長門 「今日も壁の染みが広がりつつある」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/13(金) 03:57:10.26 ID:A7DaLy320

私は家に帰ると今日の任務内容の結果を纏め、思念体に送るという作業を必ず
行っている。

サボったことは一度もない。

SOS団の活動が終り、意中の彼からカレーを食べに行かないか、と誘われ食べに行った。
そして、今、いつもより少々遅れつつある報告を行っている。

自然と私の視線は目の前にある壁に移る。

今日も染みの範囲が広がりつつある。

この染みは何だろう。

気味の悪い染みだ。そう思いだしたのはここ1週間前のこと。

それまでは、その染みに対して何も興味も湧かなかった。

染みが出来始めたのは約2週間前。正確には15日前。

一日、一日、そして一日と時間を消費していくごとにその染みは広がりつつある。

水漏れではない。ここ2週間は雨は降っていない。曇りの日が多かったことは確かだが。

気味の悪い。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/13(金) 04:05:19.42 ID:A7DaLy320

彼に相談してみよう、彼なら知っているかもしれない。
もし、分からなければ古泉一樹に聞けば多少なりとも答えが分かるはず。

長門 「話しがある」

キョン 「ん? なんだ」

長門 「今日、帰りに家に寄ってほしい」

キョン 「またハルヒか?」

長門 「違う」

キョン 「そうか。わかった、寄るよ」

長門 「あと、古泉一樹も」

キョン 「言っとくよ」


私は活動が終わった後、彼と古泉一樹ともに自宅へ向かった。


13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/13(金) 04:10:50.63 ID:A7DaLy320

ない、染みが。
染みが、ない。
そんなはずはない。
そんなはずは。
なぜ?


キョン 「どうした、長門?」

長門 「……」

キョン 「おい、本当にどうした? 体調でも悪いのか」

長門 「……気にしないで。今、お茶を淹れる」

古泉 「……」


ないものに云たら言ってもしょうがないことは分かってる。

私は呼び寄せたことをどう弁明するかを必死に考えながら二人にお茶を淹れた。




15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/13(金) 04:15:55.40 ID:A7DaLy320

結局、言えずじまいだった。
いや、言わないほうが良かった。染みがないんだから。

そうして今日も報告作業へと移る。勿論、私の視線も染みがあった壁へと
移る。

あった。

あったあった。

あったあった。広がってる。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/13(金) 04:23:51.15 ID:A7DaLy320

写真に収めて見せよう、彼に。

私はお得意の情報操作でデジタルカメラを生みだし
レンズを壁へと向ける。

収めた。

明日、彼に見せてなんなのか聞いてみよう。
それが一番。


興奮していて気づかなかったのか、夜はすでに更けていた。

私という個体は睡眠を取らなくても異常は起こらない、と彼に何べんも何べんも言ったが
彼は、少しでもいいから寝ろ、身体に悪い、などと耳にタコができるほど言ってくる。

寝るとする。少しだけ。

おやすみ、そこの


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/13(金) 04:30:00.66 ID:A7DaLy320

長門 「これを見てほしい」

キョン 「な、なんだよ……これ……」

古泉 「これは……」


古泉一樹の顔が見たこともないくらいにぐにゃりと歪んだのが一目でわかった。
彼の顔も同じように。


長門 「これはなに」

キョン 「……」

古泉 「……」

長門 「わからない?」


彼が生唾を飲んだ音が聞こえた。彼は知っている。古泉一樹も恐らく知っている。
彼と同様に生唾を飲んだ音が聞こえた。


古泉 「うーん、私が調べておきましょう。一枚、もらいますね。その――」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/13(金) 04:34:19.80 ID:A7DaLy320

古泉一樹が調べると言ってから一週間が経った。

未だに壁の染みは広がりつつある。

一つの興味が湧いた。

さわりたい。


でも、


さわった。

ぬちゃっとしていた。良い感触などとはとても呼べないほどに。

ニオイは不快なニオイではないように感じた。


また、さわった。


不快なニオイはしない。


また、さわった。



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/13(金) 04:38:31.98 ID:A7DaLy320

気がついたら朝の7時を回っていた。

今日、古泉一樹に結果はなんだったのかの催促をしてみよう。

さすがに教えてくれるだろう。



休み



休み、だった。古泉一樹は。

聞けない。気になる。染み。ぬちゃとした感触。

早く。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/13(金) 04:42:51.61 ID:A7DaLy320

臭い、臭い、臭い、臭い、臭い。

染みをさわったときのニオイが。

不快なニオイではなかったのに。臭い。

辺りにニオってないだろうか、とても臭い。

なんとも言えないニオイ。鼻が曲るとはまさにこのこと。

実際、曲ってるのかもしれない。

鼻をさわってみた。

曲ってない。

臭い、臭い、臭い、臭い、臭い、臭い、酷く臭い。

彼にニオってないか聞いてみる。


長門 「臭い? この指」


と言おうとしたけど、

彼、休みだった。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/13(金) 04:50:45.44 ID:A7DaLy320

うぅ、頭が酷く痛む。ニオイも治まらない。自然と顔が歪んでるのが自分でも分かる。

帰ろう、家に。


家に帰ってシャワー浴びた。

何度も何度も石鹸で指を洗ったが、ニオイが落ちない。

落ちない落ちない落ちない落ちておちてオチテ落ちて落ちて。


忌々しい、あなた。


思念体に異常が発生したと伝えてもいいが、めんどくさかったのでしてない。


あぁ、臭い。クサイ。くさい。臭い。


イライラしてきた。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/13(金) 04:54:44.64 ID:A7DaLy320

ふと視線が染みのある壁に移った。

染みが一つ増えてた。

何故だろう。見ていたい染みのように感じる。


目がその染みから外れない。


気になる。


さわった。


ニオイを嗅ぐ。不快なニオイじゃない。ニオイがしなくなった。


古いほうの染みをさわった。


臭い。臭く感じる。このニオイ。


忌々しい。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/13(金) 05:04:19.82 ID:A7DaLy320

忌々しく感じるこの気持ち。

そう、彼女を見て分かったもの。

見て、比較して、動いて、触って、話しあって、目と目をあわせて、名前を呼ばれて、分かったもの。


うぅ、和らいでいた頭痛がまた酷くなった。ニオイも。この、この、この、この! この! この! ニオイも!


新しい染みをさわった。

落ち着いた。

ニオイもしない。

落ち着いた。酷く。

ふぅ、と甘美な吐息が漏れた。

またさわる。繰り返す。

落ち着く。

時間を忘れる。朝がきた。

おはよう、あなた。                                           おわり



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