もしラピュタの主人公がキョンだったら 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 01:22:13.78 ID:X+x3BALf0 ハルヒ「可愛い子じゃない!ぜひSOS団へ入団して欲しいわ!いいでしょみんな?」 キョン「おいおい涼宮、初対面の方をこんな珍妙な部に入部させるのは」 ハルヒ「あんたに聞いてないわ!ねぇ、いいでしょ古泉くん!」 古泉「ええ、いい考えかと」 ハルヒ「決まりね!あなたは今日からSOS団の団員よ!えーと・・・シータさん?」 シータ「え、ええ・・・それはいいんだけど・・・」 長門「・・・」 ハルヒ「ん?どうしたの?なにかあるの?」 まぁ、そんなこんなで謎の女の子、シータは不名誉なことに、我らがSOS団の団員になってしまった なぜこんなことになってしまったかというと…それは約10時間前にさかのぼる 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 01:37:24.32 ID:X+x3BALf0 その時、暇だった俺は特に何の目的もなく散歩がてら近所のコンビニまで歩いていた 真夜中だったので、道には人通りはほとんどなく、車もあまり通らない。 だが、ここまで静かな夜は珍しかった。 そのとき俺は… キョン「ん?あの光は・・・?」 空からゆっくりと降りてくる青い光を見つけたのだ。 不思議に思い、その光の後を追った。 キョン「・・・ん?ひ、人か?」 青い光の真下まで行くと、どうやらその光の発光源が人であることがわかった だが、青い光を発する人間はいないし、第一人が空から降ってくることなど・・ そんなことを思いながら上を見上げていると、その人間らしきものは地面に吸い寄せられるようにゆっくりと降りてくる。 思わず手を差し出すと、まるで羽のように俺の手の上に舞い降り・・・ って重い!この人間、急に光が消えたかと思ったら、一気に本来の体重を取り戻したらしい。 見たところ女の子のようだが、直視できない。というか、こんなところを他人に見られたらどう思われるだろうか! すぐさま女の子を背中に背負うと、家へと急いだ。 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 01:45:23.46 ID:X+x3BALf0 親も妹も完全に寝に入っていたらしく、すんなりと女の子を部屋へ運び入れることができた。 あ、一応いっておくが、まったくやましい気持ちはない。ないぞ! 女の子は気を失っていて、まったく目を覚ましそうにない。 とりあえずベッドに寝かせるが、俺はここで重要なことに気づいた。 この先のことをまったく考えていなかったのだ。 あの状況でほうっておけるわけもなく、部屋まで連れてきて休ませたまではいいが ここから先、どうすればいいのだろう? 涼宮や長門、古泉に朝比奈さんという現実離れした人たちとでも今までなんとかやってこれた俺だが、 その俺ですら、この先に行うべきベストな対応が思いつかない。 さて、どうするか… 1、長門に相談する 2、古泉に相談する 3、朝比奈さんに相談する 安価 >>22 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 01:48:35.93 ID:+0NaV9tP0 2 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 01:55:42.26 ID:X+x3BALf0 古泉に相談しよう。 なんとなーく気が進まないが、長門はあんな性格だし。 朝比奈さんは・・寝てそうだな。起こすのもかわいそうだ。 キョン「古泉の番号は…」 なぜか古泉の携帯番号とメールアドレスがメモリーに入っていたことを思い出し、電話をかけた。 あいつ、まだ起きてるだろうな? キョン「・・・あ、古泉」 古泉「なんです?こんな時間に何か急な用件でも?」 キョン「ああ。驚かないで聞いてくれ。俺もまだ状況がまったくつかめていない。じつはかくかくじかじかで〜」 古泉「・・・そういうことでしたか。すぐそちらに向かいます。あ、窓は開けておいてください」 キョン「ああ・・・ってお前、俺の家がわかるのか!?」 古泉「ふふっ、その点は心配なく。では、後ほど」 電話はすぐに終わった。しかし古泉のやつ、何か知っている風だったぞ? 俺は静かにベッドで眠り続ける女の子の顔を盗み見た。 か、かわいい…いやまてまてっ!こんなときに・・なんて俺は不謹慎なんだ! と、とりあえず古泉が来るまでそっとしておいてあげよう。 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 02:02:53.49 ID:X+x3BALf0 それから何分経っただろうか? 自分でも恥ずかしいが、なんとなく隣で女の子が寝ているかと思うと妙に緊張してしまい、 時間が短くも長くも感じられた。 ひとつの場所に落ち着いていられない。なんとなく机においてある参考書を手に取ったり、 棚に飾ってあるこなたのフィギュアの腕の角度が気になって何度も微調整をしたり… そうこうしてるうちに古泉に窓を開けるよう言われていたのを思い出し、あわてて開けると、 「もう、窓は開けるようにと言っておいたじゃないですか」 外から大きめの飴玉くらいの大きさの古泉がふわふわと入ってきた。 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 02:13:18.59 ID:X+x3BALf0 キョン「ああ、悪いな古泉。じゃあ本題に移るが・・・ってうわ!」 古泉「ええ、女の子が空から降ってきた、という件ですね」 古泉はベッドの女の子を一瞥すると、ゆっくりと近寄ってきた キョン「いきなり人の姿に戻るな!そして顔を近づけるな!」 古泉「単刀直入に言いますが…ここはすでに閉鎖空間内です」 キョン「なに?」 閉鎖空間って、前に涼宮と俺が学校で巨人に襲われたときのアレか!? 古泉「どうやら涼宮さんが、宇宙人、未来人、超能力者だけでは飽き足らず、さらなる刺激を求めているようで」 あいつ、あれほど異常な体験を何度も重ねておいて、まだ飽き足らないというのか!? 古泉「そこで涼宮さんが求めたのが、その子なんですよ」 キョン「じゃあ、その子もお前等と同じ、宇宙人、未来人、超能力者のうちのどれかだっていうのか?」 古泉「いえ、彼女は僕たちとは違う。どちらかといえば、あなた側の人間なのですが・・・」 キョン「じゃあなんだって、あの普通嫌いの涼宮がわざわざそんな一般人を呼び出したっていうんだよ」 俺は古泉の足元にお気に入りの同人誌が無造作に置かれてることを意識しながらも、問いただした 古泉「ええ、本当に彼女は普通の人間なんです。ただひとつ、我々とは住む世界が違う、ということを除いては…」 つ、つまり宇宙人、未来人、超能力者の次は・・・い、異世界人か!? 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 02:24:35.06 ID:X+x3BALf0 古泉「ええ、その通りです。どうやらこの閉鎖空間は、彼女をこの世界に召還するためのものだったようですね」 古泉は足元の同人誌に手を伸ばし、キョンに手渡した。 古泉「おそらく、涼宮さんは閉鎖空間をパイプ代わりに使用したようですね」 キョン「パイプ?」 古泉「そう、我々の世界と、彼女が元いた世界を繋ぐパイプ…そこを通って彼女はこの世界に舞い降りた…」 古泉はベッドの女の子の体をひとしきり見つめたあと、安心したように言った 古泉「幸い怪我等はないようですね。それもそうですね、涼宮さんがそんなミスをするはずがない」 キョン「…一応確認するが、これは涼宮本人が無意識のうちにやっていることなんだよな?」 古泉「その通りです。あ、ところで彼女は…」 古泉が何か俺に質問しかけたその時 妹「おしっこー…」 寝ぼけた妹が、ふらふらと部屋に現れた。 キョン「こ、こらっ・・ここはトイレじゃない!トイレはあっちだ!ほら早く・・・あ、古泉、その子を頼んだぞ!」 まったく・・なぜこうなるのか・・・ 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 02:34:33.47 ID:X+x3BALf0 古泉は慌てて出て行ったキョンを見送ったあと、ゆっくりとベッドで眠っている女の子に振り返った。 古泉「とっくに目は覚めてるはずですよ?よければ、あなたがここに来る前の出来事を話してもらえませんか?」 そう古泉が言うと、眠っていたはずの女の子は少し体を起こしながら、つぶやいた。 謎の女の子「…話に割って入るタイミングがわからなかったの」 古泉「気持ちはよくわかります…僕にもたまに、そういうときがありますから」 古泉は女の子の隣に腰掛けると、にこやかに言った 古泉「では、話してもらえますか?できれば、詳細にお願いしますよ」 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 02:52:09.61 ID:X+x3BALf0 謎の女の子「あなた達の会話で、なんとなく状況はつかめたわ。どうやらここは、私の住んでいた場所とは違うみたいね」 古泉「ええ、ここはあなたにとって異世界です。僕はこの世界の人間ですが、あなたがここに来た理由もどうやって来たのかも知っている」 シータ「それを教えてはくれないの?」 古泉「時が来れば、おのずとわかってきますよ。あ、申し送れましたが、僕は古泉一樹といいます。よろしく。では例の説明をしてもらえます?」 謎の女の子「…私の名前はシータ…そう、あの時私は捕まっていたの」 古泉「捕まっていた?それはなぜです?」 シータ「それはこの石のせい…飛行石って言うんだけど、わかるかしら」 シータはそう言うと、首から提げていた青い石のペンダントを手に取り、古泉に渡した。 古泉「飛行石…詳しいことはわかりませんが、ただの石ではない」 シータ「ええ…その石は特別な力を持っていて…」 古泉「それで、その石の特別な力を欲する者達に捕らわれていた、と?」 シータ「そうなんだけど…」 キョン「古泉、女の子は…ってうお!?」 い、いつのまに目を覚ましていたのか!しかも仲良くお話までしている! 古泉「ああ、たった今、彼女がこの世界に来る前の出来事を話してもらっていたところです」 キョン「そ、そうだったのか…で、け、ケガとかは・・ありませんか?」 シータ「ええ、大丈夫…コイズミさん、この方は?」 古泉「彼はキョン君ですよ。この世界に来たあなたを見つけ、ここまでつれてきてくれた人です」 こんなときくらい、本名を紹介しないか本名をッ! 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 03:11:26.83 ID:X+x3BALf0 シータ「ありがとうキョンさん。ところで、ここはあなたの…」 キョン「ええ、我が家です。むさくるしいところですが…」 シータ「そんなことないわ、ありがとう。あなたに見つけられていなかったら、私どうなったか…」 くそ、こんなことになるなら、昨日同人誌やらフィギュアやらをさっさと片付けておけばよかった! まぁ、異世界人にはそういった類のことはわからないだろうから別にかまわないのだが、なんとなく気恥ずかしい。 古泉「それで、捕まっていたあなたはその後どうしたんです?」 シータ「ええ、船で私を捕まえた人たちと一緒にいたんだけど…そのとき海賊が攻めてきて」 キョン「か、海賊?」 さっぱり会話の内容が理解できん!誰か要約してくれ! シータ「ええ、それで私達は襲われたの。その海賊達も、私のこの石を狙っていて…」 そう言うとシータは再びペンダントを手に取った。 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 03:12:31.20 ID:X+x3BALf0 海賊がその石を狙った?宝石強盗か?くそっ、警察は何をしている!…というより、この女の子… 捕まっていたって!?誰に!?ちくしょう、どこのロリコンだこの変態野郎! シータ「それで私、このままじゃだめだと思って、逃げようとしたの。でも私を捕まえた人たちも一緒にいるから…」 古泉「その連中を始末し、なんとか海賊の魔の手から逃れようとしたわけですね?」 なにをばかな!こんなか弱い女の子を捕まえて、「その連中を始末」だって!? は、そんなことできるわけが… シータ「始末とまではいかないけど…その連中が海賊達と応戦してるときに、 その中の一人を後ろからビンで殴って気絶させて…」 ・・・!?ば、ばかな…まさかこの子がそんな乱暴なことを!! シータ「その隙に脱出しようとしたわ。その気絶させた一人を除いて、ほかの連中は皆海賊達と戦っていたから」 なんという脱出劇。Mr.マリック、デビットカッパーフィールドもびっくり! シータ「でも、船の中に逃げ場はないってわかってたから、外に出たの。そしたら海賊が来て…そこから記憶がないの」 古泉「ふむ…」 古泉はいろいろ考え込んでいるが、お前も何か突っ込めよ! …はぁ、この子の正体を掴むのは、骨が折れそうだ… 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 03:30:36.28 ID:X+x3BALf0 古泉「どうやら、あなたが外に出て、そこで海賊があなたを襲って…そのときに接続が起きたようですね」 シータ「接続…って?」 古泉「ああ、あなたのいた世界と、僕達の世界が、一瞬だけひとつになったんです。もちろんそれは全部ではなく、ほんの一部の空間だけですが」 シータ「そのほんの一部の空間に私が入り込んで、それで私は今ここにいるということ?」 古泉「おそらくそうなるのですが…どうもわかりませんね」 キョン「ん?そこまでわかってるなら十分だろう。さっさとまたその…彼女の世界と俺達の世界をくっつけて、彼女を元に戻せばいいだけじゃないか」 古泉「そう簡単なものではないんですよ。あなたも知ってるでしょう?閉鎖空間に入れるのは、僕達のような存在だけだと」 キョン「でもそんなものは、涼宮が望んだなら関係ないだろう?現に俺はあいつと閉鎖空間に入った」 古泉「それはそうなのですが、異世界人と一言に言っても、様々な人がいます。その中で、なぜシータさんが一人ここに呼び出されたのか…」 キョン「そんなもの、誰だってよかったんじゃないのか?彼女には失礼だが」 古泉「いえ、シータさんがここに呼ばれたのには必ず理由がある。それがわからないと、彼女を元の世界には戻せない」 キョン「要するに、異世界人なら誰でもよかったわけではなく」 古泉「そう、涼宮さんはシータさんという異世界人を求めた。これは感情云々の問題ではなく…」 そこで古泉ははたと考え込んでしまった 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 03:41:32.62 ID:X+x3BALf0 キョン「なんだよ古泉、感情云々の問題ではないって」 古泉「要するに、例えば涼宮さんがシータさんのことを好いていたとします」 キョン「うむ」 古泉「だからと言って、涼宮さんがシータさんと一緒に閉鎖空間に入ろうと思っても、それができるとは限らないんです」 キョン「ん?じゃあ俺の場合はなんだったんだ?」 古泉「シータさんが僕達の世界に来るためには、閉鎖空間を通らなければならないのですが、誰でも通れるというわけではない」 キョン「まぁ、そうだろうな。好きなように通れるのはお前等だけなんだろ?」 古泉「まぁ好きなようにとは言っても、いろいろ制限はされますけどね。まぁ話を戻しますが」 古泉「要するに僕が言いたいのは、体質によっては閉鎖空間側がその人間を拒否してしまう、という場合もあるということです。たとえ涼宮さんが望んだとしても、です」 キョン「そうなのか?じゃあ俺はそういった閉鎖空間のような変な空間に入りやすいっていう…」 古泉「まぁそこのところはわかりませんが」 古泉はシータに向けて少し微笑んだあと、静かに立ち上がった 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 03:54:33.97 ID:X+x3BALf0 古泉「閉鎖空間に関する情報はほぼ無いと言っていいので詳しいことはわかりませんが、体質によってはそういうことも起こりうるというのは事実です」 古泉は俺にも微笑んだあと、再びゆっくりと近づくと 古泉「では聞きますが、狭いけれどもなんとか通れる程度の幅の道と、割とすんなり通れる幅の道、あなたならどちらを通りますか?」 キョン「それはすんなり通れるほうだろう」 古泉「それはなぜですか?」 キョン「そんなの、楽だからに決まって…」 古泉「それです、シータさんは一般人よりも閉鎖空間に受け入れられやすいという特徴があった」 キョン「だから閉鎖空間側が彼女を選んだってことか?受け入れやすいから?」 古泉「そうだと僕は考えますね。なら、割とすんなり元に戻れそうですよシータさん?」 古泉が笑うと、シータも安心したように笑ったが、すぐに顔を伏せてしまった。 シータ「ええ、でも今戻ったらまた私は…」 古泉「追われる身…ですか。一応確認しますが、その石は大切なものなんですよね?」 シータ「そうね…代々受け継がれているものだから」 シータはペンダントを強く握り締めた 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 04:12:45.50 ID:X+x3BALf0 キョン「そういえば、彼女が落ちてくるとき、その石が…」 古泉「光を発していた、と?シータさん、身に覚えはありますか?」 シータ「いえ…そんなことはまったく…」 古泉「そうですか…彼女はこの石から光を発しながら空から降りてきたんですよね?」 キョン「ああ、そうなんだが…」 俺はシータのペンダントを凝視した。しかし、光は発しそうにない。 シータ「そうだわ、私、落ちた。海賊達が私に手を伸ばして、それを避けようとしたら…」 古泉「では?船というのは?」 シータ「飛行船よ。そこで記憶がなくなってるんだけど…なにか胸のあたりが温かくなるような感覚は覚えてる…」 キョン「なら、彼女はその船から落っこちて、それでそのままこの世界に落ちてきたってことか?」 ふーむ、そこのところがさっぱりだ。 古泉「どうやら、シータさんが落下したときにその石が作用し、そのときに接続が起こって、彼女は僕達の世界の空へ…」 古泉はなにやら俯いてぶつぶつ考え込んでいたが、やがて謎はすべて解けたと言わんばかりの顔で俺達に言った 「その石がシータさんと閉鎖空間を強く結びつけたのは間違いないと思います。これならすぐに元の世界に帰れますが…」 ん、また古泉がなにやら難しい顔を… キョン「なんだよ、まだ問題があるのか?たいした苦労もなく元の世界に戻してやれるのなら、いいことじゃないか」 古泉「まだ問題は残っています。シータさんの正体と、その石の正体についてです。僕には、シータさんがただの異世界人には見えなくなってきました」 最初はただの人間だって言ってたじゃないか! 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 04:30:39.93 ID:X+x3BALf0 キョン「そんなことを言っても、彼女には悪いが俺達にはなにもできないだろう?」 俺は正直反対だ。彼女を助けてやりたいのは山々だが、また閉鎖空間だの異世界だの、ここに俺が無傷で帰ってこれる保証はあるのか? 俺も人間だ。自分の身が一番可愛い。ここは古泉達に任せて、健全な一般市民である俺は早々とリタイアすると… 古泉「何を言ってるんですか?シータさんをここに連れてきたのはあなたですよ?今更自分は関係ない、で済むと思っているんですか?」 そ、そんな流し目されても困る。大体なんで俺はいつもこうなんだ?珍しくいいことしたと思ったら、すぐにそれが裏目に出やがる。これが涼宮が望んだ俺の行き方なのか? …仕方ない。付き合うしかなさそうだな。まぁ、古泉に相談した時点でこうなることは予想してたんだが。 キョン「…わかったよ。この子の問題を無事解決して、ちゃんと元の世界に戻す手助けをする。それでいいんだな?」 そうぶっきらぼうに吐き捨てると、そんな態度の俺にシータは 「ありがとう!コイズミさん、キョンさん!」 なんて、心の底からお礼を言ってきやがった。 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 04:53:15.25 ID:X+x3BALf0 とりあえず、三人でこれからの方針を考えることにした。 俺の家には家族がいる。奴らが起きださないウチになんとかこの問題だけは解決しておきたい。 ずばり、シータをどこに住まわせるか、だ。 昨日今日で完全なる不法入国を果たしたシータには金も家もない。 俺達の誰かがかくまってやらないと、のたれ死んでしまうだろう。 俺の家は家族がいるから却下。古泉も同様の理由で却下。 朝比奈さんも却下だろう。ハルヒにも当然家族はいるわけで。 なら、おのずと… 長門「…」 コイツに頼るしかないわけで… 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 04:56:20.76 ID:X+x3BALf0 古泉「…というわけで、おおまかな説明でしたが状況は理解できましたよね?」 長門「…理解した」 キョン「だから、この子をしばらくお前の家に住まわせてやるっていうことはできないか?」 シータ「すみません皆さん、迷惑かけて…」 長門「…わかった」 古泉「ではお願いします。あ、ついでに…」 長門「…彼女の都合がいいように、情報を書き換えておく。情報操作は得意」 古泉「そうですね、よろしくお願いしますよ」 シータ「なんだかよくわかりませんが、ありがとうございます」 そりゃあそうだろう。あいつとはそこそこ長い付き合いになってるとは思うが、いまだにあいつの正体がつかめん。 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 04:58:27.14 ID:X+x3BALf0 長門「…あなたには今日から学校に通ってもらう…転校生だということにしておく」 ま、マジか!?なら彼女は後輩!? シータ「ガッコウ?」 古泉「ああ、勉強を学ぶ所のことですよ。今日から僕達と一緒にそこに通ってもらいます。その方がシータさんも安心でしょう?」 シータ「ええ、その方がすごく安心だわ」 長門「…そして今日から私のマンションに住んでもらう。親戚だということにしておく」 シータ「まんしょん?」 キョン「家のこと。俺の家は一軒屋だけど、長門の家はマンションなんだ」 シータ「はぁ…」 どうにも腑に落ちない様子。一軒家とマンションの違いがわからないのだろうか?まぁ行ってみればわかるだろう 古泉「ではそういうことで、これからがんばっていきましょう!長門さん、シータさんを頼みましたよ」 長門「…わかった」 はぁ…、長門はもっと愛想よくできないもんかね…あんなんじゃ、シータもどう接すればいいかわからな… シータ「あ、そういえばナガトさん、何の本読んでるんですか?」 長門「…らき…すた…」 シータ「らきすた?なんか小さくて可愛い絵ですけど、おもしろいんですか?」 長門「…ユニーク」 …そうでもないらしい。まぁ、仲がいいのはいいことだ。これから嫌でもお世話になるんだしな。 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 05:13:33.07 ID:X+x3BALf0 古泉「もうそろそろ夜明けですね。閉鎖空間もずいぶんと落ち着きました。シータさん無事に受け入れたからでしょう」 そういえばすっかり忘れていたが、ここは閉鎖空間だったのか。長門はすんなりと入ってきたが、やはりそこらへんも特別ということか? 古泉「もう外に出ても大丈夫でしょう、そろそろ帰りましょうか」 長門「…そうする。ついてきて」 シータ「あ、はい」 あらら…さっさと行ってしまったか。何か一言くらいないのか?おい そう思っていると、シータがぴょこっと顔を出し、 「今日は本当にありがとうございました!これからもよろしくお願いしますね!」 なーんて満面の笑顔で言ってきたからたまらない…っていかんいかん!何を考えてるんだ俺は! 古泉「では、僕もこの辺で。後ほど学校でお会いしましょう」 キョン「あいよ。今日はいろいろ助かったよ」 古泉「いえいえ…こちらこそ。本来ならばこれは僕の仕事ですから。閉鎖空間に異変か生じていたのも知ってましたし」 キョン「だから電話しても、さほど驚いた様子もなかったのか」 古泉「ええ、しかし、電話を受けていなかったら、もっと原因の解明に時間を費やしていたでしょうね」 そういうと、古泉はクスリと笑った。…だから近寄るなって! 古泉「では…」 キョン「またな」 古泉は窓からではなく、ちゃんと玄関から戻って行った。 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 05:22:07.22 ID:X+x3BALf0 キョン「…ふぁーぁ。…結局寝てないのか、俺」 正直眠くてしょうがないが、今くらいガマンせねば。 どうせ学校に行ったら、嫌でも眠気が吹き飛ぶんだからな。 とりあえず、シータのことは朝比奈さんには説明しなくてはなるまい。 涼宮には…内緒の方向で。またいろいろと騒ぎ出すと困る。原因が自分だと知らないならなおさらだ。 キョン「さて、そろそろアイツが起こしに来る時間だ…寝たふりでもしとくか」 と、思い立った次の瞬間! 妹「キョンくんあさだよおきて…あ、キョンくんおきてる」 妹がドアを盛大に開け鳴らしながら飛び込んできた。 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 05:48:15.19 ID:X+x3BALf0 キョン「いってきまーす」 だらだらと家を出る。正直徹夜ってもんはつらい… 眠いというよりも、ひどいときは頭痛がする。幸い今は大丈夫なのだが。 そんなこんなで、俺はいつもの信号、踏み切りを渡り、まったく変わらない日常を繰り返している。 しかし、よーく目を凝らして周りを見渡せば、確実に「それ」は変化しているのだ。 その「変化」に気がつかないのは幸せだ。決して不幸なことじゃない。 気づかなければ、世の中の「異常」を知ることはない。平穏だけを直に感じられる。 それはなんと心地よいことだろうか? 知らなければよかったと、俺はつい最近まで思っていた。 しかし、ここ数日の間で、その考えが変わってきた気がする。 確かに、わけのわからない理屈では解明できないような出来事に参加させられるというのは骨が折れる。 だが、それ以上に。 涼宮や、長門。朝比奈さんに…古泉。こいつらと馬鹿やってる時間が… なんだかかけがえの無いモノに思えてきて。 ?「…ン!」 んー、なんか寝不足で頭が麻痺してるのか?変なこと考えてるよな俺?普通が一番だと、それがモットーのような奴じゃないか俺は! ?「…ョン!!」 あいつらとの日常が楽しいなんてことは…いや、まぁ楽しいことも…ある…けど…さ。 ?「キョン!!!」 キョン「うわぁっ!?」 ハルヒ「なんで返事しないのよ?ボーっとしちゃって!朝からだらしないわね!」 くそ、やはりさっきのは寝不足で頭がオーバーヒートしてたせいのようだ! こんな奴との時間が楽しいわけねぇよ!うん、そうだ! 90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 06:09:54.19 ID:X+x3BALf0 ハルヒ「ねぇキョン?また町内で野球大会をやるらしいんだけど…」 キョン「一人でやれ」 ハルヒ「…今年の文化祭の出し物だけど」 キョン「何もしなくていいんじゃないか?」 ハルヒ「……これからのSOS団の活動予定だけど」 キョン「お茶飲む、オセロ、カードゲーム、囲碁、こんなもんでいいだろ。どうせお楽しみクラブなんだから」 ハルヒ「………もー!!まじめに考えなさいよ!!!」 キョン「うひゃっ!?ふひをひっはるあ!(口を引っ張るな)」 ったく、なんでこいつは朝からこんなに騒々しいんだ! こっちは寝不足なんだから、少しはそっとしておいてくれてもいいものを! …いや、こいつにそんな器用なマネはできないか… 92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 06:12:30.07 ID:X+x3BALf0 ハルヒ「とにかく!昼休みSOS団の会議をやるからね!みんなに言っておきなさい!」 キョン「…お前が言え!なんで俺が!」 ハルヒ「団長の手を煩わせる気なの!?伝言くらいサルでもできるでしょ!いいからみんなに伝えなさいよね!」 …くそ、なんてこった。また面倒なことになりそうだぞー? 長門に預けたシータも心配だし…ああもう、どうにでもなれ! キョン「…わかったよ。でも俺は会議には欠席するからな。今日の昼休みは用がある」 そう、シータにいろいろと教えてやんなきゃな。 …まぁ、長門がすでに必要最低限の知識は教えてると思うのだが。あいつそういうの得意だって言ってたしな。 だから俺の出る幕は無いのかもしれない、が!それでもシータを見つけて、かくまったのは俺だしな。 一応そういう点では誠意を見せておかねばいけない気がするのだ。 ハルヒ「何言ってんの!?その用事とSOS団の会議、どっちが大事なの!!」 キョン「8:2で俺の用事の方が大事だ。いつもいつもお前みたいに暇だと思うなよ鈴宮?」 ハルヒ「くっ…い、いいわ!覚えてなさい!今日の昼休みに会議に参加しなかったこと、後で必ず後悔するんだから!」 そういうと、涼宮は全速力で先に行ってしまった。あいかわらずクソ速いことで。 ふぅ、やっとゆっくり登校できるな…。やっぱり朝はまったり登校するのに限る。 こうして、俺一日は始まろうとしていた。 96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 06:32:16.25 ID:X+x3BALf0 学校に着くと、すでに涼宮は席についていて、俺を見るなりすぐそっぽを向いてしまった。 …まぁわかりきっていたことなので、無視して席に座ろう… …って、ちょ、ちょっとまて!!!なんだこれは!!!!!! 机いっぱい、チョークらしきもので落書きがなされている。 キョン「一体誰が…なんてつぶやいてみたり」 犯人はわかりきっている。必死で後ろの席でニヤけ顔をこらえているアイツだ。 キョン「涼宮!おま…!」 ハルヒ「なにキョン?あたしが落書きしたっていう証拠でもあるの?」 キョン「こんなくだらないマネするのはお前しかいないだろう!」 ハルヒ「だーかーらー、証 拠 は あ る の?」 キョン「くっ…!」 あいつが全速力で学校に向かったのはこのためか! だ、だれか目撃者は…谷口!お前なら… 97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 06:33:31.85 ID:X+x3BALf0 キョン「谷口、涼宮の野郎が俺の机に落書きしていただろう?」 谷口「はぁ?俺はしらねーよ、なぁ国木田?…なんだ落書きって…うわ!こりゃひでぇw」 国木田「これはひどいねー。でも僕達はホントに知らないよ。今ちょっと噂になってる転校生を見てきたばかりなんだからさ」 キョン「ん、転校生?珍しいな、おい」 …ああ、そうか。 必死で落書きを雑巾でふき取りながら、転校生というのはシータのことだろうという結論に至った。 谷口「すっげーかわいくてさ、ありゃA+には間違いなくランクインするぜ!なんか守ってやりたくなるような…」 国木田「確かに可愛い子だったよね」 谷口「ああ、ところで名前はなんだっけ?えーと、シーサーじゃなくて…」 キョン「シータだろ?」 谷口「そうそう!そんな感じ、ハーフなのかね…ってキョン?お前知ってたのか?」 キョン「あ…ま、まぁな」 あ、あぶない…思わず口に出してしまったが、俺がシータに関わりをもってることは内緒にしといたほうがいいな。 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 06:40:53.97 ID:X+x3BALf0 それにしても、もうそんなに話題になってるのか?シータは。 んー…こりゃ様子を見に行ったほうがいいのかな? 1、是非見に行くべきだ 2、いや、長門に任せよう 3、それよりハルヒ、てめぇよくも! 安価 >>102 102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 06:42:10.39 ID:9pR9NwfV0 3 103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 06:46:41.23 ID:X+x3BALf0 いや、それより涼宮だ。俺は何も間違っていないはずだ。なのになぜ俺がこんな仕打ちを受けねばならない? ち、ちくしょう!俺が必死で掃除してる姿がそんなに滑稽だというのか!?なにニヤついてやがる! どうにかして復讐したい。復讐したい復讐したい復讐したい復讐したい復讐したい。 1、ばかばかしい、やめだ 2、やっぱりシータが気になる 3、後ろからこっそり近づいてチョークスリーパーの刑だ! 安価 >>104  104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 06:48:16.12 ID:RMpD2eBg0 3!3! 107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 06:58:49.79 ID:X+x3BALf0 そうだな。死なない程度にやれば、神様も許してくれるだろう。 いや、これは正当な天罰だ!神が涼宮の悪行を許しても、この俺が許しはせんぞ! ハルヒ「ぶつぶつ(ちょっとやりすぎたかしらね…んー、でも今更謝るってのも…)」 キョン「なーに一人でぶつぶつ言ってやがる」 ハルヒ「!?」 キョン「うりゃ!」 ハルヒ「ちょッ…きゃぁ!?」 俺は雑巾を洗いに行くフリをし、こっそり涼宮の背後に回った。 そして、見事涼宮の首根っこを固めることに成功した! キョン「落書きしたのはおまえだ!おまえだよな!?」 ハルヒ「ちょ…キョン…!こんなことして…ただですむと…!」 キョン「それは俺のセリフだ!こんにゃろこんにゃろ!」 ハルヒ「ちょ…もぅ…だめぇ…///」 108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 06:59:31.80 ID:X+x3BALf0 谷口「お!?おいおいおい!wwwあそこで夫婦がなんかやってるぞ!www」 クラスメイトA「なんか抱き合ってね?ww」 クラスメイトB「きゃー!キョン君ってやっぱり涼宮さんが…///」 キョン「んば!?い、いやこれは、ち、ちがうんだ!!ちがう!!」 クラスメイトC「なにがちがうんだよぉ!wあんなにイチャイチャしといてよぉ!w」 ハルヒ「ちょ…キョン…お、おぼえてな…さ…いよ…」 キョン「涼宮!お、お前も誤解を解け!大体お前が落書きなんかするから…!!」 あぁあ、下手なことしなければよかった! ただでさえ涼宮と変な噂を立てられているというのに! キョン「と、とにかく違うからな!!」 谷口「あー!?キョン、どこ行くんだよ!授業始まるぞ!!」 そ、そんなこと関係ない! ほっといてくれ!! 114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 07:18:02.79 ID:X+x3BALf0 キョン「あぁ、えらい目にあった」 なんとかトイレに緊急避難したはいいが、所詮その場しのぎだろう。 これから数日間、俺は涼宮との噂が飛び交う中で平然と過ごさなきゃいけないってわけか…? ああ…ホントそう考えると、軽はずみなことをしてしまった…。 とっくに授業は始まっている。しかも一時間目は俺のもっとも苦手とする世 界 史だ! まず教科担任が気に食わない。あぁ、腹痛で遅れたということにして、さっさと戻ったほうがよさそうだ…いやだけど。 授業中なので、廊下は静まり返っている。なぜかこの静寂は変な緊張感を生む。 本来ならば教室にいなければならないはずの授業中に廊下を歩いているという背徳感がそうさせるのか。 まぁ意を決して教室に入る。 キョン「あ、先生すみません。腹痛で遅れました」 先ほどのやり取りの後逃げ出した俺が、第一声に発した言葉がこれだ。無理もない。みんな、笑いをこらえている。 中にはこらえきれずにふきだす奴らも…谷口、後で覚えてやがれ。 武須加「なんだね?この私の授業に遅刻するとは」 キョン「すみません、あまりにもお腹が痛くて…」 武須加「もういい…早く席に着きたまえ。君のアホ面を見てると、心底うんざりさせられる」 キョン「はぁ…わかりました」 …これだもんな。嫌われるのも無理はないぞ?武須加先生。 席に着く途中、涼宮と目が合った。ちょっと 涙目。 …なにかが…心に…チクッと…刺さったような気がする。 119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 07:34:05.35 ID:X+x3BALf0 キョン「…あー、やっと昼休みか…なんか今日すんごい時間が長く感じられ…ってうおっ!?」 ハルヒ「キョン!さっさとみんなを集めなさい!SOS団の会議よ!」 な、なんだこいつ!?この期に及んでまた俺を会議に出席させるつもりでいやがる。 もしここで俺がおとなしく会議に出席したら、朝の俺達のやり取りは一体なんだったんだ! で、こういう風に普通に会話をしてても… クラスメイトD「ひそひそ…」 クラスメイトB「ヒソヒソ…」 …ときたもんだ。内緒話は俺の聞こえないところでやってくれ。 んで涼宮のやつはそんなのまったく気にしてない様子で、 「さぁ、さっさといくわよ!」 なーんて俺のブレザーの襟首を掴む始末だ。逃がすつもりはないという意思表示なのか? くそ、シータが心配なのによ…どうする?俺! 1、仕方ない…観念して今日はハルヒに付き合う。 2、ふざけんな!朝のことを俺はまだ許してないんだぞ!断る。 安価 >>120 120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 07:35:17.09 ID:ktHldOps0 2 124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 07:44:53.33 ID:X+x3BALf0 そうだ!朝の涼宮の行いは許せん! …ま、まぁ俺のチョークスリーパーの分を差し引いても、まだ涼宮の方に分があると思うぞ! それに朝のこともある!これ以上涼宮とつるんでたら、噂に尾ひれが付きまくってとんでもないことになるに違いない! キョン「俺は朝に行かないと言っただろう!用事があるって…!」 ハルヒ「…ほんとにいいの?私、言っとくけど怒ってるわよ?」 キョン「それはこっちも同じだ!今日は絶対無理なんだ!遊ぶならまた今度に…」 ハルヒ「SOS団は遊びじゃないの!…もういいわ!あんた、一週間部室の掃除だからね!」 …いっちまった。なんか最後にとんでもない捨て台詞を吐いていったが、この際気にしないことにする。 まぁともかくこれで、シータの様子を見に行けるぞ! 1、シータは一年だよな?何組だっけ? 2、…んー、どうもすっきりしないな 安価 >>126 126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 07:45:58.51 ID:fXldAV930 2 130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 07:49:13.06 ID:X+x3BALf0 …だが、なぜ俺はここであのときの涼宮の顔を思い出してしまうんだ!? あんなの、当然の天罰だろ?人のいない時を見計らって机に落書きするなんて! 多少首絞められても文句は言えない…よな? で、でもあいつもなんだかんだで女の子だし…ちょっとやりすぎた…かな? いやいやまて!…いや、うーん…決めた。 アイツに謝りに行こう。 143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 08:13:25.87 ID:X+x3BALf0 …と、結局こうして部室の前にいるわけだが。 おいおい、シータのことが心配じゃないのか? いや、心配だけど、でも…うーん。 よし、決めた!涼宮に一言謝ってからシータのとこに… 俺は武須加先生の時の1.5倍は緊張しつつ、扉を開けた。 シータ「えーと、皆さんよろしくお願いしますね!」 キョン「…へ?」 な、なんでこんなとこに…こ、こんなおぞましいとこに… シータがいるんだ!!!!!誰が連れてきた!!!!! 古泉「今日転校してきたばかりの女の子なんですよ。それで一日でも早く学校に慣れてもらうために、是非彼女をSOS団に勧誘したいんですが」 お 前 か  146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 08:16:28.15 ID:X+x3BALf0 ハルヒ「可愛い子じゃない!ぜひSOS団へ入団して欲しいわ!いいでしょみんな?」 キョン「お、おいおい涼宮、初対面の方をこんな珍妙な部に入部させるのは」 ハルヒ「え?あんたいたの?ちょうどよかったわ。掃除。早く。」 キョン「…ッ!!??」 い、今の言葉で、涼宮に謝りたいなんていう殊勝な気持ちは一気に崩れ去った…ッ! 古泉「皆さん異存はないようなので」 キョン「ちょ、あ、朝比奈さんも何か言ってやってくださいよ!」 朝比奈さん「わ、私は…」 ハルヒ「なーにー?みくるちゃん?何か不都合でもあるの?」 朝比奈さん「い、いえ、な、なんにもないです><」 ハルヒ「じゃあ決まりね!あなたは今日からSOS団の団員よ!えーと…シータちゃん?」 シータ「え、ええ…それはいいんだけど…」 長門「…」 ハルヒ「ん?どうしたの?なにかあるの?」 シータ「あ、いえ!なんでもないの!よろしくね!スズミヤさん!コイズミさん!ナガトさん!アサヒナさん!キョンさん!」 古泉…長門…何考えてるんだ!?よりによって涼宮とシータを近づけるなんて! 151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 08:37:37.30 ID:X+x3BALf0 ハルヒ「じゃあ私はコンピ研からシータちゃん用のPCを一台くすねてくるわ!キョン、あんたも来なさい!」 キョン「ふざけんな!コンピ研に迷惑だ!やめろ!PCなら足りてる!」 長門「…」 ハルヒ「そう!ならあんたのPCをシータちゃんに譲りなさい!」 な、なに!?それはまずい!やばい!朝比奈さんの秘蔵生写真+αがHDDにいいぃぃいぃ! キョン「や、やっぱりコンピ研に頼みに行こうか。だが今はちょっと古泉達と話したいことあるから、先に行っててくれ」 ハルヒ「なにそれ!?…まぁいいわ!すぐ来なさいよね!バックれたら承知しないから!」 …行ったか。じゃあ鬼の居ぬ間にさっさと問い詰めないと キョン「…古泉、どういうつもりだ」 古泉「なにがです?」 キョン「シータのことだ!なんでよりによってシータをSOS団に…ッ」 長門「彼女は…涼宮ハルヒに呼び出された異世界人…」 古泉「そう。そのシータさんが涼宮さんと関わりを持つのは当たり前じゃないですか」 キョン「でも、またそのせいで涼宮が暴れだしたりしたら…!」 古泉「まさにそれが狙いなんですよ。全ては、もう一度あの時と同じ規模の閉鎖空間を涼宮さんに作り出してもらうためです」 長門「そして…その閉鎖空間で彼女には昨日の行動を再現してもらう」 キョン「ってことは、シータが俺達の世界に来たときのように…」 古泉「ええ、あの石を身に付け、高いところから飛び降りてもらいます」 長門「そうすれば…その石がなんらかのアクションを起こすはず」 んー…ようするに、こっちの世界に来たときと同じ要領で、シータは元の世界に戻れるっていうのか? シータ「えーとみなさん、ちょっと取り込み中悪いんですが質問が…」 古泉「ん?なんです?」 シータ「ぱそこんってなんですか?」 166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 08:56:40.62 ID:X+x3BALf0 とりあえず、シータを元の時代に返す準備は整ってきている…ということでいいのか? まぁそれはそれで喜ばしいのだが、古泉は問題がまだ一つ残っていると言っていたが…? それはシータの正体。そしてあの石の正体。 シータは一体何者なのか?そして、閉鎖空間と持ち主を強く結びつけるというあの石は一体? んー、善良なる一般市民である俺が考えても、わかるわけがない。 とりあえず、シータのことはあの二人に任せておけば確実だろう。 ハルヒ?「…ら!…コンを一…譲れッ…ってんの!」 …それより俺は、こっちの問題を解決しなくてはならない。 最近のコンピ研の部長は不憫で仕方が無い。 なんとかハルヒを丸め込む方法はないものか… あ、俺のPCをシータに譲るっていう方法が一番確実なのだが…それはナシの方向で。 169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 09:07:53.25 ID:X+x3BALf0 キョン「おい涼宮…もうやめろ」 ハルヒ「はぁ!?なに言ってんのよキョン!さっきと話が違うじゃない!」 部長「た、頼むから君も説得してくれ!このPCはコンピ研の、僕らの命なんだ!これがなくなったら…」 ハルヒ「うるさい!あんた、もしかしてあのゲームのこと忘れたわけじゃないでしょうね?」 部長「だから他のなら持っていっていいから!それだけはやめてくれ!」 あーあ…まさに鬼 畜。 鬼という例えがはまりすぎて怖い。 さぁどうする?涼宮は一筋縄じゃ諦めてくれなさそうだし…。 だからと言って涼宮に加勢したら部長が腹でも切りかねないし。 1、部長に加勢 2、ハルヒに加勢 3、シータを呼ぶ 安価 >>176 176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 09:13:25.22 ID:tSZDDKjl0 1 182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 09:21:46.38 ID:X+x3BALf0 …部長に加勢しよう。 ハルヒの言い分はめちゃくちゃだ。 だいたい、我らがSOS団は一体何台コンピ研からPCをくすねているのだろうか? さすがにこれは部長が可哀想すぎるじゃないか?やはりここは… キョン「ハ、ハルヒ。これはもう立派な恐喝・強盗だぞ?」 ハルヒ「なによ!あんたは黙っててよ!PCをもらう気がないなら、部室の掃除してきなさいよ!」 キョン「い、今まで何台ももらってきたじゃあないか?(こらえろ、俺!大人な対応を…)」 ハルヒ「うるさいわねバカキョン!…さぁ早いとこPC出しなさいよ!」 部長「ゆ、許してくれー!」 キョン「こ、ここは…うん!あれだ!公平にじゃんけんでどうだ?な?」 ハルヒ「…」 部長「…」 ハルヒ&部長「じゃんけんぽん!」 部長「ま、負け…この…僕が…?」 ハルヒ「さぁもうこれで文句はないわね!?」 な、なんでそこで負けるかな部長orz 191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 09:34:52.78 ID:X+x3BALf0 ハルヒ「さぁもらっていくわよ!公平にじゃんけんなんだから!キョンも文句ないわよね?」 キョン「あ、ああ…(部長はついに神からも見放されたか…)」 ぶちょー「…」 部員A「部長!しっかりしてください!」 部員B「部長!部長!」 ハルヒ「〜♪(スタスタ)」 あーあ、意気揚々と戦利品(最新型PC)を手にコンピ研部室を後にする鬼 畜こと涼宮ハルヒ! あいつには、いったいどれだけの悪魔が味方をしているのだろうかッ! ハルヒ「こらー!キョン、早くこのPCを使えるようセッティングしなさい!」 キョン「へいへい…」 ・ ・ ・ ハルヒ「…ふふふ、あんなに必死でPC守ろうとしてたわけは、これだったのねw」 キョン「…おい、ハルヒ。健全な男子高校生のPCのHDDの中身をのぞいて悦に浸るのはよくない趣味だぞ」 ハルヒ「いいじゃない!面白いんだから!…あ、いい機会だわ!キョン、あんたのHDDも…」 キョン「あーあーあー!残念俺は特殊な趣味の持ち主でHDDの中身は全部グロ画像なんだよなーこれが」 ハルヒ「あ、あんた気色悪いわね!私のSOS団のPCでそんな悪趣味な真似はやめて!この際全部削除…」 キョン「あーあーあーあーあー!!!!!」 196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 09:44:22.13 ID:X+x3BALf0 そんなこんなで昼休みも終わり、そのままトントン拍子で放課後。 さて、どうするか?特に予定はないんだが… 1、することもなし、まっすぐ帰る 2、部室に寄っていく 3、シータと一緒に帰る 安価 >>200 200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 09:47:20.87 ID:UEOL9bLi0 2 210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 10:03:48.65 ID:X+x3BALf0 …部室に寄っていこう。 なんとなくまっすぐ帰るのは暇だし。 朝比奈さんとお茶でも飲みながらオセロなんてできたらいうことないんだが♪ キョン「うーっす…ってお前だけか」 ハルヒ「な、なによ!あたしが居たら悪いっていうの!?」 キョン「いや、悪くはないんだけど…って、昼にぶんどったPCは?ないみたいだが」 ハルヒ「あ、あれ?wああ、あのPCならちょっと私に合わなかったみたいで、すぐ返しちゃったわw」 キョン「PCに合わないって…どういうこった?」 ハルヒ「う、うるさいわね!なんとなく使ってて不快だっただけよ!最新型だからって必ずしもいい物だとは限らないのね!」 キョン「…そうか。まぁシータはPC使わないって言ってたし、問題ないだろ」 ハルヒ「そうねー、まぁでも本当にPCが必要ない団員はキョンみたいだけど」 キョン「なっ!?お前!俺がSOS団のHP作ってやったりいろいろしてやったのを忘れ…」 ハルヒ「…HDD。」 キョン「…」 ハルヒ「まったく///エロというか、エロエロというか!も、もうバカエロキョン!!///」 キョン「ちょ…まて!お前まさか勝手に!?///」 ハルヒ「(なんでみくるちゃんばっかり…私にはなんも興味ないわけ!?)」 キョン「…なにぶつぶつ言ってんだ!ホントお前サイテーだからな!」 ハルヒ「うるさいエロキョン!PCはしばらく没収だから!」 キョン「ちょッ…まて!どこへいく!?…く、くそぉ…」 …orz 219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 10:25:26.75 ID:X+x3BALf0 …で、俺は部室でひとしきり凹んだ後、俺はまっすぐ家に帰った。 やることもないし、とにかく部屋で一人で泣きたかった。くそぅ、ハルヒめ… 俺の朝比奈さんコレクションを盗み見たあげく、さらに過激な+αまで…! あ、やばい、怒りを通り越して、なんか恥ずかしくもなってきた…妙な気分だ。なんかおもいきり叫びだしたい。 だがなんとかそんな自分を抑え込み家に着いた。 キョン「ただいまー」 妹「おかえりキョンくん!」 キョン「おう」 妹「なんかかおがまっかだけど、どうしたのぉ?」 キョン「なんでもないッ!今から大事な宿題やるから、部屋に入ってくるなよ!(泣いてるとこは見せられん!)」 妹「むー?んーわかった!あ、えーとねキョンくんおへやにね!あ、むししないでよっ!」 キョン「(さぁ泣こう…)」 長門「…遅い」 キョン「!!!???」 な、なんで俺の部屋に長門が!? 233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 10:43:42.74 ID:X+x3BALf0 キョン「な、長門?どうした?用があるなら学校で話せばよかったのに…」 長門「…内密な、話。これ、みて?」 キョン「ん…これはシータのペンダント…って光が!?」 長門が持ってきたペンダントは間違いなくシータのものであった。 そのペンダントが、なんと光を発している! キョン「なんかレーザーみたいだな…どこまでも続いているような…」 長門「先ほど家についたら…いきなり、この石が反応した」 キョン「ふむ…で、この光は何を意味しているんだ?シータが降ってきたときの光はこんなもんじゃなかったし…」 そう、もっとシータの体を包み込むかのような、激しい光だった。こんな細長い光じゃない。 長門「…何かの方角を指してる…と思う」 キョン「何か…?あ、ってことはこの光をたどればシータは」 長門「…わからない。けど、この光が出てから、この街の雰囲気は変わった…」 キョン「まさか、閉鎖空間…?」 長門「…似てる。けど、違うもの…だと思う」 キョン「と、とりあえず古泉に相談だ!ところでシータは!?」 長門「シータは寝てる…疲労困憊。あと、彼はもうすぐ…来る」 キョン「そ、そうか!手回しが早いな。シータはいなくてもいいのか?」 長門「…必要なら、すぐ呼び出せる手はずになってる」 キョン「(なんという手際のよさ!これが対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェースと汎用男子高校生の差かッ!)」 長門「…きた」 キョン「へ?…あ」 古泉「窓を開けてください」 238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 11:09:40.00 ID:X+x3BALf0 キョン「こ、古泉…お前がその姿で来るってことは」 古泉「ええ、なにかがおかしい。外を見てください」 キョン「え…え!?」 ちょ、ちょっとまて! 今午後の5時だぞ!?なんで車どころか人っ子一人通っていないんだ!? キョン「こ、これは閉鎖空間なのか?」 古泉「いえ、この空間は閉鎖空間とは似て非なるものです」 長門「この石が反応してから…この空間の構築が始まった」 古泉「…シータさんを呼んでください」 長門「…わかった。ΣωτЮμΦ塔フΞθηβγ・・・」 キョン「な、なんて言ってるんだ…?う、うおっ!?」 長門がわけのわからない独り言を呟いたと思ったら、いきなり目の前に無防備で寝ているシータの姿が! 239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 11:10:36.26 ID:X+x3BALf0 長門「空間転移を施した…シータ、おきて」 シータ「ん…ここはどこですか?…きゃっ!?ペンダントが!」 古泉「シータさんはそのペンダントを身に付けておいてください。今からシータさんを元の世界に返します」 キョン「そ、そんないきなり!?」 古泉「そのペンダントは、今すぐにでもシータさんを元の世界に帰したがっているように見える。だから、こんな閉鎖空間の真似事までして…」 キョン「じゃあこの閉鎖空間もどきは、この石の仕業だっていうのか!?」 古泉「そう考えるのが妥当でしょう!その光が指す場所が…今から向かう場所、接続点です」 キョン「接続点!?なんだそりゃ!?」 長門「この空間と、シータの世界を接続しているポイントのこと…そこで、お昼に言ったように…」 キョン「ペンダントつけて、紐なしバンジーだっけか?」 古泉「そうです。では、急ぎましょう。皆さん、僕の手につかまってください」 キョン「な、なにすんだよ!」 古泉「あなた達の体をこの空間に耐えられるよう、つくりかえます」 キョン「な…!?俺らにサイボーグになれっていうのか!?」 古泉「説明はあとです!さぁ石の光が安定してるうちに行かないと!」 キョン「く、くそ!もうどうにでもなれ!」 257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 12:01:26.99 ID:X+x3BALf0 俺と長門、シータはそれぞれ古泉の手につかまった。 すると… キョン「…う、うおぉ!」 長門「・・・!」 シータ「きゃぁ!?」 古泉を中心に俺達は小さな玉になっていく。 まるで、古泉というブラックホールに吸い寄せられ、その中で小さく圧縮されたかのような… そうこうしてるうちに、俺達4人は飴玉程度の大きさになってしまった。 古泉「さぁ、いきますよ。飛ばすので、乗り物酔いをしやすい方は注意しててください!」 キョン「まて!そういうのは先に言え!よ、酔い止め薬を…!」 長門「…もう、遅い。耐えるべき」 シータ「キョンさん、がんばってください!」 キョン「(ち、ちくしょう!だから巻き込まれたくなかったんだ!)」 古泉「ではいきます!ksk!」 古泉がそう唱えると、俺たちはまるで鉄砲玉になったかのように勢いよく俺の部屋の窓を突き破り、外へ飛び出していった。 キョン「(く…この感覚!いつか乗ったジェットコースターの速度を何倍にもしたような…!)」 シータ「(!!!!ひゃああああああもうだめえええええ!!!!!!)」 長門「(…スピーディ)」 も、もうだめだ!これ以上は、は、吐くぁwsでrftgyふじこp; と、そのとき! 古泉は乱暴に急ブレーキをかけやがった! キョン「ぐぼぁぇ!?」 長門「!?」 シータ「きゃああぁぁあ!?」 古泉「…さぁ、着きましたよ」 …なんでお前ひとりだけ涼しそうなんだ古泉。 あ、長門もか…く、くそ…化け物共め…もっと一般人を労われ… 262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 12:25:33.38 ID:X+x3BALf0 キョン「そ、素朴な疑問を抱いたんだが…」 古泉「なんでしょう?」 キョン「俺とハルヒが閉鎖空間に閉じ込められたとき、俺はあんな玉にならなくても平気だった…な、なる必要はあったのか…?」 古泉「ああ、規模の違いですね。あのときの閉鎖空間の範囲は学校の周辺でしたよね?今回とは規模がケタ違いです」 キョン「閉鎖空間の範囲が広くなれば、その分その中にいる奴らへの影響もすさまじいってことか?」 古泉「その通り。だから身を守らなければならない。それに今回は高速移動が必要でしたしね。それにはあのフォルムにならないと厳しいでしょう?」 ああ…その話はするな…まだ頭がグワングワンするんだ…胃の中がシェイクされて吐きそう… 古泉「では、このフォルムを解除しますよ。力を抜いていてください」 キョン「こ、ここも閉鎖空間だろ?解除しても大丈夫なのか?」 古泉「ええ、ここは特別な場所なんですよ」 長門「接続点は自世界と異世界を繋ぐ扉のようなもの。扉が閉鎖されていたら、出入りはできない」 キョン「ああ、だからこの接続点とやらは閉鎖空間には含まれないんだな?」 そんな会話をしながら体の力を抜いていると、まるでゴム人形のように俺達は元に戻った。 263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 12:28:32.09 ID:X+x3BALf0 古泉「その通りです。では、シータさん…」 シータ「ほ、ほんとにここから飛ぶんですか?」 古泉「ええ、ですがその石があるかぎり、命の保証はされていますよ」 …シータが怖気づくのも無理はない。いくら死なないとはいえ、古泉はこの少女に20階建てのマンションの屋上から飛べと言っているのだ。 つまり、このマンションの屋上こそが古泉達の言う「接続点」であり… シータはここを飛び降りなくては元の世界に戻れないのだ。あぁ怖い怖い… その証拠に、シータのペンダントの光はいつの間にかマンションの屋上から遥か下に向かって伸びていた。 キョン「古泉、お前は軽く言ってるが、生身の人間が、ましてやシータみたいな女の子が、一人でここから飛べるわけ…」 古泉「何言ってるんですか?僕 達 も 一 緒 に 飛 び 降 り る ん で す よ?」 キョン「…」 シータ「…」 長門「…」 268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 12:47:48.28 ID:X+x3BALf0 キョン「ちょ…古泉!俺達が飛んで何の意味があるっていうんだ!別に俺はシータの世界に行ってどうこうしようなんて…!」 古泉「言ったじゃないですか。シータさんの抱えている問題は、自分の世界に帰れないということだけではないと」 長門「…シータの世界には、危機が迫っている。そう…それは私達の世界にも影響が起きかねないほどの危機」 古泉「神様は僕達にその危機を救えと言っている。だからシータさんはこの世界に舞い降りたんです…言わば、天使です」 キョン「古泉…言ってて恥ずかしくないか?神様だの天使だの…」 古泉「何を恥ずかしがることがあるのです?神様や天使がおとぎ話の中だけのものだと思っているから、あなたは恥ずかしいんでしょう?」 キョン「当たり前だ!そんなガキ臭いこと、この期に及んで…」 古泉「なら、後ろを向いてみてください」 キョン「ん?後ろ……え!!??」 古泉「何もかもを巻き込んだ神がいる…知ってます」 276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 13:20:14.24 ID:X+x3BALf0 キョン「ハルヒ!?」 ハルヒ「キョン…有希…古泉君…シータまで…どうしたの?」 キョン「それはこっちのセリフだ!なんでお前がこんなところに!」 ハルヒ「…わからない。ただ、呼ばれてる気がしたの…何かに、あれはシータ…ううん違う、光!光に呼ばれたの!」 シータ「光……?きゃ!?」 シータがペンダントに手を伸ばした瞬間、マンションの真下に伸びていた光が急激にふくらみ、シータを包み込んだ! ハルヒ「シータが…」 キョン「…浮いてる?」 277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 13:21:01.72 ID:X+x3BALf0 間違いない。宙に浮いている。青白い光を纏い、それはまるで天使の羽衣のようだ。 長門「…綺麗」 古泉「この石が異世界に送りたがっていたのは、シータさんと…涼宮さんだったんですね」 シータ「みんな!この私の光に触れて!大丈夫!怖くない!」 キョン「う、うぇ?そんなこと言われても…ってうぁ!?…ひ、光が!」 シータの光に触れると、たちまち自分達の体もシータの光が移ったかのように光り輝き始めた。 古泉「さぁ、みなさん飛び降りますよ!」 キョン「ちょ、ちょっとまて!こ、これは…!う、浮いてる!?」 ハルヒ「ほらいくわよ、キョン!こんな楽しそうな冒険逃したら、一生損するわ!」 長門「…」 シータ「これが飛行石の力…お母さん…私…」 278 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/16(土) 13:22:03.45 ID:X+x3BALf0 …こうして、俺達は屋上から決死のダイブをした! 俺はいつこの光が切れるのかと思ってヒヤヒヤしていたが、 結局最後まで切れることなく、 最後まで快適な旅を約束してくれた… そして…俺達は自世界を抜け、異世界へとたどり着いたのだが… それはまた先の話。 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 04:16:21.27 ID:k8crT+rT0 そこはとある町の食品店… パズー「おじさん、肉団子二つ入れて」 おじさん「珍しく残業かい?」 パズー「うん、今日は久しぶりに忙しいんだ」 パズーは、親方の飯(肉団子二つ)の買出しに出ていた。 こんなことは、残業の日ならばいつもやっていることなのだが… 今日は、少しばかりいつもとは違うようだ。 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 04:17:17.93 ID:k8crT+rT0 パズー「…なんだろう?」 パズーは親方を待たせまいとして、小走りで作業場まで戻っていた。その時、空から降ってくる五つの光を見つけたのだ。 もちろんその光を確認すべく、パズーは光の落下地点まで走っていく。 パズー「…!? 人だ!」 すると、その五つの光の正体が人だということがわかった。 しかし光を発しながら空から降ってくる人間がいたなんて… そんなことを考えているうちに、五つの光はゆっくりではあるが確実に降りてくる。 しかも、これはどうやら落下地点はパズーの作業場のようだ。ここは危険である。早く落下地点に先回りして助けないと… …と、思っていたら五人のうちの四人がパッと光を失い、すぐさまその場に着地した。 いや、着地などというかっこいいものではなく、その場に叩きつけられた。 しかし、残りの一人は未だに光を失わず、ゆっくりとパズーに向かって降りてくる。 パズー「…女の子だ」 思わず手を伸ばすと、彼女はその上にゆっくりと舞い降り… って重い!徐々に光が消えていくかと思ったら、その光が完全に消えた瞬間、彼女は本来の体重を取り戻したらしい。 気を失っている人間を運ぶのはこんなにきついことだったのか…なんとか安全な場所に寝かせると、パズーはすぐ近くでダウンしている四人の様子を見に行った。 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 04:24:12.94 ID:k8crT+rT0 親方「パズー!」 パズー「うわ!?」 …見に行こうと思ったら、親方に呼び止められた。 親方「そこで何してやがる!飯はどうした!?」 パズー「親方!空から人間が!」 と、パズーが叫んでも、親方の耳には入っていないらしい。 忙しそうにバルブを開け閉めしている。どうやらエンジンがいかれポンチのようだ。 親方「…このおんぼろエンジンめ…」 パズー「親方、空から人間が!!」 親方「二番のバルブを閉めろ!」 …まったく話を聞いていない。 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 04:36:30.79 ID:k8crT+rT0 そんなこんなで、結局残業はナシだった。 理由は、この鉱山がまったく機能していないということ。 銀どころか、錫すらも採れないらしい。 干上がってしまうのは困るということで、親方は早々に切り上げていった。 親方「そのおんぼろに油注しとけよ!」 パズー「はい!」 …と、待て。何か忘れてないか? 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 04:56:16.62 ID:k8crT+rT0 ちょうどそのころ… 海賊A「…だめだママ、真っ暗で何も見えないよ!」 船長「ちゃんと探したんだろうね!? …しょうがない。明るくなってから出直しだ!」 海賊が、あの時落ちていった飛行石を必死で探しているところであった。 海賊はまだ諦めずにシータの石を狙っているのだ。 だが異世界に来たキョン、ハルヒ、古泉、長門はそんなことも知らず、幸せそうに眠っていた。 ・ ・ ・ キョン「ん…?」 古泉「…ここは?」 俺達は、外から鳴り響いてくるラッパの音で目が覚めた。 キョン「古泉、ここは異世界なのか?」 古泉「ええ、なんでこのような場所にいるのかは定かではありませんが、おそらくここは異世界かと」 長門「異世界に来た私達をここまで運んでくれた人が…いる」 キョン「うお、起きてたのか長門。え、じゃあ俺達は今…」 古泉「自世界に来たシータさんと同じ立場、というわけですか」 キョン「じゃあ、ここまで運んでくれた方に感謝せねばな。ところでシータは?」 長門「…外」 キョン「ハルヒは…まだ寝てるか。じゃあ俺達だけでも外へ。お礼も言わなきゃならんし」 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 05:03:51.02 ID:k8crT+rT0 キョン「外…って上か!?」 高いところは苦手だ…だいたい窓から見下ろすだけでもかなりの高さなのに…なんという立地条件だよここの家は! 古泉「このはしごですかね?じゃあ行きましょうか」 キョン「待ってくれ。お前らが先に行け。俺はもう少し落ち着いてから行く」 古泉「…ふっ、わかりました」 は、鼻で笑うな!失礼なやつだ!さっさと行け!行ってしまえ! 長門「…」 キョン「あれ、お前は行かないのか?」 長門「…」 キョン「あの、長門?」 長門「…察して」 あ…そういえば俺ら制服だったっけ…長門はスカート…そういうことか。 キョン「わ、わかった…あとから来い」 別に覗こうとは思っていないが、長門がそういうんなら仕方が無い。 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 05:14:40.31 ID:k8crT+rT0 キョン「あぁ、上についたときが恐ろしいよ…って!?なんだ今の音!?」 なにか、下のほうで物が落っこちるようなバカでかい音が!? 長門「…確認してくる」 キョン「こ、古泉、今の音は…って!!!?」 た、たけぇよ!!おいおいおい、古泉はよく平気だな… 古泉「今の音は…下からしましたよね?」 キョン「ああ…長門が見に行ってくれたけど」 古泉「ここの下を見てください。レンガに穴が…」 キョン「誰か落っこちたのか…?って古泉!おま…!」 なんでお前はこんな高いとこでそんな行動力があるんだよ! 古泉「早くこちらへ」 キョン「うぅ…わかったよ…」 って、あいつ穴に飛び込みやがった! 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 05:22:10.48 ID:k8crT+rT0 俺にはそんな勇気はない!先ほど上ってきたはしごを下り、なんとか問題の場所へ… パズー「やぁ、気分はどう?」 な、なんだこの少年は…? シータ「あ、みなさん紹介します、この方はパズーと言って…」 長門「ここまで私達を運んでくれた…」 パズー「よろしく!さすがにこの人数を運ぶのは骨が折れたけどね!」 キョン「ありがとう。皆を代表してお礼を…」 ハルヒ「なんであんたが皆を代表するのよ?」 い、いつの間にか起きてきたのか、ハルヒがでしゃばり始めた! キョン「は、ハルヒ!お前は出てくるな!」 ハルヒ「こういうのは団長の私が言うべきでしょう? …ありがとう。あなたがいなかったら、今頃キョンを筆頭に全員あそこでのたれ死んでいたわ」 お、俺を筆頭にするな! 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 05:40:36.74 ID:k8crT+rT0 パズー「いや、いいんだよ。君達が無事でよかった」 パズーという少年は照れくさそうにハルヒから目をそらした。 シータ「…なにかしら…!?」 ハルヒ「ん?シータ、どうしたの?」 シータは窓の外を見て凍り付いていた。皆もそれに倣って窓に目をやると、一台の車が、家のすぐ前に止まっていた。 パズー「オートモービルだ!珍しいな!」 んん?確かにその程度の感想しか浮かばないと思うが、なぜシータはあんなにも驚いているのか? シータ「…あの人達、海賊よ…飛行船を襲った人たちだわ…」 キョン「なに!?あれに乗ってる奴らか!?」 パズー「シータを狙ってるの!?」 古泉「すばらしいタイミングで来ましたね」 長門「…逃げるべき」 ハルヒ「ちょっと、奴らがシータを狙ってるってどういうこと!?説明しなさいよ!」 キョン「説明はあとだ!今は逃げよう!」 パズー「早くこっちへ!」 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 05:51:31.25 ID:k8crT+rT0 シータに変装をさせ、すぐ家を飛び出す。しかし… 海賊B「うわ!?」 この程度の変装で、奴らにバレないなんてことは… 海賊B「待ちな!」 そーら来たぞ…あぁ、俺はもう知らんぞ!? パズー「な、なに?急いでるんだけど」 海賊B「昨日、ここらへんに女の子が来なかったかい?」 …え?どうやらばれてないようだ… パズー「昨日…来たかな…親方んのとこのチビのマッジが!」 海賊B「!?…この…行っちまえ!」 パズー「あい!」 古泉「やっぱりシータさんを狙ってるんですね!」 キョン「あれでバレないとは…」 パズー「とりあえず一難去っただけだ!早く安全な場所へ!」 ・ ・ 海賊C「おい、女の子の服だ!」 海賊B「なに!?化けてたんだ!く、くそ、お前はママに知らせろ!」 海賊C「あいよ!」 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 06:06:00.40 ID:k8crT+rT0 ・ ・ ・ 親方「…みかけねぇな」 海賊A「可愛い子でね。黒い髪のおさげをしてるんだ」 パズー「親方ー!親方ー!」 ん?パズー、親方って誰だ?あの向こうにいる白いスーツの奴らか? …そういえば、さっきの海賊もあんなスーツを着てたような…まさか! 海賊A「…ちょうどあのくらいの年頃でさぁ」 シータ「…!? きゃっ!」 って、シータ!? つまづいて帽子が…おさげが! 海賊A&D「!!??」 古泉「彼らも海賊のようですね…シータの髪を見て目の色を変えましたよ!」 海賊B「お前らー!その子だ、捕まえろ!」 げぇっ、関羽!? じゃない、さっきの奴だ!やばい、やっぱバレてたんだ! 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 06:35:58.28 ID:k8crT+rT0 海賊A&D「うぉおあぁあ!!!」 や、やばい、襲ってくる!だからと言って退くわけにもいかん! 海賊B「うおおおお!!!」 後ろからも来ている! 長門「…(ぶつぶつぶつ)」 キョン「ん…長門?」 海賊A&D「うぉお!…あ、あれ?」 海賊B「な…か、体が…!」 パズー「え?な、なにが?」 長門「彼らの周りの空間のみを…凍結させた。でも一時的なもの。すぐ戻る。逃げて」 キョン「な、長門、まさかお前一人でこいつらの相手をする気じゃないだろうな!?」 いくら対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェースだとしても、長門は女の子なんだ! 一人でそんな危ない目に遭わせるわけには! 古泉「わかりました。いきましょうみなさん」 キョン「な!?古泉、お前はそれでいいのか!?」 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 06:43:58.81 ID:k8crT+rT0 親方「そこのお嬢ちゃんも逃げな。ここは俺が請け負った」 そんなやり取りをしていると、いつの間にかデカい男が俺達の前に立ちはだかっていた。 長門「…」 パズー「俺も戦う!」 カーチャン「バカ言うんじゃない。相手は武器を持ってんだよ!?」 パズー「でも…!」 カーチャン「…いい子じゃないか。お前はその子を守っておやり」 パズー「…うん!シータ!みんな!こっちへ!」 結局、五人ともパズーの後に続いた。 ハルヒ「(な、なに?なになになに!?この大冒険はッ!!異世界!?海賊!?これはSOS団結成以来の快挙だわ!!!)」 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 07:16:03.69 ID:k8crT+rT0 海賊B「やっと元に戻った…体が動く…」 海賊A「そこをどいてもらおう」 親方「どく?ふざけんな、男なら拳骨で通れ」 海賊A「へへ…いい度胸だ…」 ・ ・ ・ ・ ・ どこまで走っただろうか?俺達は町を抜け、だだっ広い草原をひた走っていた。 キョン「はぁッ…パズー、ど、どこまで走るんだ?」 俺はそこにいる超能力者や対有機生命体ヒューマノイドインターフェースや体力女と違い、生身の人間だ。 正直…そろそろ肺がパンクしそうだ。でもシータはそこまで辛そうではない。 お、俺の体力がないだけかー!? 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 07:18:32.16 ID:k8crT+rT0 パズー「とりあえず海賊達から離れよう!奴らはかなり広い範囲でシータを探してる!」 ハルヒ「ねぇ!なんでシータはあんな奴らに狙われてるの!?説明しなさい!」 シータ「私が狙われてるんじゃない…私の持ってる…このペンダントを狙ってるの」 古泉「この石は何か不思議な力を持っている…。彼らからシータを守るために、僕らはこの世界に来たんですよ」 長門「…そう。ここは…シータの世界…」 そうだよな…あんまり実感が湧かないが、ここはシータの住む異世界なんだよな… 洋風の町並み。たくさんの自然。どう見ても日本とはかけ離れている… おまけに空を見れば変わった飛行機まで飛んでやがる…日本にはあんな飛行機ないぞ?いや、あれは飛行機というより戦艦? って、なんて馬鹿でかさだ!おまけにミサイルなんだの、物騒なものまで完全フル装備!だ、だれか銃刀法違反で取り締まれ! シータ「…!? 空を見て!あれは私が捕まって乗せられてた…」 古泉「軍艦…? シータさんを狙ってたのは海賊だけではなかったんですね」 パズー「…やばい!俺達を狙ってる!逃げろ!!」 キョン「うわぁぁあ!!もういやだ!元の世界に帰してくれぇぇ!!」 ハルヒ「…(わくわく)」 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 07:33:46.96 ID:k8crT+rT0 俺達が必死に逃げても、戦艦は上空からぴったりついてくる。 それでも振り切ろうと走っていると… は、発砲してきやがった!!?? キョン「うわ、まじかよ!人間相手にそれはないだろ!!!!」 古泉「いえ、でも当てる気はないようです。これは威嚇でしょう」 キョン「なんでお前はこの状況でそこまで冷静に分析できるんだ!?」 シータ「み、みなさんもういいです!私、飛行石を手放しますから!ここまで迷惑かけて、その上撃たれちゃったら私…」 古泉「なに言ってるんですか。それはあなたの物ですよ?それを平気で奪いに来るような人間に負けるわけにはいきません」 ハルヒ「そうよ!よくわからないけどそれはあなたにとって大事な物のはずでしょう!?」 お前ら…いい奴すぎて目から汗が出るよ。 うん、これは恐怖からくる汗ではない! 昨日今日出逢ったばかりのシータにここまで優しくできるお前らに不覚にも感動したんだ!うん! 決してビビッてるわけじゃな…いぃぃぃいいぃぃ!!!??? キョン「そ、そんなのアリか!?ミサイルだ!!!逃げろー!!!!」 ハルヒ「え…!? きゃぁっ!!??」 古泉「くっ…!直撃したら死にますよ!?」 長門「…当たり前」 どーん!!!!!!! 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 07:42:53.70 ID:k8crT+rT0 …ミサイルは遥か後ろに着弾したが、それによって巻き起こったすさまじい爆風により、俺達は空中に勢いよく投げ出された! あぁ…空を飛ぶってこういうことか… 背中が焼け付いたように痛い。もう汗で前が見えない。 そして、頭から地面に叩きつけられたと思った瞬間、意識はそこで途絶えた。 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 08:03:19.62 ID:k8crT+rT0 ?「…さい!」 ん?なんだ?誰の声だ? ?「…ください!」 な、なにを…? ?「…きてください!」 …どこに行けと? 古泉「起きてください!」 キョン「うわぁ!? …ん?なんだ、お前か」 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 08:05:20.26 ID:k8crT+rT0 上半身だけ起こして、周りを見渡す。石造りの部屋?なんか牢屋みたいだな、おい… それより、か、体がいてぇ…ここはどこだ?俺はなにを? 古泉「あのミサイルも、威嚇だったようですね。いや、あれは足止めでしょうか?」 キョン「ああ、思い出した…って、あのミサイルに当たって無事だったのか俺ら!?」 古泉「当たってはいないですよ。後ろで着弾したので」 なんだそうか…ホッと胸を撫で下ろす キョン「ところで、ここはどこだ?」 パズー「ティディス要塞だよ。僕らは軍に捕まったんだ。シータと一緒にいたからだと思う」 キョン「そうか…くそ、そういえばシータがいない…あれ?」 ハルヒはまだ気を失っているようだ…古泉、パズーは無事だし… も う 一 人 は ? 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 08:15:11.13 ID:k8crT+rT0 そうだ長門!あいつ、もしかしてあそこに置き去りに!? …いや、それはない…俺達を連れてきて、長門だけ連れてこないなんていうことはないはずだ。 古泉「おそらく、シータさんと長門さんは一緒でしょう」 キョン「な…シータはあの石の所有者だから、別なとこで取り調べっていうのもわかるが、長門は…」 古泉「わかりません…しかし、軍の狙いが石だけなら、僕らがやられたとき、石だけ持ってこればよかったはずです。わざわざ僕らまで連れて来る意味は無い」 キョン「な…じゃあ、軍の狙いは石だけじゃなく、シータも?」 古泉「ええ、おそらくは軍の目的は別にあり、その目的のために、シータさんとあの石が必要…と考えればつじつまが合いますね」 キョン「なんてこった…じゃあ、俺達は一体どうなるんだ…? おい、ハルヒ、起きろ!今大変なことになってるんだぞ!」 ハルヒ「んー?…もう、バカキョン…さっさと……むにゃ」 なんでこいつはこの状況でこんなに幸せそうに寝ていられるんだ!? 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 08:25:42.39 ID:k8crT+rT0 兵士「おい、お前ら!今すぐ外へ出るんだ」 パズー「シータとナガトはどこだ!?」 兵士「いいから来い!」 パズー「…くっ!」 古泉「…行きましょう、みなさん」 キョン「…わかった。おい、ハルヒ!」 ハルヒ「ん…?うるさいわね…!? え? ここはどこ!?」 キョン「いいから、行くぞ、起きろ」 俺達は兵士の後に続き、重苦しい廊下をひた歩いた。 すると急に兵士が立ち止まり、こちらに振り向きもせずに言った。 兵士「ここで止まれ!」 そうしてしばらく待っていると、そこに現れたのは… 世界史の先生によく似た眼鏡の男と、シータ、それに長門だった。 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 08:39:36.51 ID:k8crT+rT0 いきなりの兵士の登場にも驚いたが、これにはもっと驚いた。 さして抵抗もせずに、そこにいるのが当たり前かのように、シータと長門はそこにいた。 状況がつかめず、しばらくその場に立ち尽くしていると、シータと長門の横にいる男が口を開いた。 大佐「いやいや、悪かったね。まさか君らが海賊達の手からシータを守ってくれていたとは思わなかったんだ」 パズー「シータをどうする気だ!?」 大佐「どうもしないさ。ただ、少しばかり我々に協力してもらうだけだ」 そう言うと、その男はシータに視線をやり、すぐこちらに向き直った。 シータ「いろいろと迷惑ばかりかけてごめんなさい。私のことは忘れて。みなさん、今までありがとう」 パズー「シ、シータ?」 古泉「…長門さんはどうなんでしょう?」 キョン「そ、そうだ!お前らの目的は石とシータなんだろ!? 長門は関係ない!」 なのに、なんで長門、お前は黙ってるんだよ!! 大佐「いや、我々の目的は別のところにある。その目的のためにシータの協力とこの石を手に入れることが必要だったんだが…」 今度は長門の方に視線をやると、むかつくニヤケ笑いを隠しもせずに言った。 大佐「彼女にも、いろいろと協力してもらおうと思ってね。いや、二人とも物分りがよくて助かったよ」 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 08:52:52.72 ID:k8crT+rT0 キョン「長門…お前…」 パズー「シータ…」 シータ「ごめんなさい…」 長門「…」 キョン&パズー「ちくしょおおお!!」 ハルヒ「ちょ、キョン!?」 何も考えてないのに、体が先に動くとはこのことだ! ただ、見慣れたはずのいつもの長門の無表情な顔を見て、いきなり腹が立った! なんで長門があいつの協力に応じたのかはわからない! ただ、お前が言ってたシータの世界に迫っている危機ってのは… 間違いなく、今お前の隣りにいる男が引き起こすものだってことくらい、超能力者でも未来人でも対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェースでもない俺にだってわかるぞ! それなのに…お前は、そんな奴に協力するっていうのか!? そう考えると、もう落ち着いてはいられなかった! どうやらパズーも俺と同じ気持ちだったらしく、パズーはシータに、俺は長門に向かって突進した! 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 09:00:50.08 ID:k8crT+rT0 しかし… 兵士「お前ら、止まれ!」 俺の突進は軽々と兵士の手によって止められてしまった! だがパズーは兵士の手をすり抜け… パズー「シータ!!!」 大佐「君らも男なら、聞き分けたまえ!」 あの男によって押さえつけられた。 キョン「ちくしょう…!長門、お前…!」 パズー「シータ!!シータ!!!」 俺達の言葉むなしく、あの二人は… 長門「…」 シータ「…本当に…ごめんなさい!」 後ろに控えていたもう一人の兵士に連れられ、部屋へと入っていった…。 81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 09:13:38.81 ID:k8crT+rT0 パズー「…」 キョン「…」 大佐「砲撃の件だが、少々やりすぎではあった。すまない。これは少ないが、気持ちだ。とっておきたまえ」 その男は、うなだれているパズーに金貨を三枚ほど握らせると、あの二人に続いて部屋に入っていった。 ・ ・ ・ その後、俺達は釈放され、黙って要塞を出た。そうするしかなかった。 だが、その先どうすればいいかなんてことは、てんでさっぱりだった。 元の世界へ帰る?長門をおいて?第一、シータがいなけりゃ、帰れないんじゃないのか? じゃあ、シータと長門を奪い返すか?あいつらは自分の意思で奴らに捕まったっていうのに? パズー「…とりあえず…うちにおいでよ」 古泉「…そうですね。これからのことはそこで考えるとしましょう」 ハルヒ「あいつら…許せないわ!あんたたち!悔しくないの!? 私達SOS団の貴重な団員が奪われたのよ!?」 キョン「じゃあ、どうするっていうんだお前は!? あいつらにケンカ売るっていうのか!?」 ハルヒ「当たり前じゃない! パズー、家まで案内して! さっさと帰って計画を立てるわよ!」 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 09:31:29.55 ID:k8crT+rT0 黙ってパズーの後に続く。 皆も黙ってはいるが、語らずともわかる。気持ちは全員同じだ。 「長門とシータを奪い返したい」 だが、そんな方法、あるわけないじゃないか。 敵は軍隊だぞ? 軍事力だってバカにならない。 そんな奴らに、ただの高校生+αが勝てるはずないじゃないか…古泉やハルヒだって、撃たれりゃ死ぬだろうし。 そんなことを一人で考えているうちにどんどんと鬱になり、もう何も考えずにただ歩くことにした。 ・ ・ ・ パズー「ついたよ、こっちこっち」 もう着いたのか…いや、やっと着いたというべきなのか?時間が経っているという感覚がまるでなかった。 空を見れば、もう日は落ちかけていた。この世界にも、朝昼晩は存在するのか。 そんなくだらないことを考えながら、パズーに続いて家に入る…って!? ?「悪いが、借りてるよぼうや」 92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 09:50:04.88 ID:k8crT+rT0 そのばぁさんの一声により、周りにいた男達全員が俺達に飛び掛り、瞬く間に縛り上げられてしまった! パズー「なにすんだ!ここは僕の家だぞ!」 ドーラ「娘っ子一人守れない奴がなにを偉そうに」 な、なんて下品な飯の食い方をするんだこのばぁさん! テーブルに足を乗っけるな!ラッパ飲みするな!ハムにナイフをぶっ刺して食うな! ってか、散らかりすぎだ!こいつらが掃除をして帰るとは思えんし…パズーが掃除するんだぞそれ! パズー「…なんでシータがさらわれたってことを知ってるんだ」 ドーラ「決まってるさね、お前達が奴らにさらわれるところを見たのさ」 そう言うと、そのばぁさんはハムを勢いよく食いちぎった。 ドーラ「それで結局あいつらに言いくるめられて、おめおめ帰ってきたわけかい?かーっ、男がそろいもそろって情けない」 な、なんだと?このばばあ!てめぇらだって海賊で、シータを狙っていたくせに! ドーラ「大事なら、なんで取り返さない!」 パズー「えらそうに言うな!お前達だってシータを狙っていたじゃないか!」 ハルヒ「そうよ!このばばあ!」 そうだそうだ!いいぞ、もっと言ってやれ! ドーラ「それは当たり前さね。海賊が宝を狙ってなにが悪いってんだい」 古泉「宝…?」 古泉が不思議そうに尋ねると、ばぁさんは目を丸くして言った ドーラ「お前達、まさかとは思うが、ラピュタのことを知らないであの小娘に付き添ってたのかい?」 109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 10:17:46.83 ID:k8crT+rT0 大佐「君はラピュタという王国の話をご存知かな?」 シータ「ラピュタ…?」 その男…自らをムスカと名乗った男は、シータと長門をある部屋に案内した。 ムスカ「そう、700年前に滅びたがね」 ムスカはその部屋の中心部に安置されている不気味なロボットに視線を移した。 ムスカ「その王国は、卓越した科学力で王国を空に飛ばし…地上を支配した」 長門「…」 ムスカ「だが、先ほども述べたとおり、700年前に突如滅びてしまった…原因はわからない」 ムスカはロボットから目線をシータに戻した。 ムスカ「だが、その科学力と無数の宝だけは、今もどこかでこの空をさまよっているのだ。それを探すのが、我々の目的なのだよ」 シータ「それを探すのに、私の石が必要なの?」 ムスカ「…君は本当に何も知らされてないようだ」 そう残念そうに呟くと、ムスカはシータに歩み寄った ムスカ「君の本当の名前は、リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ。かつて存在したラピュタの王族なのだよ」 128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 10:36:15.93 ID:k8crT+rT0 シータ「リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ…?」 ムスカ「そう。そして君のもつ飛行石が、シータを、我々をラピュタへと導いてくれる」 そういって、ムスカは今度は長門の方に視線を移した。 ムスカ「では、次は君に質問だ。私の部下が君らを捕らえようとしたとき…君は一体なにをしたのかね?」 長門「…口で説明できるものではない。理解もできない」 ムスカ「…生意気なことをいうじゃないか」 ムスカは長門の態度が少し癪に障ったのか、今度は強い口調で言った。 ムスカ「言え!あの時の部下の様子はおかしかった。あの時抵抗したのは君だけだ」 長門「…」 ムスカ「…君は魔術師か?どうして人間の動きを自在に止められる?」 長門「…口では説明できない」 ムスカ「それの一点張りかね? またいつでも彼らを捕らえることはできるのだぞ?」 長門「…」 ムスカ「そのときも、私が彼らを無事に帰すという保証はないぞ」 そう吐き捨てると、ムスカは控えていた兵士に言った。 ムスカ「彼女達を部屋に案内しろ。丁重に扱うように」 134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 10:44:18.05 ID:k8crT+rT0 ちょうどそのころ自世界では… ・ ・ ・ みくる「はわわ〜…どうしてみんなこないんですかぁ〜?」 ・ ・ ・ みくる「今日は日曜日じゃないですよ〜」 ・ ・ ・ みくる「せっかく美味しいお茶買ってきたのに…」 ・ ・ ・ みくる「もうー!全部私が飲んじゃいますからね〜」 ・ ・ ・ みくる「…はぅ」 144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 11:01:34.85 ID:k8crT+rT0 …こうするよりなかった。 彼の協力を拒んだら、あの人達は確実に殺されていた。 私の仕事は涼宮ハルヒを観察し、入手した情報を統合思念体に報告すること。 観察対象が殺害されるのは望ましいことではない。 それに…一般人である彼を巻き込んだのは私達。 絶対に死なせるわけにはいかない。 シータ「ナガトさん?」 長門「…なに?」 シータ「いえ、なんでもないの。ただ、思いつめた顔してたから…」 長門「…そう」 シータ「…」 長門「…」 シータ「そういえばね、古くから伝わるおまじないがあるの」 長門「…おまじない?」 シータ「ええ…つらいときや悲しいとき、この呪文を唱えると元気になれるってお母さんが…」 長門「…」 シータ「リテ・ラトバリタ・ウルス・アリアロス・バル・ネトリール…」 149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 11:14:33.98 ID:k8crT+rT0 シータ「きゃあ!?」 長門「…!?」 そのおまじないを唱えた瞬間、シータの石が激しく輝き始めた! シータ「な、なに…これ…」 長門「…」 そのときムスカが異変を察知し、部屋に入ってきた。 ムスカ「…!? おぉ…この光こそ…聖なる光だ!!」 ムスカは興奮も隠さず、シータを問い詰めた。 ムスカ「どんな呪文だ!? 教えろ、その呪文を!!」 そのとき、この要塞のどこかで爆音が鳴り響いた。 166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 11:45:24.07 ID:k8crT+rT0 ら…らぴゅた?なんだそりゃ? パズー「ラピュタ…あのたくさんの財宝が眠ってるっていう…」 ドーラ「そう、あたしゃそれを狙ってるんだ。でも、肝心な場所がわかりゃしない」 ばーさんはつまらなそうに言うと、さらに続けた。 ドーラ「そしたらあの小娘の持ってる石が、ラピュタの方角を指してるっていう話じゃないか。だから石が欲しかったんだよ」 古泉「…今からその石を奪いに行くおつもりですか?」 ドーラ「あったりまえじゃないか! そろそろ… !?」 キョン「うわ!?」 な、なんだこのばばあ!? テーブルの上の食料を勢いよく払い落としたかと思ったら、なにやら怪しげなメカを!? 海賊A&B「あぁ、もったいないもったいない…」 お前らはあれだけ食っておいて、まだそんな食い意地をはるのか! ドーラ「…暗号を変えたね?でも無駄だよ… !? 戦艦を呼び寄せたな?」 なにやら一人でぶつぶつ呟くばーさん。そして… ドーラ「お前達いつまで食ってるんだい!? さっさと行くよ!」 必死で拾い食いにいそしんでいる部下を二人怒鳴りつけ、支度を始めた。 172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 12:04:39.64 ID:k8crT+rT0 パズー&キョン「ちょ、ちょっと待ってくれ!」 え?ハモった?二人で顔を見合わせる。 ドーラ「なんだい? もうお前達に用はないよ? あの小娘がさらわれたっていう事実を確かめるために、あたしゃお前達をここで待ってただけなんだからね」 キョン「そちらにはなくても、こちらにはあるんだ」 このばーさんはなにやら意味深な笑みを浮かべると、俺をにらみつけた。 ドーラ「どうせあの小娘を助けたいっていうんだろう?ばかばかしい、そういうのは自分の力でやるもんだ。あたしらは手を貸さないよ」 キョン「シータだけじゃない!もう一人捕まっているんだ!」 ハルヒ「キョン…」 キョン「宝なんて、石なんてどうでもいい。ただあいつらを助けたい。でも、俺達だけじゃ力不足だ」 こんなばばあに頭を下げるのはプライドが許さないが、この際仕方が無い。 なんとかこの海賊共の手を借りることができれば、あいつらを助けてやれるかもしれない…! キョン「頼む!一緒に連れてってくれ!力を貸してくれ!」 古泉「彼女達は友達なんです」 ハルヒ「あいつらは一度ぶん殴っておかなきゃ気がすまないわ!」 パズー「僕も…シータを助けたい!」 174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 12:05:44.47 ID:k8crT+rT0 ドーラ「…(確かに、こいつらを連れていけば、小娘も言うことを聞くかもしれないね)」 ばーさんは俺達に近寄ると、脅すように言った。 ドーラ「二度とここへは帰れないよ!」 パズー「わかってる!」 ドーラ「あんた達も…覚悟の上かい?」 キョン「…ああ!」 古泉「ええ」 ハルヒ「当たり前じゃない!わかったらさっさとこの縄を解きなさい!」 ドーラ「…いいだろう…」 ばーさんは俺達の縄を手際よく解くと ドーラ「40秒で支度しな!」 威勢よく俺達に怒鳴った。 179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 12:17:32.27 ID:k8crT+rT0 そのころ自世界では… ・ ・ ・ みくる「…」 ちゅるやさん「やっほー!あっそびにきたよん!あれれ?みくるだけかい?」 みくる「…鶴屋さん」 ちゅるやさん「あちゃー、ブルーモードかい? そういえば他のみんなは?」 みくる「…」 ちゅるやさん「あらら、行方不明かい? だから元気ないんだね!」 みくる「…べ、べつにみんながいないから寂しいってわけじゃ…」 ちゅるやさん「わかってる!じゃあ、せっかくだから一日SOS団の団員になっちゃおっかな!」 みくる「え………だ、団長は私ですよっ」 ちゅるやさん「じゃあ団長!指示を!」 ・ ・ ・ 184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 12:31:44.40 ID:k8crT+rT0 そして俺達は、ドーラ一家の見習い海賊として… キョン「うわああああ!!も、もっとスピード落とせないんすか!」 ルイ(ドーラ家の次男)「うるせーな、いやなら飛び降りろよ」 キョン「んなむちゃなっ!…うわああ!!」 シータ&長門を救出すべく、フラップターと呼ばれる飛行機に乗り、要塞へと急いでいた。 ドーラ「なさけないね!こんなんじゃ、連れてこないほうがよかったよ!足手まといだ!」 ハルヒ「きゃー!もっと飛ばして!ねぇあんた!もっとスピード出しなさいよ!」 シャルル(ドーラ家の長男)「これ以上は無理だよ!ママに起こられちまう!」 お、おまえはこれに遊び感覚で乗っているのか!? ふ、ふざけんな!狂気の沙汰じゃねぇ… 古泉「これは快適ですね」 アンリ(ドーラ家の三男)「だろ?父ちゃんの発明なんだぜ!」 …というか、なんでこいつらはすでに海賊共と打ち解けているのだろうか… 191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 12:41:51.31 ID:k8crT+rT0 ドーラ「要塞が見えたよ!総員警戒しな!」 シャルル「ママ!要塞が燃えてる!」 ドーラ「そんなことわかってるわバカ息子!攻撃してるのはどこのどいつだい?」 なんと、難攻不落と言われてもおかしくないよーなあのティディス要塞が…何者かの攻撃を受け、燃え盛っている!これは一体…? ドーラ「戦艦だ!!チッ、厄介だね!」 ルイ「でも、俺達には気づいてないよ!」 ハルヒ「…!? ねぇ、見て、あの塔の上!」 キョン「な、なに?塔の上…? …うぁ!?」 人影が見える…あ、あれは…長門とシータ!? 202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 13:00:30.30 ID:k8crT+rT0 …なんでこんなことに? 私はおばあちゃんに教わったおまじないを呟いただけなのに… なんで、こんなことになっちゃってるの? 建物が燃えて、人がいっぱい死んで…私のせい? ムスカ「ロボットは塔の上のシータを狙っている。彼女を傷つけるな!」 こうして、ロボットが近づいてくる…あなたも私を狙ってるの? 長門「…その子、あなたに会えて、喜んでる」 シータ「…え?」 長門「会えてうれしいって…」 203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 13:01:24.34 ID:k8crT+rT0 ナガトさんの言ってることは、よくわからないけど、ホントだ…敵意を感じない。 ロボットが、手を伸ばしてくる。何か私に伝えたいみたいだけど…わからないの。ごめんね… だから、伸ばした手に触れる。手だけでも握ってあげる。そのとき… シータ「…えっ!?」 ロボットの胸のマークが私の石に反応した。私とロボットは、その光で繋がっていく… 長門「…あぶない!」 シータ「…え?」 すると、ナガトさんが私を突き飛ばして… 突き飛ばされた私とすれ違いで、ロボットは大砲の一撃を真正面から受けた。 209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 13:10:54.46 ID:k8crT+rT0 シータ「ナガトさん!?」 長門「私は…大丈夫…でも…怒ってる…」 シータ「怒ってる…?」 長門「その子…怒ってる…だめ…やめて」 ナガトさんは、ロボットをなだめているようだった。 ロボットは胸が大きくへこんでいたが、壊れてはいない。 そして、ゆっくりと立ち上がる。そのとき… 長門「…だめ!」 シータ「え…?」 ロボットから一筋の閃光が走った。 すさまじい破壊力。ロボットから放たれた閃光は熱線となり、要塞をさらに焼き尽くす。 また要塞が燃える。人が死ぬ。もう、見て…いられない! シータ「やめてー!!!」 ロボットに懇願する。しかし、止まらない。ロボットは止まらない。 まるでシータを、我が主を守るかのように。ロボットは、あたりを焼き尽くしていく。 そして… ?「シータぁぁぁ!!!」 シータは、誰かの声を聞いた。 214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 13:24:46.11 ID:k8crT+rT0 パズー「おばさん!シータだ!」 おばさん「船長とお呼び!…な、なんだって!?」 …ホントだ。塔の上の人影。アレは間違いなくシータと長門! そして、まるで要塞を焼き尽くさんとばかりに攻撃しているのは… 古泉「あのロボット、要塞をこの世から消すつもりなのでしょうか?」 ドーラ「まぁそれはいい、あたしらの目的はあの石だ!厄介になるうちに早いとこ奪い返しちまうよ!」 フラップターを加速させながら、ドーラは言った。 ドーラ「あんたはどうするんだいぼうや?あたしらはあの小娘しか救う気はないよ!ここまで連れてきてやったんだ、あとはぼうやがなんとかしな!」 キョン「く、そんなことわかってるさ!」 だが、どうする!? どうする!? どうやって長門を救い出す?あの状況で! ドーラ「ぼうや、あたしは聞いたよ。覚悟の上かい?ってね。あのときの返事はうそだったのかい?」 …俺の…覚悟… そのドーラの言葉が効いたのか、俺の中でカチッとスイッチが入った気がした。 キョン「…ルイ…」 ルイ「あん?どうするんだい?ママがああいうなら俺は…」 キョン「加速してくれ。すり抜けながらかっさらう!」 228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 13:43:18.83 ID:k8crT+rT0 ドーラ「ほう、いい度胸じゃないか。ほら、あんたはどうするんだい!」 パズー「僕も同じだ!おばさん、加速して!」 おばさん「船長とお呼び!」 さらに加速するドーラのフラップター! ルイ「…あんたがそうしろっていうんなら、加速するぜ。今更怖気づくなよ!」 キョン「わ、わかってるさ!」 そして俺もパズーに追いつくが如く加速し…ってこえぇぇぇえぇえ!!! ゴ、ゴーグルがなけりゃあ死ぬぞこれ! パズー「シータぁぁぁ!!!」 シータ「パズー!?」 長門「…」 230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 13:44:15.34 ID:k8crT+rT0 ドーラ「さぁ射程距離に入ったよ!しっかり捕まえな!」 パズー「はい!」 ドーラの一言で、パズーは手すりに足をひっかけ、逆さにぶら下がった! な、なんちゅうアクロバティックなことを!難易度まさにウルトラC! ルイ「うほー、やるじゃねぇかあの小僧。ほれ、あんたはどうすんのよ?」 キョン「ち、ちくしょう、み、見てろ!俺の覚悟を!!!」 俺もパズーに倣うように、勢いよく手すりに足を引っ掛け、そのままぶら下がり… ってうわぁあぁあぁああ!!! こ、これはきつい!!! ちょっと間違って足滑らしたら死だぞ!? これほど天国が垣間見える体勢になったことが、未だかつてあっただろうか! ハルヒ「キョン…そこまで有希のこと…」 古泉「ちょっと…嫉妬しちゃいますね」 ドーラ「さぁいくよ!さっさとかっさらいな!!」 パズー「シータぁぁぁ!!!」 キョン「長門ぉぉぉ!!!」 237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 13:56:03.52 ID:k8crT+rT0 もう、恐怖で長門しか見えない! 下を向いたらどんな状況になっているか、それを確認するのが怖いんだ! …で、なんで長門はこの状況で相変わらず無表情なんだ!? 俺がここまで命賭けてるんだから、もっと… 長門「…」 わ…笑った?ってそんな場合じゃねぇ!失敗したらお陀仏だぞ!集中力ってのはこういうときに使うために存在するんじゃないのか!? キョン「うぉぉおぉおぉおお!!!」 あぁ…長門が近づく…長門の顔が、あんな目の前に…そして… 俺は、死を覚悟した。 242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 14:03:08.30 ID:k8crT+rT0 だが… 長門「…」 う、うそみたいだ…俺の手には確かな人間の感触がある! お、俺は長門をかっさらうことができたのか…? ルイ「やるじゃねぇか兄ちゃん…見直したぜ」 なんか声が聞こえるが、そんなのはどうでもいい!今だけは、一人で感動に浸させてくれ! 長門「…ありがとう」 だが…この声だけは無視できなかった。距離が近い分、直接脳に響いた。 キョン「あ、ああ…うん、まぁ、無事でよかった、よ?」 …うう、なんで俺はこんなにドキドキしてるんだ? ああ、当たり前か!だって俺はこーんな高いとこから逆さに吊るされて…って下見ちまったじゃねぇか!!! というか俺はいつまでこの体勢でいなければならんのだー!!! 249 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 14:22:47.86 ID:k8crT+rT0 ドーラ「ひひひ、まずまずだ。じゃあずらかるよ!お前達!」 息子達「了解!」 そして俺は、なんとか長門と共に「極めて安全な体勢」でフラップターに乗っかっている。 見たところ、シータもしっかりパズーに助けられたようでこれはハッピーエンドということでいいのか…ってなんだ今の音は!? ドーラ「!? 何事だい!?」 古泉「あのロボットが、戦艦によって狙撃されました」 ドーラ「どうやらあのロボットを始末させるための戦艦だったようだね。あのロボットが奴らの注意をそらしてくれたおかげで、仕事がやりやすかったよ」 シータ「…」 ドーラはそう言うと、カラフルな煙を戦艦に向かって撒き散らしながら、Uターンした。息子達もそれに倣う。煙幕である。 こうして、何とか海賊見習いの俺達は、無事シータと長門を助け出すことに成功したわけだ。 だがそこまでが海賊見習いの限界で、誰もシータの胸に飛行石がないということにまでは気がつかなかった。それは、本人でさえも。 254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 14:36:14.96 ID:k8crT+rT0 …ひどい有様である。 まさか、あのロボットがここまでの戦闘能力をもつ怪物だとは思わなかった。 だが一番の油断は、その怪物を簡単に蘇らせるほどの力を、シータが隠し持っていたことである。 シータに本名を告げたとき、彼女は本当に何も知らされていないようだった。それが油断を生んだのだ。 おかげで、シータも飛行石も海賊共に奪われ、またラピュタ探索が白紙に戻り… ムスカ「…!? これは、飛行石か?」 どうやら、まだ運は我々に残されているようだ。 ムスカ「…主がいなくとも、光を失わない。まっすぐにラピュタの方角を指している」 これなら、あの娘は必要ない。我々だけで、ラピュタ探索は可能だ。 ムスカは側近の一人に言った。 ムスカ「皆に伝えろ。ラピュタの探索を開始する」 266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 15:08:34.43 ID:k8crT+rT0 ドーラ「あ、あんた飛行石をなくしたのかい!」 シータ「…ごめんなさい、せっかく助けてもらったのに…」 シータの飛行石がないという事実は、ちょうど日が昇ってから判明した。 ドーラは驚いている。当たり前だ。彼女にとって、シータに飛行石がないんじゃフリスクの入ってないケースだけのフリスクを買わされたようなものなんだからな。 …って、改めて考えると…それって…俺達にとっても…やばいんじゃないのか? も、元の世界に帰れねーだろ!!! ドーラ「なにやってんだいあんたは!大事なもんならちゃんと持っておきな!…もういい、あんた達は用なしだよ!」 シータ「まって、でもあの光の指した方角は覚えてる…」 え、えぇ!? なんちゅー記憶力!あの状況において、そんな不確かなもんを覚えてるなんて! ドーラ「なに!? …それは確かなんだろうね!」 シータ「ええ、もちろんそれは教えるわ。でも一つ条件があるの」 ドーラ「…条件だって?なんだい、言ってみな」 シータ「私達を海賊団に入れて。いえ、ずっとじゃなく、ラピュタにたどり着くまででいいわ!」 ドーラ「な、なんだって!!??」 268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 15:16:09.70 ID:k8crT+rT0 …こ、これにはその場にいる全員が驚いた。シ、シータはなにが目的なんだ!? シータ「私…ラピュタを見てみたいの。パズー、あなたも言ってたじゃない。お父さんの言ってることが本当だってこと、証明するって」 パズー「そうだけど、でもシータ…」 シータ「みなさんも、ラピュタにたどり着ければ、元の世界に帰れるかもしれない…いえ、帰れないとしても、何か手がかりがあるかも…」 …うーむ、その可能性は低いと思うが、無くした飛行石を探すよりはいいだろう。 ハルヒ「いいじゃない海賊!私はこういう冒険を待っていたのよ!ぜひ乗せてもらいましょう!」 もちろんコイツはこんなテンションだし…はぁ。 キョン「仕方ない。俺からも頼む」 ハルヒ「さすがキョン!話がわかるわ!」 ハルヒはよろこんでいるが、俺はそう素直にはよろこべない。 俺はホントな海賊になんてなりたくない。一時的にしたっていやだ。 だって、あの船を見ろよ…見るだけでおんぼろだってわかるぞ…? あれじゃいつ落っこちるかわかったもんじゃない! そんな船に乗って、しかもラピュタなどというわけのわからない、あるかどうかもわからないもんを探しにいくなんて! ドーラ「…仕方ない、あんたがいないとラピュタにたどり着けないんだ。承諾するしかないだろうね」 シータ「よかった!それなら…」 ドーラ「だが、あんた達。元の世界っていうのにあたしゃ引っかかるんだけど、どうだい?」 キョン「う…」 や、やっぱ話さなきゃいけないのかー!? こんな笑い話ともとれる真面目な話を! 270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 15:26:19.44 ID:k8crT+rT0 まぁ、その俺達の珍妙な体験は、古泉がうまくまとめて説明してくれた。 そしてドーラの反応は… ドーラ「ふん、信じられん話だが、ラピュタなんていうおとぎ話を信じているあたしだ。これも信じるしかないようだね」 と、思ったよりすんなり信じてくれたらしい。 ハルヒ「じゃあ、私達この船に乗れるのね!」 あー…目を輝かさないでくれ。そんないいもんじゃないぞ?これ…。まぁ、俺が言うのもなんだが。 ドーラ「仕方ない、さっさと乗り込みな!さっさと出発するよ!」 そう吐き捨てると、ドーラは一人で飛行船に乗り込んで行った。 そしてハルヒも意気揚々と後に続く。 パズー、シータもその後に。 それで古泉は…? 古泉「…? 行かないんですか?」 ああ、俺を待ってたのか?ち、ちくしょう…そんな見張ってなくてもちゃんと乗り込むよ… こうして俺達は、ラピュタまでという一時的なものだが、ドーラ海賊団の雑用として、このタイガーモス号に乗り込んだのであった。 277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 15:39:24.80 ID:k8crT+rT0 ドーラ「すぐに出発するからね!シータ、あんたはあたしと来な。方角を教えてもらうよ」 シータ「はい!」 キョン「なぁ、俺達は…」 ルイ「お前等はこっちだ」 ん?さっそく雑用か…? しかし、やらざるを得ないだろう。そういう条件でここに乗せてもらってるわけだし。 古泉「仕方ないですね…いきましょう?」 キョン「あ、あぁ…」 ハルヒ「あ、待ちなさいキョン!」 ハルヒも俺達についていこうとするが、シャルルに呼び止められた。 シャルル「ほら、お嬢ちゃんはこっちだ。来な」 ハルヒ「…わかったわよ」 なぜか不機嫌そうに、ハルヒはシャルルについていった。 291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 15:51:30.65 ID:k8crT+rT0 シャルル「ほら、ここがお前の仕事場だ」 このおっさんに連れられて案内されたのは… ハルヒ「うげ!こ、ここゴミ箱?」 シャルル「厨房だ!お前にはここの掃除をしてもらう。ついでに料理も」 ハルヒ「掃除!? な、なに言ってんの!?こんなの人間の住む世界じゃないわよ!それにりょ、料理まで!?」 シャルル「そうだ。じゃあさっさとやれよ」 …行っちゃった。なんなのよ、もー! こんなとこ掃除させられるなんて聞いてないわよ!そ、それに料理まで!? あーもう!急に帰りたくなってきたわ! …で、でもやるしかないのね…はぁ。 ハルヒ「ま、まずはごみを全部袋まとめて…ふ、袋はどこかしら?…あいたっ!な、なんでこんなところからナベの取っ手が突き出てるのよ!」 ・ ・ ・ シャルル「…(な、なんか…)」 アンリ「兄ちゃん、なに覗いてんだ?」 シャルル「うは!? い、いやなんでもねぇ!」 296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 16:03:29.73 ID:k8crT+rT0 ルイ「ほら、ここから入れ」 俺達がルイに案内された場所は… 古泉「…ここはエンジン?」 ルイ「そうだ。じっちゃん?じっちゃーん?」 じっちゃん「なんじゃ?想像しい」 パズー「うわ!」 な、なんだ…?このもぐらたたきみたいにひょっこりでてきたじじいは! ルイ「ごにょごにょ(じっちゃんだ。ママよりおっかねぇから、気をつけろ)」 そ、それはすごい… ルイ「じっちゃんが欲しがってた雑用だよ。三人」 じっちゃん「そうか!じゃあいろいろ頼ませてもらおうか!このおんぼろエンジン、今日はとびっきり親不幸でな」 古泉「ええ、遠慮なくなんなりと申し付けてください」 じっちゃん「当たり前じゃ!じゃあ早速…そこのお前!」 キョン「うぇ、お、俺ですか?」 じっちゃん「他に誰がおる!お前には…」 1、外に出て、外部の補強をしてもらおうか 2、わしの今やってる作業の手伝いをしてもらおうか 3、腹減った。なんか厨房で作って来い 安価 >>300 300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2007/06/17(日) 16:04:41.24 ID:fjKMR/uf0 3 307 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 16:10:14.18 ID:k8crT+rT0 じっちゃん「腹減ったな…なんか厨房で簡単なもんつくってきてくれ」 キョン「お、俺がですか!?」 じっちゃん「だからお前に頼んどるんだろうが!そこの兄ちゃんは外部の補強、そこの小僧はわしの手伝いじゃ。さっさとせんか!」 古泉「ええ、わかりました。しかし、いったいどうやれば?」 じっちゃん「チッ…ルイ!手が離せねぇ。兄ちゃんにやり方教えてやってくれ」 ルイ「補強って、この前兄ちゃんが酔っ払って運転して、山にぶつかったときのアレか?」 じっちゃん「そうじゃそうじゃ!じゃあ任せたぞ!」 古泉「はい…では、ご指導よろしくお願いします」 ルイ「おう、じゃあついてこい」 ・ ・ ・ じっちゃん「お前もさっさと行かんか!わしの腹が悲鳴あげとるのがわからんのか!」 キョン「は、はいぃ!」 く、くそ!どうなっても知らんぞあのじじい! 311 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 16:21:01.54 ID:k8crT+rT0 キョン「…はぁ…」 おいじじい!俺は料理ができない!できないんだぞ!こらー! …と、ひとしきり頭の中で叫んだところで、仕方なく俺は厨房に歩き出した。 って、厨房ってどこだおい! まだ全然船の中案内されてねぇよ俺達! 仕方ない…あそこでなにやら不審な動きをしている二人組に聞くとするか。 キョン「あのー、すみませんが厨房は…」 アンリ&シャルル「あひぃ!?」 キョン「うわっ!?」 シャルル「な、なんだ小僧!ざ、雑用はどうした!」 キョン「ああ、その件なんですが、エンジンのとこにいるおじいさんが空腹だということで、俺が食事を作りに来たんですよ」 シャルル「そ、そういうことなら…厨房はここだが、今入ったら…」 ん?今入ったらなんだっていうんだ? キョン「? まぁ、ここですね?入りますよ?」 まったく…なんなんだ一体?ってうわぁあぁ!!! ハルヒ「またあんた達!!??手伝いなら要らないって言ってるでしょうが!!!…って、キョン?」 へ、部屋に入った瞬間、おたまで脳天を強打された!!! 314 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 16:28:19.52 ID:k8crT+rT0 ハルヒ「…だからごめんって謝ってるでしょ?」 キョン「まったく…この世界のどこに来訪者の脳天をいきなりおたまでぶったたく奴がいるんだ!」 あー、いてぇいてぇ…。たんこぶできてないかー?これ…って何か忘れてないか?まさかさっきのおたまで記憶がブっ飛んだんじゃ… キョン「あー、そうだ!じいさんに飯作らないと!!」 ハルヒ「きゃぁ!? …い、いきなり叫ばないでよ!ところでじいさんって?」 キョン「エンジンのとこにいるんだよ、おっかないじっちゃんが!その人になんか食い物つくれって頼まれてるんだが…」 ハルヒ「そう…で、なによ?なによその期待したような目は!」 1、ハルヒ!作ってくれ! 2、…いや、自分でなんとかする 安価 >>318 318 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 16:29:06.66 ID:H/rvHeYH0 1 324 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 16:33:51.35 ID:k8crT+rT0 キョン「ハルヒ!頼む!食えるもんならなんでもいい!作ってくれ!」 俺は、その瞬間まさに光速とも呼べる超スピードで、ハルヒに頭を下げた! …ハルヒに頭を下げるのって、初めてじゃないのか? ハルヒ「ひゃっ!? …い、いきなりなに言い出すかと思えば、ばっかじゃないの!あたしは今ここの掃除して…」 キョン「頼む!俺には飯は作れないんだ!でも今更あのじいさんにそんなこと言ったら、なにされるか…!」 ここでじっちゃんに謝りにいくくらいなら、さっきのおたま1000発食らうほうがいい! ハルヒ「…そ、そこまでいうなら…つくってあげても…いいけど…」 マ、マジで!? 自分で頼んでおいてなんだが、まさかホントにつくってくれるとは! ハルヒ「でも、たいした食材ないし、あんまり豪勢なものは…」 キョン「それでいい!頼む!」 ハルヒ「わ、わかったわよ…じゃあ、あんたはあたしが作ってる間、掃除でもしときなさい!」 キョン「わかった!なんでもする!」 …ふう、これでなんとか難は逃れられそうだ… 327 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 16:42:41.78 ID:k8crT+rT0 ルイ「…じっちゃん、終わったぜ外装の補強。この兄ちゃんけっこうスジがよくてな。気に入ったぜ」 古泉「それはどうも」 じっちゃん「おー、そうか、ならあとはこっちのエンジンだけだな…ルイ、ドーラに伝えてきてくれ。こっちはなんとかなるってな」 ルイ「あいよ」 じっちゃん「小僧、そこのレンチ取ってくれ」 パズー「あい!」 じっちゃん「ああ、そこのドライバーも…あ、もう兄ちゃんは行っていいぞ。出発まで休んどきな」 古泉「そうですか、ではお言葉に甘えて」 ・ ・ ・ 古泉「さて、休めとは言われましても、どこで休めばいいのやら。まぁ、仲間達の様子でも見に行きましょうかね? 1、シータさんはどうしてるでしょう? 2、そういえば、長門さんは? 3、キョン君…なにしてますか? 安価 >>340 340 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 16:45:59.75 ID:Ie25kw6j0 2 348 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 17:01:22.03 ID:k8crT+rT0 古泉「そういえば、長門さんはどこでしょう?」 全員、この船に乗り込む際それぞれ雑用を言いつけられたと思いますが… 長門さんは、どこでなにをしてるんでしょうかね? ・ ・ ・ ?「でさぁ、そこで俺は言ってやったんだよ!」 古泉「…ん?なにやら楽しそうな声が聞こえますね?」 長門さんを探しつつ、船内を散策してた僕は、なにやら話し声のする場所に行き当たりました。 古泉「どれどれ…?」 都合よく窓があったので、覗き込んでみると… 海賊A「シャルル、それは鳥のフンだ!ってな!!」 長門「…」 海賊B「ぎゃっはっはっはっは…はっは…はっ…あれ?」 海賊C「だめだめ!お前の話なんかじゃだめだ!ここは俺の抜群のトークで…」 古泉「なにしてらっしゃるんですか?」 海賊A「うわぁ!? 船長すみませ…って、なんだ新入りかよ…」 古泉「驚かせて申し訳ありません。なにやら楽しそうな声が聞こえたもので。ところで長門さんはここでなにをしてらっしゃるんですか?」 長門「…お話」 古泉「お話…?長門さんは雑用を言いつけられてはいないんですか?」 私達は雑用ということでこの船の乗組員になったはず。それなのに長門さんだけ用事を言いつけられていないとは。コレは不思議ですね。 349 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 17:02:45.80 ID:k8crT+rT0 海賊B「いやぁ、あんた達が行っちまった後、なぜかこの子だけがポツンと取り残されてたんだよな」 海賊C「そこを俺が話でもしようぜって声かけたら、付いてきたもんだからよ」 海賊A「いつの間にかこんなことになってたってわけ。この子、全然笑わないもんだからさ、誰が一番早くこの子を笑わせられるかっていう…」 海賊C「しかもトークだけでな?体使って笑わせてもいい、なんてことになったら、お前の圧勝だもんな?ほら、あの時の裸踊り…あれは傑作だったぜ」 海賊B「そ、その話はもう言わない約束だ!酔ってて記憶がまったくないんだよ!」 ははぁ、まぁ要するに長門さんをナンパした、と。そう解釈した方が楽でしょう。 海賊B「ま、まぁ、あんたはこの子を連れにきたんだろ?あんまり遊んでると船長に叱られるし、この程度でやめるよ」 古泉「いえ、そういうわけではないんですが…」 でも、長門さんが立ち上がったので、まぁ一緒に部屋から出ることにしました。 ・ ・ ・ 古泉「…長門さん?彼らの話は、どうでしたか?」 長門「…ユニーク」 361 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 17:14:59.63 ID:k8crT+rT0 キョン「すばらしい!お前にしては上出来だぞ!」 み、見よこの美しいサンドイッチを!味も申し分ない! ハルヒ「そ、そうかな…って、お前にしてはってなによ!?」 キョン「うわ、一言多かったか!で、でもこれならじいさんも満足するだろう!」 いやー、こいつにこんな女らしい特技があるとは!見直したよ! ハルヒ「ま、まぁ…掃除もがんばってくれたしね…よ、よければ今度はあんたにつくってあげても」 キョン「本当にすまんな!恩に着るぞ!」 ハルヒ「…人の話は最後まで聞きなさいよ…」 367 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 17:22:04.00 ID:k8crT+rT0 よし、さっさとエンジンに戻ってじっちゃんにこれを届け…って!? シャルル「…全部見てたぞ」 ま、まだいたのかあんたら!? キョン「ああ、やあ、な、なにを見てたっていうんですか?はは」 アンリ「あのお嬢ちゃんにサンドイッチをつくってもらってたとこをだ」 も、もしかしてこいつら…じっちゃんにチクる気か!? シャルル「あのお嬢ちゃんには俺が厨房の掃除をするように言ったんだ。それをサボらせて、自分の雑用を変わりにやってもらうなんて…」 キョン「い、いや、あいつの雑用を俺がやる代わりに、俺はあいつに料理をしてくれと…!」 アンリ「問答無用だ! じっちゃんに言ってやる」 な、なにぃ!? それは困る! キョン「た、頼むから見逃してくださいよ!」 シャルル「…まぁ、掃除もちゃんとできてるみたいだし…見逃してやらなくもないよな?アンリ?」 アンリ「ああ、兄ちゃんがそういうなら仕方ない…でも、条件がある」 キョン「じょ、条件…?」 アンリ&シャルル「そのサンドイッチ、一つ俺達によこせ」 375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 17:37:25.38 ID:k8crT+rT0 シータ「…この方角で間違いないです」 ドーラ「んん…いい答えだ。エンジンの方も動くようだし、そろそろ出発だ」 ドーラは伝声器を手に取り、怒鳴りつけた。 ドーラ「総員、出発するよ!配置につきな!」 そういうと、ドーラはコックピットへと向かった。 ・ ・ ・ ・ ・ キョン「…見張り?」 シャルル「そうだ。あそこから外に出られる。すぐ横のはしごを上って、上の見張り台でな」 な、なんだこいつ!? ま、まさか飛行中の飛行船を外からよじ登り、さらにその上で見張りをしろと言うのか!? キョン「…聞いてるだけでめまいがしそうだ…それは俺がやらなきゃいけないことなんですか?」 シャルル「ああ。俺がママに頼まれた。その俺がお前に頼むんだから、絶対お前だ」 な…なんだその理屈は!アホか!この脳みそ筋肉!って久しぶりに言った気がするな、この言葉… だが、俺は…! 1、…仕方ない 2、断る! 安価 >>378 378 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 17:38:26.66 ID:wk187Nv40 2 388 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 17:48:12.98 ID:k8crT+rT0 …断る! その理屈はおかしい! だが…相手はあの大男だ。面と向かって断れるわけがない!ヘタレと呼んでくれ! キョン「わ、わかったよ…」 シャルル「戦艦が見えたら知らせろよ。伝声器があるから、それに向かって叫べ。乗組員全員に聞こえる」 ち、ちくしょう…!理不尽すぎる! 390 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 17:51:02.17 ID:k8crT+rT0 ・ ・ ・ ・ ・ キョン「さ…寒いし…怖いし…眠い」 もう…いやだ…なんでこんなことを俺が!あいつ、なんでよりによって俺に頼むんだ! …いや、もう文句を言っても遅い。こうなってしまったからには、しっかり見張ろう。 ・ ・ ・ ね、眠い…真剣に眠くなってきた…。当たり前だ!時間はわからないが、もう真夜中のはずだ! ってか、いつまで俺は見張りを続ければいいんだ!? ま、まさか朝まで…!? い、いやだぁー!! …って、今なんか…? キョン「…下で何か音がしなかったか?」 391 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 17:52:06.17 ID:k8crT+rT0 でも、確認するためには下を覗き込まなきゃならん!それは怖い! だ、だが、一体何者なんだ!? キョン「…!? お、お前は!」 安価 1、ハルヒ!? 2、長門! 3、シータ! 4、こ、古泉… まぁ俺もVIPPER。大体安価はわかる…けど! >>395 395 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 17:52:52.98 ID:F9uvfyWzO 1 419 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 18:05:14.56 ID:k8crT+rT0 キョン「は、ハルヒ!?お前、なんでこんなとこに!」 ハルヒ「そのセリフ、前にも聞いたわね…ま、まぁいいわっ、せっかく暇だろうだと思って来てあげたんだから、入れなさいよ」 キョン「あ、ああ…」 なんと、現れたのはハルヒだった。一瞬脳裏に古泉が浮かんだんだが…って、なに考えてるんだ俺は!? キョン「ん…?なに持ってるんだお前?」 ハルヒ「な、何って…寒いだろうと思って毛布と…お腹すいてるかなと思って夜食持ってきたんだけど…な、なに!?悪い!?」 キョン「いや…お前って奴は…」 ハルヒ「な、なによ!?文句あるなら毛布は私だけで使うし、このサンドイッチだって…」 キョン「気が利くじゃないか。こんなの、初めてじゃないか?」 ハルヒ「私だけで食べちゃ…え?え、あ、うん、まぁ感謝しなさいよね!」 ハルヒは俺にサンドイッチを押し付けると、毛布を…って、うわ!? キョン「お、おい!なにすんだハルヒ!これじゃあ…」 ハルヒ「な、なによ!一枚しかないんだから、必然的にこうなるでしょう!?文句あるなら、私だけで使うんだから!これは私が持ってきたんだし!」 キョン「…わかったよ…入れてくれ」 ハルヒ「さ、最初からそう言えばいいのよ!」 まぁ、なんとなーく悪い気がしないのは…病気か? 437 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 18:14:20.51 ID:k8crT+rT0 キョン「…はぁ」 そういえばなんで俺、こんなことしてんだろ… 最初はシータが空から降ってきて、そんなこんなで異世界まで来て… それで今、こうして見張り台でハルヒと二人、同じ毛布に包まりながらサンドイッチ食ってるってのか!? ハルヒ「ねぇキョン?」 キョン「ん…なんだ?」 ハルヒ「あんたは…怖くないの?」 キョン「なんだ?お前らしくないな。こういうのを望んでたんじゃないのか?」 ハルヒ「そ、そうなんだけど…でも…」 ハルヒは少し困った顔をして微笑むと、空を見上げた。 ハルヒ「私、正直言って…ちょっと怖い…かも」 な、なに!? こ、この女からこんなセリフが聞けるとは!? キョン「意外だな。私はもう元の世界に帰らない。一生海賊として暮らすわー!なーんてセリフがいつ飛び出すかとヒヤヒヤしてたってのに」 これは本音。 ハルヒ「あんた私をそういう風に思ってたの!?…まぁ、いいわ。でも、この世界に来て思ったの」 キョン「ん?何をだ?」 ハルヒ「退屈だって思えるのは…本当は、すごく…幸せなことなんじゃないのかなーって」 449 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 18:24:07.93 ID:k8crT+rT0 …ホントに、旅というのは恐ろしい。 こんなに退屈を嫌っていたこの女が、急に「普通は一番論」に目覚め出した! いやー、ハルヒ!よくぞ悟った!よく考えれば当たり前だ。普通が一番!普通は偉大! ハルヒ「だってそうでしょう?退屈だって思えるのは…平和だからよね…?平和じゃなかったら、そんなこと思う暇もなく、毎日を過ごさなきゃいけない…」 キョン「ああ。お前の言うとおりだ。普通が一番だよ、ハルヒ」 ハルヒ「で、でも…安全だとわかっている冒険には、何の面白みもないじゃない?」 キョン「そうだな。そんなのは遊園地のアトラクションと一緒だ」 ハルヒ「でしょう!?…じゃあ、私はどうすれば…いいんだろ」 ふむ…どうやら、この女はこの女なりに、悩んでいるらしい。 ハルヒ「私は、元の世界に帰りたい!残してきたみくるちゃんは心配だし、SOS団だってまだまだ発展させなきゃいけないし、学校祭には参加したいし、お父さんやお母さんにも会いたい!…けど…」 キョン「…」 ハルヒ「…この冒険をもっと楽しみたいなーっていう私もいるの」 462 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 18:35:34.52 ID:k8crT+rT0 キョン「…ハルヒ」 ハルヒ「な、何よ?」 キョン「お前は高望みしすぎだ。俺達凡人は、平和という安全な枠組みの中で、それぞれつつましく自分なりの楽しみを見つけていくしかないんだよ」 ハルヒ「…キョン。でもそれじゃ私は」 キョン「退屈なのか?変だな、俺はお前と一緒にいて退屈したことないんだ」 ハルヒ「…え?」 キョン「毎日毎日SOS団の活動だのなんだのっていろんなとこに連れ回されて…退屈なんて思える暇、あると思うか?」 ハルヒ「う、ううん、それは…」 キョン「そうやって俺を連れ回していたお前はどうなんだ?それでも退屈だったか?」 ハルヒ「…」 キョン「なら、もっとお前は俺を連れ回せばいい。俺はそれで退屈しないけど、お前はどうだ?」 ハルヒ「…それでもまだ、退屈が満たされなかったら…?」 キョン「それなら、俺はまた連れ回されるだけだ。言っておくが、世界は広いんだぞ?こんな世界があるなんてこと、お前知ってたか?」 ハルヒ「…う、ううん…」 キョン「だろ?ほら、お前が思ってるより、世界は広いんだ。お前が一生かけて世界を回っても、まだ回りきれないほどにな」 そう言うと、俺は立ち上がった。 キョン「ほら、見渡してみろ?世界はこんなにも…」 って、こえぇ!こえぇえよ!なに調子乗ってんだ俺!? ハルヒ「そうね…世界はこんなにも…って、ちょ、キョン!?」 キョン「うわぁぁあ…あ、え?うん、なんだハルヒ?」 ハルヒ「この船の下に…何かいる…」 478 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 18:48:15.56 ID:k8crT+rT0 キョン「あ、アレは…」 恐怖をこらえて下を覗く。 キョン「せ、戦艦だ!」 すぐさま伝声器を取り出し、皆に告げた。 キョン「起きろ!戦艦だぞ!」 すると、先ほどまで寝ていたとは思えないスピードでドーラが飛び出し、下を覗いた。 ドーラ「ち、ゴリアテか!? よくここをかぎつけたね!」 そういうが早いが、すぐさまコックピットに駆け出した。 487 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 18:57:34.68 ID:k8crT+rT0 ドーラ「ゴリアテは!?」 シャルル「真下にぴったりくっついてるよ!まだこっちには気づいてない!」 ドーラ「夜明けまであと何時だい!?」 シャルル「ちょうど二時間後!」 ドーラ「そうかい、夜が明ける前に、雲に身を隠すよ、右に旋回しな!」 シャルル「了解!」 キョン「…うぉ!?って、いきなり旋回するなよ!!」 怖いじゃねぇか!ってか、俺らはもう戻ってよくないか!? ハルヒ「雲に突っ込むわ、ふせて!」 キョン「なにぃ!?ご、ゴーグルを…!」 ってホントに突っ込みやがった! 497 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 19:14:48.24 ID:k8crT+rT0 キョン「ま、前がほとんど見えん!ハルヒ、大丈夫か!?」 ハルヒ「な、なんとか大丈夫よ…ゴーグル持ってきて助かったわ!」 だが、息が苦しい…くそ、こんなんじゃ中に戻るに戻れん! そのとき、ドーラからの電話が入った。 ドーラ「あんた、よーくお聞き!」 キョン「ん?船長か!?お、俺達はどうすれば…!」 ドーラ「今、ゴリアテから身を隠すために、雲に突入した!」 キョン「そんなことわかってる!それより俺達は…」 ドーラ「あんたには、引き続き見張りをやってもらう!」 ちょ…!こんな状況で、あと何時間見張りをすればいいんだ!それに奴らが攻撃してきたらどうすんだ!真っ先に的になるのは俺達だろうが! 498 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 19:15:32.70 ID:k8crT+rT0 ドーラ「今から、あんたを雲の外まで飛ばす!」 い、いや…どうやって!! ドーラ「その見張り台にはワイヤーがついていてね、ちょうど凧のように上に飛ばせるんだよ!」 キョン「じゃあ、俺は一時的にタイガーモス号から離脱するってわけだな!?」 ドーラ「わかったならとっとと台に捕まりな!けっこうスピードが出るからね!振り落とされないようにしな!」 キョン「わかった!だが何を見張れば!?」 ドーラ「ラピュタに決まってるじゃないか!それより、見つけたらさっさと知らせるんだよ!」 電話はそこで終わった。 ち、ちくしょう…。戦艦より、「けっこうスピードが出る」ってところに俺は恐怖を覚えるよ… キョン「ハルヒ、聞こえてたな!?」 ハルヒ「うん!私はもう大丈夫よ!」 当たり前!あんなバカでかい声だ!受話器に耳を当てなくても聞こえるだろう! …さぁ、俺も準備OKだ、いつでも来… ってうわああああああ!!!!! こ、こんなスピードが出るなんて聞いてねぇ!!! 504 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 19:22:50.74 ID:k8crT+rT0 キョン「ぐぉぉぉお!! い、息ができない!は、ハルヒはッ…!?」 ハルヒ「〜♪」 く…こいつは平気なのか…なんていう奴だよ、ホントに! キョン「…ぶはぁっ!!」 ハルヒ「ふぅっ! もう着いちゃったの?」 キョン「がはっ…がはっ…お、お前… もう ってなんだよ もう って…」 ここは…雲の上か…はぁ…さ、酸素が足りん!! ハルヒ「雲の上はやっぱり天気がいいわね!」 キョン「あぁ…まぁな…じゃあ、さっさと見張らないと」 って、そう言えばラピュタを見張れっていってたよな、あのばーさん!? 俺達、ラピュタがどんなもんなのか、さっぱりわからんのですけど! 519 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 19:52:04.81 ID:k8crT+rT0 キョン「ハルヒ!なんとなくラピュタっぽいのを見つけたら知らせろ!」 ハルヒ「はぁ?ラピュタっ ぽい のってなによ!」 キョン「なんか怪しい物があったら知らせろってこった!」 俺もラピュタのことはさっぱりさのじなんだよ! ・ ・ ・ ドーラ「ゴリアテは!?」 シャルル「まだ動きなし!」 ドーラ「まだばれてないようだね…この調子で進みな!」 シャルル「了解!」 524 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 19:57:26.52 ID:k8crT+rT0 あぁ…外は見渡す限りの青空だ。青空をさえぎるものは、なにもない。 しょ、正直つまらない…ここまで物がないと…って…あ、あれは!? ハルヒ「キョン、なにあれ!?あのバカでかい雲!」 キョン「ああ、なんか不自然だぞ、あの雲!」 俺はすぐ受話器を取った。 キョン「船長、前方からバカでかい雲!」 ドーラ「なんだって!?それは…」 パズー「竜の巣だ!?」 シータ「パズー、竜の巣って…」 パズー「そう、僕の父さんは、竜の巣を通ってラピュタに行ったんだ!」 ドーラ「あんたの父さんが…?」 パズー「うん!おばさん、行こうよ!竜の巣へ!」 船長「船長とお呼び!…えぇい、もうどうにでもなれだ!あの雲に突っ込むよ!」 シャルル「…ママ、ゴリアテが!」 ドーラ「なんだって!?奴らもこの雲に突っ込むってのかい!?」 534 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 20:04:57.05 ID:k8crT+rT0 側A「大佐!本当にあの雲に突入するので?」 ムスカ「ああ。この光は、あの雲を指している」 竜の巣に向かってまっすぐ光を放つ飛行石をにらみながら、ムスカは言った。 側近B「…大佐。右側の方向に、海賊のタイガーモス号と見られる影を発見」 ムスカ「…奴らも来ているのか?」 …それは予想外だった。まさか、この石を持たない奴らがここまで来れるとは。 やはりシータを奪い返されたのは、うかつだったか。 …まあいい。奴らもラピュタが目的なら、あの雲に突入するだろう。そこで迎撃すればよい。 大佐B「…大佐、ご指示を」 ムスカ「これよりあの雲に突入する!そこで奴らを迎え撃つぞ!」 541 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 20:14:13.80 ID:k8crT+rT0 ドーラ「ぼうや!今から突っ込むよ!あんたも男なら、その娘を守っておやり!」 キョン「な…船長、ここにハルヒがいるってこと知ってるのか!?」 ドーラ「女を何十年やってると思ってるんだい!あんた達がそこで逢引してるのはとっくに知ってたんだよ!」 な…逢引って!!誤解だ!!! ドーラ「それより、ゴリアテに発見された!さっさと突っ込むよ!あそこなら奴らもうかつに手は出せな…」 そこで、ドーラからの電話は途絶えた。 キョン「…なにか様子が変だ!」 ハルヒ「まさか…攻撃されたの!?」 再び受話器を手に取るが、うんともすんとも言わない。 キョン「…仕方ない!あの雲に突っ込むってことはわかったんだ!こらえろよハルヒ!」 ハルヒ「それはこっちのセリフよ!ヘタレキョン!」 俺たちは力いっぱい台にしがみつくと、竜の巣へと突っ込んだ! 569 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 20:44:00.30 ID:k8crT+rT0 ハルヒ「え…?な、なにこれ…きゃぁ!?」 キョン「ハルヒ、伏せろ!雷が!」 竜の巣に突っ込んだ俺らを真っ先に出迎えたのが、うなるように渦巻く激しい雷だった! ハルヒ「ちょ…こ、これ聞いてないわよ!!」 キョン「お前…雷苦手なのか…うわぁ!?」 か、雷が俺らを掠めた…なんだこの雷!?まるで俺たちを威嚇してるようだ! ハルヒ「こんなの、雷苦手じゃなくても怖い…!きゃぁあ!!」 キョン「うおぁっ!!??」 ま、また目の前を掠めた…頼む、静まれ、静まってくれ雷! …と、そのとき、急に雷が静まった。俺の祈りが通じたのか?やはり普段の行いがいいと違うな… 576 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 20:55:47.68 ID:k8crT+rT0 ハルヒ「ま、まさか…あんな激しかった雷が、こんなにもあっさりと収まるなんて…」 た、確かにこれは喜ばしいことだが、同時に不自然だ… そう思ってあたりを見渡していると、かすがだが、急に聞こえるはずのない声が聞こえた。 ?「…聞こえる?」 キョン「そ、その声は!?」 ハルヒ「…な、なによキョン!?…急に独り言なんか言っちゃって!」 キョン「お、お前には聞こえないのか!?」 ?「聞こえない。涼宮ハルヒにまで声を送信するほど、力が残されていない」 キョン「な…だから俺だけに?」 ?「…口に出さなくても、私まで声は届く。そう思うだけでいい」 た、たしかにそれはありがたい!ハルヒの視線がそろそろ痛くなってきたころだ! キョン「(ところで、この雷が収まったのはお前のおかげなのか?)」 ?「…この雲一帯の空間を…一時凍結した…でも、もう限界」 キョン「(ど、どういうことだ!?できれば、俺たちがここを通るまで収めていてもらえれば…!)」 ?「それはできない。この世界では、統合思念体の恩恵を受けられない。こうしている間にも、力はどんどんと減っていく」 キョン「(く、くそ!じゃあどうすれば…!?)」 ?「…もうだめ。力が残されてない。)」 キョン「(な、長門!? こ、声が…!)」 ?「(お願い…涼宮ハルヒを…)」 キョン「(な、なが…!)」 あいつの声が途絶えた瞬間、あのうなるような雷は再度爆音をかき鳴らしながら俺たちに襲い掛かった! 590 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 21:05:01.64 ID:k8crT+rT0 ハルヒ「きゃぁ!? ま、またなの!?」 キョン「ちょ…!こんなに近くを…ッ!?」 空間凍結の副作用なのか、雷は先ほどとは違い、確実に俺達を殺しに来ている!…ような気がする! ハルヒ「きゃああああ!!! も、もう静まらないの!?ねぇ!!」 キョン「もう静まらない!ここはなんとか抜けるまで耐えるしか…」 ってまて!? か、雷がハルヒの目の前に…!あれは完全に直撃コース! ハルヒ「え!?えええええ!!な、なんなのあれッ… !? きゃあっ!!??」 キョン「は、ハルヒ!!!」 その雷は一筋の閃光となり、槍のようにまっすぐハルヒを貫き… ハルヒ「…!? あ、あれ?」 まるでそれがなかったかのように、あたりは静まった。 601 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 21:18:58.13 ID:k8crT+rT0 ?「…もう、涼宮さんを死なせるなんて。主役失格よ?」 キョン「え…?」 な…なんか、すげぇ懐かしい声が! ハルヒ「キョン!? い、今のは…?」 キョン「(なんだ!? だれだお前は!) ?「私は長門有希のバックアップ。彼女は自分の予備電源を使用してまで、あなた達を助けるために私を再構築した」 な…バックアップって…まさか!? ?「でも、もうだめね。所詮は予備電源。そんな私には、今の行為が精一杯。…ここでお別れね」 キョン「(まて!助かった!でも、長門は…?)」 ?「彼女は本来なら、統合思念体の恩恵がなければ動作できないの。そのためこういった緊急事態のために、最低限の生命活動はできるよう予備電源を自分の中につくっておいてるんだけど…」 キョン「(…な!? 最低限の生命活動って…じゃあ、それを失った長門は!?)」 ?「安心して。彼女は動作停止寸前まで力を抜き出して私を再構築した。だから死んではいない。けど…」 キョン「(それは安心した!けど…なんだよ!?)」 な、なにかいやな予感がする! ?「…この世界にいるうちは、絶対に目を覚ますことはない…」 624 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 21:29:55.87 ID:k8crT+rT0 キョン「(…な…に?)」 ?「でも、そのおかげかしら。もう少しあなた達に付き合ってあげられそう」 キョン「…!? ってことは…」 ?「ええ、もう少しばかりこの空間を保てそうよ。さぁ、私の力が切れるまでに、さっさとここを抜けなさい?」 朝倉…まさかここで出てくるとは作者も思っていなかったが、本当に助かった…そして、長門も…ありがとう。 キョン「(わかった!すまん!恩に着るぞ!)」 ?「お礼なら彼女に言って?私は彼女のバックアップ。基本的に私の意思は、彼女と共にあるんだから…」 そう言ったのを境に、朝倉の声はどんどん小さくなっていく。 キョン「(お、おい!朝倉!)」 ?「あ…あの教室での一件は…例外ですよ?……あれは彼女の…長門有希の意思では…な…い…から…」 647 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/17(日) 21:47:39.46 ID:k8crT+rT0 ハルヒ「なんなの…?またおとなしくなった…?」 キョン「ああ…今のうちに、さっさと抜けよう!」 朝倉ががんばってくれてるうちに、さっさとここを… って!!?? ハルヒ「キョン!後ろ!見て!」 キョン「わ、わかってる!や、やばい!?戦艦が!!」 一難去ってまた一難か!? ちくしょう…朝倉、あの戦艦にだけ雷当てるってことは…!? ハルヒ「せ、迫ってくるわ! キョン!あのおばさんと連絡とれないの!?」 キョン「さっきからやってるが、まったくつながらん!どうやらここに突入する際、マジで攻撃を受けていたようだ!」 ちくしょう…あのメガネ野郎!…って、また雷が復活しだした!!?? キョン「くそ、朝倉…もう力が…!?」 ハルヒ「あ、あれ見て!戦艦!私達を狙ってる!!」 なにぃ!? ほ、ホントだ! あの大砲は間違いなく俺達をぶっ殺すために向けられている! ハルヒ「きゃあ!!?? か、雷まで!!」 キョン「こ、これは…もう…だめか?」 そう俺が諦めた瞬間、あたりは真っ白になった。雷がタイガーモス号に直撃したのだ。 それと同時に戦艦の砲撃もしこたま食らい…俺はそこで意識が途絶えた。 25 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/18(月) 18:39:30.35 ID:qwwN4gQm0 いきなりの質問で申し訳ないんだが…君達は「死後の世界」というものを信じるだろうか? 人間誰しも一度は考えたことがあるだろう。天国や地獄は存在するのか?とか。そして、仮にそういう「死後の世界」があったとして… もし自分が死んでしまったら、そのとき自分はどこへ行くのだろう…とか。 当たり前だが、俺もそういう想像をしたことがある。地獄について、天国について…様々なことを思い描いたもんだ。 だが残念なことに…ぜーんぶハズレ。天国や地獄?いやいや、そんなものは存在しない。 ただ、真っ白で…なにもない空間が…漠然と続いているだけ。 32 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/18(月) 18:58:28.86 ID:qwwN4gQm0 長門は俺に、ハルヒを守ってほしいと言った。 自分の命を賭してまで、俺やハルヒを守ってくれた長門。 その長門の意思を…行為を…全部無駄にした。 それになにより、元の世界に帰りたいと言ったハルヒを、俺は無事に帰してやることができなかった。 いや、今更こんなことを悔しがっていても無意味だ。 結局俺はこうして…自分がどこの誰かすらもわからないような状況で、この空間に佇んでいる。もう手遅れ。時すでに遅し。後の祭りだよ… ?「やぁ、どうしたんです?浮かない顔をして」 …なんだ?俺を笑いに来たのか?お前は。 ?「笑う?そんな、滅相も無い。一体あなたのどういったところを笑えばいいのでしょうか?」 決まってるだろ。俺は情けない、不甲斐ない奴だ。いいさ、笑ってくれ。その方がすっきりするってもんだ。 ?「…ははぁ、あなたはずいぶんと落ち込んでいるようですね」 …ほっといてくれ。 ?「ですが…状況はそう悲観したものでもないようですよ?」 40 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/18(月) 19:11:42.84 ID:qwwN4gQm0 全部終わったんじゃないのか?みんな死んじまって…だからお前もここにいるんだろ? ?「いえいえ、誰も死んではいませんよ?いや、死ぬはずが無い」 何を根拠にそんなことを?じゃあこの状況をどう説明するって言うんだ? ?「…あなたには神がついている」 神? ?「そう、あなたが必死で守ろうとした彼女こそが…何もかもを巻き込んだ、神。もうお忘れですか?」 …あいつが?神? ?「おやおや…こんな肝心なところで、そんな重大なことをお忘れなんて…」 じゃあ、俺は… ?「ええ、彼女にとってあなたは、おそらく世界で一番大切な人。そのあなたが、こんなところで死ぬはずが無い」 42 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/18(月) 19:20:29.19 ID:qwwN4gQm0 …じゃあ、なんで俺はここにいる? ?「ただ単に、あなたが目を覚ましていないだけです。さっさと起きてくださいよ。彼女も心配してます」 心配…?あいつが…俺を? ?「ええ。…ほら、耳をすましてみてください。聞こえるでしょう?あんな必死な彼女は初めてです」 そうか…ああ、そうだな…確かに。 …聞こえる。あいつの声が。今にも泣き出しそうな声で、俺を呼んでる。 47 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/18(月) 19:34:58.79 ID:qwwN4gQm0 ?「あなたが自分の意思で死のうとしても、彼女があなたを死なせはしないでしょう…ほら、わかったなら早く行ってあげてください」 わかったよ。俺はまだ、終わってないんだな? ?「ええ、そういうことです。まだ、あなたの物語は始まったばかりだ」 …わけのわからんことを言いやがる。じゃあもう行くが…最後に一つ、聞きたいことがある。 ?「なんでしょう?」 お前さんは、一体何者だ? ?「…僕ですか?お察しの通り…超能力者です。そう呼んだ方が、いいでしょう」 …やっぱりね。だと思ったよ。わざわざこんなところにまで…ご苦労なこった。 ?「あなたへのお節介は癖のようなものですよ。それに、私もあなたに興味がある」 き、気持ち悪いこと言うな! ?「なぜ、彼女があなたを選んだのか…まぁ、他にもいろいろと気になるところはあるんですが、今回はそういうことだけにしておきましょうか」 そ、そうか…まぁ、とにかく…助かったよ。じゃあ行ってくる。 ?「ええ、あ、待ってください、私からも一つ…」 ん?なんだ? ?「…彼女を、頼みましたよ?キョン君?」 55 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/18(月) 19:47:08.47 ID:qwwN4gQm0 その言葉を聞いた途端、その超能力者はまるで氷が解けるかのようにこの空間から消え失せていた。 …さて、じゃあ俺も、この小うるさい神様の泣き顔を拝んでくるとするかな。 そう思ったとたん、みるみるうちに周りの空間が歪み始め… ・ ・ ・ ハルヒ「このッ…起きなさいよバカキョンー!!!」 キョン「ぐはぁ!?ま、待て!やめろ!」 とんでもなく重たいハルヒの一撃で、俺は現実への強制送還を余儀なくされた! 58 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/18(月) 19:58:44.36 ID:qwwN4gQm0 ハルヒ「あ…キョ、キョン!?」 キョン「自分で叩き起こしておいて、何ビビってるんだ?言っておくが、俺は幽霊なんかじゃな…って、ちょ、ハルヒ!?」 待て!抱きつくな!む、胸が当たるだろうがッ!!! ハルヒ「よ、よかった…てっきり死んじゃったんじゃないかと…!」 あの強気なハルヒが、俺の目の前で泣きじゃくっている。どれだけ心配かけさせたのかと思うと、少し胸が痛くなった。 キョン「…ハルヒ。俺がこんなことで簡単に死ぬタマか?」 ハルヒ「だって…!だって…!」 キョン「わかった。もうわかったから、泣くな。それより、ここは…?」 ゆっくりと体を起こすと…おそらく俺が落ちてきたときの衝撃によるものだろう。無残にも潰された花達が目に飛び込んできた。 ハルヒ「し、知らないわよ!あの時気を失って、目を覚めたら二人でここに倒れてたんだから!」 ここは…庭園…か? 64 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/18(月) 20:13:41.29 ID:qwwN4gQm0 キョン「うお…ここは!?」 ゆっくりと立ち上がりあたりを見渡すと…俺は自分が今とんでもない場所にいるのだという事実を認識してしまった! と、とりあえず今俺達がいる場所はでっかい庭園、それより下を覗けばわけのわからない建物が!それを囲う池!そしてその池の中にも、またまた建物! そして目の前にはその建物の何倍あるだろうかと考えてしまうほどの大きな城!そして…なにより驚いたのが… ハルヒ「う、浮いてるの?ここ…」 そう。なんと、この島?とも呼べるものは、完全に空に浮いているのだ。 キョン「これが…ラピュタ?」 ハルヒ「うそ!?じゃあ、私達…」 キョン「ああ、どうやらたどり着いてしまったってわけだ」 だが…船長達は?タイガーモスに乗っていた古泉、長門、パズー、シータ、海賊達は? ま、まさか…俺達だけがラピュタに上陸してしまったのか!? 67 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/18(月) 20:20:27.53 ID:qwwN4gQm0 ハルヒ「…キョン、行きましょう」 キョン「ああ…確かめないとな。もしかしたら、あいつらも無事ここに来ているかもしれない」 いや、必ず来ているさ。だって、俺達には神がついてるんだろう?なぁ、古泉。 キョン「じゃあ、行くぞ。しっかりついてこいよ、ハルヒ!」 ハルヒ「な、なんであんたが私を先導するのよ!こういうのは団長の私が…!」 キョン「ええいうるさい!こんな言い争いをしてる場合か!そんなに行きたいなら勝手に先に行け!俺は後からついてく!」 74 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/18(月) 20:37:24.08 ID:qwwN4gQm0 兵士A「将軍!見てください!この財宝を!」 将軍モウロ「おお、すばらしいぞ!」 これがラピュタか!我々全員が山分けしたとしても、まだ余るのではないかね!?この財宝は! 将軍モウロ「どうだ…?ほしいか?」 ドーラ「…」 シャルル「…」 ルイ「…」 アンリ「…」 ふひひ、この海賊共の顔ときたら、たまわんわ!! 将軍モウロ「安心しろ、お前らにはたっぷりと縄をくれてやる!おい、連れて行け!」 兵士B「はっ!…さぁお前達、さっさと来るんだ!」 ・ ・ ・ …どうだ!わしは見事にラピュタ探索を成功させたぞ!これでやっと、念願の政府に…! 80 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/18(月) 20:49:27.43 ID:qwwN4gQm0 …バカ共が。目の前の財宝に目がくらみ、肝心のラピュタの本質にまでは目が行かない…か。 ムスカ「まぁ、奴らにはいい目くらましだ。彼らを連れてきたまえ!」 側近A「…さっさと来るんだ。さもなくば、この娘の綺麗な顔に傷がつくことになるぞ?」 長門「…」 シータ「やめて!彼女に手を出さないって条件で、飛行石をあなたに渡したのよ!?」 ムスカ「何も私だって、好き好んで彼女に手を出そうなんて考えてはいないさ。ただ、私は潤滑に目的を達成したいだけだ」 シータ「…あなたは、何が目的なの?」 ムスカ「今にわかる。 …ちょうど、このあたりのようだな。ここで飛行石をかざせば…」 …やはりか。どうやら、この代々伝わる古文書に、間違いはないようだな。 シータ「きゃ!? …え?何も無い壁から…道が?」 ムスカ「ラピュタの王族のみ通ることを許される、隠し通路だよ。さぁ、来たまえ。もうラピュタは私の物だ」 87 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/18(月) 21:01:52.25 ID:qwwN4gQm0 ムスカ「君らは、ここで待て。シータと二人で通る。彼らから目を離すな!」 側近A&B「了解」 シータ「…」 ・ ・ ・ 側近B「さぁ、おとなしくしているんだぞ?」 古泉「…(く…長門さんを奪われたのは不覚でした!ドーラさん達も心配ですし、今連れて行かれたシータさんのことも気にかかります…)」 パズー「ごめん、コイズミ…僕のせいだ」 古泉「いえ、完全に私が油断していました…ここまで彼女が無力化してるとは思わなかったんです」 側近A「なにをぶつぶつ相談している?」 古泉「…(とりあえず、彼らをどうにかしないと!)」 1、仕方ありませんね。暴力は嫌いですが… 2、いや、ここは下手に動かないほうが… 安価 >>95 95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/18(月) 21:04:09.04 ID:MXNQ0BJA0 1 104 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/18(月) 21:15:03.87 ID:qwwN4gQm0 …仕方ありませんね。暴力は嫌いですが、彼らには少し痛い目を見てもらうとしましょうか。 側近A「だから、なにを相談しているのかと聞いている!」 側近B「何を企んでも無駄だぞ!」 古泉「ええ、知りたいですか?」 側近B「…なんだと?お前、今自分がどんな状況にいるかわかっているのか?」 側近A「一度痛い目を見ないとわからんのか?二度とそんな生意気な口が聞けないように…!」 …いまです! 古泉「…ふんもっふ!!!」 側近A「!? うがぁっ!?」 側近B「ひ、ひぎぃっ!?」 パズー「ちょ、コイズミ!?」 古泉「さぁ、パズーさん逃げましょう!」 121 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/18(月) 21:26:45.30 ID:qwwN4gQm0 パズー「こ、コイズミ?今、なにを!?」 古泉「え?ちょっとばかり彼らの男性自身を叩いただけですよ?」 パズー「いや、それは見えたからわかってるんだけど…今の光の玉は!?あいつらに向かって投げつけてたじゃないか!」 古泉「ああ、それは見なかったことにしてください」 パズー「…竜の巣でのナガトといい、コイズミといい…君達は、一体?」 古泉「そうですね…詳しくは説明できませんが…我々は、ちょっと非常識な人種なんですよ。これで理解できましたか?」 パズー「いや!まったく理解はできない!」 古泉「…ですよね。でも、しょうがないんです。詳しくは禁則事項なんです。それより、ドーラさん達を助けに行きますよ!」 パズー「…!? コイズミは、シータをほうっておくのか!?」 古泉「シータさんが連れて行かれた場所は、どこか特殊だ。きっと我々だけじゃ入ることすらできないでしょう。それなら、先にドーラさん達を救出した方が得策です!」 パズー「…そうだね、わかった!コイズミがそういうなら信じるよ!じゃあ行こう!」 142 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/18(月) 21:51:30.06 ID:qwwN4gQm0 キョン「ちょ、ま、まて…ハルヒー!まってくれ…ってうわぁ!?」 ハルヒ「キョン!? …もう、さっきから何度足滑らせてんのよ!だらしないわね!」 だ、だらしないだと…?体力バカのお前にはわからないだろうがな!これでも一般人にしてはけっこうがんばってるほうだ! さっきから、ツタからツタを渡り歩いたり… ガレキの上にまたガレキ。そのまた上にもまたガレキ、というくらい最悪な足場の上を全力疾走したり… お、俺はドンキーコングじゃないんだぞ!ただでさえ高いところが苦手なのに、お前のペースに合わせてたら身が持たん! 今なんか、滑り落ちかけた俺をハルヒが摑まえてくれなかったら、谷底に真っ逆さまだ! 154 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/18(月) 22:09:56.93 ID:qwwN4gQm0 …と、ひとしきり頭の中で抗議する。面と向かって言えるほど、体力は残されていない…。 キョン「わ、悪い…で、でも少し休ませて…」 ハルヒ「もう!さっき私についてこいー!なんて威勢よく言ってたのは誰!?」 うう、うるさい!その話は忘れてくれッ! キョン「そ、それは…」 ハルヒ「…!? キョン、隠れて!」 そう言うと、ハルヒはすぐにその場に伏せた。俺もそれに倣う。 キョン「どうしたんだ?ハルヒ…ん、あれは!?」 ハルヒ「ええ、間違いなくゴリアテよ。それに私達の船も」 ハルヒが指差した遥か下には、俺達を襲った戦艦ゴリアテ、そして俺達が乗ってきたタイガーモス号が並んで泊まっていた。 キョン「やっぱり、船長達もラピュタに来ていたのか!」 ハルヒ「ええ、その点では安心ね…でも、あれを見て。あのおばさん達よ。奴らに捕まってるわ」 キョン「…俺には見えんが、本当か?くそ、あいつら…!」 ハルヒは目がいいのか、今度は奴らに捕まり、縄で縛り上げられているドーラ海賊団まで発見した。 ハルヒ「古泉君やパズー、有希の姿は見えないわ。もちろん、シータも」 キョン「あいつら…無事に逃げてくれていればいいが…」 だが、逃げるとは言え、ラピュタにいるかぎりは袋のねずみだろう…。 しかし…シータを奴らに渡したらエラいことになるに違いないし、長門は戦闘不能だ。 ああ、パズーと古泉だけが頼りだ!た、頼むぞ!! 163 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/18(月) 22:19:58.37 ID:qwwN4gQm0 ハルヒ「…で、私達はどうする?このままってわけにもいかないでしょ?」 キョン「そ、そうだな…」 確かに、このまま奴らの様子を伺っているだけではだめだ。 とりあえず、あいつらがラピュタにいるってことはわかったんだ。 じゃあ次に俺達がとるべき行動は… 1、古泉達と合流する 2、ドーラ達を救出する 3、軍の真の目的を暴く 安価 >>209 209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/18(月) 22:27:44.90 ID:tDA2Y8BJ0 3 258 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/18(月) 22:53:22.97 ID:qwwN4gQm0 そういえば…気になることがある。思い違いかもしれんが… 俺には、あのメガネの男の目的と軍の目的が一致しているように思えないのだ。 確かにラピュタにたどり着く、というのは両者一致の目的だったいうことはわかるのだが… キョン「ハルヒ…あのメガネの男を捜すぞ」 ハルヒ「え?メガネの男って…要塞で会った…?」 キョン「ああ、あいつからはどうもクサいにおいがする。危険だ」 ハルヒ「えぇ?いきなりなにを…」 そのとき… キョン「!? な、なんだ!? 今の音!? 砲撃音!?」 ハルヒ「わ、わからない… え!? きゃあ!!!」 この世のものとは思えない凄まじい爆発音が、ラピュタ全域を包み込んだ。 268 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/18(月) 23:07:01.63 ID:qwwN4gQm0 ムスカ「…さあ、ついてきたまえ」 ムスカに案内されてつれてこられたのは、なにやら四角い石が右往左往する、不思議な部屋だった。 ムスカ「ここがラピュタの中心。偉大なる科学力の結晶なのだよ。さぁ、これに乗りたまえ」 そう促され、私はその石の一つに乗せられる…すると… ムスカ「こいつはエレベーターになっていてね。ほら、動くだろう?」 シータ「…あなたはどこへ行こうとしてるの?」 ムスカ「ラピュタの王族にふさわしい場所へだ」 そう言うと、ムスカは自らの手にある飛行石を握り締めた。 ムスカ「…さぁ、着いたようだ。下りたまえ」 274 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/18(月) 23:17:26.84 ID:qwwN4gQm0 ムスカ「ここの扉を抜ければ…」 扉は硬く閉ざされている。しかし、ムスカが飛行石をかざせば、たちまち開いてしまうのであった。 ムスカ「おお…まさに、言い伝えどおりだ!」 扉を抜け、ムスカは興奮したように叫ぶと、草を掻き分けながら、その部屋の中心にある立派な木の根に向かっていく。 ムスカ「くそ、ここまで木が…ええい!」 そして乱暴に木の根を毟り取っていくと、その中からまぶしく光る大きな物体が顔を出した。 ムスカ「…これがラピュタの命、飛行石だ!おそらく、この飛行石の親元だろう!ほら、見たまえ!」 ムスカは手元の小さな飛行石と、木の根に守られながら美しく輝く飛行石を見比べながら狂喜した。 280 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/18(月) 23:28:11.08 ID:qwwN4gQm0 ムスカ「これがあるなら…くそ、どこだ!ええい邪魔だ!」 乱暴に草を掻き分けながら、狂ったように何かを探すムスカ。 ムスカ「あ…あった…」 そして、ムスカが見つけたものは、楔形文字が刻まれた黒い石だった。 すぐさま手帳を取り出し、しばらく手帳と黒い石を見比べていたが… ムスカ「よ、読める!読めるぞ!?」 急にそう叫ぶと、ムスカはペンダントを手にくくりつけ、それを黒い石にかざした…。 シータ「…あなたは、何者なの?」 ムスカ「…私にも、古くから言い伝えられている名前があってね」 黒い石を操作しながら、こちらに振り向くことなくムスカは続けた。 ムスカ「私の名は、ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ。君と同じ、ラピュタの王族なのだよ」 291 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/18(月) 23:42:07.43 ID:qwwN4gQm0 ムスカ「…もう、ラピュタは私の物だ。ここまで来れば、もうこの小娘は必要ないな」 そう言うと、ムスカは腕に抱いていた長門を床に投げ出した。 シータ「!? ナガトさん!しっかりして!」 長門「…」 ムスカ「…? 奴らが感づいたか…まぁちょうどいい。ここらで、あのバカ共にも新しいラピュタ王の誕生を祝ってもらうとするか」 ムスカはさも可笑しそうに言うと、なにやら黒い石を操作し… ムスカ「将軍閣下。あなたを招待します。どうしました?さぁ、閣下!」 なにやら石に向かって言い放った後、 ムスカ「さぁ、シータ。こちらへ来たまえ。どうやら彼らも、我々の門出を祝ってくれるようだ」 顔に狂気の笑みを浮かべながら、シータに向かって手招きした。 295 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/18(月) 23:50:38.26 ID:qwwN4gQm0 …思えば、会ったときからムスカは気に食わなかった。 あの年で大佐などという地位を得ていることもその原因だったが、一番の原因は、事あるごとに奴はわしの邪魔をする、ということだ! あの特務の青二才め!しかも次はそれに飽き足らず、とうとうわしのラピュタにまで手を出し、好き勝手やりおって! ムスカ「将軍閣下。あなたを招待します。どうしました?さぁ、閣下!」 将軍モウロ「…行くぞ!閣下に続けー!!!」 一度痛い目を見せておかんと、わからんようだな、ムスカ!!! 301 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/18(月) 23:57:43.62 ID:qwwN4gQm0 将軍モウロ「ムスカ!?どこだ、出て来い!!」 数では圧倒的にこちらが有利!さぁ、姿を現した時が、貴様の最期だ! ムスカ「お静かに…」 …な!?ムスカが…宙に浮いて…おまけに…あの小娘までも…ふ、ふざけるな!そんな子供だまし、通用せんぞ! 将軍モウロ「ムスカ!貴様!!」 ムスカ「言葉を慎みたまえ。君は今、ラピュタ王の目の前にいるのだよ」 将軍モウロ「な…なんだと!?」 ムスカ「君達をここに呼んだのは他でもない。ラピュタの復活を祝ってもらおうと思ってね。そのために、あるものを見てもらいたい」 くそ、ムスカ!貴様の狙いはなんだ!! 312 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/19(火) 00:14:54.88 ID:x5ydQY7M0 ムスカ「君達をここに呼んだのは他でもない。ラピュタの復活を祝ってもらおうと思ってね。そのために、あるものを見てもらいたい」 そう言うと、ムスカは再び黒い石を操作した。 すると、ラピュタの底部から、なにやらとがった石柱が次々と出現し始めた。 シータ「何をする気なの!?やめて!!」 必死で止めようとするが、ムスカはもはや止まらない。 ムスカ「見よ、ラピュタの雷を!!!」 ムスカがそう叫んだ途端、その石柱は急速にエネルギーを持ち始め… その圧縮されたエネルギーは勢いよく真下の海へと放たれた! シータ「…!!?? きゃあ!!!」 …鳴り響く、かん高い発射音。そしてラピュタの雷は一直線に海へ着弾し…大地が揺れたかと錯覚するほどの爆音をもって、その一帯を消し飛ばしていた。 これが、瞬く間に地上を支配したとされるラピュタの科学力。国の一つ程度なら間違いなく一発で壊滅させられる兵器。 32 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/19(火) 19:04:35.20 ID:x5ydQY7M0 ハルヒ「…なんなの、あれ…まだ震えが止まらない…」 ハルヒ…それはこちらも同じだ。 海を見てみろ…まるで核兵器が落ちたかのようだ。 いや…まだ核兵器の方が可愛いらしいと、真剣に思えるほどの光景。 もし今の爆撃を日本のような小さな島国が受けたとしたら、その瞬間に日本の存在は跡形も無く消えうせるだろう。 キョン「ヤバい。これは、マジでヤバくなってきた」 ハルヒ「ヤバいのは初めからでしょ!?」 キョン「これが…古泉の…長門の言っていた『危機』だとしたら…」 俺達は…それをなんとかしなきゃならない。 じゃなきゃ、なぜ危険を冒してまでこの世界に来たのかわからない。 そのためには…俺達だけじゃ力不足だ。 キョン「…メガネの野郎は後回しだ。古泉達を探そう」 そうだな。あいつらの力も必要だ。今頃逃げ回っているはずの古泉達と合流し、すべてを終わらせる! …ドーラのばあさん達は…まぁ、簡単に死ぬような奴らじゃないから、大丈夫だよな? ハルヒ「…わかったわ。確かに私達だけじゃ危険みたいだし。じゃあ、行くわよ!ついてきなさいキョン!」 キョン「そ、それはいいが、お前はあいつらがどこにいるか、見当がついてるのか!?」 ハルヒ「んなわけないでしょ!でも、とにかく動かなかったら始まらないじゃないの!」 そう言うとハルヒは立ち上がり、勢いよく駆け出した。 40 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/19(火) 19:28:53.23 ID:x5ydQY7M0 ドーラ「な、なんだい!?今のバカでかい音は!」 今の音のおかげで、相当奴らはパニックになってるようだ。 じゃあ、それならあの音の正体はなんなんだい?奴らが何かやったってんなら、ここまでパニックにはならないだろう。 ドーラ「…だが、脱出するにはいい空気だね」 でも、そのためにはこの縄が邪魔だよ。あのブタオヤジ!レディーのエスコートの仕方も知らないのかい!? ルイ「ママ、兵隊共がたくさん戻ってくるよ!」 そんなことは見りゃわかるんだよバカ息子!…ん?今、何か声が… ?「…さん!」 アンリ「俺達…どうなるんだろうな…このまま捕まって…」 ドーラ「静かにしな!」 …空耳かい?確かにどこからか声が聞こえた気がするんだが… ?「…おばさん!」 ドーラ「ひゃあ!? …びっくりした。なんだ、ずいぶんと遅いじゃないか。ひっひ」 なんであたしの真下からあんた達が出てくるのかはわからないが、これは助かったよ! 46 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/19(火) 19:47:09.38 ID:x5ydQY7M0 ?「ええ、待たせて申し訳ありません」 ドーラ「そんな挨拶はいいから、さっさと縄を解いておくれよ!」 ?「わかった!…コイズミ、これでおばさんの縄を!」 古泉「はい、では失礼しますよ。じっとしていてください…ここは少々狭いので、手元が狂うかもしれませんから」 …なんだい、急に男になったじゃないか、あんた達… 古泉「…切れました。これで動けるんじゃないですか?ではこのナイフを渡しますから、彼らの縄も…」 ドーラ「ああ、助かったよ。で、あんた達はこれからどうするんだい?どうやらここにいるのはあんた達のだけのようだが」 パズー「…シータを助けにいく。でも、その前にキョンやハルヒと合流しないと…」 古泉「私達だけでは、助けに行くには少々力不足ですからね。船長、あなた達は、先に避難していてください。ここは危険だ」 ドーラ「言われなくてもそうするよ。でもお前達、ちょっと待ちな…」 ランチャーの一本くらい、持って行って損はないだろう。 ドーラ「ほら…これを持っていきな」 パズー「あ…ありがとう、おばさん」 おばさん「船長とお呼び!」 古泉「…では、私達はこれで。あなた達の無事を祈っております」 ・ ・ ・ ・ ・ ルイ「あいつら…かっけぇよ…」 ドーラ「あんた達より、よっぽど男だよあいつらは!情けないね!」 53 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/19(火) 20:07:19.88 ID:x5ydQY7M0 将軍モウロ「…な…んだと?」 な、なんだ今の光は!? なぜ海があんなにも燃えている!? こんなものが…こんなおぞましいものが、700年の時を経て蘇ったというのか!? ムスカ!! 貴様、まさか最初からこれが狙いで…! ムスカ「旧約聖書に出てくるソドムとゴモラを滅ぼした、天の火だよ。どうだね、ラピュタ王国の復活を祝う祝砲としては、十分過ぎるほどではないかね?」 将軍モウロ「…ああ、ムスカ君。君は英雄だ」 …もう、ガマンならん… 将軍モウロ「偉大な功績だ!!!」 ムスカ!! 貴様はここで死ね!!! 58 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/19(火) 20:19:55.85 ID:x5ydQY7M0 そう言うと、将軍はムスカに向けて銃を撃ち込んだ。何度も、何度も… でも、それはムスカには届かない。あなたが見ているものはただの映像だってこと、わからないの…? お願い…ムスカはあなた達全員を殺す気よ…? お願いだから、早く逃げて! ムスカ「…君のアホ面には、心底うんざりさせられる。もういい、君らは用済みだ。ここで死んでもらう」 そう嘲るようにムスカは言って、あの黒い石を操作すべく手をかざした。 シータ「やめてー!!!」 ムスカ「…!? 何をするッ!?」 シータ「きゃあッ!!」 それを止めようとしたけど、ダメだった。私は易々とムスカに弾き飛ばされ… ムスカ「死ねぇッ!!!」 その場に倒れこみ、そこでムスカの狂気に満ち溢れた形相を目の当たりにした。 64 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/19(火) 20:28:45.37 ID:x5ydQY7M0 将軍「う、うわあああああああああああああ!!!???」 ば、ばかな、なぜ床が、さっきまで立っていたはずの床が、ない!? まて、やめろ、これは夢だ、考えてみろ!? わしはここで死ぬわけにはいかんのだ! わしのラピュタ、わしの財宝、わしの出世!! すべて順調にいっていた! それなのに、なんでわしは、こんなところで…!! こんなもの、目を覚ませばいい話じゃないか! め、目を覚ませ、夢だぞ!? 気をしっかりもてば、目が覚める! こんなバカ共と共に海に向かって落ちていってる自分は夢だ! あああああああ!! なのになぜ目が覚めない!!?? ああ、頼む、お願いだ、誰か夢だと言ってくれ!!!! わしを…!! ここから…!!! 助け…!!! ・ ・ ・ ・ ・ こうして、将軍モウロだった男は、散々今までバカにしてきた沢山の部下と共に、海の藻屑となった。 70 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/19(火) 20:41:31.26 ID:x5ydQY7M0 キョン「はぁッ…はぁッ…はぁ…ハルヒ…お前…早すぎ…」 ハルヒ「もう!ホント、体力無い奴と一緒にいると疲れるわね!」 キョン「そ、そんなこと言ったって…こればっかりは…どうしようもない…」 ちくしょう…俺をこんなヘタレに生んだ親を恨むぞ! ハルヒ「だらしないわね!いっぺん私が鍛えなおして…あれ?ここって…」 キョン「ん…?なんだ…?」 ハルヒ「天井ガラス張りだったかしら? 綺麗ね…」 今はそんな場合じゃないだろう! だがそう言われれば、この建物は…おかしいぞ? キョン「変だな…外から見たときは、ちゃんと屋根がついてたような…」 これもラピュタの科学力の成せる業か? ハルヒ「…そう? まぁ、もういちいち驚かないわ。こんなことで驚いてたら、ここじゃ身がもたないもの」 まぁ、それはそうだな。 キョン「それより、急ごう…もうちょっとくらいなら、ふんばれる」 ハルヒ「なによ!体力無いくせに、無理するのはやめたら? …でもそう言うんなら、さっさと行くわよ!」 91 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/19(火) 21:06:31.96 ID:x5ydQY7M0 パズー「おばさん達は、ちゃんと無事避難できたかな…」 古泉「大丈夫ですよ。彼女は強い。きっと無事ですよ」 パズー「そうだといいけど…」 しかし…あの時長門さんを奪われていなかったら、ここまでひどいことにはならなかった…! もっとうまく、あの時飛行石を奴らから取り返すことができてたなら! パズー「…コイズミ?」 古泉「…」 だが、僕の詰めが甘かったせいで、飛行石奪還の代償として、意識不明の長門さんが彼らの手に渡ってしまった… そして、長門さんと引き換えに飛行石を返せ、と彼らは僕らに持ち掛けた。 パズー「…」 もちろんその欲求は呑まざるを得ないでしょう? しかし飛行石を渡しても、僕達の許に長門さんが戻ってくることはなかった。 僕達は…まんまと騙されたわけです…これはすべて…僕の責任です。 パズー「コイズミ!」 古泉「え、あ、はい、なんでしょう?」 パズー「…あんまり自分を責めないでくれ。ナガトが奪われちゃったのも、シータが連れて行かれたのも、コイズミのせいじゃないよ」 古泉「…しかし、僕は…」 パズー「すぐに二人とも取り返せばいい話じゃないか! まだ間に合うよ!」 古泉「…そうですね。すみません、僕、どうにかしてました」 パズー「うん! きっと二人は大丈夫だよ! それより、キョン達と早く合流しよう!」 103 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/19(火) 21:24:07.79 ID:x5ydQY7M0 キョン「…っぶはぁ! もうだめだ! …って、ハルヒ?」 まさか俺の限界を察して、立ち止まってくれたのか? ハルヒ「…なにか、音がしない?」 キョン「ん…? 音って…?」 ハルヒ「足音? …うん、これは足音よ!」 そう言われれば…確かに何かが近づいて来るような物音が? …ヤバい! すぐさま俺は物陰に隠れ… キョン「ほら、お前も隠れろ! 敵かもしれんぞ!?」 ハルヒ「…ううん、違うみたい」 キョン「なんでそんなことがわかるんだお前は!?」 ハルヒ「だって…もう目の前にいるもの」 キョン「え? …あぁ!?」 ハルヒの目の前に立っていたのは… 俺達がシータと長門を取り返した時に、要塞で暴れていた…あのロボット!? 110 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/19(火) 21:38:29.90 ID:x5ydQY7M0 こ、これは…考えようによっては、まだ兵士100人に出くわしたほうが運が良かったんじゃないか、おい! キョン「ハルヒ!離れろ!」 ハルヒ「…なんで?」 キョン「なんでって…! お前、あの時のこいつの暴れっぷりを見てなかったのか!?」 たとえ、こいつがあの時のロボットとは違うものだったとしても、こんな得体の知れないものに軽々しく近づくのは…! ハルヒ「だってこれ、全然敵意を感じないわよ?」 キョン「そんなもんアテになるか! …お?」 いや、まて…確かに、ハルヒの言うことにも一理ある…かも? ロボットはなにやら不思議な電子音を鳴らすと、俺達に背を向けた。 そしてしばらく立ち止まった後、その苔の生えた体を揺らしながら、ゆっくりと歩き始めた。 キョン「ホントだ…俺達をぶっ殺そうっていう気はないらしい」 ハルヒ「でしょ…? ねぇ、どうする?」 キョン「どうするって…なにが?」 ハルヒ「私には、あれが私達について来いって言ってるようにしか思えなかったんだけど」 キョン「あのピンポンパンポン言ってたのは、そういう意味だったのか?」 ハルヒ「そんなのわかるわけないでしょ! なんとなくそう思っただけよ!」 むう…じゃあここは… 1、ハルヒを信じてみるか? 2、いいや、やっぱり怪しい! 安価 >>115 115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/19(火) 21:40:27.97 ID:8imWu9UW0 今北 1 124 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/19(火) 21:53:03.22 ID:x5ydQY7M0 …ハルヒを信じてみよう。 キョン「わかった。じゃあ、あいつについて行ってみるか」 ハルヒ「うん。でも、気をつけてね…自分から言っておいてなんだけど」 キョン「ああ、もちろんだ。お前も気をつけろ?」 俺にとっては、この方が走らなくてすむので大歓迎だ! こうして、俺達は警戒しながら、あのロボットの後をついて行った。 もちろんある程度距離をとって、だ。 ・ ・ ・ ・ ・ ハルヒ「…このロボットは、どこまで私達を連れて行こうとしてるの?」 キョン「…そんなの知るか。あいつに聞けよ。第一、あいつが本当に俺達を先導してるとは限らないだろ?」 ハルヒ「まぁ、そうなんだけど…」 いったい何分歩いただろうか。ロボットは相変わらずの様子で歩き続けている。 しかし、そう思った瞬間ロボットは立ち止まり、俺達に向き直った。 そしてまた電子音を鳴らすと、どこかへ行ってしまった。 ハルヒ「…行っちゃった」 キョン「っておい! 追わなくてよかったのか?」 ハルヒ「だって…なんか、着いたよって言ってる気がしたんだもの!」 キョン「着いたって…? じゃあここはどこなんだよ?」 ハルヒ「そんなのわかるわけ…! ううん、わかる。ここは…お墓?」 138 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/19(火) 22:19:20.77 ID:x5ydQY7M0 は、墓…? ふむ、そう言われてみれば…墓石のようなものがたくさん並んでる? キョン「ああ、だいぶ朽ち果ててる感じはあるけど…墓みたいだな」 ハルヒ「うん…墓石にはなんて書いてあるんだろ?」 キョン「ん? 英語もろくにできない男に読めるわけないだろ」 ハルヒ「そうよね…聞いて損したわ…」 そんな真面目に落ち込まれても! ハルヒ「…あのロボットは私達をここに連れてきて、何をしたかったんだろ…」 キョン「だから、俺達が勝手にあのロボットについて行ったっていう可能性もあるだろうが!」 ハルヒ「…そうよね。あ、あれ? キョン、お墓に花が…」 キョン「ん? …ああ、確かに。もしかして、まだラピュタには生き残りが? いや、それはないか…」 だとしたら、いったい誰がこの花を供えたんだ? 149 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/19(火) 22:40:11.15 ID:x5ydQY7M0 ハルヒ「しかも…かなり真新しいわね。この花」 キョン「うむ…いかにも今摘んで供えましたって感じの…」 ん? そういえばさっきから微妙に気になっていたんだが。 キョン「そういやハルヒ、あそこのでっかい墓の前でうずくまってる奴はだれだい?」 ハルヒ「バカね! うずくまってるんじゃなくて、あれはお祈りをしてるんじゃないの? …あれ?あの後姿は…」 やっぱり、ハルヒも気づいたようだ。まったく、探させやがって…いや、俺達がはぐれただけ、か。 キョン「…おい! 一つ聞くが、お前は何者だ?」 そして俺はそいつに歩み寄り、声をかけた。すると、そこでやっとこちらに気づいたかのようにそいつは立ち上がり… ?「…僕ですか?」 満面の笑みを浮かべると、 ?「…お察しの通り、超能力者ですよ」 そういたずらっぽく、その超能力者は答えた。 157 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/19(火) 22:59:10.78 ID:x5ydQY7M0 パズー「だめだコイズミ、全然見当たらな…って、キョン!ハルヒ!」 キョン「パズー! お前も無事だったか!」 ハルヒ「よかった…みんな無事だったのね!」 いやー、よかったよかった。本当によかった! キョン「ところでシータや長門も無事か?」 古泉「…」 パズー「…」 な、なんだよお前ら、その沈黙は! 古泉「…すみません。僕の不注意で、シータさんと長門さんは…」 パズー「コイズミのせいじゃない! …キョン、ナガトはシータと一緒にムスカに連れて行かれて…」 キョン「…マジか?」 ハルヒ「ムスカって…あの要塞で会ったメガネの奴!?」 ハルヒの問いかけに、古泉は重々しい頷きで答えると、そのままうなだれたまま話し始めた。 古泉「…ラピュタについたときは、みんな無事だったんです」 キョン「…」 古泉「ですが上陸したとたん、僕達は軍に襲われ…」 キョン「その時捕らえたシータと長門を、ムスカは連れて行ったってわけか?」 古泉「いえ…その時、僕達はなんとか逃げることができたんです。ですが船長達は逃げ切ることができず、そのまま囚われの身に…」 古泉はそこで視線を俺に戻すと、まるで懺悔をするかのような面持ちで続けた。 169 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/19(火) 23:25:16.97 ID:x5ydQY7M0 古泉「そして、なんとかラピュタ内を逃げ回っていると、彼に…ムスカに出くわしてしまったんです」 キョン「…」 ハルヒ「…」 古泉「…彼は、飛行石を持っていました。シータさんが要塞で無くした後、どうやらムスカはそれを何らかの形で入手し、その導きの光を頼りにラピュタに来たようなんです」 な…なに? あのメガネの男…ムスカが、あの石を持っていただと!? 古泉「ムスカは、どうやら軍と距離を置き、別行動を取っていたようです。そんな中でシータさんを連れた僕を見つけた彼は、ベラベラと嬉しそうにラピュタの秘密を僕達に話した」 ハルヒ「!? ラピュタの秘密って…どういうこと?」 古泉「その件についてはあとでお話します…で、ラピュタの秘密を一通り話し終えたあと、彼は無防備な長門さんに銃を突きつけ、シータさんを渡せと僕達に命じたんです」 …ムスカ、てめぇは世界中の長門ファンを敵に回した! 古泉「しかし、彼は完全に油断していた。僕達がまさか刃向かうなんて、夢にも思っていなかったでしょう…その隙を突き、僕は彼の手から飛行石を奪い返そうとした」 そこで、古泉は本当に悔しそうな顔で俺に謝ると、話を続けた。 古泉「それが失敗だったんです。飛行石を奪い返すことには成功しましたが、その代償として、長門さんが彼らの手に渡ってしまい…」 キョン「…それで、奴らは長門をお前らに帰す代わりに飛行石を…という取引を持ち掛けた…そんなとこだろう。だが、それなら長門は…」 …この場にいるはずだ。 古泉「…おっしゃるとおりです。僕達はもちろんそれに従った。ですが…」 そこで古泉はその悔しさを抑え込むように俯くと、静かに言った。 古泉「長門さんは…帰ってこなかった。彼らは…ムスカは飛行石を受け取ると、再び長門さんを人質に取り、シータさんを脅した」 キョン「…」 ハルヒ「…」 古泉「この娘を殺されたくなかったら…我々について来い…と」 187 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/19(火) 23:48:41.64 ID:x5ydQY7M0 ムスカ…なんていう非道な野郎だ!許せん! キョン「…今の状況はわかった。で、船長達はどうなったんだ…?」 まさか…まだ捕まっているとか…? パズー「おばさん達は、僕らが助けたよ。今頃、どこかへ隠れてるはず」 ハルヒ「そう…よかった」 ああ…それがせめてもの救いだ。 189 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/19(火) 23:49:46.38 ID:x5ydQY7M0 キョン「…古泉」 古泉「本当に…すみません」 キョン「いいんだ。お前は本当によくやってくれた。もちろん、パズーも」 ハルヒ「そうよ! そこにいるバカより、全然よくやってるわ!」 …そこにいるバカ、とは…俺のことを言ってるんじゃあるまいな?ハルヒ? 古泉「…」 キョン「何落ち込んでやがる! まだ最悪の状況じゃないぞ!?」 パズー「そうだよコイズミ! さっきも言ったけど、また取り返せば…!」 ハルヒ「…ねぇ」 キョン「…ん、なんだ?ハルヒ」 ハルヒ「静かすぎると思わない? ううん、静かなのはいいことなんだけど…これは、なんか変」 古泉「…ええ、確かに…あんなにたくさんの兵隊がラピュタに上陸したというのに、これはおかしい」 パズー「そう言われれば…そうだね。不気味だ」 そうだ。ハルヒの言うとおり、これは変だ。何か、とんでもないことが起こりそうな予感がする。 キョン「…今すぐ助けに行くぞ。シータと長門を」 古泉「そうですね…もう、くよくよしたりしません。過去を悔やむ前に、やらねばいけないことがある」 ハルヒ「そうよ! 過去よりも、これからの未来の方が大事! さぁムスカ、覚悟しなさい…やっぱりあんたは一発ぶん殴んないとね!」 パズー「じゃあ、シータとムスカが入って行った隠し通路のところまで戻ろう! なにかそこに入る手がかりがあるかもしれない!」 キョン「よし…じゃあパズー、古泉、そこまで案内してくれ!」 パズー&古泉「了解!」 209 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 00:20:25.41 ID:tdyHEQQc0 キョン「…ここが…そうなのか?」 古泉「ええ、ムスカがこの壁に飛行石をかざすと、たちまち道が開いたんです。そして、その中に彼女は…」 パズー「…くそ、だめだ…押しても殴っても蹴っても、全然反応がないよ…」 確かに…。本当にここに道があるのか? と疑いたくなるほどの無反応さだ…。 で、ここに入る手がかりになりそうなものは… 側近A「ギギギ…」 側近B「ひ…ぎぃ…」 キョン「…」 ハルヒ「…」 ここで股間を押さえながら悶絶している、このお二方…くらいか? キョン「…おい古泉、彼らに何をした? まさか、彼らと同じポーズをとれば、道が開くとか…」 古泉「ふふ…そんなわけないじゃないですか。それに彼らには、ちょっとどいててもらっただけですよ?」 どいててもらった…? いや、そんなレベルじゃないぞ、この苦しみ方は! 古泉「まぁ、彼らのことはいいじゃないですか… それより、この道が開かなければシータさん達は… !? あ、わ、忘れてました…すみません皆さん!」 キョン「な、なにを忘れてたって!?」 古泉「ムスカは言ってました…この通路は、ラピュタの王族ではないと通れない…と、なら僕達は…」 キョン「…お前! なんでそんな肝心なことを! だいたい、ラピュタの王族ってのは…どういうことだ!?」 ハルヒ「そうよ! そういえば、古泉君がムスカから聞いた『ラピュタの秘密』について、私達は聞いてないわ!」 214 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 00:33:57.04 ID:tdyHEQQc0 古泉「あ…そうでした…すみません。まだでしたね、説明が…」 古泉は申し訳なさそうに頬をかくと、続けた。 古泉「なぜ、ムスカはシータさんに固執するのか…そして、ムスカの真の目的はなんなのか…」 ハルヒ「…」 古泉「それは、簡単です。シータさんは、この滅びたラピュタ王国の正当な王族。その名は、リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ」 りゅ、りゅしーた・とえる・うる…ラピュタ!? キョン「じゃあ、シータって…王女様!?」 古泉「ええ…そして、ムスカの真の目的は、ラピュタに眠る財宝などではない。もっと奥深くに眠るもの…そう、かつて地上を支配したラピュタの科学力。まさにそれが、ムスカの狙いだった」 ハルヒ「じゃあ、あの時の爆発は…」 古泉「…おそらくですが、その卓越した科学力を我々に見せ付けるための余興、と考えていいでしょう。僕達も、あの爆発は見ました」 キョン「ちょ、ちょっとまて! じゃあムスカはもうラピュタを支配してるっていうのか!?」 古泉「…ムスカは、全ての鍵を手に入れた。ラピュタの科学力。それを自在に操るだけの知識。そして…ラピュタの王族である、シータさん。このままだと、もはや彼に敵はいなくなるでしょう」 223 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 00:55:16.41 ID:tdyHEQQc0 …状況は、思ったより悪いようだ。だが、このままムスカを調子付かせていいのか!? キョン「…ちくしょー! 開け!開けよ!!」 古泉「…キョン君!?」 パズー「え…キョン!?」 ふざけんな! 俺はお断りだ! シータ、ラピュタはお前を受け入れたんだ! だからこそ、道は開いたんだ! ラピュタは、あんな奴を受け入れない! あいつはそれを知っていた! だからお前を連れて行った! ラピュタをあいつの好きにさせておいていいのか!? あいつのくだらない支配のために、ラピュタを利用されていいのか!? キョン「開けって言ってるだろう! 頼むから開け! なぁ、シータ!!」 古泉「…キョン君」 ハルヒ「キョン…」 …だめか。シータは…長門は、俺達の手の届かない場所まで…行ってしまったのか? ちくしょう…! やっぱり俺はヘタレだ…こんな肝心なところで、何もできない。ただ、叫ぶしかできない。俺は… ハルヒ「…こらー!!! キョンが開けって言ってんでしょ!!??」 …!? ハルヒ!? 224 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 00:56:48.80 ID:tdyHEQQc0 キョン「ハルヒ…お前…」 ハルヒ「なに諦めてるの!? 黙ってる暇があったら、さっさと怒鳴りなさい! 声がシータに届くまで!!」 キョン「…ハルヒ…わかった! うおー!! 開けこらー!!!」 ハルヒ「そうよ!! …ッこの…開きなさいよー!!!!!!」 そのとき… 古泉「…!? し、信じられない…」 パズー「ま、まさか…」 キョン「ま、マジで…?」 そこにあったはずの壁は一瞬にして消えうせ、その代わりに、大きな穴がぽっかりと開いていた。 234 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 01:16:33.45 ID:tdyHEQQc0 ムスカ「はっはっは! 見ろ、奴らが逃げて行くぞ!」 ムスカは黒い石を操作し、逃げまとう兵士達の映像をその場に映し出すと、高らかに笑った。 兵士達は必死で戦艦ゴリアテへと避難する。しかし、彼らの入船を待たずに、ゴリアテは飛び立った。 そのため、中には乗り切れず、そのまま海へと落ちていく兵士もいた。 …ひどい有様である。しかし、あそこまで圧倒的な武力を見せ付けられても、彼らはまだムスカと戦おうとしていた。 ムスカ「…ほう、私と戦うつもりか」 そうムスカは愉快そうに呟くと、更に黒い石に飛行石を走らせる… すると、あの時要塞を破壊し尽くしたロボットに似たものが次々と空へと放たれ、戦艦を攻撃し始めた。 ゴリアテは、必死でそれを撃退しようとするが、無駄である。 そのロボットの攻撃により、見る見るうちに破壊し尽くされるゴリアテ。煙を上げ、火を噴き…無残にも戦艦より海へと落下する人々。 その有様を見ながら、ムスカは狂喜して叫んだ。 ムスカ「見ろ、人がゴミのようだ! …くくく、最高のショーだとは思わんかね?」 246 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 01:33:33.51 ID:tdyHEQQc0 キョン「こ、この空間は!?」 なんと、隠し通路を通って出た先は… 古泉「これが、ラピュタの中枢。この右往左往する四角い石こそが…ラピュタの頭脳」 ハルヒ「…不思議ね、どんな原理で動いているの…?」 キョン「ま、まぁ人それぞれいろいろな感想はあると思うが、ここから先はどう行けば?」 そう俺が言うと、パズーがなにやら石を調べながら言った。 パズー「たぶん、この石に乗っかれば、そのまま上に行ってくれるような仕組みになってるんだと思うよ!」 古泉「なるほど、エレベーターですか…では皆さん、気をつけて…」 古泉に促され、全員四角い石に乗り込む…すると! キョン「…これ、ホントに動くのか…って、うぉああああ!?」 ハルヒ「!? …び、びっくりした…本当にエレベーターになってるなんて!」 古泉「シータさんも、この道を通って、今頃ムスカと一緒にいるんでしょうか?」 パズー「いったい、この先に何が待っているんだろう?」 ハルヒ「何が待っててもいいわ! 鬼でも蛇でもなんでも来なさい! 私はムスカに一発お見舞いするまで死なないわよ!」 …みんな思い思いの感想を口にするが、俺にはそんな余分なことを考える余裕はなく、ただ… シータと長門に無事でいてほしい…と。ただ、それだけを祈っていた。 261 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 01:44:52.78 ID:tdyHEQQc0 ムスカ「…はっはっはっはっは! すばらしい! すばらしいぞ! あの大戦艦ゴリアテが、この程度か!」 そして、次の瞬間ムスカの目の前に映し出されたのは、完全にその船体を打ち砕かれ、今にも無残に海へと崩れ落ちんとするゴリアテの姿だった。 また、人が死んでいく。あの要塞の時とは比べ物にならない。あの時よりも多くの人が、あの時よりももっと惨たらしく…死んでいく。 もう見てられなかった。私は高笑いするムスカの背後に忍び寄り、その手に握られていた飛行石を奪おうとした! ムスカ「…!? やめろ!!!」 シータ「きゃああ!!」 激昂し、私に殴りかかるムスカ。でも、そのおかげで飛行石はムスカの手から外れ… 倒れこむ、私の目の前に転々と転がった。 268 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 01:52:03.87 ID:tdyHEQQc0 ためらわず、私は地面に落ちた飛行石を掴み、ムスカをにらみつけた。 シータ「もうやめて! じゃないと飛行石は…!」 ムスカ「…くくく、それは私のセリフだよ、王女様」 ムスカは完全に気を失っているナガトさんの頭に銃を押し付け、脅すように言った。 ムスカ「この娘の命が惜しくないのか! さぁ、大人しく飛行石を渡せ!!」 280 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 02:06:25.45 ID:tdyHEQQc0 キョン「…ついたのか?」 石のエレベーターは、乗って数分もしないうちに動きを止め、ただの石となった。 だが、そこで俺達が降りると、とたんに元あった場所まで再び動きだしたのだ。 古泉「…このフロアのどこかにムスカ達はいるでしょう。間違いなく、ここはラピュタの命とも呼べる場所」 古泉はあたりを見渡しながら、そう確信したように言った。 キョン「ん? そうなのか? 俺にはさっぱりだが」 古泉「ええ、私には、このフロアに渦巻く大きなエネルギーが感じ取れるのですよ」 そう言うと、古泉は慎重に歩き出した。 古泉「…こちらです。このフロア内で、最もエネルギーが感じ取れる場所…おそらくそこにシータさんは…ムスカは、確実にいます」 ハルヒ「…あ、待ってよ! …ほら、キョン行くわよ?」 キョン「あ、ああ…」 こうなると、俺達凡人はあいつに黙ってついて行くしかない。エネルギーだのなんだのって、俺にはてんでさっぱりだからな。 だが…この空間を取り巻く異様な空気だけは…俺のような凡人にでさえ、ちゃんと感じ取れた。 必ず奴はいる…待ってろよ…ムスカ! そして、シータ…長門…どうか、無事で… 291 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 02:26:25.57 ID:tdyHEQQc0 古泉「…この扉…!? 皆さん、止まってください!」 古泉は、ある扉の前で俺達を制すと、静かに続けた。 古泉「この扉の奥から…凄まじい量のエネルギーが感じ取れます。エネルギー源は定かではありませんが、これは…シータさんの飛行石に似ている」 キョン「飛行石…と、とにかく、ムスカはこの先に!?」 古泉「…おそらく。ですが、この扉は…」 …やっぱ、開かないとか…そういうオチですか? 参ったな…おそらく、もうさっきのようにはいかないだろう。 奇跡は起こらないからこそ奇跡なんだ。その奇跡が起こってしまったのだから、あんなことはもう二度と起こるまい。 キョン「仕方ない。この扉以外の進入ルートはないのか…って…」 な、なんか、俺の背後から、すさまじい殺気…が! ハルヒ「…この先に、あのバカ(ムスカ)はいるのね…」 キョン「ま、待て、ハルヒ! お前、なにを…」 俺がなだめるように聞くと、ハルヒは噛み付くように言った。 ハルヒ「他の進入ルートを探すですって? そんなまどろっこしいマネしてたら、その間にシータや有希がどうなるかわかったもんじゃないわ!」 キョン「じゃあ、お前はどうするつもりなんだ!?」 ま、まさか、この扉をぶち破るつもりじゃ…! ハルヒ「決まってるじゃない! この扉をぶち破って、あの子達を助けるのよ!」 そ、そのまさかだった!! ハルヒ、恐るべし! 292 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 02:27:49.11 ID:tdyHEQQc0 ハルヒ「さぁ行くわよ! あんた達はどいてなさい! まず私がこの扉をぶち破るから!」 パズー「ちょ、ハルヒ!? 落ち着いて!」 古泉「涼宮さん、ちょっと、その考えはどうかと…」 さっそく二人の勇者がなだめにかかった! だが… ハルヒ「…うっるさいわねー!!! どいてって言ったらどいてー!!!」 なんと二人を押しのけ、ハルヒはそのまますさまじい勢いで扉へ突っ込み… ハルヒ「っこの…ばっかキョーン!!!!!!」 古泉「!?」 パズー「!?」 キョン「!?」 な…!? か、掛け声の意味はわからんが、と、とにかくハルヒは…!! あの頑丈そうな石造りの扉を蹴り砕いた!!! 古泉「…と、とにかく彼女に続きましょう!」 キョン「あ、ああ!!」 パズー「わ、わかった!」 ハルヒの後に続いて扉の奥に向かう! だが、そこに待っていたのは… 長門を人質に取ったムスカと対峙する、飛行石を持ったシータだった! 303 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 02:42:43.54 ID:tdyHEQQc0 ムスカ「!? ば、ばかな…なぜ…貴様らが…!?」 ムスカは驚いている。当然だ。まさかここまで俺達が来れるとは思っていなかっただろう。 キョン「長門から銃を放せ!」 ムスカ「く…くくく…くくくくくははははは!!! シータ、君こそ飛行石を手放したまえ!」 ハルヒ「あ、あんた! なに考えてんの!! 女の子のことをなんだと思ってんのよ!!」 ムスカ「黙れ!! 君らは今、ラピュタ王の前にいるのだぞ!? 慎みたまえ!!!」 ムスカは今にも長門に押し付けている銃の引き金を引きかねないような形相で、俺達に怒鳴りかかった。 ハルヒ「く… あ、あんた、最低なんだからね…! 女の子を盾に取るなんて…!」 ムスカ「なんとでも言え! それより、さっさと飛行石を渡すんだ! 君に拒否権はないぞ!? シータ!!!」 ムスカの目は血走り、完全に頭に血が上っていることが目に見えてわかった。 ここで下手に奴を興奮させたら、間違いなく長門に銃弾をぶち込みかねない! シータ「…みなさん…どうしてここまで?」 古泉「説明はあとです。今はしっかり、その石を守っていてください」 そう古泉は言うと、ムスカに向けて一歩歩み寄った。 312 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 02:51:15.95 ID:tdyHEQQc0 ムスカ「くく…石を守っておけ、だと? この状況を、貴様はわかっているのか!?」 古泉「ええ、しっかりわかっていますよ?」 ば、ばか!古泉のやつ、なぜここでムスカを刺激する!? ムスカ「本当にわかっているのなら…そんな言葉は出ないはずだが?」 ムスカは怒りを押し殺しながら、古泉を脅すように言った。 ムスカ「貴様らの大事な女は私の腕の中! そしてその娘に私は銃を突きつけている! この意味がわかっているのか!?」 だが、その押し殺した怒りすらも吐き出すかのように、ムスカは古泉に向かって喚き散らした。 古泉「…撃ちたいなら、撃てばいい」 キョン「な…!?」 ハルヒ「古泉君!?」 パズー「コイズミ!?」 シータ「コイズミさん!?」 な…お、おまえ…ここに来て…血迷ったのか!? 320 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 02:59:23.81 ID:tdyHEQQc0 ムスカ「な…に?」 古泉「撃てばいい、と言っているんです。彼女を犠牲にするだけで、あなたの計画を水の泡にすることができるんですよ?」 ハルヒ「…!? こ、古泉君…あなた一体…なにを…」 パズー「…コイズミ?」 シータ「…」 ば…ばかな…あの古泉が…そんな… キョン「古泉ぃ!!!!」 古泉「なんです? 騒々しいですね」 キョン「てめぇ…正気か!?」 古泉「当たり前でしょう。この状況なら、必然的にこうするしかない。一人を救ってその残りの百人を死なせる。一人を殺してその残りの百人を助ける。二つに一つしかない場合、あなたは一体どちらを選ぶというんですか?」 327 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 03:04:47.46 ID:tdyHEQQc0 1、古泉を信じる 2、古泉は気が狂った 安価 >>335 335 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/20(水) 03:06:41.16 ID:K+qIKtmVO 1 349 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 03:13:29.27 ID:tdyHEQQc0 キョン「…ハルヒ」 ハルヒ「な、なに…?」 キョン「飛行石を持って逃げろ。パズーもだ」 パズー「!? キョン…?」 ハルヒ「ちょ、キョン!? あんたまで気が…!!」 シータ「ハルヒさん! パズー!」 ハルヒ「!? な、なに…?」 シータ「これ、飛行石です…早く逃げてください!キョンさんの言うとおりに!」 ハルヒ「あ、あんたまで…何を言ってるの?」 キョン「さぁ、行け、ハルヒ」 ハルヒ「い、いやよ…あんた達…有希を…」 キョン「行けって行ってるだろう! パズー、ハルヒを頼んだぞ!!」 パズー「…わかった! ハルヒ、行こう!」 ハルヒ「あんたまで…私を…!?」 パズー「キョンを信じられないのか!?」 1、信じる 2、信じない 安価>>355 355 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/20(水) 03:16:09.72 ID:tM4tZ6P90 1 365 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 03:24:41.44 ID:tdyHEQQc0 ハルヒ「…キョン!」 キョン「…」 ハルヒ「私…信じてるから」 パズー「…行こう!」 ・ ・ ・ 366 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 03:30:30.30 ID:tdyHEQQc0 古泉「…」 シータ「…」 キョン「…」 ムスカ「…………く」 ムスカ「く、くくく」 ムスカ「くくくくくくくくくく」 ムスカ「はーッはっはっはっはっはっは!!!!」 ムスカ「こ、こ、ここまで、私を、こけにした、やつらは、は、はじめてだ…」 古泉「…」 キョン「…」 シータ「なんで…ラピュタが滅びたのか…今ならわかる気がする…」 ムスカ「!?」 シータ「ゴンドアの谷に古くから伝わる言葉があるの…」 キョン「…」 古泉「…」 シータ「土に根を下ろし、風とともに生きよう…種とともに冬を越え、 鳥とともに春を謳おう…」 ムスカ「…」 シータ「どんなに恐ろしい武器を持っても、たくさんの可哀想なロボットたちを操れても、土から離れては生きられないのよ!」 ムスカ「…は、ははははははは!!!!」 シータ「!?」 ムスカ「ら、ら、ラピュタは滅びん!! な、何度でも蘇えるさ!!!! そ、そのためには…」 古泉「…」 キョン「…」 ムスカ「この小娘が邪魔だー!!!!!!」 377 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 03:48:17.59 ID:tdyHEQQc0 長門「…自動修復、完了」 ムスカ「な…んだと? た、確かに、弾が、頭に、当たったはず…お、お前は…一体?」 古泉「…キョン君、ナイスフォローでしたよ」 キョン「ああ。こんな衝撃的な場面は、さすがにあいつには見せられないからな」 長門「…(ぶつぶつぶつ)」 ムスカ「な…今度は… !? か、体が、体が動かん!!」 長門「この空間は、もはや私の管理下にある。無駄。私の許しがなければ、動くことはおろか、息をすることすらも不可能」 ムスカ「な…ぐ…あ…」 長門「…Checkmate.」 ムスカ「!!?? ぐ、ぎゃああああ!!目が、目がぁぁあ!足が!手が!!頭が、割れ、な、まて、やめろぉぉぉお!!!」 古泉「…ああ、おっかないですね。キョン君、気をつけたほうがいいですね」 キョン「な、なにをだ!?」 古泉「彼女をあまり怒らせるな…ということです♪」 キョン「…ああ、わかったよ」 387 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 04:02:17.53 ID:tdyHEQQc0 古泉「…ここまで痛めつければ、もう十分でしょう。長門さん、行きましょうか」 長門「…わかった」 古泉「…もしかして、やりたりないですか?」 長門「…別に」 ムスカ「ぁ…あぁ…ぃ…ぃ…」 キョン「…こりゃひでぇ」 古泉「ん?どうしました?」 キョン「あ、ああいや、なんでもない…ところで、長門はなぜ動けるんだ?まさかとは思ったが、本当に動くとは」 古泉「ええ、確かに彼女は統合思念体の恩恵がなければ、酷ければ先程までの彼女のように意識不明、軽いところで言えば…能力の使用が制限される」 長門「でも…ここの部屋にある巨大な飛行石のエネルギーを取り込み…なんとか持ち直した」 キョン「ああ、あれか…あれが古泉の言っていた…」 古泉「ええ、このラピュタで最も強いエネルギーを発している物質です。だから駄目元でムスカをけしかけてみたんですが…いやぁ、うまくいってよかったですよ」 長門「…」 キョン「ところで、ハルヒはどこだろうか? そんなに遠くまでは行ってないと思うけど…」 シータ「ハルヒさんなら、あの石の間で待つようにってこっそり言ってあるわ」 古泉「…そうですか。じゃあ、さっそく向かいましょうか」 394 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 04:13:57.11 ID:tdyHEQQc0 ハルヒ「…」 パズー「…」 ハルヒ「…遅いじゃないのよキョン!戻ってきたら、ムスカを殴り損ねた分、ぶん殴って…」 キョン「だーれをぶん殴るってー? ハルヒ」 ハルヒ「やるんだから…って、キョン!? あ…ゆ、有希!、有希ぃ!…大丈夫だった!? 何もされなかった!?」 キョン「ああ、ムスカは長門に手を出していないぞ」 ハルヒ「…キョンに何もやられなかった!?」 キョン「って俺かよ! 何もするわけねぇだろこのバカ!」 長門「…大丈夫」 ハルヒ「そう…よかった…古泉君が、変になっちゃうんだもん、私、どうしようかと…」 古泉「心配かけて申し訳ありません。でも、もうすべて終わりました」 パズー「全て終わったっていうと…?」 キョン「ああ、ムスカをノックアウトした。もう大丈夫だ」 ハルヒ「…ムスカはどこ?」 キョン「な? は、ハルヒ、お前また、殺気が…!?」 ハルヒ「どいてちょうだい! すぐに死体を海に捨てるわ!!」 キョン「ま、まてー!! あいつは死んでないぞ!! 再起不能だということには間違いないが!」 ハルヒ「ならなおさらよ! 他でもないこの私が、あいつの息の根を止めるわ!」 キョン「だからやめろってー! この年で人殺しなんて…!!」 402 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 04:27:47.31 ID:tdyHEQQc0 ・ ・ ・ 古泉「では…そろそろ僕達は、元の世界に帰りましょうか?」 キョン「なに!? お前、帰り方がわかるのか!?」 長門「…」 古泉「ええ、そのためには…」 長門「…全てを、終わらせるだけでいい」 ハルヒ「…全てを…終わらせる?」 キョン「悪いが、さっぱりわからん。詳しく説明してくれ」 古泉「…これは、何事にも言えることなのですが…」 キョン「ん?なんだ?」 古泉「終わりは、始まりなんです」 キョン「…いや、余計にわからない」 古泉「わからないですか?終わりがあるから始まりがある。始まりがあるものには、終わりがある」 長門「そうやって…歴史は繰り返される」 シータ「…」 古泉「シータさん、何か、心当たりがありませんか?」 シータ「…ある。滅びの呪文…終わりの呪文…」 長門「…終わりは始まり…今までの私達はこの瞬間を持って終わってしまう…けど、これからの私達は…」 古泉「どこかで、始まりを告げる」 411 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 04:36:55.36 ID:tdyHEQQc0 古泉「さぁ、シータさん。これはラピュタの末裔の、あなたにしかできないことです」 長門「今まで…楽しかった」 キョン「ん?まだよく意味がわからんが、ここでパズーやシータとはお別れなのか?」 古泉「ええ。しかし、また僕達が元の世界で出会えるとは限りません。そう考えると、僕達ともお別れになる可能性がありますね」 ハルヒ「ええ!? そ、そうなの!?」 キョン「なんだって!? それはどういう…」 長門「…人間は、どこから来てどこへ行くのか…それがわかる人がいる?」 キョン「…そ、そんなのはわからん!」 古泉「なら、そういうことです。しかし、ちゃんと心のどこかで僕らが繋がっていれば…」 ハルヒ「また元の世界で…みんなで会える?」 古泉「ええ、そういうことです」 426 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 04:53:02.36 ID:tdyHEQQc0 キョン「なんだ、それなら問題はないだろう? 絶対に会えるさ。心配して損したよ」 古泉「そうですね。では、みなさん意識を集中してください」 長門「…」 ハルヒ「…」 シータ「ドーラさん達には、私達からよろしく言っておきますね?」 パズー「ああ、短い間だったけど、ありがとう」 古泉「…こちらこそ。ありがとうございました」 長門「…」 ハルヒ「元気でね、パズー、シータ」 キョン「仲良くやれよ?お前ら」 パズー「うん、わかった…」 シータ「…」 427 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 04:54:15.78 ID:tdyHEQQc0 ・ ・ ・ ほら、目を瞑ってても、感じられる。 右には長門。 左には古泉。 そして前には…ハルヒ。 お前らとのつながりが…感じられる。 古泉と長門の言ってたことは、さっぱりわからなかったけど… まぁ、元の世界にみんなで無事に帰れるのなら、それは気にしないことにする。 …じゃあ、そろそろお別れみたいだな。 いろいろ大変だったけど…その分…まぁ、楽しいこともあった。 これなら、5年に1回くらいのペースでなら、またここに来てもいい気がする。 …な!? 俺にもとうとう、ハルヒの毒が回ったのか!? いかんいかん! これはよくない傾向だぞ!? …あ、ハルヒ。今お前、笑ってるだろ? なんとなくわかるぞ? お前の笑顔…あったかいからな。でも、あえて確認はしない。 次に目を開けるときは… シータ「…バルス!」 皆と一緒に元の世界に戻れたときだと、決めてるから。 432 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 04:58:20.06 ID:tdyHEQQc0 ご愛読ありがとうございました! 武須加先生の次回作にご期待ください!! ねみぃよwwwwwwww 446 名前:武須加◆.CzKQna1OU [] 投稿日:2007/06/20(水) 05:09:15.72 ID:tdyHEQQc0 ちくしょー!! おまいらマジで応援ありがとな!!! 全レスしたいとこだが、そんな体力は残されていない…! あと、実は俺今日、学校なんだ。へへ、すげぇだろ…?あ、目から汗… んー、おまいらとはまたどこかで会いたいけど、とりあえずはお別れだなw じゃあ、最後に一言。 こ こ ま で 読 ん で く れ て あ り が と う 今の気持ちはこれに尽きるわ! では、またどこかで!