こなた「い、痛い…!!!痛いよぅ!!」 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 14:03:22.81 ID:2TXdUfVW0 ☆こなた虐待スレ☆ こなたはゲームをしている。 それを俺は窓の外から見ている。 「えぇ〜っと…選択肢は…う〜む…」 どうやらエロゲをしているようだ。 しばらくこなたは無言でゲームし、そのうちふと立ち上がった。 「・・・」 …なんだ、何をするんだ? 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 14:04:03.02 ID:2TXdUfVW0 こなたはベッドをじっと見つめると、ごろりと横になり、 そろりそろりと股間に手を伸ばす。 もう片方の手は殆どない胸をさすっている。 …オナニーしてる? エロゲをやる目的…考えればすぐにわかる。 結局こなたはオナニーしていたのだ! 「ははは、傑作だよ!傑作!」 思わず俺は大声で笑い出す。 その声に「えぇ!」と言いながらこなたはベッドから飛び起きた。 …こちらに向かってくる。 チョウドイイ。ゴアイサツダ。 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 14:04:34.01 ID:2TXdUfVW0 「やぁこなちゃん!…いやオナちゃんと言うべきかな…?」 窓をぶち破った俺は、そのままこなたに近づいていく。 「え…きゃあああああ!お父さん!!!お父さん!!」 こなたは一瞬固まった後凄まじい声を出し始めた。 俺は素早くこなたに近づくと、ガムテープで口をふさいだ。 ついでに両手に手錠をかける。 「ふ…もがもが!!もががあああ!」 「やぁこなちゃん!落ち着いてくれよ…」 こなたは抵抗しない方が身のためだと悟ったのか、急に大人しくなった。 「…もがぁ」 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 14:04:59.72 ID:2TXdUfVW0 「俺が誰だか覚えてるかい?」 こなたは一瞬考え込んだ後… 「もが!もがが!」 「そう、こなちゃんのバイト先の常連だったAだよ?」 「もが!」 「ん?そうだね。こなちゃんに付きまといすぎて 出入り禁止になったんだよね?」 「もがが!!」 「大丈夫、これが終わったら僕自殺するつもりでいるんだ。 もちろん、こなちゃんにも一緒に来てもらうけどね?」 「も…もがあああ!!!もがあああ!!!」 その途端こなたは凄まじい勢いで叫び始めた。 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 14:05:23.57 ID:2TXdUfVW0 「ちょ・・・落ち着いてよ? お父さんが帰ってくるまで「生きて」いれば、警察呼んでもらえるかもしれないよ? それまでは大人しく?ね?」 「も、もが…」 こなたは観念したのか目をつぶった。 その体が小刻みに震えている。 俺はこなたのない胸をさすった。 一瞬こなたはビクッ、となったが、すぐに大人しくその状態を受け入れた。 …観念したのだろうか? だけど、俺の目的はエッチじゃない。 俺をこんな惨めな目に合わせて、秋葉から追放した女への・・・ 「復讐だ!!」 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 14:05:56.62 ID:2TXdUfVW0 「さて、このくらいでいいかな…?」 俺は、カバンの中からはさみを取り出す。 こなたはその様子をじっと見つめていた。 「ちょっと痛いけど、我慢してね〜」 そのはさみでこなたの小指をはさむ。 「えい!」 思いっきり力を入れるとこなたの小指が吹っ飛んだ。 一瞬の間の後、凄まじい量の血とこなたの絶叫が響いた。 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 14:06:21.11 ID:2TXdUfVW0 「うわ…ほんとペットボトルを逆さまにしたみたいだね。  ちゃんと止血しないと、失血死しちゃいそうだ」 俺は手元のライターでこなたの小指をあぶった。 「もが!もがああああ!!ふぇぇぇん!!」 こなたの悲痛な叫びが聞こえる。 「さて次は、ここだ!」 「もっがあああぁぁ!!!」 こなたの親指を切り落とした。 「もが!!!もがぁぁああ!!!」 すかさずライターであぶる。 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 14:08:45.79 ID:2TXdUfVW0 肉の焼けるにおいが部屋中に充満した。 「これで、ぎゃははは、ゲーム、ゲームできないね!!」 俺は余りにもおかしくて大声で笑った。 傑作ではないか!ゲームしかとりえのない女がゲームできなくなるなんて! 「ぎゃははは!!」 「もががががが!!」 オマエイキテル価値ナイヨ。 俺みたいに居場所を失ってシネヨ。 「もがぁ…」 こなたの顔が青くなってきた。あぶった小指から血がにじみ出ている。 ちょっと危ないらしい。 俺は持参のからしをあぶった小指に刷り込んだ。 「はい、軟膏だよ!」 「もがあああああああ!!!!」 また絶叫。だがさっきに比べて力がなくなっている。 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 14:16:17.39 ID:2TXdUfVW0 俺は一瞬心が痛んだ。 いたいけな少女にナニヲしているんだろう… 俺ってば人間のクズだな。 だけど、こうなったのも結局こなちゃんのせいなのだ。 38歳フリーターの唯一の居場所、それが秋葉。 18の頃から20年もいたのに…。この前追い出されたせいで本当に居場所がなくなった。 仲間も離れていった。 俺は毎日コンビニと家を往復する生活だ。 生きていても意味がない。 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 14:16:38.21 ID:2TXdUfVW0 俺が何をした! この小娘のパンツの中に手を入れただけじゃないか!! …あの日こなたは見下すような目で「こんなことする人とは知りませんでした。」 と言った。 何が悪い!お前らどうせ女を売ってるんだろ!! 「もが!もがぁ…!!」 「おい、お前のせいで俺は居場所を失ったんだ!!」 こなたに向かって怒鳴りつける。 蹴り飛ばして、床に押し倒す。 「何とか言ってみろ!え!?」 「もが…」 ガムテープが邪魔で喋れないらしい。 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 14:16:53.84 ID:2TXdUfVW0 俺が何かしたか?どうせ彼氏だってパンツの中に手をいれてんだろ!? 俺を社会的に抹殺するするほどの重罪か!? 思わずガムテープをはがす。 言い返せるならなんか言ってみろ…。 こなたはじっとこっちを見据えたまま、 「かわいそうな人…」といった。 本心からの言葉のようだった。 …俺の中で何かが切れる。 …決定。 コイツハコロス。 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 14:24:10.07 ID:2TXdUfVW0 「こなちゃん、ねぇ、次は耳と指どっちがいいかな? 鼻切っちゃうと、萎えてすぐ殺しちゃいそうだから、どっちかにしようと思うんだけど…」 「待ってよ!話はわかったよ! だけど…秋葉に行ってももうAさんの居場所はないよ? 生きていれば違う場所できっと新しい出会いがあるよ!!」 「…じゃあ、パンツの中に手を入れたくらいで、秋葉から追放したことを謝るかっ…?」 一瞬、こなたの顔がパァッと輝いた。 「ご、ごめんなさい!!本当にあの頃は世間知らずで…っ…その… パンツの中触るなんて、普通にキャバクラでもやってるだろうしっ…」 「それで?」 「えぇ…っと…ホントにごめんなさい…ひどい酷いよね…  もう遅いかもしれないけど、今なら好きなだけ触っていいからっ…」 「もう興味なくなったよ!」 「あ…そ、そうだよねっ。ゴメンネっ…。どうすればいいかな…?」 「死ねよ!」 「な、なるべくそれだけは…他ならなんでもするから…」 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 14:30:43.48 ID:2TXdUfVW0 「じゃあ、そうだな…恥ずかしい言葉を言ってみろ…」 「…何を言えばいいの?」 「うん、『ご主人様、ご主人様のチンポ舐めたいです…』って言ってみろ…」 「え?」 「お、お、お、お、お、お、お、お、お、お、お、お、お、  おま、おま、お前!!!!!  今一瞬俺のこと馬鹿にしたろ!!!えぇ!!!あ!!!」 「いや、ちが、…そ、そうだ。指が…痛んで…」 「お、お、お、お、お、お、それ、それ俺のせいだって言うのか!?!  お前の自業自得じゃないのかよ!あぁ!!」 「そ、そうでした…」 「う、う、恨みがましいこというな!!!」 「す、すみません…」 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 14:31:04.35 ID:2TXdUfVW0 「・・・?  お前俺のこと消えて欲しいと思っただろ、今!?!えぇぇ!!!」 「いや、そんなことは…」 「おかしいじゃんか!!!  嘘ついてるな!!!俺が、俺がフリーターだと思ってば、ば、馬鹿にしてるんだろ!!!」 「うぅ…そんなこと…ないですっ!!」 「じゃあ、言ってみろ!!  『ご主人様、ご主人様のチンポ舐めたいです…』って!!!」 「ご、ごじゅじぶざばの…うぇ…うぇぇぇ…ん ち、ちんぼだべだいでず…」 こなたの体が小刻みに震えている。 当人の意思とは関係なく、涙がこぼれているようだ。 俺はその様子を見て人心地をついた。 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 14:37:54.61 ID:2TXdUfVW0 「もうこうなったら、腹に包丁で切れ込みいれるしかないな…」 「い”や”!!!い”や”!!」 カバンから取り出した包丁を見てこなたが震え出した。 おかしいなこなたが小さく見える。 背は小さいのに落ち着いていて、いつも明るい話題で客を笑わしていたあのこなたはどこだ? 「だったらいってみろ?」 「ご、ごじゅじぶざばの…うぇ…うぇぇぇ…ん ち、ちんぼだべだいでず…」 「聞こえないな?」 「ご、ごじゅじぶざばの…!!! ち、ちんぼだべだいでず…!!」 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 14:38:09.11 ID:2TXdUfVW0 「チンポなんて女の子が言っていいと思ってるのか?あぁ!」 「ずびばぜん!!!ずびばぜん!!」 「じゃあ何ていえばいいんだ?」 「べ、ベニズ…うぇうぇ…うぇぇぇぇぇん!!!」 こなたの震えが一段と大きくなった。 カタカタ動いてまるでおもちゃみたいだ。 その時、ガチャ、と扉の開く音がした。 「こなたー帰ったぞー」 作家、泉そうじろうが担当編集者を連れて戻ってきた。 94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 14:43:34.23 ID:2TXdUfVW0 やばい、逃げないと…。 割れた窓ガラスに気づかれなかったのは、幸いだ。 俺はカバンを拾って急いで窓の外に飛び出した。 下は庭か?…悪くない…。 ジャンプして着地する。 それとこなたが叫んだのはほぼ同時だった! 「おどうざん!!!おどうざん!!! だずげで!!!!だずげて!”!!」 50m程先の公園の横に駐車していたバンまで走って、俺はエンジンを始動した。 逃げ切れるか、否かはここからにかかっている。 こなたの家、埼玉県幸手から俺の住まいまで約30km。 不審に思われないように家に逃げ帰った。 106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 14:49:41.11 ID:2TXdUfVW0 この平凡なアパートの二階で、食パンをかじりながら俺はテレビを見ている。 「昨夜、埼玉県幸手市の民家で…男が…」 ニュースになっていやがる。 正直警察の実力がどの程度なのか検討もつかない。 俺の知らない最新科学では、俺の痕跡が簡単に発見されるのだろう。 旧友の方にも聞き込みが進んでいるはずだ。 このアパートにいたら、捕まってしまう。 「こなた…どうやって殺そうか…」 今思えば、あれが最終チャンスだったのかもしれない。 こなたは多分警察に保護されている。 手近な武器は、ナイフ、エアガン、包丁…そして硫化水素発生セットだ。 「よし」 俺は決心して車に乗り込んだ。 あっさり殺そう。 苦しめて殺すのは高望みだった・・・な。 114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 14:54:21.94 ID:2TXdUfVW0 こなたは病院にいた。 ICUでオペを受け、今は安静にしているところだ。 麻酔が効いているのか、すやすや眠っている。 「…こなたぁ…おとうさんが…あの時もっとバイトに反対していれば…」 そうじろうが、こなたの手を握りながら、体を震わせ泣いていた。 初め、そうじろうはキャバクラまがいのコスプレ喫茶で働くことに反対していたのだ。 だが、娘の社会経験にもなると思い、ついに折れた。 …その結果がこれだ。 「…ごめんな…こなた…くそぉ…」 こなたの指はくっつかなかった。 火であぶられてから時間がたちすぎていたのが原因だ。 感染症も心配され、医師によって根元から切られて綺麗に縫い合わされていた。 「…こなたぁ…」 「おっす、おっさん」 「!?」 「殺しに来ましたよ?」 125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 14:59:15.95 ID:2TXdUfVW0 そうじろうは、こなたのバイト先の先輩か何かだと思った。 少なくとも犯人がこんな近くにいるはずがない。 …実は、警備など無かった。 犯人が死にたがりなんて誰も予想していない。 いざとなれば硫化水素で病院ごと焼き払う計画だったのだが…。 「あ、ど、どうも…」 そうじろうは涙を拭って、深々とお辞儀をした。 その後頭部に「グザ…」とナイフが突き刺さった。 そうじろうが笑顔のまま崩れていく。 ブッシャアアアアアア…。 辺り一面に血だまりができた。 148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 15:05:11.36 ID:2TXdUfVW0 「さぁこなちゃん、旅に出よう。死出の旅路だよん…」 こなたを担いで、血まみれのAが悠々と廊下を歩いていく。 廊下は黄色い煙でかすんでいる。 硫化水素によって、看護婦、医師みな死んでいた。 倒れた人間をグニグニと踏みつけながら、出口を目指して歩く。 「警察が来る前に、とっととズラかろうね〜」 こなたはうぅ…とつぶやいた。 意識はまだ戻っていない。 こなたの意識が戻るまで殺すことは出来ない。 そうだ!諏訪に帰ろう。 Aは実家の諏訪湖を思い出していた。 あの綺麗な湖のほとりでこなちゃんと死にたい。 後部座席にこなたをほおりこんで、Aは車を走らせた。 途中、警察車両とすれ違った。 だが、Aは捕まらない。 Aの特徴を言うべき被害者は硫化水素によってみな死んでいたからだ。 165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 15:10:39.82 ID:2TXdUfVW0 車を走らせる。 幸手のインターで高速道路に乗り、そこから懐かしい諏訪までは、 約2時間で着く。 「うぅ…」 こなたがうめき声を上げる。 「こなちゃん、大丈夫かな…?」 ふと、そんなことを考えている自分に気づき、Aはあわてて首を振った。 このよくわからない常識というやつは死の直前まで自分を縛るらしい。 「これから死ぬ人間が、これから殺す人間のことを心配するなんて…  こっけいだわ」 ラジオからは、Aによる病院大量虐殺のニュースが報道されていた。 付近の住民に注意を呼びかけている。 自分のせいで、何万人もの人が家にこもらざるを得ない、なんて考えると ユカイでユカイでAはたまらず噴出してしまった。 諏訪についたら、コンビニでそばを買って、それから… 昔つくった、湖のほとりのダンボールのボロ小屋でこなちゃんが起きるのを待とう。 Aはそう考えていた。 177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 15:16:20.21 ID:2TXdUfVW0 諏訪インターで降りた。 警察が大々的にAの特徴を報道していた。 テレビでAの乗っている車とそのナンバーまで流れている。 終焉は近い。 これだけ人がいて意外と気づかないものだ。 まぁ諏訪はのんびりしているからな。 …大学に入るため18歳で上京して以来、諏訪には数えるほどしか帰ったことがない。 諏訪の話題になると田舎だよ、なんて自虐したりもした。 だけど、今はそんなこと思っていない。 故郷から離れた寂しさをまぎらわすため、秋葉原にハマって…その結果がこれ。 もっと素直に生きることが出来たら、諏訪で幸せに暮らしていたかもしれない。 そろそろ、車は危ない。 諏訪湖のほとりで車を乗り捨てると、こなたをビニール袋にくるんだ。 ここからは歩いて、25年前につくったボロ小屋まで歩いていく。 187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 15:21:22.87 ID:2TXdUfVW0 ビニール袋を引きずりながら諏訪湖の浜辺を歩いていく。 諏訪の人間はのんびりしているため 「おお!おっぎな荷物だべ!大変だなぁ!!」 なんて声をかけてくれたりした。 俺は、ここで生きるべきだったのかもしれない。 東京は肉食獣と、ドブネズミの住む町だ。 俺のような草食獣には合ってない。 500m程歩いて、昔小屋を立てたところについた。 昔作った小屋は無かった。 だが、その代わりに、近所のガキが作ったであろう 新しいダンボール小屋がある。 ここに誰もが小屋を作るんだな、と思ってAは苦笑した。 とりあえず中の4人のガキに「どけ!」と言う。 諏訪の人間はのんびりしている包丁を持ったAを見ても驚かず、 「お兄さん小屋にはいりたいのけ?」 と言って、Aに小屋を譲ってくれた。 210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 15:29:09.54 ID:2TXdUfVW0 こなたをビニール袋からほおり出し、小屋の中に寝かせた。 …いつ目覚めるだろう? Aはこなたの腹に手を乗せた。 …生きている。 そんな感覚が伝わってきた。 小屋の中からは諏訪湖が見える。 諏訪湖では漁師が1000年の昔から続いている独特の漁法で魚をとっている。 小屋から出てAが手を振ると、60過ぎに見える漁師が笑顔で手をふり返した。 …やっぱり諏訪はいい。 Aは、こなたを小屋の中において、そのまま蕎麦屋に向かった。 諏訪といえば蕎麦と太古の神々。 Aが蕎麦屋に入ると、ぷーん、と蕎麦のいい香りがした。 「お兄ちゃん、さっきテレビに出てたか?」 おばさんがそんなことを聞いてくる。 実は諏訪の言葉と標準語には若干の乖離があるため、 諏訪の人間は往々にして、テレビの内容を理解できない。 昔はAもそうだった。 「はい、ちょっと…」 Aは言葉を濁す。 「おい!お父ちゃん、有名人さ来たよ!うんめぇ蕎麦食わせてやれ!」 「あいよ!!」 Aの前に打ちたての蕎麦がゆでられてきた。 225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 15:33:44.51 ID:2TXdUfVW0 「うまい…」 Aは思わずつぶやいた。 食に疎いAでも分かる。これは蕎麦ではない。 蕎麦の形をした、霜降りステーキ肉とでも言うべきか? とにかく極上の味わいであった。 「いくら?」 食べ終わってAが席から立つ。 蕎麦湯もタップリ飲んで、Aは大満足だった。 「お代はいいですよぉ?お兄さん久々の諏訪だろ?  ゆっくりしていってくんろ〜」 おばさんが極上の笑顔で微笑み、Aもそれに答えた。 やっぱり諏訪はいい。 さて、次は諏訪大社に行こう。 諏訪大社は1000年前から日本の神様とは違う、別の神様が住んでいる。 Aも小さな頃は親に連れられていったものだ。 …その前にこなたを起こさないと…。 258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 15:38:48.37 ID:2TXdUfVW0 小屋に戻ると、既にこなたは起きていた。 「あ…」 こなたが怯えた目でこちらを見ている。 体もカタカタ震え出す…。 そうだ、俺はとんでもない犯罪をしでかしたのだった。 「こなちゃん…」 「いや…助けて…」 こなたは体力が戻ってないのか、その場から動けないようだ。 「こなちゃん…君が僕を恨む気持ちはわかる…」 「・・」 「君のお父さんも…殺してしまった…」 「・・・!?!」 「ゴメン…」 「そ、そんな…」 こなたの両目からボロボロ涙がこぼれていく。 「お父さん!!お父さん!!!」 「こなちゃん…」 果たしてこの少女は再び自分に心を開いてくれるのだろうか。 ひたすら高い諏訪の空が二人の間に影を落としていた。 282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 15:46:12.74 ID:2TXdUfVW0 とりあえこのままいても始まらない。 「そうだ・・・こなちゃん・・・諏訪大社に行かない?」 「だ、誰が・・・いくもんか・・・」 先ほどとは違いこなたの目には火が見えた。 そんなに父親を殺されたことがショックだったのだろうか…。 「こなちゃん・・・お父さんがいなくなってショックだったのはわかるよ?」 「何がわかるってのさ・・・」 「だけど、親は子供より先に…ね?  雛鳥が旅立つようにこなちゃんももう旅立つ時期だったんだよ?」 「ふざけるなっ!!ごほ・・ごほ・・」 全く理屈が通じない。 Aは説得を諦めた。 どうしたらこなちゃんはわかってくれるのだろう…。 「諏訪大社は結構いいところだよ?一度言ってみればわかる」 「お兄さん?本当?」 先ほどの子供達が戻ってきた。 「あぁ、本当さ!古い神様がいてね、諏訪を守ってくれてるんだ」 「わぁ!いいな!!」 子供達がはしゃいだ。 「お姉さん!行こうよ!!」 子供がこなたを説得にかかる。 「う、うるさいっ…」 三本指のこなたがこどもをなぎ払う。 「あ!ターやん!!!」 「こ、こなちゃん!ひどいよっ!」 俺は思わず大声を上げていた。 305 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 15:52:38.44 ID:2TXdUfVW0 「あ…」 こなたは思わず謝っていた。 「ごめん…」 「お父さんが殺されて、悲しいのはわかるけどさっ…  八つ当たりは良くないと思うよ…」 「あんたが殺したんだろッ!!」 「わぁ!夫婦喧嘩だぁああ!!!」 先ほど吹っ飛ばされたターやんはもう元気にからかいを始めていた。 諏訪の子供達はとても元気だ。 明るくて…毎日が楽しくて…神様も大好きで… 俺もそんな子供だったな。 「こ!こらぁ!!お前ら〜…」 こなたの方を見る。 まだ恨みがましい目でこちらを見ている。 「ははは、あの子供達…ね?」 「うるさい…」 どうやらツンデレって奴らしい。 まいったな、俺照れ隠しのためは浜辺に出て子供達と追いかけっこを始めた。 325 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 15:56:48.28 ID:2TXdUfVW0 「お兄さん、足速いね?」 追いかけっこが終わり、ターやんとその妹のマキちゃんが、 こちらに駆け寄ってきた。 「ん?ターやんもまきチャンも大きくなったらこの位早くなるよ?」 「ほんとぉ?」 二人が目を輝かせた。 諏訪の子供達はとっても素直だ。 「あ〜…東京からきたAさんですかぁ?」 老齢の巡査がこちらに話しかける。 「あ、はい!そうですが?」 「東京から警察の方が来てますけど?」 「・・・・」 まずい…。 その声を聞いてこなたが小屋から出てきた。 「た、たすけてぇ!!たすけてぇえ!!!」 まずい…。 このままでは…諏訪大社にいけなくなってしまう…。 344 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 16:02:21.73 ID:2TXdUfVW0 ナイフは持っている…。 だが、相手は銃だ…こちらのかなうところではない。 慎重に話を進めるしかない! 東京から来た警察が声を上げる!! 「あぁ!泉こなたさん!!大変だ!!応援を呼ばないと!」 若い警察がこちらに銃を向ける。 「動くな!こなたさん、こっちへ…」 …ここで終わりなのか…。 「こら!諏訪署は何をやっていたんだ!!!  犯罪者が近くにいるのに何時間も…」 「す、すみませんだべ…」 「これだから、諏訪のやつらは…」 「諏訪って日本語も通じないんだよな…日本かよ?ここ」 ははは、と嘲笑が響き渡る。 老巡査がしょぼん・・・としている。 俺は頭に血が昇った。 …ふざけるな。 もともと日本と違う楽園だった諏訪を征服し、 神社を壊したのはどこのどいつだ…!! 1000年の昔、諏訪の民が味わった苦痛はなんだったんだ!! それを今更…馬鹿にするなんて… 366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 16:06:11.73 ID:2TXdUfVW0 「諏訪は…」 自然と涙がこぼれてくる… 「諏訪は…日本なんです…」 Aは喉から声を振り絞った。 「おい!犯人が何か喋っているぞ…」 「黙れ!発砲するぞ!!」 Aはそれでも続ける。 「諏訪は…うぅ…日本なんです…」 「黙れといってるだろ!応援を呼べ!!」 「でも、それでも…日本と認めてもらえないなら…」 「黙れ!!」 「お兄ちゃん!!」 「――今日この日を以って!!! 諏訪は日本国から独立するっ!!」 パーン…。 若い警官から銃弾が放たれたのはそれと同時だった。 Aの頭を銃弾が貫通する。 諏訪…諏訪よ…。 俺の大事な諏訪…何も出来ないまま俺は…死ぬの…か? 390 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 16:11:02.50 ID:2TXdUfVW0 「…Aよ、何も出来ないまま生涯を終えるものよ…」 ここはどこだ? 青色の空間、縄文時代の音楽が聞こえてくる。 鹿の首の皮を頭にかぶった女が話しかけてくる。 「…諏訪は、楽園を取り戻せるか?」 どうだろう? 日本語を強制され、日本民族として生きることを強制された諏訪の民。 しかし、1000前からその平和な血は変わっていない。 「…とりもどせます」 「そうか、ならば、狩猟神、この私諏訪大神から…  狩猟の力、蛙の力をやろう…」 Aが目覚めると、周りにはたくさんの警官がいた。 醜い日本人め…。 この諏訪の地を、大いなる諏訪湖をお前らの血で清めてやる!! 414 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 16:15:58.29 ID:2TXdUfVW0 頭に開いた穴はふさがっていた。 警官は検死も含めて、100人はいるだろうか? あれだけの大事件だ。 人数の多さに驚いて、子供が泣いていた。…ターやん…。 「お兄ちゃんは悪くない!悪くないよぉ!!」 「黙れ!こいつは都内で無実の人間を何人も殺したんだ!!」 「お兄ちゃんはそんな人じゃないよ!」 「私に、もっと早く走れるって言ってくれたもん!!」 「うるさいっ!!」 ターやんが吹っ飛ぶ。 「お兄ちゃん…」 「諏訪の力は、狩猟の力…蛙の力…  この大いなる力の元、諏訪大神に変わって、この俺が天罰を下してやる。」 「あ!!Aが生き返ったぁ…!!!」 検死の人間が驚いて大声をあげる。 死んだ人間が生き返るなんて諏訪じゃ良くあること。 日本人め!! お前らの常識はここでは通用しないっ!! 448 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 16:21:36.76 ID:2TXdUfVW0 湖畔で石を拾う。 …諏訪の力を思い知らせてやる。 「狩猟の神よ、蛙の神よ…」 石に魔力を込めていく。 日本人は失った力だが、この諏訪人には僅かに残っている。 「我に力を与えよ…音より速く…石を飛ばせっ…」 石が緑色に発光する。 これが狩猟神の力…。 「お兄ちゃん!」 「いくぞ!奥義…ミシャグジブラスト!!」 発光する石が的確に警官の脳天をぶち抜いていく。 「ギャア…!!」 「うぼぁ…!!!」 次々と警官が倒れ、辺りは血の海になった。 残ったのは、子供達と老巡査、こなただけ…。 「我蘇り…」 476 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 16:27:46.26 ID:2TXdUfVW0 「え…?」 Aが驚いてこなたのほうを見ると、こなたはゆらりと立ち上がった。 「こな…ちゃん…」 「今日この日を以って諏訪は日本から独立します」 「どうしたの?こなちゃん…」 「いいえ違います。『諏訪大神』です…」 「え!!」 老巡査が驚いた。 「まだわしが子供の時分じゃ…大和に征服されて1000年後に蘇る女神様のことを  聞いたことがある…それが…貴方様だったとは…」 「それじゃあ…」 「今はっきりと目覚めました。  さぁ戦を始めましょう。諏訪を楔から解き放つのです」 こなたの真後ろには、鎧を着た…蕎麦屋のおっちゃん? 「十二神将を呼びなさい。 蕎麦打ちのカミュよ…」 蕎麦屋のおっちゃんが涙を流して言う。 「1000年の昔から、貴方様を待ちわびておりました。」 老巡査がひれ伏す。 その真ん中でこなたが女神のように微笑んだ。 515 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 16:33:33.70 ID:2TXdUfVW0 その頃かがみとつかさは、学校を早退して、家で父ただおの話を聞いていた。 「こなたが目覚めました。決戦の日は近い。」 「えぇ…こなちゃんが…?」 「そのために、こなたに近づいたんだろう?二人とも…」 「でも!!目覚める確率は殆ど0だって!!」 「…友達を殺すのは嫌か?」 ただおが、普段は見せない鬼のような目で二人を睨んだ。 「…いや…なんていえないわね…」 かがみが諦めたようにため息をついた。 「そう。1000年前、この血は毛野王国によって治められていた。  諏訪が独立するならば、鷲宮神社からも大神を出さねばなるまい?  それが1000年前からの大和との約束…」 「私一人じゃダメ?」 かがみが不安そうに尋ねる。 本当は泣きそうなのだ…だが、せめて妹には普通に生きて欲しい… 「二人で一人の毛野大神なのだよ?」 「お姉ちゃん、私なら大丈夫」 つかさが微笑む。 「行きましょう、こなちゃんを『殺しに』ね」 542 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 16:38:42.92 ID:2TXdUfVW0 日本を押さえ込んでいた楔が解き放たれようとしていた。 諏訪、毛野、 そして、出雲、吉備、蝦夷、平泉、寒川、此花咲夜… 大和朝廷が各地に神社を置いて封印していた大神が一斉に目覚め始めた。 福田首相は、首相官邸でこの話を聞いていた。 「信じられんが…本当のようだな…」 「ははっ…」 政務官が頭を下げる。 この話が本当だとしたら、日本自体がバラバラになってしまう。 単一民族の幻想も、実際は虚構でしかない。 福田首相はため息をついた。 「私ではもう収集がつかん!小泉元総理を呼べっ!」 「ははっ…」 「しかし、日本はこれからどうなるのか…」 565 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 16:45:48.76 ID:2TXdUfVW0 今や日本は9つの国に分かれていた。 最大はやはり大和=日本であり、復活した天照大神が守っている。 関東より北の守りは、復活した毛野大神ことかがみとつかさが、 そして西は出雲、吉備大神が守っている。 筑紫=大和、出雲、吉備、毛野のこの五大国が、他の国々を武力で支配下に置き、 現在の日本を形作ったのだ。 こなたが一通りの説明を終えた。 「じゃあ敵は、複数いるんですか?」 Aは、こなたに質問した。 「そう…日本と言う国…言ってみればこの5カ国の連合国。  これらを全て倒さぬ限り、諏訪に平和は訪れない…」 「そ、そんな…」 「Aよ?」 「はい…」 「ミシャグジを信じられぬか?」 女神のようにこなたが微笑む。 あの喫茶店でみた微笑に似ていた。 「滅相もないことにございます」 「た、大変です!!こなたさま!!」 「どうした?」 「毛野大神を名乗る二人が、面会を求めています!!」 「つかさ、かがみ…」 こなたはぐっと唇をかみ締めた。 576 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 16:52:30.25 ID:2TXdUfVW0 「おはよぅこなちゃん…」 諏訪大社上社前宮の石段で、こなた、つかさ、かがみの三人は邂逅した。 普段のような声、普段のような笑顔…だが、その目だけは笑っていない。 「おっす…こなた」 「殺しに来たの?毛野大神として…」 こなたが尋ねる。 「うーーん、そうだね、だけど…」 「まず最後に友達として話しておきたかったのよ?」 「そっか…」 Aはタイミングを見計らっていた。 狩猟神、諏訪大神を守り神に持つAの特性に一番合う武器、それは弓だ。 日本風の重藤の弓を引きながら、つかさの頭に照準を合わせる。 こなたはタイミングを図って、放てといった。 今がチャンスじゃないか? Aは矢を放った。 「こなちゃん…あっ…」 頭から血を吹いてつかさが倒れる。 「つ、つかさぁあああ!!」 「ゴメン、かがみん!」 狩猟神の能力を発揮し、石を投げつける。 この石は高速、いや光速。光さえ凌駕する女神の一撃! ところが… 「う、うがぁっぁぁぁあぁあああ!!!」 毛野大神――たゆたう「鬼怒」川の神。 その正体は…「鬼」の化身だった。 589 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 16:58:33.82 ID:2TXdUfVW0 …かがみんの服が破け、体が倍加する。 皮膚は真っ赤に染まっている。 毛野大神とはまさしく、日本の昔話に出てくる。 赤鬼、青鬼の二体のことであったのだ。 灼熱の炎を口から吐きながら、かがみん「だったもの」はこなたの方を見る。 「がぁぁぁぁ!!!うがっぁぁぁぁあ!!」 「い、痛い…!!痛いよぅ!!」 こなたが普通な叫びを上げる。 「こなた様!!」 Aがこなたに近寄ろうとすると…頭を完全に破壊されたはずの…つかさが。 青い皮膚をして、クケケと笑っていた。 591 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 16:58:45.17 ID:2TXdUfVW0 「殺しちゃうよ、お兄ちゃん」 手には金棒。Aは思わず、弓を絞る。 バカな、神の加護を得た一撃でつかさの頭は完全に破壊されたはずなのに…。 「どうして、死なないんだ…」 「こなたぁあああ!!!がぁぁあああ!!!」 一方では、狩猟神と鬼神の戦いが続いている。 巨大な金棒を振り回して、赤鬼がこなたを追っかける。 まるでギリシアのディアナとサイクロプスの戦いだ。 「かがみん!!」 こなたが矢を引き絞る。 ぶ、っと風を切る音がして、矢はかがみの腕を貫通した。 「うがぁああああああ!!!」 617 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 17:10:43.91 ID:2TXdUfVW0 「かがみん、鬼怒川だったらかがみんの勝ちだったね」 怒り狂ったかがみがこなたを力任せに金棒でふっとばす。 諏訪大社はすべて諏訪湖のほとりにある。 そのまま、こなたは諏訪湖に突っ込んだ。 「こなたぁぁあああ!!!」 巨大な水しぶきが上がる。 止めを刺しにかがみが大きな足音を立てて向かってくる。 「…ごめんね、かがみん、さようなら」 こなたは決心してある呪文を唱える。 「主神変化、諏訪大神!!」 諏訪湖が緑色に発光する。 こなたが諏訪湖の魔力を吸い取っている証だ。 もし鬼怒川だったらかがみが主神変化していただろう。 こなたの言ったのはそういうことである。 「おねぇちゃん!一旦戻ろう!!」 しかし、赤鬼となったかがみは聞く耳を持たない。 ざば…と水しぶきを上げて、鹿の角を生やした巨大な…蛙が出てきた。 これこそ諏訪大神の正体である。 ちなみに毛野大神の正体は、巨大な龍であるが…。 まずこの諏訪湖では魔力が足り無すぎて、変化できない。 619 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 17:10:54.89 ID:2TXdUfVW0 「おねぇちゃあああああんん!!」 蛙の前足でかがみが潰される。 ぐしゃり…と音がした。 Aはもう見ていることしか出来ない。 「逃げなきゃ!」 つかさが青鬼の変化を解いて、車へと走り出す。 Aは弓を絞って狙いをつけた。 「ゴメン…」 びゅっ…。 あ、と短いうめきをあげてつかさが倒れた。 その上にこなたの前足が覆いかぶさる。 ぐちゅん…。 こうして大和の一角、毛野大神は死んだ。 同時に、宇都宮で巨大な地震が発生し、毛野の地はこの世から完全に 姿を消した。 635 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 17:18:44.67 ID:2TXdUfVW0 その頃、首相官邸では、小泉首相とみwikiの会談が行われていた。 「天照大神さまにおかれては、奈良の三輪山にて大鰐に変化されて、  諏訪の野蛮人どもを殺されてはいかがでしょう?」 「その必要はありません。」 みwikiははっきりと言い切った。 「太陽の女神である私が、人間の神である狩猟神にかなわないとでも?」 「滅相もございません…」 小泉は黙った。 「さすれば、この都内皇居にて諏訪どもを迎撃しようぞ  …この地は、目黒、目白、目赤、目黄…目青に囲まれた良い結界じゃ  魔力は十分に供給できる」 636 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 17:18:54.60 ID:2TXdUfVW0 政務官が入ってくる。 「大変です!!宇都宮で大地震が起こり…死者推定60万人です!」 「なんと…」 小泉が絶句した。 「大丈夫です。首相殿。大方毛野大神が死んだのでしょう。」 「しかし…」 「うろたえなくても大丈夫です。東京は私が守ります。」 みwikiは首相を下がらせた。 誰もいなくなってから一人泣く。 「つかささん、かがみさん、…浮世の定めとは言え、友達が死ぬのは  辛い事ですね…」 652 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 17:27:28.69 ID:2TXdUfVW0 「かがみん、つかさ、気がついた?」 諏訪大社下社でかがみとつかさは気がついた。 「あれ…?私たち、死んだんじゃ…?」 「そんなわけないじゃん?  毛野大神の憑き物を払っただけだよ?」 「そ、そうなんだ…」 こなたが攻撃したのは、鬼の化身の方であって、かがみ本体は 気を失っていただけだった。 「そ、それで私たちをどうするつもりよっ…!」 「ん?諏訪の独立手伝ってよ?」 「へ?殺さないの?」 「そんなわけ無いじゃん。諏訪の独立が果たされたら、  私の憑き物も落ちるみたいだし…そしたら、みんなで日常に帰ろう?」 「こ、こなちゃん…!!」 「こなたぁあああ!」 Aは苦笑いしながらその様子を見守っていた。 この笑顔…壊してやりたい。 670 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 17:37:45.61 ID:2TXdUfVW0 「ふふ、また嗜虐心が湧いたみたいだね?A」 こなたがこちらを振り向く。 あの時のような、どうしょうもない恨みの念でなくさわやかな顔だ。 「そ、そんな…滅相もない…」 「いいよムリしなくて…居場所が欲しかったんでしょ?」 「ど、どういう…ことですか?」 「私の笑顔を見て、それを壊してやりたいなんて…  破壊することでしか、人の間に参加出来ないなんて本当に思ってるの?」 「そ、それは…」 672 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 17:38:04.38 ID:2TXdUfVW0 「あのね?私は狩猟神になったけど、その時気づいたのは、  狩猟って結局人間の本質をついてると思うんだ?」 「本質?」 「そう、大熊なんてどうやっても一人じゃ倒せない。  だけど力をあわせれば、倒すことが出来る。  言葉といい、表情といい、  人間は力をあわせることに特化した生き物なんだって本質。」 「そうなんですか?」 「だから参加したいってAの欲求は自然なものだと思うよ?  私の指切ったり方法が間違ってると思うけどさ・・」 「だから・・・」 諏訪に来てこんなに落ち着いたのは・・・ 自分の居場所があったからなんだ。 戻ってきたからなんだ。参加できる場所に。 「そしてね、A?こういう方法でも参加できるんだよ?」 「あっ…」 673 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 17:38:14.39 ID:2TXdUfVW0 こなたが、Aの手を握った。 これこそ求めていたぬくもりだった。 求めていたのは、血の暖かさなんかじゃなく、 こういう手のぬくもり…。 「こなたさま…」 「ん?」 「ごめんなさい…諏訪をよろしくお願いします。」 Aは下社を走って出て行った。 警察に…出頭しよう…。それが決断だった。 688 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 17:46:05.13 ID:2TXdUfVW0 車で都内に戻る。 インターを降りると、都内は大混乱に陥っていた。 今や、日本分裂は全世界を駆け巡るニュースになっていた。 出雲大神は中華人民共和国軍精兵、八路部隊との戦いで戦士。 吉備の大神が復活した富士山の神、此花咲夜と交戦中。 都内主要幹線道路は封鎖。北海道では、アイヌ民族が大蜂起していた。 幸手に戻ると、そこでも大混乱が起こっていた。 商店街は破壊され、宇都宮を含む北関東からの流民が、暴虐の限りを尽くしていた。 幸手署に行く。 署内には誰もいない。 690 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 17:46:19.18 ID:2TXdUfVW0 Aは叫ぶ。 「少女を虐待し、病院を全滅させた悪人がここにいますよ〜!!」 混乱、騒音で誰にも聞こえない。 「悪人がここにいますよ〜!!」 「悪いか!!」 頭を剃った暴走族風の男が、血まみれの車輪をこちらに向けてきた。 「悪人は俺です…」 Aは答えた。 「うるせぇ!!」 ちっ、警察につかまるまでここで死ぬわけには行かない。 「…諏訪の神は蛙の力…」 Aは石に魔力を込めた。 698 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 17:52:08.30 ID:2TXdUfVW0 ミシャグジブラストで何人か暴走族を殺した。 「誰か俺を逮捕してくださぁああい!!」 大混乱の中、Aは力の限り叫んだ。 答える声は阿鼻叫喚。 ふと、一人の女の子が手に持った槍で当たり構わず人間を突き刺していた。 「大和は皆死ねっ!!」 物凄い勢いで人ごみを文字通りのゴミに変えていく。 699 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 17:52:20.89 ID:2TXdUfVW0 「お前もだってヴァ!!」 槍を突き出し、Aに向ける。 Aはとっさに小石を拾ってミシャグジブラストを浴びせる。 頭を貫通するはずだった。 …が、死んでない。 「いってえな、おい、殺すぞってヴァ!!」 神奈川県、湘南寒川の神、寒川大神がその獰猛な槍を振るう。 704 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 17:58:24.13 ID:2TXdUfVW0 その頃、こなたは巧みな外交によって、 中華人民共和国を出雲に上陸させることに成功した。 こなたの狙いはとりあえずは長野のみである。 他は知ったことではない。 強敵出雲大神が、空港にふさがれたせいで宍道湖の魔力を活用できず、 イージス艦に撃たれ死んだことを聞いて、こなたはほくそえんだ。 今こそ、諏訪独立の時。 幸い、寒川大神には連絡をつけており、神奈川から軍に入ったと聞いた。 みwikiは中国を押さえるため、飛行機で三輪山へ向かったとのことだ。 主神変化を狙っているのだろう。 みwikiがいなくなった今、こなたは軍を率いて都内に攻め入ることに決めた。 十二神将もそろい、諏訪の山を降りる。 「進め!!今こそ大和を滅ぼすのだ!!」 軍の志気は高い。 Aは図らずも独立の先方になっていた。 708 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 18:04:13.69 ID:2TXdUfVW0 Aは死んだ警官から奪った銃で戦っていた。 狙いをつけて、放つものなら何でも能力を生かせるらしい。 そのうち、撃つのが面倒くさくなって、銃弾をそのままほおリ投げる。 空中で銃弾が発火しありえない方向から、寒川大神を狙った。 「面倒くさい!この!!」 大神は槍をふるい、銃弾を叩き落す。 709 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 18:04:24.19 ID:2TXdUfVW0 「死ねってヴァ!!」 ぶん、と槍の連激がAを襲う。 それを身を翻して交わし…「ミジャグジブラスト!!」 必殺の一撃をあびせる。 「おかしいってヴァ…槍の神の…寒川大神の槍をかわすなんて…」 Aは自らのうちから熱い力が湧くのを感じた。 俺の本質は…狩猟ではないのではないか? ためしに棒を握って、大神と対峙する…。 「ちょ!調子に乗るな!ってヴァ!!!  弓兵もどきが!!!」 そして、大神の槍をはじいた…。 「何者だお前…」 怪訝な目でみさおは、Aを見つめた。 714 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 18:08:35.11 ID:2TXdUfVW0 茨城県には、フツヌシと言う神がいる。 鹿嶋神宮の神である。 大神ではない。…天照大神に従う最強の武神。 近畿から、諏訪を征服し、関東を平定した張本人。 寒川大神はぞっとした。 この魔力…どこかで感じたことがある。 「お、お前…フツヌシか?」 「わ、わからない…」 Aは戸惑いながら答える。 槍の神の槍を叩き落すなんて、常人には不可能だ。 だが、この世で唯一可能な神がいる。それが武の神フツヌシ。 「いくぞっ!!!」 「く、くそ!!折角復活したのに!  死んでたまるかってヴァ!!」 必殺の一撃がみさおを襲う。 717 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 18:13:37.14 ID:2TXdUfVW0 こなたは驚いていた。 諏訪から降りて、都内に進軍してみれば、すでにみさおは死んでいた。 大混乱だが、政庁も抑えられていない。 近畿では大鰐になったみwikiが中国の八路軍を消滅させたと聞いた。 このままでは負ける…。 「A!!」 こなたは声を上げた。 Aが棒切れを持って立っている。 「今こそ諏訪独立の時だよ!力を貸してよ!!」 Aは黙って首を振った。 「こなた様、すみません…」 「?」 こなたは首をかしげる。 「私も貴方と同じように定めに目覚めてしまった身…。」 「どういう…」 「大和に徒なす逆賊、諏訪大神、泉こなた。  俺はっ…君を…虐待するっ…!!」 721 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 18:17:37.28 ID:2TXdUfVW0 「かがみん、つかさどいて…」 こなたが弓を出す。 これは古代の戦いの焼き直しだ。 フツヌシに征服された諏訪は、こうして長野となって日本の一部になった。 その張本人ともう一度、戦えるのだ。 むしろこれは僥倖。 「1000年の恨みはらさでおくべきかぁああ!!!」 「うぉおおおお!!!!!」 初激。 こなたの矢がAを貫く。 が、それでもAは倒れない。 フツヌシは鉄剣の神。体は鉄で出来ている。 棒切れをAが振り回す。 風がおこって草を薙いだ。 こなたの腕が吹っ飛ぶ。 「あっ!!!」 これで弓が握れなくなった。 723 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 18:21:48.98 ID:2TXdUfVW0 「い、痛い…」 それでも構わずAはこなたを蹴りつける。 十二神将がこなたを助けに向かってくる。 「うるさいっ!!」 Aの一撃で十二人仲良く昇天した。 「A、おかしいよ!!思い出してよ!!」 Aはそれでもこなたを蹴り続ける。 「何であいつ剣を使わないの!?どういうこと!?」 「お姉ちゃん!」 かがみが大声を上げる。 つかさは答えて言う。 「使わないんじゃなくて、使えないんだよ!  Aの体は諏訪の魔力で一杯だから!!」 こなたは残った片腕でAの足をつかむ。 「A…改心したんでしょ…ねぇ…」 「うぅ…」 Aは思わず、その場にうずくまった。 729 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 18:27:11.90 ID:2TXdUfVW0 「運命に逆らいなよ!A!!」 こなたが叫ぶ。 「運命に逆らって自分を手に入れるんだよ!!」 Aはうずくまったままその声を聞いていた。 結局、今までひよっていただけなのだ。 ・・・どうしてあの子に告白しないの?    あの子じゃ俺を相手にしてくれない。 ・・・どうして就職しないの?    もう十分面接したよ、どこも受からない。 ・・・どうしてコスプレ喫茶に通うの?    お金を払えば受け入れてくれるから。 中途半端にひよって自分でつかまなかった。 そして最後は運命にひよって、こなたに刃を向けて… なんで俺は変えようと思わないんだろう、自分を。 「フツヌシを追い出すんだ!A!」 「うぉおおおおおおおおお!!!!」 叫んで憑き物が落ちたようにAは倒れた。 関東の牙城は陥落。 こなたたちが政庁入りするのも時間の問題だった。 737 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 18:32:26.33 ID:2TXdUfVW0 京都御所で、小泉首相は放送を聞いていた。 諏訪独立がネットで、放送で、全てのメディアで流れていた。 「どうしましょう?」 小泉がため息をつく。 「福田君は、戦後最低の首相として名を刻まれることになるだろうな…」 小泉が福田をちらりと見る。 「私は構いません。こういう役目だと心得ております」 しばしの沈黙の後、小泉が口を開いた。 「諏訪独立を認める。  領域は群馬西部と長野北部。  なるべく経済に影響が出ないように、領域の確定をはかれ。  他の領域国家の独立は認めない。  ・・・諏訪がいなくなれば、他は何とかなるだろう…。」 741 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 18:37:40.10 ID:2TXdUfVW0 この事件は、歴史の教科書に載る大きな出来事だった。 先進国、それも日本で、新たな領域国家が独立したのだ。 この事件は世界各地に勇気を与え、「第二のフランス革命」とまで言われた。 〜年表でまとめよう〜 ・2008年 諏訪独立 ・2009年 チベット、東トルキスタン独立 ・2010年 中国、7つの領域国家として分裂。 ・2012年 フランス植民地を解放 ・2015年 アフリカ、民族による国境を再画定。 ・2020年 ラテンアメリカ、先住民の土地を保障。 ・2025年 マヤ、アステカ独立。 この事件をきっかけに、世界は大きく変わることとなった。 世界が小ブロック化していくことで、後の世界政府成立に大きな影響を与えることになるのだが、 それはまた別のお話である。 …その頃Aは…。 751 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 18:43:22.62 ID:2TXdUfVW0 「Aさん、お帰りなさい」 Aは、諏訪国大使として都内に住んでいた。 …本当なら今頃刑務所にいるはずの身分である。 戦後出頭したが「他国大使を逮捕することは外交問題だ」と言われ仕方無しに職務に戻った。 都内は壊滅したが、戦後のように皆の力で復興が始まっている。 Aは自分の好きだった秋葉原の復興に全財産を投じていた。 もともと死ぬ身分だったのだ。 一日に僅かの食事と必要最低限の衣服を着て、外交と秋葉原復興にいそしんでいる。 万世橋を作り直し、飲食店街も拡充した。 巨万の富を投じて早期に復興した秋葉原は、新山手線の駅にもなり、 過去の新宿のようなポジションに落ち着くことになる。 760 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 18:51:22.13 ID:2TXdUfVW0 諏訪では大神泉こなたを中心に、産業の復興が図られていた。 税率を安くし、企業を誘致する。 宗教国家であるという点は、賄賂を取らない、卑劣なだまし討ちをしない、と言う点で 企業を安心させ、沢山の企業が工場を建てた。 諏訪大社も本来の姿をとりもどし、政庁として機能している。 関東の近くに、別国家がある事は産業を刺激し、いい意味での競争を生む。 こうして諏訪と日本は互いに刺激しあい、戦前停滞気味だった経済にも 新たな風が吹くこととなった。 〜諏訪国人事表〜 ・大神 TheGrandMaster 泉こなた ・内宮 柊つかさ ・外宮 柊かがみ ・各大臣 新十二神将   :   : ・日本国大使 A 766 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 18:59:34.94 ID:2TXdUfVW0 時は流れ、2040年…。 日本は復興し、経済で世界を席巻している。 それに伴い、今や諏訪は世界に名だたる一流国家であった。 国連での議席も確保し、各国は、諏訪と日本は双子国家である… そんな認識であった。 Aも老いた。今や80歳近い。 こなたは歳をとらなかった。 大神とはやはり神であるらしい。 こなたの存在で世界中の神学が勢いを取り戻しつつある。 神学部は大学での偏差値も上位とされ、一時期オカルトとまで言われていた ことがまるで嘘のようだ。 767 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 18:59:48.05 ID:2TXdUfVW0 秋葉原で一番高いビルUDKで、Aは外を見下ろす。 日本で一番繁栄している街の姿がそこにあった。 思えばAの反省は、この好きだった街を復興することに費やされた。 「・・・ははは、追い出されたこともあったけ、のう?」 昔を思い出しては苦笑いする。 Aの話は今や、世界各国で翻訳され出版しているのだ。 Aはこの街で静かにその生涯を終えるつもりであった。 同時期、国連総会。 「小ブロック化した地域同士で紛争が絶えません」 「国連にもっと力をもたせるというのは?」 話題は、国連の強化である。 ここ2年ほど前から出てきた議論である。 マヤ・アステカ紛争に始まり、世界中で国境の紛争が起こっていた。 これなら昔の方が良かった、と嘆く人々が増えていた。 771 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 19:04:16.22 ID:2TXdUfVW0 大神こなたに密書を託された新十二神将、蕎麦屋の息子は、 この日の国連での発言を練りに練っていた。 今や世界が採る選択肢は二つに一つしかない。 小ブロックを無理やり統合し、大ブロック制の世界を作るか? それとも初の試み、世界政府か? こなたの密書には、諏訪がとるべき道は日本との再統合ではなく、 独立権力を維持したままの世界政府参加である。 せっかく手に入れた独立だ。大ブロック制をとられればまたくっついて 元の木阿弥である。 だが、世界を説得する論拠に欠ける。 …苦戦を見たこなたは、国連にAを派遣した。 774 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 19:07:29.07 ID:2TXdUfVW0 ニューヨーク… 東アメリカ国のこの首都で、Aは老齢を押しながら、国連に向かう。 東アメリカ国もアメリカ連合国との紛争が絶えないらしい。 これがこの世に残す最後の仕事。 Aは、国連のスピーチ壇上に上がった。 みながAを知っている。 今やAは教科書に載る歴史上の人物である。 Aの登場に国連では拍手喝さいが湧いた。 778 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 19:11:18.62 ID:2TXdUfVW0 「皆さん、諏訪国は当時…日本の一部でした」 Aの口から語られる諏訪の歴史は重かった。 ――如何にして独立を勝ち取ったのか。 ――なぜ独立せねばならなかったのか…。 一つ一つの疑問を、老人は重い口調で丁寧に説明した。 「・・・好き好んで争う人間はいません。  ですが、誰もが、自分の居場所を求めて今日の社会になりました。  それを過去に戻すなんてこと、すべきではないのです。  未来を見つめ、等権力、世界政府制を採用すべきではないのでしょうか?」 議会は拍手喝さいで終わった。 Aは諏訪のために出来ることを果たした、と満足して壇上を降りた。 782 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 19:16:19.96 ID:2TXdUfVW0 世界政府に向けて、各国の利害調整が始まった。 特に問題は無かった。もう限界が来ていたのだ。 往年のローマ共和国のように、幾つかの紛争を経て世界政府成立形態が決定した。 誰が初代首長になるか、それは議論の余地が無かった。 ある日、秋葉原のUDKに住むAのもとに一通の手紙が届けられた。 何十人もの使者を伴って、手紙は手渡しされた。 送り主は国連事務総長だった。 各国首脳がサインしている世界政府首長への信任状だった。 Aは悩んだ挙句、受けることにした。 愛した街秋葉原を今生の別れをし、飛行機でニューヨークへ飛ぶ。 787 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 19:19:44.63 ID:2TXdUfVW0 暫定政庁は、国連本部ビルと決められた。 国連入りする前日、祝賀会の途中で外の空気を吸いに出たAは浮かない顔をしている男とであった。 昔のAがそこにいた。 「カバンに何を持ってるんだ?」 直感的にAは尋ねる。 「…ご、ごめんなさい…」 男はナイフや包丁、そして硫化水素セットを持っていた。 Aと一緒であった。 「やめたほうがいいぞ?」 790 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 19:24:27.11 ID:2TXdUfVW0 「は、はい…」 「自分で苦労して求めないと手に入らないものもある。  それに気がついたのは、40歳になってからだけどな…」 「・・・」 「そんな方法使うなよ?  周りに参加するにはもっといい方法があるんだ」 Aはポケットから何か取り出すふりをした。 「何を取り出したかわかるか?」 「・・・?」 「信頼だよ?  俺たちはこの目に見えないものを取り出す努力を怠っていたんだな…」 「・・・なるほど・・」 老齢のAが最後に話した言葉であった。 797 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 19:30:42.04 ID:2TXdUfVW0 Aは死んだ。 Aが死んでも世界は周っていく。 首長を出すチャンスを諏訪は逃した。 それだけの事で、世界の流れは止まらない。 やがて、新しい首長が選出され…流れていく方向に世界は流れるだろう。 今日もこなたは内宮でため息をつく。 「A…やりたいことやって死んじゃって…」 「最初は貴方のこと恨んでた。でも、その内そんなことどうでも良くなった」 「A…好きだったのに、すぐに死んじゃって…」 こなたが涙する。 「これから幾千年の時を一人で過ごさなきゃならないなんて…  これはまるで虐待だよ…」 世界が周っていっても、諏訪の時は止まっている。 これまでと同じように、これからも諏訪大社は悠久の時の流れの中 あり続けるのだろう。 〜FIN〜 800 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 19:31:17.24 ID:2TXdUfVW0 みんなで諏訪に行こう! 〜諏訪大社御鎮座地〜 上社 本宮 〒392-0015 長野県諏訪市中洲宮山1 TEL:0266-52-1919 前宮 〒391-0013 長野県茅野市宮川2030 TEL:0266-72-1606 下社 春宮 〒393-0092 長野県諏訪郡下諏訪町大門193 TEL:0266-27-8316 秋宮 〒393-0052 長野県諏訪郡下諏訪町上久保5828 TEL:0266-27-8035 818 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/04(日) 19:40:00.42 ID:2TXdUfVW0 読んでくれてありがとうございます。 〜思考の流れ〜 最初虐待しようと思ったんだけど、指2本ほど切った所で可愛そうになった。  ↓ 実は今日諏訪大社に行く予定だったから、適当に諏訪を出した。  ↓ 昨日見たアニメを色々合成したら、カオスな話になった。  ↓ どうせここまできたなら絶対予想できない話を作ろう、膨張路線に変更。  ↓ パワーインフレさせまくって、世界政府で了。 こんな感じです。 みんなは俺の嫁。 では〜ノシ