佐々木「やあ、キョン」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:05:31.89 ID:Hc5kLat+0

注意事項

1.パンツは穿いておけ

2.後半は脱いでもいいかもしれない(後半は書いてないからわからん)

3.このSSは基本的に>>1がニヤニヤしながら書いた気持ち悪いSSです

4.ネタが古いとか、気にしたら負けなんじゃないかな

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:06:14.29 ID:Hc5kLat+0

佐々木「全く、進学校も楽じゃないよ。」

佐々木「休日なのに課外学習なんて、狂っているとしか思えない。」

佐々木「そうは思わないか?キョン?」

そう問われたキョンは渋い顔をして質問に答えた。
その様子を見て佐々木は少々心配をする。が、それはすぐに解消された。

キョン「それは普通高校に通っている俺への皮肉か?」

キョンは苦笑い気味に答える。いつも通り、佐々木の知るキョンである。

佐々木「そんなわけないだろう、もしかしてそれはジョークかい?」

キョン「50:50だな。まあ、休日がつぶれるのはウザそうだが。」

佐々木「そのおかげでこうして君と会えたのだけれどもね。」

キョン「それにしても偶然だな。」

佐々木(ここまで鈍感だと、もはや感心できる・・・・・・・)

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:07:08.31 ID:Hc5kLat+0

佐々木はここ数週間、キョン行動パターンを分析。
そしてその持ち前の頭の良さと知識量によってキョンの行動を先読みし、偶然を装いつつキョンにアプローチを試みたのだ。
もちろん、偶然にしては不自然すぎる点は多すぎるので、一般人にこの方法を用いれば即座に八百長を見破られるだろう。

キョン「じゃあな」

佐々木「待てい」

即座に答える。分かってはいた。キョンがこんな人間だということは。
だが、これは即答せざるを得なかった。ここで逃げられては、台無しである。

佐々木「もっと言うことはないのかい?キョン。」

キョン「俺には偶然会ったクラスメイトにかける言葉はこれくらいにしか思えんが。」

佐々木「………君は本当に・・・まあ、いいよ。今日は何日だい?」

キョン「…?」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:08:07.37 ID:Hc5kLat+0

佐々木「言ってなかったかな?今日は僕の誕生日だよ。」(※佐々木の誕生日は不明です)

キョン「聞いていないな。」

佐々木(あれだけ念を押して覚えていないとはね・・・)

受験受験で忙しかったとはいえ、自分の誕生日を覚えるように仕向けていた佐々木は少し落胆を覚えた。
だが、ここで挫けているわけにはいかない。まだまだ計画は始まったばかりだ。

佐々木「そうか、それはすまなかったね。それで、何かないのかい?」

キョン「おめでとう、じゃあな。」

佐々木「待てい」

佐々木(・・・・・あきれ果てる。)

佐々木(だが、ここは我慢だ、落ち着け。)

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:09:31.56 ID:Hc5kLat+0

佐々木「女性の誕生日を祝うのに言葉だけというのはどうなんだろうね?」

キョン「いきなり言われてもなぁ。なにも用意できんぞ。」

佐々木「いいのさ、物なんていつか無くなるんだから。」

キョン「…?じゃあどうしろって言うんだ?」

不思議そうに佐々木を見つめるキョン。
その視線だけで正気を失いそうな佐々木だが、自重する。

佐々木(落ち着け!落ち着くんだ!!私!!)

佐々木「・・・キョン、わ…僕は"思い出"が欲しいのさ。」

キョン「うーむ、つまりどうしろってんだ?」

佐々木「明日一緒にどこかへ連れて行ってくれ。」

唐突な佐々木の申し出に、キョンは困惑するだろう。
佐々木はそう思っていたが、キョンの反応は意外だった。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:10:39.82 ID:Hc5kLat+0

キョン「俺の奢りでか?」

佐々木「まあ、厳しいのなら折半も認めよう。」

ここが一番の難関だと思っていた佐々木はあっけをとられそうになった。
だが、ポーカーフェイスなら長門の次くらいに得意な佐々木である。そこは顔に出さない。

キョン「明日か、まあ暇だしOKだ。」

佐々木「くつくつ、楽しみに待っているよ。」

佐々木(〜♪)

佐々木は思いのほか事がうまく運び、るんるんとスキップをしながら帰った。
思えば、近所の人からの視線が痛いものだったがその時は気がつかなかった。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:11:23.19 ID:Hc5kLat+0

〜翌日〜

佐々木(少々早すぎたようだ、誰もいない。)

佐々木(まあ、遅すぎるよりはいいだろう。)

キョン「よう、早いな、佐々木。」

かけられた声に内心佐々木は驚嘆した。
だが、それを悟られたくなかった。恥ずかしかったからだ。

佐々木「へ、へぇ〜。時間ギリギリに来る君がこんなに早く来るとはね。」

キョン「アイツのおかげかもな…」

佐々木「アイツ?くつくつ、彼女かな?」

キョン「ま、そんなところかもな」

佐々木「…!?」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:12:08.28 ID:Hc5kLat+0

驚きを隠せなかった。
キョンに彼女ができていたとは、信じたくもなかったし、信じられなかった。

キョン「ん?どうかしたか?」

佐々木「い、いや。いつの間に彼女なんて作ったんだい?」

キョン「ああ、冗談だよ。俺は財布みたいなもんさ」

佐々木(財布でもいいからつきあってるということか・・・)

このあたりは、恋する佐々木の乙女らしい一面であった。

キョン「どうした?行こうぜ。」

その言葉に佐々木は正気を取り戻す。
ライバル出現という危機に瀕して、むしろ冷静になったのだ。

佐々木「ところで、キョン。どこへ行くんだい?聞いてなかったが。」

キョン「ああ、ベタなところだが・・・」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:13:02.01 ID:Hc5kLat+0


〜映画館入り口前〜

キョン「映画館だ。」

佐々木「なるほど、それで、何を見る気だい?」

キョン「ダン・ブラウン原作の宗教サスペンス、t」

佐々木「天使と悪魔だね、原作は読んだよ。」

キョン「あ、ああ。流石というべきか。」

佐々木「よく行く書店にポスターが貼ってあったからね。」

佐々木「女性と男性が一緒に見る映画ではないと思うのは僕だけかい?」

キョン「これくらいしか面白そうなのがなくてな。」


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:14:12.77 ID:Hc5kLat+0

〜映画館内〜

キョン(いざ見に来たはいいが…)

キョン(俺にはこの映画の良さがさっぱりわからん)

キョン(いかん・・・・・・眠い・・・)

キョン(寝るな・・・・寝たr・・・)

佐々木(!! キョン、映画館とはいえ大胆だな、手を握ってくるとは)

佐々木(!!! 頭を肩に!?大胆過ぎだろうキョン!!)

佐々木「おい、キョン。やりすg…」

佐々木「寝てしまっている…全く」

佐々木「おい、キョンおきr・・・」

佐々木(良い寝顔だな、寝かせておこう)

佐々木(かわいい♪)ぷにぷに

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:15:08.92 ID:Hc5kLat+0

小一時間キョンのほっぺをぷにぷにし続けた佐々木。
その快感は戦慄を覚えるほどであった。

佐々木(よし、こんども映画に行こう。)

そう思いつつも映画を横目に見ていると、あっという間に時は過ぎた。
そして、映画は終了し……

キョン「うお、まぶし!」

佐々木「やぁ、キョン。なかなか面白かったね。」

キョン「え?ああ、面白かったな。」

キョンはこういうときの応急処置法をある程度は心得ていた。
適当に話を合わせておけば、意外と何とかなるものである。

佐々木「特にあの主人公がキリストの生まれ変わりという下りはエキサイティングだったね。」

キョン「あ、ああ!最高だったよ!」

佐々木「まあ、そんな下りは無かったんだけどね。」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:16:06.61 ID:Hc5kLat+0

小一時間キョンのほっぺをぷにぷにし続けた佐々木。
その快感は戦慄を覚えるほどであった。

佐々木(よし、こんども映画に行こう。)

そう思いつつも映画を横目に見ていると、あっという間に時は過ぎた。
そして、映画は終了し……

キョン「うお、まぶし!」

佐々木「やぁ、キョン。なかなか面白かったね。」

キョン「え?ああ、面白かったな。」

キョンはこういうときの応急処置法をある程度は心得ていた。
適当に話を合わせておけば、意外と何とかなるものである。

佐々木「特にあの主人公がキリストの生まれ変わりという下りはエキサイティングだったね。」

キョン「あ、ああ!最高だったよ!」

佐々木「まあ、そんな下りは無かったんだけどね。」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:17:11.56 ID:Hc5kLat+0

が、キョンが寝ていることに気が付いていた佐々木に死角はなかった。
流石だな、何という策士だろうか、将来怖い嫁さんになるだろうなぁ。
そんなことを思っていると・・・

佐々木「くつくつ、良い寝顔だったよ」

キョン「あ〜、スマン。」

佐々木「まあいいさ、楽しかったからね。」

キョン「・・・???」

キョン(そんなにあの映画は面白かったのか。損したかもしれんな。)

佐々木(ぷにぷにー♪おっと・・・)

佐々木「それで、この後の予定はあるんだろうね?」

キョン「は?」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:18:08.87 ID:Hc5kLat+0

佐々木「その様子だと、無いようだね。」

キョン「映画観て帰る気だったんだが・・・」

佐々木「キョン、普通2人でどこか行くとなったら、一緒に1日を過ごすと考えないかい?」

キョン「いや、分からん。」 (※正直、>>1も知りません。だが、ここは進行上そうしておきます。)

佐々木「くつくつ、そうだと思っていたよ。」

佐々木(思い通り、思い通り、思い通り!)

佐々木は死亡フラグを立てながら自らの策に陶酔すら覚えた。
ここからの状況は綿密にシミュレーションしてきた。
恐らく、4桁はシュミレーションしただろう。

佐々木「これからの予定は僕が作ってきたよ。」

キョン「本末転倒な感じもするが、どこへ行くんだ?」

佐々木「それはね・・・」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:19:15.83 ID:Hc5kLat+0

〜キョン自宅前〜

佐々木「君の家さ。」

キョン「あ〜・・・一応理由を聞こうじゃないか。」

キョンは今日くらいは我儘も聞いてやろうという寛容的精神と
いやいやそれはまずいんじゃないだろうかという常識的精神との間で揺れ動かされていた。
佐々木の思いどおりである。ここまでは。

佐々木「僕の家でもよかったんだけど、今日は両親が不在でね。」

キョン「な…!」

佐々木「君に限って過ちがあるとは思えないけどね。」

キョン(ん?俺の家も誰もいないような・・・?)

佐々木(キョンの家に誰もいないことはリサーチ済み・・・完璧だ)

再び陶酔する佐々木。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:20:13.17 ID:Hc5kLat+0

佐々木「じゃあ、お邪魔するよ。」

キョン「ちょっと待て!」

佐々木「なんだい?見られて困るものでも置いてあるのかな?くつくつ」

キョン「いや、そうではないんだが・・・」

キョンが両親不在の事実に気がつきつつあるようなので
佐々木は大胆に行動することにした。

佐々木「じゃあ、あがらせてもらうよ。」

佐々木「君の部屋は確か・・・こっちだったかな?」

キョン「ああ、そうだが。」

佐々木「おや?そういえば誰も見えないようだが?」

佐々木(さぁ、取り乱したまえキョン。)

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:21:08.87 ID:Hc5kLat+0

キョン「!!」

佐々木「全く、君はとんだ策士だねキョン。」

佐々木「くつくつ、いいだろう。その策略に敬意を払ってすべてを許可しよう。」

揺さぶりをかける。この程度でキョンが動かせないことは百も承知だが
キョンの慌てふためくさまを見るのは愉快この上なかった。

キョン「ほう・・・言ったな?」

佐々木「え・・・?」

佐々木(何!?こんなに大胆な奴だったか!?)

計画を大幅に短縮しなければならないな
というか、避妊器具は持ってきたかな?
いや、妊娠もそれはそれでありかも///

などなど、思考を迷走させる佐々木に、キョンからとどめの一撃が放たれる。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:22:35.05 ID:Hc5kLat+0

キョン「じゃあ、お前の体をもらおうか。」

吐息がかかりそうな距離。あと一押しで押し倒されそうである。
形容しがたい威圧感が、キョンから放たれている。

佐々木「お、おいキョン。本気なのか?」

キョン「当たり前だ、じゃあまずは・・・」

心臓が高鳴る。当たり前だ。初めてだ。
何をするんだろうか?もしかして特殊な…!?!?!?

思考を暴走させる佐々木。その様は、本当に可愛い。
キョンは気が付いていないが。もったいない。

キョン「今日皿洗い当番の日だから手伝ってくれ。」

佐々木(・・・・こんな事だろうと思ったよ。)

いや、全く思ってはいなかったのだが。


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage猿さん対策で30分休む] 投稿日:2009/08/29(土) 06:24:28.94 ID:Hc5kLat+0

〜台所〜

佐々木とキョンが台所に並んで立っている。
キョンはタオルを手にし、佐々木はエプロンを着ている。

佐々木(こうして並んでいると、新婚さんみたいだな…///)

キョン(こうして並んでいると、夫婦みたいだな)

微妙な感覚のズレはあるが、二人とも心境はほとんど同じだった。

約20分間で皿洗いを得た佐々木。流石は女の子か。キョンがそう感心していたその時。

外で爆発音がした。花火の音だ。

佐々木「おや?このあたりは祭りでもやっているのかい?」

キョン「ああ、確か地元の夏祭りだ。神社でやっている。」

佐々木(そこまでは知らなかったな。だが利用しない手はない。)

この考えこそが間違えの発端だったのだが、この時は最高の考えだと思えた。


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:49:51.06 ID:Hc5kLat+0

佐々木「くつくつ。なぜ言わなかったんだい?」

キョン「何のことだ?」

佐々木「夏のデートの定番と言えば夏祭りじゃないか。」

キョン「祭りといっても何もないぞ?焼き鶏と花くじぐらいだ。」

佐々木「いいじゃないか。雰囲気だけでも味わってみたいものだ。」

キョン「まあ、そこまで言うなら構わんが……」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:51:03.12 ID:Hc5kLat+0

〜神社〜

佐々木「なんというか・・・本当に何もないね。」

佐々木はガッカリとした様子で言う。
キョンは予想していたかの様に言う。

キョン「言っただろう。なにもないと。」

佐々木「仕方がないか。さて、花くじでも楽しもうではないか。」

キョン「結構時間があるぞ?」

花くじ開始は9時。あと30分ほどの時間があった。

佐々木「そうなのかい?しかしそれは困った。やることがない。」

キョン「フム、そうだな。」

キョン・佐々木「・・・・・・・・・・・・」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:52:08.11 ID:Hc5kLat+0

キョン・佐々木(いかん!話す話題がなくて気まずい!!)

???「おや?これはこれは、奇遇ですね。」

キョン・佐々木「!!」

キョン「古泉・・・なぜここにいるんだ?」

古泉「いえ、僕もこの近くに住んでいまして。」

キョン「・・・丸見えのウソはやめておけ。どうせ、俺と佐々木を監視にでも来たんだろう?」

古泉「御明察です。流石ですね。」

キョン「まあ、いい。」

キョン「それで、何の用だ?」

佐々木「くつくつ、僕を放っておいて話し込むとは。失礼しちゃうね。」

佐々木は古泉の出現に敏感にフラグブレイクを感じ取っていた。
それゆえに、敬遠してみたのだが、古泉は軽く受け流す。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:53:00.89 ID:Hc5kLat+0

古泉「ご心配なく、すぐ済みますよ。」

古泉「過ちは犯さないで下さいよ?」

古泉はそう耳打ちして足早に帰って行った。
余計な御世話だ。キョンはそう心の中で嘯く。

佐々木「キョン、じゃあお賽銭でもしてこようか。」

キョン「ああ、そうだな。お前は受験成功あたりを願うのか?」

佐々木「フフ、秘密よ。」

キョン「…!?」

キョンが違和感を覚えるのも無理はない。これも佐々木の計画のうち。
曰く、ギャップを垣間見せることで自己の魅力を引き出すのだそうだ。
それがいくらかはキョンに効いたようで。

キョン「そ、そうか。」

キョンは少し俯きながら、やりにくそうにしている。
普段見ない佐々木の一面に面を食らったといったところか。

佐々木(あぁ…キョンかわいいなぁ・・・)

デレデレである。もはや原作の姿の欠片もない。
だが、それでいい。それがいい。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:53:59.69 ID:Hc5kLat+0









と、次の瞬間!!


















28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:55:05.93 ID:Hc5kLat+0

ハルヒ「あら?キョン、キョンじゃない!!」

フラグ破壊の達人がやってきた。フラグ破壊の神と言うべきか。

キョン「ハルヒ!?なんでこんなところに!?」

ハルヒ「古泉君に誘われてきたのよ。商品にUFOの化石があるそうじゃない!何で言わなかったのよ!」

キョン(古泉の野郎…)

佐々木(やってくれたね。流石に彼女には計画なんてものでは太刀打ちできない。)

この時点で佐々木は諦めかけていた。佐々木はハルヒの神懸かりの力を知っている。
そんなチート能力を前にしては、どんなことに対しても諦めというものが入ってしまう。
が、佐々木はここで倒れるような精神力の持ち主ではない。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:56:04.09 ID:Hc5kLat+0

佐々木「こんばんは。涼宮ハルヒさんだね。初めまして。」 (※一応初対面設定。)

ハルヒ「・・・??あなた、誰?」

キョン「ああ、こいつは俺の中学時代の」

佐々木「親友だ。」

ハルヒ「へ?」

ここだけは譲れなかった。ハルヒの財布がキョンだとして、自分が親友であるという事実だけは譲れなかった。

佐々木「噂はかねがね聞いているよ、涼宮さん。とてもファンキーな人だとか。」

キョン(………まあいいか。)

ハルヒ「あら、それはうれしいわね。それで、二人は何をしていたの?」

ハルヒは若干不機嫌そうに答える。当たり前だ。
潜在的にしろキョンの事が好きなのだから。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:57:00.01 ID:Hc5kLat+0

佐々木「僕の誕生日のデートに付き合ってもらっていてね。」

突き放す。

ハルヒ「あら、そうなの?じゃあキョン、ちゃんとエスコートしてあげなさいよね。」

キョン「あ、ああ。」

佐々木(かわされたか。)

ハルヒ(甘いわ。この程度の攻撃では私は揺るがないわよ?)

両者の熱い視線の狭間で揺れるキョン。俺と代わってくれ。

キョン「じゃ、じゃあ行こうぜ。」

佐々木「そうだね、そろそろ花くじも始まることだし。」

そうしてハルヒと別れた佐々木とキョン。
次々と当り番号が発表されてゆく。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:58:02.73 ID:Hc5kLat+0

司会「456番、456番の人はいませんかー?ではこの番号は破棄して・・・・」

佐々木(…思いのほか退屈だな)

花くじの性である。1等、特等などの高額商品は後に当選発表をするシステムなので、前半は盛り上がりに欠ける。
後半の盛り上がりもそこまでではないが、当たった時のうれしさは言い表しがたいものがある。

キョン「お、佐々木。3等の折りたたみ自転車が当たったぞ。」

佐々木「ほう、利益率400パーセントか。やるね。」

キョン「ちょっと待て、交換してくる。」

キョンはそう言うと、景品を交換しているステージへと向かった。
すると、このタイミングを見計らったかのようにハルヒが現れた。

ハルヒ「やっと二人で話ができるわね、佐々木さん。」

佐々木「くつくつ、いつかこうなるとは思っていたよ。」

ハルヒ「言っておくけど、キョンは渡さないわよ。」

佐々木「それは僕のセリフだな。」

睨み合う二人。火花が出ているようである。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 06:58:51.51 ID:Hc5kLat+0

ハルヒ「…まあいいわ。とりあえず、何かあったら承知しないから。」

佐々木「さぁ?どうかな?」

ハルヒ(そろそろキョンが戻ってくるわね。)

ハルヒ「じゃあ、宣戦布告はしておいたわよ。」

佐々木「ああ、確かに受け取ったよ。」

ハルヒは去って行った。丁度そのタイミングでキョンは戻ってきた。

キョン「見ろ、いい自転車だ。」

佐々木「ああ、本当にいい感じだね。」

司会「それでは、特等・50V液晶地デジ対応テレビの発表です!!」

佐々木「フフ、結局何も当たらなかったな。」

キョン「まだわからんさ。」

司会が特等の番号を発表する。ミリオネア並みに引き伸ばしているが、そろそろ引き延ばしも限界である。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 07:00:04.40 ID:Hc5kLat+0

司会「さぁ、テレビをゲットするラッキーな人は〜…零!」

佐々木(お?)

司会「飛んで!」

佐々木(ま、まさかな・・・)

司会「十!」

佐々木(来たか!?)

キョン「当たったんじゃないか!?」

司会「二番!!」

佐々木(あ、当たった!?)

キョン「やったな!!佐々木!!」

佐々木「あ、ああ。」(し、信じられない。ビギナーズラックという奴か・・・?)

と、キョンの視界に古泉が映る。いつも通りの笑顔だ。

キョン(あいつの仕業か・・・?だが何でそんなことを…)

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 07:01:08.49 ID:Hc5kLat+0

かくして祭りは終了を告げた。
佐々木はキョンと別れ、一人帰途につくことにした。
キョンも、流石に危ないと止めたのだが、テレビを持って帰るために
地元の人に軽トラを借り、そこに便乗することにしたそうで

佐々木「心配してくれるのは嬉しいが、大丈夫さ。」

といってキョンの送っていくという提案を断った。

〜祭り会場→キョン宅への帰途〜

キョン「古泉、尾行しているのは分かっている。出て来い。」

古泉「おやおや、あなたはゴルゴ13ですか?」

キョン「冗談はいい。なぜあんなことをした?」

古泉「あんなこと、ですか・・・?」

キョン「どうせお前だろう?佐々木にテレビを当ててやったのは。」

古泉「ムフ。バレてましたか。」

キョン「当たり前だ。それで、なぜあんなことをした?」

古泉「涼宮さんが望んだからですよ。」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 07:02:00.23 ID:Hc5kLat+0

キョン「ハルヒが・・・?なんでそんなことを?」

古泉「あなたと佐々木さんを一緒に帰らせたくなかったからでしょう。」

キョン「…?お前、それをハルヒに聞いたのか?」

古泉「いえ、しかし、僕たちは涼宮さんの感情がわかるのですよ。ある程度は考えていることも、ね。」

古泉「涼宮さんはあなたとの恋のライバルを望みました。それが佐々木さんです。」

キョン「は?」

古泉「あなたも気付いているのでしょう?佐々木さんと涼宮さんがあなたに恋心を抱いていることくらいは。」

キョン「……まあ、な。」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 07:02:59.42 ID:Hc5kLat+0

古泉「では、いつかはどちらかを選ばねばならないことも分かっているのでしょう?」

キョン「……分かりたくないだけだ。俺には選べない。」

二人はこの会話を最後に口を噤んだ。

キョンは、実は全て知っていたのだ。佐々木が自分の後を付け回していたことも。
あの日出会ったことが偶然でないことも。ハルヒと佐々木が宣戦布告し合っていたことも。
全て知っていた。だからこそ、キョンは鈍感なフリとしていた。
彼は全ての物語のストーリーテラーである。事実を客観的に見ることができるのだ。

そうこうしているうちにキョンの家に着いた。
気がつけば、古泉はどこかへ消えていた。
そこには、今は誰もいない家がある。     第一話完

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 07:04:14.90 ID:Hc5kLat+0

------ハルヒが佐々木に対して宣戦布告してから、早3ヶ月。
   俺の周囲を取り巻く環境は、大きく変わっていた・・・

〜キョン宅〜

キョン「…ああ。次の日曜日か・・・いや、だめだ。」

キョン「え?なんでかって?いや、SOS団の不思議探索の予定があってな・・・」

キョン「ま、まて。怒るなよ。」

キョン「どっちかを選べ!?だから違うんだ!待ってくれ佐々木!!」

キョン「切れてしまった・・・」

俺は佐々木とハルヒの間の熾烈な奪い合いの対象となった。羨ましいか?
はん。そうだろうな。だから今日は俺がお前たちに個人的に俺の恋愛談を自慢をしてやる。


39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 07:05:05.73 ID:Hc5kLat+0

〜3か月前〜

佐々木「やあ、キョン。」

キョン「ああ、また会ったな。」

佐々木「もっとも、今日は狙ったんだけどね。」

キョン「前回も狙ってたんだろ。それくらい知ってるよ。」

佐々木「な、何の事かな?僕にはサッパリ・・・」(バレていたのか!?)

キョン「・・・まあ、いいが。」

???「あら?キョン。それに佐々木さんも。偶然ねー」

佐々木・キョン「・・・!」

キョン「ハルヒ、お前何してんだ?」

ハルヒ「年頃の女子高校生が、町中を歩くのに理由がいるの?」

キョン「まあ、確かにな。」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 07:06:42.87 ID:Hc5kLat+0

佐々木(こいつ・・・ぬけぬけと!!)

ハルヒ(キョンとデートしようだなんて、そうはいかないわ。)

ハルヒ(キョンの後をつけているのが自分だけだと思ったら大間違いよ。)

周りから見ていると今のキョンは両手に花状態なわけだが
キョンにとっては、自分の精神を削る状態でしかない。

キョン(あー…なんでこんな状況になってるんだろう・・・)

キョン(どっちか一人だけが告白してくれれば、即座に付き合うんだがな・・・)

ご存じの通り、キョンは童貞なのにリア充という訳の分からない人間である。
ゆえに、女がらみの問題には全く耐性がない。こんな状況では、どうしていいかなど分からない。

佐々木「さて、キョン。行こうか。」

キョン「え?どこへだ?」

佐々木「映画館に決まっているだろう。行く予定だったじゃないか。」

キョン「ヱ?」

佐々木「さあさあ。」

佐々木はキョンを無理にでも連れて行こうとしている。
こんなことをあの天上天下唯我独尊女が許すはずもなく・・・

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 07:07:35.16 ID:Hc5kLat+0

ハルヒ「待ちなさい!!」

佐々木(チィ!)

ハルヒ「佐々木さん。何を見に行く予定なのかしら?」(暗黒微笑)

佐々木「HACHIを見に行くんだよ。試写会をね。」

佐々木の策は完璧に思えた。ハルヒが映画館に行くことを予期し
チケットを偶然を装って用意していたとすれば、デートを邪魔されるかもしれない。
が、試写会は応募制だ。事前に用意するのは骨が折れるだろう。ほとんど不可能である。ほとんど。

ハルヒ「あら、そうなの?」(暗黒微笑)

佐々木(な・・・ま、まさか!!)

ハルヒ「偶然ねぇ。私もちょうど同じものを見に行く予定なのよ。」

ハルヒの策は無欠だった。佐々木がキョンを誘いそうな映画をすべて網羅し
周辺で行われる試写会全てのチケットを応募で手に入れた。チート力発動である。

ハルヒ「じゃあ、いきましょう。キョン。」

キョン「あ、ああ。」

佐々木「…ッ!待ちたまえ!」

こうして3人で映画を見に行くことになったキョン。
羨ましい。俺と代われよ。そう思うのも無理はない。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 07:08:30.45 ID:Hc5kLat+0

〜映画館試写会会場〜

キョン「・・・思ったよりも混んでるな。」

佐々木「ああ、そうだね。さて、席に座ろうか。」

いったんは破綻したように見えた佐々木の策だが、一応最終防衛手段があった。
その手段はすでに講じられていた。入場の際に、自分の取ったチケットをキョンに渡し
そのチケットでキョンを入場させたのである。自分が取った試写会のチケットは連番だった。
今回の試写会は完全指定席なので、番号で席が決められているだろう。
だから、連番のチケットで入れば、席は完全指定制だろうと隣になる。
つまり、自分はキョンの隣に確実に座ることができるのだ!!
確率的に言って、ハルヒがキョンの隣になることはほぼない。ほぼ。

ハルヒ「あら、私の席、キョンの隣だわ。」

佐々木(ポカーン)

佐々木はハルヒの力を侮っていたわけではない。
だが、これはいくらなんでも・・・そう思った。

キョン「まあ、とりあえず見ようぜ。」

試写会という名の修羅場が始まった。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 07:09:12.63 ID:Hc5kLat+0

佐々木(キョンは言うほど鈍感ではない。今の状況を理解している。)

ハルヒ(それなら、なんで能動的に一人を選ぼうとしないのかしら?)

佐々木(その答えは、キョンの恋愛経験を紐解いていけば明らかだ。)

ハルヒ(つまり、こういう場合の対処法をぜんぜん知らないのよね。)

佐々木(故に、キョンにどちらかを選ばせるということは不可能だ。)

佐々木・ハルヒ(ならば、相手より先に無理矢理でも奪い取るまで!)

キョン(・・・?な、なんだ?妙な寒気が体を襲ってくるぞ・・・?)

最初に動いたのは佐々木。キョンの手に自分の手を重ねた。

キョン「ちょ!」

佐々木「うるさいぞ、キョン。今いいところなんだ。」

キョン「あ、ああ。スマン。」

キョン(なんで俺がおこられてるんだ・・・)

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 07:10:26.24 ID:Hc5kLat+0

それを見て、ハルヒもすかさず手を握る。

キョン「おい!」

ハルヒ「うるさいわねぇ〜。他の人の迷惑よ。黙ってなさい。」

キョン(だから、なんで俺のせいになるんだよ…)

傍から見れば羨ましい限りの光景だが、本人からすれば逃げ出したいくらいの状況である。

そして今度はハルヒから仕掛ける。

ハルヒ(眠るフリをして・・・)

頭を肩にもたれかけさせるッ・・・!

キョン(・・・!!おいおいおいおいおいおい…!)

佐々木(ク・・・!やられた。その手があったか!)

ハルヒ(ふふふ、もうサルまねはやめましょうよ?)

キョンは、二人の熱い戦いの狭間にあり、そのうち考えるのをやめた。

そうこうして、映画は無事(?)終了した。
キョンの精神力は、限界まですり減っていた。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 07:11:20.71 ID:Hc5kLat+0

キョン「お、面白かったな…」

佐々木「ああ、全くだ。」

ハルヒ「ええ、本当にね・・・」

まだ火花を散らしている二人。と、そこに現れたのは・・・

橘「佐々木さん!探したんですよ!?」

佐々木「おや?橘さん。どうかしたのかい?」

橘「どうかしたのかじゃありませんよ!いきなり消えちゃうかr・・・」

橘(すすすすす涼宮ハルヒ!!!)

橘「え・・・あ・・・えぇー!?」

ハルヒ「なによ?人の顔見ながら驚くなんて、随分失礼ね。」

佐々木「ああ、彼女の非礼は僕が詫びるよ。申し訳ない。」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 07:12:02.95 ID:Hc5kLat+0

橘(ちょ、ちょっと佐々木さん!なんで涼宮ハルヒと一緒にいるんですか!?)

佐々木(ああ、彼女とは恋のライバルになってね。君までライバルにはならないでくれよ?)

橘(・・・?何のことですか?)

佐々木(分からないのならいいさ。まあ、今日はこのまま帰ってくれるかな?)

橘(分かりました。では、また。)

佐々木と橘は互いに小声で話し合っていた。
一方その頃、キョンとハルヒはと言うと・・・

キョン・ハルヒ「・・・・・・・・・・・・・」

キョン・ハルヒ(話題がねぇー!!)

二人の間を沈黙が支配していた。

ハルヒ(こんなんじゃ駄目よ・・・!何か話題を!)

キョン「…なぁ、ハルヒ。」

唐突にキョンがハルヒに話しかける。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 07:12:48.65 ID:Hc5kLat+0

ハルヒ「な、なに?どうかしたの?」

戸惑うハルヒ。まさに涼宮ハルヒの戸惑いである。

キョン「正直に答えてくれないか。」

ハルヒ「・・・?何を?」

キョン「俺は、たぶんお前のことが好きだ。」

ハルヒ「な・・・!!」

キョン「俺は、多分佐々木のことも好きだ。」

ハルヒ「・・・・・・」

キョン「お前はどうなんだ?いや、お前達は」

ハルヒ「……………よ」

キョン「・・・?もう一回言ってくれないか」

ハルヒ「好きだって言ってんのよバカキョン!!!」

キョン「・・・そうか。」

ここで会話は終わった。

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 07:14:41.70 ID:Hc5kLat+0

佐々木「やあ、待たせたね。」

そこに戻ってくる佐々木。間が悪すぎる。

佐々木「・・・?どうかしたのかい?二人とも。」

キョン「いや、なんでもねぇよ。」

佐々木(・・・嘘だな。明らかに。)

佐々木はハルヒの表情からあらかた何があったか読み取っていた。

佐々木(これは・・・先を越されたのかもしれないな。)

佐々木「さて、じゃあ次のところに行こうか。」

ハルヒ「え!?」

佐々木「もちろん、僕は次のプランも考えているよ?」(暗黒微笑)

キョン(佐々木一人に振り回されるだけならいいが・・・)

ハルヒ(しまった・・・!これ以上の策は弄していないわ・・・!)

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 07:16:01.44 ID:Hc5kLat+0

佐々木(ククク…僕の勝ちだ涼宮ハルヒ!)

キョン「で、どこに行くんだ?」

佐々木「それを言っては面白くないね。」

佐々木「さて、涼宮さんはこれからどこに行くのかな?」(暗黒微笑)

ハルヒ「……!!」

ハルヒ「キョ、キョンの家よ!!」

佐々木・キョン「なん・・・だと・・・!」

ハルヒ「別にいいわよね、キョン?約束してたことだし。」

キョン「え?約束なんてあったk」

ハルヒ「・・・」(暗黒微笑)

キョン「・・・あ〜、そんな約束があった気がしないこともないような気がする。」

ハルヒ「うん、そうよね。」

佐々木「おや?僕も君の家に行く約束をしていたはずだが?」

キョン(もうどうにでもなーれ☆)

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 07:16:56.33 ID:Hc5kLat+0

〜キョン宅〜

キョンは驚き呆れた。
なぜなら、そこにいるべきはずの家族がいなかったからだ。
なぜなら、そこにはあるはずのない置手紙があったからだ。
なぜなら、その手紙には家族は旅行と書かれていたからだ。
なぜなら、そこは家などでなくもはや修羅場だったからだ。

ハルヒ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

佐々木「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

キョン「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

そこにあったのは三者三様の面持ち。
ハルヒは、キョンをじっと睨みつけている。
佐々木は、残り二人に微笑みを向けている。
キョンは、萎縮し何をすべきか分からない。

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 07:17:51.08 ID:Hc5kLat+0

キョン「と、とりあえず飯でもどうだ!?」

佐々木「ああ・・・それはいい考えだ・・・」

ハルヒ「そうね、じゃあ私の手料理を・・・」

佐々木「おっと、それは僕の仕事だね・・・」

交差する視線の先には火花が飛び散っていた。

キョン「みんなでつくろうぜ!そのほうがいいだろ!?な!?」

結局、ハルヒと佐々木はキョンの提案を受け入れ、料理は3人で作ることとなった。

佐々木「フム・・・それはいいが・・・」

ハルヒ「何を作ろうかしらね…アイデアはある?」

キョン「じゃあ、シチュー」

佐々木・ハルヒ「OK」


さて・・・書きためが尽きたわけだが・・・

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 07:28:48.52 ID:Hc5kLat+0

ハルヒ(やるんなら世界一おいしいシチューを作りたいわね・・・)

玉ねぎ・ジャガイモ・コーン・鳥もも肉、などなど
様々な食材を流麗な包丁捌きで蹂躙していく二人。
その様は、一つの完成された芸術品のようであり
出来上がるであろうシチューの味は食べるまでもなかった。

10分後、そこには全ての食材を捌き終えた二人の姿があった。
20分後、そこには材料をさっと鍋に入れる二人の姿があった。
30分後、そこには完成間近のシチューに見入るキョンがいた。

・・・・・・静寂。
まるで無音だけがその場に存在できるかのような荘厳な雰囲気。
それほどまでに、その食品は圧倒的存在感を放っていた。
涼宮ハルヒの願望、「世界一おいしいシチュー」。
それがまさに今実現した。

全員が無言で食事を始める。
最初に口を開いたのは、キョン。
キョン「うめぇ・・・」

次に、佐々木。
佐々木「これは・・・」

最後に、ハルヒ。
ハルヒ「ここまでとはね・・・」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 07:35:34.32 ID:Hc5kLat+0

全員が全員圧倒されていた。
もはやキョンをめぐって争うなど、二人にはどうでもいいこととなっていた。
まあ、そのときだけではあるのだが。


それからあとの記憶は…悪いがあまりないな。
あまりにシチューがうまくてな。気が付いたら二人は帰った後だった。
とまあ、事の顛末はこんなもんだ。別にやましいことなんか何にもなかった。
だが、その時にどうも俺は二人に対して「好きだ」的なことを言ったらしい・・・

酔って変なことを口走ることがあるだろう?そんな感じでな。
え?ここからあとの事?ま、気が向いたら話すさ。
なんせ、あれからかなりいろんなことがあったからなぁ・・・  第二話完

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 15:58:06.35 ID:Hc5kLat+0

さて、話は戻って現在へ。つまりは第二話の最初のシーン、電話のシーンからだ。
最近は沈静化していたかのように思えた俺の奪い合いも、ここにきてまた盛り返して来たみたいだな。
まあ、沈静化といっても十分俺には刺激の強いことばかりだったが・・・

おっと・・・そろそろいい時間だ。明日の不思議探索に備えて寝るとしよう。
・・・佐々木の事は…まあ、なんとかなると信じておこう。

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 15:58:48.39 ID:Hc5kLat+0

翌日=SOS団不思議探索予定日当日

〜SOS団指定集合喫茶店内〜

そこには8名の人間がいた。

涼宮ハルヒ、キョン、古泉一樹、朝比奈みくる、長門有希の5名がいるのはごく自然なことだ。
彼らはSOS団メンバーであり、今日の不思議探索をおおよそ1週間前から計画していたのだから。

問題は残りの3人。つまり、佐々木、橘京子、周防九曜のことだ。
彼女らは、いわばSOS団に敵対するような関係にあるので、この場にはおおよそ相応しくないだろう。

橘(ち、ちょっと佐々木さん!?話があるというから来たのに、これはいったい何ですか!?)

佐々木に耳打ちする橘京子。

佐々木(ああ、それは君達をここに連れてくるための嘘だよ。一応謝っておこうかな。)

周防(―――――意図――不明――――)

佐々木(くつくつ、そろそろ本気でキョンをおとしにかかろうと思ってね。)

橘(・・・まあ、そういうことなら協力しますが…)

橘にとってキョンは涼宮ハルヒから神の力を奪い取るための重要なアイテムである。
もし彼が佐々木にメロメロになってくれるのなら、これ以上いいことはないだろう。

周防(―――――――おもし――――ろい――――――)


93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 16:00:04.74 ID:Hc5kLat+0

と、不機嫌そうにハルヒが口を開く。

ハルヒ「それで・・・なんであなたたちがいるの?」

佐々木「くつくつ、僕たちもここをよく利用させてもらっていてね・・・」

佐々木「せっかく出会えたのだから、一緒に町内を回らないかい?」

ハルヒ「お断りよ。あなたたちはSOS団団員でも何でもない部外者じゃない。」

みくる「でも、涼宮さん。せっかくだしいいんじゃあ・・・」

ハルヒ「みくるちゃんは黙ってなさい!!」

みくる「ひゃう!・・・・・・ごめんなさい……」

キョン「・・・ハルヒ、言いすぎだぞ。朝比奈さんに謝っておけ。」

ハルヒ「……分かったわよ。確かに私が悪かったわ。ごめんね、みくるちゃん。」

と、SOS団内で内輪揉め寸前の会話をしていると・・・

周防「――――なぜ――拒むの?―――――」


94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/29(土) 16:01:09.43 ID:Hc5kLat+0

ハルヒ「え?」

周防「―――――こわいの?――――――」

ハルヒ「はぁ!?私が何を怖がっているというのよ!いいわ、そこまで言うならついてきなさい!」

佐々木(くつくつ・・・GJだ)

周防(――計画――――通り――――――)

長門「・・・・・・・・・・・・・」

かくして変則8人組の不思議探索が始まった。え?藤原?誰それ、知らない。


95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 16:02:14.84 ID:Hc5kLat+0

〜街中〜

全員「・・・・・・・・・・・・」

全員(毎度のことながら、話題がない!)

ハルヒ「やっぱり8人は多すぎるわ。2つに分けるわよ。」

古泉「そうですね、そのほうがよろしいかと。」

古泉「というわけでくじを作成してきました。」

ハルヒ「流石は副団長ね、話が早いわ。」

くじ引きの結果、不思議探索は・・・

キョン・佐々木・みくる・長門のグループと
古泉・ハルヒ・橘・周防のグループとに分かれた。

まさかの展開に戸惑う古泉とみくる。
対照的に平然とかまえているハルヒ。

が、内情はといえば・・・

ハルヒ(なんで!?どうしてこうなった!?どうしてこうなった!?)

同様に佐々木も・・・

佐々木(なんと・・・またチート能力発動でバラバラになるかと思ったが・・・)

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 16:04:18.38 ID:Hc5kLat+0

二人とも当惑していた。
が、キョンは誰の仕業か知っていた。

キョン(長門、お前だな。なんでこんなことをした?)

長門に囁くキョン。

長門(理由は言えない。ただ、あなたを橘京子もしくは周防九曜と共に行動させることは危険だった。)

キョン(危険だと・・・?一体なんでそんなことが言えるんだ?二人とも敵意はないようだが?)

長門(理由は言えない。)

キョン(・・・まあ、良かろう。)

密談をするキョンと長門を現実に引き戻したのは、ハルヒの落ち着いた声だった。

ハルヒ「いい?これは不思議探索であってデートではないのよ?それを忘れないようにね、キョン。」

キョン「あ、ああ・・・」

落ち着いた声だが、キョンにはハルヒが驚き呆れていることが分かった。

キョン(・・・何かしたら今度はキスくらいじゃ済まないかもな……)

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 16:05:09.74 ID:Hc5kLat+0

長門「・・・・・・・・・」

こうして8人の団体は2つのグループに分かれた。

早足に去ってゆくハルヒ達一行を見送り、キョンは呟く。

キョン「さて……どうしたもんかな・・・・・・」

佐々木「どうしたものかなだって?くつくつ、僕たちはただ不思議を見つけるだけだろう?」

キョン「まあ、そりゃあそうだが・・・」

みくる(・・・私、いらない子なんじゃないでしょうか……)

長門「・・・・・・・・・」

キョン「とりあえずどこに行くかだけは決めるか。希望はあるか?」

佐々木「うーん・・・特には思いつかないね・・・」

長門「図書館。」

みくる「わ、私はどこでもいいですよ・・・」

キョン「じゃあ、とりあえず図書館で涼んでいきましょうか。どうせ不思議なんて見つからないだろうし。」

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 16:06:14.58 ID:Hc5kLat+0

〜図書館内〜

佐々木「この町の図書館はなかなか大規模だね。あまり来たことがなかったがいいものがそろっている。」

キョン「・・・俺は本には造詣が浅いからわからんが、何か面白いものでも見つけたのか?」

佐々木「これだよ、これ。『性本能と水爆戦 征服』なかなか見つけられなくて困っていたところでね。」

キョン「なんともぶっ飛んだタイトルだな・・・おもしろいのか?それ。」

佐々木「いや、僕にも分からない。なんせ、実物は初めて見るからね。」

キョン「マンガが図書館にあるってのも、時代を感じるもんだな。」

佐々木「くつくつ、確かにそうだね。ちょっと前までは信じられなかったかもしれない。」

二人がちょっとした雑談で周りに迷惑にならない程度に盛り上がっているころ
みくると長門はと言えば・・・

長門「…………」

みくる(この時代にはまだ活字メディアがあったんですね・・・)

長門は本を読みふけっていた。みくるは図書館というものに対して関心を抱いていた。

この図書館で起きたことは、ただキョンと佐々木の仲が良くなったということだけだった。
何の変哲もない、かといって退屈ではない日常がそこにあった。

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 16:07:23.68 ID:Hc5kLat+0

あっという間に時は過ぎ去り、事前に確認していた集合時間間際になってしまった。

キョン「もうこんな時間か・・・」

佐々木「ああ、しかし面白かった。噂以上の作品だ。」

キョン「ああ、俺もここまで面白いマンガはあまり見たことがなかったな。」

読み終え、熟読していた『性本能と水爆戦 征服』を元の場所に戻す二人。
その様は、傍から見れば知的なカップルにでも見えただろう。持っている本が別なら。

長門「・・・そろそろ行かないと時間に遅れる。」

みくる「ふぇ?あ、ああ。そうですね。そろそろもどりましょうか。」

かくしてキョンと佐々木とみくると長門の不思議探索は終わりを告げた。
集合場所に戻ってみると、ハルヒが待っていましたと言わんばかりに顔を輝かせていた。


100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 16:08:20.37 ID:Hc5kLat+0

ハルヒ「で?何か収穫はあったのかしら?」

キョン「悪いが無いな。」

ハルヒ「そう、まあいいわ。」

キョン(やけに納得がいいな・・・これはある意味不気味だ。)

ハルヒ「じゃあ、ここで解散!明日また学校で会いましょう!」

キョン「ああ。じゃあな、佐々木・橘・周防。」

佐々木「ああ、電話を入れるよ。」

何事もなく、ただ平和に終わった不思議探索。
だが、そこには裏があったのだった。

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 16:09:51.97 ID:Hc5kLat+0

〜不思議探索涼宮ハルヒグループサイド〜

ハルヒ「許せない・・・こんなことがあってたまるものですか・・・」

ハルヒ「あの二人を一緒にしたら・・・何があったっておかしくないわ…!」

キョンのグループと別れてから、ハルヒは気が気でなかった。
それもそのはず、なんせあの二人についているのはみくると長門である。
みくるが二人に口出しするとは思えない、いずくんぞ長門をや。

ハルヒ「ブツブツ……ブツブツ……」

ハルヒの目からハイライトが消えていた。
いわゆるヤン目というやつである。

古泉「そこまで気になるのならば、あとをつけてみてはどうでしょうか?」

見かねた古泉が提案する。
この提案には、かなりの危険因子が含まれていたが、ここで世界が滅亡するよりはましだと古泉は考えた。

古泉(閉鎖空間がかつてない規模で発生していますし・・・これくらいの賭けには出てもいいでしょう。)

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 16:11:24.54 ID:Hc5kLat+0

ハルヒ「・・・いい提案ね、それ。」

橘「ちょっと!不思議云々はどうしたのよ!」

ハルヒ「・・・・・・」

ハルヒは橘を見つめる。
その目は、まるで生気を感じさせない冷たいものであった。
その目は、まるで何も異論を許さないかのような物だった。

橘「ひぃ!!そ、そんなめで見ないでよ!」

が、ハルヒは見つめ続ける。
これ以上見つめられては、体を石にされてしまいそうであった。

橘「わ、分かったわよ!分かったからその目をやめて!」

ハルヒ「・・・・・・」

ようやくハルヒはその目をそむけた。

橘(・・・恐ろしい目だったわ・・・)

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 17:01:21.44 ID:Hc5kLat+0

やっととけたか・・・


そして古泉の提案通り、ハルヒ達一行はキョンのグループを追跡することにした。

古泉「・・・?どうやら、まだどこに行くか決めていないようですね。」

ハルヒ「・・・・・・」

古泉「おや?動き出しました。」

周防「――――図書――――――館――――――」

古泉「図書館・・・?長門さんが提案したのでしょうか?」

ハルヒ「とにかく、追うわよ。」

ハルヒ達一行は慎重にキョン達を尾行した。
そして・・・

ハルヒ「本当に図書館に来るなんてね・・・」

ハルヒ(いくらなんでも図書館では間違いは起きないでしょうね・・・でも念のために。)

ハルヒ「全員、監視の目を休めちゃだめよ。」

この時点でほとんどといっていいほどハルヒの機嫌は回復していたのだが、少々ハルヒはメランコリーになっていた。

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 17:02:10.39 ID:Hc5kLat+0

周防「――――おかしな――――――本――――――」

古泉「ああ・・・あれは有名な漫画ですね…確かに面白いと評判のものですが・・・まさか図書館にあろうとは・・・」

ハルヒ「『性本能と水爆戦 征服』・・・よく分からない趣味をしているわね、佐々木さんは。」

橘「ええ・・・まあ・・・それは否定はしませんよ・・・」

ハルヒ(でもあんな本を目の前にしてもキョンは普通ね。)

ハルヒ「ねぇ、あの本って面白いの?」

古泉「ええ、一部のマニアの間で大絶賛されているものですよ。僕は読んだことがないので知りませんが・・・」

ハルヒ「ふーん・・・」

ここまできて、ハルヒは少し自身を反省していた。
よくよく考えてもみれば、キョンが佐々木と二人っきりになったとして。
そして間違いが起きそうなシーンにでくわしたとして。
彼が間違いを犯すはずなどないではないか。

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 17:03:50.70 ID:Hc5kLat+0

ハルヒ(……馬鹿みたい・・・)

ハルヒ「・・・もういいわ。行くわよ。ぐずぐずしてると不思議が逃げちゃうし。」

古泉「もういいんですか?一応僕が残っていましょうか?」

ハルヒ「必要ないわ。あのキョンの馬鹿みたいに笑う顔を見ればわかるでしょ?」

キョンは、純粋に佐々木と共に笑っていた。
その笑い声は周囲に反響し、少々迷惑を被っている人もいそうなものだったが
なぜだかまったく注意する気にはならないものだった。

それほどまでに、キョンの笑いは純粋だったのだ。

ハルヒ「・・・行きましょう。」

橘「・・・ああ。そうだね。」

周防「――――――」

古泉(・・・なんとか大丈夫だったようですね・・・賭けは成功です。)

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 17:05:21.94 ID:Hc5kLat+0


そこからのハルヒの勢いは凄まじかった。水を得た魚などという言葉では語ることができないほどである。

その時のハルヒの笑顔も、筆舌に尽くしがたい輝き方をしていたのだが、これを知る者は少ない。

そして・・・

ハルヒ「で?何か収穫はあったのかしら?」

キョン「悪いが無いな。」

ハルヒ「そう、まあいいわ。」

キョン(やけに納得がいいな・・・これはある意味不気味だ。)

ハルヒ「じゃあ、ここで解散!明日また学校で会いましょう!」

キョン「ああ。じゃあな、佐々木・橘・周防。」

佐々木「ああ、電話を入れるよ。」

かくして不思議探索は幕を閉じた。
キョンは、こんな日々がずっと続くものだとばかり考えていた・・・

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 17:06:22.86 ID:Hc5kLat+0

翌日

〜県立北高校〜

キョン「よう、ハルヒ。おやよう。」

ハルヒ「ええ、おはようキョン。」

キョン「昨日はどうだった?橘とか周防と一緒に街を回ったのはさ。」

ハルヒ「・・・?あんた、何いってんの?」

キョン「は?だから昨日の話だろ?」

ハルヒ「昨日は何にもなかったじゃない。雨が降って外出したくない気分だったの、私は。」

キョン「はぁ?何を言ってるんだ?」

ハルヒ「まあ、いきなり予定を変更したのは謝るけれども、そこまで怒らなくてもいいじゃない。」

ハルヒ「架空の人物まで設定して、あんた意外とドSなのかもしれないわね。」

キョン「待て、お前、本気でいっているのか?」

ハルヒ「・・・キョン、病院にでも行ったら?」

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 17:08:12.80 ID:Hc5kLat+0

終わることなく続いていくと思っていた日常が、音を立てて崩壊していった。
これはいつ以来の驚きだ?ああ、そうか。ハルヒが消えちまった時以来だな。
それにしても、これはないだろう・・・                   第三話完



第四話はまだ考えてすらいない。本当にこれで今日は終わり。みてくれたやついたらありがとう。



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