キョン「執事と……メイド?」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 18:08:49.19 ID:5QXXM0FR0

ザザーッ…

キョン「……んー………」カクンッ

パシャッ
あっはははっ!


2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 18:11:57.60 ID:5QXXM0FR0

キョン「……なん…?」

妹「きゃっきゃっきゃっ!」バタバタ

長門「………」ペラッ

ハルヒ「ひー!こりゃ傑作だわっ!」ケタケタ

みくる「えと、ごめんなさい、涼宮さんには逆らえなくって……でも、可愛かったですよ?」ニコッ

キョン「え……お、ハルヒ!お前、寝顔を!!」

ハルヒ「ふふふ!ねぇキョン、あんた寝てるときこんな顔してんのよ?思い出すだけでまた笑えてくるわ」クスクス

キョン「だっ、そんなもん、早く貸せ!」

ハルヒ「こらキョンやめなさい!ていうかあんたまだ顔に涎付いてるんだから洗ってきなさいよ!」

キョン「あ、す、すまん」タッタッ

はーっはっはっ!!

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 18:16:58.67 ID:5QXXM0FR0


ジャーッ……キュッ

キョン「んあー……」フキフキ

ったく、寝る時くらい安心させてくれるかと思っていたら……
あいつのおかげですっかり目が覚めてちまった。こっちは休日だってのに8時に起きたんだよ。
だるいったらだるい。

古泉「あれ、起きたんですか。おはようございます」

キョン「まあな。アイツのせいで眠気の代わりに疲れが押し寄せてきたぜ」

古泉「そうですか。でもまあいいんじゃないでしょうか?島に着けばベッドがありますし」

古泉「まぁ、そこで眠らせて貰えるかは涼宮さん次第でしょうが……」

ハルヒ「ねぇキョーン!なんかワカメがたくさん浮かんでるわよ!」

ああ、こりゃ駄目だろうな。

古泉「ふふっ、ご愁傷様です」クスッ

キョン「お前n……おうよ。」

そうか、こいつは俺の比じゃないくらいハルヒに苦労させられてんだよな。お前も毎度ご苦労なこった。


6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 18:25:25.33 ID:5QXXM0FR0


ハルヒ「それでね、カジキみたいなのがきゅきゅーって」

キョン「へぇ……」

ハルヒ「もう、話はちゃんと聞きなさい!それだからあんたは何時までたっても平団員のままなのよ!
何、もしかして私の言うことが気に入らないってわけ?へぇいい度胸じゃない。あんただけ特別に―…」

そう。
俺たちは今、船で無人島、いや、ほぼ無人島へと合宿目的で向かっている最中なんだ。
一体何の合宿なのかというのは団長様の頭の中を開いてみない限り理解できないから置いておくとして、今回のこの合宿、俺としてはあまり楽しめそうになく思える。むしろ不安だ。
だって、あいつの左腕に付いている腕章に勢いよく『名探偵』と書いてあるんだ。ああ、胃がきりきり痛む。


古泉「あの、着きましたよ?気分でも悪いのですか?」

キョン「いや、大丈夫だ。ちょっと考え事をしていてな」

古泉「……恋煩いですか?なんなら僕が」

キョン「違えよ。ほら、行こうぜ」

古泉「ふふっ、冗談ですよ」

うーん。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 18:32:56.83 ID:5QXXM0FR0



ハルヒ「……あら?」

古泉「私の知り合いですよ。どうも、お久しぶりです新川さん。森さんも、出迎えご苦労様です」

新川・森「……」ペコリ

キョン(執事と……メイド!?)

新川「ここからは我が主の待つ島まで半時程の船旅になります。少々不便かと存じますが、ご容赦ください」

ハルヒ「全っ然構わないわ!さ、早く行きましょ?」

こんなに丁寧に挨拶してくれているというのにこいつ、なんて礼儀のなさだ。
いや、俺もそこまで礼儀正しいとは思えんが……

森「ふふっ。では、皆さん私についてきて下さいませ」

ハルヒ「ほらキョン、みくるちゃん!もっとテンション上げていきなさい!」バシッ!

キョン「痛っ!……ああ長門、悪い」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 18:38:16.46 ID:5QXXM0FR0

――――

ハルヒ「それで、その屋敷には妙な二つ名があったり」

森「聞いていませんね」

ハルヒ「じゃあ誰かが突然神隠しに遭ったり、バケモノと遭遇したり」

森「いいえ、そのようなことはありません」

ハルヒとは全く正反対で大人びた、優しいという印象を受ける。
朝比奈さんは…メイドのノウハウを学ぼうとしているのだろうか?じっと森さんを凝視して動かない。暑苦しくないんだろうか。
いやぁ、しかし綺麗な方だなあ。
別に俺がメイド萌えだということじゃなくてな、メイド服の上からでも解るほどのスタイルと整った顔が美しいことこの上ない、ということだ。

森「あら、どうかなさいましたか?」

キョン「あ、いえいえ。なんでも」

ハルヒ「どうしたのキョン?まさか森さんの体を見て妄想してんじゃないでしょうね?」


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 18:43:39.64 ID:5QXXM0FR0

キョン「違う、断じて違う!ただ……ああ何もない」

ハルヒ「ただ何?ちゃんと言いなさいよ!」

キョン「ああ、そのー、森さんはしっかりしておられるな、と」

ハルヒ「……へー、キョンでもそんなことが言えたんだ。意外ね」むすっ

キョンでも、ってな。少なくともお前よりは失礼の無い奴だとは思ってるぜハルヒさんよ。

森「そうですか。ありがとうございます」ニコッ

キョン「ははっ……うわ眩しっ」

みくる「キョンくん、太陽を直視すると危ないですよぉ」

キョン「ああ、お気遣いありがとうございます朝比奈さん」

ハルヒ「ったく、ドジキョンなんだから」プフッ

咄嗟の判断によりなんとか事無きを得たが、俺のだらしなく緩みきった顔が元に戻るまでには、しばらくかかった。
……しかしながら、彼女は本当に綺麗だな。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 18:48:36.87 ID:5QXXM0FR0


新川「皆さん、長らくお待たせしました。足元に気をつけてお降り下さい」

ハルヒ「やっと着いたわね。へぇ、意外と綺麗な砂浜じゃない」

新川「私どもが先日すこしばかり掃除を致しましたので、見るに堪えない、というものではないであろうかと。」

妹「ねぇキョンくん、ほら!おっきいカニ!」キシキシ

キョン「こら妹よ、少しは空気を読まんか。これから館に向かうんだから、そいつはそこの岩場にでも逃がしてやれ」

妹「ちぇ、つまんないのー」ポイッ

新川「では、館へ案内します。背の高い雑草が多いですので、どうかはぐれないようにしてください」

キョン「ほら、行くぞ」

古泉「……」ニコニコ

肝心の館は……なんか普通だな。特に古いというわけでもない、そこそこの大きさのものだ。
どちらかと言えばホテルのような感じだろう。ここで何か事件が起こらなければいいものだが。
丘を登って館の主である田丸氏に挨拶を済ませた後、ハルヒの提案で浜辺へ遊びに行くことにした。


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 18:55:34.99 ID:5QXXM0FR0

妹「みくるちゃんいっくよー!」バシッ!

みくる「そおr……ひゃあっ!」ザバァ

妹「あははっ!みくるちゃんだいじょうぶー?」

ハルヒ「ん、ほらキョン!あんた何しに来たのよ!日陰で休んでないで、早くこっちにきなさーい!」

でもな……何しに来たって、俺たちは合宿に来たんじゃなかったのか?

古泉「まあまあ。ここは彼女達と思い切り遊ぶ方がストレス発散になるでしょう?」

それはお前だからこそのことだろう?こっちはいい加減休憩の時間が欲しいんだ。

古泉「あなたにとっても、そして涼宮さんにとっても、です。」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 18:59:22.86 ID:5QXXM0FR0


キョン「んー……」

古泉「そう若年寄になるよりは、何も考えずに体を動かした方が楽しいに決まってます。さ、僕たちも行きましょう」ザッザッ

ああ、わかったよ……ん?

館二階のベランダに森さんがいた。
白のワンピースと日傘を身につけ、一人で俺たちを眩しそうに眺めている。
美しい……
やがて見ている俺に気づき、小さく手を振った。慌てて応じると、遠目には微笑んだように見えた。

ハルヒ「キョン、早く来なさい!」

キョン「おう、すまんすまん!」

俺は高なる胸の鼓動を抑えつつ、やけつく砂浜を走っていった。



結局、俺たちは太陽が沈むまで浜辺で遊びつくし―といっても長門はパラソルの下でずっと本を読んでいたが―、
へとへとになって館に戻った。
ホテルに着くと、玄関で森さんが出迎えてくださっていた。

森「夕食の用意は出来ていますので、どうぞお召し上がりください」

ハルヒ「ありがとう、気が利くわね!みくるちゃん、あなたも森さんを見習うのよ!」

みくる「が、がんばります……」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 19:07:01.38 ID:5QXXM0FR0


キョン「ん………」ムクッ

気がつくと、自室のベッドに横たわっていた。うとうとしているところを誰かが運んでくれたらしい。
まさかあの量でここまで酔っちまうとはな……
机の灯りをつけ時計を見ると、深夜二時を過ぎた頃だった。
隣のベッドでは古泉が幸せそうな顔をしている。うん、とりあえず風に当たろうか……
そう思い、まだ寝ぼけた頭で窓を開ける。

バサバサバサッ
キョン「うわっ!」
顔に降りかかるおびただしい量の水飛沫と風圧に驚き、急いで窓を閉める。
キョン(雨か……)
暗くて良く分からないが、どうやら外は大変な大時化らしい。
タオルで顔を拭いた時には、もうすっかり目が醒めてしまっていた。
このままベッドに入って横になってるのもストレス溜まりそうだしな……
俺は何も考えず、夢遊病患者のようにドアを開けて廊下へ飛び出た。

エアコンが効いていたのだろう、むんむんとした湿気がたまらなく鬱陶しい。
今日はどうやって過ごすか、などと気楽に考えて一人廊下を歩いていると、奥に灯りが差している部屋を見つけた。
キョン(こんな時間に一体?)
不思議に思い、足音を立てずそっと覗くと……
森さんがいた。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 19:12:34.38 ID:5QXXM0FR0


ワイシャツ姿で机に突っ伏してじっと動かないでいる。
そばにはコーヒーカップが微かに湯気立っていて、何かをしている最中に寝てしまったといったところか。

キョン(この人も大変なんだな……)

俺は音を立てずに入り、椅子に掛けてある上着をそっと着せようとした。
その時。一瞬ピクッと森さんの体が動いたかと思うと、次の瞬間俺の視界は目まぐるしく動き、無防備な背中を思い切り強打した。

キョン「――ッ!」

森「あ、え、」

息が出来ず、ふんぞり返る俺に「大丈夫ですか」「しっかりして下さい」などの声がかかる。
数分経って漸く苦しく無くなり、目を開けると顔前に森さんの心配そうな顔があった。

森「ご、ごめんなさい、武道を心得ているものですからつい反射的に……お怪我はありませんか?」

キョン「ええ、なんとか大丈夫だったようです……」スッ

森「本当に、申し訳ございません」

キョン「いえいえ良いんですよ、心配ないです」パサッパサッ


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 19:20:51.23 ID:5QXXM0FR0



森「ところで、どうしてここへ?」

キョン「大雨ですっかり目が醒めましてね、徘徊していたところあなたの部屋から灯りが漏れ出ていたもので。」

森「そうですか……んっ、これはあなたが?」

キョン「ああ、ええと……」

思わず目線を逸らし窓を見ると、熟れた林檎のように赤くなった俺の顔が映っている。
いかん、落ち着け俺。

森「ふふ、そう恥ずかしがることじゃありませんよ。キョンくん、でしたっけ」

森「お優しい方なんですね、どうもありがとうございます。」

彼女も、顔をあげるとほんのりと頬を紅潮させながら、柔らかな笑みを向けてくれた。

キョン「あ、あはは……どうも」

森「あ、そうだ。せっかくですし、少しここでお話をしていきませんか?あなたのお友達のこと、そしてあなた自身のことをどうかお聞かせ願えれば、と」

…………
………
……


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 19:27:02.09 ID:5QXXM0FR0


キョン「……おう、起きたのか。おはようさん」

古泉「ん、おはようございます。なんだか疲れが取れていないように見えますが、どうかしましたか?」

キョン「ああいや、別になんにもねえよ。大雨のせいで鬱屈な気分になってるだけだろう」

古泉「そうですか。安心しました」

バタンッ

ハルヒ「ちょっとキョン、外見た?大嵐よ!こういう場面って、何か事件が起こる前兆なんじゃないかしら?」

突然入ってくるなよ。俺たちがまだ寝てたり、着替え中だったらどうするつもりなんだ?
……いや、こいつなら寝ていようがたたき起こして自分の話を始めるだろうが。
でもせめてノックくらいして欲しいもんだな。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 19:34:48.85 ID:5QXXM0FR0


キョン「いや、ねーよ。じゃあ取り敢えず今日は中でゆっくりってことになるな」ボフッ

ハルヒ「何よつまんないわね。古泉くん、朝食を済ませたらあたしの部屋でトランプでもしようかと思ってるんだけど、どう?」

古泉「ええ、お言葉に甘えて。……貴方も参加しませんか?」

キョン「んー…妙な真似始めたら、まっすぐ部屋に向かうからな。あと顔近いぞ」

古泉「おっと、これは失礼しました。涼宮さん、彼も入れて欲しいと」

ハルヒ「わかったわ。じゃあまた後で!」

キョン「へいへい」

バタンッ

その後すぐに食事の用意ができたとの電話が入り、俺たちは食堂に出向いて軽い朝食を摂った。


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 19:40:26.40 ID:5QXXM0FR0



妹「キョンくん昨日ぶりーっ!」

ハルヒ「ようし、じゃあ皆始めるわよ!」

皆揃ってなかなか元気そうだ。

キョン「始めるったって、トランプでなにするんだ?大富豪か?」

ハルヒ「トランプタワーに決まってるじゃない!」

いや、こういう時にトランプタワーを提唱するなんざ、一般人の思考回路にはねえよ……
と、軽いツッコミを入れつつ、長門を見る。興味があるのかないのかわからんが、こいつには手加減して欲しいものだ。
頼むから宇宙人パワーなんか使ってくれるなよ、長門。

長門「………」

ハルヒ「組み方は自由でいいから、各自タワーを築いていくの。30分のうちにどれだけ高く組めるかっていうルールでいいわよね?」

ハルヒ「負けたら……その時はその時で考えましょう」

みくる「な、なんか怖いですぅ……」

30分か、長いな。これならどべにならなくて済みそうだ。


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 19:47:18.33 ID:5QXXM0FR0


ハルヒ「んんっ………」そーっ

古泉「………」

キョン「………」プルプル

いかん、汗が出てきた。ふぅ、精神統一だ……。命を大事に。確実に素早く……。
真ん中にかき集められたトランプを数枚取ってはゆっくりと積んでいく。

みくる「ふぇっ」グシャッ

朝比奈さんはどうやらいつものどじ癖が裏目に出ているらしく、二段くらい積み上げたところでいつも何かやらかす。
なんとか最下位にならずに済みそうだな。

みくる「えぅ………」ウルウル

朝比奈さんが半泣きになってこっちを見ているこのうる目は俺に負けを貰って欲しい、という合図だろうか?
いや、だめですよ。今回ばかりは何をされるかわかりませんからね。
キョン「……(ダーメ)」

みくる「うぅ………」ジワジワ

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 19:51:56.47 ID:5QXXM0FR0



パラパラパラッ

キョン「あ゛っ!」

ハルヒ「キョンうっさい」

キョン「す、すまん………」

くそ、結構イライラするな。他人を気にして崩さないようにしなければ。

長門「三〇分経過した」

キョン「は!?」

ハルヒ「え、もう?はいじゃあ終了!みんなどうなった?」


結果だ。トップから順に、長門、ハルヒ、古泉、妹、俺、そして朝比奈さん。
長門は確か十段だったか。流石宇宙人だ、尋常じゃない。
これでもあいつなりに手加減したのだろうか?
朝比奈さんは……

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 19:57:09.83 ID:5QXXM0FR0



みくる「ふえぇん……ぐすっ…」

キョン(ごめんなさい、朝比奈さん。今回は流石に勝たせてもらいました)

ハルヒ「みくるちゃん、どうしたの?……まさかキョン、あんたがみくるちゃんを泣かしたのね?」

キョン「おい、なんでそうなる?俺はただ自分のタワーをコツコツ積んでただけだぞ!」

ハルヒ「……まぁいいわ。罰ゲームなんてやれる雰囲気じゃないわね……」

コンコンッ

ハルヒ「どうぞ」

ガチャッ

新川「失礼します……」

執事の新川さんが、なにやら焦りを内包したような面持ちでドアの前に立っていた。


24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 20:01:56.70 ID:5QXXM0FR0


古泉「ど、どうかなされましたか?」

新川「はい。先程裕様の部屋へ向かったのですが」

新川「鍵がかかっておらず、ドアをノックしましても反応がなかったものでしたから勝手ながら開けさせていただいたところ……裕様がどこにもおられません」

新川「主人の部屋に電話を掛けたところ、応答しましたので無事を確認したのですが、森は応答せず」

思わず固唾を飲んで新川さんを見つめる。

新川「主人と二人で森の部屋に向かいましたところ、森が……亡くなられていました」

ハルヒ「えっ……」

キョン「………!!」ダダダッ

新川「お客様、お待ちくだされ!」

ハルヒ「ちょっとキョン、一人じゃ危ないわよ!!」

古泉「……僕らも行きましょう!」


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 20:10:21.06 ID:5QXXM0FR0


キョン(まさか…あの森さんが……)ダッダッダッ

ガチャッ

キョン「森さん!!」

ドアを開けて真っ先に目に飛び込んできたのは……
背中に刃物の柄が立てられ、大量の血を流して倒れている森さんの亡骸であった。

キョン「……あ、あ、」

キョン「どうして……森さん。」

止めどなく溢れ出る涙をそのままに、俺は森さんに歩み寄る。

キョン「畜生……大好きだったのに……ちくしょおおおおおおおおお!!!」

キョン「ぐっ……くそおおっ……」

バタンッ
新川「お客様、まずは現場保存が第一です!この部屋から出て下さい。さあ、肩を。」

キョン「す、すみません…くっ……」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 20:16:53.95 ID:5QXXM0FR0


ハルヒ「……ねぇ、キョン」ソワソワ

古泉「涼宮さん、ここは彼ひとりにしておくべきでしょう」

ハルヒ「そ、そう……」

みくる「キョンくぅん……」

長門「……」

新川「……古泉くん、ちょっといいでしょうか」

古泉「あ、はい……」


コンコンッ

みくる『落ち着きましたか…?』

キョン「……ええ、だいぶ気持ちの整理がつきました」

みくる『えっと、新川さんが夕食の準備ができたから食堂にきゅ、来て下さいって。食べないと体に悪いですよー……』

キョン「……今行きます。」

みくる『ふぇぇ、分かりましたぁ。』

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 20:22:27.83 ID:5QXXM0FR0

キョン「………」

ガチャッ
あっはっはっはっはっ!

キョン「………えっ」

森「こんばんは。先程はどうも、お騒がせしました」ペコッ

古泉「すみません。この度の殺人事件というのは、実は私たちが用意した余興だったんですよ。しかしここまで引っかかってくれるとは……」

田丸「いやー、ごめんね。ちょっとやりすぎちゃったかな。ははっ」

ハルヒ「いやー私も驚いたわよ。だってキョンが……ぷふっ、ぷふふっ!」

キョン「…そ、そうか……」

みくる「えっ、キョンくん?」

キョン「森さん本当に死んだかと…ぐっ…よかった……!」

ハルヒ「ち、ちょっとキョンどうしちゃったのよ?」

長門「……」パタンッ

森「……キョンくん、一旦あちらの部屋へ移動しましょう?」

キョン「…はい……」
バタンッ


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 20:27:48.38 ID:5QXXM0FR0

キョン「ひどいですよ…森さん……」

森「ごめんね、キョンくん。辛かったでしょう?」

キョン「……ぐっ………」

森「こんなに心配してくれるなんて思わなかった……本当にごめんね………。」ぎゅっ

キョン「………ひっぐ……」がしっ

森「安心して下さい、私はここにいますよ……」なでなで


キョン「…………」

森「あの時ね、私嬉しかったの。キョンくんが大好きって言ってくれて」

森「でも、ごめんね。私は貴方とは立場上一緒になれないの。だからせめてこうさせて?」

森「私も、私のために一生懸命になってくれた貴方が大好きですよ。もし辛くなったらいつでも私のところに来て、私の胸で思う存分泣きなさい?」

キョン「…すぅ………」

森「あら………」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 20:32:22.17 ID:5QXXM0FR0


…んんっ…あれ、いつの間に……

森「あ、おはようございます。寝心地は如何でしたか?」

キョン「…うおっ、すみません!俺思い切り服を濡らしてしまいましたね……」

森「いえ、良いんですよ。気になりませんから。」

森「それより、お腹が空いたでしょう?今温めますからしばらくお待ち下さい」ニコッ

キョン「ああ、わざわざすみません森さん……」


落ち込むあまり昼食もろくに摂っていなかったので、数分後に森さんが料理を運んでくると俺は怒涛の勢いで完食した。
豪勢なものだったことくらいはわかるが、早食いのために味は良く解らなかった。

キョン「……ふう、ご馳走様です」パンッ

森「あはは、そんなに急いで食べなくても……」

キョン「いやあ仕方ないですよ、腹減っていたんですから。そろそろ自室に戻りますね。」

森「わかりました。では、良い夜を。」ニコッ


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 20:37:17.82 ID:5QXXM0FR0



ありがとうございました、と丁寧にお辞儀をして、俺はハルヒ達の部屋へと向かう。
あいつらのことだ。どうせ集まってワイワイ騒いでるだろうよ

ガチャッ

やっぱりか。あいつら俺の気なんて全く知らない、といった顔でジェンガしてやがる。

ハルヒ「あら、キョンじゃない。気分はどう?」

キョン「大分スッキリしたよ」

古泉「じゃ、彼も入れてあげましょう」

ハルヒ「あ、言っとくけど罰ゲーム有りだからね!」

キョン「おいおい、また朝比奈さんを泣かせるつもりか?」

みくる「そ、キョンくんひどいですぅ!」

あはっはっはっ!

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 20:44:59.97 ID:5QXXM0FR0

キョン「ああ、ほんと疲れた」ボフッ

古泉「お疲れ様です。まさか貴方があれほど動揺するとは……僕もびっくりしましたよ」

キョン「もう言うなって、ったく。」

古泉「んふっ、ではそろそろ消灯しますね。おやすみなさい」

キョン「おう、おやすみ」
カチッ

……森さんか。


翌朝。
大嵐もこんな辺鄙な無人島に長々と居座る気もなかったようで、窓を見ると真っ青でだだっ広い空と海が広がっている。
昨日森さん思う存分ストレスを発散させてもらったおかげもあり、俺の気分は絶好調だった。
しかし別れの時は着々と迫り来るもので、今俺たちは朝食を済ませて荷物をまとめ、館を出て船で港へ向かったところだ。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 20:47:31.46 ID:5QXXM0FR0


ハルヒ「いやあ、この度は色々と収穫だったわね!」

新川「楽しんでいただけて何よりでございます。」

ハルヒ「でも……キョンのおかげで推理は全く出来なかったわね。ったくこれだからキョンは」

キョン「す、すまんな。悪かったよ……」

古泉「では、冬季合宿というのはどうでしょう?次はこのような事にならぬよう、推理ゲーム、ということで」

ハルヒ「流石ね、古泉くん!やっぱり私の目は間違ってなかったわ!」

古泉「ありがとうございます」

新川「もうすぐフェリーが到着しますので、皆様チケットの準備をされた方がよろしいかと」

ふう、ドタバタした2日半だったが、思い出してみれば意外と悪くなかったな。

森「キョンくん」

キョン「へ、なんでしょう?」



34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 20:51:00.11 ID:5QXXM0FR0


振り向くと同時に、柔らかな唇が俺の額に触れる。

キョン「も、森さん……!」

森「ごめんね、キョンくん。私が出来る精一杯はここまでよ。じゃ、また逢いましょう。」

キョン「あ、え、それどういう」

森「ふふっ、さようなら!」フリフリ

ハルヒ「ちょ……!キョン何ぽかんとしてんのよ、の、乗り込むからしっかり歩きなさい!」

キョン「ぐ、ぬあ、苦しっ!」


新川「……閉鎖空間が出現しましたな」

森「ええ、そのようですね」

新川「何も彼女の前でせんでもよかろうに……」

森「ごめんなさい、今回は私一人で処理しますから。だってご褒美くらいもらえたって、良いでしょう?」


35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 20:55:19.59 ID:5QXXM0FR0

フェリーでくつろいでいると、上着のポケットに妙な違和感を覚えた。

キョン「んっ、なんだこれ」スッ

古泉「どうしたんですか?……おや」ニヤニヤ

キョン「見るな、ってもう遅いか……」

古泉「大丈夫です、誰にも口外しませんよ。ただ、機関としてはあまり応援出来るものでは有りませんね……でも」

古泉「個人的には、密かに応援させていただきますよ」

キョン「やれやれ……」

ハルヒ「二人共どうしたの?忘れ物でもあった?」

キョン「いや、ガガンボが飛んできたもんだからさ」

ハルヒ「……?まあいいわ」

また逢いましょう、か……。
恐らく、その時は冬季合宿より前になりそうです。こちらこそ、森さん。

おわり

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 21:15:39.64 ID:5QXXM0FR0

岡部「ほい次ー、橘」

キョン(へぇ……結構かわいいな)

ガタッ
橘「和歌山県から引越してきました、橘京子です。ただの人間には興味ありません。」

ん?

橘「この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、私のところにきなさいっ!以上!」

誰もが唖然として彼女に目線を集中させた。

キョン(……ここ、笑うとこ?)

岡部「……あ、はい。次、谷口」

谷口「はい、谷口です!趣味は―…」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 21:19:57.30 ID:5QXXM0FR0

この衝撃的な自己紹介後、しばらくは何も起こらず、ただ平凡な日常が続いたのだが……
唐突にそれは崩れ去った。

とある金曜日。
珍しく早く起きることができたため、一番乗りを目指して学校に向かった時のことだ。
まぁ、一番乗りなんてなんの価値もないわけだが…なんとなく優越感が味わえるだろうと思い、鍵を借りに行く。

キョン「失礼します、一年五組の〇〇です。教室の鍵を借りに来ました」

教員机の奥からはーい、と声がして、俺は意気揚々と鍵箱に向かう。

……あれ、ない。誰かがもう持っていったのか?くそ、早いな。

ガラガラッ
キョン「おいーす、あれ」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 21:21:46.45 ID:5QXXM0FR0

橘「……あ、どうも」

橘だった。自分の席で本を読んでいる。こいつか、俺の一番を奪い取ったのは。
取り敢えず席につき、カバンを掛ける。

……

何かこう、むずむずする。今まで遅刻続きで解らなかったが、いざ朝にくると何もすることが無い。
ああ、これだったら何か遊び道具の一つ持ってくるべきだったか。暇だ。

……

キョン「な 橘「キョン……さんでしたっけ?」」


41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 21:27:38.61 ID:5QXXM0FR0


いきなり被った。
いや、あだ名にさん付けはおかしいだろうよ

キョン「ん?ああ、まぁそう呼ばれているような。呼ばれてないような。」

橘「あのー、キョンさんはこういうの、興味あります?」スッ

そう言って、橘は読んでいた本を俺に渡した。

キョン「なんだこれ?」

なにやら怪しげな本だ。めくると、エネルギーがどうたらこうたら、とつらつら書かれてある。

キョン「あー、宗教には興味ないんだ。ごめんな」スッ

橘「いや、そういう事じゃなくてですね、あー、今のは忘れて下さい。えっと、」ボサッ

キョン「……」

バサバサバサッ!
橘「ああっ、もうっ!」

なんだか忙しないやつだな。


42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 21:30:36.20 ID:5QXXM0FR0



橘「例えば、気功波が打てたり、魔法を使えたりする人とお話ができたら面白いと思いませんか?」

キョン「まぁそうは思うが……」

こいつ、朝一番に来てはいっつもこんなこと考えてるのか?

橘「ですよね!ですよね!でも……」

橘「でも、そういう人は現れないんですよね……」

急にメランコリックな表情に変わる。どうやら本気で悩んでいるらしい
しみじみとした雰囲気が室内に広がる。何か言わなければ。

キョン「……ああ、橘さんとやら。」

橘「はい…」


キョン「じゃあ町に繰り出して探してみればいいんじゃないか?」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 21:33:59.22 ID:5QXXM0FR0

橘「えっ?」

目をしばしばと動かして、きょとんと俺の顔を見る。

キョン「だって、じっと待ってたってそういうやつがお前に興味があるわけでもなし。こっちから出向くべきだろうよ」

俺がそう言うと、橘の目はみるみるうちに輝きを取り戻した。

橘「なるほど!キョンさん頭いいですね!ありがとうございます!」

キョン「いや、頭はあんまり良くないがな……ま、せいぜい頑張れよ」

そう言って前を向き直そうとしたが、後ろから首根っこを強く引っ張られる。

橘「ちょっと待って下さい、キョンさんも参加するんでしょ?」

キョン「……は?」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 21:38:40.49 ID:5QXXM0FR0


橘「さ、明日は二人で出かけますよ!ええっと、集合は北口駅前で……」

キョン「いや、ちょっと 橘「静かにっ!今考えてるんですから」」

橘「そうだ、メールアドレスを交換しましょう!じゃあ携帯貸して下さい」

キョン「あ、ああ持ってるが……」

俺がポケットから携帯を取り出すと、さっと奪いとって自分の携帯にくっつける。

キョン「ちょ、ちょっと!」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 21:43:48.92 ID:5QXXM0FR0


ピッピッピッ

橘「よし、じゃあ後で連絡しますね!」

そう言って、とびきりの笑顔で俺の携帯を差し出す。

キョン「ん、ああ……」

そう言って、橘は鼻歌交じりで宿題にとりかかり出した。
うむ、鬱陶しいとは思いつつも、悪い気はしない。何といっても、あんなに嬉しそうな橘は初めて見たからな。
なるほど、宇宙人か。どうせ居ないとはだろうが、小学生の気分に戻って町を歩きまわれば、なにかひとつくらいは新しい発見があるだろう。
……少し、楽しみだな。


46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 21:48:04.33 ID:5QXXM0FR0

次の日。
予定の30分前に妹に起こされ、急いで着替えて北口駅前へ向かう。
予想通り、そこにはぷっくりと顔を膨らませた橘の姿があった。



橘「もうっ、遅いですよ!」

キョン「いやあ、寝坊しちまってな……」

ぽかっ、と橘から軽いげんこつが飛んでくる。

橘「キョンさん、遅刻はこれっきりですよ?」

キョン「あ、ああ。すまなかった。」

橘「……でも、良かったです。ちゃんと来てくれて。」

橘「さ、早速探しに行きましょう?」

キョン「おう、そうだな」


47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 21:54:24.61 ID:5QXXM0FR0


………
……


橘「なかなか見つからないものですねー」

キョン「あっちも神経質になってんだろ。一般人に見つかったら騒がれるだろうし、そう簡単に見つかってくれるとは限らん」

橘「うぅ、確かにそうですね。何かアピールするものが必要なのかしら……」

力なくベンチにもたれかかりながらぼうっと空を仰ぐ橘を見ていると、俺も疲れがどっと溢れ出てきた。

キョン「あー、橘よ。そろそろ休憩がてら喫茶店にでも寄らないか?何時間も歩いて疲れたし、腹が減ってきた。」

橘「うん、そうですね。じゃあ、連れてって下さいー」

そう言って、橘はだるそうに両腕を前に差し出す。


48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 21:58:00.17 ID:5QXXM0FR0


キョン「何やってんだ?」

橘「んっ!」

キョン「いや、言わないとわからん。」

橘「………」

橘がじとっとした目線をくれたことで、俺は漸くこいつの意思に気づいた。

キョン「なんだ、おんぶして欲しいのか?」

橘「そ、そこまで幼稚じゃありません!全く、わからず屋なんですから。自分で立ちますよもう……」

なんだってんだ一体。

キョン「ま、いいか。そいじゃ行くぞー」

橘「はーい。」

橘(おんぶか……それはそれで良かった気もしますけど。)


49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 22:03:42.95 ID:5QXXM0FR0



キョン「しかし、宇宙人やらってのはどうすれば一般人と見分けが付くんだ?」

橘「そうですね。捕獲して……尋問でしょうか?」

キョン「いや、それはやめといた方がいいと思うぞ……」

「お待たせしました」

キョン「ああ、どうも」コトッ

橘「うーん……あ、ありがとうございます」コトッ

キョン「でもよ、もし本当に宇宙人に会えたとしてだ。そいつらは襲ってこないだろうか?あっちがバレたら抹殺すべし、みたいな考えじゃないといいんだが」

橘「大丈夫ですよ、何とかなりますってー♪」

キョン「……そうか?」

橘「……恐らくですけどね。」

橘キ「……」

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 22:07:25.41 ID:5QXXM0FR0




橘「そうだ」

キョン「ん、なにかわかったのか?」

橘「こっちからアピールすればいいんじゃないでしょうか!」

キョン「……つまり?」

橘「だから、予め敵意はないってことを相手方に知らせておけば仲良く出来るでしょう?」

んまぁ、そうかもしれんが……よっぽどの悪い奴らじゃなければな。

キョン「しかしーどうやって?そもそもあっちには日本語が通じるのか?」


51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 22:11:49.99 ID:5QXXM0FR0


橘「宇宙人がどうかは分かりませんが……他は字くらい読めるでしょう」

キョン「……じゃあ宇宙人はどうする?」

橘「じゃあ何か書いてみればいいんじゃないですか。ナスカの地上絵みたいな」

キョン「どこに?」

橘「そうですね……学校にチラシでも貼ってればそのうち聞きつけてやってくるでしょう」

キョン「あ、そう……でもなんで学校なんだ?」

橘「そりゃ、キリが無いじゃないですしギリギリアウトっぽくないですか?その点学校なら範囲も狭いですし怒られるだけで済みそうですから」

キョン「ああそっか……で、誰が作るんだ?」

橘「……一緒に作ります?」

キョン「……しょうがねえな」


52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 22:15:33.91 ID:5QXXM0FR0


「ありがとうございましたー」

キョン「さぁ、これからどうしようか?」

橘「そうですねー……うーん」

キョン「んー?」

橘「とりあえず初日ですし、疲れたでしょうから今日はプリクラでも撮って帰るとしますか♪」

キョン「え、初日っていうことはこれからも続くのか?」

橘「え、続かないんですか?」

キョン「……マジで?」

橘「私としてはこれからも探しに回りたいと思っているのですが……駄目ですか?」



53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 22:21:07.82 ID:5QXXM0FR0



キョン「あー、んー……」

キョン「ま、いっか。どうせ部活に入ってないから退屈だしな」

橘「ふふっ、流石キョンさんと言ったところです。じゃ行きますよ!」

キョン「毎度毎度気になってたんだがな、そのキョンさんってのやめろよ」

橘「うっさいですね!キョンさんはキョンさんですよキョンさん!ほら、早くっ!」タッタッタッ

キョン「あーもうっ……」タッタッタッ


パシャッ!
キョン「……なぁ、そのー」

橘「なんでしょう?」

キョン「あんまりこういうのは恥ずかしいから言いたくないんだが……」

橘「あ、えっと……//ちょ、ちょっと!次が来ますからちゃんとして下さい!」アセアセ

キョン「お、おう」アセアセ
パシャッ


54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 22:27:01.47 ID:5QXXM0FR0


橘「ふぅ。その、キョンさん」

キョン「ん、なんだ?」

橘「さっきみたいなことはその……あんまり考えないで下さい!恥ずかしいでしょう……//」

キョン「……俺じゃ…嫌かな?」

橘「えっ……//」

キョン「ぷっ、冗談だよ。何マジになってんだ?はははっ!」

橘「うー、うっさいですねハゲ!///」ポカポカ

キョン「あー……悪かったよ!ほらごめんって!」


56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 22:35:45.03 ID:5QXXM0FR0

橘「じゃあー今日はお疲れ様でした!」

キョン「おう。また明日な。……あれ?」

橘「お、キョンさん意外と乗り気になったじゃないですか?」クスクス

キョン「うっ、これは違う、つい」

橘「それはきっと貴方の潜在意識が宇宙人たちを求めているんです!さぁ、明日も九時にここですからね!」

キョン「……ははっ、わかったよ。また明日な!」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 22:39:02.81 ID:5QXXM0FR0


後日

妹「キョンくん行ってらっしゃーい」

キョン「おう、お前も車には気をつけろよー!」

キョン「……やれやれ」クルッ

藤原「やあ、現地民。」

九曜「――――」

キョン「うおっ!な、なんなんだお前ら」

佐々木「やあ、久しぶりだねキョン」

キョン「……はっ!?」

おわり

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 22:43:10.03 ID:5QXXM0FR0

どちらともプロローグ的な終わり方になってしまいましたが、後は各自の想像に任せる、ということにしています。
さて、やっと二つ終わりました。次はキョンですな。
これが終わったら朝まで書き貯めつつ保守に入ろうかと。

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 22:51:56.07 ID:5QXXM0FR0

うう、了解しました。では長門を

キョン「なぁ、長門」

長門「……」

キョン「その、頼みごとがあるんだが……聞いてくれるか?」

長門「……なに」

キョン「この前の無人島合宿に妹を連れてきていただろ?」

キョン「妹の奴、あの時長門のことを偉く気に入っちまったみたいで。今朝急にお前の家に泊まりたいって言い出したんだ」

長門「……」

キョン「しまいには『有希ちゃんちに泊めてくれなきゃ晩ご飯食べない!』とか言い出すもんでさ……」

長門「構わない」

キョン「本当か?いや、厳しいならこっちで頑張って何とかするから」

長門「何も問題はない。彼女の好きにさせて良い。それに」

長門「私自身も、彼女の行動には興味がある。むしろ望ましいこと」

キョン「そ、そうか……」


63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 22:56:26.07 ID:5QXXM0FR0


キョン「じゃあ長門。今日の…ええっと、夜七時で本当にいいんだな?」

長門「……」コクッ

キョン「わかった。いつもありがとな、長門。じゃ、この辺で」

長門「待って」

キョン「ん、どうした?」

長門「彼女に、宜しく、と」

キョン「……ああ、わかった。こっちからも宜しく頼むぞ。じゃあな」

長門「……」


妹「え、ほんとー!?」

キョン「ああ、本当だ。長門も宜しくと言ってたぞ。じゃあ早くお泊りの準備をしなさい」

妹「ふふっ!わかったー」タッタッタッ

キョン(あまり迷惑を掛けなきゃいいんだが……)


64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 23:01:39.85 ID:5QXXM0FR0



長門「……もうすぐ着く頃合」

ピンポーン

長門「………」

キョン「長門、俺だ。妹を連れてきたぞ」

妹「やっほー有希ちゃん、みってるー?」キャッキャッ

長門「……//」

キョン「おい、長門?」

長門「!…失礼した」

ウィーン

キョン「しかしなあ、あんまり騒ぐなよ?」スタスタ

妹「わかってるって」ソワソワ

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 23:05:37.21 ID:5QXXM0FR0



長門「……来た」

ガチャッ

キョン「よう長門。今日は一晩こいつを宜しく頼むぞ」

長門「がってん承知」

妹「わあ有希ちゃんかっわいー!」

長門「……//」

キョン「そいじゃ、なんかあったら携帯に連絡を寄越してくれ。また明日なー」

長門「……」フリフリ


69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 23:10:35.30 ID:5QXXM0FR0

ガチャンッ

長門「夕食は済ませた?」

妹「うんんっ、まだだよ」

長門「そう。ではこっちに」


妹「はむっ、はむ……うまーっ!これ、ぜんぶ有希ちゃんがつくったの?」

長門「……自信作」コクッ

当然。有機生命体の舌を解析し、もっとも美味に感じる調理法を適用した完全体のカレー。
彼女が不満を持たせるのはもはや不可能、おそらく私に対する好感度はうなぎのぼりのはず。

妹「お料理得意なんだね!ねぇおかわりあるー?」

長門「もちろん。良く噛んで食べてね」

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 23:14:52.59 ID:5QXXM0FR0


妹「ふぅ、もうお腹いっぱいだよ……ごめんね?ちょっと食べ残しちゃった」

長門「構わない」

妹「次遊びにきたとき、また有希ちゃんのカレー食べたいな……なんちゃって。だめ?」

長門「だめ」

妹「そっかぁ……」

長門「なんて言わない。貴方が喜ぶならいくらでも作る」

妹「わあ、有希ちゃんありがとう!」ギュッ

長門「……//」ナデナデ

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 23:17:45.17 ID:5QXXM0FR0



妹「じゃあ……なにして遊ぼーか?」

長門「……テレビゲームを」

妹「おっ、あるんだ。どこどこ?」

長門「ちょっと待って……」ガサゴソ

妹「……あ、あたしこれやったことある!!これやろうよー?」

長門「受けて立つ」



74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 23:20:15.08 ID:5QXXM0FR0


フンッ!フンッ!デュクシ!

長門(手加減しているにしろ、見事な反応……彼女、できる)カチッカチチチチッ

妹「ふっ!ほっ!ほーっ!」カチャチャチャッ

長門「甘い」カチャチャッ

ヨガフレイム!ウオァッウオァッウオァッ…

妹「……有希ちゃん強いぃー」むすっ

長門「ごめん、次はもっと手加減するから」

妹「だめっ!手加減したらおこるよ!勝つまでやめないんだから!」

長門「(可愛い……)わかった」


75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 23:25:18.70 ID:5QXXM0FR0


妹「ふぅ、やっと勝ったし。有希ちゃんほんっと強いんだからー」

長門「伊達に三年間やり込んできたわけではない。貴方もなかなかの腕前だった」

妹「ねぇ、『ダテ』ってなに?」

長門「……あなたは何も知らなくていい。知るべきではない。」

世の中には知らなくてもいいことがある。貴方は穢れなき存在であり続けるべき。
邪魔は入るだろうけど、絶対に流されてはいけない。

妹「そこまでいうならー…まいっか。」

長門「次は何をやる?」

妹「うーん、じゃあ『マリパー』とか……?」

長門「了解した」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 23:29:51.78 ID:5QXXM0FR0


妹「そろそろあたし疲れたー…」バタンッ

長門「着替えはある?」

妹「うん。キョンくんがぜったい迷惑かけるから持ってけって言ってね?」

長門「……彼の言うことは聞かなくていい。風呂を湧かせてくる」すーっ

妹「?行ってらっしゃーい」


長門「(心拍数・体温の上昇を確認。落ち着くべき。長門有希は出来る子)n10tuasノ6…」ブツブツ

ピピッ、ピピッ

長門「………」スッ

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 23:33:22.35 ID:5QXXM0FR0

妹「おかえりー。」

長門「風呂が湧いた。私は後で入る。先に入って」

妹「えー、せっかくのお泊りなんだし一緒に入ろうよー。いいでしょ?」

長門「……感動した。ありがたき幸せ。」

妹「……なにいってるの?」

長門「何でもない。洗面所へ」

妹「そっ。ふふっ、有希ちゃんとーおっふろー♪」タッタッタッ

長門(……萌え)



79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 23:37:20.03 ID:5QXXM0FR0


バシャッ…

妹「ふぅ……」

長門(すべすべ……つる、いや、すべすべ)

妹「ねぇ、有希ちゃん。私も高校生になったら有希ちゃんみたいになれるかな?」

長門「私のようにはなってはいけない。」

妹「どうして?お人形さんみたいで可愛いじゃん」

長門「貴方は貴方であるべき。その方がいい。これ、一番大切なこと。」

妹「そうなの?よくわかんないな……」

長門「………」

妹「でも、有希ちゃんがそういうならそうなんだろうね。うんっ♪」

長門「………そう」


妹「そろそろボーってしてきたし……あがろ?」

長門「まだ早い。せめて1から30まで数えるべき」

妹「んー、わかった。いーち、にー、さーん」

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 23:41:37.71 ID:5QXXM0FR0


……

長妹「29、30!」

ザバァッ




妹「ふー、すっきりしたー……有希ちゃん今何時ー?」

長門「もう夜10時。良い子はそろそろ寝る時間。」

妹「うーん、やっぱりそんなじかんかー。ふぁー……」

長門「寝室はこっち。」

ピリリリッ、ピリリリッ、ピリリリリッ
プツッ
長門「………」

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 00:00:06.72 ID:V0CS5abl0


キョン『よう長門。どうだ、うちの妹は迷惑掛けてないか?』

長門「全く問題ない。むしろ私が良くしてもらっている。」

キョン『え?あ、そうか……ははっ。そりゃよかったよ。じゃあな』

長門「………」プツッ

妹「ねぇ、今の誰?キョンくん?」

長門「……」コク

妹「そっかー。あ、ううん。別になんでもないよ!」

長門「……そう」


長門「そろそろ灯りを消す」

妹「はーい」

カチッ

ガサゴソ

82 名前: ◆wuwShiroi. [] 投稿日:2010/02/22(月) 00:03:48.00 ID:V0CS5abl0

猿食らってました。この時間帯で良かった……
一応日付が変わったということでトリップを。

長門「………」

妹「……ねぇ、有希ちゃん」

長門「何」

妹「このままずっと有希ちゃんちで暮らしちゃだめかな?」

長門「……なぜ」

妹「だってー有希ちゃんといると楽しいし安心するし……」

長門「……それは推奨出来ない」

妹「えー、なんで?」

長門「……あなたは彼の妹。あなたが居なければ彼が悲しむ」

妹「うーん……そっか。そうだよね。ううん何でもない。」

長門「………」

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 00:07:05.14 ID:V0CS5abl0



妹「有希ちゃん、もうちょっとそっちに寄ってもいい?」

長門「構わない」

妹「んっと……」


妹「有希ちゃん、ひんやりしてるんだねー」

長門「そう。冷え性」

妹「……じゃああたしがぎゅってすれば、温まるかな?していい?」

長門「……ありがとう」

妹「うん。そろそろ眠くなってきたしあたしもう寝るね。おやすみ」

長門「おやすみ」

…………
………
……


85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 00:11:23.27 ID:V0CS5abl0

ピンポーン

長門「……」

キョン「おっす、俺だ」

ウィーン

妹「ねぇ、今のキョンくん?」

長門「そう」

妹「そっかー、うーん……でもやっぱり帰りたくないなー」

長門「……そう」

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 00:14:48.58 ID:V0CS5abl0




キョン「よう、いつもありがとな」

長門「構わない」

妹「ねぇ、もう一日だけ泊まっても良いかな?」

キョン「おい、わがままだぞ妹!」

妹「一日だけだって!」

キョン「……長門、すまんな。本当に無理しなくていいんだぞ?」

長門「……私は良い」

妹「ほんとー?やったーっ♪」

キョン「そ、そうか……」

長門「でも、あなたは行くべき」


87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 00:18:40.64 ID:V0CS5abl0



妹「へっ?」

長門「彼が寂しく思っている」

キョン「……あぁ、良いんだよ。別に俺は寂しくなんかないからさ。」

長門「貴方こそ無理をしている。」

キョン「………いや 妹「じゃあやっぱ帰る。」」

キョン「い、妹。そんな拗ねなくても……」

妹「もういいもん、有希ちゃんなんてもういいもん!」タッタッタッ

キョン「おい!あ、あー……その長門、すまんな。」

長門「構わない。」

キョン「ああ、その、また月曜日にな」

長門「………」コクッ

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 00:22:12.55 ID:V0CS5abl0

ガチャッ
キョン「ただいまー……あれ、妹ー?ったく……」

ピリリリッ

キョン「んっ……?」


キョン「おい、妹ー」コンコンッ

妹「………入らないで」

キョン「そう怒るなって。ほら、お前のお友達が来てんだ」

長門「邪魔している」

妹「へっ?」

ガチャッ

長門「……泊まりに来た」

妹「……!やっぱ有希ちゃん大好きーっ!!」ぎゅっ

キョン(あーあ、なんかオチを取られたような気もするが……これで良いか)

長門(妹萌え)

おわり

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 00:26:39.03 ID:V0CS5abl0

これからは保守モードというわけで投下速度を落としていきます。ご了承を。
次はキョンですな。

キョン「……!!?」

な、なんだこれ。目が覚めると、いつの間にか俺は全身毛むくじゃらの化け物に進化していた。
いや、むしろ退化というべきか。体は幾分小さくなり、頭には何かが生えているみたいだ。
移動するにも、これが邪魔で重くてかなわない。これはなんだ、ハルヒの仕業か?
取り敢えず、何時もより重く感じるベッドから這い出ようとする。

タンタンタンタンッ

げっ、妹か、まずい!

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 00:41:49.83 ID:V0CS5abl0

ガチャッ

妹「キョンくーん朝だよー!」

キョン「……」

妹「あれ、いないし。もう行ったのかな?」

妹はいつものようにドアを開けっ放しで走っていき、間もなく玄関のドアが開く音が聞こえた。
危ない危ない、咄嗟にベッド下に隠れたおかげで、何とか見つからずに済んだ。
……取り敢えず、まずは長門の家だな。
蹄で携帯を蹴り、ペンをくわえて長門の携帯に掛ける。くそっ、難しい……

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 00:53:31.70 ID:V0CS5abl0

プルルルル、プルルルル……
プツッ
長門「………」

よし。……そう言えば俺は声を出せるのか?
何とか声を出したいものの、なかなかでる気配がない。

キョン「キャンッ!」

長門「………」

やっとのことでひねり出したのがこれかよ!な、何だこの鳴き声?犬?
……あ、切りやがった。

キョン「……」

……はあ、困ったな。これからどうしようか。

そういえば、今何時だ?
ベッドに飛び乗り、時計をこちらに向けると時計は午前8時15分をお知らせしていた。
余裕の遅刻だが、それどころじゃない。長門、来てくれるだろうか。


99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 01:04:26.62 ID:V0CS5abl0

………
……


ピンピーン

来たか!
階段を駆け下り、玄関に向かう。開けてくれ!長門!

ガチャッ

おお、助かったぜ。
目の前に現れたのは、紛れも無く長門の姿だった。
長門「………」

古泉「あれっ、これはこれは」

……古泉も一緒か

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 01:18:24.46 ID:V0CS5abl0




キョン『それで、これは一体なんなんだ?』

長門「涼宮ハルヒの仕業」

キョン『いや、それはわかるが』

長門「キョン」

……は?

古泉「お二方の間でどんな会話がなされているのか、詳しくは分かりませんが……」

古泉「今のあなたは、僕たちには鹿に見えます。手鏡を持ってきますね」

な、なんだって!?本当か、長門?

長門「本当」

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 01:34:16.29 ID:V0CS5abl0



古泉「お待たせしました。ほら、これがあなたの顔です」

確かに、鹿だ。頭にある重たいものは角だったのか。
へぇ……なんだかマヌケ顔だな、俺。

古泉「長門さんの仰るキョンというのは中国に生息する鹿の一種です。これは推測ですが、」

古泉「涼宮さんがあなたのあだ名で検索していたところこの鹿を発見し、それでこのようになってしまった、というわけです」

ま、まじか……ハルヒの奴、なんでそんなことを願ったんだろう?遊び心か?
くそったれ、ハルヒなんかアヒルになっちまえば良いのに。

長門「なってしまったからには仕方がない。まず、あなたが私以外と意思疎通が出来るようになることが最優先。」

長門「復活は、その後。貴方に情報操作を施す。許可を」

ああ、許可なんていらないから、さっさとやってくれ

長門「了解。&ky1nrf#en…」ブツブツ

キョン「……あ、あ、あー、あー、ごほん」

どこから声が出ているのかは知らんが、確かに声は出ているらしい。サンキュー、ナガえもん。

古泉「ほう、おめでとうございます」

キョン「確かに若干めでたいが、まだ不幸のうちだよ……」

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 01:49:05.11 ID:V0CS5abl0

キョン「それで?」

古泉「なんでしょう?」

キョン「どうすれば元通りになるんだ?」

長門「……涼宮ハルヒに、うまく改変を施させること」

キョン「……他には?」

長門「それだけ。時空改変を使う手もあるが、彼女に直に接触しなければならないために高いリスクが伴なう」

マジかよ……

キョン「うーん。ハルヒに力を知覚させちまうと、まずいんだろ?それじゃあ、直接は会えないってことになるよな。」

古泉「そうですね。ではいっそのこと、動物園に紛れ込む、というのはどうでしょうか?」

キョン「……は?」

古泉「確かに貴方の尊厳は少し損なわれます。ですが、そうすればあなたは行方不明扱いになり、彼女はあなたの帰還を切望するようになるでしょう」

長門「………」

キョン「な、なるほど。……でもよ」

古泉「はい」

キョン「それ、別に動物園じゃなくても良いんじゃないか?」

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 02:08:00.71 ID:V0CS5abl0

古泉「……ははっ、冗談ですよ」

キョン「お前の言うことは冗談に聞こえんのだ。しっかりしてくれ」

古泉「失礼しました。今後、気をつけますよ。」

キョン「んー、どこか匿ってくれる場所があればいいんだが……」

古泉「そうですね……なるべく自然な場所がいいですので、長門さんや僕の家は不適切ですね……」

キョン「……そうだ、鶴屋家なんかどうだ?あそこなら広い庭があるし、裏山もあるだろ。」

キョン「鹿が住んでいるかどうかってのは分からないが、取り敢えず安心じゃないか?」

古泉「なるほど。じゃあ早速鶴屋さんに連絡を」

キョン「待て、今鶴屋さんは授業中だろう」

古泉「あ、そうでした……」

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 02:19:39.82 ID:V0CS5abl0


チッ、チッ、チッ

キョン「……」

古泉「そうだ。あなたは葉っぱや果物以外に、食べられるのでしょうか?」

キョン「いきなり何を言い出すんだ?」

古泉「調べた限りでは、『キョン』は木の葉や果物類しか食べませんから……」

キョン「そうだなー。じゃあ、果物を食べておけば心配ないんじゃないか?流石に葉っぱは嫌だが」

古泉「はあ……」

キョン「……なあ古泉。そのカバンから見えてるガム、何味だ?」

古泉「駄目ですよ、体調を崩しますから」

キョン「あ、そう……」

……

長門「今、授業が終わった」

古泉「了解です。早速鶴屋さんに連絡を取りましょう」

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 02:33:32.46 ID:V0CS5abl0



プルルルルッ、プルルルルッ

鶴屋「もしもしー長門っち?」

古泉「すみません、代わりに古泉一樹が掛けさせてもらっています」

鶴屋「なるほど、じゃあSOS団絡みだね!何の用?」

古泉「それが、今ここに、この辺りでは珍しい一匹の鹿がいまして……それを今から鶴屋家で保護してもらえないかと」

鶴屋「今からか……うーん。それって緊急事態って奴かい?」

古泉「ええ、とても放置できない事態です。よろしいでしょうか?」

鶴屋「……わかったよ。じゃ、今から家に向かうね。また後で!」

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 02:44:02.21 ID:V0CS5abl0

古泉「許可してくれたようです。では、移動の準備をしますよ」

マジか。流石鶴屋さん、本当に心が広いお方だ。感謝しますよ……

キョン「それで移動の準備って……なに、檻に入れられるのか?」

古泉「すみません、檻が準備出来ていないので段ボールで我慢して下さい」

キョン「……やれやれ。」


古泉「では長門さん、鍵をよろしくお願いします」

長門「承知した。」

キョン「こうしてみるとなんか、惨めだな俺……」ガサゴソ

古泉「そうですか?歩きまわって注目を浴びるより、よっぽどいいかと」

長門「これからは、貴方に施した操作を解除する。言語を喋る鹿が一般人に知覚されるのは望ましくない」

キョン「あ、そうだな。頼んだぞ」

長門「了解。&ne#frn1yk―…」ブツブツ

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 03:03:01.36 ID:V0CS5abl0


鶴屋「おっ、おはよう!それで、約束の鹿ちゃんは……これ?」

古泉「そうです。ほら、彼です」ガサガサッ

キョン「……(なんか恥ずかしいな……)」

鶴屋「なんだ、もっと大きいかと思ってたよ……あれっ?この鹿、確かキョンって言うんだっけ?」

古泉「ええ、その通りです。恐らく帰化した個体が町に飛び出してきた、といったところでしょう」

鶴屋「ふーん、結構可愛いじゃない、このちょっと抜けた顔…ぷっ、あっはっはっ!」

キョン(つ、鶴屋さん……)

古泉「あー、えと、兎に角。これから二,三日間ほどでいいので、お世話をよろしくお願いします」

鶴屋「了解っ。じゃあ行こうか、『キョン』くん?」ニコッ

キョン「………!!」



114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 03:09:40.01 ID:V0CS5abl0

すみません、これからは30分の睡眠を挟みながら投下して行きます。いよいよ眠くなってきましたので……


鶴屋「ふーん、なるほどねーキョンくんか……」

……なんだかバレてるような気がする、いや、バレた気しかしない。
この人は毎度、勘が恐ろしく鋭いからな。

鶴屋「えっと、キョンくん、何食べるの?」

キョン「………キャンッ」

鶴屋「あっはっはっ、いい声で鳴くんだね!ちょっと調べてくるよっ。あ、トイレは此処にしておくれー!」

鶴屋さんには事あるごとに世話になるので、勿論ここにも何度か足を運んだのだが……何時もより大きく感じる。
小学二年生くらいに戻った気分だ。
なんだか、嫌に落ち着くな。悪くない。

あ、戻ってきた。

鶴屋「キョンくん、ほら、朝飯の時間だよ!」

バナナに林檎、みかん……
ありがとうございます、鶴屋さん。


116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 03:31:59.25 ID:V0CS5abl0



鶴屋「だめだめ、客鹿に犬食いなんてさせないさっ!ほら、あーんして?」

鶴屋さんが眩しい笑顔で、剥いたバナナを口に近づける。
その、恥ずかしいからいっそのこと犬食いでも良かったのですがね……
……うん、美味しい。人間の頃よりも美味しく感じる。あ、いいなこれ。

鶴屋「おー、いい食いっぷりだね!まだ沢山あるから遠慮しないで食べてよっ」

おお、良きかな。お言葉に甘えさせて頂きます。


鶴屋「もうそろそろお腹一杯かなっ?ふふっ、満足かい?」

ええ、大満足です。本当、感謝しますよ

鶴屋「……ねぇキョンくん。君はどこから来たのかな?山から?」

鶴屋「私のお友達にもキョンくんって子が居るんだけどね……」

鶴屋「いや、やっぱりなんでもないっ」ニコッ

何ですか?気になるから教えてくださいよ

鶴屋「それにしてもキョンくん、おとなしい子だねぇ。できるならずっと飼っていたいっさ。よしよーし」

なんだか、眠くなってきたな。少し休もう。心地良い気分だ……

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 04:02:49.90 ID:V0CS5abl0


……随分と寝ていたようだ。もうすっかり暗くなってしまっていた。
体はまだ戻っていないみたいだが。

鶴屋「おっ、キョンくん起きてたのかい!居心地はどうにょろ?」

そりゃもう、ずっと居ていたいくらいですよ。

鶴屋「おうおう、元気だねえ。じゃあちょっと待ってておくれ、晩ご飯を持ってくるさっ!」タッタッタッ

お気遣い、ありがとうございます。

長門「……調子はどう?」

うわっ!……な、長門か。どうしたんだ?

長門「涼宮ハルヒによる改変の兆候を観測した。恐らく明日になる頃、あなたはいつものあなたに戻る。」

そうか、そいつは良かった。意外に早かったな……。

長門「……」シュンッ

お、おい長門?


120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 04:35:43.26 ID:V0CS5abl0



鶴屋「キョンくんご飯だよーっ!おっとととっ」タッタッタッ

……そうか、戻るのか。

鶴屋「はい、あーんっ……あれ、キョンくん元気なさそうだねー、何かあったの?怪我した?」

キョン「………」

鶴屋「……ねぇキョンくん。あたし、実はもうどういう事情かわかってるのさっ。」



……え!?

鶴屋「君、キョンくんなんでしょ?解りたくないのに、解っちゃうんだよ。」

鶴屋「……あっはっはっ!あたしなんで鹿に独り言呟いてるんだろう。ばかだなー」

鶴屋「ごめんね、煩かったでしょ?悪かったって……」

キョン(鶴屋さん……)

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 05:45:09.11 ID:V0CS5abl0


鶴屋「……でもね、もし君がキョンくんだったとしても。私は今まで通りやっていくつもりだよ。お祭りは見てる方が楽しいからねっ?」

鶴屋「だから……お願いね?キョンくん。じゃ、そろそろ部屋に戻るから。おやすみ!」

キョン「キャンッ!」

鶴屋「あっははっ、元気になったじゃん。またね!」

鶴屋さんは、振り向かずにそういって屋敷に戻って行った。
……おやすみなさい、鶴屋さん。


午前0時1分前。
長門の予言通りであれば、もうそろそろ俺の体が元に戻る頃合だ。
いまの俺にとって、意識がある状態での情報改変はこれが初めてだな。緊張する。
そろそろか……
うおっ、足元が光ってやがる。なるほど、こいつはすげえや。手が、足が消えていく。
腕、脚、胴体と順に光り、最後に頭が光るのを知覚したところで俺の意識は途切れた。



126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 07:32:38.47 ID:V0CS5abl0

うう、おはとうございます。
申し訳ない、途中で二度寝してしまいました。では、続きを。


チュンチュンッ

妹「だいなまいときーっく!」

フゴッ!!

キョン「……うぅ、朝か。」ムクッ

妹「もう7時50分だよ!」

キョン「……マジで!?ちょ、行ってきます!」

手を見ると、ちゃんと人間のそれに戻っていた。
昨日、というより今日だが、驚いたな。律儀にベッドまで運んでくれている。
もしかして、ただの夢だったのか?いや、それにしてはリアルなものだったよ。



キョン「はぁ、はぁっ……ん?」

走っている俺の横で、黒光りする高級車が並んでいた。

鶴屋「あれっ、キョンくんじゃないかっ!遅刻かい?良かったら乗っていきなよ!」

キョン「あ、そうです!助かります。はぁ…ふぅ」


127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 07:42:30.69 ID:V0CS5abl0


鶴屋「へぇ、随分走ってたみたいだねえ。こっちまで熱気が漂ってくるよー」

キョン「ふぅ……すみません、汗臭いでしょう?」

鶴屋「ううんっ、気にならないさっ。……よっと」

そういって、鶴屋さんは俺のほっぺたに指をひっつけてきた。

キョン「うわっ、どうしたんですか?」

鶴屋「ふふー、食べ残しが着いてたさ。これはなんだろうね?」

キョン「食べ残し?今日は朝何も食べてないはずですが……」

鶴屋「あむっ……これ、バナナじゃないかっ?キョンくんバナナ好きなの?ほら、バナナとってー」

キョン「ちょっ、鶴屋さん……」

なるほど、やはり……


128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 07:49:58.43 ID:V0CS5abl0



キョン「鶴屋さん。昨日、一つ豆知識を身につけたんですけど、聞きますか?」

鶴屋「おっ、なんだい?私そういうの大好きだからねえ。聞かせてよっ?」

キョン「中国東部に俺のあだ名と同じ名前の鹿がいるんですけどね?こいつが面白いんですよ。」

鶴屋「子犬みたいにキャンッ、て鳴くんでしょ?知ってるよっ!」

キョン「……あれ、鶴屋さんどうして知ってるんですか?」

鶴屋「ふふっ秘密だよー。あれ、もう着いたみたいだね?ほら、行こうかっ」にこっ

キョン「あ、ええ。どうもありがとうございます」


129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 07:56:41.23 ID:V0CS5abl0


鶴屋「ねぇ、あたしも一つ豆知識があるんだけどさ、聞いていくかい?」

キョン「なんですか?聞かせて下さいよ」

鶴屋「わたし。鶴屋さんはねえっ、お祭りは キョン「見ている方が好き、でしたっけ?」」

鶴屋「……あっはっはっ!キョンくん物知りだねあっはっはっ!」バシバシッ

キョン「うあ、痛い、痛いですよ鶴屋さんっ!」

爆笑しながら背中を叩いてくる鶴屋さんの両頬に一筋の光が通っているのを、俺は見逃さなかった。

おわり

131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 08:08:56.71 ID:V0CS5abl0

ふぅ、長かったですね。
次はチビキョンにしようと思うのですが、その前にご飯を食べてきます。
恐らく10分ほどで済むので、保守はいらないかと。

132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 08:19:25.49 ID:V0CS5abl0

橘「では、私の手を握って下さい」

佐々木「キョン、ここは彼女の言うとおりにした方が良いよ」

キョン「……わかった」

ギュッ
キョン「……それで?」

橘「今から目を瞑って下さい。力を抜いて……」

フッ、と音が消えた。
目を開けると、そこには橘京子だけがいた。
俺と橘の二人だけ。この感覚は、以前にも見覚えがある。そう、閉鎖空間……

橘「古泉さんはそう呼んでるみたいね。さ、少し外に出てみませんか?」

キョン「あ、ああ……」

134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 08:25:46.97 ID:V0CS5abl0

――――

藤原「……いいぞ。ほら、やっちまえ」

佐々木「ちょっと待ってくれ。確かにキョンは引き受けてくれそうにないだろうけど、これはちょっとあんまりじゃないか?」

九曜「―――問答無用――」スッ

佐々木「周防さん!」

&hufrnsヌr8eq……

――――

橘「あなたと佐々木さんが首を縦に振れば良いだけの話。それが私たちの望みよ。簡単でしょ?」

キョン「うぅっ……」

急に頭が重く痛くなり、思わずその場にうずくまる。



135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 08:35:47.99 ID:V0CS5abl0


橘「どうかなさったのですか!?」

キョン「ぐぁっ……」

視界が目まぐるしく動く。まるで宙に浮いたような感覚だ。
平衡感覚がまるで奪われてやがる。

橘「ちょっと、え?しっかりして下さい!」

しかし半分ほど過ぎた辺りで、それは突然収まった。

キョン「あー、どうやらもう大丈夫のようだ。一体なんだったんだ?」

橘「さあ、私に聞かれても……取り敢えず、お店に戻りましょ?」

キョン「……そうだな」

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 08:48:45.73 ID:V0CS5abl0



キョン「そういやこっちの閉鎖空間って、どうすれば抜け出せるんだ?」

キョン「古泉と行ったときは閉鎖空間全体が消滅したもんだったが……こっちはそうでもないんだろ?」

橘「ええ。こちらは消滅すること自体がありえないことなので、私達を介してしか出入り出来ないことになっています」

キョン「へぇ……そりゃたまげたな」

橘「さぁ、早く座って。私の手を握って下さい」

先の通り、三人がけの椅子に座って橘の手をテーブル越しに握った。

橘「目を瞑って……」

――――



突然、一気に五感が雪崩込んできた。あっちの世界に居たせいで、何時もより騒々しく感じる。

137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 08:58:35.23 ID:V0CS5abl0

……でも、なんだか目線が低くないか?服もダボダボに緩みきっている。

橘「……えっ?」

佐々木「すまないキョン。周防さんを止められなかったんだ」

キョン「なんの……うおっ!?」

調子の外れた声が俺の喉から発せられていることに驚いた。

キョン「な、何をした!」

九曜をじりっと睨んで叫ぶ。
だが、悩ましいことにこの視線だと九曜にとっては単なる上目遣いにしかならなかった。

九曜「―――――」

藤原「こうでもしないと、俺たちの要求は呑んでくれないだろ?少しばかり手荒な真似をさせてもらっただけさ」

キョン「なぁ、今俺はどうなっているんだ?佐々木よ」

138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 09:12:22.22 ID:V0CS5abl0


佐々木「その……見た目幼稚園児だよ。橘さん、手鏡を貸してくれません?」

橘「ええ……はい」

橘がカバンから手鏡を取り出すと、俺の前に差し出した。

キョン「な、なんじゃこりゃ……」

思わず顔を両手で撫で回す。
本当に幼稚園児だった。以前掃除中に見つけた幼稚園のアルバムにも、こんな顔がしっかり写っていた。

藤原「戻して欲しければ、俺たちに協力することだな。どうだ、やる気になったか?」

キョン「そいつは卑怯だぞ、今すぐ戻せ!」

藤原「ほらほら落ち着け、お坊ちゃま」クスクス

キョン「くそったれ……!」

139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 09:20:21.85 ID:V0CS5abl0

佐々木「うーん、でもキョン。僕は今の君でも許容出来そうな気がするよ。」

キョン「…そいつはどういうことだ?」

橘「だって可愛らしいじゃないですか。ほら、キョンくんよしよーし」クスクス

キョン「くっ、そういう扱いにするな!俺は高校生だぞ!」

藤原「ふふっ。今の君は怒ってもまるで迫力がない。無駄なことだ」

キョン「……俺はもう帰るからな!」

佐々木「待ってくれ、今の君じゃきっと外を出歩くことは不可能だ。一旦僕の家に寄って行かないか?」

佐々木「小さい頃の服がまだ残っているだろうから、それを着用すればなんとか出歩けるだろう」

苦渋ながらも、俺にはその選択を呑むしかなかった。
こんな姿でハルヒにみられたら古泉達が積み上げてきたものがパーになっちまうからな。

キョン「わ、わかったよ。佐々木、頼んだぞ」

藤原「俺たちもいこう。着替えを済ませたら、あいつの家に押しかけるぞ」

九曜「――――」

橘「はぁ、可愛いです……」

キョン「や、やめてくれよ。」

弱ったなあ……

140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 09:28:36.80 ID:V0CS5abl0


佐々木「どうだい、着替えは済んだかい?」

キョン「ああ、ちょうどいいのがあったよ。ありがとうな」

佐々木「どういたしまして。その、ついでのことなんだが……」

佐々木「僕のことをお姉さん、と呼んでくれたら嬉しいなあなんて……//」

キョン「……佐々木」

佐々木「ああいや。ごめんよつい……ははっ、冗談だって。」

キョン「それはつまり、幼稚園児に成り切れってことか?」

佐々木「いや、何でもないって。ほら、玄関で皆が待ってるから早く行った方がいいよ」

キョン「……じゃあ行こう、お姉ちゃん」

佐々木「う、はあっ……」きゅーん

キョン「おい佐々木、大丈夫か!?」

佐々木「ああ、大丈夫だよ……行こうかキョンくん」フラフラ

意外と、悪くないかもしれない。


141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 09:42:22.07 ID:V0CS5abl0

ガチャッ

佐々木「終わったよ橘さん」

橘「お、似合ってるじゃないですか」クスクス

キョン(一々癪に障る奴だ……)ピキピキ

佐々木「車が止まってるけど、これは誰が運転するの?言っておくけど、僕にはとても扱えないよ」

藤原「九曜がやってくれるらしい。お前運転出来るだろ?」

九曜「――――」

こいつに任せて大丈夫だろうか?そのうち居眠りでも始めなきゃ良いのだが……

佐々木「じゃ、乗ろうか。キョンくん、一人で大丈夫かい?」

キョン「佐々木、お前なあ……」

佐々木「だってその格好だと……くっくっくっ、ごめんよ。さ、手を」スッ

キョン「ったく。よいしょっと」

143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 09:52:04.46 ID:V0CS5abl0

ブーン……
意外にもうまかった。一応こいつは宇宙人だったな、見くびっていたよ。

佐々木「それでね、キョンがお姉ちゃん……なんて言い出すもんだから」

橘「えっ、じゃあ私も!私もなにか呼んで下さい!」

キョン「……何かってなんだよ」ムスッ

藤原「はっはっ、こいつは愉快だ。いいぞ、もっとやれ」

キョン「ああ、うるさいぞ藤原」

キョン「ゴホンッ……ええと、きょうこ、ちゃん?」

橘「!!ふぃーっ……」クラッ

佐々木「ちょっと、橘さんしっかりしてよ」クスクス

藤原(な、なるほど、どうやら解せんものでもなさそうだな……)ツーッ

145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 10:02:20.86 ID:V0CS5abl0

キキーッ!

キョン「うおっ!」

佐々木「っと……どうしたの?」

九曜「――――おでまし」

藤原「あらまあ……こいつは面白いことになってきたじゃないか」

橘「もう、鬱陶しい奴らですね……」

長門『……』

古泉『返してもらいましょうか、私たちの大切な団員を』

みくる『キョンくんは、手にい、いれささませーんっ!』

ハルヒ『ねぇ、キョンは?キョンはどこに居んのよ?出てきなさーい!』


147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 10:09:56.01 ID:V0CS5abl0

SOS団のメンバーが行く道を塞いでいた。どうやら俺を救出しにきたらしい。
たぶん長門辺りが知らせてくれたんだろう。助かるぜ。

橘「ついにこの日が来た、って感じですね」

九曜「――――」ガチャッ

橘「私たちも降りましょう。さあ、佐々木さん、キョンくん」


みくる「お、降りてきましたよー……」

長門「……!」

古泉「……な、これは!?」

キョン「いやぁ、すまん古泉。ちょっと色々あってな」

ハルヒ「え、どういうこと?あんた本当にキョンなの?」


149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 10:15:30.29 ID:V0CS5abl0


佐々木「涼宮さん、お久しぶりです。」

ハルヒ「貴方……!ちょっと、うちのキョンを返しなさい?」

橘「いいですよ。ただし、条件が有ります」

ハルヒ「何でもいいから早く言ってごらんなさい!」

キョン「……なぁ、橘。」

橘「ん、どうしました?」

ハルヒ「何?聞こえないわよ!」

キョン「どうでも良いけどさ、まず戻してくれないか?」

橘「……そ、それはダメです。あなたはこのままでいるべきです!その方が可愛いじゃないですか!」

ハルヒ「こら、あたしを無視しないでよ!」

150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 10:21:01.05 ID:V0CS5abl0


なるほど、そうか……じゃあ一か八かだ!

キョン「このまま戻さないのと、僕が同意するのと、どっちがいいの?ねぇきょうこちゃん!」

………

キョン(ど、どうだ……?)

長ハみ古藤(なに、この子可愛い……)

橘「くっ…ううっ……わかりました!わかりましたから。ほらキョンくん、拗ねないで!」

キョン(ああ、全く何やってんだ俺……)

どうやら抗争勃発は何とか免れたようだが……
頼む、誰か早く元に戻してくれ。

151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 10:26:14.80 ID:V0CS5abl0


ワイワイ

ハルヒ「キョン、アンタすごいわね。あたしより団長に向いてるかも……」

キョン「んなこと言われても……」

みくる「キョンくん、お茶ですー」

キョン「ああ、どうも」コトッ

橘「そういえば私たち、何やってるんでしょうね?」

佐々木「うーん、これでよかったのでは?無駄な争いも無く済んだことですし」

橘「……そうですねっ」くすっ

長門「……………たまご」

九曜「―――――ごま」

藤古「……悪くない。」

キョン「……何がだ!?」

153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 10:28:10.99 ID:V0CS5abl0

おわり。
次は九曜です。ちょっと休憩させて下さい

157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 11:10:17.83 ID:V0CS5abl0

あら、炬燵の電源がつかないでござるの巻……
気を取り直して、九曜です。

ガチャッ
キョン「ういーす」

ってあれ、誰もいない。珍しいな、長門すらいないなんて。

キョン「よっこいしょっと……」

カチッ、カチッ、カチッ

……暇だ。
いつもながら本を読む長門の姿を眺めてるだけでいい暇つぶしになるのだが……
誰か来るまで寝るとしよう。

……

ガチャッ
キョン「おっす、ってえ!?」ガタンッ

九曜「―――――おっす」

そこに立っていたのは佐々木団所属のヘンテコ宇宙人、九曜だった。

158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 11:14:54.99 ID:V0CS5abl0

キョン「な、なんでお前がここにいる?」

九曜「――――貴方に―逢いに――」

いや、聞こえはいい言葉だが……
まさか俺の首を取ってハルヒの出方を、なんてマネはしないだろうな?

九曜「―――危害は加えない」

いや、それでも俺はちっとも安心出来そうにない。

キョン「で、何をしに来たんだ?」

九曜「――――伝えたい事がある」

キョン「伝えたいこと?なんだ、俺たちに宣戦布告でもしに来たのか?」

九曜「――――まずは座って―――」

キョン「あ、ああ……」

あれ、どうやら全く話が通じない、というわけでもなさそうだ。
あの時は「貴方の瞳は―とても美しい」、だっけか?なんかそんな意味不明な会話しかしなかったからな。
ひょっとしたら、こいつも長門みたいに成長したのだろうか?

160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 11:19:54.45 ID:V0CS5abl0

前言撤回。なんだこいつ。
俺が座るといきなり飛びついてきたとおもったら、俺の膝の上に座って動かない。

キョン「いや、あのな」ワサワサワサ

……

キョン「おい、ちょっと髪の毛がくすぐったいぞ」

九曜「――――――?」

いかん、長門の表情語を会得したおかげで、大体の意思は汲み取れてしまう。
いや、決して悪くないのだが……わかってしまう自分がなんだか気に入らない。

キョン「いや、『?』じゃなくてだな。退いてくれ、いい加減くしゃみすんぞ」

九曜「――――――ご自由に」

キョン「いいのか?お前さん自慢の髪の毛に唾がぁ…へっ、へぶしっ!!」

九曜「……――――」

161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 11:26:03.48 ID:V0CS5abl0

ヒューズが飛んだのでしょうか、働いてくれる気配が無いです。
もうダメだ 諦めよう。


咄嗟に後ろを向いてしまった。相変わらずヒヨコハートだな俺は……。
まぁいい、次はないからな?ったく……それより

キョン「いや、まずお前の座るところはそこじゃない。向かいにちゃんとパイプ椅子があるだろ?」

九曜「――――――ここがいい」

キョン「駄目だ。足が痺れてかなわん」

九曜「―――――g5ifsヌq8」ブツブツ

キョン「……いや、確かに苦しゅうないが。でもきちんとパイプ椅子に座ってくれ、お願いだ」

九曜「―――――――」コク


ズズズッ……ガタッ

九曜「――――――?」

いや、確かにパイプ椅子を使ったのは偉いぞ。だが……

キョン「わざわざ俺の前に持って来んでも……」

162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 11:34:49.71 ID:V0CS5abl0


九曜「――――駄目なの?」

キョン「うぅ……」

九曜「――――――……?」

キョン「ま、まぁいいだろう。好きにしろ」

どうもこいつのキョトン顔は苦手だ。
いや、決して嫌いという意味ではなく、どうも憎めないんだよな……根っからの天然だろうから。
って、どうして俺はこいつを擁護せないかんのだ。いかんいかん、すっかり洗脳されちまうところだった。

キョン「ゴホンッ、……それで、何が言いたいんだ?」

九曜「――………」

キョン「いや、なにか言えよ」

九曜「――――貴方の瞳は、虎目石のよう。とても綺麗ね。」

キョン「………」

九曜「―――――//」

163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 11:40:44.89 ID:V0CS5abl0


グイグイ

キョン「おいやめろ、離せ!お前の意味不明さに付き合うのはもう飽き飽きなんだ!そろそろ帰らせてくれ!」

九曜「待って――――」ギュウッ

キョン「袖を引っ張るな!服が伸びるだろうが!」バッ

九曜「―――……」

キョン「もう付き合ってられん、俺は帰るからな」スタスタ

バタンッ

九曜「―――――」

……


164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 11:49:40.99 ID:V0CS5abl0

キョン(ちょっと言い過ぎたか……?)

確かに、あいつの意味不明さは群を抜いているものの……
あいつには本当に伝えたかったことがまだあったんじゃないか?わざわざ来たってのに、あれだけっていうのもおかしい。

キョン(……)

もう一度だけ、話してみるか。


ガチャッ
キョン「……その、九曜さんよ」

九曜「…………」

大分落ち込んでいるようだ。なんか、俺が悪いことしたみたいだな……

キョン「さっきは失礼を言ってすまなかった。ごめんよ」ナデナデ

キョン「まだ伝えたいことがあるんだろ?」

九曜「……――!」

九曜の顔から曇りが一瞬にして消え、見事なまでに晴れ晴れとした表情に変わった。



……だろうと思う。

165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 11:55:57.73 ID:V0CS5abl0

キョン「それで、結局何が言いたいんだ?」

九曜「―――――」

九曜「―――付いて来て」

キョン「……どこへだ?」

言っておくが、佐々木団を云々、とかいう話には乗らないからな。
藤原のような鬱陶しい奴と同席するなんて虫酸が走るし、橘の電波論を延々聴かされるのにはもう懲り懲りだ。

九曜「――――個体として」

キョン「……は?」

九曜「ふたりで――――」

結局、何が言いたいんだ?
何か言いたいのかはわかるが、きちんとしゃべってくれないと伝わらない。

九曜「―――――//」

九曜「―――嫌?――」

ごめん、ちょっと本当に何言っているかわからない。

166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 12:01:39.23 ID:V0CS5abl0

キョン「んー……あ」

そうだ、ペンだ。ペンを持たせてみよう。
筆談であれば何がいいたいのかわかるだろうからな。

キョン「ほら九曜、ペンだ。わかるな?」

九曜「―――――馬鹿にしないで」

キョン「くっ……ほら、これでお前の言いたいことをこの紙に書いてみろ」

九曜「―――了解――」


168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 12:11:47.97 ID:V0CS5abl0

シャッシャッシャッと、ペン先のこすれる音が室内に響き渡る。

……長いな。何やってんだ?

キョン「っておい、絵じゃねえから!……あ、でもわかるか。続けてくれ」

九曜「―――――」コクッ

キョン「………」

九曜「――でき――た」

キョン「お、本当か。見せてくれ」

九曜「――――」スッ

キョン「どれどれ……!?」

170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 12:18:41.35 ID:V0CS5abl0


……なんだこれ?
限りなく幼児の落書きに近いレベルだが、コイツが書くとどことなくピカソを思わせるような……
いや、そんなことはないか。宇宙人補正って奴だよたぶん。

九曜「――――♪」

キョン「すまん、よく意図が汲み取れなかった。」

九曜「―――……」ムスッ

キョン「ああ、悪かったって!」

ガラッ

ハルヒ「やっほーっ!……ってあれ?」

九曜「――――」

ハルヒ「――――?」

171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 12:21:30.90 ID:V0CS5abl0

ハルヒ「ねぇ、この子誰?名前は?」

キョン「周防九曜だ。ほら、この前佐々木と一緒にいただろ?」

ハルヒ「……あそっか、忘れてたわ。ごめんね、周防さん?」

九曜「―――――」

ハルヒ「ねぇキョン、この子何しに来たの?」

キョン「それが、何をしに来たのかわからないから困っているんだ……」

ハルヒ「あっそ……取り敢えず、なんかして遊べばいいんじゃないかしら?」

九曜「―――――」スッ

キョン「どうしたんだ九曜?いきなり立ち上がって」

九曜「――――かえる」

トットットッ……


ハルヒ「あらら、なんだったのかしら?」

キョン「さぁ……」

172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 12:27:17.94 ID:V0CS5abl0



橘「どうでした?周防さん」

九曜「―――――」フルフル

橘「えっ、どうしてですか?」

九曜「――断られてはいないの。ただ」

橘「へっ?」

九曜「――――タイミングが悪かった」


橘「……なるほど、涼宮ハルヒですか。ていうかあの人もあの人で鈍感すぎるんですよ……」

橘「こうなったら私も行きますよ!」

九曜「―――――?」

橘「ほら、今日は早く寝なさい?明日に備えるんです。」

九曜「――わかった……」

174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 12:36:36.85 ID:V0CS5abl0


ガチャッ

キョン「行ってきまーす」

橘(ほら、周防さん出てきましたよ。さ、今です)

九曜(―――――)

ザザッ

キョン「ん?」

橘「お久しぶりです、キョンさん。」

キョン「お前……!」

九曜「―――――」ヒョコッ

キョン「あ、九曜……おはよう」

九曜「――――おはよう」

橘「………」

175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 12:43:12.34 ID:V0CS5abl0

橘「昨日は彼女が言いたいことを言えず仕舞いで帰ってしまったようですから、いまこの場で言わせて頂きます。さ、周防さん!」

九曜「―――――好き」

キョン「……は?」

九曜「―――――貴方のことが」

キョン「………?」

橘「だーっ!つまり、周防さんは貴方のことが好きなんですよっ!」

キョン「……マジで?」

橘「大マジです!さ、返答はどうなんですか?」

九曜「―――――」

キョン「えっと……」

176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 12:45:08.54 ID:V0CS5abl0




キョン「ああ、その……すまん、ちょっと遅刻しそうだからまた今度!!」ダッ

橘「………」

橘「あのヘタレ……周防さんもどうしてあんな奴が好きになったんですか?」

九曜「目が―とても綺麗――…澄んでいる――から」

橘「はぁ。全く……貴方も次はガツンと言ってやるんですよ!わかりましたね?」

九曜「―――――がんばれ私」

おわり



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