キョン「やんでれささき」【その2】


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/21(日) 00:34:23.00 ID:WLjpfLhs0

スレ立て代行
このSSは、キョン「やんでれささき」の続きとなっております
パンツ消去は本編後のおまけで少々。それまでは着用推奨

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/21(日) 00:44:01.26 ID:uuSRH2AMO

キョン「…………ん…………ぁ……?」

キョン(…………ここは……俺の、部屋……?)

キョン(…………夢……か……)

キョン(…………当然だな。……だって、あの佐々木だぞ?……あり得る訳が無い。夢に決まっている……)

キョン(……ん…………頭……何だ、これ……暖かい……)

キョン(…………手……?あれ、何で……?)

「くつくつ……。キョン、君がそんなに僕の手に興味があるとは、知らなかったな」
キョン「…………そりゃあ確かに俺は平穏が大好きだが、別に超能力者になった覚えは無いし、サイコな趣味も持っちゃあいないな」

佐々木「何だい、それは?……ああ、君の好きな漫画か何かかな?まあ、気を悪くしたのなら謝罪するよ」

キョン「それはまぁ、構わないんだが。もっと他に謝罪すべきことがあると思うんだ」

佐々木「そうだね。済まなかったよ、キョン。どうにも、加減が分からなくてね。まさか気絶するほどだとは思わなかった」

キョン「ぐ、お、お前なあ……」

佐々木「くつくつ。……おはよう、キョン。気分はどうかな?」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/21(日) 00:46:58.49 ID:uuSRH2AMO

キョン「……最悪とは言わないが、最高からも程遠いな。夢であって欲しかった」

佐々木「つれないね。あんなに鮮烈な時間を共にしたんだ。僕にとってはそれこそ、夢のような時間だったのだけれど」

キョン「……少なくとも、俺はもっと穏やかな方が好みだ。自由であれば尚良い」

佐々木「おや、それは良い事を聞いた。参考にさせてもらうとしよう。くつくつ」




キョン「…………手錠、外したんだな。……それと、ここは、やっぱり……?」

佐々木「そう、僕の世界だ。きっと長くなるだろうからね。君の居心地が良くなるように、と思って」

佐々木「手錠は……まあ、最初に言ったように、あまり意味は無いし。あのままじゃあ、少々寝苦しそうだったからね」

佐々木「それに、逆に聞くけれど、手錠を外したからといって、君は何かをするつもりなのかい?」

キョン「……怒り狂って暴れまくる、とか?」

佐々木「君が?まさか。君は、そんな事はしないよ。相手が僕なら尚更だ」

キョン「……よく分かっていらっしゃる事で。こんちくしょうめ」

佐々木「親友だからね。くつくつ」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/21(日) 00:50:31.57 ID:uuSRH2AMO

キョン「…………なあ、佐々木」

キョン「何で、こんな事をしたんだ……?」

キョン「いくら何でも、おかしいだろう。こんな……こんな、事……」

佐々木「……………………」

佐々木「……その事については、謝罪のしようも無いよ」

佐々木「けれど……僕も余り、余裕が無くてね。止める気は、無い」

キョン「……………………」

佐々木「……………………」

キョン「……お前は、俺が欲しいと言ったな」

佐々木「……うん、言ったね」サッ

キョン「……どういう意味だ?それが何故、今、この状況に繋がる?」

佐々木「…………はぁ。それは、本気で言っているのかい?……いや、まあ、その原因の大半が僕にある、という事は理解しているけれども」

キョン「…………そりゃあ、だって、なあ?お前の持論は、それこそよく知っている積もりだったんだが」

佐々木「……やれやれ、君というやつは。本当に、何と言うか、よくもまあ……」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/21(日) 00:53:42.98 ID:uuSRH2AMO

佐々木「…………そうだね。君も良く知っての通り、僕は常々、恋愛に興味は無いと公言して来た」

佐々木「恋愛感情などというものは精神病の一種であり、所詮は気の迷いである」

佐々木「そんな物に踊らされ、視野狭窄に陥った挙げ句正常な判断能力を失い、取り返しのつかない失態を犯す」

佐々木「それは、とても愚かな事だと」

佐々木「……そう思っていた。ずっと自分にも、そう言い聞かせてきたんだ」

キョン「……………………」

佐々木「……生きるとは、変化するという事だ。それがどんなに確固とした物に見えても、それがどれほど大切な物でも、ふとした事が切欠で……変質どころか、反転さえしてしまう」

佐々木「そうなった挙げ句、傷つけ合って、周りを巻き込んで、何もかもを台無しにして」

佐々木「……そうなってしまう位なら。そんな曖昧で不条理な物、最初から持たなければ良い」

佐々木「そう思っていた。……そんな事、出来る訳が無かったのにね」

キョン「……………………」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/21(日) 00:58:11.30 ID:uuSRH2AMO

佐々木「……そうだ、キョン。一つ、昔話をさせて欲しい」

佐々木「まあ、作ったのは僕なのだけれど。笑わないで聞いておくれよ?」

キョン「……笑わないさ。真面目な話なんだろう?笑うわけが無い」

佐々木「……くつくつ。そうだね、そんなわけが無かったよ。……それじゃあ、安心して語らせてもらうとしよう」





佐々木「…………昔々、あるところに。一人の女がいました」

佐々木「女は、少々抜けているけれど。優しく穏やで、芯の強い。そんな女でした」
佐々木「そして、そんな彼女の食卓には。毎日パンが並んでいました」

キョン「…………パン?」

佐々木「そう、パン。……ああ、勿論これは比喩表現だよ?」

キョン「…………パン、ね。……ふむ」

佐々木「……ある日、女は男と出会いました。男は、頑固で偏屈者で。けれど、とても誠実な男でした」

佐々木「二人は惹かれ合い。やがて、夫婦となりました」

佐々木「食卓には、二人分のパンに加え、葡萄酒が並ぶようになりました」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/21(日) 01:01:46.91 ID:uuSRH2AMO

佐々木「しばらくして、夫婦の間に一人の娘が産まれました」

佐々木「二人は喜びました。食卓には、一人分のパンが、加えて並ぶようになりました」

佐々木「家族は毎日を慎ましく。けれど、幸せに暮らしていました」

佐々木「……ところが、それが何時からか。食卓に、葡萄酒は並ばなくなってしまいます」

佐々木「二人は争いました。何故そこに葡萄酒が無い。それはお前が原因だ。違う、あなたが悪いんだ。……と」

佐々木「そして争う余り、終いには食卓すらも叩き割ってしまいます」

佐々木「……二人は、葡萄酒ばかりか。愛する伴侶を失って。まだ、そこにあった筈のパンすらも、台無しにしてしまいました」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/21(日) 01:03:51.33 ID:uuSRH2AMO

佐々木「娘は泣きました。泣いて、泣いて、何故こうなってしまったのかを考えました」

佐々木「そして思いつきました。それはきっと、葡萄酒を口にしてしまったからだと」

佐々木「葡萄酒の味に慣れきってしまったから。それが無くなった時に、耐える事が出来なかったんだ。と」

佐々木「娘は決めました。なら、自分はパンだけで生きていこう。そうすればきっと、それすらも無くさずに済むのだから」

キョン「……その、娘っていうのは」

佐々木「くつくつ。さて、どうだろう。……まあ、もう少しの間つき合っておくれよ、キョン」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/21(日) 01:06:59.20 ID:uuSRH2AMO

佐々木「……娘は自分で決めた通りに、パンしか口にしませんでした。他のものには、見向きすらもしませんでした」

佐々木「しかしある日、娘は、パンに飽きてしまいます」

佐々木「それでも、娘はパン以外のものを求めようとはしませんでした」

佐々木「パン以外のものを口にするのが、怖ろしかったからです」

佐々木「そんな娘もやがて少女となり、そして少女は、一人の少年と出会いました」

佐々木「……少年と過ごした月日は。少女にとって、夢のような。とても、素晴らしいものでした」

佐々木「パンしか無かった、味気ない日常が。少年と共に居れば、色鮮やかなものに変わりました」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/21(日) 01:11:59.56 ID:uuSRH2AMO

佐々木「……しかしある日、少女は気づきました。いつの間にか、その手許には葡萄酒があった事に」

佐々木「少女は思いました。なんて甘美な香りなのだろう、と」

佐々木「少女は恐れました。何故これが、こんな所にあるのだろう、と」

佐々木「……少女は、それを見なかった事にしました」

佐々木「見なかった事にして、少年との日常を続けよう。……何よりも大切な、この日常を。失いたくは無かったから」

佐々木「しかし。少年と日々を過ごせば過ごすほど……その誘惑はより甘く、より高く香るようになりました」

佐々木「……少女は、少年から離れました」

佐々木「このままでは、きっと自分は駄目になる」

佐々木「このままでは、きっと自分は、それに口を付けてしまう」

佐々木「……それ無しでは、生きて行かれなくなってしまう」

佐々木「近くにあるから駄目なんだ。なら、遠くに置いておけば良い」

佐々木「手の届かない所に置いてしまえば。きっと自分は大丈夫だ、と」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/21(日) 01:16:29.53 ID:uuSRH2AMO

佐々木「……鮮やかだった日常は、忽ちの内に色褪せました」

佐々木「味気のない灰色の中に、甘く高い香りを残して」

佐々木「少女は悲しみました。少女は苦しみました」

佐々木「しかしそれは、自分が選んだ事でした」

佐々木「それに手を伸ばしそうな自分を抑え、味気のないパンを噛み締めました」

佐々木「……やがて、パンの味すらも感じなくなりました」

佐々木「……そんなある日。彼女は気づいてしまいました」

佐々木「それに気がついた時、少女は絶望しました」

佐々木「少年と共にありたいと願うのは、自分だけでは無かったのです」



佐々木「…………うん。まあ、即興にしてはそれなりの出来じゃあないかな?少なくとも形にはなった」

キョン「……………………」

佐々木「……僕はね、キョン。気づくのが遅すぎたんだ」

佐々木「本当に欲しい物なんて、分かりきっていたのに。それを見なかった事にして遠ざけて……もう二度と、手が届かなくなるところだった」

佐々木「……いや、届かそうと必死になっているところ、かな。それこそ、なりふり構わずに」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/21(日) 01:19:38.32 ID:uuSRH2AMO

キョン「……だからって、こんな方法じゃあ余計に遠ざかっちまうとは思わないのか?」

佐々木「勿論、承知の上さ。……けれど、駄目なんだ。他の方法じゃあ、そもそも手が届かない。言葉だけでは、尚更だ」

キョン「……?どういう意味だ、それは?少なくとも、俺はお前の話なら無下にはしないと思うんだが」

佐々木「……確かに、君は無下にはしないだろう。きっと真剣に向き合ってくれる。それこそ、場合によっては、何日もかけて」

佐々木「けれど、それじゃあ駄目なんだ。……さっきも言ったけれど、君を欲しがっているのは、僕だけじゃあ無いんだ」

キョン「……………………」

佐々木「……彼女は。涼宮ハルヒは、きっと君を手放そうとはしないだろう」

佐々木「君が奪われそうになったのなら。彼女は、全てを『無かった』事にする」

佐々木「終わらない夏を繰り返したように」

佐々木「世界を、壊そうとした時のように」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/21(日) 01:23:09.60 ID:uuSRH2AMO

キョン「……っ!まて、まてまて、幾ら何でもあいつは、そんな事は――」

佐々木「――するよ。必ずする。だって、僕たちは。ベクトルこそ違えど、本当によく似ているもの」

キョン「……佐々、木?」

佐々木「……寒くて。……暗くて。痛くて、切なくて、苦しくて狂おしくて堪らない」

佐々木「もし、君に選ばれなかったら?もし、君のそばに居られなくなってしまったら?もし……もしも、君という唯一の理解者を……失って、しまったら?……そう考えると、自分という存在が、根幹から捻れて、千切れて、砕けて崩れそうになる」

佐々木「……故に。きっと、彼女は手放さない。やっと見つけた理解者を、手放したりなんてしない」

キョン「……佐々木…………」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/21(日) 01:25:46.05 ID:uuSRH2AMO

佐々木「……君が、涼宮さんに惹かれている事は理解しているよ。彼女は、魅力的な人間だ」

佐々木「確かに彼女には、傍若無人な一面がある。よく人を巻き込んでは迷惑を振り撒き、周囲を振り回すだろう」

佐々木「……けれど、彼女は人を惹きつける。人を率い、場を盛り上げ、熱狂させる事が出来る」

佐々木「所謂カリスマというものだね。…………そしてそれは、僕には無い物だ」

佐々木「おまけに君は、非常に稀な経験の数々を、彼女と共に、或いは彼女によって経験している」

佐々木「…………君が惹かれるのも、無理はない」

キョン「……………………」

佐々木「…………喋りすぎたかな。…………さて、と」パンッ

佐々木「さあ、キョン。朝食にしよう。実は、君が寝ている間に作っておいたんだ。もう冷めてしまっているだろうけれど、暖め直せば問題は無いよ」

キョン「…………朝食って……というか、お前、料理出来たのか」

佐々木「必要が無いとはいえ、あまり生活リズムを崩しすぎるのは良くないからね」
佐々木「料理はまあ、家事の手伝いをしているからね。それなりに自信はあるよ。……とはいえ、家族以外に振る舞うのは初めてだけれど」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/21(日) 01:30:21.91 ID:uuSRH2AMO

キョン「……そうかい。そいつは、光栄だな」

佐々木「……くつくつ。それじゃあ、少しの間待っていておくれ。温め終わったらまた呼びにくるよ」ガチャ、バタン

キョン「……………………」

キョン「はぁ………………」

キョン(あんな佐々木……初めて見た)

キョン(いったいいつから、あいつは……)

キョン(……………………)

キョン(あいつは、ハルヒを恐れていた)

キョン(感情的な物だけじゃない。明確に、脅威に感じている)

キョン(……正確には、ハルヒの力を恐れている……?)

キョン(それは何故だ?佐々木の力が完全なら、そんな必要は……)

キョン(……完全なら、恐れる必要が無い。なら、完全じゃないからこそ恐れている……?)

キョン(もしもそうなら、外部からの助けもあり得るのでは……!?)

キョン(……けど、あいつは確か、誰にもこの世界には干渉出来ない、と言っていた)

キョン(……いやまて、それがブラフ、という可能性もある)

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/21(日) 01:36:49.05 ID:uuSRH2AMO

キョン(……他にも、時間はあいつが望むだけある、とも言っていた)

キョン(確か、あいつの閉鎖空間は、現実と時間の流れる速さが異なるはず)

キョン(……なら、それを意図的に操っている?)

キョン(…………という事は、外側の時間まで操ってはいない……?)

キョン(もし、そうなら……長門か古泉が気づいて、きっと、助けに来てくれるはず……!)

キョン(それまで、耐えさえすれ……ば…………)

キョン(……………………)

キョン(……耐えて、どうする?)

キョン(……耐えるという事は、佐々木を受け入れない、という事だ)

キョン(……あの佐々木を?あんなに弱って、まるで今にも溺れ死んでしまいそうだった、あいつを?)

キョン(あんなにも、俺を…………想ってくれる、あいつを?)

キョン(……………………)

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/21(日) 01:41:09.35 ID:uuSRH2AMO

キョン(……そもそも、俺はあいつをどう思っている?)

キョン(……憎からず思っているのは間違いない)

キョン(当然だ、でなければ最初から親友なんてやっていない)

キョン(あいつと過ごした時間は、大切な物だった。断言できる)

キョン(実質監禁されているに等しい今でさえ、あいつを完全に拒絶しては……)

キョン(…………監禁……そうだ、俺…………監禁、されているのか)

キョン(……………………)

キョン(………………俺に)

キョン(……俺に、……どうしろっていうんだよ…………)

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/21(日) 01:43:14.32 ID:uuSRH2AMO

人はパンのみに生きるに非ず。人は愛によってこそ生きる

少女は葡萄を自らに禁じ、パンによってのみ生きようとした

何故なら、少女にとっての葡萄とは、禁断の実であったのだから

神の与えたもうた葡萄酒は、幸福であり、祝福であり、救いであり、愛である

ならば果たして、擬神(カミ)たる少女の夢見たモノは。少女にとっての何となる?
擬神の少女は、葡萄酒の夢を見るか


多分続く

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/21(日) 01:49:56.20 ID:uuSRH2AMO

妄想が膨らんだので書いてみた。佐々木さんの動機を掘り下げたかった。妙に小難しいようで単純な佐々木さん。
佐々木可愛いよ佐々木。

一応VIPに建てたんだけど、とりあえず次回からはどこかに移った方が良いのだろうか



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