キョン妹「ありがとう涼宮さん」


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2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 09:32:59.73 ID:RAsUbLvSO


サンタクロースを信じるかって? そんなものは確信をもって言える。
『そんなものはいない』

宇宙人、超能力、幽霊、妖怪、神様?そんなものが存在するものなら、私の前に出てきたら? 一発殴り飛ばしてあげるから

夢がない? 私にだって『そんな存在』を信じている時代はあった

クリスマスイブの日はサンタクロースに会うために夜中まで眠い目を擦り、ひたすら玄関の前でまだかまだかと待っていた。

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 09:34:22.80 ID:RAsUbLvSO

ヒーローや魔法少女だって、実は私が気付かないだけでこの世界のどこかで悪い奴らと日々戦っていると信じていた。

だから、私は毎日こんなにも平和に家族と暮らせているんだと……

幸せは永遠に続くものだと……

うん。知ってる。

こんなものはあっさり無くなってしまうものなんだと

小学四年生の春。

キョンくんが死んだ。



6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 09:35:34.79 ID:RAsUbLvSO

キョンくんは入学式が終わったその日、まっすぐ家に帰ってくると私にこれからの楽しいであろう高校生活を自慢げにに話してきた。

私が羨ましそうに話を聞いていると、キョンくんはからかうようにニッと笑うと

キョン「お前もすぐに大人になるさ」

と言って乱暴に頭を撫でてきた。

キョン妹「やめてよぉ…。キョンくんなんて嫌い!」
キョン「嫌いで結構。んじゃ、夕飯まで少し寝させてくれ。昨日、緊張して寝れなかったからな」

キョン妹「はぁい」

これが私の覚えているキョンくんとの最後の会話だった

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 09:36:41.30 ID:RAsUbLvSO

その後、私も自室に戻り深い眠りについてしまっていたので、親から聞いた話になる。

3時くらいに起きてきたキョンくんは、飲み物を買いにコンビニに行ったきり、帰ってこなくなった。

不審に思った親が携帯に連絡したがかえってきた返事は電波が届きませんのアナウンス

私が起きてきた頃には既に警察に連絡した後で、私は訳がわからないまま顔面蒼白の母親に手を引かれながら病院へと連れていかれた。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 09:37:55.76 ID:RAsUbLvSO

「遺体のご確認をお願い致します」

病院に着いて警察官からの私たちへの第一声……小さいながらも私はキョンくんが死んでしまったんだと理解した。

原因は横断歩道を渡っていたところに居眠り運転の車が突っ込んできたらしい。

私は泣いた。 一生分の涙をあの時に流したのだと今になって思う。


この時を境に私の転落人生が始まったのだ……

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 09:39:20.25 ID:RAsUbLvSO

キョンくんが死んでから、家族の会話が徐々に減り、夫婦喧嘩が絶えなくなった。

日に日にひどくなるそれは、最後には家庭内暴力へと発展していった。私も何回も殴られ、痣を隠すため夏でも長袖を着て学校へと通った

中学になると、父親は他に女が出来たのだろうか、家にはほとんど帰らなくなり母親もそれを知ってか知らずか、昼間からどこぞの男を家に連れ込むようになっていた。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 09:40:26.71 ID:RAsUbLvSO


ここからは地獄だった。

キョン妹「お母さんご飯……」

母「ない」

キョン妹「じゃあ、買ってくるよ。お金……」

母「ない」


母は男に金を貢ぐようになり、私への生活費はまったく出さなくなっていた。中学生だった私はバイトが出来るはずもなく

生きる為に体を売り続けた。

最初は凄い罪悪感で、死にたくなった事もあったけど、そんな生活が半年も続くと
もはや、体を売るということに抵抗は無くなり毎晩毎晩、淋しさを埋めるかのように知らない男に抱かれ続けた

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 09:41:39.84 ID:RAsUbLvSO

………

運命? それだけは信じている。

人間はひかれたレールをただただ進んでいくだけ。

私は不幸に生きるレールをひかれていただけ……何も出来ない。何も変えられない 。 あとは、そう。

キョンくんみたいにあっさり死んじゃうんだよ。きっと……

そして私は惰性的に高校進学を決め、つまらなく苦痛な学校生活を思い浮べながら入学式当日を迎え

涼宮ハルヒに出ってしまったのだ。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 09:43:02.04 ID:RAsUbLvSO


新しい教室。新しいクラスメイト。

普通なら期待に溢れる高校生活の第一歩なのだろうけど、私にはただの1日となんにも変わりが無かった。

キョン妹「……です。よろしくお願いします」

当たり障りの無い自己紹介終え席に着き、社交辞令の拍手に耳を傾けていると、突然後ろの女子が大きな物音と共に立ち上がった。

ハルヒ「あぁ!机が……コホン。東中出身、涼宮ハルヒ。ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら私のところまできなしゃい。以上」

大事なところで噛んじゃったよこの子……
思わず振り向いた私の目の前には目鼻立ちが整い、黄色いカチューシャがよく似合う美人が立っていた。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 09:44:13.53 ID:RAsUbLvSO


クラスは一瞬で笑い声に包まれ、最初は教室中を睨むような目付きで見渡していた彼女も恥ずかしくなってきたのだろうか?
顔を少し赤らめ
「ふんっ」

と言いながらそのまま席に着いてしまった。

そんな彼女にイタズラ心に火が点いてしまった私は

キョン妹「どこまで本気なの?」

ハルヒ「うるさい!全部本気よ!」

キョン妹「何よ……怒鳴らなくたっていいじゃない。見つかるといいわね。宇宙人」

ハルヒ「…」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 09:45:25.86 ID:RAsUbLvSO


お互いの第一印象は最悪たったかもしれないが、きっとこれがなければ私たちは3年という高校生活で二度と言葉を交わすことはなかっただろう。

間違いない!と、どっかの忘れ去られた芸人の言葉が思い浮かんでくるくらい私はこういう夢見がちな『電波女』が一番嫌いな人種に入るからだ。

だから、今日で彼女と会話するのは終わり。バイバイ涼宮ハルヒ。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 09:47:08.71 ID:RAsUbLvSO

………

それから数週間、涼宮ハルヒは不気味なくらい静かに過ごしていたし、私も適当に遊んでそうな女と友達ごっこしながら平穏に過ごしていた

まあ、私の人生なんて思い通りにいかないのなんて始めからわかっていたのだけど……

クラスで初めての席替えで窓際後方二番目という、絶好のポジションを獲得したものの、後ろにはあの涼宮ハルヒが座っていたのだ。

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 09:48:15.97 ID:RAsUbLvSO



誰でも間違いはあるものだと思う。 二度と話すまいと思っていたはずなのに何を血迷ったのだろうか……
私は涼宮ハルヒに話し掛けてしまった

キョン妹「また涼宮さんの前ね……」

ハルヒ「何よ……文句あるの」

キョン妹「大有りよ」

ハルヒ「別に気にしなければいいじゃない」

キョン妹「嫌でも目につくのよ、涼宮さんは」

ハルヒ「ど、どういう意味よ!それ!」

キョン妹「そのままの意味よ」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 09:49:49.04 ID:RAsUbLvSO


きっかけなんて、結局どんな形でもいいんだろうね。
それからというもの、私は毎朝涼宮ハルヒと話すようになっていた

キョン妹「涼宮さん、毎日絆創膏を増やすのは宇宙人対策かなにかなの?」

ハルヒ「……ちょっと転んだだけよ」

キョン妹「ふーん。そういえばちょっと小耳に挟んだだけど全部の部活動に仮入部してるんだって?どうして?」

ハルヒ「不思議があるかも知れないでしょ!けど、全然ダメね。まるで普通よ」

キョン妹「へぇ…」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 09:52:41.30 ID:RAsUbLvSO



涼宮ハルヒは延々とあの部活はこれが駄目、あの部活はマニアの集まりでしかないとか……

こんな事を言っている彼女だが私は知っている。というかもはや全校生徒の常識とも言えるかもしれない。

そう。涼宮ハルヒは何をやらせてもまるで駄目なのだ。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 09:53:47.35 ID:RAsUbLvSO



駄目さその一。
ご存知の通り、涼宮ハルヒはすべての部活に仮入部したのだが、バスケットでは突き指、サッカーでは豪快にすっ転び、科学部の実験では何を混ぜたか知らないがビーカーを爆発させ
仕舞いには野球部でフライをとろうとして転倒、頭を打ったらしく動かなくなってしまい救急車が来る騒ぎになった。

もちろん、そんな彼女に勧誘の声などかかるはずもなく

半ば強制退部させられていた。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 09:54:53.04 ID:RAsUbLvSO



駄目さその二。

朝、涼宮ハルヒが登校してくるとなにやら男子がニヤニヤした顔で彼女の後ろ姿を見ていた。
不思議に思い彼らの視線を追ってみると、彼女のスカートがめくり上がり、パンツが丸見えの状態だったのだ。
違う日には靴下の種類が左右で逆だったり、制服の下にパジャマを着たままだったりと。
さすがに見兼ねた学級委員の朝倉涼子が毎朝説教をしているのが恒例行事になっている。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 09:56:06.39 ID:RAsUbLvSO


あげたらキリがない涼宮ハルヒの駄目伝説は尾びれ背鰭をつけながら、彼女を有名にしていき、そして彼女に近づこうとする人はいなくなっていた。

ハルヒ「つまり、私は不思議に出会いたいのよ。高校に入ればきっと何か見つかると思ったのに……結局何も変わらないわね……」

キョン妹「そんなものよ。涼宮さん、外見凄い美人なんだから彼氏でも作って普通の高校生活送ったら?」

ハルヒ「いやよ。それが嫌だから毎日こうして……」

キョン妹「毎日探して見付かった?何かが変わった?結局、私たちみたいな平凡な人間には何も出来ないの。」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 09:57:23.65 ID:RAsUbLvSO



キョン妹「もし、変えられるとしてもそれは選ばれた一部の人間だけね。私達はそうじゃなかっただけ」


キョン妹「私だって変えてみたいと思った時期もあったわよ?でもね、悟ったの。無理だってね……」


ハルヒ「……うるさい!」

彼女はまわりに響くように怒鳴り声を上げるとそのまま机に突っ伏してしまった。
ちょっと言い過ぎたかも知れないが彼女にもわかってもらいたかった。人生や運命なんて変えられないって……

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 09:58:35.39 ID:RAsUbLvSO



それからというもの、涼宮ハルヒは毎日何かを考えるように外を眺め、かと思えば授業終了のチャイムが鳴ると同時に教室から出ていってしまい、そのまま帰ってこなかったりと

私も少し謝る機会をうかがっていたが、なかなかチャンスを掴めずに一週間が過ぎ

そして、それは唐突にやってきたのだった。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 09:59:52.18 ID:RAsUbLvSO

……

退屈な授業に、春の暖かな陽気に眠気を誘われうつらうつらとしていた私の襟首が捕まれ、驚くような勢いで後ろに引っ張られ

ゴツン!という、生々しい音と共に私の後頭部に激痛が走った

キョン妹「いたた……ちょっと何するのよ!」

後ろの犯人を見てみると何故か鼻の頭を押さえながら痛みを必死にこらえ突っ立っていた

キョン妹「……何してるのよ」

ハルヒ「いたた……き、気付いたのよ!」

キョン妹「何によ?」

ハルヒ「部活よ!部活!」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:01:13.40 ID:RAsUbLvSO



ハルヒ「ああ!なんで気付かなかったのかしら!思い立ったが吉日!今日から始めるわよ!」

キョン妹「何を言ってるか分からないけど取り敢えず今は落ち着いたら?」

ハルヒ「なんのこと?」

キョン妹「授業中だから」
まわりの視線にようやく気付き、涼宮ハルヒは顔を真っ赤にしながら席についた。
キョン妹「後でゆっくり聞くから……ほら、ティッシュ」

ハルヒ「えっ?」

キョン妹「鼻血出てるわよ……」

ハルヒ「……ごめん」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:02:57.81 ID:RAsUbLvSO



休み時間、制服についた汚れを落とすために席を外した涼宮ハルヒ。
そのタイミングを狙ったかのように朝倉涼子が話し掛けてきた

朝倉「随分、仲良さそうね?」

キョン妹「別に……関係ないでしょ」

朝倉「あら?そんな事ないわよ、私だってクラスメイトだもの。」

キョン妹「あっそ。で、何の用?」

朝倉「随分私には冷たいのね。クラスで孤立してた涼宮さんに友達が出来てよかったわ。私も仲良くなりたいんだけど、コツでもあるの?」

キョン妹「……」

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:04:06.19 ID:RAsUbLvSO



朝倉「…まあいいわ。仲良くするのが無理だったら、何かあったらあなたを通して頼むからよろしくね」

彼女はそれだけ言うと、満足したのか自分の友達の輪へと戻っていった。

キョン妹「あんまり好きじゃないのよね……」


ハルヒ「何が?」

キョン妹「うわっ!戻ってたの?」

ハルヒ「戻ってたら何よ?……それより何が好きじゃないのよ?」

キョン妹「……朝倉よ」

ハルヒ「朝……倉……って誰よ?」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:05:10.23 ID:RAsUbLvSO



キョン妹「クラスメイトの名前くらい覚えたら?」

ハルヒ「興味無いのよ」

キョン妹「……学級委員よ。私、涼宮さんみたいに電波な人も嫌いだけど、ああいう挫折はしりません!的な八方美人はもっと嫌いなの」

ハルヒ「さらっと失礼な事言うわね。なに?あんたは挫折した時あんの?」

キョン妹「……どうだろ」

ハルヒ「……ふうん」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:06:18.96 ID:RAsUbLvSO

……

それから昼休みになると、涼宮ハルヒに手を引かれるがまま階段の踊り場に連れていかれた

キョン妹「で、何を思いついたの?」

ハルヒ「部活を作るのよ!私達で!」

キョン妹「私達でって、なんで私も含まれてるのよ?」

ハルヒ「とりあえず部活の申請とかはやらなくていいか……私、そういうのうまくいった試しないのよね!」

彼女は私の話など聞かなかったように1人でうんうん頷いていた

キョン妹「はあ。よくわかってるじゃない自分の事」

ハルヒ「とりあえず、私は使えそうな部室と部員を探すから!また放課後ね!」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:08:07.68 ID:RAsUbLvSO



キョン妹「ちょっと待って」

ハルヒ「何よ?質問なら後にして、忙しいから」

キョン妹「今日はちょっと……週3でバイトがあるの」

ハルヒ「じゃあ、そこ辞めて。」

キョン妹「……生活がかかってるの」

ハルヒ「……しょうがないわね。明日の放課後まで待ってあげるから、じゃね!」

キョン妹「……」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:09:14.97 ID:RAsUbLvSO



それから彼女は教室へとは戻ってこなかった。

帰り道、いつものようにテレクラに電話をかけお金をくれる男のところへと迎う。

夜の姿が見え隠れするこの時間帯…人の欲望が渦巻く街中が春の陽気のせいか、それとも彼女のせいか

今日は少し輝いて見えた。

キョン妹「……部活……か」

思わず笑ってしまう。少し、期待してる自分がおかしかった

生活しなくちゃいけないから。淋しいから。そう。変わらないんだ。何も

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:10:28.09 ID:RAsUbLvSO



翌日の放課後、涼宮さんにまたしても腕を引かれながらその部屋の前まで連れていかれた

キョン妹「文芸部?」

ハルヒ「そう。今年で部員が一人になっちゃって廃部寸前らしいのよ」

キョン妹「寸前って事はまだ部員いるんでしょ?いいの?」

ハルヒ「貸してって言ったらいいですよだって」

そういうと彼女はドアノブに手をかけ満面の笑みで

ハルヒ「不思議がまってるわよ!」

と勢い良くドアを開けた。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:11:36.23 ID:RAsUbLvSO



随分くたびれたその部室にはパイプ椅子と机、そして大量の本と

まるでフランス人形のような清楚な顔立ちの少女が窓際に座っていた
彼女はちらりとこちらを見ると爽やかな笑顔を向けてきた

ハルヒ「紹介するわ!二年生で文芸部員の喜緑さん!」

キョン妹「はじめまして」

喜緑「はじめまして。喜緑江美里です」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:12:36.77 ID:RAsUbLvSO



キョン妹「えーと、いいんですか?」

喜緑「内容はお聞きしました。素晴らしいじゃないですか、不思議探しだなんて」

キョン妹「そうですか?」

喜緑「ええ、それにこんな広い部室に1人は淋しいと思ってましたから」

キョン妹「……わかりました。それで涼宮さん、部活名とか活動内容はどうするの?」

ハルヒ「そのへんはぬかりは無いわよ。発表します!」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:14:08.73 ID:RAsUbLvSO



ハルヒ「SOS団よ!」

……
どうやらSOS団とは世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団らしい
活動内容は世界の不思議(宇宙人、未来人、異世界人超能力者)等を見つけだすことらしい。

わかっていたことだけど、今更呆れてしまう。

喜緑「私も是非参加させてくださいね」

ハルヒ「初めからそのつもりよ!あ、ちなみに私が団長であんたが副団長だからね。喜緑さんは悪いけど平隊員ね!」

喜緑「えぇ。わかりました」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:17:23.94 ID:RAsUbLvSO

それから数日は部室の片付けや、模様替えなどしていたが
まぁ、結局のとこ、特にやることもなくいつも帰宅時間をむかえているだけだった

ハルヒ「せっかくだからみんなで帰りましょう!」

喜緑「いいですね。まだ、皆さんの事もよく知らないですし」

ハルヒ「あんたも賛成でしょ?」

キョン妹「まぁ予定はないし、いいんじゃない?」

ハルヒ「じゃ決定ね!駅前にいい喫茶店があるねよ!」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:18:37.99 ID:RAsUbLvSO


喫茶店では涼宮さんの独壇場だった。

彼女の中学時代、校庭にでっかい絵を書こうとしたが途中で警察に発見され、校長、担任、母親にこってり絞られた事

ハルヒ「あれはトラウマね……七夕になるといつも憂鬱になるのよ」

キョン妹「あんた昔から抜けてるのね」

喜緑「涼宮さんらしいです」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:21:54.61 ID:RAsUbLvSO



たくさんの男に告白され、すべてと付き合って、すぐにふったこと

ハルヒ「谷口なんかは5分で終わったかしら?」

キョン妹「えっ?あいつも告白してきたの?キモッ」

喜緑「涼宮さんもてますね。羨ましいです」

ハルヒ「全然駄目。みんなまともすぎて……くだらない男しかいないのかって」

キョン妹「なんならよかったのよ?」

ハルヒ「やっぱり宇宙人とかね!」

キョン妹「馬鹿ね……」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:23:27.37 ID:RAsUbLvSO



……

ハルヒ「随分、遅くなっちゃったわね」

キョン妹「誰かさんがベラベラ喋り続けるからね」

喜緑「ふふっ、じゃあそろそろ解散しましょうか」

ハルヒ「そうね。じゃあまた明日放課後ね!来ないと死刑だから!」

キョン妹「あっ……明日は……行っちゃった……明日でいいか」

キョン妹「じゃ、私も帰ります。喜緑さん、気を付けて帰ってくださいね」

喜緑さんの方を見ると、私は一瞬で背筋が凍った

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:24:30.08 ID:RAsUbLvSO



さっきまでの清楚で笑顔のままなのだが、その人間とは思えない鋭い眼光にたじろいでしまった。

喜緑「少し、お時間いただけますか?」

キョン妹「……なに?」

喜緑「そんなに警戒しないでください。私の家が近いのでそこで」

体が拒否反応を起こしていたが、断ることの出来ない威圧感に口から出てきたのは逆の言葉だった

キョン妹「はい……」

喜緑「着いてきてください」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:25:33.62 ID:RAsUbLvSO



案内されたのは、とても普通の収入では住めないようなマンションの一角

部屋に入るとそこは外見に似合わず、和風一色で統一されていた

喜緑「座って待っててください。お茶だしますから」

キョン妹「……家の人は?」

喜緑「私しかいませんよ」
キョン妹「へ、へぇ。お金持ちなんですね」

喜緑「そんな事ありませんよ?……さあ、どうぞ。」
目の前に出されたお茶はとても香ばしい匂いを出していたがまったく喉を通る気がしなかった

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:27:40.62 ID:RAsUbLvSO



喜緑「先程は驚かせてしまったようで」

キョン妹「……いえ、それで話ってなんですか?」

喜緑「とても大切な話しだったので……つい。では、本題です」

喜緑「私は人間ではありません」

キョン妹「はい?」

喜緑「そのままの意味で受け取ってください」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:28:37.19 ID:RAsUbLvSO


喜緑「私はこの銀河を統括する情報統合思念体によって造られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース」

キョン妹「インターフェース?」

喜緑「つまり、宇宙人です。さらに突っ込んだ話をしますね」

それから彼女は私にでも分かるように説明してくれた

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:29:41.29 ID:RAsUbLvSO



………

キョン妹「つまり、その情報爆発は涼宮さんが原因で、あなたたちは自律進化の可能性を求めてきたのね」

喜緑「今はあくまで可能性が高いってだけですね。なにせ力が弱すぎますから……」

喜緑「しかし、その片鱗が徐々に見えてきています。宇宙人の私が彼女に見つかったのもその力のせいかもしれません」

キョン妹「あの……正直にいいですか?」

喜緑「はい」

キョン妹「アホらしくて帰りたいです」

喜緑「そうくると思ってました」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:30:47.56 ID:RAsUbLvSO



キョン妹「電波は涼宮さんだけで十分です。すいません、私は現実主義者なので……帰ります」

喜緑「そうですか……しかたないですね」

私が玄関に向けて背を向けると同時に後ろから早口のような言葉が聞こえた

キョン妹「えっ……」

今まで目の前にあったはずの玄関は初めからなかったようにそこはただの壁になっていた

続けてさらに言葉が聞こえてくる

キョン妹「体が……動かない……」

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:31:49.59 ID:RAsUbLvSO



喜緑「ごめんなさい。この話を信じてもらえないなら殺すつもりだったの」

キョン妹「えっ……ちょ……さっきの話し本気なの!?」

喜緑「あら?さっきまで信じてなかったのに……残念ね、もう遅いわ」

彼女のまわりに鋭いナイフが次々現れてその切っ先は私に向けられ

喜緑「さよなら」

彼女が言うと同時にナイフが私の頭を目がけ飛んできた

ああ。駄目だ……やっぱりあっさり死ぬんだ私…

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:33:09.34 ID:RAsUbLvSO



死を覚悟し、観念した私にいつまでたってもその衝撃がこないことを不思議に思い、恐る恐る目をあけると
ナイフは私の数センチ手前で止まっていた。

喜緑「ごめんなさい。悪ふざけがすぎたわ」

キョン妹「……どういうつもり?」

喜緑「百聞は一見にしかず、でしたか?初めは体を動かさなくするまでと考えていたのですが……少しおもしろくなってしまいました」

キョン妹「見た目によらず過激なのね……」

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:34:22.96 ID:RAsUbLvSO


喜緑「信じてもらえて何よりです。あなたは涼宮さんに選ばれた方ですから」

キョン妹「選ばれた?私が?」

喜緑「先程も話したように、あくまで可能性ですが私が選ばれたようにあなたにも何かあるのかもしれません」

キョン妹「……」

喜緑「それと、最近むやみに涼宮さんの力を引き出そうという急進派が活発に動いています。あなたも気を付けてください」

キョン妹「宇宙人相手にどうしろっていうのよ……」
喜緑「その為に私がいますから、安心してください」

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:35:43.05 ID:RAsUbLvSO

キョン妹「……とりあえず今日は帰ります。頭の整理もしたいし」

喜緑「はい。気を付けてくださいね?」

キョン妹 「嫌み?」

喜緑「ふふっ、それともう一つ」

キョン妹「ん?」

喜緑「私も、涼宮さんも本音で話してきました。あなたも話してもいいんじゃないかしら」

キョン妹「……すべてお見通しってわけね」

喜緑「深い意味はありません。ただ、涼宮さんはあんな感じですが、心やさしい方ですよ? あなたも気付いてるでは?」

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:37:03.26 ID:RAsUbLvSO



キョン妹「……わかってる」

喜緑「彼女ならきっとよりよい方向へ導いてくれるはずです」

キョン妹「そう……かもね……」


………

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:38:17.84 ID:RAsUbLvSO


………

喜緑「盗み聞きとははしたないですね、朝倉」

朝倉「……あなたらしくないわね。あんなにペラペラ話すなんて」

喜緑「急進派に釘をさすためよ。主流派が静観を決めた以上、あなたたちが勝手に動くことは許されない。」

朝倉「そんなつもりは無いわよ。『今』はね」

喜緑「その時は私達も黙ってないわよ。それとも今すぐ連結解除されたいのかしら?」

朝倉「じ、冗談よ。穏健派のナンバー2を相手に出来るほど私の能力は高くないし」

喜緑「なら、今すぐ出ていきなさい。朝倉」

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:39:56.54 ID:RAsUbLvSO



朝倉「はいはい。でも、下を見くびるといつか足元すくわれるわよ? ばいばい」

喜緑「……」



75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:41:08.31 ID:RAsUbLvSO



キョン妹「宇宙人と願望実現かあ」

マンションからの帰り道、これまでの事を少しまとめようとしたが中々思うようにいかない
しかも、宇宙人に狙われるかもしれない

キョン妹「めんどくさい事になったわね……」

しかし、言葉と裏腹に気分は不思議にも高まっていた。
空を見上げると星が綺麗にひかり、月が明るく私を照らしていた

キョン妹「キョンくんの言った通りだね……」

私は伝えたい人が居るであろう夜空に言葉を続けた

キョン妹「高校生活って楽しいね……」

声は届いてくれただろうか?

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:42:04.88 ID:RAsUbLvSO



それから、私はバイトの無い日は必ず部室に顔を出し、涼宮さんのわけのわからない発言に突っ込みをいれ、喜緑さんがそれを見て笑う。

休みの日は不思議探険という名目の三人でのショッピング

喜緑さんを除いては、相も変わらず不思議なものなんて見つからなかったが

そんなもの見つからなくても、私、涼宮さん、喜緑さんは楽しい学校生活を満喫し

三人は仲を深めていった

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:43:09.97 ID:RAsUbLvSO

ハルヒ「随分眠そうね」

キョン妹「最近考え事多くて寝れないの」

ハルヒ「健康管理に気を付けるのも団員の役目よ!」

キョン妹「わかってる……ねぇ、涼宮さん?」

ハルヒ「ん?何よ?」

キョン妹「……やっぱりなんでもない」

ハルヒ「なにそれ、はっきりしなさい」

キョン妹「……」

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:43:54.52 ID:RAsUbLvSO



ハルヒ「まぁ、いいわ。それより毎日パンばっかりね?お弁当は?」

キョン妹「親が忙しくて……」

ハルヒ「ふーん……」

キョン妹「それよりほらっ!今週の不思議探検の予定たてよ!」

ハルヒ「そ、そうね」

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:44:41.21 ID:RAsUbLvSO


さらに翌日

ハルヒ「はい、これ」

キョン妹「なにこれ?」

私の目の前には紙袋が差し出されていた

ハルヒ「お弁当よ!お・べん・と・う!」

キョン妹「見ればわかるよ、まさか私に?」

ハルヒ「そうよ。パンじゃ栄養もつかないし、お金もったいないじゃない!だからよ」

ハルヒ「まあ、私もともと料理得意だから!ありがたくいただきなさい」

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:45:28.96 ID:RAsUbLvSO


よくよく見ると、彼女の手には絆創膏がたくさん貼られていた

お弁当の蓋を開けると、そこにはお世辞にもうまいとは言えないタコさんウィンナー、ウサギのはずのりんご、少し焦げている玉子焼き

一つ摘んで食べてみる

ハルヒ「ど、どう?おいしい?」

キョン妹「まずい……」

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:46:45.72 ID:RAsUbLvSO


ハルヒ「はあ?あんた作ってもらってなに………ちょっと……なんで泣いてんのよあんた……」


私はこの嫌いな人種の夢見がちな電波女が

いつからだろう……

とてもとても 大切な友人に変化していた

失いたくない、ずっと一緒にいたい

初めてそう思える人と出会ってしまった

キョン妹「目に……目にゴミが入っただけよ……」

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:47:58.07 ID:RAsUbLvSO



しかし、それと同時に私は真実を話せなくなっていた。
もし、バイトの事を話せば彼女は離れてしまうかもしれない……

でも、バレなきゃ大丈夫だよね?と、罪悪感を感じながらも自分に言い聞かせながらなんとか過ごしてきた

なんて事はない。そう気楽に考えているとき事件は起こってしまったのだ

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:50:54.69 ID:RAsUbLvSO

ある日の放課後

ハルヒ「はぁ……パソコンほしいわね」

キョン妹「パソコン?買えばいいじゃない」

ハルヒ「馬鹿ね。いくらすると思ってるの?最新機種だと20万近いのよ」

喜緑「まぁ、普通の高校生は手を出せませんね」

キョン妹「中古とかでいいんじゃない?」

ハルヒ「嫌よ!やっぱり買うなら最新!それはゆずれないわ!」

キョン妹「私にはわからないわ」

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:51:51.11 ID:RAsUbLvSO



ハルヒ「そういえば、バイトしてるんだっけ?紹介してよ!どうせなら3人一緒にやりましょうよ!」

喜緑「……」

キョン妹「……いや、それは……」

ハルヒ「何よ?嫌なの?」

喜緑「涼宮さん、私もこの前頼んでみたの、そしたら今は人がいっぱいだって断られました」

キョン妹「そ、そうなの!ごめんね、またの機会にさっ」

ハルヒ「なーんだ、残念」

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:52:52.61 ID:RAsUbLvSO



喜緑「あなた……まだ話してなかったの?」

キョン妹「うん……。仲良くなれば成る程言いづらくなってさ……」

喜緑「そう。あなたがそれでいいのならいいのかもしれない。けど、それで本当に友達と言えるのかしら?」

キョン妹「それを言われると……バレなきゃ大丈夫よ!」

喜緑「知らぬが仏ってやつかしら?私はあまり好きでは無いですね」

ハルヒ「そこ!コソコソ話さない!」

喜緑・キョン妹「はあい」

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:53:52.26 ID:RAsUbLvSO



それから穴が開くほどパソコンのカタログを見ていた彼女に、私は余計な知恵が働いてしまった。

キョン妹「そんなにほしいの?そのパソコン」

ハルヒ「まあね。」

キョン妹「私が買ったら嬉しい?」

ハルヒ「そりゃね。まあ、高校生にはまず無理ね」

キョン妹「ふーん……。あっ!私、ちょっと用事あるの忘れてた!」

ハルヒ「何よ……急に」

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:54:36.35 ID:RAsUbLvSO



キョン妹「いいからいいから!それと1週間部活休むから!」

ハルヒ「ちょっ……!なんなの……」

喜緑「馬鹿な人間ね……」
ハルヒ「ん?なんか言った?」
喜緑「いえ、独り言です」

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:55:18.80 ID:RAsUbLvSO


私は彼女に喜んでもらいたい一心でバイトを毎日頑張った。

それが私の為であり彼女の為だとおもっていたからだ
最近はバイトから離れつつあったので、毎回吐き気がしたものの、それでも歯を食い縛って我慢した

なんて愚かなのだろうか……
その時は気付くことが出来なかったんだ

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:56:24.23 ID:RAsUbLvSO



そして、ようやくパソコンに手が届く日。涼宮さんに別れをつげるとそのまま教室を後にした


ハルヒ『……あっ、喜緑さん?ちょっといいかしら………うん。聞きたいことがあるの』



96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:57:30.24 ID:RAsUbLvSO



………

キョン妹「やった!ついに二十万貯まったわ……長かった」

キョン妹「ふふっ。今から涼宮さんが驚く顔が目に浮かぶ……くくっ」

私が外に出ると外はどしゃ降りの雨になっていた

キョン妹「うわっ。濡れて帰るしかないな……」

カバンを頭に乗せホテルの屋根から出ようとしたとき目の前にずぶ濡れの女が立っていた

キョン妹「なにあれ……薄気味……す、涼宮さん?」

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:58:49.15 ID:RAsUbLvSO



キョン妹「ちょっと!何やってんのよ!風邪引くじゃない!」

私が近づくと彼女が怒りの眼差しをむけてきた

キョン妹「なに?どうした……………っ!」

バシンと音が聞こえてきたが、一瞬何をされたかわからなかった。 遅れて左頬にヒリヒリとした痛みが襲ってきた

私はどうやら彼女にビンタされたみたいだ

ハルヒ「あんた……何してんのよ……こんなとこで」
キョン妹「えっ?……バイトの帰り……」

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:59:41.46 ID:RAsUbLvSO



ハルヒ「……バイトってなに?」

キョン妹「それは……」

ハルヒ「私にも言えないんだ……」

ハルヒ「最近あんたの様子がおかしいから喜緑さんに聞いたのよ……なかなか口を割らなかったけどね。どうしても気になるからお願いって……」

ハルヒ「そしたら『真実をしる勇気があるなら』って……この時間にこの場所にいるように指示されたわ」
ハルヒ「そしたら、あんたが男と出てくるとこを見たってわけ……どう見ても彼氏って歳じゃないわよね?」

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 11:00:50.16 ID:RAsUbLvSO



キョン妹「それは……」

ハルヒ「それになに?その封筒……」


私の手には祝20万とかかれた茶封筒が握り締められていた

キョン妹「これはね……ほら!涼宮さん、パソコンほしがってたでしょ……だから……」

ハルヒ「ふざけんな!私がそんなもんもらって喜ぶと思ったの!?」

キョン妹「……」

ハルヒ「もういいわ……私が馬鹿みたい。今日でSOS団は終わり……短かったけど楽しかった…… 」

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 11:02:23.65 ID:RAsUbLvSO

私は彼女が去っていく、姿をただ無気力に見つめることしか出来なかった。

この瞬間、世界が終わってしまったかのような感覚に襲われ、その場から動けなくなってしまった

喜緑「どう?これが選んだ道の結果よ」

キョン妹「あんた……裏切ったの……?」

喜緑「私は涼宮さんとあなたの事を考えてした事よ。 あなたもこれに懲りたら二度としないことね……」

キョン妹「私……これからどうすればいいの………?」

喜緑「考えなさい。時間をかけてゆっくりと…今回の件はあなたに失望しているわ。私もあなたを信じていたからね……それでわ失礼します」

135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 15:24:03.40 ID:RAsUbLvSO



翌日、眠れないまま学校にいくと涼宮さんはまだ来ていなかった

少しの安堵感を感じつつもこれからの事で不安がいっぱいで押し潰されそうになっていた


ホームルームが始まるとすぐ、担任か席替えをすると言い出した。急なことにクラスから不満の声が出たが、朝倉涼子の一声で万事解決。

もちろん、私と涼宮さんは離れてしまった。これは彼女の望んだ事なのだろうか?

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 15:24:53.95 ID:RAsUbLvSO



ちょうど席の移動が終わった頃後ろのドアが静かに開いた

岡部「涼宮!遅刻するなよ。あっ、席替えしたからな!えーと、席は……」

朝倉「ここです、先生」

岡部「おっ、すまんな。てことだ涼宮!」

ハルヒ「……はい」

少し彼女ほうを見ると、目は真っ赤に腫れ、目の下にはクマがあるのが見えた

キョン妹「……」

137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 15:25:44.40 ID:RAsUbLvSO



それからというもの私達はお互いを避け続け、涼宮さんは入学当初と同じようにポツンと1人でいるようになった。

前と違うのは、突飛な発言をするわけでもなく、不思議などまったく興味がないかのようにただ椅子に座り、学校が終わると帰路に着いていた。

138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 15:26:35.21 ID:RAsUbLvSO


私も最初は強がり、無理矢理友達を作ったりしたのだけど

そんな上っ面の友情など長持ちするはずもなく、すぐに孤立し

私もまた彼女と同じような生活を送るようになっていた

このままじゃいけないと思いつつもきっかけが見つけられず無残にも時間だけが過ぎてしまった

139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 15:27:39.34 ID:RAsUbLvSO



季節は、うっすらと汗を掻きはじめた7月7日

私は不思議な夢を見た。

そこは、見たことの無い学校の校庭。 時間は多分夜遅いのだろうか、辺りは一面の闇

校門のまえをふと見てみると一人の少女が柵を乗り越えようとしていた
手伝おうかと声をかけようとしたら

女性を背負った男の人が少女に声をかけていた

なぜかわからないが顔に霧がかかったようにぼやけてよく見えない

140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 15:28:26.02 ID:RAsUbLvSO



男性は校庭に入るとそねなまま女性を下ろし、少女と何か言葉を交わすと
校庭に白線で何かを書き始めた

その絵が完成に近づくにつれ、顔にかかっていた霧が晴れていく


もう少し…… もう少し……

そこで私は目を覚ましてしまった。

142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 15:30:54.05 ID:RAsUbLvSO



なぜだろう、この日に限って気分が晴れていた。

今日なら涼宮さんに謝れる気がする
いや、今日じゃなくちゃいけないのだ

私はいつもより早い時間に家を出て学校に向かった。
教室に入ると、彼女の机にカバンが置いてあった

キョン妹「きてるんだ……」

私はなんとなく彼女の居る場所がわかった。

143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 15:31:58.39 ID:RAsUbLvSO



ドアの前にたつと、胸の鼓動が早くなる。

また逃げたくなったが、そんな気持ちを押し殺し、ドアを開いた


キョン妹「涼宮さん……」
そこには校庭をボケッとみている彼女がいた

ハルヒ「……なによ」

キョン妹「ごめんなさい」

やっと言えた。

キョン妹「今から話すことあるから聞いてくれる?」

ずっと背中を向け、無言の彼女のそれを肯定ととる

146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 16:00:16.65 ID:RAsUbLvSO



そして、私は話しだした。

小さいころ兄が死んだこと、家庭内暴力のこと、食事をまともにとれなかったこと、援助交際してたこと。
もちろん、パソコンを買うために体を売ってしまったことも

ありとあらゆる私を彼女にぶちまけた。

全てを話し終えた後、ようやく彼女は口を開いてくれた

147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 16:01:28.93 ID:RAsUbLvSO


ハルヒ「私ね、中学の時からずっとこんなんだったの……もちろん友達なんて一人もいなかった。 一人なんて淋しくないって」

ハルヒ「人間一人でなんか生きられないのよ。誰かに支えてもらって、理解してもらって……」

ハルヒ「ずっと、ずっと辛かった。それでもいつかは報われるんじゃないかって。毎日、泥んこになりながら不思議をさがしたわ。そうすればいつか誰かが私をみとめてくれるんじゃないか?って」

ハルヒ「けど、結局高校になっても何一つ変わらなかった。」

148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 16:02:13.50 ID:RAsUbLvSO



ハルヒ「諦めかけてた時、あんたに出会ったのよ。第一印象は最悪だったわ……なんなのこの女って」

ハルヒ「けど、席替えをしてからもずっと話してくれて、私の我儘につきあってくれて……もしかするとこれが友達なのかなって思った」

ハルヒ「だから、あの時凄い悔しかった。私には何も教えてくれないだって……私だけが友達だって思ってたのかなって」

ハルヒ「今度こそ諦めた。諦めたと………おもっ………お…もって…… 」

彼女がこちらに振り返ると頬には大粒の涙が流れ落ちていた

149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 16:03:13.53 ID:RAsUbLvSO



キョン妹「涼宮さん……」

彼女は泣きながら私の胸に飛び込んできた

ハルヒ「うわぁぁあん……ずっと……待ってた……んだから グスッ 淋しかったんだからぁぁぁ……」

キョン妹「ごめんね……ごめんね……」

ハルヒ「団長……を…泣かせるなんて……二度と許さないからね……グスッ」

キョン妹「うん。うん。」

それから私達は1日授業をサボり2人でずっとお互いの過去を語りながら泣き続けた

151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 16:04:08.18 ID:RAsUbLvSO


………

ようやく2人が落ち着いたころ

喜緑「あら?ひさしぶりですね」

ハルヒ「心配かけたわね!」

キョン妹「無事仲直りしました」

喜緑「よかったじゃない。じゃあ、今日から再開ね?SOS団」

ハルヒ「もちろん!そして記念すべき復活のイベントはこれよ!」

キョン妹「異義なし」

喜緑「ですね」

152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 16:05:08.19 ID:RAsUbLvSO



ハルヒ「じゃあ、せいので見せなさいよ?いくわよ!せいのっ」


ハルヒ・キョン妹・喜緑「あらっ?」


3人が一斉に机の上の短冊にはこう書かれていた


『3人いつまでも仲良く』



153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 16:06:04.54 ID:RAsUbLvSO

……

ハルヒ「まさか3人とも同じ願い事するなんて」

喜緑「仲の良い証拠ですよ」

キョン妹「たまたまよ。たまたま」

ハルヒ「あんたいつまでたってもつまらない女ね……」

キョン妹「そうですねー」
ハルヒ「何よその態度……さっきワンワン泣いてたくせに!」

キョン妹「涼宮さんだってそうじゃない」

ハルヒ「くー!このー!」
喜緑「まあまあ、あっいい事思いつきました。」

154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 16:07:00.15 ID:RAsUbLvSO


喜緑「せっかくですし、七夕パーティーでもやりませんか?」

ハルヒ「いいわね!でも何処でやるのよ?」

喜緑「私の家で大丈夫です。いかがですか?」

キョン妹「私は別にかまわないよ」

ハルヒ「そうと決まれば急いで用意しなくちゃ!じゃ後でまた待ち合わせね!」

キョン妹「転ぶんじゃないわよ!………ったく」



155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 16:07:47.66 ID:RAsUbLvSO



喜緑「嵐のような方ですね」

キョン妹「迷惑よ……それよりありがとね」

喜緑「なんの事ですか?」

キョン妹「とぼけないでよ。あの時、喜緑さんが涼宮さんに話さなかったら……私は今でも罪悪感を感じながら過ごしてたと思う」

喜緑「結果オーライですよ。正直、私には有機生命体の感情はよく理解できないんです。けど、私はあなたたちをみて、羨ましいと思いました。」

キョン妹「そうなんだ?」

156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 16:08:38.94 ID:RAsUbLvSO



喜緑「ええ。もしかすると、これが自律進化の可能性かもしれませんね。」

キョン妹「よかったじゃない。ヒントが見つかって」

喜緑「そうですね。さっそく報告しました。あっ、話は変わるんですが……」

キョン妹「なに?」

喜緑「私を江美里と呼んでください」

キョン妹「いいけど……どうしたの?」

喜緑「そのほうが仲良さそうじゃないですか?」


170 名前:間隔あけます[] 投稿日:2009/11/25(水) 17:00:52.48 ID:RAsUbLvSO



キョン妹「わかった。江美里、これからもよろしくね」

喜緑「よろしくです。じゃあ、私も………」


いつまでたっても言葉が続かないことに不思議に思い横を見てみると、そこには顔面蒼白で震えている江美里の姿があった

キョン妹「ど、どうしたのよ」

喜緑「油断……してました……急進派が……逃げて………」

「うん。それ無理」



175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 17:06:11.84 ID:RAsUbLvSO



キョン妹「朝倉……?」

朝倉「そうよ?意外だった?」

キョン妹「あんたもまさか宇宙人だなんて……私達に何か用かしら……?」

朝倉「達ってよりも、あなただけに用事があるの。江美里は少し邪魔なのよね」

喜緑「………やめな…さい。あなた…自分のする事が……わかってるの…」

朝倉「わかってるわよ?だから大変だったんだから。あなたをどうやって消そうかって」

朝倉「もちろん、私一人じゃどうにもならないし……でもあなたにも流石にインターフェースを五人も相手に出来ないでしょう?」

キョン妹「……卑怯者」



178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 17:12:06.97 ID:RAsUbLvSO



朝倉「なんとでも言ったら?もうね、何も変化しない観察対象に私は飽き飽きしているの」

朝倉「だから、あなたを殺して涼宮ハルヒの力を一気に引き出すことにしたの」
キョン妹「……な……」

朝倉「あら?そんなに震えちゃって……死ぬのいや?殺されたくない? でもね、私あなたたち有機生命体の死の概念がよく理解できないのよ」


喜緑「おねがい……やめて……」

朝倉「もう、五月蝿いわよ?江美里、もう消えちゃっていいわ」



179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 17:18:27.08 ID:RAsUbLvSO


朝倉が何か呪文のようなものを唱えると、江美里の体は砂のように、徐々に崩れはじめた

キョン妹「いやっ、朝倉やめて!」

朝倉は無気味な薄ら笑いを浮かべながらずっとこちらを見ているだけだった。

喜緑「ごめんなさい……あなたを守れなくて……」

キョン妹「いや、消えないで………」

喜緑「……多分もう駄目かな……短い間でしたけど……とても……楽しかった……あなたや、涼宮さんから沢山……もらいました……」

キョン妹「……うっ……っ」

喜緑「………泣かないで……きっと……また……会える……そうで……しょう?……七夕に……願い……を……」

江美里はまるで最初から居なかったかのように 私の前から消えてしまった



181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 17:24:21.92 ID:RAsUbLvSO



朝倉「お別れはすんだかしら?」

キョン妹「……」

朝倉「あなたもすぐに会えるわよ?まあ、インターフェースがあの世に行くことなんてあるのかわからないけどね」


朝倉「そういえば、あなたお兄さんが居たんだってね?よかったじゃない。」

朝倉「あの世でお兄さんによろしく言っといて。じゃあね、ばいばい」


私は朝倉の手から作られたナイフによって胸を貫かれ
私は激痛とともにその意識は深い闇へと落ちていった


184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 17:29:33.57 ID:RAsUbLvSO



……

気が付くと、私は真っ白な空間の中にいた

そこにはなにも無く

何も聞こえない

少し歩いてみる なぜかわからないがその場所に行かなくては行けない気がした

どのくらい歩いただろうか

私を呼ぶ声がした気がした


185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 17:30:32.74 ID:RAsUbLvSO


声のする方向にむかってみると

そこには私でなくなった私が横たわり

その胸の中で泣いている女の子がいる

誰だろう…… わからない

けど、この子は私の為に泣いている

泣かないで……

すると無音のだったはずの世界から声が聞こえてくる


186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 17:33:09.76 ID:RAsUbLvSO

『どうして……、さっき約束したばっかりじゃない!』

約束?

『いやっ……私を一人にしないで………』

私のせい?

『……ぜったい……認めないんだから……』

……

『あんたたちが何処に行こうと……きっと捜し出してやる……』

ああ……

『ぜったい、ぜったい楽しい人生に……してあげるんだから……』

そうだ………

『だから…待ってなさい………「みくる」ちゃん!!』
私は彼女に……


…………………………

190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 17:41:35.49 ID:RAsUbLvSO



…………

み………る…くる……みくる

「朝比奈みくる!!」


みくる「は、は、は、はい!」

先生「授業中に寝るなんておまえらしくないな」

みくる「はい……すみません」

私がこの時代に派遣されてから早二年がたつ
最初は分からないことだらけったけど、今ではそれなりに楽しく仕事が出来ている

鶴屋「ぷはっ!みくるっ、どうしたんだいっ?昨日は遅かったのかな?」

みくる「うん、色々まとめるものがあって」

鶴屋「あんまり無理するんじゃないよ?」

みくる「ありがとう」



191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 17:42:51.25 ID:RAsUbLvSO



私がここにきたのは3年前の大きな時空振動の原因、涼宮ハルヒを監視するためだ

今だに私みたいな新米が派遣されたかは謎

とりあえずは大きな問題もなく任務に当たれている

涼宮ハルヒもつい最近、北高に入学し、よからぬ噂ばかり耳に入ってくる



192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 17:43:50.36 ID:RAsUbLvSO



なぜだろうか?私はこの時代に来てから胸のつかえがずっととれないでいる

何かをしなければならないようで、そうではない

それが放課後になると余計にひどくなり毎日、教室に残り、汗を流す野球部などをぼんやり見ていた

そして、それは突然やってきたのだ

195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 18:00:22.83 ID:RAsUbLvSO



教室のドアが勢いよく開いた音に私は思わず変な声を上げてしまった


クラスの注目の視線の先に犯人がいた

涼宮ハルヒだ。

彼女は周りの視線なんてなんのその、ヅカヅカと2年の教室に入ってきた

目指す先は……私?



196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 18:01:09.79 ID:RAsUbLvSO


彼女は私を下から上まで舐めるように見ると、突然顔を私に向け

ハルヒ「あなた、朝比奈みくるちゃんね?」

みくる「は、はい……何かようですか?」

ハルヒ「中々の萌えね……ねぇ、みくるちゃん。世界を大いに盛り上げたくない?」

みくる「はい?」

ハルヒ「だから楽しい人生にしたくないかって聞いてんの!!」

みくる「……そうですね」

ハルヒ「じゃ来て。みんなに紹介するから」



197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 18:02:00.17 ID:RAsUbLvSO



そういうと、彼女は私の腕を掴むと教室から連れ出された

みくる「え、え、え?ちょっと何処行くんですか……」

ハルヒ「……」

彼女は無言のまま旧校舎にむかった

頭の中に一斉に未来からの通信が飛びかう

あまりの膨大な量に思わず切ってしまった



201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 18:04:26.56 ID:RAsUbLvSO

……

そして、旧校舎の一角にある教室の前で立ち止まった

私はなぜだかわからないが自分の胸にあったつかえがとれていく感じがした

彼女がドアのノブに手をかけると満面の笑みでこう言った

「『不思議が待ってるわよ」』

そうだ……思い出した

私は彼女にこの言葉を伝えたかったんだ


『ありがとう。涼宮さん』


おわり

205 名前: ◆eblTbhX84c [] 投稿日:2009/11/25(水) 18:07:55.12 ID:RAsUbLvSO

支援、保守してくださったかたありがとう。

今回色々気付きました。書き溜めって意味ないなと

いつも通りですがペラオまた何処かでお会いしましょう。
消失が東北全滅で俺涙目

では



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