5ihad0 「すごいですね朝比奈さん!」 「ふぇ、私、どうしたんですか!?」 「すごかった」 キョンと朝比奈が振り向くと、なんと長門がいた。 「みくる、すごかった」 「あ、ありがとう。えへへ」 「わたしもやる。シュッシュッ!」 「そうだ、長門も朝比奈さんと一緒に入れよ」 「ちょっと、キョン君!」 翌日   ハルヒ「みんなーーーーーボクシングやるわよーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」   朝比奈「えええー、そんなあー、わたしそんなことできませんよぉ!」   キョン&古泉(コテンパンに伸すつもりらしいな)                                                 製作・著作 NHK 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 15:16:02.47 ID:WSc5ihad0 終わり。 しっかり射精できてよかった。 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/11(金) 15:30:42.41 ID:WSc5ihad0 まあ早い話がみくるちゃんの私TUEEEEEEEEEEEEEEEEEEE伝だよ。