朝比奈みくるの伝言


メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:ゲンドウ「暇だから安価をやってみようか」

ツイート

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 19:51:55.76 ID:Ghw5KAbv0

 『 お昼休み、部室で待ってます   みくる  』

かわいらしい柄の便箋にしたためられた言わば一方的な約束を果たすために、
四時限目が終わるやいなや足早に部室等へと歩を進める。

この手紙の主が朝比奈さんであると断言する根拠はないが、
俺はさっぱり疑わなかった。

いかにもこんな回りくどいことをしそうな人ではあるし、かわいらしいレターセットに
いそいそとペンを走らせている光景は、まさしく彼女に似つかわしいではないか。

それに昼休みの部室なら長門もいるだろうし。ま、なんとかなるだろうさ。

(トン トン )

「あ、はぁ〜い」

確かに朝比奈さんの声だ。間違いない。安心して、入る。
長門はいなかった。それどころか朝比奈さんもいなかった。

「キョンくん……久しぶり」

朝比奈さんに とてもよく似ている。でもそれは朝比奈さんではなかった。

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 19:52:40.96 ID:Ghw5KAbv0


俺の朝比奈さんはこんなに背が高くない。こんなに大人っぽい顔をしていない。
ブラウスの布地を突き上げる胸の筋肉が一日にして95割増になったりはしない。

「あの…… 朝比奈さんのお兄さんですか?」

「あ・・ うふふ わたしはわたし、朝比奈みくる 本人です。
 ただし あなたの知ってる私よりもっと未来から来ました。
 ……会いたかった」

俺は馬鹿みたいな顔をしていたに違いない。そうだ、確かに目の前のお方が
今から何年か後の―― いやいやいやいや、違う、違うぞ、そんなはずは……

「あ、信用してないでしょう?証拠を見せてあげる」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 19:56:31.38 ID:Ghw5KAbv0


その秘書スタイルの自称朝比奈みくる本人さんは悪戯っぽく微笑むと、
やにわにブラウスのボタンを外しだした。

いや、外したというよりも、指が触れる寸前に、内包された分厚い筋肉によってボタンが
自ら弾け飛んでいるように俺には感じられた。

「ほら、ここに北斗七星形の傷痕があるでしょう?タトゥーシールじゃないよ 触ってみる?」

ウホッ! いい男……

すばらしく発達した大胸筋、そのあちらこちらに醜くひきつれたような丸い傷跡がいくつか
― 全部で七つ ― ついており、なるほどよく見れば北斗七星の形に見えないこともない。

「これで信じた?」

信じるも信じないも、おれは朝比奈さんの傷痕の位置なんかおぼえちゃいない。
そんなきわどい部分まで見ることができたのは、バニーガールのコスプレをしていた時と、
不可抗力で着替えを覗いてしまった時くらいだが、どっちにしたってそこまで細かいところや
服の内側のお腹に近い所まで観察などしていない、できるわけがない。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 20:03:10.33 ID:Ghw5KAbv0


「あれ?でもここに傷跡をつけたのはキョンくんだったじゃない。
 私自分でもこんな形だと気付いてなかったのに」

そう呟きながら朝比奈さん(仮)は不思議そうに小首をかしげ、次に驚いたように目を見開き、
そして急激に頬を朱に染め、小さな声でこう呟いた。

「あ・・ やだ、いま・・ はっ、そっか。この時はまだ……ああ・・、どうしよう」
 あたしっ とんでもない勘違いを……
 ごめんなさいっ!今の忘れてください!」

そう言われてもなぁ。俺は床のあちこちに散らばったブラウスのボタンを拾いながら
ソーイングセットは確かこの間部室で見たなぁ、どこだったっけなぁ、などと考えつつ、

「わかりました。とにかく信じますから。
 今のおれは大抵の事は信じてしまえるような性格を獲得したので……
 あれっ?そしたら今、二人の朝比奈さんがこの時代には いるってことなんですか? 」

「はい。過去の……わたしから見れば過去のわたしは現在教室でクラスメートたちとお弁当中です」

「そっちの朝比奈さんはあなたが来ていることを……」

「知りません。実際知りませんでしたし。だってそれ、あたしの過去だもの」

うーん、俺の朝比奈さんのこれからにいったいどんなことが起ったのだろうか……
と言うか、あの傷痕は俺が?Why?

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 20:07:40.34 ID:Ghw5KAbv0


思考の海の奥深くへ沈んで行きそうになる俺の意識を朝比奈さん(特大)の可愛らしい声が
浅い所まで引き戻す。

「あなたに一つだけ言いたい事があって、無理を言ってまたこの時間に来させてもらったの。
 あ、長門さんには席を外してもらいました」

長門のことだからこの朝比奈さんを見ても瞬き一つしなかったのかな。
いやいや、そんなことはないはずだ、いくら長門でも瞬きの2〜3回くらいはやっててもおかしくない。

「朝比奈さんは長門の事を知ってるんですか?」

「すみません 禁則事項です。      ああ・・ これ言うのも久しぶりですね」

「おれは・・ 先日聞いたばかりですが」

そうでしたね、と自分の頭をコツンと叩いて朝比奈さんは舌を出した。こんな『しぐさ』と
『可愛らしい声』だけは間違いなく朝比奈さんなんだけどなぁ……

特大さんは急に真面目な顔になるとあとを続けた。

「あまりこの時間に留まれないの。だから手短に言います」

そうですね、なるべくなら手短にお願いしたくなってきたところです。

「 『復活演出』って知ってます?」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 20:16:21.46 ID:Ghw5KAbv0


今や俺より頭三つ分ほど背丈が伸びてしまった朝比奈さんから少しだけ目をそらした。

「えっと、それはいったい……?」

「これから あなたが何か困った状態に置かれた時 その言葉を思い出して欲しいんです」

聞いちゃいねぇ……

「困った状態なら 昨日あったばかりですが」

「それではないんです もっと……そうですね 詳しくは言えないけど、
 その時、あなたの傍には妹さんもいるはずです」

「おれと妹が!? いつ どこで!?」

「……妹さんはそれを困った状態だとは考えないかもしれませんが……あなただけじゃなくて、
わたし達にとって、それは関係のあることなんです」

「詳しく教えてもらうわけには――いかないんでしょうね」

「ごめんなさい。でもヒントだけでもと思って。これがあたしの精一杯」

大人朝比奈さんはちょっと泣きが入っているような少しだけかすれた声で言った。
ああ、確かに朝比奈さんだな。声だけ聞いてれば。

11 名前:>>8 字を減らすわけにはいかんから行数減らしてみる[] 投稿日:2009/09/22(火) 20:23:33.30 ID:Ghw5KAbv0


「覚えておきますよ」

よくわからないままに俺はうなずいた。そろそろお帰りいただかなくては。

もうちょっとだけ時間が……
とかなんとか言いだした朝比奈さん(仮)を部室の扉までエスコート。

ハンガーラックにかかったこの時代の朝比奈さんの衣装を、
たとえ同一人物とはいえ、朝比奈さん(仮)にはなんとなーく触れて
欲しくはないような気がしたのだ。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 20:30:42.85 ID:Ghw5KAbv0


「よくこんなの着れたなぁ、わたし。今なら絶対ムリ」

はいはい、歩みを止めずにキリキリ歩いてくださいね。ムリなのはわかってますよ。
サイズ的な意味で。

「じゃあ、もう行きます」

もの問いたげに、朝比奈さんは正面から俺を見下ろし続ける。
俺はその威圧感に耐えきれず、視線を部室の床に薄くついたシミに落とす。

「最後にもう一つだけ。わたしとはあまり仲良くしないで……」

あまりにも儚げなその小さな声に、俺は朝比奈さんを抱きしめてしまいそうになったが、
床から視線を上げた瞬間に思いとどまった。うん、これは無理。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 20:38:38.13 ID:Ghw5KAbv0


入口から今まさに外へ出て行こうとする朝比奈さんに俺は声をかけた。

「俺にも一つ教えてください!」

ドアノブに手をかけたまま一瞬静止する朝比奈さん。

「朝比奈さん、いま、ベンチプレスいくつ?」

ぴっちぴちで翻りそうもないタイトスカートの裾をそれでも5mmほどひるがえしながら
朝比奈さんは振り返った。この板すべてをdatに落としそうな笑顔だった。

「禁則事項です」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 20:45:07.16 ID:Ghw5KAbv0

――――
――

ビルの残骸がまるで幾多の卒塔婆のように、薄暗い夕暮れ時になお暗い影を落とす。
ああ、この街はもう死んでいるんだな……

あれからいろんなことが起こった、そう、
もう考えるのが厭わしくなる程の様々な出来事が……

「キョンくん ごはんー」

おお、そうかそうか、お腹が空いたんだな。そう言えば俺も腹が減ってきた。

こんな状態でも胃袋だけは正直なんだなあとふざけた感慨に
浸っているだけでは腹は膨らまない。

さあて、どこか安全な場所を探してぐうぐう鳴き出した
二つの胃袋をなだめてやるとするか。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 20:52:56.36 ID:Ghw5KAbv0


さあ、ささやかな本日のうまし糧をゆっくりと味わう場所兼今夜のねぐらを探しますか、
そう思いながら死滅した街のメインストリートらしき通りから少しそれた小道の方へと、
大きめの崩れたコンクリート片の合間を縫うように連れだって歩を進める。

「キョンくん こっちー」

いつの間にか俺より先に行ってたのか。こらこら独りで行くのは危ないぞ。
そうかそうか、良さそうなところがあったんだな。いまから俺も―― その時、
俺の目の前に一つの人影が立ちふさがった。

「ヒャッハー ここは通さねぇぜ」

お、お前は…… 朝倉? 朝倉涼子か!?


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 21:08:37.28 ID:Ghw5KAbv0


髪型が異様にパンキッシュというか、朝倉、それモヒカンじゃないのか?

着ている服もなんというか、ええと、そう、ボンデージっていったっけか、
露出の多い革のヤツだし、トゲトゲの生えたリストバンドとかもお前には
似合わないと思うぞ。

ああ、手に持ってるモノもあの時より格段にバージョンアップしてるよな。
なんだよそれ、もうナイフっていう感じじゃないよな。

あれからのお前の身に、いったい何が起こったのか、
たっぷりと時間がある時なら是非とも聞いてみたいもんだ。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 21:26:38.81 ID:Ghw5KAbv0


最初の言葉以降は一言も喋ろうとせず、ジリジリと距離を詰めてくる朝倉涼子。
はぁ、やれやれだ、あんまり気は進まないんだがな。

抱えていたバックパックを妹の声のしたであろう方角の廃ビルの方へ放り投げ、
迫ってくる朝倉と正面から対峙する。

と、その時、朝倉の後方の暗がりから、天使が宝物にしている鈴を借りてきて
ちょっと振ってみたらこういう音でもおかしくないだろうなあというような声が降ってきた。

「ど、どいてくださぁ〜い」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 21:40:50.86 ID:Ghw5KAbv0


「あぶっ、あぶっ、ぶつか、きゃあぁぁーーー」

前言撤回、声だけではなかった。

鈴の音と共に、その声とは全く似つかわしくはない巨躯が、
高速道路を暴走する運転手を乗せていないダンプカーのような勢いで
朝倉の方へと突進してきた。

一瞬二つの影が交錯するように見えたのだが、朝倉は危うく飛びのいて、
見たものを石に変えるという神話世界の蛇髪嬢を想像させるほどの、
もの凄い眼つきで新たな乱入者の方を睨みつけた。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 21:52:08.28 ID:Ghw5KAbv0


「あなた、邪魔をする気?」

朝倉は微かに笑みを浮かべながら乱入者の
――朝比奈さん(仮)の方へ向き直る。

眼付きだけが先程と変わらず、凍るような、燃えるような
相反する硬質の色に彩られている。

唇だけの笑みがこんなに怖いものだとは知らなかったぜ。

「えっと、えっと、ごめんなさいぃぃ……」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 22:04:04.53 ID:Ghw5KAbv0


「あやまられても無駄んだけどな」

朝倉は狂気に縁取られた微笑から、
さらに口の端だけをきゅっと吊り上げてこう言った、

「だって、あたしは本当にあなたに死んで欲しいんだもの」

おいおい、朝倉よ、そのセリフどこかで聞いたおぼえがあるぞ。

「あの、あのぉ…」

朝比奈さんは、ふるふると小刻みに震えながら、か細い声で先を続ける。

「む、無理なんです。あ、あ、あなたには、わたしは殺せませぇん」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 22:12:45.80 ID:Ghw5KAbv0


「―― っ」

一瞬絶句する朝倉涼子。憎悪に燃え凍えた瞳の光彩の部分だけが
僅かにその驚きを表現する。こいつは感情表現が上手だと思ってたんだが、
こういう時はもう少しオーバーなアクションをしないとリアクション芸人としては
食べていけないぞ、もっと頑張れ。

おや、リアクションがくすくす笑いに変わったな。
そこで高笑いするようだと即死亡フラグなんだよな、お前はよくわかってるよ朝倉。

「すごい自信ね。でもね、あなたがわたしに殺されない方法って二つしかないのよね。
 ひとつは、逆に私を殺すこと。もう一つは、わたしから逃げおおせること」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 22:28:39.81 ID:Ghw5KAbv0


「どちらも簡単なことだとは思わないでね。ここではわたしの方が有利よ。
 だってこの街はわたしの―― 」

ん?朝比奈さん?いったい何を指折り数えておられるんですか?
いま朝倉の独演会がまさに佳境を迎えつつあるんですよ。

まあ俺も半分くらいしか聞いてないからいいか、俺は当事者じゃないけど。

「あの、あのぉ。」

こうやって視線を向けずに朝比奈案(仮)の泣きそうな声だけを聞いてると、
癒されます、本当に。くそっ、うっかり視線を移しちまったぜ……

「あなたは……もう……」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 22:41:15.03 ID:Ghw5KAbv0


視線を自分の足もとに向けたまま、(仮)はおどおどと言葉を紡いでいた。


その言葉の余韻の最後の一片が薄暗い闇の中に溶け込もうとしたその時――

なんとも形容のしがたい声と共に湿った音が一瞬だけ響き、
朝倉涼子は再びこの世から退場の運びとなった。


しかし今思えば、長門のやり方はきれいだったよな。
こんなにいっぱいなんか飛び散って無かったし……

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 22:51:17.05 ID:Ghw5KAbv0


朝倉もヤツもかわいそうになあ。

いくらなんでも花も恥じらう乙女の末期のセリフが『ひでぶっ』はないよな。
あー、くそっ、こんなところにまで飛び散ってやがる。


前回の時は、最後に結構セリフあったし、厭味みたいなもんまで
くれて行くほど余裕があったように見えたなぁ。
最後は光に包まれるように消えていったし。




ん? なんだ…? 朝倉のいた場所にサクランボが2個……?

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 23:14:18.11 ID:Ghw5KAbv0

「キョンくん……」


ああ、特大自称朝比奈さん(仮)、大変申し訳ないんですが、
そんな潤んだ瞳で俺を見つめないでください。

俺にしても感慨深いものはありますが、はっきり言って気持ち悪いです。
ああ、俺の朝比奈さんはどこいっちまったんだろうなぁ……

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 23:27:40.56 ID:Ghw5KAbv0

(デデデ)

「久しぶりですね、朝比奈さん……」

(ダン ダン ダン)

ううむ、何か幻聴のようなものが聞こえている気がしないでもない。

「うん、ほんとうに久しぶり……」

(デデデ)

(チャーン チャンチャンチャーーーン 『突っ込みに殉ずる星、殉星を持つ男 キョン』)

音楽?それに戯けたナレーションみたいなもんまで聞こえてきやがった。
なんか俺、フラグ立てちまったのかな……

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 23:43:19.39 ID:Ghw5KAbv0

(デデデ)

(チャーンチャーチャーチャーチャーチャーン ――――  )

朝比奈さん(仮の)上半身を覆っていたブラウスが、
言葉ではなんとも表しがたい音をたてて弾け飛ぶように飛散する。


「あ、あなたは、もはや、て、敵ではありませぇーん」


本当に声だけ聞いていれば、くそっ……


(ダン)

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 23:54:36.63 ID:Ghw5KAbv0


「ホワタァ!」

朝比奈さんにしてはやけにキレのいい怪鳥音と共に右の正拳っ!
ぐわっ、まともに食らった!?

なぜだ、なぜあんな遅いこぶしが俺にとどく……

「ば、馬鹿なっ ふ、ふふふははは 大爆笑だっぜっ」

(デデデ)


今度はこっちから行きますよ、朝比奈さん。
ほらほら隙だらけじゃないですか。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 00:28:11.77 ID:+N6xj/PW0

「ホワチャァ! ワチャチャ!」

左右の抜き手を連続で放つ。ガードされたか?いや、届く、届いている。
俺の生き様を、想いを、両手の指先に込め、突く。薙ぐ。突く。薙ぐ。

(ダン)

肉が肉を打つ重い音が響き渡る。俺もまんざら捨てたもんじゃないじゃないか。
そうだよな、あんなにいろんなつらい目にあってきたんだもんな。


「ああっ、いやん……」

そんなに色っぽい声を出しながらこっちを見つめないでください。
イライラを持て余ましてしまうではありませんか。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 00:38:40.68 ID:+N6xj/PW0

(デデデ)

「ふふふふ  (ダン)  ホワタァー なんとここで拳っ!」

外部から突き入れてすべてを破壊する拳。
あなたの胸に生涯消えない痕を残した拳。

この斬激に俺のあなたへの想い、込めさせてもらいました……

(ダン)

「あああぁぁぁぁっ……(プシャアァァァ)」

朝比奈さんは四肢から鮮血と、全年齢板ではちょっと口にすることを
憚られるようなものを噴き上げながらその場に崩れ落ちる。

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 00:49:54.12 ID:+N6xj/PW0


「フヒヒヒ、朝比奈さん、あなたの執念などそんなものでしたか」

どくどくどく、ぼろ布のように伏した身体から、
命の雫がアスファルトのひび割れに沿うようにとめどなくながれていく。

終わった――ふうぅぅぅ、深く息をつき、口中にざらっとした感触を確かめ、
血と粘液と砕けた歯の欠片を吐き出して路上に黒々とした染みをつける。


死んだ街はようやく夜の帳を下ろそうとしていた。

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 01:01:23.59 ID:+N6xj/PW0

(デデデ)

『キョーーーーーーーン          くん ハサミー』

おお、マイシスターが呼んでいる。それにしてもお前、お腹が減ってたんじゃないのか?
なんだよ、ハサミって。

「う、ううーん」

路上の産廃から、唸り声ともうめき声とも判別しがたい声が俺の周囲の空気を凍りつかせた。
いや、可愛い声なんだ。声だけは。

「ば、馬鹿な、朝比奈さんが立ち上がるだと……!?」

身体全体を軋(きし)ませるようにしながらゆっくりとその身を起こす。
なんだ、もうぼろぼろじゃないか――否、その目はいまだ死んじゃいない。

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 01:11:10.84 ID:+N6xj/PW0


なぜだ。なぜだ。なぜだ。なぜだ。なぜ――立ち上がれるんだ。

俺の血の滲むような修練の日々は、俺の全てを注ぎ込んで、
やっと教えを請うことができた、なんと聖拳が、俺の拳が、なぜ……



ぼきり。ぼきり。ぼきり。ぼきり――朝比奈さんの握りしめた双拳より
指ポキの音がねっとりとした闇に響いてゆく。

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 01:24:14.59 ID:+N6xj/PW0

(ダン)


「あ〜たたた ほっとくと酷です拳〜〜〜っ (ダン) あたたたたたたたたた」

朝比奈さんが繰り出す百に届こうかという連撃。拳の一撃一激、突きのひとつひとつ、
掌底の一突き一突きが俺の秘孔を十文字の形に打ち抉りぬいていく。

「たたたたたたたたたたたぁ〜  ホワッチャ!」


最後の下からえぐり、突き上げる一撃で俺の身体は地の楔を離れ、
かなりの時間宙にたゆたい、俺の遥か後方にあったはずの廃ビル、
その鉄筋をむき出しにした柱に抱きとめられられるようにぶつかり、
堕ちた。

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 01:33:12.46 ID:+N6xj/PW0


「ば、馬鹿な。ぐはっ…」  (ダン)

吐血。俺にもまだ赤い血が流れていたんだよなあ、などと、とりとめもないことを考える。
走馬灯は回らない。まだ。今のところは。

しかし、いったい何故だかわからないのだが、どこか高い所からダイビングをしなければ
ならないような強迫観念にいきなり捉われる。

ああ、あそこに先日の地震のせいであろうアスファルトの裂け目が
極地のクレバスのように、その口を開けているではないか。

悲鳴を上げ続ける身体を騙し騙し引き摺るようにしながら、
俺は俺の最後の花道へと急ぐ。時間はあまり残されていないだろう。

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 01:42:36.95 ID:+N6xj/PW0


あの昼休みの部室での朝比奈さんの伝言――じゃないか、ヒントだな、うん、
あれはいったいなんだったんだろうな。いててて。おい左腕よ動け。痛ぅ。

あの時、もっとちゃんと聞いてりゃこんなことにはならなかったのかな。
そうだもう少し、いてて、あと少し、おお、やっと辿り着いたぜ。よくやった俺。


「どうやらここまでのようですね。さらばです、朝比奈さん」


この裂け目、底も見えやしねえ、どんだけ深いんだ?
まあ深けりゃ深いだけ朝比奈さんの伝言について思いめぐらす暇はあるんだしな。
そんな愚にもつかないようなことを考えつつ、俺は、飛んだ。

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 01:54:09.16 ID:+N6xj/PW0


( 『突っ込みに生き、ボケに殉ず!宿命ゆえに野暮に散った強敵(とも)』

チャーチャーチャー チャン チャチャチャチャン  『ボーナス 確定!』  )


デデデ  タン(ピキーン) タン タン
バトルボーナス ゲトー

ジャージャージャーーー ジャララジャラララ
デデデ  タン タン タン……

キョーン
ピキーン ドゴーン
ジャージャージャーーー ジャララジャラララ…………

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 01:56:19.96 ID:+N6xj/PW0


―― 299X年、世界は厨の炎に包まれた ――――


世紀末救世主伝説みくるの件 =サンザンクロウスル編=

朝比奈みくるの伝承 fin.





引き続き予告編をお楽しみください

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 02:03:36.78 ID:+N6xj/PW0

前言撤回 ちょっと一言

過疎ってスレにもかかわらずレスくれた人たちありがとね

でも一番感謝したいのはずっとこのスレに張り付いてくれた人だよ
お前のおかげで一応最後までかけたのは間違いない

こんな時間だし みんないつ寝ちゃうかわかんないから
取り急ぎ御礼だけ言わせてもらうよ

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 02:16:52.68 ID:+N6xj/PW0

うはwww やけくそじゃないんだ 最初っからそのつもり
ってか妹ちゃんの「キョーーン 〜」を書きたかっただけwwwwww

読んでくれた人にはすまんが最初はクソスレのつもりで立てたんだ

65 名前:予告[] 投稿日:2009/09/23(水) 02:45:55.18 ID:+N6xj/PW0


伝承編に至るまでの幾多の謎を解き明かす勘当巨編

なぜ朝比奈みくるはああなってしまったのか?
身体につけられた傷跡の真の意味とは?




次回

世紀末救世主伝説みくるの件 =サンザンクロウスル編=

朝比奈みくるの試練 もうすぐ公開

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 03:26:46.14 ID:+N6xj/PW0

だめだもう寝るおやすみ



んで さっきのやつの元ネタがわからない人用

ttp://www.youtube.com/watch?v=WTBTFyRSOyg

(1:20)くらいからね



ツイート

メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:ハニー・ポッター「何がこようと、受けて立つわ」