長門有希の朝は早い


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 10:29:11.70 ID:hpYP8KG90

長門有希の朝は早い。


長門「おはよう」

ディレクター(以下、D)「いつもこんなに早いんですか?」

長門「±0.08秒程度の誤差はあるが毎日この時間に起床する」


この少女は長門有希さん、自称3歳。
自称宇宙からきたヒューマノイドインターフェイスだ。


            ドキュメント2009
         〜長門有希の日常に迫る〜


長門「……」

長門さんは無口だ。「……」では何をしているのか
わからないので解説するが、彼女は朝食の支度をしている。

長門「……」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 10:31:21.13 ID:hpYP8KG90


長門さんは朝食を無表情でパクパクと頬張る。
3分ほどで全てを平らげてしまった。

D「食パンはそのまま食べるんですか?」

長門「栄養分はこれで満たされる」


朝食のメニューは、食パン4枚、ツナ缶、胡瓜1本だ。
彼女らしい大雑把な内容である。
ちゃんと作るのが面倒なんですか? と聞いても返事は返ってこなかった。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 10:32:48.41 ID:hpYP8KG90


長門さんは高校一年生だ。
今日もマンションから歩いて学校に向かう。


長門「登校する」

D「テレポーテーションとか使えないんですか?」

長門「可能だが質量を持った物体の転送には局地的ワームホールの生成に
   エネルギーを費やす必要がある。原始的な物理運動が効率的に優れている」

D「あの、ちょっとわかり辛いんですが。これテレビなんで……
  すいませんけどこのセリフ読んでもらえますか?」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 10:35:10.71 ID:hpYP8KG90


D「テレポーテーションとか使えないんですか?」

長門「歩いていく方が風情がある」

景色や季節の移り変わり。
そういったものを見るのが楽しいと、長門さんは言う。



途中、コンビニによる長門さん。
お昼ごはんのお弁当を買うらしい。

長門「……」

D「どうしたんですか? 買わないんですか」

長門「デカ盛りタルタルのり弁当が無い……」

長門さんのコンビニ弁当へのこだわりは強い。
目当てのお弁当が売り切れていた長門さんは、
仕方なく別のお弁当を選ぶ。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 10:39:31.34 ID:hpYP8KG90


そして彼女は、レジ横の唐揚げやコロッケの入った
ホットケースを無言で見つめる。


長門「……」

長門「…………」

長門「………………」

店員「あのう……どれをお取りしましょうか?」

長門「……………………」

店長「(お、おい! あの人はファミチキ閣下と言って、
    ファミチキが補充されるまであそこから動かないんだ!
    早くお作りしろ!)」

店員「(そ、そうなんですか? だ、大至急揚げます!)」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 10:42:09.68 ID:hpYP8KG90


店長「ど、どうもすいませんお客様、今すぐ作りますので……」

長門「二つ」

店長「おいふたつ揚げろ! 大急ぎ!」

店員「はいぃ!」


コンビニのフライドチキンを購入して嬉しそうな
長門さんは、どこにでもいる高校生にしか見えない。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 10:46:28.47 ID:hpYP8KG90


長門さんが学校に着くと、下駄箱の中に一通のラブレターが入っていた。

D「長門さんモテますね。よくラブレターとか貰うんですか?」

長門「時々」


長門さんはかなりの美少女である。
この高校の男子生徒からも人気が高い。
ラブレターを貰ったり告白されるのは日常茶飯事だと言う。


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 10:47:17.44 ID:hpYP8KG90


長門「……」

長門さんはドキドキしながら、真剣にラブレターを読む。

D「どうですか?」

長門「他のTFEIや敵対する組織による情報操作の可能性は低い。。
   一般生徒による私個人に対する伝達行為と思われる」

恥ずかしがり屋の長門さんは照れ隠しにそう言った。
『昼休みに屋上に来てください』と書かれた手紙だった。
長門さんの鼓動が高鳴る。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 10:50:27.46 ID:hpYP8KG90


D「あの、クラスメイトと喋ったりしないんですか?」

長門「しない」

D「喋ってる絵を撮りたいんで、ちょっと喋ってきてもらえます?」


授業の合間の休み時間。
談笑する生徒に混じる長門さんの姿があった。

女子生徒A「でさー、その男がまたしつこいのよー。
     どこいくの? って、お前には関係ないだろって」

女子生徒B「そーいうナンパウザいよねー」

長門「……」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 10:53:21.87 ID:hpYP8KG90


女子生徒A「もうあたしだんだん腹立ってきてさー、そいつに……」

長門「……」

女子生徒A「な、長門さん……? 何か……」

長門「……」

女子生徒B「どどど、どうしたの長門さん……?」

長門「あなたたちの話を聞きにきた」


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 10:56:48.72 ID:hpYP8KG90


女子生徒A「え、あ、話? その……今の話?」

長門「そう」

女子生徒B「な、ナンパの話?」

長門「そう」

女子生徒A「え、えとあの、ナンパしてきた男がしつこくて、
     ウザイなーって……」

長門「その男性の有機情報連結を解除すればいい?」

女子生徒A「い、いいいいえ! よくわかりませんがけ、け、結構です!」


クラスメイトとの他愛の無い会話。
一所懸命に周囲と打ち解けようとする彼女の思いが垣間見えた。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 11:00:03.07 ID:hpYP8KG90


昼休み、ラブレターの主に会いに屋上に向かう長門さん。
どんな相手が待っているのか。緊張した足取りの彼女。

D「じゃ階段を上がっていくシーンを下から撮りますんで」

長門「わかった」

D「(おい、カメラ。パンツ撮れよパンツ! ズームでな!)」

カメラマン「(そんなカットどこで使うんすか……)」


長門さんが屋上につくと、待っていた男子生徒が長門さんに気づいて歩みよってくる。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 11:01:27.59 ID:hpYP8KG90


谷口「あ、長門さんうぃーっす!」

手紙の主は、あまりモテそうではない、
頭もよろしそうではない男子生徒だった。


長門「あなたが手紙を?」

谷口「ああ、長門さんに告白しようと思ってな!」

親指を立てて、何故かカメラ目線で自信満々にポーズをとる男子生徒。

谷口「長門さん、俺と付きあっ……」

長門「おことわり」


それだけ言ってUターンし、屋上から去る長門さん。
理想の高い長門さんには、彼のような男は眼中に無いらしい。


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 11:07:52.38 ID:hpYP8KG90


谷口「あの、長門さんが俺に惚れてるけど言い出せないから、
   俺から告白するシーンを撮るとかって……
   なんか話が違うんですけど……」

D「なんの話? そんな事誰が言ったの?」

谷口「ええと……ADさんだったと思うんですけど……
   俳優としてスカウトしたいとか……」

D「それホントにうちの関係者? よく居るんだよねー、
  芸能界に入りたくてそういうウソつく素人さん。
  じゃあ撮影あるんでこれで。
  あ、君の顔テレビ向きじゃないからモザイク掛けとくから。じゃ!」

谷口「あの…………ちょっとーー!!」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 11:12:14.09 ID:hpYP8KG90


教室には、クラスメイトと机をくっつけて
仲良くお昼ごはんを食べる長門さん。
実に微笑ましい光景だ。


長門「……」

女子生徒A「……」

女子生徒B「……」

女子生徒C「……」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 11:13:16.15 ID:hpYP8KG90


D「ねえ、おかずを交換してる絵が撮りたいんでやってくれる?」


長門「……」

女子生徒A「あ、あの! あたしのエビフライどうぞ!
     あたしお返しいらないんで!」

女子生徒B「わた、私のミートボールもよかったら!」

女子生徒C「玉子焼き……た、た、食べます……?」

長門「感謝する」


長門さんはクラスの人気者だ。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 11:16:17.22 ID:hpYP8KG90


放課後、彼女は部室に向かう。
長門さんは文芸部の部長を務める、読書家だ。


D「はい? SOS団? ちょっと意味わからないんで
 文芸部って事でお願いします」

キョン「まあ、この団の活動を公共の電波に乗せるのは
    色々とマズいんでそれがいいかと……」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 11:17:47.35 ID:hpYP8KG90


D「みんなで本読んでるとか面白くないんで、
 小説かなんか書いてもらえます? フリでいいんで」

みくる「あのぅ……わたし絵本のほうがぁ……」


部員達が創作活動に勤しむ中、この静かな文芸部に突如
招かれざる客がやってきた。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 11:19:14.78 ID:hpYP8KG90


Hさん「チョット! 何勝手ニ撮影シテンノヨ!
    アタシノ許可無シでゲリラ撮影ナンテイイ度胸ジャナイ!」

※プライバシー保護のため映像と音声を処理しています。

彼女は精神に病を抱える生徒、Hさん(仮名)
時折文芸部室に現れては、意味不明な事を喚き続けると言う。



Hさん「アンタタチ何処のテレビ局? [ピー!]団ヲ紹介スルナラ
   モチロンゴールデンノ5時間特番ヨネ? ナレーションハ森本レオガイイワ!
   トコロデギャラハ幾ラ? マサカタダデ撮リ逃ゲシヨウナンテ
   思ッテナイワヨネ? BPOニ駆ケ込ンデ、プライバシーヲ
   侵害サレタッテチクリニイクワヨ!」


精神病のHさんを追い出さず、見守ってあげる長門さんの優しさ。
それが彼女の人気の秘訣なのだと感じた。

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 11:24:39.71 ID:hpYP8KG90


D「あの、涼宮さんはピンで別撮りしたいんです。
 グラウンドを走ってる絵を撮りますんで」


ハルヒ「それ、何のシーンよ?」


D「思春期の葛藤を発散するためにずっとグラウンドを
 走る感動のシーンです。我々が良いというまで走り続けて
 もらえますか? いい番組を作るためにご協力を!」


ハルヒ「なんか青臭いシナリオだけど、まあいいわ。
    やっぱヤラセって重要だものね」


D「ええそうなんですよ。涼宮さんは実に業界向きです。
 あ、カメラなんですが、見えたら気が散ると思うんで、
 望遠レンズでとおーーくの方から撮りますんで」


ハルヒ「わかったわ。いい絵を撮らないと承知しないからね!」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 11:29:01.81 ID:hpYP8KG90


やがて部活が終わり、仲間たちと下校する長門さん。


D「長門さんの仲の良い男の子って誰ですか?」

長門「彼」

D「……ええと、あれはちょっとテレビ向きじゃないんで」

キョン「何か用か? 長門」

D「あいえ、何の用もありません! ええと……
 古泉くんだっけ、ちょっといいかな?

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 11:34:22.07 ID:hpYP8KG90


古泉「なんですか?」

D「長門さんと手を繋いで一緒に帰ってもらえる?」

古泉「……それには何の意味があるんでしょう?」

D「いいから、演出だよ演出! やってよ」


長門「……」

古泉「……は、はは……」

彼氏と恥ずかしそうに手を繋ぐ長門さん。
普段は内気な彼女も、彼氏には甘えん坊だ。



キョン「ところで、ハルヒはなんでずっとグランド走ってるんですか?」

みくる「さあ……? もう二時間以上走ってますけど疲れないんでしょうか……」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 11:40:28.84 ID:hpYP8KG90

>>51
素晴らしく不評だったこれが。
主人公は○本寛だけど。


ドキュメント 〜『涼宮ハルヒの憂鬱』 その舞台裏に迫る〜
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1254704508/

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 11:41:19.67 ID:hpYP8KG90


彼氏と別れたあと、長門さんはまたいきつけのコンビニへと足を運ぶ。
夕飯のお弁当を買うらしい。


長門「デカ盛りタルタルのり弁当が無い……」

長門さんのコンビニ弁当へのこだわりは強い。


長門「……」

店員「……」

長門「……」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 11:42:30.61 ID:hpYP8KG90


店員「あの、何か……?」

長門「デカ盛りタルタルのり弁当」

店員「あ、あの……それが……?」

長門「デカ盛りタルタルのり弁当。ない?」

店員「い、今売り切れてまして……」

長門「そう」

店員「す、すいません……」

長門「……」

店員「……あ、あの……?」


57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 11:45:12.87 ID:hpYP8KG90


長門「デカ盛りタルタルのり弁当」

店員「ひっ!!」

長門「多めに仕入れてくれると嬉しい」

店員「は、ははい! 善処しますっ!」

長門「……」

店員「……」

長門「……」

店員「ええと、まだ何か……」

長門「……ファミチキ」

店員「すすす、すぐ揚げますぅ!!」


このコンビニは、アルバイト店員の入れ替わりが激しいという。


66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 11:53:51.57 ID:hpYP8KG90


お弁当とフライドチキンをぶら下げた
長門さんは、自宅の高級マンションに帰宅する。

D「このマンション家賃高いでしょ? 親が払ってるんですか?」

長門「ここは分譲」

D「え、じゃあ買ってもらったんですか?」

長門「それに近い」

D「じゃあ長門さんって、生活費も親が出してるの?」


68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 11:56:30.40 ID:hpYP8KG90


長門「この国の通貨は、有機情報素子を分子結合し
   構成して使用している」

D「はい? よくわからないんですが……」

長門「お金を作っている」

D「…………」

長門「生活する分には不自由ない」

D「あの、それテレビで流せないんですけど……」


74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 12:02:03.24 ID:hpYP8KG90


一人暮らしの長門さんは、生活費をアルバイトで稼いでいる。
彼女は今日もアルバイト先のコンビニに向かう。


店員「もう辞めさせてくださぁ〜い!」

店長「こ、困るよぉ。ファミチキ閣下も慣れたらあんまり怖くないって!」

店員「無理ですよぉ……めちゃめちゃ怖いですって……」


D「あのー、お取り込み中すいません」

店長「あはい、なんでしょう」

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 12:06:20.67 ID:hpYP8KG90


D「ちょっとテレビの撮影で、演出ってことで
 役者さんにここでバイトしてもらう絵が撮りたいんですけど」

店長「え、撮影ですか? そういうのは……」

D「頼みます! お店の宣伝になりますよ!
 店長さん、社長賞とかもらっちゃうんじゃないですか?」

店長「うーん。まあじゃあ、いいですよ」

D「どーもどーもありがとうございます!
 長門さーん、入ってきてくださーい」


長門「…………」


店長「ぎゃああああああああああ!!」
店員「ぎゃああああああああああ!!」

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 12:11:29.15 ID:hpYP8KG90


コンビニの制服がよく似合う長門さんは、
今日も一生懸命に働く。


キョン「サンデーとじゃがりこ、と。
    シャミセンのエサも買っていくか」

長門「725円」

キョン「…………」

長門「725円」

キョン「あ、はい……」

長門「またの来店を」

キョン「…………」

キョン「……見間違いだよな?
    いや、きっとそうだ。忘れよう……」


84 名前:>>70 そうだよ >>81 http://www.vipss.net/haruhi/1254479339.html[] 投稿日:2009/10/12(月) 12:17:29.82 ID:hpYP8KG90


客「あのー」

長門「……」

客「あのーーーー」

長門「なに?」

客「ファミチキないんすか?」

長門「売り切れ」

客「作ってくれます?」

長門「売り切れ」

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 12:19:17.38 ID:hpYP8KG90


客「いつも言ったら作ってくれるけど?」

長門「わかった」

客「じゃ、出来たら言ってくださいよ」

長門「……」

客「二人寄り添ってある〜いて♪ 永久の愛を形に〜して♪」

長門「……」

客「あのー、まだすか?」

長門「まだ」

客「…………」

長門「……」

客「あのー!」

長門「できた」


88 名前:>>85 http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1254821927/[] 投稿日:2009/10/12(月) 12:22:15.21 ID:hpYP8KG90


客「やっとかよ……あー揚げたて早く食いてえ」

長門「160円」

客「…………」

長門「160円」

客「これ、真っ黒だけどなんすか?」

長門「これは、ファミチキ」

客「…………」

長門「160円」

客「いや、こんなの食べられないでしょ……
  作り直してよ……」


90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 12:25:50.99 ID:hpYP8KG90


長門「これは、ファミチキ」

客「いやあの……」

長門「160円」

客「あの……」

長門「160円」

客「……は、はい160円ですね!
  よ、よくみたらおいしそうだなあ……はは……」

長門「またの来店を」

客「うう……」


長門さんのバイトするこのコンビニ店は、
その後客足が遠のき閉店したという。
長引く不況の爪あとが、こんな地域に密着したコンビニにも表れている。

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 12:36:47.86 ID:hpYP8KG90


バイトを追え、帰宅する長門さん。
労働の充実感でいっぱいだ。

長門「……」

長門「……」

長門「……」

D「あの長門さん、いつもこんな風にずっと本読んでるんですか?

長門「そう」

D「それじゃテレビ的に絵にならないんで……」

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 12:41:35.84 ID:hpYP8KG90


愛する彼氏への電話は、長門さんの日課だ。


長門「……」

古泉「もしもし、長門さんですか?」

長門「そう」

古泉「どうされました?」

D「(ラブコール!)

長門「ラブコール」

古泉「はい……?」

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 12:45:08.24 ID:hpYP8KG90


D「(アイウォンチュー!)」

長門「アイウォンチュー」

古泉「……あの、暗号か何かでしょうか?」

D「(あたしのハートに火を付けて!)」

長門「あたしのハートに火を付けて」

古泉「長門さん? 火が付いてるんですか?」

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 12:47:18.26 ID:hpYP8KG90


D「(いやんそこはダメ! あたし壊れちゃう!)」

長門「いやんそこはダメあたし壊れちゃう」

古泉「壊れる……? 危機的状況なんですね?
   すぐ向かいますので持ちこたえてください!」

D「(早くあたしをメロメロにして〜!)」

長門「電話が切れた」

D「まあ今のシーンでOKですよ」


106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 12:56:20.36 ID:hpYP8KG90


友人たちに慕われる長門さんの家には、
夜遅くなっても人が集まる。


キョン「長門、大丈夫か!」

古泉「長門さん! 一体何が!?」

長門「そろそろ入浴して寝ようと思っていた」

みくる「ふぇ……?」


107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 12:57:07.11 ID:hpYP8KG90


古泉「なるほど、そういうことだったんですか」

キョン「ヤラセにも程があるだろうに」

みくる「ですよぉ。長門さんが大変な目に合ってるのかと……」

D「まあその、演出ってやつですよ。ははは!」

キョン「ま、せっかくだからちょっと遊んでいくか。
    明日は休みだしよ。長門が迷惑じゃなかったらだが」

長門「私は構わない」

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 13:01:50.34 ID:hpYP8KG90


みくる「じゃあ、涼宮さんも呼びませんか?
    あたしたちだけ遊んでるのもなんですし」

古泉「それは名案ですね」

長門「それがいい」

キョン「じゃ、電話してみるか。多分まだ寝てないだろう
    ハルヒを呼んでもいいですよね? ディレクターさん」

D「ハルヒ……どこかで聞いたような……まあいいや。
 人数多い方が絵になるんでじゃんじゃん呼んでください!」


長門さんの家にはどんどん人が集まる。
大勢で楽しく過ごすのが好きだと、長門さんは言う。

113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 13:07:32.07 ID:hpYP8KG90


ハルヒ「はー、はー、はー疲れた……」

キョン「おうハルヒ。遅い時間に呼んで悪いな。
    てか、なんでそんなに息切らしてるんだ?」

ハルヒ「はー、はー、あのディレクターのオッサンに、
    まんまと騙されたわよ……はー、はー、」

D「げ…………」

キョン「ディレクター? ならここに……」

D「あの、時間も遅いので私たちそろそろ帰り……」

ハルヒ「あら、居たのあんた……はー、はー、
    なかなか面白いことしてくれるじゃない? はー、はー……」

D「その……涼宮さんのおかげで……バッチリいい絵が…………」


114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 13:12:35.61 ID:hpYP8KG90


友人たちと夜の公園でのんびり過ごす長門さん。


ハルヒ「ちょっと! ペース落ちてきたわよ!
    あと997周! 1000周するまでに一回でも
    立ち止まったら最初からよ! ほらちゃっちゃと走る!」

D「ぜぇ……ぜぇ……もう勘弁……してください……ぜぇ……」


キョン「ま、自業自得だな」

長門「そう、自業自得」



友人たちとの楽しい夜が更けていく。
こうして長門さんの充実した一日が終わる。

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 13:21:48.88 ID:hpYP8KG90


P「…………」

D「どうですかプロデューサー! いい出来でしょう?」

P「てめえ岡本、何年この業界でやってんだあ?
  お前ADに戻りたいのか? ああん?」

D「いでっ! いたた……あの、何か御気に召さないところが……?」

P「全部だよ全部! おい、こんなんで数字取れると思ってんのかてめえコラ!
 一般人のつまんねー日常風景なんて誰が見るんだ?」

D「ひいいっ! あ、いやその、長門さんは宇宙人ですので、
  宇宙人の日常をですね……」

120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 13:23:24.51 ID:hpYP8KG90



P「あ? どこが宇宙人なんだ? 宇宙のうの字も出てきたか? コラ。
 あーもういいや、俺がホン書いてやっからその通りにしろ」

D「は、はい……仰せのままに……」

P「でよ、うちの局が大プッシュしてる、ウルトラマンモス2世あるだろ」

D「は、はい……開局何周年だか記念番組の……」


121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 13:25:24.31 ID:hpYP8KG90




P「あれの宣伝するようにスポンサーから言われってから、
 中でそれ重点的に押せよ? わかったな?」

D「え、いやあの、ドキュメンタリーですので……それは……」

P「なんか文句あんの? バイトに戻るか? それともホームレスがいいか?
  お前は俺の言うとおり作ればいいんだよ、わかる?」

D「はははははははいいいい!! 仰せのままにーーーー!!」

124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 13:31:12.15 ID:hpYP8KG90


ハルヒ「いよいよ始まるわね! 有希の番組!」

キョン「ずいぶん長い事撮影してたみたいだが、やっとだな」

みくる「楽しみですねぇ〜。あたし変な風に映ってないかな……」

ハルヒ「5時間スペシャルじゃないのが残念だけど、まあSOS団の宣伝になるからいいわ!」

キョン「SOS団は無かった事にされてる気がするが」

古泉「それにしても長門さん、撮影お疲れ様です」

長門「…………」

キョン「どうした長門、元気ないな」

長門「……見れば……わかる」


ハルヒ「ほら、始まるわよ!!」

126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 13:43:21.59 ID:hpYP8KG90


           ドキュメント2009
          〜宇宙探偵長門有希の激闘〜


この少女、長門有希は宇宙探偵である!
彼女は日夜地球にはびこる宇宙からの侵略者と戦っている!

ネズミ怪人「はっはっはー! この娘を返してほしければ
      武器を捨てろ長門有希!」

女の子「きゃーたすけて長門有希ー!」

長門「卑怯なりネズミ怪人」

129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 13:45:59.54 ID:hpYP8KG90


女の子の命には返られない! 正義の長門有希は武器を捨てた!

ネズミ怪人「ひっかっかったな長門有希! 娘は血祭りだー!」

女の子「きゃー! やめてー!」

長門「しまった女の子が危ない」

ウルトラ「とうっ!」

ネズミ怪人「ぐわっ! な、なにものだ!」

そのとき、正義のヒーローウルトラマンモス2世が
颯爽と現れ、女の子と長門有希のピンチを救う!

ウルトラ「私の名はウルトラマンモス2世!
     卑劣な怪人め! 成敗する!」

131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 13:48:13.12 ID:hpYP8KG90


長門「がんばってウルトラマンモス2世」

ウルトラ「マンモススペクタクルソーーード!!」

ネズミ怪人「ギャーーーーーー!」

ウルトラマンモス2世の必殺武器、マンモススペクタクルソードにより
悪のネズミ怪人は滅び去った!

長門「さすがマンモススペクタクルソード。
   あの武器は商品化もされていて良い子のみんながきっと欲しがる。
   バンタイより3980円で発売中対象年齢3歳以上。
   全国のおもちゃ屋とバンタイウェブで取り扱っている」

ウルトラ「ではさらばだ! また会おう! とうっ!」

この時より、無敵のヒーローウルトラマンモス2世は
長門有希の憧れのヒーローとなったのだ!

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 13:53:25.81 ID:hpYP8KG90


ある時、宇宙探偵長門有希は、孤島の洋館で起こった
連続殺人事件に巻き込まれていた!

長門「ペロ……これは麻薬」

犯人が犯行に使用した薬物のひとつ、それは麻薬だった!

長門「他にも薬物がある」

長門「これも確かめる」


長門「ペロ……これは青酸カリ」

長門「これは死んでしまう」


なんと、それは犯人の仕掛けた罠だった!
長門有希は青酸カリを口にしてしまい死の危機に瀕する!

長門「これは死んでしまう。大変」

140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 14:01:16.86 ID:hpYP8KG90


ウルトラ「とーーう! 大丈夫か長門有希!」

しかしその時、長門有希のピンチを救いに現れたのは、
我らがヒーローウルトラマンモス2世だった!


長門「助けに来てくれたのウルトラマンモス2世」

ウルトラ「さあ、このマンモスエナジードリンクを飲むんだ!」

ウルトラマンモス2世が取り出したのは、マンモス星に伝わる秘薬、
マンモスエナジードリンクだった!

長門「それはマンモスエナジードリンク。
   これを飲めば青酸カリの毒もたちまち中和される元気の源。
   全国のコンビニエンスストアやドラッグストアで絶賛発売中。150円」

※実際の商品にはそのような効果はありません。


ウルトラ「助かってよかった! ではまたいつか会おう!」


ウルトラマンモス2世はまたしても長門有希を救ってくれた!
ありがとうウルトラマンモス2世!




141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 14:06:48.46 ID:hpYP8KG90


「9回裏2死走者無しの絶対絶命のピンチ!
 長門有希にはなす術も無い!しかしその時ウルトラマンモス2世……」

ハルヒ「……」

キョン「……」

みくる「……」

古泉「……」

長門「……」

「大事な商談にノートパソコンを忘れてしまった長門有希!
 取引先の顔色が曇ってくる! しかしその時ウルトラ……」




143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 14:10:43.14 ID:hpYP8KG90


ハルヒ「ゆ、有希、頑張ったじゃない……」

長門「……」

キョン「お、お前なかなかかっこいいぞ! な……?」

古泉「ええそれはもう……実に……いい番組です……」

長門「……」

みくる「すて、素敵です長門さん……」

長門「……」

キョン「あ、テレビ壊した……はは……」


146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 14:16:40.18 ID:hpYP8KG90



D「あ、長門さぁん。見てくれました?
 よかったでしょー番組! いやー、嫌な顔ひとつせず撮影頑張ってくれましたね!」

長門「……」

D「な、長門さん……?」




古泉「あの、例のテレビ局が更地になってたらしいんですが……」

キョン「……」



                                             糸冬




157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/12(月) 14:56:09.35 ID:hpYP8KG90

読んでくれてありがとう。



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