コナン「おい灰原。このメイド服を着てみてくれ」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:03:24.59 ID:yVOvLqfd0

灰原「は?」ジトッ

コナン「いや、だからその、ちょっとだけ……な?」

灰原「何? あなたそんな趣味があったの?」

コナン「バ、バーローッ! こんな趣味ねぇよ!///」

灰原「あっそ。じゃあ私もう寝るから」

コナン「ああああ! 待てって灰原!」

灰原「何よ?」

コナン「やっぱり興味ある……ほんの少しだけ」

灰原「じゃあ蘭さんにでも着てもらえば?」

コナン「蘭って……サイズ的に無理だろ」

灰原「あら。それは残念だったわね」

コナン「……なんかお前、怒ってねーか?」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:05:19.88 ID:yVOvLqfd0

灰原「別に怒ってないわよ」

コナン「怒ってるじゃねーか……」

灰原「うっさいわねー。ほんとに怒るわよ?」ジトッ

コナン「わ、分かったよ。今日は諦めるから……」

灰原「……」

コナン「……」

灰原「おやすみなさい」

コナン「あ、ああ……おやすみ」

『ガチャン』

コナン「くそっ……」

博士「新一。メイド服なんて持ってどうしたんじゃ?」

コナン「博士……」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:06:33.64 ID:yVOvLqfd0

下の手紙は、1時間前、コナン宛に届いたものである。

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
工藤新一(江戸川コナン) 殿

私はお前の正体を知っている。
証拠はこの手紙の一行目で十分だろう。
この情報を公にされたくなければ、次の命令に従え。

◆灰原哀のメイド服の写真をうp◆

撮ったらこのメールアドレスに送れ→『#969#6261』
メイド服とデジカメは同梱のものを使用せよ。
期限は明日18:00まで。

末筆ながら、他言無用。
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


博士「フォフォフォ。メイド服を、ワシに着て欲しいのか?」

コナン「アハハ死ね」

博士「なんじゃと! 出て行け貴様!」

コナン「ああ出て行ってやるよ! このハゲ丸!」

『ガチャン!』

コナン(これでいいんだ……博士を巻き込むわけにはいかない)

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:08:26.72 ID:yVOvLqfd0

『#969#6261』―――それは≪黒の組織のボス≫のメールアドレス。
つまり、あの手紙の送り主は、≪黒の組織のボス≫ということになる。
まさか向こうから接触してくるだなんて……願ってもないチャンスだぜ。

◆【21:00】毛利探偵事務所◆

『ガチャ』

コナン「ただいまー、蘭姉ちゃんヾ(*´∀`*)ノ♪」

蘭「遅いじゃないコナン君! 何時だと思ってるの!?」

コナン「9時」

蘭「……え……あ……うん……」

PRRRRRR♪ PRRRRRR♪

コナン「あ、僕の携帯だ……」

蘭「もー。こんな遅くに誰からよ?」

コナン「光彦からみたい……」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:10:01.45 ID:yVOvLqfd0

コナン「もしもし」

光彦≪夜分にすみません≫

コナン「どうした光彦?」

光彦≪突然ですが、明日旅行することになりました≫

コナン「旅行? おい、そんなの聞いてねぇぞ!?」

光彦≪ですから突然です。先程決まりましたから≫

コナン「何でまたいきなり……」

光彦≪歩美ちゃんが誰かからホテルの5名様宿泊券を貰ったみたいなんですよ≫

コナン「そうなのか……いや、だとしても急すぎるだろ?」

光彦≪もうすぐ夏休みも終わりますし。それに平日限定の宿泊券ですから≫

コナン「平日限定って……まぁいい。それで誰が行くんだ?」

光彦≪少年探偵団全員と博士の6人です。博士は自腹ですね≫

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:12:00.22 ID:yVOvLqfd0

◆【翌日9:00】阿笠研究所◆

歩美「よしっ。これでみんな揃ったね」

元太「バッファバッファ。旅行♪旅行♪2泊3日の温泉旅行♪」

光彦「アハハ。元太君。笑い方がお下劣ですよー」

元太「何だと!? お前には関係ねぇだろ!」

光彦「関係ないとはなんですか!! 上下関係があるでしょう!!」

元太「へっっっっっっ! オレが上で、お前が下ってことか!」

光彦「汚い声ですね! そんなデブには土台がお似合いですよ!!」

元太「黙れプロアクティブ8年目ッ! お前こそ土から栄養でも吸ってろ!!」

光彦「元太君こそッ! その十円ハゲで早く光合成でもしたらどうですか!?」

博士「やめんか! バカども!」

歩美「ケンカはやめてよぉ……」グスン

コナン「……」

微妙な空気が漂う中、
オレ達の温泉旅行は無事始まった。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:13:32.86 ID:yVOvLqfd0

◆【9:30】博士のビートル◆

ここで座席の配置を紹介しよう。

〓〓〓〓〓〓◎〓
 光彦    博士  ←1列目
―――   ―――
歩美 コナン 灰原 ←2列目
――――――――
  元太  荷物   ←トランク
〓〓〓〓〓〓〓〓

トランクに元太が紛れ込んでいるのは偶然ではない。
ケンカした2人を最大限引き離すための博士の奇策だ。
公平なじゃんけんのもと、このような構成図となった。

『ガタン』

歩美「きゃっ」ムニュ

コナン「あ、歩美ちゃん、大丈夫?」

歩美「うん。ちょっと揺れただけだから……///」ドキドキ

灰原「両手に花ね」

コナン「何だよ。花にしては、不機嫌じゃねーか」

灰原「あら、そう? どこかの誰かさんに睡眠時間を削られたせいかしら?」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:15:28.77 ID:yVOvLqfd0

コナン「昨日は悪かったよ」

灰原「ほんと……何考えてんだか」

元太≪ハハハ! 何だコレぇ!?≫

歩美「ん? トランクから声がするよ?」

灰原「小嶋君が何かを見つけたんでしょうね」

元太≪おいコナン! お前、この服――女装でもするつもりか!?≫

光彦「え?」

コナン「げ、元太野郎ッ! 車から蹴り落とすぞゴルァ!!」

歩美「コ、コナン君落ち着いて! ここ高速道路! 高速道路だよッ!」アセアセ

元太≪蹴れるもんなら蹴ってみろ! キック力増強シューズ(笑)でも使って≫

博士「なんじゃと!? 今、ワシの発明品をバカにしよったな!!」グワッ

『きゅるるるるるるるるるるるッ!!』

歩美「は、博士ハンドル戻して! ここ対向車線! 対向車線だよッ!」アセアセ

『ブーーーーーン!』

光彦「ぶ、ぶ、ぶぶぶぶぶぶつかりますぅううううううううううう!!」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:18:26.17 ID:yVOvLqfd0

コナン「オレに任せろッ!! ハァッ!!!」


〓〓〓〓〓〓◎〓
 光彦    コナン ←1列目
―――   ―――
  歩美  灰原   ←2列目
――――――――
元太 博士 荷物  ←トランク
〓〓〓〓〓〓〓〓


『きゅるるるるるるるるるるるッ!!』

コナン「……ふぅ……間一髪だった……」

光彦「危なかったですね……でも運転なんて一体どこで……」

コナン「(略)」ドヤッ

光彦「え? ハワイで親父に……?」

コナン「(略)」アセアセ

光彦「なんだぁ、冗談ですかぁ」アハハ

歩美「もうコナン君ったら〜」アハハ


元太≪おい博士何やって……! や、やめろッ! アッー!≫

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:20:19.12 ID:yVOvLqfd0

◆【14:00】温泉ホテル≪0Ω≫◆

なんやかんやで着いた。

博士「予約していた阿笠じゃ」

受付「阿笠さんですね。宿泊券・割引券などはございますか?」

博士「あぁ……この宿泊券で後ろの子供達の料金を無料にしたまえ」デュン!

受付「では、大人一人分の2泊3日の料金、10万円をお支払いください」

博士「はっ! しまった! 子供一人分の料金はいくらじゃ!?」アセアセ

受付「同じく2泊3日で、2万円になりますが? それが何か?」

博士「やっぱり、ワシと子供4人の5人分を無料にしてくれ! 残りは払うから!」

受付「ダメです。男に二言を許すな、と父から何度も言い聞かされていますので」

博士「そんなバカな! 8万円も差があるんじゃぞ! ボッタクリじゃ!」

受付「お支払いはカードと現金、どちらに致しますか?」

博士「だからワシは……!」

受付「現金でよろしいですね?」

10万円払った。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:22:22.09 ID:yVOvLqfd0

◆【14:30】宿泊部屋◆

歩美「わぁ〜。大きいお部屋〜♪」

灰原「ファミリータイプね。ベッドも5台あるし」

博士「5台か……じゃあゴミはゴミ箱で寝るかのう」

光彦「博士……卑屈にならないでくださいよ」

元太「……風呂に入りたい……綺麗になりたい……」ボソボソ

光彦「そ、そうだ! 温泉に行きましょう! そしたら元気になりますよ!」

博士「現金じゃと!? 誰もそんなこと言っとらんわッ!!」グスン

コナン「元気だっての。いいから温泉に浸かって忘れよーぜ」

博士「くっ……」グスン

歩美「哀ちゃん。私達も温泉に行こっ!」

灰原「えぇ。そうしましょ」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:23:45.01 ID:yVOvLqfd0

◆【15:00】廊下◆

色々ハプニングがあったが、決して忘れているわけではない。
オレの正体が蘭を含め、その他大勢にバレるまで、あと3時間。
それまでに必ず、灰原にメイド服を着てもらい、写真を撮らなければ。

園子「おっ、いたいた。ガキンチョども」

コナン「え?」

蘭「えへへ。私達も来ちゃった」

歩美「蘭お姉さん達も来てくれたの!?」

灰原「……」

蘭「うん。夏休みにあまり思い出が作れなかったからね」

元太「……へへっ……悪い思い出よりはマシさ……」ボソッ

蘭「だから最後にみんなで楽しもうと思って」

園子「それに株式会社ホテル≪0Ω≫は、鈴木グループ傘下の企業だからね」

博士「なっ!? じゃあまさか、タダ、なのか?」

園子「あったりまえじゃん! 馬鹿正直に10万も払うわけないでしょーッ!」アハハ

光彦「博士、めんどくさいです。ドアに挟まったところで、誰も構ってくれませn――!?」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:25:19.74 ID:yVOvLqfd0

◆【15:10】脱衣所前◆

蘭「じゃあ、また後でね」

園子「そうだぞぉ。男どもはあっち」

元太「分かってるさ……物理世界では、+と+が反発することくらい……」ボソッ

園子「は?」

コナン「あれ? 光彦と博士は?」

歩美「あ、ほんとだ。さっきまで、ドアの方にいたのに……」

灰原「ドアに挟まった博士が、円谷君を部屋に連れ込んでたわ」

コナン「へぇ。二人とも温泉は後にするのか? まぁ部屋にいるならいいけど」

元太「ククク。分かっちゃいねぇ……この世の裏側が、どこまで醜いかをな……」ボソッ

コナン「HA?」

元太の言動が少しばかり気になるが、今はそれどころじゃない。
オレは灰原にメイド服を着せるため、プランAを実行しなければならないからだ。

プランA――別名【Better Than Nothing】――その詳細を次に述べる。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:27:02.54 ID:yVOvLqfd0

@脱衣所にて、灰原が服を脱ぎ、温泉浴場へと向かう。
Aすかさず脱衣所に侵入。灰原の浴衣をメイド服と取り替える。
B脱衣所に戻ってきた灰原には、メイド服以外、着るものがない。
C『裸よりマシ』――この心理を突く! 無よりマシ! Better Than Nothing!

コナン「しかしこのプランAには、一つだけ欠点がある……それは――」

≪――見つかれば、人生終了の鐘が鳴ること――≫

即刻ブタ箱入り。出所したところで、変態のレッテルは剥がれない。
歩くたびに目暮警部に後ろ指をさされ、猫背で日陰を彷徨う毎日が待っている。
そして組織の影に怯えながら、蘭を守ることもできずに、死んでいくのだ。

コナン「……絶対に……失敗なんてしてたまるかよ……」

オレは予定通り女装することによって、危険因子を軽減させる対策をとった。
加えて蝶ネクタイ型変声機を少女の声に設定し、いざというときに備える。

コナン「よし、いくぞ!」

光彦「……アハハ……なんて可愛いんだ……」

コナン(光彦!?)

光彦「……穢れてしまった僕を……慰めてはくれませんか?」

コナン(くそっ……こんなところで邪魔が入るとは……)

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:29:07.02 ID:yVOvLqfd0

コナン∞『わたし、急いでいるの……だから、ごめんなさい』タタタ

光彦「待ってください! どこに行くんです!?」

コナン∞『お風呂よ! だから離して……ここから先は、殿方禁制よ!』

光彦「君だって……殿方じゃないですかっ!」

コナン(なにっ!? 女装が甘かったか!?)

光彦「その下半身の膨らみに、偽りはないはずです!」

コナン「くそっ……あぁそうさ! オレは男だ! つか、オレだよオレッ!」

光彦「分かってました……君がコナン君であることくらい、最初から、ね」フフフ

コナン(バレてたのかよ! くそっ……元太が車で余計なことを言うから……!)

光彦「女装趣味を広められたくなければ、こっちの部屋に来てください」フフフ

コナン「おいまさか……やめろ!! 目を覚ますんだ光彦!!」

光彦「ハハハ。違いますよコナン君……目が“覚めた”んですよ……」フフフ

コナン「うわあああああああああああああああああああああああああ」


【任務】≪Better Than Nothing≫
【結果】≪処女喪失 - Black Out -≫

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:31:08.36 ID:yVOvLqfd0

◆【17:00】宿泊部屋◆

歩美「いい湯だったね〜哀ちゃん♪」

灰原「えぇ。流石高いだけあったわ」

『ガチャッ!』

平次「よう。ちっこい姉ちゃん達。くど……やのうてコナン君おるか?」

歩美「えぇ!? 何で平次お兄さんがココにいるの!?」

平次「ああ、たまには旅行にでも連れていけって和葉が煩いからのう」アハハ

和葉「はぁ? アンタが行く言うから付いてきてやったんやろ!?」

歩美「あ! 和葉お姉さんだ♪」

和葉「やっほー♪ 相変わらず2人ともお人形さんみたいに可愛いなァ」

博士「……ふぉふぉふぉ」

灰原「江戸川君なら、あっちよ」

平次「おお、さよか……なんやアイツ。隅っこで縮こまって、何しとるんや?」

コナン「ドワナクローズマイアイズ……アッドワナフォールアスリープコズァ……♪」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:31:54.62 ID:yVOvLqfd0

灰原「何か辛いことがあったみたいね」

平次「よっしゃ。オレが励ましたろ」

『タ、タ、タ』

平次「どないした工藤? アルマゲドンの主題歌なんか歌って」

コナン「世界が……終わったんだよ」

平次「中二病って奴か? まぁ、そんなことよりお前に話があんねん」

コナン「わざわざこんな所まで来て……電話じゃ話せないことなのか?」

平次「当たり前や! こんなチャンス、滅多にないで!」

コナン「どういうことだよ?」

平次「こないなメールがオレの携帯に届きよったからな!!」

コナン「ッ!!」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:33:24.28 ID:yVOvLqfd0

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
【送信元】#969#6261
【日時】(昨日)22:00
【件名】私が組織のボスだ
―――――――――――――――――――――――
服部平次 殿

私は君に興味を抱いた。
明日の18時までに、ホテル≪0Ω≫に来たまえ。
盛大に出迎えてさし上げよう。

そこには工藤新一(江戸川コナン)もいる。
2人でその宿泊部屋にて待っていろ。

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


平次「そう。このメールはお前をちっこくした組織の頭からや!」

コナン「メールアドレスも合ってる……確かに本物だ!」

平次「ホンマか!? 来た甲斐があったわ!」

コナン「お前。こんなメール、良く信じられたな」

平次「当たり前や! なんせ“0Ω”……“抵抗無し”やからな!」

コナン「ハハハ。ダジャレかよ」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:35:00.91 ID:yVOvLqfd0

コナン「だがこれで、オレは確信したよ……」

平次「何をや?」

組織のボスがこのホテルに来るのなら、
あの手紙の命令には、何が何でも服従しなければならない。
さもなくば、このホテル≪0Ω≫が血に染まる結末を迎えてしまう。

平次「おーい工藤?」

つか、ちょっと待て。そもそも、あの手紙、何かおかしくないか?
なんで組織の“ボス”が灰原のメイド服の写真なんかを欲しがるんだよ?

それだけじゃない。
“ボス”は、『工藤新一=江戸川コナン』の真実も知っている。
知っているのに何で、オレを生かしているんだ?

まさか“ボス”の正体は……オレに親しい人間なんじゃ……。

……って考えすぎだな。

さて、時間的猶予も残りわずか。
そろそろ『プランB』の実行に移らないと。

プランB――別名【Going】――名前から分かるように、少々強引な計画だ。

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:36:20.02 ID:yVOvLqfd0

◆【17:40】ゲームセンター◆

オレは宿泊部屋の服部に『すぐ戻る』と告げ、
ゲームセンターに向かった灰原達の後を追った。

コナン「灰原。ちょっとこっちに来てくれ!」

灰原「なに?」

歩美「なになにー? 歩美にも教えてー」

コナン「歩美ちゃん、光彦達が向こうで呼んでたぞ」

歩美「え?」

コナン「仮面ヤイバーの対戦ゲームやろーぜって」

歩美「ほんと!? じゃあ行ってくるね♪」

『タタタタタ』

灰原「……吉田さんに嘘までついて、何の用かしら?」

コナン「すまん。灰原!」

『グイッ』

灰原「きゃっ……!」

オレは灰原を、プリクラ機の中へと引きずり込んだ。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:37:49.49 ID:yVOvLqfd0

◆【17:43】プリクラ機◆

灰原「ちょ、ちょっと工藤君……どういうk……んんっ!」

コナン「しっ。静かに! この場所は声さえ出さなきゃバレないから」

このプリクラマシーンは足元までカーテンで隠れている、珍しいタイプだ。
試着室みたいなものを想像してもらえれば、問題ないだろう。

灰原「……何なのよ……もう……」

コナン「このメイド服を、お前に着て欲しいんだ」

灰原「……嫌って言ったら?」

コナン「強行手段に出る」

灰原「……分かったわよ……着ればいいんでしょ……この変態……」

コナン「ほんとにすまん……灰原」グスン

灰原「どうして泣くのよ……私のメイド服姿、見たいんじゃないの?」ジトッ

コナン「ああ、そうだったな……」

灰原「……」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:39:31.08 ID:yVOvLqfd0

灰原「着替えるから出て行ってくれない?」

コナン「それは無理だ。みんなに見つかったらややこしくなる」

灰原「ちょっと。それ本気で言ってるの?」

コナン「当たり前だろ。時間が無いんだ……早く着替えてくれ」

灰原「最低……さっさとあっち向いて」

コナン「ああ、悪い」クルッ

『もさもさ』
『もさもさ』

コナン(17:45か……なんとか間に合ったな……)ホッ

『もさもさ』

コナン(まったく、何でオレがこんなに苦労しなきゃいけねーんだ……)

灰原「……工藤君」

コナン「何だ? 着替え終わったかー?」

灰原「いいえ。今は何も身につけてないわ……一言で言うと、裸ね」

コナン(え?///)ドキッ

灰原「ねぇ工藤君……こっちに振り向いても……別にいいわよ?」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:40:39.58 ID:yVOvLqfd0

コナン「バ、バーローッ。誰が振り向くかよッ///」ドキドキ

灰原「……」

コナン「な、何だよ急に黙って……」

灰原「……本当に真面目ね、あなたって……」

コナン「当たり前だ。オレには蘭がいる。蘭を裏切るわけには……」

灰原「……また、毛利蘭……」

コナン「お前には関係無いだろ」

灰原「……関係ない、か……」

コナン「そうだ。関係ねぇよ」

灰原「……工藤君……あなたにとって、私って何?」

コナン「……何だよ。そんな質問、お前らしくないぞ」

灰原「いいから答えて」

コナン「オレにとって灰原哀は……大切な仲間であり、良き理解者だ……」

灰原「他には?」

コナン「それだけだ……それ以上じゃない……」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:42:46.34 ID:yVOvLqfd0

灰原「……」

コナン「灰原。お前、何が言いたいんだ」

灰原「あら……名探偵が……そんなことも分からないの?」ウル

コナン「悪い。本気で分からな……!?」ドキッ

彼女は背後から、オレに抱きついてきた。
背中に感じる、2つの微かに柔らかい感触。
コイツ、本当に裸だったのか……。

灰原「どうして……どうしてなのよッ!!」グスン

コナン「ッ///」ドキドキ

灰原「こんなに好きなのに! どうしてあなたは振り向いてくれないの!?」グスン

コナン「灰原……」ドキ

灰原「お願いだから……こっちに向いてよ……!」グスン

コナン「……悪い、今まで気がつかなかった……でもオレはやっぱり蘭のことが……」

灰原「その先は言わないで!!」グスン

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:44:16.67 ID:yVOvLqfd0

◆【17:50】ゲームセンター◆

歩美「あれ? 哀ちゃんと、コナン君は?」

光彦「いませんね。そろそろバイキングルームに行こうかと思ったのですが」

元太「どうせアイツら、プリクラでも撮ってんじゃねぇのか?」

歩美「でもあのプリクラ、故障してて電気も点いてないよ?」

和葉「先にバイキング行っちゃったかもしれへんなァ」

蘭「そうかもね。6時からだし、私達も行こっか」

園子「まったく。これだからガキンチョは世話がやけるのよ」


◆【同時刻】プリクラ機◆

コナン(なんてこった……時間がねぇぞ……)

灰原「……ひっく……ぐすん……」

コナン「灰原。そろそろメイド服を……」

灰原「それが今、あなたにとって一番重要なことなの?」グスン

コナン(くっ!)

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:45:29.63 ID:yVOvLqfd0

コナン「灰原頼むっ! なんでも言うことを聞くから、メイド服を着てくれ!」

灰原「……そんなに着て欲しいのね……何だか笑っちゃうわ……」グスン

コナン「ああ! すっげー着て欲しい! オレは灰原のメイド姿が見たいんだ!」

灰原「……じゃあ私と、付き合って」グスン

コナン「!?」

灰原「毛利蘭との関係を絶って、私と一緒に暮らすことを誓って!」グスン

コナン「!!!」

灰原「この2つを約束してくれたら……メイド服だって何だって着るわ」グスン

何だよこの展開は!
オレと灰原が付き合う!? 蘭との縁を切る!?
ふざけんな! 出来るわけないだろ!!

≪只今の時刻 − 17:53≫

オレは天秤に掛けた。
蘭の命と、オレの気持ち―――どちらが大切か。
そんなもの、比べる前から分かっていたけれど。

別に灰原のことが嫌いなわけではない。
これから好きになる可能性だってある。

だからオレには、一つの選択肢しか残っていなかった。

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:47:28.13 ID:yVOvLqfd0

コナン「ああ……誓うよ」

灰原「え……///」

コナン「オレは灰原と付き合い、彼女と同棲し、毛利蘭と絶交することを誓う!」

灰原「工藤君……ぐすん……ひっく……///」

コナン「だからメイド服を着てくれ……灰原……」

灰原「ありがと……工藤君……///」

『ギュッ』

彼女はオレを強く抱きしめると、メイド服への着替えを再開した。
着替えの5分間はオレにとって、人生で一番、虚ろな時間だった。

やがて、彼女が着替えを終え、

灰原「工藤君……こっち向いて……///」グスン

オレがゆっくりと振り向くと、

灰原「お帰りなさいませ。ご主人さまっ……///」グスン

彼女は涙を浮かべつつ、向日葵のような、満面の笑みを見せた。

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:48:41.56 ID:yVOvLqfd0

◆【17:58】ゲームセンター◆

彼女のメイド姿はバッチリとデジタルカメラに収められた。

照れを隠しきれていないところがまた可愛らしい。
……って、感想をちんたら展開している場合じゃなかった。急がなきゃ。

オレは鞄からスリープ状態のモバイルPCを取り出し、
起動後、自身のスマートフォンとアドホックモードで通信を確立した。

その後デジタルカメラとPCをUSB接続し、
念願の画像データをPCの共有ディレクトリにドラッグ&ドロップする。

3秒後、スマートフォンにてメーラーを起動。
添付ファイルに共有ディレクトリの画像を選び、宛先に『#969#6261』と入力。
そして若干震える指で、送信ボタンを確かにタップする。

送信画面が表示され、メイド画像を乗せた空メールは、“奴”のもとへと旅立った。


≪送信完了≫


送信完了時間………18:01。


あああああああああああああああああああ。

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:53:49.47 ID:yVOvLqfd0

◆【18:00】宿泊部屋◆

服部「まさかアンタが……ボスやったとはなァ。完全に油断してたわ」

???「ふぉふぉふぉ。縄に縛られる気分はどうかのう?」

服部「アイツが来るまで、オレは絶対死なんからな!」

???「アイツ? ああ、コナン君もとい新一君のことじゃな」

服部「ああそうや。アンタの作ったメカで、アンタを捕まえにくる。皮肉な話やで」

???「ふぉふぉふぉ。平次君。君は何か重大な勘違いをしている」

服部「なんやと?」

???「君を招待したのは、何も君を始末するためじゃない……」

服部「は?」

『バサッ!』

博士「君を犯すためじゃ! シャポシャポ、シャポシャポとな!」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:56:06.81 ID:yVOvLqfd0

◆【18:01】宿泊部屋◆

服部「!!!」

博士「まだ気づかないのか? このホテルは隠れホモ施設なんじゃ!」

服部「そんなアホなッ! ここは普通の温泉ホテルじゃ……」

≪ピッ≫

『ウィイイイイイイイイン』

ボスが隠しスイッチを押すと、部屋は変形し、
様々なホモセクシャルツールが姿を顕にした。

博士「≪0Ω≫→≪OOHM≫→≪HOMO≫ってわけじゃ!」ニヒヒ

ボスは意味不明な解説を繰り広げた後、
タケノコばりのおちんちんを取り出した。

服部「おい、やめッ! オレはそんなん嫌や……嫌やああああああ!!!」

PRRRRRR♪PRRRRRR♪

博士「ちっ……メールか!?」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:58:35.15 ID:yVOvLqfd0

博士「新一からじゃないか! あやつ何を考えておるんじゃ!?」
博士「組織のボスのメールアドレスに、直接メールを送ってくるなんて……」

博士「添付ファイルは、哀君のメイド姿の画像か……」

博士「ふん! 興味ないわ! 大体興味があったら日頃から襲ってるわい!」
博士「ワシがロリコンだと思ったか新一!? 大間違いじゃ!」

博士「≪残念でした≫……返信っと」

『ピッ』

博士「さて、邪魔者もいなくなったことじゃし、続きをしようか平次君……」

平次「おい工藤! 何やっとんじゃ! 早く助けに来んかい!!!」

博士「来たところで、ワシの餌食じゃがな」

平次「くそっ!」

博士「そのために、歩美君にココの宿泊券をプレゼントしたんじゃ」
博士「心優しい彼女なら、きっと少年探偵団を誘うに決まってるからのう」タタタ

平次「アホッ! こっちに来るな! オレにはそんな趣味……」

博士「10万円分……たっっっっっっぷり遊んでもらおうかのう!!!」

平次「いやあああああああああああああああああああああああ!!!!!」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/05(月) 23:59:37.35 ID:yVOvLqfd0

◆【18:02】ゲームセンター◆

コナン「くそ……間に合わなかった……」

PRRRRRR♪PRRRRRR♪

コナン「返信!?」

『ピッ』

≪残念でした≫

コナン「くそぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

灰原「工藤君」

コナン「なんてこった!!」

灰原「工藤君……聞いて」

コナン「……何だよ灰原……」


灰原「あの手紙出したの……実は私なの」


コナン「え?」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/06(火) 00:01:15.47 ID:KBvBHVN70

灰原「全ては工藤君から……この言葉が聞きたかったから……」

『ピッ―――録音を再生します』

≪オレは灰原と付き合い、彼女と同棲し、毛利蘭と絶交することを誓う!≫

コナン「!!!」

灰原「ごめんなさい……これしか方法がなかったのよ」

コナン「お前……なんてことを……!!」

灰原「さっきのプリクラの中でのやり取りは、全て録音させてもらったの……」
灰原「何も知らない人間が聞けば、これは脅迫には聞こえない……」
灰原「だからこのICレコーダーは、私達の愛の、とても強い証拠になるわ……」

コナン「最初、メイド服を嫌がっていたのは……」
コナン「18時ギリギリまで、焦らすためだったのか……」

クソッ!!!

灰原「全ては毛利蘭のせい。アイツが工藤君の愛を独占するからいけないのよ」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/06(火) 00:02:44.06 ID:KBvBHVN70

灰原「この録音ファイルは、今夜にでも彼女の携帯に送りつけてやるわ」

コナン「ふん。それはコナンの声だ。新一のセリフにはならねぇ!」
コナン「小学生であるオレのセリフなら、蘭だって大目に見てくれるさ」

灰原「バカね。どの道、普通の生活には戻れないわよ」

コナン「な、なんだと!?」

灰原「あなた、組織のボスにメールを送ったのよ?」

コナン「!!」

灰原「当然、組織はアナタのことを徹底的に調べるでしょうね」
灰原「なにせそのメールには、幼い頃のシェリーの写真が添付されているのだから」
灰原「迷惑メールなんて、そんな都合の良い解釈をしてくれるわけないわ」

コナン「バ、バーロー! だったらオメェも危ねぇだろうが!」

灰原「分かってるわ。だから一緒に暮らすのよ。どこか遠くでね」

コナン「てめぇ……!!」

灰原「どうする工藤君? この町にあなたがいるだけで……」
灰原「毛利蘭を含め、あなたの周りの人間、全員に危害が及ぶけど……」

コナン「くっそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/06(火) 00:04:47.15 ID:KBvBHVN70

灰原「出発の準備はできてるわ。資金だって十分にある……」
灰原「私に付いてきた方が何倍も賢いと思うわよ?」

コナン「ふん。断ることなんて、できないんだろ?」

灰原「そうね。この録音がある限り、あなたはこの音声に従うしかないわ」

コナン「くっ……」

灰原「北に行きましょ。別荘も既に手配してあるわ」

コナン「……灰原……オレはお前が嫌いだ……」

灰原「……」

コナン「何だよ? 傷つく神経なんて無いだろ?」

灰原「……これ」シュッ

コナン「?」

灰原「APTX4869の解毒剤よ。着替えはあるから、移動中に飲めばいいわ」

コナン「解毒剤? 毒の間違いだろ?」

灰原「好きな人を殺すわけないじゃない……せめてもの罪滅ぼしよ……」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/06(火) 00:06:05.92 ID:KBvBHVN70

◆【24:00】夜行列車◆

オレと灰原は、ただひたすら、北へ、北へと向かっている。
生きる気力は既に無くなり、どこへ向かってるかなんて全く興味がない。

もう死んでもいい、そう思った。

失敗作であって欲しいと願いながら、
オレはAPTX4869の解毒剤を口に入れ、水で胃袋へと流し込む。

間もなく意識が朦朧となり、

やがて視界は真っ暗になる。


灰原「ふふっ。飲んだみたいね。これで、全てが計画通りだわ……」


メイドは深く笑い、解毒剤と偽った神秘役の効果を期待していた。

その効果は、彼女だけが知っている。


【任務】≪Going≫
【結果】≪記憶喪失 - Black Out -≫

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/06(火) 00:07:38.11 ID:KBvBHVN70

目を覚ますと、見知らぬ天井があった。
窓の隙間から涼しい海風が入ってくる。
オレは軽く伸びをして、深呼吸をした。
新鮮な酸素と、潮の匂いが心地良い。

カレンダーを見ると、8月××日。
8月にしては涼しいな……むしろ寒いくらいだ。

ソファーの横には朝刊が置いてあった。
一面の見出しは『高級温泉ホテル、ホモの惨劇』、とある。

何のことかさっぱりだし、興味もないのでスルー。

「あら、目が覚めた?」

キッチンから少女の大人びた声がする。
すると、メイド服を来た、とても可愛らしい女の子がやってきた。

毎日毎日、彼女はオレに尽くしてくれる。
可愛すぎる。もうとっくに好きになってしまった。

分からないことはたくさんあるけど、これだけは言えるな。

このメイドと一緒にいるときが、オレの一番の幸せだ。


〜完〜

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/09/06(火) 00:08:52.48 ID:KBvBHVN70

カオスすぎてごめん
見てくれた人ありがとう



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