長門「マンションが火事で全焼した。だから…」 166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/06/29(日) 16:16:51.04 ID:9bXEePlEO  長門のマンションが火事になったとかで、泊めて欲しいと俺の家に訪ねて来た。  今夜は俺一人だったので承諾した。これくらいなら罰は当たらないだろう。  妹の寝床に案内したが俺の部屋で寝たいそうだ。あの長門が我が儘を言うなんて珍しいが、良しとしよう。  まさか、ひとつのベッドに入る訳にもゆかず、長門をベッドに寝かせ俺は床で毛布にくるまった。 「私がお願いしているのに、…」  気にするな、長門に助けられた状況と比べてたら、このくらい何でもない。 「そう」  緊張して眠れないかと思っていたが、横になるとあっけなく睡魔の術中に墜ちていた。 定位置の長門が、本を読むでもなく抱えたまま、こちらをチラチラと見ている。  心なしか、赤く染まった表情が初々しい。と、目が合うと抱きついてきた。  な、長門!!と思う間もなく押し倒され…  ボヤけた視界、誰かの顔。人の重み。誰だ?  覚醒する感覚と記憶。床で寝ている俺の上に、長門が重なっている。  長門さん? 「ごめんなさい…落ちた」  ベッドに戻る長門。以外に寝相悪いのか? 「おやすみなさい」  おやすみ、長門。 「…………チッ」  えっ!? 175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/06/29(日) 17:16:30.05 ID:9bXEePlEO  何だか、危機感を感じて眠れなくなってしまった。と、いきなり携帯が鳴りだす。 『あっ、キョン。起きてたぁ?』  なんだ、ハルヒか。 『ご挨拶ねぇ、ソレより有希のマンションが火事になったって、知ってた?』  此処に居る事は内緒にして、あぁ、知ってる。とだけ返事をする。 『あっそう』  で、それだけで電話してきたのか? 『違うわよ』  長門が寝返りをする気配。 『みくるちゃんや古泉くんにも電話したんだけどさぁ』  で? 『有希が何処に行ったか知らないって言うのよ』  気温が下がったのは、気のせいに違いない。 176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/06/29(日) 17:17:42.65 ID:9bXEePlEO 『まさか、キョンの処に居ないわよね』  なんか、語尾のイントネーションがおかしいですよ、ハルヒさん。 「お邪魔している」 『!?』  ちょっ!いつの間にか横に来た長門が答える。 「彼の家族も、了承済み」 『…ほ、本当?』 「本当…、妹さんと寝る予定」 『あ、そ、そうなんだ』  そういう訳だから、今から寝るから切るぞ。 「おやすみなさい」 『そうね、おやすみ』  携帯を閉じると、長門を見た。 「嘘も方便」  月曜日は、尋問されるんだろうな。 「やれやれ」  それは、俺の台詞だ。 「そう」 183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/06/29(日) 18:03:44.99 ID:9bXEePlEO  ハルヒの電話から暫くして、古泉からも連絡があった。久しぶりに閉鎖空間が発生したらしい。切り際に、忠告とやらを言われたが、だったら機関で長門の仮住いを手配すればいいんだ。  溜め息混じりに伸びをする。ふと、ベッドから覗き込む長門と視線が合う。  どうした? 「火事の原因について」  あぁ、災難だったなぁー。巻き込まれたんだし、仕方ないんじゃないか。 「違う…火元は、私」  理解するのに、時間がかかった。長門がそんな失敗をするなんて、正体を知っている人間に理解できるだろうか。  しかし、本人の自己分析と説明を聞く限り、真実のようだ。思い出せば、世界を書き換えたりと、前歴があるわけだし。火事で済んで、被害は少ないかったと考えるべきかもしれない。 「エラーの蓄積が全ての原因」  話はわかったが、なぜベッドから降りていらっしゃるのですか、長門さん。 「…エラーの解消」  寝間着代わりに貸した、俺のシャツはブカブカで、いやいやそうじゃなくて。 http://imepita.jp/20080629/630460 191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/06/29(日) 18:39:20.35 ID:9bXEePlEO  何時もの無表情の筈なんだが、妙に艶っぽく見えるのは、何故だろう。 「大丈夫」  大丈夫って言っても、何が大丈夫なんでしょうね。 「貴方の蔵書で、手段を確認した…画像情報は、活字よりも情報量が多い」  って、やはり隠蔽は無理でしたか。ベッドの枕元に目をやると、隠したつもりだったおかずが積まれている。 「大丈夫…安心して」  な、長門さん。お、俺にも心の準備と言うものがあってですねぇ。  後退るにも、狭い部屋の事、たちまち逃げ場を失う。日本家屋を兎小屋と比喩したらしいが、全くその通りだ。個室も最低10畳確保するように、法律で定めるといい。  政治問題に逃避する間にも、長門は近づき、毛布を矧ぎ取り、俺の寝間着の釦に手をかける。 「…ハァ…」  暖かく、甘い吐息が届く。 205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/06/29(日) 19:24:00.58 ID:9bXEePlEO  長門に上半身を剥かれ、絡める様な視線を送りつつ、寝間着のズボンに長門の手がかかった。 「は〜い、そこまでぇ」  その声は、喜緑さん!?何故に、いつの間に?とにかく、様々な疑問と共に、部屋の入口で喜緑さんが微笑んでいた。 「長門さん、それ以上は、かえってエラーを蓄積してしまいますよ」  そう言うと、喜緑さんは長門に手を添えて立ち上がらせる。 「…」  明らかな不満の色が、長門の瞳を横切る。喜緑さんと言えば、にこにこ笑顔で俺達に語りかける。 「マンションの住居は、再構築しました、ボヤ騒ぎにしておきましたから大丈夫ですよ」 「…そう」  物凄く不満そうに聞こえるが、たぶん聞こえるだけだろう。 「さあ、帰りましょう」  翌日の日曜日は、爆睡して終えた。月曜日の団活は、ハルヒが長門のマンションのボヤ騒ぎに興味津々だったが、長門は何時もの調子なので、そのうちに飽きたようだ。  長門が泊まりに来た記憶は、ハルヒには無いらしく、尋問されずに済みそうだ。              END 206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/06/29(日) 19:24:26.47 ID:9bXEePlEO 失礼しました。