長門「……叩いて」 869 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/02(金) 00:49:40.86 ID:CxXELmjH0 黒く曇った星空に、星がまばらに輝いていた。おぼろ月は、雲に隠れて、黄色い光だけを外に露出していた。 ピカピカの窓ガラスは、覗き込む少女の顔を綺麗に映し出していた。少女の顔は、怯えていた。 「夜のおしおき」 機械音に感じられる程に無機質な声が響き渡る。その声が、さらに少女の顔を恐怖に染めさせた。 少女は、その長い黒髪を手で乱暴に掻き上げる。 「冗談よね、有希」 真剣みのある声だった。有希と呼ばれた、ショートカットの少女の手には、蛇の皮のようにゴツゴツとした鞭が握られていた。 ショートカットの少女は鞭を地面に振り下ろす。まるで象でも操るかのような、破裂音のような大きな音が部屋に響き渡る。 その音を聞いた窓の側の少女は、ビクリと体を震わせた。 少女は、懇願するかのような怯えた瞳を、無言でショートカットの少女に向ける。 「正座」 ショートカットの少女は、これ以上無いというほどのドスの利いた声で、窓の側の少女に吐き捨てた。 871 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/02(金) 00:51:27.91 ID:CxXELmjH0 >>869 「本気、あなたは私に逆らえない」 窓の側の少女のスカートが、床に少しずつ近づいていく。 ショートカットの少女が、長髪の少女に無機質な目線を向けていた。その目線が下に向くと同時に、目線を向けられた少女の膝がゆっくりと地面に近づく。 最初慌てたふうだった少女の顔は、紅潮し、だんだんと悲痛の色をおび始めていた。 「怯えるのは、ここから」 ショートカットの少女は、その小柄な体を少しずつ窓際に進ませて行く。 軽やかな足音が、今はどうも恨めしい。 「でも大丈夫、あなたが私のコピーなら、すぐに気持ちよくなる」 正座をした少女は、いよいよ泣きそうになっていた。 874 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/02(金) 00:52:50.17 ID:CxXELmjH0 >>871 少女は、ゆっくりと長髪の少女を見下ろした。 一瞥すると、蛇の皮を空中に勢いよく振り上げる。 「ややや、やめて、ねっ……イタぁッ!!」 蛇の皮が、長髪の少女の肩に勢いよく当てられる。バチンという高い音と共に、鞭は一度空中を跳ね、地面につき大きな音を鳴らした。 当てられたセーラー服は、肩の部分だけ破れ、破れた部分から、黄色というよりも赤色の肌が露出していた。 そしてもう一度、蛇の皮が空中を舞った。黒い形が、独特の放物線を描いて、もう一度肩へ。 蛇の皮は、肩に当たると、跳ねてそのままの勢いで鼻頭へと直撃した。血が、鼻から少女のスカートの上へ。体中から噴出す汗が、少女の胸部のブラジャーを、白いセーラー服に透けさせていた。 「や……やめて……お願い……有希……」 長髪の少女は、涙の混じった声で、目の前の少女に懇願した。 無機質な表情を浮かべたショートカットの少女は、少し動きを止め、もう一度鞭を振り上げる。 「駄目、今やめたら、勿体無い」 行儀良く膝の上に置かれた手に、もう一度蛇の皮が打ち下ろされた。 883 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/02(金) 00:57:59.76 ID:CxXELmjH0 >>874 「ううッ!!」 少女の涙を帯びた声が部屋に響いた。流れ続けていた鼻血が、更に勢いよくスカートを赤く濡らす。 少女は、手をがっちりと膝の上に置いたまま、疲労した吐息を漏らした。 「これで…終わり?」 長髪の少女は、見下ろすショートカットの少女を見つめる。 「終わり。暴漢に襲われた時のデモンストレーション」 「やられるだけじゃデモンストレーションになってないけどね!」 鼻頭と、汚されたスカートが、みるみる元の色をおびて行った。 少女の手の甲につけられた傷と、染色されたかのような肩と、破れたセーラー服も、段々と元の形に戻っていった。 終わり