森「涼宮さんに言ってはならないことがあります」キョン「それは?」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 17:23:15.79 ID:RV/8KSwV0

数ヶ月前 孤島 屋敷

ハルヒ「ま、あたしに掛かればこの程度の事件なんてこんなものよ!!」

朝比奈「わー、さすがすずみやさんですー」パチパチ

ハルヒ「ふっふーん。もっと拍手してくれてもいいわよっ」

キョン(途中まではしおらしくて良かったんだけどな……。ま、このほうがハルヒらしいが)

森「あの」

キョン「はい?」

森「少し、よろしいでしょうか。貴方に是非とも話しておきたいことがあります」

キョン「はい。なんですか?」

キョン(森さんも古泉と知り合いってことは同じ機関ってやつの人間なんだろうな。俺に何か言いたいことでもあるのか。どうせハルヒのことだろうけど)

森「涼宮さんに言ってはならないことがあります。それをお伝えしておきたくて」

キョン(やっぱりか。それにしても言ってはならないことってなんだ?宇宙人や未来人や超能力者が既に跳梁跋扈しているということだろうか。しかし、ハルヒはそれを信じなかったが)

森「それはですね―――」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 17:33:40.83 ID:RV/8KSwV0

部室

古泉「どうも、こんにちは」

キョン「おう」

キョン(ハルヒは掃除当番だというのに、朝比奈さんはまだいらっしゃらないか。静かにお茶が飲めると期待した分、落胆が大きい)

長門「……」

キョン「よっ。長門」

長門「……」コクッ

キョン(いつも同じ姿勢だからこそ今日も平和だと実感できるが、たまには机に突っ伏していてもいいんじゃないか、長門。急にやられたら何事かと思っちまうが)

古泉「どうですか、ゲームでも。新しいボードゲームが手に入ったのですよ。中々お目にかかれない品なので衝動買いをしてしまいました」

キョン「暇だからいいけど。そのおどろおどろしいパッケージはなんだ?」

古泉「無理もありません。幽霊船を題材にした双六カードゲームですからね」

キョン「難解な設定ならお断りするぞ。理解するまでに負ける可能性もあるからな」

古泉「ご心配には及びません。今初めて箱を開けますから」

キョン「お前な。人に勧めるなら説明書ぐらい読んでおけよ。ルール確認が面倒だろ」

古泉「申し訳ありません。ですが、貴方と対等な立場でゲームをしたかったというのも本音ですから」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 17:40:38.54 ID:RV/8KSwV0

キョン(幽霊か……。そういえば夏の合宿で森さんに言われたな……。夏から秋にかけては色々とありすぎて今まで忘れていたが)

古泉「さて、準備が整いました。始めましょうか」

キョン「古泉。今、ふと思い出したことがあるんだが」

古泉「何をでしょうか?」

キョン「ハルヒに言ってはいけないことがあるらしいな」

古泉「それは、沢山あるでしょうね。我々のこともそうですし、涼宮さん本人の力のこともそうですし」

キョン「あー、いや、その中でも最も駄目なものがあるって聞いた」

古泉「誰からそのようなことを?」

キョン「森さんだ。館のレクリエーション終了間際に言われたんだ。これだけは言ってはならないってな」

古泉「……それは?」

キョン「……この世に幽霊がいるかどうかを訊ねること」

古泉「……」

キョン「……」

古泉「あははは」

キョン「何が可笑しい。いや、俺も可笑しいとは思うんだがな」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 17:50:15.35 ID:RV/8KSwV0

古泉「いえ、申し訳ありません。何事かと思い身構えていた分、その反動で思わず失笑を。大変失礼しました」

キョン「いや、それはいいんだが。それは本当のことなのか?」

古泉「どうでしょうね。僕はそのような報告は受けていません。森さんだけが握っていることなのか、あるいは不確かな情報故に我々にも伝えていないだけなのか分かりませんが」

キョン(思えば、ハルヒが幽霊を探そうなどと言い出したことはなかった。夏休み中、肝試しをしたことはあるがあれも遊びの一環であり、ハルヒが心霊現象を望んでいるようには見えなかったからな)

古泉「しかし、幽霊ですか。季節はずれですね」

キョン「お前が持ってきたボードゲームの所為だ」

古泉「これはこれは。度重なる失態、なんと言っていいか」

キョン「まあ、古泉が知らないならいい。そもそもそんなことをハルヒに訊けば面倒なことになること請け合いだ」

キョン(ハルヒのことだから幽霊とは何かを懇々と語り出すに違いない)

古泉「ですが、森さんがどうしてそのような忠告を貴方にしたのか。気になりますね」

キョン「え?」

古泉「以前、貴方は涼宮さんに我々のことを説明した。長門有希は宇宙人であり、朝比奈みくるは未来人。そして古泉一樹なる転校生は超能力者であると」

キョン「そうだ」

古泉「僕もその話を聞いた後、報告書で提出しました。割と大事になる可能性もありましたから」

キョン(もしかして古泉は結構根にもっているのか。あとでコーヒーぐらいは奢っておこう)

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 18:01:04.60 ID:RV/8KSwV0

古泉「ですが、運のいいことに涼宮さんは貴方の言葉は信じなかった。もしかしたら心のどこかで僅かな期待は抱いているのかもしれませんが」

キョン(いつかハルヒが長門の胸倉掴んで「宇宙人なの?」とか問い詰めることがないことを祈ろう)

古泉「はっきりしているのは貴方の言葉は涼宮さんは重視しない。無論、三年前のキーワードを用いれば話は別ですが」

キョン「つまりなんだ、森さんは俺に何が言いたかったんだ?」

古泉「余計なことは言うな。―――ということではないでしょうか」

キョン「幽霊がそこら中に現れることを警戒したっていうのか?」

古泉「想像してください。文字通りの幽霊部員がこの部室にいることを。怖くありませんか?」

キョン「怖いわ」

古泉「僕も幽霊と親密になろうなんて思ったことはありませんし、森さんも女性ですから、幽霊という新たな勢力が現れれば悲鳴の一つもあげるでしょう」

キョン(仮にそんな精神体のやつらがうようよと墓場に集まっていたとしても、こっちには無敵の長門がいる。長門ならお払いもできるだろうさ。そのときは是非とも巫女装束でやって欲しいところだ)

長門「……」

キョン「だが、どうして幽霊なんだ?イエティとかでもいいだろうに」

古泉「幽霊を相手にはしたくありませんし、そもそも幽霊に我々の力が及ぶのかも未知数ですからね。雪男のほうがまだ戦いやすいです」

キョン「そんなもんか」

古泉「さ、ゲームを始めましょう。こちらがルールブックです。どうぞ」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 18:08:34.91 ID:RV/8KSwV0

朝比奈「すいません、遅くなりましたぁ」

キョン「朝比奈さん、どうも。ハルヒはまだですから安心してください」

朝比奈「そうですか。あの……」モジモジ

キョン「古泉、一度中断だ」

古泉「残念です。今、漸く波に乗ってきたところだったのですが」

キョン「素人目で見ても俺のほうが5馬身ぐらいリードしてるけどな」

朝比奈「すぐに着替えますから。ごめんなさい」

キョン「ゆっくりでいいですよ」

朝比奈「はぁい」

古泉「―――廊下は冷えますね」

キョン「すぐに朝比奈さんが熱いお茶を淹れてくれる。心配するな」

古泉「先ほどの話なのですが」

キョン「幽霊か」

古泉「ええ。涼宮さんにそれを言ったとして、どうなると思いますか?」

キョン「どうなるって、そりゃ……。どうなるんだろうな。元々、ハルヒが幽霊を信じているなら何も変わらないだろうし、信じていなくても同じだ。……ん?何も変わらないのか?」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 18:21:28.36 ID:RV/8KSwV0

古泉「質問文が少々おかしいような気もしますね。幽霊の存在を問うものというだけですから、涼宮さんにも世界にも何らかの影響が出るとは考えにくい」

キョン「確かに」

古泉「その質問をすることで一体誰が損をするのか、分かりますか?」

キョン「それは森さんだろ。森さんが言うなって言ってきたんだしな」

古泉「森さんが損をするということはすなわち、我々にも何らかの被害が出ると考えたほうがいいでしょうね。ああ、この場合の我々はSOS団ではなく、『機関』のほうですが」

キョン「つまり、ハルヒが閉鎖空間を発生させるとかそういうことか」

古泉「可能性はあるでしょう。ただ、僕もそのような話は聞いていませんので、推測でしかないのですが」

キョン「ハルヒは幽霊の話題が嫌いってことか」

古泉「或いは幽霊という存在を忌諱している」

キョン「あのハルヒが?まさか」

古泉「それは分かりませんよ。涼宮さんも一般的な女の子の思考を持っています。ホラー映画を見たり、怖い夢を見たときも閉鎖空間は発生していますからね」

キョン「それはあれだろ。怖いというよりは映画なら演出、夢なら擬似体験から生まれるストレスで発生してるんだろ。幽霊や妖怪を怖がってるわけじゃねえだろ」

古泉「夢は貴方の言うとおりかもしれませんが、ホラー映画の場合はまだよくわかっていません。恐怖演出に驚き、そこから発生させているのか」

古泉「それとも自宅が恐怖の館になってしまったのではないかと不安になったから発生させたのかは、調査の必要性はあるでしょうね。森さんの言うことが正しいのならば」

キョン(おいおい。あのハルヒがホラー映画見た後にトイレに行けなくなったり、入浴中に視線を感じてビビったりしてるっていうのかよ。うちの妹並の感受性だな)

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 18:32:28.67 ID:RV/8KSwV0

古泉「今度、森さんにそのことを聞いておきます。知らず涼宮さんに爆弾を投げていたなんてことは避けたいですからね」

キョン「それは俺も同感だな。いきなり爆心地には居たくない」

古泉「そうですね、今夜あたりでも……。よろしいですか?」

キョン「俺も一緒なのか?」

古泉「そのほうが森さんも喜ぶと思いますよ。貴方は機関のほうでも人気が高いですから」

キョン(アイドルにでもされているのか。俺の顔がプリントされた団扇とか法被とかグッズ販売してないだろうな。しているなら俺にも利益の5%ぐらいはよこせ)

古泉「どうされますか?貴方が一緒ならそれなりのお持て成しもさせていただきます」

キョン「俺はその場に必要か?」

古泉「貴方にだけ話したというなら、貴方がいないと口を割ってくれないこともあるかもしれませんから」

キョン「そういうことか」

古泉「悪く言えば僕は貴方を利用しようとしています。情報収集のために。ですので嫌ならば結構ですよ。本当に」

キョン「いや、行く。俺だって森さんには会っておきたいからな」

古泉「おや、何かあるのですか?」

キョン(何かあるのかではない。あの森さんだぞ。会えるなら何回でも会いたいと思うだろう。健全な男子ならな)

朝比奈「もーいいですよー」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 18:39:42.35 ID:RV/8KSwV0

朝比奈「どうぞ、キョンくん。お茶です」

キョン「どうも、すいません」

朝比奈「ところで、この怖そうなのなんですか……。着替えているときすごく気になっちゃって……」

キョン「ああ。古泉が持ってきた悪趣味なボードゲームですよ。すいません、今すぐ片付けます」

古泉「え?」

キョン「朝比奈さんが怖いって言っているんだぞ。これはもう封印だ」

古泉「そうですか。非常に残念です」

キョン「今度からはもっと笑えるやつにしろ」

古泉「はい。反省します」

朝比奈「あ、えっと、別に気にしないで。少しこわいなーって思っただけで、本物じゃないし……」

キョン(朝比奈さんは幽霊が怖いのだろうか。イメージに合いすぎていて可愛い)

古泉「このようなホラーゲームもたまにはいいと思ったのですが、実害が出るのなら仕方ありませんね」

朝比奈「キョンくんは怖いの平気なの?」

キョン「平気というか、まあ、あれぐらいは。朝比奈さんはやっぱり苦手ですか?」

朝比奈「だ、だって、ベッドの下を覗いたらオバケがいたらと思うと……のぞけなくて……。夜はお掃除ができません……」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 18:49:21.03 ID:RV/8KSwV0

キョン「朝比奈さんの時代でも幽霊の正体は分かっていないんですか?」

朝比奈「へ?」

キョン(胡散臭い科学者が幽霊もそのうち科学的に証明できるとか言っていた気がする。今よりもずっと遠い未来から来たのなら幽霊の正体はなんなのか判明していてもいいと思うのだが)

朝比奈「い、一応……有力な説はあるんだけど……確定したわけじゃないの」

キョン「有力な説?」

朝比奈「時間平面の移動際に発生したノイズが別の平面に影響を及ぼしているんじゃないかって、私は聞いたことがあります」

キョン(そういえば長門が朝比奈さんのタイムワープは不完全だとか言っていた気がする)

朝比奈「簡単に言えばパラパラ漫画の途中に書き込んだ余計な絵が別のページに滲んじゃった、とかそういうこと」

キョン「なるほど。朝比奈さんの解釈では幽霊は時間移動している未来人だと」

朝比奈「はい。多分。私も聞いただけだからよくわからないんだけど」

キョン(いやいや、幽霊の正体見たり枯れ尾花という言葉以上に説得力がありますよ。そちらのほうがロマンもある)

古泉「面白いお話ですか、幽霊は人の脳が作り上げた一種の幻覚というのが最もポピュラーではないのですか?」

キョン「お前の中ではだろ」

古泉「3つの点が顔に見えてしまったり、暗闇で動く柳を人間と勘違いしたり、どれも人の恐怖からくるイメージが描いていると僕は思いますが」

キョン「ああ、そうかい。確かにその説もあるかもな」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 19:02:27.53 ID:RV/8KSwV0

キョン(こうなると聞いてみたくなるが宇宙人の意見だが……)

長門「……」

キョン「長門、幽霊の正体は何だと思う?」

長門「荷電粒子性不結合因子」

キョン「……なんだそれは?」

長門「惑星外空間から地上に降り注ぐ荷電粒子が何らかの不具合により、他の因子と結合できなかった場合に発生」

キョン「結合した場合は何になるんだ?」

長門「中性荷電粒子」

キョン(今、分かった。長門がいいたいのはあれだ、プラズマの所為とかそんなことだ)

古泉「これは興味深いですね」

キョン「何がだ?」

古泉「いえ、三人とも幽霊に対して違う見解を持っていることが」

キョン(そうだな。三人の解釈は全く違うが、幽霊はいないということが共通しているのは面白い。これでハルヒがいると断言すればどうなっちまうことやら)

ハルヒ「いやー、おまたせー!!おくれてごめんねー!!」

キョン(来ちまったか。無性に幽霊のことを尋ねたいが我慢しよう。何でも知りたがる子どもじゃないんだからな)

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 19:11:23.13 ID:RV/8KSwV0

ハルヒ「―――ひまねえ」

キョン(そのほうが平和でいい)

ハルヒ「うーん……。そうだ、古泉くんっ。ゲームでもしましょうか」

古泉「え?ええ!!勿論です!なにをしますか!?カードでもボードゲームでもなんでもありますが!?」

キョン(珍しいな。お遊びサークルなんて冗談じゃないわよっとか言ってたから、部室ではそういうことはしないもんだと思っていたが)

ハルヒ「今日は特別やることがないのよ。映画第二弾ももう構想は出来上がってるし、年末行事に関しても決めることはないし、冬はスキーに行くし」

キョン「何か俺の知らないところで様々なことが決まってるんだな」

ハルヒ「だから、気分転換で遊ぼうと思ったのよ。遊ぶことでいいアイディアが沸いてくるかもしれないでしょ?」

キョン(お願いだからそのアイディアの泉に栓をしておいてくれ)

ハルヒ「どんなのがあるのかしら?」

古泉「こちらです、閣下」

キョン(古泉のやつ、すげー嬉しそうだな)

ハルヒ「ん?これは?」

古泉「それは今日、僕が持ってきたものです」

ハルヒ「幽霊船ボードゲーム?これはつまんなそうね。ほかには?」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 19:17:40.60 ID:RV/8KSwV0

キョン(―――で、結局サクサク遊べるトランプゲームにしたのだが)

ハルヒ「みくるちゃん、ダウトー!!」

朝比奈「ど、どうしてわかるんですかぁ?!」

キョン(出すときに目が泳いでいるからだと思います。あと、ハルヒがダウトと言えば強制的にダウトになってしまうのだろうな)

ハルヒ「よっし、これで終わりっ!!言っとくけど負けた人はジュース奢りだから」

キョン(これは船での焼き直しか。場面再現か)

長門「……」スッ

キョン(長門のは嘘かどうかなんて絶対にわかりゃしねえ!!)

古泉「おや、これであがりですね」

キョン「ダウトだ!!」

古泉「残念。正しい数字を出しましたので」

キョン「ぐっ……」

朝比奈「あぁ……えっと……に、にー……です」ブルブル

キョン(ああ、だめだ……。これは俺の負けだな……)

ハルヒ「あたしホットコーヒーね!!」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 19:25:20.11 ID:RV/8KSwV0

ハルヒ「もう6時か。そろそろお開きにしましょうか」

キョン(結局、ハルヒは全勝か。いつかハルヒをつれてラスベガスに行きたいね)

古泉「(後ほど、送迎タクシーをご自宅のほうへ向かわせますので)」

キョン「(新川さんだって休みたい日もあるんじゃないのか?)」

古泉「それではまた明日」

朝比奈「そ、それじゃあ、失礼しまぁす……」

長門「……」スタスタ

キョン(俺も帰るか)

ハルヒ「……」

キョン「ハルヒ、鍵閉めるぞ」

ハルヒ「あ、うん」

キョン「どうしたんだ?」

ハルヒ「別になんでもないわ。早くいきましょ」

キョン(今、あのボードゲームを見ていたような……)

キョン(まさか……。いやいや、あのハルヒだぞ。幽霊がいると分かればテントを用意して24時間監視態勢に入るやつだぜ?ありえない)

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 19:32:42.08 ID:RV/8KSwV0

通学路

ハルヒ「……寒いわね」

キョン「夜だからな」

ハルヒ「……寒いって言ってるでしょ」

キョン「だから、同意してやっただろ」

ハルヒ「ふんっ……」

キョン(意味の分からんやつだ)

ハルヒ「キョンはいつも古泉くんとゲームしてるわよね?楽しいの?」

キョン「別に特にすることもなくてダラダラとプレイしているだけだな。それがどうかしたのか?」

ハルヒ「何の益もないことしているのね。時間の浪費とか考えないわけ?」

キョン(それを言うなら不思議探索もな)

ハルヒ「全く、そんなことじゃいつまで経っても平団員から抜け出せないわよ?早く不思議の一つでも持ってきなさいよね」

キョン「不思議かぁ……やっぱり、宇宙人か?」

ハルヒ「そうよ。未来人、超能力者、あと異世界人をつれてきなさい。そしたら団長代理ぐらいにはしてあげるわ」

キョン(幽霊は含まなくていいのかと口から出そうになったが、なんとか押さえ込んだ。森さん、ハルヒに言うとどうなるんですか。今、凄くハルヒと幽霊談義がしたいんですが……)

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 19:42:30.66 ID:RV/8KSwV0

自宅前

キョン「さむ……。―――ん、来たか」

古泉「どうも、お待たせしました。どうぞ」

キョン「はいよ。どうも新川さん」

新川「シートベルトをお閉めください」

キョン「分かりました」カチッ

古泉「森さんと会食の約束を取り付けるにあたり、少し話しました。涼宮さんと幽霊のことで」

キョン「何か言ってたのか?」

古泉「何と言いましょうか……。その非常に困惑しておりまして……」

キョン「困惑だと?」

古泉「今から森さんが全てを語ってくれることにはなっているので、詳細は後ほどということになりますが……。一つだけ言っておきましょう。突然、伝えた場合貴方も困ってしまうと思いますので」

キョン「もったいぶらずに言え」

古泉「幽霊は……どうやら、存在しているようです。この世界に。それも無限に等しい数が」

キョン「……」

キョン(ああ、そうだろうよ。ハルヒだもんな。この世界の超常現象の中心にはハルヒがいるんだからな。それは仕方のないことだ)

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 19:50:39.52 ID:RV/8KSwV0

レストラン

森「どうも。お久しぶりです」

キョン「あ、はい」

キョン(メイド服ではなく、スーツ姿か。メイド服も良かったが、今のキャリアウーマンなスタイルも見目麗しい)

森「どうぞ。こちらのテーブルへ」

キョン「どうも。あの、森さん」

森「分かっています。とりあえず何か注文をしてください」

キョン「あのこんな場所で話をしてもいいんですか?」

森「問題ありません」

古泉「今日は貸切ですから」

キョン(古泉たちが経営しているレストランなのか……)

森「……ところで涼宮さんに幽霊のことは?」

キョン「まだ言ってませんよ。言ってはならないと森さんに言われましたから」

森「そうですか。良かった」

古泉「森さん。詳しいお話をお願いしたいのですが」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 19:59:38.95 ID:RV/8KSwV0

森「まず先に言っておきますが。この件は機関のほうに報告はしてあったことです。ただ古泉一樹には教えないで欲しいと私からお願いをしました」

古泉「僕にだけですか?」

森「常に涼宮さんと行動を共にしているので、少しでも負担と減らそうと考えた結果です」

古泉「そういうことにしておきましょう」

キョン(古泉からすればハルヒ関連の情報を降ろしてくれなかったのがあまり面白くなかったんだろうな)

森「機関のほうの調査で私たちが幽霊と呼称する存在が確認されたのは今から2年前です」

キョン「3年前から居たんじゃないんですか?」

森「確認されたのは2年前ですから、もしかした3年前からいたのかもしれませんね」

キョン「それでその幽霊って?」

森「文字通り幽霊ですよ」

キョン「それって白い着物をきているとかそういうのですか?」

森「少し違いますね。何せ涼宮さんが思い描いた幽霊ですから」

キョン「はい?」

森「涼宮さんのイメージした幽霊と一般的な幽霊のイメージには相違が見られます」

キョン「それって、どういうことですか?」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 20:20:05.60 ID:RV/8KSwV0

森「涼宮さんの考えるものがそのままいると思ってください」

キョン(あいつの考えを理解するほうが難しいんだが……)

森「超能力者。一般的なイメージではスプーンを曲げたり、透視をしたりそういうことをする人ではないでしょうか?」

キョン「ええ、まあ」

森「ですが、私たちにはそのような能力はございません。これは涼宮さんの思い描いた超能力者だからなんです」

キョン「それってつまり、ハルヒの考える超能力者はとある条件下で敵と戦うものっていう定義があるってことですか?」

森「そうなりますね」

古泉「……」

キョン(ハルヒの脳内はどうなっているんだ……。今更気にしても遅いが)

キョン「ですが長門や朝比奈さんは割りとイメージ通りというか……」

森「涼宮さんも宇宙人が地球人とコミュニケーションできないなんて考えなかったのでしょう。未来人については未来から過去にくるのがイメージの下地になっていますからね」

キョン(宇宙人はともかく、未来から現代にこないで未来人なんて呼べないからな)

森「ですので、私が調査している幽霊も涼宮さんが望んだ形で存在しているのでしょうね」

キョン「ちなみにどんな姿形なんですか?」

森「見に行きますか?出現スポットは割りとここから近いんですよ」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 20:32:44.17 ID:RV/8KSwV0

キョン「いえ、遠慮しておきます」

キョン(今のところはどうしても会わなきゃならないわけでもないしな……)

森「賢明な判断です。私たちも貴方を危険な場所へはお連れするのは気が引けますので」

古泉「森さん。その幽霊ですが、何故僕に情報をくれなかったのでしょうか?」

森「先ほども言いましたが、貴方に余計な負担をかけないようにしただけです」

古泉「隠されたほうが負担になります」

キョン「古泉」

古泉「……」

森「他意はございません」

古泉「……わかりました」

キョン(古泉の気持ちも分からなくはない。幽霊は言わば全く別の勢力だ。そんなものを隠されているほうが困るときもある)

森「では、そろそろ食事にいたしましょう」

キョン「え、ええ……」

古泉「……」

キョン(古泉が珍しく険しい顔をしている。森さんだって気を遣ってのことだろ。あまり気にするなよ)

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 20:44:20.55 ID:RV/8KSwV0

キョン「森さん。質問、いいですか?」

森「はい。何なりと」

キョン「ハルヒに幽霊のことを訊くとどうなるんですか?」

森「そうですね。絶対とは言えませんが、涼宮さんが幽霊の存在を意識すると勢力が増すと思われます」

キョン「勢力が増す?」

森「はい。彼らは精神体であり、実体はなく、また情報も持たない。我々からすればただ目視できる存在なのです。精神だけの存在故か涼宮さんの影響を受けやすいようです」

キョン「目視できるだけって……」

森「故に相手の持つ情報で分析を行うTFEI端末では観測を行うことは不可能でしょう。朝比奈みくるも同様です」

キョン(おいおい。つまりなんだ。幽霊は最強の勢力なのか)

森「ですが実体がない以上は、触れることはできません。それは向こうも同じことです。脅威かと問われれば首を横に振ります」

キョン「なら、別に放っておいてもいいんですか?」

森「今はまだ。涼宮さんが幽霊に強い興味を持ち、勢力が増していくとどうなるかわかりません。リアルタイムで幽霊の勢力には変化が起こっていますから」

キョン「だから、危険だと」

森「はい。貴方が足を踏み入れた瞬間、牙を向くことも考えられます」

キョン(それは怖い。こっちは触れられないのに向こうの攻撃は当たる。そんな敵が出てくるゲームは大体初見じゃやられるからな。俺の命は一つしかないんだ、初見だからって諦められるものじゃない)

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 20:53:11.81 ID:RV/8KSwV0

古泉「わかりました。幽霊の件は貴方が監視し、機関のほうにも報告している。それで現状は上手くいっているのですね?」

森「はい」

古泉「では、仮定の話をしましょう。今後、幽霊の勢力が増大し、何かしらの障害が生まれた。そのときどう対処するおつもりですか?」

森「そのときは涼宮さんの力を利用しようと考えています」

古泉「涼宮さんの?」

森「はい。増幅した幽霊を一掃することは非常に困難ですから。いえ、そもそも不可能かと思います。彼らは無限に等しい数を有していますから」

古泉「一掃するための手段に涼宮さんを利用する……。それはつまり、彼も利用するということですか?」

キョン「俺?どうして?」

古泉「貴方だけは涼宮さんをコントロールすることができますからね」

キョン「何言ってやがる。俺がハルヒに幽霊がいるから消してくれなんて言っても、あいつはそんなこと聞いてはくれないだろ」

古泉「三年前のキーワードを使用すれば可能ですよ。それぐらいのことは」

キョン(七夕のあれか)

古泉「そういうことですね、森さん」

森「……はい」

古泉「……」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 21:01:50.13 ID:RV/8KSwV0

自宅前

キョン「ありがとうございます、新川さん」

新川「いえ」

古泉「……お時間、ありますか?」

キョン「どうした?もう遅いし帰ったほうがいいんじゃないのか?幽霊の件も大体分かっただろ」

古泉「いえ。これは是非とも聞いて頂きたいのです」

キョン「目が怖いぞ」

古泉「お願いします」

キョン「……分かった。部屋にあがれ」

古泉「ありがとうございます」

キョン(これもまた珍しい。古泉の表情に余裕がない。さっきの会食で何を思ったんだ。美味い飯も食えて、俺としては万々歳なんだがな)

古泉「……」

キョン「ただいまー」

妹「おかえりー。あれ、一樹くんだー。あがって、あがってー」

古泉「どうも。古泉一樹ですっ。お邪魔します」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 21:11:51.82 ID:RV/8KSwV0

自室

キョン「で、何かあったのか?森さんの話には別段おかしなところもなかっただろ」

古泉「本気で言っておられますか?」

キョン「なんだ?」

古泉「彼女は涼宮さんの力を利用して一つの勢力を消すと言ったのですよ。これは考えるべき事態です」

キョン「どうしてだ。幽霊はハルヒの影響を受けやすいから危険なんだろ。そういう存在はあまり放置していいとは思わないぜ」

古泉「幽霊という新勢力の問題ではないのです」

キョン「三年前に俺とハルヒが出会っていることを喋るのがまずいっていうのか?」

古泉「それもあります。ですが、一番の問題点は勢力そのものを涼宮さんの力で消すと断言した森さんの思考にあります」

キョン(何が言いたいんだ)

古泉「幽霊という未知の存在が危険になれば、消す。これは非常に危ういことです」

キョン「どうしてだ?」

古泉「こう言い換えましょうか。危険になればどのような勢力も涼宮さんの力で消す。森さんはこう言ったのですよ。聡明な貴方ならもうお分かりでしょう?」

キョン「長門や朝比奈さんもその対象になるかもしれないのか」

古泉「その通りです」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 21:24:54.68 ID:RV/8KSwV0

キョン「待てよ。そこまでのことは流石に考えてないだろ。森さんはお前と同じ一派なんだろ?」

古泉「僕にだけ情報を与えなかったのが引っ掛かります。言ってしまえば僕の妨害があると考えたからではないですか?」

キョン「妨害?お前……」

古泉「確かに目的も目指すところも彼女たちとは違います。しかし、彼女たちの命が狙われていると知れば僕は機関にとって不都合な行動を取るでしょうね」

キョン(それは嬉しいね。今度、昼飯ぐらいは奢ってやってもいい)

古泉「ですので森園生をこのままにしておくわけにはいきません」

キョン「それはお前の想像だろ。森さんからすれば心外以外の何物でもないかしれない」

古泉「我々には強硬派もいます。あの朝倉涼子のような存在も」

キョン「森さんが俺にナイフを突きつけるっていうのかよ」

古泉「可能性の問題です。少なくとも僕は今の彼女を信頼できません」

キョン(お前の気持ちを考えれば尤もな意見ではあるがな。数回の面識しかなく、孤島でもお世話になった俺にはどうにも実感がわかない。単純に森さんは幽霊が怖いとかじゃだめなのか)

古泉「僕のほうでいくつかの手は打ってみます。これは完全に身内の揉め事なので貴方を巻き込みたくはないのですが……。万が一ということもありますので、お伝えしておきたかったのです」

キョン(森さんが靴箱に手紙を忍ばせて教室に呼び出すような展開は嫌だな。待っているのがメイドさんっていうのも雰囲気が奇妙すぎて怖いぜ)

古泉「それではまた明日……。夜遅くに失礼しました」

キョン「ああ。またな、古泉」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 21:35:47.33 ID:RV/8KSwV0

キョン(古泉は身内のことって言っていたが、俺やハルヒだけじゃなく、長門と朝比奈さんにも影響が出るっていうならこっちだってやれるだけのことはやっておくぜ)

キョン「お前なら手を貸してくれるよな……」ピッピッ

長門『……』

キョン「もしもし。寝てたか?」

長門『睡眠はとらなくても問題はない』

キョン「そうかい。それは羨ましいね。ところで、長門。今日、部室で話したことなんだが」

長門『なに?』

キョン「幽霊の存在についてだ。お前の考えではえっと荷電粒子がどうのこうのなんだよな?それって幻覚ってことでいいのか?」

長門『脳が見せる幻視とはまた別。荷電粒子性不結合因子は見た人間の網膜に入る度に光の屈折が原因で形を変える。これは視覚に頼る現代の人間が引き起こす現象』

キョン「幽霊と認識するのはそのときたまたま人の形のように見えたからなのか」

長門『そう。写真機等に写り込むオーブと呼ばれるものもその一種』

キョン「分かった。端的に言えば、幽霊はいないんだよな?」

長門『いない』

キョン「情報を持たない存在なんて……?」

長門『いない』

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 21:46:49.76 ID:RV/8KSwV0

キョン「なら、もう一つ聞きたい。朝比奈さんが言っていた幽霊の正体も長門からしたら正解なのか?」

長門『可能性はある。ただしその現象に遭遇する確率は極めて低い』

キョン「低いってどれぐらいだ?」

長門『10の61乗分の1』

キョン「よく分からないな」

長門『ない』

キョン「なら、ハルヒが願った場合はどうなるんだ?」

長門『彼女の生み出すのは情報フレアからの現象。情報を持たない精神体が生まれることはない』

キョン(なるほど。だから長門は言い切ってるのか)

キョン「なら、それを森さんに説明してやってくれないか?それで全部解決すると思うんだが」

長門『……』

キョン「森さんは幽霊がハルヒの力で生まれたと思っているらしい。だから、お前から幽霊の正体は光の屈折だって言ってくれ」

長門『わかった』

キョン「頼む」

キョン(やっぱり長門は頼りなるな。これで森さんが納得すればいいんだが……)

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 21:53:59.63 ID:RV/8KSwV0

翌日 部室

古泉「長門さんがですか?」

キョン「ああ。幽霊はいないって説明してくれるってっよ。な?」

長門「……」コクッ

古泉「それは大変ありがたいのですが……」

キョン「何か問題でもあるのか?」

古泉「森の言っていたことを思い出してください。長門さんでは観測することが不可能だといっていたのですよ?」

キョン「長門から言わせればそれがそもそもありえないってことらしい。情報を持っていない存在はこの世にはいないんだってことだが」

古泉「長門さんの説明はよくわかりますし、そうした現象も長門さんサイドは確認しているのでしょう。しかし……」

キョン「なんだ?」

古泉「涼宮さんが生み出したものということを忘れないでください。如何に長門さんが万能とはいえ、涼宮さんの力は未だ分析ができていないはず」

長門「……」

古泉「いないとは断言できないはずです。違いますか?」

長門「……」

キョン「長門?どうした?」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 22:07:59.77 ID:RV/8KSwV0

長門「……古泉一樹の言い分も正しい。私はまだ涼宮ハルヒの能力については把握できていない」

古泉「それに森は現場を知っていますから、存在を否定しても意味のないことでしょう。現場で目撃してしまえば反論の余地はありません」

キョン「だから、現場に行って長門が光の所為だってことを立証すればいいだけだろ」

古泉「些細なこととはいえ対立するのはまずいでしょう。森がどのような手段を用いてくるか分かりません」

キョン「いきなり仕掛けてきても長門には流石に勝てないだろ」

古泉「涼宮さんを呼ばれたらアウトです」

キョン「なら、どうするんだ?俺は森さんに幽霊なんていない、存在してないってことを分からせたほうが早いと思うぞ」

古泉「機関のほうでもそれなりの調査はされています。今更、多勢の意見を覆すだけの証拠は得られないと思います」

キョン「やるだけやったほうがいいだろ。長門だけじゃない朝比奈さんも呼ぼう。そこで宇宙的観点と未来的観点から幽霊の存在を真っ向から否定してやればいい」

キョン「そこから現場に行って、もしそれっぽいのが居ても長門の力で抑え込めばなんとかなるんじゃないのか?」

古泉「……」

キョン「古泉。俺だってお前が今、何を考えているのかは少しぐらいなら分かるぞ。物騒なことだろ?」

古泉「んふっ……よくわかりましたね」

キョン「だから、俺はこうして必死になってるんだよ。お前にも森さんにもそんなことして欲しくないからな」

古泉「ですが、森の思想に問題があることも確かです。事実確認の後、然るべき対応をしたほうがいいはず。長門さんや朝比奈さん、そして涼宮さんと貴方にまで被害が及ぶというのなら」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 22:16:46.29 ID:RV/8KSwV0

キョン「だから―――」

ハルヒ「こにゃにゃちはー!!いやー、ちょっと遅れちゃったー!!ん?どしたの?」

キョン「いや、なんでもない」

ハルヒ「そう?」

古泉「はい。少し談話していただけです」

ハルヒ「ならいいけど。さてと、今日は何をしようかしらね。みくるちゃんは?」

キョン「掃除じゃないか?」

ハルヒ「ふぅん。なら、みくるちゃんが来るまでゲームでもしましょうか?」

キョン「またか。お遊びサークルは嫌いなんじゃなかったか?」

ハルヒ「別にいいでしょ。やることないんだから。ほら、なにする?」

古泉「そうですね……。4人でできる遊びがいいですよね」

ハルヒ「もっちろん。有希もこっちきなさいって」グイッ

長門「……」

キョン(長門、読書の邪魔をして悪いが付き合ってやってくれ)

長門「……あれ」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 22:23:04.28 ID:RV/8KSwV0

キョン「あれって……あれか?」

長門「……」コクッ

ハルヒ「有希……あれがいいわけ?」

長門「……」コクッ

古泉「ですが、これは昨日封印しておくように言われたものですよ?いいのですか?」

長門「その遊具の使用を禁じたのは朝比奈みくるの前でだけ。現在、朝比奈みくるは教室で友人と談話中。20分ほどの時間的猶予はある」

ハルヒ「ふぅん……。みくるちゃんはSOS団をそっちのけで教室で友達と喋ってるのね。これはお仕置きが必要ね」

キョン(長門、頼むから余計なことをいうな。朝比奈さんを守ってあげてくれ。どうせ鶴屋さんに捕まってるとかそんなだろ?)

古泉「どうしますか?」

ハルヒ「まぁ、有希がしたいっていうならそれでいいわ」

古泉「わかりました」

長門「……」

キョン(長門が自分からゲームを指名するとはな……。なんか意図でもあるのか?それとも単純に興味があったのか)

ハルヒ「幽霊船がモチーフって楽しいの?」

古泉「発売当初は人気があったようですよ。今となっては中古ショップでも中々出回らない商品ですからね」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 22:39:34.72 ID:RV/8KSwV0

古泉「涼宮さん、そこで幽霊のカードを使うこともできますが」

ハルヒ「うーん……。でも、ここで使うとゴール手前の幽霊船長のマスで足止めを喰らうのよね」

キョン(都合のいいマスにしか止まっていないのに、贅沢なこといってんじゃねえよ)

長門「……」

ハルヒ「有希!!ガイコツに捕まったわよ?!」

長門「……」コクッ

キョン(楽しんでるようには見えないが……)

ハルヒ「でもこれ、なんかいやねぇ。誰が好き好んでこんな幽霊船に乗り込むのかしら」

キョン「確かにな」

古泉「……」

ハルヒ「キョン、次。早くサイコロを振りなさいよ」

キョン「おう」

ハルヒ「2ね。暗い海にドボンかしら」

キョン「違うな。というか勝手に殺すんじゃねえよ。化けて出てやるぞ」

ハルヒ「出んな。気持ち悪い」

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 22:48:02.41 ID:RV/8KSwV0

古泉「涼宮さん」

ハルヒ「なに?」

古泉「この世界に幽霊はいると思いますか?」

ハルヒ「幽霊?」

キョン「古泉!!お前何言って……!!」

古泉「……どうですか?」

ハルヒ「幽霊はいないと思うけど」

キョン「……なに?」

長門「……」

古泉「どうしてですか?」

ハルヒ「幽霊っていうのは大概、光の屈折とかそんなのよ。あと時間移動している人がたまたま見ちゃったとか、平行世界の人間が透けて見えたとかね」

ハルヒ「よくいうでしょ?幽霊の正体見たり枯れ尾花ってね。大概は何かと見間違えたりするのよ」

キョン「ハルヒ、本気でそう思ってるのか?」

ハルヒ「だって、幽霊ってなんかこう隅っことかにしか映らないじゃない?なんでみんな引っ込み思案なのよ。もっとドアップに写り込む幽霊がいてもいいじゃない」

ハルヒ「あと本当にいるならビデオカメラにも頻繁に映って然るべきよ!!みんななんかこうスーッとちょっと通りますよ的に見切れるだけじゃない。あたしだったら常にカメラの前を陣取ってやるわ!!」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 22:58:39.21 ID:RV/8KSwV0

キョン「ああ、言わんとすることはわかるが……」

ハルヒ「あんな隅に映りこむだけしかしない存在なんて嘘よ嘘。だから、幽霊なんて存在しないの」

古泉「……そうですか」

キョン「(古泉、どういうことだ?)」

古泉「(先ほど涼宮さんは幽霊船に対して否定的な意見を述べました。ですので幽霊の存在について聞いてみたくなったのですよ)」

キョン「(なぜだ?)」

古泉「(幽霊船を好ましく思っていないのなら、幽霊についても好意的な印象を持っていないかもしれない。そう判断したからです。普通なら幽霊船という不思議の塊に涼宮さんが目を輝かせるはずですからね)

キョン(それはそうだな。あのハルヒが幽霊船を目の当たりにして座視を決め込むわけがない。俺の知っているハルヒならな)

ハルヒ「次はあたしね。よいしょ」

長門「……」

キョン「(なら、森さんの言っていたことはどうなる?)」

古泉「(長門さんの言葉を借りるなら、プラズマでも見たということになります)」

キョン(だが、古泉に黙ってまで調査をしていた森さんが嘘をつく理由なんてどこにあるんだ。そもそもそんな嘘になんのメリットがある?ドッキリか?誰に対してのドッキリだ?)

キョン「(古泉)」

古泉「(そうですね。森ともう一度話をしましょうか)」

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 23:08:27.11 ID:RV/8KSwV0

古泉「涼宮さん、少し用事がありますので僕はこの辺で失礼します」

ハルヒ「あら?そうなの。分かったわ。今日は特段するべきこもないし、許可します」

古泉「申し訳ありません。それではまた明日」

ハルヒ「バイバーイ」

キョン(森さんか……。どんどん怪しくなってきたが……)

ハルヒ「古泉くん帰っちゃったし、違うので遊びましょうか」

長門「……」

キョン(長門はこの状況を作り出すためにボードゲームを指定したのか?)

キョン「やれやれ……」

ハルヒ「どうしたのよ?これ、まだするわけ?」

キョン「いや、ハルヒが嫌なら変えてくれていいぞ」

ハルヒ「べ、べつに嫌とかじゃないけどっ」

キョン「……なあ、ハルヒ?こんな話を知っているか?」

ハルヒ「なによ?」

キョン「夜寝るとき部屋を真っ暗にするだろ。で、目を閉じる。そして5つゆっくりと数えてから目を開けると、誰かが覗き込んでいたりするんだってよ……怖いよな……」

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 23:14:25.57 ID:RV/8KSwV0

長門「……」

ハルヒ「……」

キョン(これの反応でハルヒがどういう風に怪奇現象とやらを捉えているかわかるような気がするんだが……)

ハルヒ「それだけ?」

キョン「ああ」

ハルヒ「あっそ。つまんない」

キョン「悪かったな」

ハルヒ「有希、トランプしましょ。トランプ」

長門「……」コクッ

キョン(怖がる様子はないか。もしかしたらいないと表面上だけで考えて、心の底では存在を信じると同時に怯えているのかと思ったが……)

キョン(この様子じゃ、森さんが嘘をついたってことで終息しそうだ。どうしてそんな嘘をついたかは追及したほうがいいかもしれない)

ハルヒ「神経衰弱で勝負よ!!」

長門「……」

キョン(ハルヒのターンが終わらないゲームだな)

朝比奈「ごめんなさい!!おそくなりましたぁ!!」

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 23:29:02.92 ID:RV/8KSwV0

ハルヒ「来たわね、みくるちゃん……」

朝比奈「あ、あ……涼宮さん……」

ハルヒ「どうして遅刻したのかしら?」

朝比奈「えっと……その……掃除で……」

キョン(ああ。ダメです、朝比奈さん。それはダメですよ……)

ハルヒ「うそつけぇ!!!」

朝比奈「ひぇぇぇぇぇ!!!!!ごめんなさぁぁぁい!!!」

キョン「長門、何か起こった感じはあるか?」

長門「ない」

キョン「そうか」

長門「油断はできない。古泉一樹の言ったとおり、我々でも涼宮ハルヒの能力について全てを把握できてはいない。情報を持たない精神体が現れていても不思議ではない」

キョン「そいつが出てきた場合、長門は対処できるのか?」

長門「できない」

キョン「本当か?」

長門「情報がないということは干渉もできないということ。万が一、出現した場合、打つ手はない」

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 23:33:22.86 ID:RV/8KSwV0

自宅前

キョン(長門でも打つ手なしか……。でも、干渉できないってことは向こうも同じだろうし。そこまで危険視しなくてもいいような……)

森「お待ちしておりました」

キョン「森さん!?」

キョン(今回はメイド服か……。それは嬉しいが、なんだこの殺気は……)

森「確認したいことがあります」

キョン「な、なんですか?」

森「涼宮さんに何を問いましたか?」

キョン「え?」

森「……」

キョン「あ、えっと……幽霊のことを……」

森「それだけですか?」

キョン「冗談でその……簡単な怖い話を―――」

森「来てください。お見せしたいものがあります」

キョン「は、はい……」

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 23:44:40.68 ID:RV/8KSwV0

墓地

キョン「こ、ここは……?」

森「ご覧の通り、墓地です」

キョン「それはわかるんですが……。どうしてここへ?」

森「この先に無縁仏が積み上げられている場所があります。そこまで行ってみてください」

キョン「は、はい?どうしてですか?」

森「簡単な肝試しだと思ってください」

キョン「森さんも一緒ですよね?」

森「早く、行ってください」

キョン(怖い……!!森さんってこんなに怖いのか……!!)

森「どうしましたか?幽霊は信じていないのでしょう?古泉から聞いていますよ?」

キョン(ああ、そうだ。長門の話では全てはプラズマの所為だ。そして朝比奈さんが言うには未来人の残像だ。この世に幽霊はいないで結論がでた)

森「どうぞ。奥のほうへ。危険は今のところありませんし、何かあればすぐに駆けつけますから。ご安心を」

キョン「わ、わかりました……」

キョン(真冬の肝試しってなんだ……。夏の風物詩じゃないのか……泣くぞ……)

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/21(金) 23:54:55.13 ID:RV/8KSwV0

キョン「あー……寒いな……。状況が状況だけに余計に寒い……。体の芯から凍っていきそうだ……」

キョン(それにしても森さん、やっぱり怒ってたな……。それほどのことだったのか?だが、それなら古泉にも一報を入れておいたほうがよかったと思うし……)

キョン(報告しなかったのは長門や朝比奈さんをいずれは消すかもしれないから。それを告げれば古泉の邪魔が入る……。森さんはそれを嫌がった……)

キョン(これは古泉の考えだ。俺は森さんがどういう人間なのかわからないし、どういう風に俺を見ているのか、ハルヒのことを考えているのかはさっぱりわからん)

キョン(だからこそ、古泉の考えを信じていたが……。俺は判断を誤ったのか……。というか、古泉はどこだ。でてこい)

キョン(これがドッキリならもうネタばらししてもいいと思うぞ。あまり引っ張っても面白くないしな)

キョン「……あった。ここが無縁仏か」

キョン「でも、何もいないぞ……?」

キョン(プラズマが原因ならもっと発光体があると思っていたんだがな)

キョン「帰るか……。寒いし」

「どこに行くの?」

キョン「……!」

キョン(やばい……足が動かない……。誰かが後ろにいる……)

「考えなしにここへ足を踏み入れたの?ふふっ。何か見つかった?」

キョン(この声……。間違いない……。いや、姿は見えないが……朝倉だろ……)

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/22(土) 00:03:59.55 ID:rbaHlV/10

「勇気あるのね。ここへ来る人は大体2人以上なのに」

キョン(近づいてくる……。なんだ……どうして朝倉がいるんだ……?消えただろ、お前……)

「何して遊ぶ?」

キョン「ぁ……っ……」

キョン(声が出ない……。何しやがった……朝倉……!!)

「それとも、私の仲間になりたいの?」

キョン(成仏しろよ!!このやろう!!……いや、できないか。あんな消え方じゃ……)

「じゃ、いくわね」

キョン(やめ―――)

森「こちらへ」グイッ

キョン「はっ!?」

森「大丈夫ですか?」

キョン「あ……森さん……?」

森「彼らは更に力をつけました。我々に干渉できるまでに。それを肌で感じて欲しかったのです。このままでは危険です。どうして私のことを信じてくれなかったのですか?」

キョン「そ、それは……」



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