古泉一樹の憂鬱


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トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:涼宮ハルヒを炎天下の車に閉じ込めたい

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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 20:14:36.84 ID:guuOQRldO


いつもの様に授業を終え、いつもの様に部室に向かう。今やこの事は僕にとって当たり前の事となっている。

扉を開けるとそこにはもう見慣れた顔触れが揃っていた。

未来から来た、すこし天然で可憐な少女。本が好きな、無口で頼れる宇宙人。いつもどこか気怠そうで、寝てばかりいる彼。

そして―――SOS団の団長であり、我々『機関』にとって神にも等しい存在である元気いっぱいの少女。

キョン「よお古泉、遅かったな」

古泉 「ええ、今日は掃除当番でしたので」

みくる「お疲れ様、古泉君。どうぞ、お茶です」コト

古泉 「ありがとうございます、朝比奈さん」

受け取ったお茶を口に含む。……うん、美味しい。鼻から抜けるお茶の香りが何とも落ち着く。


2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 20:16:38.14 ID:guuOQRldO

キョン「どうだ、チェスでもするか」

古泉 「いいですね、今日こそは勝ちたいものです」

キョン「せいぜい頑張るんだな」

みくる「頑張ってくださいね」

長門 「……」ペラ

ハルヒ「……」カチャカチャ


3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 20:18:42.96 ID:guuOQRldO

古泉 「ふむ、ではこの辺りに」コト

キョン「いいのか?そんな所に動かして」カタ

古泉 「……困りましたね」カタン

キョン「よし、チェックだ」カッ

古泉 「参りました」

キョン「……相変わらずの弱さだ」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 20:20:02.30 ID:guuOQRldO

古泉 「楽しめればそれでいいのですよ」

キョン「まあ、お前がそれでいいなら何も言わないが」

長門 「……」パタン

キョン「ん、今日はもう終わりか」

ハルヒ「……先に帰るわ、じゃあね」ガタッ

みくる「今日の涼宮さん、なんだか怖かったですね……」

古泉 「今日のはバイトが入りそうです」

キョン「またあの変な空間に行くのか。まぁ、世界が壊されんよう頑張ってくれ」

古泉 「ええ、では帰りましょうか」

キョン「ああ」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 20:21:51.23 ID:guuOQRldO

古泉 「それでは、また明日」

キョン「おう、じゃあな」

最近、閉鎖空間は滅多に現れなくなっていた。今回も随分久しぶりの閉鎖空間となる。それだけ涼宮さんの精神が安定しつつあるという事だ。

しかしメランコリーな気分になる事もたまにはあるのだろう。そんな時にこうして閉鎖空間が発生する。

まぁ、それも以前と比べると随分小規模なものばかりなのだが。……この辺は彼に感謝しなくては。

ブロロロ……キイッ

ウィィーン

森  「待たせたわね」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 20:23:09.05 ID:guuOQRldO

少し荒い運転で迎えに来た森さんは僕にそう言い放つと車を豪快に反転させた。

車体に幾つもの傷があるが、この運転を見れば納得がいく。

森  「乗りなさい、行くわよ」

古泉 「はい」ガチャ

『機関』の活動にもすっかり慣れてしまった。学校帰りに神人狩りなんてのも別に珍しい事では無い。

古泉 「閉鎖空間の様子はどうです?」

森  「かなり大きいわよ。……最近、ラクしてばっかりだったから皆苦戦を強いられているみたい」

古泉 「そうですか……では、早く助太刀しなければ」

森  「ええ、急ぎましょう」

自分の「力」で薄々は感じていたが、今回の閉鎖空間はかなり大きい。それほど涼宮さんが何か不満を持っているのだろう。

……また合宿の提案でもしようか、そんな事を考えているうちに森さんが口を開いた。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 20:25:07.74 ID:guuOQRldO

森  「ついたわ、ここよ」

車が止まったのは川の側にある道路だった。人通りも多い方で、周りには幾つものビルが建っている。『機関』のものであろう車も何台か見える。

古泉 「では、行きましょうか」

僕は自分の「力」で、閉鎖空間内に入り込んだ。

灰色であらゆる生物が存在しない世界。僕達が唯一「力」を発揮できる世界。それがここ、閉鎖空間。

―――ああ、またここへ来たのか―――

そんな事を僕はこの空間へ来る度思う。何故そんな事を思うだろうか。

しかし今はそんな事を考えてる暇は無い。

周りを見渡すとちょうど川をまたぐようにして神人が立ち、それにむかって僕の同志達が攻撃を仕掛けていた。

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 20:26:46.37 ID:guuOQRldO

森  「久し振りね……腕が鈍ってなきゃいいけど」

古泉 「まったく、同感です」

目を軽く閉じ、気を集中させる。僕の体を赤いオーラが包み込む。

よかった、力が弱ったという事は無さそうだ。

隣りを見ると、森さんもすでに戦闘態勢に入っていた。

森  「準備はいい?……行くわよ!!」

古泉 「了解です」

このオーラを纏っていれば普通では考えられないスピードで移動する事ができる。

オーラを使い攻撃だってできるし、多少のダメージならば軽減も可能だ。

閉鎖空間内「限定」のこの力。何故僕にこんな力が目覚めたのかはわからないが、今は世界の為、いや……自分の為に戦っている。戦うしかない。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 20:28:04.18 ID:guuOQRldO

新川 「やっと来ていただけましたか」

森  「遅れて悪かったわね、戦況を報告して頂戴」

新川 「なかなかやりますよ、あの神人。……すでに何人かやられています」

森  「そう……新川は私と古泉の援護にまわって」

新川 「わかりました」

森  「さて……」

そう呟くと森さんは勢いよく飛び出し、神人の左腕に殴りかかった。彼女はオーラを拳の先に込め、その拳で殴る攻撃を得意とする。

直接オーラが伝わる為、その分威力も大きい。先の一撃で神人はバランスを失っている。チャンスだ。

森  「今よ、古泉」

古泉 「ふんもっふ!」ブン

僕は溜めていたオーラを球状に変化させ、神人に向かって投げ付けた。

ふむ……我ながらナイスコントロール。攻撃は見事に神人の頭部に命中した。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 20:29:16.62 ID:guuOQRldO

古泉 「やりましたかね?」

森  「どうかしら、でもダメージは与えたはずよ」

僕の発したエネルギー弾の爆風で神人の姿は視認できない。

森さんの言う通り、ダメージは与えたが……まだ倒せてはないようだ。

古泉 「……おや」

煙が消え、神人が姿を現した。他の仲間たちが攻撃を加えるも、何食わぬ顔で立ち上がろうとする。

森  「しぶといわね……」

森  「はぁぁっ!!」ダッ

溜め息をつきながら再び神人を殴り付ける。

流石は森さん、一撃で神人の動きが止まった。間髪を入れずにもう一発拳を入れると、神人は完璧に地面に伏した。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 20:30:47.05 ID:guuOQRldO

古泉 「この様子だと、僕の出番は無さそうです」

新川 「全くです」

止めをさすつもりなのだろう、森さんが空中に静止し、構える。

森  「はぁぁぁ……」

森さんの全身におびただしい量のオーラが纏っている。

すごい量だ。次第にオーラが森さんの右腕に集中していく。

森  「覚悟しなさい……」

こんな攻撃を受けてしまう神人に少し同情してしまう。

……おや、これは失言でしたかね?

森  「やぁぁぁっ!!」

ドン、と鈍い音が辺りに響わたる。

またしても一面を煙が包み込む。

すぐに煙は消えたが、そこにあった光景に僕は驚愕を受けた。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 20:32:31.41 ID:guuOQRldO

森  「かっ……は……!!」

攻撃を受けていたのは神人では無く森さんの方だった。どうやって神人が攻撃をしたのかは見えなかった。

古泉 「一体……どうして……?」

にわかには信じられなかった。

しかし、確かにそこには墜落して行く森さんの姿がある。

古泉 「森さん!!」

僕はそう叫ぶと、森さんのもとへ向かった。

オーラを拳に集中していた為、神人の攻撃を直に食らってしまっている。かなり危険な状態だ。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 20:33:52.37 ID:guuOQRldO

古泉 「早く安全な所へ……」

新川 「危ない!!」

新川さんの声に反応し、後ろを振り返る……神人の手が目の前まで迫っていた。

古泉 「くっ……」

オーラを精一杯ひろげ、守りを固める。それしか出来なかった。

古泉 「がぁっ!!」

神人に吹き飛ばされ、ビルの屋上に叩きつけられた。全身にズキズキと痛みが走る。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 20:34:56.73 ID:guuOQRldO

森  「古泉……大丈夫……?」

古泉 「ええ、なんとか」

森  「そう……よかった」

古泉 「あなたはご自分の心配をなさってください」

森  「ふふ……相変わらずね」


ドガァァン……

古泉 「……!!しまった!!」

気付けば神人はすぐそこまで近付いていた。僕達に止めをさすつもりなのだろう。

古泉 「くそっ……」

体を動かし回避しようとするが、間に合いそうにもない。森さんを抱えてならば尚更だ。

―――迫る恐怖。確実に押し寄せる死の影。

古泉 「(ここまで……ですか)」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 20:36:26.99 ID:guuOQRldO

思い返せば色々な事があった。涼宮さんと出会い、SOS団に入り、たくさんの事に立ち会った。

市内を探索したり、合宿をしたり。彼との将棋やチェスも楽しかった。

夏休みを延々と繰り返した事もあったな。

本当に毎日が楽しかった。最初は作っていた笑顔も、最近では心の底からのものに変わっていた。

……今、その全てが消えようとしている。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 20:38:00.87 ID:guuOQRldO

古泉 「すみません、森さん……僕が不甲斐ないばかりに」

森  「…げ……て」

古泉 「……え?」

森  「……逃げるのよ、古泉……あなただけでも」

古泉 「……そんな事をするなら、ここで一緒に死んだ方がマシです」

森  「こんな時まで……馬鹿なんだから」

古泉 「……すみません」

森  「ふふっ……でも、少し嬉しいわ」

古泉 「何でです?」

森  「何故かしら……そういう気分なの」

古泉 「……そうですか」


神人はその大きな手を真っ直ぐ振り降ろしてくる。

僕は森さんを強く抱き寄せた。もうすぐ死ぬというのに、何をしているのだろうか。

不思議と恐怖は無くなっていた。

この人の側にいると心が落ち着く。……非常に心地いい。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 20:39:25.86 ID:guuOQRldO

古泉 「さようなら、涼宮さん……SOS団の皆さん……」

そう呟き、目を閉じようとした瞬間―――

『諦めるには……まだ早いですよ』

声……?一体誰の?

新川 「ふぅ……なんとか間に合いました」ザッ

古泉 「新川……さん?」

新川 「ぬぅりゃあぁぁ!!!!」ザン

新川さんはオーラを赤い刀に形取り、それを振り抜い神人の腕を切り落とした。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 20:42:03.13 ID:guuOQRldO

新川 「動けますか?」

古泉 「ええ、僕はの方はなんとか……ありがとうございました」

新川 「礼には及びません。……あなたにはまだ、やるべき事が残っている」

古泉 「やるべき事……?」

新川 「そうです。それを全うするまで、決して生きる事を諦めてはいけない」

新川さんの言う通りだ。僕にはやらねばならない事がある。

―――こんなところで死ぬ訳にはいかない。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 20:43:27.16 ID:guuOQRldO

戦闘員「大丈夫か!?二人とも?」

古泉 「ええ、なんとか」

戦闘員「まったく、ヒヤヒヤさせやがって」

古泉 「ご心配をおかけしました。……森さんを、安全な所へお願いします」

戦闘員「古泉、お前もボロボロじゃないか!!とても戦える状態じゃない」

古泉 「……お願いします」ギン

戦闘員「……!!」ゾワ

戦闘員「わ、わかった、森さんは任せておけ。……死ぬなよ、古泉」

古泉 「まだ死ぬ訳にはいきませんからね、努力しますよ」

新川 「では、いきましょうか」

古泉 「第二ラウンド開始、といった所ですね」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 20:45:24.95 ID:guuOQRldO

相変わらず、身体が悲鳴をあげている。満身創痍、とはまさにこの事をさすのだろう。

しかし……まだ、動ける。まだ、戦える。

―――守るべきものの為に。

古泉 「ふんもっふ!!」ブン

新川 「うおりゃあっ!!」ザシュッ

新川さんが切り付けたにもかかわらず神人の攻撃の手はやまない。

新川 「……!!」

バシッ

新川 「ぐあっ!!」

古泉 「新川さん!!」

新川 「……大丈夫です、これくらい何でもありません」

この人は強い。何度神人にやられても勇敢に立ち向かっている。

彼にもまた、戦うべき理由があるのだろう。



28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 20:47:10.42 ID:guuOQRldO

新川 「ぬぅん!!」ザン

新川 「今です!!」

古泉 「はい!!」

古泉 「ふぅぅぅ………」

力を抜き、呼吸を整える。全身にオーラが巡るのが感じ取れる。

今度はそれを、手のひらに集中させ、エネルギーの球を作り出す。

―――僕の十八番だ。大きさこそいつもと変わらないが、込められたオーラの濃度は普段のそれを大きく凌駕する。

古泉 「いきますよ……!!」

古泉 「ふん……もっふッッ!!」ドシュウ


僕が放った球は神人に当たると激しく弾けた。

煙がひくのを目を凝らして待つ。まだ油断は出来ない。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 20:48:54.64 ID:guuOQRldO

古泉 「……」

古泉 「……!」

サァァァ……

暫く経ち煙がひくと、神人は消滅を始めていた。

……終わった。勝ったのだ。


新川 「……どうやら、終わったようですね」

古泉 「やり……ました…よ…」クラッ

新川 「おっと……」ガシッ

新川 「やはり相当なダメージを受けていたようですね」

新川 「……私もフラフラです、早く帰りましょう」スッ

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 20:50:45.62 ID:guuOQRldO

古泉 「……ん」

次に僕が目を覚ましたのは、病室のベッドの上だった。

あの後、気を失ってしまったのだろうか。いてて、まだ体が痛む。

重たい体を起こし、隣りを見てみるとそこには森さんがいた。

森  「あら……お早う、古泉」

古泉 「森さん!?怪我は……」

森  「そんなにひどくは無かったみたい。あなたが大袈裟だったのよ」

古泉 「そんなはずは……」
森  「いいから。今はゆっくり休みなさい。私が見ててあげるから」

古泉 「でも……」

森  「しつこいわよ古泉……早く横になりなさい」グイグイ

古泉 「い……痛いです森さん!!わ、わかりましたから!!」

森  「わかればよろしい」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 21:32:02.26 ID:qoe7lAa4O

古泉 「あの……森さん」

森  「なに?リンゴでも食べたいの?」

古泉 「是非……と言いたい所ですが、今は遠慮しておきます」

森  「わかってるわよ、言ってごらんなさい」

古泉 「なんというか……今、少し嬉しいです」

森  「あら、どうしてかしら」

古泉 「何故でしょうか……そういう気分でして」

森  「……そう」

ぽつん、一言そう呟くと森さんは外を眺め始めた。僕もつられて視線を移す。外はもうすっかり暗い。

寄り添うよう立っている二つの木を、月の灯りが優しく照らしていた。


〜fin〜

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 21:36:56.98 ID:qoe7lAa4O

短いですがこれで終わりです

稚拙な文章で申し訳ありません

途中いきなり鯖が落ちたので焦りましたがすぐ復活してよかったです

読んで頂きありがとうございました



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