長門「じゃ、死んで」


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トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:佐々木「キョン……その少女は誰かな?」キョン「俺の彼女だが」

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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 13:06:33.36 ID:To9pkn+/0

今日は朝から、一つの懸案事項を抱えていた
下駄箱に入ってた一枚のメモ

放課後 誰もいなくなった1年5組の教室に来て

そう書かれていた
夕方
俺は着替えるという朝比奈さんを残し、そそくさと部室を後にした

教室に居た人物を目にして、俺はかなり意表をつかれた

長門「入って」

キョン「長門か」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 13:08:05.15 ID:To9pkn+/0

長門「部室では二人きりになれないと判断した」

キョン「てっきり長門なら、またしおりに書いて呼び出すかと思ってたよ」

長門「今日この時間に呼び出すには、これが最適な選択肢」

この前はしおり見つけるの、遅くなっちまったからな

キョン「何の用だ?」

長門「聞きたい事がある」

長門「涼宮ハルヒの事を、あなたがどう思ってるか」

やれやれ、また涼宮の話か

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 13:08:56.32 ID:To9pkn+/0

長門「例え話をする」

長門「物事が悪い方向にしか進んでいないと知る事が出来たら、あなたならどうする?」

キョン「なんだそりゃ、日本経済の話か?」

長門「このまま行くと、私が暴走するのは確定している」

長門「しかも、この時間軸では私がいつ暴走するのか特定出来ない」

またまた電波な事を言い始めた
少し信じる気にはなってたが、さっぱり分からないのには変わりない

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 13:09:46.63 ID:To9pkn+/0

キョン「何を言ってるのか、さっぱりなんだが」

長門「同じ時間の繰り返しは、私に深刻な影響を与えるだろう」

長門「特に、ある特定日時における事象に、私は耐える事が出来ない」

時間の繰り返しって何だ?

キョン「もっと分かるようには話せないのか?」

長門「sleeping_beauty」

もっと分からねえ

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 13:11:22.64 ID:To9pkn+/0

長門「あなたが理解出来ないのも無理はない」

そらそうだろうよ

長門「今度の暴走は、以前のそれよりはるかに大きな影響を世界に与えるだろう」

長門「また、私の一部が特定日時における事象の再体験を拒絶している」

長門「だから私は、最適な選択肢を選ばなければならない」

また選択肢か、好きだな選択肢



長門「あなたを殺して、根本の原因を無くす」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 13:13:00.41 ID:To9pkn+/0

なにかヤバイ
訳もなくそう感じた俺は、少し後ずさった

キョン「!」

ネクタイが、いつの間にか切断されてる
俺は殺される
何故かそう確信出来た

キョン「なんだなんだ?なんなんだ?」

いや待て、この状況は何だ
俺を殺す?
Why?なぜ

キョン「冗談はやめろ!マジ危ないって!」

キョン「それが何かマジックみたいなもんでも、ビビるって!」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 13:16:15.25 ID:To9pkn+/0

長門「冗談だと思う?」

長門「死ぬのが嫌なのは、有機生命体の死の概念で理解出来る」

長門「だが、それはあくまで概念上の問題」

キョン「意味が分からないし、笑えない!」

キョン「いいからその危なっかしい事、やめてくれ!」

少しの沈黙があった

長門「それは不可能」

長門「私は本当にあなたを殺さなくてはならないから」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 13:19:36.13 ID:To9pkn+/0

俺は逃げ出した
こいつが俺を一瞬で殺せるって分かってたから
何でか?
知らねえ、そんなこと

キョン「ぐっ、どわぁ」

目の前に見えない壁みたいなもんが出来てて、逃げられねえ

長門「無駄」

長門「今この空間は、私の情報制御下にある」

長門「出る事も入る事も出来ない」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 13:23:02.50 ID:To9pkn+/0

もう全く、訳が分からない
分かる奴がいたらここに来い!そして俺に説明しろ!

長門「あきらめて」

長門「結果はどうせ、同じ」

キョン「お前の言ってた統合なんとか体って話、本当だったんだな」

長門は無言で机や椅子を飛ばして来る
見えない壁づたいに、必死に逃げた

待て、待て、待て
何なんだこれは
俺を殺して、根本の原因を無くす?
なんだそりゃ、俺は何かの根本とかになった覚えはねえぞ

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 13:28:08.73 ID:To9pkn+/0

長門「あなたが死ねば、涼宮ハルヒは何らかのアクションを起こす」

長門「しかし、それが私の暴走とどちらが強い影響力を持つのか、私には分からない」

長門「だからこれは、現時点で最善の策」

長門「確定している事項の方を重要視する」

待てって長門
おかしいだろう、こんなの

長門「じゃ、死んで」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 13:32:56.20 ID:To9pkn+/0

俺はきつく目を閉じて、反射的に怒鳴った

キョン「痛ってえな、このやろう!」

って、あれ?
体が動く

そして目の前の光景を見た
見た事がある後ろ姿
こいつは

キョン「朝倉!?」

朝倉が何かバリヤーみたいなので、俺を守ってた

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 13:35:26.15 ID:To9pkn+/0

長門が驚いた表情をしてやがる
こんな表情、初めて見る気がする

朝倉「さすが長門さん、プログラムの構成は完璧だったわ」

朝倉「喜緑さんの力を借りたのに、時間かかっちゃった」

長門「邪魔する気?」

長門「あなたは私のバックアップのはず」

長門「私に従うべき」

朝倉「独断専行に従えとは、決められていないわ」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 13:38:42.35 ID:To9pkn+/0

長門「では、情報結合を解除する」

朝倉「残念ながら、ここではあなたが有利ね」

長門「この教室は、私の情報制御空間」

朝倉「私はあなたの操り主に、この異常動作を伝達する手段はない、か」

長門「あなたに勝ち目はない」

長門「情報結合の解除を申請する」

瞬時に二人の間に飛び交う光
この時
ああ、本当にこの二人は人間じゃないみたいだ、と俺は思った

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 13:46:12.47 ID:To9pkn+/0

朝倉はこっちを見ずに言った

朝倉「姿勢を低くして、離れないでね」

疑念を抱く余地もねえ
すぐさまじゃがみこむ

長門「パーソナルネーム朝倉涼子を敵性と判定、当該対象の有機情報連結を解除する」

朝倉「その前に、あなたを機能停止させるわ」

長門「守りながら、攻撃を防ぎ切る事は不可能」

この光景を見てると、頭がクラクラする
なんだ?
どっかで見たような気がする、この感覚

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 13:51:12.90 ID:To9pkn+/0

軽いめまいを覚えながら、顔を上げた次の瞬間
俺は恐ろしい光景を目にした
嘘だろ?
朝倉に、何本もの槍みたいなのが突き刺さってる

キョン「朝倉っ!」

朝倉は笑顔を見せた
この状況で笑顔かよ
でも、何か人を安心させる笑顔だった

朝倉「平気」

朝倉「あなたは動かないでいてね」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 13:59:08.04 ID:To9pkn+/0

キョン「いや、ちっとも平気には見えねえって」

槍から血が流れてるじゃねえか

朝倉が槍の1本を抜き取って投げ捨てる
それはたちまち机の形になった

長門「それだけダメージがあると、他の情報に干渉する余裕はないはず」

長門「これで終わり」

長門の手が光となって伸びる
そしてそれは、朝倉の体を貫いた

朝倉の血が、俺の顔にかかった

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 14:04:42.06 ID:To9pkn+/0

この光景
この光景だ
でも
俺が知ってる記憶だと、貫かれてるのは長門じゃなかったか?
それで長門が言うんだ

長門『終わった』

でも口を開いたのは朝倉だった

朝倉「終わったわ」

長門「何が?」

???「間に合って良かった」

誰かもう1人、そこに立っていた

長門「喜緑江美里」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 14:11:31.34 ID:To9pkn+/0

喜緑「情報連結、解除開始」

教室にあった違和感みたいなのが消えてく

黄緑「長門さんはとても優秀だから、再び空間を開けるのに時間がかかってしまいました」

長門「それだけではない、あなたは崩壊因子も仕込んでいた」

朝倉「そ、私はその為の時間稼ぎ」

長門「どうりで何もして来ないと思った」

何だこれは
何で俺の知ってる光景と逆になってんだ

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 14:28:21.81 ID:To9pkn+/0

キョン「ちょっと待てよ、これは何かの冗談なのか?」

自分でも理解出来んが
俺は長門なら、こんな冗談を仕掛けるのが可能だって知ってる
いや
そもそも冗談って言葉は長門には似合わないが

長門「これは現実のこと」

キョン「でも俺を襲ったのは、朝倉だったはずじゃねえか!」

朝倉「驚いた」

朝倉「あなた人間なのに、時間が戻る前の記憶があるの?」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 14:34:24.62 ID:To9pkn+/0

キョン「時間が・・・戻る?」

こいつ、何言って

朝倉「私は前の時間軸で情報連結を解除されちゃったから、この後の記憶がない」

朝倉「だから、どの時点から時間が巻戻ってるのか分からないんだけどね」

長門「あなたは以前、と言ってもこの時間からは未来の事になるが、時間の繰り返しを経験している」

長門「その時の感覚が、なんらかの作用を及ぼしていると考える」

電波が二人に増えた
以前の俺ならそう言うんだろうなあ

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 14:40:08.50 ID:To9pkn+/0

キョン「って、長門!」

長門の手足が消え始めてやがる
これも前に見た事がある
このままだと、長門は、長門は

長門「情報連結解除の完了まで、あまり時間がない」

朝倉「話してくれるの?どうしてこういう事になったかを」

長門「時間流の逆行を観測したのは3日前の事」

キョン「3日前って、SOS団で歩きまわった日か」

長門「彼女がなぜその日を選んだのかは、分からない」

キョン「彼女?」

長門「涼宮ハルヒ」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 14:47:46.08 ID:To9pkn+/0

もう驚くことはない
またお前なのか、ハルヒよ

喜緑「記憶では長門さんが暴走後、すぐの時間から戻ってきてますね」

長門「その時点で涼宮ハルヒに何があったかも分からない」

キョン「何が気に入らないんだ、アイツは」

長門「あなたには分かっているはず」

長門の目が揺れたように見えた
暴走
そうだ、暴走した世界では、こいつはこんな目をしてた

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 14:55:06.53 ID:To9pkn+/0

朝倉「疑問に答えてもらえるかしら」

朝倉「私に命令を下すはずの急進派の動きが、全く見られない」

長門「私が押さえた」

朝倉「そんな事が!?」

喜緑「長門さんにその力があるのは、残念ながら実証されています」

キョン「そんな力があっても、暴走を止められないのか?」

長門は黙って俺を見つめた

長門「あなたがいる限り、無理」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 15:02:13.84 ID:To9pkn+/0

朝倉「そっか」

朝倉「わたし、分かっちゃった」

朝倉の顔に浮かんだ表情は何だ
憐み
いや、一番しっくりくるのは同情か

朝倉「あなたにどこまで記憶があるか分からないけど」

朝倉「今回の事は、前に起きた時とそっくりなのよね、言葉の言い回しとか」

そういえば
だから思い出す事が出来たのかもしれない

朝倉「思い出して欲しかった」

朝倉「違うかしら」

長門は何も言わなかった

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 15:07:12.95 ID:To9pkn+/0

朝倉「暴走を止めるには2つの方法しかない」

朝倉「あなたがいなくなるか、長門さんがいなくなるか」

長門が、いなくなる
なんだそりゃ
でも実際それは起こってる

朝倉「長門さんがそれだけの力を持ってるのに、負けるのがそもそもおかしい話でしょ」

喜緑「確かに、私達に気づかれずに情報空間を作るのも可能だったはずです」

どういうこった、それ
分かってる
けど、分かりたくねえ

朝倉「長門さんは、自分が消えるのを選んだ」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 15:17:04.31 ID:To9pkn+/0

キョン「な・・・ん・・・」

言葉が出て来ない
聞きたくなかった事だ

朝倉「そして、自分が消える時、記憶を持ったあなたである事を望んだ」

朝倉「思い出してどうなるのかは、私にはあまり理解出来ないけれど」

朝倉はそう言って、一歩下がった
後は自分の出番じゃないとでも言いたいのか

キョン「そうなのか?」

キョン「俺が覚えてる事に、何か意味があるのか?」

長門「そう」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 15:21:42.72 ID:To9pkn+/0

長門「私の中に、説明不能の情報の流れが発生しつつある」

長門「それは最初、誤差とも言えるほんの小さなものだった」

長門「だが、それはどんどん大きくなった」

長門の目が、また揺れた

長門「もう無視出来ない程に」

キョン「俺達の言葉で、一番近いもので言うと、何だ?」

長門「感情」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 15:29:25.81 ID:To9pkn+/0

感情か
知ってたさ、長門
お前、ずいぶん以前とは違うもんなあ

長門「あなたが時間が戻る前の記憶を持っている事は、予測出来た」

長門「消える前に記憶を持ったあなたに会う事を、感情は望んだ」

キョン「そりゃ、光栄だな」

長門「そう」

なんかもう、泣きそうだ
でも泣いてる場合じゃない
もうすぐ長門が消えちまう

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 15:37:45.54 ID:To9pkn+/0

長門はもう上半身しか残ってない

キョン「俺ってやつは、最後までお前に守られたままなんだな」

長門「あなたに何かあったら、涼宮ハルヒに予期出来ない影響を及ぼす」

長門「最初は、そう考えていた」

長門「でも今は、あなたの為にあなたを守る」

キョン「じゃあ、最後まで守ってくれよ!」

くそう
情けねえ
俺の為に、こいつは消えようとしてる
ちくしょう!
ちくしょう!

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 15:47:21.72 ID:To9pkn+/0

長門「あなたを守る為に、私が消える必要がある」

キョン「なんでだよ!暴走だって、本当にするか分かんねえじゃねえか!」

長門「前の暴走が確定していたように、今回も確定している」

情けねえ
こんなんじゃガキみたいに、長門を困らせてるだけじゃねえか
頭を冷やせよ、俺!

キョン「なんで」

キョン「なんでそこまで、俺を守ってくれるんだよ」

もう消滅が首の所まで来てる
消えちまう!
長門が、消えちまう!

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 15:59:59.90 ID:To9pkn+/0

長門「あなたを守る理由」

長門「この感情を説明するのは、本当に困難」

これが最後の問い掛けだ
せめて、笑おう
せめて、笑顔を見せようぜ、俺

キョン「俺達の言葉で、近いもので言うと?」

もう光に飲み込まれようとしていた
でも
長門は完全に消える前に、一つ言葉を残した
長門が笑ってるように見えたのは、俺の見間違いじゃないと思う



長門「あなたが、好き」

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 16:16:32.95 ID:To9pkn+/0

キョン「長門おおおおおおおおおおお!」

ひでえじゃねえか
俺は何一つ、お前にしてやれてないのに
消えちまった
消えちまいやがった

キョン「朝倉あ!」

俺は怒りに任せて、朝倉に掴みかかった

キョン「消すことねえじゃねえか!消すこと・・・」

俺は動けなくなった
何だこれ
朝倉が、朝倉が

キョン「お前、泣いてるのか?」

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 16:25:59.62 ID:To9pkn+/0

朝倉「たぶん、長門さんのせい」

朝倉「長門さんが、私の中の何かを変えた」

何かって何だよ
お前のそんな姿、俺は予想だにも・・・

朝倉「私の中に、前には存在しなかった意志が存在してるの」

キョン「意志?」

朝倉「あなたを守る」

おいおい
どこまで情けなければ気が済むんだよ、俺は
消えちまってまで守ろうとするのか、長門よ

キョン「長門・・・」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 16:32:22.57 ID:To9pkn+/0

喜緑「長門さんには、暴走する自分が見えてしまったのかもしれません」

喜緑「もしくは、ある時間以降の異時間同位体と連絡が取れなくなってしまったか」

キョン「いじかん・・・何ですか?」

喜緑「異時間同位体、別の時間の自分と同期する事です」

朝倉「それで自分の暴走を、予期出来てしまったんだと思う」

朝倉「そして、それがもたらす最悪の結果を恐れた」

最悪の結果
これ以上に最悪の結果があるってのか
ぜひお目に掛かりたいもんだ

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 16:40:40.68 ID:To9pkn+/0

朝倉「それは長門さんの言ってた、感情に関係するの」

朝倉の目が揺れてる
お前までそんな目をするのか
目を反らしたい
けど、反らしちゃいけない気がする

朝倉「感情の中で、あなたへの想いと同じくらい一番強いもの」

朝倉「正確に表すとすれば、嫉妬」

キョン「嫉妬?」

朝倉「嫉妬が暴走をより大きく、より不確定にしてしまうと考えた」

嫉妬
はは、何だよそれ
長門にはもっとも似合わない言葉じゃねえか
ちっとも似合わ
ちっとも

キョン「似合わない・・・?」

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 16:51:16.57 ID:To9pkn+/0

朝倉「どうしたの?」

俺は、俺は、長門に人間らしくして欲しいと思ってた
普通の人間と同じだと思ってやりたいって思ってた
なのに何だよ
何だよ
あいつを人間扱いしてないのは、俺じゃねえか

キョン「俺があいつをここまで苦しめたんじゃねえか」

キョン「俺が、俺が・・・」

朝倉「違うわ」

朝倉「長門さんは、苦しめられたなんて少しも思ってない」

朝倉がまっすぐの視線で俺を見ていた

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 16:58:23.72 ID:To9pkn+/0

キョン「何でお前がそんな事分かるんだ」

朝倉「分かるわ、当たり前じゃない」

朝倉がほほ笑んだ
こいつの笑顔を、本当の笑顔を初めて見た気がした

朝倉「聞いてなかったの?私は長門さんのバックアップなのよ」

朝倉は大事な何かを守るように
胸の前で手を重ねた
違う
やっぱりこいつも前と違ってるんだ

朝倉「長門さんの感情も、私の中に流れ込んでいる」

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/05(土) 17:11:28.71 ID:To9pkn+/0

これは感傷がそうさせるのか
長門を失った気持ちを麻痺させようとしてるのか
何か和やかな気持ちになった
もう
何も考えたくねえよ

気が緩んじまった
そんな場合じゃないのに

しかし

朝倉「それで」

一瞬で空気が変わった
どうしてか分からないが、そう感じる
朝倉の表情から笑顔が消えた

朝倉「あなたは、それでいいの?」

キョン「え?」

朝倉「あなたは、これを受け入れるの?」



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