キョン「なんで俺が巻き込まれるんだ」


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トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:朝倉「キョン君、何してるの?」キョン「床掃除」

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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 10:55:22.48 ID:H59pyfQL0

誰がこんなトラブルを予想し得たか……。





キョン「またですかい……」

古泉「わくわくするでしょう?」

キョン「……」

キョン「面白味に欠ける奴だなおまえは」

古泉「ご容赦」ニコッ






今度ばかりはちょいと面倒だ。
あの”神”様のいたずらだろうと願いたい。
他にトラブルの元凶を持つのはごめんだ。

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 10:57:30.05 ID:H59pyfQL0



第一章 非日常的日常









「キョンく〜ん! 起きて〜」ドタドタ


朝っぱらから騒がしいこのライフスタイル。
これが俺の日常――――――――

キョン「はいはい」


しかしこうもトラブルに巻き込まれると慣れというかなんというか。
苦痛が軽減された気がしてならない。

この症状は俗に言う”M”の前兆か?

せめて間をとって”N”に……。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 10:59:20.32 ID:H59pyfQL0

ガララッ

キョン「……」

谷口「おー今日はお早いご登校か?」

キョン「まあな、追い出されたと訂正しておく」

キョン「……」

ハルヒ「……」

キョン「……」

窓の外を眺める顔が悲愴感に溢れている少女。
嫌な予感しかしないな、毎朝のことだが。

キョン「よぉ」

ハルヒ「キョン? なによ」

キョン「用もなしに話しかけちゃいけなかったか?」

ハルヒ「……」

キョン「……」

ハルヒ「別に……」

キョン「……」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 11:01:56.62 ID:H59pyfQL0

早く気づくべきだった、という事になるのは言うまでもないが、
この時点で気づくほうが凄い。

なんせ最近のハルヒはいつもこんなのだからな。

キョン「……」

ハルヒ「ねぇ」

キョン「ん?」

ハルヒ「早く大人になりたくない?」

キョン「……」

なにを言い出すハルヒ。
頼むから変な願望を抱かないでくれよ。

キョン「別になりたいわけではない」

ハルヒ「なによそれ」

キョン「こっちの台詞だろ、ハルヒこそどうしたいきなり」

ハルヒ「……」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 11:03:54.94 ID:H59pyfQL0

ハルヒ「だって大人になったら束縛されないじゃない」

キョン「……」

おまえは束縛されてない方だと思うが……。

キョン「それを具体的に言うと?」

ハルヒ「そうね……」

ハルヒ「いろんな免許とか、行動規制とか……」

キョン「……」

ハルヒ「まあわかりやすく例えると結婚とかね」

キョン「結婚?」

ハルヒ「わかりやすい例を挙げたまでよ」

キョン「……」

ハルヒにもそういう乙女チックなところがあるのか。
意外……と言われれば普通な気もする。
こいつも一応、女の子だからな。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 11:07:39.17 ID:H59pyfQL0

――――――――
心配性になりつつある俺は古泉を訪ねた。

キョン「古泉、ちょっといいか?」

古泉「ん? これはこれは」

古泉「昼休みを犠牲にしてまで僕のところへ?」

キョン「用があっての事だ」

古泉「なんでしょう」

キョン「ハルヒの閉鎖空間についてなんだが」

古泉「―――――――」

古泉「丁度よかった、僕も話そうとしていたところなんです」

キョン「なっ」

キョン「やっぱりやばいのか? 最近のハルヒをみていると不満げなんだが」

古泉「逆なんです」

キョン「逆? ってことは…」

古泉「はい、閉鎖空間の危険性はほぼなくなったと言っても過言ではないほどに」

キョン「は、はぁ?」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 11:10:40.65 ID:H59pyfQL0

キョン「あり得ないだろ、それは」

古泉「ええ」

キョン「ハルヒの様子を見るにそれはおかしい」

古泉「ですが僕は真実を告げたまでですよ?」

キョン「……」

古泉「これは喜ぶべきなのではないでしょうか」

古泉「少なくとも世界が終わる危険性は回避できたと考えていいと思います」

キョン「……ん〜」

古泉「それに越したことはないですよ」

キョン「まあな」

古泉「ええ」ニコッ

――――――――

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 11:12:54.80 ID:H59pyfQL0



だがなにか府に落ちん。
ハルヒを見る限りそれはないのではなかろうか。

考えられないな。

しかし超能力者様が言うのなら本当だろう。

キョン「あ……10分遅刻」

キョン「また文句言われるのか……」


それが俺の役目でもあるわけだ。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 11:15:52.66 ID:H59pyfQL0



――――――――

キョン「……」ガラッ

キョン「ん?」

ハルヒ「あ、キョン。 遅かったわね」

キョン「いやいや…… 部室に俺とお前だけって……」

ほかの部員がいない。
といってもほんの数名だが居るはずの長門までいない。
あいつは観察をする義務があるはずだが……。

ハルヒ「大遅刻よ、まったく……」

キョン「……」

いかん、神経質になりすぎだな。
嫌な予感しかしない。

ハルヒ「まあいいわ、キョン。 サイトの編集してて」

キョン「お、おい… どこ行くん…」

ハルヒ「トイレだけど? 詮索しないでくれる?」

キョン「……あ、すまん」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 11:21:37.77 ID:H59pyfQL0

キョン「……」

キョン「なんかなぁ……」


落ち着かない。
なんでだろうか……。



キョン「……」

キョン「長いな……」

キョン「う○こか」

キョン「……」

ガラッ

キョン「おそかっ…… ん?長門?」

長門「電話をかける、静かにして」

キョン「………」

長門が電話をかけるだと?
なんとも奇矯な光景を目の当たりにできるじゃないか。 

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 11:24:29.38 ID:H59pyfQL0

長門「ΘΩ△βγΩΘ……」

キョン「……」




あのー……




長門「……」チンッ

キョン「長門」

長門「どなたに電話を?」

長門「禁止事項」

キョン「……」

無闇に首を突っ込むのは自滅へつながりかねん。
やめておこう、長門には長門の日常が……

ガラッ

ハルヒ「あ、有希」

キョン「おっ、戻ってきたか」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 11:26:10.30 ID:H59pyfQL0

キョン「やたら長々と排泄を堪能してたな」

ハルヒ「え?」

ハルヒ「なに言ってんの、私は古泉君と話してたから遅くなっただけよ」

キョン「古泉?」

キョン「じゃあなんであいつはここに来ないんだ?」

ハルヒ「さぁ、知らない」スタスタ

キョン「……」

言い訳とかしちゃってハルヒらしくないな。
素直にこう「う○こよ」って言えば……




プッ







え?

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 11:28:15.20 ID:H59pyfQL0



なにかがふっ切れた……?





えーと……





なんだこれ…… 視界がいきなり真っ暗になったんだが……



というか体の感覚がない。
体があるという認識がない……。




一寸先は闇ってよく言うけどこれはあんまりじゃないか?



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 11:30:21.17 ID:H59pyfQL0


……!




な、なんだ……ッ! 重たい…!





こ、これは……ッ!!



キョン「うおっ」ドテン

キョン「いてて……」

長門「起きて」

キョン「ん? 長門……? ここは……」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 11:32:00.31 ID:H59pyfQL0

長門「ここは5年後としておく」

キョン「は?」

長門「私達は涼宮ハルヒによって五年後へと移された」

キョン「……」



突然のことにも俺は驚かなくなったもんだ。



長門「そして今がこの世界の始まり」

キョン「……え? わかりやすく説」

長門「涼宮ハルヒが宇宙全域の複写をし、作りあげたもう一つの世界」

長門「よって今、私達がいるこの世界は数秒前に誕生した」

キョン「な……」

キョン「宇宙を……複写?」

――――――――

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 11:35:03.40 ID:H59pyfQL0



――――――――
古泉「どうやら行けたようです」

朝比奈「そうですか」

古泉「頑張ってもらいましょう、彼らに」

朝比奈「私も力になれればなるんですが……」

古泉「恐らく彼女に作られた僕たちがなんとかしますよ」

朝比奈「だといいんだけど……」


頑張ってくださいね……。
涼宮さんの完全移行まであと18時間しかありません。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 11:36:51.51 ID:H59pyfQL0


――――――――
キョン「コピー?」

長門「そう、故に”涼宮ハルヒの世界”」

長門「涼宮ハルヒがすべてを創りあげた」

キョン「……」

キョン「実感がわかん……」

長門「SOS団の部室は異相空間と化していた」

長門「涼宮ハルヒは無意識のうちに、それも一瞬で世界を創り…」

長門「異相空間を用いて移転した」

キョン「てことは…… その場にいた俺達もか」

長門「そう」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 11:38:42.41 ID:H59pyfQL0

キョン「じゃあ俺は被害者か」

長門「悪く思わないでほしい」

長門「貴方の力が必要」

キョン「……」




はやく大人になりたい、か。
よかったな、なれて。

まさに願望通りなわけだ。


長門「この世界での注意点を一つ」

キョン「ん?」

長門「涼宮ハルヒは無意識のうちにこの世界を創った」

長門「だから涼宮ハルヒは感知していない」

長門「貴方と私がこの世界に巻き込まれたことも」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 11:41:04.13 ID:H59pyfQL0

キョン「だからなんだ」

長門「貴方の複製及び私の複製が存在する」
キョン「……だろうな」

長門「ドッペルゲンガーみたいなもの」

長門「一つの世界にまったく同じ生き物が共存してはならない」

キョン「……」

キョン「なるほど、把握したよ」

キョン「お互いが認識し合うことで俺は永久にいなくなるわけだ」

長門「そう、ここは涼宮ハルヒの世界である為、複製の方を本物と認識する」

長門「偽物である貴方はいなくなる」

キョン「偽物とはまたひどい言われようだな」

長門「私は人間ではない、だから大丈夫」

キョン「なるほど」

キョン「それはわかったよ」

キョン「どうせお前達は未来へ行って確かめたんだろ?」

キョン「じゃなければこんな事態予測できないもんな」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 11:44:37.29 ID:H59pyfQL0

キョン「朝比奈さんに頼んで下調べをしたんだろ?」

長門「もちろん」

長門「鈴宮ハルヒの閉鎖空間に異変が見られたと感知し、すぐさま調べた」

長門「未来でわかったこと……」

長門「現時刻から18時間後が存在していなかった」

キョン「……」

長門「涼宮ハルヒが世界を創り、完全に移動すると以前の世界は用済み」

長門「よって消し去られる」

キョン「ほぉ」

キョン「でも解決策はあるんだろ?」

長門「ない」

キョン「……」





キョン「……なんだと?」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 11:47:29.80 ID:H59pyfQL0

長門「この世界は未来ではない」

長門「今、誕生した世界の予測など不可能」

キョン「…なに…?」

長門「私達は貴方に賭けている」

長門「貴方ならなんとかしてくれるだろうと」

キョン「……」

キョン「人に頼りすぎだろ…… ふざけんな、と言いたい」

長門「私も協力はする」サッ

キョン「なんだ? その紙」

キョン「どれどれ……」

キョン「……」

キョン「おいおい長門、日本語で頼む。 なんだこの文字は」

長門「それは最終手段」

長門「だからあまり使わないでほしい」

キョン「使うもなにもこれじゃ使い方がわからん」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 11:50:02.75 ID:H59pyfQL0



また面倒なことに巻き込まれた。
今回も俺に関わるのか。




勝手すぎる……。



長門「まず涼宮ハルヒと接しなければならい」

長門「そして貴方は……」

キョン「昔はよかった、と思わせりゃいいんだろ?」

キョン「そしたら元の世界に戻れるわけだ」

長門「と、予測される」

キョン「簡単なことじゃなさそうだがわりといけるかもな」


ハルヒの性格だ。
なんとかなるだろう。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 11:55:22.24 ID:H59pyfQL0



――――――――
ハルヒ「ちょっと!」

キョン大「んだよ……」

ハルヒ「布団は自分で干しなさいよ!」

キョン大「はいはい」

キョン大「ったく……」

ハルヒ「しかたなくご飯はつくってあげてんだからそれくらい」

キョン大「はいはい」

ハルヒ「返事は一回!」

キョン大「はい……」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 12:03:16.10 ID:H59pyfQL0

キョン「といっても変わってねーな」

長門「複写だからあまり変化はみられない」

キョン「本当に未来か?」


やけに似すぎている。
これが未来? これじゃまるで……

谷口「ん? なにやってんだ二人で」

キョン「おっ、谷口……」

長門「…やはり」

キョン「え?」

長門「……」

谷口「なにやってんだ? デートか?」

キョン「あっ……!」

キョン「……」

谷口「は? なんだって?」

キョン「お前……なんでまだ高校生のままなんだよ……」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 12:07:53.87 ID:H59pyfQL0



長門「……」

やはり予測しておくべきだった。

涼宮ハルヒは無意識ですべてを複写した。
未来に応じた身近な人間の変換も成し得た。

しかしすべてを変換できるか――――――――


それは否。


いくら涼宮ハルヒとは言えそれはできない。
たった今生まれた命だって存在する。

すべてを把握できるはずはない。


よってあまり関わりのない人間はそのまま……。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 12:14:54.28 ID:H59pyfQL0

キョン「……はぁ… はぁ…」

キョン「な、長門… なぜ走る?」

長門「私達の予測には大きな誤りがあった」

キョン「…なに?」

長門「この世界には矛盾が多すぎた」

長門「このままではこの世界も崩壊する」

キョン「崩壊?」



そう。
辻褄が合わない世界はルールに反する。

その事実に次元が耐えきれない。

亀裂が入る。

長門「だから人気ないところへ行っている」

キョン「ま、まだ意味が把握できていないんだが……」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 12:22:18.98 ID:H59pyfQL0



――――――――
キョン「なるほどな」

長門「だから早急な行動を」

キョン「あとどれくらいだ?」

長門「残された時間は不明」

キョン「……」

キョン「どうする……」

長門「涼宮ハルヒの位置は把握してる」

キョン「……」

キョン「行くか?」

長門「……」コクッ

キョン「……」



なんて理不尽な神様だ。
世界創るんならもっとましなの創れ……。

41 名前:>>38 率直に言って、意味がわからない[] 投稿日:2010/03/26(金) 12:28:54.69 ID:H59pyfQL0



――――――――
キョン「な、なんだこれは……」





SOS事務所だと……?
団の次は事務所か……。




長門「ここ」

キョン「……」

キョン「呼びだしてみるか」

ピンポーン

キョン「……」

「はい」

キョン「あっ、涼宮さんの知り合いなんですけど」

「ハルヒの知り合い?」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 12:34:42.77 ID:H59pyfQL0

「ちょっと待ってください、今でます」
キョン「あ、は〜い」

長門「……」

長門「……」グッ

キョン「うぉ… な、なんだよっ!」

長門「来て」タタタッ

ガチャ

キョン大「はい」

キョン大「ん? 誰もいない?」

キョン「なんだよ……」

長門「玄関を見て」

キョン「え?」

キョン「あれは……」

キョン大「ガキのイタズラか……」バタン

キョン「俺……?」

長門「危なかった」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 12:40:44.50 ID:H59pyfQL0

キョン「な、なんで俺が……」

長門「……」

長門「わからない……」

長門「この世界はさっき誕生したばかり」

長門「すべての設定は涼宮ハルヒが行える」

キョン「てことは……」

長門「涼宮ハルヒが引き続きあなたを招待した、となる」

キョン「……」

キョン「……」

長門「よって私もいると思われる」

キョン「じゃあ古泉も… 朝比奈さんもか」

長門「……そうなる」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 12:45:28.53 ID:H59pyfQL0



――――――――
このままじゃいけない。
バレてしまうだろう。

おっと、近くに百円均一が……。







キョン「変装セットを買ってきた」

長門「……」

キョン「ピンクのロングへヤーしかおいてなかったんだ」

長門「……」

キョン「これはお前の力が必要になるわけだが」

長門「……」

キョン「頼む」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 12:49:25.89 ID:H59pyfQL0

長門「なぜ私?」

キョン「え?」

長門「私じゃなければいけない理由を」

キョン「……」

キョン「それは… 性別に応じて容姿にも固定観念というものがあってだな」

長門「正直、あまり気が向かない」

キョン「……」






畜生…… やっぱり俺かよ

48 名前:>>46 GJ[] 投稿日:2010/03/26(金) 12:55:20.91 ID:H59pyfQL0



――――――――
キョン大「はい」ガチャ

キョン「あ〜どうも〜」

キョン大「……」

キョン「依頼があって来した〜 はは……」

キョン大「……」

キョン「すいませんね〜ほんと」


くあああ
俺が俺に軽蔑視を……ッ!
殴りてぇ…! 五年後絶対殴ってやる!

キョン大「ま、まあ入って……」

キョン「ありがとうございます〜」


結果オーライ… なのか?
まあよしとするか。

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 13:02:43.01 ID:H59pyfQL0


――――――――
キョン大「そこ座ってて」

キョン「あ、はい」

キョン「……」

キョン大「はい」コトッ

キョン「あ、すいません……」

キョン大「で、用件は?」

キョン「え?」

キョン大「用件があって来たんだろう? 君は」

キョン「あ、そうですけど」


ハルヒを出せ、ハルヒを。
あんたにゃ用ねぇよ。

ま、適当に言っておくか。

キョン「僕、スプーン曲げができるんです」

キョン大「……スプーン曲げ?」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 13:09:31.98 ID:H59pyfQL0

キョン大「……」

キョン大「ちょっと待ってて」

キョン「え?」

キョン大「その分野の人連れてくるから」

バタン

キョン「……」

その分野の人?
ちゃんと職能別分担が成されているのか。
結構本格的っちゃ本格的だな

ガチャ

古泉「お待たせしました」

キョン「……」


まぁ予想通りなわけだ。
こいつでもいいか。

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 13:22:56.39 ID:H59pyfQL0

古泉「承ります」

古泉「この事務所の取締役を受け持っています、古泉と申します」

キョン「あ、どうも」


さっきの俺は受付か。
雑用となんら変わらないご身分だな。


キョン「さっきの人は……」

古泉「先ほどの方ですか?」

古泉「あの方は副業として受付業務をされています」

キョン「え? じゃあ本職は別にあると?」

古泉「はい、ここの事務所の方はすべてその形です」

キョン「へぇ〜」

古泉「一人を除いて」

キョン「……」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 13:34:39.72 ID:H59pyfQL0

――――――――
キョン「長門、そこで待ってたのか」

長門「報告を」

キョン「ああ」

キョン「なんだかよーわからんが俺とハルヒは結婚していた」

長門「……」

キョン「で、ハルヒは専業主婦だとよ」

長門「そう」

キョン「質問する」
キョン「連れ戻せると思うか?」

キョン「ハルヒはこの世界を望んだ」

キョン「望み通りの世界から元の世界へ連れ戻せるか?」

長門「極めて難しい」
キョン「だろ?」

長門「あきらめる?」

キョン「しかないだろ、常識的に考えて」

長門「……」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 13:43:54.94 ID:H59pyfQL0

長門「……」

キョン「もう俺は疲れた」

長門「……」

キョン「意味がわからん……」



ハルヒはこの世界を望んだ?
俺と結婚することを?


キョン「はぁ……」

長門「……」

グラッ!

キョン「うお!」

長門「……!」

長門「地形構成修復作業にとりかかる」

キョン「……ッ!」

なんだこれ、きもちわりぃ
目の前が…ぐるぐる回って…!

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 13:49:00.74 ID:H59pyfQL0






――――――――
キョン「はぁ…… はぁ……」

長門「……」

キョン「おさまったか?」

長門「……」

長門「おさまったのではない」

長門「むしろ崩壊した」

キョン「は?」

長門「次元が耐えられなくなり、新世界は崩壊した」

キョン「なに?」

長門「ここは私が創った”閉鎖空間”たるもの」

長門「よって一時的に驚異を免れた」

キョン「ち、ちょっとまて」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 13:55:34.34 ID:H59pyfQL0

キョン「崩壊ってお前……」

長門「……」

長門「あの紙を」

キョン「紙? ああ……」

長門「これは私が緊急の際に用意していたもの」

長門「この携帯電話でそのコードを読みとって」

キョン「は? これQRコードなのか?」

長門「とはまた別、時空へのアクセスに用いる」

キョン「できたぞ」

プルルルルルル

キョン「うお… なんだ?」

長門「電話にでて」

キョン「……」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 13:59:01.58 ID:H59pyfQL0

ピッ

キョン「もしもし」

「ΘΩ△βγΩΘ……」

キョン「あ? なんだこれ」

長門「さようなら」

キョン「え?」




ブッン

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 14:03:00.79 ID:H59pyfQL0

またあの感じだ 重い


どんどん重くなっていく…



キョン「……はっ!」ガバッ

キョン「……」

キョン「夢?」

ここは部室?
寝ていたのか?

俺は夢を見ていたのか……?


キョン「なんだよそれ……」

キョン「あれハルヒは?」

ガラッ

キョン「ん? 長門」

長門「電話をかける、静かにして」

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 14:07:26.76 ID:H59pyfQL0

キョン「ああ」

長門「ΘΩ△βγΩΘ……」

キョン「……」




ん? この光景は……。




長門「……」チン

長門「涼宮ハルヒは消滅した」

キョン「……」

長門「新世界は崩壊」

長門「前の私から連絡が入った」

キョン「ハルヒが… なんて?」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 14:13:16.10 ID:H59pyfQL0

長門「この私は実質7人目」

キョン「そんなことは聞いていない! ハルヒが消滅って…」

長門「涼宮ハルヒはこの世界から離れ、新世界へ移動した」

長門「この世界には代わりがいない、よって消滅」

キョン「……」

長門「私たちの本来の目的はこの世界の維持ではない」

長門「涼宮ハルヒの救出であった」

キョン「……」

長門「ただ今失敗したとの報告を受けた」

キョン「……」








消滅――――――――?

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 17:14:51.27 ID:H59pyfQL0



話をまとめるとこうだ。

ハルヒははやく大人になりたかった、或いは結婚を望んでいたと思われる。
結婚っつても恐らくなにか企んでいたのだろう。
SOS事務所のような開業目的であったかは知らん。

しかしそう願っている傍ら、この願望はすぐには実現できないと意識していた。
閉鎖空間が縮小したのはこれが原因である。

自虐的な思いこみをし、ストレスを逆に発散していたのだろう。
自分の精神年齢に嫌気がさしてきたとも考えられる。


その結果、ハルヒは神と同等たる力を駆使し
新世界を創りあげた。

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 17:28:31.51 ID:H59pyfQL0

それもすべてハルヒのオリジナル。
舞台はただ複写し、身の回りの環境だけを設定した。
風景が一緒だったのも谷口が高校生のままだったのもそれが一因である。


するとどうだろう。
新世界に矛盾が生じてしまう。
世界各地で辻褄の合わない出来事が多発してしまう。

その結果、ハルヒの世界は耐えきれなくなり次元に亀裂が入った。

長門がすぐさま修復を試みるも異次元の侵食は半端ないスピードで侵攻し
駄目だと判断した長門は別の次元に閉鎖空間を創った。

俺と長門は閉鎖空間へ移り助かったが
新世界は瞬く間に消滅。

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 17:40:32.68 ID:H59pyfQL0



助かったのは良しとして後は帰るだけだ。
かくして俺は事前に渡された紙を携帯で読みとった。
読み取ることにより時空へのアクセスを可能にしたのだ。

こちらの時空のゲートが開き保留となっていた情報が入り込む。
長門はこの時の為に最終手段を用意していた。

そう、新世界に移る前に長門がかけたあの電話。
俺はどなたか訪ねたが禁止事項といわれた。


まさかあの電話の相手が俺だったとは、予想だにしない事実だろう。

あの電話はタイムマシンみたいな働きを持っていた。
あちらの世界から電話がかかり、あちらの世界の声を聞いた俺の存在は
あちらの世界のものであるというなんとも屁理屈じみたものだ。

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 17:46:06.31 ID:H59pyfQL0



それで俺は帰ることができた。
長門は別れ際に「さようなら」と告げたが、把握する余裕もなかった。

長門は一人、閉鎖空間に閉じこめられたのだろう。

長門は実質7人目だと言った。
この発言の意味は未だわからない。
まぁ、俺が六人目を見捨てたのにかわりはないが。

――――――――

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 18:33:38.29 ID:H59pyfQL0



――――――――
ガチャ

キョン「……」

妹「キョン君おかえり〜っ」

キョン「……」

妹「キョン君?」

キョン「ああ… ただいま……」スタスタ

妹「……?」

妹(元気ないねキョン君〜)

キョン「……」

キョン「畜生……」

バタン

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 18:52:05.26 ID:H59pyfQL0

ハルヒが消滅した。
正直、迷惑だったがいざ消えるとなると……
俺の人生ってこんな物騒なもんなのか?



誰がこんなに荒らした……


キョン「はぁ……」









と、今の俺はすべての責任をハルヒに押しつけていた。
ハルヒが消えたのもハルヒのせいだと。


俺は気がついていなかった。




事の元凶が俺であることに気がついていなかった。

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 18:54:30.40 ID:H59pyfQL0






はやく来なさいよ!






ん…… ハルヒ?





あんたがこんな状況にしたのよ! 助けなさい!





なんでだよ、お前が悪いんだろ?




81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 18:57:27.96 ID:H59pyfQL0



イヤな夢をみた。


もう居ないはずのハルヒが俺に助けを求める。


キョン「ちっ…… 気分わりー」

プルルルルル

キョン「ん」

キョン「古泉?」


――――――――

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 19:04:49.45 ID:H59pyfQL0



――――――――
古泉「夜分遅くにすいません」

キョン「なんだ」


どうせハルヒのことだろう、わかっている。


古泉「涼宮さんについて……」

キョン「あー 俺のせいだよ」

キョン「全部俺の責任だ」

古泉「そう思っているなら丁度よかった」

キョン「あ?」

古泉「では、涼宮さんを救出しましょう」

キョン「……」





どうしてこうなる

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 19:12:33.63 ID:H59pyfQL0

キョン「どういう事だよ」

キョン「完全に消滅したんだろ?」

古泉「はい、今の彼女には形が存在しません……が」

古泉「情報としての形であれば存在します」

キョン「は?」

古泉「その前にあなたの決意を聞かせてください」

キョン「……」

古泉「半端な気持ちでやられるとこっちが迷惑なんです」

古泉「できるできないではなくするかしないかなんです」

キョン「ちょっと待てよ」

キョン「俺が責められている理由がわからん」

キョン「お前等は俺にお願いする立場だろう?」

古泉「いいえ」

キョン「なに?」

古泉「すべての責任はあなたにあります」

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 19:19:02.89 ID:H59pyfQL0

キョン「なに?」

古泉「きつい言い方をしますがあなたの存在自体が原因なんです」

キョン「存在……自体……?」

キョン「どういう……」

古泉「貴方は自分が何者なのか考えたことがあるでしょう」

キョン「……」



俺は何者なんだ?
SOS団に召された理由っつーのはなんなんだ?

この一般大衆である俺が


古泉「恐らく貴方は常人ではありません」

古泉「なんらかの能力をお持ちのようですね」

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 19:27:16.08 ID:H59pyfQL0

キョン「なっ!」

古泉「僕達には呼称がついていますが貴方にはそれに該当する呼び名がない」

古泉「だから貴方は困っている」

古泉「涼宮さんは心の奥でなにかを強く望んでいます」

古泉「それが貴方なのですよ」ニコッ

古泉「ですから貴方の人生はここまで、そしてこれから―――――」


”涼宮さんのシナリオ通りに動くわけです”

古泉「貴方の人生は生まれた時から決まっているのです」

キョン「……」

キョン「……は?」

古泉「ですから貴方が涼宮さんを助けるのは義務に価します」

古泉「聞くだけ無駄ですが、今一度問います」

古泉「貴方は涼宮さんを助けに行きますか?」

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 19:30:42.91 ID:H59pyfQL0





意味がわからん






俺はハルヒのなんだって?



遊び駒か?




ふざけんな





第二章 ハルヒによるハルヒの為のライフスタイル

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 20:45:36.56 ID:H59pyfQL0

それ相当のリスクは覚悟してください。
必ずしも帰れるわけではありませんので

彼女がこの結末を望んだのであれば諦めるほかありませんが……。







キョン「……」





ハルヒが俺の人生を操作している?
そしてこれからもだと?

キョン「……」



人生の価値感が一気に崩れた

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 20:48:58.22 ID:H59pyfQL0



――――――――
そして俺は早朝からなにをしているのか。

支度だよ。
支度っても着替える程度だが。

なんの支度かって?




ちょっと友人を助けに行くだけだ。
それが義務でもあるらしいしな。





本当は嫌なんだが致し方ない。

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 20:52:35.18 ID:H59pyfQL0

古泉「お、そうですか」

キョン「はやく終わらせたい」

古泉「助かります」

キョン「助けるつもりはない」

キョン「これがハルヒの為でもあり俺の為でもある」

古泉「では一つ説明をしておきます」

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 20:55:07.57 ID:H59pyfQL0

キョン「なんだ」

古泉「今から貴方は涼宮さんを探さなければなりません」

キョン「は?」

古泉「なにか勘違いをしていませんか?」

古泉「涼宮さんはこの世界にいますよ?」

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/26(金) 20:58:50.86 ID:H59pyfQL0

キョン「はぁ?」

異次元に行くとかそういうのを予想していた。
なんだこの世界かよ。

割と楽勝じゃないか。


古泉「今、涼宮さんは情報として存在します」

古泉「それを探すのです」

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 21:00:59.60 ID:H59pyfQL0

出かけることになった。

明日に帰ってくるのも難しいだろうからここでお別れ。
みてくれた方ありがとう



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