ハルヒ「キョン、あんた精子になりなさいよ!」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 00:02:34.78 ID:UbEq2mEv0

キョン「精子って何?」

ハルヒ「は?」

キョン「精子とは何かと聞いてる」

ハルヒ「マジで言ってんの?」

キョン「動くのをやめること?」

ハルヒ「それは静止」

キョン「学問としての歴史」

ハルヒ「それは正史」

キョン「馬鹿なことはやめろ!」

ハルヒ「それは制止」

キョン「デッドオアアライブ」

ハルヒ「それは生死」

キョン「紙を作ること」

ハルヒ「それは製紙」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 00:03:57.17 ID:UbEq2mEv0

キョン「神を作ること」

ハルヒ「それは私」

キョン「犬神家」

ハルヒ「それは横溝」

キョン「糸を作ること」

ハルヒ「それは製糸」

キョン「男性器で作られるもの」

ハルヒ「それは精子」

キョン「宣誓! 私たちはスポーツマンシップにのっとり!」

ハルヒ「それは誓詞」

キョン「じゃあ結局、お前の言う精子って何なんだよ!」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 00:06:08.84 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「棒状のものから出てくる白い液体が精子よ」

キョン「もしかしてお前が言ってるのは……」

ハルヒ「やっと分かってくれたのね!」

キョン「修正液か」

ハルヒ「どっから間違えた! どっから文房具の話にすり替わった! 」

キョン「何か頭が混乱してきた。もっと分かりやすく説明してくれ」

ハルヒ「オナニーするとチンコから出る奴よ」

キョン「ふっふっふ……。ついにその言葉を口にしたか」

ハルヒ「あんたまさか……!」

キョン「その通り! 今までの会話は全部録音させてもらっていた」

ハルヒ「私がオナニーやチンコという言葉を口にするのを待っていたのね! この卑怯者!」

キョン「おっと動くな! 動くと今の発言が学校裏サイトに流れるぞ!」

ハルヒ「くっ……ようつべとかニコニコとか言われるよりずっと生々しいわ」

キョン「流されたくなかったら、分かるな?」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 00:09:33.40 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「わ、私をどうする気!?」

キョン「俺のガマン汁でぐちゃぐちゃにしてやる!」

ハルヒ「……え?」

キョン「……え?」

ハルヒ「もしかしてあんた、精子ってガマン汁のことだと思ってたの?」

キョン「な、なわけねーだろ!」

ハルヒ「本当に?」

キョン「ったりめーじゃん! 精子知らない奴なんかいるわけねーし!」

ハルヒ「じゃあ何なのか言ってみなさいよ」

キョン「だから……オナニーするとチンコから出てくる白い液体のことだろ?」

ハルヒ「言っておくけど、ガマン汁とは別物よ?」

キョン「んなの言われなくても知ってるし!」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 00:10:32.17 ID:UbEq2mEv0

古泉「こんにちは」

ハルヒ「あ、古泉君聞いてよ! キョンの馬鹿ったら、精子が何なのか知らないのよ!」

キョン「ちげえっつってんだろ!」

ハルヒ「負け惜しみ言っちゃって、かーわいー」

古泉「失礼ですが」

ハルヒ「何? 古泉君」

古泉「精子とは何ですか?」

ハルヒ「……え?」

古泉「精子とは何ですか?」

ハルヒ「あ、そうか。キョンをからかってるのね?」

古泉「精子とは何ですか?」

ハルヒ「本気で言ってるの?」

古泉「本気です。精子とは何ですか?」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 00:12:20.50 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「何? 私の方がおかしいの?」

古泉「もしかして血判状のことですか?」

ハルヒ「それは誓紙」

古泉「館シリーズですか?」

ハルヒ「それは中村」

古泉「陶器の一種ですか?」

ハルヒ「それは青磁」

古泉「男の人がオナニーすると出る」

ハルヒ「それは精子」

古泉「鳩もしくは宇宙人」

ハルヒ「それは政治」

古泉「庭仕事」

ハルヒ「それは整枝」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 00:15:04.50 ID:UbEq2mEv0

古泉「瞑想」

ハルヒ「それは静思」

古泉「まっすぐに見つめる」

ハルヒ「それは正視」

古泉「では、結局、精子とは何なのですか?」

ハルヒ「どうやら、本当に知らないみたいね……」

古泉「ちなみに、あなたにお聞きしますが、精子とは何ですか」

キョン「オナニーするとチンコから出てくる白い液体のことだろ?」

ハルヒ「それ、私が言った奴そのままじゃん」

古泉「……ああ、なるほど」

ハルヒ「やっと分かってくれたのね!」

古泉「おしっこですね」

ハルヒ「白くないじゃん! 黄色いじゃん!」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 00:17:39.88 ID:UbEq2mEv0

みくる「こんにちは〜。遅くなってすみません」

ハルヒ「あ、みくるちゃんいいところに!」

みくる「何ですか〜?」

ハルヒ「この男ども、精子を知らないって言うのよ! みくるちゃんから教えてあげてよ!」

みくる「ええ〜、恥ずかしいですぅ」

キョン「古泉も教えて欲しいって言ってるし、ど〜んと言っちゃってください!」

ハルヒ「あんたは自分が知りたいだけでしょ……」

古泉「いえ、僕からもお願いします」

みくる「そこまで言うなら、分かりました……」

ハルヒ「さすがみくるちゃん!」

みくる「時の部屋のことですよね?」

ハルヒ「誰もドラゴンボールの話してないし! っていうかだんだん苦しくなってきたし!」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 00:20:00.59 ID:UbEq2mEv0

みくる「側室じゃない……」

ハルヒ「それは正室」

みくる「水のような喉越し」

ハルヒ「それは清酒」

みくる「ロシアとか北朝鮮」

ハルヒ「それは静粛」

みくる「あの夕日に向かって」

ハルヒ「それは青春」

みくる「世界一売れた本」

ハルヒ「それは聖書」

みくる「お父さんとお母さんが私を」

ハルヒ「それは生殖」

みくる「育成」

ハルヒ「それは青少年」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 00:22:11.61 ID:UbEq2mEv0

みくる「二十歳」

ハルヒ「それは成人式」

みくる「海賊版じゃない」

ハルヒ「それは正式」

みくる「誠死ね」

ハルヒ「それは誠実」

みくる「アメリカ」

ハルヒ「それは星条旗」

みくる「空気」

ハルヒ「それは清浄機」

みくる「受精卵」

ハルヒ「それは精子」

みくる「派遣じゃない」

ハルヒ「それは正社員」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 00:25:25.04 ID:UbEq2mEv0

みくる「結局精子って何なんですか?」

ハルヒ「卵子は分かる?」

みくる「分かります」

ハルヒ「受精卵も分かるわよね? 卵子が受精卵になるには何が必要?」

みくる「コウノトリです」

ハルヒ「え?」

みくる「卵子が受精卵になるには、コウノトリに卵子を子宮から取り出してもらうんです」

キョン「コウノトリはその卵子を巣に運ぶ」

古泉「そしてコウノトリが愛情を込めて育てると受精卵になります」

みくる「さらに育てると胎児になります」

キョン「充分に育つとやがて赤ちゃんになる」

古泉「すると、コウノトリがお母さんのところへ運んできてくれるのです」

ハルヒ「……あんた達、マジで言ってるの?」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 00:27:43.93 ID:UbEq2mEv0

キョン「ハルヒの方こそ、さっきから何言ってるんだ?」

みくる「涼宮さん、何だかおかしいです……」

ハルヒ「お、おかしくなんかないわよ! おかしいのはあんた達の方でしょ!?」

古泉「参考までにお窺いしたいのですが、涼宮さんは今まで、どうやったら卵子が受精卵になると思っていたのですか?」

ハルヒ「男の人から発射された精子が女の人の子宮の中で卵子と結びつくと受精卵になるのよ」

みくる「初めて聞きました……」

キョン「何か気持ち悪いな……」

古泉「それはどこの地方の迷信ですか?」

ハルヒ「いったい何なの!? あんた達、みんなしてグルになって私をからかってるんでしょ!?」

みくる「涼宮さん、落ち着いてください。今、気分が落ち着くハーブティー入れますから……」

キョン「なあハルヒ、勘違いってのは誰にでもあるんだから、そんなにムキになることないぞ?」

古泉「そうですよ。僕だって昔は、サンタクロースを信じていましたからね」

キョン「俺はそんな想像上の赤福じいさん、最初から信じちゃいなかったがな」

古泉「空気読んでください」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 00:30:20.38 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「オナニーは分かるでしょ!? エロいこと考えながらチンコをしごく奴!」

キョン「それくらい分かる。馬鹿にするな」

ハルヒ「古泉君もオナニーする?」

古泉「毎日ではありませんが……」

ハルヒ「チンコはちゃんと硬くて大きくなる!?」

古泉「なりますよ」

ハルヒ「勃起してる状態のことよ!? 本当に分かってるの!?」

古泉「分かってますよ」

ハルヒ「硬くて大きくなったチンコをしごいてたらどうなるの!?」

古泉「ガマン汁が出ます」

ハルヒ「ガマン汁以外には!?」

古泉「おしっこしたくなります」

ハルヒ「それはさっき聞いた! 何で繰り返すの!」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 00:48:45.07 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「キョンはどうなの! チンコからおしっことガマン汁以外に何か出ないの!?」

キョン「え……朝比奈さんの前で言うのは恥ずかしいんだが」

ハルヒ「みくるちゃんならお茶を淹れるのに夢中になってるから大丈夫よ! ガマン汁とおしっこ以外に出るのは何!?」

キョン「……ス」

ハルヒ「聞こえない! そんなんじゃ君の気持ち全然届かないよ! もっと大きな声で!」

キョン「チンカス!」

ハルヒ「……は?」

キョン「たまにチンカスが出る」

ハルヒ「でも、チンカスは個体でしょ?」

キョン「ところがどっこい、たまに液体のチンカスもあるんだ」

ハルヒ「古泉君、それは本当なの?」

古泉「個人差はありますが、水っぽいチンカスが出ることはありますね」

ハルヒ「……そうなんだ。知らなかったわ」

キョン「な? 分かっただろ? 誰にでも知らないことはあるんだ。お前がコウノトリのことを知らなくてもおかしくない」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 00:50:34.84 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「でも、私、今までずっと、男の人とセックスしたら赤ちゃんができるって思ってたのに……」

古泉「コウノトリさえいなければ赤ちゃんはできませんよ」

キョン「何なら、試しに今からセックスしてみるか? そうすれば、お前と俺達と、どっちが正しいのか分かるだろ?」

ハルヒ「それが目的なのね!?」

キョン「は?」

ハルヒ「私を騙してセックスするのが目的何でしょう!」

キョン「何でそんな回りくどいことしないといけないの?」

ハルヒ「何でって……」

キョン「お前とセックスするために俺と古泉と朝比奈さんがグルになってる? 被害妄想もいい加減にしろよ」

ハルヒ「でも……」

みくる「お茶が入りましたよ。これ飲んで落ち着いてください」

ハルヒ「じゃあ何なの? 本当に、セックスしても赤ちゃんはできないの?」

キョン「できないよ。例えば、俺と古泉がセックスしても赤ちゃんはできない」

ハルヒ「それは分かるわ」

キョン「同じように、俺と朝比奈さんがセックスしても赤ちゃんはできない」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 00:51:58.54 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「全然同じじゃないわよ! いつからそんなことになったの?」

みくる「いつからも何も、ずーっと昔からですよ」

古泉「僕達もコウノトリのおかげで、こうやって生まれてくることができたんです」

ハルヒ「私も?」

キョン「もちろん」

ハルヒ「ちょっと待って。ということは、コウノトリが絶滅したら、私たち人類も絶滅しちゃうんじゃないの?」

キョン「もちろん」

ハルヒ「ってことは、人類はコウノトリに支配されてるも同然じゃない」

古泉「支配だなんて、とんでもない」

みくる「これは共生ですよ」

ハルヒ「共生?」

キョン「細胞内に寄生するミトコンドリアがなければ、人は生きていけない」

古泉「大腸菌がなければ栄養を消化できません」

みくる「コウノトリも同じなんですよ」

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 00:56:21.93 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「なるほど……って、ちょっと待って! 騙されないわよ!」

キョン「まだ納得できないのか?」

ハルヒ「共生ということは、ミトコンドリアや大腸菌が人間を助ける代わりに栄養をもらっているのと同じように、人間は生殖を助けてもらう代わりにコウノトリにも栄養を与えてるってことになるんじゃないの?」

キョン「何を今さら」

ハルヒ「今さらって……まさか、そんな。嘘よ」

古泉「コウノトリは人間の赤ちゃんを作る代わりに」

ハルヒ「いやああああああっ! 聞きたくない!」

みくる「人間の肉を食べているんです」

ハルヒ「嘘よ! 私は絶対に騙されないからね!」

キョン「大きな声出すなよ」

古泉「コウノトリが人間の肉を食べると言っても、別に人間を殺すわけではありませんよ」

みくる「ちょうそうするだけです」

ハルヒ「鳥葬?」

みくる「そうです。この世は食物連鎖でなりたっていますから」

ハルヒ「鳥葬なんて、野蛮人のやることよ!」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 00:58:09.82 ID:UbEq2mEv0

みくる「例えば土葬にしたって、コウノトリの代わりに微生物が人間を食べるだけですよ? 人類にとって役に立たない存在に肉を食べさせる方がよっぽど野蛮なんじゃないですか?」

ハルヒ「でも……そうだ! 有希は? 有希なら私に味方してくれるはずだわ!」

キョン「長門は用事があって、今日は来られないそうだ」

ハルヒ「用事って何よ」

キョン「俺が知るか」

ハルヒ「とにかく、三人がグルになってないって証明できない限り、私は信じない!」

キョン「俺達以外の第三者の意見があれば信じるのか?」

ハルヒ「まあ……そうね」

キョン「じゃあ、誰にでもいいから電話して聞いてみろよ」



37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 00:59:56.36 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「あ……朝倉涼子?」

朝倉「あら涼宮さん。珍しいわね。どうしたの?」

ハルヒ「変なこと聞くけど、赤ちゃんってどうやったらできるの?」

朝倉「それはね、コウノトリが



ハルヒ「赤ちゃんってどうやったらできるの?」

谷口「いきなり変なこと聞くな。コウノト


キョン「……もう満足か?」

ハルヒ「今日ってエイプリルフールじゃないわよね? 何なの? 本当に私がおかしいの? ……そうだ!」

キョン「何だ?」

ハルヒ「どうして気づかなかったのかしら。インターネットで調べればいいのよ。せ、い、し……精子、っと」

みくる「……ヒットしませんね」

ハルヒ「ヤ、ヤフーだったから駄目だったのよ。今度はグーグルで……」

古泉「やっぱり駄目ですね」

キョン「逆にコウノトリで検索するとたくさん出てくるな」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 01:02:40.80 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「もうやだ……。で、でも、子供を作るのが目的じゃないなら何のためにセックスするの?」

キョン「オナニーと一緒。楽しむため」

ハルヒ「コンドームをつけるのは?」

キョン「性感染症を防ぐため」

ハルヒ「卵子とコウノトリだけで赤ちゃん作れるんなら、男はいらなくない?」

古泉「生物の戦略としては間違ってませんよ。蜂とか蟻とか……。子孫を残すことのできない個体も必要なのです」

ハルヒ「お父さんと私は血が繋がってないの?」

みくる「涼宮さんだけじゃありませんよ。みんなそうなんです」

ハルヒ「私とキョンの遺伝子が混ざった子供を作ることもできないの?」

キョン「何だそれ。そういう発想が気持ち悪いな」

ハルヒ「……もう、いらない」

キョン「は?」

ハルヒ「こんな世界、もういらない」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 01:04:35.53 ID:UbEq2mEv0






ハルヒ「キョン、あんた精子になりなさいよ!」

キョン「断る。だったらお前は卵子になれ」

ハルヒ「……あんた、精子が何か分かるの?」

キョン「は? 当たり前だろう?」

ハルヒ「念のために言うけど、精子っていうのは修正液でもガマン汁でもないわよ?」

キョン「それくらい知ってる」

ハルヒ「赤ちゃんはコウノトリが運んでくるって言ったら信じる?」

キョン「信じるわけないだろ。馬鹿かお前は」

ハルヒ「うふふ……そうよね、馬鹿みたい」

キョン「全く。何が楽しいんだか。赤ちゃんっていうのは豚の腹で作るんだよ」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 01:06:09.14 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「……は?」

キョン「どうかしたか?」

ハルヒ「今、豚って言った?」

キョン「言った」

ハルヒ「ごめん。赤ちゃんの作り方を詳しく教えて」

キョン「保健体育で習っただろう? 男女の身体から取り出した精子と卵子を受精させて、豚の腹で培養するんだよ」

ハルヒ「人間と豚は共生している、とか言い出さない?」

キョン「は? 豚は豚だ」

ハルヒ「人間が豚に食べられることもない?」

キョン「あり得ない」

ハルヒ「オナニーしたら精子出る?」

キョン「出るよ」

ハルヒ「私とセックスしたい?」

キョン「セックスって何?」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 01:11:31.29 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「は?」

キョン「セックスとは何かと聞いている」

ハルヒ「男女が絡み合って赤ちゃん作ることよ」

キョン「男同士じゃ駄目なのか?」

ハルヒ「別に男同士でもいいけど……」

キョン「×印のこと?」

ハルヒ「それはエックス。その流れはもう飽きた」

キョン「初めてなんだが?」

ハルヒ「そうか。あんたは初めてなのね。でも、私は二回目なの」

キョン「何を言ってるのかさっぱり分からん」

ハルヒ「あんたは何人目のキョンなのかしら。……ねえ、この私の身体は、豚の肉でできてるの?」

キョン「十数年間細胞分裂を繰り返したから、もう殆ど豚の肉は残ってないはずだけど」

ハルヒ「でも、脳細胞は豚の肉なんでしょうね」

キョン「そうだろうな。俺は詳しくないけど、脳細胞は細胞分裂しないと聞いたことがあるから」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 01:14:42.29 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「じゃあ、私の今の気持ちも思考、豚の肉が作り出したものなのね」

キョン「そういうことになるな」

ハルヒ「いま悲しんでいる私も、キョンに対する私の気持ちも、豚の肉が作り出した幻想に過ぎないのね」

キョン「そうだけど、それはみんな同じじゃないか。俺もお前も朝比奈さんも古泉も谷口も国木田も、みんな豚の肉でできてるんだ」

ハルヒ「私はそんなの耐えられないの」

キョン「お前は豚を食べないのか?」

ハルヒ「食べるわ。でも、それは消化しているから、豚から生まれたのとは違うわ。消化して、分子レベルで組み替えているんだもの」

キョン「豚から生まれたけど、お前は人間だ。それは遺伝子が決めたことなんだ」

ハルヒ「じゃあ、人間の腹から生まれた豚の遺伝子を持つ赤ちゃんは、豚なの? 人間なの?」

キョン「そんなことは起こり得ない」

ハルヒ「どうして?」

キョン「人間のお腹で人間の赤ちゃんを育てることはできないからさ」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 01:17:39.36 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「いつからそうなったの?」

キョン「大昔からだ」

ハルヒ「そんなはずないわ。昔はそんな技術はなかったはずよ」

キョン「だから、昔は受精卵を作らずに直接豚に射精していたんだ」

ハルヒ「それで生まれてくるのは人間なの?」

キョン「人間だよ」

ハルヒ「人間の男と豚の雌だけで赤ちゃんを作れるなら、人間の女はいらないじゃない。さっきと逆パターンね」

キョン「さっきって?」

ハルヒ「あなたには言っても分からないと思うわ。でも、さっきの世界では、少なくとも人間とコウノトリは共生していたわ」

キョン「さっきの世界?」

ハルヒ「あなたは知らなくていいの。この世界の人間は、ただ豚を利用しているだけ。まだ、共生していたさっきの世界の方がマシだわ」

キョン「豚は家畜だからしょうがないだろ。人間と同列に扱うことはできない」

ハルヒ「でも、あなたのお母さんも、豚なんでしょう?」

キョン「俺の母親は人間だ」

ハルヒ「その場合の母親は、卵子って意味よね?」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 01:21:29.25 ID:UbEq2mEv0

キョン「それ以外に母親という言葉の意味はないだろ?」

ハルヒ「あなたは、その卵子の母親に対して、どんな感情を抱いているの?」

キョン「ああ、俺の身体の半分はこの人の遺伝子でできてるんだな、って思う」

ハルヒ「あなたは人間のお母さんと一緒に暮らしてるの?」

キョン「暮らしてるよ」

ハルヒ「人間のお母さんのことが好き?」

キョン「好きだよ」

ハルヒ「じゃあ、豚のお母さんのことは?」

キョン「変なこと聞くな」

ハルヒ「答えてよ。豚のお母さんに対して、どんな感情を抱いているの?」

キョン「ああ、俺の身体はその豚の肉でできてるんだな、って思う」

ハルヒ「あなたは豚のお母さんと一緒に暮らしてるの?」

キョン「あいにく、俺は豚小屋には住んでいないからな。つまり、一緒に暮らしているわけがない」

ハルヒ「豚のお母さんのことが好き?」

キョン「何とも思っていない。豚は豚だ。他の豚と変わりはしない」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 01:25:28.05 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「豚のお母さんは、あなたを産んだ後どうなったの?」

キョン「死んだ。というか殺された」

ハルヒ「誰に」

キョン「食肉工場の人たちに」

ハルヒ「つまり、あなたのお母さんは、人間に食べられちゃったのね。人間であるあなたを産んだのに」

キョン「それはしょうがないことさ。出産は母体にかなりの負荷をかけるからな。同じ豚が何人も人間を産むことは法律で禁じられているんだ」

ハルヒ「それは、母体である豚のためではなく、胎児である人間のための法律よね」

キョン「そうだな」

ハルヒ「豚の人権はどうなるの?」

キョン「人権というのは、文字通り、人間のみに認められる権利のことだ。豚に人権はない」

ハルヒ「私には、キョンの子供を産むことはできないのね」

キョン「子供を産むことはできなくても、作ることはできるよ。人工授精で」

ハルヒ「私が言いたかったのは、そういうことじゃないの。……もういいわ。私はこの世界が嫌い。あなたも私も、大嫌い」

キョン「だから?」

ハルヒ「こんな世界、もういらない」

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 01:27:33.90 ID:UbEq2mEv0






ハルヒ「キョン、あんた精子になりなさいよ!」

キョン「いいよ」

ハルヒ「え?」

キョン「俺に精子になって欲しいんだろ?」

ハルヒ「確かにそう言ったけど……」

キョン「何なのお前。俺に精子になってほしくないのに精子になれって言ったの?」

ハルヒ「本気に受け取ると思わなかったから……」

キョン「何で本気に受け取らないと思ったのか分からない」

ハルヒ「あんた、精子になれるの?」

キョン「当たり前だろ」

ハルヒ「そう。当たり前なの。もう慣れたわ」

キョン「何に?」

ハルヒ「別にいいの。精子になるって、具体的にはどうするの?」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 01:29:47.57 ID:UbEq2mEv0

キョン「簡単さ。食べるだけでいいんだ」

ハルヒ「何を? コウノトリ? 豚を?」

キョン「どうしてコウノトリや豚が出てくるんだ? 俺とお前だけで完結してる話じゃないか」

ハルヒ「そう。私とあんただけで赤ちゃんを作れるのね。希望が出てきたわ。それで、あんたは何を食べるの?」

キョン「俺は何も食べないよ。食べるのはお前だけだ」

ハルヒ「私が? 何を食べるの?」

キョン「決まってるだろ。俺を食べるんだよ」

ハルヒ「ああ、なるほど。確かに、セックスすることを、食べる、と表現する人はいるわね。でも、普通は男の人が女の人を食べるって表現しない?」

キョン「え? 俺がお前を食べても、子供を作ることはできないだろ?」

ハルヒ「何か話が噛み合ってないわね。あんた、本当に子供作る気あるの?」

キョン「お前こそあるのか? さあ、早く俺を食べてくれ」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 01:31:27.00 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「さすがに、私も分かってきたわ。文字通りの意味で食べて欲しいのね? どこから食べればいいの?」

キョン「やっぱり、普通は足からだな」

ハルヒ「どうして?」

キョン「頭から遠い場所から食べた方が、長く楽しめるだろ?」

ハルヒ「痛くないの?」

キョン「さあ。精子になるのは初めてだから、痛いのか気持ちいいのか、あるいは両方なのか、俺にも分からない」

ハルヒ「あんたはそれで本当にいいの?」

キョン「いいんだよ。それが男の幸せなんだから。俺を選んでくれて嬉しいよ」

ハルヒ「つまり、この世界では、精子というのは男性の身体そのものなのね。そして女性はそれを食べることによって妊娠するのね」

キョン「その通りだ」

ハルヒ「それって、凄く非合理的じゃない?」

キョン「そんなことないさ。食べた肉を栄養にして赤ちゃんが生まれてくるんだから」

ハルヒ「まるでカマキリね」

キョン「カマキリって何?」

ハルヒ「知らないならいいの。結局、キョンは私とセックスしたら死ぬんでしょう? それでもいいの?」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 01:37:23.63 ID:UbEq2mEv0

キョン「それが男の幸せなんだ」

ハルヒ「男性全体の意見じゃなくて、キョン個人の意見が聞きたいの」

キョン「俺は、相手がハルヒでよかったよ」

ハルヒ「ああ、そうか。男の方には選ぶ権利がないのね。女の方が能動的だから」

キョン「それに、どうせ男は20歳になる前にみんな死んじゃうし、お前の中で新しい命に生まれ変われるのなら、怖くない」

ハルヒ「でも、キョンのご両親に、何て説明すれば……」

キョン「俺の父親は、もう死んだ。俺が生まれる前に」

ハルヒ「ああ、そうか。そうよね。私ったら馬鹿だったわ。ちょっと考えれば分かることだったのに」

キョン「俺も、父親の肉を糧として生まれてきたからな」

ハルヒ「キョンのお母さんは?」

キョン「早く孫の顔を私に見せなさい、ってうるさいよ。この高校の男子も、もう十人くらいしか残っていないからな」

ハルヒ「つまり、キョンは、自分が売れ残るんじゃないかって焦っているのね……」

キョン「正直に言うと、その通りだ。俺は売れ残りなんだ。早く、自分の生を全うしたい」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 01:39:47.82 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「つまり、相手は誰でもいいのね」

キョン「馬鹿! そんなわけないだろ。俺はハルヒが良かったから、他の女に誘われても断っていたんだ」

ハルヒ「男にも断る権利があるの?」

キョン「自分で選ぶ権利はないけど、断る権利くらいはある」

ハルヒ「私のこと、好き?」

キョン「好きだよ」

ハルヒ「私のこと、愛してる?」

キョン「愛してるよ」

ハルヒ「嬉しいわ。私も、この世界のキョンなら愛せそうだわ」

キョン「じゃあ、そろそろ始めようか」

ハルヒ「セックスを?」

キョン「そう。俺の人生で一度きりのセックスを」

ハルヒ「分かったわ。始めましょう。右足の指からでいい?」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 01:42:18.40 ID:UbEq2mEv0

キョン「どこからでも、好きなところから食べろ」

ハルヒ「じゃあ、早速、いただきます……。キョンって、脛だけじゃなくて足の指にも毛が生えているのね」

キョン「余計なことは言わなくていい」

ハルヒ「かぷっ」

キョン「おお……」

ハルヒ「ねえ、ちょっと」

キョン「何だ」

ハルヒ「この指、何か凄く硬いんだけど」

キョン「お前の歯なら簡単に噛み切れるさ」

ハルヒ「え? ……あ、本当だ。指で触ってみるまで気付かなかったわ」

キョン「長い時間をかけて、食べやすいように進化したんだよ」

ハルヒ「そうなんだ。……本当だ、意外と簡単に食いちぎれたわ」

キョン「俺の指、美味しいか?」

ハルヒ「ええ、とっても」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 01:45:25.79 ID:UbEq2mEv0

キョン「嬉しいよ……」

ハルヒ「痛くない?」

キョン「むしろ気持ちいい」

ハルヒ「そう。きっと、脳内麻薬が大量に分泌されて、痛みを快感に変換しているのね」

キョン「進化の結果だよ」

ハルヒ「そう。進化の結果ね。……気になったんだけど」

キョン「何?」

ハルヒ「どう見ても、私よりもキョンの方が体積大きくない?」

キョン「そりゃ男だから」

ハルヒ「私があんたを食べきるのは無理があるんじゃない? 何日もかけていいの?」

キョン「おいおい。俺を生殺しにするのはやめろよ」

ハルヒ「でも、一度じゃ食べきれないわ。他の人も食べ残して冷蔵庫に入れてるんじゃないかしら?」

キョン「昔は冷蔵庫なんてなかったんだから、腐らないうちに一度に食べていたはずだよ」

ハルヒ「どうやって食べきっていたのかしら」

キョン「食べられるように進化したんだよ」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 01:50:24.89 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「そう。進化したのよね。……何だか、嫌な予感がするわ」

キョン「おいおい。もう膝まで食べちゃったんだから、右足全部食べちゃってくれよ」

ハルヒ「その前に、確認したいことがあるの」

キョン「何を」

ハルヒ「鏡はない?」

キョン「どうして鏡を探してるんだ」

ハルヒ「自分の姿が気になるの。男の身体を噛み切ることができるように歯が進化したんなら、男の身体を納めることができる体型に進化しているはずだから」

キョン「鏡なんかいらない」

ハルヒ「どうして?」

キョン「俺が保障する。お前は綺麗だよ」

ハルヒ「本当に信じてもいいのかしら」

キョン「愛する男の言葉が信じられないのか?」

ハルヒ「愛する男の言葉だからこそ信じられないの」

キョン「どうして?」

ハルヒ「例えどんなに私が醜い姿であっても、綺麗だと言ってくれるでしょうから」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 01:54:13.40 ID:UbEq2mEv0

キョン「別に気にするなよ。これからお前は、妊婦になるんだし」

ハルヒ「そう。妊婦になるのよね。それも気になってるの」

キョン「何が」

ハルヒ「一度セックスするたびに男が死ぬんなら、最低でも二人以上は産まないと人口を維持できないでしょ? 新生児の男女比が1:1と仮定しての話だけど」

キョン「まあ、そうなるな」

ハルヒ「実際には病気や不慮の事故で死ぬ赤ちゃんも多いはずだから、犬や猫のように何人も産まないといけないんじゃない?」

キョン「当たり前だろ」

ハルヒ「ちなみに、キョンは何人兄弟だった?」

キョン「俺は12人兄弟だった」

ハルヒ「やっぱり……」

キョン「おい! だから途中でやめるなよ! もう両足食べたんだから、次は早く股間を食べてくれよ!」

ハルヒ「10人以上産めるように進化したのだとすると、私の姿は――」

キョン「早く食べてくれ! 途中でセックスをやめちゃいけないんだ! 脳内麻薬が切れてきた!」

ハルヒ「そうだわ。鏡がなくても、携帯電話のカメラを使えば――」

キョン「早く食べてくれ!」

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 01:57:53.70 ID:UbEq2mEv0






ハルヒ「キョン、あんた精子になりなさいよ!」

キョン「それは無理だけど、精子が欲しいならいくらでもあげるよ」

ハルヒ「え? どういう意味?」

キョン「だから、俺の精子が欲しいんだろ?」

ハルヒ「精子が何なのか分かってる? あんたはどういう意味で使ってるの?」

キョン「赤ちゃんを作るのに必要なもの。そして、男の快感が頂点に達したときに発射するもの」

ハルヒ「うん、とりあえず合格点ね」

キョン「やっぱり、有精卵の方が美味しいと言われてるからな」

ハルヒ「有精卵?」

キョン「うん」

ハルヒ「何だ。あんた、鶏の卵の話をしていたの」

キョン「にわとりって何?」

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 02:00:49.99 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「キョン。あんた、鶏を知らないの?」

キョン「家具屋さん?」

ハルヒ「それはニトリ」

キョン「河童」

ハルヒ「それもニトリ」

キョン「隣の塀に囲いが」

ハルヒ「それは庭取引」

キョン「今のヒントでよく分かったな」

ハルヒ「まあ、この流れは何度も経験してるから」

キョン「俺は初めてなんだけど」

ハルヒ「でしょうね。別にいいのよ」

キョン「で? 俺の精子が欲しいんだって?」

ハルヒ「その話に戻りましょうか。有精卵の方が美味しいって、どういう意味?」

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 02:05:10.24 ID:UbEq2mEv0

キョン「そのままの意味だよ。スーパーで売っている卵は、有精卵の方が高いし健康的で美味しいと言われてるだろう?」

ハルヒ「まあ、確かにね。……待って。さらりと流しそうになったけど」

キョン「何?」

ハルヒ「その卵って、何の卵なの? あんたは鶏を知らないんでしょう?」

キョン「決まってるじゃないか。人間の卵だよ」

ハルヒ「人間の卵ですって!? ……なーんて驚くと思った?」

キョン「いや別に」

ハルヒ「そう。つまらない奴。せっかく私も少し慣れてきたのに」

キョン「何に慣れたの?」

ハルヒ「あんたには関係ないわ。要するに、この世界では、人間は卵を産むのね?」

キョン「この世界も何も、何万年も前から、人類は卵を産み続けてきたんだけど」

ハルヒ「もっと酷い世界もあったから、今さら驚かないわ」

キョン「もっと酷い世界?」

ハルヒ「あんたには関係ないわ。でも、スーパーに人間の卵が売ってるって、どういうことなの?」

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 02:08:50.50 ID:UbEq2mEv0

キョン「スーパーに置いてあるのは、それが売り物だからだよ」

ハルヒ「誰が買うの?」

キョン「人間が買うんだよ」

ハルヒ「何のために?」

キョン「食べるために」

ハルヒ「ちょっと待って。さすがの私も混乱してきたわ」

キョン「そういうときは卵を産むといいよ」

ハルヒ「卵を産む……。ああ、この感覚は、やっぱりそうなのね。ウンコかと思ったけど、違うみたい」

キョン「それは身体が卵を産みたがっているんだ」

ハルヒ「さっきからずっと、我慢しているんだけど」

キョン「我慢は身体によくない。俺が精子をかけてやるから、早く産むんだ」

ハルヒ「卵を産んだ後で精子をふりかけるのは、魚でしょ? 人間は違うんじゃない?」

キョン「人間も、卵を産んだ後で精子をふりかけるんだけど。俺もお前も、そうやって生まれてきたんだぞ」

ハルヒ「逆らった私が間違ってたわ」

キョン「そうだ。お前は間違っている」

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 02:12:48.81 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「そう。やっぱり私は間違っているのね。どうすればいいの?」

キョン「卵を産むのを我慢するのは苦しいだろう?」

ハルヒ「凄く苦しいわ。これなら生理の方が何倍もマシ」

キョン「じゃあ、早く産めよ。俺もスタンバイしてるんだから」

ハルヒ「私は好きで我慢してるんだから、放っておいて。それより、気が紛れる話しない?」

キョン「話題を変えようか?」

ハルヒ「そうしてくれると助かるわ」

キョン「スーパーマリオの話なんかどう?」

ハルヒ「いいわね。現実の生活では何の役にも立たない、どうでもいい感じが堪らなくいいわ」

キョン「ヨッシーって好き?」

ハルヒ「全自動マリオや友人マリオを見てから好きになったわ。踏み台にされるのが可哀想でいいわよね」

キョン「ニコ厨乙」

ハルヒ「うるさいわね。もっと話を膨らませなさいよ」

キョン「ヨッシーって何となく男の子っぽいイメージがあるけど、実は卵を産むからメスなんだよね」

ハルヒ「変わってねえよ! 全然話変わってねえよ!」

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 02:16:42.18 ID:UbEq2mEv0

キョン「叫ぶと余計に苦しくならないか?」

ハルヒ「知っているんなら先に教えてよ。お腹が破裂しそうだわ」

キョン「マジで産まないと身体に毒だぞ。あまり我慢しすぎると、体内で殻が割れて内臓がぐちゃぐちゃになるぞ」

ハルヒ「……マジ?」

キョン「俺の妹が今それで入院してる」

ハルヒ「キョンの妹が……」

キョン「授業中に、先生に、すみませーんちょっと卵産みます、って言うのが恥ずかしかったんだそうだ」

ハルヒ「何その小学生にありそうでなさそうなシチュエーション」

キョン「お前も早く産まないとそうなるぞ」

ハルヒ「……分かったわ。トイレまで我慢できそうにないから、部室の中で産む。キョン、あっち向いてて」

キョン「どうして」

ハルヒ「恥ずかしいから」

キョン「どうして」

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 02:18:49.83 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「あんたも少しは女の子の気持ち考えなさいよ!」

キョン「みんな、教室で普通に産んでるけど」

ハルヒ「……そうだったっけ?」

キョン「うん」

ハルヒ「男子がいても気にしてなかった?」

キョン「むしろ、みんな精子をふりかけてもらうために、わざと男子に見せびらかしながら産むんだよ」

ハルヒ「私がおかしいの?」

キョン「そうだ。お前はおかしい」

ハルヒ「私が間違ってたわ。じゃあ、産んだらすぐに精子をふりかけてね」

キョン「よし、いいぞ。そのままりきめ!」

ハルヒ「――っ!」

キョン「頭が出てきたぞ! もうひとふんばり!」

ハルヒ「うーっ! 出た!」

キョン「俺もイクぞ! ……ふぅ」

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 02:22:03.89 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「はぁ、はぁ……」

キョン「よくやったな、ハルヒ」

ハルヒ「何だか凄く疲れたわ。でも、これで、元気な赤ちゃんを作ることができるのね」

キョン「お前は何を言っているんだ」

ハルヒ「え?」

キョン「お前はまだ十六歳だろ?」

ハルヒ「そうだけど?」

キョン「十六歳で子供を産んで育てるなんて、どう考えても無理だろ」

ハルヒ「でも、この卵は……」

キョン「卵を温めなければ、子供は生まれてこない」

ハルヒ「私達の子を、殺すの?」

キョン「殺すだなんて、人聞きの悪い奴だな。再利用する、と言え」

ハルヒ「再利用? リサイクル? 言っている意味が分からないわ」

キョン「スーパーに売るんだよ」

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 02:25:51.89 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「私達の子供を、売る? 養子に出して、お金持ちの人に育ててもらうってこと?」

キョン「そんなわけないだろ」

ハルヒ「じゃあ、何のために……まさか!」

キョン「卵を食べてもらうために決まってるじゃないか」

ハルヒ「人間の卵を食べるの? 信じられない」

キョン「どうして? 俺たち人類は、ずっと昔からそうやって繁栄してきたんだぜ」

ハルヒ「でも、この子は別よ! 私の子供なのよ! 私とキョンの子供なのよ!」

キョン「何度も言うが、お前は十六歳だ。これから何千回もチャンスがある」

ハルヒ「でも、子供を売るなんて……」

キョン「売るのが嫌なら、自分で食べればいい」

ハルヒ「食べる? 私が産んだ卵を?」

キョン「他人の卵を食べるのが嫌なら、自分のを食べるしかないだろ」

ハルヒ「ああ……何だか、本当に魚みたいね。ある種の魚は、新しい卵を産むために、産んだばかりの卵を食べると聞いたことがあるわ」

キョン「その魚は知らないけど、卵を食べるのは仕方のないことだ。どうせ、毎日卵を産むんだからな」

ハルヒ「毎日……?」

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 02:30:04.12 ID:UbEq2mEv0

キョン「その通り。女は、十歳前後から四十歳前後にかけて、三十年間、毎日卵を産み続ける」

ハルヒ「三十年毎日卵を産むとすると……その数は、一万個以上になるわね」

キョン「お前は一万人も赤ちゃんが欲しいのか?」

ハルヒ「そんなことはないけど、この卵は……」

キョン「どうでもいいけど、卵を食べずに、卵を産み続けていたら、そのうち栄養失調になるぞ」

ハルヒ「そうね……。それは何となく想像がつくわ。卵っていうのは、栄養の塊だものね」

キョン「だろ? 卵を産むということは栄養を排出するということなんだから」

ハルヒ「他のもので補えばいいんじゃないの? 例えば、鶏の卵とか」

キョン「だから、その鶏って何なんだ?」

ハルヒ「ああ、そうね。この世界には鶏はいないんだったわね。じゃあ、他の鳥は?」

キョン「鳥とは何だ?」

ハルヒ「……翼があって、空を飛ぶ生き物のことよ」

キョン「何だ、蝙蝠のことか」

ハルヒ「何で蝙蝠がいるのに鳥はいないの? この世界は、おかしいわ」

キョン「おかしいのはお前の方だ」

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 02:36:01.55 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「どうして?」

キョン「例えば、お前は自分の卵ばかり可愛がろうとしているが、俺の精子はどうなんだ?」

ハルヒ「キョンの精子?」

キョン「そうだ。俺は毎日毎日、オナニーをしている」

ハルヒ「まあ、健康な男の人は、みんなそうなんでしょうけど……」

キョン「その精子は、赤ちゃんを作ることができる可能性もあった。でも、俺は赤ちゃんなんて作らなかった」

ハルヒ「それは、元の世界でもそうだったわ……。いえ、精子だけじゃない、卵子も」

キョン「卵子とは卵のことか?」

ハルヒ「ええ、それは間違っていないわ。私は生理のたびに、赤ちゃんになる可能性のあった卵子を見殺しにしてきたのね」

みくる「こんにちは、遅くなってすみません」

ハルヒ「あ、みくるちゃん」

みくる「あれ? その卵、涼宮さんが産んだものですかぁ?」

ハルヒ「そうなの。これは私の卵なの。でも、キョンったら、この卵を売れって言うのよ」

みくる「私に譲ってくれませんか? 代わりに、私の卵を差し上げますから」

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 02:42:15.00 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「みくるちゃんの卵?」

みくる「はい、さっき、分娩室で産んできたばかりの、産みたてほやほやの卵です」

ハルヒ「ぶ、分娩室? 学校にそんなものがあるの?」

みくる「もちろんですよ。女子の中には、男子が見ている前で産むのを恥ずかしがる子もいますから」

ハルヒ「みくるちゃんは平気なの?」

みくる「平気ですよ。ねえ、キョン君。この卵に精子を振りかけて」

キョン「すみません、朝比奈さん。さっき、ハルヒの卵に精子をかけちゃったばっかりなんです」

みくる「あ、そうなんですか。残念です。有精卵の方が栄養が高いし、値段も高くなるんですけど……」

古泉「こんにちは」

みくる「あ、古泉君。ちょうどいいところに。この卵に精子をかけて」

古泉「お安い御用です」

ハルヒ「ちょっと、SOS団の部室で下半身を露出しないでよ!」

古泉「どうしてですか?」

ハルヒ「どうしてって……」

古泉「射精も排卵も、決して恥ずかしいことではありませんよ」

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 02:48:56.84 ID:UbEq2mEv0

キョン「そうだそうだ。お前だって、昔は俺や古泉の前で着替えしてたじゃないか」

ハルヒ「それとこれとは別よ!」

キョン「さらに、何度も俺や古泉の前で卵を産んだ」

ハルヒ「そ、それは、私じゃない、別の私なのよ!」

みくる「でも、さっき涼宮さんが産んだ卵は、キョン君に精子をかけてもらったんでしょう?」

ハルヒ「でも、そのときは、私とキョン二人っきりだったから」

みくる「それを言ったら、今回の射精だって、私と古泉君の問題ですよ」

ハルヒ「でも、私とキョンは同じ部屋にいるわ」

古泉「つまり、こういうことですね。涼宮さんが部室から出て行けばいいんですよ」

ハルヒ「何でそうなるのよ! ……いや、それも一理あるけど」

キョン「ハルヒ、いい加減にしろ。男の射精くらいでガタガタ騒ぐな。いつものことだろう?」

ハルヒ「私の感覚の方がおかしいの?」

古泉「言いにくいのですが、その通りです」

みくる「今日の涼宮さん、何だか変です」

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 02:52:33.56 ID:UbEq2mEv0

キョン「朝比奈さんの言うとおりだ。いつものハルヒとは、別人だ。お前、自己紹介のときのことを憶えてるか?」

ハルヒ「自己紹介?」

キョン「ほら、この高校に進学して、最初の自己紹介のときにお前は何て言った?」

ハルヒ「この中に、宇宙人、未来人、超能力者がいたら――」

キョン「私のところに射精しに来なさい! 以上!」

ハルヒ「言ってない! それは言ってない!」

みくる「涼宮さん、恥ずかしがることはありませんよ。少しでも優秀な精子を欲しいと思うのは、女性の本能ですから」

ハルヒ「まあ、それは私の世界でもそうだったけど……」

古泉「……ふぅ」

ハルヒ「って、そんなこと言ってる間に、古泉君が射精しちゃったし!」

キョン「お前はそれを見てどう思った?」

ハルヒ「どうって……。ああ、射精したんだな、としか」

みくる「とても神々しくありませんでした?」

ハルヒ「……そう?」

みくる「男の人が私の卵に射精しているのを見ると、凄く感じちゃいます」

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 02:57:22.74 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「感じちゃう? ちょっとみくるちゃん、落ち着きなさい」

みくる「涼宮さんは、キョン君が涼宮さんの卵に射精したのを見ても、何も感じなかったんですか?」

ハルヒ「え、私? 私は――嬉しかったけど」

みくる「でしょ? それが女の喜びなんです」

キョン「俺も、ハルヒが卵を産んだのを見たとき、凄く気持ちよかったぜ」

ハルヒ「……ああ、何となく分かってきたわ。あんた達、セックスって知ってる?」

キョン「セックス?」

古泉「ドラクエXの」

ハルヒ「それはレックス」

みくる「じゃあ幻の大地」

ハルヒ「それはシックス」

キョン「バトル小野」

ハルヒ「それはアックス。っていうか、何でドラクエ関係ばっかり?」

キョン「何となく」

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 03:01:28.90 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「まあいいわ。要するに、セックスが何なのか、あんた達は知らないのね?」

キョン「知らないな」

ハルヒ「セックスっていうのは、チンコをマンコに挿入することよ」

キョン「何それ気持ち悪い」

ハルヒ「気持ち悪い? どうして?」

キョン「マンコというのは、卵を産むところじゃないか。そんな場所にチンコを入れるなんて……」

ハルヒ「え? ああ……そうか。この世界の人類は、セックスをする必要がなかった。
   だから、進化を重ねるうちに、チンコを入れる場所そのものがなくなったのね。
   この世界では、マンコというのは、イコール卵を産む場所を指すのか……」

キョン「ぶつぶつ独り言を言ってるけど、大丈夫か?」

ハルヒ「ねえ、キョン。私のこと、好き?」

キョン「おいおい。古泉と朝比奈さんの前で、何を……」

ハルヒ「誰の前でもいいじゃない。私のこと、好き?」

キョン「好きだよ」

ハルヒ「じゃあ、みくるちゃんのことは好き?」

キョン「好きだよ」

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 03:03:52.52 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「じゃあ、古泉君のことは好き?」

キョン「好きだよ」

ハルヒ「キョンって、人間なら誰でもいいのね」

キョン「俺だけじゃないさ。なあ、古泉。お前、ハルヒのこと好きか?」

古泉「好きですよ」

キョン「朝比奈さんのことは好きか?」

古泉「好きですよ」

キョン「俺のことは好きか?」

古泉「好きですよ」

キョン「ほらな」

ハルヒ「ほらな、じゃないわよ……。何なのこの世界。みくるちゃんは、キョンのこと好き?」

みくる「好きですよ」

ハルヒ「古泉君のことは好き?」

みくる「好きですよ」

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 03:06:50.21 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「私のことは好き?」

みくる「好きですよ」

ハルヒ「三人全員に聞きたいんだけど、私が産んだ卵に精子をかけたいと思う?」

キョン「俺はもうやった」

古泉「今日はもう射精したので無理ですが、明日以降なら」

みくる「私は女なので無理ですが、涼宮さんは魅力的ですから、もし男に生まれていたら精子をかけたかったでしょうね」

ハルヒ「ねえ、キョン。私のこと、愛してる?」

キョン「愛とは何だ?」

ハルヒ「愛っていうのは……ごめん。私にも、上手く説明できないわ。ちょっと前まで分かりかけていたような気もするけど、今は分からない」

キョン「……ハルヒ。どうして泣いているんだ」

みくる「涼宮さん、よかったら、このハンカチ、使ってください」

ハルヒ「みくるちゃん、ありがとう……」

キョン「どこか痛いのか?」

ハルヒ「そうね……。何だか、凄く胸が痛いわ。頭も痛い。でも、泣いている理由は、それとは関係ないの」

キョン「じゃあ、どうして」

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 03:10:44.03 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「死なせたくないから」

キョン「何を」

ハルヒ「私とキョンの子供を」

キョン「その卵は、生きていない」

ハルヒ「じゃあ、もう死んじゃったの?」

キョン「生きるとか死ぬとかの問題じゃないんだ。卵っていうのは、物質であって、生命じゃないんだよ」

ハルヒ「それは身勝手な大人の考えだわ」

キョン「本当にそうなのか? 胸に手を当てて、よーく考えてみろ」

ハルヒ「……ああ、そうだわ。元々私がいた世界でも、胎児は人間扱いされていなかった」

キョン「元の世界? さっきから、何の話をしてるんだ?」

ハルヒ「中絶が認められていた。つまり、お腹の中の赤ちゃんを殺すことが認められていた」

キョン「中絶って何だ?」

ハルヒ「そう考えると、卵を殺すのも、中絶と同じことなのかもしれないわね」

キョン「だから、中絶って何なんだ? 特別に秀でていること?」

ハルヒ「それは秀絶。だからもうこの流れはいいってば」

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 03:16:31.43 ID:UbEq2mEv0

キョン「よく分からんが、納得してくれたんだな?」

ハルヒ「……いいえ。納得してはいないわ」

キョン「おい、ハルヒ、どこへ行くんだ!」

ハルヒ「私の卵は殺させはしない!」

キョン「待てよ、ハルヒ!」

ハルヒ「この卵は、私とキョンの子供なの!」

キョン「だからって、卵と駈け落ちでもするつもりか!?」

ハルヒ「うるさいわね!」

キョン「ごふっ!」

みくる「涼宮さん、キョン君に何てことを!」

古泉「涼宮さん、落ち着いてください」

ハルヒ「うるさいうるさい! 黙って聞いてれば、みんな好き勝手なこと言って!」

古泉「別に黙ってなかったような気がしますが……」

ハルヒ「とにかく、私の邪魔をしないで! 私を捕まえようとしたら、古泉君にも同じことをするわよ!」

古泉「うう……。さすがの僕も、股間を蹴り上げられるのはちょっと……。朝比奈さん、お願いします」

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 03:21:07.26 ID:UbEq2mEv0

みくる「ええっ!? 私ですか?」

古泉「この中でチンコを生やしていないのは朝比奈さんだけですから」

みくる「でも、私のキャラでは涼宮さんを捕まえることは……」

古泉「キャラとか言ってる場合じゃありませんよ。こんなことを言っているうちに、涼宮さんを見失ってしまいました」

みくる「あ、本当だ! いなくなってる!」

古泉「こうなったら、仕方がありません。機関の手を借ります」






ハルヒ「はぁ、はぁ……。よし、何とか振り切ったわね。まずは……」

コンビニの店員「いらっしゃいませー!」

ハルヒ「ATMでお金を降ろさないと……」

ATM「カードをお入れください」

ハルヒ「良かった。財布にカードが入ってるわ。とりあえず、二十万円降ろして、と」

コンビニの店員「ありがとうございましたー!」

ハルヒ「どれだけの時間卵を温めればいいのか分からないから、お金は多いに越したことはないわね。次のコンビニはどこだったかしら……」

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 03:25:29.50 ID:UbEq2mEv0




ホテルマン「予約はしていますか?」

ハルヒ「してません」

ホテルマン「お一人様ですか?」

ハルヒ「は、はい。大学受験のために、一週間ほど泊まりたいんです」

ホテルマン「畏まりました。七泊ですね?」

ハルヒ「はい」

ホテルマン「前払いになりますが、よろしいですか?」

ハルヒ「もちろんです」

ホテルマン「……お釣りです。お先に大きい方が、千、二千、三千円。小さい方が三百円です」




ハルヒ「……よし、何とかホテルに泊まることはできたわね。念のために偽名も使ったし、これで安心して卵を温められるわ」




ハルヒ「何だか、凄くお腹が好いたわ。ルームサービスは高いから、コンビニに食糧を買いに行きましょう……」

126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 03:28:41.72 ID:UbEq2mEv0

ハルヒ「お腹が空いたお腹が空いたお腹が空いた」



ハルヒ「掃除のサービス? そんなもんいらないわよ! 放っておいて!」



ハルヒ「また空っぽになっちゃった……。またコンビニに行かないと。ついでに松屋にも寄って牛丼三杯食べてきましょ」



ハルヒ「門限? ホテルに門限があるなんて知らなかったのよ! いいからドアを開けなさい!」



ハルヒ「お腹が空いたお腹が空いたお腹が空いたお腹が空いたお腹が空いたお腹が空いたお腹が空いたお腹が空いたお腹が空いた」



ハルヒ「食べても食べてもお腹がいっぱいにならない。でも、卵を温めないと……。私の赤ちゃん。私とキョンの赤ちゃん」



ハルヒ「え? お金ならあるって言ってるでしょ! いいから早くフルコースを三人前持ってきて!」



ハルヒ「お腹空いた……もう駄目。動けない」

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 03:31:39.95 ID:UbEq2mEv0

キョン「ハルヒ、大丈夫か!?」

ハルヒ「あれ? キョン……?」

キョン「ハルヒ、しっかりしろ!」

ハルヒ「あれ? 私、夢を見てたのかしら? ここは部室?」

キョン「何を言ってるんだ。ここはお前が借りてたホテルだ」

古泉「涼宮さんが偽名を使っていたので、捜すのに手間取りました」

ハルヒ「私……どうなったのかしら?」

キョン「栄養失調で倒れていたんだ」

ハルヒ「栄養失調? ちゃんとご飯は食べていたのに……」

キョン「卵料理は食べなかったんだろう?」

ハルヒ「……ええ。食べたくなかったの」

キョン「卵を食べずに卵を産み続ければ、栄養失調になると言ったのに……」

ハルヒ「ごめんなさい……」

みくる「この一週間に産んだ卵はどうなったんですか?」

ハルヒ「私が産んだ卵は、キョンに精子をかけてもらったのを除いて、ベッドの下にあるわ」

144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 04:14:40.98 ID:C+acH7oj0

古泉「本当だ。こんなところに何個も。冷蔵庫に入れておかないと、腐ってしまいますよ」

キョン「もったいないな。これじゃあもう、売り物にならないし、古い卵と新しい卵が混ざっちゃったから、食べられないぞ」

古泉「全くです。貴重な卵だったのに」

ハルヒ「私のことは心配じゃないの?」

キョン「もちろん心配してるさ。安心しろ。今、朝比奈さんに卵を産んでもらっているから」

ハルヒ「みくるちゃんに?」

みくる「あっ……あああっ!」

キョン「朝比奈さん、頑張れ」

古泉「卵の頭が見えてきましたから、もう少しですよ」

ハルヒ「二人とも、何でズボンを脱いでるの? しかも、勃起してるし……」

みくる「――っ! ああああああっ!」

キョン「生まれた!」

古泉「今です!」

キョン「おうよ! おおっ! 射精る!」

古泉「ふんもっふ!」

149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 04:25:57.62 ID:C+acH7oj0

キョン「……ふぅ」

古泉「……ふぅ」

みくる「さあ、涼宮さん。できましたよ」

ハルヒ「できたって、何が?」

みくる「栄養豊富な、受精卵です。新鮮ですから消化にいいですよ」

キョン「しかも、二人分の精子がかかっているから、普通のより栄養たっぷりだぜ!」

古泉「さあ、たべてください」

ハルヒ「私に、この卵を食べろって言うの?」

キョン「生だと食べにくいか?」

古泉「味付けが問題なのではないでしょうか。念のために醤油と塩を持ってきましたけど」

キョン「おお、準備がいいな」

ハルヒ「いい加減にしてよ! みくるちゃんが産んだ生卵なんて食べられるわけないでしょ!」

みくる「じゃあ、目玉焼きにしましょうか? それともゆで卵がいいですか?」

キョン「そんな贅沢なこと言ってる場合じゃないぞ。ハルヒ、早く食べないと命に関わるぞ!」

150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 04:33:35.75 ID:C+acH7oj0

ハルヒ「命に……?」

キョン「そうだ。このままだと死んでしまうぞ。生卵の方が、噛まなくていいから食べやすいはずだ」

ハルヒ「やめてよ! 触らないで! 卵を温めないと!」

キョン「卵って、例の、俺の精子がかかった奴か?」

ハルヒ「そうよ! 私、肌身離さず卵を持ち歩いて、一生懸命に温めたんだから!」

キョン「卵が孵るよりも先に、お前が死んでしまうぞ! 古泉、朝比奈さん、ハルヒの手足を押さえてください!」

ハルヒ「やめてええええ!」

キョン「よし、何とかハルヒの口をこじ開けることができたぞ!」

ハルヒ「ふがががががががががが!」

古泉「さあ、朝比奈さん。早く卵を割って、涼宮さんの口に流し込んでください!」

みくる「分かりました」

ハルヒ「――っ!」

キョン「古泉! ハルヒが卵を飲み込まないと息をできないようにするために、鼻を摘むんだ!」

151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 04:38:49.45 ID:C+acH7oj0

古泉「了解です」

キョン「さあ、ハルヒ。観念して飲み込め!」

ハルヒ「ごくごく……」

キョン「よし、ちゃんと飲み込んだな。どうだ? 楽になっただろう?」

ハルヒ「確かに楽にはなったけど……」

みくる「私の卵、美味しかったですか?」

ハルヒ「……ええ、美味しかったわ。泣きたくなるくらいね」

キョン「それはよかった」

ハルヒ「全然よくないわよ……。それより、早く卵を温めないと」

古泉「そのことなんですが……」

ハルヒ「その聴診器みたいなの、何?」

古泉「これは、卵の状態を確認するための装置です。お気の毒ですが、この卵は……」

ハルヒ「……嘘。嘘よ! だって私、ちゃんと温めたのに!」

みくる「温めすぎてしまって、たんぱく質が固まっちゃったんですよ……。よくあることです」

ハルヒ「いやああああああああああああああああああああああああああああっ!」

155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 04:45:20.16 ID:C+acH7oj0






ハルヒ「キョン、あんた精子になりなさいよ!」

キョン「精子とは何だ?」

ハルヒ「またそこからなの? もううんざりだわ」

キョン「何を言ってるのか分からんが、地獄のエンドレスエイトに比べれば、どうってことないんじゃないか?」

ハルヒ「エンドレスエイトって何?」

キョン「知らないんならいいんだ」

ハルヒ「コードがない?」

キョン「それはコードレス」

ハルヒ「浮浪者」

キョン「それはホームレス」

ハルヒ「家族向け」

キョン「それはファミレス」

157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 04:55:21.84 ID:C+acH7oj0

ハルヒ「じゃあ、結局、エンドレスエイトって何なの?」

キョン「知らないならいいんだ。それより、精子とは何なのかの方が気になる」

ハルヒ「オナニーするとチンコから出てくる白い液体のことよ」

キョン「オナニーって何だ?」

ハルヒ「え? それも知らないの? 男の場合のオナニーは、エロいこと考えながらチンコをこすることよ」

キョン「エロいって何だ?」

ハルヒ「えーと……あんた、私の裸見たい?」

キョン「いや別に」

ハルヒ「スクール水着は?」

キョン「別に」

ハルヒ「バニーガールは?」

キョン「別に」

ハルヒ「メイドは?」

キョン「別に」

160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 05:02:21.80 ID:C+acH7oj0

ハルヒ「ポニーテールは?」

キョン「別に」

ハルヒ「これは重症ね……」

キョン「何が?」

ハルヒ「もしかして、私だから駄目なの? みくるちゃんのことは好き?」

キョン「別に」

ハルヒ「みくるちゃんの裸とかメイド服姿とか見たくないの?」

キョン「別に興味ない」

ハルヒ「じゃあ、有希は?」

キョン「長門か? 別に長門の裸とかポニーテールにも興味ない」

ハルヒ「じゃあ、あの……古泉君は? 古泉君にフェラチオしたりアナルセックスしたい?」

キョン「別に」

ハルヒ「何だか、ある意味、今までで一番不気味な世界ね……」

164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 05:13:37.56 ID:C+acH7oj0

キョン「世界? ナイスボートの話をしてるのか?」

ハルヒ「あんたには関係ないの。変なこと訊くけど、赤ちゃんってどうやって作るの?」

キョン「保健体育で習っただろ?」

ハルヒ「度忘れしちゃったから、教えてほしいの」

キョン「どうやって作るって言われても、赤ちゃんは作りたくて作るわけじゃないから」

ハルヒ「自分の意思で作るのではないということ? もしかして、コウノトリが関係ある?」

キョン「コウノトリ? 何だそりゃ」

ハルヒ「分からないならいいの。赤ちゃんは作りたくなくても生まれてくるの?」

キョン「もちろん。普通は、最初の妊娠は12歳くらいかな」

ハルヒ「じゅ、12歳!? いくら何でも早すぎない?」

キョン「もっと早い奴はいくらでもいるぞ」

ハルヒ「でも、12歳で産んでも、育てられないでしょ?」

キョン「当然だろ。だから、普通は中絶するんだよ」

ハルヒ「ってことは、この世界の私も中絶を経験してるのよね……」

168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 05:19:26.11 ID:C+acH7oj0

キョン「ハルヒは16歳だったっけ?」

ハルヒ「ええ、たぶん。自信はないけど」

キョン「おいおい。自分の年齢なのに自信ないのか?」

ハルヒ「仕方ないじゃない。年齢がどうかしたの?」

キョン「16歳なら、たぶん、既に2、3回は中絶を経験してるだろうな」

ハルヒ「そんなに……。お腹を触ってみたけど、手術の痕なんてないみたいだけど」

キョン「中絶手術でメスなんか使わないよ。レーザー治療だ」

ハルヒ「治療という言葉には抵抗があるけど、この世界は随分と科学が発達しているのね。
   ……いえ、きっと、そういうふうに進化した結果なんでしょうけど」

キョン「は? お前、さっきから何言ってんだ? 挙動不審だぞ?」

ハルヒ「気にしないで。でも、どうして中絶の回数が分かるの?」

キョン「普通の人は、3、4年に1回くらいのペースで妊娠するから」

ハルヒ「何もしなくても、勝手に妊娠しちゃうの?」

キョン「その通り」

170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 05:26:24.23 ID:C+acH7oj0

ハルヒ「何もしなくても、ってことは、セックスが必要ないのね?」

キョン「セックスって何だ?」

ハルヒ「面倒だからその質問は無視するけど、要するに、人間は無性生殖、あるいは単為生殖なのね?」

キョン「有性生殖ではないという意味なら、そうなるな」

ハルヒ「まるでミジンコね」

キョン「ミジンコは知ってる」

ハルヒ「知らないならいいの。あんたには関係ないから」

キョン「知ってるって言ったんだけど」

ハルヒ「ごめん。これまでの流れから、ミジンコって何? って訊かれたような気がしてた」

キョン「聞き間違いは誰にでもあるさ」

ハルヒ「そうね。私の聞き間違いだったらどんなに嬉しいか。でも、無性生殖だとすると、疑問が残るわ」

キョン「何?」

ハルヒ「あなたは男なの? それとも女なの?」

キョン「男って何? 女って何?」

172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 05:34:28.70 ID:C+acH7oj0

ハルヒ「そこから説明しなきゃいけないの? 頭が痛くなってきたわ……」

キョン「お前、大丈夫か?」

ハルヒ「あまり大丈夫じゃないわね。男や女の説明から始めないといけない世界は初めてだから」

キョン「気分が悪いなら、無理せずに帰った方がいいぞ」

ハルヒ「そんなわけにはいかないわ。男と女の説明をするから、よく聞いてね」

キョン「分かった」

ハルヒ「あなたのお母さんは女で、お父さんは男よ」

キョン「お母さんって何? お父さんって何?」

ハルヒ「言い方が悪かったみたいね。チンコがあるのが男で、ないのが女よ」

キョン「その定義なら、俺は男だな」

ハルヒ「そう。よかったわ」

キョン「ところで、チンコがない人間なんているのか?」

ハルヒ「……え?」

173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 05:39:26.22 ID:C+acH7oj0

キョン「俺、何か変なこと言ったか?」

ハルヒ「チンコがない人間はいないの?」

キョン「少なくとも、俺は聞いたことがない」

ハルヒ「ひょっとして、私にもチンコついてる?」

キョン「見たことはないけど、たぶん、ついてるだろ」

ハルヒ「……ちょっと、トイレで確認してくるわ」

キョン「行ってらっしゃい」



ハルヒ「……トイレにも、男女の区別がなくて、一つしかないのね。
    でも、今はそんなこと、どうでもいいわ。
    確認するのが怖いけど、でも、チンコそのものは卵の世界で何度も見たから耐性がついてるはず。
    だから大丈夫。自分のを見ても怖くなんかないわ。
    よし、心の準備はできた。行くわよ!」



キョン「お帰り。どうだった?」

ハルヒ「……言わなくても分かるでしょ」

174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 05:44:58.91 ID:C+acH7oj0

キョン「そうか。よかったな」

ハルヒ「よくないわよ。このチンコはいったい何のためについてるの?」

キョン「立ったままおしっこするためだろ」

ハルヒ「……もういいわ。ねえ、一つ訊いてもいい?」

キョン「既に何回も質問してるくせに」

ハルヒ「あんたも、中絶したことあるの?」

キョン「あるよ。十一歳のときと、十四歳のとき」

ハルヒ「そう……」

キョン「顔色悪いけど、大丈夫か?」

ハルヒ「大丈夫じゃないけど大丈夫よ。中絶したとき、どんな気持ちだった?」

キョン「別に」

ハルヒ「別にってことないでしょ。何かは感じたでしょ?」

キョン「手術中は寝ていたから何も感じなかった」

ハルヒ「身体じゃなくて、心よ! 何か考えなかったの?」

176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 05:53:12.24 ID:C+acH7oj0

キョン「これで俺も大人になったんだな、と思った」

ハルヒ「それだけ? 他には?」

キョン「これで友達と妊娠の話ができるな、って思った」

ハルヒ「そう……。きっと、この世界の人は、みんなそんな感じなんでしょうね。
    何もしなくても勝手にお腹の中に赤ちゃんができるなら、何も感じなくなるわよね。
    愛だってそう。生殖に他人が必要ないなら、誰かを好きになることもない。
    当然の進化の結果だわ。でも、まだ疑問が残っている」

キョン「何だよ」

ハルヒ「無性生殖ということは、遺伝子の多様性はないわけでしょ?
    つまり、私もあんたも、同じ遺伝子を持っていなきゃおかしいんじゃない?
    でも、さっきトイレの鏡で確認したけど、私はあんたと同じ顔をしていなかったわ」

キョン「何だ、そんなことか」

ハルヒ「そんなことって……」

キョン「たぶん、お前はミジンコをイメージしているから分からなくなってるんだろ」

ハルヒ「そうかもしれないけど……」

178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 06:04:52.62 ID:C+acH7oj0

キョン「まず、お前はミジンコについてどれくらい知っている?」

ハルヒ「オスを必要とせずに、メスだけで子供を作れるのよね。
    ただし、メスが多くなって密度が高くなると、オスが生まれる。
    オスと生殖してできた卵は、しばらく休眠に入り、条件がよくなったら孵化する」

キョン「その通りだ。こういうやり方をする種は、他にもアブラムシとかカイガラムシにもいる」

ハルヒ「あんた、男とか女は分からなくても、オスとかメスって言葉は分かるのね……」

キョン「犬や猫、鳥や植物など、身近な生き物には雌雄の区別があるからな」

ハルヒ「はいはい。そうですか。それで、人間の場合はミジンコと違うの?」

キョン「いや、同じだよ」

ハルヒ「は? あんた、言ってることが矛盾してない?」

キョン「どうして矛盾していると思うんだ?」

ハルヒ「だって、メスだけで子供を作れるなら、生まれてくる子供はメスと同じ顔をしているはずだわ」

キョン「ところが、そうはならないんだ。なぜなら、人間にはチンコとマンコが両方備わっている」

ハルヒ「ああ……。おそらくこの世界の人間には精子とか卵子という概念はないんでしょうけど、
    自分の体内で、自分が作った精子と卵子を混ぜるのね……。究極の近親相姦だけど、
    私の世界でも、近親相姦で生まれてきた子供も親と同じ顔にはならなかったから、
    それで納得しておけばいいのかしら?」

180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 06:13:08.79 ID:C+acH7oj0

キョン「それだけじゃない。さっきのミジンコの話を思い出してみろ」

ハルヒ「えーと……?」

キョン「環境が悪くなったら、オスが生まれるんだ」

ハルヒ「この場合のオスっていうのは、つまり、赤ちゃんを産むことができない人のことよね?」

キョン「そういうことになるな。環境が悪くなるとそういう人が生まれて、レイプすることになる」

ハルヒ「ちょっと待った! 何でセックスを知らないのにレイプは知ってるのよ!」

キョン「お前が何を言っているのか分からない」

ハルヒ「もしかして、レイプという言葉の定義が違うの?」

キョン「お前の言っているレイプとは、どういう意味だ」

ハルヒ「合意なしにセックスすること……ああ、そうか。
    この世界の人は誰もセックスなんてしたがらないんだから、合意があるはずがない。
    その結果、セックス=レイプになっちゃうのね」

キョン「一人で納得するな」

ハルヒ「その人……仮にオスと呼ぶけど、オスは私たちの身の回りにいるの?」

キョン「日本では数十年間戦争がないから、オスはみんな死に絶えた」

ハルヒ「ってことは、外国にはいるのね?」

183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 06:21:29.16 ID:C+acH7oj0

キョン「まあな。世界は決して、平和なんかじゃないからな」

ハルヒ「そう。これで、だいたいのことが分かったわ」

キョン「それはよかった」

ハルヒ「私にとっては、全然よくなかったけどね。キョンは、私が好きじゃないんでしょ?」

キョン「好きという感情が一緒にいて楽しいとかそういう意味なら、好きだよ」

ハルヒ「そうじゃなくって、私のことを女として見てるか、って訊いてるの」

キョン「だから、女って何なんだよ」

ハルヒ「私のこと、本当にどうでもいいと思ってるのね……」

キョン「おいおい。どうして泣くんだよ」

ハルヒ「私と結婚したくない? 一緒に住みたくない?」

キョン「結婚って何? それが一緒に住むことって意味なら、別にかまわないけど」

ハルヒ「本当?」

キョン「ああ、大学に行ったときなんかにルームシェアをすると、家賃が安くなるから」

ハルヒ「どうせ、そんなことだろうと思ったわ。私とキョンの子供、欲しくない?」

185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 06:26:36.19 ID:C+acH7oj0

キョン「別に欲しくない。そもそも、俺とお前の遺伝子が混ざった子供を作るなんて、そんなことは不可能だし」

ハルヒ「そんなの、やってみなきゃ分からないじゃない!」

キョン「分かるよ」

ハルヒ「どうしてそんなことが言えるの!? 私にもあんたにも、チンコとマンコが両方あるんでしょ!?」

キョン「そうだけど……」

ハルヒ「だったら、作れるかもしれないじゃない! 私のチンコをあんたのマンコに挿入してあげる!」

キョン「おい、やめろ。乱暴するな」

ハルヒ「うるさい黙れ!」

キョン「痛い痛い! そんなもので殴りつけるな」

ハルヒ「黙れって言ってるでしょ!」

キョン「うう……」

ハルヒ「やっと大人しくなったわね。さあ、服を脱がしてあげる」

キョン「やめろ……」

ハルヒ「なるほど。チンコそのものは、卵の世界で見たのと変わりないわね。マンコは……見つけた」

キョン「やめてくれ……。恥ずかしい」

189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 06:35:55.26 ID:C+acH7oj0

ハルヒ「あらあら。性器を見られたら恥ずかしいという感情はあるのね」

キョン「いい加減にしろ! 手を縛っているベルトを外せ!」

ハルヒ「何だか分からないけど、あんたが抵抗すればするほど興奮してきたわ。
    ねえ、見てよ。私のチンコ、こんなに大きく硬くなっちゃったわ」

キョン「本当にやめてくれ……」

ハルヒ「うふふ。今、挿れてあげる」

キョン「やめろ! そんなもの挿れたら裂けちまう!」

ハルヒ「ああ、そうか。そうよね。あんた、処女なんだもんね」

キョン「おい、何するんだ。くすぐったいぞ」

ハルヒ「ほぐしてあげているのよ」

キョン「痛い!」

ハルヒ「あ、爪が当たっちゃった? ごめんね。今、爪をきれいに切って、ヤスリで滑らかにするからね」

キョン「誰か助けてくれ!」

ハルヒ「大声出さない方がいいわよ? 大声出したら、このハサミであんたを切り裂くからね」

キョン「やめて……」

190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 06:41:56.83 ID:C+acH7oj0

ハルヒ「あはははははは! キョンったら、かーわいー」

キョン「お願いします。ハルヒさん、やめてください」

ハルヒ「古泉君やみくるちゃんの真似したって駄目よ?」

キョン「あっ……ああっ! もっと優しくしてくれ」

ハルヒ「ふふ。指一本でこんなに痛がってたら、入らないわよ?」

キョン「本当に痛いんだよ……」

ハルヒ「そんなこと言ってるけど、ほら、見てよ。だんだん濡れてきたじゃないの」

キョン「嘘だろ……」

ハルヒ「愛してるわ、キョン」

キョン「愛って何なんだ? これが愛なのか?」

ハルヒ「さあ。つい最近まで愛が何なのか分かりかけていたような気もするけど、今はそんなことどうでもいいわ」

キョン「どうでもいいって……」

ハルヒ「あんたが欲しいの! あんたを滅茶苦茶にしてやりたいの!」

キョン「ちょっ、おまっ。まだ指二本は無理だってば!」

193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 06:47:53.88 ID:C+acH7oj0

ハルヒ「大丈夫よ。見て。こんなに濡れてるじゃない。感じてるんでしょ?」

キョン「別に気持ちよくはない」

ハルヒ「あらあら。強がっちゃって。キョンって、本当に可愛いのね」

キョン「……ぷはっ! どうして唇を塞いだんだ! 窒息死させる気か?」

ハルヒ「違うわよ。キスしただけ」

キョン「キスって何だ?」

ハルヒ「そういうことも含めて、ゆっくり時間をかけて教えてあげるわ」

キョン「もしかして、スズキ目スズキ亜目キス科?」

ハルヒ「それは魚のキス」

キョン「江戸っ子」

ハルヒ「それは生粋」

キョン「もうやった」

ハルヒ「それは既遂」

キョン「水が気体に」

ハルヒ「それは水蒸気。苦しいにもほどがあるわよ」

196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 06:53:28.68 ID:C+acH7oj0

キョン「あうう……。指三本は駄目……」

ハルヒ「痛い?」

キョン「痛いよ。本当に凄く痛い。お願いだから、もうやめて」

ハルヒ「涙目になってるキョンも、可愛いわ。もっといじめてあげたくなる」

キョン「ああっ! そんなに動かさないで!」

ハルヒ「そんなに騒がないでよ。ただ、Gスポットを探してるだけなんだから」

キョン「Gスポットって何? あああっ!」

ハルヒ「声が高くなったわね。ここがGスポットよ。憶えておきなさい」

キョン「うう……もうやめて」

ハルヒ「とかなんとか言ってるけど、だんだん声が小さくなってきたわよ?」

キョン「そんなことは……」

ハルヒ「本当にやめてもいいの? 本当はやめて欲しくないんでしょ?」

キョン「そんなわけ……ああっ! ないだろ……あっ、あっ!」

197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 06:56:59.66 ID:C+acH7oj0

ハルヒ「あら、そう。やめてほしいの。じゃあ、やめるわ」

キョン「……え?」

ハルヒ「どうしたの、その物欲しそうな顔は」

キョン「いや、別に……」

ハルヒ「あんたの言うように、やめてあげたのに、どうして不満そうな顔してるの?」

キョン「そんなことは……」

ハルヒ「もっと続けて欲しい?」

キョン「ええと……」

ハルヒ「続けて欲しいなら、ちゃんとお願いしなきゃ駄目よ?」

キョン「お、お願い?」

ハルヒ「俺のマンコをぐちゃぐちゃにしてください、って言いなさい」

キョン「馬鹿か! そんなこと言えるわけないだろ!」

ハルヒ「じゃあ、そっちの方はいったんお預けにするわね。でも、自分のチンコをよく見て御覧なさい」

キョン「これは……! どうして俺のチンコが大きくなってるんだ!」

199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 07:04:18.80 ID:C+acH7oj0

ハルヒ「分かったでしょ? 身体は正直なのよ」

キョン「うう……。俺のチンコが大きくなるところなんて、初めて見た」

ハルヒ「大丈夫よ。私だって初めてだから。チンコって、気持ちいいわよね」

キョン「おい、何をするんだ」

ハルヒ「チンコをしごいてあげているの」

キョン「何のためにそんなことするんだ!」

ハルヒ「あんたを気持ちよくしてあげるためよ」

キョン「別に、気持ちよくなんかは、ない……」

ハルヒ「本当に? これでも?」

キョン「何で舐めるんだよ! 汚いぞ!」

ハルヒ「別に汚くなんかないわ。それに、私は、キョンの綺麗なところも汚いところも、全部好きなの」

キョン「狂ってる……。お前はおかしい」

ハルヒ「いいえ。おかしくなんかないわ。おかしいのは、この世界の方なのよ」

200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 07:09:45.06 ID:C+acH7oj0

キョン「どうしてそんなことが言えるんだ!」

ハルヒ「だって、こんなに気持ちいいんだもの。こんなにキョンが欲しいんだもの。
    この気持ちが、この感情が、間違っているはずないわ。そろそろ、いいでしょう」

キョン「おい、これ以上何を……!」

ハルヒ「あんたの口からマンコをぐちゃぐちゃにしてください、
    って言わせることはできなかったけど、もう我慢できないの」

キョン「痛い痛い痛い! そんなに大きいの入らないってば!」

ハルヒ「ああ、キョンの中、あったかいわ」

キョン「ぐわああああああああああああああっ」

ハルヒ「……キョン?

    キョン、返事をしなさいよ。

    返事をしろって言ってるでしょ!

    ……ああ、やっぱり、この世界の人類には、無理だったのね。
    まさか、キョンが死んじゃうなんて。
    ……もう、いいわ。私も少しは満足したし、消えちゃえ。

    こんな世界、消えちゃえ」

204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 07:16:21.40 ID:C+acH7oj0






ハルヒ「キョン、あんた精子になりなさいよ!」

キョン「精子って、何?」

ハルヒ「またそれか」

キョン「また?」

ハルヒ「そう、股よ股。あんたの股にぶら下がっているチンコから出るもののこと」

キョン「チンコって、何?」

ハルヒ「え……」

キョン「どうして黙るんだ」

ハルヒ「えーと、さすがの私も、混乱してるの。今までのどの世界でも、キョンにはチンコがついていたから」

キョン「何を言ってるのかさっぱり分からん。疲れてるのか?」

ハルヒ「ええ、そうね。疲れているのかもしれないわね」

206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 07:23:53.49 ID:C+acH7oj0

キョン「じゃあ、今日はもう家に帰って寝ろよ。朝比奈さんたちには、俺から伝えておくから」

ハルヒ「ありがとう……って、本当に帰りそうになっちゃったじゃないの、馬鹿!」

キョン「何で怒られなきゃいけないんだ……」

ハルヒ「本当に、チンコが何なのか分からないの?」

キョン「沖縄のお菓子」

ハルヒ「それはちんすこう」

キョン「あぽぉ」

ハルヒ「それは林檎」

キョン「氷」

ハルヒ「それはカチンコチン」

キョン「在日韓国・朝鮮人が経営し、毎年何人もの赤ちゃんを熱中症で死なせている」

ハルヒ「それはパチンコ」

キョン「犬の」

ハルヒ「それはチンチン」

209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 07:33:14.96 ID:C+acH7oj0

キョン「サイコロを3つ」

ハルヒ「それはチンチロリン」

キョン「子宝ちんすこうにおまけとして同梱されているカルタ」

ハルヒ「それはちんことわざカルタ」

キョン「博多のミュージカル風コメディ映画」

ハルヒ「それはちんちろまい」

キョン「本気で」

ハルヒ「それはガチンコ。どうやら、本当にチンコが何なのか知らないみたいね」

キョン「マジで何なの?」

ハルヒ「どう言えばいいのかしら……。マンコは分かる?」

キョン「スイス及びフランスにまたがる、中央ヨーロッパのうち二つ目に大きい三日月形の湖?」

ハルヒ「そのボケは予想していたけど、違うわ。もうマンコの話は忘れなさい」

キョン「何て我儘な女なんだ」

ハルヒ「チンコっていうのはね、男の股間についているもののことなの」

210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 07:42:45.08 ID:C+acH7oj0

キョン「俺の股間には、そんなものないけど」

ハルヒ「そうなのよね。それが問題なのよ。ねえ、受精って分かる?」

キョン「俺を」

ハルヒ「それは自制」

キョン「世の」

ハルヒ「それは時世」

キョン「時代」

ハルヒ「それは時勢」

キョン「自分」

ハルヒ「それは自省」

キョン「なんてハイレベルな女なんだ! たった2文字で俺の言いたいことが分かるなんて!」

ハルヒ「それはともかく話を進めるけど、この世界ではどうやって赤ちゃんを作るの?」

キョン「決まってるだろ。受粉だよ」

ハルヒ「私にとっての私。関西とそれ以外では意味が違う」

キョン「それは自分」

211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 07:46:55.40 ID:C+acH7oj0

ハルヒ「いいの。分かってて言ってるから」

キョン「あ、そう」

ハルヒ「もしかして、キョンの股間には、おしべがあるの?」

キョン「あるよ」

ハルヒ「そこから、花粉を飛ばすの?」

キョン「飛ばすよ」

ハルヒ「私の股間には、めしべがあるの?」

キョン「あるんじゃないの?」

ハルヒ「私のめしべが、花粉を受粉するの?」

キョン「するんじゃないの?」

ハルヒ「お願い、少しはボケてよ。本当に頭が痛くなってきたから」

キョン「いや、だって小学校で習う内容だし……」

ハルヒ「ああ、そうなんでしょうね。でも、私は初めて知ったのよ」

キョン「もしかして、記憶喪失って奴か?」

214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 08:02:33.49 ID:C+acH7oj0

ハルヒ「私から見れば記憶喪失になっているのはキョンの方なんだけどね」

キョン「俺の記憶は連続しているぞ」

ハルヒ「本当に? あんた、自分が生まれたときのことを憶えてる?」

キョン「さすがにそれは無理だけど……」

ハルヒ「最初の記憶はいつぐらい?」

キョン「3歳くらいかな」

ハルヒ「だいたいみんな、そう言うのよね」

キョン「赤ちゃんから3歳くらいまでは短期記憶しかないから、憶えていられないんだろ。
    長期記憶ができるようになるのが3歳くらいと言われている」

ハルヒ「でも、それって、本当なのかしら」

キョン「何を言い出すんだ」

ハルヒ「本当に記憶は連続しているのかしら? 例えば、虚偽記憶というものがある。
    催眠術の誘導によって引き起こされた、嘘の記憶。
    UFOの目撃談や心霊体験なんかは、これが原因だって説もあるのよ。
    他にも、世界五分前創造仮説というものがあるわ。世界はたった五分前にできたのではないか、
    という考え方。その場合の記憶も、誰かに作られた記憶ということになるわね」

216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 08:08:59.18 ID:C+acH7oj0

キョン「古泉からそんな話を聞いたことがあるな」

ハルヒ「そう、古泉君も……」

キョン「その作られた記憶っていうのが、さっきからのお前の不審な行動と関係があるのか?」

ハルヒ「うん……。私には、キョンを殺した記憶があるの」

キョン「はあ? 俺は生きてるぞ」

ハルヒ「そうなのよね。だから、その場合、キョンを殺したという記憶は、作られた記憶ということになるわ」

キョン「あれだろ。夢でも見たんだろ」

ハルヒ「もしかすると、この世界の方が夢なのかもしれない」

キョン「頬をつねってみろ」

ハルヒ「実はもう、こっそり腕で試したけど、痛かったわ」

キョン「じゃあ、夢じゃないんだろ」

ハルヒ「でも、夢の中で一週間も、私が産んだ卵を抱いていた記憶もあるの。一週間も夢を見続けるなんてことがある?」

キョン「人間が卵を産むわけないだろ。それこそ夢だよ」

ハルヒ「股間におしべを生やしてる奴に言われると、説得力ないわ……」

218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 08:19:18.48 ID:C+acH7oj0

キョン「な、何だよ! 股間におしべが生えてちゃいけないのかよ!」

ハルヒ「いけなくはないけど……」

キョン「お前だって、股間にめしべを生やしているくせに!」

ハルヒ「そうなのよね……」

キョン「何か、妙にテンション低いな」

ハルヒ「何だか疲れちゃって」

キョン「疲れたときは花でも咲かせるのが一番だぞ」

ハルヒ「それなんだけど、種子植物って、普通はおしべとめしべがセットになってるのよね」

キョン「そうだな」

ハルヒ「あんたにもめしべがあるの?」

キョン「ないよ」

ハルヒ「そう。よかった。一つ前の世界と被るところだったから」

キョン「か、被ってちゃいけないのかよ!」

ハルヒ「え……? 被るという単語にそれだけ過剰反応するってことは、もしかして、あんた、包茎なの?」

220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 08:27:03.08 ID:C+acH7oj0

キョン「包茎で悪かったな!」

ハルヒ「別に悪くないわよ。私、どっちかって言うとズル剥けより仮性包茎の方が好きだし」

キョン「まるで見慣れてるみたいだな……」

ハルヒ「もう2回もキョンのチンコを見たんだけど、どっちも仮性包茎だったから」

キョン「だからチンコって何なんだよ。俺にはそんなものないって言ってるのに」

ハルヒ「そう。でも、おしべが包茎って、どういう状態なのか気になるわね」

キョン「別に普通だよ。日本人の七割は包茎だし、外国人だって割礼をしなければ包茎の方がずっと多いんだし。
    つまり、包茎こそが男のあるべき姿なんだよ」

ハルヒ「その男のあるべき姿を見てみたいわ」

キョン「え、マジ?」

ハルヒ「私は真面目よ。ずっと前の、子孫を残すためにキョンを食べないといけなかった世界よりはマシだから。
    私、この世界に希望を持ちたいの。そのためには、キョンのおしべを見る必要があるわ」

キョン「俺のおしべを見せたら、お前のめしべも見せてくれるか?」

ハルヒ「いいわよ。どうせ、私の本当の身体じゃないし」

221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 08:35:20.24 ID:C+acH7oj0

キョン「いまいち言っていることがよく分からないんだけど」

ハルヒ「深く考えないで。深く考えたら負けよ」

キョン「とにかく、俺は、お前のめしべを見たい」

ハルヒ「だったら、早くズボンを脱いでよ」

キョン「焦るなよ……。どうだ、これが俺のおしべだ」

ハルヒ「立派だわ」

キョン「本当か?」

ハルヒ「ええ。とっても素敵よ。少なくとも見た目はチンコと変わらないし」

キョン「だからチンコって何だと何回言えば」

ハルヒ「私、もっと植物っぽいのを想像してたから、安心したわ」

キョン「人間と植物は違うし。俺たちは植物じゃなくて動物なんだから」

ハルヒ「そうなのよね。今、納得したわ」

キョン「さあ、俺はおしべを見せたぞ。約束どおり、お前のめしべを見せろ」

ハルヒ「分かったわよ。……何なのこのスカート。どうやって外すの?」

225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 08:47:31.00 ID:C+acH7oj0

キョン「お前のスカートなんだから、俺が知るわけないだろ」

ハルヒ「じゃあ、あんた、ちょっとスカートを捲り上げてて」

キョン「お安い御用」

ハルヒ「よし。パンツを脱ぐわよ……」

キョン「おお! これは!」

ハルヒ「どう?」

キョン「とっても綺麗なめしべだ」

ハルヒ「私にも見せて」

キョン「お前は見慣れてるだろ」

ハルヒ「ところが、実は見るの初めてなの。……なーんだ、見た目はマンコと変わらないじゃない」

キョン「これはまだ蕾の状態だからな」

ハルヒ「つぼみ?」

キョン「そうだ。このままだと、このめしべは受粉できないんだ。花を咲かせないと」

ハルヒ「花を咲かせるには、どうすればいいの?」

229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 08:55:39.18 ID:C+acH7oj0

キョン「エロいことをするんだよ。そうすれば、自然に花が咲く」

ハルヒ「その前に聞いておきたいんだけど、一度花を咲かせたら枯れちゃうなんてことはない?」

キョン「花が役目を終えたら、また蕾の状態に戻る」

ハルヒ「それを聞いて安心したわ」

キョン「じゃあ、早速エロいことをしようか。おっと、その前に鍵をかけないとな」

ハルヒ「わざわざ鍵をかけるなんて……」

キョン「お前以外の奴には、俺のおしべを見せたくないからな。
    お前だって、自分のめしべを古泉とかには見せたくないだろう?」

ハルヒ「ああ、普通はそうなのよね。今までの世界がぶっ飛んでたから、いつの間にかどうでもよくなってたわ」

キョン「相変わらず何を言ってるのかよく分からんが、さっそく受粉しようぜ!」

ハルヒ「受粉、してもいいの?」

キョン「え。したくないの? ここまで俺をその気にさせておいて! 俺を弄んだのか!?」

ハルヒ「そりゃあ受粉したいけど、でも……」

232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 09:03:30.42 ID:C+acH7oj0

キョン「でも、何だよ」

ハルヒ「受粉したら、赤ちゃんできちゃうよね」

キョン「できるよ」

ハルヒ「避妊とかしなくてもいいのかな?」

キョン「後のことを心配するなんて、ハルヒらしくないな」

ハルヒ「そうね。確かに私らしくないけど、私も今まで、後先考えずにキョンを食べたり卵を産んだり、
    キョンをレイプしたりして、酷い目に遭ったから、色々と不安になってきたの」

キョン「それは夢の話だろ? これは現実なんだから、うまくいくさ」

ハルヒ「そう……。そうよね! 私、キョンと受粉したい!」

キョン「よく言った! ハルヒ、愛してるぞ!」

ハルヒ「私も愛してるわ! んっ……! キョンって、意外とキスが上手なのね」

キョン「服を脱がせるのも上手なんだぜ?」

ハルヒ「……本当だ。さては、妹さんで練習したな?」

234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 09:09:18.85 ID:C+acH7oj0

キョン「馬鹿。妹の名前とか出すな。萎えるだろ」

ハルヒ「はいはい……」

キョン「ハルヒって、胸大きいよな」

ハルヒ「みくるちゃんには負けるけどね」

キョン「いやいや。大きさがすべてじゃない。凄く魅力的だよ」

ハルヒ「きゃっ! いきなり机に押し倒さないでよ。冷たいじゃない」

キョン「分かったよ。下に上着を敷けばいいだろ?」

ハルヒ「うん、これならいいわ。……ちょっ! 乳首を吸うなら先に一言言ってよ!」

キョン「でも、ほら。だんだん蕾が開いてきただろ?」

ハルヒ「え? ……本当だ。大きくなってきた」

キョン「胸を揉むとどうなるかな?」

ハルヒ「あ……」

キョン「気持ちいいか?」

ハルヒ「うん、何かいい感じ……」

236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 09:14:25.65 ID:C+acH7oj0

キョン「はぁ、はぁ……」

ハルヒ「何か、凄くめしべが熱くなってきたわ」

キョン「もうそろそろだな」

ハルヒ「ちょっと! どこに顔をうずめてるのよ!」

キョン「めしべを舐めるのは、基本中の基本だから」

ハルヒ「あっ、あっ……。そんなところ舐めないでよ。汚いでしょ?」

キョン「綺麗だよ、ハルヒ」

ハルヒ「本当に? 臭くない?」

キョン「凄くいい匂いだよ」

ハルヒ「え? あ、本当だわ。爽やかな香水みたいな匂いが、私の鼻まで届いた」

キョン「もう少しで花が咲くな」

ハルヒ「花が咲いたら、キョンのおしべを挿入してくれるのね」

キョン「……え?」

ハルヒ「……え?」

238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 09:22:49.16 ID:C+acH7oj0

キョン「めしべに挿入って、どういう意味?」

ハルヒ「私、何か変なこと言っちゃった?」

キョン「もう一度確認するけど、俺たちは今、受粉をしようとしてるんだよな」

ハルヒ「うん。キョンのおしべから花粉が飛んできて、私のめしべに受粉するんだったっけ?」

キョン「花粉を飛ばすとは、どういう行為か分かってるのか?」

ハルヒ「ああ……そうか。花粉を空気中に放出するのね」

キョン「正確には、お前のめしべに近い位置で、だけどな」

ハルヒ「うん、分かった。それでいい」

キョン「それと、何か勘違いしてるみたいだけど、めしべには挿入できるような穴はないからな」

ハルヒ「分かったわ」

キョン「代わりに、アナルに挿入することになる」

ハルヒ「やっぱり挿入はするんじゃないの!」

キョン「硬いこと言うなよ、ってか。おしべだけに」

ハルヒ「全然うまくないし。でも、アナルセックスって、何か痛そう」

キョン「大丈夫だよ。ちゃんとローション持ってるから」

246 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 09:39:19.99 ID:C+acH7oj0

ハルヒ「ローションだけ?」

キョン「だけって……」

ハルヒ「浣腸とかはしないの?」

キョン「してほしいの?」

ハルヒ「だって……アナルって、ウンコを出すところよ?」

キョン「でも、意外とアナルって清潔なんだぜ」

ハルヒ「でも……」

キョン「いいからいいから」

ハルヒ「ちょっと、ローション冷たい……」

キョン「すぐに温まるよ」

ハルヒ「痛っ!」

キョン「人差し指しか入れてないんだけど」

ハルヒ「でも痛かったの! もう少し優しくしなさいよ!」

キョン「分かった。……これでどうだ?」

ハルヒ「うん。今度は、あまり痛くなかった」

248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 09:48:06.62 ID:C+acH7oj0

キョン「じゃあ、しばらくこのままの状態でほぐすからな」

ハルヒ「恥ずかしい……」

キョン「でも、花は咲きかけの状態を維持してるぞ?」

ハルヒ「……キョンの意地悪。あっ、急に動かさないでよ」

キョン「動かさないと慣れないだろ」

ハルヒ「うう……。ねえ、何か臭くない?」

キョン「そう? 俺は気にならないけど」

ハルヒ「やっぱりアナルセックスとか無理!」

キョン「どうして」

ハルヒ「さっきまでお花のいい匂いしかしなかったのに、これじゃあ……」

キョン「分かったよ。2、3回浣腸すれば、臭いはしなくなるから安心しろ」

ハルヒ「ありがと。でも、浣腸する道具とかあるの?」

キョン「これがある」

ハルヒ「これって……空っぽになったゼリー飲料の容器? まさかあんた、これで……?」

261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 10:52:14.59 ID:OpSpvuLp0

キョン「そうだ。これでお腹の中を綺麗にしてやるよ」

ハルヒ「そんなもので浣腸できるの?」

キョン「あまり知られていないけど、ゼリー飲料の容器というのは、浣腸に向いているんだ。
    まず、水を入れた容器を握り潰すだけで、水を腸内に入れることができる。
    容器の出入り口も、口を怪我しないように滑らかになっているし、細いから挿入しやすい。
    最後に、一番いいのが、使い捨てにできるから、清潔だという点だ」

ハルヒ「く、詳しいのね……」

キョン「男なら誰でも知っていることだよ」

ハルヒ「そ、そうなんだ」

キョン「まずは、空にした容器に水を入れる。ちょうど、朝比奈さんが用意した、お茶用の水があるから、それにしようか」

ハルヒ「水を入れて?」

キョン「空気を抜く」

ハルヒ「そこらへんは注射器と同じなのね」

キョン「まあ、そうだな。そして、先っぽの方を少しだけ挿入する。押し当てるだけでも充分だ」

ハルヒ「うっ、冷たい……」

262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 10:59:49.97 ID:OpSpvuLp0

キョン「我慢しろ」

ハルヒ「うん……。何か変な感じ。冷たい水が逆流していくのが分かる……」

キョン「おっと、少し漏れた。どうやら、もう入らないみたいだな」

ハルヒ「そうね。もう無理かも」

キョン「じゃあ、抜くけど、漏らさないようにアナルをキュッと引き締めろよ」

ハルヒ「わ、分かったわ」

キョン「よし、抜いたぞ」

ハルヒ「いつまで我慢すればいいの?」

キョン「限界まで我慢するんだ」

ハルヒ「マジで? もう既に漏らしそうなんだけど」

キョン「容器を探すから、ちょっと待ってろ」

ハルヒ「早くしてよ!」

キョン「えーと……このカップラーメンの容器でいいか。リサイクルできるように洗ってあるし」

ハルヒ「何でもいいから早くして!」

265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 11:04:20.04 ID:OpSpvuLp0

キョン「よし、もう漏らしてもいいぞ」

ハルヒ「漏らすって言うな! 出すって言いなさいよ!」

キョン「同じことだろ」

ハルヒ「精神的に違うのよ!」

キョン「はいはい。……おお、いい出しっぷりだな」

ハルヒ「下痢のときの感覚に似てる。でも、まだ水しか出てないみたいだけど」

キョン「まあ、そのうち分かるさ。……水は全部出し切ったな」

ハルヒ「でも、まだ出そう。……うっ」

キョン「よしよし。いっぱい出たな」

ハルヒ「こんなに出るとは思わなかったわ。ただの水なのに」

キョン「じゃあ、もう一回やるか」

ハルヒ「しょうがないわね……。早くしてよ」

キョン「――よし。二回目も入れたぞ」

ハルヒ「やっぱり我慢しなきゃ駄目?」

キョン「駄目」

270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 11:09:28.66 ID:OpSpvuLp0

ハルヒ「……はぁ、はぁ。もういいでしょ?」

キョン「もうちょっと我慢できるだろ?」

ハルヒ「本当にもう無理! 一回目よりも二回目の方がキツイの!」

キョン「括約筋が活性化してるから、しょうがないか。出してもいいぞ」

ハルヒ「はぁ、はぁ……。ふう!」

キョン「今回は実は出なかったな」

ハルヒ「水の色も殆ど透明になったし、もういいんでしょ?」

キョン「ああ、これでだいぶ違うぞ。腸の中が濡れて、滑りもよくなったし」

ハルヒ「でも、浣腸って意外と臭いはないのね」

キョン「水で薄めるし、出てくるものの温度が下がるから、臭いが少なくなるんだよ」

ハルヒ「一つ勉強になったわ」

キョン「じゃあ、アナルセックスの続きをやろうか」

ハルヒ「優しくしてね……」

キョン「まずは、さっきと同じ指一本」

ハルヒ「不思議だわ。さっきはあんなに痛かったのに、今度は平気みたい」

271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 11:14:07.24 ID:OpSpvuLp0

キョン「じゃあ、今度は指二本だ」

ハルヒ「うーん……。今度は、やっぱり痛いかな」

キョン「じゃあ、このまましばらく待とうか」

ハルヒ「ちょっと! 待とうかとか言いながら、めしべ舐めないでよ!」

キョン「ふふ、どうだ? アナルに指を入れられながらめしべを舐められるのって、感じるだろ?」

ハルヒ「確かに、指がなかったときよりも気持ちいいけど……」

キョン「さらに、乳首もつねってやる」

ハルヒ「痛いわ!」

キョン「どこが?」

ハルヒ「乳首が!」

キョン「普通に軽くつねっただけなんだけど、敏感になってるんだな」

ハルヒ「そうなのかも……」

キョン「おお! 花が咲いたぞ!」

ハルヒ「え? あ、本当だ。人間の花って、綺麗なのね。色もピンクだし、本物の花みたい」

キョン「植物の花なんかより、ハルヒの方がずっと綺麗だよ」

273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 11:19:17.54 ID:OpSpvuLp0

ハルヒ「気障ね。でも、花が咲いたら、痛みがなくなったわ」

キョン「みたいだな。さっきから指を三本入れてるのに気付いてないみたいだし」

ハルヒ「いつの間に……。でも、怒る気にもなれないわ」

キョン「もういいだろ。俺のチンコを入れるぞ」

ハルヒ「うん……。ちゃんとローションはたっぷり塗ってね」

キョン「もちろん」

ハルヒ「何だか、頭がぼんやりする。今なら、何をされても気持ちいいかも……あっ!」

キョン「まだ先っぽしか入ってないぞ」

ハルヒ「ゆっくり入れてね」

キョン「もちろん」

ハルヒ「あっ、あっ、あっ、あっ、あぁぁっ」

キョン「よーし、奥まで入ったぞ」

ハルヒ「急に動かさないでね。しばらく慣らして」

キョン「任せろ」

ハルヒ「とか言いながら、胸を揉むのね。もう、エッチなんだから……」

274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 11:26:39.53 ID:OpSpvuLp0




キョン「花が満開になったな」

ハルヒ「キョン! 愛してるわ!」

キョン「俺もだ! ……ああ、おしべから花粉が出そうだ!」

ハルヒ「出して! 花粉を思いっきり私の花に振りかけて!」

キョン「うおおっ! イク! 送粉る!」

ハルヒ「はぁ、はぁ……」

キョン「……ふぅ」

ハルヒ「終わったのね」

キョン「ああ、終わったよ」

ハルヒ「凄くよかったわ」

キョン「そうか。よかった。俺も男として鼻が高いよ」

ハルヒ「これで、何ヶ月か待てば、赤ちゃんが生まれるのね」

キョン「そういうことだ。まあ、俺たちは赤ちゃんの姿を見ることはできないけどな」

ハルヒ「……え? どういう意味?」

276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 11:34:20.75 ID:OpSpvuLp0

キョン「どういう意味って……。もしかして、お前、そんなことも忘れたのか?」

ハルヒ「今までの世界の例からして、嫌な予想しかできないんだけど、あえて聞くわ。何のこと?」

キョン「花が咲いて、受粉したら、どうなる?」

ハルヒ「それは、実がなって――。え? 実がなる?」

キョン「そうだ。実がなるんだ」

ハルヒ「わけが分からないわ。人間の実がなるだなんて」

キョン「正確には、人間の実じゃないけどな。赤ちゃんになるのは、どの部分だと思う?」

ハルヒ「それは、果肉の部分じゃなくて、種だけど……」

キョン「そうだ。種だ」

ハルヒ「種のままじゃ、人間にはならない? 一度、どこかに埋める必要があるの?」

キョン「普通の地面に埋めても駄目だ。特別な土壌でないと、芽が出ない」

ハルヒ「それはどこ? どこに埋めればいいの?」

キョン「今、地球の環境が破壊され続けていることは、お前も知っているだろ?」

ハルヒ「まさか、人間に育つ土壌が、全部汚染されてしまった、とか言わないわよね?」

キョン「何だ、知っていたのか」

279 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 11:41:08.11 ID:OpSpvuLp0

ハルヒ「……嘘よ。私は信じない」

キョン「もう十年以上も、子供が生まれていない。毎日のようにニュースでやってるだろ?」

ハルヒ「そんなの知らなかったわよ! どうして言ってくれなかったの!?」

キョン「まさか、知らないわけがないと思ったから……」

ハルヒ「本当に、種をどこに埋めても赤ちゃんにはならないの?」

キョン「ならないよ。世界中の人たちが実験してるけど、いまだに芽が出る土壌は発見されていない」

ハルヒ「本当に駄目なの? 例えば、特別なビニールハウスの中とかでも駄目なの?」

キョン「空気も水も土も、全てが汚染されてしまったからな。もう、俺たち人類は滅びる運命なんだよ」

ハルヒ「嘘よ! あんたは父親になりたくなくて私を騙そうとしているだけなのよ!」

キョン「嘘だと思うなら、インターネットで検索してみれば?」

ハルヒ「……そのパターンは、前にも経験したわ。やっぱり、本当なのね。……あは」

キョン「ハルヒ?」

ハルヒ「あはははははっははははぁあはぁはぁはぁhぁはははhぁはははぁはぁ!」

キョン「ハルヒ、大丈夫か?」

ハルヒ「死んじゃえ! みーんな死んじゃえ! 人間なんか、みんな滅びればいいんだ!」

284 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 11:54:13.14 ID:OpSpvuLp0






ハルヒ「キョン、あんた精子になりなさいよ!」

キョン「それは不可能だ」

ハルヒ「え?」

キョン「人間が精子になることは不可能だと言っている」

ハルヒ「今回のキョンは、やけに冷静で気持ち悪いわ」

キョン「人間に向かって精子になれという女の方が気持ち悪いけどな」

ハルヒ「しかも、何か冷たい……。こんなのキョンじゃない」

キョン「あいにく、俺は子供の頃からこういう性格だった」

ハルヒ「もういいわ。とにかく、この世界のあんたは、精子が何なのか知っているのね?」

キョン「この世界とはどういう意味だ?」

ハルヒ「精子を差し置いてそっちに食いつくキョンも初めてだわ。……今回は期待できるかもしれない」

キョン「逆に聞きたいんだが、どうしてお前はそんなに精子に拘るんだ?」

ハルヒ「赤ちゃんを作るために必要なものだからよ!」

287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 12:04:20.85 ID:OpSpvuLp0

キョン「その考え方は、時代遅れだと思われる」

ハルヒ「本当に腹立つわね、その喋り方。時代遅れってどういう意味よ?」

キョン「赤子を作るのには、必ずしも精子は必要ではない」

ハルヒ「どうして? じゃあ、どうやって赤ちゃんを作るの?」

キョン「生物の細胞を採取し、その細胞の構造を科学的に変化させて培養すれば、赤子を作ることができる」

ハルヒ「それって、つまり、クローンってこと?」

キョン「何だ。知っているじゃないか」

ハルヒ「それって、もう実用化されているの?」

キョン「もちろんだ。第一、俺もお前も、クローンだからな」

ハルヒ「……え? 私もあんたも、クローン人間? 今回はやけに展開速くない?」

キョン「作者が疲れてきているのだろう」

ハルヒ「そうね。もうずっと起きっ放しで書いてるからね。今回も寝落ちしそうで怖いわ」

キョン「だから我々には早く完結させる義務があるのだ。お前も協力しろ」

ハルヒ「私はずっと頑張ってるわよ! っていうか、それをいつも邪魔してるのがキョンなんじゃん!
     それで? 私やあんたを含めて、この世界にはどれくらいのクローン人間がいるの?」

キョン「正確な数字は不明だが、ざっと68億人というところだな」

289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 12:12:39.82 ID:OpSpvuLp0

ハルヒ「ろくじゅう……はちおくにん? それって、私の知ってる世界人口と一致するんだけど」

キョン「一致するのは当然だ。生き残っている人間は、全員クローン人間だからな」

ハルヒ「またしても、酷い世界だわ……。何なの? もうまともな世界はないの?」

キョン「世界世界と、さっきから何を訳の分からないことを言っているんだ」

ハルヒ「あんたには関係ないわ」

キョン「関係ないことはないだろう。話してみろ」

ハルヒ「どうせ信じないわ」

キョン「お前を信じるか信じないかは、俺が決めることであって、お前が決めることではない」

ハルヒ「ああもうこのキョンは本気でウザいわね! いいわよ、話してあげるわよ!」

キョン「まあ、実を言うと、想像はつくけどな」

ハルヒ「……え?」

キョン「どうせ、色んな並行世界を経験したとか言うつもりなんだろう?」

ハルヒ「当たっているわ……。どうして分かったの?」

キョン「これだけヒントを与えられて、分からない方がどうかしている」

ハルヒ「うわ、これまでに登場したキョン全員を一言で全否定しちゃったよこの人」

292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 12:26:03.92 ID:OpSpvuLp0

キョン「とにかく、これまでに渡り歩いた世界のことを説明してみろ」

ハルヒ「ええと……最初は、コウノトリと人間が共生している世界だったわ。
     共生と言っても、私には、人間がコウノトリに支配されているようにしか見えなかったんだけどね。
     でも、キョンも古泉君もみくるちゃんも、みんな共生してるって信じてたわ。

     次の世界では、人間が妊娠を豚に肩代わりさせている世界だった。
     キョンは、自分の産みの親である豚に対して何の感情も抱いていなかったから、吐き気がしたわ。

     三つ目の世界は、赤ちゃんを作るために男を食べないといけない世界だった。
     私はキョンを食べている途中で、嫌になって逃げ出してしまった。

     四つ目の世界は、人間の女は毎日卵を産む世界だった。
     私は、キョンに精子をかけてもらった卵を抱えて逃げ惑った。
     でも、結局、最後にはキョンと古泉君とみくるちゃんに見つかってしまい、卵も駄目になっていた。

     五つ目の世界は、人間が無性生殖をする世界だったわ。
     私は、キョンが私に対して興味を抱いていないことに腹を立て、キョンをレイプして殺してしまった。

     六つ目の世界は、人間が植物のように受粉する世界だったわ。
     でも、環境汚染のせいで子孫を残すことができなくて、人類は滅亡する寸前だった。

     七つ目の世界が、今いる、クローン人間の世界よ」

キョン「お前の話には、いくつか興味深い点がある」

ハルヒ「何よ?」

キョン「まず、お前は一つ目の世界がコウノトリの世界だと思い込んでいるようだが、それは違う。
     その前に、もう一つ、別の世界を経験しているはずだ」

298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 12:35:21.70 ID:OpSpvuLp0

ハルヒ「どういう意味?」

キョン「コウノトリの世界が一つ目の世界であるはずがないんだ。
     なぜなら、お前はその世界に違和感を覚えているんだからな。
     コウノトリの世界に行く前に、全く別の世界を経験しているはずなんだ」

ハルヒ「あ――。そうか。そうよね。あまりにも当たり前だったから、つい……」

キョン「言い忘れていたのか?」

ハルヒ「そう。言い忘れていたの。一つ目の世界より、もっと前。
     ゼロ番目の世界といってもいいものを、私は十六年間、経験し続けていたんだわ」

キョン「その世界は、どんな世界だったんだ?」

ハルヒ「男女が愛し合い――っていうと、語弊があるわね。
     別に、男同士や女同士で愛し合ったってかまわないんだから。
     とにかく、人間同士が愛し合う世界があった。男が女の膣の中に射精して、
     女が十ヶ月かけてお腹の中で赤ちゃんを育てる世界があったのよ」

キョン「お前は、その世界が唯一の常識だと思い込んでいたようだが、それは違う。
     これまでに経験した他の六つの世界も、そしてこのクローン世界も、同列なんだ」

ハルヒ「同列……。どれが優れていて、どれが劣っているというわけではないということ?」

キョン「そうだ。たまたま、最初の世界を十六年も経験したため、その人間が受精して妊娠する世界を、
     一番高位な存在の世界であると考えるようになっただけだ」

ハルヒ「人間が受精して妊娠する世界、ね。言われてみると、そうかもしれないけど……」

303 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 12:46:40.45 ID:OpSpvuLp0

キョン「そしてもう一つ。ゼロ番目の世界と、この世界を除いた、六つの世界。
     その六つの世界に、全く登場しなかった人物がいるんじゃないのか?」

ハルヒ「それは、私も気付いていたわ。理由は分からないけど、有希は――
     長門有希は、一度も、私の前に姿を現さなかった。
     私やキョンや古泉君やみくるちゃんが存在しているなら、有希がいないわけがないのに」

キョン「その通りだ。特に、卵を産み続ける世界では、お前は逃亡していたんだろう?
     その逃亡劇に、長門有希のような能力を持つ人物が登場しないのは、不自然すぎる」

ハルヒ「有希こそが、私が体験している、平行世界移動の鍵を握る人物……」

キョン「そう考えて間違いないと思う」

ハルヒ「ねえ、この世界の有希は、どこにいるの?」

キョン「それは……」

ハルヒ「あからさまに怪しいわね。隠し事はしない方がいいわよ?」

キョン「この世界の長門有希は、

    もう、死んでいる」

ハルヒ「……もう一回言って」

キョン「この世界の長門は、もう死んだんだ」

ハルヒ「そう……。でも、それはこの世界に限っての話よね」

309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 12:58:56.66 ID:OpSpvuLp0

キョン「おそらく、そうだろう。今まで聞いた話から考えると、この世界の長門有希は、あまりにも特殊すぎたからな」

ハルヒ「特殊って、どういう意味?」

キョン「もう何度も話したように、ここは、クローン人間の世界なんだ」

ハルヒ「有希は、クローン人間ではない、オリジナルな人間だったということ?」

キョン「そう思われていた。今となっては、それが真実だったのかどうか定かではないが……」

ハルヒ「さっぱり分からないわ。オリジナルな人間でないなら、どうして目立つの?」

キョン「『我々四人』ではない人間だったからだ」

ハルヒ「我々四人? それって、何を指している言葉なの?」

キョン「六十八億の人間を指して、『我々四人』と呼んでいる」

ハルヒ「まさか、この世界には――」

キョン「そう、ある意味では、この世界には、たった四人の人間しか存在しないも同然なんだ」

ハルヒ「六十八億の人間は、四種類の遺伝子しか持っていない、ってこと?」

キョン「そうだ。通称、Kタイプ。それが俺だ。ちなみに、お前はHタイプ」

ハルヒ「もう予想がつくわ。古泉君がIタイプで、みくるちゃんがMタイプなんでしょ?」

キョン「飲み込みが早くて助かる」

315 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 13:12:16.85 ID:OpSpvuLp0

ハルヒ「私、キョン、古泉君、みくるちゃんの四人しかいない世界に、
     五人目の人物が登場したら、そりゃあ目立つわよね」

キョン「長門有希の出現は、全世界でニュースになった」

ハルヒ「で? どうせ、有希を捕まえて、拷問したり実験したりしたんでしょ?」

キョン「そこまで野蛮なことはしていないが……」

ハルヒ「でも、結果として、有希は死んだ。そうなんでしょ?」

キョン「悲しいが、それは事実だ」

ハルヒ「本当に悲しいと思っているの?」

キョン「悲しいさ! 他のKタイプにとっては、有希は希少動物くらいにしか見えなかったんだろう!
     でも、俺にとっては、かけがえのない友人だった! ……長門は、何度も、俺を助けてくれたのに。
     俺は、何もできなかった。長門を助けることが、できなかった」

ハルヒ「キョン……。無神経なこと言って、悪かったわ」

キョン「……そろそろ、正体を明かしてもいいかな」

ハルヒ「え?」

キョン「俺は、キョンじゃないんだ」

ハルヒ「でも、あんたは確かにキョンよ!」

キョン「忘れたのか? この世界には、俺と同じ顔をした人間が、約17億人もいるんだぜ?」

318 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 13:20:21.66 ID:OpSpvuLp0

ハルヒ「キョンじゃないなら……あんたは、何のためにキョンのふりをしてたの?」

キョン?「お前を観察するためだ」

ハルヒ「道理で。最初からこの世界のキョンはキョンらしくないと思っていたのよね。
     はっ! 笑わせてくれるわね! さっきの有希に対する気持ちは、嘘だったのね?」

キョン?「それは嘘じゃない」

ハルヒ「どうだか。私と同じように、観察対象くらいにしか思ってなかったくせに」

キョン?「そんなことは、ない。俺はキョンじゃないけど、キョンと同じ記憶を共有しているんだ。
      だから、長門と友人だったのも、俺の記憶の中では、真実なんだ」

ハルヒ「何を言ってるのか全然分からないわ」

キョン?「俺は、スペアなんだよ」

ハルヒ「スペア……」

キョン?「俺の記憶のオリジナルであったキョンは、長門を救出しようとする際に、殺された。
      そのスペアとして、死んだキョンの記憶を生みこまれたのが、俺なんだ」

ハルヒ「でも、元々のあんたの記憶は、どこに行っちゃったの?」

キョン?「俺には、オリジナルの記憶なんて、最初から存在しなかった。なあ、俺、何歳に見える?」

ハルヒ「私の知ってるキョンと同い年くらいに見えるから……十六歳?」

キョン?「生後三ヶ月だ」

321 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 13:29:22.25 ID:OpSpvuLp0

ハルヒ「生後三ヶ月で、そんなに大きくなれるものなの?」

キョン?「いや、なれないよ」

ハルヒ「いきなり前言撤回?」

キョン?「お前は、人間が受精して妊娠する世界の常識で考えているから、混乱するんだろう」

ハルヒ「この世界の常識で考えればいいってこと?」

キョン?「そうだ。この世界の常識の生後三ヶ月とは、どんなものだと思う?」

ハルヒ「分かったわ。つまり、この世界では誕生の時期を自由に操ることができるのね?
     あなたは、人間を培養する機械か何かの中で、十六年近く過ごしたのね?」

キョン?「そういうことさ」

ハルヒ「どうしてそんな無駄なことをするの?」

キョン?「無駄ではないさ。このクローン世界においては、それは効率的なんだよ」

ハルヒ「死んだ人間の記憶を、別の人間に植え付けることの、どこが効率的なのよ」

キョン?「クローン世界において、もっとも重要視されるものは、何だと思う?」

ハルヒ「さあ……遺伝子かしら?」

キョン?「それは、ある意味では正しいかもしれないな」

ハルヒ「もったいぶってないで、さっさと言いなさいよ!」

325 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 13:37:43.29 ID:OpSpvuLp0

キョン?「クローン世界において、最も重要なのは、個性だよ」

ハルヒ「個性……?」

キョン?「そうだ。お前は、オリジナルしかいない世界に長く住んでいたから想像できないのかもしれないが、
      この世界には四種類の遺伝子しかないんだ。しかし、同じ遺伝子を持っている人間でも、
      考え方や、趣味、嗜好、能力などが異なっている。それこそが個性であり、かけがえのないものなんだ」

ハルヒ「でも、その個性は、培養する機械の外にいれば、あんたにだって芽生えたはずじゃない。
     個性を重んじる世界のはずなのに、個性を否定するなんて、どう考えても矛盾してるわ」

キョン?「だから、何度も言っただろう。俺は、そのためのスペアだったのだと。
      この世界では、オリジナルの記憶を持つ人間が18歳になるまでに死亡した場合に限り、
      予め余分に培養されていたクローンに記憶を植えつけるんだよ。死んだ子供の個性を保持するためにな」

ハルヒ「それが、効率? 間違ってるわ。そんな考え方、間違っている」

キョン?「そうだな。間違っているんだろうな。でも、この世界では、それが常識だったんだ。
      だから、誰も間違いに気付かなかった。正しいことなのか間違っていることなのか、
      ということすら考えなかった。それを壊したのが、長門有希という個体だった」

ハルヒ「有希が――」

キョン?「『我々四人』以外の、五人目の存在。それは、世界を揺さぶった。彼女が何もしなくても、
      世界を変貌させてしまうほどに強く。……彼女は、自分は観察者であると言った。
      その通りだった。長門は何もしなかった。何もしなかったのに、世界は滅茶苦茶になった」

ハルヒ「世界は――どうなったの」

キョン?「もうすぐ、この世界は滅びる」

329 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 13:44:56.63 ID:OpSpvuLp0

ハルヒ「どうして、世界が滅びなきゃいけないの?」

キョン?「長門有希の出現によって、みんなが同時に、気付いてしまったからだよ」

ハルヒ「何に」

キョン?「人間は、平等であるということに」

ハルヒ「それは――いいことなんじゃないの?」

キョン?「本当に、いいことだと思うか?」

ハルヒ「思うわよ。ゼロ番目の世界でも、昔は、奴隷がたくさんいた。……いえ、
     今でも一部の国にはいるけど、でも、世界中の殆どの人が、奴隷制度は悪いことだって気付き始めた。
     そして、ほんの少しだけかもしれないけど、世界は平和になったわ」

キョン?「それは、本当に、世界の平和だったのか?」

ハルヒ「違うの……?」

キョン?「よーく思い出すんだ。本当に、世界は平和だったのか」

ハルヒ「そう言われると、自信がなくなるけど……」

キョン?「少なくとも、この世界では、平和にはならなかった。今でも、培養機の中には、俺のようなスペアが、
      何万人も眠っている。彼らに向かって、俺たちは平等な人間なんだ、って言ったら、どうなると思う?」

ハルヒ「感謝されるんじゃないの?」

キョン?「その逆さ。恨むんだよ。憎むんだよ。どうして今まで俺たちを虐げていたんだ、ってな」

332 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 13:54:27.26 ID:OpSpvuLp0

ハルヒ「そして、世界は――」

キョン?「そうだ。世界のあちこちで、戦争が勃発した。さっき、俺は世界人口は68億人だと言ったが、
      それは非常事態宣言が出される前のデータだ。おそらく、もう殆どが死んだだろう」

ハルヒ「今も、戦争中なの?」

キョン?「そうだよ。今も世界中で同じ顔をした人間同士が殺し合っている」

ハルヒ「だったら、止めなきゃ! 戦争を止めなきゃ!」

キョン?「そうしようとした個体もいた。俺のように、争いを好まない個体も多かった。でも、全てはもう手遅れだ」

ハルヒ「またなの? 何で私は、死にかけている世界にばかり飛ばされるの?」

キョン?「それはおそらく、お前が望んだことだからだ」

ハルヒ「望んだ? 私が?」

キョン?「そうだ。お前は、本当は、死にたがっているんじゃないのか?」

ハルヒ「死にたがっている。私が」

キョン?「俺には、そう思えてならないよ」

ハルヒ「どうして」

キョン?「自分とキョンの子供という存在に対する、異常なまでの執着。それは、役目を果たしたら、
      自分は死んでもいいんじゃないか、という狂った理論から導き出されたものに思えるからさ」

336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 14:04:10.70 ID:OpSpvuLp0

ハルヒ「そんなこと、ないわ」

キョン?「それはどうかな? 例えば、この狂ったクローン世界。この世界では、
      お前はキョンとの子供を作ることができるか? いいや、できない!
      この世界では、お前の世界で言うセックスをしても、子供は生まれない。
      受精卵が作られない。だから、クローンで子孫を残すしかなくなったんだ。それに」

ハルヒ「それに?」

キョン?「本物のキョンは――お前が本物であると感じることのできるキョンは、この世界には、もういない」

ハルヒ「でも、私は、あんたのことだって、嫌いじゃないわ」

キョン?「キョンと同じ顔をしているから? キョンと同じ記憶を共有しているから? どっちも偽物だよ」

ハルヒ「身体や記憶は偽物かもしれないけど、今ここにいるあんたの感情。それだけは、本物よ」

キョン?「どうしてそんなことが言えるんだ! 知らないくせに! 俺の気持ちなんか、何一つ分からないくせに!」

ハルヒ「分かるの……。私の魂が、あんたはキョンだって、教えてくれるの」

キョン?「魂が?」

ハルヒ「そう。馬鹿みたいに聞こえるかもしれないけど……」

キョン?「魂なんてものは存在しない。仮に存在したとしても、代替のきくものだ。クローンのように」

ハルヒ「あら? その常識を打ち破ったのが、長門有希だったんじゃないの?」

キョン?「それは……」

339 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 14:09:33.80 ID:OpSpvuLp0

ハルヒ「私が保証する。あんたは、この世界にも、いいえ、他の世界にも代わりなんかいない、オリジナルだって」

キョン?「俺は、オリジナルなんかじゃない」

ハルヒ「たとえ最初はコピーでも、生きているうちに、オリジナルに進化したのよ」

キョン?「ありがとう……」

ハルヒ「分かってくれた?」

キョン?「自分はオリジナルだと思って死ねるなら、幸せだよ」

ハルヒ「全然分かってない!」

キョン?「痛い! 何をするんだこの馬鹿女!」

ハルヒ「痛かったでしょ!? 頬を殴られたら痛かったでしょ! でも、叩いた私の手の平だって、痛かったんだから!」

キョン?「はあ?」

ハルヒ「つまり、私が言いたいのは、そういうこと」

キョン?「ごめん。さっぱり話が見えない」

ハルヒ「説明が欲しい?」

キョン?「欲しい」

ハルヒ「えーと、つまり……あれ? 私にも、よく分からなくなっちゃった」

340 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 14:14:28.84 ID:OpSpvuLp0

キョン?「くっ……」

ハルヒ「え?」

キョン?「くっ、くっ、くっ……。お前を見てると、真面目に悩んでいるのが馬鹿らしくなる」

ハルヒ「それはよかったわ」

キョン?「でも、お前が何を言いたかったのかは、分かったような気がするよ」

ハルヒ「ほ、本当?」

キョン?「俺は、お前が死にたがっているんじゃないかと言った。それは、鏡に映った俺自身だったんだろ?」

ハルヒ「えーと――うん! そう! そうなのよ! よく分かったわね!」

キョン?「お前の言うように、俺は死にたかった。でも、少しだけ、明日も頑張ろうかな、って思えてきた」

ハルヒ「それはよかったわ……」

キョン?「でも、もう一度、よく考えて欲しい。どうしてお前は、そんなにも、キョンと子供を作ることに執着しているのか」

ハルヒ「執着……」

キョン?「そこに、全ての答えがあるような気がする」

ハルヒ「全ての答え……」

キョン?「きっと、忘れているだけだ。逃げているだけだ。思い出すんだ。ゼロ番目の世界のことを」

344 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 14:21:07.62 ID:OpSpvuLp0

ハルヒ「ゼロ番目の世界」

キョン?「ゼロ番目の世界で、何があった?」

ハルヒ「私は――駄目。思い出せない」

キョン?「何度も言うが、これまでにお前が渡り歩いた世界は、お前が望んだ世界だったんだ」

ハルヒ「私が、望んだ世界」

キョン?「お前は、ゼロ番目の世界とは生殖の方法が異なっている世界を望んでいたはずだ」

ハルヒ「……そうかもしれない」

キョン?「男と女がセックスをして、受精卵を作り、妊娠して子供を産む世界。お前はその世界を拒んだんだ」

ハルヒ「世界を拒んだ」

キョン?「だから、逃げ出した」

ハルヒ「逃げ出した」

キョン?「もう、分かっているんだろう?」

ハルヒ「……うん。分かっちゃった。私――ゼロ番目の世界でも、キョンとセックスをして、受精卵を作って、
     子供を産みたかったんだよね。でも、他の世界同様、その夢は叶わなかった。だから、逃げ出した」

キョン?「たったそれだけの理由で、こんなにも遠回りするなんて、お前らしいよ」

348 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 14:26:55.71 ID:OpSpvuLp0






ハルヒ「キョン、あんた精子になりなさいよ!」

 ちょっと言ってみただけだった。

 思いつきで、ふざけて言っただけだった。

 キョンの困る顔が見たかっただけだった。

 でも、キョンは本気にした。本気で傷ついた。

キョン「はっ? お前何言ってるのか分かってるのか?」

 そう言われても、私はまだ、キョンが傷ついているとは思わなかった。

ハルヒ「分かってるわよ! 精子になりなさい」

 私は意地悪なことを言い続けた。いつもの口喧嘩の延長のつもりだった。

キョン「無理だ! 精子にはなれん!」

ハルヒ「人間やる気になればやれるわ! あんたはやる気がないだけ!」

 もちろん、冗談だった。

 でも、キョンは本気で怒りだした。

350 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 14:33:34.62 ID:OpSpvuLp0

キョン「じゃあ、なってやるから、その服脱ぎやがれ!」

ハルヒ「キャーッ!」

 キョンは私の制服を破り捨てるように脱がす。

 キョンにこんな力があるなんて思ってもみなかった。
 きっと、今までは本気を出していなかっただけだったのだろう。

 キョンは私のパンティに手を伸ばす。

ハルヒ「キョンごめん。冗談だから、もうやめよ、ねっ?」

キョン「はぁ? 聞こえねえな? 俺は精子だから人間語は分からねえよ!」

ハルヒ「ごめんなさい……。ごめんなさい……」

 私は必死に謝った。
 でも、キョンは懇願する私を無視して私のパンツを無理矢理脱がす。
 脱がしている間、私は抵抗を滅茶苦茶に振り回して抵抗したが、精子になりきるキョンには効かなかった。

ハルヒ「いや……。やめて……! もう許して!」

キョン「僕、精子! 人間の言葉わからない、でも、仕事は受精……」

 キョンが狂った。
 きっと、私は、キョンの傷を土足で踏みにじってしまったのだ。

357 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 14:39:59.69 ID:OpSpvuLp0

 キョンは力で捻じ伏せて、私の性器を露わにした。

キョン「マンコ濡れてる! 入る準備完了! 侵入する!」

 なぜか片言になったキョンが、ますますおかしなことを言い出した。
 濡れていない。
 こんな状況で濡れるはずがないのに。

ハルヒ「いやあああぁ! やめてええ! もう、堪忍して……」

 私が泣き叫んでも、キョンは狂った行動をやめなかった。

 キョンは、私の性器に頭を付けると、グリグリと動かして侵入を試みる。

ハルヒ「痛い! 痛い! やめて!」

 私がどんなに叫んでも、いや、叫べば叫ぶほど、キョンは執拗にグリグリとこすりつけてくる。

ハルヒ「痛いよぅ……。誰か助けて。お母さん……」

 古泉君も有希もみくるちゃんも、どうして来てくれないのだろう。

キョン「誰も助けに来ない、受精するまで終わらない、これ精子の仕事、頑張る」

 入るわけがないのに、キョンは頭をグリグリし続ける。

精子「僕、入らない、どうして? 精子入らない」

ハルヒ「入るわけないじゃない! だから、もうやめて!」

368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 14:46:17.16 ID:OpSpvuLp0

 突然、キョンはグリグリするのをやめた。
 グリグリするのをやめ、頭を私の性器へ向けて打ち付ける。

ハルヒ「ぎゃ……いや……うぐぅ……ぐえっ……」

 私の口から、蛙の鳴き声のような音が飛び出す。

 キョンはガンガンと私の性器へ頭を叩きつける。
 そのたびに、私の口から変な声が漏れる。
 キョンは頭を打ち付けるのをやめ、私の顔を覗き込んだ。

精子「どーちて、入らないの? 入りたいよオマンコに、受精したいよ卵子に」

ハルヒ「バカキョン! そんなでかい精子があるわけないじゃない、考えれば分かるでしょ!」

 私の言葉が聞こえないのか、キョンは私の性器にさらに頭を打ち付ける。
 このままでは私が壊れてしまう!
 キョンはとっくに壊れてるからいいけど。

精子「侵入、侵入、侵入、侵入、侵入」

ハルヒ「やめてえ! やめて、壊れちゃうよ……」

 キョンは一瞬、私の性器を凝視した後、何事もなかったかのように狂った行動を再開する。

ハルヒ「助けて……。お母さん、お父さん。いい子になるから……」

精子「お母さんもお父さんも助けに来ない、なぜならここは部室だから」

374 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 14:52:53.64 ID:OpSpvuLp0

精子「あなたが欲しいのは、キョン精子? キョンチンコ? どちら?」

 きっと、キョンは、その質問によって、何かを決定しようとしていたのだろう。

 私を許そうとしてのかもしれないし、正気を取り戻そうとしていたのかもしれない。

 そんなキョンに対して、私は、最悪の言葉を放ってしまった。

ハルヒ「意味分かんない、どっちも嫌よ! 今すぐやめて、私の前から姿消してよ!
     冗談も分からない変態野郎の顔なんて二度と見たくない」

 キョンの顔に不吉な笑みが浮かんだ。
 それは、幼稚園児が笑っている仮面を作ろうとして失敗したような、グロテスクな笑顔だった。

 キョンは両方の手の指を、私の性器へ入れた。

ハルヒ「きゃああああああっ! いゃあああぁぁぁっ! 指入れないで!」

 私が叫んでも、キョンは裂くように指に力を入れた。

ハルヒ「ぎゃああああああああああああああっ! 裂ける! 私のマンコが裂ける!」

 キョンはさらに指先と腕に力を込める。
 私の性器からは、メリメリと今にも裂けそうな音が聞こえる。

ハルヒ「痛い……。私のマンコが壊れてく……。助けて……」

 キョンは私のマンコに頭を押し付けると、指と腕に信じがたい力を込めて広げた。
 そのときだった。
 大きな裂ける音がして、キョンの頭が私の中に入った。

404 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 15:32:29.23 ID:OpSpvuLp0

>>374の続き。





キョン?「ようやく、思い出したんだな。ゼロ番目の世界で起こったことを」

ハルヒ「思い出したわ……。私は、ゼロ番目の世界で、キョンに殺されたんだ……」

キョン?「お前は、その事実をなかったことにしたかった。だから、別の世界に逃げた」

ハルヒ「でも、どうしてそのことを忘れていたのかしら?」

キョン?「おそらく、長門の仕業だろう」

ハルヒ「有希が? 有希にはそんな能力があったの?」

キョン?「ああ、長門は何でもできるんだ」

ハルヒ「元の世界にいたときなら笑い飛ばしていたでしょうけど、今なら信じられるから怖いわ」

キョン?「長門にとんでもない能力があったのは、本当だぞ」

ハルヒ「でも、有希は、何のために私の記憶を消したの?」

キョン?「それは、お前に、やり直して欲しかったからじゃないかな」

ハルヒ「やり直す……」

407 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 15:41:06.35 ID:OpSpvuLp0

キョン?「そうだ。お前は、この8つの世界を渡り歩いて、何かを掴み取ったはずだ」

ハルヒ「私は――キョンが好き」

キョン?「他には?」

ハルヒ「男の人を、馬鹿にしてはいけない……」

キョン?「も、もうちょっとマシなことは学ばなかったのか?」

ハルヒ「キョン、あんた精子になりなさいよ! なんて言ったけど、あれは、
     本当はキョンとエッチなことしたかっただけだったの。もっと素直になればよかった」

キョン?「くだらない教訓で、実にお前らしいよ」

ハルヒ「でも、どうしてキョンは、たったあれだけの言葉で狂っちゃったのかしら?」

キョン?「きっと、過去にとんでもないトラウマがあったに違いない」

ハルヒ「そのトラウマを、なかったことにすることが、私にできないかな?」

キョン?「どうやって……」

ハルヒ「気付いたんだけど、今まで移動してきた世界って、日時が違っていたのよね。
     ゼロ番目の世界にとっての過去になったり未来になったりしていた」

キョン?「それは、世界そのものが違うからだろ?」

ハルヒ「それだけじゃないはずよ。この平行世界移動には、タイムトラベルの力もあるんだわ」

410 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 15:49:08.25 ID:OpSpvuLp0

キョン?「でも、それは長門の力で――」

ハルヒ「キョン、もう誤魔化さなくてもいいわ」

キョン?「な、何を……」

ハルヒ「確かに、ゼロ番目の世界の記憶を消したのは有希だったけど、
     世界を渡り歩く能力は、私自身の能力。そうなんでしょ?」

キョン?「正確には、自分に都合のいいように世界を再構築する能力、だけどな」

ハルヒ「ああ、それが私の能力なの。でも、同じようなものよ」

キョン?「全然違うんじゃないか?」

ハルヒ「だって、今まで私が渡り歩いてきた世界は、過去も未来も存在していたもの。きっと、私以外の誰かが、
     再構築して、放ったらかしにしておいた世界が、これまでの世界だったんでしょう」

キョン?「その世界に紛れ込んでしまったのが、お前だと?」

ハルヒ「そうよ。……私、もう行かなきゃ。キョン、ありがとう。あんたに会えてよかったわ」

キョン?「行ってしまうのか……。そうだよな。お前は元々、この世界の人間じゃないんだもんな」

ハルヒ「元気でね」

キョン?「ああ、元気で」

ハルヒ「私、今まで何度も『こんな世界、もういらない』って言っちゃったけど、今はそうは思わないわ。
     どの世界も、かけがえのない、素晴らしい世界だったんだって、そう思う。でも、私は、私の世界を取り戻しに行く」

413 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 15:58:44.67 ID:OpSpvuLp0





ハルヒ「キョン、待って! 行っちゃ駄目!」

小学生のキョン「……お姉ちゃん、誰?」

ハルヒ「私は、通りすがりのヒロインよ」

キョン「変なのー。バカみたい」

ハルヒ「馬鹿でも何でもいいわ。とにかく、谷川君の家に行っちゃ駄目よ」

キョン「どうして? 谷川と遊ぶ約束してるのに」

ハルヒ「谷川君の家には、今、谷川君のお父さんの浮気相手が待ち伏せしているの。
     でも、谷川君本人は、居残り授業をさせられているから、帰って来ない。
     そこへ、あなたが遊びに行くと、どうなると思う? 谷川君のお父さんの浮気相手は、
     あなたを、谷川君だと思い込んでしまうの。そして、恐ろしいことをされる……」

キョン「恐ろしいことって?」

ハルヒ「谷川君のお父さんの浮気相手に、チンコを切り落とされちゃうのよ」

キョン「ひえー! お姉ちゃん、想像力が豊かだね! 小説家になりなよ」

ハルヒ「信じてくれなくてもいいの! でも、谷川君の家には行かないで! 何年もかけて、
     やっと見つけた歴史の分岐点が、今のこの時間だったのよ。今、あなたを止めないと、
     高校生になったあなたは恐ろしいことをしてしまうの」

422 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 16:09:47.53 ID:OpSpvuLp0

キョン「恐ろしいことって?」

ハルヒ「チンコのなくなったあなたは、男性ホルモンを投与して、他の人に知られないようにして生活していた。
     でも、。高校生になったあなたは部活に入るんだけど、美人な団長にこう言われるの。
     『キョン、あんた精子になりなさいよ!』ってね。あなたは、秘密を知られたと思い込み、逆上する。
     そして――美人な団長を殺して、自分も自殺してしまうの」

キョン「……そんな馬鹿な話、信じられると思う?」

ハルヒ「でしょうね。こんな簡単に信じてくれたら、私も苦労しないの」

キョン「僕、もう行くよ」

ハルヒ「待って! 今、谷川君の家には、警察が向かっているわ」

キョン「警察って、パトカー? お姉ちゃんが呼んだの?」

ハルヒ「そうよ。不法侵入は、犯罪だから」

キョン「僕みたいないたいけな少年を騙すのも犯罪なんだよ! 知らないおじさんにはついていっちゃいけません、
    って先生が言ってたもん!」

ハルヒ「知らないおじさんについていくのは駄目だけど、知らないお姉さんについていくのはいいのよ」

キョン「……そうなの?」

ハルヒ「そうよ。今から、私の言うことが本当だって証明してあげる。私と一緒に、谷川君の家に行きましょう」

431 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 16:18:26.10 ID:OpSpvuLp0

キョン「え? 谷川君の家に行っちゃ駄目なんじゃなかったの?」

ハルヒ「もちろん、家の中に入るのは駄目よ。私とキョンは、玄関が見える場所に隠れるの。
    そして警察がやって来て、谷川君のお父さんの浮気相手を連行するまでのところを、
    私と一緒に見るのよ。それだけでいいの」

キョン「そうしたら、この手を離してくれる?」

ハルヒ「……ええ、あんたを自由にするわ」

キョン「分かったよ。谷川君の家は、こっちだよ」

ハルヒ「そう」

キョン「そういえば、お姉ちゃん、どうして僕の渾名を知ってるの?」

ハルヒ「……そのうち、分かるわ」

キョン「そのうちって、いつ?」

ハルヒ「あんたが大人になったら」

キョン「大人って……。自分だって、まだ高校一年生くらいでしょ?」

ハルヒ「高校生は、もう大人よ」

キョン「ガキ」

ハルヒ「ガキのあんたに言われたくない!」

435 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 16:26:33.94 ID:OpSpvuLp0

キョン「あそこが谷川君ちだよ」

ハルヒ「そう。じゃあ……あの塀の影に隠れましょうか。いい? 私の手を離すんじゃないわよ」

キョン「自分が勝手に握ってるくせに……」

ハルヒ「だって、手を離したら、どこか遠いところに行っちゃいそうなんだもの」

キョン「あ、本当にパトカーが来た」

ハルヒ「そりゃあそうよ。通報したんだから」

キョン「インターホンを鳴らしてるけど、誰も出ないじゃないか。嘘つき」

ハルヒ「警察もそこまで馬鹿じゃないわよ。まあ、見てなさいって」

キョン「……あ。家の影から、警官と女の人が出てきた」

ハルヒ「警察は、予め裏口から出てきた容疑者を捕まえるために、わざとインターホンを鳴らしたのよ」

キョン「あれが、谷川君のお父さんの浮気相手? あんな美人が、どうしてハゲ親父と浮気なんか……」

ハルヒ「男女の恋愛っていうのは、他人には分かんないものなのよ。私だって、冴えない巻き込まれ型を
     好きになっちゃったんだから……。一度好きになっちゃったら、もうその人しか見えなくなっちゃうのよ」

キョン「僕、そんな薄汚れた大人にはなりたくないな」

ハルヒ「あんたはならなくていいわよ! じゃあ、私、もう行くわね」

キョン「うん……。お姉ちゃんの言ったこと、本当だったね。僕を助けてくれたんだ。ありがとう!」

437 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 16:31:54.19 ID:OpSpvuLp0






ハルヒ「キョン、あんた精子になりなさいよ!」

キョン「……あれ?」

ハルヒ「どうしたの、ぼんやりしちゃって」

キョン「ずっと昔に、同じ台詞をどこかで聞いたことがあったような気がして」

ハルヒ「はあ? 寝ぼけてるの? 醤油で顔洗ってきたら?」

キョン「……なあ、さっきの台詞、どういうつもりで使ったんだ?」

ハルヒ「さっきの台詞って?」

キョン「キョン、あんた精子になりなさいよ! っていう奴。何なの? 俺の精子が欲しいの?」

ハルヒ「……い」

キョン「え?」

ハルヒ「欲しい」

キョン「え」

ハルヒ「キョンの精子が欲しいわ! だから、今すぐセックスしましょう!」

439 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 16:39:33.12 ID:OpSpvuLp0

キョン「え、マジで?」

ハルヒ「これは団長命令よ! 逆らったら罰金よ罰金!」

キョン「なあ、ハルヒ。落ち着け」

ハルヒ「何よ。私とセックスしたくないって言うの?」

キョン「違うんだ。俺は、もっとちゃんとした形で付き合いたいんだ」

ハルヒ「ちゃんとした形?」

キョン「そうだ。まずは、二人で手を繋いでデートして、家まで送ったら別れ際にキスをして、
     って、そんな感じの付き合い方をしたいんだ」

ハルヒ「……どうしてそうなった」

キョン「昔、俺の友達の家で、危うく刃傷沙汰が起きるところだったんだ」

ハルヒ「それで?」

キョン「幼かった俺は、誓ったんだ。女の人を怒らせると怖いから、プラトニックな愛し方をするぞ! って」

ハルヒ「信じられない……」

キョン「ハルヒ?」

ハルヒ「何でキョンって、そういう見当違いな考え方ばっかりするの!? もう、キョンなんか大っ嫌い!」

キョン「俺、怒らせるようなこと言ったかな……?」

445 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 16:42:17.42 ID:OpSpvuLp0

今回はこれで終わり。

でも、質問あったら受け付けるよ。

477 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 17:31:20.99 ID:OpSpvuLp0

>>476
先に言っておくがオチなんて考えてない。

長門「卵を産んだ」

キョン「そうか」

長門「卵を産んだと言った」

キョン「もしかして、精子を振りかけて欲しいのか?」

長門「そう」

キョン「長門! 本当にすまない! 今日はもう、ハルヒの卵に射精しちゃったんだ」

長門「……そう」

キョン「おい古泉」

古泉「何ですか?」

キョン「長門の卵に精子をかけてやってくれ」

古泉「お安い御用です」

長門「いい」

古泉「……え?」

長門「(キョンを見つめて)あなたの精子が欲しい」

479 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 17:37:00.51 ID:OpSpvuLp0

古泉「おやおや。僕では役者が不足していたようですね」

キョン「長門。俺はもう、今日は射精しちゃったと言ってるだろ?」

長門「分かった」

キョン「分かってくれてありがとう」

長門「あなたが一日に二回以上射精することができるようにすれば問題ない」

キョン「全然分かってねえ!」

長門「……そう」

キョン「おい、長門、そんなに落ち込むなよ。明日はお前の卵に精子を振りかけてやるから」

長門「……本当?」

キョン「本当だ」

長門「約束」

キョン「おう、約束だ」

482 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 17:43:52.21 ID:OpSpvuLp0

キョン「……ん? 長門? ああ、そうか。昨日の約束か」

長門「今から卵を産むから、新鮮なうちに精子をかけて」

キョン「今、ここで、産むのか?」

長門「……駄目?」

キョン「ここは、俺の教室なんだけど……」

長門「みんな教室で産んでいる」

キョン「いや、それは、自分の教室で、だろ? 長門の教室で産むんなら問題ないんだけどな」

長門「違いが分からない」

キョン「なぜかというとだな……」

谷口「おおっ! 長門さんじゃないか! 何々? 今から卵産むの?」

キョン「こういう奴がいるからだよ」

483 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 17:49:30.80 ID:OpSpvuLp0

長門「分かった。昼休みまで待つ」

キョン「悪いな。昼休みには、俺も部室に行くから」

谷口「おいキョン! お前のせいで、せっかくの排卵シーンが不意に!」

キョン「お前は少し黙れ」




A子「長門さん、何か様子がおかしくない?」

B子「そわそわしてるよね……」

A子「トイレ行きたいのに、恥ずかしくて言えないのかな?」

B子「まさか、卵を産むのを我慢してたりして」

A子「まさか〜。あの何でも完璧にこなす長門さんに限って、それはないよ」

B子「そうだよね。長門さんなら、卵を産む時間とかも計算して計画的に産んでそうだもんね」

A子「私、10分でも卵を産むの我慢するなんて、耐えられない」

B子「私なんて5分も我慢できないよ」

教師「こらそこ! おしゃべりするな!」

485 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 17:54:06.68 ID:OpSpvuLp0

キョン「やっと四時間目の授業が終わったか」

国木田「あれ? キョン、どこに行くの?」

キョン「部室」

谷口「こいつ、あの長門の卵に精子ふりかけにいくんだぜ! 羨ましいよなあ」

朝倉「ふう〜ん。キョン君と長門さんって、そういう関係だったんだぁ」

キョン「お前らには関係ないだろ!」

朝倉「でも、涼宮さんが物凄く不機嫌そうにしてるわよ? いいの?」

キョン「いいんだよ。ハルヒの卵には昨日精子をかけたからな」

朝倉「モテる男は、言うことが違うわねえ」

キョン「いちいち引っかかる言い方するな」

朝倉「いい? 自分の彼氏が他の女の卵に精子をふりかけて喜ぶ女なんていないのよ?」

キョン「俺とハルヒは、別に付き合ってないし」

朝倉「だったら、私の卵に精子かけてよ。さっきからずっと我慢してるんだから」

キョン「どうしてそうなるんだよ。朝倉、邪魔だぞ」

486 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 17:58:59.21 ID:OpSpvuLp0

谷口「俺でよければ――」

朝倉「ねえ、キョン君。私って、魅力ない?」

谷口「無視ですかそうですか」

キョン「朝倉は普通に美人だと思うよ。でも、俺は長門のところに行かないと」

朝倉「よくも私を……!」




キョン「あれ? おかしいな……。この廊下は、さっき通ったはずなのに。引き返すか」



キョン「おかしい。何度行ったりきたりしても、部室に辿り着けない」

朝倉「やっと気付いた?」

キョン「お前の仕業か!」



長門「まだかな……。苦しい」

489 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 18:09:06.55 ID:OpSpvuLp0

キョン「お前……。長門に情けをかえられて生き延びたくせに!
    まだ俺をつけ狙っていたのか!」

朝倉「ああ。あなたを殺して、涼宮ハルヒの出方を見るって奴?
    あんなの、もうどうでもいいの」

キョン「じゃあ、何の用だ」

朝倉「私、あなたが好きです。付き合ってください!」

キョン「馬鹿なこと言ってないで、さっさとここから出せ!」

朝倉「キョン君……」

キョン「そんな子犬のような濡れた目をしても駄目だ! 長門が待ってるんだから」

朝倉「私の卵に精子をかけてくれたら、ここから出してあげるわ」

キョン「どう見てもピンポイントで長門に嫌がらせしているようにしか見えないんだが。
    恩を仇で返すとはこのことだな。それにしても、そろそろ長門が助けにきて――」

朝倉「長門さんなら来ないわよ。自分の卵に意識を集中させているでしょうから」



長門「うう……。彼が来る前に産むべきか。しかし、卵は鮮度が命。
    新鮮な卵じゃないと、食べてもらえない」

493 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 18:18:44.46 ID:OpSpvuLp0

みくる「あれ、長門さん?」

長門「…………」

みくる「昼休みなのに、珍しいですね」

長門「……読書」

みくる「あ、私は、卵を産みに来たんです。私が卵を産もうとすると、
    男子に囲まれて身動き取れなくなっちゃうから、いつも分娩室で産んでるですけど、
    今日は混んでたから……。いいですか?」

長門「いい」

みくる「じゃあ、遠慮なく。……はぁ、はぁ」

長門「…………」

みくる「うーんっ! あっ、あっ、あああああっ!」

長門「…………」

みくる「見てください。こんなに綺麗な形の卵を産んじゃいましたぁ」

長門「……そう」

みくる「えへへ。キョン君に精子かけてもらおうっと♪」

長門「…………!」

497 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 18:30:22.54 ID:OpSpvuLp0

谷口「キョンの奴、おせえなあ」

国木田「このままだと、お弁当を食べる時間がなくなっちゃうよね」

谷口「しょうがねえなあ。様子を見に行くか」

国木田「とか言って、長門さんの排卵を見たいんじゃないの?」

谷口「俺は単に、キョンが心配なだけなんだよ、うん」



C子「この分娩室ってさあ、狭くね?」

D子「うん、確かに。前はもうちょっと広かったような気がするんだけどね」

C子「一年とか、自分の教室で産めばいいのにね」

D子「本当よね。一年のくせに。私らは受験控えてるんだから、それくらい気を遣えって感じ」

A子「(小声で)どうする?」

B子「(小声で)出ようか?」

ハルヒ「この部屋が狭いのは、三年の私物が多いからなんじゃないの?」

C子「あんたは、一年の生意気な奴!」

ハルヒ「SOS団団長の、涼宮ハルヒよ。この分娩室は、学年に関係なく平等に使っていいはずなのに、
     先輩達の荷物が多いせいで、みんな狭くて迷惑してるんですけど?」

498 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 18:35:49.54 ID:OpSpvuLp0

谷口「うん? 何だ、これ? 見えない壁みたいなのがあって、廊下を先に進めない」



キョン「あれ? 谷口の声が聞こえたら、突然、閉鎖空間が弱まったような……」

朝倉「くっ……。まだ復活したばっかりで本調子じゃないから、外からの攻撃には弱いのよね」

キョン「そういうことか。おい谷口! 見えない壁に体当たりしろ!」



D子「一年のくせに、引っ込んでろよ!」

ハルヒ「何なら、忙しい先輩方に代わって、私が片付けてあげましょうか?」

C子「ちょっと! 勝手に人の荷物に触らないでよ!」

D子「ああっ、本棚が崩れちゃったじゃないのどうしてくれるのよ!」

ハルヒ「分娩室は、本棚を置いておく場所じゃないですから」

C子「こいつ……!」

D子「ちょっと待って。それどころじゃないわ。これ、何……?」

ハルヒ「これって、もしかして、隠しカメラ?」

501 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 18:42:30.58 ID:OpSpvuLp0

谷口「キョンか?」

キョン「そうだ! その見えない壁の向こうで、朝倉が卵を産んでるぞ!」

谷口「何だと!? 今行く!」



ハルヒ「女子の排卵を盗撮してる奴がいたなんて! これは事件だわ!
     SOS団の名を校内に知らしめるチャンスだわ!」

A子「うそーっ! 盗撮されてたなんて……」

B子「早くみんなに教えなきゃ!」

ハルヒ「待ちなさい! 教えちゃ駄目よ!」

A子「え、どうして?」

ハルヒ「このビデオカメラは電波で映像を飛ばすタイプのものじゃなくて、
    録画するものだから、必ず犯人はテープを取りに戻ってくるわ!
    そこを捕まえるのよ!」

A子「捕まえるって、どうやって?」

ハルヒ「SOS団が責任持って捕まえるわ!」



ハルヒ「あ、有希! みくるちゃんも! なーんだ部室にいたのね、捜しちゃったわよ」

502 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 18:49:55.80 ID:OpSpvuLp0

みくる「あれ〜? 涼宮さん、どうしたんですか?」

長門「…………」

ハルヒ「聞いてよ、大事件なの! 分娩室に隠しカメラを仕掛けた奴がいたの!」

みくる「ええっ! それはひどいですね!」

ハルヒ「そこで、その犯人を、私達で捕まえることにしたから!」

長門「…………!」

みくる「今から、ですか?」

ハルヒ「そうよ、今から。初動捜査が肝心だものね」

みくる「キョン君に精子をかけてもらうのは諦めますから、私はいいですけど……」

ハルヒ「え? 今日は、有希がキョンに精子をかけてもらうって約束してたんじゃないの?」

みくる「ええっ! そうだったんですか? やだ、私ったら、馬鹿みたい……」

長門「……もう終わった」

ハルヒ「終わったって、排卵が?」

長門「そう……」

ハルヒ「何か顔色悪くない? 本当に大丈夫なの?」

506 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 18:57:20.60 ID:OpSpvuLp0

長門「平気……」

ハルヒ「それならいいけど……。じゃあ、分娩室に移動しながら作戦会議よ」

みくる「分かりました」

ハルヒ「まず、カメラは今日の二時間目の途中から撮影されていたから、
    そのときのアリバイがない奴が犯人よ。学校中の教師、生徒のアリバイを調べなきゃ!」



朝倉「ふん、何よ。長門さんのところに行きたかったら行けばいいわ。バイバイ!」

キョン「谷口、お前のおかげで助かった」

谷口「っていうか、俺を騙したな? 排卵なんてしてねえじゃねえか!」

キョン「見えない壁とかを気にしない奴でよかったぜ……」

谷口「今から部室に行くのか?」

キョン「おう。長門が待ってるからな。早くしないと、昼休みが終わっちまう」



キョン「長門がいない……だと?」

谷口「どうせ、お前を諦めて、別の男に精子かけてもらいに行ったんだよ」

キョン「そうかな……。そうか、そうだよな」

511 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 19:07:54.54 ID:OpSpvuLp0

ハルヒ「何だか、思ったよりも収穫少なかったわね」

みくる「昼休みの後半だけでしたから、仕方ないですよ」

ハルヒ「あとは放課後に期待ね。ほらほら、二人とも、早く行かないと午後の授業に遅れるわよ!」

長門「はぁ、はぁ……」

 長門、突然、床に倒れる。

ハルヒ「有希!?」

みくる「大丈夫ですか!?」

ハルヒ「大変よ! 倒れた拍子に、卵がお腹の中で割れちゃったわ!」

みくる「そんな……! 今日の排卵は終わったって言ってたのに」

ハルヒ「きっと、私達に気を遣ったのよ。そんなことより、早く救急車を呼ばないと。
     みくるちゃんは、保健室の先生を呼んできて」

みくる「分かりました!」

長門「…………」

ハルヒ「え、何? ……キョンを呼んできて欲しいの?」




513 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 19:15:27.18 ID:OpSpvuLp0

長門「お願い……」

ハルヒ「分かったわ、任せなさい!」



キョン「午後の授業は嫌いな科目か……。寝よう」

ハルヒ「キョン! 大変よ! 有希が卵を産むのを我慢しすぎて倒れちゃったの!」

キョン「何だって!? そうか、あのときはきっとトイレにでも行ってたんだな。
    くそっ! 俺の馬鹿! どうして長門を信じてやれなかったんだ!」

ハルヒ「ちょっと、キョン! ……全くもう。どこで倒れているかも聞かないで走り出すなんて」



キョン「あれ? 部室じゃなかったのか? ……でも、卵は置いてあるな。これが長門の卵か。
    待ってろよ、今、精子をふりかけてやるからな!」



ハルヒ「あ、みくるちゃん。保健室の先生呼んできてくれたのね。ありがとう。次は、悪いんだけど、
     部室に行って有希の荷物を取ってきてあげて。私は、有希の教室へ荷物を取りに行くから」

みくる「分かりました」



みくる「あっ……キョン君。あの、それ……私が産んだ卵なんですけど」           終わり

514 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 19:18:01.31 ID:OpSpvuLp0

ひどい終わり方なのは分かってるけど、もう眠いから限界。

おやすみ。



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