涼宮ハルヒはサイコロを振らない


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 00:49:56.42 ID:qW9pdh9GO

実にいきなりだった。

いきなりハルヒの憎たらしい顔、いや、全身が目の前から消えて無くなった。

長門「……」

長門が珍しく難しい顔で30秒前までハルヒが座ってた団長席を眺めていた。

みくる「……え?」ジョボジョボ

朝比奈さん、手に熱いお茶がかかってますよ!?ミューズの手が火傷を負うような真似など!
許せるものではないと思った俺は、すぐに急須をどけてあげた。

古泉「今のは一体……」

キョン「なんだよ、またハルヒパワーによる何かだろ?」

長門「……違う」

違うって何がだ?

長門「涼宮ハルヒの力の影響ではない」

何だと?

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 00:57:01.53 ID:qW9pdh9GO

キョン「長門、つまり?」

長門「涼宮ハルヒが消える0.0000001秒前に、この空間にマイクロブラックホールの発生を確認した」

なんですって?
ブラックホールだと?あの、なんか黒くて渦巻いているやつか?

長門「そこまで巨大ではない、直径一ミリにも満たない極小のブラックホール」

最近は長門も俺の心を読むことを覚えたようだ。

長門「それが涼宮ハルヒの体を通過した、対応しきれないほどの早さで」

キョン「長門、結論を言ってくれないか?」

長門「涼宮ハルヒは、この時間軸上から消え去った」

時間軸上から消え去った?

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 01:04:03.15 ID:qW9pdh9GO

キョン「じゃあ今ハルヒはどこに?」

長門「……おそらく『私達が消えたと認識した』状態のままでいる」

キョン「長門、ますます分からないんだが?」

古泉「つまり、簡単に言えばこういう事ですか?涼宮さんは時間が停止した状態で少し違う次元にずれて」

古泉「我々は時間の進む通常の流れの中にいると」

長門「大体あってる」

みくる「どうすれば涼宮さんは戻ってくるんですか?」

そうだ、それが一番気になるところだろうよ、さすが朝比奈さん。

長門「……」フリフリ

長門、何故首を振る。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 01:11:26.39 ID:qW9pdh9GO

長門「どうしようもない」

まさか長門の口からそんな台詞が出てくるとは思わなかった。

キョン「ちょっと待てよ、長門、お前のアホ上司は何か知らないのか?」

長門「……」フリフリ

長門「全ての宇宙の情報を管理できてるわけではない、小さな揺らぎ、カオスまでは情報統合思念体にも操作はできない」

キョン「くっ!だがハルヒならなんとかするだろ?無意識パワーで」

長門「無理、無意識が発生するような時間の流れの中にはいない」

なんてこった……

古泉「ちょっと電話をしてきます」

みくる「私も少し……連絡をしてきます」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 01:20:22.90 ID:qW9pdh9GO

キョン「どうすればいいんだ?」

長門「待つしかない」

キョン「待つって……何時間くらいだ?」

長門「……今計算してみた、今日から3560日と2時間15分45秒」

キョン「……10年?」

長門「この場所に姿を表すはず、消えた瞬間の姿のまま、揺らぎが消えた事によって」

キョン「10年って……」

ガチャ
古泉「長門さん、詳しい説明を聞いてよろしいでしょうか?」

長門「……」コク

俺は長門が古泉に話すさっきまでの内容の話はまったく耳に届かなかった。

10年?10年立たないと戻ってこれないだと?
頭がグラグラしてきた。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 01:28:01.53 ID:qW9pdh9GO

古泉「そうですか」

古泉、何故お前はそんなにやけ面をしたままでいれるんだ?
団長が消えたんだぞ!

古泉「嘆いても涼宮さんが戻ってくるわけではないでしょう」

ああ、まったく正論だよ!この野郎!

古泉「実を言えばホッとしています」

なんだと?
考える間もなく俺は古泉の胸ぐらを掴んでいた。

古泉「殴るんですか?」

キョン「あぁ殴るね」

古泉「いつも死に怯えてる私達の気持ちがあなたに分かるとでもいうのですか?」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 01:33:51.54 ID:qW9pdh9GO

古泉「少なくとも10年は死の恐怖に怯える心配は無くなる」

この……

古泉「この『望まれた笑顔』を顔に貼りつけてる必要もなくなるんだ!!」

限界だ、拳を振り上げようとした瞬間、朝比奈さんが部屋に入ってきた。

ただならない空気を読み取ったのだろう、朝比奈さんは怯えた顔で俺と古泉の顔を交互に見比べている。

長門「喧嘩は時間の無駄、どうせならこれからの事を話し合った方が有意義」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 01:40:50.07 ID:qW9pdh9GO

キョン「で、これからどうするんだ?」

朝比奈さんの容れてくれた緑茶を飲んで少し頭もすっきりしたようだ。

古泉「長門さん、涼宮さんが戻ってくる時間に誤差はないんですね?」

長門「無い」

キョン「もし10年後にこの校舎が無くなっていたら?ハルヒが戻ってきた瞬間に落下する羽目になるぞ?」

長門「その辺の誤差調整は揺らぎがすると思われる、私の情報統制化にある事象ではないからハッキリした事は言えない」

みくる「あのう……」

朝比奈さんの存在をまったく忘れていた。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 01:48:15.43 ID:qW9pdh9GO

みくる「涼宮さんは今日とまったく同じ状態で10年後に現れるわけですよね?」

長門「そう」

みくる「自分だけ10年時間が止まっていたと分かったら……大変な事になるんじゃ?」

キョン「俺もそれは考えていました」

古泉「あなたが大人になっているのに自分だけが高校生のまま、確かにヤバいですね」

キョン「なんでだよ?『キョン!あんたオッサンね!』とか笑ってそうな気がするがな」

古泉「あなたって人は……」

長門「おそらく閉鎖空間は発生する、三日間だけ」

キョン「三日間……だけ?」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 01:55:46.95 ID:qW9pdh9GO

三日間だけとはどういう事だ?

キョン「長門、三日間だけってどういう事だ?」

長門「涼宮ハルヒがこの時間軸に戻ってきてから三日後、もう一度揺らぎに巻き込まれる、そしてもう戻ってくることは無い」

おい、それってつまり……まさか……

長門「涼宮ハルヒの時間の概念は消え去る、違う言い方をするなら涼宮ハルヒは違う時空間に飛ばされた後に死ぬ」

死ぬ……?

長門「永遠に時間が停止しているなら、それは死と同義」

キョン「何か手は無いのか!!」ドンッ!

みくる「ひっ!?」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 02:03:52.87 ID:qW9pdh9GO

キョン「朝比奈さん!許可を取ってください!10年後の世界に俺たちを飛ばせるように」

みくる「そ……それが……」

キョン「?」

みくる「許可は下りなかったんです……」

キョン「!?」

みくる「食い下がってはみたんですけど私
キョン「もう一回申請してみてください!!朝比奈さん!!」

我ながらどうかしていたと思う
朝比奈さんの肩を掴んで力任せに揺すっていたところを古泉に押さえ付けられた。

古泉「落ち着いてください、彼女が泣いています」

キョン「あ……」

みくる「ふぐっ……えぐっ!」ポロポロ

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 02:11:34.48 ID:qW9pdh9GO

古泉「多分機関の上と同じ考え方のような人間が上司にいるのでしょう」

みくる「……ひぐっ」コクン

キョン「どういう事だ?」

古泉「つまり……涼宮さんがいなければ都合がいいと考えてる人間がいるということですよ」

キョン「なんだと?」

古泉「涼宮さんがいなければ機関は死人の数に頭を悩ませる事もない、未来もパラドックスによる変異に悩まされることもない」

長門「情報統合思念体も現状維持の命令を下してる」

キョン「10年、待てってことなのか?」

長門「そう」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 02:20:29.84 ID:qW9pdh9GO

それから、長門の情報操作でハルヒは転校した事になった。
ハルヒの両親の方も長門がうまくやってくれたらしい。
朝比奈さんは未来に帰っていった
帰る時、一生懸命頭をペコペコ下げながらごめんなさいを連発していた、泣きながら。
長門は年齢に合わせて体の構造を変えなければならないって事で珍しく女性週刊誌を読んでいた
俺的にはそのままでいいと思うんだがな。
一人部室だった場所に立って考えてみる
何故ハルヒはブラックホールに巻き込まれたのか?ハルヒの能力と全く関係は無かったのか?
いくら考えても答えなんて出ない。

そして俺は、ガランとした部室に鍵をかけた。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 02:30:14.73 ID:qW9pdh9GO

古泉「お帰りですか?」

キョン「あぁ……ああその古泉」

古泉「?なんでしょう?」

キョン「この前は、すまなかったな」

古泉「別に気にしてはいませんよ、むしろ、貴方の方が普通の人間の対応です」

キョン「嫌味かそれは?」

古泉「んっふ」

キョン「これからどうするんだ?」

古泉「さぁ……普通の高校生として生きるもよし、と森さんからは言われてますがね」

古泉「とはいえ、『普通の』も10年間限定ですけどね」

そう言って古泉は笑った、いつもと違う笑い、いつもの作ったような笑いとは違う素の笑い。
そうして俺は校門で古泉と別れた。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 02:36:26.32 ID:qW9pdh9GO

家路をボーッとしながら歩く
10年……10年かぁ……それまで一体何をして生きていけばいいんだろうな。
今思えば、SOS団は滅茶苦茶なところだったが……少なくとも『退屈』なところでは無かったような気がする。

?「キョン」

キョン「……」ボーッ

?「キョン!」

キョン「ん?……おぉ!?」

佐々木「まったく……親友が話し掛けてるのに上の空とは、どうかしたのかい?」

涙腺がゆるみきっていたのだろう、俺の両目から滝のような涙が流れた。

佐々木「きょ、キョン!?」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 02:45:44.35 ID:qW9pdh9GO

佐々木「落ち着いたかい、ほら、コーヒー」

キョン「あぁ、すまん……みっともないところを見せてしまった」

佐々木「くつくつ、親友にみっともないところを見せるのは何も恥じることはないさ、そのための親友じゃないのかい?」

キョン「あぁ……ありがとう佐々木」

佐々木「……涼宮さんの事かな?」

キョン「知っているのか?」

佐々木「あぁ、だがねキョン、断っておきたいが今回の件に関してはこちらは何もしてはいないよ」

キョン「あぁ、それはわかる、なにせ長門が目の前にいて何もできなかったくらいだからな」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 02:52:48.89 ID:qW9pdh9GO

佐々木「10年後か……」

キョン「あぁ……」

佐々木「君はそれまでどうするつもりなんだい?」

キョン「どうって……ハルヒに出会う前の生活に戻るだけさ、なんて事はないさ」

佐々木「ほんとうかい?」ジッ

キョン「そんなにジッと見るな、恥ずかしいだろ」

佐々木「くつくつ、すまないね、人の真意を見抜くなら目を見ながら話すのが一番なんでね」

キョン「ほう、それでどうだった?」

佐々木「嘘だね」

キョン「……」ポロポロ

佐々木「寂しいんだね?キョン」

俺はそのまま佐々木の胸に顔を埋めて泣いた
一生分の涙は流したんじゃないかと思うぐらい泣いた。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 03:00:16.25 ID:qW9pdh9GO

俺はそれから佐々木とつきあうようになった。

キョン「よお」

佐々木「悪かったね、待たせたかい?」

キョン「いや、今着いたところだ」

やっぱりそうなると体を許しあうのも早いもので……
初めての場所が自分の部屋ってのもなんか気恥ずかしい感じがしたものだ。


キョン「……」スヤスヤ

佐々木「キョン?」

キョン「……」スヤスヤ

佐々木「ふふ……寝ながら泣いてるなんて……」

佐々木「いいんだ……」

佐々木「偽りだったとしても……いいんだ……」ポロポロ

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 03:11:46.86 ID:qW9pdh9GO

10年後

キョン「いってきます」

佐々木「いってらっしゃい、あなた」

それからはまぁなんというかトントン拍子に話は進み、佐々木と結婚
つつましい生活を送っていたわけだ。

キョン子(仮名)「パパー、いってらっしゃい〜」

こんな佐々木似の可愛い子にも恵まれて、俺は幸せの絶頂にいた。
その所為、いや、家族の所為にするのはよくないな
俺の所為で『約束』の事を忘れかけていた。

長門(大)「久しぶりね、キョン」

長門(大)が現れるまでは。

キョン「口調変わったな……長門」

長門(大)「これがこの年代の女性としては普通の話し方だと勉強した、だが、あなたが望むなら喋り方を元に戻すわよ」

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 03:18:57.99 ID:qW9pdh9GO

キョン「よし、戻してくれ、落ち着かない」

長門(大)「……了解」

キョン「ここじゃなんだ、近くの喫茶店にでも行くか、仕事あるからあんまり時間取れないが」

長門(大)「心配ない、仕事は情報操作で休みにしておいた」

キョン「うぉい!?」

なんか強引になったな、長門……
俺はそれを年月の所為だと思っていたが、宇宙人である長門に年月に意味は無い。
『約束』の日がもうすぐに迫っているからだとなんで俺はすぐに気付いてあげられなかったのか……

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 03:27:42.83 ID:qW9pdh9GO

喫茶店

キョン「どうしたんだ?急に」

長門(大)「涼宮ハルヒの帰還が後一週間後に迫っている」

キョン「あぁ……」

長門(大)「……?」

正直に言うと、俺はハルヒの事なんて忘れかけていた。

長門(大)「朝比奈みくる(中)も古泉一樹もその日に合わせて行動を開始した」

キョン「あぁ……あのな長門、その件なんだが」


佐々木「あの人ったら、弁当忘れるなんて、くつくつ、あらやだふふっ」

佐々木「まだ駅には付いてないと思ったんだけどな……」キョロキョロ

佐々木「?喫茶店……?あの人は……」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 03:37:57.94 ID:qW9pdh9GO

キョン「俺抜きでやってもらえないか?」

長門(大)「……」

キョン「俺ももう30近い、妻も子供もいる」

長門(大)「……でも」

キョン「聞いてくれ長門、俺は正直に言えば今の家庭の方が大事なんだ」

長門(大)「……」

キョン「自分でも最低だというのはわかってる、でもな、昔の知り合いと今の家庭のどちらを取れと言われたら……」

長門(大)「涼宮ハルヒが貴方の家庭を壊す確率は0.00000001%、涼宮ハルヒは帰還してから三日後には」

キョン「分かってる、分かってるさ……」


佐々木「もしもし、橘さんかい?久しぶりね、え?口調?そりゃ変わるわよ家庭に入ったら……」

佐々木「それより……えぇ……だって……だっていまさらじゃない!」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 03:49:59.96 ID:qW9pdh9GO

佐々木「ようやく掴んだ幸せよ!誰にも邪魔はさせない!……えぇ、ごめんなさい……あの人と結婚してから自分の気持ちを素直に言うようになったものだから」

佐々木「!?……橘さんは分かっていない!今手を出すのは得策じゃない!?」

佐々木「もしあの人が帰還してきて『キョンと一緒にいたい』と無意識で願ったらどうなると思う!?」

佐々木「私と愛しい夫は引き裂かれる!それも確実に!!お願い、協力してください!」

佐々木「……お願い……娘の為にもお願い……いやよ、娘が父親の顔をおぼろ気にしか覚えていないなんて」ポロポロ


橘「わかりました」プツッ

橘「ふぅ……九曜!」

九曜「―――なに―――?」ニョロン

橘「久しぶりに暴れるわよ」

九曜「―――了解――」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 04:02:53.34 ID:qW9pdh9GO

長門(大)「じゃあ……気が変わったら連絡してほしい」

そう言って長門は席を立った
表情に微かに失望の色が見えたのは気のせいだろうか?
いや、昔は長門の表情を1ミクロンの差で見分けることのできた俺だ、まず間違いなく失望しているんだろう。
長門すまない……あれ?なんで佐々木が外にいるんだ?


キョン「どうしたんだ?」

佐々木「!?」ビクッ

キョン「目真っ赤だぞ?」

佐々木「なんでもないわ、弁当忘れてたから、はい、コレ」

キョン「あぁ、今日会社休んだからさ、家に戻ってキョン子(仮名)連れて三人で昼飯食べようか、川原で」

佐々木「ふふふ……そうね……嫌……」

キョン「どうした?」

佐々木「あの人のところにいっちゃ嫌だよ……ふぐっ!」ポロポロ

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 04:11:18.12 ID:qW9pdh9GO

みくる「どうでした?長門さん」

長門(大)「彼の協力を得るのは難しいと思われる」

古泉「ふむ……困りましたね、彼がいなければこのまま帰還した涼宮さんが揺らぎに飲み込まれるのを指を加えて見てる事になりますね」

長門(大)「だけど彼の協力を得ても涼宮ハルヒが揺らぎに飲み込まれるのを阻止できるとは限らない」

古泉「でも可能性は0ではないでしょう」

長門(大)「……なぜ?」

みくる「はい?」

長門(大)「貴方達二人にとっても涼宮ハルヒが揺らぎに囚われてる方が都合がいいはず、なぜ?」

古泉「それは長門さんも同じはずです」

みくる「私達SOS団の団長ですから」

古泉「そういうことです」

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 04:23:00.08 ID:qW9pdh9GO

キョン子(仮名)「サンドイッチおいしい〜!」モグモグ

キョン「ははは、喉に詰まらせるんじゃないぞ」

キョン子(仮名)「ふもっふ!」

佐々木「ほらほら、言ってる傍から、もぅ〜」

多分、こういうのを世間では幸せと呼ぶのだろう
川原で一家三人で食事をして笑いあう
確かにSOS団にいた頃は『退屈』ではなかった、ならば『幸せ』だったのか?
俺は……違うと思う。

森「一家団欒中申し訳ありません」

そんな俺の目の前に、懐かしいメイド服姿の森さんが現れた。

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 04:29:46.36 ID:qW9pdh9GO

佐々木「……」

森「身構えないでください、別にどうこうしようというわけではありません、キョンさんに話が聞きたいだけです」

キョン「……佐々木」

佐々木「……さっ、キョン子、お母さんと向こうで遊ぼうか」

キョン子「うん!花輪作る!」


キョン「森さん、話ってなんですか?」

森「えぇ、古泉と会いませんでしたか?」

キョン「いぇ……会っていませんが」

森「そうですか」

キョン「古泉が何か?」

森「キョンさんには話しておくべきでしょうね、古泉は今機関の手を離れて単独行動を取っています」

その理由はすぐに察しがついた。

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 04:36:53.61 ID:qW9pdh9GO

機関を取るかSOS団を取るか
あいつはSOS団を取ったのだ、森さんや新川さん、機関の皆に背を向けてでも。

森「最悪処分しなければならない事になります」

キョン「そんな!」

森「そうなる前に手を打ちたいのです、お手数ですが古泉からもし連絡があったら私に連絡をもらえないでしょうか」

キョン「はい、わかりました」

森「お願いします、事が一週間後の『帰還日』にまで食い込んだらもう取り返しはつきません、古泉は処分されます」

まったくの無表情で、古泉の死刑執行猶予を告げて、森さんは去っていった。

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 04:47:55.84 ID:qW9pdh9GO

ガチャ
古泉「食料を買ってきました、朝比奈さん、頼まれてた玉露です」

みくる「ありがとうございます」ペコッ

古泉「長門さん、ボンカレー1000袋です」

長門(大)「感謝する」

古泉「しかし、朝比奈さんも大丈夫なのですか?上司の命令に逆らってまで」

みくる「それは古泉君も一緒ですよ」

古泉「ふふっ、これは一本取られましたね」

長門(大)「戦力が必要」

長門(大)「おそらく『帰還日』は機関及び組織入り乱れての乱戦になると思われる、別勢力としての私達の戦力不足は否めない」

みくる「ふぇえ…ごめんなさい〜」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 05:00:34.89 ID:qW9pdh9GO

ガチャ
佐々木「やぁ、橘さん、元気だったかい?」

橘「佐々木さん、どうしたんです?口調戻って」

佐々木「くつくつ、こちらの方がいいだろ?橘さんにとっては」

橘「ふふっ、そうですね、旦那様と娘さんは?」

佐々木「寝ているよ、あまり時間がないんだ、明日の弁当を作らなきゃならないんでね、それで?」

橘「えぇ、やはり機関の連中も動きだしましたね、こちらの動きに備えてなんでしょうが、こちらは動くつもりはなかったんですけどね」チラッ

佐々木「もう遠慮なんてしていられないんでね、橘さん、前に君が言っていた事をやろうと思う」

橘「本気ですか?」

佐々木「あぁ、本気だとも」


佐々木「彼女の願望実現能力を僕に移す、そして彼女には……辞退していただこう」

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 05:11:38.50 ID:qW9pdh9GO

チュンチュン

朝か……嵐のような前日だったな
妻の作る味噌汁の匂いが鼻に届いてくる、やっぱり幸せとはこういうものだよ谷口。

キョン「おはよう」

佐々木「おはよう、ご飯できてるわよ」

キョン「うまそうだ」

佐々木「ふふっ、いつも同じ台詞ばっかり」

キョン「いやいや、本当だって」

佐々木「ねぇあなた……もし私が願望実現能力を持ったとしたらどうする?」

妻は味噌汁をよそっていて顔の表情までは伺えない
願望実現能力?何を言ってるんだ?

佐々木「私ならコントロール可能……それに願いは家族の幸せだけだもの……」

キョン「……佐々木?」

佐々木「なんてね!冗談!」

振り向いた妻の顔は満面の笑顔だった。

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 05:23:38.04 ID:qW9pdh9GO

佐々木「じゃあいってらっしゃいあなた」

キョン「あぁ、行ってくるよ」
ガチャ バタン
ピポパポ
佐々木「……橘さん?うん、今出ていったよ、おそらくね……多分コンタクトを取ってくるはずだ」


さて、今日はさすがに会社に行かなきゃまずいだろうと思ってた矢先
道前方にあまり見たくない顔が見えた。

古泉「お久しぶりです」

キョン「古泉か……昨日の話だったらもう長門に」

古泉「いえ、無理に誘うつもりはありませんよ、あなたにはあなたの守らなきゃいけないものがある、そうでしょう?」

キョン「あぁ……」

古泉「会社通勤の間に世間話がしたかっただけですよ、昔の友達とね」

キョン「友達……か」

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 05:35:15.64 ID:qW9pdh9GO

こいつから友達という言葉が出てくるとは思わなかった。
まぁ俺も実を言うと友達だとは思っていたがな。

キョン「古泉、学校を出てから何をしてたんだ?」

古泉「そうですね……機関系列の会社に勤めてましたよ、まぁ正確に言うと鶴屋グループの会社ですけどね」

キョン「そうか……なぁ古泉、先日森さんに会ったんだ、お前……機関を裏切ったのか?」

古泉「自分の信念に従ったまでの事ですよ、森さんは何か言ってましたか?」

キョン「連絡をくれと、後『帰還日』までに連絡が無いとお前を処分するとさ」

古泉「んっふ、森さんも優しいですね」

優しい?どこが?

ザッ
森「古泉!!!」


橘「あら、ちょうどいい」
九曜「―――やる?――」
橘「えぇ、一石二鳥だわ、やりなさい」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 05:42:06.34 ID:qW9pdh9GO

限界

前編終了

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 12:24:03.26 ID:qW9pdh9GO

1日しかたっていないというのに、森さんの表情は鬼の顔になり、一気に老け込んで見える。
まさか古泉が接触してくると睨んで昨日から俺を張っていたのか?

森「古泉、二度は言わないわ、今すぐ機関に戻りなさい」

古泉「それはできない相談ですよ、森さん」

森「……二度は言わないと言ったわ、覚悟しなさい」

そう言うや、森はメイド服姿のまま華麗なジャンプを見せた。
パンツが丸見えだがそんな事を気にしている余裕は無さそうだ。

古泉がいた場所のコンクリートが捲れあがった。

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 12:32:24.32 ID:qW9pdh9GO

森「閉鎖空間外の事はからきしだったのに……成長したわね古泉」

古泉「人は成長するものだと言います」

そんな古泉のYシャツの肘部分が破れて血がにじみ出ていた。

キョン「おい、古泉肘から……」

古泉「かすり傷です、心配しないでください」

森「キョンさんを庇いながらいつまでも防ぎきれると思わない方がいいわよ?」

まさか俺も標的なんですか?森さん
……今気が付いたが、なんで道に通行人が歩いていないんだ……?
この感覚は何処かで……朝倉の時の……

九曜「――――排除――する―――」ウニョン

最悪の展開になってきた。

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 12:42:39.38 ID:qW9pdh9GO

九曜「――――森園生?――古泉一樹?――」

貞子のように、この情報空間に入ってきたワカメ九曜は、対峙している森さんと古泉をキョロキョロ見ながらそう言った。

九曜「――――死―――ね――――」

そう言った瞬間に、古泉と森さんの足元から鋭そうな切れ味を持ってそうな黒い刃が飛び出してきた。

森「くっ!」
古泉「ふっ!」

二人とも間一髪で避けた。

九曜「――――残念―――――」

ワカメが地面に吸い込まれているのを見るに、まさかワカメ刃攻撃ですか?

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 12:52:28.24 ID:qW9pdh9GO

完全に三つ巴の戦いになってきたようだ。
俺はと言えば、傍観者に撤するしかない、何せ俺は普通の人間なのだ。

古泉「森さん」

森「一時休戦よ」

外敵が侵入すれば、今までいがみあってた二匹の虎も、協力して外敵を排除するらしい。

森「私は上、あなたは下」
古泉「了解です!」

そう言うや、二人は九曜に向かって突進&ジャンプ攻撃を繰り出した。

九曜「――――無駄――――」

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 12:59:57.52 ID:qW9pdh9GO

藤原「で?俺は何をすればいいんだ?」

橘「朝比奈みくるの件について調べてきて欲しいんです」

藤原「調べるもないだろ、あの女は許可も得ずこちらに来てるんだ、追われてる身だぞ?」

橘「いや、そんなはずはないですね、戦闘能力皆無の人間が厳しい警備の目を潜ってこちらに来られるわけがありません」

藤原「誰かしらの協力者がいるってことか?」

橘「そう考えるのが妥当でしょう」

藤原「目的は?」

橘「それを調べてください」

藤原「やれやれ……簡単に言ってくれるぜ」

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 13:07:12.26 ID:qW9pdh9GO

みくる「長門さん、どうしたんです?」

長門(大)「天蓋領域の情報空間の発生を確認した」

みくる「え?」

長門(大)「あなたはここにいて」

みくる「そんな……私もなにか……」

長門(大)「情報空間内では99.97%の確率であなたは足手纏いになる」

みくる「……」

長門(大)「あなたはあなたの出来る事をすれば良い」ニコ

みくる「……はい!」

ガチャ バタン!

みくる「……ごめんなさい」

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 13:24:23.83 ID:qW9pdh9GO

信じられないものを見る思いだ、あの森さんが肩で息をしているとは。
まっさらだったメイド服はところどころ斬られて血が滲んでいる。

九曜「――――もう―――終わり?―――」

髪の毛を鋭利な刃物に変形させた姿をみると、昔図鑑か何かで見たメデューサを思い出した。

ガシッ!
いきなり手を掴まれた俺は、驚いて後ろを振り返った、そこには……

佐々木「さぁ、早くこっちに」

なんでお前がこんなところにいるんだ?

佐々木「綻びを作ってもらっていたんだ、さぁキョン、早く」

お前……口調が昔の……いや、それより今何ていった?

佐々木「私達には何の関係もないことでしょ?ね?そうでしょ?あなた?」

九曜がいきなり現れた件といい、まさか……


107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 13:36:49.87 ID:qW9pdh9GO

キョン「……」

佐々木「あなた?」

俺は妻の顔を直視することが出来なかった
妻の顔は、必死さで歪んでいた、何かを留めようと必死になっている人間の顔。

佐々木「何もかも忘れて幸せに生きればいい、10年前の事なんて今更とは思わない?」

多分そうして生きても幸せになれるだろう。
いや、ついさっきまではそうしようと思っていたが。
今は……

佐々木「娘も捨てることになるのよ?」

そうだ、娘も、妻も捨て去る事などできない
ならば俺はどうすればいいんだ?
かかわり合いになるのはゴメンだと思っていた、だが、古泉も機関を裏切ってまで行動している
他の二人も同じようなものだろう。

そんな俺の考えは、情報空間のヒビによって破られた。

長門(大)「周防九曜、あなたの情報空間も朝倉涼子と同じ、統制が甘い」

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 13:37:43.61 ID:qW9pdh9GO

ちょっと外出

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 14:35:49.09 ID:qW9pdh9GO

九曜「――――長門―――有希――――」

長門有希「このままでは勝てない、撤退の準備を」ボソッ

古泉「了解しました」ボソッ


佐々木「さぁキョン、一緒に行きましょう」

妻の差し出した手に

キョン「……」

佐々木「キョン……?」

キョン「すまない、でも戻ってくるから」

俺は背を向けた。

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 14:42:51.49 ID:qW9pdh9GO

後ろで妻の泣き叫ぶ声を聞きながら、俺は長門の元に駆け寄った。

キョン「長門、どうやって逃げる?」

長門(大)「さっきも言った通り、統制が甘い分逃走は容易、ただあなたや古泉一樹を庇いながら勝てる相手ではない」

古泉「申し訳ありません……」

長門(大)「気にしなくていい、あなたはよく戦った」

キョン「大丈夫か、古泉?」

古泉「えぇ、大丈夫です」

全然大丈夫そうには見えないのはきっと気のせいだろう。

長門(大)「情報空間に隙間を作る、その間に逃走して」

そう言って、長門は高速呪文詠唱の態勢に入った。

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 14:55:45.71 ID:qW9pdh9GO

長門(大)「……今」

長門の合図と共に、俺と古泉は情報空間の亀裂目がけて駆け出した。

古泉「あっ!」
先程の激闘が足に来ていたのだろう
古泉は躓き態勢を崩した。

九曜「――――もらった――――」

九曜のワカメソードが古泉の体を貫いた……ように見えた。
しかし、実際に貫かれたのは、森さんだった。

古泉「森……さん?」

森「甘いわね……逃走するときも油断なくって教えたでしょう?」

その時の森さんの顔は、以前孤島に行った時のような、とても優しい顔をしていた。

古泉「本当に優しい人です貴女は……先程も声を掛けずに襲い掛かってくれば簡単に僕を仕留められたのに……」

森「ふふ……」

古泉「僕を気絶させて、機関に連れ帰って、僕の為に処分されなくて済むようにするつもりだったんでしょう……あなたは……」

古泉が震える手を差し出し、その手を森さんの手がピシャリと撥ねた。

森「さぁ……もう……行きなさい」

120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 15:04:12.78 ID:qW9pdh9GO

古泉は、何かを振り払うかのように森さんに背を向け、一心不乱に情報空間の隙間に向かって駆け出した。
俺も共に駆け出し、情報空間から脱出する寸前振り向くと、森さんが口から血を流しながら笑って小さく『バイバイ』をするのが見えた。

長門(大)「……」

九曜「――――逃がさ―――ない――」

長門(大)「……それじゃ」
情報空間の隙間を抜けて、長門は脱出した。

九曜「――――逃げら――――れた―――」

佐々木「……」

九曜「――――泣い――――てる?―――」

佐々木「……捕まえなきゃ捕まえなきゃ捕まえなきゃ捕まえなきゃ」ブツブツ

九曜「―――――?―――――」


森「」

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 15:09:07.83 ID:qW9pdh9GO

ガチャ
キョン「アジトは前と変わってないんだな、長門は」

以前来たことのあるマンションの一室だった
……内装は多少女性らしく物が増えてはいるようだが。

みくる「おかえりなさ……あ、キョン君!」

キョン「お久しぶりです、朝比奈さん」

みくる「私にとってはまだ半年くらいしかたっていないんですけどね」

キョン「あ、そうか」

このまま和やかな会話に花を咲かせるのもいいが、まずは古泉の手当てだ。

124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 15:16:11.56 ID:qW9pdh9GO

キョン「長門、パパッと治せるか?」

長門「了解した」

キョン「うぉっ!?」

いつのまにか、さっきのナイスバディ長門から、ツルペタ制服長門に変わっていた。

長門「こちらの方がいい」

うん、俺にとってもいい。

古泉「申し訳ありません」

朝比奈さんが濡れタオルで古泉の体の血を拭いてあげているのを見ていると
思わず涙が出てきそうになった……お前はこんな時でも他人に配慮するのか?

126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 15:25:17.26 ID:qW9pdh9GO

古泉の治療は、それこそアッという間に終わった。

長門「『帰還日』の件について話し合いたい」

キョン「分かった」

キョン「今、北高はどうなってるんだ?卒業してから行ってないんだよ」

古泉「まだ廃校にならずにそのままですよ、ただSOS団の部室は今は物置になっていますがね」

キョン「団長席付近は?」

古泉「本で埋もれてます」

キョン「大丈夫なのか?」

ハルヒが帰還した時、『ここはほんのなかだ!ハルヒはしんでしまった!』にはならないんだろうか?

128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 15:31:34.66 ID:qW9pdh9GO

長門「前に言った通り、揺らぎが位置調節はすると思われる、でも事前に本を片付けた方が得策」

キョン「でも今北高に行くのはまずくないか?」

古泉「えぇ、森さんが単独で僕を救う為に行動してた事を考えれば、機関全体の考え方はやはり涼宮さんを葬りさろうと考えていると思って間違いないかと」

キョン「監視されてるかな」

古泉「まず間違いなく」

みくる「……」

キョン「朝比奈さん?」

みくる「!あっ、はい!」

キョン「?」

130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 15:38:55.54 ID:qW9pdh9GO

キョン子「……」スヤスヤ

橘「可愛い寝顔ですねぇ、佐々木さんそっくり!」

佐々木「……」

橘「佐々木さん……」

ガチャ
藤原「おい橘、分かったぞ」

橘「朝比奈みくるの協力者の件ですか?」

藤原「あぁ、あのな……」ボソボソ
橘「へぇ……これで納得いきましたよ」
藤原「少しは労を労ってもらいたいもんだ」
橘「ご苦労様でした」ニコニコリン
藤原「……」

キョン子「……」スヤスヤ

佐々木「……もうすぐパパ戻ってきくるからねー……また三人で楽しく暮らそうね……」サスサス

133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 15:46:07.64 ID:qW9pdh9GO

藤原「おい、そう言えば九曜はどうした?」

橘「『戦利品』で遊んでるんじゃないですか?やけに嬉しそうでしたし」

藤原「戦利品?なんだそりゃ?」

橘「間違っても九曜の部屋に見に行くのはオススメできませんけどね、一週間肉食べれなくなりますよ?」

藤原「?」

佐々木「さて、これからの事なんだが」

橘「佐々木さん、大丈夫ですか?」

佐々木「あぁ、心配掛けてすまなかったね」

135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 15:56:54.32 ID:qW9pdh9GO

佐々木「北高周辺はどうなっているのかな」

橘「思ったとおり、ビッシリと機関の連中でうめつくされてますね」

佐々木「排除できそうかい?」

橘「できなくはないですが……もう仲間が一人やられた事は全員承知でしょうから、新川、多丸兄弟も出張って来てるでしょうし……」

佐々木「難しいって事だね」

橘「えぇ……すいません佐々木さん」

佐々木「謝る事はないさ、こちらの標的はただ一人なんだ、他は無視していい」

キョン子「……むにゃ、ママ?」

佐々木「ごめんね、起こしちゃった?」

キョン子「……パパは?」

佐々木「……パパはお仕事なの、すぐ戻ってくるからね」

橘「……」

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 16:05:59.66 ID:qW9pdh9GO

夜中、突然尿意を催した俺は、トイレに入ろうとしたわけだが……
台所に灯りが点いている、誰か夜食でも食べているのか?

みくる「……はい」

朝比奈さん?なんで今頃?携帯で誰と喋っているんだ?

みくる「……そう……いえ、でも皆を騙してるみたいで……」

騙してる?俺達をか?天使の朝比奈さんが?

みくる「……最終的には皆の為になることはわかってるけど……でも……」

でもなんだ?

みくる「それは……涼宮さんを結局見捨てるって事だよね……」

137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 16:12:20.37 ID:qW9pdh9GO

中編終了

144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 16:45:37.52 ID:qW9pdh9GO

『帰還日』当日!

結局俺はあの日の朝比奈さんの言葉の意味を聞けなかった
聞いても「禁則事項です」って言われそうだったからな。

キョン「とはいえ長門よ」

長門「何」

キョン「もう俺も古泉もいい歳したオッサンだぞ、今更制服はないんじゃないか?」

みくる「似合いますよ〜」

この笑顔には嘘は無いと信じたい。

古泉「久しぶりですね、この制服も」

森さんを亡くしたばっかりだっていうのに……笑顔が本能にまで染み付いてるんだな、お前は……

148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 16:55:15.88 ID:qW9pdh9GO

キョン「それでどうやって校舎に入るんだ?機関が見張ってるんだろ」

長門「問題ない、既に手はうってある」

キョン「どんな手だ?どうせまた反則技だろ」

長門「今日は北高は突発の休校日、宿直の人も居ない、したがって中に人は居ない」

キョン「で?」

長門「正面突破する」

まったく作戦と言えないではないか、それは

長門「組織が私達より先に北高を襲撃する確率は99.99995%」

古泉「僕らよりも先に部室を確保したいと思ってはいるでしょうね」

キョン「ようするに、漁夫の利か?古泉、お前それでいいのか?同じ機関の人間が……」

古泉「恩人は……もういませんから」

古泉……

149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 17:03:34.84 ID:qW9pdh9GO

佐々木「さて、そろそろ行こうか」

橘「はい」ピッ
ピポパポ
橘「橘です、始めてください、えぇ、徹底的に、完膚なきまでに叩き潰してください」ピッ

藤原「やれやれ、実戦は苦手なんだが」

九曜「――――♪―――――♪♪」

藤原「なんだお前?そんなボロボロのメイド服なんて着て、血塗れじゃねーか」

九曜「――――戦利――――品♪――」

キョン子「……お母さん?」ブルブル

佐々木「怖がることは無いの、お母さんと一緒に行きましょう、お父さんも待ってるからね」

キョン子「……お父さんも?」ピタッ

佐々木「えぇ、そうよ」

152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 17:16:37.56 ID:qW9pdh9GO

校舎が遠くに見えてきた、遠くに見えるのに、異常が分かるぐらいの振動が伝わってくる
戦闘が始まっているのだろう。

古泉「さすが向こうもやりますね、どういう手段か周辺住民を完全に避難させるとは」

自動車のハンドルを握り、笑顔のまま古泉が言う。

長門「事象変異予測、後2時間15分後に涼宮ハルヒは帰還する」

10年振りか……おっと、干渉に浸ってる暇はないか。

みくる「あの……キョン君これ」

そうして天使が差し出したのは、およそ天使にはふさわしくない黒々と光っている拳銃だった。

キョン「なんですか?朝比奈さんコレは?」

みくる「これで自分の身を守ってください」

いや、朝比奈さんなら光線銃とかじゃないのか?

155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 17:26:31.96 ID:qW9pdh9GO

橘「あらあら、凄いですねぇ」

藤原「どうやって始末するんだ?この死体の山は」

橘「始末なら組織が完璧にやりますよ、ご心配無く」

キョン子「……お母さん、なんで目にタオル巻くの?前が見えないよ?」

佐々木「もうちょっとの辛抱だから我慢してね」

キョン子「……うん」

九曜「―――――2km先――――自動車の―――中――――」

佐々木「行ってきてくれるかい、夫を僕の元に連れてきてくれ、他はいいから」

九曜「――――了解―――――」

157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 17:35:50.90 ID:qW9pdh9GO

長門「……」ピクッ

長門が一瞬反応を示した瞬間、長門のアッパーカットによって自動車上部が華麗に吹き飛んでいた。

みくる「きゃぁあ!?」

長門「……来た」

来たって何がだ長門!と思った瞬間、フロントガラスに黒い塊がへばりついた。

九曜「―――戦利―――品―――」

九曜が着ているボロボロのメイド服を見た瞬間に、古泉の顔から笑みが消えた。

長門「このまま止まらず移動を、移動している対象を情報空間に閉じ込めるには時間が必要」

そう言いながら長門はフロントガラス目がけて手刀を繰り出し
砕け散ったガラスが俺や朝比奈さんに降り注いだ。

158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 17:49:50.09 ID:qW9pdh9GO

VS周防九曜

キョン「長門!早く朝倉の時みたいにシュワーっと!」

長門「直接体に触れないと情報連結解除は出来ない」

まさか走る車を狙ってくるとは夢にも思っていなかった。

キョン「消えた?」

長門「……いる」

古泉「下です!!」

九曜「―――――正――――解」

ちょうど運転席と後部座席の間、俺の両足の間を黒い刄が下から上に向かってすり抜けていった。

古泉「みなさん捕まっていてください!」

203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 22:56:27.57 ID:qW9pdh9GO

クラクラしてるんで投下遅いよ


狙ったのかどうかは定かでは無いが、車は路肩に乗り上げほぼ90度の片輪走行になり
ガードレールに下腹を叩きつけた。
決死のスタントの代償に、車は完全に停止した。

古泉「皆さん、早く車から脱出してください!」

そう言われるや否や、俺と朝比奈さんの首根っこを掴んだ長門により、車から緊急回避させられた。

キョン「古泉は!?」

車の中にも外にも姿が見えない。

長門「情報空間に囚われた」

だろうと思ってたよ。

206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 23:04:34.20 ID:qW9pdh9GO

古泉「……力が使えるんですね」

九曜「――――簡単――――すぎたら――つま―――らない」

古泉「ははっ、甘く見られましたね……ふんもっふ!!」
ブオッ!


キョン「長門、まだか」

長門「もうすぐ」


長門のもうすぐ=10秒くらいだが、今はその10秒が果てしなく長い。


九曜「――――歯応え――――ある?」

古泉「全力投球が簡単に髪の毛で跳ね返されるとは思いませんでしたよ」

208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 23:14:11.15 ID:qW9pdh9GO

長門解析まで後18秒


古泉「ふんもっふぅ!!!」
ブオッ!

九曜「―――一つ―――覚え―――――」
バンッ!
古泉「防がれるのは承知の上ですよ、防がれるのを狙ってたんです、あなたの正面が見えなくなりますからね」

赤玉になった古泉は、放った赤弾を隠れ蓑にし、九曜に急接近し、全力のパンチを叩き込んだ。

九曜「――――つ――――――」

遥か彼方まで九曜は吹っ飛び……

九曜「――――やる―――――」ムクリ

ピンピンしていた。

解析まで後10秒

211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 23:24:27.49 ID:qW9pdh9GO

圧倒的な力を持つ九曜が、古泉を攻めきれないのは、圧倒的な力を持つ故にであろう。
いつかは九曜に軍配が上がるこの勝負、それも正しい
ただ一つの誤算は、古泉がそれでいいと思っており、九曜がそれに気付いていないという事なのだ。
※某漫画より拝借

古泉「つあっ!?」
ズン!

古泉の右肩にワカメソードが深く食い込む。

九曜「―――大切な物を――奪う――楽しみを―――ちょうだい」

古泉「んんっ!」ググッ!

九曜「―――無理――抜け―――ない」

解析まで後2秒

214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 23:35:41.71 ID:qW9pdh9GO

古泉「くぅう!」ギギギ

九曜「―――折れ――ない―――無駄」

そう言った九曜は、ツカツカと古泉に近付き

九曜「―――止め―――」

古泉の胸にワカメソードを突き刺した。

古泉「時間です……」

九曜「――――?―――――」

訝しむ九曜のお腹から、細い手が突き出ている。

長門「さよなら」

光の束になっていく九曜。

古泉「これは返してください……」

メイド服を力任せにもぎ取ると、古泉はメイド服を胸に抱いた。

古泉「……森さん」

九曜は光になって消滅した。


古泉「」

216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/13(日) 23:51:21.63 ID:qW9pdh9GO

キョン「なぁ……」

長門「言いたい事は分かっている、今そこまでの改変を行なったらどんな影響がでるか予測不可能」

キョン「でも……」

長門「涼宮ハルヒか、古泉一樹か、選んで」

残酷な二択だな……一週間前なら迷わず古泉を選んでいたんだがな……

キョン「望まないだろうな」

嘘だ、古泉はもう何も望まない
俺が望んでいないと思い込みたいだけなんだ。

217 名前: ◆ErWllSFZ.A [] 投稿日:2009/09/13(日) 23:52:56.50 ID:qW9pdh9GO

なんか日付越えそうだな
一瞬酉付け

220 名前: ◆ErWllSFZ.A [] 投稿日:2009/09/14(月) 00:03:53.39 ID:Y9zdVsleO

橘「……九曜がやられました」

佐々木「……そうかい」

藤原「なんかヤバい事になってきたな」

佐々木「部室はどこだったっけ?橘さん」

橘「えっと、今は物置になってるみたいですね」

佐々木「そうかい、行こうか」

橘「藤原さん、じゃあ足止めお願いします」

藤原「だから実戦苦手なんだが……」

橘「光線銃やフォースセイバーあるんじゃないんですか?」

藤原「この時代にそんなもん落としたらパラドクス起きるだろ!」

222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/14(月) 00:14:51.09 ID:Y9zdVsleO

橘「元々こういう時の男手でしょう」

藤原「はいはい、了解了解、そいじゃ」ボリボリ
カツカツカツ

佐々木「不思議に思ってる事があるんだ」

橘「なんでしょう?」

佐々木「10年前のアレは本当に偶然だったのかな」

橘「涼宮ハルヒによる改変なら分かります、そのような改変はありませんでした」

佐々木「だから偶然だと?」

橘「そう考えるしかないと思います」

佐々木「天文学的な偶然かい?」

橘「……神はサイコロを振りませんよ、佐々木さん」

225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/14(月) 00:30:10.75 ID:Y9zdVsleO

ガチャ

佐々木「ひどく埃っぽいね……」

橘「何年も使われてないですからね」

佐々木「彼女が座っていた席の場所は?」

橘「……この本に埋もれたところですね」

佐々木「片付けてあげようか」

橘「はい」

キョン子「……お母さん?」

佐々木「心配しなくていいのよ、もうすぐ終わるからね」ニコッ

キョン子「お父さんは?」

佐々木「もうすぐ……もうすぐだから……」


佐々木「新たに三人で始めましょう……ここから始めるのよ……」

226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/14(月) 00:43:15.54 ID:Y9zdVsleO

久々に見る北高
何も変わっていないように見える。
いや、変わっていないように思いたいだけなんだろう……
そんな俺の感傷は一人の男の登場によって破られた。

藤原「参ったねどうにも、半信半疑だったが本当に九曜がやられたとはね」

藤原「おーっと、戦闘は苦手なんで手荒い事をやるのはやめよう」

藤原「朝比奈みくる!!!」

みくる「!?」

藤原「いつまで人を騙し続けりゃ気が済むんだ?」

なんだと……?何ていった?

藤原「まだ10年前の真実を仲間に言ってないんだろ!!」
真実って……?

みくる「……」ガタガタ
朝比奈さん?

藤原「お前の協力者の名前も分かってるぜ!!」

みくる「……あ、あ」ガタガタ

藤原「お前の協力者は……」

317 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/14(月) 19:56:47.84 ID:Y9zdVsleO

藤原「もっともそいつは協力者としての自覚を持ってるか怪しいものだがな!!いいか、そいつブァ!」

好き勝手な事をくっちゃべっていた目の前の男は
甲高い音が響いた後に、頭から血を出して膝をついて前のめりに倒れこんだ。

長門「全員近くに来て、狙撃されてる」

狙撃!?そんなバイオレンスの世界にいつの間に俺は足を踏み入れてしまったのだろうか。

長門の横に立った俺の視界の片隅に、黒い人影が見えた気がした、あれは……屋上か?

みくる「……」ガタガタ

相変わらず朝比奈さんは、顔を真っ青にして震えていた。

キョン「朝比奈さん……聞かせてもらえますか?」

みくる「知りません知りません」ブルブルブル

長門「……」

キョン「朝比奈さん、俺らにも言えない事ですか?」

みくる「……協力者というか……その人はSOS団の守護者です」

まったく意味が分からない

319 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/14(月) 20:00:16.35 ID:Y9zdVsleO

みくる「話します……10年前の事件は……私だけじゃなく、皆さんにも関係してくる事です」

俺たちにも?どういう事だ?

みくる「結論から言います……協力者は……」




みくる「涼宮さんです」

324 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/14(月) 20:10:48.33 ID:Y9zdVsleO

キョン「ちょっと待ってください、朝比奈さん、この前朝比奈さんが誰かと話してるのを立ち聞きしてしまったんです」

キョン「その時朝比奈さんは、『涼宮さんを見捨てる事になる』って言ってましたよね?」

みくる「聞かれてたんですか……あの電話の相手も涼宮さんです」

?さっぱり意味が分からない、ハルヒにハルヒを見捨てるよう言われた?

長門「涼宮ハルヒが作り出したもう一人の涼宮ハルヒ」

は?

みくる「……そうです、涼宮さんは揺らぎに閉じ込められた涼宮さんの他にもう一人います」

頭がどうかなりそうなんだが、誰かどうにかしてくれ。

みくる「……ひょんな事から知ってしまったんです、自分の力を」

ハルヒが自分の力を知った……?

330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/14(月) 20:23:56.37 ID:Y9zdVsleO

みくる「きっかけはほんの些細な事なんです、ある日、涼宮さんはたまたま一番遅く来た日に、部室の中の様子に聞き耳を立てていたんです」

いつだ?古泉とオセロをしている時にハルヒの力について話した事は確かにある。

みくる「最初は何の事を言っているのか分からなかったそうです」

当たり前だな、自分が神とか言われてもピンとくる人間などいない。

みくる「くだらない、と思っても、やはり気になって自動販売機で『当たれ』と念じて20回連続で当たった辺りでおかしいと思うようになり」

みくる「私に詰め寄ってきたんです、怖い顔をして……」

キョン「まさか……話したんですか?」

みくる「誰にも言わないから本当の事を教えてくれって……言わないと殺すわよって……」

336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/14(月) 20:32:04.02 ID:Y9zdVsleO

みくる「怖くて……喋ってしまいました……」

なんて事だ……だが、それとハルヒの分身が生まれてくるのに何の関係があるんだ?

長門「もし、あなたが一番触れられたくない事を誰かに知られたとしたらどうする?」

いきなりなんだ長門?そんなの……あ!

長門「涼宮ハルヒは殻に閉じこもる道を選んだ」

ちょっと待てよ、あの時は長門も居たんだぞ?お前は感知しなかったじゃないか

長門「その為に生み出されたのがもう一人の涼宮ハルヒ」

338 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/14(月) 20:43:37.97 ID:Y9zdVsleO

長門「朝比奈みくる、確認したい、あなたは私や古泉一樹の事も報告したかどうか」

みくる「……ごめんなさい」

喋った……という事だな

長門「『長門有希や古泉一樹のような能力者に感知されず力を一回のみ使え、朝比奈みくるのサポートの為になら力を使用可能な私の分身がいればいいのにな』」

長門「常人には計り知れない狂気と絶望の果てに彼女はそう願ったと思われる」

ハルヒ……だが……

キョン「10年後に戻ってくる設定にしたのは何故なんだ?」

長門「最後に自分を受け入れてくれるかどうかの賭けに出たものと思われる」

キョン「受け入れてくれたら幸せなまま死ぬ、拒絶されたら絶望のまま死ぬ」

長門「……」コクン

キョン「さっきは朝比奈さんの危機っていう防衛スイッチが入ったから……」

長門「狙撃した」

みくる「それだけじゃ……ないです」

340 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/14(月) 20:49:23.50 ID:Y9zdVsleO

みくる「生み出された涼宮さんは、自我が芽生え初めてます、自分を確立したがっています」

みくる「同じ人間が二人いた場合、自分を確立するには……」

キョン「どちらかが死ななけりゃならない……」

キョン「だから『見捨てろ』ですか」

みくる「……」コクン

長門「絶望と怒りから生み出された存在、つまり心も絶望と怒りに支配されている存在ということ、危険」

343 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/14(月) 20:57:35.96 ID:Y9zdVsleO

橘「佐々木さん……嘘ですよね」

佐々木「ん?何がだい?」

橘「涼宮ハルヒの力を移すって事ですよ」

佐々木「……」

橘「答えてください」

佐々木「そうさ、嘘だよ、そういわなけりゃ橘さんも組織を全員動かしてはくれなかっただろ」

橘「騙したんですか……?私を騙したんですか……?」

佐々木「だから僕の目的は後20分ほどでここに現れる女性さ、その女性の存在さえ消せばいいんだ」

橘「嘘……嘘つき!」

佐々木「君に分かるのか?今まで中睦まじく夫婦仲良くやってきたのに、ある忘れ去られようとしてる存在に夫をむしり取られようとしている妻の気持ちが!!」

344 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/14(月) 21:07:11.57 ID:Y9zdVsleO

ガチャ
ハルヒ?「やっほー!」

橘「!?」

佐々木「なんだって!?」

ハルヒ?「暗い物置で女性が二人口論!うーん、不思議の香りがプンプンするわ!!」

橘「そんな、何故!?まだ時間になってはいないはず!」

ハルヒ?「うるっさいわねぇ……」
ヒュン

橘「え?」

断ち切られた喉の傷口から、血が吹き出し、天井にまで吹き上がった。

橘「カッ……かはっ!……カッ!」

ハルヒ?「なぁんかね、頭がボーッとするのよね〜」

キョン子「きゃぁああああ!お母さん!お母さん!」

350 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/14(月) 21:19:52.68 ID:Y9zdVsleO

ハルヒ?「あつっ……頭が痛い……あれ?えーと、えーと、佐々木さんだっけ?キョンの……キョン?」

ハルヒ?「なんか頭がモヤモヤして……」

佐々木「なんで10年前と同じ姿で……」

ハルヒ?「団長命令よ!……団長?……誰が?」

キョン子「……」ガタガタ

ハルヒ?「キョンの妹にそっくりね!……誰の妹?誰のよ!」

佐々木「早く、こっちに来なさい!」

キョン子「お母さん!」

ハルヒ?「バカキョン!」
グサッ
キョン子「あぅッ!」

355 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/14(月) 21:34:22.00 ID:Y9zdVsleO

ダダダダダ!
バタン!

俺たちの青春の舞台だったSOS団の部室
そこに入った瞬間飛び込んできた光景。

佐々木「」
キョン子「」

妻は娘をしっかり抱き締めたまま息絶えていた。

キョン「うぁ……うぁぁああああああ!!!」

ハルヒ?「キョン!?きょ……ン!……今不思議探索していたのよ!」

目の前には10年前と変わり無いハルヒがいた
自我を持っていないという点は除いて。

ハルヒ「これこそ不思議よぉ!」
グサッ!
佐々木「」

キョン「やめろ!」

ハルヒ?「キョン、好き、好き?」

359 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/14(月) 21:42:33.16 ID:Y9zdVsleO

俺は震える手でゆっくりと、さっき朝比奈さんにもらった拳銃をハルヒに構えた。

ハルヒ?「きょん!好き!」

こいつはハルヒであってハルヒじゃないんだ!

ハルヒ?「孤島で一緒におチタ……心配したんだからね!」

俺の妻と娘を殺したやつなんだぞ!

ハルヒ?「ドん感なんだからキョンは!おごりなさい!」

撃て!撃つんだ!

ハルヒ?「キョン?」

俺は……俺は……

368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/14(月) 21:51:55.51 ID:Y9zdVsleO

ハルヒ?「私は私を殺して私になる……私?私って誰よ?」

手が震えて照準が定まらない、涙で視界も危うい。

ハルヒ?「私は私、他の誰でもない!」

元はと言えば、俺たちが不用意に部室で話をしていた所為だろ?こいつに罪は無いだろ?

ハルヒ?「キョン、私はハルヒ!涼宮ハルヒ!」

俺たちがハルヒを苦しめた結果がこれだ!当然の報いなんだ!
ハルヒ……俺は……

ハルヒ?「キョンが好きだけど絶対に悟られないようにしている涼宮ハルヒ!!」

ハルヒ?「キョン!私はあんたのことが好
俺は引き金を一回だけ引いた。



ハルヒ?「」

377 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/14(月) 22:04:13.72 ID:Y9zdVsleO

死体を廊下に出して、俺たちは昔の部室の中にいた。

長門「後1分」

キョン「なぁ長門、朝比奈さん、しばらくハルヒと二人っきりにさせてくれないか?」

みくる「わかりました……」

長門「……分かった」

無理な願いだと思ったが、すんなり二人は聞き入れてくれた。

やがて時は来た。

ハルヒ「……キョン」

キョン「よぉハルヒ、久しぶりだな……って言ってもお前はそのままか」

385 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/14(月) 22:14:24.83 ID:Y9zdVsleO

ハルヒ「……なによキョン!あんた老けたわねぇ!!逆さ磔獄門の刑だわ!」

キョン「まったく……予想通りの答えだな、お前らしいよ」

ハルヒ「なによ……何か言うことあるんじゃないの?」

キョン「いや、別に、団長様の変わらぬ姿を拝見できて至極恐悦だよ」

俺はこの時喉まである言葉が出かかっていた
『全てを忘れた状態で10年前の世界に戻りたいと願え』と
10年前もこう願えばよかったんだお前は、余程ショックで何も考えられなかったんだな。
俺が言えた義理じゃないが。

387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/14(月) 22:22:49.74 ID:Y9zdVsleO

何にも変わらないんだと思う
ハルヒがハルヒである以上、こんなことが起きる可能性はある。
もちろんハルヒは何も悪くはないさ。

キョン「……なぁハルヒ」

ハルヒ「なによ……」

キョン「俺はな、お前の全てを受け入れるぞ」

ハルヒ「あっ、あんたねぇ……///」

キョン「勘違いするな、別に愛の告白じゃない」

ハルヒ「あっ、あったりまえじゃない!」

それから二人でひときしり笑った。

ハルヒ「ねぇキョン、もういいわ、これで満足、3日待つ必要は無いわ」

キョン「そうか、それは団長命令か?」

ハルヒ「団長命令よ!」

俺はハルヒに向かって拳銃の照準を合わせた。

393 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/14(月) 22:33:24.30 ID:Y9zdVsleO

何故か今までの事が走馬灯のように浮かんできた

キョン「まったく寒い中ストーブ取りに行かされるわ」ポロポロ

ハルヒ「寒いんだからしょうがないじゃない!」ポロポロ

キョン「孤島じゃ台風の中出ていって挙げ句の果てに俺まで巻き添えにして下に落ちるし」ポロポロ

ハルヒ「一人じゃ寂しかったのよ」ポロポロ

キョン「人に散々おごらせるだけおごらせるし」ポロポロ

ハルヒ「それは……悪いと思ってるわよ」ポロポロ

キョン「アホ、結構俺は楽しかったぞ!」ポロポロ

キョン「後な、今だから言うが、お前が中学生の頃に合ったジョンスミスは俺だ」ポロポロ

ハルヒ「本当に今更言うな!バカキョン!」ポロポロ

キョン「楽しかったよ、団長!」ポロポロ



ズキューーーーン!

409 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/14(月) 22:42:38.39 ID:Y9zdVsleO

キョン「て……当たってないぞ」

ハルヒ「……あれ?なんで?」

ガチャ
長門「あなたは少し落ち着いたほうがいい、ここで涼宮ハルヒを殺害しても何の解決にもならない」

長門パワーか、うん、確かにハルヒを殺してもなんともならないと今更気付いた。

みくる「ふぇ、今の音なんですかぁ〜?」

ハルヒ「みくるちゃん!有希!」

みくる「!?」ビクッ

ハルヒ「大丈夫よみくるちゃん、殺したりしないから!私は三日後死ぬけどね!」

長門「その件について話がある」

416 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/14(月) 22:55:48.12 ID:Y9zdVsleO

長門「こう願ってもらいたい」ゴニョゴニョ

ハルヒ「それだけ?」

長門「それだけ」

キョン「長門、なんだ?」

長門「すぐに分かる」

なんかハルヒが一休さんのポーズで考え込む振りをしているのを見ていると
意識がボンヤリしてきて、やがて意識が途切れた。

423 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/14(月) 23:12:12.86 ID:Y9zdVsleO

ハルヒ「古泉君、有希は?」

古泉「さぁ、コンピ研に行っているんじゃないでしょうか」

ハルヒ「なぁにー!うちのマスコットキャラクターを!みくるちゃん!行くわよ!」

みくる「ふぇぇええ?」



長門『過去に戻りどういう手段を取ろうとも、あなたと涼宮ハルヒが出会うことによって発生する因果律を防ぐ手段は無い』
長門『どのような形であっても鍵のあなたと出会ってしまうことをさけなければならない』
キョン『つまり?』
長門『涼宮ハルヒと出会わないようにする事』
キョン『……』
長門『あなたの決断にしたがう』
キョン『もうあんな事はこりごりだしな』
長門『あの時涼宮ハルヒには、記憶を消した状態での過去帰還だけ頼んだ、あなたの事に関しては言っていない』
長門『おそらくあなたの事を言っていれば涼宮ハルヒは了解しなかったと思われる』
キョン『なぁ長門、もしかして今までのゴタゴタの原因って俺か?』
長門『その可能性は高い』
キョン『そうか……』

427 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/14(月) 23:22:03.78 ID:Y9zdVsleO

キョン妹「ふぇ〜」

キョン「なんだなんだ?」

キョン妹「だって引っ越して転校なんて〜」

キョン「別にいいだろ、新しい友達できるぞ」

キョン妹「ふぅう〜」

ブロロロロロ!
佐々木「おや」
ウィーン
キョン「よぉ佐々木、久しぶりだな、近くに引っ越すからまたよろしくな」
佐々木「くつくつ、それは楽しみだね、また自転車の後ろにでも乗せてもらおうかな」
キョン「ああ、じゃあまたな」
ウィーン
キョン「神はサイコロを振らないねぇ……」

キョン妹「ふぇ?」

キョン「ちょっとこの三つのサイコロ振ってみな」

キョン妹「えい!……わ、3つとも6」

キョン「そういうこともあるかもな、またいつか出会う日がな……」

涼宮ハルヒはサイコロ振らない


441 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/14(月) 23:30:06.62 ID:Y9zdVsleO

後日談

キョン「暇だ」

?「遅刻遅刻〜!」

キョン「うぉあ!」
ドン!
?「すいません!私、県立桜高の軽音部のギー太最高だと思ってる人間です!すいませでした〜!」

キョン「あ、いや」

?「ギー太は25万円です!」

キョン「なんなんだ……?」


適当です、皆さんお疲れさまでした



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