朝倉涼子の消失 1 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 21:02:24.93 ID:yJRbxDWtO 「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」 このクラスの自己紹介でそんなことを言った奴がいたのだというのを知ったのは、入学して二日目だった。 隣の席の友達作りに必死なクラスメートから聞いたのだ。 2 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 21:05:11.64 ID:yJRbxDWtO 「え!あれを聞いてなかったのか?そいつは残念だったなー、すっげー真面目な顔して言いやがったんだぜ」 オレはそのとき寝ていたからな。 自分の自己紹介をした記憶もない。 担任がオレの名前を呼んだ気はするのだが、どうでもよくて相手にしなかった。 「それでな、知り合いから聞いた話だと、中学の頃から、」 「なあ」 話しを続けようとするクラスメートに視線を向ける。 3 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 21:06:50.12 ID:yJRbxDWtO 「ん、なんだ?」 「オレ、そんな話に興味ないから、黙ってくれないか」 「……え」 「どうでもいいんだ。くだらないことで話しかけないでくれ」 オレの性格を察したのであろうクラスメートは、すこしムッとした表情をしたものの、 「あぁ、そんなんだ、悪かったな」 とだけ言って離れて行った。 4 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 21:09:26.76 ID:yJRbxDWtO オレはそのまま、教室の中央に視線を移した。 ロングストレートな髪にカチューシャをつけた女が、ふてぶてしい表情で席についていた。 涼宮ハルヒと言う名のクラスメート。 一瞬、目を奪われた。しかし、 「どうでもいい」 オレには関係のない事だ。 6 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 21:14:12.85 ID:yJRbxDWtO 笑わない、話さない、起きてすらいない。 新学期が始まってからずっとそんな調子のオレに、話しかける者は段々といなくなっていった。 しかし、特別目立ってはいなかった。幸か不幸かオレなんかより、よっぽどな奴がいたからな。 クラスの誰が話しかけても相手にしないばかりか、意味不明なくせに積極的な行動までしてる奴が。 8 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 21:19:45.07 ID:yJRbxDWtO 「涼宮さん、このアンケートなんだけどね」 「……」 今日も涼宮ハルヒは相変わらずだ。クラスの女子が話しかけても返事ひとつしない。 相手の女生徒も諦めれたようで、ため息をついた後、その場から離れた。人のことを言えないのだが、愛想のカケラもない。 「どうして、反応してくれないのかしらね」 10 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 21:21:59.80 ID:yJRbxDWtO 一瞬、自分に向けられた言葉だと気が付かなかった。いや、気付けなかった。オレの脳が止まってしまったからだ。 「あたし、なにか怒らせることいったかな。自分じゃそんなことないと思うんだけど、どう?」 頭を振り、脳に血液を循環させる。なんだっけ? そうだ、その女生徒がオレに話しかけてきたのだ。 「さぁな、オレが知る訳ないだろ」 11 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 21:23:33.16 ID:yJRbxDWtO オレのそっけない返事の何が楽しいのか、その女生徒は笑顔を作り、 「あなたと涼宮さん、なんとなく雰囲気がにている気がするから、わかるかなって思ったんだけど。うん、けどそうね、勘違いだったかも。あなたはちゃんと答えてくれるものね」 「………」 オレはならばと言わんばかりに押し黙る しかし、女生徒はそんなオレの態度が尚更面白かったようで、口に手を当ててクスクスと笑いだした。 13 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 21:26:07.73 ID:yJRbxDWtO 「ふふっ。やっぱり涼宮さんと違ってわかりやすいわ。彼女だったら逆に話しをしてくれそうだもの。怖い顔で怒鳴られるだけでしょうけどね」 その女生徒は、じゃあね、と一言残し友達なのであろう数人の女生徒の輪に戻っていった。 「……あ〜、眠い」 オレはそのまま机に額をつけた。 朝倉涼子。 のちにわかるその女子生徒の名だ。 そしてオレが一生忘れないかもしれない文字の並びでもあった。 16 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 21:31:51.58 ID:yJRbxDWtO オレは別に高生生活の間、誰ひとり親しい友人が出来なくてよかった。 他人に興味がないと言うのが正しい表現かもしれない。 加えて自分でもわかるほどの無気力症状が出ているのだから、人とのコミュニケーション能力は皆無だ。 入学してから一ヶ月、ゴールデンウイークが明けた頃になるとクラスメート達も扱いかたに馴れたようで、事務的な用事がない限りオレを相手にしようとはしなくなっていた。 一人を除いて。 18 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 21:34:41.95 ID:yJRbxDWtO 「ほら、起きなさい。もう授業終わってるよ」 閉じたままの瞼を擦りながら、オレは顔を上げた。 「終わったのなら、起こさなくていいだろうが」 差し込む日の光を欝陶しく思いながら目を開く。 そこには、見慣れた顔があった。 といってもクラスメートの中で区別するなら1番という意味での見馴れた顔だ。 19 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 21:38:18.76 ID:yJRbxDWtO 「それ、本気でいってるの?授業中だって、休み時間中だって、学校は寝る場所じゃないの。ここは学び屋なんだもの。委員長として見過ごせないわ」 朝倉涼子だ。 オレはあくびを間に入れてから、 「学び屋にだってな、真面目な生徒ばかりが来てる訳じゃないんだ。何割りかは出来損ないが必ずいる。その何割りかがオレだ。だから、同じような割り合いでいる優等生側の人間が気にする必要はない」 「優等生だって言ってくれるのはいいけど」 朝倉涼子は教科書でコツッとオレの頭を叩く。 20 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 21:41:15.77 ID:yJRbxDWtO 「自分を出来損ないだって断言する人に褒められても嬉しくないな。はい、これあなたのでしょう」 よく見ると頭を小突いた教科書はオレのものだ。授業中のまどろみの中で机から落とした記憶が微かにある。 それを、こいつがまた拾ったのだろう。 「何度も言ってるだろ。自分の教科書ぐらい気付いたときに自分で拾う」 「そう言われたから、あたしも迷ったんだけど。あなた、いつまでたっても気付かないんだもの。これ、1時間目の教科書よ?」 「……いま何時だ?」 22 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 21:45:40.02 ID:yJRbxDWtO 朝倉涼子は見るからに呆れた表情で、 「それも本気で言ってるの?もう4時間目が始まるところじゃない」 つまり丸々2時間も床にほってあったのか。 この前行った席替えの結果、朝倉はオレの真後ろの位置になった。 つまり床に落ちた教科書が嫌でも目についてしまい気になってしまったのだろう。 こいつのようなお節介な人種には特にな。 オレは教科書を受け取り小さく礼を言うと、その教科書を机にひき、額をつけた。 「……もう」 その声の後、朝倉涼子の気配は離れていった。 23 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 21:48:34.37 ID:yJRbxDWtO その後も朝倉涼子は何かとオレに話しをかけてきた。 本人が言うには、委員長だから、クラスの問題児 の世話をやくのは当然なのだそうだ。 因みに付け足すと、朝倉涼子は頭もよく、同性から好かれるようで友達も多い。 まるで絵に書いたような優等生っぷりだ。 容姿に関しても、周りから抜きん出て端麗なのだから、ちょっとした完璧人間だ。 24 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 21:51:57.75 ID:yJRbxDWtO 朝倉涼子という題名の絵画をかいた奴はよっぽど達者なのだろう。 「よく、出来てるな」 そう。 オレの朝倉涼子へ率直な感想はこうだった。 作り物。 よく出来た人形のような女だ、と。 どうしてこんなふうに思うかはわからない。オレとは違い何でもそつなくこなす彼女への嫉妬なのかもしれない。 しかし、それはここ数年忘れていた他人への興味という感情でもあった。 良い物を取って付けたような彼女にオレは関心を持つようになっていった。 25 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 21:54:16.78 ID:yJRbxDWtO 「なあ朝倉、ちょっといいか」 「なーに?」 上半身だけ後ろにそらしたオレを朝倉涼子が不思議そうに見つめる。 「他の奴らが続々と教室からいなくなっていくが、次の授業は何処の教室だっけか?生物室か?」 「違う。理科実験室よ。先週の授業寝てたから、そんなことになるのよ」 「理科実験室……あぁ、あそこか。なら早めにいって寝ておくとするか」 「こら。あたしの目の前でそんなこと言うなんて、いい度胸ね。あ、そうだ!」 26 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 21:56:04.68 ID:yJRbxDWtO 鞄から次の授業に必要な物を取り出し終えた朝倉涼子は、笑顔で立ち上がった。 「なら、あたしも早めに行って、あなたが居眠りしないように見張っててあげるね」 「うぇ、まじかよ。言わなきゃよかった」 心境の変化もあってか、一週間もしないうちにオレは朝倉涼子と友人程度の会話をするようになっていた。 まあ、オレの態度の変化に合わせられる程の、人付合いな良さを朝倉涼子が持っていた、というほうがこの場合は大きいだろう。 27 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 21:58:47.91 ID:yJRbxDWtO 「もう一人の問題児の面倒をみなくていいのか?」 オレの準備ができるのを待っている朝倉涼子の後、教室の隅を指す。 今は、誰も座っていないが涼宮ハルヒの座席だ。 28 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 22:01:22.63 ID:yJRbxDWtO 「彼女は彼に任せてるから、大丈夫じゃないかしら。あ、けどあたしも話しかけてはいるのよ?あんまりいい反応してくれないけどね」 「彼ってのは涼宮の、前の席の奴か?」 鞄から出した手を、机の中に入れながらオレは尋ねる。 「そ、二人とも何か一緒にやってるみたい。なにをしてるかは分からないんだけど、涼宮さんはともかく、彼は常識がありそうだし、ブレーキ役になってくれてると思うわ」 29 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 22:03:56.15 ID:yJRbxDWtO 「へー、そうなのか」 ブレーキ役ね。 常識があるなら、あんな女と係わり合いにならないと思うがな。 その男子生徒とは話しをしたことがないから、どんな人物かは知らないが。 「……ねえ、その机の中から全然出てこない手のことなんだけど」 ……ばれたか。 「もしかして教科書忘れたの?」 32 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 22:06:22.97 ID:yJRbxDWtO 「いいって、教科書ぐらい」 オレの手を引き歩く、朝倉涼子は、振り返りもせず。 「だめよ。あなたはそうでなくても、眠ってばかりいるんだから、忘れものなんてしたら、成績に響くことになるんだからね」 だからって他のクラスの奴にわざわざ借りなくてもいいだろ。それに、 「オレ、他のクラスに知り合いなんていないぞ」 「そこは心配しないで。大丈夫、あたしの友達に貸してくれるように頼むから、あ!ちょっとそこのキミ、呼んで欲しい人がいるんだけど、」 34 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 22:08:44.10 ID:yJRbxDWtO 目的のクラスに着いた朝倉涼子は、適当な生徒に声をかけ、友達を呼ぶように頼んでいる。 世話焼きにも程がある。 不本意ながらも借り物をすることになるかもしれない見ず知らずの人物を確認しようと、教室の中を覗きこんだ。 そして、とある生徒が視界に入った途端、グラリと視界が歪んだ。 37 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 22:14:41.73 ID:yJRbxDWtO 「ほら、あなたも何か言って」 オレの意識が回復したのは、朝倉涼子の声を聞いてからだった。 「あ……あぁ、よろしく頼む」 朝倉涼子に急かされ、とっさにそう口にだしたのには、我ながら驚いた。 言葉を発してから今の状況、朝倉涼子に連れられて教科書を借りにきたことを思いだしたのだ。 いつのまにか、オレと朝倉涼子の前に女子生徒がたっている。 朝倉涼子の友達だろう。 驚く事にオレはこの女子生徒が呼ばれて、ここにくるまでの記憶がない。 38 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 22:18:33.61 ID:yJRbxDWtO しかし、そんなオレの心境を知るよしもない女子生徒は、快く貸し出しを承諾してくれて、教科書を席に取りに戻り、オレに手渡してくれた。 オレは、 「ありがとう」 と言ったあと、一拍おく。 そして意を決して女子生徒に声をかけた。 「それと、あそこにいる生徒って」 そうオレが指をさした先には一人の女子生徒が静かに座っていた。 髪の短い眼鏡をかけた少女だ。 39 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 22:22:26.11 ID:yJRbxDWtO 朝倉涼子の友達である女子生徒はオレの視線の先を見て首を傾げた。 「長門さんのこと?」 「あの眼鏡かけた女の子。髪の短い」 オレは口で容姿を説明する。 「あぁ、やっぱり長門さんのことだね」 43 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 22:28:30.87 ID:yJRbxDWtO どうやら、あの眼鏡をかけた少女は長門という名前らしい。 「彼女がどうかした?知り合いなの?けど知り合いはいないって言ってなかった?」 朝倉涼子が長門という名の少女を見ながら言う。 「あ、いや。やっぱりなんでもない」 まさか、彼女は何物だ?と聞く訳にもいかない。 朝倉涼子とその友達は不思議そうな表情をしたが、次の授業がまじかに迫っているのもありそれ以上余計な話しはしなかった。 「ほら、早く!チャイムなっちゃうわよ!」 朝倉涼子に急かされながらオレは理科実験室に向かった。 長門という生徒の無表情な白い顔を思いだしながら。 44 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 22:31:40.49 ID:yJRbxDWtO 日が重なるごとにオレは朝倉涼子とよく話しをするようになっていった。 あぁ、確かに人見知りしないときのオレはこんな奴だったなと、昔のことを思いだしてしまうほどだ。 しかし、それに比例して朝倉涼子への興味も大きくなっていく理由は自分でもよくわからなかった。 45 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 22:34:51.91 ID:yJRbxDWtO たいした会話はしていないはずなのにな。 今してるのもそうだ。 地理担当の教員に頼まれて、朝倉涼子と教材の片付けに向かっている最中なのだが。 「不思議なことを探してるみたいね」 この学校ではもっともポピュラーな世間話、涼宮ハルヒのことだ。 47 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 22:37:15.47 ID:yJRbxDWtO 「自己紹介のときの、超能力とか未来人みたいなやつ。ホームページにもそう書いてあったから」 隣を歩く朝倉涼子の言葉を、オレは右肩に地球儀担ぎ、左脇にはクラスメート半数分の資料集を抱えながら聞いていた。 「校門でビラを配ってすぐのときは、トップページしかなかったんだど。最近かしら。ビラに書かれてた文章と同じようなのが追加されてたの」 「あの時のビラか」 オレは数日前に門の前で手渡された藁半紙を思い出した。 48 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 22:40:40.24 ID:yJRbxDWtO 涼宮ハルヒから直接受け取って、すぐ道端に捨てたのだが、内容を一読はした。 全てを覚えてはいないが、SOS団という名前で、不思議を募集していて、パソコンのメールアドレスが載っていたのは記憶している。それしか思い出せないのは、別のことのインパクトが強すぎたせいもあるだろうな。 「ブレーキ役は余り働いてないみたいだな。知り合いがバニーガール姿でビラを配ろうとしたら、止めるぞ。常識人なら必死にな。止まってくれなかったら縁を切るしかなくなる」 「言えてるけど。彼も疲れてるみたい。きっと彼の常識より、涼宮さんの非常識のほうが上回ってるんじゃないかしら」 49 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 22:45:15.77 ID:yJRbxDWtO 「なるほどな。ならそろそろ、そいつも涼宮に愛想つかすんじゃないか?精神を擦り減らしてまで付き合っていてもしょうがないだろ」 「どうかしらね。涼宮さんはこのごろ凄く楽しそうだから。彼を離さないんじゃないかと思うな」 「そい言えば仏頂面は近頃見ていないな。なら話しかけてみたらどうだ。今なら良い反応が貰えるんじゃないか?」 「そうよね、そう思うよね。けど全然だめ。怖い顔しないだけで、返事は代わり映えしないもの。最近はあたしもあきあきしてきちゃった。あ、ここ、ここ」 朝倉涼子は、教員から預かっていた鍵を使い、準備室の扉を開いた。 52 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 22:48:52.05 ID:yJRbxDWtO 準備室の中に入った朝倉涼子は、自分が抱えていた分の資料集をダンボールにしまい、 「はい」 とオレに向かって手を差し出した。 「悪いな、頼む」 オレは抱えていた資料集を手渡す。 この地球儀は何処に置けばいいんだ?と辺りを見回すと調度いいスペースが目に入った。 54 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 22:58:53.19 ID:yJRbxDWtO 「飽きたんなら、涼宮なんて気にしなければいいだろう。担任達も諦め初めてるんだ。委員長のお前が涼宮をほっといても、誰も何も言わないさ」 地球儀を台の上に乗せながら、何気なくそう言った直後、 「そういう訳にはいかないの」 その声が耳に届いた瞬間、ゾクリと背筋が震えた。 ここ最近、頻繁に感じる悪寒のようなものだ。 56 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 23:02:53.89 ID:yJRbxDWtO 朝倉には背を向けていたため、どんな表情をしているかはわからない。 いや、そもそも今聞いた声だっていつもと変わらない朝倉涼子のものじゃないか。 教室で会話してるときと何処が違うのかと言われればオレは押し黙るしかない。 しかし……。 「……委員長だからか?」 そう言ってオレは自然に振り返った。 58 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 23:04:43.99 ID:yJRbxDWtO 「そ!」 笑顔だ。 屈託のないそれはいつもと何らかわりない。 ふぅ。 自分でもよくわからない安心感に包まれたオレは、いまだに地球儀から手を離していなことに気付き、握っていた手の力を抜いた。 「さあ、速く戻りましょう。次の授業が始まっちゃう」 そい言ってオレの前を朝倉が通り過ぎる。 「なあ」 資料室から出ようする朝倉をオレは呼び止めた。 朝倉は振り返り、何も言わずにオレのことを見つめる。 「放課後ちょっとオレに付き合わないか?」 返事はすぐにかえってきた。 「いいよ」 いつもとなんらかわりのない笑顔だった。 60 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 23:24:13.26 ID:yJRbxDWtO その日の放課後。 北口駅前でオレは1人ポールに寄り掛かりっていた。 時折辺りを見渡すが目的の人物は見当たらない。当然だ。時計を見れば時間まで40分もある。 朝倉とはこの場所で、待ち合わせの約束をした。 学校から一緒に行動を共にすればいいじゃないか、とも思うが。 やはり。やめておいて正解だっただろう。変な噂になったらお互い困りそうだしな。 63 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 23:30:52.51 ID:yJRbxDWtO もう一度、制服のポケットから時計を取り出す。 懐中時計だ。 携帯電話を持っていないうえ、腕時計の嫌いなオレはいつもこれを持ち歩いている。 パチンとバネ仕掛けの蓋をあける。 時間はさっき見てから、5分しか進んでいない。 当たり前だ。5分しかたってないのだから。 どうやら、オレは緊張しているようだ。 相手が相手だ。無理もない。 64 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 23:33:23.53 ID:yJRbxDWtO それから10分もたたずに朝倉涼子は姿を表した。 「あなたより先に来ようと思ってたのに。ずいぶん、早いのね。待った?」 「いや、オレも今来た所だ」 「ふふっ、こんなドラマみたいなやり取りをすることになるなんて、思ってもなかったなぁ」 「下手な恋愛ものなら逆だろ。男が遅く来て、女が待ってるんだよ」 「そうかもね!」 悪戯っぽく笑う朝倉からオレは目をそらす。理由はわからん。 67 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 23:38:23.06 ID:yJRbxDWtO 「それで?どんな所に連れてってくれるの?」 朝倉の期待の眼差しがオレに向けられる。 「映画とかどうだ?一人でよくいく映画館があるんだ。ポイントが貯まってて割引されるし、払ってやるぞ」 「ふ〜ん。映画館ね〜」 何か考えこんでしまう朝倉を見て、オレは急に不安になった。 深く考えずに提案してしまったが、オレは女の子と二人で何処かに行った事などないのだ。 映画館はまずかったのか? けど、それ以外に思い浮かぶ場所もない。 「いいわね。あたしも調度、観たい映画があったから」 「そ、そうか」 よかった。間を開けたにしては、あっさりと承諾してくれた。 68 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 23:42:22.47 ID:yJRbxDWtO 北口駅から歩いて数分のデパート。そこの上階は割と大きな映画館になっている。オレは朝倉をそこに連れてきた。 「あの上から二番目。あたし、あれが見たかったの。あれにしましょう」 朝倉の視線の先、チケット売場の上部にある一覧表をオレも見上げる。 朝倉が見たいと言った作品は日本の恋愛映画だった。 「たしか小説が原作の純愛ものだろ、お前こんなの見たいのか?」 「あら、こんなのとはちょっと失礼じゃない?」 「いや、そうゆう意味じゃなくてな。なんつうか以外でな。もっと別のを想像してから」 「別のって?SFでも見ると思ったの?」 「え!いや……」 「とにかくあたしはこれが見たいの。参考にしたいしね」 「……参考って、なんの?」 「秘密」 69 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 23:44:40.41 ID:yJRbxDWtO 「……まあ、いいや。お前が見たいならそれでいいよ。時間は……4時15分からか」 時計を取り出し時間を確認する。4時調度だ。 「おお、ナイスタイミングでもうすぐやるな」 「随分センスのいい物持ち歩いてるのね。それ、懐中時計だっけ?」 オレがポケットに戻そうとした物を朝倉が興味深げに見つめた。 72 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 23:59:40.30 ID:yJRbxDWtO 「まあな。オレ携帯電話持ってないし。これをいつも、持ち歩いてるんだ。どうだ!いい物だろう?」 「うん、そうね」 「だろう!?これはな、一年ぐらい前に露店で見つけたんだ。形が最高にオレの理想でな。多少値がはったんだけどそのばで即買いしたんだよ。 けどなぁ、これ手巻きタイプじゃなくて、電池で動くほうなんだ。電地だとな、ゼンマイと違ってカチカチとあのいい音がしないんだ。 残念だよな〜、この形で手巻きなら、生涯の相棒になったのに。同じタイプの手巻きがないか探してるんだけど、なかなか見つからないん……だ……」 と、そこまでいってオレは我にかえった。 ……なにをいきなり力説してるんだオレは。 75 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 00:07:23.31 ID:IMxC8BtgO 「ん?どうかしたの?」 急に黙りこみ、俯いたオレを朝倉が不思議そうに覗きこむ。 「あ、いや悪い。突然、懐中時計の話しされても困るよな」 そんなオレの言葉を聞いた朝倉はクスッと小さく笑った後に、まんべんの笑みを浮かべた。 「懐中時計好きなのね」 「あ、あぁ、まあな。数少ない趣味の一つだ」 「理想の懐中時計が見つかったらあたしにも見せてね。あなたの理想がどんなものか見てみたいから」 「え、あぁ……わ、わかった」 予想外の朝倉の反応に戸惑いながらも、オレは頷うた。 「約束ね」 朝倉は小指を少し上げるポーズをしたあと、チケット売り場に歩きだした。 76 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 00:11:12.29 ID:IMxC8BtgO チケットを買ったオレ達は、薄暗い劇場に入り、階段状になってる座席の中央に腰を下ろした。 こんなベストポジションに座れたのは、客がオレ達以外に数人しかいないおかげだろう。平日だしな。 「あたし、こんなに空いてる映画館は初めてだわ。休みの日とかに友達ときたら人の数が凄いもの、ゆっくりと見れそう」 薄暗い中でも解るほど朝倉は瞳を見事に輝かせていた。本気でワクワクしてるような表情だ。 78 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 00:14:22.08 ID:IMxC8BtgO 「オレは逆に混んでる映画館に来た覚えは殆どないな。空いてそうな日にちと時間を狙うからだけど」 「一人でだっけ?」 「まあな」 「寂しくないの?一人で映画見て。あたしだったら嫌だな。見る前に友達とどんな内容なのか期待しながら話をしたり、終わったらお互いの感想を言い合ったり。そういうのも映画の楽しみじゃない」 「そういう楽しみ方もあるだろうな。けど一人で映画だけに集中するのもいいだろう。せっかく金払ってまで見るんだ。余計なものを楽しみにプラスしなくても充分だ楽しめる………とか言いたいところだが、単に一緒に映画を見るような仲の人間がいないだけだな」 80 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 00:16:28.61 ID:IMxC8BtgO 「いないの、中学の同級生とか?」 「ああ、いないな。中学に入学したときぐらいから極端に、他人に興味を持たなくなったからな」 「ふーん。こんなに普通に話せるのに。不思議ね」 上映のブザーが鳴ったので、オレ達は会話やめた。 あまり話したくない内容だったので助かった。 81 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 00:18:33.88 ID:IMxC8BtgO 真っ白で巨大なスクリーンに、上映中の注意、映画の予告に続き、本編が流れ始める。 男女が恋に落ち結ばれる。しかし、男は重い病にかかり、死んでしまう。 よくある悲劇的な恋愛模様を題材にした物語だ。 しかし、この映画が他と違うのは、男が中盤辺りで息を引き取ってしまうところにある。男の死による、女の心の葛藤が、話しのメインのようだ。 82 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 00:21:21.17 ID:IMxC8BtgO 映画が終わり、エンディングのスタッフロールが流れる。 予想外に楽しめたな。 隣にいる朝倉を見ると、 ラストの展開の影響か目を潤ませていた。その表情はとても女の子らしい顔だった。 85 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 00:24:21.10 ID:IMxC8BtgO 「楽しめたわね」 スクリーンの幕が下り、すっかりと明るくなった場内で朝倉が微笑む。 「そうだな。思ったより……かなりよかったのは認める」 オレは鞄を手に取り席を立ち上がった。 「さあ、出ようぜ。いつまでも場内にいたら、清掃員に睨まれる」 客席と客席の間を歩きながら、朝倉を振り返る。 朝倉はまだ座ったままだ。 そして先程とまったく同じ表情で微笑んだまま、こう言った。 「そうね。そろそろ本題を始めましょうか」 91 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 00:51:20.43 ID:IMxC8BtgO ゾクリとまた背筋に寒気が襲う。 いままでとは比べものにならない嫌な予感とともに。 「な!?」 途端に場内が暗くなり始めた。天井からの照明が光りを失い続ける。 上映が終わったばかりの今、館内の照明が消えるなんてあるわけない。 いや、照明の故障に誤作動、理由なんていくらでもある。 けど、多分違う。これは自分でもよくわからない感のようなものだ。 「朝倉っ!」 視界の全てが少しずつ、そして確実に闇に近づく中、オレはすぐ目の前にいる朝倉に手を延ばした。 「じゃあね」 しかし延ばし手のすぐ先にいた朝倉は館内の景色と共に真っ暗闇に消えていった。 笑顔のまま。 92 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 00:53:45.75 ID:IMxC8BtgO 「………なんなんだ」 暗闇。 目を開けているはずなのにオレの視覚が光をまったく捕らえない。 手をいくら目に近づけようと輪郭すらつかめない。そして気付けば音すら聞こえていなかった。 完璧な無音だ。 「オレは今、どうなってる?」 地に足がついているのだから立っているはずだが、なにも見えないとそれすらも怪しく思えてくる。 93 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 00:58:23.67 ID:IMxC8BtgO 残りの感覚を頼りに一歩、足を前にだす。 靴の裏が床を擦る音さえも聞こえない。オレ以外の時間がと止まっているかのようだ。 何歩か進み、周りの客席がなくなっていることにも気付いた。手で周囲を探ってもなにも触れるものはない。 オレの中のなにかが警笛を鳴らす。ここはやばい。これ以上ここにいたらいけない。この空間から抜け出さないと。 「……向こうか?」 空間を抜け出す、という意識をしだすと不思議な事に足がある方向をむいた。 95 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 01:01:46.01 ID:IMxC8BtgO 一歩、一歩ゆっくりと進む。 目と耳はなにも捉えないのだが、別の感覚が光と音がこっちにあると言っている。 立ち止まり、両手を前にだす。なにも触れはしないのだが。 「ここだ。ここから外に出れる」 なにもない空間に手をかける。そして押す。 扉を開いたかのように、光と音が漏れだした。 雑踏と天井の電灯、気付けばそこは通路だった。 オレはまるで劇場の扉を開け、通路に出たかのような状況なのだ。 後ろを振り返る。なんの変哲のない劇場が、力無く閉まっていく扉の隙間から見えた。 96 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 01:05:55.85 ID:IMxC8BtgO 「遅かったのね」 「!」 再び正面をむくと、ある人物が目に飛び込んできた。 「なにしてたの?あなたが早く出たほうがいいって言ったんじゃない」 「……朝倉」 壁に寄り掛かりながら朝倉涼子はオレを見つめ、僅かに頬を膨らませる。 「女の子を待たせるのはよくないと思うな」 98 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 01:08:56.63 ID:IMxC8BtgO 「え……あ…」 思考が状況に追い付かない為、オレはうまく返答ができない。そんなオレに朝倉は首を傾げる。 「大丈夫?寝ぼけてるの?」 「いや、寝ぼけては……ない……大丈夫だ」 「そう?ならいいけど。さ、出ましょう。清掃員さんに睨まれないうちに、ね」 朝倉は笑顔で歩きだした。 「ほら、いきましょ」 「……あ、あぁ」 オレはゆっくりと足を動かし、朝倉の後を追った。 101 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 01:12:29.98 ID:IMxC8BtgO 朝倉涼子の消失 前半〜終了〜 108 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 01:41:50.89 ID:IMxC8BtgO 朝倉「朝倉涼子の消失(前編)座談会コーナー!」 朝倉「わー!わー!パチパチ!!」 喜緑「………」 長門「………」 朝倉「なによ。二人共元気ないわね。長編作品の前編の座談会なのよ?これからのことも考えて盛り上がならいと駄目でしょ」 喜緑「……出番がいっぱいあったので元気ですね、朝倉さん」 長門「………」 111 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 01:46:58.85 ID:IMxC8BtgO 朝倉「まあね!なんといっても『朝倉涼子の消失』だし。言って見れば主役よね」 長門「……」 喜緑「というより、長門さんは出てましたけど、私は出てないんですよね。座談会にいていいのでしょうか」 朝倉「いいんじゃないの?あたしと長門さんだけじゃ、あたし一人で喋らなくちゃいけなくなるし」 長門「……」 115 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 01:51:48.02 ID:IMxC8BtgO 朝倉「それにしても、おもったより好評でよかったわね。バッシング多かったら絶対途中でめげてたもの」 喜緑「そうですね。朝倉さんの熱演が無駄になる可能性もありましたから、残念でしたね」 朝倉「そうよね。残念よね……ん?残念?」 喜緑「なにか?」 長門「……」 116 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 01:57:26.76 ID:IMxC8BtgO 朝倉「さて、本編のほうに触れておくと、スバリ、『涼宮ハルヒの憂鬱』の第三者視点で話しが進んでいるみたいね」 喜緑「途中でずばり言い当てられてしまいましたね」 朝倉「涼宮ハルヒの憂鬱本編で惜しまれつつ、粒子になったあたしのサイドストーリー的な話しなの」 長門「あとがき等で本編の説明する作家は二流」 喜緑「あ、長門さんが本編を含めて初めて口を聞きましたね。しかもなかなか辛口です」 118 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 02:03:35.20 ID:IMxC8BtgO 喜緑「ほら、オールナイトを知ってる人がいましたよ朝倉さん」 朝倉「うぅ、これもあたしの地道な仕事の成果ね。うれしいわ」 長門「この前の朝倉涼子のオールナイトニッポンは途中で終了した。理由は寝落ち」 朝倉「う、長門さん今日はやけに手厳しいわね」 喜緑「きっと中途半端にあった出番が不服なのでしょう」 喜緑「贅沢ですね」 120 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 02:10:02.79 ID:IMxC8BtgO 喜緑「しかし、こんな座談会なんてやってもよかったんでしょうか。本編はかなりシリアスな展開だというのに」 喜緑「しかも、朝倉さんは役中の朝倉さんのミステリアスな雰囲気がぶち壊しだと思います」 朝倉「そ、そうかな?」 長門「………」 喜緑「そうですよ」 朝倉「う〜ん……」 朝倉「ま、いっか!」 123 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 02:19:26.70 ID:IMxC8BtgO 朝倉「二人とも、なんか出番が少なかった事を気にしてるみたいだけど、安心して、ちゃんと二人とも後からでてくるから」 喜緑「本当ですか?」 長門「…」 朝倉「当然でしょ。あたし達インターフェイストリオは一心同体よ」 朝倉「長門さんはこの後、バシバシ活躍する予定よ。ね?だから安心して長門さん!」 長門「そう」 喜緑「………」 朝倉「………」 喜緑「………」 朝倉「そ、そして喜緑さんもしっかりと出番があるわよ。ある予定」 喜緑「どちらにしても活躍はしなさそうですね」 125 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 02:29:59.80 ID:IMxC8BtgO 喜緑「朝倉さんはなんでこんなに人気があるんでしょうか。原作はでは早々消えて、一回再登場しただけだというのに」 長門「……眉」 喜緑「長門さん、今、なんと?」 長門「眉と深い因果関係があると私は分析している」 喜緑「あの太眉ですか。なるほど」 朝倉「……やっぱり太いかな、」 朝倉「というか目の前でこそこそ話はやめてくれない?」 127 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 02:34:43.48 ID:IMxC8BtgO 朝倉「さて、丑三つ時も過ぎ去った今。残っている皆もかなり眠いんじゃないかしら?」 喜緑「明日、というより今日ですが。日曜日ですから、寝なくても大丈夫という人が多いのでしょう」 長門「………」 131 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 02:40:10.33 ID:IMxC8BtgO 朝倉「………」 喜緑「返事もすくなくなって来ましたしお客さんも大分へったのかもしれませんね」 朝倉「……」 長門「……」 朝倉「……」 長門「……」 喜緑「まさか」 朝倉「Zz…」 長門「Zz… 」 喜緑「やっぱり……」 134 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 02:43:46.09 ID:IMxC8BtgO 喜緑「お二人が寝てしまったいま、何か私がやらなくては……」 喜緑「なにか…なにか……」 喜緑「……なにか…」 喜緑「………」 喜緑「………」 喜緑「………」 喜緑「Zz…すぴー…」 138 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 02:52:59.94 ID:IMxC8BtgO 朝倉「Zz…」 長門「Zz…」 喜緑「Zz…」 朝倉「Zz…山根って……だれぇ?Zz…」 162 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 10:17:56.37 ID:IMxC8BtgO 喜緑「Zz………ん?」 喜緑「……?」 喜緑「あれ?ここは……」 喜緑「あ!そうでした。夜中まで座談会をやっていて……途中で寝てしまったんでした」 長門「………」 朝倉「Zz…」 喜緑「起きたのは私だけですか」 喜緑「というより、スレッドが残ってる事に驚きました」 165 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 10:25:57.60 ID:IMxC8BtgO 長門「寝ていない」 喜緑「あ、長門さん。起きていたんですね」 長門「……2時間程前に起床した」 喜緑「そうなんですか。それにしても寝ている間に、凄い保守されてますね」 喜緑「うれしい限りなのですが……」 長門「朝倉涼子の消失(後偏)はまだ出来ていない」 喜緑「あ、長門さんそんなに、さらりと…」 朝倉「Zz…うーん、あたしが主役よぉ……Zz…」 166 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 10:31:04.09 ID:IMxC8BtgO 長門「構成は終わっているが、文にしていないので、今日明日等の短期間に発表はできない」 喜緑「あぁ、包み隠さずに。続きはまた来週、と言っておくだけでいいのに」 朝倉「Zz…メインよぉ…Zz…」 169 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 10:41:02.50 ID:IMxC8BtgO 喜緑「そういう訳なので、保守してくださっている皆さんには非常に申し訳ありませんが、後編はまた次の機会に発表したいと思います」 長門「………」 朝倉「Zz…むにゃむにゃ」 喜緑「では私達も、とりあえず今日のところは帰りますね。長い間ありがとうございました。さあ長門さん、行きましょう」 長門「………」 バタンッ 朝倉「Zz…あたしが中心線よぉ…Zz…」