朝倉「長門さんあなたもしかして……」 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 03:28:56.10 ID:wxROhdcx0 朝倉「ねえ、長門さん。私、思ったんだけどあなたもしかして箸、使えないの」 長門「…………そんな筈ない。気のせい」 朝倉「そうよね。気のせいよね」 長門「そう」 朝倉「ところで今日パパ達からお米が大量に送られてきたんだけど、明日から朝のパン食をやめてもいい?」 長門「駄目」 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 03:31:29.73 ID:wxROhdcx0 朝倉「どうして?」 長門「パンは焼けば食べられる。米は時間がかかる。朝の時間は貴重。有効に使うべき」 朝倉「でもほら、パパ達にも悪いし」 長門「私は気にしない。パ……情報統合思念体には美味しかったといっておけばいい」 朝倉「ところで、何で長門さんは私の鍋料理を全部スプーンで食べるているのかしら?」 長門「…………なんとなく」 朝倉「まあ、たくさん食べてくれるから私は嬉しいんだけどね」 長門「そう」 朝倉「そうそう今日ね、魚料理の本を買ってきたんだけど、この中で明日何食べたい?」 朝倉「作られて数日はカレーとかシチューとか割と簡単な料理ばかりだったけどお魚にも挑戦してみようかなと思って。まあ初めてだし焼き魚とかいいかなと思うんだけど」 長門「……むやみに魚を殺すのは良くない」 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 03:35:32.21 ID:wxROhdcx0 朝倉「むやみにじゃないわ。有機生命体にとって食事は必要な行為だし、その鍋のスープのダシは魚からとってるしね」 長門「魚を食べて骨が喉に刺さるかもしれない。危険が伴う食事は推奨できない。     食事は会話を楽しむべき。私の喉に骨が刺さるとあなたと会話できなくなる。     対有機生命体とのコミュニケーションに備え会話の練習をしておくべき」 朝倉「鮭とかなら骨も大きいし、すぐに見つけられるでしょ。    それにあなたは監視モードの時は無口キャラになるように言われてるでしょ? まああなたはそのままでも無口だけど」 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/27(日) 03:38:08.19 ID:wxROhdcx0 長門「……明日の夕食にはあなたのカレーが食べたい。この前のはおいしかったから」 朝倉「え、そう? うれしいな。じゃあやっぱり今日はカレーにしようかな」 長門「それがいい」 朝倉「明日の昼食に魚を回すことにするわ」 長門「…………それは駄目」 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 03:39:41.40 ID:wxROhdcx0 朝倉「あら、どうして」 長門「明日の昼は用事がある。だから私の分の昼食は必要ない」 朝倉「そう? じゃあ明日は私も明日は外出しようかな。待機モードだからって部屋に籠もってたら、ひきこもりになっちゃうし」 長門「それがいい」 朝倉「ちょっと遠くのデパートまで行ってくるね。食材の買いだめとかしたいし」 長門「買い……だめ?」 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 03:41:10.72 ID:wxROhdcx0 朝倉「うん、もう三日分くらい献立決めちゃったし」 長門「何?」 朝倉「明日がカレーでしょ。明後日はうどんにしようかな。     カレーも余るだろうし、カレーうどんとかいいかも。あ、そういえばうどんも初めてだなぁ。     あとは有り合わせで野菜炒めとかそのへんかな」 長門「うどんは……困る」 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/27(日) 03:44:13.63 ID:wxROhdcx0 朝倉「もう一度聞くけど長門さん、箸使えないの?」 長門「……使える。でも、うどんは駄目」 朝倉「まあうどんが嫌ならそれはそれでいいけど、もうすぐ年も明けるし、    年越しそばも送られてくるって。うん、それを考えると麺類は避けたほうがいいのかも」 長門「年越しそば?」 朝倉「うん。私たち造られてからまだ数日しかたってないから、一応待機モード一年目は日本に住む有機生命体の習慣くらい実践して報告しろってパパ達が。    もう配達を頼んでおいたって。割と有名なとこに頼んだみたいよ」 長門「……」 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/27(日) 03:48:04.86 ID:wxROhdcx0 朝倉「あーあ。どうせならクリスマスの前に造って欲しかったなぁ。     素敵じゃない? サンタクロースなんて。有年齢から言えば全然子どもだしね。私たち。     プレゼントだってもらえるわ」 長門「まだ0歳だから子どもとは呼べない」 朝倉「まあ確かにね。でも見た目は中学生くらいなのよねぇ。     このくらいの年代の有機生命体はどんな事してるのかしらね。     友達とか作ったりしてるのかな。私たちには関係ないけど」 長門「さみしい?」 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/27(日) 03:52:00.75 ID:wxROhdcx0 朝倉「んー。よくわからない……かな。有機生命体の概念だし。どうなんだろう?    どちらかといえば退屈かな。待機なんて。とりあえず料理は楽しい……かな。体のわりにたくさん食べる人もいるし」 長門「私?」 朝倉「どうかな。ところで長門さんは何か趣味とか見つけられた?」 長門「特にない。しかし、パ……情報統合思念体には文芸部に入るよう指示をされているから本を読むことにしようと思う」 朝倉「パパって呼べばいいじゃない」 長門「駄目」 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/27(日) 03:56:14.24 ID:wxROhdcx0 朝倉「それで、まだ本は読んでないの?」 長門「まだ」 朝倉「なんで?」 長門「本が沢山ありすぎてどんな本から詠めばいいのかがわからない。困っている」 朝倉「料理の本でよければ貸すけど?」 長門「いい。自分で探してみる」 朝倉「そう? 探すのも読書のうちなんじゃない? いい暇つぶしになるといいわね」 長門「いい」 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/27(日) 03:58:04.16 ID:wxROhdcx0 朝倉「それで、話は変わるんだけどパパ達からデジカメで写真を撮れって言われてるのよね」 長門「写真?」 朝倉「そう。ちゃんと有機生命体の習慣を実践してるかチェックするからって。     本当は娘の顔見たいだけなんだろうけどね。あと私たちが仲良くやれてるか心配なんじゃない?」 長門「心配?」 朝倉「なんだかんだで私たち派閥は違うしね」 長門「私はあなたと争うつもりは無い」 朝倉「私だって無いわ。一人で待機なんてやってられないしね」 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 04:01:53.34 ID:wxROhdcx0 朝倉「まあいいわ、年越しそばの前に一枚撮ってみよっ」 カメラを構える朝倉に対し、カメラを不思議そうに見つめ顔を近づけていく長門。 ウィーン。カメラの中央部のレンズが伸び、長門の顔にレンズが直撃する。 長門「――!」 朝倉「長門さん。大丈夫?」 長門「レンズがはえてくるとは予測していなかった」 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 04:07:08.42 ID:wxROhdcx0 朝倉「予測ってカメラについての情報はあなたも持ってるでしょ」 長門「カメラという物一般的な使用法は理解していた。写真を撮るものだと。     しかし、実物がレンズを伸ばしてから撮る物だとは知らなかった」 朝倉「やっぱり、百聞は一見にしかずってことかしら。     私たちもすべてのことに対して、いちいち物体の属性を調べたり、変えたり、パパたちと同期しても仕方ないしね」 長門「そう。ところでひゃくぶんはいっけんにしかずって何?」 朝倉「100回何かを教わっても実際やってみないと分からないって意味。」 長門「習慣の実践にはそういう意味が――」 朝倉「違うと思うわ。多分ただの趣味ね……」 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/27(日) 04:10:10.02 ID:wxROhdcx0 朝倉「まあいいか。撮り合えず一枚撮ろ。長門さん私の隣ね」 長門「分かった」 朝倉「タイマーは十秒くらいかな」 タイマーをセットしコタツ机の上にデジカメを置く PiPiPi 朝倉「長門さん、ちょっとくらい笑ったら」 長門「笑っている」 PiPiPiPiPi 朝倉「年越しそばの時はソバ食べてるとこ撮ろうね」 長門「それは困――」 PiPiカシャ―― 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/27(日) 04:12:28.13 ID:wxROhdcx0 シャッターが下りる。 コタツ机の上のカメラを取る朝倉。 朝倉「あれ、長門さん。今何か言った」 長門「言っていない」 朝倉「そう? じゃあ、気のせいかな」 長門「そう」 さっき撮った写真を見る。 ……そっか。これが長門さんの困った顔か。 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/27(日) 04:17:28.14 ID:wxROhdcx0 この娘は何をそんなに恥ずかしがってるんだろう? できないなら情報統合思念体と同期するとか、属性を変えるとか色々できそうなのに。 あ、私? 私に対する劣等感? いや、私はバックアップなんだしそれは無いか。 箸なんて、日本でしか使われてないんだし、別に恥ずかしがる事でもないのに。 でもそれは私の考えだしなぁ。 朝倉「長門さん。明日からやっぱり箸の練習しよっか」 長門「……箸は使える」 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/27(日) 04:23:09.33 ID:wxROhdcx0 朝倉「あなたじゃなくて私。練習するのは」 長門「あなた?」 朝倉「そう。箸を持つとどうしてもXの形になっちゃうの。気付かなかった? さっき鍋食べてる時」 長門「あなたは自然に食べられていたように見えた」 朝倉「気のせいじゃない? 鍋の具は割と大きいものばかりだったし」 長門「……そう?」 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 04:28:52.62 ID:wxROhdcx0 朝倉「ということで明日の昼食は私に付き合って箸の練習!」 長門「私は用事が……」 朝倉「じゃあ、朝でも昼でも、夜でもいいから」 長門「分かった」 朝倉「じゃあ、今日は帰るわね。鍋はそのままでいいから。それとコタツでは寝ないように」 長門「私は風邪など引かないからコタツで寝ても問題な――」 朝倉「だーめ。ここの費用だって私たちじゃないインターフェースが働いて出してるんだから無駄使いは許しません」 長門「・・・・・・布団で寝る」 朝倉「じゃあね。バイバイ」 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/27(日) 04:36:44.71 ID:wxROhdcx0 次の日 朝倉「ということでいただきます」 長門「いただきます」 眼前にはカレー。右手に持つのはスプーンではなく箸。 長門「カレーはスプーンで食べればいいと思う」 朝倉「味は同じだから問題ないでしょ」 長門「ない」 朝倉「じゃあ食べましょうか」 とりあえず箸をXの形に握って食べてみる。 非常に食べにくい。 長門さんのほうを見るとグーの形で日本の箸を握り締め、ジャガイモに突き刺して食べている。 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/27(日) 04:42:11.23 ID:wxROhdcx0 物凄く不恰好だが妙に可愛らしい。 長門さんのこういうところは割と好きだ。 案外負けず嫌いなところと、意地っ張りなところが無表情と差があって可笑しい。 私はと言えば、Xの形にした箸で無理やりジャガイモを掴んでいる。 正直、頑張ればVの形にできなくも無いが実際のところ私もそこまで箸が使えるわけじゃない。 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/27(日) 04:48:05.75 ID:wxROhdcx0 ふと長門さんのほうを見ると……困っていた。 彼女の食べるスピードは無駄にスペックを使っていると言ってもいい。 彼女はすでに具を全部食べてしまっていた。 ご飯とルーをグーのまま食べられるはずが無い。 朝倉「……」 長門「……」 朝倉「……箸って難しいなぁ」 駄目だ。今かけるべき言葉が見つからない。 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/27(日) 04:52:59.44 ID:wxROhdcx0 スプーンを出すべきだろうか。 いや、それは色々とまずい。 計画倒れとか言うやつなんじゃないだろうか。 パパ達の力を借りればあっさり解決する問題なのに、そうも行かない。 だってそれじゃ意味がない。 朝倉「持ち方を変えてみたら? グーは突き刺すのにはいいけど挟むのにはむかないと思う」 長門「……やってみる」 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/27(日) 04:59:35.96 ID:wxROhdcx0 一時間がたった。 私たちの皿は何とか空になっていた。 まだ綺麗なVを描けないままだがXより多分進歩したと思う。 物凄く指が疲れた。 長門「有機生命体は凄いと思う」 朝倉「?」 長門「自分にできないことばかりの中でできる事を増やしていくのは他の生命体には出来無い事」 朝倉「そうね」 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/27(日) 05:09:07.22 ID:wxROhdcx0 朝倉「もしかして、パパ……いええ、情報統合思念体に能力使用禁止例とかでも出されてた?」 長門「強制はされていない。しかし、人間と関わるならしばらくは人間として生活してみたらどうか? とそれに順ずることを言われた」 朝倉「ふーん。パパ達がねぇ」 長門「そう」 朝倉「じゃあ、箸が上手になったら何を食べたい? 私頑張って作ってみる」 長門「何でもいい」 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/27(日) 05:21:03.49 ID:wxROhdcx0 朝倉「何でもいいはちょっとひどいよ」 長門「あなたが私のために作ってくれる物なら何でもいいと言いたかったのだがいけなかった?」 自分で物凄くハードルを上げてしまった気がしないでもない。 こんな事を素で言われてしまっては美味しいものを作るしかない。 朝倉「ちょっと困っちゃったかも」 長門「?」 朝倉「こっちの話」 長門「……そう」 朝倉「うん」 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/27(日) 05:34:05.84 ID:wxROhdcx0 「なあ俺はもう眠いんだが」 「あんたの眠気なんか知らないわ。  半端な量だけ書いてスレに書き始めるなんてバカなんじゃないの」 「ああそうだよ。ぶっちゃけて言えば、この作品1巻と4巻以外2週しか読んでないよ。」 「そりゃ私だって若い女の子だもん。たまには妄想を持て余して文章にする事くらいあるわ。  でもそれはチラシの裏だけでとどめておくものよ」 「正直に言えばこのあと、正月編。長門が髪を切る編。長門が目が悪くなる編とか色々考えてたんだ!長門は実はだてめがねじゃないんだよー的な!  でもな気付いたんだ! アレ? なんか朝倉の口調おかしくないか? 設定無理じゃね? ってな思いだしたら自己嫌悪だ」 「しかもすべての話をさわりだけ書いて書いてないんでしょ?」 「その通りだ!」 「このアホンダラケ。アンタ罰として今から書き溜めなさい。  で人知れず夜中にスレ立ててこもこも書きなさい。今日中よ今日中!!!!私語厳禁だからね!!!」