キョン「安価で古泉をどうにかする」


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1 名前:キョン ◆BE/7vZkX1k[saga] 投稿日:2012/06/13(水) 11:47:41.58 ID:/cKB4pMIo

というわけで、安価スレだ。
果てさて、以前やった時にはVIPだったからか、鬼畜も甚だしい安価ばかりだったが、今回はどうなんだろうな。

とりあえず、今は放課後で、俺は部室でのんびりしている。
目の前には古泉がニヤニヤして、窓際には相変わらず長門が無言で読書。まだ、ほかの面子は揃っていない。
揃うまで適当に過ごしたいんだが、どうすべきだ?

>>3

3 名前:どさんこ ◆fj.xTxp2KjZB[] 投稿日:2012/06/13(水) 12:00:48.55 ID:aU4/4BHG0

[ピーーー]

4 名前:キョン ◆BE/7vZkX1k[saga] 投稿日:2012/06/13(水) 12:13:19.65 ID:/cKB4pMIo

おっと、板仕様のせいでなにか判然としないな。
流れから察するに「殺す」なのだろうが。

さて、安価は絶対。
とはいえ、安易に殺人に至るのも面白みにかける。
悩みどころだな。まったく、初手からなんて安価出してきやがる、ID:aU4/4BHG0よ。

キョン「古泉」

古泉「はい、なんでしょう?」

キョン「久し振りに盤ゲーでもしないか?暇でしかたがない」

古泉「おやおや、貴方から誘っていただけるなんて、うれしいですね」

古泉は嬉々として、机の下から適当なボードゲームを取り出した。

古泉「そうですね……チェスなんでいかがでしょう?」

なんでも構わん。
どんなゲームにしたところで、お前に負けることはないのだろうしな。


―――
――



古泉「うーん……まったく勝てませんね」

キョン「相変わらず下手糞だな、お前は」

これまで、古泉のキングを刺すこと四回。
五回目の戦いとなるこの試合でも、すでに古泉の側の駒はあらかた消え、すでにチェックメイトになっていた。

古泉「はは、まったくもって返す言葉がありませんよ。好きこそ物の上手なれとは、なかなかいきませんね」

好きなだけでうまくなれるのなら苦労しないな。
だが、たとえうまくはなれなくとも、それを愛し続けることくらいなら出来るかもしれない。
と、毒にもならんようなことを考えてみた。

まあ、そんなことはどうでもいい。
古泉のキングを五度も殺している。別に、最初の安価なのだからこれくらいでかまわんだろう?
もう少し後なら、もっと違った実行法になっていたかもな。

さて、次の安価だ。
ほかに暇をつぶせるようなことはないか?
>>6、頼んだぞ。

6 名前:名無しNIPPER[sage] 投稿日:2012/06/13(水) 12:16:12.51 ID:6kusw+bAO

終了

8 名前:キョン ◆BE/7vZkX1k[saga] 投稿日:2012/06/13(水) 12:19:38.66 ID:/cKB4pMIo

おいおい、容赦ないな。
まあ、いいさ。スレはまだ990以上もレスを残しているわけだし、再度安価すればいいだけの話だ。
VIPの時の安価前後数レスがレイプだの目を抉れだので埋まってたときに比べれば、なんてことはない。
あの時は実行したしな。

さて、再度安価だ。
この時間だと人も少ないからな。あまり遠くに投げたくはないのだが。
>>10、次こそ頼んだぞ。

10 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2012/06/13(水) 12:23:15.64 ID:w0tiP4rMo

何か理由をつけて小泉の目の前で脱衣

11 名前:キョン ◆BE/7vZkX1k[saga] 投稿日:2012/06/13(水) 12:32:40.57 ID:/cKB4pMIo

実行可能だ、実行可能だが……しかたがない、なるようになれだ!

キョン「……古泉」

古泉「はい、なんでしょう?」

古泉は、さっきまで遊んでいたチェス盤を机の下へ仕舞っている。
俺は、そんな古泉の目の前におもむろに近づいた。

古泉のニヤケ面に、微妙に困惑した表情が浮かんでいる。
まあ、そりゃそうだ。
無言で近づかれて、見下ろされるような形になったら、言い知れない威圧感を感じるだろう。
俺自身が、頻繁にハルヒから受けていることだ。よくわかる。

俺は、静かにブレザーのボタンに手をかけた。

古泉「……おやおや?」

俺は無言、かつ無表情でブレザーのボタンをはずすと、袖から腕を抜いた。
出来る限り、色っぽく。

古泉の眉が、微妙に困ったように歪んできている。
……そりゃ、そうだ。

俺は脱いだブレザーを、静かに古泉の頭に被せる。
ちょうど、ウェディングドレスのヴェールのようになった。
いや、どちらかといえば連行される容疑者のほうがしっくりくるか。
もっとも、現状連行される可能性が高いのは間違いなく俺だろうが。

俺は、続けざまにシャツのボタンにも手をかける。
一番上から、順々に……

古泉「ちょ、ちょっと待っていただいても良いですか?」

とうとう、古泉からストップがかかる。
まあ、当然だな。


12 名前:キョン ◆BE/7vZkX1k[saga] 投稿日:2012/06/13(水) 12:42:58.32 ID:/cKB4pMIo

古泉「貴方は、いったい何をしているんです?」

キョン「その、なんだ……脱衣だ」

古泉「それは、まあ、見れば分かりますが」

そりゃそうだ。

キョン「なぜかってのが聞きたいんだろう?」

古泉「ええ。突然見知った男性に目の前でストリップショーを見せ付けられてしまうというシチュエーションには慣れていないもので」

そんなシチュエーションに慣れているやつがいて堪るか。
……しかし、困った。特に理由を決めていなかったのだ。
俺は、言葉を濁さざるを得なかった。

キョン「えーと、その、あれだ」

思いつけ、思いつけ。

キョン「――お前って、ホモか?」

とっさとはいえ。
とんでもない質問をしちまった。
……スマン、古泉。

古泉「……いえ、特にそういった性癖はありませんが……何故です?」

ここまできたら、とことんまで出任せで押し切るしかあるまい。
まったく、なぜあんな質問をしたのやら。自分でも分からん。
追い詰められるってのは恐ろしいな。

キョン「実は、一部女子の間でお前がホモなんじゃないかって説が浮上していてな」

もちろん、大嘘だ。

キョン「俺自身気になって、調べようとしたんだ。とはいえ、ただ質問したところで素直に答えてくれるとも思えん。だから、目の前で脱衣して反応を確かめてみようと思ってな」

古泉「ああ、なるほど。それで、疑いは晴れましたか?」

キョン「ああ、しっかり晴れた。スマンな、古泉」

我ながら、とんでもない嘘八百を並べたものだ。
俺は静かに服を着なおすと、元の席に戻る。

さて、困った。
気まずさも手伝って、ことさらこの何もしない無言のときがつらい。
次にやることを指定してくれ。>>13、頼んだ。

13 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽)[sage] 投稿日:2012/06/13(水) 12:46:10.67 ID:0JfbNpWAO

武術の本を読み、学ぶ

14 名前:ずっと板に繋がらなかったんだが、なにかあったの? ◆BE/7vZkX1k[saga] 投稿日:2012/06/13(水) 15:21:25.01 ID:/cKB4pMIo

武術……またなんだか妙な安価が来たな。
長門あたりにでも声をかけてみるか。

キョン「長門」

長門「……何?」

長門は、読んでいた本から顔を上げて、しっとりとした瞳でこちらを見た。
うす桃の唇が、柔らかく結ばれている。

キョン「いや、その、本を借りたいのだが……」

長門は、数秒じっと俺の目を見た。
なんだか、いろいろと見透かされているようで、気恥ずかしいような怖いような。
長門は、俺から目線をそらさないまま、静かに手に持っていた本を差し出してきた。

長門「……これ」

キョン「あ、いや、そういうのじゃなくてだな、いわゆる武術のハウツー本……」

長門「……これ」

キョン「「あ、いや……」

あまりに真っ直ぐ目を見ながら言うものだから、思わず怖気づいてしまった。
とりあえず、長門から差し出された本を手にとって見る。

【漢の武術〜昼の寝技から夜の寝技まで〜 民明書房】

……武術の本だった。
なぜ、これに目を通していたんだ、長門よ。

キョン「ありがとな、じゃあ、借りる」

長門「……そう」

俺は、席に戻って武術書を読み始めた。
長門はといえば、本棚から新しい本を取り、再び窓際で読み始める。

俺が数ページ読み進めた頃、部室のドアをやかましく蹴破る音。

ハルヒ「ごっめーん!お待たせ、みんな!!」

我らが団長、ハルヒだ。
後ろには、引っ張られてきた朝比奈さんもいた。

15 名前: ◆BE/7vZkX1k[saga] 投稿日:2012/06/13(水) 15:34:34.64 ID:/cKB4pMIo

キョン「よう、ハルヒ。遅かったな」

ハルヒ「年中暇なアンタと違って、団長たる私は常に大忙しなの!ほら、見なさい!!」

ハルヒは、バッと手に持ったチラシを俺に突きつける。
それは、近所の大学で近々行われる文化祭のチラシだった。

キョン「なんだ、大学見学にでも行くのか?」

ハルヒ「バッカねえ、違うわよ!ほら、よく見て!!」

ハルヒは、チラシを俺の顔面に押し付けてきた。
やめろうっとおしい!!

キョン「……ミスコン?」

チラシの下のほう、妙に心躍らせるポップで書かれていたのは、『ミスコン開催!』の文字。
ちなみに、その下には『一般参加者も募集!』と書かれている。

キョン「……まさか、ハルヒ。出るのか?」

ハルヒ「もっちろん出るわ!みくるちゃんが」

ハルヒの一言に、朝比奈さんが背後でビクッと肩を振るわせた。
……また碌でもないことを考えやがった、コイツは。
俺は、哀れにも被害にあいそうな朝比奈さんに黙祷しつつ、一応ツッコミをいれることにした。
どうせ聞き入れちゃくれないだろう、が、言わないのも癪だ。

キョン「なんでまた?っていうか、お前は出ないのか?」

ハルヒ「私は神聖なるSOS団団長様なのよ!?なんで衆目にこの不可侵たる身体を晒さなきゃいけないの?」

朝比奈さんは役職関係なく神聖な存在なんだぞ。この方の艶やかな肢体を独占できるのが団員の役得だというのに。
と、いう言葉は心に仕舞いつつ。

ハルヒ「で、みくるちゃん、可愛いじゃない。みくるちゃんなら優勝間違いなし!!」

キョン「優勝したらなにかあるのか?」

ハルヒ「SOS団の名前が売れるわ!これまで以上に活動の幅が広がるのよ!!」

……ああ、いつもどおりコイツはアホだ。
みくるさん、俺には貴方を助けられません。
俺は、朝比奈さんに慰めの言葉をかけようとした。>>16

※おまけ
古泉HP @@@@@

16 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2012/06/13(水) 15:53:33.85 ID:NszC+cpqo

朝比奈さん、セックスしましょう

17 名前:キョン ◆BE/7vZkX1k[saga] 投稿日:2012/06/13(水) 16:13:27.60 ID:/cKB4pMIo

キョン「朝比奈さん、セックスしましょう」

ふと、俺の口からそんな言葉がこぼれた。
すると、みるみる内にハルヒと朝比奈さんの顔がゆがむ。
ハルヒは、眉を下にひそめた憤怒の表情へ。朝比奈さんは、眉を上にひそめた泣き顔へ。
……待て。俺は今、何を言った?

みくる「ひっ……ふぇっ……」

ハルヒ「ちょ、ちょっと!アンタ、なんてこと言ってんのよ!!」

ハルヒが俺の胸倉につかみかかってきた。
混乱している俺は、うまく言葉が出ない。

キョン「ま、待ってくれハルヒ!これは、誤解なんだ……ッ!」

ハルヒ「はぁ!?今その口ではっきりと言ったくせに、なにが誤解だってのよ!」

ハルヒは、俺の身体を怒りに任せて大きく揺さぶった。
く、首が苦しい……。
俺のポケットから、板への書き込みに使っていたスマートフォンが、転げ落ちる。

キョン「お、俺にもわからないんだ!なぜか、なぜか口をついて……」

そこで、俺は床に転がるスマートフォンの画面を見た。
そこにあったのは、先ほどまでは無かった新しい書き込み。

>16 名前:NIPにかわりましてSSがお送りします[] 投稿日:2012/06/13(水) 15:53:33.85 ID:NszC+cpqo

>‎朝比奈さん、セックスしましょう

……まさか。
まさか、この書き込みを俺は実行していたってのか?
俺は、画面を確認していなかったんだぞ?

俺が黙っていたことが気に食わなかったのか、ハルヒは俺の胸倉を掴む手をさらに強めた。

ハルヒ「黙ってないで、なんとか答えなさい!!」

キョン「お、俺にもわからん……は、ハルヒ、スマン」

ハルヒ「謝んのは私じゃないでしょ、バカキョン!!」

一通り怒鳴ると、ハルヒは乱暴に俺の胸倉から手を離す。
……一気に肺に入ってきた酸素が、俺の頭をクリアにする。
……とりあえず、朝比奈さんに謝らないと。
>>18

18 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2012/06/13(水) 16:15:29.42 ID:NszC+cpqo

朝比奈さん、セックスしましょう

19 名前:キョン ◆BE/7vZkX1k[saga] 投稿日:2012/06/13(水) 16:27:51.36 ID:/cKB4pMIo

キョン「朝比奈さん、セックスしましょう」

……まただ。
また、勝手に口が動いた。

見る見る内にハルヒの顔が驚愕に変わり、そしてやがて先ほどよりも強い怒りを帯びた表情に変わる。

ピリリリリリリリリリリ

古泉「はい。……ええ、分かりました」

古泉が静かに席を立ち、部室の出口へと歩いていった。

古泉「申し訳ありません、涼宮さん。急用が……」

ハルヒ「……いいわ。いずれにせよ、今日の団活は中止になりそうだし。いってらっしゃい」

苛立ちを隠せないハルヒの言い方は、古泉に向けているはずなのに棘棘しかった。

古泉「失礼します」

そういって、部室を出て行く古泉。
その目が、少し冷たく俺を見ていたのは、俺の気のせいなのだろうか。そうであってほしかった。

ハルヒ「……キョン」

古泉の退室でタイミングを外されたから、幾分か落ち着いた調子でハルヒは口を開いた。

ハルヒ「アンタ、どういうつもり?ふざけているつもりなら、まったく笑えないわよ」

ハルヒの後ろでは、怯えて涙を流す朝比奈さん。
……俺だって、わからない。
とにかく、言葉を捜さなければ。
事実を言ったところで信じてもらえないだろうが、弁解はしなければならないのだ。>>21

※おまけ
古泉HP @@@@

21 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2012/06/13(水) 16:34:35.23 ID:NszC+cpqo

俺は本当は古泉を陵辱したいんだ

22 名前: ◆BE/7vZkX1k[saga] 投稿日:2012/06/13(水) 16:39:47.76 ID:/cKB4pMIo

えーと
ぶっちゃけ、時間も時間ですし、そもそも板も板ですし
流れの速さとか関係ないので、気がついた人がレス入れてくれればいっかなあとか甘く考えてました

正直、今の流れだと鬼畜取ろうと思ったら取り放題ですしねえ
それは、参加する方がどうやったら面白いかってことを考えて安価取ってくれればいいだけなので
鬼畜でも面白くなるものは面白くなりますし。つまらない安価をどう調理するかも書き手の頑張りどころですし

あるいは、仮に一旦はお話が終わったとしても、レスさえ余っていれば第二話にも突入できます
それがスレ落ちを気にしなくて済むこの板の利点なので、あまり気にしなくても良いような?

という感じで考えています
ちなみに、古泉になんかする、ってスレタイですけれど、それはこっちで直接的なり間接的なり古泉になにか降りかかるように操作するので、
安価の内容はぶっちゃけ誰に向けたっていいですよ
先に書いておくべきでした、すいません

24 名前:キョン ◆BE/7vZkX1k[saga] 投稿日:2012/06/13(水) 17:28:03.01 ID:/cKB4pMIo

キョン「俺は本当は古泉を陵辱したいんだ」

……とめられない。
口が、俺の意思と無関係に動く。
なんなんだ、コレは。何がおきている?

俺の言葉を聞いたハルヒの顔が、徐々に怒りの表情から呆れの表情へと変わっていった。

ハルヒ「……いいわ。アンタがそれ以上ふざけるなら、私にも考えがあるもの」

ハルヒは、黙って部室の扉を指差す。

ハルヒ「……出てって」

嫌に、心に突き刺さった。
目の前の扉までの距離が、遠く感じる。
そして、俺は嫌な予感に心を揺さぶられていた。
―――あの扉をくぐってしまったら、きっと、俺はもう二度とこの部室には入れない。

キョン「……わ、悪かった、本当に謝る!違うんだ、俺の意思なんかじゃないんだ!」

俺は、思わず立ち上がってハルヒに懇願していた。

ハルヒ「――ッ!!アンタねえ!みくるちゃん泣かせて、その上悪ふざけに悪ふざけ重ねて、さらにそんなくだらない言い訳まで重ねるわけ!?ふざけないで!!」

キョン「ハルヒ、違うんだ!!本当に俺の意思じゃない!頼む、信じてく――ッ!?」

瞬間。
俺の身体が、ぐるりと回っていた。

どうなったかを理解する前に、背中を鈍痛が襲う。

キョン「ッがぁっ!!」

直後に、頭にも重い衝撃が加わった。
視界が明滅し、状況を判断できなくなる。

耳元で、足音が聞こえた。

「……みくるちゃん、立てる?奥の椅子に座って、落ち着きましょ?」

「……………………はい……」

ゆっくりと、遠ざかる二人分の足音。
俺は、しだいにはっきりしてきた視界で、状況を捉える。
俺は、天井を見上げていた。
……どうやら、投げられたらしい。

28 名前:キョン ◆BE/7vZkX1k[saga] 投稿日:2012/06/13(水) 18:24:46.70 ID:/cKB4pMIo

痛む頭をさすりながら、俺はゆっくりと上半身を起こす。
硬い木目の床。フローリングだったことが幸いだ。コンクリート系などだったら、俺は目を覚ましていなかったかも分からん。

身体を起こした目線の先には、団長用のデスクに座らされなき続ける朝比奈さんと、それを必死になだめるハルヒ。
そして……

キョン「……長門?」

長門が、本を閉じて、じっと俺を見ていた。
……軽蔑しているのか?
そう思ったが、なんだか違和感があるように感じる。

長門は、目をそらすことなく、ただ視線で俺のことを射抜き続ける。

やがて、ハルヒが身体を起こした俺に気がついたらしい。
一睨みすると、再び朝比奈さんを慰めに入った。

ああ、どうすべきなんだ、俺は。
古泉が部室を出たのは、間違いなく俺のせいだろう。
朝比奈さんが泣いてしまっているのも、ハルヒが怒りに燃えているのも。
……どうすればいいんだ……。>>30

※おまけ
古泉HP @@@

29 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽)[sage] 投稿日:2012/06/13(水) 18:29:59.10 ID:0JfbNpWAO

逃げて山に篭り武術修業。目標は熊を倒す

30 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽)[sage] 投稿日:2012/06/13(水) 18:38:25.67 ID:0JfbNpWAO

安価上

32 名前:キョン ◆BE/7vZkX1k[saga] 投稿日:2012/06/14(木) 10:39:06.24 ID:U1bhve3zo

俺は、ひとまず状況を整理しようと、床に転がるスマートフォンに手を伸ばす。
届かない。伸ばした手が、ぶるぶると震えていた。
立ち上がって、スマートフォンを拾おうと思ったが、腰を少し浮かせただけで、俺は再び尻餅をついてしまった。
……なんだ、これは。
全身が、まるで寒さに耐えるように震えていた。さっき腕を伸ばしたときも、腕だけが震えていたのではなかったのだ。
足腰が抜けたように力が入らない。
わからない。思考が白濁としていく。怖い。理由は無かった。いや、あったのかもしれないが、今の俺にそれを理解する余裕は無かった。

なんとか、腕で身体を引きずる。
そして、スマートフォンに手を伸ばした。なんとか、俺の手の中に収まる。
少しだけ、安心できたような気がした。
俺は、手繰るようにして腕を引き戻すと、まるで丸まった団子虫のような体制で、画面を見た。

……そこには、ここまでの俺とハルヒたちの会話。
さらには、俺自身の心中。
そして、俺が出したことになっている安価と、その内容が記されていた。

……ありえない。
俺は、スマートフォンを触っていなかったというのに。
まるで、画面の中には俺が書き込みをしているかのような文章が踊っている。
いや、間違いないのだ。間違いなく、書き込まれている文章は俺のもので、一言一句間違えずに俺の頭の中身で、俺の喋った言葉で、あいつらの喋った言葉で、だが、俺は書き込んでなど―――

頭がさらに濁っていく。
汚泥を巻き込んだ濁流に飲み込まれるように、思考もままならなくなり、自分の寝ている床が上なのか下なのか、今自分がどの方向を見ているのかすら曖昧になる。
……怖かった。

俺は、震える手を必死で動かして、画面をスクロールさせる。
まだ、先の書き込みがあるはずだ。
なんでもいい。何か取っ掛かりを見つけて、思考しなければ、俺はどこまでも暗い世界に飲み込まれてしまう気がする。

そして、見つけた。

>29 名前:NIPにかわりましてSSがお送りします(山陽)[sage] 投稿日:2012/06/13(水) 18:29:59.10 ID:0JfbNpWAO [4/5]

>‎逃げて山に篭り武術修業。目標は熊を倒す
>‎

>30 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽)[sage] 投稿日:2012/06/13(水) 18:38:25.67 ID:0JfbNpWAO [5/5]

>‎安価上

……これは。
安価だ。

……なぜ?
    、 、 、 、 、 、 、、 、 、 、 、、 、 、 、、
なぜ、この安価だけはまだ実行されていない?

35 名前:キョン ◆BE/7vZkX1k[saga] 投稿日:2012/06/14(木) 16:07:55.83 ID:U1bhve3zo

さっきまで俺に指示された安価は、全て実行された。
それは、俺の意思とは無関係に。
だが、この安価は実行されない。

……なぜ、だ?

もし。この俺に降りかかった一連の現象が、誰かの手による恣意的なものだったら。
この安価は、そいつにとって都合が悪かったのか?
……いや、待て。
そもそも、安価の内容は俺の見知らぬ誰かの手に委ねているはずだ。
そう思う理由はなんだ?……そうだ、もし、もし今俺の見ているスレッドの内容も、誰かの手によって手が加えられたものだとしたら。
わざわざ、安価を無視する必要性がないんだ。
そんな回りくどいことをする必要性が無い。淡々と、俺の思考の合間合間に安価を織り交ぜればいい。それを俺に実行させる術を持っているのだから。
だが、現実として、安価は無視された。
仮に、安価を踏む人間が俺の知りえない一般人だとしたら。間違いなく、安価の内容は予測できない。それは、そのスレッドに書き込む人間の数だけの安価が存在するからだ。
だからこそ、無理安価が出てくる。

……もしかすると、これは隙なのかもしれない。
今のこの現状を作り出した奴がいるとして、そいつは俺の立てた安価スレを使って俺を動かしている。
理由は分からん。
だが、安価の内容がどう転ぶかの予測がそいつにも出来ない、というのは、今推測したとおりだと思う。
ということは、安価の内容はどうであれ、俺が安価の指示に従うことが目的なのか。
……ダメだ、どこまでいっても推測の域を出ん。
クソ、俺はハルヒや佐々木や古泉のように頭もよくなければ、長門のように万能でもない。

……そうだ、長門。
長門に、助けを求めてみるか?

……ダメだ、それは。
おそらく、さっきまでの二の舞だ。
長門に対して口を開こうとした瞬間、安価で命令が入るに違いない。

……クソ、どうやったって、一人であがくしかねえってことか?

……そう思考する間にも、俺の思考した文章が、スレッドに書き込みされていく。

……ああ、やってやるぜ畜生。
俺は、この状況をなんとしてでも抜けてみせる。
……そのためには、助けを求める以外の次の行動を決めねえと……。>>36

36 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga] 投稿日:2012/06/14(木) 16:09:35.48 ID:MhefPL99o

妹に相談

39 名前:キョン ◆BE/7vZkX1k[] 投稿日:2012/06/14(木) 18:53:12.77 ID:U1bhve3zo

ふと。

スマートフォンをいじる俺の指が、静かにホームボタンを押す。
そして、画面に映し出されたアドレス帳のアイコンへと、伸びていった。

……まさか。
確認は出来なかったが、身体の自由が利かない。
間違いない。安価だ。

俺の指は、俺自身の意思から離れて滑らかにスマートフォンを操作していく。
操作する指は、すぐに目的の画面へとたどり着いていた。
俺自身の、プロフィール画面だ。
そして、実家の電話へと繋ぐ番号をタッチする。
……わざわざプロフィールをたどらなくとも、着信履歴か発信履歴からすぐに飛べるぞ。
と、薄ぼんやりと思った。
抵抗など出来るわけもない。動かされているのは指だけだが、それ以外の部分も言うことを聞かない。
俺の腕は、耳元へと電話をあてがっていた。

『もしもしー?』

電話に出たのは、妹だった。
……だが、俺の口からは何も言葉が出ない。

妹『……あれー?もしもしー?』

キョン「……あ、あぁ」

妹『あー、なんだキョン君かー!どうしたのー?』

……どうやら、もう喋ることが出来るようだ。
……なぜだ?

まあいい、疑問は後回しだ。
妹が役に立つかは分からん。だが、今俺が自分の自由意志で言葉を伝えられるのはコイツしかいない。
もしこのチャンスを逃したら、二度もめぐり合えるとも分からん。

キョン「……なあ、今から俺が言うことを、メモ出来るか?」

妹『メモー?いいよー。ちょっと待ってね!!』

カタッ、と、耳元でなるような硬い音が聞こえると、とたとたとた、と軽やかな足音が遠ざかっていくのが聞こえた。
……早く、早く戻ってきてくれ。



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