キョン「あいつが……女体化だと……?」


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2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:10:26.17 ID:ifVNR0ZCO

>>1あり

……日の目の当たらなかった物を新たに書いたり、バルスで落ちても立てたりと、流行っているかはどうか知らないが便乗して。

すまん。正直に言おう。単に僕っ娘より女体化を書きたい衝動に駆られたんだ俺は。

とりあえず最初っから投下。最後まで書き貯め無し。ひたすら書くと言う。

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:11:44.42 ID:ifVNR0ZCO

キョン「実は女の子だったって良いよな」

キョン「国木田とか」

古泉「最高ですね」

キョン「国木田に
『キョン、今までごめんね。実は僕……』
とか言われたい」

古泉「貴方、本当に国木田君好きですよねぇ」

キョン「でも国木田、完璧に男なんだよなぁ」

古泉「確認したんですか?」

キョン「あぁ。中学の時、水泳の授業でな」

古泉「そう言えば同じ中学でしたね……擬装の可能性は?水泳パンツに何かを入れていたとか」

キョン「はっきりと見てしまったからなぁ」

古泉「……実はふたなりだったと」

キョン「それも無いな」

古泉「やれやれ……夢も希望もありませんねぇ」



4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:13:57.81 ID:ifVNR0ZCO

俺と古泉は会話を止め、長門に視線を移した。

長門「…………」

キョン「…………」

古泉「…………」

キョン「……ハルヒとかな」

古泉「涼宮さんですか?」

キョン「あぁ、ハルヒが望めばどうにかなるんじゃないか?」

古泉「確かにそうですね。僕も涼宮さんの影響で能力を得ましたから」

古泉「しかし、どうやってそれを望ませるのかが問題ですね」

キョン「あぁ、それさえクリアすれば……でも、もっと簡単な方法があるような気がするんだよなぁ」

古泉「僕も思いますよ」

俺と古泉は会話を止め、長門に視線を移した。

長門「…………」

キョン「…………」

古泉「…………」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:15:47.95 ID:ifVNR0ZCO

古泉「……朝比奈さんとかは?」

キョン「時間遡行か?」

古泉「ええ、国木田君の母親……受精卵の状態の時に未来パワーでちょちょいと」

キョン「なんだよ未来パワーって」

古泉「いえ、時間遡行出来るならそれぐらい出来るんじゃないかと」

キョン「『禁則事項ですよぉ』とか言われると思う」

古泉「朝比奈さんの声真似ですか。ちょっと気持ち悪かったですよ貴方」

キョン「すまん。悪気は無かった」

古泉「しかし、確かに言われそうですね……朝比奈さんは無理ですか」

キョン「残念だなーハルヒも朝比奈さんも無理かーああ残念だなー……」

俺と古泉は会話を止め、長門に視線を移した。

長門「…………」

キョン「…………」

古泉「…………」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:17:57.20 ID:ifVNR0ZCO

キョン「……藤原とか周防九曜とかは?」

古泉「敵対勢力ですからねぇ」

キョン「喜緑さんとか」

古泉「何を目的としているか、まだわからない方に頼むのもちょっとですねぇ」

キョン「残念だなぁ」

古泉「残念ですねぇ」

俺と古泉は会話を止め、長門を凝視した。

長門「…………」

キョン「…………」

古泉「…………」



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:18:55.96 ID:ifVNR0ZCO

無言のまま本を読んでいた長門は、静かにその本を閉じて立ち上がった。

長門「……帰る」

キョン「……長門?帰るのか?」

古泉「まだ、涼宮さんも朝比奈さんも来ていませんが……」

長門「…………」

キョン「…………」

古泉「…………」

長門「……急用が出来た」

キョン「急用なら仕方ないな」

古泉「ええ、仕方有りませんね。涼宮さんには上手く言っておきますよ」

長門は俺達に返答せず、無言で立ち去った。

キョン「……行ったか」

古泉「上手くいきますかねぇ」

キョン「五分五分ってトコじゃないか?」

頼むぞー長門ー。期待してるぞー。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:21:03.67 ID:ifVNR0ZCO

………

……



次の日

俺は国木田の姿をいち早く確認すべく、急いで学校に向かった。

妹「早起きなんて、キョンくん珍しい〜」

男には早起きしなければならない時があるのだ妹よ。お前にもいつかわかる日が来るさ。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:22:49.25 ID:ifVNR0ZCO

そんな訳で学校に到着。

はやる気持ちを抑え、二度深呼吸してから俺は教室の扉を開けた。

キョン「はよーっす……」

国木田「あれ?珍しいねキョン。こんな時間に」

お前に会いたかったんだよ国木田。

キョン「……調子はどうだ国木田」

国木田「いつも通りだよ」

キョン「そうか」

見た目も声も変わらんな。

国木田「……どうしたの?じろじろ見てさ。なんか付いてるかい?」

キョン「胸元の辺りにゴミが付いてるぞ国木田」

国木田「え?どこだい?」

そう言って国木田は自分の胸元を手で払った。

……女体化してないのか?


いや待て。まだ決めつけるのは早い。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:24:29.62 ID:ifVNR0ZCO

キョン「国木田、一緒にトイレ行かないか?」

国木田「別に良いけど」

動じない国木田。あれだけじゃ長門は動かないか……くそっ。

その後、言った手前もあるので国木田とトイレに。

一緒に用を足しながら、最後の希望を胸にチラッと覗いてみたわけだが……直ぐに現実に引き戻された。

さて、どうしたものか……やはり直接国木田の女体化を頼もうか……いやいや女体化なんてそんな馬鹿げた事はやはり……昨日はこう、ノリで言ってしまったわけだが……でも見たいよなぁ。うん。女になった国木田が見たいんだよ俺は。

なーんて事を考えながら手を洗っていた時だった。

「おはよう」

噂をすればなんとやらだ。後方から長門の声がした。

早起きしてみるもんだなぁ。こんな時間に学校で長門に会うとは。

キョン「あぁ、おは……」

国木田「長門さん?」

そこには、男子の制服を身に纏った長門有希が立っていた。

長門「実は私はおと」

キョン「長門、ちょっと待てっ!?」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:29:59.78 ID:ifVNR0ZCO

俺は有無を言わさず、長門を男子トイレに引きずり込んだ。

長門「……いきなり何を」

キョン「いきなり何をはお前だ長門」

国木田「ちょ、ちょっとキョン?」

キョン「あぁ、国木田……長門は何かを勘違いしているらしい。直ぐに戻るから先に教室に行っててくれ」

国木田「で、でも……」

キョン「お前はこんな長門を許せるのか?俺に任せろ。直ぐに勘違いだとわからせてやるから」

国木田「う、うん……」

困惑した表情で、国木田は教室に戻って行った。後でハルヒの悪戯だったとでも言って置こう。

キョン「さて長門。これは何のつもりだ?」


19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:31:23.46 ID:ifVNR0ZCO

長門「……昨日、部室で貴方と古泉一樹の会話を聞いていた」

キョン「うむ」

長門「聞いている内に、私はある結論に辿り着いた」

キョン「どんな結論だ?」

長門「親しい人間が、ある日突然性別が変わる現実に男性は弱いと」

キョン「あながち間違いではない」

長門「それで私の性別が、実は男だったと言う」

キョン「違う……違うぞ長門」

長門「……泣いているの?」

キョン「そりゃあ泣くさ!」



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:32:42.52 ID:ifVNR0ZCO

キョン「とりあえず元に戻ってくれ」

長門「そんな。せっかく」

キョン「頼む長門!誰もそんな事は望んじゃいない!」

俺は土下座した。男子トイレで。

長門「……わかった」

長門がそう呟いたかと思うと、眩い光が長門の身体を包み込み

長門「…………」

いつもの長門に戻った。一瞬で出来るのかよ。

キョン「長門、お前はこのままが一番だよ」

長門「そう……」

ちょっと残念そうな顔をするな。本気で言ってんだから。


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:34:06.95 ID:ifVNR0ZCO

キョン「ところで長門。その、なんだ。他人も男にしたり、女にしたりする事は可能なのか?」

長門「可能」

キョン「さっきみたいに一瞬で?」

長門「正確には0.05秒掛かる」

殆ど一瞬じゃねぇか。

キョン「長門、昨日の話なんだがな。俺と古泉が話をしていたのはそういう事じゃないんだよ」

長門「では、どういう事?」

キョン「お前が男になっても、俺と古泉の心は動かない」

長門「じゃあ涼宮ハルヒと朝比奈みくるなら」

キョン「それはもっと駄目だ」

長門「……じゃあどうすれば」

キョン「女が男になるんじゃない。男が女になるのが良いんだよ」

長門「男が女に?」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:35:50.14 ID:ifVNR0ZCO

キョン「そうだ。例えば、さっき俺と一緒にいた国木田とか、国木田とか、国木田とかが女になると俺と古泉の心は動く」

長門「国木田とか……?」

キョン「そう、国木田だ」

長門「……少し理解出来ない」

理解してくれよ。頼むから。

長門「考える時間が欲しい」

考えるも何もいいから国木田を……いや、ここは一旦退くべきか?

無理強いをして長門に全てを拒否でもされたら……。

キョン「……わかった長門。俺達の気持ちをしっかりと考えて理解してくれ」

長門「なるべく理解出来るよう、努力はする」

幾らヒューマノイド・インターフェースと言えども直ぐに理解出来るだろう。

ある日突然国木田が女の子に。

それがどんなに素晴らしい事か。男の娘にはもう飽きたぜ。

キョン「頼んだぞ長門」

長門「…………」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:37:01.73 ID:ifVNR0ZCO

それから授業中は勿論、昼休みと俺はずっと国木田を観察していた。

が、一向に何の変化も無し。

谷口「キョン、さっきから国木田ばっかり見てないか?」

なんだよ谷口。お前には関係ない。

ハルヒ「国木田に惚れたのかしら?アンタにそんな趣味があったとはねー?」

お前も望むんだハルヒ。国木田が早く女の子になりますようにと。

国木田「…………」

しかし、期待していた事が何も起きずに放課後をむかえてしまった。

キョン「はぁ……」

やっぱり無理か……見たかったんだがなぁ。

国木田「ねぇ、キョン。ちょっと話があるんだけど」

キョン「国木田?」

国木田「その……涼宮さんのトコの活動って、いつ終わるの?」

まさか……まさか俺の気がつかない内に女体化していたのか?


24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:39:16.33 ID:ifVNR0ZCO

キョン「今終わった。SOS団の活動は今終わった。ああ、最初から今日の活動は休みだったんだ」

国木田「えっ?」

キョン「で、何の話だ国木田?さぁ話せ。今直ぐに話せ」

国木田「ちょ、ちょっとキョン!顔が近いよ!?」

キョン「す、すまん国木田」

国木田「まったく……何をそんなに慌ててんのさ」

これが慌てられずにいられるか。いや落ち着け。ここは冷静に……

キョン「で、話ってのは?」

国木田「うん、その……」

来るのか?遂に来るのか?夢にまで見た
『僕、女の子に……』が来るのか!?

国木田「谷口の事なんだけど」

キョン「……は?」

国木田「気がつかなかった?昼休みが終わった辺りから谷口の声が急に高くなったり、胸に膨らみが」

キョン「長門おおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉっ!?」



25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:41:03.44 ID:ifVNR0ZCO

国木田「ちょ、ちょっとキョン!?」

俺は叫びながら文芸部室に向かった!違う!違うぞ長門!?

谷口「あ、待っていたぜキョン。何故だか知らないが、俺は女に」

キョン「すまん。死んでくれ」

谷口「ぐはっ!?」

文芸部室前に居た気持ち悪い女を蹴飛ばし、俺は扉を思いっきり開けた。

キョン「長門!」

長門「……私には理解出来た。貴方と古泉一樹が望んでいたのは」

キョン「違う。全っ然違うぞ長門。ちょっと来い」

長門「……えっ?」

キョン「とりあえずだ。あそこで倒れている谷口を元に戻してくれ。頼むから」

本日二回目の土下座。場所は文芸部室。そのまま、長門が何かを詠唱する。すると谷口の身体が眩い光に包まれ以下略。ハルヒや朝比奈さんが来る前で良かった……。

キョン「長門……何故谷口を女体化しようと」

長門「私なりに考えた」

キョン「言ってみろ」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:42:59.84 ID:ifVNR0ZCO

長門「性転換と言う意外性に心を動かされると言う事は、その対象も意外性のある」

キョン「長門」

長門「説明はまだ途中」

キョン「大体わかったから。だがな、俺は、俺達はそんな事は望んじゃいないんだ……そこは王道でいかなきゃ……」

長門「……何故、涙を流しているの?」

キョン「そりゃあ涙も流れるさ!」

長門「……私には貴方が理解出来ない」

俺にはお前が理解出来ない。

キョン「長門、そこは王道で良いんだ」

長門「王……道……?」

キョン「意外性なんかいらない。ありきたりで良いから。皆が望む物だ」



29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:43:55.77 ID:ifVNR0ZCO

長門「……成程。皆が望む物」

キョン「そうだ。皆が望んでいる事だ」

長門「……佐々木の男性化?」

キョン「冗談でも怒るぞ」

長門「ごめんなさい」

キョン「さっきも言っただろう?男を女に……」

ハルヒ「あら、まだ有希とキョンだけ?こんな所で二人して突っ立って、何の話をしているのかしら?」

……このタイミングで来るのかよハルヒ。



31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:47:21.51 ID:ifVNR0ZCO

長門「……意外性のあるストーリーと、ありきたりだが王道を行くストーリーについて」

ナイスだ長門。

ハルヒ「……ふぅん、そんなの意外性のあるほうが面白いに決まっているじゃない!」

キョン「いや待て、意外性ばっかり求めて失敗ばかりするのも」

ハルヒ「誰の事を言っているか知らないけど、新たに書き直したりと冒険は必要よ!」

何の話だ。

長門「冒険?」

ハルヒ「そうよ有希!冒険よ!やらなくて後悔するより、やって後悔した方がいいのよ!」

それは朝倉の台詞だの。パクんな。

長門「……一理ある」

お前も納得するな長門。さっき谷口で失敗したばかりじゃねぇか。

長門「……例えばの話だが」

ハルヒ「なぁに?有希」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:48:40.57 ID:ifVNR0ZCO



長門「男を女にする能力を、貴女が持っているとする」

ハルヒ「うんうん」

キョン「待て長門!?」

ハルヒ「ちょっと口を挟まないでよバカキョン!で、有希。それで?」

長門「貴女なら、誰を女体化する?」

なんて質問をしやがる長門ーっ!?

ハルヒ「そうねぇ、キョンや古泉君ならありきたりだし……」

キョン「俺なら国木田だな」

ハルヒ「谷口だとつまんないし……」

キョン「うん。国木田だな」

ハルヒ「岡部……コンピ研部長……生徒会長……」

キョン「国木田だっ!」

ハルヒ「ちょっと国木田国木田うるさいわよ!?全然意外でも何でもないじゃない!このバカキョン!!」



33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:50:45.84 ID:ifVNR0ZCO

ハルヒ「……こういうのはどうかしら?私が知らない男性とかね」

長門「知らない男性?」

いきなり何を言い出すんだハルヒー。

ハルヒ「そう!私は面識無いんだけど、向こうは私の事を知っているみたいな?そういう男性を私が間違って女体化してしまって、元に戻ろうと四苦八苦するって言うストーリーはどうかしら?」

長門「……成程」

ハルヒ「ある日突然、面識の無い女の子に『元に戻して』とか想像するだけで愉しそうね!一度でいいからそう言う体験をしてみたいわよねー」

キョン「…………」


そんな訳で長門は何かを納得し、ハルヒは望んでしまったようだった。

多分あいつなんだろうな……今頃……いや、まだわからない。どっちの力によって女体化するかは俺にはわからないが、近い内になるのだろう。

それから朝比奈さんと古泉がやって来て、我がSOS団は通常業務の開始。


34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:52:22.85 ID:ifVNR0ZCO

古泉「んっふ、国木田君はどうでしたか?」

盤上で、これは無いだろうと言う悪手をかましながら小声で質問する古泉一樹。

キョン「……特に変化無しだったよ。あれぐらいでは動かないらしい」

古泉「まぁ、そこまで期待はしていませんでしたがねぇ……あれ?」

詰みだぞ古泉。そんな手を打つ奴にはアイツが女体化する等教えん。

まぁ教えるも何も、この中で会った事があるのは俺と朝比奈さんだけだ。

面識の無い奴に『突然、女になった』と言われても、お前はハルヒと違って心動かないだろうからな。暫くは俺一人で楽しむとしよう。

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:54:51.20 ID:ifVNR0ZCO



そして長門の本を閉じる合図と共に、学校での一日が終了。

キョン「さて、と」

俺は皆と別れ、ゆっくり家路につきながら

キョン「いるんだろう?出てこいよ?」

少し期待を込めて呟いてみた。


『ふん、良くわかったな。言われなくても出て来ようと思っていたところだ』


……マジかよ。そしてやっぱりお前が女体化したのか。

背後から聞こえる、何処か聞き覚えのある女性の声。以外と可愛い声になったじゃないか。

キョン「久しぶりだな藤原。調子はどう……だ……?」


36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:56:52.96 ID:ifVNR0ZCO

振り向いた俺の目に映ったのは

夕映えに煌めく薄黄緑色の長い髪。

ポニーテール……だと……?

長身で線の細い身体。

しかし出るとこは出ている。なんだ?未来人は総じて体型とアンバランスな巨乳なのか?それが規定事項だとでも言うなのか?

そしてあの谷口と違い……綺麗に整った顔。元が男知っているだけに、危険な香りが妖しく漂う。

面影はあるが……どちらかと言えば姉?藤原の姉ですか?藤原のお姉様?藤子?そう言えばキツめのお姉様キャラとか居ませんでしたね!

想定の範囲外に美しく女体化した藤原は、眉間にしわを寄せながら俺に近付いて来た。

藤原「ふっくっく、いったい誰の仕業だこれは?僕に何をした?規定事項に該当していないぞこんなふざけた事は」

怒りを通り越して呆れたように呟く藤原。うむ。その表情がまた……あ、藤原ノーブラ?え?ノーブラですか?

キョン「好きだ藤子っ!?」

俺は藤子に抱き付いた!

藤子「や、やめろ何をする!抱きつくな!藤子とはなんだっ!?ああっ!いつの間に僕の名前がっ!?」



38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:58:38.71 ID:ifVNR0ZCO

藤子「離せ現地民!何を考えているんだ君は!?」

キョン「もっと罵ってくれっ!?」

藤子「き、気持ちが悪いっ!僕に触るな!?」

ドンッと俺は力任せに吹き飛ばされた。

藤子「はぁ……はぁ……気でも狂っているのか君は」

尻餅をついて、藤子を見上げる形になる俺。顔を真っ赤にして息を切らし、軽蔑するような眼差しを向ける藤子。そしてこのアングルからの藤子の乳は素晴らしい。皆聞いてくれ。藤子ノーブラでしたーこの感触は暫く忘れんぞ俺はー。

藤子、お前の言う通りだ。俺はお前に狂いそうです。

藤子「い、いいか。二度と僕にこんな事をしてみろ。本気でこの時間平面から存在自体を抹消するぞ」

見下ろしたまま睨む藤子。

キョン「……冗談だよ冗談。悪かったよ」

藤子「ふん、わかればいいんだ……」

ヤンデレ?藤子可愛いよ藤子。

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 00:59:48.60 ID:ifVNR0ZCO

藤子「さて、説明して貰おうか」

キョン「話せば長くなる。どうだ藤子?俺の家に」

藤子「禁則事項の一部解除申請……眼前のふざけた現地民の抹消許可を……」

キョン「止めろ!悪かった!冗談だ冗談!?」

なんだその長門みたいなのは。
藤子「いいから話せ」

キョン「えっとだな、マジで長くなるから……あの喫茶店で待ち合わせとかどうだ?」

藤原「……ふん、まぁ良いだろう。何時だ?」

キョン「一時間後とかどうだ?勿論俺が奢るよ」

藤原「当然だ。僕は先に行く。遅れるなよ」

そう言い残して、藤原は立ち去って行った。

文字通り、『先に行った』のだろうな。

キョン「……さて、とりあえず佐々木に電話するか」

俺は携帯を取り出した。

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:02:00.91 ID:ifVNR0ZCO

………

……



一時間後。駅前の喫茶店。

俺の隣にあの日のように佐々木が座り、向かいには左から周防九曜。真ん中に橘京子。

そして。

何故連れてきたと今にも言わんばかりに、眉間に皺を寄せて俺を睨み付ける藤子。

藤子「君は何を考えているんだっ!?」

キョン「いや、仲間には知らせておこうと思ってな」

佐々木「くっくっ、これは中々。綺麗になったじゃないか藤原君」

橘「綺麗なのです藤原君……」

何故ほんのりと頬を染める橘京子。お前ってやっぱり……

九曜「素――敵――」

藤子「ぐっ……」

藤原は、顔を真っ赤にして俯いた。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:06:35.36 ID:ifVNR0ZCO

キョン「さて、事の起こりだが……」

佐々木「……成程、TS物を読んだ涼宮さんの影響ね」

すまん佐々木。今適当に考えた。

九曜「TS――物――……?」

橘「後で読ませてあげますよ九曜さん」

持っているのかよ橘京子。

藤子「……キョン、とか言ったな」

キョン「なんだ?」

藤子「それは全て事実か?隠している事があれば、今の内に言え」

キョン「……もしかしたら、長門が一枚噛んでいるかもな。確証は無いが」

藤子「……まぁいい。それより君が三人を連れて来たのは好都合ではあるな。九曜、僕の身体を元に戻せ」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:10:13.90 ID:ifVNR0ZCO

九曜「戻――す――どう――して――……?」

藤子「いや、どうしてってそれは」

佐々木「九曜さん、出来ない事は無理にしなくて良いと僕は思うよ」

橘「私も佐々木さんと同意見なのです」

キョン「俺もだな」

藤子「ちょっと待ちたまえ。何を言い出すんだ君達は」

キョン「出来ないよな?」

周防九曜は少し考えるようにし、

九曜「出来――ない――」


48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:11:17.89 ID:ifVNR0ZCO


藤子「冗談を言っている場合か。個人の肉体改変ぐらい容易に出来るだろう」

九曜「出来――ない――」

佐々木「くっくっ、大切な事なので」

橘「二度言ったのです」

キョン「だそうだ」

藤子「ぐっ……」

納得いかない表情をする藤子。

佐々木「くっくっ、どうだい藤原君?もうこのままでも別に」

藤子「いい加減にしろ佐々木」

橘「佐々木さんの言う通りなのです。勿体無いですよ藤原君。こんなに綺麗なのに……」

藤子「……もういい」

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:13:10.47 ID:ifVNR0ZCO

バンッとテーブルを叩いて、藤子は席を立った。

藤子「二人ともどきたまえ。僕は自分で……んっ!?」

突然、藤子が腹部を押さえて苦悶の表情を浮かべた。

藤子「なんだ……この痛みは……」

佐々木「まさか……」

九曜「月――経――……」

藤子「月経だと……ふざけるな……」

佐々木「橘さん、持ってる?」
橘「は、はい。持ってます」

佐々木「九曜さんは藤原君を担いで」

九曜「了――解――」

藤子「おい、何を……止めろ九曜……つっ!?」

佐々木「藤原君……藤原君は今は女の子なんだから、私の指示に従って」

おお、佐々木の口調が!

九曜は軽々と藤子を抱き上げ(正直、かなり違和感のある光景だが)佐々木と橘京子と一緒に女子トイレに向かって行った。



52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:15:55.18 ID:ifVNR0ZCO



キョン「…………」

月経、生理ねぇ……。


『クスクス』


キョン「ん?」

喜緑「とっても楽しい事が起きてますね」

キョン「喜緑さん……」

そう言えば、ここでアルバイトをしてましたね。

キョン「いつから聞いてたんですか?」

喜緑「最初っからですね。藤原君でしたっけ?大変ですね。うふふ」



53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:16:57.72 ID:ifVNR0ZCO



……そういや喜緑さんも……まさか……いや考え過ぎか?

喜緑「正解です。ちょっと面白そうなので彼、いえ彼女ですね。肉体の代謝をちょいちょいと」

キョン「うわぁ」

喜緑「因みに、私も長門さんと同様に肉体改変ぐらい……」

キョン「肉体改変ぐらい?」

喜緑「……出来ません♪藤原君が私の事を思い出したら、そう伝えて下さい。仕事もありますので」

にっこりと微笑む喜緑さん。

よかった。喜緑さんが『理解出来る人』で。



54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:19:53.85 ID:ifVNR0ZCO



そして数十分後。

佐々木「教えた通りに……」

橘「藤原君、大丈夫ですか……?」

九曜「痛み――止め――……」

藤子「…………」

佐々木達の声に頷きながらお手洗いから出てきた藤子は無言で着席し、そのまま顔を伏せた。

キョン「藤……」

藤子「今、僕に話し掛けるな」
声が震せて、藤子は呟いた。



55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:21:05.13 ID:ifVNR0ZCO



佐々木「キョン、君は帰りたまえ。後で連絡するから」

橘「私もそう思います」

キョン「……わかった」

多分、いろいろとあるんだろうな……いろいろと。

少し同情してしまうよ藤子。

時間遡行があるから何とかなると思うが……そう簡単にいかないんだろうな。

俺は会計を済ませ、喜緑さんに会釈しながら喫茶店を後にした。

……泣き顔も可愛かったぞー藤子ー。

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:23:50.66 ID:ifVNR0ZCO

………

……



それから二日が経過。

自分から佐々木に『藤原はどうだ?』等と連絡するのも気が引けていたわけだが、流石にそろそろ我慢の限界である。

いやいや別に藤子の事が好きになったとかそう言う訳ではなく、生理痛に苦しむ元男性で未来人の美女が気になって仕方が無いのだ。これは男として誰でもそう思う。当然だろう。当然だ。当然である。

長門「私はしていない」

昨日、なんとなしに長門に聞くとそう返された。

て事は、ハルヒの所為と言う事になる。あの時口には出さなかったが、宇宙人未来人異世界人超能力者の女体化でも望んだのだろうか。まぁ、何にしてもだ。良くやったぞーハルヒー。

そんな事を考えながら、俺は掃除当番と名の付く人生で最も適当で手を抜くであろう作業を片付けて部室に向かった。

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:25:19.97 ID:ifVNR0ZCO

部室の扉を開けると、真っ先に目に映ったのは藤原を女体化させた当の本人。

PCモニタを凝視して何やら打ち込んでいる。また訳のわからないチラシやら企画書でも作成しているのか?

みくる「キョン君、お疲れ様」

キョン「あ、ありがとうございます朝比奈さん」

鞄を置いて着席した俺にお茶を差し出すメイド服姿の朝比奈さん。

一瞬、メイド服姿の藤子が頭に浮かんだ。

古泉「一局どうですか?」

その妄想は、対面で俺を待っていた古泉によって直ぐにかき消された。何やら今日は自信ありげだな古泉。

そして長門はいつものように、ちょこんとパイプ椅子に座って本を読んでいる。

今日も通常業務の開始である。

……佐々木に連絡するのは帰りにするか。



61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:26:56.66 ID:ifVNR0ZCO

そして何事も無く、長門が本を閉じると共に業務終了。

女体化の話をふってくるかなと思っていた古泉はそんな素振りを微塵も見せずに、俺に連戦連敗。

ハルヒや長門も終始無言であった。朝比奈さんが着替えるのを待ってから、部室を閉めて帰宅。

キョン「さて、と」

一人家路につきながら、俺は携帯を取り出し、佐々木に連絡をしようとアドレス帳を開いた時だった。

「……待っていたぞ」

俺も待っていた気がするぞ藤子ー。

藤子は一昨日と同様、後ろから俺に声をかけた。

藤子「ふっくっく、君に用事があってね」

キョン「奇遇だな。俺もお前に」

携帯を閉じ、振り向いた瞬間、藤子の拳が目の前に飛び込んで来た。

キョン「ぐはっ!?」

思いっ切り顔面を直撃。しかし大して痛くは無い。女体化したからか?いやいやそれより何故に俺が藤子に殴られなきゃならんのだっ!

キョン「いきなり何をする藤子っ!?」



62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:29:32.81 ID:ifVNR0ZCO

藤子は俺の顔面を殴った拳をさすりながら、俺を睨み付けた。

藤子「ふん、何をするだと?それはこっちの台詞だ。因果律を観測して来たぞ。原因は君の変態的欲求だな」

やべえ全部バレバレじゃないですか。

藤子「僕をこんなふざけた身体にしたのはどっちだ?長門有希か?涼宮ハルヒか?それを知らなければどうにも出来ん。さっさと答えろ。君には答える責任がある」

……あれ?

キョン「……観測して来たんじゃないのか?」

藤子「ふん、観測と言っても今回のように個人的な事では全てを知り得る事は出来無いんだ。制限が……いや、こんな事は君に話しても無意味だ。いいからさっさと答えろ」

……藤子は長門とハルヒ、どちらの所為かまだわからないのか。なら答えは決まっている。

キョン「俺が知っている訳無いだろう」


63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:31:12.65 ID:ifVNR0ZCO



藤子「……嘘を付くな。君は知っているはずたっ!」

藤子は俺の襟を掴んで詰め寄った。顔が近いぞ……ん?藤子の顔、うっすらと

キョン「メイク……?」

藤子「ぐっ……!」

つい口に出てしまった俺の言葉を聞いた藤子は、突き放すように俺の胸を両手で押した。

掴んだり離したり忙しい奴だな。

キョン「……それは佐々木と橘京子の仕業か?」

藤子「う、うるさい黙れ。今はそんな事を関係無いだろう?」

藤子は赤面し、顔を拭おうといやいや待て待て待て待て。

藤子「なっ……?」

俺は藤子の両腕を掴んだ。

藤子「な、何をする!離せっ!?」


65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:33:58.05 ID:ifVNR0ZCO

キョン「落ち着け藤子」

やはり女体化の所為なのか、必死に抵抗するもあっけなく俺に抑えられる。

キョン「わざわざ拭わなくても良いだろう。せっかくしたのに」

藤子「だ、黙れ!手を離せっ!」

キョン「ますます綺麗になったなぁ藤子」

藤子「………っ!」

抵抗していた藤子の動きが一瞬止まった。

キョン「……藤子?」

藤子「……き、気持ちの悪い事を言うなっ!何を言い出すんだ君はっ!?」

ゴスッと言う鈍い音と共に、激痛が足の脛に走った。

キョン「痛ぇっ!?」

藤子「ぼ、僕が綺麗だからなんの意味があると言うのだ!大体、僕はお、男だぞ!?気持ち悪い事を言うなっ!」

お前は現時点では女だろうよ。その靴はなんだ。女物じゃないのか?先端の攻撃力が尋常じゃなかったぞ。

藤子「さぁ、さっさと答えるんだ」

蹴られた脛を擦る俺を見下ろす藤子。それを見上げる俺。またこの形かよ。

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:35:31.71 ID:ifVNR0ZCO

キョン「いや、本当に知らないんだよ俺は……」

藤子「…………」

キョン「…………」

藤子「ほ、本当に知らないのか君は?長門有希がやっていたのを、君はその目で見たんだろう?」

キョン「……なんで疑問形だ?制限と言っているがどっからどこまで知っているんだ?」

藤子「き、禁則だ。質問しているのはこっちだ。立て続けに質問を返すな」

キョン「……そう言われてもだな、本当に知らないんだ俺は」

藤子「…………」

藤子は無言で俺を見つめていた。

キョン「………?」

藤子「……ふん」

鼻を鳴らして、俺から目を離す藤子。何がしたいんだお前は。

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:37:35.23 ID:ifVNR0ZCO

藤子「……長門有希がやっていたのを君が見たのは確かだな?そうだろう?」

キョン「そうだな」

藤子「どう言う風に肉体を改変したんだ?答えろ」

キョン「どう言う風にとか言われてもなぁ……一瞬だったよ」

藤子「一瞬……」

藤子は顎に手を当てて、少し考え込むような素振りを見せた。
物憂げな表情。そう言えば、結局顔を拭わなかったなー藤子ー。

藤子「……ふん、これしかないか。気は進まないが……」

何か結論着いたのか、藤子は俺に視線を戻した。

藤子「……一緒に来て貰おう」

キョン「……へ?」



68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:39:37.45 ID:ifVNR0ZCO

藤子「改変の瞬間を見れば、どちらが行ったかわかるはずた」

キョン「改変の瞬間って……誰の?」

藤子「ぼ、僕のに決まっているだろう。一昨日に戻るぞ」

そう呟いて、藤子は正面から俺の両肩に手を添えた。

藤子「目を閉じろ」

キョン「……なんだかこれって、あれみたいだな」

藤子はきょとんとした顔をしていたが、直ぐに理解したのか顔を真っ赤にして俺を凄むように睨んだ。

藤子「き、君は先程から僕を馬鹿にして楽しんでいるな?そんなに楽しいか?ええ?」

ぎゅうっと両肩に力を込める藤子。

キョン「じょ、冗談だ冗談。悪かったよ。で、どこに行くんだ?」

藤子「……ふん、僕の部屋に決まっているだろう。さっさと目を閉じろ」

今度は言われた通りに目を閉じる。

……冷静に考えて、周防九曜と一緒に行けばいいんじゃないか。それより聞けば直ぐにわかるんじゃないか?
等と言う無粋なツッコミはあえてしない。理由?そのほうが楽しそうに決まっているからだ。まぁ、突然の女体化に加えて生理中の藤子には冷静な判断が出来ないんだろうなぁ。と、誰に対して言っているのかわからないが言い訳をして置こう。

あ、この感じ……朝比奈さんがするのと変

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:41:37.31 ID:ifVNR0ZCO

藤子「ふん、着いたぞ」

藤子に言われて、俺はゆっくり目を開けた。

キョン「……ここがお前の部屋か?」

必要な物以外何も無い、殺風景な小さな部屋。

藤子「ふっくっく、ホテル代わりだからな」

あ、そうか。未来から来てるんだよな。必要以上の物は置かなくていいか。

藤子「……ふん、朝比奈みくるは必要以上にこの時代の服や装飾品を集めているようだがな」

そう言えば、朝比奈さんの私服って同じ物を見た事無いな。

藤子は部屋のクローゼットをゆっくり開けた。

藤子「そろそろ『僕』が帰って来る。ここで確認するぞ」

キョン「……ここで?」

小さな部屋に相応しい、かなり狭そうなクローゼット。明らかに一人分のスペースだ。ここに隠れるのか俺は。

藤子「ここが観測に適している。さっさとしろ、時間が無い」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:43:09.73 ID:ifVNR0ZCO

藤子に言われるがまま、クローゼットに入る。そのまま扉を閉めようとした瞬間、藤子がそれを止めた。そして

キョン「……おい」

藤子「何だ。僕は今の姿を僕に見られる訳にはいかないんだ」

只でさえ窮屈だと言うのに、藤子が無理矢理入って来た。

キョン「狭っ……」

藤子「も、もう少し移動しろ」

キョン「無茶を言うな」

藤子「んっ……よ、よし。閉めるぞ」

何とかクローゼットの扉を閉める事は出来たのだが。

藤子「…………」

キョン「…………」

身体は密着状態。正面から抱き合うような形で俺と藤子はクローゼットに収まった。柔らかいんですけど。

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:44:21.91 ID:ifVNR0ZCO



と言うか、デジャヴ。何だ、遥か未来では男女がこうやって狭い密室で抱き合うのが流行っているとでも言うのか?

朝比奈さんの時と違うのは……藤子身長か。

女体化したとは言え、元々が長身の藤子。顔が眼前にある。

藤子「……もう少しで『僕』が帰って来る。気が付かない内に女体化してしまっていた。その瞬間を見逃すな」

う……藤子の吐息が直に……ちょっとこれは不味い。いろんな意味で。



72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:46:28.99 ID:ifVNR0ZCO

クローゼットの扉を横に、俺と藤子は密着したままその時を待つ。

確かに隙間から部屋を見渡せるが……この状態はどうかと思うぞ?なぁ?そう思うだろう?長門に王道は大切だと諭した俺だがこれは……

藤子「…………」

キョン「…………」

ありですね。はい。

無言で見つめ合う状態に耐えきれないのか、藤子は無理矢理体勢を変え始めた。

キョン「ま、待て藤子」

胸が胸が。藤子ブラジャー着けてますね。佐々木と橘京子が着けさせたのか?そんな事は今考えるだけ無駄である。それより藤子の太股が擦り付けるように俺の股間にってヤバい。今考えろ。無駄な事を考えろ俺。


佐々木『くっくっ、うらやましいね藤原君』

橘『未来人は……総じてそうなのですか?』

藤子は佐々木と橘京子におっぱいを見ながら、現在俺に押し付けているこのおっぱいをってあああっ!?

藤子は細い腕を俺の腰に回し、顔を俺の肩に置いた。

藤子「……時間だ。静かに観測するんだ」

藤子がどんな表情をして呟いたかは確認出来ない。俺の目に映るのは、隙間から覗く部屋と藤子の耳とうなじだけだった。

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:47:40.36 ID:ifVNR0ZCO



キョン「わ、わかった……」

藤子の耳元で囁いたその瞬間。

藤子「ひうっ……!」

びくんっと身体をのけ反らせる藤子。おい止めろ。股間にこれ以上刺激を与えるなっ!?

藤子「い、いかなり耳に息を吹き掛けるな。何を考えているんだ君は」

キョン「不可抗力だ。と言うか、お前も止めろ」

藤子の吐息が耳に。不味い。これはかなり

ガチャッ

部屋の扉が開き、藤原が部屋に入って来た。



75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:51:24.18 ID:ifVNR0ZCO



藤子「…………」

キョン「…………」

俺は藤子と抱き合ったまま、クローゼットの隙間から藤原を観測する。

藤原は荷物を置いてベッドに腰掛け、そのままテレビを付けた。

一体、いつ女体化すると言うのだ。

と言うか、その女体化した藤子と抱き合って過去の藤原を覗き見していると言う現状と、ハルヒによって女体化する瞬間が見られると言う規定事項を前に、緊張が高まり鼓動が早まる。

ドクンッドクンッドクンッと……俺だけじゃない。藤子もだ。胸の鼓動を直に感じる。

藤子「…………」

キョン「…………」

微動だにせず、無言でクローゼットの向こうの藤原の様子を伺う。

藤原はチャンネルを決めかねているのか、リモコンを操作する。そして……それは一瞬の出来事だった。

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:54:49.77 ID:ifVNR0ZCO

長門が行ったように眩い光に包まれる訳でも無く、藤原はすり替えるように藤子になった。

藤原『……何だこれは?』

突然長く伸びた自らの薄い黄緑色の髪を手にして、困惑する藤原。

藤原『これは僕の……?』

藤原はベッドから立ち上がり、自然に目に入るであろう豊満になった胸をまさぐった。続いて、あるはずの物が無くなった股間を。

藤原『冗談だろう……』

藤原は身に付けていたタートルネックのシャツを捲り上げってちょっと待て!いや待つなっ!?



78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 01:56:53.66 ID:ifVNR0ZCO

藤原は、その豊満な胸をあらわにした。

藤原『……ふざけるな。何だこれは』

こっちの台詞だ。そのおっぱいは今まさに俺に押し付けられている訳で。やばいやばいやばいやばい。

藤原はそのまま、ズボンに手を突っ込んだ。

藤原『肉体の改変……こんなふざけた事を実行するのは……』

クローゼットの向こうで、おっぱい丸出しの女が股間に手を突っ込んでいる。そしてそれと同じ女が、クローゼットの中で俺と抱き合っている。

もう、いろんな意味で限界だっ。

藤子「………っ!」

俺の身体の異変に気付いたのか、藤子の身体に力が入る。当然である。それは藤子の太股に当たっているのだから。

……すまない。お前も元は男だ。気持ちはわかるはずた。これはだな。うん。するなと言うほうが無理だ。

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 02:00:50.38 ID:ifVNR0ZCO

藤子「…………」

キョン「…………」

藤子は太股にあたる感触を嫌がったのか、無理に太股を動かす。いやそれ逆効果だって。

藤子「は、離れろ……」

耳元で囁く。それも逆効果だっつのっ!?

キョン「う、動くな藤子」

藤子「ひあっ……んっ……」

小声で囁いた瞬間、びくんっと身体をのけ反らせる藤子。すまん。うなじに吐息がかかったのはわざとじゃないって。いやいやマジで。

大体、このような状況になったのはお前のせいだろう。力任せにつねるな。

腰に回した手で、俺の腰の皮膚を思いっきり指でつねり上げる藤子。

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 02:02:14.52 ID:ifVNR0ZCO



藤子「…………」

キョン「…………」

藤原「…………」

三人と表現して良いものなのかわからないが、それぞれ無言のまま時が過ぎていく。ドクンッドクンッと俺と藤子の鼓動だけが聞こえるようだ。

藤原『こんなふざけた事を……っ!』

藤原の悲痛な叫びが聞こえた瞬間、藤子が囁いた。

藤子「か、観測しただろう?目を閉じろ」

藤子に言われるがまま、俺は目を閉じた。



84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 02:05:34.78 ID:ifVNR0ZCO

藤子「…………」

キョン「…………」

藤子「……いつまでそうしているつもりだっ!」

藤子はそう叫びながら、俺から離れた。知るか。戻ったなら戻ったと先に言え。

藤子「ど、どうだったかさっさと答えろっ!誰の仕業だ!」

目を開けると、藤子が赤面しながら俺に詰め寄っていた。

どうだったかと問われると、最高でした。いろんな意味で。しかし流石にそれは言えん。

キョン「ハルヒだな……一瞬でそうなったが、長門の時とは違う」

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 02:07:03.85 ID:ifVNR0ZCO



藤子「……涼宮ハルヒ、か」


藤子は期待が外れたような、少し困った表情を見せた。

藤子「だから九曜は出来ないと……ふん、まぁいい」

藤子は踵を返し、後ろ姿のまま叫んだ。

藤子「……き、君にも責任があるぞ!涼宮ハルヒを説得する方法を君も考えておけ!わ、わかったなっ!?」

キョン「……あ、ああ。わかったよ」

藤子はそのまま立ち去った。


……ハルヒの説得を考えておけ、か。

いや、そんな事より……やばいなこれは。

俺の鼓動は、藤子の姿が見えなくなっても収まる事は無かった。

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 07:41:51.33 ID:ifVNR0ZCO

………

……



悶々としながら常に考えるのは藤子の事ばかりと言う危険な状況のまま、三日が経過。今日は週末土曜日である。

勿論、ハルヒを説得なんて微塵も考えてはいない。

キョン「土曜日か……」

ベッドから起き上がり、伸びをしながら洗面所に向かう。

俺は顔を洗いながら、佐々木か橘京子に藤子の連絡先を教えて貰おうと考えていた。

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 07:59:27.38 ID:ifVNR0ZCO



妹「キョン君おはよ〜」

朝から元気な我が妹。その元気を俺にもわけてくれないか。

妹「今日も不思議探し〜?」

そう言えばそうだったな。昨日、ハルヒは

『そろそろ本気で探すわよ!明日は駅前に午前九時に全員集合!一年以上も成果無しとは、面目失墜よ!』

全く、誰に面目が立たないと言うのか。いや面目が立つとは言うが立たないと言う否定語は……あれ?別に正しかったっけ?どっちだ?
……うむ。起きたばかりの俺の頭で正しい日本語を考えるだけ無駄である。

テレビを観ながら朝食を済ませ、俺は外出の準備をするべく部屋に戻った。

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 08:18:06.37 ID:ifVNR0ZCO

部屋に戻って直ぐに、チカチカ点灯する携帯が目に入る。

『不在着信 4件』

早朝から何だと言うのだ。

着信履歴には、非通知設定が上から順に並んでいる。なんだこりゃ。誰かの悪戯か?

間隔はきっちり五分置き。俺が部屋から出て直ぐに、最初の着信がある。

ん?て事は……もう一度時間を確認すると、最後の着信からもう直ぐ五分。

キョン「…………」

何となく、ベッドに腰掛けて無言で携帯電話の画面を見つめる。

そろそろか。かかって来るのか? 脳内でカウントダウン開始……

キョン「……ふむ」

時間通りに、携帯電話の画面に表示される『非通知設定』の文字。いったい誰だ。週末の早朝からこんな暇な事をする奴は。

通話ボタンを押して、携帯電話を耳に当てた。

藤子『……やっと取ったか』

週末の早朝からこんな暇な事をする奴は、藤子だった。

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 09:33:39.37 ID:ifVNR0ZCO

キョン「……藤子か。それにしても、朝から暇な事をする奴だな」

藤子『で、電話を取らない君が悪いだろう。何のための携帯電話だ』

確かにそうだが。

藤子『そ、それに、その、なんだ』

キョン「………?」

藤子『い、いや、何でも無い』

何が言いたいんだ藤子。意味不明だぞ。

キョン「……まだ寝惚けているのか?」

藤子『う、うるさい!』

俺は携帯電話から聞こえる藤子の声を耳に、そのままベッドに倒れた。相変わらずだなぁ藤子。それにしてもだ……あれから三日か。

キョン「やっと藤子の声が聞けたな……って……あ……」

藤子『………っ!』

うあ、やっちまった。つい、口に出してしまった。寝惚けているのはどっちだ!

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 09:47:21.80 ID:ifVNR0ZCO



藤子『あ、朝から何を言い出すんだ君はっ!』

キョン「いや藤子。今のはだな」

藤子『何を考えているんだ!あの時も君は僕の太股に……』

それをここで言うか藤子。

藤子『その……』

キョン「…………」

藤子『…………』

携帯電話で話していると言うのに、二人して無言になってしまった。気まずい空気が流れる。


104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 10:04:23.92 ID:ifVNR0ZCO

キョン「と、とりあえずだ藤子。用件は何だ」

二人して押し黙っていても意味が無い。

藤子『そ、そうだ。件の涼宮ハルヒの説得だ。僕なりに幾つかの方法を考えたのだが』

キョン「…………」

何も考えてないぞ俺は。

藤子『君の協力は当然としてだが予測される涼宮ハルヒの行動によっては朝比奈みくる古泉一樹の協力も必要となる場合もあるんだ』

やけに早口だな藤子。言わんとしている事は理解出来るが。

藤子『その方法だが、そ、その……』

急に口調を小さく緩める藤子。

藤子『……で、電話では長くなるし、見た方が早いんだ。
ぼ、僕が作成した書類を見ながら、二人の意見を交えた方が、い、いいと思うのだが?』



105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 10:11:31.86 ID:ifVNR0ZCO



何故に疑問形だ。

藤子『そ、それでだな。僕の部屋で……』

キョン「……藤子」

藤子『じ、時間がある時で良いんだ。それに、今日は朝から忙しいのだろう?週末、君達はいつも……』

キョン「……今日は中止になったんだ」

俺は

嘘を付いた

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 10:21:38.84 ID:ifVNR0ZCO

藤子『中止?』

キョン「あぁ。と言う訳で、今日の俺の予定は何も無いんだ。時間はいつでも空いている」

藤子『……そ、そうか』

キョン「何なら、今からでも構わんぞ」

藤子『い、今は駄目だっ!駄目に決まっているだろうっ!?』

何が駄目だと言うのだ。

キョン「……なら、何時なら良いんだ?」

藤子『え、えっとだ。三十……いや、一時間後以降なら何時でも』

キョン「じゃあ一時間後だな」

藤子『いっ……ま、待て!そんなに慌てなくても僕は……』

キョン「……早く戻りたくないのか?」

藤子『そ、それは……』

キョン「それに俺は……」

藤子『……わ、わかった!一時間後だな?わかったよ』



108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 10:36:20.96 ID:ifVNR0ZCO

キョン「場所は……」

藤子『メ、メールで地図を送る。直ぐに送るから……』

キョン「……藤子、何故に俺のアドレスを知っている」

藤子『き、禁則だ!』

……調べる事ぐらい朝飯前なんだろうな。

藤子『い、一時間後だぞ?遅れ……いや、少しぐらい遅れても構わない。準備があるから』

キョン「何の準備だ?』

藤子『何の……う、うるさいっ!君に関係無いだろうっ!』

キョン「電話で何度も怒鳴るな藤子。耳が痛いぞ」

藤子『い、いいか、一時間後だぞ?それより遅れる事はあっても、早く来る事は許さん』

キョン「わかった、わかったよ。ゆっくり来るさ」

藤子『そうしてくれ。じゃあメールを送るから』

キョン「あぁ。後でな藤子」

藤子『あ……後で、また』



112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 10:41:35.64 ID:ifVNR0ZCO

電話を切る瞬間『け、化粧品……』と聞こえたような気がしたが、ここはあえて気のせいだとして置こう。

キョン「さて、と」

どんな言い訳をハルヒに伝えようか。

念のため、妹に口裏合わせをしておかなくてはな。

一時間後か……半ば無理矢理感は拭えないが、藤子に会える。会えるのだ。

キョン「……本気でヤバいなこれは」

週末、土曜日、早朝

藤子に会える。

ただそれだけで、俺の鼓動は高鳴り始めていた。

119 名前:少しだけ[] 投稿日:2009/11/21(土) 11:29:29.57 ID:ifVNR0ZCO

先ずはハルヒにメールだ。

うむ。インフルエンザの可能性があると言う事にして置こうか。

メールを送信した瞬間、やかましく携帯が鳴り響く。想定内とは言え、早いぞハルヒ。

ハルヒ『マスクを何重にも装着して、這ってでも来なさいっ!』

第一声がそれか。嘘八百ではあるが、少しは団員を気遣え。

ハルヒ『なーんて、冗談なんだけどね……キョン、大丈夫?』

おや?



120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 11:31:42.13 ID:ifVNR0ZCO

キョン「あ、あぁ。大丈夫……いや、大丈夫では無いから病院に行くのだが」

ハルヒ『熱は高いの?咳は?吐き気はする?』

キョン「熱は……高いな。咳も止まらん。吐き気は無いな」

ハルヒ『い、いつからなの?』

キョン「……今日の朝からだ」

ハルヒ『そう……ね、ねぇキョン。私が付き添い……』

キョン「気持ちは嬉しいが、今流行りの新型だったらどうする」

ハルヒ『そ、そうだけど……』

キョン「…………」

本気で心配するハルヒの声を聞いて、少し心が痛んだ。



121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 11:32:56.16 ID:ifVNR0ZCO

しかしだ。

キョン「多分大丈夫だとは思うが、念の為だ。もし、インフルエンザでお前まで感染したらどうするんだ」

ハルヒ『…………』

キョン「まぁ、これだけ騒ぎになっているのだから、疑いがあると言えば直ぐに検査結果を教えて貰えるだろうよ。そしたら……直ぐに連絡するさ」

高熱で咳が止まらない設定を忘れ、早口で嘘を並べる俺。

ハルヒ『う、うん……わかったわキョン』

キョン「そう言う訳だ。今日はすまないが……」

ハルヒ『べ、別に謝らなくていいわよ』

キョン「じゃあ病院に行ってくるから、皆にもそう伝えて置いてくれ」

ハルヒ『キョン……直ぐに連絡してね。待ってるから……』

キョン「あ、あぁ……」

また

チクリと心が痛んだ。

そのまま俺は電話を切る。

……インフルエンザの可能性があると聞いて、長門と古泉がどう動くか心配ではある……一応手を打って置くか。

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 11:37:55.27 ID:ifVNR0ZCO



『体調を崩したが、ハルヒが回復を望んだようだ。念のため病院に行くが大丈夫だろう』

よし、これで伝わるし、静観するだろうな。多分。いや、静観しろ。

俺は藤子に会わねばならんのだ。

先程の心の痛みを無理矢理無かった事にし、親と妹には風邪っぽいので病院で薬をもらって来ると伝える。

家を出て直ぐにタクシーをつかまえる。メールで送られた地図を見ながら、行き先を運転手に説明する俺。

勿論、行き先は藤子の部屋だ。

時間を確認する。うむ。ちょうど一時間後には着くな。


さて、なんだか朝から忙しく行動しているような気がする訳だが。

これで安心?して会えるぞー藤子ー。

135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 13:59:52.64 ID:ifVNR0ZCO

………

……



キョン「……ここか」

とあるマンションの最上階。角部屋の扉の前で俺は立ち止まった。

藤子が送った地図によれば、この部屋である。俺は少し緊張しながら、インターホンを鳴らした。


ガチャッ


扉は直ぐに開いた。

キョン「藤子……」

藤子「……時間通りだな。上がりたまえ」

藤子は薄い黄緑色の長い髪をなびかせながら、俺は部屋に招き入れた。


138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 14:11:47.55 ID:ifVNR0ZCO

以前来た時同様、必要以上の物は何もない殺風景な部屋。

藤子「そこのベッドに腰掛けていてくれ」

言われた通りにベッドに腰掛ける。ソファは勿論、座布団すら無いようだな。

藤子「さて、これが僕の計画案だが……」

藤子は、テーブルの上にA4用紙を並べる。

藤子「読んでくれ。君の意見を聞きたい」

キョン「あ、あぁ」



139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 14:24:55.30 ID:ifVNR0ZCO

藤子「あ、すまない。先に飲み物ぐらい出して置くべきだったな」

そう言って、小さな冷蔵庫から氷を取り出してグラスに入れ、飲み物を注ぎ入れる藤子。

その間に、藤子作成の計画案をとりあえず読んで見る物の……基本的に俺と時間遡行し、今回の事態を事前に止める訳だが……この状況で頭に入る訳が無い。

藤子「どうだ?」

テーブルにグラスを置き、俺の隣に藤子は腰掛けた。

キョン「い、いいんじゃないか?上手く行くと思うが」

適当に返事を返す俺。

藤子「そ、そうか」

キョン「…………」

藤子「…………」

無言。二人。ベッドの上にて。


141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 14:41:23.62 ID:ifVNR0ZCO



なんだこの緊張感は……落ち着け俺。嘘をついてまで藤子に会いに来たんじゃないか。何か喋れ。

キョン「あー……その、なんだ」

藤子「……ど、どうした。何か別の考えでも思い付いたのか?」

キョン「いや、この計画案の話じゃなくてだな」

藤子「じゃ、じゃあ何の話だと言うのだ……」

キョン「その、ええっと、普段 どんな事をしているんだ?」

なんだこの質問は。阿呆か。

見ろ。藤子もきょとんとしているではないか。

藤子「……ふっくっく、何だそれは」

キョン「す、すまん藤子。今の無しだ。聞かなかった事にしてくれ」

藤子「普段……普段の僕、か。ふっくっく……」



145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 15:27:11.73 ID:ifVNR0ZCO

藤子「ふん、確かに柄じゃあないな」

藤子はそう呟きながらグラスを手にし、一気に飲み干した。

藤子「……このままじゃ、僕はおかしくなってしまう」

キョン「藤子……?」

藤子「ふっくっく、君には解るまい。この身体になってから僕がどんな気持ちで……いや、今は言うまい」

藤子はそのまま立ち上がり、部屋の奥へと進んでいった。



149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 15:43:31.73 ID:ifVNR0ZCO

奥にはキッチンが見える。藤子はそこに入って行き、十秒程で戻って来た。

キョン「……おい」

藤子「普段の僕、なんだろう?」

藤子の手には、洋酒の瓶があった。

藤子「君もどうだ?」

ニヤリと笑みを浮かべる藤子。

キョン「ちょっと待て。何時だと思っているんだ?」

藤子「何時……ふん、時間等は僕には関係無いのさ」

藤子は隣に腰掛け、空いたグラスに洋酒を注ぎ入れながら続ける。

藤子「……全て吐き出させてくれ……僕はもう限界なんだ」

そして、ゆっくりと喉に流し込んだ。

162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 17:29:23.32 ID:ifVNR0ZCO

藤子「ふぅ……」

藤子は、半分程飲み干したグラスを片手に俺を見る。

藤子「ふん、飲まなければ、やってはいられないとは正にこの事さ」

キョン「藤子……」

藤子「軽蔑するかい?」

キョン「いや」

藤子「……ふっくっく、君に軽蔑された方が、楽なのかも知れん」

藤子はグラスの残りを飲み干し、新たに洋酒を注ぎ入れた。

166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 17:42:54.29 ID:ifVNR0ZCO

藤子「この身体になってから、毎日気が狂いそうだった」

藤子は飲みながら続けた。

藤子「……自分の中で二つの人格が出来てしまった。男性の僕と、女性の僕だ。互いにせめぎあい感情を否定し合っていた。解るか?」

キョン「……なんとなくな」

藤子「そして男性の僕は日が経つにつれ、女性の僕に侵食されていった……」

キョン「…………」

藤子「……もう、僕は以前の僕じゃない。見ての通りだが身体だけでは無いんだ。思考も感情も、全て改変されてしまった」

さらに飲みながら続ける。

藤子「そう。全てだ。僕は女性に……『藤子』になってしまったのだよ。『藤原』は、もう存在しないんだ」

飲み干されたグラスの中で、カランと氷が音を立てた。


171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 18:05:13.00 ID:ifVNR0ZCO



藤子「……そして僕は、女性として『藤子』として君を見るようになってしまった」

空のグラスに、さらに洋酒を注ぎ入れる藤子。

キョン「藤子、ペースを落とせ」

藤子「ふん、構うな」

そしてそれを一気に流し込んだ。

藤子「はぁ……こ、こうでもしないと……僕は君に本音で話せないんだ」

そしてまた洋酒を……

キョン「おい」

藤子「だから構うなと言っている……」

藤子は俺の制止を聞かず、さらに飲み続ける。

藤子「酒の事だけじゃない……こ、これから僕に構わないでくれ」

キョン「……どう言う意味だ藤子?」

藤子「ふん、言葉の通りさ」



177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 18:38:22.34 ID:ifVNR0ZCO

藤子は立ち上がり、少しよろけながら冷蔵庫を開けた。

キョン「だ、大丈夫か藤子」

藤子「だから構うなと言っているだろうっ!?」

キョン「なっ……何をそんなに怒っているんだ?」

藤子「……ふんっ!」

藤子は乱暴に氷をグラスに入れ、洋酒を注ぎ入れて飲み干す。口元から溢れ、滴る洋酒を拭おうともしない。

藤子「んくっ……いいから僕に構うな」

キョン「そう言う訳にもいかんだろうよ」

藤子はよろよろと俺の隣に腰掛け、更にグラスに洋酒を注ぐ。

キョン「……飲み過ぎだ。止めろ」

俺は藤子の手を掴む。藤子はそのまま振り向き、俺を睨んだ。

藤子「…………」

キョン「少し落ち着け。いくらなんでも」

藤子「いくらなんでも何なのだ。僕が酔い潰れると困るのか?」

178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 18:54:37.26 ID:ifVNR0ZCO

キョン「困るとかそう言う事じゃ」

藤子「……ふっくっく、僕としたいか?」

キョン「しっ……!」

藤子「そう言えば、君はあのクローゼットで僕に欲情していたな」

口元を歪ませる藤子。

藤子「……実は僕もだ」

キョン「よ、酔い過ぎだ。いきなり何を」

藤子「ふっくっく、冗談だよ冗談。悪かったな」

キョン「……言って良い冗談と悪い冗談があるだろうがっ!」

藤子「ふん、怒るな怒るな。君も当初は僕に似たような事を言っていたではないか」

キョン「うぐっ……」

藤子「それに……性行為は『禁則』だ。残念だったな」

そう呟きながら、藤子は少し表情を曇らせた。

藤子「互いに求め合っていようがな……そう……『禁則』なんだよ……」

181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 19:06:51.70 ID:ifVNR0ZCO

キョン「…………」

藤子「……手を離せ」

言われるがまま、俺は藤子から手を離した。

藤子「ふん……」

そのまま半分以上飲んだ後、グラスを揺らして氷が鳴るのをじっと見つめていた。

藤子「……最低の告白をしてやろう」

火照った顔で、藤子は呟いた。

藤子「……僕は君が好きだ」

キョン「藤子……」

藤子「ふっくっく……最低だろう?性行為が禁則と言っておきながら、君を好きだと言うのだ」

203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 22:22:17.05 ID:ifVNR0ZCO

藤子は、前髪をかき上げながら続けた。

藤子「性行為も出来ない……この時間平面に、ずっと居る事すら出来ない……」

キョン「…………」

藤子「そして元は男だ……僕に何が出来ると言うのだ?
涼宮ハルヒのように出来ない。
朝比奈みくるのように出来ない。
長門有希のように出来ない。
佐々木のように、橘京子のように、周防九曜のように」

藤子「僕は君に何も出来ない……何も出来ないんだ」

キョン「…………」

藤子は涙を流しながら叫んだ。

藤子「だから、だから僕に構うな。構わないでくれ。優しい言葉をかけるな。
僕はそれに応えられないんだ!たから、だから……」

キョン「もういい、藤子っ!」

206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 22:37:35.44 ID:ifVNR0ZCO



俺は藤子を抱き締めた。

藤子「……は、離せ。抱き着くなっ!」

キョン「…………」

藤子「君のその優しさが、どれ程に残酷な事かわからないのかっ!?
君は、君はそうやって周囲の女性を惑わせる。狂わせるんだ!」

キョン「…………」

藤子「い、今の僕には皆の気持ちが解る!朝比奈みくるも、長門有希も、佐々木もだ!決して報われない、それでも耐え忍ぶ気持ちをだっ!」

キョン「…………」

藤子「君は、君は涼宮ハルヒを選ぶんだ。それは……規定事項なんだ……」

キョン「…………」

藤子「だから離せ。こんな、こんな何も出来ない僕に構うな……っ!?」



207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 22:43:09.65 ID:ifVNR0ZCO

キョン「…………」

藤子「…………」

何故そうしたかと問われたら

答える事は出来ないのだろう

ただ藤子が

藤子が泣き叫んでいたから

俺を思って藤子が泣き叫んでいたから

悲痛な声をあげて藤子が泣き叫んでいたから

俺は

俺は全てを理解した上で

藤子を力強く抱き寄せて

唇を重ねた

それは間違いなのかも知れない

してはいけない過ちを犯してしまったのかも知れない

けど、俺には何の後悔もなかった

209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/21(土) 22:59:31.10 ID:ifVNR0ZCO



そのまま、時が止まってしまえばいい

俺と藤子は、微動だにせず唇を重ねていた。

藤子「ん……んんっ!」

全ての時が止まる程の静寂を破ったのは、藤子だった。重ね合っていた唇から逃れるように顔を伏せた。

藤子「君は……君は何を考えているんだ!これ以上僕を狂わせるなっ!」

キョン「藤子、俺は」

藤子「う、うるさいっ!うるさいうるさいうるさいっ!」

首を横に振りながら、藤子は泣き叫ぶ。

藤子「君が、君がそう思っていてもだっ!それは一時的な物たっ!
君の気持ちは既に……涼宮ハルヒの思うがままだ!」

藤子が悲痛な叫びをあげたと同時に

俺の携帯が鳴り響いた

238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 08:07:15.08 ID:jvTmKkkgO



藤子「……涼宮ハルヒだろう?電話を取れ」

藤子の言う通り、この着信設定音はハルヒだ。だからと言って……

キョン「俺は」

藤子「取らなければいけないと言うのが解らないのか君はっ!
週末の活動が中止だなんて嘘なんだろう?どんな言い訳をして来た」

キョン「…………」

藤子「電話を取るんだ……電話を取って、普段通り話せ。無駄な事は喋るな。わ、解るだろう?嘘をついて僕と会っているなんて涼宮ハルヒに知れてみろ」

キョン「……わかった、わかったよ」

藤子「わかったなら離せ……っ!」

藤子は俺の腕の中から逃れた。

藤子「い、いいか、僕に構うな。先程のような過ちは犯すな。無駄な事は話すな。解るだろう?」

藤子は俺に釘を刺して立ち上がった。同時に着信音は鳴り止む。

藤子「さっさとかけ直せ……」

洋酒を一気に飲み、藤子は部屋の奥へと向かった。


241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 08:12:03.47 ID:jvTmKkkgO

キョン「…………」

俺は無言で携帯を操作し、ハルヒにかけ直した。

ハルヒ『もしもし?キョン?』

キョン「……どうしたんだ」

ハルヒ『検査結果、大丈夫だった?医者は何と』

キョン「陰性だよ。大丈夫だ。只の風邪だ」

ハルヒ『只の風邪……良かった……』

安堵する声が、本気で俺を心配していたのだろうと解る。だが、今はそれが疎ましい。俺は、俺はもうお前じゃなく藤子を

キョン「……ハルヒ……聞いてくれ……俺は……」

ハルヒ『ど、どうしたの?』

言いかけた言葉を飲み込む。言ってどうなる。

キョン「……今日は、念のため点滴をする事になった。それが終わったら帰って……良いらしい」

変わりに、情けない嘘をついた。



242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 08:14:38.87 ID:jvTmKkkgO

ハルヒ『そう……どれくらいで終わるの?』

キョン「……一時間……いや、二時間ぐらいかな?もう少しかかるかも知れん」

ハルヒ『そんなにかかるの?』

キョン「そ、そんな物だろう。じゃあ病院だし、電源を切るぞ。さっきもそうだが、看護婦が俺を睨んでいる」

ハルヒ『……そうね……ごめんね。電話しちゃって』

キョン「いや……」

ハルヒ『ね、何か食べたい物あるかしら?果物とか』

キョン「……いや、大丈夫だよ。そろそろ切るぞ」

ハルヒ『ね、お見舞いに来るから、家に着いたらメールしなさいよ!』

キョン「……あぁ、わかったよ。呼んでるから切るぞ」

ハルヒ『絶対よ!じゃあキョン、お大事にね!』

243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 08:16:06.81 ID:jvTmKkkgO



俺はそのまま電源を切り、携帯を投げ捨てた。

情けない。

この一言に尽きる。

電話の向こうのハルヒの顔色を伺いながら、藤子はわざわざ奥へ引っ込んだと言うのに小声で話していた。

キョン「なんて情けないんだ俺は……っ!」

藤子、何も出来ないのは俺だ。俺の方だ。



245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 08:40:54.66 ID:jvTmKkkgO

藤子「ふっくっく、話は終わったか?」

キョン「……あぁ」

部屋に戻った藤子は、壁に背もたれながら溜め息をついた。

藤子「……帰ってくれ」

キョン「藤子、今はまだ」

藤子「ふん、今でも後でも一緒だ。君は結局帰るのだろう?」

キョン「それは」

藤子「涼宮ハルヒが待っているのだろう?」

キョン「…………」

246 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 08:43:33.37 ID:jvTmKkkgO



藤子「……何も出来ない。何も出来ないんだよ僕達は」

キョン「藤子、俺はそれでもお前が」

藤子「だから何だっ!何も出来ないと先程から言っているだろうっ!?

キョン「出来なくてもだっ!」

俺は立ち上がり、そのまま藤子の手を掴んだ。

藤子「離せ……っ!」

離すもんか。俺は嫌がる藤子をそのまま引き寄せた。

キョン「藤子、俺はお前が好きだ。ハルヒよりも、誰よりもだ」

藤子「う、うるさいっ!離せっ!」

キョン「何も出来ないからと言って、俺は簡単にお前を諦めたくないんだっ!」


250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 09:18:48.59 ID:jvTmKkkgO



キョン「本当に何も出来ないのか?何か出来る事があるはずだ」

藤子「止めろ……これ以上僕を惑わせるな……」

キョン「藤子、お前の存在自体が既定事項ではないはずだ。だったら」

藤子「既定を塗り替えるとでも言うのか?それは只の既定事項では無いぞ。涼宮ハルヒが望む物だ。可能性等殆んど無い……結局報われない、報われないんだ!」

キョン「可能性がゼロって訳じゃ無いんだろう!?」

藤子「だからと言って、全てを敵に回すつもりかっ!」

キョン「俺は構わん。全てを敵に回そうが、お前と一緒にいたいんだっ!」

藤子「……だ、黙れ。それがどれだけ困難な事か君にも解るはずだ」

キョン「既定事項だから何だ。ハルヒが望んでいるから何だ。俺がそれを全て塗り替えてやる」

藤子「…………」

藤子はそのまま押し黙った。



255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 09:39:34.38 ID:jvTmKkkgO



キョン「藤子……」

藤子「……僕の為に全てを敵に回せば、待っているのは泥沼だ。地獄だ……君は今まで共に過ごして来た者達を裏切る事になる」

キョン「……俺はそれでも、お前と一緒になれる為なら」

藤子「君は……君は愚かだ……簡単に裏切れる訳が無い……」

キョン「出来る。出来るさ。藤子、お前の為なら……」

藤子「本当に愚かだ君は……そしてそれは……僕もだ……」

藤子の腕が、俺の背中に回る。

キョン「藤子……」

全てを敵に回して、全てを裏切る。

俺と藤子は、その誓いを立てるように無言で唇を重ねた。


261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 11:04:35.07 ID:jvTmKkkgO

藤子「んっ……ま、待ってくれ」

藤子は唇を離した。

藤子「……向こうで……少し話をしないか」

藤子の視線の先には、ベッドがある。藤子はゆっくり俺から離れた。

藤子「時間は……あるんだろう?」

キョン「あぁ」

俺は先にベッドに腰掛ける。藤子は、新たに氷をグラスに入れた。

藤子「君も……いや、止めておいた方がいいな」

そのまま俺の隣に腰掛けた。そして洋酒を注ぎ入れる。

キョン「まだ飲むのか」

藤子「……こう言う女性は嫌いか?君が止めろと言うのなら」

キョン「そう言う訳じゃあない」

藤子「ふっくっく、大丈夫だ。先程はああ言ったが、これぐらいで酔い潰れたりしない」

藤子は、それを一口だけ飲むと俺の肩に頭を預けて来た。

藤子「もう少し酔いたいんだ……」

262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 11:11:05.78 ID:jvTmKkkgO

キョン「藤子……」

藤子「時間は……どれくらいあるんだ?」

キョン「いや、今日は」

藤子「駄目だ。今日は帰った方がいい。涼宮ハルヒに感付かれないようにしろ」

キョン「しかし……」

藤子「二度と会えないって訳じゃ無いだろう?」

キョン「……そうだな。先程、電話で二時間はかかると伝えた」

藤子「では一時間足らずか……ふっくっく」

藤子は突然笑い出した。

藤子「まるで恐妻に隠れて不倫でもしている気分だ」

キョン「……俺はハルヒと夫婦なった覚えは無いぞ」

藤子「ふん、現時点では似たような物だ……でも君は」

藤子は、そっと俺の手を握り締めた。

藤子「僕を選んでくれた」

キョン「……あぁ、俺はお前を、藤子を選んだ」

264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 11:26:51.18 ID:jvTmKkkgO

そう言って、その手を握り返した。

藤子「……もうこれも要らないな」

藤子はテーブルの上にあるA4用紙を見る。

藤子「ふっくっく、もっとも、そう見えるように作成しただけだがな」

キョン「……どう言う事だ?」

藤子「最初は、本気で元に戻ろうと考えて作成したんだがな……白状しよう。これは君に会う口実だ。その為に作成した物さ……君に会いたかったんだ」

キョン「…………」

藤子「会っても何も出来ないと解っていながらな。それでも会いたかった」

キョン「……藤子、俺もだ。この三日間、お前の事だけを考えていた」

藤子「僕もだ……あの日、あのクローゼットで君と身体を重ね合わせた時から、僕はもうおかしくなっていたのだろうな」

藤子はそう呟いて、グラスを口に運ぶ。

269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 12:17:17.64 ID:jvTmKkkgO

藤子「そう……おかしくなった。あの時、僕も欲情していたと言うのは本当だよ」

キョン「おい、酔い過ぎだ藤子」

藤子「そうだな……少し、酔っている」

そう呟いて、ゆっくり指を絡めるように動かし始めた。

藤子「あの日、君と別れてから僕の身体は疼いていた。
ふっくっく、それを自分で慰めていたのだよ。毎晩、指を経血で赤く染めて淫らな声をあげながらな」

キョン「おい」

藤子「いやらしい女は嫌いか?」

キョン「そう言う訳じゃ……」

藤子「言っただろう、僕は他の女性のように出来ないんだ。君の出会って来た可愛らしい女性のように……出来ないのだよ」

絡まる指に、少し力が入った。

藤子「そう言う風にしようと努力はしたがな。無理だ。朝比奈みくるのように可愛らしく、女の子らしくは出来ない」

藤子は、洋酒を一気に飲み干してグラスをテーブルの上に置いた。

藤子「ふん、自分でも難儀な奴だとは解っている。それでも君は……」

キョン「何度も言わせるな。俺はお前が好きなんだ。その辺りも含めてな」

俺は自ら指を絡め合わせた。

271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 12:24:55.13 ID:jvTmKkkgO

キョン「藤子、お前はそのままでいい」

藤子「……君の、君のその優しい言葉に、僕は返す言葉が見付からない」

藤子は、少し声を震わせて呟いた。

キョン「無理に応えようとするな」

藤子「それでも……僕は君に……応えてあげたいんだ」

藤子は俺の顔を見つめた。

藤子「何も出来ない……出来ないけど僕は……」

藤子は指を絡めるのを止め、そっと指を離した。そしてその指を

キョン「……ふ、藤子?それは」

藤子「性行為は確かに禁則事項だ。要は……君が僕の下半身に直接触れなければ良いんだ」

藤子の指が、優しく俺の股関をなぞる。

藤子「やりようは幾らでもある……僕は君に応えたい……君を悦ばせたいんだ」

火照った顔で瞳を潤ませながら、藤子はそのまま俺に唇を重ねた。



281 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 13:26:44.32 ID:jvTmKkkgO

藤子「んっ……」

藤子は自ら求めるように舌を絡ませて来た。洋酒の香りが、互いの口の中で広がる。

藤子「はぁ……んっ……」

藤子は舌を絡ませるだけでは飽き足らず、そのまま俺の首筋に舌を這わせた。

キョン「藤子……っ!」

俺の股関をまさぐる藤子の指がさらに淫らに動いた。

キョン「うあっ……」

首筋から上に舌を這わせ、そのまま耳を舌でなぞらせていく。

俺はもう我慢出来ず、藤子の豊満な胸を揉みしだき始めた。

藤子「あっ……んっ……」

耳元で藤子は喘いだ。吐息を直接あてながら囁く。

藤子「上半身は……好きにしていいぞ」

282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 13:30:37.32 ID:jvTmKkkgO



藤子は俺の股関をまさぐるのを止め、そのまま後ろ手にブラのホックを外した。

そして服を脱ぎ、ブラを外して桃色に火照った身体をあらわにする。少し乱れたのを気にしたのか、髪をほどいだ。

藤子「……君はこっちの方が好きだったな」

一度ほどいた髪を、綺麗にまとめて縛る。
キョン「藤子……」

あらわになった藤子の胸に、ゆっくり触れる。

藤子「んっ……」

少し身体を仰け反らせながら、藤子は囁いた。

藤子「乱暴にしてくれ……君に乱暴に犯される自分を想像して、毎晩自分を慰めて……」

全てを言わせず、俺は豊満な胸に力を込めながら、藤子に覆い被さった。

藤子「あぁっ……んっ……」



290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 15:04:41.14 ID:jvTmKkkgO

下になった藤子を犯すように、強引に舌を絡める。

藤子「んっ……んんっ……」

それを受け入れ、藤子も舌を絡ませて来た。俺はそのまま乳房を乱暴に愛撫する。

藤子「んんっ!」

淫らに突起した乳首を摘まむと、藤子の舌の動きが止まった。
このまま刺激を指で与え始める 。藤子は糸を引かせながら俺の舌から逃れ、激しく悶えた。

藤子「あんっ!んっ!あぁっ!?」

俺は藤子の豊満な乳房に顔を埋めた。乳房をゆっくり舌でなぞり、突起した先端に舌を当てた。

藤子「ひうっ……あぁっ!」

転がすように、舌で攻めあげる。唇で挟み、吸い上げる。絶え間無く藤子に刺激を与え続けた。

そして、甘く噛むと藤子は身体を仰け反らせた。

藤子「あっ……噛んで……もっと僕を……」

藤子は俺の頭を押さえつけた。

藤子「ひうっ……あぁっ!?」



292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 15:11:04.67 ID:jvTmKkkgO

俺は堪えきれず、藤子の下半身をまさぐろうとした。だが、直ぐに藤子に制止される。

藤子「だ、駄目だ……禁則だ……」

キョン「どこまでしていいんだ藤子……」

藤子「言っただろう……上半身は好きにしていいと……」

藤子は、わざとらしく舌をつき出した。

藤子「……犯してくれ……滅茶苦茶に……僕の口を……」

俺はその場で膝を付いて上体を起こした。藤子も起き上がり、隆起した俺股間をゆっくりなぞりながら、ベルトを外して行く。

藤子「はぁっ……んっ……」


あらわになった肉棒を、藤子は愛おしそうな表情で口に含み入れた。

293 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 15:25:39.02 ID:jvTmKkkgO

口にくわえ込んだまま、淫らな瞳で俺を見上げる藤子。

わかっているよ藤子。乱暴に犯して欲しいのだろう?

藤子の束ねた髪の毛を掴み、俺は藤子の口内を犯し始めた。

藤子「んぐっ……ふっ……」

口内で激しく動く肉棒に、藤子は必死に舌を絡ませる。

295 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 15:40:24.82 ID:jvTmKkkgO

藤子「ふぐっ……んんっ!?」

肉棒を根本までくわえさせる。喉の奥まで犯してやるぞ藤子。

掴んだ髪の毛を強引に引っ張りながら、藤子の口内をかき混ぜるように犯していく。頬の内側にもしっかり肉棒を擦り合わせ、膨らむ藤子の頬を見下ろすながら腰を動かした。

藤子「んむぅ!んぐっ!んぐっ!」

じゅぷじゅぷと淫らな音をさせながら、藤子は自らの右手で自分の股間を弄び始めた。

ファスナーをゆっくり下ろして、下着に右手を入れて直接行為をする藤子。それを俺に見せつけるように、大きく股を開いた。

297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 15:50:57.52 ID:jvTmKkkgO

口を犯されながら自慰行為をする藤子。なんて卑猥な姿なんだ。

キョン「……脱いで直に見せるんだ」

藤子の口から肉棒を抜こうとしたが、制止された。くわえたまま、切ない表情を浮かべる藤子。

直接見るのも禁則か。くそっ。

やり場の無い怒りを藤子に向け、さらに激しく口内を犯した。

藤子「んんっ!んむぅっ!?」



300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 16:19:04.30 ID:jvTmKkkgO



激しく口を犯されながらも、藤子は自慰行為をする右手を止めない。

時折身体を小刻みに震わせながら、ぐちゅぐちゅと卑猥な音を俺に聞かせる。

藤子「んっ!んっ!んんっ!」

キョン「藤子……っ!」

口を犯されながら、藤子は頷く。淫らに動く右手が、より一層卑猥な音を立たせた。

束ねた髪の毛を掴み、力の限り腰を動かす。

藤子「んんっ!んっ!んっ!んっ!」

藤子は口内で暴れる肉棒にねっとりと舌を絡ませ、そして吸いあげる」

キョン「くっ……藤子……」

そろそろ限界だ。俺は藤子の口から肉棒を引き抜いた。

藤子「ぶあっ……!」

引き抜いた肉棒を、藤子の眼前でゆっくりしごきながら俺は呟く。

キョン「藤子……そろそろ出すぞ……上半身は好きにしていいんだったな」



301 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 16:28:30.17 ID:jvTmKkkgO



藤子「はぁっ……あっ……ああ、かけて……かけてくれ……」

身体を震わせながら、藤子は目を閉じて口を開いた。

キョン「たっぷりかけてやるぞ藤子……」

藤子「はぁっ……ああっ……あっ……」

キョン「かけるぞ……くっ……っ!」

藤子の唾液にまみれた肉棒をしごき、俺は藤子の顔に向けて精液を放出した。

藤子「あんっ……んっ……」


肉棒はどくんっどくんっと波打ちながら、大量の精液で藤子の顔を汚して行く。

藤子「んあっ……あっ……ああっ!?」

俺の精液を顔と小さな口で受け止めながら、藤子は一瞬びくんっと身体を仰け反らせた。

そして身体全体を小刻みに痙攣させ、卑猥な音を立たせていた右手の動きを止めた。


304 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 16:41:29.35 ID:jvTmKkkgO

キョン「顔にかけられて絶頂を迎えたようだな藤子」

藤子「んあっ……あっ……」

まだ痙攣している藤子の髪を掴み、顎を上に向けた。

キョン「しっかり味わってくれ……」

顔にかかった精液を、肉棒を使った藤子の口に入れる。

藤子「ふぁっ……んっ……んくっ……」

藤子はそれを舌で味わいながら、ゆっくり飲み込んだ。

藤子「はぁっ……綺麗にしてやるぞ……」

藤子は、精液にまみれた肉棒を舐め始めた。

藤子「ふっ……あっ……」

尿道の奥にまで舌をいれ、そのまま吸い上げる。

藤子「はぁっ……もう僕は……これから毎日求めてしまう……」

肉棒を丹念に舌で綺麗にした後、藤子は顔にかかった精液を指に絡ませ舐めながら呟いた。

305 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 16:51:42.40 ID:jvTmKkkgO

藤子「あぁ、こんなにも美味しいなんて……味覚も変わってしまったようだ……」

指に絡ませた精液を、上から舌にどろりと垂らして淫らに俺を見つめた。

ヤバい。また犯したくなってきた。

藤子「んくっ……はぁ……」

顔にかかった俺の精液まで殆ど舐め尽くした藤子は、恍惚の表情を俺に向けた。

藤子「今夜……また来てくれないか……」

キョン「あ、あぁ。勿論だ藤子」

藤子「僕は待っている……夜に連絡してくれ……」



307 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 16:58:14.49 ID:jvTmKkkgO

………

……



藤子と別れ、俺はタクシーに乗って帰宅した。

妹「キョン君、大丈夫〜?」

キョン「ああ、只の風邪だったよ」

仮病の俺を気遣う妹をよそに、俺は自分の部屋に戻ってベッドに寝転がりながら、ハルヒにメールを送った。

『今帰宅』

そのままマナーモードにし、布団を被る。

あいつの事だ。本当に見舞いに来るのだろうな。さて、どうやって俺と藤子を認めさせようか……。

311 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 17:29:50.72 ID:jvTmKkkgO

長門や古泉や朝比奈さんは、この事を知ったら何と言うのだろう。佐々木と橘京子もだ……。

周防九曜は味方してくれないだろうか……いや、期待するのは止めたほうがいいかもな……。

そんな事を考えている内に、うとうとした俺は……。










夢の中でも、俺は藤子と抱き合っていた。

『キョン……』

藤子の手が、優しく俺の額に触れた。

キョン「藤子……」

ハルヒ「藤……子……?」

ん?何でハルヒの声が……って、やべぇっ!?

俺はベッドから跳ね起きた。目の前には困惑した表情のハルヒ。何故ここにいる。いつのまに俺は寝ていた?いつから居ていつから聞いていたんだハルヒ!?

312 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 17:30:49.55 ID:jvTmKkkgO

ハルヒ「……どんな夢をみていたのよ……」

キョン「い、いや、と言うかいつ来たんだハルヒ」

ハルヒ「寝言で藤子って……」

背中に汗をかきはじめた。落ち着け。まだバレた訳じゃない。

キョン「ど、ど、どんな夢だったか忘れくぁwせdl」

ハルヒ「ルパンは出て来なかったのかしら?」

キョン「………多分、出てきた」

あ〜ぶなかったぜぇ、とっつぁ〜ん!

ハルヒ「熱は引いたみたいだけど……凄い汗ねキョン。着替えなきゃ、また振り返すわよ」

この汗はお前がかかせたんだハルヒ。

ハルヒ「着替えさせてあげよっか?ついでに身体も拭いてあげるわよ〜?」

キョン「……断る」

ハルヒ「冗談よ冗談」

そう言って部屋から出て行くハルヒ。

風邪を引いて寝ていたと言う設定上、本日二度目の着替え。それにしても危なかった……寝言も無駄に言えないな。


314 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 17:35:18.08 ID:jvTmKkkgO

着替えを済ませ、部屋の外で待っていたハルヒを再度部屋に招き入れる。

俺はだるそうに布団に入り、

キョン「熱は引いたが、まだキツいな……」

わざとらしく呟いた。

ハルヒ「大丈夫?果物とか食べる?」

食べないし実は大丈夫だ。早く帰ってくれ。

等と言える筈がない。



317 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 18:08:12.78 ID:jvTmKkkgO

キョン「いや、ありがとう。大丈夫だ」

ハルヒ「そ、そう……」

このまま寝てしまおうか。いや、そう言う訳にもいかん。

しかし困ったぞこれは。

今すぐ俺と藤子を認めろなんて事は勿論だが、迂闊に下手な事は言えん。

だからと言って無視する訳にもいかないし、これ以上俺に好意を持たせるような発言はもっと駄目だ。

ハルヒは、そわそわしながら俺を見つめている。何がしたいんだ。

俺の見舞いに来たんだよな……ハルヒの事だ。俺を見舞いしたって言う何かをしたくて堪らないのだろう。

ふむ、敢えてそれを受け入れて置くか。しかし俺への好意をこれ以上持たせず、普通に、友人として見舞いさせてやろう。

キョン「……わざわざ来てくれてありがとうなハルヒ」

ハルヒ「と、当然じゃないっ!団員が体調を崩したらお見舞いするのが団長の務めなんだからねっ!?」

普通に喋ったつもりなのに、顔を真っ赤にして叫ぶハルヒ。これは難しい。

318 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 18:20:54.97 ID:jvTmKkkgO

自分から喋らず、受け答えだけをする方が良いかも知れん。

キョン「…………」

ハルヒ「…………」

早く何か話せ。そして満足したら帰ってくれ。

ハルヒが考える見舞い……何を望んでいるんだ。ああ、望んでいるか。だったら。

俺はわざとらしく、ゆっくり目を閉じた。

無視して寝ていようが、それは起こるのだろう。狸寝入り開始だ。

キョン「…………」

ハルヒ「…………」

狸寝入りとは、結構精神を消耗する物である。特にそれを間近で見ている奴がいれば尚更だ。

キョン「…………」

ハルヒ「…………」

頬がぴくぴくと動きそうになる。我慢だ。我慢しろ俺。



325 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 19:40:16.38 ID:jvTmKkkgO

キョン「…………」

ハルヒ「キョン……?」

無視だ。さっさとしろ。

俺の手を握るなり、額に添えるなり、顔を真っ赤にして寝ている俺にキスしようとしたら突然部屋の扉を開ける我が妹にあたふたしながら言い訳でも何でもしやがれ。

それで満足したら帰ってくれ。俺は今夜、藤子に会わねばならんのだ。

ハルヒ「狸寝入りしてんじゃないわよ!」

べしっと額を叩かれた。

キョン「……痛いなハルヒ」

ハルヒ「大体、男子の狸寝入りや寝たふりなんて、女子からすればバレバレなのよ?何でそんな事をするのか意味がわかんないわ」

さらっと重大な発言をするな。

キョン「さっきも言っただろう?まだキツいんだよ……目を閉じれば眠れると思ってな」



330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 20:04:03.02 ID:jvTmKkkgO


ハルヒ「ふぅん」

寝ている俺に近寄るハルヒ。そのままベッドの側に座り、頬杖をついた。

顔が近い。古泉かお前は。

ハルヒ「ねぇキョン」

キョン「……なんだハルヒ」

ハルヒ「本当は迷惑だった……?」

キョン「……いや、そんな事はないさ」

またハルヒに嘘をつく。俺はこれから何度ハルヒに嘘を付き続けるのだろうか。

いや、最初っからハルヒを騙しているではないか。宇宙人未来人超能力者の存在を隠して……一度正直に言ったが、全く信用されなかったがな。



336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 20:25:48.99 ID:jvTmKkkgO

キョン「来てくれて本当にありがたいと思っているよ」

ハルヒ「で、でも私は何もしてないわよ……」

キョン「いや、ハルヒ。お前が……」

ここはそれを言うべきか一瞬悩んだ。言ったら好意をいたずらに上げてしまう。しかしだ。

キョン「……いてくれるだけで、助かるよ」

ハルヒ「キョン……」

俺の脳裏に、次にするべき行動が浮かんだ。

それはハルヒが望んだ事なのか、藤子の為にさっさとして早く帰せ。好意を上げようが、どうせ裏切るのだからと言う俺の中の悪魔の囁きなのかはわからない。

俺はそれをそのまま実行した。

ハルヒの頬に触れ

互いに無言のまま、唇を重ねた。

339 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 20:37:13.12 ID:jvTmKkkgO

キョン「…………」

ハルヒ「…………」

藤子にするように濃厚なキスでは無く、軽く触れる程度にして直ぐに唇を離した。

キョン「す、すまん……少し朦朧としてて……そんなつもりはなかったんだハルヒ」

熱は引いた設定なのに、適当に言葉を並べる。

ハルヒ「………バカ」

ハルヒは顔を真っ赤にして立ち上がった。

ハルヒ「い、今のは忘れてあげるわ!ゆ、ゆっくり身体を休めて学校にはちゃんと来なさいっ!」

そう叫んでハルヒは部屋から出ていった。

344 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 20:44:04.09 ID:jvTmKkkgO

よし、帰ったか。

俺は唇を直ぐに拭った。

忘れてあげる、か。さっさと忘れてしまえ。俺も忘れる。

……自分でも最低な奴だとは解っているさ。罵倒するならしろ。甘んじて受け入れる覚悟は出来ている。

だが藤子の為だ。藤子はこれを知ったら激昂するだろうがな……。

嘘をついて全てを隠して騙し通せ。俺と藤子の為だけに。

ハルヒが帰った後で、冷静に考える。

今のはハルヒの望みだな……。くそっ。次からは自制心を強く持たねばいけない。

キスをしようがしまいが、あくまでも今まで通りに、少し気になる鈍感なクラスメイト、キョンを演じなければ。



347 名前: ◆HLR2b16n72 [] 投稿日:2009/11/22(日) 20:52:50.88 ID:jvTmKkkgO

ちょっとやっちゃった感がある。少し考えたい。

藤子なんだが

俺の脳内では、薄い黄緑色のポニテのベアトでやっている。
キョン子も全く違うではないかと言い訳をしよう。きめぇと罵っても構わない。

ここはゆずれん。ゆずれない。ゆずりたくないみたいな。

352 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 21:30:59.67 ID:jvTmKkkgO

………

……



夜を迎え、俺は藤子からの連絡を待っていた。

……黙って待つ事もないな。

朝、地図を送って来たアドレスに返信する。

『藤子に会いたい』

俺の本心をそのまま送信した。

354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 21:58:40.90 ID:jvTmKkkgO

返事は直ぐに返って来た。

『23:00に来てくれ』

そのまま携帯を閉じる。俺はベッドに寝転がり、携帯をいじりながらその時を待つ事にした。

……ハルヒの望み通り、唇を重ねた事と引き換えに明日の日曜までの時間を貰った。
今頃、やきもきした気持ちで枕に顔を埋めて足をバタバタさせているのだろうか。
お前の事だ。携帯を手にしながらも、結局俺に連絡はしないのだろう。 するなら最短で明日の昼だろうな。
予測が外れても、藤子の部屋に行ってから電源を切ればいい。風邪を引いている設定だからな。何とでも言い訳は出来る。



355 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 22:04:20.71 ID:jvTmKkkgO



そして瞬く間に時間がやって来る。

俺は部屋灯りを消し、鍵を内側から閉めた。そして窓から脱け出し、家族にバレないように飛び降りる。

バレても多分……ハルヒには言わないだろう。むしろそのハルヒに会いに行っていたでも思うのではないか?

家族にまで嘘をついて隠して騙す。

無事に外に出た俺は、家にあったサングラスを付けて帽子を被る。念のためだ。

……まるで不倫のようだと言ったのは藤子か。確かにそうだな。

そのまま大通りに向かって走り、タクシーをつかまえた。



358 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 22:17:55.17 ID:jvTmKkkgO


……とあるマンションの最上階。角部屋の扉の前で息を切らしながら時計を確認する。

23:00を少し過ぎている。遅刻癖を本格的に治さなければ。

ゆっくりインターホンを押す。直ぐに扉は開いた。

藤子「……なんだそれは」

扉を開けた藤子は、予想外の発言をした。ここは、『会いたかった』とかでは無いのか?

藤子「全く似合っていないぞ」

……あ。

キョン「い、いやこれはだな」

慌ててサングラスと帽子を外す。

藤子「ふっくっく、まぁいい。上がりたまえ」

藤子は苦笑しながら俺を部屋に招き入れた。

そして部屋の扉を閉め、鍵をかけると同時に

藤子は俺に抱きついた。

藤子「……会いたかった」


362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 22:31:21.92 ID:jvTmKkkgO



キョン「……藤子」

そのまま、俺も藤子を抱き締める。

藤子「……もう、僕はおかしくなっている。君に会わずにいられない」

キョン「俺もだ」

互いに目を閉じて、唇を重ねた。

軽く唇が触れる瞬間、ハルヒ……何故お前が出て来る。邪魔をするな。消えてくれ。

俺はそれを欠き消すように舌を入れる。そして目を開けて、舌を絡める藤子の顔を間近で見る。

藤子「んっ……?」

藤子もうっすらと目を開けた。

藤子「ふあっ……な、何を見ているんだ」

顔を真っ赤にして、恥ずかしそうに藤子は俺から離れた。

366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 22:49:58.52 ID:jvTmKkkgO



キョン「……見てはいけないのか?」

藤子「キ、キスは目を閉じてするものだろう?」

そうだったのか。いや、そうではないだろうよ。

キョン「藤子」

離れた藤子を再度引き寄せた。

キョン「別に見ながらしてもいいじゃないか」


藤子「そ、そうだが……何故か恥ずかしいのだ……」

俺は俯く藤子の前髪をかき上げる。自然と顔を上げる藤子の眼前に、舌を突き出した。

藤子「あうっ………」

そのまま藤子を凝視する。

藤子は少し困惑した表情を見せるも、直ぐに俺と目を合わせて……俺の突き出した舌を舐め始めた。

藤子「はぁ……んっ……」

ぴちゃぴちゃいらやしい音をさせながら、藤子は俺と目を合わせたまま舌を舐める。

368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 23:00:55.82 ID:jvTmKkkgO



キョン「………っ」

俺の舌を舐める藤子の胸をそのまま

藤子「んっ……ま、待ちたまえ」

藤子は再度、俺から離れた。本当にくっついたり離れたりと忙しいな藤子。まぁ、その辺りもまた可愛いのだが。のろけですまない。と、謝っておこう。

藤子「こ、今夜は時間はあるのだろう?」

キョン「あぁ。俺は泊まるつもりで来た」

藤子「泊ま……っ!」

キョン「駄目なのか藤子」

藤子「だ、駄目な訳が無いだろうっ!?何を言っているのだっ!」

お前が何を言っているのだ。



371 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 23:28:57.15 ID:jvTmKkkgO

藤子「じゃ、じゃあ今夜は」

キョン「一緒に寝るか藤子。その前に一緒に風呂に入ってもいいぞー。あ、それは禁則か?」

藤子は顔をくしゃくしゃにして、俺に抱きついた。本当に忙しい奴だ。

藤子「……こんなにも幸せでいいのだろうか」

キョン「藤子、本当の幸せはこれからだ。こんな事は始まりに過ぎない」

藤子「そうだな……確かにそうだ。でも僕は今、感じた事の無い幸福感で満ち溢れている」

藤子はそのまま俺の胸に顔をうずめた。

藤子「君が……君が好きだ」

キョン「俺も好きだ藤子」

藤子はそのまま、俺に回した腕にぎゅうっと力を込める。

藤子「………ん」

約十秒、細い腕に力を込めて俺を抱き締めた後、それを緩めた。

藤子「今夜はずっと一緒に居てくれるのだな?」

キョン「そう言っているだろう。朝まで一緒だ」

藤子「……じゃ、じゃあ部屋に行くぞ。今すぐにだ」

374 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 23:44:18.62 ID:jvTmKkkgO



藤子の部屋に一緒に入る。相変わらず殺風景な部屋である。

俺はベッドに腰かけた。藤子も隣に腰掛けて、俺に寄り添う。

藤子「一つ……聞いて良いか?」

キョン「ん?」

藤子「こういう風に時間を作れるのは、稀な事なのか?」

キョン「……そうだな。いや、やろうと思えばいつでも出来るが……感付かれる。今日は偶然のような物だ」

藤子「そ、そうか」

はぁ、と藤子は溜め息をついた。

藤子「仕方がないと言えば仕方がないな」

376 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/22(日) 23:57:20.91 ID:jvTmKkkgO



キョン「……すまないな藤子」

藤子「ふん、君が謝る必要は無いだろう。原因は涼宮ハルヒなのだから」

キョン「…………」

今日、俺の部屋で実行してしまった事は墓まで持って行こう。わざわざ火に油を注ぐ事は無い。

藤子「朝まで、か」

藤子はふいに立ち上がった。

藤子「ふっくっく、では、その偶然の産物をとことん利用しよう」

402 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 08:30:12.39 ID:6YiPqqIiO



藤子「とは言っても、やれる事は限られているがな」

キョン「……さっきも言ったが、やはり一緒に風呂とかは禁則か?」

藤子「……特殊な下着なら可能だ」

キョン「特殊な下着?」

藤子「ふん、下着と言うより貞操帯だな。見せてやろう」

藤子はそのままクローゼットを開ける……ん?

大量に衣類が収まっているのだが。

藤子「ふっくっく、君が帰ってから一眠りした後、様々な準備をしたのだ」

キョン「何の準備だ」

藤子「君を悦ばせる為に決まっているだろう?僕は今、こう言う事でしか君に応えられないのだからな」

キョン「……無理に悦ばせようとしなくていいぞー藤子ー」

藤子「無理はしてないさ。今朝も言っただろう?僕はいやらしい女だと」

ニヤリと笑みを浮かべる藤子。

……いやらしい女は大好きだっ!

403 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 08:33:33.37 ID:6YiPqqIiO



藤子「……これだ」

藤子はその特殊な下着とやらを手に取り、広げて見せた。ピンク色の可愛らしい下着である。

キョン「普通……だな」

藤子「ふっくっく、まぁ、そう見えるだろうな」

藤子はベッドの上にそれを置いた。

藤子「これは、言葉の通り貞操帯なのだよ。これを着けている限り男性器は勿論、放出された精子の侵入も完全に遮断する。自分以外が脱がす事も困難だ」

キョン「へぇ……」

どんな素材で出来ているのだろうか。

404 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 08:35:28.38 ID:6YiPqqIiO



藤子「朝比奈みくるもこれを常に履いているだろうな。ふん、手に入れるのに苦労したよ」

キョン「苦労して手に入れる物なのか?」

藤子「そうだ。これを手に入れるには…………」

金魚のように口をパクパクさせる藤子。

藤子「む、禁則か」

キョン「……まぁ、そう言う下着だとは理解出来たよ。これ以上の説明は大丈夫だ」

藤子「……ふっくっく」

キョン「どうした藤子?」



405 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 08:37:19.62 ID:6YiPqqIiO



藤子「説明はまだ半分しか終えてないが……いや」

藤子は下着を手にして、隠すように後ろに回した。

藤子「今は敢えてしないでおこう」

キョン「何だその意味深な台詞は。どうせなら今してくれよ」

藤子「ふっくっく、楽しみは後で取って置くものだろう?」

藤子はそう言いながら、クローゼットに向かった。


406 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 08:40:42.51 ID:6YiPqqIiO



藤子「……さて」

その特殊な下着を片付け、クローゼットの扉を閉めて藤子は俺の方を振り返る。

そして演技じみた仕草で

藤子「お風呂にする?ご飯にする?それとも、わ・た・し?」

キョン「…………」

藤子「……だ、黙るな!何か反応してくれないと恥ずかしいではないか!」

顔を真っ赤にして叫ぶ藤子。

キョン「い、いや、可愛いよ藤子」

苦笑しながら俺は呟いた。うむ。本当に可愛いのだが。



407 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 08:42:12.73 ID:6YiPqqIiO

藤子「あうっ……そ、そうでは無くてだ。どっちが良いのだ?」

キョン「どっちと言われても悩むな」

お風呂、ご飯、藤子。まぁ、それは言葉であって他にもあるのだろう。

キョン「……藤子はしたい事はあるか?」

優柔不断にも程がある返答である。しかし悩むのだ。察して欲しい。

藤子は俺の隣に腰掛けた。

藤子「そうだな……」

そわそわしながら、少し恥ずかしそうに呟いた。

藤子「み、淫らな事以外をしてみたいのだが……」


409 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 08:44:13.27 ID:6YiPqqIiO



キョン「藤子……」

藤子「そ、それが嫌だと言う訳ではないのだぞ?いや、寧ろ淫らな事は僕は好きなのだ。き、君に朝まで犯され続けたいと思っているぞ。その為の準備もしたのだ」

そこまで聞いてないぞー藤子ー。

藤子「い、今は淫らな事だけをする関係でも構わないのだが、そ、その、僕は君と……」

藤子は俯いて呟いた。

藤子「い、いろんな事を君としたいのだ。こ、応えられないのは解っている。僕は何も出来ないのだが、その、普通のこ、恋人のようにだな」

キョン「藤子」

俺は藤子の肩を抱き寄せた。

キョン「気持ちは充分に伝わったよ藤子。そうだな……ご飯とかどうだ?」


428 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 13:32:42.06 ID:6YiPqqIiO

藤子「ご、ご飯か。もうこんな時間だが御腹空いているのか?」

……そう言えば食べて来たな。すっかり忘れていた。>>412の言う通り、夜中にご飯もどうだろうか。

キョン「少しつまむ程度で……」

藤子「そ、そうだな。じゃあ待っててくれ」

藤子は奥のキッチンに向かい、皿だけを持って戻って来た……皿だけ?いやクラッカーやピーナッツも手にしている。それをテーブルに置いた。

そして冷蔵庫を開けて、中からチーズとサラミを取り出して先程の皿に並べる。

……つまみをつまむ程度に。いやいや。

藤子「……こんな物しかなくて、すまないとは思うが」

キョン「いや、この程度で充分だよ藤子」

藤子「洋酒は要るか?僕は少し飲むが……」

キョン「あぁ……って、藤子。お前、今朝も飲んでいたじゃないか。大丈夫か?」

藤子「一杯だけだ。今朝のように酔って、時間を無駄にしたくはないしな」

キョン「……酒好きなんだな」

藤子「ふっくっく、僕の居た時代では失われた物が簡単に手に入るからな」

430 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 13:40:39.58 ID:6YiPqqIiO



テーブルを挟んで向かい合い、チンッと互いのグラスを鳴らす。

キョン「……何をニヤニヤしているんだ」

藤子「し、してないぞ?」

キョン「いやいや、していただろうよ」

藤子は照れくさそうにグラスに口をつけた。

ふむ。こうやって二人っきりで酒を飲むのも良いな。未成年ではないかと言うのは禁則だっ。


432 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 14:19:00.93 ID:6YiPqqIiO



キョン「そう言えば、クローゼットに服が沢山合ったな。購入して来たのか?」

藤子「あれは服と言うか……衣装と言うか……」

キョン「衣装?」

藤子「その、朝比奈みくるを参考にメイド服やナース服等を」

キョン「…………」

藤子「も、もしかして、そういうのは興味が無かったのか?」

キョン「興味ありまくりだ」

よし、今すぐメイド服に着替えろ。そして俺に御奉仕するんだ藤子っ!?

待て。落ち着け。今は藤子との会話を楽しもう。

キョン「普段着ける服とかは購入してないのか?」

藤子「どう選んで良いか判らなくてな……そ、そうだ。僕にはどんな服が似合うのだろうか?」

スク水。もしくは体操服。赤のブルマで。

と、心の中で本心を叫ぶ俺。

キョン「うーむ、藤子に似合う服か……」

433 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 14:30:47.83 ID:6YiPqqIiO



キョン「線が細いからな藤子は。髪の色も特徴的だし、その辺も考慮しなきゃなぁ……まぁ、藤子なら何でも似合うさ」

実は女性に似合う服を選ぶのは、苦手なのだ。

藤子「ふん、無難な台詞だな。もしかして、女性の服を選ぶのは苦手なほうか?」

バレバレである。

藤子「ふっくっく、先程も言ったが僕もそうだからな。気持ちは解るぞ」



439 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 15:17:54.79 ID:6YiPqqIiO

藤子「質問を変えよう。逆にどういった服を着けて欲しくないのだ?」

キョン「ギャル系、お水系は論外だ」

藤子「ふん、僕もああいうのは着けようとは思わんぞ」

キョン「やはり普通が一番だと思うな。それが一番難しいと言われればそれまでだが、余りに奇抜な格好もどうかと」

藤子「確かにそうだな」

キョン「奇抜と言えばゴスロリなんてのは……」

ゴスロリ藤子……いや、ロココ調のクラシカルドレスの藤子。

藤子「どうしたのだ?」

キョン「……時と場合による」

藤子「ふっくっく、何だそれは」

441 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 15:28:21.95 ID:6YiPqqIiO

キョン「女性向けファッション雑誌等を参考にしたらどうだ?」

藤子「佐々木と橘京子にも言われたぞ。」

キョン「……いつの話だ?」

藤子「女体化した次の日だな。いろいろ連れ回されたよ。
不安定だったとは言え……やはり、化粧品や下着だけで無く、素直に服も選んで貰えば良かったかな」

少し苦笑気味に話す藤子。

キョン「そう言えば、最初はノーブラだったからな藤子」

藤子「し、仕方がないだろう?」

442 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 15:46:56.90 ID:6YiPqqIiO



キョン「まぁ、それはそれでありだが……」

藤子「ふん、形を保つにはブラジャーは必要だぞ?僕の乳が垂れてもいいのか君は」

キョン「それは困る」

藤子「ふっくっく、そうだろう?」

冗談を交えながら、藤子と他愛の無い会話を続けた。



443 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 15:58:59.68 ID:6YiPqqIiO



藤子「……もう一杯だけ、飲んで良いか?」

空のグラスを手に、物欲しそうな表情をする藤子。

キョン「一杯だけだぞ」

藤子「ふっくっく、わかっているさ」

藤子は空になった自分のグラスと洋酒の瓶を手に、そのまま立ち上がった。

藤子「君も、もう一杯だけ付き合ってくれ」

そう言って俺の隣に移動し、静かに座った。そして自分のグラスと俺のグラスに洋酒を注ぎ入れる。

藤子「君とこうやって会話をするだけでも、幸福を感じるよ……」

キョン「……俺もさ」

俺と藤子は再度互いのグラスを鳴らす。

そのまま藤子は俺に寄り添う。

キョン「藤子……」

藤子「これを飲んだら……」

そこで言葉を止め、藤子は俺を見つめて微笑を浮かべた。

447 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 16:35:47.63 ID:6YiPqqIiO



藤子「……朝までだったな」

キョン「今日はな。明日からも時間を見つけては会いに来るさ」

藤子「うん……」

藤子は目を閉じて俺の肩に頭を預ける。

藤子「なんて幸せ者なんだ僕は……」

俺は藤子の頭を優しく撫でた。

藤子「君と言う存在が隣に居てくれるなんて……」

キョン「ずっと居てやるさ藤子。ずっとだ」

藤子「……本当に……僕は幸せ者だ……君にこんなにも思われている……」

藤子は顔を上げ、再度俺を見上げる。先程と違い、少し瞳が潤んでいた。

藤子「僕の事を……ずっと思っていてくれるか……?」

キョン「当然だ藤子……」

俺と藤子は唇を重ねた。

448 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 16:42:19.06 ID:6YiPqqIiO



そして、そのまま舌を……

藤子「んっ……ま、待て。飲んでからだと言ったではないか」

キョン「……一気に飲み干すぞ」

藤子「お、落ち着け。君に説明する事があるのだ」

藤子は俺から離れて立ち上がり、クローゼットに向かった。

そして扉を開けながら呟く。

藤子「……衣装を……着けたほうが嬉しいか?」



450 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 16:54:10.53 ID:6YiPqqIiO

衣装を着けたほうが嬉しいかだって?

当然である。当然である。

大事な事なので、二度心の中で叫んで俺は首を縦に振った。


藤子「ふっくっく……君が選んではくれないか?」

キョン「良いのか藤子?」

藤子「良いも悪いも……これは君を悦ばせようと揃えた物だ」

藤子は微笑を浮かべる。先程と違い、いやらしく。

藤子「ふっくっく、衣装以外にも揃えてあるぞ……」

キョン「衣装以外にも……」

なんて

なんていやらしい女なんだ藤子



454 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 18:05:31.39 ID:6YiPqqIiO



俺はクローゼットに向かった。 そしてそれを目にする。

キョン「うあ……」

衣装以外と言うのはこれの事か藤子。

首輪、手錠、縄、鎖、鞭、蝋燭……調教器具ばかりじゃないか。

藤子「様々な種類を揃えたのだ……君を悦ばせようと……」

キョン「……自分もだろう藤子」

藤子「そ、それは……」

頬を紅潮させながら、言葉を詰まらせる藤子。本当にいやらしい奴だ。

キョン「………ん?」

ローターとローションがある。それは解るが、アナルパールやバイブやボールがあるのは……

藤子「禁則事項を調べ直したのだ。今までは性行為をしなければ良いと考えていたからな……」

キョン「藤子……出来るのか?」

藤子は、さらに頬を紅潮させて呟いた。

藤子「今夜は壊れるぐらいに……僕のお尻を犯して欲しい……」

457 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 18:21:45.49 ID:6YiPqqIiO



藤子は先程の下着を手にする。

藤子「これを使えば可能なのだ……性器に密着するようにして完全に精子を遮断するこの貞操帯をな」

藤子はそれを拡げて反転させた。

藤子「……特注だ……後ろはこうなっている」

キョン「Oバックか」

しかも紐。女性器のみだけが隠れるのか。

藤子「ふっくっく、そう言うらしいな」

459 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 18:37:51.62 ID:6YiPqqIiO



藤子「これから着けるわけだが……衣装はどうするのだ?」

キョン「……メイド」

無難とか言うな。ロココ調のクラシカルドレスに近いのはこれなのだ。

何より『御主人様』と藤子に言わせたい。

……うむ。ここはゆずれんぞ。誰が何と言おうとだっ!

藤子「メイドか……ふっくっく」

藤子はさげてあるメイド服を手に取り、

藤子「それでは着替えてこよう……少々お待ち下さいませ。御主人様」

俺に一礼して、部屋から出ていった。

キョン「…………」

藤子と結婚するしかないな俺は。

460 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 18:54:58.42 ID:6YiPqqIiO

藤子におかしくなりそうだっ!いや、もう俺はおかしくなっている。いろんな意味で。

俺は藤子の着替えを待っている間に、自分の洋酒を一気に飲み干した。

藤子のは……とりあえず止めておこう。

そうだ。仕様する道具も選ばなければな。

クローゼットの中で道具を選ぶ。鞭や蝋燭は今はやめておくか。

そして並べられた衣装をもう一度目にする。カエルの着ぐるみは参考にしなくても良かったんじゃないか藤子?

ふむ。それなりに揃えてはあるが、まだ足りないぞ藤子。

今度ドレスとスク水と体操服とブルマを買いに行こう。

468 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 19:52:09.29 ID:6YiPqqIiO

………

……



藤子「ど、どうだ?似合うか?」

藤子はメイド服を身に纏って現れた。

メイド服。黒と白が織り成す芸術である。

キョン「似合っているぞ藤子。凄く似合う」

藤子「そ、そうか」

今、俺の目の前にポニーテールでメイド服を着けた長身で巨乳の未来人(元男性。酔うと泣き叫ぶ)が恥ずかしそうに立っている。

誰か画像くれ。キャラデザしてくれ菊地洋子。

いやいや無駄な事は考えるな。さっきからおかしいぞ俺。

今考える事は

藤子を調教する事だ



469 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 19:55:20.51 ID:6YiPqqIiO

藤子はベッドに腰掛けた。そしてそのまま足を組む。

藤子「ふっくっく、飲み干したのか」

キョン「悪いのか?」

藤子「いや……」

藤子は口元を歪ませて、淫らな笑みを浮かべる。そして見せつけるように、足を組み換えた。

……メイド藤子に足こきされる……調教すると言った訳だが……これはいつか頼もう。

藤子は自分のグラスを手にした。これを藤子が飲み干したら……。

藤子はグラスに口をつける。そして淫らな笑みを浮かべながら俺の目を凝視し、ゆっくりと、焦らすように洋酒を飲む。

……やっぱり今、足を使って貰おうか……

藤子「……ん」

藤子はグラスから口を離した。まだ洋酒は残っている。

470 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 19:56:09.17 ID:6YiPqqIiO



藤子「そう言えばだな……御主人様、旦那様、坊っちゃまとあるようだが、君はどう呼ばれたいのだ?」

キョン「…………」

足でされる時は、坊っちゃまと呼ばれたい俺。

藤子「……そ、その、君の好きな方で呼んでも良いのだが……この口調は多分、変えられないと思うのだ」

キョン「……無理に言わなくて良いぞ藤子。集中出来ないだろう?」

俺は藤子の隣に腰掛けた。

藤子「……そう言われると、そうかも知れんな」

キョン「どちらかと言えば、御主人様だがな。いや、旦那様もやはり……」

藤子「……言うときは自然に言うのだろう。このような格好で犯されるのだからな」

藤子はグラスを手にした。

藤子「ふっくっく……今夜は……今朝よりも淫らに僕を狂わせてくれ」

そう言って、洋酒を一気に飲み干した。

474 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 20:49:38.74 ID:6YiPqqIiO



グラスをテーブルに置いた瞬間に、俺は藤子を抱き寄せた。口づけをし、舌を入れる。

藤子「んっ……」

それに応えて舌を絡ませる藤子。

そのままメイド服の上から、胸を乱暴に揉む……ブラを着けてないのか。俺は藤子から唇を離した。

キョン「……わざわざ外したのか。なんていやらしいメイドだ」

藤子「ひあっ……!」

身に纏ったメイド服に擦り付けるように、突起した藤子の乳首をぐりぐりと捻りあげる。

藤子「はぁっ……あっ……」

責める度に、藤子は身体をよじらせた。



476 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 20:51:32.45 ID:6YiPqqIiO



メイド服の上から丹念に指で責め上げた後、首筋を舐めながら囁いた。

キョン「あの下着を見せてみろ」

藤子「んっ……わ、わかった……」

藤子は俺からゆっくり離れ、四つん這いになった。そして自らスカートを捲り上げる。

藤子「しっかり……見てくれ……」

そのまま俺に顔を向けて、藤子は呟いた。

……その下着は臀部を全て露出し、紐を尻肉に食い込ませている。隠しているのは、女性器だけだ。

キョン「拡げて見せろ藤子」

藤子は言われるがまま、割れ目を自ら両手で拡げる。

ピンク色のアナルが姿を見せた。

キョン「ひくひく動いてるぞ。そんなに欲しいのか?」

藤子「はぁっ……欲しい……君の……君の肉棒が欲しいのだ……」

キョン「なら、先ずは御奉仕だな」

俺は下に身に付けている物を、全て脱ぎ捨てた。

477 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 20:55:26.38 ID:6YiPqqIiO

キョン「ちゃんと御奉仕したら、たっぷり犯してやるぞ」

隆起した肉棒を、藤子に見せる。

藤子は上体を起こし、俺の肉棒に顔を近付けた。

藤子「はぁっ……」

藤子の吐息が間近から肉棒にあたる。

そのまま肉棒を右手の指で反らし上げ、根元から舌をなぞらせた。

479 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 21:21:46.58 ID:6YiPqqIiO

藤子「はあっ……はぁっ……んっ……」

藤子は、丹念に舌を這わせる。肉棒に唾液を絡ませ、舐め残しの無いように。

余すところなく舌を這わせた藤子に、予めベッドの側に用意していたピンク色のローターを俺は手渡した。

キョン「藤子……これを使用ながらするんだ」

藤子「んっ……」

藤子はローターを下着の中に手を入れて、陰核に当てた。

下着の上から左手を添えて固定する。先ずは最弱の震動で責めるか。

ローターのスイッチを入れると同時に、藤子は身体をびくつかせた。

藤子「あんっ……あっ……」



480 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 21:31:29.06 ID:6YiPqqIiO

陰核に震動を与えるローターに悶えながら、藤子は御奉仕を続ける。

藤子「はあっ……んっ……」

残っている右手で肉棒を反らし、顔をうずめる。陰嚢にも舌を這わし、睾丸を口に含んで舌でゆっくり転がし始めた。

藤子「ふっ……んんっ……」

余裕が出てきたな藤子。もう一段階強くするか。

俺はローターのスイッチを、一目盛り上げた。

藤子「ふあっ!あっ……ああっ!?」

藤子は口に含んでいだ睾丸を外に出し、肉棒の根元に頬を押し付けるようにして悶えた。


483 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 21:52:12.20 ID:6YiPqqIiO



キョン「藤子、御奉仕を止めるな」

ローターに悶える藤子の髪を掴んで顔を強引に上げる。藤子は、先程より身体をびくつかせながら肉棒を握り、口内に迎え入れた。

藤子「んむっ……ふううんっ!」

肉棒をくわえながら悶える藤子。そのままじゅぷじゅぷと音を立てて、自ら口淫を始めた。

藤子「んっ!んむっ!」

柔らかい唇で肉棒を上下から挟みこみ、吸い上げるようにして顎を前後に動かす。時折舌を絡ませながら。

藤子「んぐ……っ!」

そして俺を見上げながら、ゆっくり根元までくわえこむ。

キョン「藤子、歯を立てるなよ」

俺はローターの震動をもう一段階上げた。

藤子「んんっ!んーっ!?」

肉棒を口から離そうとする藤子の頭を無理矢理押さえ付けた。

顎が震えるのを直に感じる。



484 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 22:08:22.76 ID:6YiPqqIiO



藤子「んっ!んんんっ!?」

苦しそうな表情で悶える藤子に俺は囁いた。

キョン「御奉仕はこれからじゃないのか?」

藤子はびくびくと身体を震わせながら、舌を動かした。

藤子「んぐっ……うっ!」

舌を無理に動かす度に顎か震え、唾液が口元から滴る。

キョン「もっと上手く出来ないのか?」

藤子「ふぐ……うぅ!」

キョン「全く出来てないぞ藤子……仕方の無い奴だな」

俺は押さえ付けていた藤子の頭から手を離し、ゆっくりと肉棒を引き抜いた。

藤子「ごほっ……はっ……あっ……」

キョン「このままじゃあ、犯してやれないな」


藤子「あっ……やっ……するっ……ちゃんとするから……っ!」

切ない表情を浮かべて、藤子は呟いた。

489 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 22:54:17.41 ID:6YiPqqIiO



俺はベッドに仰向けになった。

藤子はそのまま俺の股関に顔をうずめる。

藤子「んんっ!んあっ!」

ローターの震動に悶えながらも、必死に口淫をして俺に快楽を与えた。

キョン「藤子……俺に見せながらするんだ」

藤子「んっ……」

藤子は口淫を一旦止め、反転しながら跨ぐように俺の上に乗った。そのまま露出する臀部とローターで責め続けられている股関を俺の顔の間近に持って来る。眼前でピンク色のアナルが卑猥に動く。

そのまま藤子は再度口淫を始める。

俺はローターの震動を最大限にした。

藤子「ひああっ!ああーっ!?」



491 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 23:06:16.11 ID:6YiPqqIiO

キョン「御奉仕は止めるなと言っただろう?」

藤子「うあっ!んぐぅ!」

身体を痙攣させながら、肉棒をくわえこみ舌を絡める藤子。

キョン「そうだ……ここを犯されたいのならちゃんとするんだ」

眼前にある藤子のアナルに、俺は舌を突き立てた。

藤子「んううっ!?」

そのままぴちゃびちゃと舌で藤子のアナルを責め始める。

堪えきれず、藤子は口淫を止めて悶え叫ぶ。

藤子「ひうあぁっ!?」

キョン「どうした藤子……」

藤子「こ、こんな……御奉仕が出来る訳が……ひうぅんっ!」

最後まで聞かずに、藤子のアナルを舌で責め続けた。

492 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 23:22:12.31 ID:6YiPqqIiO



藤子「あぁっ!だ、駄目っ……これ以上……ああぁっ!」

アナルの奥深くに舌を突き入れた。中で動かす度に、藤子は淫らな叫び声を上げる。

藤子「あぁ!あんっ!あっ!」

既に御奉仕する事を忘れ、藤子は陰核とアナルを同時に責められる快楽に溺れていた。

藤子「ひうっ!あっ!ああぁっ!?」

卑猥に動くアナルから舌を抜き、唇で吸い上げる。

藤子「吸っ……くうぅんっ!?」

がくがくと俺の上で身体を震わせて藤子は叫んだ。。

藤子「ああっ……達してしまう……絶頂に達してしまうぅ!?」



495 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 23:37:45.63 ID:6YiPqqIiO

吸い上げるの止めて、一呼吸置いてからもう一度アナルに舌を突き入れた。今度はさらに激しく責める。

藤子「うあぁっ!あぁっ!い、いいのか、先に達してしまってぇ!?」

俺はアナルを舌で責めるのを止めて、藤子に呟いた。

キョン「勝手に絶頂を迎えたら犯してやらないぞ……」

藤子「そ、そんな……あひぃ!?」

人差し指の先端をアナルにゆっくり捩じ込んだ。

497 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/23(月) 23:57:11.72 ID:6YiPqqIiO

キョン「犯して欲しかったら我慢するんだ藤子……」

人差し指の第一関節辺りで捩じ込むのを止める。

藤子「あぁっ!で、出来るわけっ……出来ないぃっ!?」

そして小刻みに出し入れしていく。ぬぷっぬぷっと卑猥な音をさせながら。

藤子「ひあんっ!あっ!だ、駄目これ以上っ……出来な……っ!」

小刻みに出し入れしていた人差し指を、入り口が不意に締め付けた。そろそろ限界か。

キョン「……仕方が無いな。絶頂を迎えて良いぞ藤子」

そう呟いて、人差し指を奥に捻り入れた。

その瞬間藤子はびくんっと身体を仰け反らた。そして

藤子「いうぅっ!あっ!あああああああぁあぁあぁああっ!?」

絶頂を迎えた叫び声を上げ、身体中を痙攣させた。

500 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 00:16:08.00 ID:9GcT8ciOO

俺は人差し指を引き抜き、ローターのスイッチを止めた。

藤子「ひあっ……あっ……」

藤子はそのまま俺の上に崩れる。

キョン「藤子……」

未だ痙攣する藤子の身体をよこして、ベッドに横にさせた。

藤子「はぁっ……あっ……」

息を切らしながら、藤子は虚ろな瞳で俺を見つめていた。

504 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 00:37:26.49 ID:9GcT8ciOO



キョン「もう満足か?」

俺は上体を起こし、わざとらしく藤子の眼前に肉棒を突き付けた。

キョン「これでここを犯して欲しかったんじゃないのか?」

藤子「ひうんっ……」

藤子のアナルに、指を滑らせる。

キョン「藤子が満足なら……」

藤子「いっ……いやぁ……」


息を切らしながら、藤子は首を横に振った。薄い黄緑色の髪がさらに乱れる。

藤子「してぇ……お尻を犯してぇ……」

虚ろな瞳で俺を見上げて、懇願した。

藤子「御主人様ぁ…………」



508 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 00:56:57.68 ID:9GcT8ciOO

キョン「そんなに犯して欲しいのか。絶頂を迎えたばかりだと言うのに」

藤子を再度四つん這いにさせる。

藤子「はぁっ……してぇ……御主人様ぁ……」

そのまま藤子の両腕を後ろ手に回し、革の手錠をはめた。

藤子「あっ……?」

藤子は力無くベッドにうつ伏せになる。

キョン「ちゃんと突き出せ……犯して欲しいんだろう……」

藤子「は、はい……」

藤子は、身体を震わせながら、ゆっくりと腰を浮かせて膝を付いた。

肉棒を待ち望むピンク色のアナルを指でなぞりながら囁く。

キョン「よし……たっぷり肛虐してやるからな」

藤子「お、お願いします御主人様ぁ……卑しいお尻を思う存分虐めて下さいませ……」



511 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 01:12:59.54 ID:9GcT8ciOO

俺はローションを手に垂らす。

藤子「あっ……はぁ……」

藤子のお尻に滑らせるように塗り付ける。指で割れ目をなぞりアナルにもしっかりと塗りたくる。

キョン「入れるぞ藤子……」

藤子「は、はい……んんっ!」

滑るように人差し指が入って行く。

藤子「あはっ……あっ……」

すんなりと根元まで入った。それをゆっくりと出し入れしながらローションを直接アナルに垂らす。

藤子「ひうっ……んっ……」

奥深くまで滑りを伴う。ぐちゅっぐちゅっと卑猥に音を出している。

俺はそのまま中指も捩じ込んだ。

藤子「くうんっ……」



512 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 01:26:28.17 ID:9GcT8ciOO



ぐぷっぐぷっとさらに卑猥に音を立てる。指の関節を曲げながらさらに出し入れして行く。

藤子「あぁ……ご、御主人様ぁ……」

二本の指で責める度に、藤子のアナルは拡がって行く。

キョン「よし……虐めてやるぞ藤子」

指を捻り、かき混ぜるように腸壁に刺激を与えると、藤子は淫らに喘ぎ出した。

藤子「あひいっ!御主人様ぁ!御主人様ぁ!もっと虐めて下さいませぇ!」

キョン「ああ、たっぷり虐めてやるぞ」



515 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 01:54:16.00 ID:9GcT8ciOO

さらに指でアナルを拡げて行く。出し入れする動きも激しくして行く。

藤子「あんっ!ああっ!」

よし、指で責めるのはこれぐらいで良いだろう。

俺は指を引き抜き、アナル拡張用のバイブを手にした。

キョン「次はこれで拡げてやるぞ」

藤子「お、お願いします御主人様ぁ……卑しいお尻をもっと拡げてぇ……」

ゆっくりとバイブを挿入して行く。

藤子「あんんっ!」

アナルの奥深くまで挿入させてスイッチを入れる。

藤子「あひっ!ああーっ!?」

拡張用のバイブは、藤子の直腸内で激しい電動音を鳴らす。

藤子「あううっ!ひあああっ!」

キョン「藤子、このままでは辛いだろう?もう一度ここにも快楽を与えてやるぞ」

性器を隠す下着から伸びるローターのスイッチを手にし、振動を一気に最大限にした。

藤子「ひうっ……ああああああああああっ!?」

516 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 02:03:09.69 ID:9GcT8ciOO

直腸と陰核を同時に激しく責め上げられ、唾液を垂らして悶える藤子。

藤子「御主人様ぁ!御主人様……ああっ!?」

俺はそのまま藤子の正面に周った。束ねた髪を掴み、無理矢理上体を起こした。

キョン「口を開けろ……」

藤子「くふっ……うんんっ!」

肉棒を藤子にくわえさせ、激しく腰を前後に動かした。

藤子「んぐうっ!んぐっ!んんっ!」

そのまま藤子の顔を見下ろした。

あまりの快楽に涙を滲ませ、俺を見上げる藤子。

キョン「……嬉しいか?」

俺の問いに答えるように、藤子は口内で激しく動く肉棒に必死で舌を絡ませ始めた。



519 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 02:25:19.74 ID:9GcT8ciOO



たっぷりと唾液を絡ませた肉棒を口から引き抜き、藤子の頬に擦り合わせる。

藤子「はやくっ……はやく御主人様の肉棒を……ひうぅっ!」

直腸内を拡張するバイブを握り、さらに拡げるようにゆっくり捻り回す。

藤子「あひぃっ!ああーっ!あーっ!?」

びくびくと身体を痙攣させる藤子。

藤子「御主人様ぁ!お願いぃ!御主人様の肉棒で絶頂したいからぁ!」

キョン「わかっているよ藤子……」

ローターの激しい振動を止め、バイブをゆっくり引き抜く。

藤子「ひうっ……あぁ……ご、御主人様ぁ……お願い致します……」

後ろに回った俺に、藤子は懇願した。

藤子「卑しいお尻に下さいませ……御主人様の肉棒で絶頂させてぇ……」


524 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 03:35:22.14 ID:9GcT8ciOO



藤子のピンク色のアナルに肉棒の先端を押し当てる。

藤子「あっ!あぁっ!」

受け入れる準備が出来ているアナルは、ゆっくり肉棒をくわえこむ。

藤子「入るっ……入って来るぅ!御主人様ぁ!焦らさないでぇ!」

懇願する藤子の望み通り、一気に肉棒を突き刺した。

藤子「あはぁ!あっ!ああーっ!?」

藤子は舌を出して、唾液を滴らしながら歓喜の叫びを上げた。突き刺した肉棒を腸壁で締め付ける。

キョン「藤子……っ!」

藤子「もう駄目ぇ!狂ってしまうぅっ!あはぁ!」

堪えきれない藤子は自ら腰を動かした。

藤子「お尻の奥に来るっ!あんああっ!?肉棒が来るぅ!狂うっ!狂ってしまうのだ御主人様ぁ!」

余りの快楽に、自分が何を喘いでいるのか解らないのだろう。

藤子は目を見開いて俺を凝視し、淫らな舌を突き出しながら更に懇願する。

藤子「もっと虐めてもっと拡げてもっとかき混ぜてくれ御主人様ぁ!壊しても良いぞ!壊しても良いのだ!僕を肛虐してもっと狂わせるのだ御主人様ぁ!」


525 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 03:37:39.16 ID:9GcT8ciOO

藤子の腸壁の締め付けに逆らうように、俺は肉棒を激しく動かした。

藤子「あひっ!おひりぃっ!壊してぇ!僕を壊して下さいませ御主人様ぁ!」

ああ

壊してやろう藤子

俺はローターを最大限に振動させた

藤子「あひっ!?あああぁあぁあぁあぁあぁっ!!」

腸壁の締め付けが増す。それでも構わずに俺は藤子の肛虐を止めない。

ぐちゅんっぐちゅんっと藤子の直腸が悲鳴をあげる。

俺は藤子の両肩を掴み、そのまま体重を後ろにかける。

藤子「あひうああっ!来るぅ!狂うのだっ!肉棒が奥に狂うぅ!奥にひぃ!卑しい僕のお尻の奥にいぃ!」

その反動で藤子の上半身が宙に浮く。そのまま身体を固定して力強く肉棒を突き上げた。

526 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 03:39:14.63 ID:9GcT8ciOO



藤子「ひうっ!」

何度も力強く

藤子「あうぅっ!」

何度も

藤子「ひぐぅあっ!」

何度も

藤子「ああっ!御主人様ぁ!」

何度も突き上げる

キョン「藤子……壊してやるぞ……」

そして力の限り腰を動かした。


528 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 03:42:18.09 ID:9GcT8ciOO



「ああっ!御主人様ぁ!御主人様ぁ!御主人様ぁ!?」

突き動かす度に、御主人様と叫ぶ藤子。

もっと叫んでみろ。

腸壁を抉るように、激しく、勢いよく肉棒を動かした。

「御主人様御主人様御主人様御主人様御主人様御主人様御主人様御主人様御主人様御主人様御主人様御主人様御主人様御主人様御主人様御主人様御主人様御主人様御主人様御主人様御主人様御主人様御主人様…………」
唾液を撒き散らしながら喘いだ藤子は、びくんっと身体を仰け反らせ、力無く頭を垂れた。

「……藤子」

俺は肉棒の動きを止める。

藤子はゆっくり顔を振り向かせて吐き出すように呟いた。


「僕の御主人様ぁぁ……っ!」


舌を突き出して、淫靡な笑みを浮かべる。

藤子

愛している

お前は最高の女だ

531 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 04:19:10.99 ID:9GcT8ciOO



俺は一度肉棒を抜いて革の手錠を外し、藤子を仰向けに寝かせた。

ローターの振動を止めても、まだ身体を痙攣させる藤子。

正常位で肉棒を藤子の腸内に再度挿入した。

藤子「あ……ん……」

そのまま唇を重ねる。憔悴仕切っているのか、舌を震わせながらゆっくり動かす藤子。

くちゅっくちゅっとゆっくり肉棒を動かす。

藤子「んっ……ん……」

腸壁に肉棒を擦りつけるように、動かしていく。

藤子「はぁ……っ!」

下から上に擦りつけるように動かす。

藤子「あ、ああっ!?」

キョン「藤子……愛しているぞ……」

藤子「僕もだ……んっ……ああっ!」

藤子の腸壁ごしに、子宮下部を責める。

532 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 04:27:59.44 ID:9GcT8ciOO



藤子「はぁ……駄目だ……直ぐに達する……また絶頂を迎える……くうぅん!」

キョン「藤子……出すぞ……」

藤子「出して……全部出してくれ……一緒に……僕と一緒に……ひあっ!んんっ!?」

腸壁が一層肉棒を締め付ける。

びくんっと藤子が身体を捩らせたと同時に、俺も絶頂に達した。

ドクン、ドクンと藤子の腸内に精液を放出する。

キョン「うっ……くっ……」

藤子「はぁっ……ああっ……」

精液を搾り尽くすように、藤子の腸壁が肉棒を何度も何度も締め付けた。

キョン「ぬ、抜くぞ藤子……」

藤子「だ、駄目だ……このまま……このままもう少し……」

藤子は瞳を閉じて呟いた。

藤子「君の精液を体内に染み込ませてくれ……」



534 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 04:44:12.66 ID:9GcT8ciOO



暫くの間、俺と藤子は繋がったまま唇を軽く触れ合わせていた。

藤子「はぁ……愛してる……僕はもう君を愛しているのだ……」

キョン「藤子……俺もお前を愛している……」

指を絡ませ、何度も何度も唇を重ね合わせた。

キョン「藤子……もう抜くぞ……」

ゆっくりと肉棒を引き抜く。

藤子「あっ……ん……」

肉棒を引き抜いた藤子のアナルから、俺の放出した精液がゆっくり垂れ流れる。

藤子「あ、味わわせてくれ……君の精液を……」

腸内から垂れ流れて来る精液を指で絡め取った。

キョン「舌を出せ藤子……」

藤子は口を開いて舌を突き出した。

絡め取った精液を藤子の舌に塗り付ける。

536 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 04:53:48.73 ID:9GcT8ciOO



藤子「はぁ……んくっ……」

恍惚の表情で、精液を味わう藤子。

藤子「ああ……甘露……もっと欲しい……」

藤子は自分の指で垂れ流れる精液を口に運ぶ。

藤子「んっ……」

指をしゃぶりながら起き上がり、俺を見つめる淫らな微笑を浮かべて呟いた。





藤子「まだ、朝まで時間はたっぷりある……ふっくっく、次はどの衣装でしたいのだ?」



549 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 11:28:11.93 ID:9GcT8ciOO

………

……



キョン「もう朝か……」

ベッドの上で俺は呟いた。

結局一睡も出来なかった。あれから藤子と、何度も何度も身体を求め合ったのだ。

藤子「……もう、帰るのか」

俺の腕を枕にし、隣に眠る藤子が寂しく呟いた。

俺は宥めるように、藤子の頭を優しく撫でる。

キョン「……今夜も来る。連絡するよ」

藤子「うん……」

ベッドから起き上がり、藤子と口づけを交わした。



550 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 11:29:43.32 ID:9GcT8ciOO


藤子「……このままの方が幸せなのかも知れないな」

藤子も白いシーツを纏いながらベッドから起き上がった。

キョン「……いつかは必ずハルヒにバレるだろう。だからその前に」

藤子「それは解っている……でも……」

乱れた薄い黄緑色の髪を掻き上げながら、藤子は呟く。

藤子「怖いのだ……少しでも失敗を犯せば、君を失ってしまう……」

キョン「…………」


藤子「こんなにも愛してくれる……こんなにも思ってくれる君を失う事が……」

俺は藤子を抱き寄せた。

キョン「俺もお前を失いたくない……だからこそだ」

藤子「……そうだな……君の言う通りだ……」

俺の胸に顔をうずめたまま、藤子は呟いた。

キョン「心配するな藤子。方法は必ずあるさ。今夜は一緒に考えよう」

藤子はそのまま無言で頷いた。

551 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 11:36:08.90 ID:9GcT8ciOO




帰り支度を済ませ、俺は玄関に向かった。藤子も名残惜しそうに、白いシーツを纏ったまま一緒に玄関に向かう。

藤子「では、今夜も君を待っているぞ……」

キョン「ああ、必ず連絡する……」

藤子は俺に唇を軽く重ねて、扉が閉まるまで俺を見送った。

キョン「さて……」

エレベーターに乗る前に帽子を深く被り、サングラスを付ける。

俺は藤子のマンションから夜明けの街に出て、タクシーを拾った。

そして……車内で緊張しながら携帯の電源を入れる。

着信

メール

……無し

安堵の溜め息をつき、俺は自宅に戻った。


563 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 14:52:42.47 ID:9GcT8ciOO

静かに窓ガラスを開けて、自分の部屋に土足で入る。

……部屋を脱け出すのは久し振りだったな。恋人と会いに行くのは初めてではあるが。

靴を脱いで一息つき、俺は部屋の内鍵を開けて家の様子を確認する。

……よし、まだ就寝中だ。

これから部屋を脱け出す日々が続く。それ用の靴も購入して置こうかな。

俺は部屋から出て、薄暗い家の中を忍び足で歩いて玄関に向かった。そして靴箱の中に先程まで履いていた靴を静かに戻す。

……これでよし。ついでに飲み物を取って戻るか。

台所にある冷蔵庫に向かう途中、突然後ろから声をかけられた。

564 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 14:54:22.06 ID:9GcT8ciOO



妹「ふにゃ……おはよ〜キョンくん……」

キョン「お、おはよう」

一瞬心臓が止まるかと思ったぞ我が妹よ。

妹「風邪治った〜?」

まだ寝惚けているのか、目を擦りながら俺に問いかける。

キョン「治ったよ。それにしても早起き過ぎないか?それともトイレか?」

妹「あ、そうだったぁ……」

妹はトイレに向かって歩いて行った。

……これからは両親よりも、妹に気を付けなればならないのかも知れん。何故だか俺はそう思った。

ペットボトル入りの水を冷蔵庫から取り出し、俺はそのまま部屋に戻った。

565 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 15:16:27.16 ID:9GcT8ciOO



喉を潤し、そのままベッドに横になる。

キョン「今日が日曜でよかったな……」

このまま寝たら昼過ぎまで起きないのだろうな。体力も限界である訳だし。

俺はゆっくり目を閉じる。

頭に浮かぶのは藤子……そしてハルヒだ。

俺がハルヒに選ばれるのが既定事項。しかも強く望んでいる。

都合よく、安易にそれだけを改変出来る物では無いのは解っているさ。

566 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 15:33:43.29 ID:9GcT8ciOO

それらを一度、全て塗り替えたのが長門。

……ハルヒを普通の人間にしたな。ここにヒントがあるやも知れん。

しかし、どうやって長門のように都合よく改変出来るんだ?長門は二度としないだろうし、朝比奈さん(大)はどうする?

……別の方法としては、橘京子の言葉を借りて佐々木に戻す。

しかしそれは時間が無さすぎる。今まで出来なかった事を、俺と藤子の為にと言われて佐々木、橘京子、周防九曜が動いてくれるだろうか?

それに佐々木……いや、今はそれを考えるのはよそう。更にややこしくなるって既にややこしい訳だが。

正直にハルヒに話す。交際を認めろと。

古泉、神人に殺されるだろうな。その前に、藤子が無かった事になる可能性が一番高いかな。

……一旦、望んだ物は殆ど否定してないようだな……この辺もヒントになりそうだ……それにしてもだ……俺はハルヒの為に生まれて来たとでも言うのか……一生ハルヒの側に居ろとでも……

568 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 15:51:50.08 ID:9GcT8ciOO

……やはり藤子と過去に戻って……どこまでが禁則でどこまでが改変できる規定だ……

そんな事を考えている内に

俺は

眠りに就いた

そして

夢を見る

夢の中でも

俺は藤子と身体を求めあっていた

藤子の部屋の狭いクローゼットの中

藤子の片足を持ち上げ

そのまま一つになる

喚起の声を出す藤子に

口づけをする

ふと

藤子がクローゼットの隙間に視線を移す

569 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 15:54:42.38 ID:9GcT8ciOO



つられて俺も見る

その隙間から

ハルヒが覗いていた

激昂しているのか

哀しんでいるのか

今まで見た事の無い表情で

クローゼットの隙間から

ハルヒが覗いている

俺と藤子の行為を

そしてゆっくり口を開いた

『キョン…………』



570 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 16:03:50.44 ID:9GcT8ciOO



『キョン……く……キョン……でん……』

ハルヒ……何が言いたい……俺はお前の物じゃ……


『キョンくん、でんわ〜♪』


キョン「うあっ!?」

妹の叫ぶ声のおかげで現実に引き戻された。なんだ今の夢は。悪夢にも程があるぞ。

部屋の扉が開き、電話の子機を片手に妹が入って来た。

妹「キョンくん、でんわだよ……って凄い汗かいてる。大丈夫〜?」

キョン「あ、ああ。寝汗だよ……誰から電話だ?」

携帯にかけずに、わざわざ自宅に電話するなんてどこの誰だ?

妹「ハルにゃんだよ〜♪」

キョン「…………」



571 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 16:15:50.36 ID:9GcT8ciOO



妹から子機を受け取る前に、自分の携帯を確認する。

不在着信3件 新着メール2件

全てハルヒだ。

メールの内容は『おはよう。起きてる?』『まだ寝てるの?』と他愛の無い内容だが……

今しがた見た悪夢の事もあり、恐る恐る子機を受け取り通話ボタンを押す。

キョン「も、もしも」

ハルヒ『いつまで寝てんのよ、このバカキョンッ!』

受話器を当てた耳から反対側の耳まで突き抜けるようなハルヒの声に、完全に目が覚めた。

……怒気はこもっていないな。

やはりあれは只の夢か。

キョン「……まだ熱が」

ハルヒ『治ったんでしょ?妹から聞いたわよ?』

……あ。



578 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 18:09:33.69 ID:9GcT8ciOO



やはり妹に気を付けるべきだったか。

妹と目が合う。一仕事終えて満足したのか、笑顔で親指を立てる。

それにハイハイと頷きながら、部屋から出て行く妹を無言で見送る。

そのまま部屋の時計を確認した……もう昼過ぎか。確かに、いつまで寝ているのか言われても仕方がないわけだが。

キョン「……わざわざ携帯を取らないからって、家にかける事も無いだろうよハルヒ」

ハルヒ『だ、だって、ちょっと心配になっちゃって……もしかしたら昨夜、具合が突然悪くなったかもって考えたら……』

……言い訳に風邪を使うのは止めようかな。

ハルヒ『ご、ごめんね?迷惑だった?』

……大迷惑だと言う言葉を飲み込む。

キョン「いや……別に迷惑では無いが……で、何の用だ?」



579 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 18:21:48.53 ID:9GcT8ciOO



ハルヒ『えーっと、えっとね、病み上がりのリハビリもかねて、い、一緒に買い物に行かないかしら?』

何を言っているんだお前は。

風邪のリハビリもそうだが、それが買い物だとは俺はどんな風邪をひいたんだ。

キョン「……買い物ってどこにだ?」

ハルヒ『ほ、ほら、○△○△デパート。冬物のセールしてるのよ』

キョン「…………」

ハルヒ「そろそろ必要じゃない?そ、それで一緒にね」

キョン「冬物の……セールね……」

ハルヒ『一緒に服を選んでもらえないかなって』



580 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 18:45:40.40 ID:9GcT8ciOO

キョン「服を選ぶのは……苦手だ俺は」

ハルヒ『じゃ、じゃあキョンの服も私が一緒に選んであげるわよ!』

一緒に服を選ぶ。

何でお前とだ。

それはいつか藤子と一緒にしようと密かに思っていた事だ。

ハルヒ『ね、一緒に行かない?』

必ず行きなさいとしか聞こえない。

やはり昨日キスなんてしたのが不味かったのか。なんて断る。理由は。ええっと。身内に突然の不幸ってべたべたな。

ハルヒ『特に用事は無いんでしょ?妹から聞いたわよ?』

先回りされていたか。くそっ。

ハルヒ『せっかくの日曜日なんだから、たまには有効に』

……これはもう断れないのか。



585 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 19:24:09.84 ID:9GcT8ciOO



キョン「……行くか」

ハルヒ『じゃ、じゃあ2時に駅前に』

キョン「古泉や長門や朝比奈さんには、俺から連絡するよ」

ハルヒ『へ?』

キョン「え?皆で一緒に買い物なんじゃないのか?」

ハルヒ『え、えっと』

鈍感なクラスメイト、キョンを演じてみる。この辺の発言は許容範囲ではないだろうか?何も行きたくないとは言っている訳ではない。

キョン「皆で選んだ方が楽しいんじゃないか。それに長門の私服を選んであげたいとか言ってたんじゃないか?いつも不思議探索だからな。二人で選ぶのも良いが、う、うむ。たまには皆で買い物も良い物だ」

とりあえず畳み掛けて見る。俺に出来るのはここまでだ。

それでも二人っきりで行くと言われればそれまでだがな。どう出るハルヒ?



586 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 19:42:05.53 ID:9GcT8ciOO



ハルヒ『……そ、そうね!皆で行った方が楽しいわよね!』

よし。

俺は携帯を片手に小さくガッツポーズ。

ハルヒと二人っきりで何処かに行くなんてもう無理だ。何を望まれるかわからんからな。

キョン「2時だな。皆には俺が連絡しておくよ」

ハルヒ『う、うん……』

キョン「じゃあ駅前で」

ハルヒ『お、遅れたら罰金なんだからね!』

キョン「今日は遅れないようにするさ。じゃあまた後でな」

ハルヒ『…………』

キョン「………?」

返事をせず暫く無言のハルヒ。

ハルヒ『………バカキョン』

ぽつりとそう呟いて電話を切った。


591 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 20:44:19.57 ID:9GcT8ciOO

………

……



罰金を支払うぐらいなら、いつも以上に早く出て無駄な出費を無くし、それを藤子の為に使った方が良い。

俺は急いで準備をし、一時間前には待ち合わせ場所の駅前広場に着いていた。

キョン「…………」

長門「…………」

古泉「……んっふ、これは珍しいですね。いや、約束の時間でも間違えましたか?待ち合わせの時間は2時ですが」


594 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 21:15:00.43 ID:9GcT8ciOO



既に長門と古泉は到着していた。

長門はなんとなく解る。俺が連絡して直ぐにここに来たのだろうな。

キョン「古泉……お前はいつもそうなのか?」

古泉「そうですねぇ」

苦笑気味に肩をすくめる古泉。

古泉「まぁ、今日はこうなるであろうと予想はしていましたからね。朝から外出の準備はしていました」

キョン「予想?どう言う事だ?」

古泉「んっふ、昨日は仮病でしょう?」

キョン「……な、何の話だ」



595 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 21:20:56.12 ID:9GcT8ciOO

古泉「隠さなくて良いですよ。貴方が病院に行っていないのは調査済みですから」

ま、まさかもう既に藤子との事が全部バレて……。

古泉「気持ちは解りますがね……」

鼓動が早まる。知っていたなら何故今まで見過ごしていた古泉。長門も朝比奈さんも知っているのか?

古泉「不思議探索が面倒臭いと言う気持ちは少しだけ解りますがね。
んっふ、それとも国木田君が女体化されないので、ふてくされていたとか?」

ん?

古泉「一日中、家でごろごろですか……羨ましいですねぇ」

セーフ!

古泉「まぁ、涼宮さんが見舞いに来たようですが……どんな言い訳をすればこのような結果に?後学の為に教えてくれませんかねぇ」

キョン「す、すまないな。魔がさしたんだよ。うん。まぁ国木田の事も少しは起因しているかも知れない」

598 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 21:31:51.07 ID:9GcT8ciOO

聞こえようによっては、藤子の事を謝っているような言い訳。

何を言っているんだ俺は。

古泉「今回はこのような結果になったから良かった物の……下手をすれば大規模な閉鎖空間が発生していたかも知れませんよ。僕を殺す気ですか?」

キョン「そ、そうだな。本当にすまないと思っている」

古泉「今回だけにして下さいよ」

俺は古泉に平謝りしながら、心の中で本当に古泉を殺してしまうかも知れないと思った。

いや、古泉だけじゃない。下手をすれば今すぐ世界全てを崩壊させてしまうかも知れん。

そうならない為にも……。

602 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 21:59:43.45 ID:9GcT8ciOO

キョン「……ところで、病院を調査とか言ったな?」

朝比奈さんとハルヒを待つ間、古泉と話をする。

古泉「当然ですよ。貴方が病気にや怪我にかかると言う事だけで様々な事態が予測されますからね。病院と名の付く施設は、大抵機関と連携しています」

キョン「個人情報保護とは、お前達機関には無いのか」

古泉「ありますよ。監視はしていません」

……常に監視されていたらアウトだったな。

古泉「病院に行った筈の貴方のカルテがあがって来ませんでしたからね。あぁ、これは仮病だと」

もう仮病は使えんな。

古泉「本当に病気にかかった時は、医者に頼る事はありませんよ。どんな医者よりも有能ですから」

古泉はそう言って、いつものようにちょこんと座って静かに本を読んでいる長門を見る。

いつから聞いていたのか、長門はこちらを向いて呟いた。

長門「大抵の病気や怪我は一瞬で治せる」


603 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 22:15:38.30 ID:9GcT8ciOO

古泉「だ、そうです」

虫歯になったら治療を頼もうか等と考えていると、朝比奈さんがやって来た。

みくる「キョン君?こんな時間に……?」

キョン「こんにちは朝比奈さん。昨日はすいませんでした」

みくる「あ、いえ、体調は大丈夫ですかぁ?」

……朝比奈さんは知らないのか?

キョン「ええ、大丈夫ですよ。心配しないで下さい」

みくる「よかったぁ……」



605 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 22:35:57.04 ID:9GcT8ciOO



本当に心配していたのか、朝比奈さんは笑顔を見せる。

すいません朝比奈さん。貴女のその笑顔をまともに見れません。嘘をついて藤子との情事に励んでいました。

ハルヒ「うそ、キョンッ!?」

そして一番最後にハルヒがやって来た。

キョン「今日の罰金はお前だなハルヒ」

ハルヒ「ど、どうしてこんなに早いのよっ!」

キョン「たまには、な」

ハルヒ「た、たまにはじゃなくて、いつも遅れずに来なさいよっ!」

キョン「わかった、わかった。とりあえず行こうか」

ハルヒは何やら文句を言っているが聞き流す。

さっさと買い物をして満足しろ。しかし女性の買い物程、長い時間を要するに物は無いのである。

こうして、近い内に俺が退団する可能性が高いであろう我がSOS団は揃い、デパートの開催する冬物セールに向かった。


607 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 23:08:37.18 ID:9GcT8ciOO

○△○△デパートに到着。

そして

三時間経過。

キョン「やれやれ、だ」

古泉「んっふ、そう言うものですよ」

長門「…………」

俺と古泉と長門は、買い物を終える気配の無いハルヒと朝比奈さんの後を付いていた。

俺と古泉の手には大量の下げ袋。

最初の内は長門の私服を皆で選んだり、様々な店で試着して出て来るハルヒや朝比奈さんを批評したり、古泉お気に入りのブランド店でTシャツの値段を見て馬鹿かと呟いたり、俺の選んだ服をハルヒが酷評したりと。

それなりにと言うか、結構楽しかった訳だが。

何度も何度もハルヒと朝比奈さんに振り回される内に、疲れがどっと襲って来た。

女性の気持ちが全くわかっていないと言われればそれまでだが。


610 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/24(火) 23:47:47.58 ID:9GcT8ciOO



ハルヒ「う〜ん。さっきの店にあったのより可愛いんだけど」

みくる「丈がちょっと短すぎですよぉ。あ、これ可愛くないですかぁ?」

ハルヒ「似たようなので柄の違うのあったじゃない。あっちの方がみくるちゃんに似合っているわよ」

みくる「あの柄と同じの持ってるんですよぉ」

さっきやあっちの店とはどの店だ。そしてどんな柄ですか朝比奈さん。

女性専用の店に入っても見る物がある訳でも無く、店外ではしゃぐ二人を眺める。

ここは時間がかかりそうだな。

古泉「どちらへ?」

キョン「トイレに行って来るよ。直ぐに戻る」

トイレに向かって歩きながら、店に飾られている衣服をぼーっと眺める。

あ、このジャケット……

トイレに近い店のショーケースに飾られているジャケットに目が止まる。

藤子に似合いそうだな……

ふむ。下見と思えば良かったのか。しかしハルヒや朝比奈さんが選ぶような衣服を主に置いてある店にはこういうのは置かれてないからなぁ。

611 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 00:03:50.04 ID:x4t2saOzO

藤子にはもう少し、大人っぽいのが似合いそうだな。

……そしてスク水。体操服に赤いブルマ。勿論、両方とも名札付きだっ!?

そんな事を考えながらトイレに入って用を足し、手を洗ってから出てくると。

ハルヒ「あ、あんたもトイレ?」

ハルヒとばったり出会った。

キョン「……買い物はまだ続きそうか?」

ハルヒ「そんなに時間かかって無いじゃない」

……本気で言っているのだろうな。

キョン「はいはい、わかりましたよ団長殿」

ハルヒ「あ、ちょ、ちょっと待ちなさいよキョン!」

キョン「ん?どうした?」

ハルヒ「い、一緒に選んで欲しい店があるんだけど」

615 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 00:10:50.76 ID:x4t2saOzO



キョン「……朝比奈」

ハルヒ「だ、男性の意見も聞きたいのよっ!?」

名前を出した瞬間、制止しやがった。

ハルヒ「ほら、そこのアクセサリー店なんだけど」

……元々、これが今日のハルヒの目的だったようなもんだからな。

キョン「ね、ちょっと一緒に見なさいよ」

キョン「お、おい」

ハルヒは俺の腕を掴み、強引に歩き出した。くそっ、断る理由が見付からん。

618 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 00:25:56.08 ID:x4t2saOzO



ハルヒにそのアクセサリー店に無理矢理拉致される俺。

ハルヒ「指輪とかネックレスが欲しいのよ」

笑顔で話すハルヒ。

ハルヒ「ね、どんなのが似合うと思う?」

仕方が無い。適当に選んでさっさと済ませるか。

キョン「こう言うのが良いんじゃないか?」

見もせず、適当に指をした。

ハルヒ「こ、これ……っ?」

……何で顔を真っ赤にしているんだハルヒ?

俺は自分が指をさした物を見る。

キョン「なっ……?」

ベアリング……だと……?



621 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 00:27:47.08 ID:x4t2saOzO

ハルヒ「へ、変な冗談言わないでよっ!?」

その通りだ。冗談では無い。早く言い訳をしろ俺。

ハルヒ「でも、これ……うん……」

赤面しながらハルヒはそのペアリングを見る。待て。落ち着けハルヒ。

ハルヒ「け、結構良いじゃない!?こ、これにするわ!」

キョン「…………」

まさか、これもハルヒの……。



628 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 00:44:39.89 ID:x4t2saOzO


ハルヒはそのままペアリングを購入。その目はなんだ店員。別に恋人なんかじゃない。俺の恋人は藤子だ。

嬉しそうに会計を済まし、その場で取り出して指にはめた。

ハルヒ「こ、こっちがキョンね。サイズ合うかしら?つ、付けて見せなさいよっ!?」

キョン「わ、わかった。顔を近づけるなハルヒ」

ハルヒに言われるがまま指にはめる。

ハルヒ「……ね、なんでこれ選んだの?」

キョン「い、いや何となくだ……」

ハルヒ「……キョンらしいと言えば、キョンらしい返答ね」

指輪を見つめた後、俺の顔を見上げる。

ハルヒ「キョンが選んだペアリング……大事にするね。
だからキョンも……な、なくしたりなんかしたら、絶対許さないんだから」

631 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 01:00:18.99 ID:x4t2saOzO



キョン「……わかったよハルヒ」

そのまま指輪を外そうとする俺を、ハルヒが制止した。

ハルヒ「きょ、今日はしてなさいよ。私もしてるから……」

キョン「しかし」

ハルヒ「い、いいじゃないっ!ほら、みんな待ってるから早く行きましょうっ!」

キョン「…………」

これは今日は外せんな……ハルヒはこれを望んだいたか……

633 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 01:17:18.08 ID:x4t2saOzO



ベアリングを購入した事で満足したのか、早々に買い物は終了。

古泉「ふむ……」

キョン「……深い意味は全くないぞ。単なる偶然の結果だ」

古泉「んっふ、貴方がそう言うなら、そう言う事で納得して置きましょう」

俺とハルヒがはめている指輪を見ながら、古泉は微笑を浮かべた。

この指輪をはめるのは今日だけだ。自らの意思ではめる事はもう無いだろう、

全員でエレベーターに乗り、一階に向かう。

やれやれだ。やっと終わったか。

藤子に会うのは深夜だな。家に帰ったら連絡して、それまで一眠りでもするか。

エレベーターの扉が開き、談笑しながら出口へと向かった。



638 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 01:49:22.74 ID:x4t2saOzO

談笑しながら先に歩くハルヒと朝比奈さんの後を、俺と古泉と長門が歩く。

キョン「疲れた……」

古泉「これぐらいで疲れているようだと、これから先大変ですよ」

意味深な台詞をさらっと吐くな。

それにしても今日は本当に疲れたな。寝不足でもあるし、精神的にもだ。

俺は歩きながらゆっくり伸びをした。

その時だった。

『そういう事だったのですね……』

突然、後ろから聞き覚えのある声がした。


639 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 01:51:31.05 ID:x4t2saOzO


この声は……

俺が振り返るよりも早く、長門はその方向を凝視していた。

その視線の先には

佐々木 橘京子 周防九曜の三人が立っていた。

キョン「佐々木……」

佐々木は俺に視線を合わせず呟いた。

佐々木「……すまない。今は君と話したくない。くっくっ、彼女の気持ちが痛い程理解出来るよ」

橘「佐々木さん……」

佐々木「……橘さん、私は先に帰るよ」

キョン「お、おい佐々木」

佐々木は俺を無視するように踵を返して、逆方向に歩いて行った。

640 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 01:55:24.26 ID:x4t2saOzO

長門「…………」

九曜「───……」

長門と周防九曜は、睨み合うように無言で対峙している。

古泉「……ふむ。こんな所で会うとは……偶然ですか?」

橘「偶然なのですよ。古泉一樹さん。本当にね」

ハルヒ「ちょっと何やって……」

みくる「あ、あの時の……」

キョン「…………」

突然の対峙に、そのまま全員押し黙る。

ハルヒの視線は、逆方向の出口に向かって歩く佐々木をとらえていた。

642 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 02:05:40.62 ID:x4t2saOzO



重苦しい空気がその場に流れる。

それを破ったのは、橘京子だった。

橘「……私、貴方が嫌いです。本当に大っ嫌い」

キョン「なっ……?」

橘「どれだけの人を泣かせるのですか貴方は」

キョン「…………」

橘「……九曜さん、私達も帰りましょう」

長門と対峙していた周防九曜と共に踵を返し、呆気に取られる俺達を尻目に佐々木と同じ方向に歩いて行った。

690 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 18:02:09.83 ID:x4t2saOzO

キョン「…………」

先に行った佐々木の後を追う、橘京子と周防九曜を俺達は無言で見送る。

三人の後ろ姿が見えなくなるまで、その場で黙って立ち尽くしていた。

ハルヒ「……な、何よ今の。意味わかんない。何が言いたいのよ?」

沈黙を破ったのはハルヒだった。

ハルヒ「佐々木さん達でしょ、さっきの。あんた何かしたの?」

キョン「……さ、さあな。俺にも良く……わからん」

本当はわかっている

何故、佐々木が俺を無視したのか

橘京子にあそこまで言われたのか

一緒に、佐々木達と一緒に居たんだ。

691 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 18:06:04.17 ID:x4t2saOzO



ハルヒ「……ふん、まぁいいわ!行きましょ!」

そう言って、ハルヒは俺の手を握った。

指輪をはめた俺の手を。

キョン「………っ!」

俺はその手を振りほどこうとした。だが、力が入らない。ハルヒがそのままぎゅっと握りしめる。

何故だ。とりあえず手を離せハルヒ。離させろ。

ハルヒ「何してんのよ、さっさと行くわよキョン」

それはこっちの台詞だ。俺に何をしている。何で力が入らないんだ。

693 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 18:09:52.82 ID:x4t2saOzO

古泉「……とりあえず皆さん、外に出ましょう」

みくる「そ、そうですね……」

長門「…………」

ハルヒ「ほら、行くわよキョン!」

キョン「ハルヒ、待」

古泉「そうだ!美味しいお店が近くにありましたね。お勧めですよ。雑誌等にも紹介されてますからねぇ。この後はそこで食事を済ませて帰りましょう」

わざとらしく俺の声に被せる古泉。そして俺を見つめ、首を横にふる。

まだハルヒと一緒に居ろとでも言うように。

ハルヒ「決まりね!」

勝手に決めるな。そんな店に行っている場合じゃないんだ。

長門「決定」

キョン「おい、長門……っ!」

長門にぐいぐい背中を押される。

694 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 18:12:53.80 ID:x4t2saOzO

古泉「今日は、急なアルバイトは勘弁ですねぇ。せっかくの日曜日ですし」

キョン「…………」

みくる「そ、そうですね古泉君。でも、大丈夫じゃないですかぁ?」

長門「……早くその店に。この場にいる皆で」

古泉「この後、やりたい事もあります……でもそれは、食事の後で、皆と別れてからですねぇ」

それは俺の事を言っているのか古泉……くそっ。わかった。わかったよっ!

696 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 18:16:16.85 ID:x4t2saOzO



俺達は古泉お勧めと言う、小洒落たイタリア料理店に居た。何がお勧めだ。二度と来るか。小洒落たって何だ。誰が考えたそるな言葉。

ハルヒ「本当に美味しいわね!」

目の前の料理に舌鼓を打つハルヒ。知るか。さっさと食え。早く帰してくれ。

俺は味を確認せずに、自分の皿の上にあるものを無理矢理胃に詰め込んだ。

キョン「……ごちそうさま」

ハルヒ「ちょっと、そんなにお腹空いてたのキョン?」

キョン「……まあな」

古泉「……ゆっくり食べればいいでしょうに」

睨むな古泉。

そうだよ。お前が感付いているように俺は今すぐにこの店から出て、指輪を外して投げ捨て、弁解と言い訳をして謝りたいんだよ。

藤子に心から謝りたいんだよ。

お前は佐々木だとでも思っているようだが、違うんだよ。



698 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 18:20:52.49 ID:x4t2saOzO



この店に入る前に、俺の携帯に一通のメールが来ていた。

件名、橘京子

本文

『佐々木さんと藤子さんに弁解する必要ありませんから。これ以上乱さないで下さい。どうぞ、お幸せに。
追伸。拒否設定しますので返信しないで下さい』

……いつから佐々木達と居たんだ。どうしてそこに……決まっているじゃないか。服を選びに来たんだ。今の自分に似合う服を。自分じゃどれを選んで良いのかわからないから。


そして、見たんだろう。俺と嬉しそうに買い物をするハルヒを。

許してくれ藤子。ハルヒに逆らえなかった俺を。

699 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 18:23:04.04 ID:x4t2saOzO



食事が終わっても、まだ帰れない。

早く帰して欲しいと心の底から願う俺の気持ちを無視して、くだらないお喋りが続く。購入した服を確認し合う。

頼むから家でしてくれ。早く帰してくれ。

古泉「……すいません、少々席を外します」

突然、古泉が立ち上がった。そのまま俺の顔を見下ろす。

キョン「……なんだ古泉」

古泉「今の内に、お手洗いに行こうと思いまして」

キョン「……俺もだな。一緒に行くか」


700 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 18:26:59.60 ID:x4t2saOzO



古泉の後をついて行き、店内のトイレに向かう。

入り口前で立ち止まり、中に誰もいない事を確認してから古泉は小声で俺に問い掛けた。

古泉「……佐々木さんに弁解をしたい気持ちは少し解りますが」

違う。違うぞ古泉。俺がしたいのは藤子だ。

古泉「察して下さいよ。あの時、貴方が涼宮さんを置いてきぼりにして追いかけていたら、今頃どうなっていたか」

キョン「……それがお前の仕事だろう」

古泉「ですから、未然に防ぎました」

702 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 18:30:32.10 ID:x4t2saOzO



古泉は、微笑を浮かべて続ける。

古泉「いい加減、決めたらどうですか?」

既に決まっているんだよ。それは藤子だ。

古泉「それに、直ぐに弁解しても女性は耳を貸しませんよ。時間を置いて、日を改めて……」

その時間が無いんだよ俺と藤子には。

古泉「いえ、今は嫌われたままでも良いんじゃないですか?いずれ、時間が解決するでしょう」

キョン「はぁ?お前は何を言っているんだ」

古泉「殆ど気持ちは決まっているんでしょう?その指輪、涼宮さんと一緒に購入したんですよね」

キョン「これは違う。ハルヒが勝手に」



703 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 18:32:47.70 ID:x4t2saOzO

古泉「でも、右手の薬指にはめているじゃないですか」

キョン「だからなんだ。別にどこにはめても一緒じゃないか。これは適当に」

古泉「右手の薬指は恋人のいる証ですよ。知らなかったんですか?ペアリングなら尚更です」

キョン「…………」

古泉「まぁ、一般的に言えばですが。ペアリングをはめる場所は人それぞれですし、指輪をはめる場所の意味にも様々な」

キョン「待て古泉。一般的だと?」

古泉「……ええ。まぁ、貴方はそんな事には全く興味が無いようですからねぇ。でも、左手の薬指は結婚指輪をはめる物と言う常識ぐらいは知っているでしょう?」

キョン「…………」

古泉「ちょっと貴方。まさか」

キョン「いや、知っている。知っているに決まっているじゃないか」

そうだ。それぐらい知っている。常識だ。

じゃあ何で今、古泉に言われて思い出すんだ。そして、右手の薬指の意味も俺は

知っていたはずだ。

今まで封印されていたかのように、ふいに記憶が甦る。



707 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 19:06:36.30 ID:x4t2saOzO

キョン「そうだ……知っていたはずだ」

いつからかは思い出せない。が、確かに知っていた。

じゃあ何で古泉に言われるまで忘れていた。

普通、指輪をはめる時に気付くだろうよ。何であの時思い出せなかった。

ハルヒが購入して、先に右手の薬指にはめた……そうハルヒが……。

ハルヒが。

キョン「まさかこれも……」

鼓動が早まる。

これもハルヒの仕業か。無意識に俺の記憶を操作したとでも言うのか。

708 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 19:10:40.49 ID:x4t2saOzO



『思考も感情も、全て改変されてしまった』

藤子の言葉が頭を過る。

藤子はハルヒに改変された。そしてこのままじゃ俺も……。

古泉「……ちょっと、大丈夫ですか?」

キョン「だ、大丈夫……いや、大丈夫じゃない。古泉、俺は帰るぞ」

早く、早くハルヒから離れろ。いや、離れて意味があるのか。遠く離れた未来人まで改変させるような能力に。逆に今、離れたら古泉の言う通りさらに……。

『君は、君は涼宮ハルヒを選ぶんだ。それは……既定事項なんだ……』

認めない。俺はそんなのは絶対に認めないぞ。

709 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 19:14:15.72 ID:x4t2saOzO



古泉「突然どうしたんですか?本当に顔色が……」

キョン「……古泉、お願いだ。俺を帰してくれ。上手くハルヒに言い訳をしてくれ」

古泉「体調が優れないなら、長門さんに」

キョン「違う、そうじゃないんだ、頼む古泉、頼むから帰してくれ。今すぐにだ」

狼狽する俺を見て、押し黙る古泉。

キョン「後で何でもする。お前の望む通りにだ。だから今は、今だけは帰してくれ。ハルヒを何とかしてくれ」

何が出来るか解らない。だが時間が無い事だけは確かだ。こんな所で、だらだらと時間が過ぎるのを待っている場合じゃない。

古泉「……佐々木さんの元に?」

嘆息しながら古泉は呟いた。

キョン「違う。違うんだ。俺はこのままじゃ……このままじゃ俺が俺でなくなってしまう」

古泉「…………っ」

その言葉に、古泉が表情を曇らせた。

キョン「解ってくれ古泉……」

古泉「……貴方にその可能性は有り得ません。生徒会長なら解りますが……いや、しかし……」

713 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 19:37:28.32 ID:x4t2saOzO



キョン「古泉、頼む……っ!」

古泉「……わかりました」

キョン「古泉!」

古泉「……一つだけ言わせて下さい。それは通常では有り得ません。何かしら原因が無ければね」

キョン「…………」

古泉「ここでそれは聞きませんし、貴方の頼みも聞きますが……それは貴方だけで解決出来る物ですか?」

キョン「……ああ。解決出来るさ」

そう。解決しないといけないんだ。絶対にな。

古泉「……涼宮さんには、上手く言って置きますよ。バレないように外に出て下さい」

キョン「すまん古泉……恩に着る」

715 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 20:02:55.00 ID:x4t2saOzO



俺は店を出て、そのままタクシーを拾う。

藤子に『今から来る』とメールを送り、携帯の電源を切った。

そして車内で指輪を外す。ハルヒとペアリングの指輪を、右手の薬指にあった指輪を。

タクシーの窓を開けて、指輪を道路に落とす。コロコロと地面を転がる指輪を見送りながら俺は思った。

そのままトラックにでも踏み潰されてしまえ。



717 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/25(水) 20:24:10.95 ID:x4t2saOzO

………

……



とあるマンションの前でタクシーを降り、そのままエレベーターに乗り込む。

最上階で降り、角部屋のインターホンを押した。

ゆっくり扉が開く。

キョン「藤子、俺は……っ!」

……そのまま言葉に詰まった。
藤子「早く来てくれ……お願いだ……」

薄い黄緑色の髪を掻き乱し、憔悴しきった顔で涙を流しながら、悲痛な声で藤子は呟く。

藤子「今すぐに僕を犯してくれ……今ここで……早く僕を犯してぇ……」

745 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 00:52:25.49 ID:Fi0fZWQEO



藤子はその場に泣き崩れた。

キョン「藤子!」

俺は玄関に入り、膝をついて藤子の肩を掴んだ。

藤子「お願い……お願いぃ」

キョン「聞いてくれ藤子、あれは」

藤子「わ、解っている……僕は解っている……だ、だから、うあ、あああ、僕を犯して、犯してぇ!」

藤子は髪を振り乱して泣き叫んだ。

キョン「藤子、落ち着け、落ち着くんだ!」

藤子「じ、時間が、時間がないんだ、だから、だからぁ」

泣いて取り乱す藤子を、そのまま胸に抱き寄せた。

俺の腕の中で、身体をガクガクと震わせて藤子は悲痛な叫び声を上げた。

藤子「ぼ、僕はもう存在を許されないんだ。け、消されっ、消されてしまう。消されてしまうのだ」



746 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 00:54:43.76 ID:Fi0fZWQEO

キョン「藤子……何を言って……」

藤子「も、もう駄目だ。駄目、なんだ、あ、うあ」

キョン「藤子っ!?」

藤子「だ、だから、うあ、あ、う、犯し、犯して、ひう」

突然、細かく呼吸を始め困惑した表情で目を見開いた。

過呼吸……?

藤子を抱き上げて、俺は急いで部屋に向かった。



747 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 00:56:28.84 ID:Fi0fZWQEO



キョン「藤子、喋るな。落ち着いて息を整えろ」

藤子「ひう、う、あ、あ」

上手く呼吸が出来ず困惑する藤子をベッドに座らせ、背中を擦りながら部屋中を見渡す。

キョン「袋は……!」

小さな冷蔵庫の上にあったビニール袋で、藤子の口を覆った。

藤子「あ、うあ」

キョン「藤子、大丈夫だ。ゆっくり息をしろ。吐いた息をもう一度吸い込むようにだ」

藤子「ふう、う、う、あ」

身体を震わせて、俺の服の胸の辺りをぎゅうっと両手で握り締めながら、藤子はゆっくり呼吸を始めた。これで何とか……。

藤子の背中を擦りながら、部屋を見渡す。

液晶画面が割られたテレビ。そのまま床に投げ捨たのだろうか、洋酒の空瓶と散乱する割れたグラスの欠片。まだ完全に溶けていない小さな水溜まりの上にある氷。そして何故か、テーブルの上には

小型の銃が置いてあった。



748 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 00:59:52.61 ID:Fi0fZWQEO



キョン「藤子、大丈夫、大丈夫だ……単なる過呼吸だ。直ぐに落ち着く」

時折、頭を優しく撫でながら藤子が落ち着くのを待つ。

藤子「はぁっ……はあ……はぁ……」

まだ呼吸が荒いが少し落ち着いて来たのか、クシャクシャにしわが出来るまで握り締めていた俺の服からゆっくりと手を離した。

キョン「藤子……大丈夫か?」

小さく二度頷く。

俺は藤子の口からビニール袋を外した。

藤子「はぁ……あっ……す、すまない……」

キョン「まだ喋るな藤子」

藤子「だ、大丈夫……はぁ……はぁ……」

そう言っても呼吸を整えるのに精一杯らしく、胸に両手をあてて目を閉じ、深呼吸を繰り返している。

750 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 01:09:38.87 ID:Fi0fZWQEO

キョン「落ち着いたか?」

藤子「んっ……もう大丈夫……」

藤子はもう一度深呼吸をして、ゆっくり目を開けた。

先程とは打って変わって、落ち着いた表情で呟く。

藤子「……す、すまない。取り乱してしまって……」

乱れた髪の毛をかき上げながら、藤子は俺を見つめた。

キョン「藤子……すまない。今日俺は……」

藤子「……解っている……謝らなくていい。あれは……あれは、既定事項を塗り替えられたのだ……」

キョン「既定事項を……塗り替えられた?」

藤子は、裾を握り締めてその名を呟いた。

藤子「涼宮ハルヒに……あ、あの指輪は、君が僕にジャケットと一緒にプレゼントするのが既定事項だったのだ……」

753 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 01:17:31.84 ID:Fi0fZWQEO



俺は絶句した。既定事項の塗り替え?ジャケットと一緒にだって?

藤子「あ、あの指輪は、僕が観測した時は、店の前で出会った君と僕で一緒に選んだのだ!それを、それを涼宮ハルヒは……っ!」

キョン「そんな……」

藤子「君と誓いを交わしてから、僕は禁則に触れないように何度か時間遡行をしていた……そして今日の事は、あの時点では知っていた……胸を高鳴らせて君を、君を待っていたのに」


藤子は、肩を震わせながら続ける。

藤子「それは無意識に……君を僕から奪うように……僕の目の前で……そして君は……ゆ、指輪を……僕と君の物になるはずだった指輪を……右手の薬指にぃ……っ!」

キョン「藤子!」

俺は藤子を抱き締めた。

キョン「すまない……許してくれ……許してくれ藤子……っ!」

754 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 01:25:27.53 ID:Fi0fZWQEO



藤子「君が、君が悪い訳じゃない……君は悪くないんだ……」

キョン「違うっ!悪いのは俺だっ!俺なんだっ!」

互いに涙を流しながら、抱き締め合った。

そして俺は、心の底から藤子に謝った。許してくれ。許してくれ藤子。

藤子、悪いのは全部俺なんだ。全ての原因は俺だ。誰かが女になればいいとかくだらない事を考えた俺だ。

お前にこんな辛い思いをさせているのは

俺なんだ。



758 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 01:53:19.48 ID:Fi0fZWQEO

藤子は泣きながら更に続ける。

藤子「それだけじゃない……可能性を……君と僕の可能性も潰された……佐々木達と深く関われないように……」

キョン「………っ!」

藤子「佐々木達に……君と僕の関係を認めるように説得するのが……最も可能性の拡がる事だったのに……」

キョン「そんな……そんな……」

藤子「それはもう、間に合わない……時間が足りない……それにきっと、説得出来ない既定事項に涼宮ハルヒがしてしまう……いや、既にしている……」

藤子「僕が観測して来た事は、可能性を拡げる事の出来る事項は、涼宮ハルヒにことごとく潰されていくのだ……何も出来ない……もう終わりだ……終わってしまったのだ……」

761 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 02:09:35.61 ID:Fi0fZWQEO



キョン「終わり……終わりなのか……?」

藤子「そうだ……終わりなのだ……可能性を拡げられない君と僕の関係は……」

藤子「長門有希と朝比奈みくるによって終焉を迎える……」

キョン「長門と……朝比奈さんに……」

藤子「この事項だけは……ふっくっく、塗り替えず、そのままにするのだろう……僕を男性の藤原にして……君と僕の記憶を情報操作する……僕が、僕が存在していなかった事に……」

キョン「藤子が……存在していなかった事に……」


763 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 02:35:00.16 ID:Fi0fZWQEO



藤子は、震える手で俺を握り締めた。

「もう僕達に出来る事は……その時を待つ事だけなのだ……抵抗する事は出来ない、反抗する事は出来ないのだ」

「も、もう僕達に出来る事は、その時が来るまで愛し合う他にないんだ。だ、だから、だから」

「昨夜のように、昨夜以上に、僕を犯して、犯して犯して犯して犯して犯して犯して犯して犯して犯して犯して犯して犯して犯して犯して犯して犯して犯して犯してぇぇ……」

「……僕に淫らな快楽だけを考えさせるのだ……そうじゃないと堪えられない……存在が消えてしまう現実に……僕は堪えられないのだ……だからお願いだ……」

藤子は、涙を流しながら唇を重ねた。

犯しておかしくさせて可笑しく忘れさせて。消えてしまう現実を。君の中から消えてしまう現実を。

786 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 09:34:32.07 ID:Fi0fZWQEO

………

……



藤子「くうぅん……っ!」

互いに全てを忘れ去る程の快楽の中、幾度目かの絶頂を同時に迎えた俺と藤子は、遂に力なくベッドに横たわった。

藤子「はぁ……あ……」

キョン「藤子……」

恍惚の表情を見せながら肩で息をする藤子を、そのまま抱き寄せた。精も尽き果て、無言で息を整えながらゆっくり目を閉じる。

……どうせなら、このまま最期を迎えてもいいと思った

このまま消え去ってしまってもいいと思った

消えて無くなる事が決まっているなら

せめてこのまま……



787 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 09:35:25.85 ID:Fi0fZWQEO






虚ろな意識な中

俺はいつの間にか

夢を見ていた

あの夢を

あの夢の続きをだ

クローゼットの中で抱き合う俺と藤子

それを隙間から覗いているハルヒ

ハルヒはそのまま

静かにクローゼットの扉を開けた

788 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 09:40:04.57 ID:Fi0fZWQEO

ハルヒは無言で

無表情で

抱き合う俺と藤子を見つめていた

ふいに

俺の頬に藤子の手が優しく触れる

俺はハルヒから藤子に視線を戻した

藤子は

少し悲しそうな瞳で微笑むと

静かに俺から離れた



789 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 09:40:55.75 ID:Fi0fZWQEO

そして扉が開いているクローゼットから身を出し

ハルヒの前に立った

俺はそれを黙って見ていた

動けなかった

声も出せなかった

何も出来ずに

ただ見ていた

ハルヒが指をパチンと鳴らす

それと同時に

藤子が

細かく砕け散るように

黄金の飛沫となって

消え去ってしまった

790 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 10:01:02.64 ID:Fi0fZWQEO

茫然とする俺に

ハルヒが囁いた

『目を……醒まして……』

何を言っているんだ

藤子を

藤子を戻してくれ

ハルヒ

ハルヒ

お願いだ

藤子を

藤子を

さもないと俺は

俺は

俺はお前を

『目を開けて……』

791 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 10:06:05.42 ID:Fi0fZWQEO



藤子「目を……開けて……」

キョン「うあっ!?」

藤子「だ、大丈夫か?凄く……うなされていたぞ……」

キョン「あ、ああ……」

藤子の声に、俺は現実に引き戻された。

冷や汗をかいた身体で藤子を見上げる。

悪夢にうなされていた俺を、未だ心配する表情で見つめていた。



795 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 10:32:22.73 ID:Fi0fZWQEO



藤子「酷い夢でも見たのか……?」

まだ頭がぼうっとしている。なんて夢なんだ。

いや

この悪夢は現実に……起こる事だ……

キョン「……どれくらい眠っていたんだ?」

俺はゆっくり上体を起こしながら、藤子に問い掛けた。

藤子「ん……二時間ぐらい……だな……僕も君の腕の中で眠りについていた……」

時計を見ながら藤子は呟いた。

キョン「すまん……起こしてしまったな……」

藤子「……いや、起きて良かったのだ……僕達に残された時間は……」


797 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 11:41:40.63 ID:Fi0fZWQEO

キョン「……藤子」

藤子「す、すまない。この事は……」

キョン「いや、いいさ……覚悟は既に出来ているからな」

俺は藤子を抱き寄せた。

キョン「……眠る前に思ったよ……いっそこのままと」

藤子「……僕もだ」

藤子は俺の背に腕を回しながら呟いた。

藤子「せめて、君と僕が愛し合っている最中にして欲しい物だ……刹那に意識を失わせて……そのまま……」

811 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 14:59:30.55 ID:Fi0fZWQEO



キョン「そうだな……」

俺達には、もうそれしか残されていないのだろうな。若しくは……

視線の先には、テーブルの上にある小型の銃。

何故、藤子がそれを持っているのか俺には知る由はないが、何に仕様しようとしていたかは解っている。いっその事自殺、いや、俺と心中。

それよりも今を望んだのだろう。最期まで愛し愛される事を。銃の他にも、七つの弾丸が装填されずに散らばっている。

……心中と言えば今もそうなのだが。ただ、それを待っているだけだ。



813 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 15:07:16.53 ID:Fi0fZWQEO



藤子「……何を見ているのだ?」

キョン「い、いや。別に」

藤子「………ああ、あれか」

藤子は俺から離れ、テーブルの上にある小型の銃を手にするとおどけた笑顔を見せて

藤子「ばん」

と、俺を撃つふりをした。

藤子「……ふっくっく、やられたふりぐらい、してもいいだろうに」

そしてその小型の銃を手にしたまま、俺の隣に座る。

藤子「……君が望むなら、これで本当に心中しても構わないのだがな」

キョン「馬鹿いえ。どちらかが死体を見なきゃいけなくなる。同時になんて失敗する確率が高い。却下だ」

藤子「ふっくっく、そうだな……君の言う通りだ」



814 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 15:12:15.24 ID:Fi0fZWQEO



キョン「護身用とかなのか?その銃は」

藤子「そう、万が一の為にだ。一見、この時代に良くある普通の銃に見えるが、性能は全く違うのだ」

確かに普通の銃だが、この時代と言うか一昔前の……FN ブローニングM1910に近いな。

……藤子なだけに?

藤子「七つしか装填出来ないがな。しかし一斉射撃された七つの弾丸は相手に向かって自動追尾。確実に撃ち抜くのだ」

……七つ……自動追尾……連獄の

キョン「いやいやいや」

藤子「……どうしたのだ?」

脳内でどうでも良い事を考えて、ツッコミを口にした俺の顔を不思議そうに除き込む藤子。

キョン「なんでもない。うん。本当になんでもない」

……こんな事を考える余裕等ないはずなのに、何を考えているんだ俺は。

817 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 15:22:20.94 ID:Fi0fZWQEO



よし、少し落ち着こう。

キョン「……シャワーを浴びていいか?」

藤子は、時計を見ながら呟く。

藤子「……別に構わないが……そうだ」

藤子はベッドから立ち上がった。

藤子「い、一緒に湯船につからないか?そ、その、一度してみたかったのだ」

キョン「…………」

藤子「じ、時間もまだあるし、そ、そうしようではないか。だ、だから一緒に」

キョン「わかったよ藤子。一緒に入ろう」

818 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 15:45:25.73 ID:Fi0fZWQEO



藤子「じゃ、じゃあ少し待っててくれ。準備をして来る」

キョン「一緒にやればいいじゃないか。一瞬でも離れたくない」

藤子「い、いや、少しだけ待っててくれ。一緒だと駄目なんだ。見てもいけない。解るだろう?」

キョン「………あ」

藤子「そ、そう言う事だ。直ぐに戻る」

恥ずかしそうにそう言い残して、藤子は浴室へと向かった。

あそこを洗いに行ったのか……文字通りあそこを。
今さら恥ずかしがらなくてもいいと思うぞ藤子。

そう言えば、藤子は処女なんだよな。あれだけ淫らな女だと言うのに。

827 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 18:33:36.85 ID:Fi0fZWQEO

部屋からは想像出来ない、広い浴室と大きな浴槽。

そして浴槽のお湯を敷き詰めるように、黄色い花びらが無数にゆらゆらと浮かんでいる。

藤子「こうして、君と一緒に花風呂に入るのが夢だったのだ……」

その花風呂に、シャワーを浴び終えた俺と藤子は後ろから抱き合う形で一緒に浸かっている。

キョン「……女の子らしいな」

藤子「以前は、こういう事がしたいとは全く考えてなかった」

花風呂でゆらゆら揺れる黄色い花びらを掻き分けて、指にその花びらを絡める。

藤子「……女になれて、君に会えて良かったと心の底から思っている……それが刹那的な時間だったとしてもだ」

キョン「俺も、お前に出会えて良かったよ藤子」

敷き詰める黄色い花びらの下で、俺は藤子の腰に両腕を回して、小さな肩に顎を静かに置いた。

828 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 18:38:58.16 ID:Fi0fZWQEO



藤子「はぁ……心地好い……本当に心地好いよ……」

キョン「あぁ……」

目を閉じて花風呂に陶酔する藤子。

肩口から見える白い首筋と豊満な胸に、濡れた黄色い花びらがまとわりついて……

藤子「……ん」

キョン「…………」

藤子「……馬鹿。が、我慢しないか。今はそう言う気分ではないぞ」

キョン「す、すまん」

密着しているからなぁ。バレバレだ。いや、これは仕方がないって藤子。


829 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 18:43:43.39 ID:Fi0fZWQEO



藤子「ゆっくり……話をしようではないか。時間はまだある……」

キョン「……その時間なんだが、どれくらい残っているんだ?」

黄色い花びらを両手のひらですくい上げるようにしながら、藤子は呟く。

藤子「……時計の針は十二時を回っていたな……後、三十六時間後だ……」

そして、すくい上げた黄色い花びらを、ゆっくり花風呂の中に戻した。

藤子「……分岐点はもうないのだろうな」

キョン「三十六時間、か……」

藤子「たっぷり僕を犯してくれたまえ……ふっくっく、最期の時までもな」

キョン「最期がどうなるか……聞いてもいいか?」



831 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 18:55:01.23 ID:Fi0fZWQEO



藤子「……余り言いたくはないがな……いや、知っていた方が良いだろう」

藤子は黄色い花びらを一枚、指で摘まんだ。

藤子「……君の行動に不信感を持った長門有希が、君の行動を全て監視する事になる。
そして、情報封鎖されているこのマンションの存在が知られてしまうのだ」

キョン「情報封鎖されている?」

藤子「当然ではないか。僕が住んでいる事を知られたくないしな……出入り出来る人間を決めるのは僕だ」

キョン「なるほどな」

藤子「……ふっくっく、君の精を、あの白濁の甘露を、顔と口に受けて絶頂を迎えたあの夜から、より強固にしてはあるがな」

キョン「……おい」

藤子「いいではないか……淫らな女なのだよ」

花風呂の中で、収まりかけていた俺の物に尻肉をわざと擦りつける藤子。

832 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 18:57:14.85 ID:Fi0fZWQEO



キョン「お、おい藤子」

藤子「この話を終えたら……」

そのままゆっくり振り向いて、淫らな笑みを浮かべる。そしてゆっくり口を開いた。

藤子「この花風呂で僕を犯してぇぇ……」

目を見開いて俺の顔を見つめ、真っ赤な舌を出した。

そしてその舌で、先程から指で摘まんていた一枚の黄色い花びらに唾液を絡める。

キョン「……好きだ藤子っ!」

我慢出来るかっ!?


藤子「ん、も、もう少し待て。す、直ぐに話は終わるから、んんっ」

俺はそのまま後ろから、濡れた黄色い花びらにまみれた藤子の豊満な胸を揉みしだくっ!?

藤子「ま、待てと言っているではないかっ!」



833 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 19:09:14.43 ID:Fi0fZWQEO



キョン「痛っ!」

乳房をわし掴む俺の手の甲の皮を、ギリギリと思いっきりつねられた。

藤子「す、直ぐに終わると言うているだろう?」

キョン「わ、わかった。わかった」

俺は、藤子の豊満な胸を揉むのを止めた。

キョン「…………」

藤子「…………」

しかし、両手はまだ添えたまま。

藤子「……おい」

キョン「手は添えるだけと、白髪鬼に教わったんだが」

藤子「意味が全くわからんぞ……」

キョン「気にするな。話を続けてくれ」



837 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 19:54:07.67 ID:Fi0fZWQEO



藤子は、少し溜め息を吐いてから続けた。

藤子「……そして、そのまま朝比奈みくると共にこの部屋に侵入するのだよ」

キョン「……その朝比奈さんは、今の朝比奈さんか?」

藤子「いや、今より年齢を重ねたほうだ」

朝比奈さん(大)か

藤子「そして、部屋にいた僕と君の前に現れて……」

俺は息をのんだ。

藤子「……ふん、これで終わりだ」

キョン「………は?」

藤子「これで終わりなんだ。これ以上は観測を許されなかったのだ」

キョン「いや、ちょっと待て藤子。だったら」

もしかしたら、俺と藤子は。

藤子「……微かな希望を君が持ちたいと思うのは解るが、ふん、現実は残酷なのだ。自分が存在しなくなったから、観測が許されなくなったのだ」



840 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 20:40:37.55 ID:Fi0fZWQEO

藤子「どの時間平面にもだ……僕は消されてしまうのだよ……」

花風呂に浮かぶ黄色い花びらが、微かに揺らぎ始めた。

藤子「僕の存在が消え去る……全て消え去るのだ。君と過ごした時間も、君への思いも、君を愛した事も、君に愛された事も、全てだ。何も残さず、綺麗に消えさってしまうのだ……」

キョン「…………」

黄色い花びらは、更にゆらゆら揺らぐ。

藤子「君の中から消え去るのが、最も辛いのだ……こんなにも僕を、僕を思ってくれている君の中から消え去ってしまうのが……」

キョン「藤子……」



841 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 20:42:49.45 ID:Fi0fZWQEO

「……さぁ、話は終わりだ」

藤子は、ふいに黄色い花びらの中に身を沈めた。

そして、ゆっくり花風呂の中から浮かび上がるように、無数の濡れた黄色い花びらを身に纏いながら立ち上がった。

薄い黄緑色の髪にも

妖しく惑わせるうなじにも

しなやかな背筋にも

真っ白で淫靡な臀にも

「ふっくっく、もう我慢しなくていいぞ……」

浴室の壁に両手を付き、花風呂に足を浸して背を向けたまま、その淫靡な臀を俺に向ける。

そのまま首をゆっくり動かして振り向き、淫らな横顔で卑猥に囁いた。

「この黄色い花びらを……君の肉棒に纏ってぇ……後は君の好きなように……僕を犯して犯し尽くしてぇぇ……」



842 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 20:50:28.20 ID:Fi0fZWQEO

…………

………

……



言わなければな。

キョン「事後だ」

藤子「君は、どこを向いて喋っているのだ?」

怪訝な表情で、藤子が身体をバスタオルで拭きながら問いかける。

キョン「いや、何でもない」

藤子「ふっくっく、君は突然、不可解な行動と発言をするのだな」

キョン「……すまん」

悪気は無い。



845 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 21:13:48.03 ID:Fi0fZWQEO

藤子と共にバスタオルで身体を拭き、湯冷めしないように服を着ける。

……服を着けるのは久しぶりな気がするな。

下着を履いてTシャツを着けて、ズボンを上げて終了。

藤子「……少し、目を閉じて後ろを向いてくれ」

キョン「ああ。いや、出て行ったほうがいいか?」

藤子「そうだな……先に待っていてくれ」

藤子は、まるで肛虐専用のような貞操帯を新たに履き直すのだ。そして、それを見る事は禁則である。

藤子「言語なら時と場合によっては構わないが、行動となると……ああ、これも禁則か。
言葉を選ぶか……即執行される……これで理解出来るか?」

だ、そうだ。

俺は浴室を出て、髪を拭きながらベッドに腰掛けた。


846 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 21:28:00.46 ID:Fi0fZWQEO



キョン「……さて」

少し片付けるか。

俺は藤子が戻って来るまで、部屋の片付けをする事にした。

散乱する破壊されたテレビの液晶画面や割れたグラスの欠片を一つ一つ拾い、水と洋酒の混ざった溜まりを拭き、その洋酒の空き瓶を部屋の角に置く。

……自分がもうすぐ消え去ると言うのに、良くこの程度で済ませたな。

藤子「あ、すまないな……」

浴室から出てきた藤子は、髪の毛にタオルを巻き、身体はバスタオル一枚だった。

キョン「いや、気にするな。それより藤子、寒くないか?」

藤子「ん、髪を乾かすからな……その後で服を着ける」

848 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 21:51:03.19 ID:Fi0fZWQEO

そう言って、藤子はテーブルの上に小さな鏡を立て、様々な保湿剤を準備する。そして手慣れた手つきで化粧水を顔に……って。

キョン「……髪を乾かすんじゃないのか?」

藤子「これが先に決まっているだろう?」

そうなのか?

藤子「……綺麗でいたいのだよ。君の為に、最期の時まで」

キョン「……そっか」

俺はそのままベッドに寝転がった。

849 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 22:06:09.33 ID:Fi0fZWQEO



肌の保湿を終えたのか、ドライヤーの風音が聞こえ始めた。

キョン「……髪が傷むんじゃないのか?」

藤子「ふん、言っている場合ではなかろう。時間は無いのだ……君はこれが一番良いのだろう?」

そう言って、後頭部の髪を手で束ねる。

もう、何も言えねー。

藤子「適当に時間を潰していてくれ」

と、言われてもな。俺の為に綺麗にしようとする藤子を見ているのもそれはそれで良いのだが。

何か無い物か……あ、そう言えば。



853 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 22:50:46.97 ID:Fi0fZWQEO

俺は無造作にベッドに置いてある銃を手にした。

そしてそれを藤子に向ける。

キョン「藤子」

藤子「……む?」

キョン「ばん」

藤子「うぅっ、き、君にハートを撃ち抜かれてしまった……っ!」

キョン「…………」

藤子「………すまない」

キョン「いや……これ、どうやって使うんだ?」

藤子「……言って置くが、長門有希は勿論、今より年齢を重ねた朝比奈みくるには全く通用しないぞ?」

854 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 22:53:20.67 ID:Fi0fZWQEO



キョン「……解っているよ。単なる興味本意だ。男の子として、未来の銃に興味を持たない奴はいないさ」

藤子「ふっくっく、そう言う物なのか?」

キョン「…………」

少し、違和感。残っているのはその口調だけなのか。

藤子は、姫鏡を手に唇に薄く紅を引いてから説明した。

藤子「ん……七つの弾丸を装填し、銃身を額にあてて標的を念じるだけだ。そしてトリガーを一度引けば、瞬時に七つの弾丸が自動追尾で標的を貫く」

キョン「へぇ……まるで魔法……魔弾だな。どんな原理……禁則か」

藤子「ふっくっく、その通りだ」

それにしても自動追尾か。暗殺に……それも禁則だろうな。護身用と言っていた訳だし。

……暗殺。



855 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 22:55:36.28 ID:Fi0fZWQEO

キョン「藤子、ハルヒ……」

藤子「不可能だ。むしろ最悪の物が誕生する可能性が高いのだぞ?」

キョン「……どう言う事だ?」

藤子「涼宮ハルヒの幽霊。ふん、能力はそのままでだぞ?既に彼女は無意識に幽霊や霊魂の存在を肯定しているはずだ。想像してみるがいい」

キョン「…………」

人の肉体を持たない、精神的な存在のハルヒ。それこそ神じゃないのか?

藤子「……ふん、そんな事より考える事があるだろう?」

キョン「ん?」

藤子「ふっくっく、準備は終えたぞ?あとは服を着けるだけなのだ」

藤子は立ち上がり、そのままクローゼットに向かった。

そして静かに扉を開いて、ベッドに横たわる俺を見る。

藤子「どの衣装を着けて欲しいのだ?ふっくっく……また、メイド服に致しましょうか?僕の御主人様ぁぁ……」

二人で霊魂になって

永遠に愛し合おうかと真剣に考えた。

……霊魂とか幽霊って、コスプレ出来たっけ?

859 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/26(木) 23:56:39.20 ID:Fi0fZWQEO

そんな事を考えた俺が選ぶ衣装はこれしかないっ!

キョン「……巫女」

藤子「……ふっくっく、それで祓って欲しいと言う事か?件の幽霊を」

すまん藤子。そこまで考えてなかった。

藤子「では、着替えて来る……時間がかかるな。少し待っていてくれ」

そう言って、藤子は巫女の衣装を手に部屋から出ていった。

巫女。

新ジャンル ポニーテール未来人巫女(長身で巨乳。元男性で処女。しかしアナルでイキまくる)

誰が画像くれ。

等とくだらない事を考えながら、藤子が来るまで銃をくるくる回転させたり、弾丸を装填したりしながら、時間を潰していた。

861 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 00:01:56.43 ID:qEX3PSO+O

………

……



未来の銃で暇を潰しながら、俺は考えていた。

残された時間は三十四時間、か。

考えるだけで、涙が溢れそうになる。いや、涙はもう見せないべきではないのだ。

せめて笑顔で。

そして最期まで愛し合う。

それが最良なのだ。

覚悟を決めた二人に残された事だ。


862 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 00:03:25.60 ID:qEX3PSO+O


『せめて、君と僕が愛し合っている最中にして欲しい物だ……刹那に意識を失わせて……そのまま……』

朝比奈さん(大)は、それを許してくれないだろうか。

キョン「それにしても遅いな……?」


────キィンッ!


突然、何かが張り裂ける音が周囲に響き渡った。


それは


終焉の合図だった


863 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 00:06:04.24 ID:Fi0fZWQEO



キョン「今のは……?」

『お願いだっ!もう少し、もう少し僕達に時間を……ひうっ!うあっ!?』

ドクンッ!

自分の心臓の鼓動が、直接聞こえた。

『やれやれ、困ったものです……』

嘘だ

『こんな事、既定事項にはありません……』

早すぎる

『……最後の別れを』

どうして

俺はガクガクと足を震わせながら、とっさに弾丸の装填された銃をズボンの後ろのポケットに隠した。

873 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 02:26:47.15 ID:qEX3PSO+O

キョン「……藤子っ!」

動揺しながらも、全てを理解していた。

消し去りに来たのだ。

既定事項通りじゃないのは

ハルヒ

また塗り替えたのか

みくる「キョンくん……」

最初に部屋に入って来たのは、今の朝比奈さんだった。

古泉「貴方は、自分が何をしているのか解っているんですか?」

次に古泉。

藤子「お、お願い、こんな最期は嫌、嫌だぁっ!離して、離してくれ……」

白い小袖だけを羽織り、泣きじゃくる藤子と

長門「…………」

藤子の動きを封じるように、掴んだ右腕を表情一切変えずに離さない長門。

874 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 02:28:38.69 ID:qEX3PSO+O

キョン「……俺からも頼む」

声を震わせて、三人に懇願した。

キョン「時間を……俺と藤子に時間をくれ。少しでいいんだ!」

古泉「それは聞けません」

キョン「何故だ古泉っ!藤子の存在を消しに来たんだろう?抵抗なんかしないっ!ほんの少しでいいんだ。二人にさせてくれ!」

みくる「ふ、二人になんかさせませぇん!」

朝比奈さんが突然叫んだ。

みくる「キョンくん、お願い目を覚まして……この人は、この人はキョンくんを利用しているだけなんだからぁっ!」

キョン「朝比奈さん……?」

藤子「ち、違うっ!それは違うのだっ!僕は、僕はもう、そんな事は」

藤子も何を言っているんだ。

みくる「こんなの、こんなのひどいですぅ!キョンくんの心を利用してまでぇ……」

朝比奈さんはその場で泣き崩れた。

藤子「ち、違う、違うぅ!お、お願いだっ!朝比奈みくるの戯れ言に耳を貸すなっ!ぼ、僕は、僕は君を本当に愛しているのだ!」

875 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 02:30:39.00 ID:qEX3PSO+O

古泉「長門さん、彼女を黙らせられますか?」

長門「わかった」

藤子「………っ!」

古泉「朝比奈さんも泣いていますし……僕が説明しましょう」

キョン「何を説明するって言うんだ……」

古泉「落ち着いて聞いて下さい……」

古泉は真っ直ぐ俺の目を見つめて言った。

古泉「ハニートラップですよ。彼女はその改変された身体を利用し、貴方を誘惑し懐柔して本来の目的を達成しようとしていたのです」

キョン「何を、何を言っているんだお前は」

古泉「その目的は、涼宮さんの持つ時空改変能力の観測です」

キョン「そんな事があるわけないだろう?藤子は、藤子は」

俺は藤子を見る。俯いて、何度も何度も首を横に振っている。

古泉「それは、より大規模であればある程、彼女にとって都合が良いんですよ。そう、世界が崩壊してしまうぐらいに時空を歪ませる力の観測……」

ふいに、泣き崩れていた朝比奈さんが声をあげる。

876 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 02:31:29.28 ID:qEX3PSO+O



みくる「それを引き起こす為だけに……キョンくんを利用して……最終的には……涼宮さんの目の前で……っ!」

キョン「違うっ!そんな事はありえん!」

古泉「これが現実です……」

キョン「何がこれが現実だ。藤子は首を横に振っているじゃないか」

みくる「その指令を受けているはずですぅ……」

キョン「指令なんか受ける訳がない。朝比奈さん、何を言っているんですか」

長門「……その痕跡は確認出来る」

キョン「長門……痕跡ってなんだ……」

藤子は、さらに首を激しく横に振った。

877 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 02:33:38.01 ID:qEX3PSO+O

長門「彼女が未来から指令を受けた痕跡。それは物理的では無く、概念的に存在している」

キョン「だから、だから何だと言うんだ。藤子は、藤子は」

古泉が溜め息をついた。

古泉「……今の彼には何を言っても耳を貸さないでしょう。長門さん、もう」

キョン「待て!待ってくれ古泉!一言だけでいいっ!話をさせてくれ!藤子の声が聞きたいんだ!声を戻してくれ長門!」

みくる「長門さん、私からもお願いします……こんなキョンくん、見ていられません……」

キョン「朝比奈さん!邪魔しないでください!」

みくる「ひうっ!?」

俺の怒鳴り声に、朝比奈さんは身体を竦めた。

キョン「長門、頼む。お願いだ。声を聞かせてくれ。それだけでいいんだ。お前は部屋に入る前に言ったんじゃないのか?『最後の別れ』をと」

878 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 02:36:13.45 ID:qEX3PSO+O

長門「……わかった」

キョン「長門……感謝するよ」

古泉「……別れの言葉を交わしたら」

キョン「わかっているさ古泉……長門、頼む」

長門が、呪文を唱える。

そして流れる静寂の中

藤子は口を開いた

藤子「あ、愛している……君を愛しているんだ……ぼ、僕を信じてくれ……」

涙を流して

藤子は呟いた

キョン「藤子、先に言いたい事がある……俺から言わせてくれ……」

俺はゆっくり目を閉じた

879 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 02:37:07.42 ID:qEX3PSO+O



古泉は言った

罠だと

朝比奈さんは言った

指令を受けたと

長門は言った

その痕跡は残っていると

だから何だと言うんだ

俺は藤子を愛している

騙されていようがだ


881 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 02:38:47.51 ID:qEX3PSO+O


いや

藤子が俺を騙している訳がないんだ

最初は、確かにそうだったのかも知れない

でも今は

俺と愛し合っている

藤子は俺の事を思ってくれている

俺も藤子の事を思っている

それだけは

それだけは確かなんだ



884 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 02:44:46.38 ID:qEX3PSO+O

その藤子が、こんな最後は嫌だと泣き叫んだ

せめて、君と僕が愛し合っている最中にして欲しい物だ……刹那に意識を失わせて……そのまま……

これの何がいけないんだ

何故、既定事項を塗り替えてまで

邪魔をするんだ

そこまで消し去りたいのか

ハルヒ

だったら

だったら俺も

お前の既定事項塗り替えるまでだ

ここは分岐点なのか

果たして成功するのかは

やらなければ解らない

朝倉……お前の言葉を思い出したよ



898 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 03:34:29.10 ID:qEX3PSO+O



これは賭けだ

最初っから古泉や朝比奈さんや長門の戯れ言なんて信じていなかった。わざと受け答えしながら、必死で考えていた。

この状況を打破出来る行動を。

切り札は、七つの自動追尾弾。

藤子は、長門と朝比奈さん(大)には通用しないと言ったが

古泉と朝比奈さんにはどうなんだ?

俺が二人を撃ち抜けば、長門はどう出る?

撃ち抜かれた二人と、それをしたのが俺だと言う状況に混乱しながら、判断を鈍らせるはずだ。
そして、二人の治癒を優先するだろう。自分で大抵の病気や怪我は一瞬で治せると言っていたからな。

その隙を付いて、藤子と時間遡行。

行き場所はどこでもいい。時間を稼ぐだけでいい。

最後に愛し合う事が出来れば。



899 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 03:35:34.50 ID:qEX3PSO+O



俺は、深呼吸をしてゆっくり目を開けた。

全員が俺を見ている。

本当に賭けだな。いや、賭けにすらなっていないな。一つでも失敗、一つでも長門に先手を打たれていたら、その場で終わりだ。

しかしだ。

何も出来なかった藤子の為に。

最後ぐらいは。

抵抗してもいいだろうよ。

それに、元々の原因は俺だ。

藤子に辛い思いをさせているのは俺だ。

責任ぐらい取らせろ。



900 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 03:38:54.31 ID:qEX3PSO+O



俺は後ろに手を回し、銃を握った。

キョン「藤子……良く聞いてくれ」

藤子「………?」

今まで共に過ごした仲間を裏切る。

最初に藤子と誓った事だ。

憎むなら憎んでくれ。古泉、朝比奈さん、長門。

キョン「……古泉と朝比奈さん……ばん、だ」

藤子「…………っ!!」

藤子が頷くのを確認して、俺は銃を抜いて額に銃身をあてる。

そしてそのまま仲間だった標的を念じ、トリガーを引いた。



903 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 03:44:48.98 ID:qEX3PSO+O



古泉「なっ……!?」

みくる「ひうっ……!?」

発射された七つの自動追尾弾は赤い光を帯びて、古泉と朝比奈さんの身体を一瞬で撃ち抜く。

長門「自動追尾弾……どうして貴方は……」

キョン「今だ藤子!手を伸ばせ!」

俺は、藤子の元に走る。
藤子「くっ!」

混乱する長門の手を振り切り、藤子は両手を伸ばした。

キョン「時間を……っ!」

俺に飛び付くように、藤子は両肩に手を置いた。

そのまま俺は瞳を閉じる。

そして

何度も体感した

時間遡行が実行されている事を

身体中の感覚が教えてくれた

944 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 21:22:45.93 ID:qEX3PSO+O

………

……



トンッと地面に足が着くのを認識した瞬間、俺は恐る恐る目を開ける。

見開いた俺の目に映ったのは

顔をくしゃくしゃにして、泣きじゃくる藤子だけだった。

藤子「ひ、ひぐっ……うええ……っ」

その場で時間を遡っただけなのか、元の藤子の部屋に俺達は立っていた。
その部屋には、古泉も長門も朝比奈さんもいない。情報封鎖もされているのだろう。

成功だ。俺と藤子は、最後に愛し合う時間を手に入れた。それがほんの僅かな時間でも手に入れたんだ。

キョン「泣くな藤子……」

藤子「ああっ……すまない……黙ってて……でも君に抱かれる前に、そんな、そんな指令は」

藤子「解ってる……何も言わなくていいんだ藤子」

泣きじゃくる藤子を、力強く抱き締めた。

キョン「俺は最初っからお前を信じていたんだ。あの三人が何を言っていてもだ」

藤子「ひぐっ……うん……うん……」

947 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 21:26:26.30 ID:qEX3PSO+O



何度も頷く藤子の頭を、俺は優しく撫でながら呟く。

キョン「だから……泣くな」

顔を上げる藤子の涙を、優しく指で拭った。藤子はそのまま俺をじっと見つめて呟いた。

「……君が手に入れた僅かな時間………最後まで……僕を愛して」

「あぁ、藤子……最後まで愛し合おう」

互いに唇を合わせて、抱きしめ合ったままベッドに倒れ込んだ。

白いシーツの上

薄い黄緑色の髪が乱れる

赤い唇と舌が唾液にまみれて煌めく

指を絡め、藤子の身体に糸を引かせながら舌を這わせる度に

纏った白装束がはだけていく

「待ってくれ……消え去るなら……時間が僅かなら……」

何を言おうとしているのかは、直ぐに解った。

948 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 21:27:13.28 ID:qEX3PSO+O



それをすれば

直ぐに消え去るのだろう

「女で……消え去りたいのだ……」

下を見ないように、触れないように促しながら

「君が僕を女にしたのだ……だから最後も……君が……」

藤子は、一糸纏わぬ女体になった。

「女で逝かせて……」

涙を一筋流して呟いた藤子に、俺は無言で頷いた。



949 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 21:29:17.53 ID:qEX3PSO+O


そのまま藤子の下半身を見ないように目を閉じて、自分の裸体を晒した

藤子は下になるように囁く

それに従うと同時に、藤子が俺の上に股がる。両手を添えて、まだ触れないようにしながら

「禁則を破れば……一瞬で僕は消え去る……でも君の感触は伝わる……」

それで藤子は消え去る

それでもいい

藤子はそれを望んだから

そうして消え去りたいと望んだから



950 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 21:31:31.12 ID:qEX3PSO+O



そのまま何度も唇を重ねた

何度も舌を絡め合った

お前を愛している

愛している藤子

何度も叫んだ

涙を流しながら叫んだ

「僕も君を愛している愛しているんだ」

藤子も叫んだ

涙を流して叫んだ

何度も何度も何度も何度も

藤子が顔を上げて、切ない表情で俺を見下ろした

952 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 21:33:27.59 ID:qEX3PSO+O



ああ

もう消える

消え去ってしまう

おれと一つになって消え去ってしまう

「愛してる」

最後にそれしか

それしか言えない

他に言葉が見つからない
でもそれで充分に伝わる

互いの気持ちが充分に伝わる


954 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 21:34:45.77 ID:qEX3PSO+O

藤子はその瞬間

優しく微笑んだ

そしてそのまま

俺と

一つになった

そして







955 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 21:39:26.96 ID:qEX3PSO+O






何故なのかと

考えなかった

俺と一つになった藤子が

まだいたから

少し困惑した表情をして

それでもまだいたから

まだ藤子がいたから

最後の瞬間まで愛し合おうと

一つになったまま身体を起こして

藤子を抱きしめたんだ



957 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 21:40:56.41 ID:qEX3PSO+O



そのまま唇を重ねた

そのまま舌を絡めた

そのまま突き動かした

藤子は甘い吐息をはきながら

俺への愛を囁やいた

俺もそれに応えながら

何度も突き動かした



961 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 22:00:28.68 ID:qEX3PSO+O



何故消え去らないのかなど

考えなかった

考えられなくなっていた

それは

まだ藤子がいるから

まだ藤子が俺と一つになっているから


最後まで愛し合うと決めていたから




962 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/27(金) 22:01:59.76 ID:qEX3PSO+O

「何故、自分がまだ存在しているのか」

「どうして何も起こらないのか」

「困惑する僕の身体を」

「君が抱きしめたから」

「そのまま唇を重ねたから」

「そのまま舌を絡めたから」

「そのまま突き動かしたから」

「それに応えようと」

「突き動かされる度に漏れる喘ぎに織り混ぜて」

「君への愛を囁いたんだ」



963 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/27(金) 22:03:19.48 ID:qEX3PSO+O



「何度も突き動かされる中」

「何故消え去らないのかなど」

「考えられなくなった」

「君がいるから」

「まだ君と一つになっているから」


「最後まで愛し合うと決めていたから」




964 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 22:04:46.87 ID:qEX3PSO+O



何度も何度も藤子の身体を愛しながら

このまま一緒に消え去りたいと思った

それは許されないのだろう

誰もそれを許してくれないのだろう

それならば

僅かでもいいから

俺の中に

俺の中に残そう

俺の中に藤子を残そう

965 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 22:06:21.15 ID:qEX3PSO+O



それは無理な事だと

何も残らないのだと

誰もが否定しても

全ての者達が

神に等しい者までもが

それを否定しても

綺麗に消し去るとしても

俺は

俺は藤子の事を思い続ける

微かでもいい

思い続けるんだ

967 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 22:08:06.55 ID:qEX3PSO+O



それは藤子が望んだ事なんだ

何も出来ないと泣いていた藤子が

消し去る運命を受け入れた藤子が

最後まで俺を愛した

俺が愛した藤子が

望んだ事なんだ



968 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/27(金) 22:10:11.48 ID:qEX3PSO+O



「何度も何度も君に身体を愛されながら」

「存在が消え去ってしまっても」

「君の中に」

「君の中にだけは残りたいと」

「そう願った」

「僅かでもいい」

「微かでいい」

「君の中にだけは残りたいと」



970 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/27(金) 22:14:53.10 ID:qEX3PSO+O



「それは無理な事だと」

「何も残らないのだと」

「誰もが否定しても」

「全ての者達が」

「神に等しい者までもが 」

「それを否定しても」

「綺麗に消し去るとしても」

「僕は」

「僕は君の中に残りたい」

「微かでもいい」

「君に思われ続けたい」

971 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/27(金) 22:17:48.64 ID:qEX3PSO+O



「僕は思われ続けたい」

「何か出来るはずだと励ました君に」

「僕が消え去る運命に抗った君に」

「最後まで僕を愛した」

「僕が愛した君に」



973 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/27(金) 22:19:17.38 ID:qEX3PSO+O



「ああ」

「お願い」

「もう少しだけ」

「存在させて」

「一緒に」

「せめて最後は一緒に」

「心も」

「身体も」

「君で溢れさせて」

「消え去りたいから」

「お願い」

「お願い……」



978 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 23:02:39.87 ID:qEX3PSO+O



愛して

愛して

愛し尽くした

互いに愛して愛し尽くして

一緒に迎えた

そしてそれは

気付いていた事だ

それで

消え去ってしまうのだと
身体を重ねて

一つになったまま

あの夢のように

ゆっくりと

黄金色の飛沫になっていく

980 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 23:10:22.96 ID:qEX3PSO+O



それでも

それでも藤子は

優しく微笑んだから

俺も

それに応えて

俺も微笑んだんだ

その瞬間まで

互いに微笑んで

そのまま

黄金色の飛沫が

消え去る

綺麗に消え去っていく

982 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 23:12:50.73 ID:qEX3PSO+O




「藤子……っ!」

完全に消え去った瞬間、俺は名前を叫んだ!

まだ覚えている。まだ藤子の事を覚えている。

確認するように、何度も藤子の名を叫んだ!

その瞬間が訪れる前に、俺の中に残そうと。

藤子の部屋で藤子の名を叫び続けた!

俺の叫びは、その瞬間まで続くと思っていた。

だが、俺は叫び続ける事を唐突に止めた。

いや、止めさせられた。

藤子の部屋の、クローゼットが

ゆっくりと

音を立てて開く。


985 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 23:23:49.55 ID:qEX3PSO+O



「キョンくん……許して下さいぃぃ……」

未来の

朝比奈さんだった。

クローゼットから出てきた朝比奈さんは、髪を乱してよろけながら俺を見上げた。

泣いて泣いて泣き腫らした赤い瞳で。憔悴しきった顔で。

「私が……私が全て……やりました……これは……これは私への罰……」

「どうしてかだけ、聞かせてくれませんか」

俺は淡々と呟いた。

「だって……だってぇぇ……」

そのまま泣き崩れながら、朝比奈さんは叫んだ。

「羨ましかったの、羨ましかったのぉ!同じ未来人なのにぃ!羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨まし過ぎてぇ!?」

俺は目を閉じた

987 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 23:28:24.43 ID:qEX3PSO+O



「朝比奈さん……するならはやくお願いします。俺が藤子を忘れないうちに」

嗚咽を漏らす朝比奈さんの手が、俺の額に触れる。

「これで……元に戻ります……藤子さんに出会う前に……」

「……朝比奈さん、最後に言わせて下さい。俺と藤子が貴女に残す言葉を」

それは俺と藤子からの、容赦なく残酷で心からの感謝の言葉。

「ありがとう」



989 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/27(金) 23:30:04.76 ID:qEX3PSO+O

どちらに捉えたか判らない。

朝比奈さんの悲痛な叫び声が聞こえる中、

俺は意識を失った

藤子

俺は忘れない

絶対に忘れない

元に戻ろうと

過去の自分に戻ろうと

必ず俺の中にお前を残す

そしていつか

お前を

だから

待っていろ

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 01:53:06.26 ID:JAVON5cMO



キョン「実は女の子だったって良いよな」

キョン「国木田とか」

古泉「最高ですね」

キョン「国木田に
『キョン、今までごめんね。実は僕……』
とか言われたい」

古泉「貴方、本当に国木田君好きですよねぇ」

キョン「でも国木田、完璧に男なんだよなぁ」

古泉「確認したんですか?」

キョン「あぁ。中学の時、水泳の授業でな」

古泉「そう言えば同じ中学でしたね……擬装の可能性は?水泳パンツに何かを入れていたとか」

キョン「はっきりと見てしまったからなぁ」

古泉「……実はふたなりだったと」

キョン「それも無いな」

古泉「やれやれ……夢も希望もありませんねぇ」


39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 01:57:25.25 ID:JAVON5cMO

俺と古泉は会話を止め、長門に視線を移した。

長門「……出来ない」

長門は嘆息しながら呟き、読んでいた本をパタンと閉じて立ち上がった。

そしてそのまま俺の元へ真っ直ぐ歩み寄り

長門「出来ない」

キョン「いや、それはさっき聞いたぞ長門」

古泉「んっふ、大事な事なので」

キョン「二回言いまし痛ぇっ!?」

いきなり、長門に爪先を思いっきり踏みつけられた。

長門「…………」

キョン「待て長門。俺が悪かった!?ぐりぐり動かさないでくれっ!?」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 02:03:34.60 ID:JAVON5cMO



長門「…………」

キョン「すまん長門っ!俺が悪かったっ!?」

遥か宇宙の彼方から遣わされた対有機生命体用ヒューマノイド・インターフェースによる爪先ぐりぐりと言う拷問を、人類で初めて受けたであろう。

キョン「落ち着け長門っ!これ冗談じゃなきて潰れるっ!」

長門「……本当に出来ない」

そう言って、長門は俺の爪先からは足を離した。

長門「くだらない事は考えないで」

そう言い放って、長門はまたパイプ椅子にちょこんと座り、本を読み始めた。

キョン「…………」

古泉「んっふ、怒らせてしまいましたねぇ」

キョン「お前も今の内に謝っておけ古泉。尋常じゃない圧力をかけられたぞ」


43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 02:05:59.12 ID:JAVON5cMO

それから長門に平謝りし、俺と古泉は変態的欲求を考え……いや、口に出すのは止めようと誓ったのであった。

そして次の日。

妹「早起きなんて、キョンくん珍しい〜」

うむ。俺自身が珍しいと思っているぞ我が妹よ。今日はいつもよりゆっくり登校出来そうだな。

早起きは三文の得等と言われるが、何事も無く一日は過ぎて行く。

長門が昨日の事について、ハルヒに何か話すのではないか?

と少し思ったがそう言う事も無く、その長門の本を閉じる合図と共に学校での一日が終了した。

キョン「さて、と」

俺は皆と別れ、ゆっくり家路についていた。



44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 02:08:06.59 ID:JAVON5cMO




ふと、誰かに会うのではないかと思った。


本当に何となく。

その俺の期待に答えるかのように、背後から聞こえる何処か聞き覚えのある男性の声。

『……会いたかったぞ』

キョン「……久しぶりだな藤原。こんな所で俺に何の……用だ……?」



47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 02:10:33.28 ID:JAVON5cMO

……あの時、花壇の植え込み付近で出会った、ダークサイドに堕ちた古泉のような笑みで振り返るのを待っているのだろうと言う俺の予想は見事に外れた。

夕映えに煌めく薄黄緑色の、髪。

涙を一筋流し、何処か懐かしい者に会ったような表情で未来人、藤原が立っていた。

キョン「久しぶり……だな。泣いているのか?」

藤原「……な、泣いている訳がないであろう?め、目にゴミが入っただけだ!君は、君は何を言っているのだ?」

お前が何を言っているのだ藤原。

キョン「……で、何の用だ?」

藤原「……ふん、君に渡す物があるのだ。受け取って欲しい」

藤原の手にはとても小さな、指輪を入れるような箱があった。

キョン「……俺に?」

藤原「ふっくっく、そうだ。君はこれを大切に持っていなければいけないのだ。あの時の端末のように誰かに預けるのではなく、君自信が大切にな」



48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 02:15:45.92 ID:JAVON5cMO

キョン「何の為にだ」

藤原「それは禁則事項だ。近い未来に関わる為にと言えば、君には理解出来るだろう」

キョン「……ハルヒに何か関係があるのか?」

突然、藤原は俺に詰め寄った。

キョン「す、涼宮ハルヒには見せるな!朝比奈みくるにもだっ!ぜ、絶対に見せてはいけないぞ?僕から手渡された事もだっ!君の、君を知る女性には見せるな!こ、これは君の未来に関わる事なのだ!」

キョン「わ、わかった。わかったよ藤原っ!近くで怒鳴るな」

藤原「ふ、ふん。解ればいいのだ……」

そう呟いて、藤原は俯き

藤原「絶対に無くすな……未来に関わる」

そう呟いて、俺に手渡した。

キョン「今、開けていいか?」

藤原「だ、駄目に決まっているだろう?自宅に戻ってからにしろ!」

キョン「わかったから落ちつけ。いちいち怒鳴るな」

いったい、何だと言うんだ。

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 02:21:20.89 ID:JAVON5cMO



藤原「……用件はそれだけだ」

未来に関わる物、か。

キョン「わかったよ藤原。絶対に無くさないで持ってて置くさ……その時までな」

藤原「……ああ、その時まで……大切に持っているのだぞ……」

藤原はそのまま後ろを振り向いた。

藤原「……で、では」

キョン「ああ、また会おう」

藤原はそのまま振り返らず、ゆっくりと立ち去って行った。



55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 02:41:37.53 ID:JAVON5cMO

………

……



そして次の日の昼休み。俺は校内の中庭にある休憩用のベンチに、古泉と一緒に休んでいた。

古泉「んっふ、何か悩み事でも?」

キョン「悩みと言うか何と言うか……あぁ、何か飲むか古泉?奢るよ」

古泉「いえ、週末以外に奢って貰わなくても」

嫌味を込めた微笑を浮かべているのだが、古泉の顔を見ると、何故だが申し訳ない気持ちになる。

理由はわからんが。

キョン「……コーヒーで良いか?」

古泉「ええ、それでお願いします」



57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 02:47:00.07 ID:JAVON5cMO

俺は二人分のコーヒーを購入しながら、昨日藤原から手渡された物を思い出す。

何故あんな物を俺に手渡したのか、未だによくわからん。そして気になってしょうがない。

藤原は言った。俺の知る女性に見せるなと。

じゃあ聞くのは別に良いんじゃないか?それも男性にな。



59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 02:55:02.73 ID:JAVON5cMO

俺はコーヒーをベンチに座っている古泉に手渡し、自分のコーヒーを一口飲みながら腰掛けた。

……とりあえず聞いてみるか。

キョン「パンジーと指輪って、どういう組み合わせだ?」

俺が質問した瞬間、古泉は飲んでいたコーヒーがむせたのかゲホッと咳き込んだ。

キョン「おい、大丈夫か?」

古泉「げほっ……ちょっと貴方。もしかして、誰かに貰ったんですかそれ」

何で解るんだ。

古泉「その指輪『 a lui 』って裏側に彫られてあるでしょう?」

キョン「ちょっと待て古泉。何でそこまでわかるんだお前は」

古泉は俺の返答に、深く溜め息をついた。

古泉「……佐々木さんの話を聞いた時もそうでしたがねぇ、時々貴方が信じられませんよ」

キョン「今、それは関係無いだろう?」

古泉は、更に溜め息をついた。

古泉「……マリー・アントワネットですよ」



61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 03:01:34.80 ID:JAVON5cMO

キョン「……は?」

古泉「……マリー・アントワネットはフランス革命の際、国外に逃亡しようとした際、献身的に手助けをしてくれた愛人フェルゼンに、パンジーの花と「a lui(彼を)」という文字を刻んだ指輪を贈ったと言われています」

古泉「それにパンジーの花言葉とかけて」


『……僕は……君を思っている……』


女性の声が聞こえた。そして

古泉「私は貴方を……って」

キョン「……あれ?」



涙が突然

止めどなく溢れて来た

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 03:10:29.78 ID:JAVON5cMO



キョン「あ、なん……だ……これ?」

古泉「ちょっと、何を泣いているんですか?」

キョン「わ、わからん……こっちが聞きたいぐらいだ……」

古泉「……そんなに悲しい話では無いでしょう?結局、マリー・アントワネットは極刑にされますが」

キョン「違う……悲しい話なんかじゃ……っ!」

俺は嗚咽を漏らした。

何故だ。

何故にこんなにも。

涙が止まらないんだ。



67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 03:21:25.50 ID:JAVON5cMO




暫く、そのまま俯いて涙を流していた。

……古泉の話を聞いて、悲しいから泣いているんじゃない。

寧ろ、その逆の感情で涙が止まらない。

一体、何だと言うんだこれは。

何故、俺は泣いて涙を流しながら。


こんなにも嬉しいんだ。

未来に関わる物だと言ったな。

どんな未来に関わるから、現在の俺がこうなるんだよ。今すぐ教えろ。

……それを手渡した、藤原を思い浮かべようとする

しかし、思い浮かんだのは見知らぬ女性の優しい笑顔だった。

それが一体、誰なのかは知らないが

とても心地好く感じた。

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 03:28:14.57 ID:JAVON5cMO

………

……



古泉「……落ち着きましたか?」

キョン「……ああ、もう大丈夫だ」

幾らか落ち着いた俺は、もう一度その女性の顔を思い浮かべようとした。

だが、何故だか失念してしまっていた。

覚えているのは、優しい笑顔だったと言う事と

ポニーテール

……無意識に想像しただけか?

古泉「急に隣で泣き出すなんて、勘弁して欲しいですね……なにか勘違いされたら困るじゃないですか」

キョン「…………」

古泉「まったく、困ったものです」

困ったのはお前だ古泉。



72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 03:44:54.94 ID:JAVON5cMO



キョン「あー……すまん。もう大丈夫だ」

涙を拭いながら、俺は顔を上げた。

古泉「……そんなに悲しかったんですか?」

キョン「いや……俺にもよくわからん」

古泉「何ですかそれ?」

キョン「いやいや本当に、こんなの初めてだ。突然泣くなんてな」

目を真っ赤に腫らしているであろう俺の顔を見て、嫌味な微笑を浮かべて呟いた。

古泉「……涼宮さんには」

キョン「……誰にも言うな古泉。絶対だ。破ったら二度とお前たちに協力しないぞ」

古泉「それは困りますね。んっふ、わかりました」

嫌味な微笑を絶さず、そのまま肩をすくめる古泉。

キョン「絶対に誰にも言うなよ?この事は墓場まで持っていきやがれ!」

釘を刺す俺に、再度問い掛ける。

古泉「それをどの女性に貰ったか聞いても?」

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 03:57:25.46 ID:JAVON5cMO



古泉、残念ながら男性に……いや、藤原は手渡しただけだ。

未来に関わる物だと言っていた。

……さっき脳裏に一瞬浮かんだポニーテールの女性か?

現在の俺は出会っていないが、近い未来、いや、もしかしたら過去にその女性に出会っているかも知れん。

そんな気がしてならない。

何故かと問われると説明等は出来ないが、俺にはそうだとしか思えないんだ。

……それなら、俺が古泉の質問に返答する言葉は一つしかない。


「……禁則事項だ」




78 名前: ◆HLR2b16n72 [] 投稿日:2009/11/28(土) 03:59:02.44 ID:JAVON5cMO

キョン終わり

次は、少し寝てから

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 10:34:21.07 ID:JAVON5cMO

………

……



とあるマンションの最上階。角部屋。

藤原「……ふん、そろそろか」

その自室内で、藤原はテーブルの上に年代物の洋酒と簡単につまめるチーズやクラッカーを並べてその時を待っていた。

そして二人分のグラスを用意した時、訪問者が来た事をインターホンが知らせる。

その訪問者を心待ちにしていた表情を見せながら、藤原はグラスを置いて玄関に向かい、そのまま扉を開けた。

藤原「ふっくっく、待っていたぞ。さぁ、早く上がってくれ。そして僕を『元に戻すのだ』」



98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 10:36:39.68 ID:JAVON5cMO



その訪問者は、にっこりと笑顔を見せて藤原と共に玄関に入る。そのまま扉を閉めると同時に、

『それでは、瞳を閉じてください。この場所だけ元に戻れる魔法をかけてあげましょう』

おどけながらお伽噺に出てくる魔法使いのような台詞と共に人差し指をくるりと回し、呪文を唱えた。

そして一瞬で藤原は……藤子に戻った。

『王子様には出会えましたか?』

それに合わせるように、藤子も演技じみた仕草で応じる。

藤子「ええ、ちゃんとガラスの靴も残しておきましたわ」

『うふふ。それはそれは。では、後は待つだけですね』



100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 10:43:29.58 ID:JAVON5cMO



藤子「……ふん、もうその辺でいいだろう?部屋に来たまえ。準備は出来ているぞ」

藤子は一拍置いて、その魔法使いの名を呼んだ。

「喜緑江美里──」

喜緑「うふふ、皆さんには内密にお願いします。生徒会役員は原則、飲酒禁止ですから」

藤子「生徒会役員であろうがなかろうが、高校生は飲酒禁止であろうに……まぁ、僕達には関係無いがな」



104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 10:59:30.56 ID:JAVON5cMO

藤子と喜緑の二人は小さなテーブルに向かい合い、互いに洋酒で満たされたグラスを鳴らす。

藤子「君には、幾ら感謝の言葉を述べても足りないな……」

喜緑「そこまで感謝されても困ります。利用価値があると貴女は判断されただけですから。私はそれに従っているだけです」

藤子「それでもだ……本当に感謝している……こんなに早く出会えるとは……」

喜緑「うふふ、泣き上戸ですか?」

藤子「……ふっくっく、そうかも知れんな……あの時も酔って泣き喚いていた……」

喜緑「今日は泣き喚かないで下さいね♪今日の私は、純粋にお酒を楽しみに来ているだけなのですから」


107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 11:26:51.69 ID:JAVON5cMO

藤子「ふっくっく、酒を楽しむヒューマノイド・インターフェース、か。君こそ酔って暴れないでくれたまえ」

喜緑「それは大丈夫です。抑制するプログラムを自己に施してありますから。通常の摂取量を越えても、ほろ酔い以上にはなりません」

藤子「……君のそのプログラムのおかげで、今の僕もあるのだが……ふん、君達に対する認識を改めなければいけなくなったぞ……禁則を破っても復元出来るプログラムが存在していたとはな」

喜緑「念のため、あの時埋め込んでいて正解でした。貴女は未来人でしたからね」

藤子「……あの時と言えば、わざわざあんな事までする必要は無かっただろう?大変だったんだそ?」

喜緑「遅かれ早かれですから宜しいのではありませんか?それに……」

藤子「……それに何だと言うのだ?」

喜緑「うふふ、皆の前で初潮を迎えて困惑する女体化した男性を、一度見てみたかったんです」

藤子「……もう、酔っているのか?」

喜緑「そんな事はありませんが?」

藤子「…………」

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 14:02:29.24 ID:JAVON5cMO

藤子「ふん、しかし最初からそれを知っていれば、他に方法を考えたのだがな……辛い思いをしたぞ……」

喜緑「辛かったからこそ、苦労したからこそ、あれだけ愛し愛された。最後の時までね」

藤子「………ふん」

喜緑「それに、障害があるからこそ、愛は深まると言いますから」

藤子「障害、か。ふっくっく、涼宮ハルヒを改変の分岐点に誘導させていたのが、朝比奈みくるだったとはな。聞いて驚いたぞ。腹黒いにも程がある」

喜緑「貴女に彼を奪われるぐらいなら、涼宮さんに。とでも考えたのでしょう。彼女は、貴女が彼と愛し合った末に消え去る事を知っていましたからね」

藤子「結果、独断先行か。ここにいる自分を使って涼宮ハルヒの力を……それでよく、まだ存在出来るな」

喜緑「それなりの罰を与えられたようですから」



120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 14:21:00.01 ID:JAVON5cMO



藤子「……罰?」

喜緑「うふふ、間近で貴女と彼が、最後に愛し合うのを強制的に見せ付けられたようですよ。喋る事も動くも背く事も出来ずに」

藤子「……どこで見ていたと言うのだ」

喜緑「あのクローゼットの中で」

藤子「…………」

藤子はふいに立ち上がり、クローゼットの扉を静かに開いた。

喜緑「……中に誰もいませんよ」

藤子「ふん、なんとなく、だ」

クローゼットの中には、いつもと変わらず様々な衣装と淫らな器具が揃えてあるだけだった。

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 14:29:45.65 ID:JAVON5cMO



喜緑「うふふ、それにしても素敵な趣味ですね♪」

藤子「君も着けてみるか?ふっくっく、思い人の心が動くかも知れんぞ?」

喜緑「既に持っているので。御気持ちだけ有難く頂戴致します」

藤子「………やはり、酔っているな?」

喜緑「そんな事はありません」

クローゼットの扉を閉め、藤子は元の席に着いた。

藤子「ふん、しかし朝比奈みくるの気持ちも、今となってはわからんでもない」

喜緑「もし、逆の立場なら同じ様な事を?」

藤子「……かもしれん」



122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 14:46:59.76 ID:JAVON5cMO

グラスを飲み干し、洋酒を注ぎ入れながら藤子は再度クローゼットを見る。

藤子「間近で見せ付けられて、壊れない覚悟があるならばな……」

喜緑「…………」

藤子「ふん、僕は発狂してしまうのだろうな……君ならどうだ?」

喜緑「……どうでしょうね。記憶の改竄も出来ますから」

藤子「……涼宮ハルヒに見せ付けるなんて、愚かな事を考える奴もいた……一度指令を受けたが、ふん、直ぐに破棄された。それを朝比奈みくるに蒸し返されたがな」

喜緑「…………」

藤子「そんな事をすれば、観測どころではないぞ。全て消え去ってしまうではないか。それをするには、まだ解析が必要だと言うのに……」

喜緑「…………」

藤子「ふっくっく、君もそう思うだろう?喜緑江美里」

喜緑「……そうですね♪」

喜緑江美里は、唇を歪ませて笑みを浮かべた。

125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 14:57:57.41 ID:JAVON5cMO

藤子はグラスに満たされている洋酒を一気に飲み干し、さらに問いかける。

藤子「僕を女体化したのは、本当に涼宮ハルヒか?いや、そうなるよう強制的に仕向けた存在がいるのではないか?」

喜緑「……そうですね♪」

藤子「件の指令は、本当に未来からの物なのか?」

喜緑「……そうですね♪」

藤子「……予測していなかった、朝比奈みくるの介入で中断となったのだろう?」

喜緑「……そうですね♪」

藤子「……ふっくっく、復元プログラムもその為だな。君はどこの派閥に属している?」

喜緑「……そうですね♪」



128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 15:24:40.33 ID:JAVON5cMO

藤子「……ふん、全て禁則か。それに記憶の改竄も出来るのだったな。聞くだけ無駄か」

喜緑「……そうですね♪」

藤子は舌打ちをし、新たにグラスに洋酒を注ぎ入れた。

藤子「……まるで悪い魔法使いに最初から踊らされている気分ではないか」

喜緑「……そうですね♪」

藤子「また似たような事を僕にさせるつもりか?それも成功するまで何度も繰り返してだ。この復元プログラムを使ってな」

喜緑「いいえ、それはもう私達は致しません」

そう言って、喜緑江美里も洋酒を一気に飲み干した。


129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 15:28:28.16 ID:JAVON5cMO


喜緑「悪い魔法使いは、二人の愛の力によって退散すると昔から決まっているでしょう?」

藤子「……何が言いたいのだ」

喜緑「その人の愛こそ、涼宮ハルヒの能力と同様に自立進化の可能性を秘めている……逆のベクトルを向かせてみるも、やはり何も得られないのだと」

先程までとはうって変わり、喜緑江美里はにっこりと優しい笑みを藤子に向けた。

喜緑「貴女と彼が最後の最後まで愛し合った事で私達は解りました。ですから、悪い魔法使いは一時退散。考えを改める事にしたのです」

藤子「………ふん」

照れくさそうに、藤子は洋酒を口に入れた。



132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 16:13:16.81 ID:JAVON5cMO

喜緑「うふふ、ですから、復元プログラムと限定条件での女体化を貴女にプレゼント致します。
今回からは、貴女が魔法使いとなって繰り返しながら成功するまでやる事になりますから」

藤子「……ふん、魔法使い、か」

喜緑「その成功とは、消去された彼の記憶を呼び戻すのは当然、全ての者達の容認も受けなければなりません」

藤子「僕の属する派閥も含めてな」

喜緑「彼の記憶は完全に消去されている。そして貴女は、既定事項通りに普段は男性として過ごさなければいけない」

藤子「ふっくっく、情報封鎖されたこの部屋以外ではな。それに、君の力も借りなくては」

喜緑「涼宮ハルヒ、朝比奈みくる、長門有希……その他にも、容認する前に彼を奪われまいと貴女の邪魔をする者がまた現れるでしょう。もしかしたら、最後まで愛し合った前回が一番幸福な結末だったのかも知れません」

藤子「……それでも、この部屋の扉を開けてくれるのだ……ガラスの靴は既に残して来た……」

喜緑「自信があるようですね」

藤子「ふっくっく、当然であろう。愛し愛された記憶は、誰にも完全に消す事は出来ないのだ……」



133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/28(土) 16:37:18.88 ID:JAVON5cMO

「うふふ、魔法使いと言うよりは、お伽噺のシンデレラですね」

「……ふん」

そう

誰にも消す事は出来ない

君を愛した

君に愛された

最後の最後まで愛し合った

一緒に舞踊ったあの記憶

思い出して

迎えに来て

ガラスの靴を頼りに

君が扉を開けるその日まで

僕は君を思い続ける……


その誓いを確認するかのように、藤子は右手の薬指にある指輪を見つめて、そっと唇にあてた。

134 名前: ◆HLR2b16n72 [] 投稿日:2009/11/28(土) 16:38:11.84 ID:JAVON5cMO

おはり?

141 名前: ◆HLR2b16n72 [] 投稿日:2009/11/28(土) 17:03:54.56 ID:JAVON5cMO

いや、やっぱり終わろう

保守してくれた人、読んでくれた人、藤子画像くれた人、スレ立ててくれた人その他全員本当にありがとう

愚痴書きたい

ベアリングってなんだ。あと、もう藤子ベアトじゃねぇか。いやいやうみねこ好きだし?はい。すいません。

いつも通り思い付き。書きたいのを組み合わせ。

前スレでエロ書きたいだけだろと書き込んだ人へ。その通りだっ!

最初そのエロ書いた後、アリプロの極色一代女を聞いてなんか浮かんだから書いてみた。聞いてみたり歌詞読んだりしたら楽しいかも知れない。

あー逆らえない藤子と喜緑のエロスとか、消え去った後クローゼットから出てきたのはハルヒで、マジでキョンを最初から騙してた藤子とか想像妄想してくれ。

またなんか思い付いたら書く。



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