ハルヒ「キョン! ……頭撫でなさいよ……」 509 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/09(水) 21:19:20.51 ID:8NCDRQoBO 「…好きだ、ハルヒ。」 自室にこだまする虚しい独白。 「どうやらハルヒの事を好きらしい」と自覚した瞬間から、毎日続く告白の演習。 明日言おう、明日こそ言おうと悩み続けて早2ヶ月。 「度胸ねーんだなぁ俺……。」 時々、向こうから言ってくれないだろうか、などと期待してしまう自分がひどく情けない。 ―― 「…キョンの事、好きなの。」 壁に吸い込まれていくあたしの声。 無理だわ…キャラじゃない。 「私はこの人の事が好きなんだなぁ。」と、どこか他人事の用に感じたあの日。 放課後毎、週末毎に膨らんでいくこの感情。 本気で人を好きになる事を恋というのなら、これが初恋。 可愛い娘ばっかり集めたのは失敗だった。 有希もみくるちゃんも大好きだけど、少しだけ…ほんの少しだけ後悔してる。 ―― 511 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/09(水) 21:25:36.68 ID:8NCDRQoBO >>509 彼氏いたりは…しないよな。 放課後、週末とも団活に参加してんだから他とデートする暇なんざないだろう。 だが好きな奴くらいは…いるのか…? 古泉とゲームをしながらチラリとハルヒを伺う。 目を逸らされた…なんかしたか俺? ―― 普段の態度から考えてキョン脳内ランキングは 『みくるちゃん≧有希>あたし』 ってとこだろう。 お茶を上手に入れてくれる娘がいいの?家庭的っていうか。 ……胸、とか…? それならあたしだって少しは自信ある。 それとも物静かな娘がいいのかな。 こっちはあたしとは程遠い…涙が出る程に。 どうなのよ。 その問いを視線に込めた。 ら、こっち向いた。 びっくりして目を逸らしてしまう。 …急に見るな、バカ。 ―― 512 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/09(水) 21:30:13.74 ID:8NCDRQoBO 言おう。明日必ず言おう。 あいつは性格を考慮にいれても相当モテる。 どこぞの野郎にハルヒを持ってかれるのは……嫌だ。 ―― 明日はうるさくしないで、少し落ち着いて静かにしていよう。 家庭的にお弁当でも作っていってみよう。 そうすればキョンだってきっと。 …多分。……どうだろ…。 ―― 516 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/09(水) 21:38:30.34 ID:8NCDRQoBO >>512 昼 「キョン」「ハルヒ」 『ちょっと部室に来て「くれ」』 『…は?』 「…何よ、なんかアンタも用あるの?」 「…あぁ、お前もか。ちょうど良かった、行こうぜ。」 ―― 「…で、用って何?」 「…後生だ、先にお前の用事から済ませてくれ。」 「はぁ?何なのよそ……っ」 …忘れてた。落ち着いて。うるさくしない。 「…ん。」 「…弁当、か?俺に?」 「…結構、おいしいと思う…。」 520 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/09(水) 21:48:34.42 ID:8NCDRQoBO ――瞬間、抱きしめていた。 リハーサルしてた台詞や、返事への不安とかは全て吹き飛んだ。 照れながら弁当とか…汚ぇぞやり方が。 「――っ!?キ、キョン?なな、何を……」 「…俺、思ってた以上にお前の事好きみたいだ。」 「……へ…?…あたし…?みくるちゃんじゃなくて…?有希じゃなくてあたし…?」 「…お前抱きしめながらなんで朝比奈さんと長門に告白すんだよ。」 「…だってアンタ………え……?」 「…とにかく、好きだから…ハルヒが。」 「…ほん……とに…?」 「返事はまだいい!!」 「………は?」 523 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/09(水) 22:01:11.95 ID:8NCDRQoBO 「…今ので度胸メーターが底をついた。 返事は俺の精神が安定期に入ってからにしてくれ。…身がもたん。」 「…ぷっ……あはははっ!!何よそれ!!」 「…笑ってんじゃねぇよ…どれだけいろんなもん振り絞ったと思って…」 「私も好きよ。キョンの事。」 「そうだろ? ……………あ?」 「アンタの事、好き。」 「……マジでか。」 「えらくマジよ。」 「そいつぁー…良かった…。」 「でもあれよ。恋愛は惚れた方が負けなの。つまり先に告白したアンタの負けよ。いいわね?」 「…へいへい。…弁当食おうぜ、腹減ったよ。昨今の恋人らしく口移しで頼む。」 「はっ!?…ささ最近は…そー……なの…?」 「いや冗談。」 「バ、バカキョンーっ!!!」 おわり