ハルヒ「キョン! 大好きよ!」 157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/01(火) 16:33:15.85 ID:Uxc3/u7X0 教室のドアを開ける。 いつも騒がしい教室は、今日という日もあっていつも以上に騒がしい。 エイプリルフール。 そう。今日ばかりは嘘をついても許されるという、嘘なんて毎日溢れている世の中で非常にインパクトに欠ける記念日である。 「つまんないわね。」 どうやら我SOS団長も同じ考えらしく、開口一番そう言ってきた。 「まぁ、みんな何かしらお祭り騒ぎでもしたいんだろうよ。」 鞄を机の横に下げながら言う。 「あんな小さい嘘付いて何になるっていうのよ。」 「あんな?」 どうやらハルヒはエイプリルフールではなく、誰かがついた嘘に文句があるらしい。 「さっきね、廊下で女子が嘘をついてたの。でもね、その嘘がつまらないったら・・・」 「へぇ。どんな?」 「ただ、彼氏ができたって。・・・そんなのなんの得にもならないじゃない。」 「得って・・・別に得するために嘘をつくわけじゃなだろう。」 「・・・・そう。」 ・・・・会話が途切れる。 ・・・別に途切れてもかまわないのだが、ハルヒの不機嫌さのせいか妙に気まずい。 「・・・ま、まぁあれだな。好きな人の前でそんな嘘ついて反応を見るってのもありなんじゃないか?」 そうすれば相手の反応次第では得にもなるだろう。そして、今日はエイプリルフール。口実にはピッタリだ。 「ふぅん。」 ・・・・また沈黙。 俺は「これ以上は深追いだな。」と諦め前を向こうとしたその時である。 「キョン、あたし彼氏できたの。」 ・・・・今思えば明らかに嘘だとわかる嘘に、俺は引っかかってしまったのである。 続く。 159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/01(火) 16:47:27.33 ID:Uxc3/u7X0 「なっ!?マジかよ!?どこのどいつだ!!」 自分でも何故引っかかってしまったのかはわからない。 でも、そのときの自分はよほどあわてていたのだろう。 勢いよく振り返るとそこには目を点にして驚くハルヒがいた。 「・・・・・・・・。」 ・・・・しまった。そう思っても時は戻らず、ただ気まずい時間だけがすぎていく・・・・。 「・・・・・・・・嘘よ。」 あぁ。わかっているさ!!・・・・今となってはな・・・・。 「・・・・ふふ。」 「笑うなよ。」 顔が熱い。しぶしぶと前を向き、顔をうずめる。 「キョ〜ン♪」 「うるさい。黙れ。」 なぜこうも自分はこんな嘘に引っかかってしまったのか。 ・・・・・・くそ・・・忌々しい。 「・・・・・嘘よ。」 「二度も言うな。わかってる。」 「私がSOS団をほっぽって彼氏なんてつくるわけないじゃない。」 ・・・・もう答える気力もなく、俺は顔をうずめたままうなずく。 それからまた沈黙。そしてずいぶんとたった後に、 「でも・・・・・・・嘘もたまにはいいわね。」 ハルヒがつぶやいた。 「あとね、キョン。彼氏ってのは嘘だけど好きな人くらいならいるわよ。」 ハルヒが俺の背中に触れる。 「キョン、大好きよ。」 顔をあげてハルヒを見る。 「それも、嘘か?」 「・・・・・知らない。」 ハルヒは外を眺めながら、そう一言つぶやいた。 160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/01(火) 16:50:33.84 ID:Uxc3/u7X0 短く終わらせてすまん。 文字制限で削らせてもらった・・・・。 保守。 169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/01(火) 17:15:02.05 ID:Uxc3/u7X0 長門編。 「・・・・・・・・・。」 「・・・・・・・・・。」 沈黙。でも、不思議と気まずくはない。 そう、ここは文芸部室。そして俺以外この沈黙を作っているのが・・・ 「・・・・・・・・・(ペラッ」 長門である。 もう一年も一緒にいるからか、不思議とこの静かな空間を気まずいと思うことはもう無くなっていた。 いや、むしろ 「心地いいな。」 「・・・・・・・何が?」 長門が顔を上げて俺を見る。 「わりぃ。邪魔したか?」 「・・・・・・。」 僅かに首が横に振られる。 「いや、なんかさ毎日うるさい奴らに囲まれているとこういう長門といる空間ってなんか心地いいなぁと思うんだよ。」 「・・・・・そう。」 そうつぶやいて長門はまた読書に戻る。・・・・心地いい。 ・・・・・でもなんか物足りないな。 一年ずっと長門といるときはこんな感じである。 無表情でたたずむ有機性なんたらヒューマノイド。 今でこそ何を思っているかは少しではあるがわかるが、いかんせんリアクションが薄い。 ・・・・・・・どうなるんだろう? そう思ってしまった自分を誰が責めようか。好奇心とは恐ろしいものである。 「なぁ、長門。」 長門なら今日という日がどういう意味を持つかは知っているだろう。 「明日、二人で図書館行かないか?」 俺は人生で初めてといってもいい。大きな嘘をついた。 続く?保守代わりに。 175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/01(火) 17:34:09.24 ID:Uxc3/u7X0 それからハルヒの乱入で長門の返事は聞けなかった。 すぐに「今日は何の日でしょう?」と言うつもりがハルヒのせいで言えなかったが・・・ 「まぁ、問題ないだろう。」 「何がですか?」 将棋の駒を眺めていた古泉が俺の目を見て言う。 「・・・・なんでもない。それよりも目をジッと見つめるな気色悪い。」 「おや、ひどいですね。目を見て話すのはある種のマナーでもあるんですよ。」 そんなの知らん。いや、むしろマナーというよりタブーだ。 「や、やめてください〜」 「いいじゃないミクルちゃん!このレースクイーンのコスプレ、みくるちゃんなら絶対に似合うから!!」 「・・・・・・。(ペラッ」 いつもと変わらない風景。 そんな感じで今日の活動が終わろうとしていた。 俺はすっかりと長門についた嘘を忘れ、帰路についた。 夕飯を食べ終わってベットに入る。 最近ではそこで長門から借りた本を読むのが日課になっていた。 「・・・・・・。」 そして、本が一章を過ぎた辺り 「キョンく〜ん電話だよ!!」 妹が部屋に入ってきた。 178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/01(火) 17:40:08.47 ID:Uxc3/u7X0 電話の相手は長門だった。 「どうした長門?」 「・・・・・明日。」 ・・・・明日? 明日がどうかしたのか? 「・・・・・時間。」 ・・・・昼間のことなどすっかり忘れた俺がその事を思い出すのはそれから少したってからだった。 「あ、あぁ!明日な!!」 あっぶねぇ。ってか長門は本気にしてるのか? いやいや、これはもしかしたら長門の嘘かもしれない。 今日はエイプリルフール。いつだかの長門流のジョークと似たようなものではないか。 「そうだな・・・。駅前に10時でどうだ?」 ならばあえて引っかかってみせよう。こういうのもたまには悪くない。 「・・・・・わかった。」 そうそう。嘘ですって・・・・・・え? 「・・・・・・それじゃ。」 俺が何か言う間もなく、電話は途切れてしまった。 182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/01(火) 17:49:12.19 ID:Uxc3/u7X0 なんか見づらいから安価付ける。 あと、なぜか翌日は休日って話で。そこらへん気づかなかった・・・・。 >>169,175,178続き ・・・・・朝の9時。 集合時間の一時間前に起きた俺は早々に準備をし、自転車に乗って駅へと向かった。 「・・・・せっかくの代休がもったいない。」 いや、実際はそうは思っていない。 俺自身は別に長門のことが嫌いでもないし、せっかくの代休を家でゴロゴロしてるのもなんだか損しているような気もする。 だが、意気揚々と駅に向かうのは・・・・なんだか躊躇われるのでそんなセリフを口にしてしまうのだろう。 おまけに嘘のつもりで言った事で女子とデートすることになるなんてな。 ・・・集合時間よりも10分早く着いた俺だが、そこにはもうすで長門がいた。 「すまん、待ったか?」 「大丈夫。」 相変わらずの調子で長門は言う。 「んじゃ行こうか。」 俺は図書館へと歩き出した。 なぜかいつもと違い、私服姿の長門と並びながら・・・・ 189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/01(火) 18:03:13.38 ID:Uxc3/u7X0 >>182続き。 それからは前にいった時とかわらなかった。 長門は好きに本を読み、俺は少し気になった本を手にとり座る。 そしていつのまにか俺は眠りへとついていたのだった。 「・・・・・・・。(トントン」 なんだ・・・? 「・・・・・・・。(トントン」 薄い刺激で目を覚ます。 「・・・・・長門?」 起きると長門が俺の肩に手を当てていた。 「わるい。寝ちまったみたいだ。・・・・今何時だ?」 体を伸ばしながら聞く 「18時。」 「18・・・・・ってもう六時か!?」 ガバッと立ち上がる。 気づけば周りの人もいない。 「そんなに寝ちまったのか。・・・・ほっといてすまなかった長門・・・」 「大丈夫。」 ・・・・・しかしバツが悪いな。自分から誘っておいてほおっておくのはなんだか悪い気もする。 「・・・・お詫びといっちゃなんだが長門、これから飯でも食わないか?おごるよ。」 「・・・・・・・わかった。」 195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/04/01(火) 18:15:35.73 ID:Uxc3/u7X0 >>189続き それから俺たちはいつもSOS団が利用しているファーストフード店へと向かった。 図書館を出る途中、入り口付近の一番遠い席になぜか俺の隣にいたはずのおじさんがいたのだが、たぶんそこの方が目当ての本に近かったから移動したのだろう。 そして、俺と長門は注文を終え二回のテーブル席で食事することになった。 「・・・・・・・・・・。」 「・・・・・・・・・・。」 沈黙。・・・・・いつもならいいんだが〜周りがこういった場所では少し気まずくもある。 「いや〜しかしよく寝たなぁ。長門は本とか読んでて疲れないのか?] 「大丈夫。」 「今日はどれくらい読んだんだ?」 「今日は・・・・あまり読んでない。」 「そうなのか?調子でも悪いのか?」 「大丈夫。」 ・・・・・・続かない。というか長門は接続詞というものの存在を知らないのではないだろうか? ・・・・・・・・まぁ、いつもこんな感じだが・・・・。 「・・・・・しかし、びっくりしたな。」 会話が続かなく無理に話をしようとしたのがまずかったのか、 それともこの場の状況を理解してなかった自分が悪いのか、 「長門がまさか嘘にのってくるとは思わなかったな。」 ・・・・長門の、ものすごく悲しそうな顔を見るまで俺は地雷を踏んだことに気づかなかった。 201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/01(火) 18:23:34.35 ID:Uxc3/u7X0 >>195続き 「あ・・・・れ?」 なにか自分はひどい勘違いをしているのではないか? 長門の瞬間、そのひどい勘違いがようやくわかった。 「嘘?」 いつもと変わらないように見える顔で、たしかに長門は悲しんでいた。 動きを止め、俺の目を見つめてくる。 その目が言いようの無い悲しみを伝えてくる。 「・・・・・い、いや!!嘘というか 「・・・・・。」 無言で席を立つ長門。 「ながと?」 「・・・・・。」 そして、俺はなにもできないまま長門は帰ってしまった。 俺はというと情けなくただ長門の背中を見つめることしかできなかった。 208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/01(火) 18:35:34.03 ID:Uxc3/u7X0 >>201続き 帰り道は足が重かった。 あの後、長門の後を追いかけたのだが結局会えずに長門の家に着いてしまった。 ロビーで何度か長門の部屋の番号を押そうとしたが、自分にはそんな勇気はでずノコノコと帰宅したのだ。 「怒らせちまったか・・・」 いや、違う。怒らせたというよりも悲しませてしまったのだろう。 あの時の長門の目はただ悲しみだけを伝えていた。 思えば、長門は私服だった。そして、俺が寝ている間ずっと横にいてくれていたような気がする。 「最低だな。俺・・・・。」 自転車をこぐ気にもなれず押して歩く。 その日は目をつむるとあの時の長門の顔を思い出して、一睡もできなかった。 211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/01(火) 18:38:26.57 ID:Uxc3/u7X0 >>208 翌日も気分は相変わらずだった。 少し眠れたと思ったら夢に長門がでてきた。 ・・・・呪われたのかもしれん。 「まぁ・・・・文句は言えないなぁ。」 俺はいつもより早めに家を出た。 駅へと向けて。 あと少しだけど飯食ってくる。スマソ・・・・。 235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/01(火) 19:33:50.42 ID:Uxc3/u7X0 >>211続き 駅につき急いで用事を終えた俺は全力で自転車をこいだ。 向かった先は長門の家だった。 息を落ち着かせながら時計を見る。 ・・・・・大丈夫だ。 きっとこの時間ならまだ家にいるに違いない。 ・・・・・そうして1分ほどすると、長門が出てきた。 「長門。」 「・・・・・。」 一瞬、長門の目に拒絶の意思が見えた。 「・・・・大丈夫。」 そう言う顔も・・・どこか悲しそうだ。 「昨日は、ごめんな。」 俺はそう言いながらゆっくりと長門へと近づいた。 長門は顔を伏せ、それでも逃げないでいてくれた。 244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/01(火) 19:47:37.79 ID:Uxc3/u7X0 >>235続き 「長門・・・・」 そっと、腕を掴む。その瞬間、長門の腕が震える。 「きっかけは・・・嘘だったかもしれない。」 かもしれない・・・・というより嘘だった。 「でも、昨日俺は・・・・長門。お前といれて楽しかった。」 ・・・・あぁ。この気持ちは嘘じゃない。 「・・・・・・・。」 長門が恐る恐るといった感じで顔を上げる。 「・・・・嘘をついたことは謝る。」 「物でつろうなんてつもりじゃないけど・・・・受け取ってほしい。」 そういって、長門の手に薄い紙切れを渡す。 「もう少し凝ったモノがあったらよかったんだけどな。それくらいしか見つからなかったんだ。」 長門はずっとそれを見つめていた。 「・・・・・良かったら、また一緒にいこう。」 そして、もう一枚の紙切れを見せる。 「俺とお揃い。・・・・またおもしろい本教えてくれよ。」 顔をあげてジッと俺を見つめる長門。 古泉の言うマナーとやらにあわせて、俺もジッと長門の目を見つめることにした。 ・・・・とても長い時間だったかもしれない。とても短い時間だったのかもしれない。 長門は戸惑うように一瞬顔を伏せ、もう一度俺の目を見て笑ってくれた。 248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/01(火) 19:57:45.34 ID:Uxc3/u7X0 >>244続き その後はいつもと変わらなかった。 長門も俺も何も話さずに、長門は俺の少し後ろを歩き・・・・ そうして二人で学校へ行った。 途中で谷口や国木田、ハルヒ達に会わなかったのは運が良かった。 いや、考えすぎかもしれないが長門がそうしてくれたのかもしれん。 そして長門をクラスまで送り、俺は自分のクラスへ向かった。 「キョン!!聞いて!!あのね!!」 クラスではいつもと変わらないハルヒ。 「お茶入れますね。」 部活でもいつもと変わらない朝比奈さん。 そんな中で、 「・・・・・。(ペラッ」 ・・・・窓際でたたずむ少女。 彼女が見つめる本から少し顔をのぞかせる一枚の紙切れ。 「あれ?有希?これ買ったの?」 ハルヒが聞く。 「・・・・・・・・。」 わずかに首をふる少女。 「じゃあもらったの?かわいいわね。なんだか有希に似合ってる。」 「・・・・・・・。」 彼女はじっとそれを見つめ、 「・・・・・・うん。」 ・・・・・そう頷いた。             /end 249 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/01(火) 19:59:15.76 ID:Uxc3/u7X0 またしても文字制限が・・・・。 きりがいいところでまとめるとかなり省略せざるおえないし・・・。 何行消すんだよ・・・・。 まぁとりあえず>>1は早く帰ってきてくれ!!!!! 保守。